記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成24年4月)


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外務大臣会見記録(平成24年4月27日(金曜日)11時00分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)南西アジア・中東・アフリカ訪問について

【玄葉外務大臣】2+2の共同発表の前に2点申し上げたいと思います。1つは外国訪問でございますけれども、私(大臣)は、諸般の事情が許せばでありますが、4月28日(土曜日)から5月7日(月曜日)にかけて、ネパール、インド、イスラエル、パレスチナ自治区、ヨルダン、エジプト、モロッコを訪問する予定です。
 ネパールでは政府要人等と会談を行い、和平プロセス及び憲法制定に向けた一層の取り組みを促します。
 インドでは第6回外相間戦略対話及び第1回の閣僚級経済対話を行い、戦略的なグローバルパートナーシップの強化を図ります。
 イスラエル及びパレスチナ自治区では中東和平問題につき議論します。特にイスラエルでは外交関係樹立60周年の機会に二国間関係をさらに強化する方策やイランの核問題についても協議し、パレスチナ自治区では我が国のパレスチナ支援について考えを伝えます。
 いわゆる「アラブの春」から1年が経たヨルダン、エジプトでは各国の取り組みへの支援を表明するとともにシリア情勢、イランの核問題、中東和平等、地域の安定に影響を与える問題について我が国の考えを直接指導者に伝え、問題解決に向けた働きかけを行いたいと思います。
 モロッコでは同国の改革支援を表明をするとともに、第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合に出席をして、TICAD Ⅴに向けた我が国のアフリカ重視の姿勢を示してきたいというように思っています。

(2)NPDI外相会合の広島開催について

【玄葉大臣】もう一つ、2014年NPDI外相会合の広島開催についてでございます。26日、現地時間でありますが、イスタンブールで開催された軍縮・不拡散イニシアティブ、これはいわゆるNPDIでありますけれども、局長級の会合におきまして、30日からの核不拡散条約(NPT)運用検討会議第一回準備委員会にNPDIとして提出する4つの作業文書の文言について最終的に合意をしたということであります。
 また、2014年春にNPDI外相会合を広島で開催することについて、各国出席局長の了解を得て決定されたところであります。
 我が国としては、引き続きグループを主導して、現実かつ実践的な提案を通じて次期NPT運用検討プロセスに貢献をしていく考えでございます。

(3)在日米軍再編にかかる共同文書の発表について

【玄葉大臣】それでは、2+2の共同発表でございますけれども、冒頭、私(大臣)からいくつかの点をご説明申し上げたいと思います。先日の私(大臣)の訪米時におけるクリントン、そしてパネッタ両長官との会談、その後の日米調整、さらに防衛大臣と国防長官との電話会談を経て、本日、日米安全保障協議委員会(2+2)の共同発表が正式にまとまりましたので、その意義について説明をいたします。
 まず、今回の合意によって、何よりも2006年の再編ロードマップが抱えてきた2つの大きな困難を乗り越えることができたというように考えています。これは先般も質問された時に申し上げた点であります。ロードマップは普天間飛行場の移設、そして在沖縄海兵隊のグアムの移転、そして土地の返還、これの3つの要素を1つのパッケージにしてきたわけでありますけれども、ご案内のとおり我が国国内では普天間飛行場の辺野古への移設を沖縄のご要望に添った形で進めることに多大の困難が生じてきたということは否めないことであります。
 また、米国内におきましてもグアム移転を当初計画通りに進めることに、特に議会との関係で非常に難しいという状況が生まれていたわけであります。このままだと抑止力を維持しながら沖縄の負担を早期に軽減するという再編のロードマップの、いわば基本的な目標というのが達成できなくなってしまうのではないか、水泡に帰するのではないかという恐れがありましたので、昨年末、私(大臣)とクリントン国務長官との会談などで日米両政府はロードマップを調整しようということになったわけです。本日、調整の結果がこうした形で共同発表にとりまとめられたということで、先ほど述べたような3つの重要な要素のうち、普天間飛行場の移設を他の2つの要素から切り離すということを決定をしたところであります。これによってロードマップの基本的な目標を維持することができたというように考えております。
 今回の調整を決める課程におきまして、皆さまにも何回か申し上げておりましたけれども、私(大臣)が当初から指示をしていたのは、沖縄に残留する海兵隊の人数は従来通りというようにする必要があると。一方でグアムに移転する人数は減少せざるを得ないだろうけれども、それによって日米同盟の抑止力が維持されない事態は避けなければいけないと。こういうことを何度かこの場でも述べてきたところであります。この点、1つは高い即応性を有する31MEU(第31海兵機動展開隊)が沖縄に維持をされるということがあります。
 2つめにはⅢMEF、第3海兵機動展開部隊の司令部をはじめとする司令部機能等が沖縄に残ると。そのことは何を意味しているかといえば、いわゆる増強部隊の来援基盤になるということであります。つまりは事態の進展に応じて大規模な緊急事態にも迅速に対応できるようになるということであります。
 3つめは、日米の、後で説明いたしますけれども、動的防衛協力と。これが強化されるということでありますので、日米同盟の抑止力というのは維持・強化されることになるというように私(大臣)は考えております。
 沖縄の負担軽減でありますが、これは、私たち政府の最優先事項のひとつであります。これまで地位協定の運用面におきましていくつかの前進が見られたところでありますけれども、今回は嘉手納以南の土地の返還について具体的な見通しを示す決定ができたというように考えています。これはもう改めて説明いたしますけれども、もともと先ほどの3つの要素がパッケージになっていたと。普天間と他の2つの重要な要素を切り離すということで、沖縄の負担軽減先行ということを、私(大臣)は2月3日にたしか申し上げたと思います。さらに申し上げなければならないのは、海兵隊のグアム等への移転とも、さらにこの土地の返還を今回切り離したということです。これは何回も説明したと思いますけれども、今まではグアム等への海兵隊の移転があって、その後、施設区域の統合があって、それから土地の返還なので時間はかかるのだということを、私(大臣)はそれこそ気負わずに、慎重に発言をしてきたことは、皆さんご存じのとおりでありますけれども、ただかなりの部分、海兵隊のグアムへの移転とも切り離したということが、私(大臣)は意味として非常に大きいというように思っています。
 この2つの切り離しで、今回、キャンプ瑞慶覧の西普天間などは、一定の西普天間地区でしょうか、一定の手続きを経れば速やかに返還するということが可能になりました。また、牧港補給地区は沖縄の要望が非常に強いわけでありますけれども、その倉庫地区の大半を含む区域につきまして、施設の県内移設後に返還するということが可能になりました。これも要望が高いのですが、キャンプ瑞慶覧のインダストリアル・コリドー、そしてキャンプ桑江、那覇軍港施設も同じです。要するにこれらの地区は海兵隊のグアム等への移転を待たずに返還することが可能になったということであります。
 次に、在沖縄海兵隊の移転に要する費用の問題でありますけれども、沖縄から移転する海兵隊の人数が、定員で約9000人になります。つまり沖縄負担軽減の水準が維持される中で国民に説明できる範囲の負担となるように、この間、交渉し調整をしてきたところでありますけれども、我が国の財政的コミットメントはグアム協定の真水の部分だけに減らすということで妥結をしました。
 グアム協定の真水の部分とは、2008年度米ドルで28億ドルを限度とするものであります。ロードマップ時に想定されていたもう1つの形態の支援、これはJBICによる約33億ドルの出資、そして融資はもはや行う必要はなくなりました。沖縄から移転する約9000人の海兵隊はグアム以外の場所にも移転しますけれども、米国はこうしたさまざまな場所への移転に掛かる総費用、これは150億から180億ドルになると見られていますけれども、そのうち、今、私(大臣)が述べた日本の財政的コミットメントを除いた部分の全てを米国が負担するということになります。
 また、次に述べるように、我が国政府はテニアン島等の訓練場の整備に協力する意図を表明いたしましたけれども、それらに伴う我が国の貢献は先ほど述べた28億ドルの内数になることも今回決められました。
 さらに普天間飛行場についてでありますけれども、在日米軍にかかるあらゆる問題の中で、普天間飛行場の危険性の除去ほど重要な問題はないというように思っています。今回の切り離しについて、固定化懸念というのが出ていますけれども、固定化は絶対にあってはならないというように考えています。移設までの間に安全を確保するための対応を取ると同時に、有効な解決策である辺野古への移設について、引き続き努力をすることを再確認をしたところであります。
 そして最後に、新たなイニシアティブについて2点申し上げたいと思います。今回の共同発表にはいくつかの新たな重要な要素が盛り込まれていることを強調しておきたいと思います。ますます不確実となっている我が国を取り巻くアジア太平洋地域の安保環境の中で、私(大臣)は今後の日米同盟が効果的、効率的、創造的な協力を展開をしていくことが我が国のため、そしてこの地域、つまりはアジア太平洋地域のために極めて重要であるというように考えています。そうした発想により、今回の共同発表において2つの新たなイニシアティブを日米共同で打ち出しました。
 1つ目は、我が国のODAの戦略的な活用を含むさまざまな措置によりまして、この地域の安全に一層貢献していくということであります。これは外務省の、いってみれば得意分野を創造的な発想をもって展開していこうとする取り組みであります。例えば、シーレーンの安全確保などに大いに寄与し得るというように思います。これと、アジア太平洋を重視する米国の軍事外交戦略・政策とが補完的な役割を果たし合うということができれば、相当の相乗効果と効率が期待できるのではないかというように考えています。
 2つ目は、先ほど若干触れましたけれども、海兵隊がグアムに移転することに伴って、テニアン島等において米軍の訓練場が整備されることとの関連で、適切な訓練場が特定できるならば、自衛隊が共同使用するという前提で我が国がその整備に協力しようという意図を表明したことであります。例えば、陸上自衛隊は現在、カリフォルニアまで行って海兵隊と上陸訓練などを行っている、つまりは共同訓練を行っているわけですけれども、これを例えばテニアン島等で行うことができるということになると、まず1つは近いので効率的であるということがあります。それと、もう1つは、自衛隊が実際に我が国とか、この地域で本番の緊急事態が起きたという場合にどこと一緒に共同でオペレーションが行われるのかといったら、いわばⅢMEFです。あるいは31MEUです。そういったⅢMEFとともに効果的な上陸訓練などがこのテニアン島なら行うことができるということになります。今までは我が国は外国軍隊の訓練場のような施設の整備に協力してきませんでしたけれども、いわば創造的な発想をもってこのような協力に打って出ようということであります。
 日米安保体制は今後も一層強固なものにしていかなければなりません。普天間飛行場の危険性除去をはじめとする沖縄の負担軽減を進めていく一方で、今回の共同発表にも盛り込まれているとおり、共同訓練、共同警戒開始、施設の共同使用や日米の役割・任務・能力、いわゆるRMCのあり方の検討といった取り組みに不断の努力を傾注していきたいというように考えております。

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在日米軍再編にかかる共同文書の発表

【読売新聞 石田記者】沖縄からグアムへ移転する海兵隊の人数は結局どうなるのでしょうか。もう一点が、前回のロードマップでは家族の数も書いてあったと思うのですけれども、今回、「海兵隊がその家族を伴って」という表現になっていますが、家族の数についてはどうなっているか教えてください。

