記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成24年5月)


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外務大臣会見記録(平成24年5月30日(水曜日)15時22分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)在京シリア大使への退去要請について

【玄葉外務大臣】在京シリア大使への退去要請でございます。5月25日から26日にかけまして、シリア北西部のホムス県ホウラ市で子供を含む多くの市民が殺害をされたことについて、あらためて、このような非人道的な暴力を断固として非難します。
 このような悲劇が生じるに至った責任は主として、アナン国連・アラブ連盟共同特使の提案を未だ履行していないシリアの政府にあることは明らかだというように思います。
 我が国は、シリア政府に対して、これまでも累次にわたり経済制裁措置等を行うなど、暴力を即時停止するよう、強く働きかけを行ってきました。加えて、ホウラ市における事案への認識を踏まえ、我が国は、シリア政府に対して、抗議の意を示すために、本日、シリア政府を代表するアル・ハバシュ駐日シリア大使を召致し、同大使に対し、出来る限り早期に国外に退去するように求めました。

(2)日・インド社会保障協定交渉について

【玄葉大臣】日本とインドの社会保障協定交渉における実質合意であります。28日から東京において実施していた日本・インド社会保障協定第4回の政府間交渉におきまして、本日、インド政府との間で実質合意に至りました。
 本協定の締結により、インドとの間で公的年金制度に関する適用調整等を行うことが可能になり、相互に進出する企業、個人の社会保障負担の軽減、すなわち保険料の二重負担が回避をされて、二国間の経済交流、そして人的交流が促進されることが期待をされます。
 今後、両国で協定案文の確定等、必要な作業及び調整を行い、早期の署名を目指したいというように思います。
 日中間の15分の1、たしか中印間の5分1の貿易額だと思いますけれども、こういったことが進むことで、先般も閣僚級の経済対話第1回が行われましたけれども、日本とインドの経済面での潜在力の蓋がどんどん開いてきているというように認識をしています。

(3)ローチェン・モンテネグロ外相及びサチ・コソボ共和国首相の来日について

【玄葉大臣】来週は、前半にモンテネグロよりローチェン外務・欧州統合大臣が来日をされて、後半はコソボ共和国からサチ首相が来日をされます。私(大臣)とローチェン大臣は、6月4日に外相会談を行います。また、野田総理とサチ首相の首脳会談は6月8日に行われますが、私(大臣)もサチ首相と6月7日に会談を行います。
 ローチェン大臣はモンテネグロから来日される初めての外務・欧州統合大臣であり、また、サチ首相もコソボ共和国から来日をされる初めての首相です。両国共にヨーロッパ南東地域の安定の鍵となる国であり、両要人の来日により友好的な日・モンテネグロ関係及び日・コソボ関係が発展することが期待をされます。

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日露関係

【日本テレビ 野口記者】日露関係についてお伺いします。一部報道で北方領土に関して、ロシアの呼びかけに応じる形で、韓国の企業が北方領土の一部に岸壁工事をする計画を立てているということが報じられておりますが、こういった動きに関して、改めてという形になると思いますが、日本政府の立場はどういうように表明されるのかということと、これに関連しまして、山根副大臣がロシアを訪問された際に、この件に関して言及されていると思いますが、どういった報告を受けていますでしょうか。

【玄葉大臣】一言で申し上げれば、我が国の立場と相容れません。それは、すなわち、あたかもロシアの管轄権を前提としたような、いわば、行為を我々は受け入れることはできないということでございます。韓国側とも必要な意思疎通をしております。また、ロシアとの関係でも、おっしゃったとおり、山根副大臣等々から、我が国の立場を伝えているという状況であります。大変遺憾だというように言いたいと思います。

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シリア情勢

【NHK 吉岡記者】シリア情勢について伺います。大臣は18日の会見で、日本としてできることとして、人道支援に加えて、反政府勢力の統合努力とか働きかけを行っていくことだというようにおっしゃられていますが、大臣が10日に会談されたガリユーン・シリア国民評議会議長もその後辞任をしてしまっています。そこで、改めて伺いますが、今回の国外退去措置、これは欧米諸国と足並みを揃えたものだと思うのですけれども、日本政府として、どの程度、決意をもって欧米諸国と足並みを揃える以上に、このシリアの問題に対してコミットをしていく決意があるのかという点について、改めて伺えればと思います。

【玄葉大臣】シリアの問題に、どこまで日本がコミットするのかという吉岡さんの問いでありますけれども、我々として当然、できること、できないこと、このことは冷静に、やはり判断をしていく必要はあると思うのです。そもそも論で大きな話になって恐縮ですけれど、外交というのは国力以上に大きなことができるわけではありませんから、それはリアリズムの観点から、我が国はできることというのを冷静に判断していくということが必要だというように思います。その上で、人道上の観点から、今まで300万ドル、そして500万ドルの支援を行ってきたと。
 また、昨日も、イラクの外相ともこのシリアの話というのは、当然、議題に実はなりまして、今はやはりステップ・ア・サイド、アサド大統領に対して、私(大臣)は、去年の8月の段階で、「私(大臣)は」と言うと正しくないのかもしれません、日本政府としては、そういう表明をしているわけであります。ですから、これはまず、1つは、やはり国際協調をしていく。我が国として人道的な支援をしていく。あとは、問題はやはり、反政府勢力がまとまっていないということなのです。おっしゃったとおり、この間、反政府勢力の、まさに代表すべき人物が訪日をしたわけですけれども、なかなかその後もうまくいかないということで、やはり反政府勢力の統合努力というものを後押しをしていくということで、何ができるかということで、日本政府としては考えていく必要があるのではないかというのが、私(大臣)の考え方であります。

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日露関係

【フリーランス 安積氏】先ほどの北方領土の関係ですが、2週間ほど前に副総理に韓国、それから当時、中国の企業も進出するというようなロシアの報道がありまして、それについて、元外相としましてどういうように思われるのかと質問をしましたところ、北方領土が経済的に復興するのは大変好ましいことではないかというようにおっしゃったわけですが、先ほどの外相の意見とちょっと違うのですけれども、どのように理解したらいいのでしょうか。閣内不一致ということでしょうか。

【玄葉大臣】決して閣内不一致ということでは必ずしもないと思いますけれども、大切なことは、いつも申し上げておりますけれども、やはり首脳間はじめ日露間で信頼関係を高めていく。やはり外相間も含めて、今、信頼醸成というのができてきているものですから、この領土交渉、領土問題、四島の帰属をしっかりとした上で平和条約の交渉をしていくと、平和条約を締結をしていくということに尽きるのだと思うのです。ですから、せっかく日露間で良い雰囲気に今なってきているわけでありますから、そういったことに水を差すような行為というのは謹んでもらいたいというように思っています。

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シリア情勢

【共同通信 斎藤記者】シリア情勢で一点補足を。本日、退去を要請した際、先方の方からはどのような話があったのか、これが一点目。それから、二点目は、これによってアサド政権と日本政府との間の外交関係は断絶されたのかどうか、この認識をお伺いします。

【玄葉大臣】直接のやり取りは聞いていません。つまり、先方がどう言ったかということについて、本日のは。ただ、外交関係を断絶するわけではありません。
 それと、これはPNGではありません。いわゆるペルソナ・ノン・グラータですか、その宣告ではないと。政策の措置として重く受け止められるべきものであるというように考えていますので、これで、いくらアサド政権を「ステップ・ア・サイド」と言ったとしても別にシリア政府と外交関係が断絶するということではないということです。

【産経新聞 杉本記者】シリアに関してですが、退去処分について、日本時間の昨日の時点でG8のロシアと日本を除く国々が退去処分を決定して、本日、日本が退去を申し渡したと。若干出遅れた感が否めないかと思うのですが、欧米諸国との連携というのが対シリアに対して十分とられているかどうかの認識をお伺いしてもよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】それは若干のタイムラグがあったというだけで、あまりこの場で申し上げるのは控えますけれども、必ずしも欧米諸国と協調できてないかと言えば、全くそんなことはないだろうというように思います。
 ご存知のように先ほどの吉岡さんの質問にも若干関連するのですけれども、やはり、もちろんシリアの問題というのは我々にとっても極めて大事なのですが、その国々の外交の優先順位はそれぞれ若干違うところが当然あるし、温度差というのもありますから、そういった中で我が国としてできる最大限のことを行っていくということだと思っています。

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北朝鮮情勢

【朝日新聞 東岡記者】北朝鮮の関係でお尋ねします。最近、北朝鮮の宋日昊朝日国交正常化担当大使が北朝鮮に残された日本人の遺骨について返還する用意があるといった発言をしたということが繰り返し報じられています。これは日本政府に対するメッセージとも受け止めることができるかと思いますが、大臣はこうした宋日昊大使の発言についてどう受け止めていらっしゃるのか。もう一点は、こうした遺骨問題をきっかけに拉致問題の解決に向けた協議を行う考えが日本政府としてあるかどうか、この二点についてお尋ねします。

【玄葉大臣】まず、今の東岡さんの遺骨の問題、あるいは宋日昊さんの発言と、あるいはメッセージということについて、実はその遺骨、あるいは慰霊ということに対して、関係者の人たちから政府に対して要請がある、陳情があるという事実はございます。ですから、これは当然遺骨の問題というのは戦後未解決の人道上の重要な問題ではあるというように私(大臣)自身は考えています。
 ただ、これは以前申し上げたと思いますけれども、現在日朝間で対話を行っているとか、あるいは今すぐに行うとか、そのために調整をしているということはありません。北朝鮮との対話というのは、私(大臣)は一貫していますけれども、機会の窓というのは別に閉じる必要はなくて、適当な時期・やり方というものがあってしかるべきだと。そして、最終的に拉致・核・ミサイルを包括的に解決していくのが日本政府の方針でありますから、そのためにどういう道筋が良いのかということで私(大臣)としては考えておりますし、今回の人工衛星と称するミサイル発射の問題も、もし北朝鮮が正しい決断、非核化等に向けた具体的な対応をする、行動するということであれば、それは我々は応えていかなればいけない、そういう用意はあるというメッセージを出しているということはご存じのとおりだということであります。

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内政

【読売新聞 遠藤記者】本日、野田総理と小沢元代表との会談がありました。会談終了後の両者のぶら下がりによると議論は平行線に終わったということですが、それについてのご感想と、それから、今後、消費税引き上げの法案の採決に向けて、どういった対応を大臣として望まれているのか、その二点についてお聞かせください。

