【玄葉外務大臣】米国防授権法に関する第2回日米実務者協議を2月2日に米国にて開催をいたします。
同協議には、日本側からは中東アフリカ局審議官をヘッドといたしまして、金融庁、財務省、そして経産省から関係幹部がそれぞれ出席をするということになります。
我が国は、イランの核問題をめぐる懸念を国際社会と共有しています。イランに「圧力」をかけ続けて、国際社会との協調を進めていく考えであります。この基本的な立場を踏まえて、今般の実務者協議におきまして、第1回実務者協議、これは1月18日及び19日に東京でありましたけれども、に引き続いて、米国防授権法の運用について意見交換を行う予定でおります。
前回の協議に引き続いて、米国防授権法の解釈・運用の詳細について引き続き協議をして、我が国のイランとの原油取引、更には非原油取引について説明して、例外措置の適用も含めて米側と議論していくことになろうかと思います。緊密にこれからも米側と協議をしていく、そのプロセスの一環であるというように理解していただければと思います。
【NHK 島田記者】例外措置の適用も含めてということですけれども、今回の協議で大臣としては、どこまでを目指していらっしゃいますか。
【玄葉大臣】今回の協議で全て結論がでるという簡単な話ではなかなかないのではないかという思いもございます。ただ、早ければ早い方がまとまるのは良いとは思います。ただ、米国側も実はまだ運用面・解釈面というのは明確になっていない側面もあります、まだ走りながら考えているという側面がありますので、正にそういったことも含めて我が国として例外措置の適用も含めて協議をするのですが、一種、能動的な意見交換ということも含めて、これまでも申し上げてきましたけれども、やっていかなければいけないのではないかと思います。
【産経新聞 坂井記者】相手方は前回と同じグレイザーさんとアインホーンさんでよろしいでしょうか。
【玄葉大臣】今確認できませんけれど、先方はおそらくそうだろうと思います。
【NHK 吉岡記者】イラン情勢について、改めて日本経済に与える影響として、少し中期的な見方をして、どういう状況に陥るのが最も日本として影響が大きいと、懸念をしているというようにお考えでしょうか。
【玄葉大臣】それは、やはり平和的かつ外交的な問題解決が図られないケースです。いわゆる軍事オプションに至ったケースというのが日本経済だけではなくて世界経済に与える影響というのは当然あるだろうと、大きいだろうというように思います。ただ、その軍事オプションもさまざまな形があり得るということではないかと思います。
【NHK 吉岡記者】原油に我々焦点がいきがちですが、他に非原油とか、あるいは原油以外の分野での影響というのを懸念されているところはありますか。
【玄葉大臣】今回も原油だけではなくて、それは原油というのは日本にとっては、特にホルムズ海峡は(原油の)85%がホルムズ海峡を通るわけでありまして、日本の場合は大きいわけでありますけれども、非原油も対象になっていますので、この非原油もやはりしっかりと協議をして影響を最小化していくという努力が必要だと考えております。
【毎日新聞 横田記者】今回の協議で日本側として原油をどのくらい減らすとか、具体的な対応を示すという考えとかはありますか。
【玄葉大臣】正に交渉・協議でありますから、そこについて具体的に申し上げるのは差し控えなければならないと思っています。ただ、削減する方向であるということは、これまでも何回も繰り返し申し上げてきたとおり、国際協調が大切であるというのが基本的立場であるということであります。
【玄葉外務大臣】TPP協定交渉参加に向けた協議に関して、24日(火曜日)にペルー、そして25日(水曜日)にチリにおいて、我が国から派遣された関係省庁関係者が、ペルー及びチリ両国政府のTPP交渉担当者との間で「交渉参加に向けた協議」を行いました。また、TPP交渉に関する情報収集を行ったところであります。
今回の両国との協議は、全体として非常に前向きなものであったというように聞いております。ペルー及びチリ政府からは、先週協議を行ったベトナム、ブルネイ同様、我が国のTPP交渉参加への関心を歓迎する旨の表明がそれぞれあったところであります。ペルー、チリからも基本的な支持が得られたというように、私(大臣)自身は理解をしております。
他の交渉参加国との協議におきましても、現在鋭意検討を行っており、調整が整い次第、順次我が国より関係省庁の関係者を派遣し協議を行う予定でおります。
【日本テレビ 野口記者】TPP交渉の参加するしないについては、政府としては参加するしないを決める前に国民的議論を踏まえるというように説明しておりますけれども、この国民的議論というのは具体的にはどういった形をとるべき、あるいはどういう計画があるのか、そのあたりどうでしょうか。
【玄葉大臣】まずは、例えば国会での議論もあるというように聞いてございますし、また、各地でそういったシンポジウム的なものが開かれるというようにも聞いておりますので、そういったこと等を通して情報をきちんと提供しながら国民的な議論を経ていくということが大事でありますし、同時平行で、既に表明しておりますけれども、いわゆる参加に向けた協議は行っていくということで、正に4ヵ国と既に行ったということでございます。
【日本テレビ 野口記者】その国民的議論を踏まえると、今説明をしていただきましたけれども、目途としてはどのあたりで政府としては(交渉)参加するしないを判断すべきだというようにお考えでしょうか。
【玄葉大臣】やはり、いわゆる交渉の見通しをどう持つかということがまず一つあるのでないかと思います。例えば、オバマ大統領は野心的な目標ということで今年いっぱいと、しかし、公式には実質合意を7月という話があったりするわけです。米国はご存じのように、議会への通知と90日ルールというのがございますので、そういったことも踏まえながら、1月2月3月としっかりと国民的な議論を行っていくということが大切だと思います。
【テレビ朝日 花村記者】G20の議長国のメキシコ政府から各国に、2月中旬に外相会合を行いたいという打診があったという報道がありますが、日本は国会で大変ですが、もし参加できる場合は、イランの制裁、そして日米韓の外相が集まる機会になりますけれども、どのような期待をされますか。
【玄葉大臣】G20の外相会合についての提案がメキシコからあることは事実でございます。まだ私(大臣)が行けるかどうかというのは、国会との関係もございますから、決まっておりません。やはり、今大切なのは、外相会合ということで言えば、イラン、そして日米韓といったものは、仮に行けるとすれば、大事になるというようには思います。
【NHK 池川記者】国民的な議論を経ると、あと関係国との了承を取り付けると。目途としてはやはり米国が大きな焦点になると思うのですが、今後首相の訪米も予定されている中で、どのタイミングまでに国民的な議論、それとも8ヵ国の同意を得たいというお考えですか。
【玄葉大臣】やはり1月2月3月、ここが国民的な議論という意味では非常に大切なのではないかと思っています。
【NHK 池川記者】3月中までには何とか国民の合意形成を得たいということでしょうか。
【玄葉大臣】それはこれから、正に国民的な議論を経て結論を得ていくということでありますので、だいたいルールメイキングに参加をしないといけないということを考えながらタイミングというものを考えていきたいというように考えております。
(1)ラヴロフ・ロシア外相の来日について
【玄葉外務大臣】1月28日(土曜日)から29日(日曜日)まで、ラヴロフ・ロシア連邦外務大臣が訪日します。
私(大臣)は28日にラヴロフ外務大臣と会談を行い、二国間関係や喫緊の国際問題について議論を行う予定です。
これまで、ラヴロフ大臣とは電話を含めれば4回会談をしていますけれども、いずれも短時間ということもございますので、今回の外相会談では、日露関係の発展に向けて、じっくりと議論を行うということを楽しみにしているところでございます。
(2)宇宙活動に関する国際的な行動規範案への対応について