 【玄葉大臣】沖縄から移転する人数は約4000人です。ただ先ほど申し上げましたけれども、グアムには再編後定員約5000人ということで、他の地域からグアムに来ることで先ほども申し上げた5000人になるいうことであります。家族については今、ちょっと特定されておりません、正式に。ロードマップのときは、我が国の提供する資金によってグアムに移転する家族の住宅の整備を行う予定でありました。したがって、家族の概数を書いたということですけれども、今回は家族住宅の整備を我が国の資金により行うということ自体を見直したものですから、そういう意味で記述していないということであります。

 【NHK 島田記者】沖縄に残留する海兵隊の数については、ロードマップに示された数字にしたがったものという表現をされていますが、これは今までおっしゃっていた1万人規模を維持するということでよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】結構です。今の島田さんの話は約1万人ということであります。

【NHK 島田記者】人数を示されなかった、この文書の中では1万人ということを書かれなかったことには、何らか意味があるのでしょうか。

【玄葉大臣】特に意味はありません。今申し上げたとおりなので、きちんと説明いたします。
 定員が沖縄は再編前は約1万9千人でありました。従来、1万8千人だったのですが、1万9千人、今回、約定員1万人にする。それで、余計なことかもしれませんけれど、組織編成上の人数というのがあって、かつて私(大臣)が2万1千と言ったのは、結局調べましたら、組織編成上の人数を言っていたということです。ですから、あのときも定員は1万9千人であったと。それで、今回、きちんと整理しようと思っているのです。
 それで、ロードマップのときは定員1万8千人、今回すべて定員に合わせました、ロードマップの時が定員だったものですから。定員ということで、あのときは1万8千人だったのですけれども、今回1万9千人になっていたので、定員を9千人減少させるということです。

【テレビ朝日 花村記者】共同文書の4点目の「普天間飛行場の代替施設及び普天間飛行場」についての記述ですけれども、ここで、当初発表されていたときから米国の上院議員の意見があって発表が延期されたことがありまして、当初発表する予定だった文書と変更された点はあるのかという点と、そこに書かれている「政治的に実現可能であり、財政的に負担可能であって、戦略的に妥当であるとの基準を満たす方法で」という表現が少しわかりにくいものですから、この辺どういう意味を指すのか。考え方によりますと、議会などの了解が得られなければなかなか難しいということにもなるのではないかと思いますけれども、特に米国の議員たちは辺野古移設は現実的ではないという主張の方たちもいらっしゃるわけで、その辺の懸念はいかがでしょうか。

【玄葉大臣】「operationally viable, politically feasible, financially responsible, and strategically souund」と書いてあるわけです。訳が上手かどうかともかくとして、そういう検討をこれまでも行ってきましたと。そういう検討をこれまで行ってきた結果として、唯一有効な方策がやはり辺野古であるということを再確認していると。全く今後もそういう検討を行わないということではありませんけれど、これまでずっとそういう検討を、ありとあらゆる形で日米両政府は行ってきたわけです。結果として、やはりここにも書いてあります、これは現在進行形で書いてありますけれども、「that has been identified to date」と書いてありますので、唯一有効な解決策が結局そういう検討を行った結果、辺野古であるということで、やはりその早期実現に向けて沖縄の皆さまの理解を得ていくためにあらゆる努力をしなければならないと考えております。

【朝日新聞 土佐記者】そこの表現の部分で、現在進行形でこれまでに特定された唯一のということですけれども、この表現を見ると今後はもちろん、他の部分も可能性はゼロではないというようにも読めるのですが、例の上院議員の方々は嘉手納統合案という具体的な考え方を持っていらしゃる方が含まれていますが、その両政府が今現在、嘉手納統合案ということが今後可能性として浮上しているという認識というのはどれぐらいあるというように受け止めればよいでしょうか。

【玄葉大臣】先般も申し上げたのですけれども、それぞれの議員の方々が、日本も米国もそうです、当然、さまざまなオプションを提供したり議論を行っていただくというのは、むしろ良いことでありまして、私(大臣)はそういう国会での議論、あるいは米国の議会での議論、非常に良いと思います。ただ、日米両政府として、この間、先ほど申し上げてきたように、あらゆる検討、先ほど4つの観点を申し上げました。確かに日本語でわかりにくいかもしれません。「運用上有効で、政治的に実現可能で、財政的に責任があって、戦略的に適確だという基準」に合致するところは一体どこなのですかということで、この間ずっと、土佐さんがわかっているとおり、検討してきたと。唯一有効な方策はやはり辺野古ですねということでの日米両政府の現状認識であるというように理解していただければと。ただ、先ほど申し上げたように、別にこういった検討とかを一切否定するということではありません。ただ、やはり現状こういう検討をまさに行ってきて、結果として辺野古にお願いをせざるを得ないという認識であります。これは日米両政府とも同じであります。

 【日本テレビ 野口記者】日本側の費用負担についてお伺いしますけれども、大臣は先ほど、2008年米ドルで28億ドルだというようにおっしゃいましたが、これはどういうことなのでしょうか。2008年米ドルでということは、その時の為替レートでということなのでしょうか。

 【玄葉大臣】これは今までのグアム協定の第1条を読んでいただくとわかりやすいのですけれども。ただ、協定そのものを読むとわかりにくいかもしれませんが、「日本国政府は第9条1の規定に従い、米国合衆国政府に対し第3海兵機動展開部隊の要員約8千人及びその家族、約9千人の沖縄からのグアムへの移転のための費用の一部として合衆国の2008会計年度ドルで28億合衆国ドルの額を限度として資金の提供を行う」というように言っていますので、それと同じであるということで、もちろん、これはお互いそうですけれども、為替レートがどういうようになっていくかこれからわかりません。現状はそうなると日本の額にしてこのくらいですね、円にしてこのくらいですねということはあるかもしれませんけれども、またいずれどうなるかわからない。だから、これを一つの基準に置いているということでありますので、ちょっとこれを読んだだけでは分かりにくいかもしれませんが、これをよくきちんと読めばわかるという、そういう意味です。

【日本テレビ 野口記者】大臣は国民に説明できるように調整してきたと先ほどおっしゃいまして、2006年のロードマップで28億ドルが上限だというようにしていたのですけれども、今回、グアムに移転する人数が減るということで、当然この金額も減るのであろうと期待する声が国内にはありました。これに関して、国民に説明できるようにとはどういった観点からですか。

【玄葉大臣】実質減額になったと思います。先ほど申し上げましたけれども、28億ドルの内数にテニアン島等での自衛隊と米軍の共同使用を前提とした訓練場の整備の費用というのを含めるわけでありますので、そういう意味で実質減額になったというのが一つ。もう一つは、融資とはいえ、このJBICの出資・融資は、あまり詳しく説明するとどうかと思いますけれども、非常に米国側に有利な条件での出資・融資だったわけであります。それもなくなりました。
 そしてまた、もうひとつ言えば、沖縄から9000人の定員が減りますと。結局、あのときにグアムに移転するからということよりも、沖縄からの負担軽減がどのくらいなのですかということに対する費用だったわけです、基本は。そういう答弁を当時の防衛大臣はされていると思います。今回も8000人どころか9000人減るわけであります。これは同程度と考えてもいいかもしれませんけれども。つまり沖縄の負担軽減という意味では同じなのです。にもかかわらず減額をしているわけでありますから、私(大臣)は十分合理的な説明が可能であるというように考えております。

【時事通信 鈴木記者】ODAの戦略的な活用についてお伺いしたいのですけれども、玄葉外相のカラーがよく出ていると思うのですが、例えば沿岸部での巡視船の提供という、例示はこのひとつですけれども、ゆくゆく今のODA大綱の中では難しいという範囲の中で、これを踏み越えた形のODAの活用、例えば港湾の整備という形にしたりですとか、この辺のことについてどの辺まで今見通して、あるいはこれからの姿勢をちょっとお伺いしたいのですけれども。これによって戦略的活用のやる気も含めて問われるのではないかと思うのですけれど、どうですか。

【玄葉大臣】今の鈴木さんの御質問はひとつの本質だと思うのです。私(大臣)は先ほども申し上げましたけれども、例えばということでシーレーン沿岸の途上国に対しまして、海賊対策等も含めて巡視船艇の供与等も含めて、特に当該国の海上保安能力の向上に資するようなODAの活用というものがまず、例えば挙げられるというように思います。それと、港という話がありましたけれども、その辺りが果たしてODA大綱との関連、整合性がとれるのかどうかということも含めて、あるいは港に至る道路みたいなことも例えばあり得るのかもしれないのですね、港が抵触するとすればです。ですから、そういったことについては、今後よく精査をしたいなと思っています。

【毎日新聞 横田記者】費用負担に戻って恐縮ですけれども、こちらの発表の中では、二国間で費用内訳を完成させるとなっておりますけれども、最終的にいつまでにこれを完成させるということを念頭においていらっしゃるのかということと、あと、グアム協定の改定が必要になってくると考えるのですけれども、その必要性と、また国会提出の時期などを含めた今後の見通しをお願いいたします。

【玄葉大臣】今の横田さんの質問は、いわゆる完全な内訳ですね。これは、やはり今年一杯かけたいと思っています。少なくとも秋まではかけなくてはいけないけれども、今でも一定程度あるのですよ。一定程度あるから、決まっているようなところがあるわけでありまして、それはこれから担当者にその辺りは聞いていただいて、ブリーフさせたいなと思いますし、グアム協定の可否、つまりは改正の可否につきましても、普通に考えれば協定を改正すると考えるべきなのかなという気がいたしますけれども、その辺りも、今回結局、上限額が同じだったりするものでありますから、そいう意味ではその必要性がない可能性も全くないわけではないということで、そこはしっかり今後検討した上で最終的な結論を得たいと思っています。

【朝日新聞 土佐記者】先ほどのODAの戦略的な活用にも関係はするのですが、これまで普天間というイシューにとらわれることで日米の、例えばRMCとか、そういうものがなかなか本格的に検討されなかったということがあるのですが、今回の共同声明でも共同使用、共同訓練、今後の西太平洋での日米の統合協力というか、それは今後かなり進んでいくであろうというのが読み込める共同文書になっているのですが、確かに普天間が切り離されたことで、そういうことが今後日米間で議論が本格化していくとは思うのですが、国内の議論というものがそこまでまだ成熟していないような気がする、日米間でそれが先走っていくような懸念があるのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。

【玄葉大臣】国内において、今は費用の問題というよりは、特に防衛協力等々についての、いわば国民の皆さまへの説明責任、あるいは議論の熟度の話だと思うのです、これは、もちろん、政治家の務めとしてしっかりやっていかなければならないというように考えております。ただ、安保環境はその変化は待ってくれないところがありますので、日米が適切に責任の分担をする、役割の分担をする、それを具現化するということをスピード感を持って一定程度やっていかないと、安全保障環境の変化に適応できないという事態に私(大臣)は至っているのではないかというように考えています。ですから、今指摘をしていただいたように、普天間の問題と切り離すことによって、正にこういった問題が前に進むように現になってきたわけです、今回だってですね。ですから、狙い通りだし、私(大臣)は今回の2+2の共同発表については満足していますし、中身のある内容のあるものだと思っています。ですから、このことをしっかり国会等でも説明をしながら、国内の世論形成を含めて、あと、御理解も含めて得ながら進めていかなければならないだろうと思います。
 確かに、新しく打って出るイニシアティブがODAにしても、訓練場の整備にしてもあるわけです。先ほど申し上げたように、今まで海外で訓練をするといったときに、肝心の31MEUとできないという事態は恐らく多くの方々はご存じなかったのじゃないかと思います、これで、非常に私(大臣)は相互運用性が高まって、抑止力といったものに直結する話になってくると思います。ですから、そういう意味ではしっかりと説明はしていきたいと思いますが、間違いのない方向であると確信をしています。

