記者会見

茂木外務大臣臨時会見記録

(令和2年2月15日(土曜日)14時05分 於:ドイツ・ミュンヘン)

冒頭発言

【茂木外務大臣】本日,ミュンヘン安全保障会議では,先ほど,ルッテ・オランダ首相,ジャイシャンカル・インド外相,レイノルズ・オーストラリア国防相,メネンデス米国上院議員と共に「アジアにおける安全保障関係への対処」をテーマとするパネル・ディスカッションに参加をしたところであります。このパネルにおきまして私(大臣)から,「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進の重要性,特に,3つの連結性の改善,すなわち質の高いインフラ整備を通じた物理的連結性の改善,教育等による人的連結性の改善,さらにEPA等を通じた制度的連結性の改善が重要である旨発言しまして,FOIPの具体化に向けて充実した議論を行ったところであります。
 また,このミュンヘン会議は各国から首脳・外相が参加をしておりまして,この機会を利用しましてですね、午前中でも4つの会談を行ったところであります。まず最初に日米韓外相会合におきましては,最近の北朝鮮をめぐる情勢について意見交換を行い,今後の対応方針について議論を深め,引き続き日米韓で連携をしていくことで一致いたしました。また,中国で感染が拡大し,地理的な広がりも見せている新型コロナウイルス感染症や中東情勢など最新の国際情勢,地域情勢についても意見交換を行いました。新型コロナウイルス感染症については,感染拡大防止に向けた中国の取組を支持し,国際社会としても支援をしていこうということで一致をいたしました。
 その後の日韓外相会談では,康京和(カン・ギョンファ)長官との間で,目下,日韓間の最大の課題である旧朝鮮半島出身労働者問題につきまして,その早期解決の重要性について一致しました。また,新型コロナウイルスへの対応に関連して,両国間で緊密に情報共有や連携を進めていくことでも一致をしたところであります。自分(大臣)からは,この新型コロナウイルスの問題であったり,ALPS処理水の問題について,韓国内で一部誤った報道や発言がありますので,科学的根拠に基づく正確な情報発信を求めたところであります。そして,康長官との間では,懸案解決に向けて外交当局間の意思疎通を継続すること,そして国民間の交流を促進していくことで一致をいたしました。
 その後,日イラン外相会談を行いましたが,ザリーフ外相と,中東の緊張緩和及び情勢の安定化に向けて意見交換を行いました。私(大臣)から,地域における高い緊張を憂慮している旨述べつつ,抑制的に対応するよう求め,今後も日イラン間で緊密に連携していくことで一致をみました。また,私(大臣)からですね,日本関連船舶の安全確保のため,日本としては3つの方針があるわけでありますが,外交努力,航行安全対策と併せて,情報収集態勢強化のために独自の取組として自衛隊を派遣することを改めて説明いたしまして,昨年12月のローハニ大統領訪日時に表明されたイラン側の立場に変わりがないこと,確認をしたところであります。
 また,米国のポンペオ長官とはですね,日米韓外相会談が終わった後に短時間,立ち話を行いました。そこでポンペオ長官からは,新型コロナウイルスに関連して,ダイヤモンド・プリンセス号でのこれまでの日本の対応を評価する,今回の米国籍乗客の下船,帰国オペレーションに関しての日本の協力に感謝する,こういう発言がありました。また,ポンペオ長官とは,強固な日米同盟の下,本年米国で開催されますG7を含め,北朝鮮問題をはじめとする国際社会の問題について,日米で引き続き緊密に連携していくことの重要性を改めて確認をしたところであります。
 今日午後には,王毅(オウ・キ)国務委員との間での日中外相会談,また,ラヴロフ外相との間での日露外相会談を行う予定であります。私(大臣)からは以上です。

質疑応答

【記者】今日の日米韓の外相会談の関係なんですけれども,北朝鮮の情勢に関して意見交換されたということなのですが,昨年末の金正恩委員長の発言以降,大きな動きがない中で,先月,日米韓外相会談をされ,さらに今回重ねられたということで,回を重ねて協議していく意義というのは大臣としてどのようにお考えなのでしょうか。

【茂木外務大臣】表面的に大きな動きがないということで,実際にですね,北朝鮮がどういう状況にあるかと,これは必ずしも一致をしない,とそんなふうに思っております。北朝鮮の情勢をめぐってはですね,日米韓の連携,極めて重要でありまして,外相レベルを含め様々なレベルでですね,最新の情報,これを共有していく,また,頻繁な意見交換を行うことは極めて有意義だと思っております。今後とも機会を見つけてですね,北朝鮮の完全な非核化の実現といった,日米韓の共通の課題に向けて,外相レベルでも意見交換を行っていきたい,こんなふうに思っております。

【記者】ポンぺオ長官との協議についてですが,先ほど大臣のほうからダイヤモンド・プリンセス号に対する日本の対応を評価すると発言があったということですけれども,それに対して,大臣のほうからポンペオさんにどういったことを伝えたのでしょうか。

【茂木外務大臣】今回のですね,日本の取組全体について簡単に説明をさせていただきました。そしてあの,各国がそれぞれの希望に沿って,チャーター機等は手配をしていただくことになりますが,帰国の希望があるということでしたら,日本として対応したい,とこういう話をしましてですね,実際に米国との間で具体的な下船,そして帰国のオペレーションを詰めているところでありますので,その協力に対して感謝の表明があったということでございます。

【記者】各国の希望に沿ってチャーター機,日本としては対応していきたいということだったんですけれども,具体的に米国以外からもチャーター機を派遣したいという要請はいくつか来ているということでよろしいのでしょうか。

【茂木外務大臣】いや,正式な要請というのは来ておりません。今日また説明会を行ったようであります。それぞれの国でまた考えることになると思いますが,まずダイヤモンド・プリンセス号に関しては,一定の条件の下でPCR検査を経て,陰性であった乗客については,早ければ2月19日以降から下船開始となるわけでありますが,一方でその2月19日を待つことなく自らの国民の下船を希望する国や地域については,それらの国・地域がチャーター便の用意等について,自律的な形で帰国を実現できるのであれば,日本として対応する用意がある,こういう形でありまして,そういった中で,今回米国のオペレーションが行われるということであります。

【記者】今の質問に関連して,ダイヤモンド・プリンセス号に関しては船内での感染が拡大したという部分で批判もあるわけですが,米国も含めてほかの国も,もう待てないという意味でのチャーター機を用意するといった要素もあるかと思いますが,そのへんは大臣どのようにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】米国側からですね,決してそういうことではなくて,米国民に対する米国政府の責任を全うする観点,また日本政府による医療対応の負担を軽減する観点からチャーター機を派遣することとした,日本政府のこれまでの対応に感謝している旨の説明を先ほども受けたところでありまして,そういった形で,日本政府としては当然ダイヤモンド・プリンセス号に乗っている方についても,また,下船を希望される方についても,できるだけの対応をしていきたいと思っております。

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