記者会見

岸田外務大臣臨時会見記録

(平成27年10月7日(水曜日)20時33分 於:本省会見室)

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冒頭発言-再任の挨拶

【岸田外務大臣】この度,第3次安倍改造内閣発足に当たりまして,引き続き外務大臣を務めることとなりました,どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
私が外務大臣に初めて就任しましたのは,2012年12月でありました。それ以来2年9ヶ月余り経つわけでありますが,その間,57カ国・地域を訪問し,地球儀を俯瞰する外交を進めて参りました。その結果,各国との信頼関係を一層強化することが出来たと思っていますし,また国際社会における日本のプレゼンスの向上を始めとする外交の成果をあげることが出来たと考えております。
 
今年の通常国会におきましては,216時間に及ぶ国会審議を経て平和安全法制が成立をいたしました。国民の命と平和な暮らしを守るとともに,安倍内閣が掲げる国際協調主義に基づく積極的平和主義を実践するために,不可欠な法制を整備することが出来たと考えております。
 
今後につきましては,こうした成果を土台としつつ,引き続き従来から申し上げております,日本外交の三本柱,すなわち1つ目は日米同盟の強化,2つ目として近隣諸国との関係強化,そして,3本目として日本経済の再生に資する経済外交の更なる展開,こうした三本柱を中心に取り組みを続けていきたいと考えております。
 
そして,この三本柱の実現に向けて,今後特に力を入れたいこととして,次の3つの貴重な機会を積極的に活用して参りたいと思っています。
 
まず,第一は,G7議長国としての機会,要するにチャンスであります。明年4月には,私の地元広島でG7外相会合,5月には伊勢志摩サミットが開催されます。7年に一度開かれる日本でのG7サミットです。アジア太平洋の安全保障環境が大きく変化しつつあることを踏まえ,議長国としてこの地域や世界の平和と繁栄のための議論をリードし,日本の考え方を世界に発信していきたいと思っています。
 
そして第二は,TPPの大筋合意がもたらす機会です。基本的価値を共有する12カ国とともに合意した,新たな通商ルールは成長著しいアジアの活性化と日本の経済の再生にとり極めて大きな戦略的意義を有しています。TPPの早期締結を目指すとともに,日EU・EPAを始めとする経済連携協定の早期妥結やインフラ輸出などの経済外交にも全力を尽くす所存です。
 
そして第三は,近隣諸国との対話強化という機会です。中国や韓国とは隣国ゆえに難しい問題があることは事実です。しかし二度の首脳会談を経て日中関係は改善基調にあると考えています。主張すべきは主張しつつ,様々なレベルの対話を強化することによって,戦略的互恵関係を強化していきたいと考えます。また,日中韓サミット開催に向けて努力をするとともに,未来志向の日韓関係の構築に取り組みたいと思います。
さらに,先日の訪露の成果を踏まえ,日露関係を国益に資するよう進めるとともに,ASEAN,豪州,あるいはインド,こうした地域・国々との協力を強化していく考えです。
北朝鮮については,拉致,核,ミサイルといった諸懸案の解決に全力を尽くす所存です。
 
このように,世界各国の外務大臣とこれまで築いた信頼関係,さらには絆を大切にしながら,日本の国益確保のため,着実に外交成果を実らせていきたいと考えています。
引き続きましてのご指導をお願いいたします。
 
私からは以上です。
 

核軍縮・不拡散への取り組み

【中国新聞 藤村記者】大臣が力を入れていらっしゃる軍縮不拡散について,今後どういうように取り組んでいかれるのか,展望をお聞かせください。
 
【岸田外務大臣】軍縮不拡散については,まず今年は被爆70年という大きな節目を迎えました。是非,この被爆70年の節目の年において,この盛り上がった軍縮不拡散の思い,こうしたモメンタムを来年に向けてしっかり維持をしていきたいと思っています。
今年5月に開催されました5年に一度のNPT運用検討会議におきましては,大変充実した議論は行われましたが,残念ながら最終合意文書を採択することができませんでした。しかしながら,こうした議論の積み重ねの上に立って,9月には我が国はCTBT促進会議の議長国に就任をいたしました。是非,こうした立場からもこうした議論を唯一の戦争被爆国としてしっかりリードしていかなければならないと思っていますし,これから国連におきましては新たな国連決議の採択に向けて我が国は努力をしていきたいと考えています。
そして軍縮不拡散に対するモメンタム,こういったものを来年,G7議長国として,この手の議論にしっかりつなげていきたいと存じます。特にG7外相会議,各大臣会合の中で外交安全保障の部分については大きな責任を担う会議ですが,このG7外相会議が広島で開催されます。ぜひ,こうした会議もにらみながら,唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現に向けて一歩でも現実的,そして具体的な前進を図るよう努力をしていきたいと考えています。

