記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成24年2月)


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外務大臣会見記録(平成24年2月29日(水曜日)14時02分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

米軍再編問題

【朝日新聞 土佐記者】昨日まで行われていた在日米軍再編の見直しに関する審議官級協議について、昨日の時点でどのような話し合いが行われて、どこの辺まで決まったのか、答えられる範囲でいいのですが、お答えいただければと思います。 

【玄葉外務大臣】いわゆる日米の審議官級の協議につきましては、いわば海兵隊の部隊の配置の問題等々を中心に議論が行われたということでございます。以前から、私(大臣)からも申し上げておりましたけれども、そういった部隊配置が我が国の安全保障にどのように資するか、またアジア太平洋全体の安全保障にどのような影響を与えるかということについて、我が国としても主体的に議論するようにという指示をしていたわけでありまして、まさにそのような議論が行われたというように説明を受けました。あわせて、まだ何かが決まったということではございませんので、まだ協議中なものですから、その詳細については申し上げられないことを御理解いただければというように思います。

【朝日新聞 土佐記者】その主体的に議論するというところで、もう少し具体的に言っていただければ、ありがたいのですが。

【玄葉大臣】ここは、私(大臣)の言葉でいろいろと表現したい気持ちはあるのですけれども、やはり、今議論をしていて、協議をしていて、それで、まさに何かがまだ決まったわけではないのです。こういう説明を受けて、我が国としてはこう考えるという話を、当然、部隊の配置とか規模の話について行うわけでありまして、我が国として、我が国の抑止力。当然、まずは我が国自身の防衛力の整備の努力というのが前提ですけれども、あわせてどういった影響を与えるのかということについて、分析・評価しながら議論をしていくということでありまして、まだその途上にあるというように考えていただければと思います。 

【NHK 島田記者】ズムワルトさんなどが、協議の後に、同盟の深化、日米同盟についても幅広く話し合ったというようにもおっしゃっていました。それから、大臣は今、我が国自身の防衛力の整備ということも重要だというようにおっしゃっていましたけれども、例えば、今後のこの海兵隊の展開の中で、自衛隊と海兵隊、米軍がもっと協力を深めながらやっていくとか、そういったことも含めて検討されているのかということと、この日米同盟について協議されたというのは、もう少しどういうことを指しているのか教えてください。

【玄葉大臣】日米同盟というのは、先ほど申し上げたように、基本的には今回の協議自体は海兵隊の部隊の配置・規模を中心になされたけれども、もちろん、いくつかのテーマは当然あったということだと思います。あわせて、日米同盟というときに、安全保障でいえば、基本的には日米安保6条に基づくものでありますけれども、この間も申し上げてまいりましたけれども、まさにアジア太平洋全体、更にはグローバルな規模での日米の役割分担、責任の分担というものを、これは安全保障面だけではなくて、ソフト面も含めてしっかり図っていかなくてはならないというのは、一貫した私(大臣)の認識でありまして、そういったことについて、どこまで今回の、この協議で話していくかというのは、まだこれからということでございます。

【NHK 島田記者】嘉手納以南の返還の話というのも協議の議題に上っていると思われますが、これに関連して、野田総理が、訪米を桜が咲いている頃までにしたいけれども、国会の関係もあるのでとおっしゃっていて、5月ごろの大型連休ではないかというように訪米は見られていますけれども、これまでにすべてのことが決まるというわけではなくても、なるべく一定の方向性が出ればありがたいとおっしゃっていますが、そのころを目指して、何らかの方向性を出したいという方向で協議されているのでしょうか。

【玄葉大臣】それは、まだ訪米ははっきり決まったわけではありません。互いの都合の良い時期に、確かに、一つは日米桜100周年という、寄贈して100周年という節目ではございますけれども、まだ決まったわけではないということであります。そのときに、当然、日米の今後の同盟のあり方、あるいは同盟以外のことも含めたことについて、仮に訪米ということになれば話し合われるものというように考えています。
 時期の話は、まだここは完全に見通しが立っているわけではなくて、まさに数週間から数か月という表現を使ったように、数週間目から始めて数か月はかかるということでありますので、早くまとまるに越したことはありませんけれども、ただ、大急ぎで熟した議論が行われずに結論を出すよりは、やはりしっかりと日本側も、あるいは日本側が主体的に議論して、まさに日米の協同作業で結論を得ていくという形にしなければならないし、形だけではなくて、実質そうなっているのですけれども、中身が伴っていかなければならないと思いますので、まずは抑止力の観点からしっかりと大きな議論をし始めたということでございます。

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中国経済の見通し

【新華社通信 郭記者】来週3月5日、日本の国会に当たる中国の全人代、全国人民代表大会が行われるのですが、その中で、経済改革とかいろいろ議論されると思いますが、現在、欧州危機とか、グローバル経済減速とか、中国の経済を取り巻く環境は決していいとは思わないのですが、中国経済の見通しはこれからどういうように見ていらっしゃるのですか。 

【玄葉大臣】今、中国経済の見通しということでございます。まず、中国そのものについては、日本にとって、その発展は大きなチャンスであるというように申し上げていますし、是非とも戦略的互恵、ウィン-ウィンの関係を築きたいと思います。中国の場合は、今、正確に数字が出てきませんけれども、7~8%の成長を達成しているものと承知をしています。問題はこれからということではないかというように思います。基本的に、潜在力は、私(大臣)は十二分に有していると思います。
ただ、日本と同じこと、つまりは少子高齢化社会が間もなくやってくる、そう遠くない時期にやってくる。そういったときに、その少子高齢化社会、つまりは労働力人口の減少というものにどううまく対応するのかということが一つのポイントなのではないかというように私(大臣)は見ています。だからこそ、日本が、まず真っ先に少子高齢化社会をやってきたわけでありますから、真っ先に解決してみせるということは、それはひいては中国のためにもなるのではないかと思います。
 もう一つは、欧州経済危機との関連でいえば、やはり欧州自身の努力で、まず欧州のこの危機を乗り切ってもらうわけでありますけれども、我々もEFSF債などで、一定の協力をしているわけであります。今後、IMFなどで、欧州の努力を前提として、どういう協力を各国ともに行っていくのか、財務大臣同士、あるいは日本の財務大臣と、中国の副総理が話し合っているという面もございますので、どういったところで連携して、この欧州の経済危機のために、いわば一種の防波堤のようなものをつくり、あわせて欧州そのものを下支えすることができるのかということについて真摯に考えていかなければならないと思います。 

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原子力協定

【NHK 吉岡記者】震災によって交渉が中断していた国々と、近い将来、締結交渉を再開させる方針だと伺っているのですけれども、改めてまず、なぜこのタイミングで原子力協定の交渉を再開させる必要があるのかということをご説明いただければと思います。

【玄葉大臣】原子力協定と言ったときに、どこの国を想定しておられるのか、ちょっと今、私(大臣)は必ずしも吉岡さんの質問の特定の国については今申し上げられませんけれども、基本的には、いつも申し上げておりますけれども、まずこの原子力の事故について、その責任と教訓、特に教訓あるいは知見、こういったものを共有する必要があるということがまず大前提だと思います。原子力協定といっても、中身はいろいろでありまして、例えば、いわゆるチェルノブイリと事故の教訓を学び合うという意味での協定という部分もあるでしょうし、おそらく今おっしゃったのはこの間国会で承認されたような原発輸出などにもつながるような協定という意味と二つあると思います。後者の意味であれば、それはまず相手国がどういうエネルギー政策をとっているのか、つまりは原発にどうしても頼らざるを得ないのかどうか、そして相手国が日本に対して、その原発の技術に対して強い期待、強い信頼というものがあるのかどうか、そういったことをきちんと見極めて総合的に判断する必要があるのだろうというように思っています。
 ですから、我々から何が何でも売り込むのだということではなくて、先ほど申し上げたように、いわば条件があって、相手国が日本に対してどうしても期待と信頼を寄せていて、かつ相手国のエネルギー事情というものを見たときに、原発にどうしても頼らざるを得ないという状況であるとすれば、やはり我々はその信頼に応えていかなけくてはいけないのではないかと、基本的にはそういうことだと思っています。

【NHK 吉岡記者】特定として、トルコもその一つとして私の質問の中にあったのですけれども、そのトルコについては、震災前は原発の受注に向けて日本が先行していて、交渉が中断している間に、先月、韓国の李明博大統領が実際にトルコを訪れられて、韓国が原発の受注の交渉のテーブルに再びつくという状況になっていて、トルコとも原子力協定の交渉を再開される方針だということを伺っていたので、例えばそういったトルコでしたら、今おっしゃられたように改めて日本として、原発受注を想定して原子力協定を結びたい、巻き返しを図りたいというお考えなのでしょうか。

【玄葉大臣】トルコの関係の閣僚の方々と私(大臣)もお話を時々いたしますし、トルコも訪問しましたけれども、トルコからの日本への期待、その分野での期待というものは非常に高いことは間違いないと思います。こちらから売り込んでいるわけでは全くなくて、これまでも何回かありました、確か副首相もそうだったと思いますけれども、先方から、私たちは再生可能エネルギーを普及させていくと、でもどうしても原子力、原発に頼らざるを得ないと、そしてその時に私たちが信頼しているのは日本であると、こういうお話をいただいた。そういうことは一度ならずともあったというのが現状であります。そういったことも踏まえながら、総合的に判断をしていくということになろうかと思います。 

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拉致問題

【日本テレビ 野口記者】先週の米朝協議で、拉致問題も提起されたということですが、外務大臣として現在拉致問題がどういう状況にあるかということを考えてらしゃるのかということをまず一つと、米朝を受けましてぶら下がり取材に杉山アジア大洋州局長が応じてくれたのですけれども、その中で日本としてもさらに拉致問題に努力していかなければならないというようにコメントしているのです。この日本として新しい動きを何か想定されてらっしゃるかと、その二点お願いいたします。

【玄葉大臣】今回の米朝協議で、米側からは拉致の問題について提起したという報告を受けました。それに対して北朝鮮側からは特段の反応はなかったというのが実情でございます。どんな状況にあるのかということでありますけれども、基本的にこの拉致の問題というのは、いつも申し上げておりますけれども、最終的に拉致・核・ミサイルを包括的に解決していくということに日本の方針は尽きると、そういうことだと思っています。それに対して、今回の北朝鮮の様々な状況についてよく「リスクと機会」という言い方をしてまいりました。機会を作る努力、それはそれとして我々はやっていかなければならないと。リスクに備えながら機会を作るという努力はしていかなければならないというように考えております。今、野口さんが言われたのは、日朝自体はどうなんだとこういうお話でございますけれども、それについて現時点でなかなか申し上げるような状況ではないというように言わなければならないと思います。ただ一刻も早く全ての拉致被害者が帰国できるように全力を尽くしたいと思っておりますし、北朝鮮に対して、やはり具体的な対応というものをこの問題で求めていかなければならないというように思っております。対話は私たちは最初から否定しておりません。対話は最終的に必要なことだと。ただ適当な時期、適当なやり方、そういったものを選んでいかなくてはいけないということであります。 

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イラン制裁

【共同通信 池田記者】イラン制裁をめぐる米国の国防授権法の関係ですけれども、昨日の上院の公聴会でクリントン国務長官が、日本は昨年比で15%か20%の削減をする努力をすると言っているという発言をされているのですけれども、そういうような方向でいくということを米国に伝えていらっしゃるのかという確認と、本日で2月が終わりますけれども、合意に向けた交渉の状況はどうなのか教えていただけますでしょうか。 
【玄葉大臣】先ほど、池田さんが触れられた発言については承知をしていますけれども、いずれにしても数字は申し上げられません。それは、特にマーケットの関係で申し上げられないということをご理解いただければというように思います。
 そして、国防授権法の、特にいわゆる制裁対象云々という話につきましては、大詰めの段階にきていると、相互の理解はかなりの程度深まっているという状況にあるというように認識をしています。現時点で、日本の銀行が同法によって制裁対象になるというような懸念すべき状況にあるというようには認識をしていないということでございます。
 大事なことは、やはり国際協調というのがあって、我々も削減していく方向であるということで、この間協議をしてきていると。そしてこの制裁が、いつも申し上げておりますが、効果的なものになって、イランの核開発を阻止するために、さまざまな国々が連携をしていくことが大切であるということであります。あわせて、我々日本経済を取り巻く状況というのもございますので、特に震災などがあって、そういったことに対しても影響を最小限に食い止める、もっと言えば影響がないようにしていくための手立てをこの間ずっと講じてきたということでございます。 

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米軍再編問題

【NHK 島田記者】米国側からは部隊配置、それからローテーション展開について説明があったのだと思われますが、大臣は常々我が国の抑止力の観点から主体的に議論というようにおっしゃっているのですけれども、今回の米軍再編によってローテーション展開をされるといったような変更によって、抑止力の観点から日本政府としてどんなことを懸念されていて、重視されているのかということについてお伺いしたいのですが。

【玄葉大臣】それを私(大臣)の言葉でいろいろ申し上げてしまうと、その協議の中身等々について、おそらくいろいろと漏れていくということになってしまうものですから、私(大臣)も今発言に注意をしておりまして、いずれにしても抑止力とは何かというところから本来は議論しなければいけないと思うのですけれども、基本的には攻撃を思い止まらせる能力のことだと思いますけれども、まず安保環境が変わってきているということもお互いに状況をきちんと共有しあう、その上で米軍の再配置、海兵隊の再配置というのがあるわけでありますし、もっと言えば米軍と自衛隊の役割分担というのもあるのだろうと私(大臣)は思っておりますので、やはりそういったことについてきちんと議論すると同時に、私(大臣)は今回の2月の頭の報道発表によって、いわゆる日米の同盟の深化について、特に計画検討にしてもミサイル防衛にしても拡大抑止にしても、宇宙・サイバーもそう、秘密情報保全もそうですけれども、そういった議論が今までよりも非常に行いやすくなったと、今までもやってないとは言いません、やってないとは言いませんが、非常に良好な形でやりやすくなったというように私(大臣)は認識しておりまして、そういう議論をし、かつそういった検討が両国間で深まっていくことこそ、これがまた抑止力の向上につながるという側面があると思います。
 ですから、私(大臣)は今回の合意は、これから正式な協議を行っているという状況ですけれども、間違いなく日米同盟の深化に結びつくものになるというように考えております。 

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外務大臣会見記録(平成24年2月28日(火曜日)11時11分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

米軍再編問題

【日本テレビ 野口記者】野田総理が沖縄を訪問されまして、仲井眞知事と会談されました。その中で、政府がとった予算措置ですとか、沖縄振興に関する立法措置に関して評価の声が知事からは上がりました。野田総理は、これから負担軽減と振興の2つを積み重ねて理解を得ていくというようにおっしゃっていらっしゃいますが、一方で普天間移設、辺野古移設に関しては知事は態度を変えていません。予算措置を伴うということは税金を使うことになりますので、これはもし、このまま振興策の予算措置を毎年積み重ねることによって、その一方で普天間移設が進まないということになった場合に関して、その場合の整合性というのはどういうように整理すればいいのでしょうか。要するに、税金を使い続けて辺野古移設が進まないという可能性もあるわけなのですけれども、その辺りはどういうようにお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】まず、総理が沖縄に訪問されて、これまでのおわび、併せて振興策はじめ、これまで政権が行ってきたこと、特に野田政権になって行ってきたこと、例えば、特に外務省関係で言えば、日米地位協定の運用の改善が2回ございました。また今回、いわば沖縄の負担軽減を先行させるということで、一つ一つ努力を重ねてきている、そのことは私(大臣)はわかっていただいているなと思います。
 ただ一方で、おっしゃるように、普天間の移設についてはまだ理解が得られている状況ではございません。ただ、今、やはりこの厳しい安保環境の中で迷走させてはいけませんし、周辺諸国に誤ったメッセージを与えてもいけないという状況の中で、大変沖縄の皆様には心苦しいわけですけれども、今の海兵隊の、いわばユニットが沖縄に存在しないと、我が国全体の安全保障の観点から、どうしても抑止力が保てないということがございます。やはりすきを見せてはいけないと。これは安全保障の鉄則だと私(大臣)は思います。
 そういう中で、いずれにしても沖縄はこれまでさまざまな歴史があるわけで、それこそ故大田中将の話ではありませんけれども、沖縄の振興に対しては、やはり日本国民全体で考えていかなければならないという側面が私(大臣)はあるだろうと考えております。負担の分かち合いもそうですし、沖縄の振興全体についても、現状、日本全体の安全保障について負担していただいているわけでありますから、そのことについて日本国民全員で思いをはせないといけないのではないかと思います。

【日本テレビ 野口記者】結果、辺野古移設につながるという保証はないわけですね。

【玄葉大臣】これは一歩一歩理解を得ていかなければなりませんし、それでは今の膠着状況をそのままにしておいていいのかと。今回は沖縄の負担軽減を先行させるということで協議が進み始めているわけです。それでは、また鳩山政権時の最初みたいに県外と言って、ほかの地域が見つかる当てもないのにそういうことを言ったときに、どういうメッセージを周辺諸国に与えるのか、安全保障にすきを与えないのかということも併せて、やはり考えていかないといけないということで、そういう意味で、まさにおっしゃったとおり、沖縄の皆様だけではなくて日本国民全体で、そういった振興策に対する税金も含めて、考えていかなければならない問題だと思います。
 この機会に、今回振興策をある意味積み上げたわけです。沖縄の要望にほとんど応える形の振興策になった。おっしゃるとおり、税金です。だけれども、それはやはり日本国民全体の、日本の国家としての安全保障を負っていただいていると。さあ、どうするかということを、私(大臣)は日本国民全体が一緒に考える、そういう機会にしたらいいのではないかと思います。