【玄葉大臣】今の遠藤さんの話は政局に絡む話でありますから、あまり私(大臣)閣僚として滔々と自説を述べるのは控えなければならないと思っておりますが、一言だけ申し上げれば、私(大臣)も今回の会談については、その後のインタビューについて取り寄せまして読みました。おっしゃるとおり平行線だったのではないかと思いますけれども、だらだらこういう状況が続くというような感じはしておりません。これは、私(大臣)が政調会長だった時の昨年6月も一度決めています、一体改革については。12月にも決めています。今年になっても決めています。三回、党で決めていることを蒸し返しても仕方がないというのが私(大臣)の考え方であります。
 大切なことは国益を第一に考えて決断して実行することだと、そのことに尽きるのではないかと考えております。

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外務大臣会見記録(平成24年5月29日(火曜日)9時41分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-ガシュパロヴィチ・スロバキア大統領の来日について

【玄葉外務大臣】6月26日(火曜日)から6月30日(土曜日)までの日程で、イヴァン・ガシュパロヴィチ・スロバキア共和国大統領が、公式実務訪問賓客として来日いたします。
 滞在中、天皇陛下は、ガシュパロヴィチ大統領と御会見になるほか宮中午餐を催されます。また、野田総理は、同大統領と会談する予定です。
 大統領の来日は、既に緊密な日・スロバキア関係を一段と深めるものというように期待されます。

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カタール火災事故

【NHK 吉岡記者】カタールの商業施設の火災ですが、日本人が巻き込まれたのではないかという一部情報もありますが、最新の状況について教えてください。

【玄葉大臣】これは今、情報収集をしております。おっしゃるとおり、日本人の子供が巻き込まれたのではないかという情報というか、報道があったので、大変心配をしておりまして、ただ、今のところの情報収集状況では、日本人の子供が巻き込まれているということは、現時点では、そういう情報はあがってきておりません。

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在京中国大使館書記官による不正な商業活動

【NHK 吉岡記者】在京中国大使館の一等書記官が不正に外国人登録を行っていたのではないか、更に日本国内で諜報活動に従事していたのではないかという指摘も一部でなされていますが、まず事実関係について外務省としてはどのように把握されていますか。

【玄葉大臣】これは、今朝、関係課から聞いたところであります。報道についてはよく読みました。警視庁からは捜査中の捜査情報だからコメントを控えて欲しいということもあるものですから、確かに、そういう意味ではそうかなということで、捜査情報ということで私(大臣)からコメントすることは差し控えたいというように思っています。

【NHK 吉岡記者】少なくとも、日本の警察が在京の大使館の職員に対して、こういった疑いを持っているということ、それと日本側としては中国大使館に出頭の要請をしたのだけれども、中国大使館側はこれを拒否して当の一等書記官は帰国をしたということについて、まず外務省としてはどのように働きかけを行い、出頭要請を拒否されたということについてはどのように受け止めていらっしゃいますか。

【玄葉大臣】ちょっとまだそこも含めて詳しい事情までは聞けておりません。今朝、率直に申し上げて新聞で知り、どういうことなのかということで事情を聞いているという状況です。基本的には、警視庁からの要請を受けて事務的に外務省の職員が在京中国大使館に対して対応したというように認識をしていますけれども、ただ、先ほども申し上げましたけれども、いったいどういう背景で、本当に事実関係がどうなのかということについては、私(大臣)自身まだ承知しておりませんので、あまり軽々にコメントをすることはできないと思っています。

【読売新聞 今井記者】この問題が日中の外交的な問題に発展する可能性というのはいかがでしょうか。

【玄葉大臣】これは、本当に事情を十分に把握しないと何とも申し上げようがないというように思っています。そこについては、十分に状況把握してから申し上げたいと思います。

【読売新聞 今井記者】担当課はもちろんこの話を知っていたかと思うのですが、大臣は今朝知ったということですけれども、この辺りは情報をもう少し早く上げた方がいいというようなことはないでしょうか。

【玄葉大臣】事の大きさ次第なのではないでしょうか。まだ、どういった事態、状況なのかということについて、まだ私(大臣)自身十分な捜査情報を持っているわけではありませんので、事と次第によってはということではないでしょうか。

【テレビ朝日 花村記者】報道では松下政経塾にも一時いたということですけれども、その辺も照会されているのでしょうか。

【玄葉大臣】新聞でしか知りませんけれども、本日、どんな人なのかということは聞きましたけれども、私(大臣)自身は今の韓志強さんは一緒に政経塾時代過ごしたことがあります。あとは、率直に言ってその方の顔も名前も思い出せないので、もしかしたら、例えば後輩たちが、一回りくらい多分違うと思いますので、後輩たちが10人くらいで訪ねてきてその中にいたとか、そういうことはあるのかどうか、それすら分からないというのが率直なところです。

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外務大臣会見記録(平成24年5月25日(金曜日)9時23分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-エジプト大統領選挙について

【玄葉外務大臣】エジプトの大統領選挙でありますけれども、エジプトにおきまして、23日と24日の2日間にわたり、大統領選挙が概ね順調に実施されたことを評価いたします。
 同選挙は、中東・北アフリカ地域の安定の要とも言えるエジプトの民主化プロセスにおける大変重要な機会であり、私(大臣)自身も、大統領選挙運動が開始された直後の今月初旬にエジプトを訪問した際、同国における政治改革の取り組みを肌で実感してきたところです。
 同選挙の結果は、29日に発表されると承知していますが、我が国としては、引き続きエジプトの諸改革を支援していく考えです。

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北朝鮮情勢

【NHK 島田記者】北朝鮮ですけれども、核実験のような軍事的措置は想定したことがなかったといったような談話を出していますが、改めて、これについて大臣はどのように見ていて、これを受けて、どのように政府として北朝鮮に対応されていくお考えでしょうか。

【玄葉大臣】これはもう先般も申し上げたとおり、米国側とも、韓国側とも、あるいは中国側とも水面下も含めて情報の共有をしていますし、我々なりに分析をしていますけれども、意図については、やはり申し上げない方がいいと、私(大臣)が云々するのは良くないというように、今でもそう思っています。ただ、既に発表してありますけれども、やはり、更なる挑発行為があれば、日米韓が連携して、しっかりとした断固たる態度を取りたいと思います。もし、正しい決断というか、正しい方向に向かうということであれば、それに対して我々としても応えていく用意というものをしなくてはいけないというように思っています。

【NHK 島田記者】大臣の正しい決断、正しい方向というのはどういうものですか。

【玄葉大臣】結局、更なる挑発行為を行わないということとあわせて、やはり、非核化等に向けた具体的な行動、この具体的な行動というのが大事で、これもこの間ずっと申し上げてきたと思いますけれども、具体的な行動が北朝鮮自身からないといけないということだと思います。その具体的な行動が、どういう行動なのかということによって、我々としては、それに対して応えていく用意はあるよと、こういうことです。

【毎日新聞 横田記者】今の応えていく用意があるというのは、対話の用意があるという認識でよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】そこは、まず、更なる挑発行為の自制があって、更に非核化等に向けた具体的な行動がいったいどんな具体的な行動なのかということによると思うのです。ですから、そういった具体的な行動が正にどういった内容でなされるのかによるということだと思います。

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日韓関係

【毎日新聞 横田記者】昨日、韓国の最高裁の判断ですが、第二次世界大戦中に徴用された韓国人の元労働者の方々が、三菱重工等を相手取っておこされた損害賠償訴訟について、1965年の日韓請求権協定ということについて、個人的請求権は消滅していないという判断が下されたのですけれども、これに対して日本政府の立場をお願いいたします。

【玄葉大臣】これは、まず判決内容そのものについて、今分析をしていますけれども、言うまでもないことですが、個人も含めて1965年の日韓請求権・経済協力協定で完全かつ最終的に解決済みであるということです。

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米軍再編問題

【琉球新報 宮城記者】米国の上院がグアム移転費を削除した予算案について可決したということですが、グアム移転が遅れることになれば、二つのキンザーとキャンプ瑞慶覧の移設が遅れる影響がでる可能性があると思うのですけれども、それについての御見解と今後の対応についてお願いします。

【玄葉大臣】米国の議会の状況については、今最新の情報を持ち合わせておりませんので、調べたいと思いますけれども、ただ、結論はまだまだこれからではないかというように思っています。
 それと、以前も若干申し上げましたけれども、今回の2+2の合意の肝の一つは、結局当然海兵隊のグアム等への移転というものを進めていくのですけれども、仮にそのグアム等への移転というものが進まなくともと言うと語弊がありますが、グアム等への移転と嘉手納以南の土地の返還を、いくつかの土地について切り離したということにも意味があるわけでありまして、つまり二つの切り離しがある意味行われたと。つまりは普天間移設との切り離しとグアム等への海兵隊の移転と、それぞれ土地の返還だとか、そういったものが切り離されたということは御理解いただけるというように思うのです。ですから、牧港補給地区の倉庫地区の大半などはいわゆるグアム等への移転と切り離して土地の返還をしていくのだということで調整が今図られておりますので、もちろん、グアム等への移転がしっかり進んでいくということは、両国政府できちんとコミットしている話でありますので、それはそれでしっかり進めていきますけれども、先ほど申し上げた意味も御理解いただければというように思います。

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外務大臣会見記録(平成24年5月23日(水曜日)15時50分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)NATO首脳会合の際のアフガニスタンに関する会合の出席について

【玄葉外務大臣】冒頭3点、申し上げたいと思います。1つは、今回のNATO首脳会合の際のアフガニスタンに関する会合への出席についてでございます。
 アフガニスタンに関する会合では、2015年以降もアフガニスタン治安部隊に対して適切な支援を継続していく考えである旨表明した上で、開発の重要性といったものを強調しまして、本年7月8日の東京会合の基本的な考え方を説明いたしました。参加者からは東京会合に対する期待と支持といったものが表明されたところであります。
 日米外相会談では、私(大臣)から、治安の確保がアフガニスタンの安定と発展の前提であり、我が国として2015年以降もアフガニスタン治安部隊に対して適切な貢献を行っていくとの立場を具体的に説明し、クリントン長官から謝意の表明があったところであります。この他、イラン、北朝鮮等について意見交換を行うとともに、二国間関係については、先般の総理訪米で発出した「共通ビジョン」をベースに日米同盟を更に強化していくことで一致をいたしました。
 日仏外相会談でありますが、ファビウス・フランス外相との間で、日仏関係を最高の水準にしようではないかということで一致をし、本年後半を念頭に外相の戦略対話、これは1月にたしか、ジュペ前外相と行ったのでありますが、ぜひ、今年後半にやろうではないかということで一致をしました。また、欧州経済の安定に向けた日本の協力を説明しつつ、EPA、これは日本とEUのEPAでありますけれども、早期交渉開始に向けたフランス側の大局的な判断を求めたところであります。加えて、イラン、アフガニスタン等を取り上げ、約一時間の議論でありました。
 日EU外相会談におきましては、私(大臣)から、イラン産原油の輸送に係る保険・再保険に対する例外措置の延長等の配慮を求めて、アシュトン外務・安全保障政策上級代表からは、「近日中に議論することになろう」との発言があったところであります。また、7月のアフガニスタンに関する東京会合へ向けたEUの協力を求めたところであります。