世界各国指導者の被爆地訪問

【共同通信 蒔田記者】今,お話のあったG7の外相会議なのですが,日本はこれまで世界各国のリーダーの被爆地訪問というものを呼びかけてきたと思いますが,ここで訪れる米国やフランス等の核保有国の外相に,この会議が開かれた際,大臣として平和記念公園ですとか原爆ドームですとか,そういった施設に招くのかどうかというところをお聞かせください。
 
【岸田外務大臣】核兵器のない世界を目指すためには,核兵器国と非核兵器国がともに協力をしなければ結果を出すことができない,このことは,今年のNPT運用検討会議の議論の中でも強く感じたところです。この核兵器国と非核兵器国が協力するための大変力強い触媒となるものが,やはり核兵器の非人道性に対する認識であると考えています。
ですから,この核兵器国の政治のリーダーにも被爆地を訪問してもらい,被爆の実相に触れてもらい,そして核兵器の非人道性に対する認識を深めてもらうということは,核兵器国と非核兵器国が協力する上で大変重要な取り組みであると認識をしています。
そういった思いから,核兵器国の政治のリーダーにも被爆地を訪問していただき,さまざまな形で被爆の実相に触れてもらうことは有意義なことであると考えています。そうした思いで,より多くの世界の政治のリーダーに協力を呼びかけていきたいと考えています。

沖縄の基地負担軽減

【沖縄タイムズ 宮城記者】米軍基地の返還についてですけど,西普天間のコリドー地区であるとか,あるいはキャンプ金座牧港補給地区の早期返還交渉というのをはじめていらっしゃると思うのですけれども,その対米交渉の進捗であったり,あるいはいつごろまでというような,いつ頃には返還出来るというような目処があるのかどうか,ありましたら教えて下さい。
 
【岸田外務大臣】まず今の政府にとって沖縄の負担軽減を進めていくというのは大変重要な政治課題であると思っております。そのために様々な努力を積み重ねていかなければならないと思います。そうした取り組みの一つとして先日の日米地位交渉の環境補足協定の署名などもあったわけでありますし,先日の西普天間住宅地区の返還,こうした取り組みも進められているわけです。今御指摘のこうした案件につきましても当然重要な取り組みであると考えており,様々な機会をとらえて米国側にこうした取り組みの重要性,そして協力を要請し,働きかけているところです。具体的な日程についてご質問頂きましたが,今現在すぐ具体的な日程を申し上げることは相手があることでありますのでこれは控えなければならないと思っていますが,ご指摘の点も含めて,沖縄の負担軽減について現政府がしっかり取り組んでいかなければならないという思いや姿勢はしっかりと沖縄の皆様に説明をし,ご理解を頂きたいと考えています。

日韓関係

【読売新聞 仲川記者】再任おめでとうございます。先ほど大臣は今後の抱負の一つとして未来志向の日韓関係の強化というようなお話をされていましたけれども依然として韓国政府側は,いわゆる従軍慰安婦問題の解決などを求めていて関係改善がうまくいくのかどうか,依然として不透明な状況であるという認識を私は持っているのですけれども,未来志向の関係強化のために大臣として今後具体的にどのような政策を打ち出していくのか,お考えをお聞かせ下さい。
 