【日本テレビ 野口記者】負担軽減に関して、昨日今日と日米の審議官級協議が行われておりますが、嘉手納以南の施設の返還についても話し合われているとは思いますけれども、この話題に関しては、総理がスパンとしては数ヶ月を要するのではないかということを昨日おっしゃられましたが、この数ヶ月というのは何を完了するまでに数ヶ月というように。

【玄葉大臣】以前から申し上げているとおり、数週間から数ヶ月かけてこの公式な協議をまとめていくということを申し上げておりましたので、その公式な協議を終えるのに数ヶ月かかるという意味です。それ以上でもそれ以下でもありません。

【日本テレビ 野口記者】協議終了まで数ヶ月ということですね。

【玄葉大臣】はい、そういうことです。嘉手納以南の土地の返還だけではなくて、この協議全体です。今日も審議官級の協議が行われていますけれども、やはり数ヶ月はかかるということです。

【朝日新聞 土佐記者】同じく野田総理は昨日沖縄で、基地を持つ自治体の首長を含めた形で、米側、外務省、防衛省も含めた形で意見交換、これは地位協定に関する会議という言い方をされましたけれども、かつて連絡会議というものがあったと思うのですけれども、それを復活するというイメージと受け止めてよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】おそらくは渉外知事会のことではないかと推測します。渉外知事会については、たしか1回、つまり米側も入る形での会合は1回なものですから、そのことについて言及されたのではないかというように思っておりまして、これは米国側と相談をしながら検討していきたいというように考えております。

【NHK 島田記者】審議官級の協議を昨日今日やっていますけれども、先ほどおっしゃった嘉手納以南の返還についてと、それから、米軍の沖縄からグアム、グアム以外のところに出て行く海兵隊の部隊配置などが議題になっていると思いますが、大臣としては、今回、こちら日本側からはどういったことに留意して協議するようにといったような指示を出されているのでしょうか。

【玄葉大臣】正に本日も協議中なので、あまり申し上げることはできませんが、ひとことだけ言えば、在日米軍の再編の調整を行っているわけでありますけれども、その在日米軍の再編それぞれの考え方が、あるいは部隊の配置の考え方が我が国の安全保障にどのくらい資するのか、アジア太平洋全体の安全保障にどういうように影響を与えるのか、主体的に議論をするようにという指示をしております。

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米朝協議

【NHK 吉岡記者】今回の3回目の米朝協議の率直な受け止めと、今の段階で六者(協議)再開に向けて日朝が二国間で何か交渉をしていこうというような見通しがたっているのか、現段階でのお考えをお聞かせください。

【玄葉大臣】皆さんご存じのとおり、米国側の担当者が昨日、そして一昨日、山口副大臣、そして局長に説明があったところでありまして、私(大臣)の方にもその説明はきております。ご存じのように若干の進展があったという説明でありますし、拉致の問題についても米側から提起をしたという説明でありました。
 この米朝対話自体は、北朝鮮の諸懸案を解決するために、私(大臣)は歓迎すべきものであるというように考えていますけれども、大切なことは北朝鮮の非核化等の具体的な行動、この具体的な行動というものを引き出した上で対話につなげていくということが大切だと考えていまして、引き続き日米韓で、また関係国と緊密に連携を取り合いたいと思っています。
 日朝という話でございますけれども、これまでも申し上げてきたところがございますけれども、大切なことは、やはり成果のある対話であると。対話について、やはりそういったことが少しでも見られれば、適当な時期、適当なやり方等を考えていくということなのだろうと考えています。

【NHK 吉岡記者】今回の説明を聞いて、日朝の対話ができるかどうかという見通しが立ちましたでしょうか。

【玄葉大臣】それはまた、基本的に別の部分がございます。つまり、我々は二国間の対話の場合は、いつも申し上げておりますけれども、拉致・核・ミサイルの諸懸案を包括的に解決すると。その諸懸案の包括的な解決に向けて、第一歩目としてどうするかという観点が入ってきますので、必ずしも六者協議とイコールかと言われれば、必ずしもイコールではない部分もあるということなので、全く同じ扱いかと言えば、それは違う部分もあるというように考えなくてはいけないのだろうというように思います。同じかも知れませんけれども。

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外務大臣会見記録(平成24年2月24日(金曜日)9時41分~ 於:院内)(動画版他のサイトヘ

米朝協議

【テレビ朝日 花村記者】北京での米朝協議ですけれども、まだ本日も二日目継続されますし、まだ詳細は出てきていませんけれども、昨日予定を大幅に超えて5時間以上話し合われていて、これまでのお互い言い合うというよりはもう少し前向きな感じが見て取れるのですけれども、大臣は現時点ではどのようにごらんになっていますか。

【玄葉外務大臣】米国側の担当者が終了後すぐに来日して日本側と連携をするというか、しっかりと今回の内容を報告してもらって、共有をするということになっております。やはり中身をよく聞かないとコメントはしにくいのですけれども、いずれにしても米朝対話そのこと自体は良いことでありますし、やはり六者の共同声明で北朝鮮がコミットメントをしたそのことについて、やはり真剣に履行する、しかも具体的に行動で示す、そのことが大事だと。ですから、日米韓連携をして非核化、つまりはウラン濃縮の即時停止を含めて、そういったことについて当然ながら大切にしながら、今後の協議が進んでいくものというように考えています。

【テレビ朝日 花村記者】六者協議の再開に向けてこれまでよりは少し可能性が前に進んだという感じでしょうか。

【玄葉大臣】まだ内容を聞かないと何とも言えません。ただ、もう表でも米国側は非常に真剣な話し合いができたというように言っているようでありますから。いずれにしても、日米韓よく連携して、この対話が実りあるものになるようにしなければならないなというように思っています。やはりそのときに具体的に成果を出していかないと、対話というのは意味がありませんので、そのことを日本側としてもしっかり米国と、また韓国とよく連携をして対応していきたいというように考えています。

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米軍再編問題

【TBS 竹内記者】在日米軍再編についてお伺いしたいのですが、来週週明けに、審議官級協議が行われます。その際に沖縄からグアムに移転する海兵隊の人数についての確認は行われるというお考えでしょうか。それともう一点、現在、米政府が議会に説明している4千700という数字ですが、これについてどういうようにお考えでしょうか。

【玄葉大臣】今度の審議官級協議、もう近々行われますけれども、かなり精力的に行いますので、今度何をどこまでということはまだはっきりしておりません。本日、実は私(大臣)と話し合うことになっておりますので、数字について今どうだこうだというように申し上げるのはあまり適当ではないと思います。ただいつも申し上げていますけれども、まず一つはグアムというその地域を、いわば戦略的拠点の一つにすると、そのこと自体我々は歓迎をしたいということです。今の竹内さんの質問は、だったらその数についてはどうかということでありますけれども、問題はそれ以外の、海兵隊がどこにどう配置されるかによって、またどういう動きに、あるいは運用になるかによって抑止力というのは変わってくるところがございますので、全体像を話し合いながら、それぞれ評価をしていく必要があるのではないかと思っています。いつも申し上げていますけれども、これは日本の抑止力にも関わる話でありますから、主体的に我々も議論したいというように考えています。

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TPP

【NHK 池川記者】TPPの事前協議の一連9カ国との話し合いが一通り終わりましたけれども、3カ国留保、米国、豪州、ニュージーランド、留保になったわけですけれども、この受け止めをお願いします。

【玄葉大臣】大体予想通りであります。6カ国は一度で事前の協議が終わるのではないかと予想しておりましたし、3カ国は何回かやらないといけないというように当初から考えておりましたし、おそらく皆さんもそういうように想像していたのではないかと思いますので、残り3カ国とは緊密に連携をし合って、私たちの高いレベルの経済連携に向けた、いわば野心というか方向をしっかりと説明していくということが必要なのではないでしょうか。

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シリア情勢

【NHK 吉岡記者】シリアの情勢に対する今の認識と日本側の支援延長についてコメントをお願いします。

【玄葉大臣】シリアは大変残念な事態になっておりまして、死者の数が増えてしまっていると。これはもう、即時暴力停止を改めて求めたいというように思っています。この間、国連の中で拒否権が発動されて、残念ながら国際社会の協調というものが生まれ得なかったというところがあります。改めてやはりアラブ連盟などが今協調しながら行動しようとしていますから、そういったことを大切にしながら対応していく必要があるというように思います。
 それと、本日の閣議で避難民の皆さんに対しての支援を緊急に無償で行うことにいたしました。それはもう人道的なものとして、日本がやっていかなければならないだろうというように思っています。

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内政

【産経新聞 坂井記者】民主党の前原政調会長が「言うだけ番長」という弊社の報道に関して反発して、記者会見への出席を拒否するばかりか政調会への取材そのものも認めないと通告してきたわけですけれども、こうした政権与党幹部の言動についてどういうように受け止めになりますか。

【玄葉大臣】私がやはり発言をする立場にはないだろうと思います。

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イラン情勢

【朝日新聞 土佐記者】イラン情勢についてですけれども、万が一イランがホルムズ海峡を封鎖した場合に、日本のエネルギー市場やマーケットに対する影響などについて、どういうような状況になると見てらっしゃいますか。

【玄葉大臣】これは我々もまずは最終的に平和的・外交的解決を図れるようにしなければならないと考えていますが、一方で万が一の事態に日本国政府として備えておかなければならないというように考えています。ホルムズ海峡が仮に軍事オプションで封鎖をされたということになっても、私(大臣)は長期戦にはならないだろうと思っています。また経済的にも、そもそもイランにとって得策ではないと。他人を罰するのに自分の頭を打つようなものだと言った人がいましたけれども、まさにそういう状況になるのじゃないかというように思っています。ただ我々としては備えるべきは備えるということで、すでに石油は200日分の備蓄がありますし、LNGも70日分の備蓄があります。仮にホルムズ海峡が封鎖という事態になっても、サウジアラビアは紅海に至る迂回のパイプラインがあって、またUAEもホルムズ海峡の外に向けた迂回のパイプラインを持っています。これで確か650万BDだと思いますけれども、日本はだいたい一日300万BDなのですが、ホルムズ海峡から日本に来る石油は。それでも迂回のパイプラインが全部使えるわけではありませんから、足りるわけではないのですけれども、ただ様々な事態に対応できるように日本政府としてはしっかりと想定をしているところであります。

【朝日新聞 土佐記者】影響は限定的になる可能性が高いということでいいでしょうか。

【玄葉大臣】万が一の事態になっても、国民の皆さんへの影響を最小限に食い止めたいと思っています。まずはそうならないように、外交的・平和的解決を図れるように、今はまず制裁を効果的にしっかり行えるように、日本としても能動的に今行動していますし、一定の効果が少しずつ出てくるのではないかというように考えています。

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外務大臣会見記録(平成24年2月22日(水曜日)17時26分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)ニュージーランド南島地震から一年について

【玄葉外務大臣】冒頭4点ございまして、ニュージーランドのクライストチャーチでの大地震で1年が経過したということでございます。
 犠牲者のご冥福を改めてお祈りを申し上げたいと思います。
 現地では、追悼行事が行われて、犠牲者ご家族の方々も多数出席をされたと承知しております。引き続き必要な支援を行っていきたいと考えております。
 なお、クライストチャーチの地震から一年にあたりまして、野田総理からキー首相にメッセージを発出したところであります。その中で、ニュージーランドの関係者からの犠牲者ご家族に対する配慮や支援に改めて謝意を表するとともに、ご家族の関心が高いCTVビルの倒壊原因の徹底的な究明について改めて要請をしたところであります。

(2)東日本大震災後1年に際する大臣主催レセプション及び在外公館での追悼・復興レセプションの開催について

【玄葉大臣】東日本大震災発災1年の節目に犠牲者の方々を追悼するとともに、諸外国からの支援に対して改めて謝意を表明し、併せて我が国の復興アピール、更には風評被害の緩和に向けてのメッセージを発出するため、3月12日(月曜日)に飯倉公館で私(大臣)の主催でレセプションを開催する予定でございます。
 東日本大震災を機に、国際社会との「絆」の重要性が改めて認識されました。本レセプションでは、そのような被災地と国際社会との「絆」を改めて深めたいと考えております。
 お手元に資料がいっているかもしれませんけれども、主なゲストとして、イスラエル医療チームの受け入れに尽力された佐藤勇・宮城県栗原市長や被災地支援に直接携わった方々として、現在外務省の復興発信使を委嘱している仙台在住のカナダ・日本人混成バンドMONKEY MAJIKの皆さんの他、在日米軍関係者、在日外国人やNGO、ビジネス関係者をお招きする予定でおります。また、被災地の青少年の声として福島県立安積黎明高校合唱団に「復興の歌声」の披露を依頼をしているところでございます。
 また、在外公館210の公館におきましても、3月11日の前後に同様の趣旨でレセプションを開催する予定でおります。

(3)玄葉大臣講演・外交シンポジウムの開催について

【玄葉大臣】私(大臣)は、昨年12月のアジア・太平洋地域のネットワークづくりに関する外交スピーチに続きまして、第2弾の外交スピーチということで、2月28日(火曜日)17時半から政策研究大学院大学にて行うことになりました。
 本スピーチは、我が国のグローバルな国際協力の展開をテーマにして、今年の外交課題や外交日程も見据えながら、グローバルな課題についての取り組みに関する私(大臣)の基本的な考え方と具体的施策についてお話をさせて頂く予定でおります。
 なお、今回のスピーチでは日本外交を担う様々なプレイヤーの重要性についても触れたいと考えていますが、そうしたプレイヤー、すなわちグローバル人材を日本がどのように育成していくべきかをテーマに、スピーチに続いてシンポジウムが開催される予定でおりますので、ご案内をいたします。

(4)TPP(豪州との協議)について

【玄葉大臣】TPP協定交渉参加に向けた協議に関しまして、21日(火曜日)にオーストラリアにおきまして、我が国から派遣された関係省庁担当者が、オーストラリア政府のTPP交渉担当者との間で「交渉参加に向けた協議」を行い、またTPP交渉に関する情報収集を行ったところでございます。
 今回の協議におきましては、オーストラリア側より、我が国のTPP交渉参加への関心を歓迎する旨の表明がありましたけれども、我が国の交渉参加への支持表明にまでは至っておらず、オーストラリア側としては、我が国のTPP交渉参加につきまして、引き続き検討が必要ということでありました。本件につきましては、両国は引き続き緊密に連絡を取り合っていくこととなりました。
 なお、今回の協議の結果は、これまで同様、内容を整理した上で、追って然るべく公表する予定でおります。

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日米地位協定の運用見直し

【NHK 島田記者】本日、沖縄で地位協定の運用見直しによって起訴された軍属に対する判決があり、禁固1年6ヶ月ということですけれども、裁判長は日本と米国で人を死なせたことに対する態度に違いがあると思えず、被告は謝罪すべきだというようにも最後に言っていますが、今回の判決が出たことに、この一連のことに対する大臣の受け止めと、引き続き沖縄の方々は地位協定の抜本的な見直しを求めていますし、それから、先日、総理が予算委員会の中で地位協定を抜本的に見直すといった、そういった協議機関を作ることも含めて検討したいというようにおっしゃっていましたが、これに対する検討状況、あるいは大臣のお考えを教えてください。

【玄葉大臣】ラムジー被告に対する判決がそのようになされたということは承知をしております。この問題は、ご存じのようにいわば軍属の公務中の裁判について風穴を空けた日米地位協定の運用の見直しというものがなされた結果だろうと思いますけれども、判決そのものにつきましては、これは日本の司法に則って出された判決でございますから、これを私(大臣)が、あるいは外務省がその判決の内容についてコメントするというのは差し控えなければならないだろうというように思っています。
 日米地位協定でございますが、これまでも例えば、NATOの地位協定、米韓の地位協定、私(大臣)も相当比較をいたしました。日米の地位協定がNATOの地位協定や米韓の地位協定よりもかなり進んできているということも実態ではないかと思います。 その上でさらに今回、日米地位協定の運用の見直しを二つ行ったということでございます。いつも申し上げておりますけれども、地位協定については、こうした形で一つ一つ改善を図っていくというのが、率直に言えば一番早いと思います。
 これは抜本改定ということになっていったときに何が起きるかと言いますと、相当の時間が、例えば5年とか6年とかという時間がかかるのと、今度、米国側は米国側で言いたい主張がたくさん出てきます。ですから、こうやって運用の改善を一つ一つ積み重ねていって今や一番他の協定より進んだ状態にあると、更に改善を積み重ねていくというのが私(大臣)は現実的だろうと考えています。
 総理も確かおっしゃったように、協議機関云々ということをおっしゃっておられて、正にこれについては検討課題の一つというように受け止めたいという趣旨だったのではないかと思いますけれども、正に日米合同委員会そのものが、こういったことを議論する協議機関なのです。ですから、この日米の合同委員会でさまざまな議論を今後も展開をして、一つ一つ積み重ねの努力を今後も続けたいと考えております。
 同時に、地位協定見直しそのものについては、今後も先般発表させていただいた、いわゆるパッケージの見直しなど在日米軍の再編の問題など喫緊の問題というものをしっかり行っていきながら、然るべくタイミングというものも合わせて検討していかなければならない課題だと考えております。

