記者会見

林外務大臣会見記録

(令和4年10月14日(金曜日)10時39分 於:本省会見室)

(動画)林外務大臣会見の様子

北朝鮮によるミサイル発射

【共同通信 植田記者】北朝鮮のミサイル発射についてお伺いします。北朝鮮は、本日午前1時47分ごろに、短距離弾道ミサイルを日本海に向け発射しました。度重なるミサイル発射となりますが、政府として把握している情報や受け止め、今後の対応をお伺いします。

【林外務大臣】異例の頻度でのミサイル発射を繰り返して、5年ぶりに我が国上空を通過する弾道ミサイルの発射に続いて、このような短期間で、北朝鮮が再び弾道ミサイル発射を行いました。このような暴挙は、到底看過できません。
 事実関係は防衛省が発表したとおりでございますが、日米、日韓、米韓、そして日米韓が連携を示す中で、度重なるミサイル発射、これは明らかな挑発行為であります。今回の発射を含めて、一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないと考えております。関連する安保理決議に違反し、国際社会に背を向ける行為に他ならず、強く非難をいたします。北京の「大使館」ルートを通じて、北朝鮮に対して厳重に抗議し、強く非難をいたしました。
 今後の対応については、米国や韓国とも連携しつつ、検討してまいります。日米、日韓に加えて、日米韓の安全保障面での協力を含めて、対応に万全を期してまいります。

【NHK 岩澤記者】関連して北朝鮮への制裁について伺います。韓国は、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返していることを受け、北朝鮮に独自の制裁措置を行うことを発表しました。日本としても、独自の制裁を行うかなど、検討状況をお願いします。

【林外務大臣】今回の韓国政府による対北朝鮮制裁に関する制裁対象の追加措置について承知をしております。我が国としては、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けた、こうした韓国の立場を支持をしております。
 我が国としても、引き続き、米国や韓国を始めとする国際社会と緊密に連携をしつつ、北朝鮮の完全な非核化に向けて取り組んでまいります。
 その上で、今後の対応について、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、何が最も効果的かという観点から、不断に検討してきておりまして、引き続き、検討していきたいと思っております。

米国の新たな「国家安全保障戦略」

【朝日新聞 野平記者】バイデン政権が、新たな国家安全保障戦略を発表しました。中国について唯一の競争相手などと位置付ける内容となっていますが、この新たな戦略について、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。また、年末に、日本も改定を控えていると思うんですが、この改定作業に与える影響についても併せてお聞かせください。

【林外務大臣】今般米国が公表いたしました新たな「国家安全保障戦略」、これは国際社会が直面している戦略的な競争や、各国に共通の地球規模課題に対して、米国がリーダーシップをとりながら、日本を含む同盟国・同志国と連携しつつ対応していく考えを示しています。
 さらに、「自由で開かれたインド太平洋」の推進や、米国の戦略文書において初となる尖閣諸島に言及した形での、日本防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを再確認しており、政府として高く評価をいたします。
 今、2番目にございました、新たな国家安全保障戦略等の策定の影響に関して申し上げますと、日米両国間では、日頃から戦略や政策をすり合わせるために緊密に連携をしてきておりまして、その方向性は一致しておるものと考えております。

対ウクライナ支援

【毎日新聞 宮原記者】ウクライナ支援の関係でお伺いします。大臣は、12日にコルスンスキー駐日ウクライナ大使とも会談し、国際機関やウクライナ及び周辺各国とも緊密に連携・協力して、ウクライナの人々に対する支援を続けていきたいと述べられましたが、今後、どのような支援をウクライナに対してしていきたいと考えているか。また、今国会で提出が予定されている第2次補正予算案に必要な費用を盛り込もうと考えているか、検討状況をお願いします。

【林外務大臣】日本はこれまで、ウクライナ及びその周辺国等影響を受けた関係国に対して、約11億ドルの人道、財政、食料関連の支援を表明し、越冬支援を含めて順次実施をしてきております。
 冬の厳しい寒さが待ち受ける中でのウクライナ支援につきまして、総合経済対策の中でも、しっかり検討してまいります。今後とも、国際社会と連携しつつ、現地のニーズを的確に把握をしながら、ウクライナの人々に寄り添った人道及び復旧支援について、積極的に役割を果たしていきたいと考えております。

日中関係(第20回中国共産党大会)

【産経新聞 岡田記者】16日に中国の共産党大会が開幕をします。習近平総書記の3期目続投が確実視をされていますけれども、そうした中で、今後の日中関展望について、大臣のお考えをお願いします。