【NHK 島田記者】普天間基地の移設問題ですけれども、この間、協議が始まってから嘉手納以南の返還については、海兵隊の移転とは切り離すというような形をされて、嘉手納以南の返還も先行させるというような形で結果的に決まったわけですけれども、ただ、一方で具体的にいつ還ってくるのかといったような目途というのは、まだ示されていないといったこともあると思います、今回の協議の結果が大臣としては、沖縄の方々の普天間移設への理解を得ることにつながったというように評価されているかどうか、さらにこの問題については、今後どのように取り組んでいかれるのか教えてください。

【玄葉大臣】昨年から私(大臣)は一貫して、ひとつひとつ実績を積み重ねることで信頼関係を構築したいということを申し上げてきました。私(大臣)は、言葉だけではなくて、実際に実践をするということで日米地位協定の運用の改善をはじめ、いくつかについて行ってまいりました。今回も土地の返還について、先行して返還をするということです。評価はそれぞれあるかもしれません。評価をしてくれている人、不十分だと思われる方、それぞれいらっしゃると思います。ただ、私(大臣)は確実な進展であるということは確信をしています。
 時期という話は、こだわっている方もいらっしゃいますけれども、先ほど申し上げたいわゆる第一段階の返還、例えば西普天間はじめ、正にあれは手続きが終わったら本当に速やかに返還できると私(大臣)は理解しております。それと、海兵隊のグアム等への移転が進まなくともできるようにしたいくつかの重要な、特に沖縄県が要望している土地の返還も。ちなみに西普天間は私(大臣)はこの間自分で見に行ったのですけれども、これも切り離したことで非常に進みやすくなっています。問題は米国側ではないのです。日本なのです。日本側の調整です。ですから、あまり具体的なことは申し上げませんけれども、沖縄県も含めた知事の協力も必要でありますし、我が国がどれだけ努力できるかで、時期が特定できるということになると思います。

【新華社通信 郭記者】この共同発表の中で、「ますます不確実となっているアジア太平洋地域の安全保障環境に鑑み」と書いているのですが、それは中国の軍事力の増強への警戒と対応と理解する人は少なくないのですが、大臣の御理解を教えていただけないでしょうか。

 【玄葉大臣】特定の国を念頭に置いているということではありません。 今のアジア太平洋全体の安全保障環境を考えたときに、北朝鮮の問題をはじめ、やはり不確実、不透明になっていると考えるのが、私(大臣)は常識的な考え方だろうと思っています。
 中国はぜひ責任ある大国になっていただかなくてはいけないし、いつも申し上げておりますけれども、日米中の対話もぜひ行いましょうということを私(大臣)から提案をしているところであります。ですから、特定の国を念頭にそういうことを私(大臣)がこの場で言っているということではありません。

【沖縄タイムス 比屋根記者】普天間の代替施設建設を辺野古へのという方針は変わらないわけで、先ほども大臣はおっしゃっていましたが、進め方として、ひとつひとつの実績を積み重ねることで信頼関係を構築したいですとか、これまでの地位協定の運用の改善、今回の切り離し等も触れられていましたが、今の沖縄のスタンスですとか、沖縄県知事のスタンスだと、必ずしもそういったこととバーターで辺野古への移設を考えているというように見えないのですけれども、その辺どうお考えなのか。それから、やはり辺野古にお願いせざるを得ないと、説明を重ねていくしかないという話ですけれども、従来ずっと言われてきましたが、具体的にどうように進めていくのか、説明もずっとこれまで続けてきた結果、膠着状態になっていると思うのですが、首長の選挙を待つしかないのか、もう少し具体的に進め方について教えてください。

【玄葉大臣】これは、先ほども申し上げましたけれども、辺野古移設が膠着状態ということで、全てが膠着状態だったのです、今まで。今まで日米同盟の深化を含めて、沖縄の土地の返還もできない、安全保障環境が変わっているのに海兵隊のグアム移転も進まない、全てが膠着状態だったわけです。だから、それであれば、安全保障・外交の担当責任者として、まず安全保障環境に適切に対応する必要があります。それと、沖縄の皆さんのもうひとつの期待は、普天間の固定化は絶対にあってはならないけれども、負担の軽減です。その負担の軽減は土地の返還です。ですから、私(大臣)はできるところからやっていくと、できるところから。もちろん、それができたから、絶対に100%、辺野古ができると自信があるわけではありません。ただ、私(大臣)は、ひとつひとつそうやって結果を出していくことで物事を前進させていくという姿勢が大切だし、またあわせて、安全保障環境にも的確な対応を行っていくということを両立させなければいけないものですから、大切だということなので、この間、こういう交渉を行ってきました。おっしゃるとおり、100%の自信があるわけではありません。ただ、こういうひとつひとつの実績を積み重ねたからといって、無理だとおっしゃいましたけれども、ただ私(大臣)は今後もそういったことをいろいろと積み重ねたいと、これに限らずですが、そう思っています。

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NPDI外相会合の広島開催

【中国新聞 岡田記者】冒頭に発表されたNPDIの広島開催について、広島市はNPT再検討会議の誘致をずっと求めてきたわけですが、今回NPDI外相会合となった経緯と、あとは広島で2014年に外相会合を開くという意義について、大臣のご見解をお願いいたします。

【玄葉大臣】この間、国会の中でも、おっしゃったようにNPDIというよりはNPT運用検討会議が2015年にございますので、その会議を是非というご要望があったのは事実でありますし、私たちもそれが本当に可能なのかということで検討しました。ただ、ご存じのように、もうずっと決められている場所でNPT運用検討会議は行われてきたという経緯があるのです。ですから、それを全くあきらめたとかということではないのですけれども、ただやはり唯一の被爆国、しかも象徴的な広島という地で軍縮・不拡散の問題、特に日本がイニシアティブをとっているNPDIの外相会合を開くという意義・意味合いというものは、私(大臣)は小さくないと考えていまして、別に代替という、単純にそういう話ではなくて、やはり折角のご提案等がございました広島市からの軍縮関係の国際会議の誘致への強い思いというのは、私(大臣)は真剣に受け止めたいというように考えて、事務方にも指示をしてきました。ですから、その結果のひとつとして、今回NPDIの外相会合の誘致が決定をされたということでございます。

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日露関係

【朝日新聞 土佐記者】一昨日、新党大地の鈴木宗男さんが官邸に入って、森善朗元首相をいわゆる特使という形でロシアに派遣するというようにおっしゃいましたけれども、その事実関係、本当に政府の特使として森元首相を派遣するのかということについて、確認したいのですけれども。

【玄葉大臣】結論から申し上げると、まだ決まっているわけではありません。ただ、私(大臣)は従来から森元総理はその経験、知見、人脈等において、ぜひご指導いただきたいと思っておりましたし、政府を後押しする形で、外交は超党派だということを私(大臣)はこの間も申し上げてまいりましたが、ぜひ森元総理には一定の役割を果たしていただきたいとは考えております。この間、何ヶ月もそういう考え方で、森元総理とも何回かお会いしました。

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内政(小沢元代表の無罪判決)

【日本テレビ 野口記者】小沢元代表が昨日、無罪判決を受けましたけれども、その結果に対するご感想と、民主党の輿石幹事長が小沢元代表の党員資格停止処分を解除する手続きに入るとおっしゃっておりますが、その妥当性についてお願いいたします。

【玄葉大臣】これは司法判断として受け止めたいと思いますし、私(大臣)の本当の気持ちは無罪になって良かったなと心からそう思っています。
 党員資格停止解除の話は、もう常任幹事会で議論してきたわけですから、常任幹事会できちんと議論していただくことが大事だと思いますし、当然、党員になられるということは党のルールに従うということですから、消費税も賛成するという前提だろうと私(大臣)は考えています。

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外務大臣会見記録(平成24年4月25日(水曜日)15時31分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

米軍再編問題

 【NHK 島田記者】在日米軍の再編を巡って、本日にも行われる予定でした共同文書の発表が見送られましたけれども、まず、米国の上院議員等が本日の発表について説明が不十分だとか、経費の問題についてももっときちんとした説明が必要だといったような書簡をパネッタ国防長官に送ったようですが、これに対する大臣の受け止めと、米国側からはこれについて今どういった説明を受けているのか、米国側からの要望があって発表が見送られたという理解でいいのかということですね。あと、もう一点、今後、発表されるであろう合意の内容が変わる可能性があるのかということと、総理の訪米前に発表されるという認識でいいのかについてお願いします。

【玄葉外務大臣】まず、発表されようとしていた今回の合意につきましては、前向きで内容のあるものだと私(大臣)自身評価をしているところであります。今回、発表が延期になったことにつきましては、基本的には米国側の事情ということでよろしいかと思います。これにつきましては、近いうちに、やはり訪米前が良いと思いますけれども、発表できるように今調整が行われている。やはり訪米前には発表したいと考えておりますし、内容について特段変わるというようには考えておりません。

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TPP

【フリーランス 上出氏】TPPのことで、この前の質問でも出たようですが、2点ほど。昨日、超党派の国会議員が集まりまして、反対の方たちが多いのですが、民主党も含めまして200人近くが集まって、その中で出ていることですが、二つございまして、国民から見まして内容が明らかにならない、4年間、交渉のプロセス内容を漏らしてはならないということになっていると。これだと野田首相が言っているような十分説明責任を果たして、国民的な議論をするということができないという状態になります。これは国会議員からも指摘はされていました。これが一点と、もう一つは、韓国と米国との自由貿易協定、ここで随分教訓がでていて、結局は米国の利益になってしまうということに対して韓国からそういう発信があるのですが、この問題については、米国側からもいろいろな問題、不満もあるようなので複雑な状況だと思うのですが、そういった米国ペースになってしまわないという保証はどこで日本としてはそれを担保しておこうとしておられるか、この二つお願いします。

【玄葉大臣】当然ながら、経済連携、特にTPPなどは日本自身が主体的に日本の中長期的な将来を考えて決めるべき話でありますし、私(大臣)は大戦略だと思っています。それは経済のみならず、外交安全保障の観点も含めて、総合的にみて、このTPPというのは大戦略であるというのが私(大臣)の認識であります。
 米韓FTAというのは、それぞれ評価はあるというように思いますけれども、韓国は韓国で国益の視点に立って判断をした、なおかつ総選挙があって米韓FTA、韓国からすれば韓米FTAということだと思いますけれども、それも含めて争点になった結果として正に韓国側として、また韓国国民はそれを是としたということだろうと思います。ですから、もちろん、そのメリット・デメリット、プラス・マイナスというのはそれぞれの経済連携にとってはございます、確かに米韓FTAというのは米国が結んだ直近のFTAという意味では大変参考になると思いますので、よく研究すべきだと思います。その上でしっかり判断すれば良いのではないかと私(大臣)としては考えています。
 情報の問題というのは収集された、しかも整理された情報というのは、私(大臣)は出し続けているというように思っていますので、これからも必要な情報を提供をしながらしっかりと議論をして国益に照らして判断をしていくということだ思います。それと、米国ペースにならないかという話でありますけれども、それは米韓FTAが米国ペースだったか韓国ペースだったかというのは、それぞれこれも評価が分かれるところであります。それと、二国間の交渉と多国間の交渉は違うところがあります。むしろ米国は日本と組んで共にルール作りをしたい、それが実は日米共にウィン・ウィンになるようなルール作りをしたいという思いもあるのではないかと。もちろん、日本のマーケットそのものに狙いを定める部分だって当然ながらあるし、私たちだって米国のマーケットというのは魅力的であります。ご存じのように日本の物品の関税というのは、特に自動車はじめ鉱工業品は極めて低い、ほとんどないわけでありまして、米国は2.5%なり5%、25%それぞれですけれども、あるわけでありますから、そういった関税が下がるというのが今回の経済連携でありますので、そういう意味でどちらのペースとか、それぞれ評価や、あるいは分析はあるでしょうけれども、私(大臣)は少子高齢化社会の中で日本が国力を低下させずに子供の世代、あるいは孫の世代に豊かさを引き継ぐための大戦略の一つであると考えております。