【玄葉大臣】宇宙のことでありますけれども、宇宙分野につきまして、近年、宇宙利用国の増加や宇宙活動の活発化等に伴って、衛星衝突や衛星への宇宙ゴミの衝突の危険性が高まっています。こうした課題に対処するため、2008年以来、EUが作成した宇宙活動に関する行動規範案を基に非公式な議論が進められているところでありますが、本年、EUは、本行動規範案に関する議論を、これまで二国間がベースということでありましたけれども、多国間のベースでの議論に本格化をさせる予定になっています。
本行動規範の案でありますけれども、宇宙物体の破壊の自制、衛星衝突を回避するための通報・協議のメカニズム等が盛り込まれておりまして、日本政府としては、宇宙利用国間の透明性向上や信頼醸成に貢献し得るものというように考えています。
我が国としても、EUが主導してきたイニシアティブを歓迎し、本件に関する国際的な議論に積極的に参加する用意があります。また、関係国の参加を得られるよう努めていく考えであることを申し上げたいと思います。
外務省としては、国連やARF等地域の枠組みにおける議論を含めて、宇宙分野における外交政策を本格的に推進をしていきたいと考えています。
【産経新聞 坂井記者】ラヴロフ外相が来られるということで、それに先立って玄葉外務大臣の認識をお伺いしておきたいのですけれども、北方領土はロシアに不法占拠されているという認識かどうか、お答え願います。
【玄葉大臣】これは、この間一貫して申し上げておりますけれども、北方四島の占拠というものは、国際法上、根拠のないものであるという政府の立場は一貫していると、変わっていないというように思っています。その点、日露両国の立場というのは、大きく隔たりがあると思いますけれども、いずれにしても、北方領土問題の一日も早い解決に向けて、ラヴロフ大臣とはしっかりと議論を行いたいと考えております。
【産経新聞 坂井記者】「不法占拠」という言葉を民主党政権になって外務大臣は使っていませんけれど、不法占拠という言葉は、玄葉外務大臣は使われないのでしょうか。
【玄葉大臣】これも実は、民主党政権云々ではなくて、自民党政権のときもそういうことがあったと認識をしておりますけれども、特に言葉の違いによって、法的な立場が変わる訳でもなければ、法的評価が変わるものでもないというように考えていまして、どのような場でどのような表現を使うかというのは、その時々の政策的な判断です。それは、すなわち、領土問題というのは、いつも申し上げますけれども、交渉によって解決されるべきものであるということ等ありますので、その時々の相手国との関係といったことを勘案して、考慮して、そういう言葉を使っていると考えていただければと思います。
【朝日新聞 土佐記者】ラヴロフ外相との外相会談の中で、領土問題以外で経済問題、エネルギーも含めてですが、あと、いわゆる安全保障の分野の協力などについて、どういう日本側の姿勢があるのかというのと、どれくらいの協力関係を結べることが理想であるか。また、そのねらいなどについて、話していただければと思います。
【玄葉大臣】これから会談を行うわけでございますし、本日この場で具体的に申し上げるのはどうかと考えていますが、いつも申し上げていますけれども、ロシアとの関係を私(大臣)は重視をしています。あらゆる分野で、日露の協力関係を進展をさせていくということが必要だというのが、私(大臣)の基本的な考え方であることをご理解いただければと思います。
【毎日新聞 横田記者】先日、ラヴロフ外相が記者会見をモスクワで行っておりまして、その日露の共同経済活動について、次の外相会談での議論になるということをおっしゃっていたのですけれども、これについての日本側の立場というか、考え方と、ラヴロフ外相はロシアの法体系を基盤としてということを付言をされておっしゃっているのですけれども、これについて、お考えがありましたら、お願いいたします。
【玄葉大臣】共同経済活動については、日本の法的立場を害さないということが前提になるということでございます。いずれにしても、具体的なことについては、本日この場では申し上げません。
【NHK 吉岡記者】宇宙に関してですけれども、改めて行動規範の議論の参加に当たって、国際社会における宇宙利用開発の中において、今の宇宙ごみの問題とか、衛星衝突の問題について、改めて現状についてどういうご認識をお持ちかということが一つ。
あと、関連するのですが、この国会にJAXA法の改正案が恐らく提出されると思いますけれども、平和目的の条項が削除される代わりに、では、どういうことができるのかという議論が行われると思いますけれども、外交当局とも非常に関わってくることだと思いますが、外務省としては、そのJAXA法の改正に向けて、どういうように関わっていきたいとお考えでしょうか。
【玄葉大臣】一言で言えば、宇宙も混雑し始めたということではないかと思っておりまして、宇宙環境が悪化をしているという現状認識であります。したがって、いわゆる事故とか衝突というものが発生をしていると。現実にたしか米露の衛星が衝突をしたということがあったと思います。
また、いわゆる中国の衛星破壊というのも、たしか2007年だったと思いますけれども、ございました。デブリが出るということになりますので、やはりその破壊の自制も含めて、あるいは事故とか衝突を最小化するというためにどうするかということについて、これからきちんと規範をつくっていかないといけないということだろうと思っています。これは実はサイバーも同じです。これから宇宙とサイバーの空間というのは、大変大事な分野になってくるというように考えています。
JAXA法の改正については、私(大臣)もかつて宇宙開発担当の大臣をしていた関係もあって、一定の関与をかつてしてきたわけであります。また、JAXAも少々知っているわけでありますけれども、民生分野のみならず、やはり安全保障分野において、この宇宙の開発利用というものの重要性は高まってくるという認識であります。ですから、JAXAがやはり国際社会の平和と安定、あるいは日本の安全保障に資するような形で、まさにJAXA自身が活動していくと。そのための基盤となる法律になっていくことを私(大臣)は期待をしているし、そうあるべきだと考えているところであります。
【フリーランス 上出氏】直接外相マターではないですけれども、最近、一体改革の大合唱で、そればかり聞こえてくるという感じですが、2つお聞きします。
まず、国際公約として消費税の問題が一つあると思うのですが、この動きについての海外の反応、特に米国辺りはどういうように、この問題に対して評価しているかということを、外相なりにとらえている範囲でよろしいので、答えいただきたいのが1点。
もう一つ、一般論ですけれども、新聞の世論調査などを見ても、例えば毎日新聞は60%が反対をしているというように、国民とのギャップがかなりあるようなのですが、これについてはどういうご認識か。
【玄葉大臣】社会保障と税の一体改革、併せて、政治改革、行政改革も含めて、私(大臣)は一体改革だというように、まず考えているということを、せっかくのご質問なので申し上げたいと思います。
それと、社会保障と税の一体改革について、これは国際公約ということもあるのかもしれませんが、それは野田総理ご自身は代表選挙のときから、ずっとおっしゃってきたことであるということだろうというように考えております。この財政の話は、欧州の債務危機なども現実にこの間あったということもございます。ただ、国際的に日本の社会保障と税の一体改革がどう評価されるかということよりも、やはり日本の全世代型の社会保障、そして、まさに年金、医療、介護、こういった仕組みが持続可能なものとなり、全世代型と申し上げましたけれども、更に1%分を新しい社会保障、つまりは、特に子育て、あるいは少子化対策などに使うということでありますので、そのことについて、しっかりとやり遂げることが、ある意味、いつもこれも申し上げていますけれども、少子高齢化社会は世界に先駆けて日本にやってきているわけで、それを最初に克服してみせて、それ自体が世界のモデルになっていく、世界へのプレゼンスを高めるものとなっていく。そういうように私(大臣)自身は考えています。
世論調査でなかなか理解が得られていないのではないかというお話でありますけれども、やはりそれは私(大臣)も先日、久々に地元に帰ることができましたけれども、そのときにも正面から皆さんには説明をするようにしていますが、やはりそれぞれの国会議員が正面から先頭に立って説明をしていく必要があると思います。
