記者会見
茂木外務大臣会見記録
(令和3年5月11日(火曜日)17時02分 於:本省会見室)
冒頭発言 COVAXワクチン・サミット
【茂木外務大臣】私(大臣)の方から1点、COVAXのワクチン・サミットについてですが、6月2日に日本政府とGaviの共催でCOVAXワクチン・サミット、オンライン形式で開催をし、総理と私(大臣)が出席する予定です。
新型コロナが引き続き世界中で拡大する中、ワクチンへの公平なアクセスを加速していくこと、これは喫緊の課題であります。日本は、これまでもワクチンの調達・配布の国際的な枠組みでありますCOVAXファシリティを通じた取組をリードしてきました。
これらの中で、今回のサミットを、途上国に安全で有効なワクチンを、公平に、そして、より多く届けるために必要な資金を確保して、国際的な連携を一層深めていくための必要なステップとしていきたいと考えております。
日本は、引き続き新型コロナ対策の国際的な取組において、主導的な役割を果たしていきたい、こう考えております。私(大臣)からは以上です。
G7外相会合
【日本経済新聞 飛田記者】大臣、一連の外遊おつかれさまでした。G7の共同声明には、これまで日本が訴えてきた中国への懸念事項というものが数多く盛り込まれたと思います。数多くバイの会談もやられたと思うんですけれども、可能な限りでいいんですけれども、大臣が各国にアプローチされたことを教えていただきたいのと、欧州各国との一連の会談の中で、立ち位置に多少の差みたいなものは感じなかったのか、この2点を教えてください。よろしくお願いします。
【茂木外務大臣】今回の欧州訪問、このG7外相会合での英国訪問の前後に、本年前半のEUの議長国でありますスロベニア、更にはボスニア・ヘルツェゴビナ、そしてV4議長国のポーランドを訪問したわけであります。
各国での会談、そしてG7でのマージンの会談を含みまして、合計で20回のバイ会談を行いまして、更にはG7の大臣会合、そして日米韓、V4+日本、こういったマルチの会合も実施をいたしました。
今回の歴訪の大きな目的の一つ、これは「自由で開かれたインド太平洋」について欧州諸国の認識を確固たるものにすることでありました。EUは、4月に「インド太平洋における協力のための戦略」、これを発表して、更に9月までに、インド太平洋に関する戦略の詳細版となります共同コミュニケーションを発動すべく、議論を進めている段階にあります。
当然その議論を先行して行ってきた英国であったりとか、更にフランス、ドイツと、まさにこれから議論に加わってきた国で、そういった進み具合と、こういったものに対して違いはあるにしても、「自由で開かれたインド太平洋」、こういう考え方については、認識を共有することが各国との間にできたと考えているところでありまして、厳しさを増しますインド太平洋の情勢について、各国の外相等々と面談を行って、「自由で開かれたインド太平洋」に向けて協力していくことで一致できた。このことは極めてタイムリーであったと、こんなふうに考えております。
また、G7におきましては、G7の外相が対面でじっくり議論する2年ぶりの機会になったということでありまして、これはラーブ外相もそうでありますけれども、それ以外の外相も、もう本当に久しぶりだなみたいな形で、ようやく対面でできるようになったなと、こういう議論をしたところでありますが、丸2日以上、ワーキング・ディナーから始まりますと、合計で言いますと3日間に亘るというか、こういう会議でありまして、忌憚なく率直な議論を行って、改めてG7が結束をして国際社会をリードしていくと、こういう決意を確認できたと思っております。
私(大臣)自身、「G7が戻ってきた」、こういう思いを新たにしたところであります。更に個別に、中国、北朝鮮、ミャンマーといった地域情勢、また、コロナ、気候変動、こういった国際社会が直面する重要課題、これについて日本としてかなり議論をリードして、存在感を示すこともできたと、こんなふうに考えております。
そして、共同コミュニケおきましては、中国、北朝鮮に関するものも含めて、力強いメッセージを発出することができたと思っておりまして、ここでもG7の結束をアピールできたと考えております。
私(大臣)が就任以来、一貫して言ってきました「包容力と力強さを兼ね備えた外交」、これを実行していくと、こういう上で今回の欧州訪問を通じて、法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序の重要性、これを各国の外務大臣と確認し、緊密に連携していくことで一致したことは、大変大きな成果であったと考えております。
それぞれ会談をする中で、今我々が直面している喫緊の課題であったりとか、個別の地域情勢等々についても、かなり突っ込んだ議論というか、日本の考え方も含めてそういった議論ができたということは、お互いに理解を深めるというか、様々な協力を進める、こういう意味からも本当に意味があったと、こんなふうに考えています。