【琉球新報 松堂記者】今回、米軍族の男性の方が有罪の判決を下されましたけれども、一方で米軍人に関しては死亡事故を起こしても懲戒処分で済まされているケースが続いています、米軍人も今後日本側で裁けるように、裁判権を行使できるように見直すお考えはありますでしょうか。

【玄葉大臣】先ほど申し上げたように、軍人・軍属が公務中で起こした事件についての裁判権は米国側にあるというのは、実は日米地位協定だけではなくて、他の地位協定が全て、米国との地位協定であれば、そうなっているわけです。公務以外であれば、それは日本側が裁判権を行使するということになっているわけです。それを今回一つ風穴を開けて、公務中の軍属について、特に沖縄の皆さまの要望が強かったということがあって、一つの見直しというものを行ったということです。敢えて申し上げれば、ジブチに日本の自衛隊が派遣をされています。ジブチでは、何がどのようになっているかと言えば、公務以外も含めて日本が裁判権を持っているという状況にあります。ですから、そういったことも含めて総合的に勘案しながら、何をどのタイミングで見直していけばいいのか、考えていけばいいのかということを私(大臣)の中でしっかりと考えていきたいと思っています。

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イラン情勢

【NHK 池川記者】米国の国防授権法ですけれども、3月以降、イランとの原油以外での分野の取引が制裁の対象となる可能性がありますけれども、今月中に日本がその例外の適用の対象とすることで合意することができるのか、その見通しと、現在の日米の調整がどの段階にあるのか改めてお伺いさせていただきます。

【玄葉大臣】国防授権法の話でございますけれども、以前から申し上げておりますけれども、相当の理解が互いに深まってきているという状況にございます。おっしゃったとおり、タイムリミットがある話でございますので、タイムリミットまでにはしっかりとした結論が得られるようにしたいというように考えております。

【NHK 池川記者】しっかりとした結論を得たいというお話ですけれども、具体的に今月中には例外適用をできるという手応えが今大臣の中にあるということでよろしいのでしょうか。

【玄葉大臣】例外適用も含めて今回協議の対象にしているということでございまして、一定の理解を得てきているというように考えております。

【東京新聞 岩田記者】先日のぶら下がり会見で相互理解が深まっていると、5年間で40%、その方向で削減していくということで相互理解が深まっているとおっしゃったと思うのですが、この発言は今後もこのペースで削減していくということで理解が深まっているのか、もしくはさらにペースアップして、さらに削減幅を増やす方向で理解が深まっているのか、そのどちらなのでしょうか。

【玄葉大臣】今の岩田さんの問いは、なぜ数字を言わないのかということだと思います。結局、一つはこれは民間企業が行う話です。ですから、民間企業が行う話を、しかも基本的には数字について公表するという前提で民間企業と話をしていないということが一つございます。それとマーケットへの影響というのもございますので、あえて今慎重にしているというようにご理解いただければというように思っています。今おっしゃいましたように50万BDから確か32万BDまで減らしているということです。これまでのだいたいの流れ、どのような形で減らしてきているかはご存じかというように思います。基本的には大きな流れはそういった流れの中で、当然数字の議論も行われていると、理解は深まってきていると、タイムリミットは近いと、こういうことでございます。

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TPP(豪州との協議)

【産経新聞 坂井記者】先ほどオーストラリアの話で支持表明はなかったということですけれども、そうなりますと、今後おそらくオーストラリア側はセンシティブ品目のこととかも念頭にあるのでしょうけれども、そうじゃないのだと日本側が少し踏み込むとかなり党内の反対派がまた荒れる可能性もありますし、突っ込まないとオーストラリア側から支持表明を得られないかもしれないということも考えられます。今後どのようにしてオーストラリアに臨んでいかれるのでしょうか。

【玄葉大臣】米国とは何度も事前協議をするという方向になっているわけです。ですから、オーストラリアと一度で協議が終わるかというと、率直に言えばそう簡単ではないだろうと元々考えておりました。野心的な自由化に対するコミットメントというのを基本的にオーストラリアは求めているというように理解をしていただいて結構だということでございます。どのようにそのようなことに対して対応していくのかと言われれば、正に緊密にオーストラリアと連携をしあう中で、やはり私たちとして、いわゆる交渉のテーブルに全ての品目をのせるんだということについて、きちんと説明をする必要があるというように思います。交渉の中でセンシティブ品目に配慮して交渉を行っていくということなのだろうというように思っています。ですから、高いレベルの経済連携に対して、私たちは大きく前へ踏み出しているわけであります。ただオーストラリアはこれまでの日豪EPAの中での日本側の発言などもありますので、あるいはこれまで日本側のEPAというのは常にタリフラインで80%台ということもありますから、本当に高い野心を持ってコミットしてくれるのかということに、やや疑いがあるのだろうというように推測します。直接まだ報告を聞いてないものですから、担当者が帰ってきて私(大臣)に直接報告があると思うのです。ですから、報告を受けたら対応策についいて検討したいと。どこで何をどこまで双方向で話をしたのかということも踏まえて、私(大臣)として、また関係閣僚それぞれと相談をしながら物事を前に進めていきたいと考えております。

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米軍再編問題

【朝日新聞 土佐記者】在日米軍再編の見直しに関連して、大臣が国会答弁などで、日米同盟などについて、もう少し大きな観点で、大局を持って議論していかなければいけないと言っています。答弁の中では、例えば1996年の橋本・クリントンで打ち出したことであったり、またブッシュ・小泉の会談で、日米で地球的規模で解決するというような発言がありました。今後、新たな日米同盟の深化に向けて打ち出す用意があるのかどうかというところも含めてお話をお伺いしたいと思います。

【玄葉大臣】私(大臣)は、やはり普天間の問題というのは極めて大切で、普天間の固定化は絶対あってはならない話であります。その上ででありますけれども、常に普天間の問題で日米同盟の他の諸案件というものが物事として前へ進まないということに私(大臣)自身もいら立ちを持っていたわけであります。ただ、さはさりながら、いくつかの諸懸案について着実に前へ進めてきた自負もございます。改めて今回、パッケージを外すことでできるところからやっていく、抑止力を維持しながら沖縄の負担軽減について先行させていくということで、日米同盟全体の話というものが進展しやすくなってきたというように皮膚感覚として感じています。
 日米は、先ほど土佐さんが言われたように、1996年に橋本・クリントン会談で、いわば、かつては旧ソ連を対象にした同盟であったけれども、アジア太平洋全体の公共財であると、こういうように位置づけを行ったと思います。2006年の小泉・ブッシュ両首脳の会談では、今度はアジア太平洋というよりは地球的規模での同盟であると、こういうように事実上定義付けたのではないかと思います。改めて、今、安全保障環境が変わってきている中で、アジア太平洋に重心が移ってきていると。さはさりながら、グローバルな課題に対しての日米の連携というものも引き続き必要であるということを踏まえると、やはりアジア太平洋及びグローバルな課題において、日米がまさに同盟関係であるわけでありますから、総合的かつ創造的な、そういう役割分担、そういう日米同盟というものをつくり上げていくということを私(大臣)は考えていかなければならないのではないかと考えています。
 したがって、これはいわゆるハードパワーのみならずソフトパワーもそうだと思います。ハードパワーという意味で言えば、これもときどき国会で申し上げておりますけれども、計画検討であるとか、拡大抑止であるとか、RMCであるとか、更には宇宙・サイバーといった新しい空間の問題も出てきていて、そういった問題をこれは不断に検討して前進させていかなければならない課題です。それらをやはり大きく進展させていくということのきっかけに、私(大臣)は今回の合意はなると思っています。更に言えばソフトパワーだって、これは人的交流であるとか、文化の問題であるとか、あるいはTPPなども、私(大臣)の考えとしては一つの大事なテーマだろうと思っていまして、そういう意味で日米同盟をまた次の段階に引き上げていくということを考えていかなければならないのではないかと考えております。

【フリーランス 上出氏】玄葉大臣のおっしゃったことには大きな前提があると思うのです。憲法の問題、それから、日米安保条約の定義の問題です。本来、極東という範囲、これはさんざんのことですから言いませんが、その辺、現段階でどうしてクリアーできるのかという辺りの説明を、地球規模と言ってしまえば何でも済む問題ではなくて、一つ一つ検討していかなければならない問題があると思うのです。その辺で、基本的な考え方を今の段階で改めて教えていただけますか。一番大事なポイントは何なのかということです。

【玄葉大臣】憲法との関係でという話での御質問だと思いますけれども、まず自衛隊と米軍の役割分担というのはとても大事なことだと思います。自衛隊、我が国自身ができることをしっかりやっていく。特に南西方面に対する緊急展開能力などは、私(大臣)は日本の自衛隊がしっかりと強化をしていかなければならない大事な課題であると思います。更に言えば、さまざまな集団的自衛権などに関する研究というものがなされていると。ただ、現時点で野田政権は、この集団的自衛権の問題については現段階で解釈を変えるつもりはないという問題がある。更に言えば、今の日米安保の話は、憲法というよりは日米安保条約の6条の話だと思いますけれども、これまで累次の機会にわたって申し上げてきたとおり、基本的に日米安保条約はあそこに出ているとおり、極東であるということだろうと思います。
 ただ、日米同盟といったときに、先ほど申し上げたように、極東及び極東周辺ではありますけれども、全体の軍事的展開を、日本も含めて、日米安保条約に従ってどこまでも広げていくという話をしているわけではございません。つまりは、我が国は我が国の法に従ってでき得ることを地球的規模でやらなければいけないことについてやっていくということでありますので、何もかも日米安保条約に従って、例えば地球的規模で日本も含めて活動するというのではなくて、日米同盟そのものがそういった位置づけであるので、日本として日本の憲法に従ってでき得ることを地球的規模で行っていくと。ただ、今、改めてアジア太平洋に重心が移ってくる中で、アジア太平洋の中でまさに、米軍と自衛隊の役割分担のみならず、さまざまな責任の分担というものを考えていかなければならないのではないかと思っています。

【フリーランス 上出氏】今やっていることに関しては、矛盾はないというわけですか。

【玄葉大臣】それは、私(大臣)は矛盾はないと思っています。

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米国産LNGの輸入

【毎日新聞 横田記者】米国からの天然ガスの輸入についてお伺いしたいのですけれども、今日、藤村官房長官が輸入の促進に積極的に取り組みたいという話をされていたのですけれども、大臣として米国からの輸入の意義、また必要性をどういうように位置づけて、外交当局としてどのような交渉をこれまでされてきたのかというのと、一部報道で、首相の訪米時に合意をするのではないかというのがあるのですけれども、その辺の見通しも含めてお願いいたします。

【玄葉大臣】これについては、まだ決まっているわけではありません。経産省の方で副大臣を派遣されたということは聞いています。基本的に、いわゆる輸入先の多様化、そのこと自体は大切なことであると。ただ、たしか米国は輸出を拡大するかどうかというのはすぐ決められる話ではないと私(大臣)は理解しているのです。つまりは、例えば価格に与える影響を始め、さまざまな精査を行っていかないとなかなか結論は出せないのではないかと思います。ですから、恐らく、今、米国の中で調査をしているということなのではないかと思いますので、そういう意味ではそういった調査についてしっかり注視をしていくということであります。
 今回、私(大臣)も1月に中東を訪問して、石油、原油、あるいはLNGなどの議論も多角的に行ってきたところでありますけれども、エネルギー安全保障という観点から、特に今、原発再稼働が行われていないという中で、日本の経済全体、マクロの経済を考える中で、しっかりエネルギー安保の問題についても責任を持っていかなければならないと考えております。

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外務大臣会見記録(平成24年2月21日(火曜日)8時50分~ 於:院内)(動画版他のサイトヘ

イラン制裁

【フジテレビ 村上記者】イラン制裁に関しまして、日本が輸入量を11%で大筋合意という一部報道がありましたが、事実関係をお願いします。

【玄葉外務大臣】この国防授権法につきましては、お互いの理解は相当深まってきているというように考えていますけれども、まだ、大筋合意という状況ではございません。

【フジテレビ 村上記者】数字に関して11%というのは、報告がきているのでしょうか。

【玄葉大臣】結局、5年間で40%削減をしてきたのです。確か50万BDから32万BDという数字はもう公表しています。ご存じのとおりですけれども、そういった方向で今後も削減をしていくのだということで、具体的な数字についてはマーケットの問題等さまざまございますので、現時点では差し控えたいと考えています。

【フジテレビ 村上記者】まだ、大筋合意に至ったというわけではないのでしょうか。

【玄葉大臣】そうです。ただ、相互の理解は相当深まってきている状況だと思います。種々外交ルートを通じて現在も協議を行っていると考えていただいて結構です。

【産経新聞 坂井記者】それに合わせて、邦銀を除外するという部分についても大筋合意をしていないということでしょうか。

【玄葉大臣】まだ、全体が大筋合意に至っているわけではないです。ただ、例外措置の適用も含めて、こちらとしては協議をしたい、あるいは協議をしているという状況です。

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南スーダンPKO

【日本テレビ 野口記者】南スーダンの件をお伺いしたいのですけれども、自衛隊の活動をこれからされると思いますが、大臣として期待するところをお願いします。

【玄葉大臣】国際社会、そして、国連をはじめとする国際機関、あるいは現地からの期待というものは高いと思います。 やはり、日本の自衛隊の能力に対する信頼といったものもあると思いますので、是非その期待に応えていただくように、自衛隊の皆さん大変ですけれども、頑張っていただきたいと考えています。

【日本テレビ 野口記者】外交とか国際貢献から離れるかもしれませんが、南スーダンでは中国がものすごく投資も行っていて、存在感を示しているという一方で、日本はこの自衛隊を派遣しますが、南スーダンにはどういうように関与をしていきべきだと考えておられますか。

【玄葉大臣】南スーダンについては、やはり国造りといったものに、PKOのみならず関わっていくべきだろうと考えておりまして、そういう意味ではODAなども有効に活用していく必要があると。つまり、PKOで行う部分とODAで行う部分というものを効率的に組み合わせていくことが必要だというように思います。基本的にPKOというものは、いわば国際貢献活動というものでありますけれども、ODAで直接、国造りにさらに関わっていくことが必要なのではないかと思います。

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米軍再編問題

【テレビ朝日 花村記者】普天間基地移設に関する環境アセスについて沖縄県知事がかなり厳しい意見を出されましたけれども、環境保全が不可能ということに加えて、これまでの政府の対応に不信感をにじませていますけれども、大臣はどのようなご見解をお持ちでしょうか。

【玄葉大臣】私(大臣)もまだ全てを精査できていません。基本的には防衛省がこれから精査をしていくということだろうというように思っています。そういう報告書が出たわけですから、しっかりそれを受け止めながら精査をし、適切に対応していくと。だからこそ、パッケージを外したということであります。膠着状態を打開して、できるものからやっていく。普天間の移設については、そういう状況の中で強行できるわけではないわけですから、だからこそ丁寧に対応していく必要があるということだと思います。

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外務大臣会見記録(平成24年2月17日(金曜日)8時35分~ 於:院内)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-原子力安全に関する福島閣僚会議の開催について

【玄葉外務大臣】本日の閣議におきまして、本年12月15日から17日まで福島県において「原子力安全に関する福島閣僚会議」を開催するものとし、今後、関係行政機関が必要な協力を行うことについて、了解が得られました。
 東京電力福島原子力発電所事故を踏まえ、事故の徹底検証から得られる知見と教訓を国際社会と共有し、国際的な原子力安全の向上に貢献していくことは我が国の責務であります。
 また、本年を震災からの再生元年とする上でも、復興と再生に向けて着実な歩みを続ける福島県で本件会議を開催することは、時宜を得たものだと考えております。外務省といたしましても、関係省庁、国際原子力機関(IAEA)及び福島県をはじめとする地元の地方公共団体と緊密に協力して、会議の成功に向けて全力を尽くす考えであります。
 また、会議を円滑に実施するため、種々の準備作業を担当する「原子力安全福島閣僚会議準備室」を、本日付で外務省内に設置したところでございます。

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米軍再編問題

【NHK 池川記者】一部報道で米軍再編計画の見直しに関連して、副大臣級の省庁横断チームの検討に入ったというのがあったのですけれども、その事実関係と、もし仮に事実ならば、その狙いについて教えて下さい。

【玄葉大臣】今、正に検討中であります。ですから、どのような性格のものを作ることが適切なのか、あるいはそもそも作るべきなのか作るべきでないのか、作るとしたらどういう性格のものがよいのか、ということについて検討しています。検討は否定しません。