特に野田総理、そして、岡田副総理などが自ら先頭に立って説明をしていくというようにおっしゃっているわけであります。そのことは、やはり国民世論を喚起する上では、大変大切なことではないかというように思っているということであります。
特に私(大臣)も具体的には申し上げませんけれども、わかりやすい例えというものをきちんと持って説明をしていく必要があるのではないかということは、私(大臣)も関係者の方々に進言したり、あるいは申し上げているということでございます。
【フリーランス 上出氏】例を1つ挙げてください。
【玄葉大臣】ですから、具体的には、今この場では申し上げられせんけれども、私(大臣)なりに申し上げたり、あるいはこういう方々にアドバイスを求めたりして、考えていくべきではないかということを申し上げているということでございます。
【NHK 池川記者】本日、日本が31年ぶりに、去年2011年に貿易赤字になったということが発表されましたけれども、外務大臣としての受止めと、これを克服する、または貿易黒字に再転換するために、外相として必要と思われる、実際にやっていかれることが何かありましたら、教えてください。
【玄葉大臣】外相としてというよりは、やはり日本自身が、昨日も担当大臣の演説にもありましたけれども、イノベーションというものを日本国内で、しかも具体的に進めていくためにどうするかということについて、正に実行体制も含めて進めていくことが大事だと。つまりは、競争力というものを確保していく、向上させていくということが極めて大切だというように思っておりますし、併せて、当然いわゆる経済連携なども大いに関係をするところでございますので、いつも申し上げているような経済連携について、積極的かつ多角的に進めていきたいと考えております。
【北海道新聞 相内記者】ラヴロフ外相との会談ですけれども、大臣は根室で4時間くらいじっくりやりたいと、実際4時間になるかどうかわかりませんが、強い意気込みを感じましたけれども、今回の会談をいろいろある日露関係の長い一連の流れの中で、領土問題は実質的な話し合いが進んでいるとは言えない状況の中で心構えみたいな話になりますけれども、どう位置付ける会談にしたいと思っていらっしゃるかということが一点。
先ほど聞いたことですので少し表現が不正確かもしれませんけれども、韓国の外務省が玄葉大臣の外交演説の内容について撤回を求めたというように聞きましたけれども、それについて把握していらっしゃるかと受け止め、対応がもしあれば教えてください。
【玄葉大臣】最初の質問でありますけれども、4時間くらいは恐らくランチも入れて行うことができるのではないかと思っておりますので、正に先ほど申し上げましたけれども、あらゆる分野で協力を進展させていく、できれば一つの節目にしたいという思いではおります。
それと、韓国の話は少し耳に致しましたけれども、それは正確には承知をしていないというところであります。
【朝日新聞 大島記者】改めて、大臣として昨日の外交演説の中で竹島の問題に触れたねらい、お考えというのをお聞かせ下さい。
【玄葉大臣】多分、今のご質問と先ほどの質問は関連をしている可能性があると思っておりますけれども、最近の竹島を巡る状況等にかんがみて、総合的に判断をしたということでございます。
最近の竹島を巡る状況というのは、例えば、閣僚、あるいは国会議員等の竹島への上陸を始め、さまざまな動きがこの間あったわけでございまして、私(大臣)はそのようなこともかんがみながら、政府のこれまでの基本的な立場をあの場で述べたということでございます。
【玄葉外務大臣】本日24日、現地時間23日でありますが、リマにおきまして、日本とペルーの経済連携協定(EPA)の効力発生に関する外交上の公文の交換が行われたところであります。これによりこの協定は、本年3月1日に発効することになります。
本協定の発効により、日本とペルー両国の経済が一段と活性化をし、両国間の経済関係、ひいては両国関係全体が一層強化されることが期待されます。
【日本テレビ 野口記者】イランの核開発問題に関連しまして、EUがイラン産の原油の禁輸を決めました。これに関する日本の外務大臣としての評価をお願いします。
【玄葉大臣】イランの核問題に対する懸念というものについて、国際社会と日本政府は共有をしているというように考えていると思います。国際社会との協調というものが大切であると思います。ただ、私たちとしては、これまでも申し上げてまいりましたけれども、効果的な制裁のために必要なことを行いつつ、したがって、私たち日本政府もイラン産の原油輸入については削減する方向で、今調整をしているということでありますけれども、その時に日本経済、世界経済、そして、原油の価格の安定といったものに留意をしながら全体を進めていくことが効果的な制裁につながっていくと考えています。
【日本テレビ 野口記者】効果的な制裁ということですけれども、EUによる禁輸の実際の効果のほどはどういうように分析されていますでしょうか。
【玄葉大臣】一定の効果は当然あると思います。ただ、EUというのはかなりご存じのように即時停止、既存分は確か7月だったかと思います。ですから、そういう意味でかなりドラスティックな禁輸であるということは日本と違いもあると。ただ、全体として、いつも申し上げておりますけれども、一枚岩に国際社会がなっていって、その中で日本経済・世界経済・原油の価格の安定、そういったものがしっかり留意されるということが大切なので、この間、私どもが行ってきた行動については、意義のある行動をとってきていると見ていますし、認識しています。
今回のEUの措置・対応については、当然、一定の効果があるものと。中国・インドに対して国際社会がしっかりと働きかけていくということも大切だと。ただ、最終的には、イランに対して併せて働きかけをしていく、対話の道を閉ざさずに働きかけをしていくということもやはりタイミングを見て行っていかなければいけないと。
まずは今、効果的な制裁というものをどのように行っていくかという時期にあると思います。
【日本テレビ 野口記者】日本も削減する方向性を打ち出しておりますが、この5年間で4割も削減しているわけです。これは、実際、これ以上の削減というのは難しいのではないのですか。
【玄葉大臣】これまでも、おっしゃるとおり5年間で4割。BDで、日量になりますけれども、50万バレルから30万バレルにしているわけで、今、申し上げたように、そこは、さまざまな対応措置を昨年の段階から私(大臣)も考えておりましたので、絶対、これ以上は削減できないということではないと思っています。
やはり、我々としては、経済全体にも悪影響がないように、また、効果的な制裁になるように、慎重に、この間、事を運んできたという経緯がございます。そういう意味で、日本が、これまで40パーセント削減してきたからといって、これ以上、全く削減できないかといえば、そうではなくて、先ほど来から申し上げていますけれども、削減する方向で今検討しているということでございます。
【日本テレビ 野口記者】その削減の規模ですけれども、米国の国内法の提案者の1人であった議員が、年間で額にして18パーセント減にすれば金融機関の制裁の適用除外とするという提言をされていますけれども、この数字に関しては大臣はどういうふうに。
【玄葉大臣】今、日米で緊密に協議中でございます。今おっしゃったことも含めて、さまざまな事情を有しておりますけれども、現時点で日米が緊密に協議中であると。今、私がこの場で申し上げることで協議に悪影響を与えてはいけないと思っておりますので、具体的な数字はコメントを差し控えたいと思います。
【日本テレビ 野口記者】でも、注目には値するというお考えでしょうか。
【玄葉大臣】そういう考え方というのもあるということは、十分承知しています。
【NHK 吉岡記者】EUの禁輸措置は、既に契約した分も7月をもって禁輸とするという内容だったと思うのですけれども、日本政府としては、削減する方向という言葉の中に、そういった既存の契約分の削減ということも検討されているのでしょうか。
