記者会見
上川外務大臣臨時会見記録
(令和5年11月2日(木曜日)13時10分 於:本省中央玄関ホール)
冒頭発言
【上川外務大臣】現地時間1日、退避を希望していた全ての邦人10人及びそのパレスチナ人家族8人の計18人が、同地区からエジプトに陸路で退避しました。メディカルチェックを必要に応じて受けていただきつつ、全員、健康状態に特段問題ないことを確認しています。
政府としましては、これまでガザ地区に滞在している邦人の退避を実現させるべく、関係国・機関に精力的に働きかけつつ、全力で取り組んできたところであります。エジプトをはじめ関係国の協力に感謝いたします。
ガザ地区の状況は深刻化の一途をたどっており、同地区の人道状況の改善が目下の優先課題と認識しております。今後もラファハ検問所の再開が継続され、各国の希望者の退避や人道支援活動が可能な環境が確保されることを期待いたします。
日本としましては、関係国との意思疎通を粘り強く継続し、在留邦人の安全確保に万全を期しながら、事態の早期沈静化や、人道状況の改善に向けた我が国の立場をしっかりと伝えるなど、外交努力を尽くしてまいります。
質疑応答
【記者】ガザから退避した日本人とそのご家族は、ラファ検問所から出た後、現在どのような状況にあるのでしょうか。また、今後日本政府として帰国まで支援する考えがあるか、教えてください。また、ガザに滞在していた日本人は全員退避できたのでしょうか。まだガザに残っている日本人はいるのか、教えてください。
【上川外務大臣】まず、退避した邦人の状況でございますが、ガザ地区から退避した邦人及びその家族は、現在エジプトに滞在しており、健康状態に特段問題は生じていないことを確認しております。今後、邦人の方々のご意向も踏まえ、できる限りの支援を検討してまいりたいと考えております。
今般、退避を希望していた全ての邦人10人及びそのパレスチナ人家族8人の計18人が退避をいたしました。
ガザ地区には、政府として現在承知している限り、個別の事情により邦人1人が滞在をしております。同人はパレスチナ人家族と共に現地に生活拠点があり、パレスチナ籍を有しており、現時点で退避を希望していないと承知しております。当該邦人とは、引き続き緊密に連絡を取りつつ、その安全確保に取り組んでまいりたいと考えております。
【記者】先ほど大臣のパレスチナ訪問が発表されました。今回イスラエル、パレスチナそしてヨルダンを訪問されますが、改めて意義について教えてください。また、イスラエル軍がガザ地区の難民キャンプに対して連日空爆を行うなど攻撃していますが、これについて大臣の受け止めをお願いします。
【上川外務大臣】今般の訪問の機会にパレスチナ西岸地区のラマッラを訪問し、パレスチナ要人とも会談する予定でございます。
その際、ガザ地区における極めて深刻な人道状況への対応等について意見交換を行うとともに、日本として引き続きパレスチナ支援を行っていく考えを直接お伝えしたいと考えております。
現地時間10月31日から1日にかけまして、イスラエル軍がガザ地区北部のジャバリア難民キャンプ等を攻撃をし、多数の民間人の死傷者が発生しているものと承知しています。イスラエル軍は、今般の攻撃について、ハマス幹部や関連インフラを標的したものと説明していると承知しております。
ガザ地区の状況は深刻化の一途をたどっており、未来ある子供や女性・高齢者を含め、罪のない人々が被害に遭っていることに大変心を痛めております。
イスラエルとの関係では、累次の機会に、一般市民の保護の重要性、また国際法・国際人道法に即した対応、人道支援活動を可能とする環境の確保等の協力を要請してきているところでございます。
引き続き、刻一刻と動く現地情勢を踏まえつつ、今般の私のイスラエルを含む中東訪問も通じまして、関係国との間で意思疎通を行い、事態の沈静化に向けまして外交努力を粘り強く積極的に続けて参ります。