記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成23年3月)


INDEX











外務大臣会見記録(平成23年3月29日(火曜日)16時15分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)東北地方太平洋沖地震について

【松本外務大臣】震災の関係ですが、現在のところ134の国・地域、そして39の国際機関が支援意図の表明をいただいております。本日から、外国からの医療チームとしては初めてとなるイスラエルのチーム53名が宮城県南三陸町で活動の開始をいたしました。物資の協力については、現時点で28の国・地域・機関からの物資が到着しております。近いところでは、28日にはインドからのビスケット10トン、29日、本日午前中には韓国からの移動式発電設備が4機、それから国連難民高等弁務官事務所からソーラーランプが1,800ということでございます。また、各国の政府、民間団体、個人から多額の義捐金をいただいており、心から感謝を申し上げます。詳細はまた、精査の上、正式な数字を改めて公表したいと思っておりますが、在外公館で受け付けた額で10億円を超えております。いろいろ頂いている表明とか、私どもが直接把握をしておりませんが、報道ベースのものも含めれば、もう一桁大きい金額になることも考えられるのではないかという状況になっております。いずれにせよ、精査をして、また、数字は公表させていただきたいと思っております。

(2)サルコジ・フランス共和国大統領の訪日について

【大臣】ニコラ・サルコジ・フランス共和国大統領が31日に訪日されて、菅総理と会談の予定ということでございます。今回の訪日は、地震の発生を受けて、本年のG8/G20の議長として、日本に対する国際社会の連帯、そして支援を表明するための訪日という意向にお応えをするものであります。

目次へ戻る

東北地方太平洋沖地震

【朝日新聞 大島記者】今朝の読売新聞の報道で、原発事故対応に関して日米合同の連絡調整会議をつくってあるという報道があるのですが、外務省としては、この会議に関わっているのかどうかということと、もし関わっているのであれば、どのようなものなのかというのを差し支えない範囲で教えていただければと思います。

【大臣】震災も、原子力発電所の対応も、日米は協力をして行っております。そして、日米の協力については、政府一丸となる中で、外務省としても主体的にその協力のチームの中には関わっているということでございます。読売の新聞については、報道は承知をしておりますが、内容については、私(大臣)の方からコメントいたしません。

【共同通信 斎藤記者】サルコジ大統領の件でお伺いしたいと思いますが、フランスは原発政策を今、非常に推進していると承知しているのですが、東日本大震災発生後もサルコジ大統領は原発政策について、フランス国内で、この政策は決して撤退しないと、進めるという趣旨だと思うのですが、このように発言したと承知しております。日本政府として、こうしたフランスの姿勢、そして、そうしたフランスとどういう形でこの原発問題に関して連携を進めていくお考えなのかどうか。この点についてお伺いしたいと思います。
 同時にもう一点あるのですが、報道によれば、フランスのエネルギー関連の担当大臣がこのように言っております。「日本側の要請に応じて福島原発問題に関連して、我が国の専門家を日本に派遣することを決めた」と、このように報じられております。どういう形で日仏の専門家ベースの連携を強化していくのか。これは日米もやっております。この辺をどういうように整理していくのか。この点についてもお伺いしたいと思います。

【大臣】恐らく原子力発電については、米国、フランス、我が国、ロシア辺りが言わば原子力発電大国とも言える国ではなかろうかと思っております。そういう意味では、ロシアの専門家の方もたしか来日をされていたことがあろうと思います。今回の福島の第一原子力発電所につきましては、本日、国会でも想定内外という言葉については議論がありましたけれども、結果として、福島原子力発電所が準備を少なくともしていた範囲を超える大きな災害であったがゆえに、本日まで対応が必要となってきているということは事実でありますので、これをできる限り、放射性物質の拡散を最小限に抑えつつ、収束をさせるためには、国際的にもあらゆる技術や知見などを活用すべきだという考え方は、基本的にあると思います。個別にどこの国にどういうものを要請しているかについては、私(大臣)の手元に持っておりませんけれども、国際的な協力の言わば申し出というか、話もある中ですから、しっかりとそれは活用させていただいて、まずはこの対応をしっかりとすることが大事だと考えております。

【読売新聞 向井記者】大臣が冒頭におっしゃった各国からの義捐金についてですけれども、かなりの金額が集まっているようですが、これは今後、政府としてどのようなルートで、どのように活用していくことになるのか教えていただけますか。

【大臣】是非それは被災者の方々の生活を再建するのに一番有効な形ということで、使っていただきたいと思います。そういう意味では、直接担当している松本龍大臣も含めて、よく相談をして、送っていただいた方の気持ちにも答えられるような、そして被災されている方々にとっても有用な形をしっかりと定めていって、早く渡すことも大事だと思いますので、政府としてお預かりをした義捐金は、しっかり対応しなければいけないと思っておりますが、今、具体的に方法その他が詳細に決まっていると承知をしているわけではありません。

【世界日報 山本記者】イスラエルの医療チームが来日して医療活動を始めているというご説明だったのですが、日本で外国の医療の実施は法的には許可されないということを言われていたのですが、その辺のいきさつは早めにクリアーできて、実施されたのでしょうか。
 もう一つ、宮城三陸の方でたしかこれは始めていると思いますが、ほかにもそういう医療チームがあれば、行ってほしい場所があるとお考えでしょうか。

【大臣】1つ目の件は、厚生労働省にご照会をいただくのが一番だと思いますが、既に外国の医師免許を持っている方々が、この未曽有の大災害の中で、この範囲まで活動できるというガイドラインは既にお決めをいただいた、その中で行動いただくものだと理解をいたしております。
 2つ目については、さまざまな申し出がある中で、もちろん、支援の申し出は非常に幅広く、物資から、何でもやりますよというような形の申し出から、いろいろな形の申し出がある中には、医療も例示のような形ではあるところもありますので、受け入れて、それがまた被災者の方々の生活の立て直しにプラスになってくれるのであれば、是非それは前向きに進めていきたいと思っています。本当に今回もそういう意味では、我々も外務省のスタッフも、また政府の中でもいろいろ頑張っていただいておりますけれども、私(大臣)も兵庫県の出身としては、今から16年前に阪神・淡路大震災のこともありますが、支援というのはまさにマッチングとかコーディネートが非常に大事でありまして、本当に言わばニーズに対して、しっかりとあったものをどのようにお届けするのかという間の部分の役割が非常に大きいと思っています。今回もその意味では、各国からいただく善意がしっかりマッチしたものになるように、我々としても一生懸命努力をして、順次マッチしていったものから受け入れて、少しずつこうやって効果が上がってきていると思っております。医療についても、今後もまだニーズが考えられる部分も全くないわけではないと思いますので、1つのこういうニーズがあるかどうかという探るべきニーズの種類の一つとして、提供側からはどんな提供が可能なのかということも含めて、検討の対象にはなると思います。

目次へ戻る

外交・安全保障(中国の東シナ海における威嚇行為、ロシアの領空接近)

【産経新聞 酒井記者】以前もお伺いしたのですけれども、この大震災後にロシアの領空接近があり、先日は中国の東シナ海での威嚇行動というのもありました。改めて日本政府、外務省としてこういった行動に対しての見解をお聞かせください。

【大臣】外交・安全保障についてはかねがね申し上げたとおり、1日もゆるがせにできないということで、しっかりと対応してきたつもりでございます。今、お話がありました中国の東シナ海での護衛艦に対するヘリコプターの近接飛行については、ヘリの近接は危険な行為であるということで、私どもから今後このような行動をとらないよう申し入れたと、これは昨日の副大臣の会見でも申し上げたとおりでありますが、このように承知しております。
 ご質問を先般もいただきましたロシアの領空接近につきまして、これは国会でもご答弁をさせていただきましたけれども、自衛隊が適切に対応したものと考えておりますし、また、抗議につきましては、これまでの外交は継続性も大事だと私(大臣)は思っていますが、民主党政権、そしてその前の政権のときから、一貫して国際公海上を飛行しており、国際法上上空飛行の自由を有している中で、我が国の領空を侵犯したわけではない場合には、我が国としては抗議を行っていないと理解しています。なお、報道、国会でもいくつかご質問をいただきましたけれども、私(大臣)自身の発言に関連して、今回の地震について支援を受けている国であるから抗議をしない、申し入れをしないということを申し上げたつもりは全くありませんので、もしそのように理解されているとすれば、それはこの場で明確に否定をさせていただきたいと思います。繰り返し申し上げれば、中国については、これまでどおり、近接飛行は危険であるということで申し入れを行わせていただきましたし、ロシアの領空接近については、従来どおり領空を侵犯したわけではないので、抗議を行っていないとご理解いただきたいと思います。

【共同通信 斎藤記者】今、大臣からお話がありました近接飛行の件で補足してお伺いしたいと思います。近接飛行事案については、今回初めてのケースではなくて、ご案内のとおりで、今月頭にもありましたし、これは国家海洋局のヘリだったと承知しておりますが、昨年も春ごろ、これは海軍によるヘリの近接飛行もあったと承知しております。つまり、繰り返して行われてきています。したがって、危険防止という申し入れもこれまで日本側は再三申し入れているはずです。それが改善されていない。そうしたことが今回震災で日本が非常に苦慮している中で起きたということについて、大臣はどう受け止められ、そしてその点について中国側に申し入れ、あるいは日本側の気持ちというものを伝えられているのかどうか。この点について確認させてもらえますでしょうか。

【大臣】繰り返し行われていること以前に、近接飛行は我々遺憾であるということを申し上げてきておりますし、ご指摘がありましたように、このことが繰り返し行われていることは遺憾であると申し上げざるを得ないと思います。
 他方で、先ほどのご質問にもありましたけれども、もちろん、私ども政府を挙げて震災の対応に大変実際には多くの政府の力をそれに注がなければいけないことは事実でありますけれども、他方で、外交、安全保障、国の防衛ということに関しては、先ほども1日もゆるがせにできないと申し上げたように、あらゆることに対して適切に対応するということが肝要だろうと思っております。その意味では、申し入れをすべきは速やかに申し入れをし、また自衛隊の対応も適切に行われており、しっかり国の防衛・安全保障については、私どもの政府としても対応ができると申し上げられると国民の皆様にもお伝えできると思っております。

目次へ戻る

竹島問題

【フリーランス 安積氏】竹島問題についてお伺いいたします。これは日本の教科書検定に絡んでですけれども、3月24日に韓国の外交通商部のチェ報道官が、日本の領有主張に断固反対が政府の方針だということを言明しまして、そしてまた3月28日に独島領有管理対策団会議というものが結成されて、それでヘリポートの補修とか、市民団体の活用で自国の領有を盛り上げようという決定がされたと聞いております。また、4月4日から、政府レベルでは初めての竹島について、全国巡回の大規模な展示会が開催されると聞いております。こういった韓国の竹島領有に関しての動きについて、大臣はどういうようにお考えですか。また、こういう動きに対して、韓国政府に遺憾の意を表明されるとか、抗議をされるとかのご予定はありますでしょうか。

【大臣】私どもとしての竹島問題についての我が国の立場は、一貫をいたしております。その意味で、各国と竹島問題についてお話をする機会があれば、私どもは一貫した立場を常に申し上げるという形になろうと思います。今、お話があった政府の部分、それから民間の部分、いろいろおありのお話だったのではなかろうかと思っております。我々としては、しっかり私どもの立場を韓国にも、国際社会にもご理解いただくように努力をするというのが、今、申し上げられることではないかと思います。

【フリーランス 安積氏】それでは、直ちにこの件について、例えば韓国政府に申し入れるとか、そういった意思の表明をされるというおつもりは、今のところはないということでよろしいですか。

【大臣】私どもは、今、そういったお話、いくつか報道にも、情報にも我々は接しておりますけれども、私どもの立場は一貫しているということを申し上げたとおりであります。

【毎日新聞 西岡記者】竹島問題で教科書検定の結果が明日発表されるということですけれども、韓国による震災の支援が進む一方で、日韓関係の冷え込みがこれによって懸念されるのですが、大臣はどのように対処なさるおつもりなのでしょうか。

【大臣】誤解を与えるといけませんけれども、それぞれ別の次元のものとしてあえて申し上げれば、今、支援が進む中でとおっしゃった支援には感謝を申し上げているということは、これまでも申し上げたとおりであります。他方で、教科書検定については、今年は教科書検定の年ということは承知しておりますし、明日、今、お話があったような時期が来るだろうと思っていますけれども、教科書検定については、審議会でまさに審議中と承知をしておりますので、今、私(大臣)から申し上げることはありません。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成23年3月25日(金曜日)17時30分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)東北地方太平洋沖地震について

【松本大臣】地震の関係では、現在132ヶ国・地域及び34国際機関から、支援の意図の表明をいただいております。物資供与も本格化しているところで、直近では、イラン、EU、ベネズエラ、マレーシアからも支援物資が届けられたところです。明日はインドからの救助チーム、パキスタン、ネパールからの物資が到着する予定と承知をしております。国際社会の連帯にあらためて感謝を申しあげたいと思います。

(2)クック諸島の国家承認について

【大臣】本日の閣議で、ニュージーランドと自由連合関係にあるクック諸島を国家承認することを決定いたしました。今後、国際場裡における協力を含め、クック諸島との関係を強化していく考えです。

目次へ戻る

日米関係(ホスト・ネーション・サポート)

【読売新聞 白石記者】ホスト・ネーション・サポートの関係についてお伺いします。本日、衆議院の外務委員会が開かれましたけれども、当初採決を予定していたようですが、採決は結果的に見送られ、来週以降となりました。こうした国会の情勢について大臣としては、どのように受け止められているかというのが一点と、なかなか協定が成立しない状況というのが、今後の日米関係にどういった影響を与えるというようにお考えになっているのかという点について教えて下さい。