【玄葉大臣】そういった、正に既存、新規といったことも含めて、どういうようにしていくかということについて、正に緊密に連携を今、取っていると。どういった答えが結果として私(大臣)がいつも申し上げているような短期の目標という形で、そういったものを達成できるのかということについて、協議していると理解していただければと思います。
【産経新聞 坂井記者】「削減の方向」というのと、「削減する」というのとは違いはあるのでしょうか。いつも「方向」というのが付いていますけれども。
【玄葉大臣】交渉中だと、協議中だということです。やはり、正に最終的な、日本にとって、世界にとって最もよい解を得るために、敢えて「方向」という言葉を付していると理解していただければと思います。
【朝日新聞 土佐記者】福島の損害賠償についてですが、一部報道で、原子力被害応急対策基金をつくって、二次補正の予備費を使って400億円、それに入れることでそれを活用して対応するという報道が出ていますけれども、これについての評価と、大臣は責任を持って対応すると言っていますけれども、これはかなり評価できるものと見てらっしゃいますでしょうか。
【玄葉大臣】恐らく、地元の方々からすれば、100パーセント満足という内容にはならないかもしれませんけれども、指針の足らざるところについて、政治的にでき得る限りのカバーをするという内容になっていくものと認識をしています。問題は、仮に、そのことが行われたと仮定した場合の話でありますけれども、それは福島県が今度は、50キロ圏外、残り50万の方々に対してどのような対応をその交付金を使って行うかということにもよりますので、そのことについては、やはり残り50万の方々の立場、実際の実情、私(大臣)は、放射線量というのは非常に大事な基準だと思いますけれども、そういったものをよく勘案をして、合理的な説明ができるような形で対応してもらいたいと考えています。
【玄葉外務大臣】TPP協定交渉参加に向けた協議に関しまして、17日(火曜日)にベトナム、19日(木曜日)にブルネイにおきまして、我が国から派遣された関係省庁関係者が、ベトナム及びブルネイ両国政府のTPP交渉担当者との間で「交渉参加に向けた協議」を行って、また、TPP交渉に関する情報収集を行いました。
今回の両国との協議は、全体として非常に前向きなものであったというように聞いています。ベトナム及びブルネイ政府からは、我が国のTPP交渉参加への関心を歓迎するという表明がそれぞれあったところです。基本的な支持が得られたというように、私(大臣)としては理解をしています。
また、同じくTPP交渉参加国であるペルーとチリにつきましても、先方の要望を踏まえ、それぞれ来週24日(火曜日)、25日(水曜日)に関係省庁関係者を派遣して、調整・協議することとなりましたので、あわせて発表をさせていただきたいと思います。
【NHK 島田記者】今朝の閣議の後に、官房長官をはじめ沖縄関係の閣僚の方が集まって話をされていたようですけれども、何らか意思統一がなされたのかということと、それから、大臣は田中新防衛大臣とお話をされていると思いますが、大臣からどういったことをお伝えになっているのでしょうか。
【玄葉大臣】これは関係閣僚間で、田中防衛大臣が新しく就任をされましたので、基本的な認識を共有させるということが互いにとって必要なことでありますので、そういう意味で意見交換を行ったということでございます。
【NHK 島田記者】本日、田中防衛大臣が仲井眞知事と初めてお会いになりますけれども、どういった姿勢でといいますか、対談にしてほしいとお考えでしょうか。
【玄葉大臣】やはり、本日、県知事とお会いをされるということでありますから、そういう意味におきましては、県知事との信頼関係というものを一歩一歩積み重ねていく。そのことに努力をしていただけるものと考えています。
【NHK 島田記者】今朝、閣議の前に野田総理大臣とお話をされていましたが、どういったことをされていたのでしょう。
【玄葉大臣】これは、「福島の再生なくして日本の再生なし」と総理がおっしゃっておられますので、私(大臣)の方から、現在福島が抱えるいくつかの懸案について進言をさせていただいたということでございます。
【NHK 島田記者】進言の内容についてご紹介いただければと思います。
【玄葉大臣】賠償をはじめ、いくつかの点について、やはり、県民の思いに応えていく、あるいは、復旧・復興を進めていく上でのいくつかのポイントを申し上げたということでございます。
【NHK 島田記者】野田総理からは、何か回答が。
【玄葉大臣】それは差し控えたいと思いますが、基本的にはしっかりと受け止めていただけるものと考えております。
【日経新聞 田島記者】沖縄の問題について関連してお聞きします。田中防衛大臣が22、23日と沖縄を訪問しまして仲井眞知事と会談します。昨年秋には、玄葉大臣を含む普天間問題の関係閣僚が相次いで沖縄を訪問しましたけれども、近く大臣ご自身が沖縄を訪問して、基地移設について理解を改めて沖縄に求めるというお考えやご予定はありますでしょうか。
【玄葉大臣】現時点で、具体的に日程を決めているということではございません。ただ、私(大臣)が行くことで、少しでも信頼関係が深まり、沖縄の負担軽減に結び付きということであれば、当然ながら私(大臣)も沖縄に参りたいと思っています。ただ、具体的に決まっているわけではございません。
【NHK 池川記者】先ほど発表がありましたTPPの話ですけれども、今回は、両国政府の日本の交渉参加に対する要望というか、要求を聞くことも一つの大きなねらいだったかと思うのですけれども、何らかの両政府から要求・要望、日本のTPP参加に関して何かあったのかどうか教えていただけますでしょうか。
【玄葉大臣】申し訳ありませんが、まだ、詳細にわたっての報告は私(大臣)自身、受けていないのです。ただ、基本的な支持が得られたというように理解しておりますので、特段、懸案があるとは承知しておりません。
【ブルームバーグ 坂巻記者】米国の国防授権法のイラン制裁に関して協議が行われましたが、この結果の受け止めと当面の対応についてお考えを聞かせて下さい。
【玄葉大臣】米国はじめ国際社会との協調、これがまず大事であるということで、そのことを我が国の関係者から伝えました。それがまず一つございます。更に、これもいつも申し上げておりますけれども、震災の状況もございますし、日本の経済、そして世界の経済、原油価格の安定、こういった私(大臣)が常々申し上げてきたことについて、法の運用を慎重に行うという意向が米国から示されたと承知をしています。更に我が国から、イランからの原油の輸入の削減について、削減する方向で検討するということについて私たちの考え方を示したところです。併せて申し上げれば、いわゆる例外規定の適用についても米国に対して要請をしたということです。いずれにしても、良い協議ができたと考えておりまして、今後も互いに認識が深まりましたので、早期に次回の協議を行って日米緊密に協議をしていきたいと考えております。
【日本テレビ 野口記者】先ほど、松原国家公安委員長の会見で、「北朝鮮に拘束されていました日本人二人が解放されて帰国した」という報告があったそうですけれども、この事実関係を確認させていただきたいのと、外務大臣として評価されるかどうか。
【玄葉大臣】これは、コメントを差し控えなければいけない部分も多々あるのですが、正確に言うと1名帰国、1名についてはその帰国について調査中というのが正確ではないかと思います。この間、外務省として、また政府として2名の方について人道面での配慮ということについて先方に要請をしてきた経緯があるということだけは申し上げたいと思います。
【NHK 吉岡記者】イランの制裁についてお伺いします。大臣は常から、効果的な制裁と市場の安定の両立が大事だとおっしゃられていますけれども、その効果的な制裁について。国連の場では、安保理の制裁決議にロシアと中国が反対をしています。中国やインドなどは、原油の輸入を継続する方針でいます。また、米国政府も、大統領選挙を控えて経済への影響を抑えたいのと、一方で、安全保障に強い大統領としてのイメージを保ちたいという中、なかなか難しい対応を迫られているという中で、欧米や日本、韓国という、いわば有志連合による制裁というのが本当に効果的なものになるとお考えでしょうか。もし、限界が一定程度あるならば、今後、どういう外交努力が必要だとお考えでしょうか。
