【NHK 島田記者】田中前防衛局長の発言の問題で、仲井真知事は「口が汚れる」というようにおっしゃっていて、沖縄からは強い反発が出ていますが、常識的に見れば、今後の普天間問題というのは非常に困難な状況になったのではないかという見方だと思いますが、大臣は今後の普天間基地の移設問題をめぐる政府の手続に何らかの影響を与えるというようにお考えかどうか、お聞かせください。
【玄葉大臣】田中局長の発言は、昨日も申し上げましたけれども、言語道断で絶対に許されない言葉であると思います。私(大臣)も沖縄に関連をする大臣として、沖縄県民の皆様に心からお詫びを申し上げたいと思います。
今、ご質問がございました件につきましては、沖縄をめぐる状況というのは、この発言があるその時点、その前の時点から比べたら、また厳しさを増したというように認識をしますけれども、ただ、一方で、外交、そして安全保障を預かる立場として、環境影響評価書の年内提出に向けた準備というのはさせていただきたいと考えております。
【テレビ朝日 花村記者】午前中の衆議院の外務委員会でも出ていましたが、田中局長が同じ懇談の席で、「来年夏までに普天間移設の辺野古への手続、進展がなければ、このまま移設は進まないというのが審議官級の認識だ」という発言をされたと報じられています。大臣も渡辺防衛副大臣も、そのような発言は知らないとおっしゃっていましたけれども、現場の人間がそのような認識を持っているということについてどう思われますか。
【玄葉大臣】まず1つは、その点については、私(大臣)自身が田中さんに発言自体を確認したわけではございません。恐らくは報道なのだろうと思いますので、そういったことは事実関係をきちんと確認した上でないとコメントするのは適切ではないと思います。
【毎日新聞 横田記者】本日午前中のテレビ番組で、公明党の漆原国対委員長が一川大臣の件について監督責任が問われると、問責決議案という問題にも発展していくと述べていらっしゃるのですけれども、大臣はこの問題が一川防衛大臣の問責に値するとお考えになりますでしょうか。
【玄葉大臣】そのことも申し訳ございませんけれども、私(大臣)が発言する立場には、いくら沖縄に関係する同じ閣僚であるとはいっても、お答えする立場にはないのだろうと思います。
【琉球新報 松堂記者】先ほど大臣から「更に厳しさを増した」というお話がありましたが、評価書の提出時期について、年を跨ぐという検討も、年内ではなくて、年を越してもいいという検討をなさるおつもりはありますか。
【玄葉大臣】先ほども申し上げましたけれども、沖縄をめぐる情勢というのは、この件で厳しさを増したことはまた事実だろうというのが、私(大臣)の認識であります。ただ、先ほど申し上げましたけれども、年内に評価書を出させていただくための準備をさせていただきたいと考えております。
そして、我々、また私(大臣)も何とか、まだまだ不十分だとは思いますけれども、沖縄の方々、あるいは県知事はじめ、直接の行政の関係者も含めて、信頼関係を少しでも構築していこうという努力をしておりました。改めて一つひとつ、これからその信頼関係構築に向けて死力を尽くして、私(大臣)としては全力を挙げて、そういった関係が築けるように努力したいと考えております。
【毎日新聞 横田記者】原子力協定と原発輸出の件についておうかがいしたいのですけれども、本日の午前中の外務委員会で、大臣は諸外国が希望する場合に相手国の事情とか不拡散の観点も見極めながら、原子力協力を行うことは基本的に意義があるというように答弁されていたと思うのですが、これは、原発輸出というものを含む原子力協力全般について意義があるというように考えているという理解でよろしいでしょうか。
【玄葉大臣】先ほども申し上げましたけれども、これは、原子力協力=原発輸出ではないのです。結局、原発輸出というのは、基本的に企業のそれぞれの民間企業としての商談であり、判断ということがあります。ですから、それは基本的に整理されるべきなのだろうというようには思います。ただ、先ほど申し上げましたけれども、1つは核不拡散の観点、そして相手国のエネルギー政策、もっと言えば原子力政策、そして二国間関係もそうであります。相手国がどのくらい日本に対して期待、信頼というものを寄せているのかということを個々に総合的に判断していく必要があるし、そういう意味で、今回提出をさせていただいている案件について申し上げれば、原子力協力を行っていくことには基本的な意義があるというように考えているということでございます。
【毎日新聞 横田記者】そうすると、意義があるという言葉というのは、すでに交渉が始まっているまでのものであって、今後、新規の案件を含めて原子力協力の1つとしての輸出なり協定を結ぶということについてまで意義があると考えているということではないということですか。
【玄葉大臣】そこも先ほど申し上げましたけれども、結局、今の話は新規の話ですよね。新規の話は、いわゆる事故の原因究明とか調査の結果といったものを踏まえて、かつ、先ほども4点申し上げましたが、核不拡散の問題とか、相手国の原子力政策とか、二国間関係とか、どのくらい期待と信頼を寄せてくれるのかとか、そういったことを踏まえて、つまり、今まではその事故原因の調査結果を踏まえて判断するというよりは、先ほど申し上げた4点を踏まえて個々に判断したということでありますけれども、今度はそういったとりまとめのこともきちんと勘案して、最終的な答えを得ていくということだと思います。
ただ、基本的に我々がこれだけの大事故を起こしてしまった。そのことに対して、事故の、いわば教訓というものを世界と共有するという意味では、各国、特に原子力政策を推進していく各国とは、やはり何らかの形で協力関係を持っていくということは、むしろ日本にとって求められている貢献だという側面もあると思います。そこも踏まえながら、判断していかなければいけないのではないかと考えております。
【朝日新聞 土佐記者】イランについてですが、テヘランで英国大使館がイランの民衆に襲撃されました。その原因は、欧米諸国による追加の経済制裁措置の呼びかけだったと思いますが、日本として、経済制裁の今の検討状況と、あと大使館への襲撃に対するコメントというか、各国から非難声明も出ていますが、日本政府としては、それはどのように見ていらっしゃいますか。
【玄葉大臣】これは、今おっしゃったように手元にも来ておりまして、昨日、在イラン英国大使館等において、一部のデモ参加者が暴徒化して、同大使館等の敷地へ侵入して破壊行為等を行ったということでありまして、これ自体、やはり遺憾な行為であると思います。これは、基本的には、接受国の、いわゆるそういった公館とかを守るというのは、やはり本来イランの義務でありますから、そういう意味ではイラン政府に対して再発防止を呼びかけると同時に、やはり在留邦人のことが私たちは、どうしても当然大事でございまして、今、注意喚起をして、けが人がいる、被害がある、そういう情報はないということでありますけれども、制裁そのものについては、それぞれ関係国と連携をして、さらなる措置がどういったものが適当なのかということについて、これはさまざまな角度から考えなければいけない側面が、イランについてはございますので、そのことを含めて検討したいと思いますし、実は検討していると申し上げてもよいかもしれません。
(1)地球温暖化問題に関する閣僚委員会について
【玄葉大臣】 私(大臣)から2点申し上げます。1つは、地球温暖化問題に関する閣僚委員会が、今朝、行われましたけれども、今週28日(月曜日)から南アのダーバンで開催されているCOP17における我が国の対応について確認を行ったところであります。我が国としましては、すべての主要排出国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みを構築する、新しい一つの包括的な法的文書の早急な採択との最終調整を目指すとの基本方針の下、COP17では、カンクン合意の実施に加え、将来の包括的な枠組みに向かう道筋を明らかにし、必要な作業に着手することを目指していきます。
また、「世界低炭素成長ビジョン」、これは日本の提言でありますけれども、我が国のイニシアティブとして表明することも了承を得たところであります。詳細はこれから事務方に説明をさせたいと考えておりますけれども、このビジョンでは3点、1つは更なる排出削減に向けた技術革新、イノベーションへの取組み、2つ目は低炭素技術の普及・促進、新たな市場メカニズムの構築、3つ目は脆弱国への配慮、この3つのアプローチにより、関連施策を率先して実施するとともに、国際社会全体でも同様の取組を進めることができるよう、働きかけていきたいというように考えております。
我が国といたしましては、技術、市場、資金を総動員し、世界全体を低炭素成長に導くべく、引き続き積極的に貢献してまいりたいというように考えているところでございます。
(2)ハイレマリアム・エチオピア連邦民主共和国副首相兼外務大臣の訪日について
【玄葉大臣】もう1つ、12月1日(木曜日)から5日(月曜日)まで、アフリカ東部のエチオピア連邦民主共和国から、ハイレマリアム副首相兼外相が外務省賓客として来日します。
ハイレマリアム副首相は、私との外相会談及び技術協力協定署名のほか、関係機関への訪問や民間企業関係者との意見交換等を行う予定になっております。我が国とエチオピアは、昨年、外交関係樹立80周年を迎え、良好な関係を維持しております。2013年に日本で開催予定のTICADⅤに向けて、今回のハイレマリアム副首相兼外務大臣の訪日により、東アフリカ地域の大国であるエチオピアと日本との友好協力関係が一層強化されることを期待しております。
【日本テレビ 野口記者】国会の動きですけれども、衆議院の外務委員会で原子力協定が審議される見通しとなりました。これにつきまして、外務大臣としてどういうように臨んでいらっしゃるかお願いします。
【玄葉大臣】是非、今国会に提出している原子力関係の条約4本は、できるだけ速やかにご承認をいただきたいと考えております。それは、いつも申し上げておりますけれども、この間、国家間で信頼関係を持って進めてきた条約であります。先方はそれぞれの国内で既に承認済というのがほとんどだと記憶しておりますので、やはり、そういった信頼関係を損なわないようにすべきだろうと思います。
一方で、いつも申し上げますけれども、全く新規の案件は、しっかり検証を踏まえて対応していくという、こういったメリハリというか、そういったことが必要なのではないかと私(大臣)自身は考えております。
【日本テレビ 野口記者】一方で、原発輸出につながる原子力協定ですけれども、これは民主党の中からも慎重に扱うべきだという意見が依然としてありますが、これに対してはいかがですか。