【大臣】本日、外務委員会は開かれていないと理解しております。国会の運営については、一義的には国会でお決めをいただくことでありますので、私(大臣)からコメントする立場にはありません。その上で条約・協定は、私どもが国会へ提出しているものについては、ご審議を速やかにいただいてご承認をいただきたいというのが、私どもの立場でございます。今回、国会に提出している条約・協定は、いずれも承認をお願いすべきものと判断をしてお願いをしているわけですけれども、今、お話がありましたように、ホスト・ネーション・サポート協定は現行協定が3月31日までということもありますので、できる限り早くということでお願いをしたいというのが私(大臣)の立場であります。そのことを受けて、国会の方でもご審議をいただけるように期待をするところでございます。米国との関係では、今、申し上げたように日本と米国との関係を鑑みれば、できる限り早くご承認をいただいて、現行協定に続いて新しい協定が効力を有する形に早くなることが望ましいと考えております。

【共同通信 斎藤記者】民主党は2008年の通常国会で、今の現行協定の採決で衆参両方、当時野党時代に反対されております。現在は新協定の早期締結を目指すという立場ですが、この整合性はどう考えたらいいのか。立場が違っているようにも見えるのですが、この点について、できればわかりやすく国民向けに説明していただければと思います。

【大臣】まず5年前は、私どもは賛成をいたしております。3年前は党として反対をいたしております。
 5年前もホスト・ネーション・サポート協定の場合は、それに基づいて政府としての支出も発生をするという性格のものでありますから、5年前のときも使われ方などについての国会での議論があって、討論の中で、やはり広い意味での国民の税金の使い方という議論の中で、いくつかの指摘はあるけれども、総合的に勘案をして賛成させていただいたという内容でございました。
 3年前は、その際の国会の討論などをごらんいただくとご理解をいただけると思いますが、税金の使われるところについて、その間の、5年前から3年前に至るまでの間の見直しの進捗度合いといったものを勘案して、反対をすることによって、そういった税金の使われ方などについても、しっかりと問題提起をしたいということで反対をさせていただいたと理解いたしております。
 念のため申し上げれば、その趣旨でもご理解をいただけると思いますが、民主党として日米関係が基軸であるということは申し上げてまいりましたし、ホスト・ネーション・サポート協定そのものに反対をしたということではないとご理解をいただきたいと思います。
 一般的に申し上げた場合に、これは私(大臣)自身も野党の政調会長をさせていただきましたし、野党の際の議員の1人としても議論に加わっていた中で、案件について賛成をするか、反対をするかといった場合に、もちろん方向が全く逆である場合は、簡単に反対の結論を導くことができるわけですけれども、今、申し上げたように、ホスト・ネーション・サポート協定の場合も、協定そのものに反対をしているわけではない。しかし、協定に伴って使われるお金の使い方について、やはり問題提起をしていきたいといった場合に、賛成をして討論で申し上げたというケースが5年前でありますし、3年前は反対をして討論の内容で反対の理由を申し上げたという形をとらせていただいたと思っております。
 更に申し上げれば、先般、国会の委員会でも申し上げましたけれども、ただ、3年前、結果としてホスト・ネーション・サポート協定に反対をしたということが、民主党の日米関係、日米同盟に対する考え方に対して、疑義を引き起こすというお声もいただいたことは、重く受け止めなければいけないと考えているところでございます。

【共同通信 斎藤記者】今の件の確認ですが、そうしますと2008年当時、つまり現行協定の中身におけるお金の使われ方と、そして現在、国会承認をまさに政府として求めている新たな協定の中におけるお金の使われ方には明確な違いがあるという認識でいらっしゃいますでしょうか。

【大臣】この間の協定を策定するに当たる米国との協議の中で、3年前に指摘されたのは、1つは国民の皆様の納得が得にくい、娯楽性の高い職種に対する労務費等も含まれているのではないかといったような指摘、また、光熱費などについて節約の余地があるのではないかといったような指摘がなされていると承知をしておりまして、このことを受けて労務費の見直し、それから光熱費については節約がなされていくような枠組みに今回の協定では改めたということで、今、私どもができる努力はすべてさせていただいた、一定の改善が見られるベストの内容だということで国会に提案をさせていただいているというように理解しております。

【毎日新聞 西岡記者】改めて日本国中がこういう厳しい状況に置かれている中で、防衛大臣の出席をめぐってのごたごたで採決が見送られるという事態が発生して、非常にある意味では少し恥ずかしい事態ではないかと思うのですが、その一方で、震災でお世話になっている米軍に対して、こういった事態は誤ったメッセージを送ってしまわないかという危惧もあります。大臣の受け止めをお伺いしたいと思います。

【大臣】私どもとしては、先ほど申し上げたように、現行協定の期限というものもありますので、是非お願いを申し上げたいということで国会にも提出をし、審議については国会の方にお願いをさせていただいているわけであります。
 その意味で、今、お話がありましたように、確かに現在、地震について在日米軍には大変大きな支援をいただいている。感謝を申し上げなければいけないと思いますし、同時に在日米軍については、日米安保条約に基づいて我が国の防衛の義務も負って駐留をしているわけでありますから、そういった中で私どもとしてはホスト・ネーション・サポート協定が必要だということでお願いをしておりますし、それはできるだけ早くご承認をいただけたらという思いは申し上げてまいりたいと思います。
 ただ、最終的には私どもから国会の審議の日程その他について、私どもとしては申し上げられる立場にはないということも申し上げなければいけないと思います。

【世界日報 山本記者】ホスト・ネーション・サポートの関係ですが、自民党の石破政調会長が最終的にはホスト・ネーション・サポートの説明がきちんとしていないというようなことで会見などでも批判的なことをおっしゃったのですが、最終的には松本大臣のご説明で了としたいと、日米同盟の深化という方向で菅内閣が動いているということでそういう姿勢になられたということを会見でお聞きしました。
 最終的にそういう意味で、大臣のご説明が石破会長に誠意を持った、納得できる説明に最後の委員会でのやりとりで、最終的な表明の中でなったというお感じなのでしょうか。その辺の所見をお願いいたします。

【大臣】今、私(大臣)の手元では、自民党の正式な協定に対する決定というものを直接お伺いしたわけではありませんので、そこの点について私どもの方から申し上げる立場にはありませんけれども、これまでもそうですし、ホスト・ネーション・サポート協定そのものについては、実際にはまだ審議は始まってきておりません。関係する委員会での審議において、これまでも問いをいただいてお答えさせていただいたことはあるわけですけれども、国会での審議という意味ではこれからということになろうかと思いますが、もし私どもが申し上げてきたことでご理解いただけるのであれば、それは与野党を超えてご理解いただけること自身は、私どもとしては大変歓迎申し上げたいことだと思っています。

目次へ戻る

東北地方太平洋沖地震

【NHK 市原記者】震災について支援の受け入れですけれども、本日で震災から2週間になりますが、外国の医師や看護師や医療行為を行うチームの受け入れについて、検討・調整の状況はいかがでしょうか。

【大臣】医療行為そのものの在り方については、厚生労働省の方でご調整をいただいた一定の結果があると理解いたしております。その中で、お申し出をいただいた分については、是非受け入れるということで申し上げてきているところですけれども、調整を進めていきたいと思っております。
 ただ、もの以上に人を受け入れさせていただくということになれば、どのように受け入れて、どのように現地に赴いていただくかということも含めて、具体的な調整は必要になってくると思いますので、順次また皆さんに具体的な内容として申し上げられるようになればお話をさせていただきたいと思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成23年3月22日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)東北地方太平洋沖地震について

【松本大臣】改めて、東北地方太平洋沖地震、残念ながら亡くなられた方の数も増えてきているようで、謹んで亡くなられた方のご冥福をお祈りすると同時に関係の方々にお悔やみを申し上げ、また、被災者にお見舞いを申し上げたい、そのように思います。
 政府としても、全力を挙げて被災者支援、そして、原子力発電所対策に取り組んでいるところです。外務省の関係では、既に128ヶ国・33国際機関というのが、今、私の手元に入っているところですけれども、正確にはまた、ホームページなど更新中ですので、そちらを見て頂いた方が数字は正確だと思いますが、大変多くの国々から支援のお話をいただいているということで、大変有り難く思っております。本日、参議院の予算委員会でもお答えをさせていただきましたが、できるだけ調整をして受け入れて、震災の対策に活かしていきたいと思っております。また、前回、会見をさせていただいてから後も、中国の胡錦涛主席、また、シンガポールのリー首相などに日本大使館で記帳していただくなど、各国の首脳を含めて多くの方々にご記帳を頂いておりまして、国際社会の連帯に心から感謝を申し上げたいと思っております。

(2)日中韓外相会議について

【大臣】19日に京都で日中韓の外相会議を開催いたしました。震災以降ということで、もちろん、当初から予定をされていたものではありますけれども、改めて、主催会議を行うかどうか、私(大臣)も含めて、政府内でも検討をいたしましたけれども、日中韓の外相会議、当初の予定よりは実務部分だけを残して短縮した内容とさせていただくと同時に、中韓両国からもご支援もいただいており、また、最も近い国として、これまでも大変重視をしてきた外交関係の一つでありますので、開催そのものは予定どおり開催をさせていただきました。中国からは楊潔チ外交部長、そして、韓国からは金星煥外交通商部長官に出席をいただきました。会議の冒頭に犠牲者に対する黙祷を行いまして、その後、中国、韓国両国から「共にある」という連帯の表明と最大限の支援の表明をいただきました。また、同時にかかる中であるけれども、開催をしたことを多としたいという言葉もいただきました。私(大臣)の方からは、いち早く駆けつけていただいた両国の緊急援助隊、また、物資の提供などに深い感謝を申し上げるとともに、全力を挙げてこの国難を克服する決意を申し上げさせていただきました。3ヶ国間の協力という意味では、防災、災害対策、原子力安全の分野に関する協力が今回の中では大きなテーマとなりまして、これらの分野における協力を良い方法で実現すべく集中的に議論を行ったところです。また、今後、調整の結果、是非実現をしたいと思っております日中韓サミットにおいて、これらの分野における具体的な成果が得られるように協力をするということで一致をしたところです。

目次へ戻る

東北地方太平洋沖地震

【共同通信 斎藤記者】各国からの支援受入れの関連で、2点お伺いします。一つは、救援隊等については詳しく発表されていて、官邸ホームページでも見られますが、各国がこれまでに自主的に、例えば重油を提供しようとか、ロシアの場合にはヨーロッパの天然ガスを日本に回そうというような話も現地でしているという報道が出ています。そうした各国からの新たな追加支援の呼びかけについて、現状何か主要データをお持ちであれば、ご紹介いただきたいということと、ロシアの天然ガス、それから中国の油の進捗状況が判ればご紹介いただきたいと思います。

【大臣】今日の予算委員会でお話をさせていただきましたが、かかる物資の提供などのお話についても、是非、今大変我が国は厳しい状況ですので、基本的には受け入れることを前提に、両国で調整をさせていただきたいということでお話をさせていただいています。ただ、様々なお話がある中で、今お話があったようにエネルギー分野も、今我が国にとっては一つの重要なテーマであることは事実だろうと思いますが、具体的に受け入れるということになりますと、どういうものを、どういう形で、どこで、どういうふうに受渡しをするのかということも含めて、調整をしながらということになろうかと思っていまして、個別に既にお話を申しあげることができる範囲については、またホームページで発表させていただくことになると思いますし、内容によっては調整途上のもので、ある程度調整が整ってからお伝えをしなければならないものもあろうかと思いますので、その辺のところは順次発表を見守っていただきたいと思います。

【フリーランス 上出氏】原発関係で確認でございます。発生当初、米国から具体的な安全対策のための支援の要請があったけれども、日本は断ったという話があります。それは報道されているのは、廃炉を前提とした申し込みだったということもあるそうなのですけれども、経産省などに確認したところ、外務省が窓口になって、確かに支援は今の段階では、まだ検討事項があるのでということで、一旦お断りした経緯はあるということですが、それは外務省が窓口になっているということです。廃炉を前提にして、そういう申し入れがあったのか、あるいはそういう形はないけれども、申し入れがあって、それがやはりまだ12日くらいの段階だそうですが、それが本当に断った形になっているのか。それでもっと早く対応していれば、もう少し違う事態が、もっとこんなに深刻にならなかったのではないかというのと結び付けられて、ネットだとか一部の新聞で報道されているので、その辺の事実関係、いつごろそういうやり取りがあったのかということを含めて、具体的にもし、いますぐではなくていいのですけれども、お示しいただければと思います。

【大臣】先ほども申し上げたように、支援について、お断りしたものがあるというように私(大臣)は承知をしておりません。また、全体の方針としても、先ほど申し上げたように、基本的に受け入れをさせていただくと。ただ、米国とか米軍とかいうことを今、特定をして申し上げるわけにはいきませんけれども、さまざまなお申し出がある中で、こういった支援が可能であるというお話を例えばいただいたときに、それでは、それを是非ということを申し上げると、では持っていくのに実は1週間かかるとか、先方がそうおっしゃるケースもあるし、私どもの方で、明日どこどこに持っていくと言われたときに、明日はまだそこは開いていないということもあるわけですから、両者のマッチングという意味で、即時のその場で受け取っていないものがあることは事実でありますけれども、私(大臣)どもが支援を断ったという認識はありません。
 また、念のために申し上げれば、米国の国務省の報道官も日本が支援を断ったという事実は承知をしていないと、同種の質問が会見であったようでありまして、お答えになっているというように承知をしております。

【フリーランス 上出氏】それは廃炉が前提とか、そういうことがどうのこうのということで支援を断ったという話がありますが。

【大臣】米国との関係では、既に専門家も早い段階から来ておられます。今おっしゃった段階に来ていたかどうかは、正確に記憶はありませんけれども、かなり早い段階から緊密に連絡を取って、もちろんさまざまな支援の可能性とか、こういった課題があるのではないかという議論はかなりあります。その議論があった中で、すべてその場で言ったことが、その場で即座に実現をしているわけではないことは事実ですけれども、必要なものをそのときに議論をして、少なくともその段階で得られた情報で、そのときに必要だと思われるものは、速やかに実現をしてきたのではないかと理解をしています。