【玄葉外務大臣】ただいまの吉岡さんのイランの核開発に対する効果的な制裁という問いでございますけれども、従来から、私(大臣)は、一貫して、まず一つは国際的な協調というものが必要であると。つまりは、国際社会の協力というものがなければ効果的な制裁たり得ないということを申し上げてまいりました。
併せて、私たちも米国の制裁法に対して、慎重な運用を求めると同時に、基本的にイランからの原油の削減については、そういった方向で検討はしていくけれども、それは国際社会との協調、米国との協調という意味で、あるいは効果的な制裁という意味でです。ただ、そのときに大事なことは、市場の安定であると。結果的として原油価格が高騰することになれば、それは効果的な制裁たり得ないということを、警鐘を含めて、かなり忌憚なく意見交換をしているというのが今の状況であります。
したがって、具体的な国名が、今、いろいろと3、4ヵ国出ましたけれども、いずれにしても効果的な制裁になるように、やはり圧力は維持する必要がございますので、効果的な制裁になるように、それぞれの国々と緊密な連携を図っていくということがまず大切であると。そのためには、先ほど出た国々との協議も大事でありますけれども、正に今おっしゃったような有志国との緊密な協議。それはすなわち、既に事務レベルでも行われておりますけれども、今回の制裁法の適用などについて、一体、この法律の解釈そのものについても、まだ不明なところがあるわけでございまして、そういったことについて、きちんとやはり説明を求めながら、どういうような運用が行われれば、より効果的な制裁になり、また、世界経済に関する悪影響を回避することができて、かつ、原油価格の高騰を防ぐということができるかということについて、正に現在協議を行っているところと考えていただければと思います。
併せて、やはり最終的にこういった圧力を維持しながら、対話の道を閉ざすということはないようにしたいと考えておりまして、日本としても取り得るべき能動的な対応について私(大臣)自身も現在検討しているところでございます。
【ダウジョーンズ 岩田記者】2点お伺いしたいのですけれども、1点は、今、効果的な制裁ということに関して、大臣が触れられなかった点があるので、それについて改めてお伺いしたいのですが、インドと中国がイランの原油を買い続ける限り、ほかの人が何をしても、緊密に相談しようが、何をしようが余り効果がないと思うのですけれども、その点についてどうお考えなのかということと、あともう一つは、日本としての行動と大臣が今おっしゃっていたのですけれども、選択肢としてはどういうことがあるのか。その2点をお願いします。
【玄葉大臣】インドと中国も含めて、先ほど申し上げたように、岩田さんが触れられたその2ヵ国についても、正に協議をするというか、米国の法案ですから、まずは米国。そして、国際社会全体としても、どういうような形でこのイランの核開発に対して圧力をかける、効果的な圧力たり得るのかということについて話し合いをしていくということが必要だということです。
おっしゃるとおり、中国とインドの取引が、どのぐらいの量の取引になるのかも含めて、その点というのは、確かに私(大臣)も大事な点で、これまでも議論の俎上に載せてきたのは率直なところでございまして。ですから、私(大臣)はかなり忌憚なく米国とも意見交換をしているということを申し上げているということでございます。
能動的な対応ということは、これまでも、例えば、事務レベルでイランに対する働きかけというのは何度も行ってきているわけでありますけれども、やはり、それ以上の働きかけをどの時点でどういう形で行うべきなのかということについて検討しているということでございます。
【ザ・ムスリム・ワールド ラーマン記者】イランの制裁が課せられるとホルムズ海峡を通じての石油輸送が停止してしまうのではないかと、この数日、ニュースで報じられています。紛争が生じ、状況が悪化した場合、いろいろな国からの石油(輸送)が止まってしまうと、米国の抱える問題を増幅してしまうのではないか。例えば、アフガニスタンだけではなく、さらにそちらの方の問題も抱えることになります。米国はすでに大きな問題を抱えているにもかかわらず、更に2ヵ国も問題が増えることになりますが、いかがでしょうか。
【玄葉大臣】日本だけ見ても、仮にイランに対する軍事オプションが選択された場合、またホルムズ海峡などで事態が生じたということになれば、日本の石油の確か85%はホルムズ海峡を通過しているという現実がある訳であります。これは、日本だけではなくて、世界経済に対する影響も計り知れなくなるであろうと容易に想像できる訳であります。
ただ一方で、イランは、そういったホルムズ海峡封鎖といった挑発的な行動、言動、これを厳に慎むべきであると私(大臣)自身は考えています。したがって、先ほど申し上げましたように、大切なことは如何に圧力を維持しながら、その制裁を効果的に行うことができるかということと、同時に対話の道を閉ざさずに必要な働きかけを行うことだと考えています。私(大臣)は軍事オプションそのものについては、正しい選択ではないと考えています。したがって、まずは、効果的な制裁を行うために、先ほど来から質問が出ておりますけれども、どのような制裁的な内容、そして国際的な協調を行い得るかということについて、関係国が緊密に連携を取っていく必要があるというように考えておりますし、日本としても能動的に果たすべき役割について考えていかなければならないと考えております。
【NHK 島田記者】大臣が能動的な行動をとっていくことについて、今検討されているとおっしゃってまして、これまで事務レベルでということでしたが、どのレベルが相応しいのか検討をされているということですが、大臣ご自身が自らイランに対して働きかけをされることも検討しているという理解でよろしいでしょうか。
【玄葉大臣】いずれにしても、何が効果的な行動たり得るのかということについて、総合的な検討を加えた後に、私(大臣)として考えをまとめ、日本政府として必要なことを行いたいと考えております。
【NHK 吉岡記者】昨日の自民党の外交部会で、外務大臣が自ら先月イランの外相に対して書簡を送られたと。それによると核開発の国際社会の疑念を払拭するようにという内容だったという説明があったのですが、それに関して、どういう内容だったのかという具体的なご説明と、それに対するイラン側の返答が何等かあったものであればご紹介できる範囲でお願いします。
【玄葉大臣】今手元に文章がございませんので正確に発出することはできませんけれども、端的に申し上げれば、やはり核開発を断念すべきであると、それについてイラン側から説明を受けているけれども、この説明ではとても国際社会の疑念を払拭することはできないということを我々からも伝えたということでありまして、残念ながらそれに対してはいつもどおりの答えということでございます。
【読売新聞 石田記者】北朝鮮を巡る日米韓の局長級会合の協議についてですけれども、早期の外相レベルの会合を開くということで一致したと伺っていますが、大臣として早期に大臣会合を開くことの意義とねらい、どういうことを話していきたいかということについてお伺いしたいと思います。
【玄葉大臣】これは、直接今回の日米韓の局長級会議、高級事務レベル会議の報告をまだ直接は聞いておりません。それを聞いた上で、やはりどこかの段階で日米韓の外相会談を行った方がよいだろうと考えていますが、具体的なところについては、その報告を詳細に受けた上で最終的な結論を出したいと考えています。
【読売新聞 中山記者】二点お伺いしたいのですけれども、一点は先ほどの北朝鮮の関係ですが、今回の内閣改造で松原仁さんが拉致担当の大臣になりました。長く拉致問題に取り組んで来られた方で、体制の強化というようにおっしゃっております。改めまして、拉致問題にどのように取り組んで、どのような解決に導いていくお考えなのかということをお伺いしたいのと、あと、この同時通訳の形式になったのが今回からということですけれども、同時通訳にしたねらいと実際初めて対応されて感想がありましたらお願いしたいと思います。