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原子力安全に関する福島閣僚会議の開催

【産経新聞 坂井記者】福島の原子力に関する閣僚会議ですけれども、これは外交と関係しているから言われたのですか。それとも福島選出だから言われたのですか。

【玄葉大臣】外交と関係していまして、日本政府が主催でIAEAが共催ということで、福島閣僚会議という意味は、各国から閣僚が、日本の閣僚ではなくてです。確かにこのネーミングは少し誤解を与えやすいと思うのですけれども、各国から原子力関係の閣僚が福島に来ると、こういうことなのです。

【産経新聞 坂井記者】これは何カ国くらい。

【玄葉大臣】これは確か40数カ国ぐらいだったと思いますが、これは調べて、後で事務レベルで発出させたいと思います。かなりの国々になると思います。大きな規模の国際会議になろうかと思います。

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米軍再編問題

【テレビ朝日 花村記者】在日米軍の再編見直しに関してですけれども、これから協議ですけども、経費の負担についてパネッタ国防長官からは少し日本を牽制するかのような発言も出ていますけれども、大臣はこれも含めて協議をしていく考えということでよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】昨日の報道は読みました。公聴会での発言も読みましたけれども、普天間の移設経費に言及しつつ話をされているということでありまして、まだ、その真意はよくわかりません。ただ、いずれにしても、この部隊の移動、人数、そういった経費分担はこれから議論するということでありまして、具体的に我々が何らかのコミットをもう既にしたという事実はありません。正にこれからしっかり議論をしていく、もっと言えば、やはりアジア太平洋の公共財である日米同盟というものをきちんと正面から見据えて、その中で日本と米国の役割分担というものを、もっと大きな視点で議論をしていって、その一部としてそういった問題も出てくる。どうなるかは、まだこれからだと思います。

【テレビ朝日 花村記者】ただ、人数が減ればやはり減額を要求したいというのが普通の考えだと思うのですけれども、その方向でしょうか。

【玄葉大臣】グアムの方ですか。それは全くこれからでありますし、そういうことも含めて議論になっていくでしょう。

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バラク・イスラエル副首相兼国防大臣の来日

【朝日新聞 土佐記者】昨日、イスラエルの国防大臣と夕食を共にされたと思います。どういうお話をされたのか、もちろんイラン情勢について、どういう議論をされたのかということ、日本が今現在、どういうシナリオを描いて、どういう準備をされているか、できる範囲でお話しいただければと思います。

【玄葉大臣】昨日、1時間半、イスラエルの国防大臣と議論をいたしました。言うまでもなく、既に発表している部分については、日本も現在のイランの核開発について深刻な懸念を有していて、「対話」と「圧力」、特にこの圧力というものを効果的に行っていかなければならないと、挑発的な言動は慎むようにといったことも言っているということも紹介した上で、発表するのには適さないようなお互いのインテリジェンスに関する内容等々について有意義な意見交換ができたというように思っております。その上で、私(大臣)は軍事オプションというのはやはり、反イスラエルで団結するという意味ではイスラエルにとってよりリスキーであるということも含めて、軍事オプションに走らないようにということは言いましたけれども、その過程の中でさまざな互いのインテリジェンス、特にイスラエルの持っている情報というのはかなりのものでありますので、そういったことについて、私(大臣)としては国防大臣から話を聞いた、こちらも持っている情報は一定程度ございますので、IAEA等と緊密に連携をとっていますといったことも含めて話をしたということです。

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外務大臣会見記録(平成24年2月15日(水曜日)15時57分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

米軍再編問題

 【NHK 島田記者】パネッタ国防長官が米国の海兵隊の移転先としてフィリピン政府と交渉をしているといったようなことを明らかにしましたけれども、日本政府としてもフィリピンは沖縄の海兵隊の有力な移転先というようにみているのでしょうか。

【玄葉外務大臣】ここは、正に米国がアジア太平洋の中で戦略的な合理性を持ってこれから米軍の再編を進めていくと。当然、在日米軍再編について、私たちは主体的に議論に参加をいたしますし、併せて東アジア、我が国の安全保障のみならず、アジア太平洋全体の抑止力と安全保障、そういったことに関連する話でございますので、当然、主体的に議論に参加していくと。現時点で私(大臣)の口から、どこの部隊がどこにどのくらい行くのだということを申し上げる時期ではないというように考えておりまして、いずれにしても主体的に議論に参加をしていくということでございます。

【NHK 島田記者】主体的に議論に参加されていくと、現時点で大臣からおっしゃるという時期ではないということでしたけれども、日本政府としても公表はできないけれども一定程度情報は得ているということでよろしいでしょうか。
  
【玄葉大臣】これまでも非公式な議論の中で、さまざまな意見交換をしておりますし、これから当然、公式な議論を開始するわけで、特に在日米軍再編に関わることであれば、協議というか議論をしていくということは間違いありません。

【テレビ朝日 花村記者】金曜日に沖縄県の仲井眞知事らが軍転協の緊急要請で来られるということですけれども、新しく当選された宜野湾市長もいらっしゃるということですが、大臣は一連の再編合意の中でも知事とは電話では話されていらっしゃいますけれども、直接お会いにはなっていないと思うのですが、今回そのようなことは検討されてらっしゃいますでしょうか。

【玄葉大臣】これは知事のお立場もございますので、どこでどれだけコミュニケーションをとっているかということは申し上げない方が良いと思いますが、一定のコミュニケーションはとっておりますし、先般もそういう意味では沖縄の振興法、あるいは跡地利用の新たな新規立法の閣議決定の時に直接お会いをしていると。今度またいらっしゃるということでございますので、様々なコミュニケーションを少ない時間ながらもできるのではないかと期待しております。

【NHK 島田記者】先ほどのテレビ朝日の花村さんの質問に関連するのですけれども、仲井眞知事が定例議会で、「先日の日米合意の見直しについてはひとつひとつ確実に実施されるように強く求める」というようにおっしゃっています。その一方で、「普天間基地の名護市辺野古への移設は地元の理解が得られないために事実上不可能だ。日米合意を見直した上で普天間基地を早期に返還すべき」というようにおっしゃっていますけれども、大臣はこの発言をどのようにとらえていらっしゃるのかということと、この日米合意が先日見直しの方向というようになりましたが、こういった状況の中で改めて知事に対して、また地元に対して、普天間基地の問題についてはどのように理解を求めていくお考えでしょうか。

【玄葉大臣】今の状態というのは、一言で申し上げれば、完全な膠着状態だと申し上げても過言ではないと思います。15年間全く動かなかったわけでありますから、それらを動かしていくということが大切なことであります。沖縄の負担軽減を先行させるというところから出発し、普天間の移設もともに進めますけれども、強行ということがあってはならないとすれば、あらゆる努力を払って丁寧に理解を求めるということしかないと思うのです。ですから、あえて私たちは、野田総理の御判断もあり、こういった判断をして、沖縄の負担軽減というものを先行させる。普天間の移設については、まさに理解をしていただくための丁寧さというものを大切にしていくということで、これからも粘り強く御説明を申し上げたいというように考えております。安保環境が厳しさを増しているということについて、私(大臣)は知事はじめ、これまでよりも理解は少しずつされてきているように私(大臣)としては感じております。ただ、今おっしゃったような発言がさまざまなところで知事から発信されているということについては、当然承知をしているところでございます。

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バラク・イスラエル副首相兼国防大臣の来日

 【ブルームバーグ 坂巻記者】中東に関する話ですけれども、バラク・イスラエル副首相が今日から訪日されると思いますが、イランとイラクの緊張が高まる中での、今回のバラク国防大臣の訪日の意義と、また大臣も夕食をされますし、田中防衛大臣、野田総理とも今夕会うかと思いますが、どのような成果を期待しているか聞かせてください。
  
【玄葉大臣】まだ省内で議論を、そのことについて、つまりは、今回の国防大臣兼副首相が来日をされて何をどこまで話をするかの省内検討を,私(大臣)と一緒にしているという段階ではございません。ただ当然ながら、中東和平問題のみならずイランの問題についての様々な意見交換、あるいは議論を行うことになるだろうと思います。イスラエルは言うまでもなく公式な立場表明として、あらゆる手段を排除しないと言っているわけでありますけれども、先ほども申しましたけれども、私(大臣)としては効果的な制裁をしっかり行っていって最終的に外交的・平和的な解決に導いていくということが極めて大切であると考えておりますので、そういった観点から議論を行っていくということになろうかと思います。

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米中関係

 【朝日新聞 松村記者】中国の習近平副主席が公式訪米されて、次期指導者としての公式訪米を果たされて、米国も国賓待遇で迎えられているということですけれども、次期指導部入りが確実視されて以降、まだ訪日は果たされていないと思うのですけれども、日本側としてこれから中国の、次の十年をにらんで次期指導部との関係強化にむけてどのように考えていらっしゃるのか。また明日から日中国交正常化の開幕式ということで、40周年のキックオフが始まりますけれども、経済関係でどのような強化を考えていらっしゃるのかお聞かせください。

【玄葉大臣】今次期指導者と目される習近平副主席が米国を訪問されているということでございますけれども、米国と中国がお互いに理解を深めるということは,そのこと自体大変良いことであると思います。以前も申し上げましたけれども、日米中の戦略的な安定性というものが今の時期ほど重要性を持っている時期はないというように思っております。我々は米国とは同盟関係でございます。中国とも戦略的互恵、ウィン・ウィンの関係を築くと、中国の発展はチャンスであると、こういうように言っているわけでありますので、そういう意味で日米中の戦略的な対話を行いたいということはかねがね申し上げてきているところであります。中国との経済での関係ということでありますけれども、まずはやはり日中韓の投資協定が大事ではないかというように思うのです。投資協定が結ばれるということはかなりのレベルで投資環境が整うということになりますので、正に文字通り中国の発展は日本のチャンスであるということを、いわば実現をしていくものということにつながるのではないかと考えています。

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イラン制裁

 【フリーランス 小山氏】この一週間の間に3ヵ国でイスラエル外交官に対するテロが行われまして、その結果、おそらくイスラエルがイランを攻撃するときは核施設だけを狙うのではなくて、全面戦争になる危険性が高いと思います。そうするとホルムズ海峡が閉鎖される可能性も一段と高まると思うのですが、日本向けの原油が80%から85%があそこの海峡を通ってきていると。それが通らなくなるということは日本経済に相当なダメージを与えるわけですが、迂回して別のルートで日本に持ってくることを検討されていると思うのですけれども、8割をそっくり日本に迂回させて持ってくることは無理だと思うので、80%のうちの何割を迂回して日本に持ってくることにしているのでしょうか。そういうことができるのでしょうか。

【玄葉大臣】イスラエル人に対するテロ行為については、昨日、声明を出させていただいたところです。今のご質問の趣旨はホルムズ海峡が封鎖をされた場合というご趣旨だというように思います。先だっても確か小山さんがこの件について質問されたと記憶していますけれども、確かに日本の原油の84%がホルムズ海峡を通過しています。LNGも20%弱がホルムズ海峡を通過しています、もっと言えば、日本だけではなくて、世界全体の石油の確か2割くらいはホルムズ海峡だというように記憶していますけれども、そういう状況になったときにどうするのか、あるいはそういった状況のときのことを様々想定しているのかというお話だと思います。率直に言えば、ありとあらゆる想定は当然ながらしております。どこにどれだけ迂回のパイプラインがあるということも含めて、すべて想定はしております。どのくらい備蓄があるかということも含めて、全て想定をしております。総理もこれは国会で答弁をされたように、さまざまな事態を想定して、私たちができることということについても検討がなされています。
 ただ、何より現時点で大切なことは、そういった想定をしつつも、そういった事態にならないようにどうしていくかということが大切だと思います。それは、いつも申し上げますが、効果的な制裁を行うこと、効果的な制裁たり得るためには国際協調が必要であると。国防授権法が米国で成立をしましたけれども、そういったことに対して私たちはイラン産の原油の輸入を削減する方向ということで最終調整中、これは例外適用も含めて最終調整中ということでございます。
 その制裁が効果的になるためには、さらに申し上げればインドとか中国に対する働きかけというのも必要になってくるということだと思います。効果的な制裁を行うだけで物事が解決するかどうかということもございます。やはり、どこかの段階で対話というものが行わなければならない。私たちはイランに対して一定程度の歴史的な友好関係があるわけでありますから、これまでもあらゆるレベルでの働きかけを行ってきておりますけれども、今後も適切な時期に働きかけを行っていきたいというように考えております。

【毎日新聞 横田記者】イラン制裁の関係の米国の国防授権法の関連で、米国政府が指針というものを発表したのですけれども、これについては数量とかそういうような目標は盛り込まれなかったのですが、今月末までに何らかの結論を得なければいけないという中で、日本で1回、米国で1回、実務協議をやってきておりますけれども、今後の協議日程、また、実務者協議という形をもう一度やるという必要性があるかどうかも含めてお願いいたします。

【玄葉大臣】まだそこの打ち合わせはしておりませんけれども、先般も申し上げましたが、一言で言えば、先ほど申し上げたような、例外適用も含め、今議論をしていて、最終的な結論に近づいているという状況ではないかというように思います。ただ、まだ結論に達したというわけではないということでございます。

【フリーランス 小山氏】先ほど大臣はベストケースシナリオについて御説明になりましたけれども、私がお伺いしたいのはワーストケースシナリオです。その場合、準備はできているということでございますけれども、それ以上詳しくは説明できないということでございますか。

【玄葉大臣】率直に申し上げて、ワーストケースシナリオをこういう場で私(大臣)が申し上げることが本当に適切なのでしょうか。つまりは、それは先ほど指摘をされたシナリオ以外にもさまざまなシナリオがあり得ると思います。ですから、そういったシナリオについて具体的に、その場合は我々はどこからどういうように原油を持ってくるとか、そういったことを具体的に、今、この場で申し上げることは、私(大臣)は適切ではないと思っています。

【フリーランス 小山氏】政府だけではなくて、国民も企業も備えなくてはいけないわけです。それはどういうことになるのかということを知らないと備えようがないわけですね。

【玄葉大臣】例えばホルムズ海峡の封鎖の可能性をどのくらいに見るのかとか、そういったことについて、例えば現時点でどこかの外相が今みたいなことを具体的に語っているかと。私(大臣)は承知していません。ですから、それは我々の中でしっかりと検討していくことが大切で、そうなったときに国民の皆さんに対してしっかりとした対応がなされるように備えておくということが大切なのではないでしょうか。

【フリーランス 小山氏】ただ、日本みたいに9割を中東から原油輸入している国というのはないのです。日本が一番最大の被害を受けるわけです。ですからお伺いしているわけなのです。

【玄葉大臣】日本だけではないと思います。中国だってかなりホルムズ海峡から通過をしていると思います。それぞれの国が最悪シナリオについてあからさまにすべてを語る、そういう状況なのかどうか、また、そういう時期なのかどうかということをよくよく考えて私(大臣)は発言をしなければならない立場だというように考えています。

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外務大臣会見記録(平成24年2月14日(火曜日)10時35分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)イスラエル外交官等を標的とした攻撃について

【玄葉外務大臣】冒頭は二点ございます。一つはイスラエル人の外交官等を標的とした攻撃についてでございますけれども、我が国は、2月13日、インドのニューデリー及びグルジアのトビリシにおきまして、イスラエル外交官等を標的とした攻撃が発生したことに強い衝撃と憤りを覚えます。こうした行為はいかなる理由においても正当化されない、我が国は罪のない人々を無差別に標的にする残虐な行為を強く非難するとともに、負傷された方々及びご家族の方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
 これら事件の背景事情には未だ不明な点が多くありますけれども、我が国としては憂慮を持って注視しているところです。 なお、現地大使館が警察に確認しているところ、これまで、邦人被害に関する情報はございません。

(2)国際テロ対策・組織犯罪対策協力担当大使について

【玄葉大臣】サイバーの話でありますが、本日、篠塚保国際テロ対策・組織犯罪対策協力担当大使の所轄業務に、サイバー政策を追加して、「サイバー政策担当」として発令することに致しました。
 サイバー問題につきましては、国際社会における協力がますます重要になってきております。これまでも外務省は、サイバー問題に関するタスクフォースを開催して、政策立案や調整を行ってきましたけれども、この度、タスクフォースの長を大使級に引き上げて、今後、より積極的にサイバー問題に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

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米朝協議

【テレビ東京 秋山記者】米国の国務省が、今月23日に米朝協議を北京で行うといううに発表しましたけれども、これをどのようにご覧になっていますでしょうか。それと、六者協議が今後どのように進展していくか、大臣のご意見をお願いします。

【玄葉大臣】米朝の協議・対話については十分承知をしています。協議はこれからでありますけれども、この間も米国、あるいは韓国等と極めて緊密に連携をとってまいりましたので、だいたいこのタイミングで米朝対話が行われるだろうと考えておりました。
 中身について、私(大臣)がこの場で申し上げるのは適切でないというように思いますけれども、いずれにしても、米朝対話が実りのある議論になるように期待をしたいと思っております。引き続き米国、あるいは韓国等と緊密に連携を取り合いたいと考えております。