【フリーランス 上出氏】米国は一番早くは、いつ、そういう申し入れがありましたか。

【大臣】申し入れというか、米国、米軍との連絡・連携は、ほとんど当日くらいからあったと理解をしています。

【ロシア国立新聞 ソルビオフ記者】プーチン首相によって、日本にガスを分ける予定がありますが、そのことについて、どう思いますか。また、何か契約を結ぶことがすぐにできますか。

【大臣】今、お話をさせていただいたように、ロシアのことについて個別にお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、すべていただいた支援については、今、お話がありましたように、内容や条件等を吟味させていただいて、ただ支援をいただくというお話は大変ありがたいお話であります。ですから、是非受け取れるようなことを前提にいろいろ議論をしてもらっております。
 ただ、ロシアがどうということではありませんけれども、例えばどこまで持っていくから、あとはそちらで運んでくれという申し入れがあったら、それがどこでどうやって受け取ることができるのかとか、例えばご支援は申し上げるけれども、量は確保するけれども有償でお金がかかりますというケースもないわけではないと聞いております。まだ一般論の話ですけれども。それもありますから、どんな条件でどんなものをどの段階から受け取るのかということは、順次整理がつき次第、お願いをさせていただくということになろうと思います。
 改めて、ロシアからわざわざおいでいただいているとすれば、ロシアからも援助隊も含めて、また、大統領を始め、先日私(大臣)もG8外相会談でラブロフ外務大臣ともお話をさせていただきましたし、会議もさせていただきましたけれども、連帯の表明と、そしてお見舞いの言葉と励ましの言葉と、そして手厚い支援の申し出をいただいていることを感謝したいということを是非伝えてください。

【読売新聞 向井記者】2点伺います。まず、1点目ですけれども、各国から入っている救援隊、救助隊の関係ですが、例えば韓国などは一旦捜索活動、救助活動を終え、今、新潟の方で107人が待機している状態です。その他の国々に関しても、今後救助活動を一旦終え、国内待機になるケースが出てくると思うのですが、こういった国々には引き続き何らか別の形で活動を国内で継続してほしいということで、外務省と調整されるのかどうかということがまず1点。
 2点目は、日中間の首脳級のサミットですが、これは当初、今年前半ということで調整されていたと思うのですが、この震災の影響を受けて、時期を先送りすることは考えていらっしゃるのかどうか。これについて伺いたいと思います。

【大臣】まず1つ目でありますが、ここでも私(大臣)も皆さんに申し上げた記憶があると思いますけれども、私(大臣)ももう2週間以上前だと思いますが、ニュージーランドにも行っておりました。緊急援助隊というのは、完全に自己完結型で移動できる隊が基本的に多いこともあって、日本の場合もニュージーランドの場合はほぼ1週間を単位に交代要員を送りました。そういう意味では、各国の緊急援助隊はほとんどフル稼働はしていただいたのではないかと思います。そういう意味では、まだ今でももちろん活動していただいているところがありますけれども、早く入っていただいて、既に言わば第一陣としては、1つの区切りを迎えている隊もあることは、それは当然そういうことになるのだろうと思います。
 もちろん、我々としては、いまだに捜索・救援活動、先日も救出された方がいらっしゃったように続いているわけでありますから、またそういうお話があるのであれば、先ほど申し上げたように、すべての支援は全面的に受け入れる方向で考えたいと思っていますが、今、第一陣がどういう状況にあって、どういうようになっているのかというのは、先方からのお申し出もいただきながら、調整をしていきたいと思います。
 2つ目は、外交日程のお話でありますが、サミットも率直に申し上げて、この前に外相会議をやったばかりで、翌日からということであれば、また考えなければいけないと思いますが、そもそも外相会議をやらせていただいて、先ほどもお話したように、今回であれば、防災、災害協力、原子力安全分野についてしっかり成果を得られるようにということで考えておりますので、その辺の時間のかね合いとこれからの震災に対する対策と復旧のめどの様子を見ながら、しっかり調整をして、やらせていただきたいと思っておりまして、当面は震災対策に万全を期しながら、外交にも極力ベストが尽くせるようにということに努めていきたいと思っていますので、現段階ではサミットの予定そのものが、まだそもそも調整中でありますので、先送り云々ということを申し上げる段階ではないと思います。

【ロシア国立新聞 ソルビオフ記者】今は東北でロシアの100人以上の緊急援助隊が活動しています。そのほかの国の緊急援助隊がいますか。その人数は。

【大臣】援助隊は、私(大臣)が承知している限り20チーム、20ヶ国入ってきました。今、最初にちょっとご質問がありましたけれども、そのうち12は活動を終了しております。今、8つのチームが活動を続けているというのが今の状況です。

【ロシア国立新聞 ソルビオフ記者】何人ぐらいですか。

【大臣】全部の人数は、今、私(大臣)の手元にないので、もし必要であればまた聞いていただけますか。

目次へ戻る

日露関係

【産経新聞 酒井記者】こういう震災のさなかに、昨日ロシアの戦闘機が日本海に来て、自衛隊の空軍機がスクランブルをかけたという事案がありました。17日にもロシアの情報収集機が来てスクランブルをしています。こういったことに対して抗議をしているかどうか。される考えがあるかどうか。また、こういう行動についてどう思われるかという見解をお聞かせください。

【大臣】ロシアの軍の、もしくは確認されていない航空機の行動と、我が国の自衛隊がどういう対応をしているかということは、私(大臣)から発表する立場にありません。ただ、そういう報道があったことは承知いたしております。
 私(大臣)としては、各国とも、我が国に対してお見舞いの言葉をいただき、支援をしようという申し出をいただいているという各国の気持ちが、まさにそういうものであるということを信じて各国とこれからお付き合いをしていくのが今の私どもの立場です。

目次へ戻る

リビア情勢

【時事通信 西垣記者】話は変わってリビアのことですけれども、先週の週末に安保理決議を受けて米英仏軍などによるリビアに対する軍事介入が始まりましたが、これに対して大臣談話で支持を表明されてはおりますけれども、改めてこれに対する見解と、日本政府としてはこの決議を受けて、あるいは軍事介入を受けて、具体的にどういった行動を考えていらっしゃるのかという2点をお聞かせください。

【大臣】リビアの情勢については、大変残念ながら安保理決議が行われたにもかかわらず、再度の安保理決議が必要になる事態が生じてきておりまして、リビア当局に対しては、リビア国民に対する暴力を即時停止するよう繰り返し求めてきたにもかかわらず、パリにおける一昨日の首脳会談でも確認されたように、継続をされているということでありまして、これによってリビアの一般市民が攻撃の脅威にさらされていると私どもは理解をしております。
 したがいまして、我が国としては、そのような文民の保護を目的として、今回採択された国連決議にのっとって国連加盟国が措置をとることを支持すると、これは談話で申し上げたとおりであります。
 我が国としては、この決議1973号を受けて、これまでも1970号の決定事項を着実に実施してきたわけですが、1973号を受けて、資産凍結等の対象の追加など、早急に実施すべく手続を進めている状況だと理解いただきたいと思います。我々としては引き続き情勢を注視しつつ、リビア当局による自国民に対する暴力を停止するように関係国と緊密に連携していきたいと思っております。

【共同通信 出口記者】同じくリビア情勢ですが、一般市民への暴力を継続しているカダフィ政権ですが、大臣としてはカダフィ大佐に対するメッセージ、もしくはそうした行為を続ける指導者は引くべきであるとお考えでしょうか。
 あと、これまで行っている制裁で、凍結した資産など具体的なものがあれば教えていただけますでしょうか。

【大臣】後半の方は既に1970号に対する措置は準備をして進めていると思いますが、具体的にそれによって凍結をした資産があるかどうかというのは手元には持っておりませんので、必要があればまた改めてお答えをさせていただきたいと思います。
 また、我々としては、リビア当局がリビア国民、自国民、一般市民に対する暴力を即時に停止をしていただきたいということを要求させていただいていますし、今、喫緊の要求は、それがすべてであると思っております。それに必要なこととして、今お話があったような指導者の立場、そしてそういったものが関連するのかどうかということは、理解と判断が必要だろうと思いますけれども、もし自国民に対して、また一般市民に対して攻撃している当局の責任者であり、実質的にも責任者であるとすれば、それはやはりお考えをいただかなければいけない部分があると思います。

目次へ戻る

内政

【日本経済新聞 永井記者】内政の話になってしまって恐縮ですけれども、19日に菅総理が自民党の谷垣総裁に入閣を打診されました。今回の大震災に向けて与野党が協力して当たっていこうという趣旨だったとのことですけれども、内閣の一員として自民党の総裁に打診をした総理の判断、それから、それを断られた自民党の谷垣総裁の判断について、今、大臣としてどのように評価されているか教えてください。

【大臣】お話があったように、このような時期でもありますし、また今後の復旧・復興を考えたときには、与野党が一致することによって、より良い政策も出てくるでしょうし、またその政策を実現するプロセスもあらかじめ与野党が一致していくことによってスムーズに進むことが期待されるわけですから、ある意味では最も強力な、強いという意味での強力な形での協力の一つとしての提案として、私(大臣)も理解できると思いますが、同時にそれは政治的なポジションを持つということにもなりますので、そこを谷垣総裁が判断されたことの是非について、私(大臣)がコメントをする立場にはありませんが、いずれにせよ、ご協力はいただけるという趣旨のお話があったのではないかと理解していますので、引き続き与野党で協力して、この震災にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成23年3月18日(金曜日)15時33分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)東北地方太平洋沖地震について

【松本大臣】東北地方太平洋沖地震の関係ですが、各国、そして、国際機関から数々の支援をいただいていることを、改めて日本政府、そして、日本国民を代表して心からお礼を申し上げたいと思います。さらに在外公館で16日から弔意の記帳の受付を開始しておりますけれども、昨日、オバマ米大統領、メルケル独首相、そして、シン印首相、本日だと聞いておりますけれども、韓国の李明博大統領はじめ、各国の首脳、そして、政府関係者、さらには多くの市民の方々もおいでいただいているのではないかと思います。また、各国で市民の方々からも自発的に募金活動が行われるなど、全世界の国々、人々から暖かい気持ちをいただいていることを、私どもも大いに励ましに思って努力をしていきたいと思います。
 先日のG8に行かしていただきましたが、私(大臣)自身もそうですし、大使館の関係者も車に日の丸がついていると、今、皆が手を振ってくれ励ましをもらっているという話でした。また、それぞれの国の立場で自国民保護ということで活動をされていると考えておりますが、私どもとしても、しっかり情報提供をさせていただく中で、冷静に対応をしていただけるものと考えております。
 また、原子力の関係で、米国との時差の関係で昨日付けになりますけれども、ポネマン米国エネルギー副長官が、「我が国(日本)がとっている措置について疑問はなく適切である」と、このように述べていることは皆さんにもお伝えしておきたいと思います。
先ほど、天野IAEA事務局長ともお話をさせていただきました。天野事務局長とは「これからもしっかり連携をとってやらせていただきたい。私どもとしても、国際社会に向けて透明性のある説明をして、しっかり理解をしていただくように努めていきたい」ということをお話しさせていただきました。事務局長の方からは、協力のお話をいただきました。それから、本件については、米国からも専門家が派遣されておりまして、米国の原子力専門家と我が国の専門家の間でも緊密に連携をとっていただいておりまして、引き続きそのようにお願いをしていきたいと思っております。

(2)日中韓外相会議について

【大臣】日中韓外相会議ですが、明日予定をされておりましたが、改めて本日、政府内でも確認をさせていただきまして、明日開催するということで行いたいと思っております。ご承知のとおり、本来こういう状況でなければ、おいでいただくわけですから、さまざまな歓迎に相応しいことも考えておりましたが、このような状況ですので、明日の午後から日中韓の日韓、中韓、日中、そして、日中韓の会議と短時間の夕食で半日の日程で行いたいと思っております。日中韓の関係といいますか、中と韓の関係は私ども日本にとっても大変重要な関係でありますので、予定されていたこの機会に改めて、それぞれの国々と、そして、また3ヶ国の協力関係、国と国の外交の関係を高めていくように努力をしたいと思っています。

目次へ戻る

東北地方太平洋沖地震

【読売新聞 白石記者】福島の原発の関連で2点お伺いします。米国側からは日本政府に対して原子力の専門家の派遣というお話があるのだと大臣はおっしゃいましたが、具体的に物資という面では米国政府から日本に対して、例えばヘリコプタ-だとか、冷却剤だとかホウ酸だとか防護服とか、具体的に何かそういった物資を提供したいという要請はあったのでしょうか。それからもう一点、米国以外の国もロシアや韓国、フランスなども同様の、日本に原子力のことで何か支援ができればという要請をしているようですけれども、具体的にはどういったものを提供したいという意向が伝えられているのでしょうか。

【大臣】原子力に限らず、この震災については各国から全面的に支援をするということをいただいております。その上で原子力発電所の問題についても、また、その他の部分についても私どもとしては、どんな支援が可能なのかということを先方とやり取りをしながら、こちらのニーズで必要なものを順次受け入れていくという調整作業をさせていただいていると承知をしております。

【日経新聞 永井記者】順次調整しているという項目の中に、具体的にどのようなものがあるか教えていただければ幸いです。もう一点、先ほどの天野IAEA事務局長との会談の中で「透明性を高める必要があるとの認識を持って努力したい」と大臣からの発言がありましたけれども、これも具体的にどのような措置、対応によって透明性を高めていこうと考えていらっしゃるのか、この点についても教えて下さい。