【玄葉大臣】ですから、先ほど申し上げましたけれども、今まで現在進行中、あるいは、もう既に交渉が事実上開始されているものは、信頼関係を損なわないようにしないと、やはり、外交上もよろしくないと思います。しかも、いつも先方からのオファーであります。ですから、そういったことを踏まえて、対応する必要があるだろうと。ただ、新規については、やはり日本全体のエネルギー政策をこれからどうしていくのかということをしっかり踏まえた上で基本的な方針を打ち立てていくというのがよろしいのではないかと思います。
【毎日新聞 横田記者】ミャンマーの件ですけれども、明日からクリントン国務長官がミャンマーを訪問されるのですが、米国としては、57年ぶりの訪問になりまして、米国の関与の在り方というのが、展開点になるのかなというところですが、クリントン長官の訪問についての評価、また意義というところと、大臣ご自身のミャンマー訪問についてのお考えというのはいかがでしょうか。
【玄葉大臣】私(大臣)自身の日程等は、決まっておりません。ただ、日米外相会談でのミャンマーの評価につきましては、意見交換を行いました。その中で、私から10月だったと思いますけれども、日本とミャンマーの外相会談で、私(大臣)自身がこれまでのミャンマーの動きについて一定の評価をし、民主化の後押しのためにも、我々としては調査団を派遣するということを考えているということをその場で言いました。そういった日米外相会談などでの日本の意見なども含めて、総合的に判断されたのだろうと思います。
【フリーランス 上出氏】それはいつの外相会談になりますか。
【玄葉大臣】先般のです。先般のハワイのです。
【フリーランス 上出氏】どこかポイントで完全に一致したのか、あるいは、ちょっと違う点があるのか。
【玄葉大臣】やはり、米国は、あまりそのやり取りの詳細を申し上げるのは適当ではないと思いますけれども、大体、想像どおりです。結局、私(大臣)は先般申し上げましたけれども、この流れというのは前向きに評価をし、不可逆的にするためにどうするかという観点で関与すべきであるというのが私(大臣)の立場であります。米国は、若干、より人権に重きを置いているという気がいたしました。それだけは申し上げます。
【琉球新報 松堂記者】普天間問題ですけれども、政府が環境影響評価の評価書の提出時期を明言しないことについて、沖縄防衛局長が、昨日、記者懇談の中で「犯す前に犯すと言いますか」という発言をしたそうですが、それについて、これまで信頼関係の構築に励んでこられた大臣としてどう捉えているのかを教えていただけますか。
【玄葉大臣】仮に、もし、それが事実だったら言語道断です。ただ、事実関係を今、調査を防衛省がしていると聞いています。
【産経新聞 坂井記者】橋下知事ですけれども、維新の会との連携を模索する声も民主党内にはありますが、その点についてはどういうようにお考えになっていますか。
【玄葉大臣】先般の大阪の選挙というのは、やはり、それぞれの政党の議員というのは当然、重く受け止めていくという姿勢、あるいは謙虚に受け止めていくという姿勢が必要なのだろうと考えています。ただ、大阪都構想というのは、私(大臣)自身も、率直に申し上げて、十二分にその中身について、知っているわけではございませんので、そういったことについての評価も含めて、これから国会の中でもしっかりしていかなければならないのではないかというように思います。
【産経新聞 坂井記者】政党不信とも言われているのですけれども、その点についてはどうですか。
【玄葉大臣】 この間もそういったことが多々ありました。あるいはそれが比較的常態化しているというのは、我々政党に所属するものが全員反省をしなければならないのだろうというように思います。ただ、常に新党もすぐ既存政党になっていくというですね、新党も政党人になっていくという、そういったことも含めて、どういうように中長期的にこの動きを捉まえるのかということを、それぞれが間違いのない見方、評価というものをしていく必要があるのではないかというように思います。
(1)EAS議長声明の発出について
【玄葉大臣】私(大臣)からは冒頭3点申し上げたいと思います。一つは、この間、私(大臣)自身もASEANを訪問して力を入れてきたEASの議長声明でございますけれども、今般、インドネシアからEASの議長声明が発出をされたところであります。我が国は、海洋における協力のあり方について幅広く自由に意見交換できる場を設けるということが重要であることを主張してきたことは皆様ご存じの通りであります。その結果、本件の声明におきまして、3点ございますけれども、1つは、海賊、海上における捜索救援、海洋環境の汚染の問題、海洋に関する様々な協力を促進をしていくことの重要性を認識すること、2つ目には、既存のASEAN海洋フォーラムを土台として、EAS参加国間の対話を促すこと、そして3つ目に、将来のASEAN海洋フォーラムの際に、より広範な東アジア地域の国を含めた形で、拡大されたフォーラムを開催するとの我々の提案に前向きに留意するというようにしたこと等が記載をされ、我が国の考え方が盛り込まれたというように思います。このことを歓迎をしたいと思います。今後は、議長声明の内容を実施に移していくべく、関係国と協力をしていく考えであります。
(2)日インドネシア気候変動に関する二国間協力について
【玄葉大臣】2つ目には、若干関連しますけれども、今般、インドネシア政府との間で気候変動に関する二国間協力についての文書を取りまとめて、本日、発出をすることになりました。同文書におきまして、両国は、COP17の成功に向け協力をすることと同時に,森林保全、先進的な環境技術の分野におきまして、二国間協力を更に探求するということにしています。また、二国間のオフセット・クレジット・メカニズム、いつもこれは私(大臣)自身が強調いたしますけれども、この早期構築に向けた協力強化、我が国が提唱する東アジアの低炭素成長パートナーシップ構想への支持も明記されているところでございます。こうした二国間の協力関係促進は、国連の枠組みを補完をし、多国間主義の強化につながります。我が国といたしましては、来週28日(月)から南アのダーバンで開催されるCOP17の成功に向け、インドネシアと緊密に協力をしていきたいと考えております。これもインドネシアを訪問したときに、私(大臣)自身がいかにこの二国間のクレジットについて大切かということを申し上げて、その意味では非常に良かったというように思っております。
(3)我が国のTPP交渉参加に向けた協議に関する米国政府の官報告示について
【玄葉大臣】3点目は、TPP交渉参加に向けた協議に関する米国政府の官報告示について、せっかくなので一言付け加えたいと思います。米国政府によれば、先般、我が国がTPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る旨表明したことを受けまして、米国政府は我が国との協議を進めるに当たり、米国民から意見を募集するための官報を告示する予定だと、方向だというように聞きました。この告示は、米国内の各界・各層から幅広い意見を聴取するために実施するものであり、重要な通商案件を進めるに当たって行っているものと承知をしております。
【テレビ東京 秋山記者】昨日の地位協定の運用の見直しについて発表されまして、それに対して仲井真知事が、見直しは評価すると。一方で、辺野古への移設については、考え方は変わらないとおっしゃっていますけれども、改めて、どのように普天間移設を実現するのか、そのアプローチを教えてください。
【玄葉大臣】とにかく、私(大臣)の思いは、昨日も申し上げましたけれども、私(大臣)自身がこの間、沖縄県民の皆さんに、また、公の場でも約束をしてきた沖縄の負担軽減に向けた努力を努力に終わらせず、やはり一つひとつ実現をしていくことが、いずれにしても私(大臣)は大事だと思っていますし、基本的に、そういう思いで今回もこの種の取り組みについて強い決意で臨んでいるということでございます。
【NHK 島田記者】沖縄では1月の事故について抗議集会が起きるなど、非常に世論の反対が高まっていましたが、そういった声も今回、大臣が協議を急ぐようにと指示されたことについて関連していると考えてよろしいでしょうか。
【玄葉大臣】それは、私(大臣)として、以前も申し上げましたけれども、やはり問題意識を持っておりましたので。やはり、事件・事故に対する対応というのは大事だと思います。外務大臣になって、不公平感を感じている皆さんに対して、特に沖縄県民の立場に立って、自分(大臣)として何ができるのかということを自問自答いたしました。
ですから、まず、この種の取り組みについて全力を挙げようと。残念ながら、今まで日本国政府ができなかったことでありますから、一つひとつ結果を出して、県民の皆さんの立場に立って、全力を尽くそうという思いだけであります。
【NHK 島田記者】先ほどのEASの議長声明に、日本側の提案が盛り込まれたことについて、改めて、その意義と評価をお願いします。
【玄葉大臣】これは我が国がこの間、ずっと主張してきたことは、ご案内のとおりでありますし、ASEANに私(大臣)自身が訪問したときに、かなりの時間を割いたことも事実、もっと言えば、最終的に書簡の交換までしました。ただ、特定の国を念頭に置いているわけではありません。そうではなくて、やはりアジア太平洋を豊かで安定した秩序にしなければならないというのが、私(大臣)自身が繰り返し繰り返し申し上げていることであります。そのときに、やはり、海洋というのは公共財であって、そのことについて幅広い自由な意見交換の場を設けるということが、結果として豊かで安定した秩序をこのアジア太平洋地域につくり上げることにつながるという、これはもうやや信念にも近いものでありますけれども、そういった考え方に基づいて、この間、不断に努力をしてきましたので、私(大臣)としては非常にこのことはうれしいです。大事なことは、これからしっかりとその道筋というか、その実現に向けて絶え間なく努力していくことだと思います。
【時事通信 北井記者】本日からの沖縄訪問ですけれども、どのようなお話を具体的に沖縄の方にされて、更に、普天間移設について、改めて理解を求めるという理解でよろしいかどうか。
【玄葉大臣】本日、参りますので、また明日、オープンな場でもお話をいたしますので、その場でお聞きいただければと思います。ただ、私(大臣)としては、今回も当時の沖縄戦の歴史を辿りたいという思いがあります。ですから、ちょっと時間を割いて、そういったこともさせていただきたいと思っていますし、今回は、民主党県連とも意見交換をする場を持ちたいと思っています。また、経済界の方々とも意見交換をする場を持ちたいと思っていまして、発言ぶりはそのときに聞いていただければと思います。