(2)ルゴ・パラグアイ大統領の来日について

【玄葉大臣】5月29日(火曜日)から6月1日(金曜日)までの日程で、パラグアイのルゴ大統領が実務訪問賓客として来日されます。
 ルゴ大統領は、今回の滞在中、5月30日(水曜日)に天皇陛下と御会見される予定です。また、同日に野田総理大臣と首脳会談・夕食会を行う予定です。
 今回のルゴ大統領の訪日を通じて、進出日系企業の投資環境の整備といった経済面を始めとする二国間関係等の進展が期待されるところであります。

(3)カル・パキスタン外務大臣の来日について

【玄葉大臣】5月24日(木曜日)から5月26日(土曜日)まで、カル・パキスタン外務大臣が外務省賓客として来日します。
 私(大臣)は、25日(金曜日)にカル外相との間で日・パキスタン外相会談を実施いたします。我が国は、パキスタンと今年国交樹立60周年を迎えており、またパキスタンは、中東とアジアをつなぐ中核にあるとともに、アフガニスタン情勢においても大きな役割を有するなど地政学的にも重要な国であります。この会談では、二国間関係の更なる強化に向けた取り組みに加えて、地域的・国際的な課題に対する両国の協力について意見交換を行う予定でおります。

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日中関係

【NHK 東岡記者】中国の郭伯雄中央軍事委員会副主席と、韓国の金寛鎮国防相の来日が相次いで見送られました。この原因として、尖閣や、あるいはウイグル、あるいは慰安婦問題の影響も指摘されています。そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、まず第1点は、この来日が見送られたことについて、どうお考えになるのか。もう1点は、こうした来日の見送りによって日中、あるいは日韓関係がギスギスしている、あるいは悪化しているのではないかという見方もありますが、その点、どうお考えでしょうか。

【玄葉大臣】来日等の見送りといったことにつきましては、残念に思います。ただ、たしか私(大臣)の記憶では、韓国訪問も取り止めたのではないかというように記憶していますので、理由について、私(大臣)からどうこうと申し上げるのは差し控えたいと。基本的には日程上の理由だというように理解をしています。いずれにしても、中国、韓国との関係、あるいは安全保障面での協力、あるいは交流、こういったことにつきましては、大変大事なことでありますから、粘り強く、こういった関係強化に向けて努力をしていきたいというように考えております。

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カル・パキスタン外務大臣の来日

【毎日新聞 横田記者】パキスタンの外相の来日ですが、大臣が述べられたとおり、パキスタンはアフガニスタンの安定化に極めて重要な存在だと思いますけれども、NATOを含め、関係はぎくしゃくしている状態です。どのような働きかけを今回の外相会談で考えていらっしゃるのかということと、東京会合との絡みについてもよろしくお願いします。

【玄葉大臣】今の横田さんの質問はその通りで、パキスタンは、特にアフガニスタン情勢を考えるうえで、大変重要な国であります。それは地政学的に重要であると同時に、パキスタンの、いわば建設的な協力というものがアフガニスタンの情勢の安定化には、極めて大切になるということです。ですから、そういう意味で東京会合とも当然関係ありますし、カル外相にも7月8日にぜひおいでいただきたいということを言うつもりでありますし、やはり、米国との関係改善、これも重要だというように思いますから、そういったことも含めて働きかけをしなければならないなというように考えています。

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日中関係

【香港フェニックステレビ リー記者】この前、中国の高官が日本側の訪問者に対して魚釣島、日本でいわゆる尖閣に関しては核心的利益だというように、初めて中国の高官が言及されたことに関しては、大臣はどのように見ていらっしゃいますか。
 中国が、この魚釣島、日本で言う尖閣の問題に関しては、これから更に姿勢が強硬していくというようにお考えでしょうか。

【玄葉大臣】今のリーさんの質問の趣旨というか、内容は、その日本の方に、国会議員に中国のだれかが述べたと。率直に申し上げて私(大臣)はまだそのことは承知していませんけれども、もちろん中国の発言というのは、誰がどういうように述べるのかということについて注視はしていますけれども、ただ、尖閣というのは言うまでもなく、そもそも領有権の問題は存在しないというのが我々の立場でありますし、我が国の固有の領土であって、いつも私(大臣)が申し上げる日本の立場、これは何ら影響を受けるものではないというように考えています。

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北方領土問題

【産経新聞 杉本記者】北方領土についてお伺いしたいのですけれども、先ほど鈴木宗男さんが講演を行いまして、北方領土における共同経済行動をやるべきだと、しかも、半年以内にやらなければタイミングとして遅いというような発言をされております。
 北方領土における日本の経済活動の参加について、そういった発言を求める声があるということについて、外務大臣はどのようにお考えになるかお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】今の杉本さんの質問も鈴木宗男氏の発言を受けてということでありますが、私(大臣)はその講演を承知していません。ただ、質問の趣旨は、いわゆる共同経済活動ということであれば、これはやはり日本の法的立場を害してはいけないと。この一点に尽きるというように思います。

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ハーグ条約

【共同通信社 池田記者】ハーグ条約ですけれども、先ほど報告のありました日米外相会談でも、クリントン国務長官の方から重ねて期待が示されていましたけれども、実際、国会の方は会期末まであと一か月でありながら委員会の方は目途がたっていませんが、この状況をどう見ていらっしゃるのかということと、今国会で成立しなかった場合、日米関係はじめ悪影響があるかもしれないですけれども、その辺りどう見ていらっしゃるのか、伺えますでしょうか。

【玄葉大臣】おっしゃるようにハーグ条約について言及がございました。私(大臣)としてもハーグ条約、大変大事だというように考えていまして、したがって国会の方に条約を、関連法案を提出しているということであります。
 基本的には、その提出したことについて謝意の表明があったということでありますけれども、当然ながら、今国会で成立を期すように最大限の努力を払っていきたいというように考えています。

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北朝鮮情勢

【NHK 広内記者】昨日、北朝鮮の外務省報道官が談話で、核実験のような軍事的措置は想定したことがなかったというように表明しておりまして、一方で米国が制裁の圧迫を加え続けるのであれば対応措置をとらざるを得ないというような言い方もしています。この談話について、どのように受け止めていらっしゃるのか。そして、また、デーヴィスさんも来られますけれども、日米、日韓への連携について、今後どのように図られるお考えでしょうか。

【玄葉大臣】これは、その報道も読みましたし、何と言いますかコメントですか、報道官ですかね、読みました。一言で申し上げて、北朝鮮の意図について私(大臣)が云々ということは差し控えた方がいいというように思っています。
 ただ、言うまでもなく、北朝鮮に関する情報についての収集というものは、当然行っているわけでありまして、ただ、これはやはりインテリジェンスに関わる話でありますから、私(大臣)からそういった意図について述べるのはむしろ差し控えた方がいいと。さまざまな観測とか分析とかというのは可能だろうというように思いますけれども、ただ、いずれにしてもそういった情報の共有も含めて米国、そして、韓国、中国、ロシアと緊密に協力をして北朝鮮側の具体的な対応を求めていくということに何ら変わりはございません。

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日中・日韓関係

【朝日新聞 東岡記者】先ほど私の質問に対して大臣は、中国、韓国について、この両国との関係、あるいは安全保障面での協力については粘り強く進めていきたいというお話でした。とはいえ、中国、韓国とは先ほど申し上げたように尖閣であるとか、あるいは慰安婦の問題、こうした歴史や領土の問題がトゲとなって、こういった関係強化というのはうまく進まないという面も否めないと思います。
 こうした歴史や領土の問題を抱えながら、具体的にどのように進めていくお考えでしょうか。

【玄葉大臣】ですから、先ほど申し上げたように粘り強くというのは、例えばGSOMIAだって、私(大臣)などはかなり全力で進めたいけれど、まだ合意に至ってないと慎重な発言をしてきたということは御存じだというように思いますけれども、正に韓国国内のさまざまな感情も含めて、これまでの歴史的経緯も含めた感情というのがあるわけでありますから、そういった面を克服しながら、しかし、これと安保面での協力というのは別だということを粘り強く説いていく、説明をしていく、そして、お互い協力関係を構築していく必要があるということであります。
 これは、正に中国、韓国は、隣国であります、大事な国であることは言うまでもないわけでありますけれども、どの国を見たって隣国とすべてパーフェクトな関係かと言えば、必ずしもそうではないと思います。そういった問題、経緯があるような問題について、それは克服していく努力というものを私(大臣)は行っていかなければならないというように思っています。

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北朝鮮情勢

【毎日新聞 横田記者】北朝鮮情勢ですけれども、日米韓三カ国の連携というのが重要だというお話だと思うのですが、大臣はかねがね参加国の外相会談を開きたいという意向をお持ちだと思いますが、なかなか実現しておりません。7月にはASEAN関連会合などもありますけれども、その設定の見通しについてお願いします。

【玄葉大臣】いつも申し上げていますが、日米韓の外相会談そのものについては、私(大臣)はあまり言及していないというように思います。つまりは、日米韓の外相会談というよりは、やはり今一番大事だなと思っているのは、今回クリントン長官とも一致をした、やはり中国への働きかけ、つまり中国が強い働きかけを北朝鮮に対して行うことでありますので、ある意味、日米韓だけが突出するというのも、突出というと語弊がありますけれども、中国、ロシアと距離がでるというのは必ずしも好ましいことではないので、そういったことも考え合わせながら判断をしていく必要があるのではないかというように思っています。

【共同通信社 斎藤記者】北朝鮮の関係です。少し重複しますけれども、インテリジェンスということはわかりました。そこはお尋ねしませんが、要は北朝鮮が核実験をする可能性が高まっているのかどうかということは、これは我々国民にとって安全保障上の一大関心事であります。そこで日本政府として、これまでの種々の情報を総合的に勘案した結果、その可能性というものは現実に高まっているのかどうか、そこをどうとらえているのかどうかと。それともう一つは、この北朝鮮に核実験をさせないために、日米韓として、もちろん取り組むのは当然ですが、させないための何らかの具体的な道筋も立てられているのかどうか、もし立てられているとすれば、その道筋を若干御説明いただきたいと思います。