【テレビ東京 秋山記者】具体的にどのような進展を期待されていますでしょうか。

【玄葉大臣】そもそも、いつも繰り返して申し上げていますけれども、私たち自身は拉致・核・ミサイル、包括的にこの問題を解決をすると。そして、北朝鮮との不幸な過去を清算して国交正常化が基本的な方針であります。米朝対話の中では、さまざまなことが話し合われるというように思われますけれども、言うまでもなく、現在のウラン濃縮の問題等は当然強い関心事項になるだろうと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、拉致・核・ミサイルを包括的に解決していくということが、日本政府の基本的な方針であるということに変わりはないということであります。
 リスクと機会と両方あるわけでありますけれども、リスクに備えつつ機会をどうやって作り出すかということについて、この間もさまざまなことについて我々は考え、また、いろいろなことをしてきたわけですけれども、今回米朝対話が始まるということ自体は良いことであると思っています。

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米軍再編問題

【NHK 島田記者】沖縄の基地負担の関係で、大臣は先日、「一般論として、全国で負担を分かち合うというようなことも大事ではないか」とおっしゃっていましたが、今後そういった考え方で日米間で検討されていくのかということについてはどのように思っていますか。

【玄葉大臣】私(大臣)は、そのことは外務大臣になる以前から、本当に常に思っています、一般論としてです。やはり沖縄に米軍の専用基地が74%もあって日本全体、日本国の国家の安全保障を負っていただいている、ご負担いただいているということに対して、私(大臣)は、日本人全体がそのことに思いを至さないといけないのではないかという思いは、もうずっと以前から考えておりますし、今もそう思っております、そのこと自体は。ただ、もうこれも繰り返しですけれども、2月3日でしたか、最初にここでの会見で申し上げたように、沖縄に残る海兵隊の数というのは、これまでの再編のロードマップと基本的に変わりはないと、それは抑止力の観点から変わりはないという中で、これから日米協議を行っていくということに尽きると思います。中身は本当にこれからです。

【NHK 島田記者】中身はこれからというように言いますと、沖縄から出ていく海兵隊については日本国内にということも含めて検討されるのでしょうか。

【玄葉大臣】いずれにしても全く本当に中身はこれからだということです。私たちは、大事なことは抑止力をしっかりと維持をして沖縄の負担を軽減していくという観点から、しっかり日米間で緊密に協議をしていくと。
 先ほど申し上げたことは、あくまで一般論なので、いつも申し上げていますし、これからも、おそらく一生言い続けると思いますので、沖縄の負担が沖縄の皆さんにとってこのくらいならと本当に皆さんが思ってくれるようになるまではです。

【NHK 島田記者】その考え方については、大臣から米国側にも一般論としてではあるけれども、伝えているのでしょうか。

【玄葉大臣】先ほど申し上げたことに尽きます。

【NHK 吉岡記者】あくまで一般論ということですが、このタイミングでそのことをおっしゃると、岩国に見られたように、現場、関係自治体に混乱が広がると思うのです。

【玄葉大臣】だとすれば、言うのをやめます。私(大臣)はあくまで一般論でずっとこの間も言ってきたし、これからも基本的には言い続けるつもりなのですけれども、もし、そういう誤解が生じるならば、それは言うのを控えます。ただ、私(大臣)はやはり日本国の安全保障を日本人全体が真剣に考えていく必要があると。負担が、それぞれ特定の箇所に集中しているということに対して、思いを致すべきだということは、私(大臣)は言いたいのです。それを、誤解して報道するということであれば、それはやめますけれども、私(大臣)は大事なことだと思っています。

【琉球新報 松堂記者】一般論ですけれども、大臣が思ってらっしゃる一般論に基づいて、部下の職員の方に国内分散移転を検討するように指示したことはありますか。

【玄葉大臣】ありません。

【琉球新報 松堂記者】これからするおつもりはありますか。

【玄葉大臣】ですから、先ほども申し上げたとおりであります。

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日豪EPA交渉

【NHK 池川記者】本日から日豪のEPA交渉が外務省で始まっています。日豪EPA交渉は2007年に始まって、5年経った今もまだ妥結の目途が立っていないと思うのですけれども、この交渉を、TPPも脇で交渉参加に向けて、今、検討を進めていると思うのですが、どういうように日豪EPA交渉を進めていくお考えでしょうか。

【玄葉大臣】その前の質問で、若干また誤解を与えるといけないので。一般論であくまで申し上げているので、今回のことと直接、本当に結びつけないでまず考えていただいて、その上で、短期も中期も長期もあります。さまざまなことがあり得ますので、そういうようにお聞きをいただければと、ご理解いただければとまず思います。
  それと日豪のEPAの話でありますが、これはこれで、しっかりと進めたいというように考えています。それは、TPPの交渉について、仮に交渉参加ということになったときに、妥結の時期というものが、まだわかりません。したがって、いつ妥結するかまだわからないというTPPというのがあって、日豪のEPAを確実に合意に向けて進捗をさせていくということは、やはり大切なことでありまして、ある意味、日豪の二国間のEPAが遅れれば遅れるほど、日本は他の国と比べてビジネス環境で劣後するということになりますので、日豪のEPAは、EPAでしっかり進めていく。それは、政府全体として認識が共有されていると思います。その後、例えば、仮にですが、TPP交渉に参加をし、TPP交渉が妥結をしたということになれば、その間にはさまざまな調整規定なり、何なりが置かれるということになろうかと思います。

【NHK 池川記者】問題となっているセンシティブ品目、農産品ですね。この問題はどのように日本政府としては解決の糸口を探っていく形なのでしょうか。

【玄葉大臣】これは、包括的経済連携の基本方針に基づいて、もう既に政府の基本方針というのは決まってございますので、センシティブ品目には配慮を行いながら、しかし、しっかりと交渉をしていくということに尽きるのではないかと思っていまして、そういった扱いについても、もう既に交渉を今しているということでございます。

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米軍再編問題

【産経新聞 坂井記者】岩国の移転についてですけれども、昨日、玄葉大臣が山口県知事に、追加的な負担をお願いをすることはございませんと言われましたけれども、この意向は米国には伝えられたのでしょうか。これまで協議していないと言っていて、急に発言が変わったのですけれども。

【玄葉大臣】ですから、協議していないということでございます。

【産経新聞 坂井記者】協議していないので、当然、お願いすることもないという認識だと。

【玄葉大臣】今まで一切、協議していないということです。

【産経新聞 坂井記者】したがって、お願いするつもりもないと昨日は知事に言われたという理解でよろしいですか。

【玄葉大臣】はい。

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外務大臣会見記録(平成24年2月10日(金曜日)8時25分~ 於:院内)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-TPP

【玄葉外務大臣】TPP協定交渉参加に向けた協議でありますけれども、9日(木曜日)にシンガポールにおきまして、我が国から派遣された関係省庁関係者が、シンガポール政府のTPP交渉担当者との間で「交渉参加に向けた協議」を行って、またTPP交渉に関する情報収集を行ったところであります。
詳細な報告は出張者の帰国後となる予定でありますが、今回のシンガポールとの協議は、全体として非常に前向きなものであったと聞いております。シンガポール政府からは、我が国のTPP交渉参加への関心を歓迎する旨の表明があったところであります。シンガポールからも基本的な支持が得られたというように、私(大臣)自身は理解をしています。
 なお、本10日、マレーシアと協議を行う予定でありまして、今般の結果は、これまで同様、内容を整理した上で、追って然るべく公表する予定でおります。

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米軍再編問題

【TBS 竹内記者】岩国基地の問題ですけれども、地元の知事と市長が「岩国基地への海兵隊の移転がないと政府が示すまでは米軍用住宅の売却を留保する」と話しています。これについて、どのようにお考えでしょうか。

【玄葉大臣】ですから、今までも何回も申し上げているのですけれども、協議していません。そして、岩国の基地というのは、皆様もご案内の通り、再編の中で厚木から空母艦載機がたしか59機、そしてKC130も普天間からということであります。ただグアムに行く分もありますが、そういう現状について私(大臣)としては認識しています。議論しておりません。

【TBS 竹内記者】来週知事と市長が東京に来られるということですけれども、大臣の方から説明されるご意思はありますか。

【玄葉大臣】もしそれはいらっしゃったら、議論していないという状況をご説明申し上げます。

【TBS 竹内記者】先方は、議論していないと、協議していないという大臣のこれまでの発言に関して、これは岩国基地への移転の可能性をまだ含んでいるのではないかと考えているようなのですが、この点についてはいかがですか。

【玄葉大臣】先ほど申し上げたことが全てです。

【NHK 吉岡記者】嘉手納以南の土地の返還ですが、普天間基地返還とは切り離して議論をするというように理解をしているのですが、一方で議論をした結果どうなりそうだという見通しはまだたっていないということでしょうか。

【玄葉大臣】昨日申し上げましたけれども、私(大臣)は正直に申し上げているのですけれども、可能なところから実施をしようと思ってるのです。結局、部隊の構成が関連するわけです。例えば、牧港補給地区キャンプギンザーというところとか、あるいはインダストリアル・コリドー地区などは実は元々沖縄が強く要望しているところです。その他に那覇の港のところが軍港のところがあったり、陸軍駐留施設があったり、キャンプ桑江があったりするわけです。そういう中で、結局部隊の構成を最終的に数ヶ月かけて決めますから、どこから、どれだけ、どの順番で返還できるかというのが決まってくるということでありまして、ただ、ご存じのように海兵隊の数は沖縄から今の人数よりも減っていくわけですから、その分土地の返還は当然進むわけです。ですから、中身については数ヶ月かけて、これからそういったことも含めて決めていくということであります。とにかく、できるところから沖縄の負担軽減先行ということでやっていきたいと思っています。

【NHK 吉岡記者】おっしゃられる部隊の配置のことですけれども、司令部が残るのか実戦部隊が残るのかで相当違うと思うのですけれども、その辺りの協議については。

【玄葉大臣】全て結論から言えばこれからなのですけれども、司令部が残るのか実戦部隊が残るのか、その中で抑止力ということも含めて、私たちも日本の安全保障に資するようにその協議に臨んで、我が国の安全保障の抑止力というものを確保していく、併せて嘉手納以南の土地の返還というものについて積極的に取り組んでいくということになります。

【中国新聞 岡田記者】岩国基地の関連で教えてください。先ほど大臣が岩国基地の再編計画のことは現状を認識しているという言葉がありましたけれども、これは米国から是非移転させてくれと言ってきた場合も日本政府としては協議のテーブルに載せるつもりはないということを示したものでしょうか。

【玄葉大臣】本当に申しわけないのですが、私(大臣)としては精一杯お答えしているのです。先ほど申し上げたとおりでありまして、議論しておりません。そして、私(大臣)は岩国の現状、つまりは再編後の現状、そういうことについて認識をしております。

【中国新聞 岡田記者】打診があったかどうか、まだ政府としては認めていないのですが。

【玄葉大臣】本当に申しわけないのですが、それ以上のことは申し上げられません。

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外務大臣会見記録(平成24年2月8日(水曜日)18時30分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-米軍再編問題について

【玄葉外務大臣】冒頭、私(大臣)から在日米軍再編計画について、ひと言申し上げたいと思います。
 お手元に日米共同で出させていただいた声明が届いているのではないかというように思います。発表文です。それについてひと言申し上げたいと思いますけれども、先週の金曜日だったかと思いますが、私(大臣)から在日米軍の再編計画に関して日米間で柔軟性を持って協議をしているということをご説明をいたしました。その際に、この協議の結論を得るまでには時間はかかりますけれども、一定の方向性は早く示したいという話をしたと思います。今般、お手元のペーパーのとおり、今後の協議の方向性について日米の共通認識が得られましたので、先ほど田中防衛大臣と共に総理のところに参りまして野田総理に対してご報告をし、ご了承をいただいたところでございます。
 冒頭の段落で、まず日米双方が沖縄の負担軽減と普天間飛行場の辺野古への移設について引き続きコミットしていることを確認をしています。そして、柔軟性を持って協議をするということを言っておりますが、いかなる意味におきましても普天間飛行場の固定化を容認するものではないということを、まず明確にしておきたいというように思います。その上で、グアムの持つ戦略的な重要性というものを指摘した上で、海兵隊のグアムへの移転は普天間飛行場の移設の進展に結びつけないで、つまりは結びつけることなく進めるというようにしているわけであります。その結果として、嘉手納以南の土地の返還も可能なところから実施をしていくということでございます。その際、グアムに移転する海兵隊の部隊の構成・人数については見直しが行われますけれども、それによって沖縄からグアムに移転をする人数が減ったとしても、最終的にこれまでの日米合意にある沖縄に残留する海兵隊の規模には変更がないということを確認をしているということでございます。これは金曜日にも私(大臣)が申し上げたところでございます。これまでも何度も申し上げておりますけれども、普天間飛行場の移設につきましては、とにかく沖縄の皆さまの理解を得ながら丁寧に説明をしていく必要があるというように思っております。そのためには、沖縄の負担をできるだけ早期に先行的に軽減をしていく、そして、あらゆる努力をしながら、やはり普天間の基地というのは、その危険性の除去というのが喫緊の課題でもございますので、この問題について丁寧に説明をしながら進めていくことが重要だというように考えているところでございます。
 今回の日米協議は、正にそういったことを可能にするためのものということでございまして、今回の発表はその方向性を明確に示しているというように考えているところでございます。
 沖縄の負担をできるだけ早く軽減する、パッケージを切り離すということにつきましては、仲井眞知事をはじめ地元の皆さまから繰り返しご要望をいただいてきたところでもございます。日米両政府として我が国の安全保障に不可欠な抑止力を担う在日米軍の安定的な駐留を確保するという観点からも、沖縄の皆さまの声に最大限応えていくことの必要性を十分認識をしているところでございます。
 これから、数ヶ月をかけて日米間で精力的に協議を行って結果を取りまとめていきたいというように考えているところでございます。

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米軍再編問題

【東京新聞 岩田記者】元々、グアムの移転と普天間の辺野古移設は、ロードマップで2014年という時期を目標としていました。今回これを切り離したことによって、グアムの方の移転は2014年よりも早くできるという見通しなのか。その辺りの時期の見通しというのはどのようなものなのでしょうか。

【玄葉大臣】ちなみに、普天間の辺野古への移設と、まさにパッケージだったわけです。普天間の辺野古への移設というのは、正確に言うと、2014年とおっしゃいましたけれども、その後のロードマップの変更で2014年よりあと、できるだけ早く、とこういう形になっていると思うのです。基本的にはパッケージでしたから、普天間の辺野古移設がならなければ、グアムの移転というものはならない、嘉手納以南の返還というのもならないというパッケージだったわけであります。そういう意味では、沖縄の海兵隊のグアム移転等について、当然ながらできるだけ早く進むように今後協議を進めていきたいというように考えておりまして、まだ、時期を明示するというところには至っておりません。

【毎日新聞 西田記者】先ほど大臣おっしゃったように、パッケージを切り離すということで、普天間移設そのものに与える影響、固定化を懸念する声もある一方、切り離すことで、どういう進め方、新しいやり方ができるのかと、そういうことも両面あると思うので、その両方お願いします。

【玄葉大臣】今の西田さんの話は、結局今のまま、例えばパッケージで進めていくというやり方は、いわば、普天間の辺野古移設を進めれば、嘉手納以南の土地の返還も行うし、グアムへの海兵隊の移転も行うという、いわば、ある意味、圧力をかけているようなやり方なのです。ですけれども、私たちは、やはり今のこの膠着状況というのは、なかなか今のままでは打開することは私(大臣)は難しいというように判断しています。したがって、沖縄の皆様の負担を早期に軽減するというものを先行させるということで、グアムへの海兵隊の移転、そして嘉手納以南の土地の返還、すなわちそれは沖縄の振興に結びつくということで、そういう意味で沖縄の皆様との信頼というものを、やはり少しでも得られるように努力をしていく。これは、先ほど申し上げましたけれども、私(大臣)は今も覚えていますけれども、沖縄に行ったときに、パッケージの切り離しという議論、あるいは要望というのはいただきました。質問も受けた記憶、鮮明に覚えております。つまり地位協定の一つ一つの努力の積み重ねということをしたときに、次の沖縄の負担軽減は何ですか、と言われました、よく覚えていますけれども。やはりこういう形で負担の軽減というものを先行させることで、信頼関係を構築しながら、普天間の辺野古移設、その危険性、そして一方で、やはり沖縄の地理的重要性、戦略的重要性、この普天間にあるこのヘリ部隊というのが、海兵隊全体の統合運用上必要であると。キャンプシュワブにある陸上部隊を運ぶ、あるいは佐世保にある揚陸艦とあわせて一体的に運用されているものだと。これは訓練も同じであると。もっと言えば補給整備を含めたロジスティックもそうであると。したがって、単に飛行場をどこかに移すという簡単な問題では残念ながら無いと。海兵隊一体のものなので、やはりそういう意味で、その持つ抑止力というものについて、丁寧に説明をしていく必要があるということで、いつも米国の議会の状況などで、そのときまでに進展をさせなくてはいけないということを、常に日米ともに言い合うということは、私(大臣)は健全ではないというように思っておりますので、本来の日米同盟の深化に向けて、私(大臣)は大きな前進であるというように考えています。