【大臣】一点目は個別の物資等の名称については、それぞれ具体的に調整して受け入れがスタートすればお答えをさせていただいたり、順次発表させていただいていると承知をしております。いろいろなところからいろいろな申し出がある中で、どこからどれを受けるのが最も支援に効果的かということも含めて判断をしておりますけれども、各国は各国、それぞれ皆さん暖かい気持ちで応援をしていただいておりますので、調整の途上でそれぞれの項目をお話しさせていただくのは差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、透明性の話ですが、私どもとしては、これまでもできるだけしっかりと、国内外ともに説明をすることが重要だという認識を持って進めてきておりましたが、国際社会を中心に聞いている側からすれば、このように説明をして欲しいとか、こういうことは分からないのか、さまざまなことがあるのに対しては積極的にお答えをするようにとは思っております。既に海外の各国政府であるとか、海外のメディアに向けては英語での資料の配付とか説明も外務省の方で進めるように何日か前から行っていると承知をしております。そういった、さまざまな措置の中で少しずつ、これまでの努力をしてきた分をさらにまたご要望に応じて高められる点は高めていきたいという趣旨でお話をさせていただきました。

【時事通信 西垣記者】IAEA事務局長との会談に関連して、今回、天野事務局長と一緒に来日されたのは、放射線の計測の専門家だというように認識しているのですが、放射線計測の専門家派遣に日本国内でどういう役割を期待しての派遣ということになっているのかということが1点と、恐らく更なる支援をIAEAに対して求めていくことになると思うのですが、更なる支援という意味ではどういう支援を日本政府としては期待しているか、この2点をお願いします。

【大臣】既に放射線の計測も政府としては行っているわけですが、IAEAの専門家が来られることで、さまざまな場所なり、さまざまな方法で計測をされてデータを収集されたものは、十分政府と連携をして有効に活かしていただけるようにしていきたいと思っています。今後の支援のあり方ですが、これも先程、震災全体の支援についても申しあげましたが、この原子力の課題についても、我々としても今やるべきことを全力をあげて取り組んでいるわけですけれども、その中でIAEAはIAEAでたくさんの専門家も擁しておられるわけですから、そういった方々にお願いができるものは、調整の上、受入れが可能であれば受け入れていくことによって、国際的な協力関係の中で原子力体制を万全を期していきたいと思っています。

【フリーランス 上出氏】透明性ということで、私も実は経産省とか東京電力を取材しております。透明性という場合は、国内へ向けての発信も一般の方からは、政府は本当に全部言ってくれているのだろうかという一種の不信感みたいな、一進一退の状態が続いていて、安全だと言っているのに爆発してしまうとか、そういうレベルでの透明化ということもあると思います。外国の具体的な透明化の中身ですけれども、政府レベルできちんとやってほしいということだけなのか。それとも、世界の情報発信をきちんとやってほしい。その場合には、大臣としては、どういうことだったら透明と考えていますか。もうちょっと具体的に言っていただけませんでしょうか。これは国民に向けても透明ということだとは同じことだとは思いますけれども、どうもいまいち、その辺がわからないのです。

【大臣】是非この機会にお話をさせていただきたいと思うのですが、私ども政府としては、情報であるとかお知らせすべきであることを止めるというようなことを考えたことは、一切ないということをあえて皆さんにも申し上げておきたいと思います。
 今回の東北地方太平洋沖地震は、地震の震度もさることながら、津波の大きさという意味では多くの方々を含めて、想像を超えるものであったことは事実でありまして、その点でそのことが残念ながら、原子力発電所も含めて、甚大な被害を生んだわけであります。その中で収集可能な情報は、そして、収集可能な状況の説明と情報に基づく状況の説明は、その時点その時点では、できることはすべてさせていただいているという、まずそこの信頼関係を是非政府と国民の皆さん、国際的には全世界の皆さんと共有できるように、我々も誠意を持ってお話をしていきたいと思っています。
 その上で、情報その他について、国内からも国際的にもこういう情報がないのかというようなお話が漏れ聞こえてくることは事実でありますけれども、すべての欲しい情報を我々が100%、今、手に入っているのかと言えば、それは残念ながら、必ずしもそうではないと、私(大臣)も認識をしております。与えられた情報から、更に追加的に必要な情報は収集可能であれば収集して、状況をできるだけ的確に判断をした上で、後は速やかに対策を取るということが必要で動いているということであります。
 その意味で、未曾有の大災害の下でありますから、そもそも災害そのものが率直に申し上げて、想像を超えていた中で、すべてが申し上げた想像どおりになっていないという今のご指摘なのかもしれませんけれども、我々としては極力状況を把握して、そのときにできるベストの手を選択して、それに全力を挙げて取り組むということを重ねてくることで、本日までこの原子力発電所の問題についても対応してきて、まさにこれを克服すべく闘っている最中だとご理解をいただけたらと思います。

【NHK 市原記者】今、おっしゃったような各国から寄せられている、こういった情報はないのかという問い合わせですけれども、どういった情報が求められていると認識されているのでしょうか。

【大臣】これは状況をどこまでご理解いただいているかということもあります。率直に申し上げれば、ずっと発電所の端にいないとわからないようなことの問い合わせがあったり、いろいろなことがあります。それはやむを得ないことだと思います。状況をそれぞれ現場にいる者と遠く離れたところからごらんになっている方と、私(大臣)自身も就任前、ニュージーランドの地震の対策本部にもいましたけれども、災害のときは現場と、現地と離れたところは、頭で理解しようという気持ちはあっても、どうしてもそこの感覚が一致することはないというのは、やむを得ない現実だと思いますし、私どももそれに対しては、今もご質問がありましたけれども、公開できる、情報収集が可能である原子力の情報については、公開をしっかりさせていただいているということをお話ししながら、ご理解をいただきつつあるようになってきているのではないかと思っております。

【世界日報 山本記者】先ほど大臣のご説明にありましたように、各国がどういうものが必要かということで調整をやっているということでありますが、先だってメア日本部長があのような発言で更迭されたという形になったのですが、今回、報道によりますと、米国でできた国務省の特別班、日本と米国との間のそういったたぐいの調整役として働いているという報道がなされているのですけれども、それについてはご承知でしょうか。更迭されたという流れの中で、こうした役割をしていらっしゃることに対しての率直なご所見を伺えますでしょうか。

【大臣】メア部長が交代をされたことは、私(大臣)も承知しております。

【世界日報 山本記者】その後の報道ですが、日本と国務省の間のどういった物資が必要かということに対しての特別班ができまして、その調整役をやっていらっしゃるという報道がありました。

【大臣】報道は拝見いたしますけれども、私どもといたしましては、米国政府としっかり必要な調整はさせていただいていると思います。くれぐれも誤解のないようにお願いをしたいと思いますが、この1週間、調整だけをしているわけではありませんで、調整ができたものはどんどん受け入れているということを是非お伝えをしたいと思います。

【世界日報 山本記者】趣旨は、そういった流れの中で更迭されたのですが、そういったことはまた抜きにして、もう一度ある意味そういうことに誠意を持って対応しておられるということに対して、どういう評価をお持ちですかという質問です。

【大臣】私ども自身は、どなたか個人とお話をしているわけではなくて、米国政府とお話をさせていただいていますので、それ以上のことは申し上げられる立場にはありません。

【ジャパンタイムズ 伊藤記者】各国の大使館がどんどん自国民の方々を海外に出したりとか、大使館を一時閉鎖したり、関西の方に移転されたりとかしているのですけれども、この動きに対する大臣の受け止めと、特に原発に関して、こういうことがありますと更に不安が広がるかという懸念があるかどうかについてお答えいただけますでしょうか。

【大臣】それぞれの国々がそれぞれの国々のご判断でそのように行動されているという位置づけだと考えております。私どもとしては、しっかり情報提供を行っていきたいと思っております。原子力発電所については、現在私どもは20km以内は退避、30km以内は屋内にということでありますが、そういったことを指して、米国のエネルギー副長官も日本の取っている措置は適切だと評価をしていただいているという意味で、私ども日本がしている意味は、ご理解をいただけているのではないかと思いますし、ご理解いただけるように、情報提供をしっかりしていくということが、今の私どもの務めだと思います。
 もちろん、それぞれの国ですから、最終的には自国民は各国のそれぞれの裁量のご判断だということになってくると思います。

【共同通信 斎藤記者】原発ではなくて、地震の中の被災者対応のことでお伺いします。
 今、外務省は外国人の安否確認情報に取り組まれていると、先ほど大臣の方からも紹介がありましたけれども、この取組みの意義と現状、どの程度この安否確認作業が進んでいるのか。そして、今後の課題等々についてご説明願いたいと思います。

【大臣】先ほどの繰り返しになりますけれども、つい2週間ほど前、私(大臣)は逆に外国人の立場でニュージーランドでいわば安否確認をニュージーランド政府に要請をして、協力をお願いしてきた立場であります。そういう意味では、日本国民の安否確認も、また外国人の方々の安否確認も、本当に同じように行われなければいけないと思っております。ただ、外国人の方々の場合は、周辺でどこにおられるとか、安否の確認が必要となる前の状況をご存じの方がたくさんいられるという状況は、日本国民の方より少ないケースも多いわけですから、そういったことも含めてフォローが必要なのではないかと考えております。
 具体的には、各国の大使館から安否確認の申し入れなどが来ます。大使館は大使館でそれぞれ地域なり、こちらでの政府なりという形で、さまざまなご努力を自国民保護ということでされていると思いますけれども、私どもとしては、在京外交団との関係も外務省がお引き受けをするという意味では、できるだけ外務省の方でお聞きをさせていただいて、政府関係機関としっかり情報共有をすることによって、早く安否確認ができるような努力をしていきたいと思っております。
 関係をする、例えば警察であるとか、地方自治体を所管する総務省であるとか、それに限りませんけれども、広く連携をさせていただくような体制をとるように、私(大臣)からも当初から指示をしておりますし、そのことを進めていただいて、それぞれの事務レベルの窓口は機能して、今、動いていると理解をしています。

【毎日新聞 西岡記者】明日の日中韓外相会談で、今回の地震のことについて、韓国や中国側にどのように説明をされるのか。あと、地震以外の議題はどのようなものかお聞かせください。

【大臣】率直に申し上げて、これだけ大きな地震になりましたので、地震関連のお話をすることが多くなるのではないかと思っております。被災の率直な状況についてお話をさせていただきたいと思っていますし、それは津波による全体の損害もですし、今の原子力発電所の状況などについても、毎日外務省の方からも諸外国にお話をさせていただいていますけれども、また明日の場面でもお話をしっかりさせていただいて、できれば既に中国も韓国も救援をさまざまな形で送っていただいていますので、しっかりそのことにお礼を申し上げながら、今後の協力体制を高めていくということをお話しさせていただきたいと思っております。
 まず、私どもは目の前の大災害を克服することが最優先で、そこに全力を注ぎたいと思っておりますが、かねてから東アジア地域では、防災であるとか、原子力安全であるということはテーマにはなってきておりましたので、これを機会に、今後そういったことについて深めていくようなことが3ヶ国の中でも議論になって、方向性が合わせられれば望ましいと期待しております。

目次へ戻る

リビア情勢

【共同通信 斎藤記者】リビアに関してですが、先ほど外務大臣談話が出ましたけれども、改めてお伺いします。
 この国連決議は、カダフィ政権の暴力行使の即時停止を求めると同時に、これは第7条ですか、いわゆる国際社会のリビアに対する武力行使を容認するというようにも読み取れる中身であります。この国連決議は、具体的にどう受け止めているのか。そして、今後どのようにリビア情勢は対処すべきだとお考えなのか。この点についてお伺いしたいと思います。

【大臣】談話で先ほど申し上げた文書自身、しっかり私(大臣)自身も文書をつくっておりますので、そこに意を尽くして書かせていただいたつもりでありますけれども、残念ながら、先般、1970号の決議が出たにもかかわらず、リビア政府当局による自国民に対する著しい暴力が継続をしているということは、私どももどうしても強く非難するものでありますし、また、多くの死傷者が出ていることを強く懸念しているということを申し上げたいと思っています。
 この決議で、今、お話がありましたように、6条で飛行禁止区域の話や22条だったか、正確に確認しないといけませんが、制裁強化というのがありますけれども、是非リビア国民に対するリビア当局の暴力を直ちに停止されることが強く求められるというか、私どもとして求めたい内容でありまして、この決議は直ちにリビア当局が遵守するように、我々としては求めていきたいと思っております。
やはり安保理で決議が出るというのは、国際社会の強いメッセージだと私どもは理解をしています。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成23年3月11日(金曜日)21時20分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)東北地方太平洋沖地震について

【松本大臣】私(大臣)の方からは、19時に緊急対策本部が官邸で開催をされて、総理の方からは「国民の安全を確保し、被害を最小限に抑えるため、政府として総力を挙げる。各閣僚においても、担当分野で尽力をして欲しい」という指示でございました。外務省でも、15時に私(大臣)自身を対策本部長とする、緊急対策本部を立ち上げまして、外務省の所掌である在日の外交団、そして、海外から訪日中の方々を含む在留の外国人の安否の確認やそのサポート、海外からの支援申し入れの対応、また外務省自身のインフラや通信設備などの外務省のインフラの確認などにつき遺漏なきよう指示を出したところです。
 全体として現在までのところ、軽度の物損を除けば在日外交団、ちなみに東北の方には韓国の総領事館が仙台にあるのを、私(大臣)も承知しているのですが、軽度の物損を除けば在日外交団に被害が生じているという連絡は受けておりません。通信設備等、外務省のインフラも機能しているという報告でした。
 また、支援の申し出ということで、既に相当数の国・地域からいただいております。これまでに米国、台湾、韓国、メキシコ、オーストラリア、タイ、中国、ニュージーランド、イスラエル、ロシア、ドイツ、シンガポール、インド、インドネシア、トルコ、アゼルバイジャン、フランス、ベルギー、ウクライナ、スロバキア、UAE、スイス、ハンガリー、ポーランド、ヨルダン(21:00現在)といった国々・地域から支援を行う用意があるとの申し出をいただいております。こうした支援の申し入れについては官邸の緊急災害対策本部に情報を提供しておりますし、外務省からこの対策本部にも連絡、リエゾンを含めて行ってもらっておりまして、今後各地の被害状況等に応じて、関係省庁や地方自治体とも協議して、具体的な検討に入っていきたいと思っております。
 またもう一点、ルース駐日大使から、既に夕刻の段階で、在日米軍も含めて米国政府として役に立てることがあれば協力したいとの申し出をいただきました。官邸での緊急対策本部での議論を受けまして、私(大臣)からルース大使にお電話をしまして、早い段階での支援の申し出に感謝をすると同時に、在日米軍の協力を私(大臣)から要請をいたしまして、両国の関係機関で具体的に調整することとなっております。ルース大使からは、「他にも、できることがあればいつでも連絡して欲しい。24時間体制で対応いたします」というお言葉、更に日本国民に心からのお見舞いを申しあげたいという言葉がありました。