【フリーランス 上出氏】4年間、内容を漏らしてはいけないということについて。

【玄葉大臣】それは、どういう意味かよくわからないのですが、今までの交渉プロセスですか。そのことは承知しませんが、できる限り情報提供はしたいと思いますし、もちろん関係国間で今参加をしている国々で約束をして、例えばテキスト案を出さないという約束があるわけです。それはある意味、半ば常識ですよね。経済連携をマルチでやっているときに参加をしていない国に条文案そのものを出せるかといったら、私(大臣)は出す方が極めて珍しいレアケースではないかと思います。そうではない形で情報をしっかり集約して整理して国民の皆さんに提供するというのが私たちの役割ではないかというように思います。 

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日露関係

【NHK 村瀬記者】来月7日にプーチン氏がロシア大統領に就任されますけれども、プーチン氏が先月、北方領土問題に終止符を打ちたいと発言されたことに対して、今後どう交渉を進めていくお考えでしょうか。また、日露はこれまで北方領土問題については双方が原則的な立場を言い合い続けて解決策を見い出せないできたということがありますが、今後は交渉のあり方を多少変えていくことも必要というように考えていらっしゃいますか。また、相互に受け入れ可能な解決策を見い出すためには、両国が多少譲歩したりすることも今後はあるのでしょうか。具体的な譲歩というのは、どのようなものになってくるのかなども教えていただければと思います。

【玄葉大臣】私(大臣)はロシアを重視しています。あらゆる分野で協力を進めていきたいと考えています。戦略環境がアジア太平洋地域で変わっています。こういった状況の中で、日露の関係というのは新たな重要性というものを帯びつつあるというのがまず状況認識の一つです。その上で、日露関係を新たな次元に引き上げたいと。新たな次元に引き上げるためには、最大の懸案は言うまでもなく領土問題だということであります。戦後67年経ってもお互いに立場があり、隔たりがあるというのが領土問題であるということです。洋上で私(大臣)が視察をしたときに、隣に乗っていらっしゃった小泉さんという北方領土の返還運動に携わっておられる元島民の方が洋上から、あの方は色丹島出身ですけれども、色丹が見えてきたときに「このまま戻れたらいいな。帰れたらいいな」とぼそっと言われまして、生涯忘れることのない言葉に私(大臣)にとってはなりました。ですから、一刻も早くこの領土の問題を解決していかなければならないという気持ちです。
 1月だったでしょうか、ラヴロフ外相と4時間、あるいは4時間半位にわたって日露のさまざまな問題について議論いたしました。当然領土の問題も議論いたしました。そのときに私(大臣)から領土の問題の議論を再活性化させたいと述べたところ、ラヴロフ外相からは、今ご指摘にありましたような、新政権樹立後に是非その議論を共に行いたいという返事でありました。それに加えて、先ほどご指摘のありましたプーチン新大統領の、5月7日以降ですが、発言があったということであります。このこと自体は領土問題の解決への意欲を示しているというように期待をしています。ただ、その意欲の先に何があるのかということについては、直接会って話をしなければならないと思います。それは外相会談、あるいは首脳会談で直接会って、真意を確かめながらことを進めていかなければならないというように思います。四島の帰属は日本にあるというのは我が国の立場でありますし、このことはラヴロフ外相にも伝えたところであります。やはり、日露関係全体を前進をさせていく中でこの領土問題を解決していく。そして、幸いなことには、相互の信頼の雰囲気というのは私(大臣)は深まっているというように思っていますので、日露関係全体を前進させる中で、この領土の問題の解決の糸口をつかんでいきたいというように考えています。 

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尖閣諸島購入問題

 【読売新聞 石田記者】本日、昼に唐家璇中日友好協会会長とお話をされていたと思いますけれども、石原都知事が尖閣の購入の話をされている問題について、唐家璇さんの方から言及があったのではないかと聞いているのですが、そのやりとりについて具体的に教えてください。

【玄葉大臣】やりとりは具体的には申し上げられませんけれども、言及がなかったと言えば嘘になります。中国は中国の立場を述べて、私(大臣)は私の立場、日本政府は日本政府の立場を述べたということです。あとはさまざま、例えば私(大臣)が提唱している日米中の対話も含めてさまざまなやりとりを行って、また今民間の友好協会の会長さんでいらっしゃるわけですから、社交的なことも含めて長い時間、懇談をいたしました。

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北朝鮮情勢

 【朝日新聞 東岡記者】北朝鮮について2点お尋ねします。北朝鮮は特別行動を開始するというように宣言をしている中で、韓国政府や米国政府の中では核実験を実施するのではないかという見方が高まっているようです。日本政府として核実験の可能性についてどう分析しているのかという点が1つと、もう1つは万が一核実験を強行された場合、先の国連安保理の議長声明のみならず、過去の決議にも明確に違反すると思いますが、今後、日本政府としてその場合、どう対応するのかについてお尋ねします。

【玄葉大臣】今の東岡さんの質問は、なかなか現段階でほぼ明快に私(大臣)の中には答えがありますが、この場で申し上げるわけにはいきません。1つめの質問の核実験の話はインテリジェンスに関わりますし、ただ、言うまでもないことですが、我々としてはこの問題を非常に注視をしています。
 ご存じのように議長声明も強い内容を含んだメッセージになっておりますけれども、さらなる挑発及び核実験が行われれば、安保理として行動する決意があるというように言っているわけであります。まずは核実験、あるいはさらなる挑発というものを抑止するために全力を尽くすということが大切です。これは日米韓だけではなくて、ロシア、特に中国の働きかけが大事であるということは言うまでもないことでありますけれども、日・米・韓・中・露をよく緊密に連携を取り合いたいというように思っています。この問題は、ここで三者にならず、五者になることが大事です。
 それと、仮に核実験が行われればという話は、今回の議長声明の内容というものをよく読んでいただければ、大体想像できるのではないかというように思います。

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米国におけるBSE感染牛の発見

【朝日新聞 土佐記者】牛肉のことですが、米でBSEが発見されました。4頭目ということですけれども、今日本では牛肉の輸入緩和について行っていますが、それが何らかの影響を与えるかどうかということについて教えてください。

【玄葉大臣】今の土佐さんの牛肉の話は12月でしたか、食品安全委員会に諮問をしています。これは当然ながら、今回のこのBSEの発生も含めて食品安全委員会に情報は提供されるだろうというように思いますし、当然されてしかるべきだということではないかと思います。
 ただ、今回のBSEの感染牛というのは30ケ月超ではなかったですか。しかも乳牛だったと思います。今日本に輸入されている牛肉というのは、ご存じのように月齢で20ケ月以内のものということでありますので、特に国内の対策という意味では特段、別に変わるものはないのではないかと思います。TPPへの影響も含めて、TPPとはもともと別の話で始めていますので、飽くまで科学的な治験でこの牛肉について、食品安全委員会で今議論をしていただいているというように理解しています。

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米軍再編問題

【産経新聞 杉本記者】パネッタさんに書簡を送った上院議員は、普天間飛行場の移設先として嘉手納飛行場への統合案というものを固執されている方がいますけれども、一方で日本国内では石井一さん等が嘉手納統合案というものを検討していこうではないかということを言っております。ここで改めて大臣としての嘉手納統合案への考え方と、あと辺野古移設というものが現段階であくまで堅持していくものなのか、ご見解を伺わせてもらっていいでしょうか。

【玄葉大臣】今の杉本さんの話は、これは率直に申し上げて日本にも米国にも、それぞれいろいろな考え方を持っている議員さんはいらっしゃるわけです。大事なことは、そういった議論を踏まえつつも、それぞれの政府がどう考えるのかということに最終的には尽きるのだというように思います。その上で、日米両政府とも辺野古移設にコミットしていると。普天間の固定化は絶対にあってはならないということだというように思います。
 あまり嘉手納の話を具体的に申し上げると、このことについても私(大臣)としては明確な考え方がありますけれども、あくまでこの場で申し上げたいと思うのは、日米両政府とも辺野古にコミットしているということでありますし、今回発表されようとした合意というのは、いわば2つの困難をそれぞれ乗り越えようとして合意をされたものであると。つまり1つは日本としてはなかなか対沖縄の関係で普天間の進展というのが簡単に進まないという事情があった。米国は米国で対議会の中で予算が簡単に計上されないという事情があって、お互いに知恵を出そうということで始まったわけでありまして、私(大臣)は冒頭申し上げましたけれども、前向きで内容のあるものになってきたというように思っています。
 1つひとつ、やはり沖縄の皆さんの期待とか、あるいは懸念などに応えていく努力を積み重ねていくということが大切だし、何より刻々と変化する安全保障環境に米国だけではなくて、日本が適切に対応する必要があると。そういったこともある意味できないでいたようなところがあるわけでありまして、そういった刻々と変化する安全保障環境に日米双方が的確に対応し、かつ沖縄の負担軽減というものをできる限り早期に、目に見える形で行っていくという双方の、いわば問いに応えるものになってきているというように考えております。

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外務大臣会見記録(平成24年4月24日(火曜日)10時11分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-ウマラ・ペルー大統領の来日

【玄葉外務大臣】5月8日(火曜日)から10日(木曜日)までの日程で、ペルーのウマラ大統領及び同令夫人が公式実務訪問賓客として来日することが本日の閣議で了解されました。
 ウマラ大統領は、今回の滞在中、5月9日(水曜日)に天皇皇后両陛下と御会見・午餐をされる予定です。また、同日に野田総理大臣と首脳会談・夕食会を行いまして、二国間関係や国際場裡での協力等について意見交換する予定です。
 今回のウマラ大統領の来日を通じて、経済面をはじめとする二国間関係、また国際場裡での協力関係の進展が期待されるところだと考えます。

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米軍再編問題

【TBS 西川記者】在日米軍の再編の中間報告についてお聞きします。現在最終的な調整を進めて、明日にも発表されるのではないかというような段階にまできているようですが、改めて受け止めをお願いします。

【玄葉大臣】この間、日米両政府、そして沖縄の要望等も踏まえながら調整を進めてきたところでありますけれども、一定の成果が得られる見通しになったということは、私(大臣)としては喜ばしいと思っています。

【TBS 西川記者】交渉事なので、日本側の言い分が100%通るということはなかなか難しいかとは思いますが、大臣からご覧になって今回の成果と言いますか、どの程度満足できるものでしょうか。