【玄葉大臣】繰り返しになってしまいますけれども、例えば、更なる挑発行為が核実験を含めて行われる切迫性というか、可能性というものが高まっているのか、そうではないのかということについて、私(大臣)が今回の報道官の発表を受けて発言するというのは、やはり私(大臣)は適切ではないと思っています。
 かなり、水面下で情報の共有が行われていますので、先ほど来から表で申し上げられることは申し上げていて、米国側とも、やはり中国がどれだけ強く働きかけを北朝鮮に対して行うかということが一番大事なポイントだと私(大臣)自身考えておりますので、当然ながらそういったこと、それを道筋というのかどうかということはあるかもしれませんけれども、そういったことは当然行っているということでございます。

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日露関係

【NHK 広内記者】山根副大臣が明日からロシアを訪問されるのですけれども、これについて大臣としてどのような役割を期待されているのかということと、このあと、北方領土問題の解決に向けても大臣御自身、あるいは総理の訪問のスケジュール感も含めて、どのように関係強化を図っていきたいかというのを改めてお願いします。

【玄葉大臣】ロシアとの関係におきましては、あらゆる分野での協力を進めていく、このことはかねがね申し上げているところであります。同時にあらゆるレベルでの対話を進めていく、そういう意味ではその一環であるという言い方ができると思います。
 今回、領土交渉そのものを行うというわけではございません。これから実質的な議論に領土問題については入っていこうというように考えていますけれども、今回の山根副大臣の派遣というのは、その環境整備の一環であるというように考えていただければと思います。

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外務大臣会見記録(平成24年5月18日(金曜日)11時31分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)NATO首脳会合への出席について

【玄葉外務大臣】5月20日と21日にシカゴにて開催されるNATO首脳会合におきまして、アフガニスタンに関する会合が開催される予定です。諸般の事情が許せば、同会合には我が国代表として私(大臣)が出席します。
 アフガニスタンに関する会合では、国際治安支援部隊(ISAF)の2014年末の撤収後のアフガニスタンの持続的安定の確保等について議論される予定です。7月の東京会合のホスト国として、治安のみならず開発面でもアフガニスタンの持続性確保が重要であることなどを訴える予定でおります。
 NATO首脳会合に我が国から外務大臣が参加するのは今回が初めてということであります。

(2)シリアの難民等に対する緊急無償資金協力について

【玄葉大臣】14ヶ月以上にわたり弾圧と暴力の連鎖が継続しており、多数の死傷者及び難民が発生しています。我が国として、悪化している人道・治安情勢により発生した難民等への支援のため、本日の閣議におきまして、私(大臣)から500万ドルの緊急無償資金協力を追加的に行うことを決定した旨発言しました。
 今回の決定によりまして、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連世界食糧計画(WFP)及び国連人道問題調整部(UNOCHA)と協力しながら、食料、衛生用品、医薬品等の配布等を早急に実施する予定です。

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NATO首脳会合

【NHK 島田記者】NATO首脳会合ですけれども、改めて、東京で開かれる会合に向けて、日本としてどういったコミットメントをしていくといったことを大臣として訴えられるお考えでしょうか。

【玄葉大臣】アフガニスタンにつきましては、アフガニスタンの安定そのものが国際社会の中心的テーマになっているわけです。やはり、主要国として日本が世界の中で責任を果たしていかなければならないと。アフガニスタンは、治安の問題、そして再統合、そして経済社会開発等々において課題があるわけであります。日本としても、まずアフガニスタン自身の治安能力の向上、これに対してもやはり一定の貢献をしていかなければならないし、特に、我が国の得意分野というか、日本らしさとかいったもので貢献をしていくために東京会合を開くわけでありますけれども、そのときのテーマは、まさに「開発分野の持続可能性」と。しかも、そのときにアフガニスタン自身のガバナンス能力を向上をさせていく、そのことをきちっとコミットさせながら、この開発分野の持続可能性というものを確保していくために、日本としてリード役を果たしていかなければならないと考えておりますので、そういった観点から発言をしていきたいというように考えております。

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日韓関係

【NHK 島田記者】韓国の国防相が今月末に予定していた訪日を見送りまして、日韓の間で目指していたGSOMIA等の協定の締結も遅れることになったわけですけれども、こうした事態になったことに対する受け止めと、今後へのお考えをお願いします。

【玄葉大臣】韓国の国内の、いわば、これまでの日韓間の歴史の中での軍事分野の協力におけるセンシビリティというか、そういった問題があるのかなというようには推測をしています。ただ、もともとはっきり日程が決まっていたわけではありません。以前も申し上げましたけれども、やはり日本と韓国は戦略的利益をこのアジア太平洋全体の中で、また、東アジア地域という特定をしても安保協力をする重要性というのは高まっているわけです。ですから、ここはお互いに大局的な見地から安保分野における協力、特にGSOMIAなどは、私(大臣)は象徴的でもあり、内容的にも非常に重要だというように考えていますので、互いに努力をしていくと。首脳間で認識は一致しているというように思っておりますし、大統領ご自身も、「国内にはいろいろな意見があるけれども、やはり大事なんだ」ということを述べておられたと聞いておりますので、引き続き追求していきたいというように思っています。

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イラン制裁

【毎日新聞 横田記者】三菱東京UFJ銀行の件ですが、ニューヨーク地裁の方から指示を受けて、イラン向けの決済取り引きを一時停止する事態になっておりますけれども、昨日、同行は異議申し立てをされていますが、米国の裁判所が日本国内にある資産までを差し押さえるということの妥当性についてどう考えるのかということと、政府として、また、特に外務省として、米国政府に対する働きかけ等何か考えてらっしゃるかどうか、お願いします。

【玄葉大臣】これは、もちろん、内容については十分承知をしていますけれども、これは、ひとつは司法の問題でもあるということです。そういった個別の話について、今、具体的に公の場で述べるということが適切かどうかということもございます。ただ、一つだけ言えることは、日本政府全体で適切な対応をしたいというように思っていますし、当然、米国とは緊密に意見交換をしているということであります。ただ、司法の問題であるというところがなかなか大変なところでありまして、ご存じのように、もともとイランからの原油輸入の削減については、我々は、国際協調・圧力・制裁という観点から、この間、しっかりと協調・協力をしてまいりましたし、他方、国防授権法等においての例外適用といったことなどで、日本国内の経済の影響を回避してきたという経緯があるわけでありますので、いずれにしても、今回の件について司法と、今度はちょっとこれまでとは違う立場からの案件であるというように考えていますけれども、日米の中でも当然、具体的なやりとりはご紹介できませんけれども、意見交換はしていかなければならないと考えています。

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シリア情勢

【NHK 吉岡記者】シリアですが、一方で国連の停戦監視団への要員派遣については見送る方針を国連側に伝えたということですけれども、改めてその理由と政府としてのシリアに関する援助、支援の方針についてお聞かせください。

【玄葉大臣】まず、PKOについては、これまで日本のいわばPKO五原則を含めたさまざまな国内の状況等々を勘案しながら、そういった要請については対応していかなければならないということだと思います。
 その上で、我が国として何ができるかと言えば、やはり特にいわば反政府勢力がばらばらであるという状況を踏まえながら、そういった勢力の統合努力、働きかけというものを行っていくということと同時に、先ほど申し上げたような人道的な支援、これはこれで非常に今深刻な状況に陥っているという報告を聞いておりますので、したがって、今回、前回の300万ドルに続いて500万ドルの追加的な措置というものを発表させていただいたということでございます。

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TPP

【共同通信 池田記者】TPPに関連しまして、本日の今朝の閣議で経済外審等を務められました大島さんを政府代表として選ばれましたけれども、この人選についてお考えを伺えますでしょうか。

【玄葉大臣】これは、ずっと温めてきたものでございます。大島さんは、御存じの方も直接いらっしゃるかも知れませんけれども、この間、日本の経済外交の中核を担ってきたという経緯がありますし、この分野において専門的な知識もありますし、交渉能力もあるというように思っています。
 これまでは、関係国との協議ももちろん一定程度のタフさというのは当然必要だったわけでありますけれども、先般、日米首脳会談等でも首脳同士でこの問題についてお互いに努力するということで一致をしたということでありますので、このタイミングにおきまして、より高いレベルで協議を行っていく必要があるというように判断をして、この時期に大島さんを政府代表という立場に任命をしたということであります。

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外務大臣会見記録(平成24年5月16日(水曜日)17時24分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

米軍再編問題

【NHK 島田記者】米国の上院の歳出委員会が2013年度の歳出法案にグアム移転費の大部分を盛り込まないという姿勢を示していますけれども、これについて、再編計画の見直しとアジア太平洋地域全体の戦略との関係が不明確だというような説明もしています。こうした上院の厳しい対応に対する大臣の受け止めと、それから、グアム移転が万が一遅れることになりますと、沖縄の負担軽減にも影響が出てくるわけですが、日本政府として米国側に何か求めていかれるお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】ただいまの島田さんのお話については承知していますけれども、米国の議会の審議というのは、まだプロセスの出発点でありますので、まさにこれからということだと思います。大切なことは、日米両政府とも先般合意したそれぞれの事項に対して、しっかりとコミットしているということだと考えています。

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日露関係

【日経新聞 桃井記者】少し前の話になるのですが、5月6日の大臣がモロッコに外遊された際に、2001年のイルクーツク声明について、日本の政府の立場と矛盾しないということを述べられたという報道があったわけですが、これについて、改めて大臣のイルクーツク声明についてのご認識と、2島先行協議案についてのご見解を教えていただけますでしょうか。

【玄葉大臣】今、桃井さんが2001年のイルクーツク声明に触れられましたけれども、これはご存じのように、1956年の日ソ共同宣言が、いわば平和条約交渉の出発点であることをまず設定をしたということがひとつあります。同時に、1993年の、いわば東京宣言に基づいて、4島の帰属の問題を解決をして平和条約を締結をしていくことを再確認をしたという文書であって、私(大臣)は重要な文書であると、そういうように認識をしています。
 いつも申し上げておりますけれども、これまで交わされた諸合意、諸文書、そして法と正義の原則にもとづいて、この平和条約を行っていくということに尽きるのではないかというように思います。そのうえで、先ほど、先行協議案というお話がございましたけれども、まず、そのことが何を意味するのかという、定義というか、そこがまず不明確だと思います。
 大事なことは、どのようにこれから協議を進めていくのかということについては、これまでのプーチン大統領の発言及び先日の外国プレスとのインタビューでの発言、そういったことにしっかりと留意をしながら、慎重に考えていく必要があるというように私自身(大臣)考えています。
 ラヴロフ外相との1月の会談がございました。4時間半ぐらいの会談で、私(大臣)は4島の帰属は日本にあるということを明確に主張しましたけれども、残念ながら立場に隔たりがあるわけでありますから、大変厳しい交渉になるというように覚悟しています。