【玄葉大臣】まず、拉致の問題でございますけれども、言うまでもないことですが、この拉致の問題というのは国家の主権に係わる話であります。人権という観点から国際社会の重大な関心事でもあり、また、私(大臣)としても各国の外相に対して、この問題に対する協力をこの間も強く要請をしてきたところでございます。
今回、金正日国防委員長の死去という事態を受けて、北朝鮮はいわば新しい体制というものに移行中であると思っておりますけれども、以前も申し上げましたが、こういった事態というのはリスクと機会、つまりはチャンスというものが併存をすると考えています。まずはやはり、リスクにきちんと備える、その備えは万全でなければならない、と同時に機会を作る努力をしていくということだと思います。その機会が生まれた時にその機会を逃さなということでございます。その機会の作り方については、さまざまな努力を行っておりますけれども、具体的な内容についてこの場で私(大臣)が申し上げるということはできません。ただ、日米韓の緊密な連携が必要であるということと中国の役割というものが、この拉致の問題については非常に重要になるということだけはこの場で申し上げたいと思います。
また、同時通訳が入っての初めての会見ということでございますけれども、私(大臣)自身のねらいというよりも、この間私(大臣)が外務大臣になる前から決めていたということのようですけれども、私(大臣)としては、やはり日本政府の外交方針というものが、あるいはさまざまな発信というものが日本の国内だけではなくて国際社会全体につながることで、つまりは広まることで、ある意味日本の立場というものを国際社会により正確に伝えることが可能になるのではないかと考えております。本日は初めてなのでしばらく継続して、また私(大臣)だけではなくて客観的評価も含めてお聞きをしながら改善するところがあれば改善をしたり調整をしたりというようにしていけばよいのではないかと考えております。
(1)田中明彦氏のJICA次期理事長任命に関する閣議口頭了解について
【玄葉外務大臣】本日の閣議におきまして国際協力機構(JICA)の次期理事長に田中明彦東京大学副学長を私(大臣)が任命をすることについて、了解を得られましたのでお知らせしたいと思います。
田中氏は、皆様よくご承知のとおり、我が国、そして世界的にも著名な国際政治学者であります。これまで外交・安全保障、そして政治経済等の幅広い分野で活躍され、政府に対する種々の提言の作業にも関わって来られたところであります。
次期JICA理事長に正に相応しい方だと考えておりまして、4月1日に理事長に御就任頂き、我が国政府開発援助の実施機関の長として、更なる御活躍を期待したいと思います。
(2)TPP協定参加への日本の関心表明について
【玄葉大臣】TPP協定参加への日本の関心表明に対しまして、米国政府が実施していた意見募集でありますけれども、現地時間13日(金曜日)に締め切りを迎え、期日までに約110件のコメントが提出されたと承知しています。
コメントは米国政府に対して提出されたものでありまして、個別の意見に対して我が国政府としてコメントは差し控えたいと思いますが、全米商工会議所、全米食肉輸出連合会、全米製造業協会、米国保険協会等からは日本のTPP交渉参加を支持する論調の意見が出され、また、全米自動車政策評議会、全米労働総同盟産業別組合会議(AFL-CIO)等からは反対する意見が提出されている模様です。締め切り日後のコメントも受け付けられるとのことでありまして、また、コメントの内容については精査する必要がありますが、これまでのコメントを見る限りは、我が国のTPP参加自体につきましては、全体として肯定的な意見が大勢であったと考えられるところであります。ただし、このような肯定的な意見でありましても、我が国の一層の市場アクセス改善を求める意見が付されているといった点については注意が必要だと思います。
いずれにしましても、米国政府としてはこれらのコメントも踏まえて、政府の方針を検討すると承知しておりますので、このようなプロセスの進展が、我が国のTPP交渉参加に向けた米側との協議の促進につながることを期待しているところであります。
【NHK 島田記者】JICAの理事長人事についてですが、緒方さんの任期というのはまだ残された状況でありますけれども、このタイミングになったことと、それから発足以来緒方さんが理事長を務められてきましたが、そのご活躍についてお願いします。
【玄葉大臣】緒方理事長につきましては、まさに余人を以て代え難いご活躍をいただいたと、これはもう国際社会全体から大変な評価をいただいております。日本国そのものの評価にも私(大臣)は緒方理事長のご活躍というのはつながったと思っております。ただ、率直に申し上げると、ご本人も年齢を大変気にされていた経緯がございまして、一刻も早く選任を適任者についてしていただきたいということもあったものですから、この間、内々に適任者を探す作業をしてきたということでございまして、その点について調整が整ったものですから、緒方理事長にも、実は任期の途中でということも内々実は以前から含んでいたものですから、また、ご本人のお気持ちもそうであったものですから、今の段階での交代になったということでございまして、改めて緒方理事長はJICA職員のみならず日本人、またのみならず、国際社会全体からも高い評価、そして、信頼というものを寄せられている方であって、3月31日までお勤めをいただくわけでありますけれども、そのご活躍、ご活動に心から感謝と敬意を表したいと思っております。
【産経新聞 坂井記者】イランの原油輸入ですけれども、先日も安住大臣が、段階的に輸入制限されると。総理は、個人的な見解と言って、玄葉さんも慎重にと言われていました。段階的に輸入を削減するというのは、政府の方針にはなっていないのですか。
【玄葉大臣】これは、結局二つのことが大切なのです。一つは、国際社会との協調。そのことによる効果的なイランに対する制裁。もう一つは、関連はいたしますけれども、世界経済に対する影響と、いわゆる原油価格、市場の安定。これをやはり両立をさせなければいけないということに尽きると思うのです。
ですから、大事なことは、これまでもイランから、実は原油輸入というのは削減をしてきているわけでありますけれども、今後も、国際社会の協調ということを考えると、そういう方向性であるということは申し上げてもいいと思います。方向性としては、もう政府としては、基本的に一致を見ていると申し上げてもいいと思います。
ただ、具体的にどうするかということについて、また、米国のいわゆる制裁法案についての運用については、やはり、慎重に行っていかなければならないということでもありますし、これは、米国との交渉にも大いに関わる話でありますので、そういった点について、今、正に米国とも緊密にすり合わせをしていくという段階にあると考えていただければと思います。
【NHK 池川記者】本日から、TPPのベトナムとの協議がスタートするということで、事前協議が本格化します。先ほど、米国の話もございましたけれども、これから、TPPの協議が本格化するに当たって、現在の受け止めと、一方、昨日山田農水大臣が米国視察に行かれて、やはり、日本のTPP参加に対しては慎重に対応するべきだというお考えを示されましたけれども、これが党内、あとは、国内世論を形成していくためには、どのようなことを心掛けていきたいのか。この2点をお願いいたします。
【玄葉大臣】確か、本日、ベトナムですか。また、明日もしくは明後日にブルネイと関係者が協議をするということになっております。先ほど、米国の話をいたしましたけれども、米国とも正に今回のパブリックコメントを踏まえ、まだこれからも受け付けるということでありますので、そういった協議について、具体的な日程も含めてスケジュール調整をこれから行っていく。早期に協議に入るべくスケジュール調整を行っていきたい。
また、ベトナム、ブルネイに限らず、調整ができ次第、それぞれの国々と協議をすると。これは、英語でコンサルテーションと言っていますけれども、つまり関係国の同意を得るという作業はそれぞれの首都で行うということにルール上、なっているものですから、今回、こういう形で派遣をする。