目次へ戻る

東北地方太平洋沖地震

【朝日新聞 山口記者】大臣ご自身、地震を体感されてから、その後、時々刻々と東北を中心に被害が小さくないことがお耳に入ってきたかと思いますけれども、外務大臣としてどのような指示を三役、もしくは事務方にされたのかということをご確認させていただきたい。それと、総理自ら、外務大臣としての松本大臣に何か指示があったのであれば、それも改めて教えて下さい。

【大臣】私(大臣)の方は(外務省に)戻りまして、緊急対策本部を速やかに立ち上げることをすると同時に、先ほど申し上げたように、大きく一つは所掌の業務の中で必要な業務、在留の外国人の関係、また、海外からの支援の申し出の関係などに遺漏なきようにという、所掌の業務としての分野をしっかりとやるようにと、もう一点は外務省そのもの、これは建物を含むインフラや人員についてもしっかり確認をするようにと、大きくこの二点、具体的な中身も含めて指示をいたしました。
 また、官邸の緊急対策本部におきましては、総理がおられるところで具体的にこのように各国から支援の申し出があるということで、先ほど申し上げましたように外務省からも緊急対策本部に行ってもらって、十分有効に、また速やかにこれを活用していきたいということでお話をさせていただき、これは是非よく連携をとってやるようにというお話でありました。特に、在日米軍は既に当然日本にいるわけですから、その能力は是非活用をするということで、総理の方からも、それでは在日米軍の支援を受けようという指示がございましたので、ルース大使にお電話をさせていただいて要請をしたということでございます。

【共同通信 出口記者】各国からの支援の申し出ですが、内容はどのようなものが寄せられているのでしょうか。救援でしょうか、それとも物資の支援でしょうか。日本政府としては、どのような分野の支援を期待されますでしょうか。あと、在日米軍については、特にどのような役割を期待されますでしょうか。

【大臣】レスキューの申し出、物資の申し出、また幅広く輸送能力等の申し出、たいへん幅広く申し出があります。とにかく、率直に申し上げれば、出来ることは何でもするという形での第一報の申し出というのも、現段階でありますので、先ほど申し上げたように、これはいわば、需給のマッチをさせていかなければいけませんので、官邸の緊急対策本部の方で、何が行われなければいけないのかということと、他方でこちら側では今、各国がどのようなことが具体的に可能なのかということの情報を収集して整理して、マッチさせていきたいと思っている段階であります。在日米軍についても同様でありまして、米軍でありますから、過去の阪神大震災などでは、様々な物資、そして、それをなおかつ、自力で、言うなれば、輸送する能力というのが活用されたケースがありますので、今回もやはり、持っている物資や輸送能力というものをお願いすることになっていくだろうと思っております。

【日経新聞 永井記者】在日米軍に災害で協力を要請するのは、阪神大震災以来と考えてよろしいでしょうか。

【大臣】確認をしますが、もう少し多かったと思います。新潟の中越地震とかそういったものもあると思いますので、特に阪神大震災級であるからというわけではなくて、我が国と米国の緊密な関係から、日本にいる米軍も、言うなれば、米国の一つのリソースでありますから、支援の一形態として在日米軍に動いていただいているというように理解をしています。

【朝日新聞 大島記者】もし、お手元にあれば、何か国からか。なければ、事務方からなるべく早くいただけると助かります。

【大臣】今、手元にもありますけれども、これは時々刻々と変わっているのに近いので、例えば今ならば、午後9時ならば午後9時現在とかというのが多分あると思いますので、それを見ていただいた方が正確だと思います。

【毎日新聞 西岡記者】間もなく大臣のヨーロッパ訪問が迫っているのですけれども、今回の地震で何か日程等に変更はあり得るのでしょうか。

【大臣】外交日程としては、非常に重要な日程だと認識しておりますが、他方で、今回の災害もまさに未曾有という言葉を恐らく当てはめなければいけないのではないかと。少なくとも地震の規模は未曾有であることは既に確認されていると思っておりますので、率直に申し上げれば、まだ明日出発ではありませんので、これからしっかり状況に応じて対応したいと思っております。

【読売新聞 穴井記者】先ほどの支援の申し出ですが、レスキューの申し出をどういった形で受けるかというのは、官邸の対策本部で検討することになるのでしょうか。それと、どこからレスキューの申し出があるかということをお伺いしたいのですが。

【大臣】具体的に申し出の内容というのをおっしゃりながら、第一報と言うのでしょうか、最初の支援の申し出をおっしゃった国もあれば、できることは全面的に協力をするという形で、支援の申し出をおっしゃったところもあります。米国の側からも、米国大使館から「できることは」というお申し出があったと記憶をしております。しかし、当然その中にはレスキューが含まれる国、含まれない国がありますので、そういうことを含めて全部リストにしていこうと思っております。
 私(大臣)自身もニュージーランドの現地に行ってまいりましたから、レスキューというのは早い段階から有効に活用していかなければいけませんが、他方でレスキュー部隊というものをどこへ、どれだけ、どういう形で行って何をするのかとか、そういうこともありますので、現在、緊急対策本部の方で消防、警察、日本の自衛隊などが順次必要なところへ送られていく中で、海外からの支援をどこでどういう形で受け入れるかということは、緊急対策本部と総合的に調整をして、結論を出していくことになろうと思っております。

【フジテレビ 高橋記者】確認ですけれども、米軍が一番最初になるのではないかという気もするのですけれども、これは早ければ明日にでもというのは、まだ決まってないと思うのですけれども、見通しで一番早く動いているという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】ここにいますので。ほかの支援は、いずれもそれぞれの国から基本的に来られるわけですから、実際の要請の内容が固まってくれば、一番早くなる可能性が高いとは思います。

【フジテレビ 高橋記者】明日とかの動き、それはわからないということですか。

【大臣】こういった内容ですから、先ほど申し上げたようにそれぞれのニーズが確認をされて、供給が可能であれば、その段階からお願いをするというのが、こういったものの性格だと理解しております。

【共同通信 出口記者】先程、ルース大使は24時間体制で対応するとおっしゃっていましたけれども、外務省側としては、明日、土日に入りますが、各局長級を集めての対策本部というのは、また断続的に開いていかれる形でしょうか。各地域部局が対応する国からの申し入れ等に対応する準備を整えているところでしょうか。

【大臣】各課、必要な人員を配置して24時間体制ということは、もうすでに指示をしております。その中で、私(大臣)や政務も含めて、これからは、おっしゃったように明日は土曜日ですが、それには関係なく対応できる体制を整えて、対応していくことになると思います。

【時事通信 西垣記者】総理の方から各省庁とも「使える公共施設があれば、帰宅困難者に対して開放しろ」という指示があったと思うのですが、外務省として何らか対応するところはあるのでしょうか。

【大臣】こういう時期ですから、それぞれ臨機応変に対応することが必要なのは、当然のことではないかと思っておりますので、然るべく対応していきたいと思っています。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成23年3月9日(水曜日)21時47分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)就任挨拶

【松本大臣】本日、外務大臣を拝命いたしました松本剛明でございます。よろしくお願いをいたします。本日、総理の方からご指示もいただきまして、今後、外交をしっかりと努めてまいりたいと考えております。
 現下の中東・北アフリカの情勢や北朝鮮の情勢の例を引くまでもなく、変化の激しい国際社会において外交課題は山積みとなっております。我が国の国益を実現するために、責任者としてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 当面の外交の日程としては、来週にはイギリス訪問、フランスでのG8外相会合が行われます。また、今月19日には京都で日中韓外相会議を開催する予定でございます。このような中、外務大臣に就任することとなりましたが、まずイギリス訪問、G8外相会合に出席できるよう、国会のご理解を賜ってまいりたいと思っております。しっかりと取り組んで我が国の外交姿勢を発信してまいりたいと思っております。
 外交の方針・位置づけとしては、私(大臣)自身としても一昨年、民主党が政権をとって、民主党の外交というのがスタートをいたしました。いわば先陣を切って岡田大臣が新たなものを立ち上げるという大変ご苦労をされながら取組みをされ、それを引き継いだ前原大臣がいわば民主党外交を軌道に乗せるべく尽力をされ、私(大臣)はその一員として副大臣の立場からチームの一員として仕事をさせていただいたわけであります。
 一緒に仕事をしておりまして、まさに民主党外交を軌道に乗せるということが進みつつあるところまで来たのではないかなということでありました。ご退陣になられた前原大臣の政治家としてのご判断には、私(大臣)自身から申し上げることは何もありませんけれども、前原大臣の下で外交を進めていたチームの一員としては本当に残念という思いがあると同時に、軌道に乗せつつあったと思う民主党外交をしっかりと軌道に乗せていくことが、後をお引き受けした私(大臣)の責務であると考えて、しっかりと引き継いでまいりたいと思っております。
 総理の方からのご指示もいただきまして、方針としては日米同盟の深化、そして経済外交の推進を更に進めてまいりたいと思っております。我が国、そして日本国民の安全と繁栄の確保が政府の最も重要な責務であり、21世紀にふさわしい形で日米同盟の深化に努力をしてまいりたいと思っております。本年前半に予定をされている総理訪米に向けて、日米間で緊密に連携をして準備をしてまいりたいと思っております。
 また、強固な日米同盟を基盤として中国、韓国、ロシアを始めとする近隣諸国との協力関係の推進に取り組み、さまざまな懸案にもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。北朝鮮問題に関しては拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて、全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 同時にASEAN諸国や豪州、インド等の地域の各国との協力を進めると同時に、APECやEAS、ARF等の地域協力の枠組みを活用して、なおかつ開かれたネットワークを重層的に発展させていきたいと思っております。
 経済外交については平成の開国元年ということにふさわしいFTA・EPA、そして多国間の自由貿易の取組みについて、1つでも多くの具体的成果を出せるように努力をしてまいると同時に、オールジャパンでインフラ輸出、資源、食料の安全保障の確保にも取組みを進めてまいりたいと思っております。もちろん、気候変動、核軍縮・不拡散といった国際社会の諸課題、そして平和維持の活動にも積極的に取り組むとともに、アフガニスタンなどに対する支援も積極的に行ってまいりたいと思っております。

目次へ戻る

外交の基本方針

【朝日新聞 大島記者】大臣に外交の基本方針についてお伺いします。大臣は2007年1月1日に「日本の進路」と題して、こういう文章を掲載していらっしゃいます。「今、政治の方向は誤っています。自民党政治は経済発展重視路線をひた走りしてきましたが、新たな道を歩み始める時が既に来ています。誤りは、そこで外交でも内政でも『アメリカ追随』の道を選んだことです」。大臣にお伺いしますが、自民党の外交と民主党の外交の違いとは何ですか。大臣が今おっしゃっている民主党外交とは何でしょうか。

【大臣】私(大臣)も半年間、外務省で仕事をさせていただきまして、私(大臣)どもも、そして外務省の皆さんも変わりつつあるのではないかという思いでおります。やはり自民党政権の50年間というのは高度成長を果たした、そのこと自身は一つの成果として評価をされるべきだと思っておりますけれども、いわばスタートラインのときの日米の立場、その関係をそのまま、言うなればずっと変わらずに持って行くということは、しかし実際には経済力を含めて国の力というのは相当その間日本は伸びてきた。
 したがって、同盟国である米国から見ても、そして日本にとっても50年前の変わった立場をしっかりと見つめ直して、新たなポジションに置き直して外交を展開すると、両国の関係をつくっていくことが大変重要ではないかと思っております。

【共同通信 出口記者】日米同盟に関連している話ですが、冒頭でも同盟深化を重視していきたいとおっしゃいましたが、その米側の日本担当部長のメア氏が昨今いろいろ発言をして問題になっています。明日、キャンベル次官補が大臣のところにもいらっしゃると思いますが、米側にどういうことを要請されるのでしょうか。また、抗議の意思などは伝えられるのでしょうか。

【大臣】報道されているメア日本部長の発言が、仮に事実であるとすれば、国務省の日本担当責任者の発言として極めて不適切、沖縄県民のみならず日本人の心情を著しく傷つけるものであって、容認できるものではない、極めて遺憾であると申し上げたいと思っております。
 そして、これについては、私(大臣)の前と言うのでしょうか、枝野長官が外務大臣臨時代理として既に日本政府のそのような本件に関する認識を伝えて、米国政府が沖縄の人々の、そして日本の心情を踏まえて対応することを要請していただいていると理解しております。私(大臣)も明日お会いをすれば、改めてこういった日本の心情はしっかりお伝えさせていただきたいと思っております。

【時事通信 西垣記者】、今回の日本部長の発言を受けて、沖縄では非常に反発が強まっております。これによって普天間飛行場の移設問題の解決が遠のいたのではないかという見方も出ておりますが、普天間飛行場移設問題についてどのように取り組んで行かれるお考えか、お聞かせ下さい。

【大臣】私どもとしては、沖縄の皆様に対して誠意を尽くしてお話しを申し上げるという立場に変わりはありません。この間の沖縄の皆様方のお気持ち、またそれを表したいろいろなご発言は、我々としても真摯に受け止めて、まさにそういったことをしっかり受け止めていくことが、誠意を尽くして沖縄の皆様に理解をしていただくということに繋がってくのではないかと思っております。私どもは実際にそのように誠意を尽くしていく立場でありますので、今の状況によって見通しを申し上げる立場ではないと思っております。