【産経新聞 坂井記者】それに関連してですけれども、そもそもこの普天間の問題のハードルの1つに、地元の民主党沖縄県連が民主党政府の考え方に対して反発しているという根深い問題があるのですが、このことについては、どのようにお考えになっていますか。
【玄葉大臣】全くそのとおりだと思います。ですから、私たち政府の関係者がしっかりと意見交換をして、距離を縮めていく努力をしなければならないし、また、いわゆる党本部も含めてそういった努力をしなければならないのは、私(大臣)は当然のことだと思います。ですから、なかなか、今までの公約との関連がございますから、本当に距離が非常に開いているけれども、やはり少しでもこの間の経緯を理解していただいて、その距離を縮める努力をしていかなければならないし、汗をかかなければいけないと思います。
【北海道新聞 相内記者】韓国ですけれども、引き渡す予定の図書の期限が迫っていますが、一部報道では、大統領が訪日されるという報道があります。そのときに引き渡されるお考えでしょうか。
【玄葉大臣】あれはたしか、期限が決まっていると思いますので、それは比較的実務的な感覚にならざるを得ないのではないかと。法律で決まっていると思いますので、そういうことではないかと思っています。
【北海道新聞 相内記者】それ以前に実務的な形でお渡しするという方向ですか。
【玄葉大臣】恐らくそうなると思います。
(1)玄葉大臣の訪中について
【玄葉大臣】冒頭三点申し上げたいと思います。一つ目は訪中でございますけれども、国会のご了承が得られれば、11月23日(水曜日)早朝発、24日未明帰国の日程で中国・北京を訪問し、楊潔チ外交部長との日中外相会談等を行う予定でございます。
野田政権成立後、国連総会における外相会談やAPECにおける首脳会談等、日中間ではハイレベルでの間断なき対話が行われております。そして、年末までには、野田総理が訪中をする方向で調整をしているところでございます。
今回の私(大臣)の訪中は、総理訪中に向けて下準備、準備を行うということが主目的でございます。現在の日中関係のさまざまな課題、例えば、震災を受けた協力、海に関する協力、そして、文化・人的交流、地域情勢・国際場裡での協力等について具体的な取組を推進するための議論を行いたいと考えています。また、この機会に、中国政府要人との会見を行う方向で調整しているほか、日中映像交流事業の一つである「日本アニメ・フェスティバル」が23日から北京及び上海で開催されるところ、23日昼に行われる開幕式にも出席する予定でございます。
(2)北朝鮮人権状況決議の国連総会第3委員会における採択について
【玄葉大臣】北朝鮮人の権状況決議でありますけれども、22日(火曜日)、現地時間21日(月曜日)でありますが、ニューヨークで開催中の国連総会第3委員会におきまして、我が国及びEUが共同提出した北朝鮮人権状況決議が7年連続で賛成多数により採択されたところでございます。
本決議が、多数の賛成票を得て採択されたということは、拉致問題の早期解決を含む北朝鮮の人権状況に係る懸念に関し、北朝鮮に対して国際社会の明確なメッセージを発出するということになったと考えています。
我が国としては、北朝鮮が具体的行動をとるよう引き続き働きかけていく考えでありますけれども、今回、過去最多の得票であったと。112票で、これまでのさまざまな働きかけというものが功を奏しているというように思います。例えば、私(大臣)が外相会談をしてフィリピンとかコロンビアの外相に「棄権しないで賛成をしてくれ」というように言って賛成にまわったとか、今まで反対だった、例えばマレーシアがこの間働きかけをして棄権にまわったとか、そういったいろいろな働きかけがこういった過去最多の票になっていると思います。
(3)日本・ミャンマー経済協力政策協議を開催について
【玄葉大臣】ミャンマーでありますけれども、11月28日(月曜日)、ミャンマーの首都ネーピードにおきまして、日本・ミャンマー経済協力政策協議を開催するということになりました。
同政策協議は、先般、10月21日(日曜日)でありますが、東京で行われた日本・ミャンマー外相会談で私(大臣)からワナ・マウン・ルイン外務大臣に、また、今月18日にバリで行われた日本・ミャンマー首脳会談で野田総理からテイン・セイン大統領に、早急に実施したい旨伝達していたものであります。同政策協議には、石兼南部アジア部審議官をヘッドといたしまして、関係省庁の審議官・課長級が出席する予定です。
同政策協議においては、本年3月に民政移管により成立したミャンマー新政権の開発政策について協議するとともに、我が国の対ミャンマー経済協力方針の下で実施可能な案件の形成等について議論するという予定になっています。
【日本テレビ 野口記者】日米地位協定の改定についてお伺いいたします。一部報道によりますと、公務の後に飲酒運転を起こした米軍の軍人・軍属に関しまして、一次裁判権を日本に移すということで近く合意するというように報じられておりますが、この事実関係と、もしそうだとすると、その場合の今までの運用の問題点についてお伺いします。
【玄葉大臣】いずれにしても、公の催しで飲酒をして自動車運転をしました、そのことが公務として扱われるというのが、私(大臣)はおかしいとずっと言ってまいりましたので、そのことについてまさに強い決意で、今、臨んでいるという最中でございまして、まだ決定がなされたとか、そういう段階ではないということでございます。それと同時に、今軍属という話がございましたけれども、軍属の裁判権の問題についても、これはそもそも一つ一つの事件についてはコメントする立場にはありませんけれども、一般論として軍属の裁判権について、私(大臣)の方から事務方に日米でしっかり協議をするようにということを、この間強く指示をしてきたという経緯はございますけれども、まさに今これも協議中であるということでございます。
【NHK 島田記者】今おっしゃった軍属の裁判権に関する大臣の問題意識というのはどういったものでしょうか。
【玄葉大臣】私(大臣)の問題意識としては、先ほど、公の催事の飲酒の話を申し上げましたけれども、果たしていわゆる軍属の裁判権の問題というのが、一般的には公務の時の軍属の裁判権というのはいわゆる米国側にあるというのが今までの整理でありますけれども、そういう中で、本当にありとあらゆる事態にそういうことで良いのかということについて、私(大臣)としては問題意識を強く持っているということでございます。
【フリーランス 上出氏】スー・チーさんが勝った1990年の選挙以来、ビルマに行ったりして取材して、最近はちょっとないですが。最近、大きく進展しているということなのですが、これまでの例から見て、やはり、中途半端な形で、軍政の権力意識はものすごく強くて、こちらにおられるミャンマーの方たちは非常に心配しております。いい方向にはなっているのですが、今までとどう違うのか。建設的関与と言われた時代がありますけれども、それが裏目に出たという評価がありますが、その状況と今の状況と決定的に何が違うのか、どういう点が進展しているのか、本当に大丈夫なのか、その点のご見解を。
【玄葉大臣】やはり、政治犯が釈放されているということが1つあると思います。それと同時に、報道でもございますけれども、例えば、アウン・サン・スー・チーさんが所属する政党の選挙、いわゆる政党登録法だったかと思いますけれども、選挙も認められるということで、私(大臣)としては、やはり、着実に改革、民主化というのが進んでいる。そのとき、時宜を捉えてタイミングを見逃さずに、民主化そのものを後押しする形で、いわゆるミャンマーの開発も含めた経済についての後押しというものをしていくことが私(大臣)は大切だと思っていまして、まさに、今が1つのタイミングであろうと考えているということでございます。
【フリーランス 上出氏】後戻りすることはないという(ことですか。)
【玄葉大臣】大事なことは、今の流れを変えない。つまり、不可逆的なものにするためにこそ関与するということが大事なのだと思います。
【NHK 島田記者】米国議会で、財政赤字の削減について、協議がどうも決裂したようですけれども、この問題は、公務員の削減も入ってくると思うのですが、沖縄であったり、グァム移転、普天間問題に与える影響を大臣はどのようにお考えでしょうか。
【玄葉大臣】私(大臣)もつい、先ほど、残念ながらというか、議会の方で予算についてまとまらなかったというニュースを耳にしたところでございます。まだ、これから議会がまとまっていく可能性もゼロではないのではないかということが1つあると思います。それと、仮にまとまらなかったときの影響ということでありますけれども、だからこそ、先般のオーストラリアでのオバマ演説があったのではないかと私(大臣)自身は捉えておりまして、アジア太平洋地域にコミットすると、関与していくというような演説があったということで、そういう意味では、今回の予算の問題が、このアジア太平洋地域の安保環境に直接的に影響するという事態は、現時点においては、私(大臣)としては想定していないということでございます。
【NHK 吉岡記者】ASEAN+3で金融面での協力を日本が主導したということなのですが、アジアの経済は、ヨーロッパ経済と比べて外貨準備高も高いですし、堅調と言われる中で、なぜ、今、金融面での協力をアジアでする必要があるのかということをお聞かせ願えますか。
【玄葉大臣】恐らく財務当局間で議論していた内容なのではないかと思われますので、詳細をしっかり調べてから、それについてはお答えしたいと思います。ただ、やはり、欧州がご存じのような状況にあって、その影響を米国が受けるというのが今の状況であります。新興国が、どれだけ世界経済全体を下支えすることができるかという状況というか、そのことが1つの大きなポイントになってくるのだろうと思いまして、そういう意味では、新興国、特にASEANなどがしっかりとリスクヘッジも含めて、セーフティーネットもきちんと張っておくということは、今後の世界経済全体にとって大切なことなのではないかと思います。ちょっと、今回の合意、そこのところはまだ確認していませんので、確認をした上で必要ならまたコメントしたいと思います。
(1)ASEAN連結性強化に向けた取組みについて
【玄葉大臣】冒頭、三点申し上げたいと思います。一つは、今、ASEANで会議が開かれておりますけれども、この連結性強化に向けた取り組みについて一部もう既に報道が出ましたので、私(大臣)からしっかり申し上げたいと思います。
本日、インドネシアで開催される日・ASEAN首脳会議は、8年ぶりに新たな日本・ASEAN共同宣言及び行動計画を採択する歴史的な会議となる予定であります。我が国は、今回の会議を通じて、ASEANとの絆を一層強化したいと考えております。