【玄葉大臣】かなりの程度、日本側の主張が通ったというように考えています。

【TBS 西川記者】言いづらいと思いますけれども、大体割合でいうとどのくらいでしょうか。

【玄葉大臣】明日聞いて下さい。

【日本テレビ 野口記者】今の関連で沖縄の要望を踏まえてというようにおっしゃいましたけれども、沖縄の要望にはどのくらい応えられるか。どういう成果が出ていますか。

【玄葉大臣】沖縄県にとって大きいのは、嘉手納以南の土地の返還なのです。以前も申し上げましたけれども、まず嘉手納以南の土地の返還というのは、いずれはということだったわけです。ただ、そのことについて普天間の移設が進まなければできないというパッケージになっていたわけです。ですから、そのパッケージから切り離すことで沖縄の負担の軽減を先行させるということを、たしか最初の時に私(大臣)は申し上げたはずです。その通りの結果になっているのではないかと思います。
 つまりは、パッケージを切り離したことで、すぐ返還できるものが生じ、また併せて、その後、私(大臣)は慎重に発言をしてきて、「グアムの移転がなされて、グアムだけではないのですけれども、海兵隊の移転がなされて、その後、沖縄の施設区域の統合があって、そして土地の返還があるのです」という言い方をしてきましたけれども、今度はさらに沖縄の海兵隊のグアム等への移転ともまた切り離して、海兵隊の移転が進まなくてもやれるもの、沖縄の施設区域の統合さえできれば、代替地さえしっかり確保できれば土地の返還ができるというものもかなり獲得できたということで、特に沖縄から要望が強かったのは、インダストリアル・コリドーとか、あるいは牧港の補給地区の倉庫地区です。それらについては具体名を挙げて、ずっとこの間交渉をしてきましたので、そういう意味では一定程度、応えることはできたのではないかというように思っています。

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北朝鮮情勢

【NHK 吉岡記者】北朝鮮が韓国に対して、近くまた挑発的な行動を起こすということを昨日言っているようですけれども、日本政府としては、どのような備えを今されていますでしょうか。

【玄葉大臣】報道は承知しています。昨日も、それぞれ私(大臣)からもそういった報道に対して指示をいくつかいたしましたけれども、中身については、これはインテリジェンスに関わる話なので、申し上げることはできないと思っています。
 ただ、大事なことは、北朝鮮が今回の安保理の議長声明というのを重く受け止めて、その議長声明に沿って具体的な行動を行うということが何より一番大事だし、このときにあたって米国、そして韓国と緊密に連携をとりながら対応していかなければならないというように考えています。

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ミャンマー情勢

【NHK 吉岡記者】ミャンマーですけれども、最大で3,000億円の債務を免除するという決定をされたということ。今、財政状況がかなり厳しい日本国内の声もありますけれども、どうやって国民に理解を、これだけの規模の債務を免除するということについて理解を求めていこうと思っていらっしゃいますか。

【玄葉大臣】債務の免除というか、結局、借り換えのような形を使ったわけです。 夕食会の席でテイン・セイン大統領が隣にいらっしゃったので、私(大臣)からも、こういったことに対して当然一部疑問の声だって出てくるだろうと、しかし、我々はミャンマーのテイン・セイン大統領の民主化、そして、国民和解に対する努力、そして、改革全般に対する努力を評価しているし、その改革をしっかり後押しするのだと、その後押しによって国民の皆さんが一人一人改革をすれば豊かになれるということを実感してもらうことが大事なので、私(大臣)からテイン・セイン大統領にもアウン・サン・スー・チーさんともよく対話をしながら物事を前に進めていただきたいと、それが日本国民に対する、今回の援助に対する責任として是非お考えいただきたいということは私(大臣)からも夕食会の席で申し上げました。
 あわせて、ミャンマーは言うまでもなく、地政学的にも重要な地域であります、また、ミャンマーに対する日本国内の企業の投資というものに対する関心も非常に高いということもあり、これは国際社会全体に対する貢献というのみならず、日本企業とのウィン・ウィンの関係を築くという意味からも大事なので、結果として日本国民の豊かさにもつながっていくのではないかというように思っています。

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日露関係

【北海道新聞 相内記者】5月7日が、お隣のロシアのプーチン首相が大統領に返り咲く予定の日です。対露外交、これからどのように向きあっていこうと思っていらっしゃるのかを改めてと、常々、領土問題を実質交渉の場に持っていきたいと大臣はおっしゃっていますけれども、そこに至る絵図面を描けていらっしゃるか、その一端でも、もし描けているのなら教えていただきたいと思います。

【玄葉大臣】この間、どのようにロシアとの関係を強化をしていくか、もちろん領土の問題も含めて、どのように向き合っていくかということについて私(大臣)なりにじっくり考えてきています。いずれにしても大切なことは、私(大臣)はロシアを重視しているし、あらゆる分野で協力を進めたいと、いつも申し上げていることでありますけれども、そのように強く思っているということと、領土の問題というのは、あくまで直接お会いをして、首脳間の信頼関係もしっかり構築をしながら前進をさせるということが大切であるというように思っています。
 この領土の問題の解決なくして日露の潜在的に非常に高い潜在性を有する日露の関係の蓋が開くということはないと思うのです。ですから、やはりこの領土問題をしっかり解決に導いていくということが大切だと思っています。

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外務大臣会見記録(平成24年4月20日(金曜日)10時19分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

米軍再編問題

 【テレビ朝日 花村記者】昨日、在日米軍の再編をめぐる審議官級協議が行われましたけれども、これまでかなり回数を重ねて、そして総理の訪米前ということで終わりましたけれども、昨日の協議の評価と、特に沖縄の要望の強い嘉手納より南の5施設の返還についてですが、来週発表される共同文書では、返還の時期などの見通しが沖縄県の人も納得ができるような形で盛り込まれるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】この間、パネッタ国防長官ともかなり具体的な議論をしてまいりました。総理の訪米前に一定の成果を得たいと考えて、この間、協議をしてまいりましたけれども、成果が得られる見通しになってきたと考えています。私(大臣)としては、大体考えていたとおりの成果が得られるのではないかと思っています。
 嘉手納以南の土地の返還の問題も、具体性をもって示すことが大事だということを、この間、パネッタ長官にも言ってきたわけで、さまざまな議論をその時も交わしましたけれども、何をもって満足ということはあるかもしれませんけれども、間違いなく今までよりは前向きな答えが出てくるだろうというように思っています。

【テレビ朝日 花村記者】特に嘉手納以南の返還につきまして、13に分割するというような報道も一部ありますけれども、どのくらい出てくるのでしょうか。

【玄葉大臣】まだそれは申し上げる段階ではないと思います。ただ、今まで皆様にずっと私(大臣)が申し上げてきたのは、嘉手納以南の土地の返還というのは、まず海兵隊の移転があって、そして移転後、施設区域の統合があって、それから土地の返還ですという説明をしてきたはずです。
 ていねいに、また慎重にそういう説明をしてきたわけでありますけれども、この間、海兵隊の移転が進むのに若干時間がかかるというようなこともあって、海兵隊の移転が進まなくとも、進められる土地の返還というのはあるはずだということを含めて、この間、かなり具体的に話をしてきましたので、一定の成果を得たいというように思っています。

【テレビ朝日 花村記者】経費負担について金額は盛り込まれない方向でしょうか。

【玄葉大臣】これも最終の詰めは残ってますけれども、大体まとまってきているというように思います。以前から申し上げているとおり、これも具体的な議論をしてきましたけれども、国民の皆さんに合理的な説明ができる、説明可能な成果になるのではないかと思っています。

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石原都知事の尖閣諸島発言

 【香港フェニックステレビ リー記者】尖閣諸島のことについてお伺いしたいのですが、石原都知事が、来年の4月までに購入するというように発言をしています。この件に関しては、改めて外務大臣の立場からどのように受け止めて、そしてこの件に関して日中関係、外交関係にどのような影響を与えるとお考えですか。

【玄葉大臣】これは別に政府の方針はこれによって変わるわけではなくて、これまでも行うべきは行って、警備体制の強化などをしてまいりましたけれども、平穏かつ安定的な維持管理のために、あらゆる方策を検討していくという政府の立場に、何も変わりはありません。いずれにしても、冷静かつ大局的な観点に立って対応すべきだと。日中双方ともにそう思います。

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TPP

 【NHK 池川記者】TPPについてですが、野田総理大臣が、米国の新聞等のインタビューで、訪米時の参加表明にこだわらない考えを示しましたが、昨今のTPPの国内の議論、そして交渉参加を日本として決めるタイミングについて、今、どのようなお考えをお持ちなのか教えてください。

【玄葉大臣】TPPは、大変大切な、かつ重要なテーマであります。ですから、日米両政府の協議、そして国内の合意形成といったものを、一定の時間をかけながら進めていくということが必要だろうというように思っています。
 TPPの交渉状況も、秋にも合意という話がかつてありましたけれども、私(大臣)はそういう状況にはないのではないかというように考えているところであります。

【NHK 池川記者】この段階でのそういった判断をする、しないというのは、日本がこれからTPP交渉に仮に入った場合のルールメイキングにはあまり影響がない、もうちょっと先延ばししてもいいということですか。

【玄葉大臣】私(大臣)は、やはりルールメイキングの重要性というのはあると思うのです。ですから、そういったことも踏まえて、どこかで判断をする必要があるというようには思います。
 ただ、今の交渉状況を見ると、秋までにまとまるとか、そういう状況ではないのではないかというように思っています。

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石原都知事の尖閣諸島発言

【香港亜州週刊 毛記者】東京都知事の石原さんが尖閣諸島を買うことについて何かコメントはいただけませんか。

【玄葉大臣】先ほど申し上げたとおりで、政府としては、これまでどおりの考え方で進めてまいります。

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日韓関係

【北海道新聞 高橋記者】来月、日中韓の首脳のサミットがありますけれども、対韓国で慰安婦の問題をこれからどうやって解決していこうとお考えかということと、もう一点、慰安婦の問題とEPAの問題と防衛の安保問題をパッケージで解決しようと日本側が提案をして、それで韓国政府が断ってきたという報道があったのですが、それについての事実関係を教えてください。

【玄葉大臣】外交上のやりとりは、申し上げることはできません。韓国は隣国で、基本的な価値を共有する重要な国だというように私(大臣)は思っています。ただ、おっしゃるように、時おり難しい問題が生じるということがありますから、そういったことを踏まえつつも、これも大局的な判断を日韓両国とも、中長期の視点に立って行っていかなければならないだろうというように思います。
 慰安婦の問題につきましては、これまで申し上げてきた立場が変わっているわけではありません。
 GSOMIAとか、ACSAの重要性というのは、日本側としては強く持っていると。今回も北朝鮮の人工衛星と称するミサイル発射の事案を考えても、そのように考えるということであります。 

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2閣僚に対する問責決議案の提出

【NHK 島田記者】間もなく、2人の大臣に対する問責決議が可決の見通しですけれども、改めて、野党側はそれで審議に応じない考えを示していますが、こういった野党側の姿勢に対するお考えと、それから政権としてどう対応していくべきかについてお願いします。

【玄葉大臣】問責の話は、私(大臣)がコメントする立場にはないと思いますが、いずれにしても内閣として緊張感を持ってことに当たるということが大切だというように思います。
 今、国民の皆さんが求めているのは、審議をしない姿ではなくて、建設的かつ前向きな議論が展開されて、国民の皆さんにとってなるほどと思う結論が出る政治だというように思います。 

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外務大臣会見記録(平成24年4月18日(水曜日)17時04分~ 於:北国際大会議室760号室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-アニファ・アマン・マレーシア外務大臣の来日について