【日経新聞 桃井記者】今、政府は森元首相をロシアに派遣する方向で調整をされていると思いますが、森元首相は首相在任時に歯舞と色丹の2つの島の引き渡しを協議すると同時に国後、択捉の帰属を話し合うという同時並行協議をロシアに提案したと思います。森元首相は、多分この考えはお持ちであると思うのですが、森氏をロシアに派遣するに当たって、大臣や日本政府としてはこの考え方についてすり合わせをしていらっしゃるのでしょうか。また、どういうように考え方を受け止めていらっしゃるのでしょうか。

【玄葉大臣】これも申し上げてまいりましたけれども、森元総理は、今の政界の中でプーチン大統領と、いわば唯一と申し上げても良いかというように思いますけれども、人脈を持っていらっしゃるわけであります。交渉は政府が行います。ですから、その大前提のもとで、当然、さはさりながら、森元総理と良く話し合ったうえで野田総理のお言葉をお借りすれば、一肌脱いでいただくと、汗をかいていただくとおっしゃったのかどうかちょっと忘れましたけれども、そういう意味で私(大臣)は、外交というのは超党派で行うべきだと。
 ちなみに、「並行協議」の話が出ましたけれども、この「並行協議」の話というのは、かねてから表に出ている話でありまして、「並行協議」のときは、たしかロシア側からは、残念ながら回答がなかったと。なかったというか、もっと正確に言えば、「それは受け入れられない」という回答であったというように承知をしていますけれども。ただ、いずれにしても、私(大臣)はいつも申し上げておりますけれども、メディアを通してではなくて、静かな環境のもとで交渉を行うというのは、まさに直接会って首脳同士、あるいは外相同士、真意を確かめながら物事を進めていくということが非常に大切なことなので、私(大臣)はこれ以上申し上げるつもりはございません。

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日中海洋協議

【香港フェニックステレビ リー記者】本日、中国で開催されています日中海洋協議のことについてお伺いします。日本側が今回の協議で中国とどのようなテーマを提起し、どのような成果を期待するのか教えていただきたいのと、今後、この協議は引き続きやっていくのかどうか、開催頻度と日本側はどのようなメンバーが参加し、具体的にどのような目標を達成したいのかお聞かせください。

【玄葉大臣】テクニカルな部分についてはあとで説明させますけれども、これは、首脳同士でもやり取りがございましたし、私(大臣)の方からも、かつて日中外相会談で今のリーさんの話では提起をした経緯がございます。その眼目というのは、一番は海洋機関間同士の信頼醸成ということです。そして、重層的な危機管理メカニズムというものを最終的につくり上げていくということが大切だと思うのです。つまり、先ほどテクニカルと申し上げたのは、海洋機関と一口に言っても、実は中国も日本も、7つとか、8つとか、9つあるのです。その7つとか、8つとか、9つの機関が、やはり、それぞれ良く連絡が取り合える、コミュニケーションが取り合える形にしていかないと、偶発的なことが起きてしまう可能性だって大いにあるわけです。
 それはお互いにとって大変不幸なことでありますので、そういった海洋機関が一堂に会して、良く緊密にコミュニケーションが取り合えるような、まず信頼醸成から始まって、最終的には重層的な管理メカニズムを構築する。そのために一番良い頻度は何なのか、それは一回目、二回目、三回目にどの程度議論が熟するかによるというように思いますが、最終的な目標というのは、先ほど申し上げたような点にあるということで、私(大臣)はこれを重視しています。
 海洋機関の(資料が)、私(大臣)、実は手元にあるのですが、テクニカルな話なので、あとで事務方からお話をしていただければと。例えば交通運輸部だ、農業部だ、国家能源局というのですか、中国側にはいろいろな機関がある。日本側もたくさんありますので、それはあとで発表できる話だと思いますので、説明をさせます。

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F35戦闘機の購入

【フリーランス 上出氏】一部新聞などで取り上げられているF35の購入の問題についてお伺いします。これは防衛省の方のマターなのかもしれませんが、やはりお金に絡む問題で、特に税の一体改革ということで財源がないという中で、最初は4機、42機になれば、一説には1兆円近いとか、何千億円とか言われております。1機100億円以上とも言われています。この辺の交渉というのは、どうしても今まで米国の言い値になってしまう、日本の、あまり使いたくない言葉ですが、国益を損しているかもしれないということもあって、今回に向けて、かなり米国の方も予算が大変だと思いますが、どういうようなスタンスで臨まれて、どこまで頑張るとか、そういうことがありましたら教えていただけませんか。

【玄葉大臣】これは、やはり私(大臣)よりも防衛大臣がお話をしないと適切じゃないかなという感じはいたします。ただ、私(大臣)が承知している限りでは、一部報道にあった調達のためのコストというのは、たしかパイロットのトレーニングのためのコストであるとか、様々なコストを付加した額になっているというように承知をしています。あわせて、基本は言うまでもないことですけれども、これまで米国側と約束をしてきたそのラインの中で調達をしていくというのが本来なのではないかというように、私(大臣)はそう思っていますけれども、ちょっと詳細を私(大臣)は承知しておりませんし、防衛省の方で、いろいろ、今のところお考えになっているのだろうというように思います。

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ミャンマー情勢

【東京新聞 五味記者】昨日まで、韓国の李明博大統領がミャンマーを訪問されました。それで、経済関係の合意とか、それと北朝鮮と武器の取り引きがあったけれども、これからは止めるというようなことを言ったようです。
 こういう動きについて大臣の評価をお聞きしたいのと、だんだん多くの国がミャンマーに関与し始めているのですが、昨年ミャンマーに行かれた大臣のお立場として、これからどのように日本がミャンマーと関与して民主化の動きをバックアップしていくのか、その二点をお伺いしたいと思います。

【玄葉大臣】今の五味さんのミャンマーについての件は、一言で言えばやはりミャンマーについて、この民主化、国民和解の後押し役の先鞭をつけたのは日本であるという自負を持って、これからのミャンマーの民主化、国民和解及び経済改革というか、持続可能な開発、あるいは貧困からの脱出、そういった点について日本はリードしていかなければならないというように考えています。
 G8の外相会合でも私(大臣)が冒頭このミャンマーについてはプレゼンテーションをさせていただいて、各国からも若干の温度差はございますけれども、やはり基本的にテイン・セイン大統領の現在の改革姿勢は本物であるというラインの中で、温度差はありますけれども、やはりこの民主化、国民和解というものを後押しする方向で一定の理解が得られたものというように考えています。
 北朝鮮との武器取り引きの問題については、昨年私(大臣)が行ったときもそうですが、その前にミャンマーの外相が訪日した際にも私(大臣)からその点については確認をいたしましたし、そういうことのないようにということを明確に伝達をしたところであります。ですから、今回の報道を見て、何というか、私(大臣)としては、当然の話だなという認識というか、受け止めだということでありまして、このミャンマーは先日もアウン・サン・ス-・チ-女史も国会に登院をしたということもございますので、やはりしっかりと対話をしながら少数民族との問題もしっかり留意をしながら進めていってほしいと。私(大臣)はテイン・セイン大統領にも夕食会の席でも隣同士だったので、改めてそういったことも伝えたところであります。なぜならば、我々も国民の皆さまに、納税者の皆さまに説明する責任があるわけであります。つまりはミャンマーを支援する際にいわゆる債権の問題等があるわけですから。
 ですから、そういう意味で、この動きが間違いのない動きになるように繰り返し繰り返し私(大臣)からも、また日本政府からも要請をしているということでございます。
 是非、リード役を果たせればという思いです。

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日中関係

【フリーランス 安積氏】日中関係についてお伺いいたします。14日から東京で世界ウイグル会議というのが開催されておりますが、このウイグル会議に参加した一部の議員、何しろ参加していない議員に対しても実は中国の程大使から文書が送られておりまして、その中に世界ウイグル会議第4回代表大会に関して、日本政府が認めれば日本自身の安全にも害があるというように断定的に述べている文書を送りつけられました。
 これについて、外相としてどういうようにお考えになりますでしょうか。

【玄葉大臣】まず、安積さんにこの間きちんとお答えできなかった慰安婦の話ですけれども、あれから調べましたけれども、やはり、交換条件のようなものは提示していないということでありましたので、そのことを冒頭まず申し上げたいと。念のため確認を、そういう事実は承知してないと一言あの時申し上げたと思いますけれども、改めて確認をしましたらば、やはり交換条件のようなものは出してないということでありました。
 それと、国会議員に程大使から書簡が送りつけられたというか、送られたというか、その話は聞いております、承知しています。やはり、このウイグルの問題というのは基本的に中国の内政問題です。ただ、表現の自由の問題だとか、やはりそういった普遍的な価値の問題について、私(大臣)は常に注視をしていますので、そういった意味で、やはり適切に対応していかなければいけないと思っています。

【フリーランス 安積氏】日本自身の安全にも害があるというように断定的に文書で大使の方が書いてきたことについては、どういうようにお考えです。

【玄葉大臣】文章をすべて熟読しているわけではないのですけれども、確認もそれはしなければならないと思いますが、私たちは日本国政府として当然ながら我が国の国内法、そして、国際法にしたがって安全に害があるかどうかも含めてきちんと対応してきているということです。

【NHK 吉岡記者】副大臣会見でも一部出ているのですが、改めてお伺いしたいと思います。日中首脳会談で温首相がやはり核心的利益と重大な関心事項を尊重すべきだという発言があったと。これについて日本政府としてはどのように受け止めているか、どう分析されているかを、もし可能であれば。
 二点目ですが、この発言についてですけれども、会談後の斎藤副長官のブリーフでは一切こういう発言があったということは紹介されませんでした。その後、事務方によるブリーフの中で記者が繰り返し質問することによって、ようやく出てきたという経緯があります。
 中国政府にとって、この表現というのがどれほど重要なものかというのは、ここでは申し上げませんけれども、そういう重要な話を少人数に絞った首脳会談の席で中国側が日本政府に伝えてきているという事実を日本政府としてはメディア、国民に対して積極的に情報提示をしなかったという点についてですが、やはり会談での相手の発言の詳細を明らかにしないという外交儀礼はあると思うのですけれども、一方で、外交儀礼では会談の極めて重要なポイントを国民に知らしめないという言い訳にはならないと思うのです。なので、本筋の会談の中身の話とはずれるのですが、野田政権としての情報提示、提起のあり方について、大臣は今回行ってらっしゃいませんけれども、お考えを伺えればと思います。