具体的には、ASEAN連結性強化に向けた支援、防災、人的交流等の分野における取組みを強化していく考えでありますけれども、特に、今朝も報道等に一部ありましたけれども、我が国が取り組むASEANの連結性強化に向けた支援でありますけれども、本日、総理から、事業規模で概ね2兆円程度に及ぶ主要案件に対し、我が国としてさまざまな形で協力していくということを表明される予定でございます。
これは、「協力」という言い方をしましたけれども、ひと言で言えば経済外交でもございますし、日本としては大きなビジネスチャンスであるという捉え方も十二分にできると思います。豊富なインフラ需要を有するASEANにおける連結性強化に向けた取組みは、我が国の企業にとっても大きなビジネスチャンスとなるものでありまして、今後、連結性強化への取組みに我が国の民間企業が積極的に参加して頂くことを期待しています。つまりはオールジャパンで取り組んでいくということであります。その上で申し上げれば、このファイナンスというのはODAということではなくて、つまりODAももちろんあるのですけれども、例えばJBICであるとか、あるいはADBというアジア開発銀行等とも連携して民間企業の積極的な参画を期待したいと考えています。
更に、関連で申し上げますとミャンマーでありますけれども、実は我が国のASEANの連結性支援にとって空白になっているのがミャンマーでありまして、この間、大統領とアウン・サン・スー・チー氏との会談、政治犯の釈放を含め民主化、そして、国民和解に向けた動きがでているところでございますので、私(大臣)としてはいうか、日本国政府としては、これらの動きを前向きに評価をしているということでございます。したがって、今回ミャンマー側の要請のあったダウェイとの連結性、そして経済特区の開発等を内容とする総合開発調査の実施に協力する方針でございます。総理からも、もう表明があったかもしれません。
(2)東アジア低炭素成長パートナーシップ構想について
【玄葉大臣】バリにおける東アジア首脳会議(EAS)では、野田総理より、我が国が提唱する東アジア低炭素成長パートナーシップ構想について改めて説明をし、各国首脳の支持を求める予定であります。
この構想は、世界の成長センターであり、最大の温室効果ガス排出地域でもある東アジアにおいて、低炭素成長モデル構築のための地域協力を、国連を補完する形で進めるものであります。この間、日本国政府が提案してきており、これまで各国とさまざまな形で協議を行ってきました。今回、各国首脳の賛同を得たのち、具体的な取り組みとして、来年4月を目途に、東京でこのパートナーシップにかかる国際会議を開催するということでございます。特にASEANを私(大臣)が訪ねた時も、二国間のオフセット・クレジットの重要性について、特にインドネシアのマルティ外相を始め、それぞれの外相に対して私(大臣)の方から、かなり丁寧に説明をさせていただきました。つまりは、日本の省エネ技術を輸出した時に、その輸出分によって相手国で温室効果ガスが削減された分を我が国の削減分にカウントするという仕組みであります。私(大臣)は外務大臣に就任してから「環境技術の輸出というのが、極めてキー(鍵)になる」ということを繰り返し申し上げてきたわけでありますけれども、そういう意味ではこういったことがしっかりと各国の支持を集めていくということが日本にとっては極めて大切だと考えております。
(3)ハジナスト・アルバニア共和国副首相兼外相の訪日について
【玄葉大臣】11月20日(日曜日)から11月22日(火曜日)までの日程で、アルバニア共和国のハジナスト副首相兼外相が訪日をいたします。滞在中、私(大臣)と外相会談を行い、二国間関係及び国際情勢につき意見交換を行う予定であります。ハジナスト副首相兼外相の訪日により、既に友好的な日本・アルバニア関係が一層発展することが期待されます。アルバニアという国は、対バルカン外交を考える上ではキー(鍵)となる国であると認識をしているところであります。
【記者】大臣の訪中は決まりましたでしょうか。そして、年内に総理の訪中も検討されていると思うのですが、今回の訪中を通して、日本側はどのような成果を期待されるのでしょうか。
【玄葉大臣】国会との関係もあって、日程についてはまだ発表できる段階には残念ながらありません。ただ、中国は非常に重要な国でございますので、お互いに戦略的互恵の関係、ウィン・ウィンの関係というものを深化をさせていくことがとても重要であると思っています。深化をさせるということは、それをより具体的にしていくということだと思っています。来年、国交正常化40周年にもあたりますので、特に国民の感情、この感情の改善というのをお互いに草の根レベルも含めてでありますけれども、しっかりとこの40周年に向けて、また40周年の時に改善が図られるように準備をしていくということが大切だと思っています。
【記者】オバマ大統領が、オーストラリアで発言しております。藤村官房長官は、軍事面で海兵隊2,500人がオーストラリアにということについては影響がないと言っていますが、しかし、実際、今年7月にやった日豪の、いつもやっている大演習では、2,500人が沖縄から行っています。当然、影響がないわけはないので、「知らない。影響がない」というのは、沖縄の人や国民に対して少し無責任ではないかと思うのです。本当に聞いていなかったのか、言えないのか、その辺のお考えをちょっと教えていただきたいのですが。
【玄葉大臣】もちろん、しっかりと聞いておりますし、また、同時に、ただ、米軍再編ロードマップに影響が今あるということではないと。ただ、第三国、米と豪ですから。とはいえ、私(大臣)の方から米および豪としっかりと意思疎通を図るようにと指示を改めてしているところでございます。それ以上のことはコメントを差し控えたいと思います。
【記者】国民の税金にも関わるという問題にもかかわらず、それも含めて言えないということですか。
【玄葉大臣】それは、今、コメントすることは差し控えたいと思います。いずれにしても、米国側は米国側としての情勢認識だとかあると思います。いわゆる分散をすることの重要性とか、そういったものを認識しながら、今回の決定になっているとか、いろいろございますけれども、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。
【記者】一川大臣が、ブータン国王の晩餐会を欠席して、民主党議員のパーティーに出席したと。かつ、その後の立食形式のパーティーで、複数の閣僚が携帯電話で話をしているということがあって、藤村官房長官の方で注意があったそうですけれども、こういうことが閣僚の中で起きるというのは、気の緩みもあるのではないかという気もします。マナーの問題でもありますが、受け止めをお願いします。
【玄葉大臣】これは、私(大臣)自身がコメントするのは適切ではないと。官房長官が内閣を代表してしっかり対応をしてくれるものと思っていますし、コメントもしてくれるものと考えています。
【記者】北朝鮮の拉致問題で、日本政府が1年前に平壌市民の資料を入手していて、その中に横田めぐみさんと、生年月日などが一致するような方がいらっしゃったという情報があるのですけれども、事実関係というのはどうなっているのでしょうか。
【玄葉大臣】いわゆる、そういった情報については、言うまでもないことですが、我々としても不断に情報収集をしております。ただ、得られた情報について、公の場で申し上げるというのは、やはり、どうしても今後の情報収集に支障をきたすということがございますので、やはりそれは差し控えなければならないと思っております。
同時に、いわゆる、そういったリストの信憑性についても、確たることはやはり、こういう場では申し上げることはできないと思っています。
【記者】TPP交渉に向けて交渉への参加を始めるという中で、今度、ASEAN+3とかASEAN+6という枠組みで経済連携を進めるということの意義、TPPとの関連でどうでしょうか。
【玄葉大臣】これは大事な話だと思いますけれども、元々、FTAAPを目標にしているということであります。TPPについては、ご存じのように、交渉参加に向けて協議に入るということを総理が表明したという状況にございます。そうなると、結局、FTAAPをつくるというのは、大きく分けると3つの要素でFTAAPができていると思います。つまり、1つはTPP。2つ目にASEAN+3、つまり日中韓。そして3つ目にASEAN+6。つまり、それにオーストラリア、ニュージーランド、インドを含む枠組みでありまして、やはり、そういった枠組みが並行して進んでいくということが私(大臣)は大切だと思っています。
やはり、多くの国々が、日本の動きというものに関心を有していた、あるいは注視をしていたということも私(大臣)はあるのではないかと思っています。
【記者】本日から、竹歳官房副長官と、それから外務、防衛など関係省庁の次長級が沖縄を訪問しますけれども、これまでの閣僚の沖縄の訪問とまた違うステージになるのか、この辺りの認識はどうお考えでしょうか。
【玄葉大臣】竹歳官房副長官が沖縄を訪問されることは、承知をしています。当然、閣僚間、あるいは官邸とも意思疎通を図っているところでございます。いずれにしても、沖縄の負担軽減も含めて、振興策、あるいはいわゆる基地の問題等々を含めて、どうやったら沖縄の皆さまの理解が少しでも得られるようになるのかということについて、しっかりと関係閣僚間で意思疎通を図りながら進めていきたいと考えています。
【記者】東アジアサミットで日本が海洋安全保障を提案する予定だと思うのですが、これは中国では、中国をけん制する、あるいは中国に対抗するのではないかといった懸念があります。大臣のお考えはいかがでしょうか。
【玄葉大臣】特定の国を念頭に置いているということは全くございません。結局、海洋というのはやはり公共財であります。多くの国が関心を有している分野であります。そして、アジア太平洋で豊かで安定した秩序をつくるためには中国の役割は不可欠でありますので、やはり、先ほど申し上げたように戦略的互恵の関係をつくる、ウィン・ウィンの関係をつくる。海洋を含めた幅広い分野、例えば、海洋での捜索救難、あるいは海賊対策、あるいは海洋環境の汚染の問題、そういった幅広い分野で、しっかりと協力をしていく、連携をしていくといったことが大切で、そういった問題について、多数国間で開かれた議論の場を持っていくということにねらいがあるということでございます。
(1)出張報告(APEC閣僚会合)について
【玄葉大臣】11月10日(木曜日)から13日(日曜日)まで、APEC閣僚会議に出席するため出張しました。会議では、アジア太平洋地域の経済統合の強化、防災などのAPECの取り組むべき課題について幅広く議論し、有益な成果をあげることができました。また、この機会に、ご案内のとおり、アジア太平洋地域の外務大臣とバイの会談などをし、有意義な意見交換を行うことができました。