 【玄葉外務大臣】4月24日から25日までの日程で、マレーシアからアニファ・アマン・マレーシア外務大臣が外務省賓客として来日される予定です。今回の来日は昨年10月の自分(大臣)によるマレーシア訪問の答礼として、また東方政策30周年を記念して実現されるものです。
 24日に予定している外相会談では、二国間関係のみならず、両国のともに関心を有する地域及びグローバルな課題についても、幅広く意見交換を行う予定です。
 今回のアニファ大臣の来日を通じ、東方政策や緊密な経済関係によって培われてきた友好協力関係の更なる発展が期待されます。

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2閣僚に対する問責決議案の提出

【テレビ東京 秋山記者】まず問責ですが、先ほど自民党、野党が田中防衛大臣と前田国交大臣に対して問責を提出したわけですが、これも可決される見通しですが、防衛省とは在日米軍の再編協議など抱えていますけれども、今後どのような影響があるとお考えでしょうか。

【玄葉大臣】問責については、帰すうはまだ予断できませんし、その結果としてどうされるかというのは総理大臣のご判断だというように思います。いずれにしても影響はないだろうというように思っています。

【NHK 島田記者】問責に関してですが、今、こうした状況の中で二人の大臣に対して問責が出されたということ自体、どのように受け止めていますか。

【玄葉大臣】今、とにかく大事なことは与党、野党、協力をして物事を前に進めることだろうというように思います。そういう意味では残念です。

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石原都知事の尖閣諸島発言

【テレビ東京 秋山記者】次に、尖閣諸島についてですけれども、昨日も藤村官房長官が国有化の可能性について言及されて、総理もその可能性を否定していないのですけれども、今後どのように対応されていくのでしょうか。改めてお考えをお願いします。

【玄葉大臣】昨日も終日、本日も終日、ずっと国会なものですから、まだ状況を聞いていません。都知事の真意にしても、所有者の意向についても、まず事実関係を充分把握しないといけないのではないかというように思っています。
 ご存じのように、尖閣諸島を平穏かつ安定的に維持管理するということについて、あらゆる方策について、さまざまな検討を行うということは当然なことだろうと思います。

【TBS 西川記者】尖閣の問題ですが、昨日も本日もこの話がありまして、いわゆる石原都知事が東京都がやるのだと、買うのだとおっしゃっておりましたけれども、国ではなく、地方自治体がこうした動きをするということに関しては、いかがお考えでしょうか。

【玄葉大臣】特に自治体がどうするかということについて、コメントはありません。

【東京新聞 五味記者】尖閣の問題で、これまでの国の取組みは十分だったのかと思われますか。

【玄葉大臣】適切に対応してきていると思います。

【産経新聞 杉本記者】尖閣の件ですけれども、都が購入計画を公表したということ自体で日中関係に対する影響というのは、今、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

【玄葉大臣】安定的な発展に影響を与えるようなことのないようにしないといけないだろうとは思います。

【新華社通信 郭記者】先ほどの答えで、尖閣諸島の問題に関して、日中関係の安定的な発展に影響のないようにとは、具体的にはどういうような努力でしょうか。

【玄葉大臣】お互い大局的に、冷静に対応していくということだと思います。

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米軍再編問題

【沖縄タイムス 銘苅記者】米軍再編関係ですけれども、日米首脳会談が30日に予定されていて、その中でも再編の話がされると思うのですが、その前までに中間報告と2+2などの流れは今後どういうふうになっていくか、教えていただけますでしょうか。

【玄葉大臣】総理訪米というのを節目にするかどうかは別として、できるだけ早く、在日米軍再編も含めた米軍再編のこの日米協議については、一定の成果を上げたいと考えています。

【NHK 島田記者】大臣も、この間、訪米された際に、経費については話し合われたということですが、近々、日米の2+2でまとめる方向性の中で、経費について何らかの方向性を出すことができるのかということと、それに関連しまして、2008年度の会計年度ドルで28億ドルというようにしていたものの、米国の物価上昇を勘案して31億ドルにするという案が出ているという報道がありますが、それについてどのようにお考えでしょうか。

【玄葉大臣】まだ協議中でありますので、国会でも答弁しているとおり、パネッタ国防長官とは、経費の話も嘉手納以南の土地の問題についても議論し、話し合いましたけれども、私(大臣)からは経費の話については、国内で説明可能、これまでの日米合意の整合性、そして嘉手納以南の土地の返還についても具体性が必要であるということを私(大臣)から主張しているということであります。まだ協議中です。

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外務大臣会見記録(平成24年4月17日(火曜日)9時05分~ 於:院内)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)北朝鮮ミサイル発射に関する安保理議長声明の発出について

【玄葉外務大臣】昨日の深夜、安保理で強い内容の議長声明が発出されたことを歓迎したいと思います。
 日本は、「抑止」の観点から、形式、内容、そしてタイミングの3つの側面から可能な限り強いメッセージを出すべきだということで、寧波での日中韓外相会議、ワシントンでのG8外相会合等で最大限努力をしてきたところであります。中でも、クリントン長官との協力が大変有意義だったと思っています。また、ニューヨークでもうまく連携ができたと思います。また、中国の楊外相とは寧波で話して、また、G8から帰国をして、その後に日中外相電話会談を行いました。良い議論の働きかけが良いタイミングでできたというように考えています。
 安保理のメッセージには、日本の考え方が色濃く反映されたというように評価しています。

(2)外交・安全保障関係シンクタンクのあり方に関する有識者懇談会について

【玄葉大臣】この度、田中直毅国際公共政策研究センター理事長を座長としてお迎えし、「外交・安全保障関係シンクタンクのあり方に関する有識者懇談会」を立ち上げることとなりました。
 私(大臣)は、ネットワーク外交、そしてフルキャスト・ディプロマシーを提唱していますけれども、外交・安保のシンクタンクも日本が総力を結集して外交を展開するための重要な存在です。この機会に田中座長をはじめとする有識者の先生方にシンクタンクの果たすべき役割について議論を深め、有益な提言を頂きたいと考えているところでございます。

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北朝鮮ミサイル発射に関する安保理議長声明の発出

【日本テレビ 野口記者】安保理議長声明についてお伺いします。大臣はただ非難するだけではなくて、さらなる挑発行為を抑止することが重要だとおっしゃってましたが、その点に関しまして、今回出されました議長声明、どのように評価されていますでしょうか。

【玄葉大臣】日本の考え方が色濃く反映されたと思っています。つまりは、例えば09年の時の議長声明よりも強いメッセージになっていますけれども、特に最後のところの、更なる核実験、あるいは更なる挑発行為を行った場合は安保理として行動を取る意志はあるのだと、決意があるのだということを含めて、私(大臣)はこれで100%抑止できるとは言いませんけれども、強いメッセージ、確固としたメッセージになっていると思っています。

【日本テレビ 野口記者】その更なる行動には追加の制裁も含まれるという。

【玄葉大臣】そうですね。制裁というよりも制裁項目の増加です。国際社会全体としての制裁項目の増加が今回入っていますので、09年の時はなかったのではないかと思います。

【日本テレビ 野口記者】追加される項目には、例えばどういったものが議論されているのですか。

【玄葉大臣】それは予断を持って、今申し上げるわけにはいきませんが、結局、各国がそれは制裁委員会に対してそれぞれ出すのです。そして、コンセンサスがないと実は駄目なわけで、今まさに各国がそれを選択していると、準備をしているという状況ではないでしょうか。

【日本テレビ 野口記者】発射に伴う日本独自の制裁についても、もう検討に入っていると思いますが、その状況について教えてください。

【玄葉大臣】昨日も委員会で何回か聞かれましたけれども、制裁には2つあって、1つはまさに今議論にあったような国際社会全体でコンセンサスで行っていく制裁、それとそれぞれの国が独自で行う制裁と、2つあると思うのです。今のご質問は独自のほうだと思いますが、独自のほうについては、やはり国際社会全体の動きというようものをにらみながら、何が一番、北朝鮮の諸懸案を解決するにあたって最も有効な手段なのかということを考えながら、総合的に検討したいというように思っています。あまり予断を持って考えない方がいいと思います。

【NHK 吉岡記者】北朝鮮ですけれども、形式の部分で、決議ではなくて議長声明にとどまったという点をどのように評価されていますか。

【玄葉大臣】先ほど申し上げましたけれども、形式、内容、タイミング、トータルに見て、確固たるメッセージ、しかるべき対応、適切な対応、確固としたメッセージ、強いメッセージ、そういうことをこの間ずっと言ってきたわけです。仮に、最後の最後まで決議にこだわれば、内容が後退をして、例えばタイミングもずっと遅れて、ということは十二分にあり得ただろうというように思います。ですから、私(大臣)は、形式、内容、タイミング、トータルに見て評価すべき今回の議長声明であるというように確信しています。

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石原都知事の尖閣諸島発言

【朝日新聞 土佐記者】東京都の石原慎太郎知事が、講演の中で、都として尖閣諸島を購入したいと発言されました。この受け止めと、今年は日中国交正常化40周年ですけれども、これに対して影響が出るのは間違いないとは思いますが、それについて受け止めをお願いします。

【玄葉大臣】報道は一定程度承知していますけれども、何をどう語ったのかということの詳細、事実関係を現時点で把握をしておりません。ですから、今の時点でお答えは差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても尖閣諸島というのは我が国固有の領土であって、歴史的にも国際法上も疑いのない事実であると。現に我が国は有効にこれを支配していると。ただそれだけではないでしょうか。

【読売新聞 石田記者】その関係で、東京都から事前に外務省なり政府の方にこういう話を進めているとか、そういった連絡とかはあったのですか。

【玄葉大臣】特に、私(大臣)は少なくとも報告は受けていません。

【テレビ朝日 花村記者】都知事は講演の中で、「政府が何もしていない。外務省はふがいない。日本の国土を守るために東京都がやるのだ」というようなことをおっしゃっているのですけれども、外交の担当者としてその点いかがでしょうか。

【玄葉大臣】ちょっと本当にご本人の発言、私(大臣)全く直接聞いていませんので、それに対して反論するのはいかがかなと。何もやってないということは全くないというように思います。

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外務大臣会見記録(平成24年4月10日(火曜日)9時15分~ 於:官邸エントランスホール)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-G8外相会合について

【玄葉外務大臣】4月11日から12日にかけまして、米国のワシントンにおきまして、G8外相会合が開催されます。先ほど閣議了承を得て、自分(大臣)が渡米して、出席することになります。
 また、この機会を利用して、クリントン長官と日米外相会談を行うほか、パネッタ国防長官、そしてカークUSTR代表との会談を予定しています。
 例年、G8外相会合では、喫緊の地域情勢、そして国際的な課題等について議論が行われています。今回も、北朝鮮、イラン、中東・北アフリカ情勢、そしてアフガニスタン等について議論が行われるというように考えています。
 特に、この時期は、北朝鮮が予告しているミサイルの発射予告時期と同時期であるということもありますので、先週末の日中韓外相会合でも中韓両国に対しまして、働きかけを行ったところでありますけれども、G8におきましても、北朝鮮の自制を求める強い意志を示すべく各国との連携を図っていきたいと考えております。

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北朝鮮情勢(「人工衛星」の打ち上げ)

【日テレ 野口記者】北朝鮮についてお伺いしますが、自制を求める努力を確保されていると思いますけれども、発射予告直前ですが、現状、北朝鮮の発射に関してはどのようにごらんになっていますでしょうか。

【玄葉大臣】最後まで自制を求めるということで、日中韓も一致をしたわけですから、これについては、やはり、最後の最後まで努力をするということが必要だし、実は、その姿勢が次に繋がってくるという側面も、私(大臣)はあると思っていますので、現段階、自制を強く求めていく、しかもそれぞれの国が求めていくということは、外交上も大切なことであると考えています。