【ニコニコ動画 七尾記者】海兵隊の移転規模が当初の8千人から4千700人に縮小されるという具体的な報道があるのであらためて教えて頂きたいのですが、人数についての日本政府の考え方についてあらためて教えてください。

【玄葉大臣】もうご存じだと思いますけれども、日米合意の中で元々、海兵隊の数というのはその増減はその時々で実は変わります。あの当時8千人と言ったのは1万8千人いて、8千人を移すということを言っていたわけです。ですから、私(大臣)は、増減するから、抑止力の観点から1万人という言葉をあえて使っているということでありまして、沖縄に1万人残すという日米合意、これは変わらないということでお考えいただければというように思います。それは日米合意ですよ。今よりはずっと減るということです。

【読売新聞 石田記者】今回の発表は共同報道発表となっていますが、共同声明というような形ではないことについて、どういうことだったのかというのを説明頂けますか。

【玄葉大臣】結局、方向性についての共通認識の共同発表なのです。ですから、これから詳細を詰めて、どういう形になるか、2+2になるのかどうなるのか、まだ決めておりませんけれども、詳細が詰められた時点で、本格的な文章というか、これももちろんしっかりとした文書ですけれども、そういったものになるのだろうという理解です。

【共同通信 明石記者】グアム移転というところからローテーション案や分散移転などいろいろのお話が出ているかと思いますが、そういった米側の計画で費用負担に関して、新たな費用負担が生じるのではないかという懸念も出ているようですが、これについての大臣の見通し・所見をお願いします。

【玄葉大臣】移転の詳細は、今、明石さんは「費用負担」という言い方をされましたけれども、率直に言うとこれからなのです。これは日米協定、グアム協定も同じですが、正にこれからの協議ということになります。ただあえて一般論として言えば、これは財政とか費用というレベルを遙かに超えた一般論で言いますけれども、やはり我々がこの日米同盟のこの関係を深化させていくにあたって、今米国も国防戦略を新しくしたという中で、本当に私たちの同盟をどのように考えていくのか、責任の共有というものをどのように考えていくのかということを我々はしっかりとこの機会に検討しなければならないのではないかというように思います。つまり、アジア太平洋の中でどういう戦略的合理性を持った形にしていくのかということについて、当然米国側がきちんと考えていますけれども、日本は日本で当然考えていかなければならないし、その際に例えば宇宙での協力、サイバーの協力、あるいは計画検討、RMCなど、あるいは情報保全の問題などもあると思いますけれども、そういう問題をしっかりとこういう機会に考えていくということが大変大切なことではないか、日米の、もっと言えば米軍と自衛隊の役割分担のあり方も含めて、こういう機会にしっかりと考えていく、その考えていること自体が正に抑止力の向上に資するのではないかというのが私(大臣)の考えであります。

【日本テレビ 野口記者】今回の再編見直しの動きは米国主導で、日本にとってみれば、このパッケージという辺野古移設のテコを失うことになるのではないかという指摘もありますが、この指摘に関してはどういうように大臣はお考えでしょうか。

【玄葉大臣】一言で言えば、全くの間違いだというように思います。もともとパッケージを切り離すという議論は、日本国内でもこれまでも実はございました。沖縄県の要望でもございました。日米ともにお互いが事情を抱えるという状況が昨年末に生まれたわけであります。それは言うまでもないことです。日本は沖縄との関係において、米国は議会との関係において、そういう共に生じている問題を共に克服する、そういう知恵を出していこうということで、まさに一言で言えば日米の共同作業そのものであったわけで、失礼ですけれども、どこかの報道で通告みたいな話がありましたけれども、それは100%間違いでありまして、昨年来から不断に外務・防衛実務レベル、そして、私(大臣)とクリントン国務長官との間でのやりとりも含めて不断に行ってきた結果、こういう形になってきたということでございます。

【毎日新聞 横田記者】普天間の移設に関してですけれども、先ほど大臣は沖縄側に丁寧に理解を求めていくという表現を使われておりましたが、米国側は昨年6月に当時のゲイツ国防長官が1年以内の明確な進展ということを求めていたと思うのですけれども、今回のこのロードマップの見直しの作業が始まることによって、普天間移設を進めていく、この進め方のペースというものが変わるという可能性があるというようにお考えになりますでしょうか。

【玄葉大臣】例えば米国議会の時計に合わせて、6月、7月、8月に我々が具体的なアクションを起こすということが現実にできるでしょうか。というところから私(大臣)は一緒に考えていただきたいというように思うのです。
 率直に言って、私(大臣)は沖縄の皆様の理解をそれまでに得るというのは極めて難しいというように思います。したがって、先ほど申し上げたように、アジア太平洋全体の抑止力、併せて日本の抑止力というものを維持しながら、沖縄の負担の軽減を先行させることで沖縄の皆様の理解を少しずつ得ていくという道を選ぶのが私(大臣)は賢明であると、ベターであるというように考えたということであります。

【NHK 島田記者】今後数週間ないし数か月の間に複数の課題に取り組むというようにありますけれども、まずこの数週間ということなのか、あるいは数か月というのが大体どのぐらいのことを目途で考えていらっしゃるのかということが1点。それから、複数の課題というのは、どういったことについて議論されていくのかということをお聞きしたい。

【玄葉大臣】これは、数週間というのは、これは英語を見ないとというところもありますが、これは作業に係っているのではないでしょうか。数週間ないし数か月の間に作業を行っていく。つまりは、今月もきちんと作業をします、そういう意味だということです。結論を得るまでにはやはり数か月かかるということだと思います。
 それでは、どんな作業なのかといったら、それは先ほど申し上げましたように、いわば移転の詳細というものをしっかりしていかなければいけない。例えば部隊の構成とか、仮にグアムへの移転の数が減るとすればという言い方を先ほどいたしましたけれども、そういった人数の問題、どこにどうなのかとか、当然グアム協定の問題などもあるかもしれません。まだわかりません。そういったことも含めて、さまざまな調整が必要になるということだと考えています。

【NHK 島田記者】それに関連して、ロードマップに示されている計画を調整するというようにありますが、結果的にロードマップをやはり見直すということになるのではないかと思うのですけれども、それについてはやはり2+2でやることが適切だというようにお考えかどうか教えてください。

【玄葉大臣】島田さんがおっしゃるように、英語で言うと、これは「アジャスト」になっているものですから、「調整」という言葉を使っています。おっしゃるように、ロードマップの中には、つまりパッケージのことが、パッケージという言葉ではありませんけれども、きちんと言葉で書いてある。そして、部隊の人数・構成なども書いてあるわけで、やはりその部分についてはまさに何らかの形で変わっていくのだろうと。ただ、「アジャスト」という言葉なので、「調整」という言葉でここでは表現しているということでございます。
  結果として、どういう形でまとめるかというのは、一つは2+2、それは本当に4人そろってやるかどうかは別として、そういうこともあり得るでしょうし、それは今後考えていきたいと思っています。

【ロイター通信 竹中記者】1つは、抑止力を維持する形でということが前提になったと思うのですが、大陸側を前線と見た場合の、それに近いところにまとまった部隊を置いておくというのは、明らかな抑止力になると思うのですが、そこからかなりの部隊を逆に引いてしまうと。それをしながら抑止力を維持するというのは、どういったようにすれば可能なのかということが1つ。
 それから、1万人という数字ですが、これだけは残すということは、何かこういうオペレーションをするためにはこれぐらいの数が必要だということか、あるいは伝わりやすい数ということで1万ということなのでしょうか。

【玄葉大臣】抑止力というのは、一言で定義すれば、攻撃を思いとどまらせる能力のことだと思うのです。その抑止力というものを考えたときに、もともと考えていただければと思うのですけれども、3つのパッケージがそのままパッケージとして実現しましたというのと、今のと、どれだけ抑止力が変わるかと。変わりませんね。むしろ向上するのではないかという意見さえ私(大臣)はあり得ると思っています。
 なぜかと言えば、それはアジア太平洋全体で、例えばA2/AD対策に対して、いわゆる対応するということであるとか、先ほど申し上げたように、今までは常に日米というと、普天間ばかりに焦点が当たると。それは私(大臣)は健全ではないと思います。大事な大事な大事な問題です。ただ、それだけにどうしても焦点が当たるということになってしまいがちだったのです。普天間の移設は、今後も日米両政府は強くコミットしますけれども、同盟深化のために、先ほど申し上げたように、RMCとか、あるいは弾道ミサイルの問題であるとか、そういった問題について、これは情報保全、宇宙、サイバーも含めて、そういったところでより具体的な協力というものを行っていくことが実は抑止力の向上だと思うのです。単に部隊がどこにどう配置されるかだけではないと思うのです。
 ですから、当然、部隊の配置も我々は関心を持っています。ですから、米国は米国で戦略的合理性を持ってこの部隊の配置を考えていると思います。だけれども、我が国の安全保障に資するような、それらが確保できるような部隊構成にできるように、我々もそういう意味では、しっかりと協議をしていきたいと考えています。
 1万人というのは、これまでも日米合意の中で申し上げてきました。1万人の意味するところというのは、それはオペレーション上、いろいろなことはあるでしょうけれども、オペレーションの中身を私(大臣)が申し上げるのは、やはり適切ではないと。ただ、質問に対する答えの冒頭に申し上げたように、結局、今まで3つのパッケージをそのまま実現したと仮定しても1万人ですから、そういう意味では変わらないということです。

【日本経済新聞 佐藤記者】先ほどの普天間の見直しの話で、米国の議会の時計に合わせて、6、7、8月に具体的なアクションを起こすことは、率直に言って難しいというようにおっしゃいましたけれども、普天間の辺野古沖の公有水面の埋立てが6月前後ではないかというように今まで言われていましたが、先ほどおっしゃられた話というのは、そういう時期に埋立て申請を沖縄県側にすることは難しいということをおっしゃったのかどうか。

【玄葉大臣】率直に申し上げますけれども、まだ時期を特定して申し上げることはできないという答弁をずっと続けているわけです。そういう状況を今のような表現を使って申し上げたということであります。それはもう想像していただければ、佐藤さんだってわかるとおり、今の状況の中で、すべてが予定どおりに進むのかどうか。それはなかなか大変な状況だなというのは、すべての方が感じていらっしゃるのではないでしょうか。

【日本経済新聞 佐藤記者】大臣の認識として、少なくとも6、7、8月は難しいと。

【玄葉大臣】ちょっと誤解しないでください。まず1つは、この3つのパッケージをまず切り離さないで今のまま行ったときに、本当にそういう時期を特定して申し上げることができますかということです。私(大臣)は、できないから答弁で、まだ時期を申し上げられるような段階ではありませんということを言ったわけだし、田中防衛大臣は年内という話をして問題発言だと、こう取り上げられたわけでしょう。ですから、切り離して、そして沖縄の負担の軽減を先行させて、丁寧に説明をしてと、それはいつ理解をしていただけるか、それはできるだけ早く理解をしていただけるような努力をするということであります。

【日本経済新聞 佐藤記者】逆に今回切り離した結果、今は難しいと考えられる6、7、8月に申請をする可能性というのは出てくると考えられますか。

【玄葉大臣】それはまだわかりません。

【朝日新聞 土佐記者】3つのパッケージを切り離すということで、言ってみれば普天間の移設問題は、米議会の時計ではなく、日本の政府の時計で進めるということでいいのかということが1点と、もう一つ、3つのパッケージを切り離すとなると、嘉手納以南の基地が本当に戻ってくるのかどうかという懸念があるのですけれども、そこはある程度の確信があっての今回の発表なのか。

【玄葉大臣】後者の方からお答えすると、先ほど私(大臣)が申し上げたように、嘉手納以南の土地の返還は可能なものから実施をしていく。確かにまだわからないです。わからないという意味は、返還していくのですよ、切り離すのですよ。ただ、結局、普天間の今の飛行場との関連性とか、部隊全体の構成などによって、どこをどこまでということを、今いつまでにということを明確に言うことはなかなかできません。まさにこれからの日米協議です。
 ただ、先行して返還をしてもらう、辺野古の移設が進まなければ返さない、辺野古の移設が終わってからでないと返さない、こういうことではもうないということでありまして、それはこれから具体的に、それはいろいろな要望がございます。例えば5地区の中でもより先行的にここをとか、そういう要望があるのは十分承知をしていますので、そういうことも含めて、どれだけ土地の返還について我々として頑張れるかということだと思っていまして、私(大臣)としては、この土地の返還というのは大事なことだと、嘉手納以南の土地の返還というのは沖縄振興にとって大事なことだと、また沖縄の皆様の要望に応えるという意味で非常に大切なことだというように思っています。
 それと米国の議会の時計ではなくて日本の時計かということでございますけれども、結局それはできるだけ早い方がいいのです。ただ、この間の環境アセスもそうでありましたけれども、結局米国にとってみれば、国防費の削減という事情と、グアムの具体的な進展という事情と2つもともとあったわけです。グアム移転が進まない。そのうちの1つについて、お互いにこの問題で常にやり合うということは、私(大臣)はやはり沖縄の皆様にとってもよくないというように思っていますので、また、日米同盟全体にとってよくないというように思っていますので、そういう意味で、これはもともとは日本の問題です。日本が主体的に考えなければいけない問題で、米国に求める話ではないと私(大臣)は思います。
 ですから、米国も強くコミットしますけれども、やはり日本自身が主体的にこの問題を解決していく、そのための努力をしていく、そういうことではないかというように思っています。

【琉球新報 松堂記者】大臣は、先日の会見で、沖縄の負担は国内で分担することも負担軽減の1つだという見方を示されたと思うのですが、今後の米側との協議の中で国内への分散移転についても協議するお考えはあるのでしょうか。
 あともう一点、パッケージを切り離したとしても、沖縄の民意が県内移設を受け入れる可能性はかなり低いと思いますが、具体的にどうやって理解を求めていくのか。海兵隊の具体的な抑止力も絡めて見解をお聞かせください。

【玄葉大臣】どうやって理解を求めていくのかということでありますけれども、これは先ほど申し上げましたが、海兵隊の持つ抑止力というのは、一言で言えば沖縄の持つ地政学的位置というものが一つあります。
 もう一つは、海兵隊の持つ機動性、即応性というものがございます。しかも、それは統合運用であるということで、ここは沖縄の皆様に今の普天間の危険性の一刻も早い除去とともに、丁寧にご説明をしていかなければいけないと思っています。
 なかなか簡単には受け入れないぞという話でありますけれども、それでも私(大臣)は今、結局すべてが前に何も進まないという状況を選ぶのか。私(大臣)はそれならば沖縄の負担軽減を先行させるという道を選ぶ方がベターである。これは総理も含めて、当然、野田総理の指示に従って行っているわけでありますが、そういう選択をしたということでありまして、私(大臣)は先ほど申し上げましたけれども、米国も含めて沖縄の県民の皆さんの負担をどうやって軽減していくかということを、常に考えています。
 一方、やはり安全保障、外交を預かる立場として、日本の安全保障の体制は、残念ながら安保環境は厳しさを増している中で、抑止力というものをきちんと維持しなければいけない。先ほども質問がありましたけれども、できれば向上させたいと思っておりますので、その点については率直に丁寧に理解を求めていきたいと考えております。
 国内の話は、この間の質問で若干誤解もあったかもしれませんけれども、一般論として本当に聞いていただきたいのです。一般論として。
 私(大臣)はいつも申し上げていますが、米軍の専用基地の74%が沖縄に集中していると。日本全体の安全保障のために沖縄がそれだけ負担をしてくださっていることに対して、私(大臣)は日本人全体がどう考えていくのだということを考えないといけない。みんなでこの負担を分かち合おうという気持ちを私(大臣)は持たなければいけないと思っておりますので、これは別に残りの人たちをどうだこうだという話ではなくて、一般論として私(大臣)は全国で負担を分かち合うと。
  ただ、全国でと言っても地理的な問題というものがどうしてもあります。ですから、そういったことも含めて物事を考えていくということではないかと思っています。

【中国新聞 荒木記者】国内で分散させるというところに関連しますけれども、報道の中で沖縄の海兵隊を山口県の岩国基地に移転させる案を米政府が打診してきたというものがあって、地元では大きな反発が起きているのですが、率直に説明していただきたいのですけれども、どういう打診が来ているのか。報道がこれだけ出ている中で協議はしていないと説明されているのですが、はっきり言って地元はかなりの不信感を持っています。どういうレベルにせよ米国政府から何らかの打診があるとするならば、きちんと説明をしていただきたいと思うのですが。

【玄葉大臣】協議をしていないという一言に尽きます。

【中国新聞 荒木記者】打診は受けていないのですか。

【玄葉大臣】協議はしていません。協議もしていません。

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TPP

【読売新聞 上地記者】TPP交渉についてですけれども、もっとも、議会の承認が必要など、手続に時間がかかると見られている米国との事前協議が今回初めて開かれたわけですけれども、その協議が行われたことについての大臣の所感と、発表された資料の中に米国側から例示的に農業、自動車、保険・急送便、分野横断的事項の4分野についてパブリックコメントからのハイライトの紹介があったということですが、もう少し具体的に日本のどのような制度が業界団体の方から問題視されていると指摘があったのか。また、それについて日本側からどのような説明を申し上げたのかといった点を教えてください。