日米外相会談では、主にホノルルAPECと、米国大統領が初めて参加するEASについて議論し、これらが地域の経済、政治、安全保障の基本的枠組みの構築に向け重要との認識を共有したところでございます。それぞれ具体的な成果を上げられるよう日米が緊密に連携していくことを確認したところでございます。
(2)豪州における米軍のローテーション展開及び訓練の拡充について
【玄葉大臣】本日、豪州で米豪首脳会談が行われて、米軍が豪州に新たにローテーション展開することが発表されました。米豪両国から事前の説明があったところでございます。
今回の決定は、アジア太平洋地域へのコミットメントを強化するという米国の政策を具体化するものであろうというように思います。我が国としましても、今回の決定は、この地域における米軍の能力を向上させ、地域の安全保障に資するものと考えており、歓迎します。
なお、今回の決定は、我が国における米軍再編に影響を及ぼすものではないという説明を米側から受けているところでございます。
【記者】TPPですけれども、総理、大臣がAPECから戻られてTPPに弾みがつくというよりは、また別、国内では批判が強まっているように思えます。日米首脳会談の食い違いも含めですけれども、本日、総理は参議院の予算委員会の中で、「強力な体制を整備したい」とおっしゃいましたけれども、省庁横断のチームというようなことを言われていますけれども、大臣はどのようなものを目指したいと思いますか。
【玄葉大臣】まず、総理がどのようにお考えになるのかということを踏まえる必要があるのだろうと思います。もちろん、省庁は当然横断するものになると思います。またそれにどういう形でスタッフを加えていくのか等々、同時にこれは交渉に入ってからの交渉チームとそれ以前の協議の段階でのチームをどう考えるのかということもあるのではないかと。全く同じチームでいくのか、それとも協議は協議としてチームを組むのか、更に交渉に入ったら厚くしていくとか、それはまさにこれからしっかりと考えて実行していくということではないかと思います。
【記者】官房長官は国家戦略室の下にというようなお考えのようですけれども、その辺はいかがでしょうか。
【玄葉大臣】それはこれから話し合って、一番強力な体制がどうしたら作れるのかということについては、虚心坦懐に考えていかなければいけないと思います。
【記者】日米首脳会談について、野田首相の発言を巡って米側と日本側の説明というか食い違いの問題がまだ引きずっていますが、本日の予算委員会で野田首相が事実確認をした際に訂正をした方がいいと言ったが、米側の解釈で書いているのだからというやり取りで止まっていると説明されました。「これは訂正した方がいい」と言ったというのは、首相が外務省を通じて、そういう指示を出されたということなのでしょうか。
【玄葉大臣】私(大臣)の解釈では、総理がそういう指示をされて、外務省が米側、つまりホワイトハウスに訂正を求めたということではないかと思います。結果として、野田総理ご自身がいわゆるあの場で「自由化交渉のテーブルに全ての物品を載せる。サービスを載せる」という発言はなかったということが確認され、併せてそのこと自体も内外発表されているというように私(大臣)自身は認識しています。
【記者】昨日までは、官房長官も含めて訂正を求めたり、抗議をしたということはなかったという説明であったような気がするのですが。
【玄葉大臣】そこはわかりませんけれども、私(大臣)が認識しているのは、やはり言わなかったことを発表される、あるいは野田総理が発言したというように言われるのは誤解を招きますから、その部分について訂正を求め、その結果として「野田総理はその部分については発言されなかった」ということが確認され、そのこと自体がまた内外発表されているというのが今の状況ではないかと思います。
【記者】今回の一連の出来事ができた背景として、やはり日米の連携がとれていないのではないかという見方もありますけれども、それについてはどう思われますか。
【玄葉大臣】日本側もぎりぎりまで国内の調整を行ったわけです。まさに政府専用機に乗り込む直前まで調整していたわけでありますから、そういった一定程度の誤差というものが生じたところがあるのではないかと思います。
ただ、いわゆる政府関係者とか野田総理が公の場で発言されていること、そのことを米国側は発表したということなのだろうと思います。野田総理ご自身があの場で発言していないということも含めて、内外発表されているということだと思います。
【記者】昨日の参議院の予算委員会でTPPのテーブルの上にコメを載せるかどうかという質問に対して、野田首相は何もおっしゃらなかったわけですけれども、大臣はコメをテーブルの上に載せるということについて、どうお考えですか。
【玄葉大臣】先ほど、私(大臣)が答弁していたのを聞いていただいたかどうかわかりませんけれども、「例えば公的医療保険は絶対守ると言えるのに何でコメは言えないのか」という質問が今日も出たのです。
公的医療保険の場合は、ひとつはTPP交渉の対象になりにくいだろうという見通しが立つわけです。それと、一方で農産品というのは基本的に自由化交渉のテーブルに載せて、あと、それが例外になったり除外になるかというのは、まさに基本的には交渉の中での話。基本的にはですよ。それが今までのTPP交渉だと思うのです。ですから、そういう中でどう考えていくかということだと思います。
事実関係だけを申し上げれば、日本が大体9,000タリフラインあるわけです。例えば1番レベルの高いEPAで米国とオーストラリアのEPAがありますけれども、1パーセントだけ除外されています。1パーセントです。ということは、9,000のうちの1パーセントというのは90です。90のタリフラインが除外されているわけです。そういった除外を認めるべきだという意見も今、根強くあるわけです。
90というのは、どういう数字かというと、例えばコメとその調製品で34タリフラインです。これは事実として、私(大臣)は押さえておいていただきたいと思うのですけれども。ですから、そういったことも含めてどういうように、まさに考えていくのかというのは、交渉そのもの、あるいは交渉の前の事前の調整をどう扱っていくかということだと思います。
(1)APEC閣僚会議への出席について
【玄葉大臣】私(大臣)は、国会のご了承が得られれば、第23回APEC閣僚会議に出席するため、10日(木曜日)から12日(土曜日)まで、ホノルルを訪問する予定でございます。
また、山口外務副大臣につきましても、同時並行で行われる貿易担当大臣会合等に出席するため、11日(金曜日)から12日(土曜日)まで同地を訪問する予定でございます。
同会議では、議長である米国が重視する災害への強靱性、オープン・ガバナンスと経済成長、多角的貿易体制の支持、地域経済統合の強化及びグリーン成長の推進等のテーマに関し、引き続いて行われる首脳会合に向けて、参加閣僚との間で意見交換を行う予定であります。
なお、ホノルル滞在中、私(大臣)は、議長である米国、フィリピン、メキシコ及びタイ等、参加閣僚と個別に会談し、APEC閣僚会議に関する論点及び二国間関係に関し意見交換を行う予定でございます。
(2)ナスル第66回国連総会議長の来日について
【玄葉大臣】11月12日(土曜日)から16日(水曜日)まで、ナスル第66回国連総会議長が外務省の招待により来日いたします。ナスル国連総会議長は、滞在中、私(大臣)を含め要人と会談等を行う予定です。また、滞在中、ナスル国連総会議長は、関西を訪問し、「人と防災未来センター」を訪問する予定であります。
ナスル国連総会議長は、カタールの国連大使を長く務められた経験があり、議長の訪日により、我が国と国連との協力関係が一層深まることを期待しております。
(3)ワールドカップ北朝鮮戦への対応について
【玄葉大臣】来週15日(火曜日)、北朝鮮・平壌にて開催される2014年FIFAワールドカップ・アジア第三次予選「日本対北朝鮮」戦に向け、北朝鮮に渡航する選手団やサポーターに不測の事態が発生する可能性を最小化する観点から、現地に担当職員を派遣する予定です。
具体的には、11月12日(土曜日)から16日(水曜日)の日程で、外務省領事局の課長をヘッドとして職員13名を平壌に派遣する方向で準備をしています。職員13名には、外務省職員12名のほか、日本サッカー協会を所管する文科省の1名が含まれております。
【NHK 吉岡記者】対中国の外交ですけれども、一点目は、本日の夕刊の一部報道で、今月23日(水曜日)に大臣が日帰りで訪中されるという報道がありましたが、大臣や総理の訪中の調整状況について。もう一つは、本年に入って、四川省などでチベット族の僧侶が、中国政府に対する抗議の意味で、焼身自殺を図るというケースが相次いでいるという報道があるのですが、今後、中国側と会談するにあたって、この問題を提起するおつもりはありますでしょうか。
【玄葉大臣】一点目の訪中の調整でございますけれども、調整をしていることは事実でありますが、具体的な日程については、まだ調整中ということでございます。お互いに頻繁に話し合おうということにしておりますので、今回、私(大臣)の方からお邪魔しようと思っています。
それとチベットの話でありますが、これは、チベットの地位については、従来から中国の内政問題というのが我が国の立場でありまして、そのことに変わりはありません。
【産経新聞 坂井記者】本日の自民党の領土に関する特命委員会で、韓国の国会議員が竹島でコンサートを開くということが明らかになったのですが、それに対する受け止めと抗議をしたのかどうかという点が一点。
もう一点は、明日(発売)の週刊新潮で玄葉大臣がお酒の席で「中国が尖閣を欲しいと押し出してくれば、中国に差し上げれば良い」ということを喋ったという報道がされるわけですけれども、そういうことを語られたのでしょうか。
【玄葉大臣】まず、竹島でありますけれども、これは8日(火曜日)及び9日(水曜日)に中止を申し入れております。
そして、週刊誌報道で尖閣、尖閣はご存じのように領土問題は存在しないという立場、我が国固有の領土という立場でございます。言うまでもないことでありますが、どんな状況であっても、そのようなことを言うはずがありません。100%あり得ないと申し上げたいと思います。私(大臣)がそんなことを口が裂けても言うはずはないし、事実無根であるということについては、私(大臣)の近くにいた全員が証明してくれるはずでございます。
【テレビ朝日 花村記者】TPPの話が山場ですけれども、役員会、民主党の方でまとまったかと思いきや、その見方は非常に分かれていますし、山田前農水大臣は午前中に「もし総理が交渉参加を表明されれば、重大な事になる」とおっしゃっていますけれども、重大な事になると思われますでしょうか。