【フリーランス 岩上氏】メア部長のこの発言の元となった大学生相手の講義のところには、この沖縄に関する発言だけではなく、日本における米軍の駐留について「米国は米国の利益のために日本の土地を使用することができているが、改憲をしたらできなくなってしまう」とか、あるいは「高いホストネーションサポートを日本側が支払っている。これは米国にとって大変良い取引になっている」とか、「米国にとって、このホストネーションサポートというのは、日本側が非常に高い金を払ってくれる、とても好都合な取引である」ということを表現した箇所もあります。このあたりは、大臣はどのようにお考えになるか、ご見解をお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】メア日本部長のご発言が、今おっしゃったような内容であったかどうかということそのものを、私(大臣)は今ここではまだ確認をいたしておりませんので、それについて直接コメントを申し上げるということは差し控えたいと思います。その上で先ほども申し上げたように、沖縄の部分というものは、沖縄のみならず、日本人の心情を著しく傷つけるものであって、容認できるものではなくて、遺憾であるということは申し上げました。また、お話があった、例えば、ホストネーションサポートについては、これは日本の中でもしっかりと議論をし、そして、日米の間でも議論を行った結果として、このような形を今取っていると理解をしております。今後については、ご案内のとおり、協定を国会での審議をお謀りをしている。ですから、これは国会のご審議を待たなければいけないと思いますけれども、ここまでについては、私どもとしては、日本の中でも議論し、日米の間でも議論し、もちろん米国においても議論された結果として、双方の理解の上に成り立っていると考えております。

【フリーランス 上出氏】前原大臣のときに「自民党と民主党の外交の違いは何か」ということをお伺いしたときに、一言で明快に「経済外交である」ということをおっしゃっていました。今、他の記者の方から質問がありましたが、それ以外、あまり自民党との違いが分からない、特に鳩山元総理のあらゆる問題の失地回復に苦慮されてきた前原前外務大臣の日米関係に問題があったのではないかと思っております。どこが変針して、どこが日本の利益になっているのかがよく見えません。自民党と殆ど変らないという印象もあるのですが、その点について、更に踏み込んで、民主党のこれが日米外交の良いところであるというポイントをお示しいただければと思います。

【大臣】もちろん、外交というのは継続性があるものでありますし、ある意味では、こうすべきであるという様々な提案は、幅広く野党の皆さんからも、また、政治の外の世界からもいろいろな声を聞いてまいりたいと思っておりますが、今の段階では、私(大臣)自身は日本政府の外交の責任者として、それは、自民党時代の政権の時であることも含めて、政府として国と国の間でお約束をさせていただいたことは引き継いだ上で、出来ることを申し上げてきていると考えております。ただ、先ほども少し申し上げましたが、日米の間というのも、大きな意味でこの数ヶ月、少なくとも私(大臣)がいる半年、私(大臣)は大変良好な意思疎通が行われていると感じております。もちろん、外交であります。両方の国がそれぞれの、ある意味では、国益を背負って、両方が一致する場面もあれば、両方が、ある意味では利害が必ずしも一致しない場面もある訳でありますけれども、両方の良好なコミュニケーションと議論の中で、これをしっかりと調整をしていくことができているという意味で良い形が取れているのではないかと思っております。日米の関係というのは、そういう意味では、10年前と同じように日本の安全の大きな基盤となっているからこそ、日米同盟を基軸としてという点は、私ども民主党でも申し上げてきている訳であります。ただ、同じ日米の関係であっても、ずっと全ての課題について、両方がそれぞれの国の置かれている状況も社会も経済も変わっていく中で、常に同じ答えであっていいはずはない訳でありますから、それをしっかりと、そしてスピーディに合わせていくことが政治主導の民主党の外交だと考えております。

目次へ戻る

内政

【毎日新聞 西岡記者】政治とカネについてお伺いします。前任の前原大臣は外国人から献金を受けたことで辞任されました。大臣は今回、外務大臣に就任されるにあたって、ご自身の政治献金に同種の献金がないかどうか確かめられたのでしょうか。その結果も併せて教えてください。

【大臣】私(大臣)自身の政治資金については、これまでも法律にあった形で行うように努めてきたつもりでありますので、そのように考えているということを申し上げたいと思っております。今回、私(大臣)自身もこれまでそういう積み重ねをしてきておりますが、みなさんにもお答えしましたが、ご要請をいただいて、まだ丸一日経過をしていない状況ですので、そしてこの間も日中は国会などで私(大臣)も対応させていただいておりましたので、この丸一日の間に自分自身の収支報告書を見たのかと言われれば、それは見る時間はなかったというように申し上げたいと思います。

目次へ戻る

経済外交

【日本テレビ 野口記者】大臣の外交方針についてお伺いしますが、前原前大臣は辞任会見におきまして、跡を継ぐ新大臣に託したいこととして、日米同盟の深化と経済外交の推進を挙げておられました。経済外交に関しましては、前原大臣はTPPの強力な推進者でありましたが、未だに与党民主党内には強硬な反対意見もあります。大臣はこのTPPに関しては、どのようなスタンスで臨んでいくお立場でしょうか。

【大臣】私(大臣)自身は、前原前大臣はTPPについて、しっかりとその交渉に参加をすること、これを議論の俎上に乗せて、そして、十分に情報を収集した上で、交渉に参加をする必要がある場合は交渉に参加をするという結論を出すべきだというスタンスでやっておられたと思います。やはり、TPPもアジア太平洋地域における、大変大きな経済の連携の形になる可能性が大変高いわけですから、我々としても、しっかりとそのことは、いわば議論の俎上に乗せて、そして日本の国のためになるかどうかということは十分に吟味をしつつ、判断をするべきだと考えております。ただ、我が国はやはり、これまでの経緯を振り返ってみても、大きな意味では、国際的なあらゆる面で障壁の低い経済の状況を国際的に作ることによって、本来の日本の勤勉さなどに基づく技術であり、そして経済力というもので、最終的には日本に大きなメリットをもたらしてきたと思っています。そういう意味では、TPPも一つのそういう経済連携を推進するものであれば、前向きに取り組む必要があると思っています。
 せっかくご質問いただいた機会ですから、TPPについては、我々は交渉に参加しておりませんので、情報収集できる範囲の中ということになりますが、昨日も本日も国会で答弁をさせていただきましたけれども、それぞれ非常に幅広いテーマについてかなりいろいろな議論が行われていますので、それらについてしっかりと具体的に吟味をしていくことが大変重要だろうと思っています。若干いろいろとTPPそのものについて、我々も出来る限り説明をしていくことが大切だと思いますし、一部にTPPというものが非常によくわからないけれども何か大変なものだというように大きく見えているとすれば、我々が更に説明をすることによって、正確に見ていただいて判断をしていただける状況を早急に作っていきたいと考えています。

【朝日新聞 山口記者】今、言及があったTPPとは別に前原前外務大臣はインフラ輸出等のいろいろな柱を立てられて、先日5番目の柱を立てられたばかりでしたけれども、チーム前原の一員でありましたけれども、前原前大臣の経済外交の今までの方針というのは継承されていかれるのかということと、そこに敢えて松本色を加味するとすれば、どのようなところをより強調していかれたいのかということを。もう一点、前原前大臣が年末年始に北朝鮮との直接外交の努力をしたいということを発言されましたけれども、この件についても前原前大臣の路線を継承されるのか、なかなかチャレンジングだと思いますけれども、打開策としてどのような道筋を考えていらっしゃるか、併せてお聞かせ下さい。

【大臣】もちろん、責任者が前原大臣でありましたので、前原外交という名前を使うことに私(大臣)も全く賛意を表するところでありますけれども、私(大臣)自身としてはチーム前原外交だと思ってやってまいりましたので、私(大臣)自身もその一員として、今お話があったように5本の柱を立てることに関しても関与してまいりましたので、これは私(大臣)自身がやってきたこととして、そのままやっていきたいと考えております。5本目の柱を立てることそのものも私(大臣)自身も作業に加わってまいりましたので、今、まずは5本の柱をしっかりと形にしていくことを考えていきたいと思っております。いろいろな活動をしていく中で、これももう一つ柱にする必要があるなと、まさに4本目、5本目がそうですけれども、そういうことが出てくれば今の政務、そして、次官をはじめとする事務方からも「忌憚のない意見を寄せて欲しい」ということを私(大臣)は申し続けていますので、そういう形で必要なことはまた加味をしていきたいと思っておりますが、まずは今、経済外交については5本の柱をしっかり引き継いでいきたいと思っています。
 それから、日朝対話のお話がありました。年末以降の前原前大臣のご発言は皆さんが一番よくお聞きになっていると思います。私どもも、北朝鮮との対話を我が国として、これを拒むというものではないわけです。拉致、核、ミサイルといった諸問題の解決に向けて、前向きで誠意ある対応を見せるのであれば、私どもとしても同様に対応する用意があるということです。同時に日米韓の連携というものはしっかり崩さずにとっていきたいと考えているところです。

目次へ戻る

領土問題

【NHK 稲田記者】民主党の土肥議員が日韓議連の関係で竹島に行かれた際、日韓の歴史について歪曲があるというような韓国側が用意した書類に日本の議員として署名をされました。特に領土問題があるという場所で、しかも歴史問題という日韓間で非常に見識が異なっている中で、歪曲しているというものに署名をしたということについて、どのように受け止めていらっしゃるのか、お聞かせ下さい。また、今回のことが今後の外交の与える影響についてもお聞かせ下さい。

【大臣】竹島については、我が国の固有の領土であるという、我が国の立場は一貫をしておりますし、何ら変わるものではないと思っております。このようなことが報道されているということは承知をしております。土肥先生自身は、今、政府の立場にいらっしゃる方ではないのであります。与党の議員の一人ではあるわけですけれども、政府の立場が一貫して変わらないということで、日韓関係、そして、我が国の立場に影響を与えることはないし、また、影響を与えないように外交を展開していくと、このように考えております。

【NHK 稲田記者】土肥議員に対して説明を求めたりとか、そういった具体的な行動については何か検討していることはあるのでしょうか。

【大臣】報道されたような事実であるとすれば、それは政府の立場に反するということになります。そういう意味では政府与党の一員として、政府の立場に反するものであれば、それは与党の議員として与党のご判断があるものと考えます。

【ニコニコ動画 七尾氏】ロシアや中国等の日本領土を脅かす問題に対して、国民は非常に心配しています。このような領土に関わる外交に対しましては、改めてお伺いしますが、どういった姿勢で臨まれますでしょうか。

【大臣】やはり我が国固有の領土というのは、国の外交の責任者としては、しっかりと我が国固有の領土を守っていくことが大変重要な責務であると考えております。その意味で、残念ながら、法的根拠のない形で支配をされている我が国の領土については、しっかりと我が国の固有の領土であるということを主張していき、我が国の領土にふさわしい形を実現することを目指して努力をするのが私どもの責務であると考えております。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成23年3月6日(日曜日)21時40分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)外務大臣辞任報告について

【前原大臣】夜分にお集まりいただきましてありがとうございます。まず本題に入ります前に、NZの南島で起きました地震で、邦人の安否不明者というのが、初めて明らかになりました。現地時間でありますけれどもけれども、3月6日キングスエデュケーション留学中の一人でありました平内好子さんが、身元が確認をされまして、現地時間の午後9時過ぎ、山花外務大臣政務官及び三田村大使の立ち会いの下で、NZ警察から現地滞在中のご家族に説明がありました。被災者の方について改めてご冥福をお祈り申し上げたいと思います。事実関係から申し上げますと、日本時間の二時ぐらいに山花政務官からお電話がありまして、日本人の初めての身元確認が発表されそうだということで、NZの法律によりましてですね、本来であればすぐに報告をされるということでありましたが、我々の意向をお伝えをして、NZ政府にも御協力をいただいて、そしてご家族の皆さんに確認をさせていただく中で、今回の発表に至ったということでございます。またそういったことについては今、山花政務官が現地でしっかりと対応してもらっていますので、引き続き本省との連絡を取りながら、適切に対応させていただきたいと考えております。
 在日の外国人の方から政治献金を頂いていたなどの私(大臣)の政治資金を巡る問題におきまして、この一両日熟慮を重ねました結果、このたび外務大臣の職を辞することと致しました。先程総理公邸の菅総理を訪問致しまして、私(大臣)の決意を申し上げまして、総理にご了解をいただいたところでございます。この場をお借りをいたしまして、外務大臣を拝命してから6か月足らずで、職を辞することになりましたこと、またクリーンな政治を目指していたにもかかわらず、政治とお金の問題で不信を招いてしまったことに、まず国民の皆様にお詫びを申し上げますと共に、私(大臣)が辞職を決意するに至った思いを説明をさせていただきたいと思います。指摘を受けました在日外国人の方は私が家族と共に山科に転居をした中学2年生ころより、引っ越しを致しました団地の近所で、焼き肉店を経営されておられまして、それ以来長年に渡りまして公私ともに親しくお付き合いをさせていただいておりました。また私(大臣)が政治を志した時点から、今までかわらずにずっと熱心に支援をしていただいた方でございます。ところが私(大臣)はこの問題が発覚をするまで、この方から献金頂いたという基本的事実を承知しておりませんでした。もとより、こうした献金を頂いていたことをもって、外務大臣としての職務が影響を受けたということはまったくございませんし、私(大臣)の政治経歴において、献金をいただいたから便宜を図ったということもございません。しかし金額の多寡に係わらず、また事実を認識をしていなかったといえども、外務大臣の職にある政治家が外国人の方から献金をうけていたという事実は重く受け止めざるを得ません。外国政府や、国民の方から疑心暗鬼の目でみられるなどによりまして、日本の外交の信頼性を揺るがせるようなことになれば、私(大臣)はそれは本意ではございません。また今回(この件とは)別に政治資金収支報告書に誤記載があったなど、自らの政治資金の把握に不十分な点が相次いだことについて、責任を感じております。献金の処理は事務所に任せておりましたが、その内容に自ら十二分に目を通していなかった事は、政治家としての政治資金の管理が徹底できていなかったとものと言わざるを得ません。その管理責任は私(大臣)自身にあると考えております。今申し上げましたような観点から、この際、外務大臣の職を辞することで政治家としてのけじめをつけるべきだと考えました。再びアのような問題が生じないように、自分の政治家としての足下を見つめ直して、しっかりと再構築に力を注いでまいりたいと考えております。なおこの、今問題となっております、在日外国人の方からいただいていたものについて、現時点での調査結果は、次のとおりでございます。
 平成17年から20年、そして平成22年にも受領しておりました。その金額は各5万円でございます。なお平成16及び平成21年は受領しておりません。また平成15年以前につきましては、収支報告書の保存期間を過ぎておりますので不明でございます。またこの保存期間の政治資金収支報告書については、それ以外に外国の方からもらっていないかどうかということも調べているわけでございますが、明確に名前がそれと分かる方ならまだしも、なかなか全体像を把握するというのは相当な時間がかかるじゃないかと思っておりますが、それについては今後もしっかりと調べさせて頂きたいと、このように考えているところであります。 
 こうした中で、喫緊の課題であります平成23年度の予算の参議院審議が重要局面にさしかかっておりますし、私(大臣)の政治献金をめぐる問題によりまして国会の審議を停滞させるわけにはまいりません。また国際情勢は申し上げるまでもなく、めまぐるしく動いておりまして、日本をとりまく外交安全保障政策も一日の猶予もございません。今月14日からはフランスにおきまして、G8外相会合が予定をされており、また先程おはなしをしましたとおり、NZ地震で被災をされた日本人、行方不明者の方々の安否確認やリビア情勢など、中東情勢の対応など外務大臣としての課題は山積をしております。このような時期に外務大臣を辞任するすることによりまして各方面にご迷惑をおかけすることも十分認識しております。しかし逆に職にとどまる事で、内外の国政課題の推進が滞ることも避けなければならないと考えております。特に私(大臣)の目指して参りました経済外交、あるいは日米同盟の深化というものが道半ばで、私(大臣)からやることができなくなるということは、慚愧に堪えない面もございます。しかし熟慮の末に、一刻も早くけじめをつけるべきだという結論にいたりましたので、関係各位のご理解をお願いしたいと存じます。最後に改めまして、国民の皆様や同僚各位、あるいは支援者の方々、そしてこの問題となりました焼き肉屋の方にもですね、多大なご迷惑、ご心配を掛けましたことを改めてお詫びを申し上げたいと思います。