【玄葉大臣】私(大臣)は今回行っていませんので、副長官のブリーフでなくて事務方のブリーフで何回も聞いた上で出てきたというお話でありますが、ちょっとそこは私(大臣)もその流れはこれも正直わからないので、別に逃げるつもりは全くないのですけれど、確認をこれもしないといけないなというようには思っていますけど、情報の開示というのは基本的には大事なことであります。ただ、外交上のやり取りの中で、特に先方の発言部分というのは、細心の注意が必要であるという部分は一般論としてはやはり言えるのではないでしょうか。
 今回の核心的な利益、重大な関心事項の話というのは、結果として出ているわけでありますので、そういう意味で結果としては、私(大臣)も確認をしなければわかりませんけれども、最初から私(大臣)はブリーフしたのかなと思っていたので、初めて今聞きましたけれども、その辺りはよく確認して整理をしたいなと思います。

【NHK 吉岡記者】温首相の発言について、一点目のどう分析をされ受け止められているのかというのは。

【玄葉大臣】これは、あの尖閣の発言ですか。

【NHK 吉岡記者】尖閣と明示的に言ってはいないのですが、その核心的利益と重大な関心事項という言葉を使われたというところです。

【玄葉大臣】少なくとも、何と何を直接結びつけたということでは必ずしもないけれども、当然ながら私たちは先方の発言を注意深く聞いています。また、注意深く分析をしています。ちなみに尖閣の問題はそもそも領有権の問題は存在しないというように思っていますので、そのことは大前提であります。

【朝日新聞 松村記者】そういった尖閣と人権の問題でやり取りがあったと。こういったものを受けて、まず今後の日中関係への影響というものと、こういった微妙な問題といいますか懸案が最高首脳レベルの会談で取り上げられたということについて、事前に外交当局、そして、どのような戦略をもって日中首脳会談に臨んだのか。事前の外交努力というか戦略について是非伺いたいと思うのです。例えば、それが予想外の展開だったのかとか、こうきたらこういうようにしようと思っていたのか、事前の戦略について伺いたいのですけれども。

【玄葉大臣】率直に申し上げて、事前のことをこれもどこまで言うかというのはありますけど、意外感はありませんでした。
 結局、今回の日中韓、冒頭というよりも出発前に申し上げておりましてけれども、投資協定の署名というのは非常に大きいのです。FTAも日中韓で年内交渉開始であると。北朝鮮が共同声明に盛り込まれなかったというお話が頻繁に出るのですけれども、大切なことはもう既に議長声明に、中国も入った形で安保理の議長声明に書かれているわけです。あれ以上どう書くのかということだというように思っていまして、中国がコミットして議長声明に書いていると。今、まず自制を求めている。そして、その自制を求めるに当たって、中国は大切な役割を果たさなければならないし、果たしてもらうように我々も働きかけを強くしているという状況だということを考えた時に、それほど私(大臣)は共同声明に書かれなかったことが大きなマイナスになるとは思っておりません。

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外務大臣会見記録(平成24年5月15日(火曜日)9時58分~ 於:官邸エントランスホール)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-北方四島への自由訪問の際における出入域地点の複数化について

【玄葉外務大臣】北方四島への自由訪問の際における出入域地点の複数化について申し上げたいと思います。1月の日露外相会談で、自分(大臣)からラヴロフ外相に対しまして北方墓参、自由訪問で北方四島を訪問する際の出入域地点の複数化というものを要請をして、その後、ロシア側との調整を行ってまいりました。
 その結果,明日(16日)から行われる本年第1回目の自由訪問におきまして、水晶島秋味場沖において手続を行うことができるようになりました。
 今回はとりあえず1回限りの措置とのことでありますけれども、出入域地点の複数化に向けた第一歩であって、日本政府として歓迎をしています。
 今後の北方墓参、自由訪問についても、高齢となられた元島民の皆さんのご負担を踏まえて日本側の希望が実現するよう、ロシア側と調整していきたいというように考えております。

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沖縄返還40周年

【TBS 西川記者】本日で、沖縄返還からちょうど40周年ということですが、受け止めと、この40年で解決していない基地の問題等々ございますが、それに対する政府の今後の対応をお願いします。

【玄葉大臣】本日、5月15日、40周年というこの日は、やはりこれまでの沖縄の歴史、そして基地の負担、そして沖縄の未来に日本国民全員が思いを馳せる、そういう日でありたいというように思います。とりわけ、私(大臣)は、そういう思いを、まさに深く深くいたさないといけないというように思っています。今回の2+2の合意によって、私(大臣)は日米の防衛協力の進展をすると同時に、嘉手納以南の土地の返還について目に見える具体的な成果として、着実に沖縄の負担軽減が進むというように確信をしておりますので、それが沖縄県民の皆様にも実感をしていただけるように、しっかりと取り組んでまいりたいというように考えています。

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北方領土問題

【北海道新聞 高橋記者】北方領土の件ですが、改めて、受け止めとロシア側がどういう思いで、今回、(出入域地点の複数化を)認めてくれたというようにお考えでしょうか。

【玄葉大臣】これは、私(大臣)も北方四島について洋上視察をした際に、元島民の方から強い要請をいただきました。そのうえで、4時間半にわたる外相会談で、「ぜひこれを実現してほしい」ということで、ラヴロフ外相に要請をしたひとつであります。それについて、こういう形ですぐさま反応が返ってくるということは、やはりロシアも我々自身、あらゆる分野について協力を進めていきたいといったことに対する一つのレスポンスではあるだろうというように思っています。
 いずれにしても、まだ第一歩なので、まだまだこれからだというように受け止めてますけれども、ただ、このこと自体歓迎すべきことであるというように思っています。
 これは、ぜひ一回限りの措置ということではなくて、予算の都合とか、いろいろなことを実は、当初、ロシア側としては言っておりましたけれども、こういう形で認めてくれたと。これを1回限りの措置にしないように努力をしていきたいというように思っています。

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日中関係

【琉球新報 宮城記者】尖閣諸島の中国漁船の衝突事件の関係で、那覇検察審査会の強制起訴の期限が16日午前0時で消える形になるかと思うのですけれども、現時点で中国側の協力が得られていないかと思うのですが、期限が過ぎた場合、控訴棄却という方向になるかと思うのですけれども、政府として中国側にそれの協力要請を求める考えがあるのかということと、もしこういう形で期限が切れてしまって控訴棄却となった場合、どのような事件が起こっても、中国側の協力が得られないと起訴できないという事態に(なりますが)。

【玄葉大臣】すいませんが、それは、少し調べさせていただけますか。

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外務大臣会見記録(平成24年5月11日(金曜日)9時55分~ 於:官邸エントランスホール)(動画版他のサイトヘ

日中韓サミット

【TBS 西川記者】今週末から、日中韓サミットが行われます。改めて意義と、それから、日中韓のFTAの交渉の年内開始を共同発表するのではないかという一部報道があるのですが、その事実関係をお願いします。

【玄葉外務大臣】おっしゃるとおり、まず1つは、投資協定の署名、これは実は意味がかなりありまして、特に一定の技術開示要求、あるいは技術移転要求の禁止というのは、この間、日本企業をかなり悩ませていた問題なものですから、これが盛り込まれることがまず意味があります。それと、ISDS、これは日本に韓国、中国の投資を呼び込むこともあるのですけれども、中国や韓国に投資をしている日本企業のために有効であるということで、まず投資協定の署名ということに今回の意義があります。
 それと、FTAも年内の交渉入りが決まればいいなというように私(大臣)自身は考えています。この投資協定が先がけとなって、次の段階に進むといいと。私(大臣)としては、年内交渉入りくらいがちょうど、大局的に見れば良いのではないかというように考えています。
 それと、引き続き北朝鮮の問題等々について緊密に連携をとっていくと、意思疎通をしていくということが大事ではないかというように考えます。

【毎日新聞 横田記者】FTAの年内交渉入りくらいがいいという、その理由というのを教えてください。

【玄葉大臣】これはいつも申し上げておりますけれども、経済連携というのは大きな文脈の中で、それぞれの経済連携がいつのタイミングで交渉に入って、いつのタイミングで締結されるのがいいのかと。1つの経済連携だけではありませんから、バイもトライラテラルも、つまり二国間も三国間も、更には多国間もあるわけでありまして、そういう意味で、私(大臣)は日中韓は年内の交渉入りくらいがちょうど良いというように見ています。

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日露関係

【朝日新聞 土佐記者】プーチン大統領がG8への参加を見送るということですけれども、この受け止めと、本来であれば、そこで野田首相との首脳会談を目指していたのですけれども、その影響はあるとお考えでしょうか。

【玄葉大臣】G8にプーチン大統領が欠席されるというのは、承知をしています。ロシアとは、あらゆる分野で協力を進めていく。そして、最大の懸案の北方領土問題を解決して、平和条約を締結するということでございますけれども、特に最大の懸案にあたっては、首脳間の信頼関係というのが不可欠でありますので、やはり何回かにわたって、首脳間で対話をするということが大切だというように思います。そういう意味で、G8の機会がなくなったことは、若干残念な気もいたしますけれども、ただ、G20とか、さまざまな機会がございますので、そういったところで個人間の、首脳間の信頼関係をしっかり築いていくということだと思います。これは、本当に1回とかで信頼関係が築けるというものでもございませんし、じっくり話し合える時間がその場であるかないかとかあります、私(大臣)自身がこの間ずっと見ていて。ですから、そこはまた次の機会に。また電話でもお話をされたらよいのではないかと思っています。

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オスプレイの沖縄配備

【毎日新聞 横田記者】オスプレイの件ですけれども、7月中旬に那覇の米軍基地に配備するという一部報道があるのですが、事実関係を確認したかったのと、オスプレイについては、モロッコで墜落事故を起こしていますけれども、日本への配備の前に事実関係の説明、どういう原因であったのかという説明が必要とお考えでしょうか。

【玄葉大臣】やはり地元の方々に説明をする必要があるわけですから、そういったことについて、特に防衛省になると思いますけれども、多分、田中防衛大臣はパネッタ長官に電話をして、そのあたりを聞いているのではないかと推測いたしますけれども、今、いつどのような形で配備されるかということについては、現時点で接受国通報がありませんので、まだ申し上げられませんし、米軍の運用上の問題です。
 ただ、さはさりながら、横田さんが言うように、説明が必要なわけですから、そういったことについて尋ねていくと、データをきちんと出していくということは、やはり必要なことなのではないでしょうか。

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外務大臣会見記録(平成24年5月9日(水曜日)17時20分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)日中韓サミットへの野田総理の出席について

【玄葉外務大臣】野田総理は、諸般の事情が許せば、5月12日(土曜日)から5月14日(月曜日)の日程で中国の北京を訪問し、日中韓サミットなどに出席する予定でございます。

