記者会見

上川外務大臣会見記録

(令和5年10月20日(金曜日)16時09分 於:本省会見室)

(動画)上川外務大臣会見の様子

冒頭発言

(1)上川外務大臣のカイロ平和サミット出席

【上川外務大臣】私(上川大臣)から3点申し上げます。
 まず、1点目でありますが、10月の20日から22日、私(上川大臣)は、岸田総理の指示を受けまして、諸般の事情が許せば、21日にエジプト政府が主催するイスラエル・パレスチナ情勢に関し議論する「カイロ平和サミット」に出席するため、エジプトを訪問する予定でございます。
 今般の事態につきまして、我が国は、ハマス等のパレスチナ武装勢力によるテロ攻撃を断固として非難した上で、人質の即時解放・一般市民の安全確保、第2に、全ての当事者が国際法を踏まえて行動すること、そして第3に、事態の早期沈静化が、極めて重要であるとの立場を一貫してとっております。
 私(上川大臣)自身、これまでイスラエル、パレスチナを含むアラブ諸国、イラン等と電話会談を実施し、G7各国等々と緊密に連携しつつ、事態の早期沈静化に向け、積極的に取り組んでまいりました。
 今般のエジプト訪問も、こうした外交努力の一環として、我が国の立場に基づき、喫緊の課題であるガザ地区の人道状況の改善を含め、一般市民の安全確保や事態の早期沈静化に向けた議論に貢献する考えであります。

(2)自衛隊機による邦人等輸送

【上川外務大臣】2点目は、イスラエル・パレスチナ情勢は、これまで以上に緊張度を増しており、外務省としては、イスラエル及びパレスチナに滞在する邦人の安全確保を最優先に取り組んでいるところであります。
 こうした中、本日未明に邦人60名及び外国籍の御家族4名、韓国人18名及び外国籍のご家族1名の計83名が、自衛隊機によりイスラエルより出国をし、21日未明、羽田空港に到着する予定であります。
 先日、朴振(パク・チン)韓国外交部長官との間で、自国民の出国に関して、お互いに助け合い、協力していこうと一致したところ、こうして協力ができたことをうれしく思います。
 外務省は、パレスチナ武装勢力によるテロ攻撃が発生した直後から、在留邦人の安否確認、在留邦人に対する注意喚起と危険情報の改訂、チャーター機による出国支援等、在留邦人の安全確保に万全を期すべく、様々な措置を講じてきております。
 現地の情勢は非常に流動的であり、政府としては、引き続き、邦人の方々の安全確保のために全力を挙げて対応してまいります。

(3)ASEAN東京委員会(ACT)による大臣表敬

【上川外務大臣】3点目であります。昨19日、私(上川大臣)は、国内で取り組むアウトリーチ型の外交活動の一環として、ASEAN東京委員会(ACT)の表敬を受けました。東南アジア訪問直後の非常にタイムリーなタイミングで、非常に良い雰囲気の中で、充実した意見交換を行うことができました。
 ACTの皆様からは、ASEAN中心性・一体性の支援を含む、これまでの日・ASEAN協力への高い評価や、また、特別首脳会議の機会に、日本とASEAN及び各国との関係が幅広い分野において、更に強化されることへの高い期待が示されました。
 私(上川大臣)からは、以上3点であります。

イスラエル・パレスチナ情勢(アラブ諸国との向き合い方)

【共同通信 桂田記者】冒頭ご発言のあった、大臣のエジプト訪問に関連して伺います。日本は、原油輸入の約9割を中東地域に依存していますが、イスラエルとパレスチナでの情勢の悪化がある中、日本としては、エジプトを始めとしたアラブ諸国と、どのように向き合っていくお考えか、改めてお聞かせください。

【上川外務大臣】中東地域は、大きな潜在性を有しております。エネルギー資源の宝庫であるとともに、シーレーンの要衝でもございます。日本は、原油輸入の約9割を中東地域に依存しており、同地域の平和と安定は、エネルギー安全保障の観点からも極めて重要と考えております。
 このような点も踏まえまして、日本はこれまで、ODAや、また、自衛隊要員の派遣、対話の促進等を通じまして、中東地域の平和と安定に大きく貢献してまいりました。
 今般の事態をめぐりましては、ガザ地区及び周辺で、既に多数の死傷者が発生するなど、現地の緊張度は、刻一刻と増しており、情勢は、全く予断を許さない状況にございます。我が国といたしましても、深刻な懸念を持って情勢を注視しているところでございます。
 日本としては、引き続き、刻々と動く現地情勢を踏まえつつ、エジプトを含むアラブ諸国との間で意思疎通を行い、在留邦人の安全確保に万全を期しながら、事態の早期沈静化や、また、人道状況の改善に向けまして、外交努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
 また、今後におきましても、これまで中東各国と築いてきた良好な関係を生かし、米国を始めとする関係国とも連携をしつつ、中東の緊張緩和と情勢の安定化や、また、エネルギーの安定供給の確保に向けまして、積極的な外交努力を展開してまいりたいと考えております。

イスラエル・パレスチナ情勢(イスラエルの評価)

【朝日新聞 松山記者】イスラエル情勢について伺います。パレスチナ自治区のガザ地区では、イスラエルによって水や電気食料の供給が絶たれ、完全封鎖の期間が続いております。また、イスラエル軍が、ガザ北部の110万人を、短期間で南部に退避するよう求めるなど、イスラエルの対応は自衛の域を超えている、国際法上の範囲を超えているという批判も高まっています。先ほど大臣ご自身も、全ての当事者が国際法を遵守すること、というふうにおっしゃいましたけれども、大臣としては、このイスラエルの行動をどういうふうに評価し、今後、国際社会の中で、どのような立場をとっていくとお考えでしょうか。