【日テレ 野口記者】G8で北朝鮮に関する議論は日本がリードしていくと大臣はおっしゃいましたけれど、そのポイントとなるのは、先ほど、自制を求めるために連携するとありましたが、どのように考えていらっしゃるでしょうか。

【玄葉大臣】やはり、G8では、日本が北朝鮮の問題、あるいはミャンマー等の問題はリードしていかなければならないと思っています。まずは自制を求める、これは最後までということがひとつありますけれども、当然、いわゆる「人工衛星」と称されるミサイルが仮に発射をされたとした場合のことも含めて、それはさまざま議論をして、認識を共有させていくということは、当然のことではないかと思っています。

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国連安保理改革

【朝日新聞 東岡記者】ミサイル発射後の安保理の対応を見据えて、外務省内では、やはり安保理のメンバー国でないからして限界があると。常任理事国入りが必要だという意見がよく聞かれますが、大臣の常任理事国入りについての(お考えは)。

【玄葉大臣】これはおっしゃるように、常任理事国であるのとないのとでは、残念ながら、違いがあるのは間違いありません。非常任理事国でも実はないということもあります。ただ、さはさりながら、G8のメンバーの一カ国でありますし、いうまでもなく、日本自体の平和と安定に直接かかわる問題でありますから、日本がしっかりリードしていかなくてはいけないと。最大限の努力を図りたいと思っています。
 常任理事国入りにつきましては、ご存じかもしれませんけれど、G4というのがございまして、それぞれの国と有志国連合を組んで、今、常任理事国の議論をしているわけです。私(大臣)の考えでは、この半年、ずっとそうなのですけれども、常任理事国の安保理改革というのは、三分の二の総会での賛成が必要なのです。三分の二の賛成を得るということは、なかなか大変なことで、やはり柔軟性を持って、現実的な案を考えて、提示をしていくということが大切です。ですから、そのための努力も内々、相当やっています。

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鳩山元総理のイラン訪問

【テレビ朝日 花村記者】イランに行かれた鳩山元総理と、帰国後にお話をされましたか。

【玄葉大臣】電話を頂きました。帰国後の夜、、会見をする前ですか、電話を頂きまして、私(大臣)からいくつかの点を申し上げました。一つは、イラン側の発言についてはこちらでよく分析をすると。もう一つは、イラン側が何をどう言ったかということについて、外に向かって言うべきではないと。三つ目は、IAEAの報道があるので、これについては真意を含めて、しっかりメディアの方々に説明をした方がいいと。それと四つ目は、あくまで個人の立場、これは本当に政府と関係ありません、党も要請していません、外交顧問という立場もなかったと私(大臣)は理解していますけれども、たださはさりながら、元総理ということで、外から見られるので、そのことについて、よく思いをいたして欲しいと。この4点を鳩山さんには言いました。

【朝日新聞 東岡記者】鳩山元総理はそれに対して、どういうようにお答えになったのですか。

【玄葉大臣】特に先方の発言は、それこそ外交上のやり取りではありませんが、私(大臣)が申し上げるべきではないと思います。何をそれこそ切り取ったりするというのはよくないですから。

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米軍再編問題

【共同 池田記者】(ワシントンに)行ってそうそう、クリントン国務長官との会談がありますけれども、パネッタ国防長官との会談も含めて、日米の再編については、どのような目標設定を今回置いてらっしゃいますでしょうか。

【玄葉大臣】率直に話をしようと思っています。クリントン国務長官とは議題が多いです。パネッタ国防長官とは、やはり米軍再編が中心なので、より詳しく米軍再編について議論するのはパネッタ国防長官ということになると思いますけれども、これまで部隊の、いわば配置とか人数とかを中心に議論をしてきましたけれども、それ以上のことまでしっかり政治レベルで話をしていかないといけないと思っています。

【琉球新報 松堂記者】米軍施設の返還についても、パネッタ国防長官とお話しなさるのでしょうか。

【玄葉大臣】話して、そのことを外にどこまで出せるかというのはありますけれど、当然、私(大臣)は話します。

【テレビ朝日 花村記者】経費負担については、かなり方向性は出せそうですか。

【玄葉大臣】今回出すのがいいのかどうかということがありますので、出せたからどうだこうだとか、率直に言って、出すつもりはありませんが、議論はします。

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外務大臣会見記録(平成24年4月6日(金曜日)10時26分~ 於:官邸エントランスホール)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)日中韓外相会議について

【玄葉外務大臣】4月8日、中国・寧波で日中韓の外相会議が開催され、私(大臣)が出席いたします。今回の外相会議は、本年、中国で開催が予定される第5回の日中韓のサミットに向けた調整を行うとともに、北朝鮮情勢をはじめとする地域・国際情勢につきまして、三国の外相間で意見交換を行う予定です。
 今回の外相会議を通じて、日中韓三国間の未来志向の協力関係がより一層推進されることを期待しています。また、この機会に中国及び韓国の外相との間で、それぞれ二国間の会談を行う予定です。
 日中外相会談においては、本年の国交正常化40周年における日中の戦略的互恵関係の一層の深化に向けて、また昨年末の訪中で、野田総理から表明した6つのイニシアティブのうち、特に海洋、そして風評被害対策等を中心に、具体的な取り組みについて議論したいというように考えております。
 また、喫緊の課題である北朝鮮情勢についても、重要なプレイヤーである中国との意思疎通、これは大変重要でありますので、今回の外相会談において、重点的に意見交換を行いたいというように考えています。
 日韓の外相会談におきましては、北朝鮮の「人工衛星」発射予告への対応等について協議をして、日韓間の緊密な関係を確認するとともに、日韓二国間関係の一層の強化等について、意見交換を行いたいというように考えております。

(2)G8外相会合について

【玄葉大臣】G8でございますが、4月11日から12日にかけて、米国・ワシントンにおいてG8外相会合が開催されます。国会の了承が得られれば、私(大臣)が訪米し出席をする予定です。
 また、この機会を利用して、クリントン長官と日米外相会談を行う予定であります。
例年、G8外相会合では、喫緊の地域情勢や国際情勢について議論が行われます。本年も、北朝鮮、イラン、中東・北アフリカ情勢、そして、アフガニスタン等についての議論を行いたいというように考えています。
 特に、北朝鮮が予告しているミサイル発射の時期の直前、または同時期ということでありますので、北朝鮮の自制を求めるG8の強い意志を示すべく、G8各国との連携をしっかりと進めたいというように思っております。
 クリントン米国務長官をはじめ、ほとんどの外相とはだいぶ顔なじみの間柄になってきましたので、胸襟を開いて積極的な意見交換を行いたいというように考えております。

(3)平成24年度版外交青書について

【玄葉大臣】平成24年度版の外交青書の要旨を閣議で配付をしました。この外交青書は、平成23年の国際情勢とその意義、及び東日本大震災を踏まえた我が国の外交上の取り組みについて説明したものです。
 昨年9月に就任して以来、私(大臣)が推進しているネットワーク外交、フルキャスト・ディプロマシー、クールジャパンを超えた日本的価値の発信といった政策についても盛り込んでおります。
 この外交青書が、昨年の出来事に対する理解を深めるのみならず、日本がこの先進むべき道を考えるための足がかりとなることで、国民の皆様に支えられた力強い外交の実現に繋がることを期待をしています。

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北朝鮮情勢(「人工衛星」の打ち上げ)

【NHK 島田記者】日中韓とG8ですが、北朝鮮の「人工衛星」については、日本として、大臣としてどういった形での立場で働きかけをしていかれるお考えでしょうか。

【大臣】当然ながら、一つは自制を求める強い意志をそれぞれの国々と確認をする、そして実際に求めていくということが一つございます。それと同時にミサイルが発射された場合の対応についても、当然ながら日中韓で認識を共有する。特にG8などでは、日本がリードをして、この問題について対応を考えていくということが大切だというように思っています。

【日本テレビ 野口記者】明日、日中外相会談がありますけれども、先日のぶら下がりで、中国との間で日韓と認識のズレがもしあるとしたら正していかなければならないと大臣がおっしゃっているのですが、そのズレの部分を説明いただけますでしょうか。

【大臣】ズレというのは、結局、ご存じのように、特に北朝鮮について、中国というのは、先ほど使った表現をもう一度使えば、重要なプレイヤーであります。この間も、中国による働きかけというのは、拉致の問題でも何でもそうなのですけれども、非常に大切になってくるわけです。自制を求める場合もそうでありますし、ミサイルが発射されてしまったといった後の対応も、同じように、中国がやはり鍵を握るというところがあります。ですから、中国との意思疎通を今回しっかり行いたいと思っております。ここの意思を共用させないといけないということです。

【記者】今回の外相会談で、発射後の対応の足並みを揃えるよう働きかけるということもお考えですか。

【大臣】そういうことも念頭にございます。ただ、まずは自制を求めるということに、全力をあげると。ただ、その後のことも含めて、やはりしっかり念頭に置かないといけないと思っています。

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外務大臣会見記録(平成24年4月4日(水曜日)16時10分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)ミャンマーの議会補欠選挙について

【玄葉外務大臣】4月1日、ミャンマーにおいて、上下両院及び地方議会の計45の選挙区で補欠選挙が行われました。ミャンマー政府の公式発表によれば、アウン・サー・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)が45選挙区のうち、43の選挙区で議席を獲得いたしました。
 我が国としては、これまでミャンマー政府に対しまして、アウン・サー・スー・チー氏を含むすべての関係者が政治参加できるように、働きかけをしてきたところであります。今回、このような形で関係者の政治参加が実現をしたということは、ミャンマーの民主化の大きな前進であり、これを歓迎します。
 我が国としては、ミャンマー政府のさらなる民主化、国民和解及び経済改革に向けた取り組みを引き続き後押しをしていきます。

(2)日米文化教育交流会議(カルコン)について

【玄葉大臣】次に、日米文化教育交流会議でありますけれども、通称カルコンというこの会議は、第1回会議から50周年を迎え、第25回の日米合同会議を4月10日、東京の三菱迎賓館にて開催します。
 カルコンは、日米同盟を深化させるうえで、重要な分野のひとつである文化・人的交流の分野において、重要な役割を果たしてきた有識者の会合です。池田総理とケネディ大統領の共同声明により、設立が決定されて以来、日米両国がさまざまな課題に直面する中で、日米間の文化・教育交流について提言を行ってきました。
 今回の合同会議では、特に日本人学生の内向き志向などを背景として、「日米関係の強化に向けた広い意味での教育への投資」というテーマで有意義な議論がなされることを期待します。
 今次合同会合には、カルコンの日本側委員長である槇原稔三菱商事顧問、米側からはティエリー・ポルテ元新生銀行代表取締役社長、マイケル・グリーン氏など日米12名の委員が参加されます。
 合同会議に先立ちまして、4月9日に飯倉公館においてレセプションを開催いたします。10日の合同会議においては、施策提言を含めた共同声明を採択する予定と承知しております。

(3)宇宙室の立ち上げについて

【玄葉大臣】最後に、宇宙室の立ち上げでありますけれども、2月末の講演で申し上げましたとおり、宇宙空間が持つ外交・安全保障上の意義は、近年ますます大きくなっており、私(大臣)から指示を出しまして、外務省として積極的な役割を果たしていくための検討を進めているところであります。
 その一環として、明日付で総合外交政策局内に宇宙室(Space Policy Division)を設置することといたしました。外務省として、今後、この宇宙室を中心に、国際的規範づくりの促進、宇宙をめぐる国際協力の推進、安全保障政策の一環としての宇宙政策の推進等の取り組みを一層積極的に進めていく考えでございます。