目次へ戻る

外務大臣辞任報告

【朝日新聞 山尾記者】辞意に対して総理からどのような言葉があったのでしょうか。慰留はされなかったのでしょうか。

【大臣】もったいなくも慰留は頂きました。しかし、先ほど申し上げたように、予算の審議、あるいは外交の空白をつくってはいけない、ということをお伝えをし、最終的には総理にもご了解を頂いたところであります。

【時事通信 松山記者】総理と長時間お話しをされて、今後の対応策などもお話しになったかと思いますが、後任は決まったのか、決まったとしたらどなたかなのか、明らかにできれば教えてください。

【大臣】後任は総理が決めることなので、そういった話は一切しておりません。また、長時間にわたってお話しを致しましたが、実は、冒頭はニュージーランドの地震で日本人の方が初めて身元確認ができたことへの対応について、かなりお話、ご相談をしておりました。

【日本テレビ 野口記者】総理とお話をされ、辞意を伝えたということですが、具体的にどのような言葉で大臣のお気持ちを総理に伝えたのか。また、後任がどなたに決まるかわからないが、外務大臣として、これだけは真剣に取り組んでほしいということがあれば、教えてください。

【大臣】先ほど、皆さん方にお話をさせて頂いたとおり、私(大臣)の政治資金の問題で国民の皆さん、そしてまた国会審議にご迷惑をかけて申し訳ないということを申し上げました。特に、外務大臣であり、政治資金規正法で認められていない外国人からの献金というものが、知らなかったとはいえ、あったということで、国民あるいは海外から疑念を持って見られたら、日本の国益が損なわれる、また、外交の空白はつくってはならないと思うということを申し上げたところであります。
後任の方については、私(大臣)は菅政権の外務大臣をさせて頂いて、菅政権としての大きな方針は、経済外交、そして日米同盟の深化であるので、この大きな2つについてはしっかりとやって頂きたいと思います。後は、総理が適切な方をお選びになるでしょうから、しっかりとがんばって頂きたいと思っています。

【東京新聞 竹内記者】前原大臣がお辞めになることで、菅政権は更に政権運営が厳しくなるだろうということが言われています。これに関する影響を大臣はどのようにお考えになってこの決断を出されたのでしょうか。
【大臣】私(大臣)の政治資金上のミスでこのようなことになってですね、菅政権に、また、ひいては国民の皆様方にご迷惑をかけていることを本当に申し訳なく思っております。こういう問題を起こして、また外交の空白というものが生じて残るよりも、やはり一刻も早くけじめをつけるということの方が、私(大臣)は、菅政権というのは菅政権のためにあるわけではなくて国民のためにあるわけですから、そのほうがプラスになるのではないかという判断を私(大臣)としてさせて頂いたということでございます。

【日経新聞 永井記者】辞意を固めるに当たって、いつ決断をされたのかということと、どのように相談し、その中で印象に残っている言葉を教えて頂ければと、それから事務的ミスとはいえ、大臣としてのイメージに対して傷がついた部分もあったと思うのですが、そういった意味では信頼回復にむけて今後の政治活動にどのように取り組まれるかをお願いします。

【大臣】先ほど申し上げた通り、菅総理のところにお話をするまで様々な方のご意見を伺ってですね、自分(大臣)としての判断をさせて頂いたということでございます。色んなすばらしいアドバイスを頂きました。しかし、全てがすばらしいアドバイスでございましたので、特にどれがということはございません。自分自身のことについては、これは「身から出た錆」でございますので、とにかくそういった事務的なミスがおきないような事務所体制をしっかりと固めるということは当然のことではないかと思っておりますし、そのような体制作りにしっかりと努めて参りたいと考えております。

【日本インターネット新聞 田中記者】この辞任の真相は、実は暴力団のフロント企業からの献金ではないかという指摘もあります。前原大臣がこのS氏なる人物と知り合ったのが6~7年前で、この人物が逮捕されたのが6年10ヶ月前。そうなると、そういう人物(暴力団関係者)と知りながら、蓮舫大臣、野田大臣に紹介したということでしょうか、所見をお伺いします。

【大臣】これは国会で答弁させて頂いているように、全く知りませんでした。「真相は」ということでは全くありません。その様々言われていることについては、私(大臣)はやましいことは全くありません。ただ、誤記載をしたということは、これは事実でございますので、関係者にお詫びを申し上げるとともに、この点も含めて事務所の体制をしっかりとしていかなくてはいけないと考えております。

【NHK 稲田記者】大臣はかねがね、日本の外交というのは、総理や外相があまりに早く代わり過ぎるということについて、非常に懐疑的な視線を投げかけていました。今回、ご自身で決断されたということですけれども、そことの兼ね合いをどのように判断されるのかというのが一点と、それから、昨日、大臣が北九州市で会見された際にこのような在日外国人の献金というものは非常に判断しづらいものがあると、またネット献金等が行われた場合には、それがどうやって判断するのか非常に難しく、議論が必要だということもおっしゃっていました。自ら職を辞されて身を引かれる訳でありますけれども、こうしたことについて、今後、どう考えていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】外交は、継続性というのが大事です。また、リーダーである、日本ですと総理、そして外務大臣が各国首脳、あるいは外相レベルと人間関係をつくって、その中で日本の国益を追求し、他国とのウィン・ウィンの関係をつくっていくということは極めて大事だと思います。そういう意味では自分自身のミスで、このようなことに至ったということは、誠に残念でありますし、これはある意味で国益を損ねることを自らしてしまったと思っております。いずれにいたしましても、総理や外務大臣というのは、ある程度長くやらなければいけません。私(大臣)も去年の9月に国連総会に行った時に、「せっかくミスター岡田と知り合いになったと思ったら、また代わったのか」ということを言われました。そして、他の外務大臣からは「自分が外務大臣になってから、あなたは6人目の日本の外務大臣だ」ということも言われました。そういう意味では政治の安定というものをしっかりとつくって、総理や外務大臣がころころ変わらないような政治の安定というのをつくっていかないといけないという思いは全く変わっておりません。
 あとのご質問でありますが、あまりそれでミスをした人間が生意気に言うべきではないと思っておりますが、ただ、それぞれ調べられたら、そういった献金があったということもあるかもしれません。そういう意味では今後、全体でそういった議論が進んでいくことが望ましいと考えています。

【琉球新報 滝本記者】沖縄の基地問題について、特に普天間の問題について、従来、日米合意履行の方針で「沖縄に引き続き理解を」ということをずっと言い続けておられましたけれども、この間、理解がなかなか進んでいないという現状を、辞められる中でどう思われるのか、あるいは、今後、引き続きどう取り組んでいくべきか、辞任がどのような影響を与えるか、この3点についてお伺いします。

【大臣】私(大臣)は、一昨年の政権交代以来、沖縄担当大臣をさせていただき、また、今度は外務大臣を務めさせていただいた訳でありますけれども、今回の辞任というものが大きな影響が出ないことを望んでおりますし、また、後任の方、あるいは防衛大臣、官房長官、当然、総理を含めて、しっかり今までの方針通りやっていただけるのではないかと思っております。辞める人間が生意気な言い方をするかもしれませんが、繰り返し申し上げますけれども、お詫びと感謝の気持ちを言葉だけではなくて、施策に表していくことが私(大臣)は大事だと思います。その意味では今年は極めて重要な年だと思います。ポスト沖振を決める年でもありますし、軍転法に代わるものをつくらなければいけないということであります。引き続き現政権が沖縄の皆さん、特に仲井真知事をはじめ主要な方々との連携をしっかり取りながら、我々は基地の問題とリンクさせずに沖縄の振興や自立的な経済発展というものを本気で考えるべきだと思っております。今度は与党の一員として、しっかりとサポートをさせていただきたいと考えております。

【読売新聞 向井記者】大臣就任以来、日本外交にとって難しい局面が続いたと思います。大臣が今振り返られて、在任期間中の外交上の成果と今後の日本外交における課題というものを総括して教えていただけますでしょうか。

【大臣】成果というものがあるのかないのかも含めて、去りゆく人間が話をすべきではないと思います。ただ、様々な問題が起きたほぼ半年でありました。特に尖閣の問題とか、そして北方領土の問題もそうでありますけれども、私(大臣)はひとつ、この仕事をやらせていただいていて、これは日米関係も同じですが、政権交代における、中国政府も米国政府もロシア政府もいままでは自民党政権と基本的にお付き合いをしていた訳です。それが、民主党政権というのはどういう外交をやるのか、安全保障政策をやるのか、あるいは人間関係も含めて、そこがまだ手探りの状況があったのではないかと私(大臣)は思っております。尖閣の問題についても、そういった面がなきにしもあらずかなという思いは持っております。また、普天間の問題も私はそういった面がなきにしもあらずだと思っております。幸い、中国、そして米国とは、政権交代が起きて、尖閣の問題、普天間の問題でギクシャクした時期がありましたけれども、私(大臣)は米国とは完全に信頼関係を再確立できたと思っておりますし、中国側も戦略的互恵関係という大局に立って、この二国間関係を進めていこうという雰囲気が完全に醸成されていると思っております。あとは、それをどう具体的な形に表していくのかということだと思います。また、ロシアも領土問題ではかなり強硬ではありましたけれども、日露関係というのは極めて重要なのだという認識は持っていると思います。つまりは、日本の技術力、近代化に対する支援、あるいは国際場裡における協力といったものは、向こうロシア側も必要だと考えておりますので、そういう意味では領土問題の原則は変えない、しかし他の問題での協力関係をしっかりと強めながら、領土問題を解決できるタイミング、時期をしっかりと待つということをやっていければ、私(大臣)は日露関係も自然に発展をしていくと思っております。政権交代でお互い手探りの状況から、そういった信頼関係の方が、あるいは日米関係は、完全に民主党政権でも大丈夫だという雰囲気になったと私(大臣)は思いますので、そういう意味では外交・安全保障というのは、基本的に政権交代が起きようが起きまいが、日本の国益ということを考えれば、それほど違いはないのだということを民主党政権で実績を残していくことが、私(大臣)は大事なことなのではないかと思っております。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成23年3月4日(金曜日)17時47分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)ニョン・セネガル共和国外務大臣の来日について

【前原大臣】私からは1点お話をいたします。セネガル共和国の外務大臣が3月8日(火曜日)から10日(木曜日)まで、外務省賓客として来日されます。
 ニョン外務大臣は、JICA及び民間企業関係者との意見交換等を、外相会談以外にも行われる予定です。
 セネガルとの二国間関係を一層強化していく観点から、技術協力協定の署名がおこなわれる運びとなったことは、喜ばしいことです。セネガルは本年5月初めに開催予定の第三回TICAD閣僚級フォローアップ会合において、共同議長国を務めるところでして、会合の成功に向けて、協力していくことについても確認をしていきたいと思います。

目次へ戻る

中国国防費

【毎日新聞 西岡記者】中国の軍事費についてお伺いします。今日の発表で、前年実績比12.7%増という発表があったのですが、我々の予想以上のスピードで独自の軍事技術というものを向上させて、攻撃力を高めているように思えるのですが、日本はこれに対してどう対応したらよいのか、大臣のご所見をお願いします。

【大臣】極めて高い伸び率の軍事費でありまして、従来から申し上げているように、いったい何のために使うのかということを、懸念を持たざるを得ません。また、透明性を上げてもらうということも大変重要なことですので、中国に対して、一体これだけの国防費増額を何のために使うのか、あるいは何が目的なのか、そして透明性を上げるための努力というものを不断に求めていかなくてはいけないと考えています。