COVAXワクチン・サミット
【テレビ朝日 佐藤記者】大臣の冒頭のご発言についてお伺いします。ワクチン・サミットですが、先日のCOVAXファシリティ増資準備会合では、大臣は2億ドルを既に拠出していることと共に、引き続き、できる限りの貢献をしていきますとご発言されています。日本の資金ギャップを埋める上での協力として、増資を実際考えていらっしゃるのか、またワクチン・サミットの場で発表するお考えがあるのかどうか、お伺いします。
【茂木外務大臣】先日来申し上げているように、今、各国において、まずそれぞれの国の中で、この感染症を収束させていくという取組を進めておりまして、そこにおいて、ワクチンの持つ役割は極めて重要である、これがやはり決定的な重要性を持つという認識はみんな持っていると思います。
ただ、それは国内で、それぞれの国が、この感染症、ウイルスを収束させたにしても、仮に世界のどこかで、このウイルスが残っている限り、再拡大の危険も残るわけでありまして、冒頭申し上げたように、いかに途上国も含めて、全ての国においてワクチンへの公平なアクセスを確保し、また、それを拡大していくかといったことが重要でありまして、本年中に、途上国の人口の30%に18億回分のワクチンを供給していくと。このためには、現時点で必要とされている17億ドルを確保する、こういう目標に向けた議論を行いたい、今度のサミットでは、と思っております。
主催をするわけですから、皆さんどうぞで、日本は静観しますというわけにはいかないのだと思っております。新規にどこまで日本として拠出できるか、これは現段階で決まっているわけではありませんけれども、できる限りの貢献を検討していきたいと思っています。
ミャンマー情勢(邦人拘束)
【インドネシアJIEF スシロ記者】逮捕された北角記者ですけれども、今の状況を知りたいのですが、日本政府はどのような更なる行動をとるのでしょうか。彼に法的援助を提供しますでしょうか、例えば弁護士とか。よろしくお願いします。
【茂木外務大臣】当該邦人とは、ミャンマーの丸山大使、電話で領事面会も行っておりまして、健康状態に問題がないということも確認をいたしております。外務省としては邦人保護の観点から、今申し上げた、大使による電話での面会であったり、ご家族への連絡等、できる限りの支援をしてきておりまして、今後も必要な支援を行っていきたいと思っております。
もちろん早期に解放されると、これは当該記者に限らず、あらゆる拘束者について解放を求めると、これが日本の立場でありまして、ミャンマー側に対して、引き続き当該邦人の早期解放、あらゆるレベルで求めるとともに、邦人の保護に万全を期していきたいと考えております。
イスラエル・パレスチナ情勢
【パンオリエントニュース アズハリ記者】(以下は英語にて発言)中東情勢についてお伺いします。パレスチナ情勢に関し、報道によるとイスラエル治安当局が特定地域を攻撃し、パレスチナ人に帰属する土地を併合しようとする動きを見せていることで、状況が悪化しているようです。本日発出された懸念を表明する内容の外務報道官談話を拝見しましたが、本件によって9名の子どもを含む多くのパレスチナ人の犠牲者が出ています。パレスチナ人の子どもたちがイスラエルの治安当局によって殺されています。本件については、イスラエルの治安当局が国際法に則った対応をしていないとして、国際社会においてトップレベルに提起されるべきだとお考えでしょうか。また、国連安保理にて本件について取り上げるべきとお考えでしょうか。
【茂木外務大臣】イスラエル治安当局とパレスチナ市民の衝突によりまして、エルサレム等で多数の負傷者が発生しているわけであります。また、昨日から断続的に、ガザ地区からロケット弾がエルサレム等に発射をされまして、イスラエル軍が反撃する事態となっています。我が国として、こうしたイスラエル・パレスチナをめぐる情勢、深刻な憂慮を表明したいと思います。
暴力行為、それは子どもに対してはもちろんでありますが、あらゆる人に対する暴力行為は、いかなる理由によっても正当化されず、我が国は、これを強く非難をいたします。我が国は、イスラエル・パレスチナ双方の抱える問題、これは暴力によって解決されるものでは決してなく、当事者間の交渉と、相互の信頼を築く努力によってのみ解決されると確信をいたしております。
こうした我が国の立場を踏まえて、我が国として、イスラエル・パレスチナ双方に対して、最大限の自制を働きかけていきます。
G7でも、こういった問題については議論したわけでありまして、関係国といいますか、国際社会の中でしっかり連携をしながら、今、申し上げたような日本の立場も主張していきたいと考えております。
また中東和平問題の解決に向けては、今申し上げたように、国際社会と連携しながら、日本としても「平和と繁栄の回廊」構想等の我が国独自の取組を通じて、当事者間の信頼醸成に取り組んでいきたいと思っております。