【玄葉大臣】党内の議論の状況は、私(大臣)の方にも一定程度入ってきてございます。一定の相談もある状況にありますけれども、いずれにしても、これは総理が最終的に判断をされることになるのではないかと、どういう結論かはわかりませんけれども、決まったら、やはり党として、全員でその決断を支えるということが必要だと考えております。
【NHK 池川記者】大臣はこの間、討論会にも参加されて、いろいろ国民の理解が深まるように努力されていたと思うのですけれども、先ほどAPEC閣僚会議が明後日に迫っているということで、この国民の理解というのはどの程度進んだというか、この間いろいろ政府としてもやってきたと、党の議論も通じていろいろ国民の目に触れる機会が多かったかと思うのですけれども、どうして理解が深まったと思われますか。
【玄葉大臣】残念ながらアンケートを取ると、わからないという方が非常に多いというように思います。情報提供が十分かと言われたときに十分ではないという答えが多いということも真摯に受け止めなければいけないと思います。ただ、我々としては、収集した情報について、できるだけ整理をしてお出しをするということをこの間やってきたつもりでありますし、私(大臣)も、もう聞かれなくとも、時には各論についても、現在持ち得る情報についてできる限り端的にシンプルに話をするように心がけたつもりでございます。さまざまな懸念などが部門の会議などで出されてきたと、あるいはPTの会議などで出されてきた。でも、とても良かったと思うのです。その結果、論点がかなりはっきりしてきているのではないかというように思うのです。
ですから、そういう論点がはっきりしてきている中で、議論というのは、私(大臣)はより深まりやすい状況に今ようやくなってきているのではないかなという感じがします。
【NHK 池川記者】追加でお伺いしたいのですけれども、大臣はこれまでTPPはこのタイミングで交渉参加することのメリットを比較的、討論会等で訴えられてきたと思うのですけれども、改めてAPECで日本が交渉参加を表明するということのメリットを教えていただけますか。
【玄葉大臣】あくまで一般論ということで、政府の立場はこれから総理を中心に決定をするということでございます。
改めてメリットということを申し上げれば、ルールづくりに参加をする、多数国間でのルールづくりに参加をするということが一つ大きいと思うのです。バイの組み合わせでよいではないかという議論がよくあります。バイというのは、いわゆる二国間のEPAの組み合わせでよいのではないかという議論があります。ご存じのように、2002年からシンガポールを皮切りに13の国々とEPAを結んできたと。しかし、カバー率は韓国の半分、タリフラインは非常に低いというのが現状だと。これからももちろん、例えば本日も出ていましたけれども、日豪は交渉加速であり、日韓は交渉再開であり、日EUは交渉開始でありますが、日中韓も共同研究を年内に終了ということで、これは早めているわけです。何もTPPばかりではなくて、TPPも、あるいはそれぞれバイラテラルなEPAもということであります。
今置かれている状況は、本来はWTOがいいわけです。けれども、WTOが残念ながら停滞をしているという状況の中で、どうやって我が国が、我が国に適合したルールのメイキングをできるのかどうかということがまさに問われているということがありますし、そういう意味でのタイミングというのは一つ考えられます。一般論として言うとあるのだろうと思います。
あとは、当然、日米の問題というのも、それはないと言えばうそになります。あります。同時にASEANとか、豪州との重層的な関係をつくるということもあります。中国はとても大事な国です。その中国に対して高いレベルの経済連携に関与させるという一つのきっかけというものにしていく、そういうメリットもあるのだろうと。
ですから、いわゆる通商政策上の意義と同時に、そういった外交安保上の意義というものが考えられると。あえて一般論ということで申し上げるとですね。そういうことは言えるのではないかと。
他方、先ほど来から、本日の委員会でも懸念材料はいくつか出ていて、それらに対してどう対応していくのかということも、我々はきちんと考えながら物事を進めていくということが必要になるのだろうと思います。
ただ、仮に交渉に入るときに、具体的に最初から自由化交渉のテーブルにすべての品目を載せることが大前提になっている中で、また、3か国のそれぞれの同意を得なければいけない中で、余り具体的に外務大臣という立場で、何を守りということを言うことは、国益上好ましくないと思います。ただ、さまざまなことをきちんと考えとしてめぐらし、さまざまなことをしっかり考えながら対応していくということが大切だと思います。
【毎日新聞 横田記者】原発輸出についてお伺いします。野田政権としては、既に交渉に入っている案件については継続して交渉を進めていくという方針を決めていらっしゃると思いますけれども、先週末、弊社が行った世論調査では、原発輸出については反対が65%、賛成は31%ということで政府方針と世論については乖離がある状況だと思います。やはり世論は福島原発の収束が未だなされていなくて、事故解明もなされていないところで輸出を進めることに懸念を持っているという状況の中で輸出を進めることについて、大臣の見解をお願いします。
【玄葉大臣】大きく分けると二つに分けていると。つまりは、これまで国家と国家の間である意味交渉してきた国々とそうでない国々と分けて考えようではないかということになっているのだと思います。つまりは、交渉してきた国々はこれまでの信頼関係がございます。しかも先方から要請が更にあるという状況の中で、まさに今回の事故の教訓を踏まえた協力ということが必要だろうと、信頼関係を損なわないようにすることも大切だろうということだと思います。
新規で、まったく新しくこれから交渉するという場合は、まさにいわゆる事故の教訓が正式にしっかり出てから次の方針を考えていくということなのではないかと私(大臣)は理解しております。
【毎日新聞 横田記者】先日、玄葉大臣がTPPのインターネット討論会に出席された際の発言で「外務省に対しては原発輸出ばかり考えているのではなくて、次は環境技術を売り込めということを指示している」と。これは先ほどおっしゃっていた新規については、現在交渉しているだけの案件に留めて、今後は環境技術の輸出ということにシフトしていくべきだというお考えをご指示されたのでしょうか。
【玄葉大臣】そこはまだ予断をもって確定的なことを申し上げるわけにはいかないと。つまりは、原発輸出を新規の国々に対してどう考えるのかということについては、もう一回教訓を踏まえて、しっかり関係者で議論しましょう。関係者だけではない、もっと言えば国民的な議論をして決めていきましょうということが一つあると思います。一方、やはり環境技術、特に再生可能エネルギー関連の技術、いつも申し上げている電池と送電ロスの革命をすべきだと言っているわけでありますけれども、そういった分野について、日本は必ず伸びていくので、もう既に一定の技術も確立をしていますし、原発を売り込むということよりも、そちらを売り込むということをもっと意識をして経産省とよく打ち合わせして、調整をして物事を運んでいくようにと強く指示したことは事実です。
【朝日新聞 大島記者】先日、田村市の越路町とか船引に行って、いろいろな地元の方とお話をしているときに、やはり価値観であるとか、人生観というものが変わったということをおっしゃる方が何人かいらっしゃいました。大臣も先ほど出たインターネットの討論会の中で、「価値観、人生観が変わった」とおっしゃっていました。2点お伺いしたいのですが、まず、価値観、人生観がどういうように変わったのかという点と、もう一つは、就任のここでの会見の日に、基本的に政府のこれまでの方針を引き継ぐというようにおっしゃった上で、「その気持ちの上で自分は原発輸出に積極的になれるかといえば、必ずしもなれない」というように大臣はおっしゃっていました。その辺り、今はどういうようにお考えなのかという点をお伺いします。
【玄葉大臣】価値観、人生観が変わったという意味はいろいろな意味があるのですけれども、この場で言葉で申し上げるとすれば、本当に平穏な生活に幸せがあるのだということを率直にあの時ほど考えたことはございません。ですから、そういう意味で考えさせられて、多分、今後さまざまなところに、あのときの出来事が、ある意味、自分の考え方などに影響を与えていくのではないかという気はします。
それと、大島さんが言われたように、原発輸出について、最初の記者会見だったかと記憶していますが、「積極的になれるかといえば、必ずしもそうではない」と答えた記憶があります。先ほど申し上げましたけれども、新規については、新規できちんともう一回議論をするということが、私(大臣)はあるべきだと思っているのです。むしろ、日本の武器というのはそうではないと。もっと違う分野というのがたくさんあるのではないかということも含めて、いつも申し上げますけれども、戦略の本質は、逆転現象のときに顕在化するところがあると思います。日本人のDNAも含めて、微細化の技術などにいわゆる得意分野があるなどということも含めて、今回こそ、いわゆる環境技術関連を伸ばすときはないのではないかというように思いますし、そういう意味では、これまたいつも申し上げますけれども、研究開発投資の在り方も含めて変えていくということなのではないかと思うのです。ですから、この間の吉岡さんの質問にも、原発を今後どうするのだという話のときに、本当に革新的な技術がどこまで進捗するかによるのだという話をしました。ポイントは電池の革命と送電ロスの革命。ちなみに、今でも送電ロスで原発6基分あるのです。そして触媒。物を軽くしたり、そういう技術をどこまで日本として開発できるかということが、実はどのくらいの原発依存率あるいはどのくらいの発電量を原発でまかなわざるを得ないかということに関わってくると思います。
ただ、全体の経済とか、そういったことを考えれば、やはりリアルに物事を考えなければいけないというところがあります。ですから、そのことも含めて、しっかりと対応していくということではないかなと思います。
【朝日新聞 松村記者】先ほど大臣がおっしゃった北朝鮮への職員派遣ですけれども、具体的に国交のない国でありますし、もちろんいろいろな懸案を抱えた間柄ではあるのですけれども、100人以上の方たちが来るということで、具体的に現地の体制、具体的にどのようにされるのか。例えば通信手段もそうですし、犯罪に巻き込まれたらどうするのか、拠点をつくるのかいろいろあると思うのですけれども、具体的にどのようなことをお考えなのでしょうか。