【上川外務大臣】まず、ガザ地区及び周辺におきましては、既に多数の死傷者が発生しております。現地の緊急・緊張度は刻一刻と増しておりまして、情勢は全く予断を許さない状況であります。我が国といたしましても、深刻な懸念を持って情勢を注視しているという状況であります。
 我が国といたしましては、今般のハマス等のパレスチナ武装勢力によるテロ攻撃を断固として非難した上で、第1に、人質となっている人々の即時解放及び一般市民の安全が確保されること、第2に、全ての当事者が国際法を踏まえて行動すること、第3に、事態が早期に沈静化することが極めて重要である、との一貫した立場で、これまで取り組んでまいりました。
 イスラエルとの関係におきましては、私(上川大臣)自身、12日に、コーヘン・イスラエル外相との間で電話会談を行ったところであります。また、16日におきましては、辻外務副大臣が駐日イスラエル大使と会談をいたしまして、罪のない一般市民の保護が重要であり、全ての当事者が国際人道法に則した対応を行う必要があるとして、一般市民に必要な支援が行き届くよう、人道支援活動が可能な環境確保のための協力を要請したところでございます。
 その上で、今般の事案につきまして、我が国は、直接の当事者ではなく、個別具体的な事情を十分に把握しているわけではないことから、確定的な法的評価を行うことは控えたいと考えております。
 いずれにいたしましても、日本としては、引き続き、刻々と動く現地の情勢を踏まえつつ、関係国との間で意思疎通を行い、在留邦人の安全確保に万全を期しながら、事態の早期沈静化や、また人道状況の改善に向けました、外交努力を続けてまいりたいと考えております。

イスラエル・パレスチナ情勢(ロシア提案の国連安全保障理事会決裁の否決)

【パンオリエントニュース アズハリ記者】(以下は英語にて発言)
 ありがとうございます。パン・オリエントニュースのアズハリです。
 3日前の国連安全保障理事会で、日本はなぜガザでの停戦を求める最初の決議案に反対したのでしょうか。これは戦争を支持しているという印象を与えるかもしれません。日本の立場について説明をお願いします。ありがとうございました。

 

【上川外務大臣】17日午前、ニューヨーク時間の16日午後でありますが、国連安保理におきまして、会合が開催されました。イスラエル・パレスチナ情勢に関するロシア提案の決議案が否決されたところであります。
 この決議案でありますが、理事国間で十分な議論がなされずに、性急に提出されたものでありまして、内容もバランスを欠いているため、我が国としては、これに反対をいたしました。
 他方で、我が国は、18日夜に安保理で採択に付されましたブラジル提案の決議案は、ガザにおきまして、現場での人道状況等に鑑み、決議案の大部分は支持できることから、賛成票を投じたものでございます。
 政府といたしましては、刻一刻と動く現地情勢を踏まえながら、事態が早期に沈静化するよう、国際社会とも連携しつつ、関係者に働きかけるなど、引き続き、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

「佐渡山の金山」の世界遺産登録

【新潟日報 斎藤記者】世界遺産登録を目指す佐渡金山の関連でお伺いします。昨日、一昨日と、佐渡市長をはじめとした、本件の関係者が、東京を訪れ、各所に要望活動を行いました。県や佐渡市は、当初大臣とも面会する予定だということで報道発表していたのですけれども、それが急遽中止になったことで、県内の関係者の間では、様々な憶測を呼んでいます。中止になった経緯、理由について教えてください。また、その上で、改めて世界遺産登録に向けて、どのような姿勢で取り組んでいかれるか教えてください。

【上川外務大臣】佐渡市長との面会についてでございますが、現下の中東情勢が、厳しい状況の中で、刻一刻と変わっている状況であります。それに向けまして対応が随時、状況の中で入ってきているところでございまして、その意味で、公務が極めて多忙となってしまい、やむを得ず、急遽実現できなくなったということでございます。岡野事務次官に代理で対応をお願いいたしました。
 いずれにせよ、「佐渡島(さど)の金山」の世界遺産への登録実現に向けまして、今後とも、関係自治体とも緊密に連携をしつつ、政府一丸となって取り組んでいく方針に何ら変わりはございません。外務省といたしましても、外交面を中心に全力で尽くしてまいりたいと考えております。

イスラエル・パレスチナ情勢(女性・平和・安全保障(WPS))

【北海道新聞 荒谷記者】中東情勢の関連で伺います。大臣、先日、ヒラリー・クリントン元国務長官と面会して、地域情勢を議論するに当たっても、「女性・平和・安全保障」WPS(Women Peace & Security)の視点が重要であるとの点で一致したとおっしゃってましたが、まさに、今、紛争が起きている状態ではありますけれども、中東情勢でWPSの観点から、大臣は取り組みたいこと、取り組んでいきたいことについて伺います。

【上川外務大臣】WPS、「女性と平和・安全保障」ということでございますが、女性や女児の保護や救済に取り組みつつ、女性自身が、自ら指導的な立場に立って、紛争の予防や、また、復興・平和構築に参画をすることで、より持続可能な平和に近づくことができると、こうした考え方に則っているものであります。
 先般ヒラリー・クリントン元米国務長官との面会におきましては、私(上川大臣)自身、この大臣就任以前から、この問題につきましては取り組んで来ているところ、議連も立ち上げまして、そして、取組をさらに力強く推進していく、この重要性につきまして、クリントン元長官からも賛意が示されたところでございます。
 紛争下において、特に影響を受けるのは、女性や子供など脆弱な立場にいる人々であります。現下のイスラエル・パレスチナ情勢におきましても、事態の早期沈静化及びガザ地区の人道状況の改善のため、支援に取り組む際には、女性及びWPSの視点も踏まえまして、関係機関とも連携してまいりたいと考えております。

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