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鳩山元総理のイラン訪問

【朝日新聞 土佐記者】鳩山元首相が今週末からだと思いますが、イランの方へ訪問するということになっております。イランの政府、または宗教指導者らと会談する予定で訪問されるということですが、これについての受け止めと、この時期に政府特使ではないにせよ、日本の元首相という立場の人がイランに行き、接触を図る、会談をするということについて、どういった受け止めでしょうか。
  
【玄葉大臣】私(大臣)もそのことについては、本日知りました。政府の要請に基づくものではございません。ご自身の判断であり、私(大臣)は、個人の活動と、個人の行動という理解でございます。政府といたしましては、適切なレベルが適切なタイミングで働きかけを行うことが極めて重要だというように考えているところであります。そのことについては、私(大臣)の方でしっかり、そのことの検討を含めて考えております。

【朝日新聞 土佐記者】この時期に日本の元首相が行かれるということは適切なタイミングといえるのでしょうか。

【玄葉大臣】個人の行動だというように理解しています。

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ミャンマー情勢

【毎日新聞 横田記者】ミャンマーの件ですが、今日までの日程でASEANの首脳会議が開かれておりまして、今回の選挙の結果を受けて、対ミャンマーに対する欧米の制裁について、解除緩和ということを求める方針を決めるという見通しですけれども、ミャンマーに対しては、今後、各国からの投資とか開発支援というのが加速するという見通しがかなりあると思うのですが、日本企業もかなり進出の意欲を示しておりまして、進出支援の観点をあわせて、今後フェーズが変わったミャンマーに対する日本政府としての対応という点をお伺いしたいと思います。
  
【玄葉大臣】この間も申し上げてまいりましたけれども、ミャンマーにつきましては、援助方針の見直しの検討を指示しているところでありまして、今、まさにそれらが具体化しようとしているところであります。そのときに、やはり大切なことは、一つは、アウン・サー・スー・チー氏とも話をしたときに話題になった、例えば貧困層とか、少数民族への裨益、つまりは恩恵というものが行き渡るような、そういう援助ということが大切であるし、あわせて、やはり国民のみなさん全体が、民主化が進めば、国民和解が進めば、豊かになれるのだという実感を持ってもらうための経済開発も考えていかないといけないということだと思っておりますので、そういった基本的な考え方に立って、援助方針の見直しについて、今、具体化をしようとしているところでございます。

【フリーランス 上出氏】私、実は20年前に大勝利したときに取材しておりまして、全く同じ雰囲気なのですが、結局は居座ってしまいました。それで、今回の勝利について、欧米の論調などを見てみますと、やはりこれが軍政に利するだけであってはいけないという厳しい指摘などもありますし、日本でもそういうものがあります。
 ポイントは、3年後にきちんとこの形で総選挙ができるかどうかだと思うのです。ところがといいますか、相当危機感を持っているので、いろいろなことを対応してくるような心配をしております。前回の雰囲気と今回の雰囲気とで、大臣からご覧になって何が違って、何がそういう保証になるのか。もちろん、後押ししながら、いろいろ批判的な面もやっていかれると思うのですが、本当に民主化を進めていく上で具体的なポイントというのは何になりますでしょうか。やはり、ある程度厳しい部分もなければならないのではないか。というのは、前は建設的関与という言葉でしたけれども、ちょっと緩め過ぎではないかなという気もするのですが、いかがでしょうか。

【玄葉大臣】直接、当時のことを私(大臣)は知っているわけではございません。大切なことは次の総選挙であるという認識は、私(大臣)も同じであります。そういう意味では、常に現在の政権に対して政治活動の自由、あるいは国民和解、そして少数民族との和解、こういったものを進めていく必要性、法の支配の重要性、そういったものを日本としてしっかり働きかけを行いながら援助というものを行っていくということが極めて大切になると考えています。

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北朝鮮情勢(「人工衛星」の打ち上げ)

【朝日新聞 東岡記者】北朝鮮のミサイル発射について2点お尋ねします。前回、3年前の発射時は当時の麻生総理と中曽根外務大臣が安保理での決議を求めました。結果として議長声明になったわけですが、非常に強い内容の議長声明であったと外務省も評価していたところです。今回発射された場合、同様に安保理での決議を求めるお考えがあるのかどうか。また、今回は安保理のメンバー国ではありませんが、日本政府としてどのように安保理で対応していくお考えなのか、2点お尋ねします。

【玄葉大臣】2点のご質問でありますけれども、事実上同じ質問だと思いますが、今はまずミサイルの発射、いわゆる「人工衛星」と言われる、弾道ミサイル技術を用いた「人工衛星」の発射というものをまず自制を求めていくということが大切であると思います。あわせて、さはさりながら、そういったミサイルが発射されたとした場合の安保理での対応も含めて、当然、我々としては考えているということでございます。
 間違いなく言えることは、明確な安保理決議違反であるということであります。そのことを踏まえれば、安保理での対応というものは、現時点でまだ予断は許しませんけれども、何らかの形での対応というものは必要になってくる。そのときのためにも、まずは自制を求めていく必要がありますけれども、関係国とよく連携をとらなければいけない、特に安保理のメンバーとよく連携をとらなければならないと考えています。

【朝日新聞 松村記者】ミサイル発射後の対応ということで、安保理メンバーと特に連携をするということですが、今週末、まさに日中韓外相会議がありまして、直接、中国の外務大臣に働きかける機会があるわけですけれども、今週末の日中韓外相会議でどのような成果を求めていらっしゃるか、まさに発射直前にどのようなことを訴えていかれるか、改めてお聞かせください。

【玄葉大臣】当然、これからのことなので、今申し上げるのはどうかと思いますけれども、まずは自制を求めるということに尽きると思いますし、そうでなかった場合といいますか、発射されてしまった場合のことも含めて、当然、日中韓で認識を共有させていく上で、大切な日中韓の外相会議であると思っております。
 あわせて、経済分野であるとか、あるいは海をめぐる協力であるとか、そういった、それぞれ大切なテーマについて実りある議論を三者で展開したい、そして成果を得たいと思っています。

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宇宙室の立ち上げ

【朝日新聞 東岡記者】先ほど発表された宇宙室の立ち上げについてお尋ねします。もう少し詳しく具体的な陣容やより詳しく業務内容をお聞かせいただきたいのと、またミサイルとの関連で恐縮ですが、発射された場合、宇宙室がどういう対応が想定されるのかも併せてお聞かせください。

【玄葉大臣】後で紙か何かで、かなり事務的な話なので、報道の方から発表していただくということがよいかと思います。
 あと、今回のいわゆる「人工衛星」の発射とは今回の宇宙室が直接、現時点で関連するということではございません。ただ、先ほども申し上げましたけれども、安全保障政策の一環としての宇宙政策という部分というのは、これから宇宙室に検討してもらいたいと私(大臣)は思っている分野です。ですから、例えば、私(大臣)も宇宙開発担当大臣をやりましたけれども、あまり具体的に言ってしまうとどうかと思いますが、宇宙状況監視とか測位衛星システムとか、いくつかございますので、特に日米間での協力関係というものをより具体化していくということは当然ながら宇宙室の大事な仕事になると思います。

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米軍再編問題

【産経新聞 杉本記者】米軍再編の見直しに関連してですけれども、グアム移転経費について、特に真水の部分で、その増額を米国が求めていて、比較等はいろいろと報道されておりますが、現時点の進捗状況と、あと、ゴールデンウイークにも日米首脳会談が行われるというような話になっておりますけれども、このときまでにグアムの移転経費について合意がまとまる見通しがあるのかどうか、現時点での状況をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】現時点は、今のところ言えることは、調整中であるということであります。
 国会でも答弁していることで、繰り返して申し訳ないのですけれども、本当に大事なことは、刻々と安全保障環境が変わる中で、このアジア太平洋地域の中で、日本と米国がどういう責任の分担と役割の分担をするのか。更に言えば、どういう部隊配置が海兵隊について望ましいのかを含めて、今、主体的に議論をしています。当然、最終的にそういった大きな観点、大局的観点から経費の問題も私(大臣)は考えなければならないと思っています。
 単純に、例えばグアムに行く海兵隊の数が減ったから、その分減らすという主張をする方もいます。一方、沖縄から、いわば海外に移転する海兵隊の数という意味では変わらないわけであります。もっと言えば、定員が増えていればもっと多くの海兵隊員が移転するという事実もあるわけであります。そういった観点だけではなくて、冒頭申し上げたような大きな観点で、日本と米国はどういう責任の分担、役割の分担、もっと言いますと、何回も申し上げて恐縮ですが、自衛隊と米軍の役割分担というものをよく考えた上で、私(大臣)は、政治的に判断をしていかなければいけないという課題であると思っています。

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日中韓外相会議

【NHK 吉岡記者】今週末の日中韓外相会議の前に、韓国、中国、それぞれと二国間会談を予定されていると思うのですけれども、韓国については元従軍慰安婦の方の問題とか竹島の問題、あるいは中国に関してはガス田などいろいろ難しい問題があると思うのですが、それぞれどういった会談にしたいか、お考えについてお聞かせください。

【玄葉大臣】バイ会談については、何をどこまで話すかということだと思いますけれども、いずれにしても大事な隣国でございますので、それぞれの課題について、短い時間ではありますが、しっかりと協議をしたいと思っています。現時点でまだ具体的なことを申し上げる段階ではないと思っています。

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外務大臣会見記録(平成24年4月3日(火曜日)9時05分~ 於:院内)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-対北朝鮮措置の延長について

【玄葉外務大臣】官房長官から別途発表がなされると承知しておりますけれども、我が国の北朝鮮措置に関して、本日の閣議におきまして、4月13日で期限が到来する、2つありますけれども、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置、そして北朝鮮との輸出入禁止措置について、期限を一年間延長することが決定されました。
 外務省といたしましては、関係省庁とも緊密に連携しつつ、改めて、北朝鮮が諸懸案の解決に向けた、具体的な行動をとることを求めて行きたいと考えております。

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ミャンマー情勢

【日本テレビ 野口記者】ミャンマーの補選についてお伺いいたします。スー・チーさんが、選管が正式に当選したと認めました。45のうち40、NLDが圧勝という結果になりましたけれども、どういうように感じていらっしゃいますでしょうか。

【玄葉大臣】一つは、我が国からも選挙のための監視ということで3名が行っておりましたけれども、とりあえずの報告としては、投開票作業は大きな混乱はなかったと、平穏に行われたというように聞いています。今おっしゃいましたように、アウン・サン・スー・チーさんが参加をする、そういう選挙であったわけでありまして、この選挙が民主化、そして国民和解を一層進めるものになることを強く期待をしています。
 これから大事なことは、やはり最終的に選挙結果をよく見て、総合的に分析をしたいというように思うのです。投開票がどうだったかというのはです。それと民主化、そして国民和解が進めば、ミャンマーは豊かになるのだということを、ミャンマーの国民の皆さんに実感してもらうということが大事だと思っておりますので、そういう意味で、しっかり後押しをしたいと。援助方針の見直しの指示をしていることはこれまで申し上げてきましたけれども、そういう意味でミャンマー国民に、民主化が進めば、国民和解が進めば、豊かになれるという実感を抱いてもらうということが大事だと思っております。

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