【岸田外務大臣】日韓関係は我が国に取りまして大切な隣国関係のうちの一つであり,日韓関係を安定させることは両国の国民にとっての利益であることばかりではなくして,北朝鮮問題への対処など,こうした国際社会全体の課題への取り組みにおいても大変重要であると認識をしています。ぜひ大局的な観点から未来志向で重層的な日韓関係を構築して行きたいと思います。そして,そのためには困難な問題はありますが,だからこそ前提条件をつけることなく高いレベルでの対話,あるいは幅広い分野での対話,こうしたものが必要であると考えています。そうした観点から日韓外相会談も既に8回目を数えました。近々日中韓のサミットも久々に開催するべく今準備が進められています。そして是非その機会に併せて初めての日韓首脳会談を実現したいと思っています。そして具体的な課題,慰安婦問題をはじめとする日韓間の諸懸案につきましては局長級協議等を通じて引き続き議論をしていく,こういったことについて日韓の外相の間でも一致をしています。是非こうした様々なルートを活用しながら粘り強く対話を続けていきたと考えています。

外交と憲法(憲法改正にかかる見解)

【朝日新聞 村松記者】外交の面においての日本国憲法との関係についてお伺いしたいのですが,外務大臣として,戦後日本が外交を展開する上で平和主義を掲げる日本国憲法がどのように外交面に寄与してきたかという部分と,自民党は憲法改正を党是としていますが,そういう意味で,外務大臣として憲法改正についてどのようにお考えかということをお聞かせください。
 
【岸田外務大臣】我が国は,かつての大戦における大きな反省に基づいて,戦後,不戦の誓いをたて,そして平和国家として歩んできました。その際に,我が国の平和国家としての思いを形として示す上において,この平和憲法というものは役割を果たしてきたと思っています。そしてこの平和憲法ですが,我々自民党として憲法改正を党是としています。憲法というものは大変重要なものでありますが,しかし,時代の変化にしっかり適応していかなければ憲法は生かされていきません。時代の変化に対応するべく,憲法そのものについては,絶えず議論を行い,どうあるべきなのか,こうしたことを検討していく,こういった姿勢は大変重要なのではないかと考えます。この平和憲法の基本理念をこれからも大事にするためにも,憲法をめぐる議論は大いに行うべきであると思っております。

世界各国指導者の被爆地訪問

【中国新聞 藤村記者】先ほどの被爆地訪問の答えに関連してお尋ねします。率直にお尋ねしますが,G7議長国としての機会をとらえて,先ほど各国のリーダーにも被爆地を訪問してもらえればと言われましたが,オバマ大統領達のリーダーに,そういう機会をとらえて,被爆地の訪問を呼びかけたり,働きかけたりするお考えはあるのでしょうか。
              
【岸田外務大臣】基本的にあらゆる世界の政治リーダーに,被爆地に足を運んでもらい,被爆の実相に触れてもらい,核兵器の非人道性に対する認識を深めてもらい,そして,結果として,核兵器のない世界を実現するために具体的な努力,協力をしてもらう,こうした事は大変重要だと思い,そういった思いで,様々な働きかけは行っていきたいと思います。ただ,具体的にどの方が,いつ,どうするか等は,これはご本人の判断もありますので,私の方から,今ここで何か具体的なものを申し上げるのは,控えたいと思います。

内閣改造(宏池会からの入閣者)

【テレビ朝日 千々岩記者】内閣改造にあたりまして,悲喜こもごもあったと思いますが,大臣が会長をつとめられる宏池会では,結果としてですが,大臣お一人の入閣となりました。色々な見方があると思いますが,大臣は今回のこの内閣改造をどう受けとめていらっしゃいますでしょうか。
 
【岸田外務大臣】入閣の閣僚数についてのご質問をいただきましたが,第二次安倍内閣が発足してから今日まで二年九ヶ月,振り返りますと,宏池会の閣僚数も,最初は四人,それから二人になって,それから大臣の交代が相次いで五人まで増えて,そして今回一人になったということで,これは,多い時,少ない時,色々ありました。人事というのは巡り合わせですとか,あるいは様々な周りとの関係,状況にも影響されるものであり大変難しいものです。人事が様々な結果,形となって現れることについて本当の真意は任命者である安倍総理しか分からないのだと思います。ただ,大事なことは,与えられたポジションにおいて,しっかりと責任を果たし,日本の国のためにどう汗をかくかということだと思います。幸い,私たちの政治集団,宏池会には,優れた人材が豊富に存在いたします。是非そうした人材がそれぞれのポジションで,日本のためにしっかり努力をしてくれるものだと思っています。そのことが,次の人事や評価に繋がっていくと考えています。
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