(2)シリア国民評議会議長等の訪日について

【玄葉大臣】5月10日(木曜日)から5月11日(金曜日)、外務省の招聘により、シリア反体制派の主要人物であるブルハン・ガリユーン・シリア国民評議会議長等が来日をいたします。ガリユーン議長は、来日中に私(大臣)や外務省関係者と意見交換を行う予定です。
 シリアにおいては、13ケ月以上にわたり反体制派に対する弾圧が続いている中、我が国としては、一刻も早く全ての暴力が完全に停止され、改革に向けたシリアの市民の正当な希求が達成されるよう望みます。今回の招聘は、シリア情勢の改善に向けた我が国の取り組みの一環として行われるものであります。

(3)カー・オーストラリア外相の来日について

【玄葉大臣】16日(水曜日)から18日(金曜日)までの日程で、豪州のボブ・カー外相が来日します。17日(木)には、日豪情報保護協定の署名式、日豪外相会談及びワーキング・ディナーを行う予定です。今回の来日は、私(大臣)がカー外相とお会いする初めての機会となります。
 豪州は、アジア太平洋地域において我が国と価値と利益を共有する戦略的パートナーであります。近年は安全保障協力も急速に進展しており、今回の情報保護協定の署名もこの分野における重要な成果の一つです。カー外相とは、二国間関係のみならず、地域・国際情勢についても忌憚のない意見交換を行う予定でございます。

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日豪関係

【毎日新聞 横田記者】今ご紹介いただきました日豪の外相会談、情報保護協定の関係ですけれども、オーストラリアと結ぶことで期待できる効果というのがどういうところにあるのかということを具体的にお願いをしたかったのと、オーストラリアとの間では2+2が延び延びになっていると思いますけれども、この調整状況、開催の見通しについてもお願いいたします。

 【玄葉大臣】まず情報保護協定でありますけれども、やはりこのアジア太平洋全体の安全保障環境が変化をしていく中で、日豪の安全保障協力の重要性は高まってきているというように考えています。したがって、今回もその文脈の中で情報保護協定、これはGSOMIAよりもやや広い概念でありますけれども、結んでいきたいということで、この間、交渉を行ってきたところでございます。米国とかNATOなどに続いて、フランスもそうでありますけれども、情報保護協定を結ぶことで日豪の安保協力というものがより強化されるということになるというように考えています。
 2+2は、ぜひ早期開催をと願っているところでございます。ただ、ご存じのように今回外相会談を行いますが、4人揃えるというのは、なかなか日程的に大変なところもございます。ただ、私(大臣)としては、できる限り早い段階で2+2を開催したいというように考えています。それはつまり豪州の、特に日本との関係におけるアジア太平洋全体の中での協力関係の重要性の高まりといったこともあって、できるだけ早期に開催をしたいというように考えています。
 この間、開くチャンスがまったくなかったわけではありませんけれども、ご存じのようにオーストラリアも特に外相が変わったりということもこれありだったものですから、また改めて日程調整を行っていきたいというように考えています。

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日中韓サミット

【朝日新聞 東岡記者】冒頭ご紹介のあった日中韓サミットについてお尋ねをします。もともと民主党政権は、東アジア共同体構想を掲げるなどしてアジア重視の姿勢を打ち出してきました。こうした中で日中韓サミットも民主党政権になってから、3回くらい行われて、今回4回目になると思います。今回のサミットについて、そうした文脈の中でどのように位置づけられるのか、意義について大臣のお考えをお聞かせください。

【玄葉大臣】今の東岡さんの質問は、日中韓サミットの意義ということでありますけれども、大きく分けると3つあると思います。1つは、投資協定を署名するということだと思います。2つ目は、日中韓のFTAについて、昨日も申し上げましたけれども、前進を図って、何らかの成果を得たいというように考えています。3つ目は、やはり北朝鮮の問題などで、今までも緊密に連携してまいりましたけれども、さらにその連携を深めていくということではないかというように思います。
 冒頭おっしゃった東アジア共同体の概念そのものが何を意味するのかということが、率直に申し上げてあろうかというように思いますけれども、いずれにしても、言うまでもなくアジアはアジアで非常に大切な地域でございますので、今回の日中韓サミットが成功裡に終えれるように全力を尽くしたいというように考えております。

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対アフリカ外交

【新華社通信 郭記者】この前の大臣のアフリカ訪問についてお伺いしたいのですが、アフリカ大陸では2008年から2012年までの5年間で対アフリカODA、18億ドルに増額させる計画が達成に向かっているとおっしゃったのですが、2013年からの対アフリカのODAの増額計画をどういうように立てていらっしゃるのでしょうか。
 また、中国の対アフリカ外交について、日本側はどういうように評価して、アフリカでの日中両国間の協力、これはこれからどういうように前進させようと考えていらっしゃるのでしょうか。

【玄葉大臣】今の郭さんの話は、アフリカにおける日本の、いわばTICADによるこれまでの実績及びこれからの考え方、あるいは中国のアフリカに対するODA、あるいは投資等への評価ということだと思います。あるいは協力をどうするのかということだと思いますけれども、まず日本は、TICADというのを1993年に始めました。アフリカへの関心があまり高くない段階でアフリカへの関心というものを高めていくべきであるという観点で、日本政府が、いわば初めて、先がけとなって始めた仕組みであるというように思います。
 これまで、少なくともTICADⅣで約束をしたことについて、日本はその約束を守ってきているということが、まず1つ言えると思います。それはODAだけではなくて、民間投資は目標を上回る形、ODAは目標どおりといった形であります。TICADⅤ以降どうするのかというのは、まさに、これから1年間かけて検討を行っていきますけれども、日本とアフリカの関係がウィン・ウィンの関係につながるように、インフラ整備を含めて強化をしていかなければならないというように考えているところです。
 あわせて、中国がアフリカに対してODA及び投資を行っていることについての評価は、そのこと自体大変良いことであると。それはアフリカにとって、いわゆる新興援助国が援助をすること、そのこと自体大変良いことだし、歓迎すべきことであると思っています。
 ただ、日本の場合は非常に透明性があります。つまり日本のやり方というのは、例えば今回フォローアップ・システムをつくって、閣僚級でフォローアップを毎年毎年行っている、達成状況を確認をしていく、その都度意見をお聞きをする、アフリカからです。それで、アフリカにオーナーシップを求め、我々はパートナーであると。自助努力を求めながらやっていくと。こういう仕組みになっているわけです。新興援助国の場合はどうしても中身の透明性という点では、やや、より意を用いていかなければならないのではないかという思いが、私(大臣)の中にはあるということであります。さはさりながら、アフリカの中で援助国同士が協力し合えるのではないかというお話には、それはそういう可能性というものはあり得るだろうなというように考えています。 

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スーダン情勢

【日本テレビ 野口記者】大臣は、先日、南北スーダンの閣僚と会談をされてますが、現地の情勢を今どういうように大臣ご自身がご覧になっているかということと、南スーダンのジュバには陸上自衛隊が展開してますが、治安がこれ以上悪化した場合に現地自衛隊の活動に影響があるのかということ。それともう1つ、日本としてこのスーダンに言質すべき貢献というと、どういうことを考えていらっしゃいるのか。3点お願いします。

 【玄葉大臣】TICADに出席をした際に、スーダンの外務大臣、そして南スーダンからは、かつてスーダンで実は大臣を経験した方が副大臣になって、南スーダンから来ておりましたので、会談をいたしました。両当事者にある意味同じような働きかけをいたしました。つまりは、同じような働きかけというのは、まったく同じ働きかけではありませんが、要は、双方に南北スーダンの平和的共存が死活的に重要であると。したがって、安保理決議というものを遵守するようにという働きかけを行いました。その中身はお互い少し違いますので、そういう意味で同じようなという言い方をしました。
 これまで、たしか累積で7.3億ドルぐらいの援助を日本は、実は南北スーダンにバランスよく行っています。どちらかというと国際社会全体は南スーダンに偏りがちでありますけれども、私(大臣)は日本の特徴としてバランスよく援助をしてきたことで、両当事者とも耳を傾ける、そういう雰囲気を率直に申し上げて感じました。
 ですから、私(大臣)からそういう働きかけをしながら、もし状況が悪化すれば、我々が行っている経済援助にも支障をきたしかねないという懸念も含めて伝えました。その上で、やはり両当事者が安保理決議を遵守をして、いわゆる、例えば国境線のモニタリングだとか、そういったことの重要性も含めて私(大臣)のほうから伝達をしたということであります。
 ちなみに、南スーダンの方にはジュバの状況も聞きましたけれども、ジュバは心配ないという話でありました。ただ、今、防衛省で調査団を出していますので。まだ報告は直接聞いておりません。結論だけは実は聞いていますけれども、詳細聞いておりませんので、その上で申し上げないといけないのだろうというように思っていますけれども、やはり冒頭申し上げたようにバランスよく援助をしてきているということもあり、日本国政府の言葉に対して、かなり真剣に耳を傾けていたように、私(大臣)には感じられたということは、敢えて申し上げたいなというように思います。お互いに、当たり前のことですけれども、南北スーダンが平和的共存をしなければ道はないというのは、もう十二分にわかっているのです。ですから、平和裡に交渉を行うべきだということを重ねがさね再三にわたって、私(大臣)の方から伝えたということであります。日本としてやれることはあるなというのが率直な感想でした。

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日韓関係(慰安婦問題)

【フリーランス 安積氏】慰安婦の碑が建てられているニュージャージー州のパリセイズパークシティについてお伺いいたします。
 これは中央日報が5月の4日に取材日記という、多分コラムだと思うのですけれども、それに記載されている内容ですが、5月1日に日本総領事が市長のところに訪問をして、そして、いろいろな投資話にすぐに乗るとか、後は青少年の交流をするとか、あと、さくら通りを造るとか、そういった感じの、まあ言ったら美味しい話をかなり出してきたらしいです。その後で、だけどあなたのところは慰安婦の碑があるからなというようなことを出して、この市長が激怒して翌日に記者会見を開いて、こんなことをやられてしまったというようになったという、その記載がありました。
 お聞きしたいのは、こちらの方でいろいろな外国との交渉については、大臣にお聞きしても、交渉の最中については外交のことなのでということで秘匿にされるのですけれども、果たしてこういうような外交が日本外交としてされているのかどうなのか。あまりにもって逆効果であって、あまりうまいものだとは思わないのですが、そのことについて大臣は認識されているのかどうなのかということと、あと、これが事実ともし違うことでしたら、やはりそのことは外務省として訂正された方がいいのではないかというように思います。日本人としてこういうような記事を、日本語で書いてあるわけなのですけれども、いつでも読める状態で非常にショックだったわけですけれども、これについて大臣はいかがお考えでしょうか。