あわせて、やはり情報収集をきちんと行っていって、大切なことは、情報を精査して、整理をして、それについて国会でも、また、国民の皆様にもしっかりと提供をするという中で、国民的な議論を経て、合意形成を行っていくということが大切だと考えているところであります。
【琉球新報 松堂記者】昨日、野田総理が民主党沖縄県連の喜納昌吉さんと面会して嘉手納統合案について「選択肢として考慮する」と発言したと一部で報道されていますが、それについての受け止めをお聞かせ下さい。
【玄葉大臣】これは、私(大臣)も官邸の方に確認をしましたけれども、結論から申し上げると総理は「聞き置いた」というのがどうも正確なようであります。これにつきましては、日米合意というものがご存じのようにありますから、引き続きそれに沿いながら、また同時に沖縄の負担軽減というものを一つひとつ目に見える形で実現をしていくというのが私(大臣)の役割だと考えています。
(1)中東諸国訪問について
【玄葉外務大臣】中東諸国訪問について一言申し上げますが、今回の訪問は、一つは新興国外交ということでトルコ、サウジアラビア等、新興国と呼ばれる国々の活力を自分自身の肌で感じることができたというように思っています。これらの国々との協力関係を深めることができたということは、有意義であったと思います。
また、サウジ、ア首連、カタール、これはご存じのように原油について、特に日本はそれらの国々からそれぞれ3割、21%、そして10%と輸入しているわけでありますけれども、エネルギー安全保障の協力を強化するということで一致し、また、再生可能エネルギー分野での協力もかなり具体的に意見交換をすることができまして、協力を確認することができたということであります。
また、アフガニスタンではカルザイ大統領と外相と話をいたしまして、今年7月の東京会合に向けての方向性について、大体カルザイ大統領との間で内容について確認というよりも調整することができたという意味で有意義であったと思っております。
(2)日仏外相戦略対話について
【玄葉大臣】本日昼、フランスのアラン・ジュペ外相との間で第1回の日仏外相戦略対話というものを行うことになっております。二国間関係のみならず地域の問題、そして、グローバルな国際問題等について、3時間ありますから、深掘りした意見交換というものを行いたいと思います。
(3)根室管内出張について
【玄葉大臣】明日、根室管内に出張いたします。根室管内を訪問して、洋上及び納沙布岬から北方領土を視察するという予定にしております。北方領土を自らの目で確認をして、領土返還への地元の皆さんの思い、そして、お話をしっかりと聞きたいというように考えております。
(4)内閣改造について
【玄葉大臣】閣議では、辞表の取りまとめが行われたところでございます。
【TBS 竹内記者】現在進行中ではありますけれども、今回の改造人事で防衛大臣が交代するというように言われているわけですけれども、以前から沖縄と担当閣僚との信頼関係というものを玄葉大臣ご自身強調していらっしゃいましたけれども、今回の交代が普天間基地の移設問題に与える影響というのはどのようにお考えでしょうか。
【玄葉大臣】これは正式にまだ交代ということが決まったわけではありませんので、今のこの時間で私(大臣)がコメントするというのは、あまり適切ではないと思います。いずれにしても外相、そして、防衛相、当然沖縄担当の大臣、そして、官房長官、もちろん、トップは総理でありますけれども、しっかりと連携をして、心を一つにしてこの問題に誠実に対応していくということが大切だと思います。
【TBS 竹内記者】先日、中井元拉致問題担当大臣が中国で北朝鮮の高官と接触したということですが、これは事前に把握されていたことなのでしょうか。
【玄葉大臣】報道は承知をしていますけれども、これはあくまで一議員の活動であるというように理解しています。
【読売新聞 石田記者】中東外遊についてですけれども、エネルギー安保の協力で一致ということですが、現状の原油輸入量からみても、中東への割合が9割近くになったりするようですけれども、イランの情勢などを抱えていますが、中東依存が非常に高まっているという現状についてどのようにお考えでしょうか。
【玄葉大臣】本来は、おっしゃるように、湾岸全体で中東9割と、原油についてはそれが現状でありますから、そもそもは、この問題について多角化というのを考えていかなければならないということだろうと思います。だからこそ、以前のエネルギー基本計画では、原子力の比率を50パーセント台にするということだったと思います。ただ、これからは、特に再生可能エネルギー、あるいは省エネルギーなどについて、蓄エネも含めてでありますけれども、力を入れていくということで、大きな方向性はそういうことだろうと。
ただ、当面の経済の問題というのは、絶対に無視はできない。現実は直視しなければならないわけでありますので、そういう意味では、現実を直視して、しっかりと当面の経済の問題に対して間違いのない対応というものをしなければならないということだろうと思っています。もちろん、そういう意味で、今回の中東訪問の一つの目的というものがあったことは想像のとおりであります。
【読売新聞 石田記者】輸入先の多角化というのよりは、省エネとか、再生可能エネルギー技術を伸ばしていくことで、エネルギー安保の観点からうまく回していくという感じですか。
【玄葉大臣】基本的には両方だと思いますけれども、ただ、例えば、原油だって、それは中東以外にもあるのはありますので。ただ、どうしても、省エネルギーとか、再生可能エネルギーは、技術との関連で一定程度はやはり時間がかかりますので、そういう意味では、そういう時間軸を見ながらこの問題に対応していくと。時間軸というのは、どのぐらいの時間で再生可能エネルギーや新エネルギー、あるいは省エネ、蓄エネ、こういった技術がさらに普及し、あるいは、新しい段階に入るのかというものを見通しながら、こういった原油、あるいはLNG。LNGは比較的、今後も活用するということになると思いますけれども、そういった問題について見通しを立てながら対応していくということだろうと思います。
【NHK 池川記者】昨日、安住財務大臣とガイトナー財務長官との会談の中で、安住大臣から先方に対して、日本のイランからの原油輸入を段階的にできるだけ早い時期に減らしていくという旨の表明がありましたけれども、米国の制裁の内容がはっきりしていない中で、少し早急だったのではないかという意見もありますけれども、この点について大臣はどのように受け止めますか。
【玄葉大臣】安住大臣の発言は、イランからの原油輸入というのは、今、約9%です。これまで、50万BDから30万BD、5年間で約4割減少したわけです。そういった現状、そして、今後の見通しについて、安住さんの考えとして述べられたと私(大臣)自身は理解をしています。
大事なことは、イランに対して効果的な制裁が行われること。これがまず一つ大事です。もう一つは、何といっても、原油価格の安定、市場の安定というものが両立をしなければならないということです。仮に、原油価格が高騰するということになれば、何が起きるかというと二つあって、一つは、イランがむしろ原油価格の高騰で潤うと。もともと、制裁の目的と相反する結果を招きかねないということが一つあるだろうと思います。
同時に、原油価格の高騰で日本経済のみならず、世界経済、もっと言えば、米国の消費だって落ち込むということが起きかねないということで、私(大臣)はこういった点をクリントン国務長官とは、かなり率直に、ざっくばらんに意見交換をしていますので、そういったことを十分斟酌をしながら米国の法案そのものについても慎重に運用してもらう。そのことについて、慎重に運用するということをクリントン国務長官もお約束をしてくれたわけでありますから、緊密に連携をしながら、その辺りについて、発言にも注意をしながら対応していくということが大切だと思います。
【NHK 池川記者】安住さんの発言は、あくまでも個人的な発言という理解でよろしいですか。
【玄葉大臣】先ほども申し上げたように、現状及び今後の見通しについて、発言をされたものと理解しています。
【玄葉外務大臣】新年を迎えるにあたりまして、本年一年の外交についての抱負を若干述べさせていただきたいと思います。