【林外務大臣】10月9日から12日まで、中国共産党の第19期中央委員会第7回全体会議が開催をされまして、16日から第20回中国共産党大会が開催されると承知をしております。
 党大会の結果について、予断することは控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、日中関係は様々な可能性とともに、多くの課題や懸念にも直面をしております。主張すべきは主張し、対話を重ね、責任ある行動を求めつつ、共通の諸課題については協力するという「建設的かつ安定的な日中関係」、これを双方の努力で構築をしていく必要があるというのが、我が国の一貫した立場でございます。

国連総会におけるロシア非難決議

【読売新聞 阿部記者】国連総会決議についてお尋ねします。先日、国連総会決議が行われて、ロシアのウクライナの4州に対する一方的な併合宣言を非難する総会決議が賛成多数で採択されました。このことの意義等を、今回賛成が143ということで、3月の非難決議を少し上回った形にはなったのですけれども、それに対する受け止めもあわせて教えてください。

【林外務大臣】この決議ですが、ウクライナ国内における「住民投票」と称する行為及びロシアによる併合の違法な試みを非難し、その無効を宣言するということ等を内容としております。日本として1か国でも多くの国が、本総会決議案に賛成をし、ロシアに対する国連総会としての強い意思が示されるように、私(林大臣)のレベルも含めて、多くの国への働きかけを行って参りました。
 結果として、143票という賛成多数で採択されたことは、国連総会が、ロシアの暴挙に対して国連憲章の原則と目的を守る強い意志を表明したものでありまして、歓迎をいたします。
 我が国は、力による一方的な現状変更の試みを決して看過できず、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携をいたしまして、ロシアに対し、即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう改めて強く求めていくとともに、引き続き、安保理及び国連総会の動向、これ強い関心を持って注視をしていきます。
 今回の決議は143票の賛成で可決をされました。これは、3月2日のいわゆる「ウクライナ侵略決議」の141票、それから、3月24日のいわゆる「ウクライナ人道決議」の140票をこれを上回るものであります。
 一方で、今回の決議の内容、これ以前の決議と同じではないわけでございまして、3月の総会決議で棄権票を投じた国が賛成票に転じたケースもあれば、賛成票を投じていた国が棄権票に転じた、こういうケースもあります。単純に2-3か国を挙げて、ここが増えたということはなかなか難しいとは思っておりますが、また、我が国として、他国の投票行動について述べるのは差し控えるのが適切だと考えております。
 なお、2014年のクリミアでの「住民投票」と称する行為に関する総会決議、これは賛成100票をでございましたので、これと比べますと、今回は賛成が43票が増えたことになります。
 いずれにいたしましても、今回の総会決議、これが143か国の賛成多数で採択されたということは、先ほど申し上げましたように、国連憲章の原則と目的、これを守る国連総会としての強い意志が確認されたものと受け止めておりまして、歓迎をするところでございます。

北朝鮮による拉致問題

【日経新聞 朝比奈記者】拉致問題についてお伺いします。明日15日で、拉致被害者5人が帰国して20年になります。それ以降、被害者が帰国できていない現状の受け止めと、これまで米朝会談などでも拉致問題について米国から伝えてきましたが、これまでの取組に成果があったのか伺えますでしょうか。また、今の米政権と拉致問題でどのように連携していくのか、お願いいたします。

【林外務大臣】北朝鮮による拉致が発生して長い年月がたった今も、2002年に5名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、1人の拉致被害者の帰国も実現していないということは、痛恨の極みであります。解決を強く求めるご家族の切迫感を共有をいたします。
 拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であります。これまで岸田総理自身、条件を付けずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接向き合う決意を述べてきておりられます。
 同時に、米国を始めとする関係国と緊密に連携していくということも極めて重要であります。5月のバイデン大統領訪日の機会に、拉致被害者のご家族と面会をいただくなど、様々な機会を通じて、米国を始めとする関係国からの理解と支持を累次、得てきております。
 拉致問題は、内閣の最重要課題であります。ご家族もご高齢となる中、一刻の猶予もないわけでございまして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組んでまいります。

靖国神社参拝

【共同通信 植田記者】話題変わって恐縮なんですが、靖国神社の参拝についてお伺いします。17日から始まる靖国神社での秋季例大祭に合わせて、大臣が参拝される予定があるかどうか、考えをお伺いします。

【林外務大臣】岸田内閣の一員として、適切に判断をしたいと考えております。

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