【玄葉大臣】ここは率直に申し上げまして、文書で出ている以上のことはそんなにしていないのです。今回、たしか2時間ぐらいだったのではないですか。どうも、私(大臣)が聞いた報告だと、米国側の準備がまだ十分整っていないと。つまりは、パブリックコメントをしました、業界団体から話を聞きました、例示的に4つの分野をまさに出したと。一方、日本は包括的経済連携の基本方針、私(大臣)が国家戦略担当大臣のときに書いたのですが、あの方針を説明したということであって、ただ、具体的にいくつかあったなと思ったのは、米国から公的医療保険制度の廃止、そして、単純労働者の移動の受け入れ、これはもう米国がTPP交渉参加国に要求していることはないということをはっきり言ったと。このことは非常に意味があったのではないかと思っています。いずれにしても、今回の日本の基本的な考え方は言いましたので、米国側が日本側の伝えたことも含めてどういうように臨んでくるかということではないかと。日本としては、包括的経済連携の基本方針でいくのだということを言いましたから。ですから、今後とも緊密にこの協議を進めていきたいと思っています。

【NHK 池川記者】今、大臣の方から米国から公的医療保険制度の廃止、単純労働者の受け入れについては求めていないという旨、はっきり説明があったことは意味があったと思うということですが、繰り返しになってしまうのですが、どのような意味があったのかともう少し、この辺りは慎重な考えを示している方に対して、すごく心配されている点であるので説明していただきたいというのと、もう一点、関税の撤廃について、センシティブ品目の取り扱いについて米国側は包括的な協定を目指しているとだけしか言っていません。これは米などの重要品目について除外というのはあり得るのかどうなのか。日本政府としての受け止めをお聞かせください。

【玄葉大臣】公的医療保険制度の話というのは、おっしゃるとおり心配をしている方々が多いものですから、明確にそういうことはないのだということを米国側が我々の情報収集による我々の言葉ではなくて、米国側が言ったという、そういう意味が大きいのではないかと考えています。
 その次の質問の、いわゆるセンシティブ品目の扱いでありますけれども、これはセンシティブ品目に配慮を行いつつ、すべての品目を自由化交渉の対象とするというのが包括的経済連携の基本方針でありますから、全くそのとおり説明をしているということであります。
 ただ、私(大臣)は国会の中でも申し上げていますけれども、やはり本来、センシティブ品目などの扱い、今、率直に言って、情報収集によればまだまとまっていません。これは交渉そのものであって、交渉の中でしっかり勝ち取るべきは勝ち取り、守るべきは守るというのが、私(大臣)は本来の姿ではないかと考えています。

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外務大臣会見記録(平成24年2月7日(火曜日)8時42分~ 於:院内)(動画版他のサイトヘ

米軍再編問題

【日本テレビ 野口記者】在日米軍の再編に関連しまして、現地時間の6日に日米の審議官級の協議が行われましたが、これに関して報告は大臣のところにどういったものがきているでしょうか。

【玄葉外務大臣】それについては、まだございません。

【日本テレビ 野口記者】一部報道で同じく再編問題に絡みまして、本来海外に移転するとされていました海兵隊のうちの一部が日本国内の岩国基地にも移るのではないかというように報道されておりますが、この事実関係につきましては。

【玄葉大臣】岩国への移転という報道がありますけれども、日米間でそういう協議を行っているという事実はありません。

【日本テレビ 野口記者】協議はしていないのですか。

【玄葉大臣】協議はしていません。

【日本テレビ 野口記者】今後、その協議のテーブルの上に載ってくるという可能性も今の時点ではないのでしょうか。

【玄葉大臣】移転の詳細というのは正にこれからでありまして、先般も申し上げましたけれども、まず、米国側の事情も確かに予算教書の問題がありますから、その時点で方向性だけは出したいと思いますけれども、そういった詳細については時間をかけて議論をしていく必要があるというように考えています。

【日本テレビ 野口記者】13日に米国の予算教書が出されるわけですけれども、それに合わせて日本側でも何らかの発表があるのではないかと。

【玄葉大臣】日米両政府とも同時期に発表しなければいけないというように思って、連絡・調整をしております。

【日本テレビ 野口記者】13日にはこだわるのでしょうか。それより前倒しでということは。

【玄葉大臣】それはまだわかりません。もう少し前倒しになるかも知れませんし、今後数日以内といったところではないしょうか。

【毎日新聞 横田記者】岩国の関連ですけれども、考え方として、元々のロードマップですと8000人が国外のグアムに行くということになっていたのですが、今後の見直しの作業の中でも負担軽減の観点では国外に行くことが望ましいと考えられますか。

【玄葉大臣】とにかく、岩国の話は全く協議していませんので、その上で言うと、負担軽減という意味で国外という面と、もう一つは、いわば全国で負担を分かち合うという意味と両面あるのではないかと思います、一般論として言えばです。ただ、私(大臣)が最初のぶら下がりで申し上げたように、日米合意に元々ある沖縄に残る海兵隊1万人というのは変わらないと、ここをきちんと押さえながら柔軟性を持って議論している。もう一つは最初から普天間の移設先は辺野古であるというのは日米両政府とも強くコミットし続けるということを大前提に、その中で共にどうやったら抑止力を維持したまま沖縄の負担を軽減することができるのかということで、その中の柔軟性を持って議論しているということであります。ですから、その中で沖縄の負担のできるだけ早期軽減の可能性というものを追求しているということであります。

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TPP

【NHK 池川記者】明日の未明、TPPの日米事前協議第1回目が始まりますけれども、米国側から自動車、牛肉など様々な関心事項が寄せられていますが、大臣はこの協議について、日本政府としてどのような姿勢で臨むおつもりなのか、あらためてお教えください。

【玄葉大臣】米国はご存じのようにパブリックコメントをして、また利害関係者から様々な意見が出ていると。基本的には肯定的な意見が多いですけれども、ただ関税障壁・非関税障壁についていろいろな注文がその中にありますので、やはり注意を要すると思うのです。ですから、当然、米国自体がそういった中で何を求めてくるのかということをきちんと見極めて、私たちとしてどれが対応できて対応できないのかということについて、間違いのない対応をするということに尽きると思っていまして、まだ米国側から、具体的にいろいろな中で調整をしているのだと思いますけれども、自動車だなんだかんだと報道は先行しておりますけれども、まだ正式にこれを言いたいみたいなことはないのです。ですから、まずそういったことを受けて、私たちとしてどう考えるかということを考えていかなければいけないと思っています。

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総理訪米

【共同通信 明石記者】一部報道で、野田総理訪米の際に日米安全保障共同宣言を発出するということで調整に入るとあるのですが、それについての事実関係はどうですか。

【玄葉大臣】まだそこまで物事が進んでいるという状況ではございません。ただ日米関係、そして日米同盟の深化と言ったときに、どうしても普天間に焦点が当たるということでは私(大臣)はいけないと思うのです。日米同盟の深化というのは、結局これから日米は宇宙であるとかサイバーであるとか、そういった問題についてどう対応していくのか、自衛隊と米軍がどういう役割と責任を分担していくのかとか、そういったこともきちんと考えていく必要があると私(大臣)は思っています。私(大臣)の外交演説にも、注意深く読んでいただきたいのですけれども、日米同盟を不断に検討していくのだという話もいたしましたけれども、やはりそういったことを、より本質的な話をきちんとしていくことは大事なことだと思っています。ただ経済の問題もある、あるいは文化の問題もある、そういった人的交流の問題もありますから、どういうようになっていくかは、予断を持って申し上げる段階ではありません。

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米軍再編問題

【中国新聞 岡田記者】岩国の関係ですけれども、先ほど協議はしていないとおっしゃいましたが、これは米政府から打診も受けていないという理解でよろしいですか。

【玄葉大臣】いずれにしても全く協議していません。

【中国新聞 岡田記者】現在の岩国基地の現状ですけれども、すでに米軍再編で艦載機移転という大きな負担を受けようとしていますが、その辺り大臣として岩国基地の現状認識を。

【玄葉大臣】いずれにしても協議していませんので、今そのことについて申し上げるといろいろな憶測を呼ぶのではないかと思いますので、差し控えたいと思います。

【NHK 吉岡記者】普天間の固定化につながるのではないかという指摘がありますが。

【玄葉大臣】これはよく一緒に考えていただきたいと思うのですけれども、結局米国の議会の時計に合わせて、いつも何月までには何をしなければならないという状態が本当に健全かと、そして沖縄の皆さんにとって良いのかと。私たちは沖縄の皆さんに丁寧に説明をして理解を頂きながら物事を進めていく、辺野古移設を進めていくということを言ってきたわけです。ですから、私(大臣)はそういった我々の考え方、事情、そういったものをきちんと反映できるようなものにしていかないといけないのではないかと考えているということです。

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外務大臣会見記録(平成24年2月3日(金曜日)19時30分~ 於:大臣接見室前)

在日米軍再編について

【玄葉外務大臣】在日米軍再編について、一部に報道が出ているということでございました。誤解を生じる恐れがございますので、夜遅く恐縮でしたけれども皆様にお集まり頂いた次第です。
 我が国といたしましては、抑止力というものを維持しながら、沖縄の負担を早期に軽減していくという考えの下で、在日米軍再編の進め方、特に普天間飛行場の移設、及び在沖縄海兵隊のグアム移転が共に進むような方策について、野田総理のお考えにも沿いながら、柔軟性を持って米側と静かに協議をしているところであります。私もクリントン国務長官と直接話をしています。いずれにせよ、現時点で結論が出ているわけではありません。したがって、詳細について述べるのは差し控えなければならないと考えています。ただし、普天間の移設先につきましては、日米とも辺野古が最善であるというような考え方に変わりはありません。また、沖縄に残留する海兵隊の定員が約1万人になる、この点についても変わりはないということを申し上げたいと思います。

【記者】恐縮ですが、一部報道で出ている、誤解を招くような報道とはどういった報道のことでしょうか。

【玄葉大臣】一部ワシントンなどから報道があるというように私(大臣)は承知していますので、その点誤解を生じるのではないかという危惧もございましたので、私(大臣)の方からあえて申し上げた方がよいだろうという判断をしたということです。

【記者】クリントン長官とも話しているとおっしゃったのですけれども、この報道を受けて話し合ったということではなくて、その前に話しているということでしょうか。

【玄葉大臣】先ほど申し上げましたように、抑止力を維持して、かつ沖縄の負担をできるだけ早く軽減をするという方策について、クリントン国務長官と直接話をしてきているということでございます。

【記者】本日の発表は大臣が判断して、今現在されているということでよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】そうです。ただ先ほど申し上げたような前提というか、そのことはあるということです。                                             

【記者】お話になっているのはブルームバーグの報道のことだと思うのですけれども、ローテーションを半分はローテーションにする、半分はグアム移転にするというようなことを話し合っているような事実はないという認識でよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】現時点でこれ以上の詳細は差し控えたいと思います。その点はご理解頂きたいというように思います。

【記者】確認ですが、ハワイに千人規模移転という話とはまた違うのですか。ハワイに移転という話も検討されているということですけれども、その話とはまた別ということですか。

【玄葉大臣】いずれにしても、先程申し上げたように、基本的にその日米合意が目指しているもの、それは何かと言えば、抑止力を維持して、かつ沖縄の負担をできるだけ早く軽減していくということだと思うのです。そのことについて、まさに柔軟性を持って静かに協議をしているということでございます。それ以上のことは現時点では申し訳ありませんけれども、まさに協議中でありますので差し控えさせて頂きたいと思います。

【記者】今おっしゃった柔軟性を持って静かに協議していたと。その結果、ロードマップの見直しにつながるということも視野に入れているのですか。

【玄葉大臣】先ほど申し上げましたように、日米合意しているもの、すなわち抑止力の維持、そして沖縄の負担のできるだけ早期の軽減、こういったことについて変わるわけではありません。

【記者】一番最後に大臣がおっしゃられた、1万人の沖縄残留、これは変わらないというお話がありましたけれども、これは変わらないと言った場合、まず、いつまで変わらないということが一点。つまり2006年ないしは2009年の合意ですと、普天間の移設と、この8千人規模の海兵隊がグアムに移ると言うことがリンクしているわけですが、今回のお話ですと、当面は抑止力を維持するために沖縄に海兵隊が残留すると。

【玄葉大臣】ご存じのように、今、1万人以上海兵隊がいると、存在するというのが実態だということです。いずれにしても、詳細は今は申し上げるのは差し控えなければならないと思っているのです。協議中ですから。ですから、先ほど申し上げましたような観点で、やはり一定の柔軟性を持ちながら、考えていかないといけないのではないかということで、協議をしているということを今日は申し上げたいということであります。

【記者】米国の予算教書が2月の中旬に出る予定ですけれども、それまでには一定の結論を日米間で得られるという見通しでしょうか。

【玄葉大臣】今申し上げた観点で、協議を今していますので、必ずしも予算教書になるかどうかは分かりませんけれども、結論が得られた時点で、きちんと発表させて頂きたいというように思っています。

【記者】この今晩のぶら下がりというのは、誤解を解くためにと言われましたけれども、ブルームバーグの、半分ぐらいをグアム以外の所に分散させるという報道を否定するわけでも肯定するわけでもなくて、そうなると誤解のままになっちゃうのですけれども、失礼な言い方ですけれども、何のためにぶら下がりをやっているのですか。

【玄葉大臣】協議をしているということについて、きちんとお伝えをしないといけないのではないかと。一定の柔軟性を持って協議をしているということについて、おそらくご存じがない方々が多いのだろうというように思いますので、そのことについてはきちんとお伝えをした方が良いというように考えたということです。

【記者】グアムの8千人移転についての協議ということですか。

【玄葉大臣】ですから、先ほど申し上げましたように、まさに普天間の移設、そしてグアムの移転、共に進む方策について、より柔軟性を持って考えていこうということです。

【記者】つまり今までは沖縄の海兵隊8千人プラス家族9千人がグアムに行くということが決まっていたと思いますけれども、それを柔軟性を持ってということですか。

【玄葉大臣】そこは、ですからこれ以上は今日のところは、私(大臣)から申し上げるのは控えたいということで、それはですから柔軟性を持って、今協議をしているということでございます。

【記者】一度決めたことをなぜ柔軟性を持って協議しなければいけないのか。柔軟性を持とう、協議しようというようになった理由というのは。

【玄葉大臣】それは大体想像して頂ければお分かりの通り、それぞれを巡る状況というものがあるわけでありますので、そういったことを踏まえて、協議をしているということであります。

【記者】その柔軟性の中には、これまでグアム移転というのと普天間の移設というのがリンクされていたと思うのですけれども、それを切り離すことも含まれているのでしょうか。

【玄葉大臣】現時点でこれ以上のことは、今日は差し控えたいと思います。

【記者】今おっしゃられた協議というのは、米国の新しい国防戦略を受けて、あるいはオバマ政権が巨額の財政赤字を削減するために、太平洋にシフトしつつという一連の流れが年末ぐらいからあると思うのですが、それを受けて新たに始めた協議、柔軟性を持ちながらというのは、そこから始まっているという理解でしょうか。

【玄葉大臣】いつからというのが、どこまで申し上げたらよいのかということはありますが、こちらも主体性を持って、先ほど申し上げたことに尽きるのですが、巡る状況と、これは互いの巡る状況というのを踏まえて、協議をしているということであります。

【記者】柔軟性の中にブルームバーグにある案もその中に入っていると。それは否定しないということになるのでしょうか。つまり、その内容も柔軟性を持って協議している一案の中にあるということでしょうか。

【玄葉大臣】いずれにしても、先ほど申し上げたように誤解のないようにと言っているのは、きちんと海兵隊が沖縄に1万人ということといわゆる普天間の辺野古移設が日米両政府にとってベストであると、そのことについて変わりはないということを、これはもしかして今後さまざまな報道があって、ブルームバーグに限らず誤解を与えてしまう可能性があるわけです。ですから、先ほど坂井さんの質問にもありましたけれども、そういったことについてはきちんとお伝えしておかないといけないのではないかということで、夜分申し訳なかったのですが、こういう場を持たせていただいたということであります。

【記者】1万人が残ることがベストであって、また片一方で沖縄の負担軽減も図らなければいけない。今回の1万人のうちのある一定の規模が普天間の移設が陽の目を見る前にグアムに移転するという可能性については。

【玄葉大臣】今、1万人以上いるのです。ですから、1万人以上いるわけで、その1万人というのは抑止力の維持のために必要であるという両政府の認識があるということであります。それは誤解のないように。ですから、あえて先ほどわざわざ申し上げたということであります。抑止力を維持することは、安保環境が厳しさを増している中で、絶対に必要なのです。同時に沖縄の負担をできるだけ早く、沖縄の皆さんの立場に立ったときに軽減していかないといけないと。私(大臣)はこれまでもずっと言ってきたと思います。抑止力を維持して、沖縄の負担をできるだけ軽減していくのだと。これまでは地位協定の運用の改善で一つひとつ目に見える成果を出してきたと。努力を少なくとも重ねてきたつもりです。今度はまた、どういう形でできるのかということについてトライしていると考えていただければと思います。