【玄葉大臣】これは、例えばパスポートを紛失したときにどうするのかとか、そういったことも含めて、今、鋭意詳細を詰めているところでございます。もちろん、行くまでにはしっかりとした検討を行った上で派遣することになると思います。
【読売新聞 小川記者】派遣される職員は平壌において北朝鮮当局と何らか接触することはあるのでしょうか。その関連で、日朝協議の基本的な立場と職員の派遣及び、接触があるのだとすれば、接触については、どのように整理されて、大臣から何らかの指示はされているのでしょうか。
【玄葉大臣】さっき13人ということを申し上げましたけれども、基本的には危機管理とか邦人保護、そういった分野に精通した人材を選んだということでございます。ご存じのように、北朝鮮制裁措置というのがありますので、あれはごらんになったらわかりますけれども、「原則として」と書いてあります。こういう事態というか、今回のようなケースは、まさに邦人保護の観点から、その例外とすべきなのだろうというように考えていますので、まさにその例外というように考えていただければ、その他のことも大体おわかりになるのではないかというように思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】オリンパスの損失隠しの問題で、FBIやイギリスのSFOが捜査に乗り出している一方で、日本関係当局の動きが遅いとの指摘があります。あともう一点としまして、この問題で欧米など国際社会からは、オリンパスだけではなくて、日本企業の体質の問題だと指摘され始めているようですが、この点に関します大臣のご見解をお願いいたします。
【玄葉大臣】私(大臣)が答えるのが適切かどうかというのはあると思います。本来、金融担当大臣が答えるべきものだろうというように思いますけれども、仮に法令違反、特に金融証券取引法違反ということがあるとすれば、当然これは証券取引等監視委員会が検査を行うだろうというように思います。
まさに率直に申し上げれば、仮にこれが事実であれば、また法令違反ということであれば、欧米からのそういった見られ方ということに対して、私(大臣)自身も懸念がないかと言えばうそになるということは申し上げたいと思います。
しっかり公正性、透明性を企業統治において、ガバナンスにおいて確保される。このことは大変大切なことだというように考えています。
【記者】昨日、150人に及ぶ反対派の議員が集会を開きまして、国会決議を目指しているような状況ですけれども、反対派の議員に対して、大臣がお話しをなされたいことがございましたら、何をお伝えしたいですか。
【大臣】日本の将来を見すえて、最適な道を判断する大事な時だと思っております。最終的には総理の判断ということになるのだろうとは思いますけれども、やはり私(大臣)としては、いつも申し上げておりますけれども、子どもの時代とか孫の時代に豊かさを引き継ぐひとつの手段として、考えていくというのがひとつの大きな意義なのではないかと思います。また、同時に必ずしもTPPだけではなくて、これだけ人口が減っていく中で、いわゆる日中韓はじめ、それは俗に言うASEAN+3がそうですけれども、あるいはASEAN+6、オーストラリア、ニュージーランド、インドを含めたものも含めて、やはりアジア太平洋全体の活力を上手に取り込んでいくということは、大切なことだというように考えています。
【記者】鳥島沖で中国漁船の船長が逮捕されましたが、これについて、改めて日本政府としての受け止めと対応をお願いします。
【大臣】捜査中だと私(大臣)としては聞いておりまして、外交ルートを通じて、こういう事案があったと通報したということでございまして、別段、中国側から抗議がきたという話はございません。まったくの日本の領海の中でありますから。
(1)ハマディ・モーリタニア・イスラム共和国外務・協力大臣の来日について
【玄葉外務大臣】11月7日(月曜日)から9日(水曜日)まで、ハマディ・モーリタニア・イスラム共和国外務・協力大臣が、外務省賓客として来日します。
滞在中、ハマディ外務・協力大臣は、8日(火曜日)に私(大臣)との会談を行う他、JICA及び民間企業関係者との意見交換等を行う予定であります。
我が国とモーリタニアとは、タコをはじめとする海産物の輸入等の水産分野を含め、良好な関係を築いています。特に、2009年12月に我が国が在モーリタニア日本大使館を開館して以来、両国関係は着実に進展しております。
我が国としては、今回の訪日を契機として、二国間関係を一層強化していきたいと考えています。
(2)被災地三県を訪問する外国人に対する査証料の免除について
【大臣】被災地三県を訪問する外国人に対する査証料の免除でありますけれども、岩手県、福島県、宮城県の被災三県に対する復興支援策として、これら被災三県を訪問する外国人に対する査証料を免除する措置を取るとの方針を決めて、11月の中旬には申請受理を開始できるよう最大限の努力を行っているところでございます。
本件の実施期間は、今後5年間というようにしたいと。なお、三県の復興状況を踏まえ、期間満了までにこの期間の延長についても検討したいと考えております。
今回の措置が実施されるに当たり、被災地を訪問する外国人の増加につながり、被災地の復興の一助となるということを期待いたします。
(3)大臣会見等に関する基本的な方針の改訂について
【大臣】大臣会見等に関する基本的な方針の改訂であります。一言で申し上げれば、これまでの良いところを残しつつ、一部変更できないかと考えています。具体的には、これまで火曜日及び金曜日の午後、夕方、ここで会見をしてきたという経緯がありますけれども、速やかかつ機動的な発信という意味ではどうなのかという議論が省内にもありましたし、私(大臣)自身も思っていたところがございます。それで、いわゆる火曜日、金曜日の閣議後に、まずきちんと発信するということをし、プラスして、来週から毎週水曜日午後にこの場で記者会見をするというようにしたらどうかと考えているところであります。結果として、これまで週二回だった発信の機会が週三回に増加するということになります。ただ、オープンな環境が必要だというご指摘もあったものですから、どうしても院内とかで、時間がなくて、ぶら下がりということになると入れないという方々がいらっしゃるということなので、どうしても院内になってしまう時はあります、この間も(国会の)委員会の関係とかでそうだったのですが、出来る限り閣議後に外務省に戻ってきて、会見をするというようにに心がけたいと考えておりますので、ここはご理解を頂ければと思います。結果として、週二回が週三回になりますので、この方がトータルで見ると、良いのではないかと考えているところでございます。この間ずっと検討してきたのですけれども、そういう形でやってみたいと考えております。
【NHK 吉岡記者】フランスでの首脳会談で、福島第一原発の事故を受けて、原子力の安全性を最高レベルに高めると伝えて、ベトナムの首脳会談やインドとの外相会談でも同様の原子力安全に対する貢献ということをお話をされています。一方で、野田政権は国内では中長期的に原発への依存度を可能な限り引き下げていくというお考えを示されていますけれども、質問としては原子力の安全を最高レベルに高めた後、国内ではその技術をどう利用するつもりなのかということですが。数は少ないながらも原発を維持するということなのか、あるいは原子力から一切手を引くということなのか、外務大臣というよりは野田政権の閣僚のお一人として、現時点でのお考えを伺えればと思います。
【大臣】外務大臣という立場でどこまで申し上げていいかということがあろうかと思います。つまりはご存じのようにエネルギー政策の今後のあり方については、確か来年の秋までに結論を得るということになっているわけであります。結論だけ申し上げると、いわゆる環境技術の問題でどこまでイノベーションが進むか否かが実は最大の最終的な焦点になるのではないかと思っております。具体的に言うと、つまり既存技術の改良でいわゆる再生可能エネルギーとかがどこまで増えるのか、もっと言えば省エネ技術というものがどこまで改良できるのかということが一つあります。加えて、例えば2030年というものをターゲットにするのであれば、いわゆる非連続型研究といいまして、なかなか民間企業が活発な投資がしにくい、つまりは目の前でペイしないものですから政府が投資をしなければいけない分野がございます。わかりやすく一つの例を挙げていえば、太陽電池も例えばリチウム・イオン電池ではなくて、イオン電池だと既存技術の改良ですが、次の技術はリチウム空気電池になるわけです。そういうことがどこまでできるかで、実は原子力の依存度というのは決まっているというように思います。
よく原子力の依存率の議論ばかりが先行しますけれども、実はポイントは依存率だけではないのです。電力消費量が実はもう一つの大きなポイントになります。つまりは、例えば2007年で原子力の依存率が確か23%か27%、数字がはっきりしませんが、それを2030年に52%~53%にするというのがこれまでのエネルギー基本計画だったわけです。それは依存率だけで議論しています。その大前提は、実は電力消費量が2007年と2030年は変わらないというのが大前提です。もし、この電力消費量が先ほど申し上げたような省エネ技術が革新的に仮に進んだ場合、ぐっと電力消費量が減るわけです。そうすると依存率だけでは議論できないということになるので、こういったいわゆる革新的なネルギー技術のイノベーションがどこまで進むかとの兼ね合いというところが一つ大きな焦点になるのではないかと思います。現時点であまり予断をもって原子力のあり方の結論を出すべきではないのだろうと思っていまして、だからこそ来年の9月までということだと考えております。
【週刊金曜日 伊田記者】在日米海兵隊の組織改編に絡む質問をさせていただきます。沖縄に駐留する第3海兵遠征軍が、このほど「在日米海兵隊基地」司令部を廃止して「米海兵隊太平洋基地」司令部を設立しました。これは今までの日本の海兵隊基地に加え、ハワイにあるハワイ基地、カネオヘ基地、韓国のムジュク基地を新たに管理下に置き、ワシントンの海兵隊基地司令部直轄となっています。
米本土やハワイは極東ということではありえなくて、日米安保条約の第6条で定める「日本と極東の安全のため米軍は日本の基地使用を許される」という極東条項を踏み越える疑いがあると思いますけれども、大臣はこの点についていかがお考えでしょうか。
【大臣】いわゆる在日米軍の再編については、随時ご存知のように、我々としてもしても情報の提供を求めているところでございます。今回も当然、パッケージをしっかりと作り上げる過程の中でしっかりとした回答をいただきたいということを日本の防衛大臣から米国防長官に当然言っているという状況でございまして、今確定的にその在日米軍再編が最終的にどうなっているかということについて、今の時点で私(大臣)が申し上げる段階にはないと考えております。