昨年は、3月の東日本大震災を機に世界との絆の重要性が再認識された年でもございました。そうした認識の下、私(大臣)は、就任後、外交の目的である国益の最大化のため、「実のある外交」、即ち結果重視の外交を展開してまいりました。
昨年最後の会見でも申し上げましたけれども、国益の最大化のためには、アジア太平洋地域に、開放的かつ多層的なネットワークを作ることが必要であり、そのために行ってきた努力にも一定の成果が得られつつあると考えております。この地域で秩序を構築する上では中国の参加が不可欠であり、日米同盟を深化させつつ、日米中の戦略的な対話も提唱してきたところであります。
また、「実のある外交」を進めるためには、内向き傾向からの脱却が重要であり、この点につきましては、南スーダンPKOへの人的貢献の決定、防衛装備品等の海外移転基準の決定、減少傾向にあったODA予算反転の端緒を開いたことなど、着実に目に見える成果を出してまいりました。TPPにつきましても、交渉参加に向けて関係国との協議に入るという方向性を日本が打ち出しました。それにより、日中韓FTAも動き出しました。
こうした取組を基礎に、本年は、内向き志向からの脱却を更に越えて、世界に展開しグローバルな諸課題の解決に挑む、より積極的な外交を展開したいと考えています。その一環として、早速、明日から中東諸国を訪問し、我が国のエネルギー安全保障の確保に努めるとともに、いわゆる「アラブの春」や、年始のミサイル実験や、ウラン濃縮活動の進展など、懸念すべき状況の続くイラン情勢などへの対応を協議し、中東地域の安定と繁栄のための貢献を行っていきたいと考えています。
昨年末の金正日委員長の死去のように、国際社会、特にこの東アジアにおいては様々な動きが日々生じています。そうした事態にも適切に、“脇をしめて”対応しながら、2012年は、日本の国益の最大化のために、グローバルな諸課題の解決に積極的に挑む「実のある外交」を全力で行っていきたいと思います。
【朝日新聞 土佐記者】朝鮮中央通信が、昨日、そして本日の朝刊でもですが、日本に対する批判を強めています。また、韓国に対しても李明博政権に対して批判を強めていますが、これをどのように見ていますでしょうか。また、現在の北朝鮮情勢をどのように分析しているか、お願いします。
【玄葉大臣】本日、総理の会見にもございましたけれど、野田総理から「不測の事態に備えて万全の措置をとるように」という指示がきています。当然、その指示が継続しているわけでありますから、関係国と緊密に連携をしながら万全の態勢を取っていくということがまず基本だと思います。
【読売新聞 舟槻記者】結果重視の外交ということでTPPの話をされたと思いますけれども、TPPについて、今年は交渉の妥結を目指すということで、日本が主張を通すためには早めの交渉参加ということが必要になってくると思うのですが、この点どういうように進めていかれるおつもりでしょうか。
【玄葉大臣】交渉の参加のためには、当然参加国の同意が必要だということがございます。もう一つは国内の調整、つまりは国内の交渉参加に向けての合意が必要だと。大きく分けると二つのハードルをしっかり越えていくということが必要なんだろうと思います。後者の方は、しっかり整理された情報というものを国民の皆さん、そして国会におきましても提供しながら、引き続き国内の合意形成に向けて全力を挙げるということであろうと思います。同時に参加国の同意という意味では、特に議会との関係で問題になるのが米国でございますので、この米国との、いわば事前の協議というものに対して、早め早めの対応をしっかりと行っていくということだと思います。
【ロイター通信 金子記者】米国のイラン制裁の措置ですけれども、日本が制裁措置の適用から除外される可能性について、どのようにごらんになっているかという点と、あと、米国が適用除外について決めるのは大体いつぐらいになるのかという目途がもし日本の方でありましたら、お願いいたします。
【玄葉大臣】米国のイランに対する制裁、特に中央銀行との取引を行っている企業の、いわばドル取引の禁止の問題でありますけれども、この点につきましては、私(大臣)からもクリントン国務長官にこの間、もっと言えば先般の外相会談でも、日本経済、そして世界経済、もっと言えば米国における消費に対してマイナスの影響があり得ると、逆効果もあり得るということを伝えたところであります。それに対してクリトン国務長官からは、運用に関して慎重に行っていきたいという話があったというように記憶をしています。
したがって、この問題につきましては、引き続き緊密に連携しながら、これからの中東訪問と絡むのですけれども、いわゆる原油の代替の問題も出てまいりますし、あるいは中央銀行以外の決済の仕方というのがないのかどうかなど、いろいろなさまざまな問題がございますので、そういった問題も常に頭に置きながら、米国側としっかりと連携をしていきたいと考えております。
時期については、我々は大体この辺りだろうという時期は念頭に置いていますけれども、外に向かって申し上げる状況にはないというように思っています。
【共同通信 池田記者】米国に関連して、ちょっと離れるのですが、懸案となっています普天間の移設問題です。本日、沖縄県の方でアセスメントの受理の手続きが始まっていますけれども、知事の方は県外移設を求めるという姿勢を変えていません。これまでも何回も伺っていますけれども、新年改めて辺野古への移設を実現することを目指していかれるのか、どのようにこの状況を打開していくお考えなのか、伺いたいと思います。
【玄葉大臣】日米合意というものを、基本的に引き続き推進をしていくと。大切なことは、抑止力というものを維持しながら、沖縄の負担軽減を実際に図っていくということに尽きるのではないと思っておりまして、こういう観点から、今年も私(大臣)として全力で取り組みたいと考えております。
【朝日新聞 土佐記者】今年1年で大臣が取り組みたい、または取り組まなければならないと思っている最大のテーマは何だと見ていますか。
あと、野田政権にとってこの1年はどういう年になるか。それは政局も含めてですけれども、どういう見通しをもっているか教えてください。
【玄葉大臣】外交を含めた日本全体の大戦略という意味で取り組むべきテーマは、大きく分けると2つだと思います。1つは社会保障と税の一体改革。もう一つはTPPではないかと思います。
ですから、社会保障と税の一体改革、消費税の問題については、しっかりと国会議員の定数削減というものを具体化して、他党にも強く働きかけをしながら、総理ご自身が先頭に立ってこの問題を克服していく、国民の皆さんにも訴えていく覚悟を示しておられますので、この問題を抜きには今年1年の政局あるいは政治は語れないと思います。 それと、TPPにつきましては、これも大戦略であると考えておりますので、先ほど申し上げたようにしっかり外務大臣という立場で、この問題について対応していきたいと考えています。
【NHK 吉岡記者】政府は、この夏を目途に新たなエネルギー政策をとりまとめる方針だと思うのですけれども、原子力政策の中で、いわゆる潜在的核抑止力という議論があります。国会でも一度取り上げられて大臣も承知しているというように答弁されていますが、改めてですけれども、やはり日本が核技術を放棄してしまえば、抑止力の観点から安全保障が弱体化するのではないかという指摘が一部であります。もちろん、野田政権として非核三原則を堅持するという姿勢は理解しているのですけれども、今後、その原子力政策を含めたエネルギー政策をまとめるに当たって、大臣としてこの点についてどういうようにお考えかというのをもしお持ちでしたら、具体的に教えていただければと思います。
【玄葉大臣】今の議論は、ある意味、もともと日本が原子力というものを導入してきたときにも存在していた議論だというように私(大臣)は承知しておりますし、今もそういう議論があることは承知をしています。
ただ、基本的な我々のスタンスというのは、核については、今、吉岡さんが触れたとおりでありますので、いずれにしても原子力の在り方については、今年夏までに、将来、減原発というのが基本でありますけれども、一体全体ゼロにすることもあり得るのかどうかということも含めて議論がなされるものだというように私(大臣)自身は理解しています。