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外務大臣会見記録(平成24年2月3日(金曜日)10時28分~ 於:大臣接室前)(動画版他のサイトヘ

米国防授権法に関する第2回日米実務者協議

【テレビ朝日 小野記者】ワシントンでイラン制裁について協議が行われたようですけれども、これまでどのような報告が上がっていて、改めてご所感をお願いします。

【玄葉外務大臣】事前に協議の方針の打ち合わせを私(大臣)ともいたしまして米国に向かったわけですけれども、結果は良い雰囲気の中で確実に進展が得られたというように報告を受けております。言うまでもなくイランの核開発に対する懸念というものは共有をして国際社会で協調していく、このことがまず大事であると。その上で例外措置の適用も含めて今回協議を行ったということであります。その点について、先ほど申し上げましたように確実に進展があったという報告を受けています。できるだけ早期に協議を終えることができるようにしたいと考えております。

【産経新聞 坂井記者】確実な進展というと、それだけではよく分からないのですけれども、どういう進展があったのですか。

【玄葉大臣】先ほど申し上げたように、正に行く前に皆さんから質問を受けたときに、「今回の協議は何を協議するのですか」と言われたと思います。そのときに申し上げたのは、原油取引、非原油取引について、特に国防授権法の解釈・運用についてしっかりと詰めをしていかなければならない、日米間で緊密に協議をしていかなければならないということを申し上げたというように思います。数字は言えませんけれども、国際協調の中で私たちの考え方を含めて提案をし協議を行って、双方の考え方が共通の認識にだんだん至るようになってきているということであります。

【産経新聞 坂井記者】削減するかどうか、その辺りはまだはっきりは決まっていないということでしょうか。

【玄葉大臣】これまでもずっと申し上げてきましたけれども、国際協調が大切であると。イランからの原油の輸入については削減する方向で検討している、削減する方向ですとこの間言ってきたわけです。今回具体的な数字も言いましたけれども、ただ、それは正に協議中でありますから、公表することはできません。ただ、そういったことも含めて、例外措置の適用も含めて緊密に協議をして、確実に進展があったということであります。

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国連機関による北方領土島民へのアンケート

【北海道新聞 相内記者】一部報道ですけれども、北方領土に関する報道です。国連開発計画という国連機関が北方領土国後島への国内外からの観光客誘致などを目的に、島民を対象にしたアンケートを行っていたことがわかったと。これはロシア政府の依頼に基づいてそういうアンケートをやっていたことがわかったという報道がありましたが。

【玄葉大臣】それは私(大臣)は聞いていないので、すみませんが、調べます。

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太平洋・島サミット

【共同通信 池田記者】別の一部報道ですけれども、5月に行われる島サミットで、野田総理が自然災害に対する保険を国際的に呼びかけるという報道があったのですけれども、こういった検討というのはされていらっしゃるのでしょうか。

【玄葉大臣】これはしています。やはり太平洋諸国は地震・津波に対する懸念というものを有しているわけでありまして、今年の太平洋・島サミットの主要議題の一つはこの自然災害への対応というものにしたいと考えていまして、その際は「自然災害リスク保険」といったものも取り上げていきたいというように考えております。

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米国防授権法に関する第2回日米実務者協議

【NHK 池川記者】イランの続きですけれども、国防授権法の例外適用の話というのは、今回米国側からは日本側に例外を適用しますというような言質が取れたというようなことなのでしょうか。

【玄葉大臣】今、先ほど申し上げた以上のことは、相手国との関係もありますから、やはり避けなければならないというように思います。良い雰囲気の中で着実な、かつ確実な進展が得られたと、認識は共有に至るところまで来始めているといったところであります。

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外務大臣会見記録(平成24年2月1日(水曜日)18時57分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)日中国交正常化40周年開幕式について

【玄葉外務大臣】本年は、日中国交正常化40周年であります。両国はこの一年を「日中国民交流友好年」として、全面的な国民間交流を推進することで一致しています。これに関して、2月16日、北京で「日中国民交流友好年」の開幕式を行います。
 本開幕式には、直嶋元経済産業大臣が総理特使として出席するとともに、米倉実行委員会委員長や、その他日中の要人が出席する予定でございます。
 本開幕式におきましては、日本政府が、中国において、風評被害の払拭、日本への観光客誘致の促進、被災地支援を目的として行う「元気な日本」展示会の開会式も併せて行われます。「元気な日本」展示会には、「元気な日本」応援団に就任していただく予定のAKB48のメンバーも出演します。
 政府としては、この日中国交正常化40周年という節目を活用し、あらゆるレベル・分野で具体的な協力・交流を数多く積み上げ、日中「戦略的互恵関係」を一層深化させていきたいと考えています。

(2)原発事故対応に関する日本提案(RANETの拡充)について

【玄葉大臣】現在、ウィーンで開かれているIAEAの会合におきまして、我が国は、RANET、これは緊急時対応援助ネットワークでありますけれども、を強化するための提案を行いました。昨日も国会でこの種の答弁をさせていただいた訳でありますけれども、具体的に正に提案を行ったところということでございます。
 RANETとは、原子力事故への支援を円滑にするため、予め各参加国が特定の分野においてどのような支援・貢献が可能かを登録する制度であります。
 我が国は、東電福島第一原発事故の経験と教訓を踏まえて、原発事故を収束に導くためには、いかなる資機材が必要であるかを予め明らかにしておくことが望ましいという考えの下で、「事故収束」をRANETの対象分野に新たに追加して、必要な資機材リストを作成することを提案したということであります。ご存じのように総電源喪失でありましたから、例えば発電機であるとか、電源車であるとか、あるいは冷却のためのポンプ車やホウ酸ナトリウムといったことが対象になってくるだろうと思います。

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日中関係(東シナ海資源開発問題)

【NHK 吉岡記者】日中関係について伺います。日中両国政府は昨年末の首脳会談で、東シナ海を平和・協力・友好の海にするとの合意を具体的な形で実行するために、共に協力することで一致をしています。しかし、会談からわずか1ヶ月後に東シナ海のガス田「樫」でフレアが上がっているのが見つかりました。
 質問は二つありまして、まず一つは菅政権では東シナ海のガス田開発を「戦略的互恵関係の象徴的案件」というように何度も表現して、こういう位置付けをしていたのですが、野田政権でも変わりがないでしょうかということが一つ。
 二つ目は、ガス田開発を巡る条約交渉は1年半以上開かれていないのですけれども、冒頭ありました国交正常化40周年を迎える中でこの問題に進展がなければ、尖閣諸島沖の漁船衝突事故以来、根本的な部分で日中関係は改善していないのではないかという評価を受けかねないのですけれども、大臣のご認識はいかがでしょうか。

【玄葉大臣】まず、「樫」のガス田の話ではないかと思いますけれども、これはいわゆる日中の中間線の西側のフレアということだと思いますが、これはもう2005年の9月以来ということでありまして、最近ということでは実はございません。2005年の9月以来フレアが確認をされていると、このような活動に対しては、この間も中国側に対して「境界画定の合意のない中で一方的な開発は認められない」という抗議・申し入れを行ってきているということであります。
 これはご存じの方も多いと思いますけれども、08年の合意というのは、いわゆる北部の共同開発と白樺であります。その他の海域については、正に日中双方の立場が収斂されていないと、主張が違っているということなのです。そういう中であったということであります。我々の立場としては、当然「まだ主張が違うのだから一方的な開発は行わないように」ということで申し入れをしてきているということであります。それと、いわば東シナ海のこの資源開発の問題の位置付けということでございますけれども、今回も、だからこそ早くこの東シナ海の資源開発について更なる進捗、つまりは具体的に合意をしたことについて国際約束・締結をしっかり行っていこうではないかという呼びかけをしていこうというように思っています。
 全く尖閣以来、進展がないのか、あるいは信頼醸成措置がとられてないのかといったら、それは違うと思います。つまり、私(大臣)が訪中した時もそうでありましたけれども、いわゆる海を巡って海洋機関間同士の信頼醸成の枠組みというのができあがったわけでありますから、そういったことを通じてお互いの信頼醸成というものがなされていくし、誤解とかミスなどによって大きなトラブルが生じないように、そういうメカニズムをしっかり構築していくということが大切なので、そういった進展が確実になされているということは付け加えたいというように思います。

【香港フェニックステレビ リー記者】先ほど、日本側が中国に抗議をしたということですが、中国はどのような反応をしたのでしょうか。そして、もう一つ、境界が画定されていない中での一方的な開発を認めないというのが日本側の主張だと思うのですが、しかし、2008年の合意文書の中で7つの海域以外の海域に関しては中国側としては開発をして良いということを言っています。これに対して日本側はどのようにお考えでしょうか。

【玄葉大臣】今のご質問にお答えいたしますと、正に外交上のやり取りなので詳細にわたっては申しあげられませんけれども、今おっしゃったように、中国側の立場と私たちの立場は違うわけです。つまりは、その他の海域について我々は継続して協議するということでは良いわけでありますけれども、中国側はこれらについては、正に中間線の西側というのは、合意成立後も一貫して含まないということを言ってきていると、立場は違うということであります。我々はそれに対して、まだ立場が違うわけだから一方的な開発を行わないようにという申し入れをしているという状況であります。

【香港フェニックステレビ リー記者】中国側の反応は。

【玄葉大臣】ですから、先ほど申し上げたとおりの立場を言っているということであります。

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日本における高齢化社会への対応

【ムスリムワールド ラーマン記者】本日の新聞では、日本の高齢化の速度は世界でも群を抜いていると、日本は世界一であるということが指摘されています。高齢化が進んでいるということです。
 厚生労働省は、人口に関する研究所において、これは大変危機的な状況だと指摘しています。1960年には11.2人の労働者が1人の高齢者を支えていました。2010年にはこれが2.8人になっています。高齢者1人当たりを2.8人が支えているという構図です。2060年にはこれが1.3人になってしまいます。高齢者1人当たりの労働者が1.3人になってしまうという見通しであります。
 いろいろな国がオーストラリア、カナダに移住して、そこで土地を得て、そして、そこで入植するという政策が行われていますが、日本もそういった政策を考えていますでしょうか。記事では、日本政府がそういった政策を持っているということは書かれていませんでしたが、この重要な問題について政府はどのような政策を検討していますか。

【玄葉大臣】少し確認していいですか。質問は移住するということですか。オーストラリアとか、高齢者の方々が移住するという政策をお持ちかということですか。

【ムスリムワールド ラーマン記者】そうです。日本政府はそういった政策を検討しているかということです。それがいい悪いと言っているのではありません。いろいろな国の農業従事者に土地を与えるという政策が他の国ではとられています。そうすれば、少しは労働者が増えることになるわけです。それで、農業に従事する人が増えるということになるわけです。

【玄葉大臣】今の話は日本人が他国に移住するという意味ですか。逆ですか。

【ムスリムワールド ラーマン記者】違います。貧しい国や世界の国々から農家などを日本に呼んで、日本に移住してもらうという政策です。これまでにもそういった政策があって、貧しい国の農家を移住させると。そして、彼らに農地を与えて農業をさせることが他の国では行われています。これで問題が解決になるかはわかりませんが、50年ほど前にそういったものがあったと聞いています。

【玄葉大臣】ありがとうございます。少子高齢社会が世界に先駆けてやってきたということで、いつも私(大臣)は申し上げていますけれども、社会保障、税、行政改革、政治改革、包括的に改革をなし遂げることで真っ先にこういった困難な問題を克服する、そのことが日本に今、課せられている使命であると思います。
 一つは、当初想定をしていた高齢化のスピードよりは若干は弱まっています。つまりは、特に高齢化というよりは人口減少でありますけれども、以前、私(大臣)は1億人を切る年を2046年と説明していましたけれども、先般の発表だと2048年になったということで、若干スピードが緩和されているというように思います。ただ、本質的にこれから出生率をより本格的に上げていく政策というものが必要になってくるというように思います。更には、いわゆる労働力人口の減少というものをどうやって補っていくかということなのだろうと思います。特に経済成長は生産性と労働力人口で規定されますので、まずは一人当たりの生産性というのを上げていく、そのためのイノベーションというものを加速するということが一つ大切なことだし、アジア太平洋全体の活力をしっかりと我々として取り込んでいくということも必要であると。
 ご質問は、移民の問題も含めてどう考えるのかということだろうというように思いますけれども、やはりこの移民の問題というのは非常に大切な問題、テーマであるというように私(大臣)自身認識をしていますけれども、ただ、さはさりながら、いわゆる高度な、例えば技術あるいは一定の知見といったものを有する労働者に関しては、私たちは特にそれらについて、日本に対して正に入ってきていただくというような政策をこの間も取ってきていると理解しています。
 また、別途、介護士であるとか看護師といった方々に対して、まだまだ十分ではありません。これは大いに改善をしていかなければならないのでありますけれども、そういった方々に対して門戸を開いていくということが、まさに今、喫緊の課題であるということだと思います。
 今後、どこまでそういったことを量・質とも進めていくのかということについては、正にこれからの大切な検討課題であるというように認識をしています。

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沖縄防衛局長による講話

【NHK 島田記者】国会でも宜野湾市長選挙で沖縄防衛局長が職員らに対して講話を行っていたと。一昨年の名護市長選挙でもやっていたということですけれども、非常に国会で、今問題視されていますが、大臣はこのことについてどのように受け止めていらっしゃいますか。

【玄葉大臣】これは、私(大臣)も最終的な報告を聞いていないものですから、報道だと単に選挙に行けと言っただけだという報道もあるようでありますから、まずしっかりと調査結果を聞くということから始めないと誤った判断につながってしまうのではないかと思いますので、まず正確な情報、調査結果というものを待ちたいというように思っています。
 いずれにしても、私(大臣)というよりは防衛大臣の方でさまざまな判断をされるのだろうというように思います。

【NHK 島田記者】特定の候補について投票を呼びかけたものではないというように今のところは言われていますけれども、ただ、こういったことが行われるというのが地元に対して非常に不信感を招きかねない行為であると思うのですけれども、このことがやはり普天間基地の移設問題についてもお願いする立場の防衛局長ですから、不信感は更に高まっているのではないかと思います。今回のことが普天間の問題に与える影響があるかどうかということと、それから、防衛局長については更迭論も出てきていますが、こういったことをされている方が局長をすることが適切であるかどうかということについて、どのようにお考えでしょうか。

【玄葉大臣】ですから、最後の部分については、私(大臣)というよりは防衛大臣が、まさに調査結果を待って、責任を持って判断をされるだろうというように思います。どこまでが真実かというのは本当に報告を受けていないので、あまり軽々に普天間の影響も含めて申し上げる段階には、私(大臣)はないのではないかというように思っています。基本的に普天間は普天間の問題でしっかりと取組みをしていかなければならないというように考えています。

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震災復興

【マイアミヘラルド紙 イヤウッド記者】震災後の復興に関して、ハイチなどからどういった教訓を学んでいらっしゃいますでしょうか。

【玄葉大臣】ハイチから何を学んでいるかということですか。

【マイアミヘラルド紙 イヤウッド記者】そうです。ハイチの復興の経験から、ハイチでどういう対応が行われたかということから、何を学んでいますか。その処理の仕方、ハイチの国民だけでなく、国際社会の対応から何を学んだかということです。

【玄葉大臣】今、日本で起きていること、特に津波、そして原発事故からの復旧・復興というのは、ハイチから学ぶべきものも当然あるのだろうと思いますけれども、それをかなり大きく超えた震災であったと私(大臣)は思いますので、まさに今回、これもまた世界で例のなかった事態に我々は遭遇した。その我々の今回の経験、これは復旧・復興も含めてでありますけれども、むしろ世界に対してきちんと情報を公開して、共有していく。もっと言えば、被災地というのをこれからの日本の再生あるいは地域の再生の先駆例、モデルにしていくことが大切だと思います。
 それは、もちろんハイチ始め、さまざまなところから我々は学んでいかなければならないのでありますけれども、これはかなりオリジナルなものになっていくのではないかと思います。

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TPP

【NHK 池川記者】TPPの事前協議についてお伺いします。米国との事前協議が一部報道では来週7、8日にも行われる方向で調整されているとありますけれども、この事実関係と、日米の事前協議に当たって、どのようなことを話し合うのか。改めてになるかもしれませんが、この2点をお願いします。

【玄葉大臣】米国とのTPP事前協議という問いでありますけれども、近々その協議を、当然これはワシントンD.C.になると思います。つまりは、それぞれの参加国の首都でということになっていたはずでありますので、近々行われるというか、行いたいということで最終調整中であるというのが現時点だということであります。
 米国とは、この間も二国間の経済調和対話を始め、さまざまな協議は行ってきているところであります。ただ、TPPに関しては、もちろん一定の意見交換はしておりますけれども、今、パブリックコメントが米国であって、米国側がまさに事前協議で何を持ち出してくるかということについては、まだ正式に、まさに協議も始まってないから余計にそうでありますけれども、わからない。つまりは、パブリックコメントを受けて、まさに米国政府の立場そのものを今考えているところではないかと推測します。
 ですから、それらを踏まえて、これは我々として何が受け入れ可能で、何が受け入れ困難かというものをしっかりと見極めながら、間違いのない対応をしたいと考えています。

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