【玄葉大臣】今おっしゃったような経緯は全く承知しておりません。

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TPP

【北海道新聞 高橋記者】TPPの関係ですけれども、日本郵政ががん保険への参入を見送る方向とのことですけれども、これが特に米国との交渉でTPPの締結に追い風になりそうかというのを、大臣のお考えを聞かせてください。

 【玄葉大臣】そこは、おそらく朝日新聞のインタビューのことを指しておられるのだろうと思うのですけれども、日本郵政幹部の方のコメントについて、私(大臣)が更にコメントを加えるというのはどうかなという思いが今あります。言えることは、WTO上の整合性というものをきちんと確保していかなければ、そもそもいけないということが一つ言えるのではないかというように思います。法案は確保されているものであるというのが私(大臣)の認識であるということが一つあるということです。それと、確か参議院の付帯決議の中にも、他の民間業者との競争の、いわば対等性、対等な競争ということについての記述があったように記憶をしていますので、そういった中で、しっかり我が国としては、WTOとの整合性を確保しているのであるという説明を行っていくということに尽きるのではないかと思っております。

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日豪関係

【NHK 吉岡記者】冒頭の豪州との情報保護協定についてですが、GSOMIAよりやや広い概念だとおっしゃられて、私の理解では公安情報も含めて共有をする内容になっているというように思うのですが、少し米国とかNATOとの、そういったGSOMIAのための協定とは毛色が違うなというようには感じておりまして、その狙いについて伺えればと思います。

 【玄葉大臣】一言でいうと、例えば極秘であれば極秘という互いに同じ取り扱いにするということなのですね。ややテクニカルなことは、できればこの日に聞いてもらうか、事務方に聞いてもらえればと思いますけれども、私(大臣)の理解では基本的には安全保障の問題を中心に、いわば情報を共有していくということになるのではないかというように思っています。

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米軍再編問題

【毎日新聞 横田記者】夕刊での一部報道ですけれども、沖縄返還の40周年の記念事業として先だて合意された2+2で、土地の返還の一部に入っていた西普天間地区に癌の治療施設を建設するとか、あと、エネルギー協力分野でも記念事業をやるという報道があったのですけれども、事実関係をお願いします。

 【玄葉大臣】ちょっと私(大臣)はそれは聞いておりません。少なくとも、わかりません。西普天間は私(大臣)直接見ましたけれども、実際に使っていない住宅、土地でありますので、すぐに返還できるというように考えているのですけれども、その跡地利用そのものについて、具体化しているとは私(大臣)は現段階では聞いておりません。

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内政

【日本テレビ 野口記者】民主党の小沢元代表が控訴されることが発表されましたが、これについてご感想があればということですが。

【玄葉大臣】率直に申し上げて、関心ありません。いずれにしても党員になられるということであれば党のルールに従っていただくというのが当然のことではないかと。そのことについてはやはり党員として申し上げることはできますけれども、控訴そのものについては正直言って関心ございません。

【日本テレビ 野口記者】党員資格の停止の解除の処分を本日の検察官役の指定弁護士の会見の前に、昨日の段階で党の執行部は決めているのですけれども、この手続きは適切だったというようには大臣はお考えでしょうか。

【玄葉大臣】これについては、おそらく、常任幹事会で慎重な発言も含めていろいろある中で最終的に決めたことですから、それ自体、また党の決定ですし、党の手続きに従って決めているわけですから、私(大臣)はそれはそれで結構なことだというように思っています。

【日本テレビ 野口記者】党員資格の停止が解除されますと、9月の代表選にも出られるということになるのですが、一般論として刑事被告人でありながら代表選挙に出るということは、これは適切な行為だとはお考えになりますでしょうか。

【玄葉大臣】特に考えたことがありません。

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外務大臣会見記録(平成24年5月8日(火曜日)10時46分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-南西アジア及び中東・アフリカ諸国訪問について

【玄葉外務大臣】今回の連休中の出張でありますけれども、ネットワーク外交の展開も念頭に南西アジアと、中東和平、イラン問題、更に歴史的な変革に見舞われ、民主化に向けた取り組みが行われている中東・アフリカ諸国を歴訪いたしました。10日間で7つの国・地域を訪問をして各地域の息吹を肌で感じるとともに、さまざまな会談等を通じて協力関係を深めることができ、大変有意義な訪問でありました。
 ネパールでは、政府首脳や主要政党党首と会談を行って憲法制定に向けた一層の取り組みを促し、民主主義の定着を日本として後押ししていく旨伝えたところであります。
 インドでは、民主的な価値観を共有し共通の戦略的立場を有する重要なパートナーとして、第6回外相間戦略対話及び第1回閣僚級経済対話を開催し、海洋に関する対話の立ち上げ等を含む政治・安全保障分野での協力の強化や、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)・レアアース等の二国間の経済関係について議論を行ったところであります。
 イスラエル、パレスチナ自治区、ヨルダン、エジプトでは、現地の指導者と直接かつ率直な意見交換を行いました。こうした会談におきましては、地域の平和と安定に積極的に貢献をするため、中東和平問題やイラン核問題等について我が国の考えを直接伝えたところであります。エジプト、ヨルダンの改革に向けた自助努力を支援していく旨も伝えました。
 日本の外相として18年ぶりの訪問となったモロッコでは、同国の改革努力への支援を表明し、投資協定の予備協議開始等について一致をしたところであります。また、第4回のTICAD閣僚級フォローアップ会合の共同議長を務め、アフリカ各国とTICADⅤにおいて重点を置くべき課題等について議論したところであります。

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日韓軍事情報包括保護協定の締結

【フジテレビ 村上記者】韓国ですけれども、日韓軍事情報協定が締結されるという一部外国メディアの報道がありましたが、現在の状況とお考えをお願いいたします。

【玄葉大臣】いわゆるGSOMIAのことでありますけれども、このことにつきましては、私(大臣)は非常に重要な問題であるというように考えています。したがって、この間、韓国政府に対して私(大臣)自身、直接そのことについて議論をしてきた経緯がございます。今まさにさまざまな議論を行っているところでありまして、結論を申し上げれるという段階ではありません。ただ、その重要性については、私(大臣)は非常に感じている一人であります。

【日本テレビ 野口記者】軍事情報を共有したり、収集のうえで役割分担をするということについては、どういったものを念頭に置いてやっていこうというようになっているのでしょうか。

【玄葉大臣】あまり特定のことを申し上げるのが適切かどうかということはあろうかと思いますけれども、率直に言えば、例えば先般の事案、想像できるような事案などです。やはり日韓間がより情報を共有する、そういう環境がつくれるということになります。今までもまったく情報を共有していないかといえばそうではありません。ただ、GSOMIAのような協定ができることで、より情報の共有がスムーズにできるようになることは間違いないので、やはり先般のような事案を考えれば当然ながら情報を共有していく。
 もっと言えば、日本は米国と同盟関係にあります。韓国も米国と同盟関係にあるわけです。今の東アジア、そしてアジア太平洋全体の安全保障環境を考えたときに、日本と韓国が安全保障面で協力関係を深めていくというのは極めて重要。その具体的な課題の一つがGSOMIAだというように私(大臣)は一貫して考えてきていますので、私(大臣)はこの間、韓国の外相と話をしたときに、毎回この問題を取り上げてきた経緯もありますので、そういう意味ではぜひとも実現をさせなければいけない、そういう課題であるというようには考えています。

【北海道新聞 高橋記者】韓国の方の国防大臣が日本に来るスケジュールとかというのはまだ決まっていないのかというのと、あと、慰安婦の問題がこの問題で障害になる可能性はないかという、その二点を伺いたいと思います。

【玄葉大臣】国防大臣のことは、基本的にカウンターパートは防衛大臣なので、私(大臣)の方から申し上げるのは適当ではないというように思います。
 慰安婦の問題云々ということについては、障害になるかどうかということは分かりませんけれども、本来言うまでもなく別個の問題でありまして、それとこれはやはり別に考えていかないといけないのではないかというように思っています。

【読売新聞 今井記者】同じ文脈でACSAについては、いかがでしょうか。

【玄葉大臣】ACSAも私(大臣)は、まずGSOMIA、そしてACSAだというように思っていまして、やはりACSAも含めて重要だというように考えておりますので、この間の外相会談等では、GSOMIAがまずあって、そして、ACSAも含めてというように取り上げてきていることは確かであります。

【NHK 島田記者】先般のような事案というようにおっしゃっていましたけども、先日の北朝鮮によるミサイルの発射ですとか。

【玄葉大臣】だいたい、想像しているとおりです。

【NHK 島田記者】こういった場合に、この協定を結ぶことができれば、より日本としても迅速に対応できるといったような、そういったことが期待されるということでしょうか。

【玄葉大臣】そうですね。結局、先般も日本はなかなか捕捉できない、つまりそういう位置にいたわけですよね。韓国は捕捉できる位置にいるわけですよね。そういったときに、そのGSOMIAができたから100%できるかというと必ずしもそうとは限らないと思いますけれども、そういったことができ得る環境がより整うということになると思います。

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日中韓FTA

【NHK 池川記者】週末、日中韓サミットが開かれますけれども、大臣もこの前お話になられた日中韓FTAの見通しについては、今どのような結論に至るのか、教えていただけますでしょうか。

【玄葉大臣】まだ、結論をこの場で申し上げるというわけにはなかなかいきませんけれども、先般、投資協定が実質合意した、このことの意味は非常に大きいというように思います。そして、日中韓のFTAのそれは先がけになるものであるということでありますので、やはり日中韓のFTAも進めていかなくてはいけないというように思います。
 大きな方向で前進するのではないかと期待をしていますけれども、ただ、この経済連携は常に大きな文脈の中でそのタイミング、スピード、どことどういうレベルの経済連携をするのかということについて、考えていかないといけないというように私(大臣)は常々思っています。それが、正に戦略的思考であるというように考えていますので、よく報道などでも中韓が先行してしまってという報道がありますけれども、私(大臣)はあまり気にしてなくて、全体の文脈の中でどういう順番で何をどういう順序でどういうタイミングで進めていくのかということこそ大事であると。そういう文脈で考えれば、まずTPPが大戦略としてあるべきだと私(大臣)はそう考えています。その上で、日中韓も大切であるし、日豪も大切であるし、そういった二国間、あるいは三国間のFTAなども大切であるということです。
 全体の文脈の中で、考えていくということが経済連携については大切だと思っています。

【NHK 池川記者】確認ですが、日中韓よりもTPPの方が先行して進めるべきだと、そういうお考えでしょうか。

【玄葉大臣】TPPがまず大戦略であるという認識だということです。ただ、日中韓を進めないのかと言えば、そういうことではありません。日中韓について何らかの進展があることを私(大臣)としては期待をしたいというように思っています。

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