【週刊金曜日 伊田記者】これは9月30日に再編されているのですけれども、極東条項を踏み越える疑いについてはいかがお考えでしょうか。
【大臣】そこはもう一度、調べさせていただけますか。状況について正確に把握をした上で申し上げた方が良いかと思います。おっしゃるように6条の規定というのは、いわゆる極東について定めているのは重々承知をしていますし、この間、私(大臣)もいろいろな質疑をその問題でしてきたという経緯もございますので、その内容たるは承知をしておりますけれども、その前提となる情報についてきちんと確認をした上で申し上げさせていただければと思います。
【読売新聞 石田記者】11月2日に衛藤副議長が、日朝国交正常化議連のメンバーと訪朝する計画について明らかにされましたが、早速、「救う会」からは誤った情報を与えるのではないかという声明も出ています。二元外交に当たるのではないかという指摘もありますけれども、大臣の受け止め、お考えをお願いします。
【大臣】今の石田さんの話は、以前にサッカー議連として云々という話があって、私(大臣)としては慎重に検討してほしいということを要請したことがございました。ただいまの話についても私(大臣)としては承知はしていますけれども、政府としては関与しない、あるいは関与していないと申し上げたいと思っております。
当然、これは議連の活動ということでありますから、どこまで政府として踏み込むかということがあります。実は渡航自粛要請というものがそもそもあるわけでありまして、今回も渡航自粛要請をいたしました。いたしましたけれども、議連として立法府の国会議員として行きたいということなのだろうと思っています。
ただ、その場合に極めて大切なことは、政府としての基本的な立場というのが北朝鮮に対してあるわけであります。当然ながら、その基本的な立場を踏まえて対応してくれるものと考えております。その基本的な立場というのは言うまでもないことでありますけれども、拉致・核・ミサイルといった問題について包括的に解決を図って、その上で不幸な過去を清算して国交正常化をするのだというのが基本的な立場でありますし、我々は別に対話を拒んでいるわけではありません。ただ、そのときは成果を得ないとだめだと。ましてやウラン濃縮計画というものがあって、そのウラン濃縮計画を始め、そういった問題について具体的にしっかり北朝鮮が行動するということを強く求めているのだということを、我々は基本的立場としているわけでありますし、これに揺るぎは全くありませんので、そのことをすべて踏まえた上で、私(大臣)は今回の対応はなされるものと考えています。
【朝日新聞 土佐記者】野田首相がフランスのカンヌのG20で、改正所得税法で11年度内に法案を提出、成立させることになっていると、そのことについてG20で事実上国際公約をされました。その後に記者団に対して、「信を問うならば、消費税の法案が通って、その後に増税を実施する前に信を問うというやり方にしたい」ということで、これは言ってみれば増税の消費税の法案の成立直後に衆院の解散総選挙の可能性にも言及したということになりますが、これについてはどうでしょうか。
【大臣】これは必ずしもそうではなくて、私(大臣)も政調会長当時にこの問題については何度も聞かれましたけれども、法案成立直後ということではなくて、あくまで実施をする、つまりは消費税率が引き上がるということが実施になるわけでありまして、その法案成立と実施の間には期間があるわけでありまして、いずれにしても、つまりは引き上げるという実施をする前には選挙をしなければいけない。なぜならば、それはマニフェスト、つまりはこれまでの民主党の選挙での約束事だから、やはりその約束事は守らなければいけないという趣旨であるというように考えていまして、必ずしも成立した直後に解散をしなければいけないという認識ではないと思います。
【日本テレビ 野口記者】TPPについてお伺いいたします。TPPの反対派の反対理由の中には、食の安全をTPPに参加した場合は危機にさらすという主張があります。例えば日本独自の規制を適用できなくなって、遺伝子の組換え表示ができなくなるですとか、あるいは残留農薬のうち多くが表示できなくなるですとか、そういったことを主張しまして、食の安全を直撃するという主張があります。
大臣は、このTPPに参加した場合、食の安全というのは確保できるとお考えでしょうか。
【大臣】これは、あくまで一般論として言わせてください。そうでないと閣内不一致とかという話が出てきますので、あくまで一般論として情報提供という趣旨で申し上げますので、そのような前提で聞いていただきたいと思いますけれども、例えば食の安全という話が今ございましたけれども、食の安全の場合は、1つはWTO/SPS協定というものがあるわけです。そのWTO/SPS協定には、いわゆる国際水準よりも高いレベルで食の安全レベルについて水準を設定するということは可能になっております。事実関係として申し上げると、それが1つです。
それと遺伝子組換えという話がございましたけれども、例えば遺伝子組換えのことで言えば、実はこれは表示の問題です。つまりは、非常に厳しい表示を求めているのは、例えばTPP参加国の中ではオーストラリアとか、ニュージーランドなどは厳しい表示を求めています。一方、米国などは厳しくないです。これを、まさに多数国間でしっかりと議論して、どういうルールにしていくのかということだと思います。
私(大臣)が表示という問題については、例えばニュージーランドの中でも国内的に非常に厳しい表示に対して多数の支持があります。オーストラリアなどもそうだと思います。ですから、例えば米国が全部緩めろと言ったからといって、では米国のルールが適用されるかというと、そんな簡単なものではありません。当然、我々もこの遺伝子組換えの問題というのはきちんと大事にしなければいけない一つの問いであると考えていますので、先ほど申し上げたように、そもそもWTO/SPS協定というもので国際的な水準よりも高い水準で設定することが認められているわけであります。しかも、二国間でやるのではなくて多数国間でこの議論をまさにしているということも含めて、この問題はそんなに米国が一方的に自分たちのルールを押し付けることができるような簡単な話ではないと申し上げたいと思います。
これは情報提供という趣旨だということでご理解いただければと思います。
(1)タイにおける洪水に対する緊急無償資金協力について
【玄葉大臣】私の方から二つ申し上げたいと思います。一つはタイの洪水でありますけれども、我が国及び日系企業にとって重要な関係にあるタイでありますが、この洪水被害について総理の指示を踏まえて、政府全体として様々な支援を行ってきているところであります。本日、政府はタイ政府に対して、総額10億円を上限とする緊急の無償資金協力を行うということとしたところであります。この支援は洪水からの復旧・被災者支援のために必要な資機材等を提供するためのものであります。今後ともタイ政府、タイのニーズに応じて必要な支援というものを行ってまいりたいというように考えております。
(2)在リビア大使館の再開について
【大臣】在リビア大使館の再開でありますけれども、10月30日(日)、我が国は西ヶ廣駐リビア大使をトリポリに帰任させ、本年2月末から一時閉館していた在リビア大使館を再開しました。我が国は今後、同大使館を拠点として経済面を含め両国の更なる関係発展に取り組むと共に国際社会と協力しつつ、我が国の知見や技術を活用しながらリビアの新しい国造りを支援していきます。
【記者】TPP関連ですが、党内で交渉参加をめぐり議論が活発化しておりますが、12日からのAPECまでの取りまとめに関しまして、大臣の見通し、お考えをお願いいたします。
【大臣】これは「できるだけ早い時期に」ということで総理もおっしゃっているわけですから、私(大臣)自身も自分自身で出来うることを精一杯意見集約に向けてやらせていただきたいと考えています。できるだけ早い時期に、早ければ早いほどいいと思います。
【記者】山田正彦議員が仙谷さんに政調会長代行を辞職しろと、こういうような発言まで飛び出ているわけですが、どういうことなのでしょうか。辞任すべき話でしょうか。
【大臣】内容がわからないので、内容というのはどういうやりとりがあったのかです。詳細について直接把握しておりません。いずれにしても党内で様々な意見がある、それはそれぞれの政党がそうであります。ただ、与党として、やはりできる限りの意見集約をしていくということがやはり大切になるだろうと思います。
【記者】大臣自身が「精一杯やれることをやっていきたい」ということですけれども、大臣ご自身はどういった面で。
【大臣】それは個々人の、つまり一人一人の議員に対する働きかけということもあるでしょうし、そのほかいろいろ考えております。
【記者】南スーダンへのPKOの派遣ですけれども、本日、決定されたのでしょうか。
【大臣】後で官房長官から正式に発表されるのではないかと思います。いずれにしても南スーダンの安定というのはアフリカの安定の要であります。その南スーダンの国造りのためには、あるいは安定のためには今回の派遣というのは非常に意義が大きいのではないかと思っております。我が国としても国際社会で責任ある貢献というものをしていかなければならない、その一環だと考えております。
【記者】TPPに関して言えば、党内で開かれた議論が行われていますが、南スーダンに関しては党内で開かれた議論というのはあまりなかったような気がするのですが、その上で本日決定されるということについてどのようにお考えでしょうか。
【大臣】私(大臣)も党内の状況は詳らかではないのですが、おそらくそれぞれの関係の部門等では議論されていると思いますし、要路含めた説明は大体してあるのではないかと理解しています。
【記者】ユネスコがパレスチナの国連加盟を認めましたけれども、日本は棄権したということですが、米国は拠出金を止めるといったような態度を示していますけれども、これに対する大臣のお考えをお聞かせ下さい。
【大臣】米国は反対していましたね。この問題は、パレスチナについてはいつも申し上げていますけれども、国家建設の悲願というのは、よく私(大臣)自身も理解をしております。最終的に二国家解決にもっていくためにどうするかということですが、今回のユネスコでの一連の出来事というのは、もしかしたら事態を複雑化させてしまうのではないかという心配があったものですから、我々としては今回は棄権するということに致しました。おっしゃるとおり、今一番心配しているのは、ユネスコの分担金は確か米国が22%払っているのですけれども、この問題がユネスコの活動をどんどん縮小させることにならないかということを心配しています。しっかり注視をしていきたいと思います。