【共同通信 斎藤記者】中国の李肇星前外相は今回の12,7%増について、一つは「国内総生産費で見れば2%以下である。したがって、非常に増えているという指摘はあたらない」という指摘をされています。もう一つは増額の目的ですが、「防御的な国防政策を実行しており、いかなる国に対しても脅威とならない」というようにも話しておられます。これは中国側の理屈だと思いますが、この点について前原大臣はいかがお考えでしょうか。

【大臣】GDPの2%といえばかなりの額です。日本のGDPを抜いて世界第2位のGDPの経済大国でありますから、2%というと相当大きな比率だと思います。防御的な兵器ということでありますが、兵器についても攻撃と防御について区別ができるかどうかという議論もあります。それは精査をしなくてはいけないことではないかと思います。
いずれにしても、先ほど申し上げたように具体的な説明をしっかり求めて、透明性を上げていくための努力というものを求めていかなくてはいけないと考えております。

【香港フェニックステレビ リー記者】中国はステルス戦闘機をはじめ、国産空母など建造する計画もあるようですが、今、中国は日本にとって脅威になるとお考えですか。

【大臣】空母の建設も検討しているようでありますし、いつ具体的な配備になるかということについては、まだまだ未確定な部分もありますけれども、ステルス戦闘機というものを開発しているということでございまして、いったいどのようなものを想定してそのような軍備の近代化を行っているかということは、大変疑問に感ずるところであります。大きな懸念を持っているということは申し上げたいと思います。

目次へ戻る

いわゆる「密約」問題に関する調査

【毎日新聞 内藤記者】先月公開されました外務文書の関係で一点お伺いいたします。沖縄返還に伴って、ボイス・オブ・アメリカの施設移転費1600万ドルの日本側の肩代わりを示す文書が明らかになってきていますが、前原大臣は、岡田大臣と同様に旧軍用地の原状回復補償費の400万ドルと合わせて、沖縄返還に伴って国民に説明できないような財政負担はなかったというご認識でしょうか。理由と合わせてご説明ください。

【大臣】我が政権は、出来る限り外交文書の公開を通じて、過去どのような経緯で様々な外交交渉を行ってきたのかということを明らかにするために、こういった公開を行っている訳であります。広義の密約というものも含めて公開をしている訳でございます。ただ一方で、公開したものについては、これは過去のものでございますので、その評価については、我々は現時点において言及はしないという立場をとらせていただきたいと考えております。

【毎日新聞 内藤記者】つまり、大臣としては、密約はなかったというご認識ですか。

【大臣】それも含めて、我々は判断をする立場には置かないということであります。

目次へ戻る

政治献金

【フリーランス 上杉氏】政治資金規正法では、外国人からは献金が禁止されています。一般論としてで結構ですが、仮に外国人から献金を受けた外務大臣がいたとしたら、どのような対応をすればよろしいでしょうか。

【大臣】一般論ではないですね。それについては大変申し訳なく思っております。全体をしっかりと調べた上で、どのように判断するかということも決めたいと思っております。

【フリーランス 上杉氏】先ほど参議院予算委員会で自民党の西田議員がその点を質問しましたが、前原大臣がかつて野党時代の代表のときに、やはり政治とカネの問題ということで厳しく追及していました。今回その点で、残念ながらそういう形で出てしまったのですが、政治家としての立場から、そして外務大臣からの立場として、今後、仮にそういう疑惑どおりのことがあった場合、どのような責任を取られるのでしょうか。

【大臣】繰り返しになりますけれども、まず調べてみるということに尽きます。

【NHK 稲田記者】今の段階で大臣が把握していらっしゃる事実関係をそれについてお聞かせいただきたいのと、先ほど総理、長官とお会いになって、この件についてもお話していらっしゃったと思いますが、総理からはどういった指示等があったのかということをお聞かせください。

【大臣】昨日、私(大臣)は事務所から知らせを受けまして、5万円があったということでありますが、先ほどの予算委員会では、4年間で20万ということでありましたので、更にそういうものがないのか、あるいは他の献金者に外国人の方がおられないのか、あるいは外国の企業はないのか、それ全体をしっかりと調べたいと考えております。菅総理にはおわびを申し上げました。

【時事通信 松山記者】先ほど、昨日、事務所から5万円の寄附があったという報告を受けたということですが、これは多分事前の質問通告か何かで調べられたかと思うのですが、そもそもこの外国人の方から献金を受けていたことは、ご自身は認識していなかったということなのでしょうか。

【大臣】先ほど予算委員会でもお答えしたように、古くからの支援者、知人でありますし、本当に私(大臣)が中学2年生のときからかわいがっていただいている方であります。ただ、そういう形で献金をいただいているということについては、認識はございませんでした。

【時事通信 松山記者】先ほど、最初の質問に対して、全体を調べた上でどのように判断するか決めたいとおっしゃっていましたけれども、その判断はご自身の進退も含めてあるのでしょうか。

【大臣】とにかく、しっかりと調べるということが大事だというように思っておりますので、まずはしっかりと調べるということでございます。

【フリーランス 上出氏】前原大臣ご自身のことを置きまして、民主党は政治献金を全廃するという大きな方針があるかと思います。ただ、一時個人献金に限ってやってもいいということになりまして、今後、この問題、政治献金、個人献金も含めた、小沢さんのことがいろいろ問題になっておりますが、前原大臣ご自身はこの辺をどうしていくべきだと思っておりますか。

【大臣】今、党の考え方は、企業団体献金は禁止をするということでありまして、個人献金にシフトしていくという考え方を持っているわけでありまして、私(大臣)は今まで、府会議員をいれますと1991年からですから、もう19年ほど議員活動をやらせていただいておりますけれども、では、企業献金をいただいたから何か物事を頼まれたということもありませんし、そういった便宜を図ったことは一切ございません。
 また、そういうスタンスでいくと、企業献金にしても個人献金にしても、何か見返りを求めて出すというような方は周りにはいなくなるものでありまして、そういう意味では今まで本当に支えていただいた皆さん方には、私(大臣)は恵まれているなと心から感謝をしている次第であります。
 ただ、こういう現在の法律の下でしっかりと管理をしなくてはいけない政治献金において、誤記入とか、あるいは外国人からの献金があったとかということは、すべて私(大臣)の責任だと思っております。これは事務所ではなくて私(大臣)の責任だと思っております。

【フリーランス 上出氏】ご自身の問題として、外国人でなぜだめで、企業ならばなぜいいのか。この辺はいま一つわからないのですが。

【大臣】今、そういった政治資金規正法に関わる記載ミス、あるいはもらってはいけない外国人からもらっていたということが明らかになったわけですから、そのことを私(大臣)がコメントすることは適当ではないと思います。

目次へ戻る

ODAの見直し

【朝日新聞 山口記者】午前中の国会で答弁されたODAの見直しの件についてお聞きしたいのですが、大臣は見直しを指示されましたとおっしゃいましたが、この指示されたのは、大臣就任直後、戦略的なODAの見直しということで指示されたと思うのですけれども、就任直後の指示のことをおっしゃっているのか、それとも最近、何らかの事情で、改めて中国を含むODAの見直しの指示をされたのか。本日、国会で答弁された指示の時期と、もし就任直後でないのだとすると、改めて指示をしたねらい。中国というのはもうかつて何千億円と援助していた時期に比べるとかなり今は小さくなっているのですけれども、小さくなったものを改めてどう見直す必要があるのか。そのことについてお聞かせください。

【大臣】まず、初めに見直しを指示したのは、大臣に就任した後、直後と言ってもいいかもしれません。それは私(大臣)が経済外交というものを外交の柱にしたいということを申し上げてきたからであります。
 やはりODAというのは経済外交を行っていく上で極めて強力なツールになるのは間違いがありません。そういう意味では、もちろん、人道的な援助、あるいはNPOなどによる草の根的な援助、こういうものも大事でありますけれども、日本の経済というものが、今、人口減少、少子高齢化、莫大な財政赤字という3つの制約要因の中で、経済成長というものが第一義的に求められているという中で、言ってみればそういう人道的なODAと同時に戦略的なODA。戦略的という大きな意味においては人道的なものも入るのですけれども、かなり狭義の経済外交に資する形の戦略的なという意味においてのODAの活用というものをしっかりやっていくべきではないかということを指示いたしまして、それは具体的に進みつつあると思っております。
 中国のことで本日聞かれたので申し上げましたけれども、考えるポイントというのは、ある程度ODAを卒業しそうなところについても、インフラ輸出などを含めて日本がコミットメントをすべきだということについてどのような方策があるのか。つまりは、ODAの供与条件を見直すのか、あるいはODAと違うインフラファンドのようなものを別個につくるのか。そういうことも含めて指示をしているところであります。
 また、ある程度の経済成長が行われている国、これは中国も含めてでございますけれども、それについて本当に必要なものについてどうあるべきなのかといったことを今、検討してもらっているところでございます。

目次へ戻る

経済外交

【ニコニコ動画 七尾氏】経済外交に関連してですけれども、ベトナムが計画する東南アジア最大規模の交通物流インフラ整備事業を、日本の官民が手掛ける方向となったとの報道がございます。これは、まだ最終決定ではないかもしれませんけれども、8兆3,000億ドルを超えるインフラ需要があると言われているアジアにおきまして、こうした日本の官民が連携したプロジェクトがどんどん実現していきますと、当然我が国にとっても非常に大きいと思うのですが、今後このような、例えばPPP方式で経済外交を推し進めていく形となっていく方向になるのでしょうか。

【大臣】ベトナムにおいて今、何を具体的に指しておっしゃったかということについては、少し私(大臣)も整理が必要かもしれませんが、全体像として申し上げたいと思いますけれども、ベトナムはインドネシアに並んでODAの最も供与の多いところであります。特に南北に細長い国でありますので、南北の高速道路、あるいは高速鉄道、こういったものを日本が中心に取り組ませていただくということに政府間で大筋合意しているわけでございますし、また、日本では初めてとなる海外での原子力発電所というものを2基つくるということにも、菅総理とズン首相との間の首脳会談で合意をしております。
 また同時に、これは私(大臣)が国交大臣のときでありますけれども、ラックフェンという港、これは今、ニコニコ動画さんがおっしゃったPPPによって取り組んでいくということでございます。また、他の飛行場、あるいは宇宙ステーションといったものについての協力も今、内々フィージビリティスタディなども行っているところであります。そういう意味では、ベトナムの発展を日本の発展につなげていく、まさにいい意味での経済外交のモデルであるウィン・ウィン関係をベトナムなどとつくっていくことが大事なことだと思いますし、そういった方向性でベトナムとの関係はしっかり強化していきたい。また、他の国ともこのツールが使えるような関係がある国においては、しっかりと取組みを進めていきたいと考えております。

目次へ戻る

ニュージーランド南島での地震

【テレビ朝日 花村記者】ニュージーランドの地震について伺いたいのですが、日本人の安否、身元の確認がまだ進んでいませんけれども、現地で既に行われている身元確認作業は、非常に厳格な基準だということは重々承知していますけれども、一方で、ほかの国籍の、タイやイスラエルの人は身元が判明しています。現地に聞きますと、ニュージーランド当局と一緒にそのような国の方々がやっているということです。その場に日本は入っていなくて、日本から行かれている鑑識の方や医師の方は、そこに入らずに別でやっているということで、もしそこに最初から合流していたら、もう少し早くいくのではないかという気持ちもするのですけれども、その辺をニュージーランドの方に要請したのか、一緒に確認作業ができることはご存じだったのか、その辺を教えてください。

【大臣】実は、ニュージーランドともそういった話をしておりまして、共同で行うことも含めて協議をしてまいりましたけれども、安否確認が未だできていない28名のご家族の皆様方にご協力をいただいて、いわゆる生体情報の提供、DNAに関わるようなものについての提供をするに当たって、5名の専門家の方々に、まさに一家族ずつ対面でアドバイスをいただいて、その専門家のアドバイスを受けたものをニュージーランド政府に提出するということで、我が国の安否確認者においては、この方々が大変多くの役割を果たしていただいたと思っておりますし、その件についてはニュージーランド政府と話した上で、そのような役回りを行っていただいているということでございます。

【テレビ朝日 花村記者】今後は、どのように。

【大臣】28名の安否確認ができていない方の生体情報については、もう既に提出をいたしましたので、一区切りがついたということで、5名の方は帰国をされることになりますけれども、更にニュージーランド政府からこの28名の方の安否確認に資するような材料の提供が求められた場合は、この方々にさらなるバックアップといいますか専門的な見地でのアドバイス、そして手助けを行っていただこうと考えております。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成23年3月1日(火曜日)16時22分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)ニュージーランド南島での地震について

【前原大臣】ニュージーランドの地震でございますが、クライストチャーチの対策本部におきまして地震発生直後から徳永久志外務大臣政務官が本部長として陣頭指揮を執っていただいておりましたけれども、本日夕刻に松本剛明副大臣が現地に向けて出発することとなりました。私(大臣)からは、松本副大臣に対して、現地において被災されたご家族の皆さま方への支援に全力を尽くすとともに、ニュージーランド政府、あるいは当地の警察・消防との橋渡し役となって、しっかりと連携をしてもらいたいということをお願いをしたところでございます。現在、66名の国際緊急援助隊を送って、24時間、まさに不眠不休で活動をしていただいているわけでございますけれども、昨日が21名、本日のフライトで11名の国際緊急援助隊の第2次派遣部隊というものを派遣し、引き続き切れ目なく、捜索・救助活動を行っていただくことになりますので、そのことをご報告させて頂きたいと思っております。

目次へ戻る

ニュージーランド南島での地震

【テレビ朝日 花村記者】現地にある政府専用機は、いつ頃戻る予定かということと、本日、富山市長が会見で「政府専用機は難しいにしても、チャーター便などで家族等を帰れるように官邸などにお願いしている」とおっしゃっていますけれども、そういった検討状況はいかがでしょうか。

【大臣】これは所管は防衛省でございますので、政府の中で調整をしているところです。私(大臣)が側聞したところによりますと、定期的に整備をしなくてはいけないということで、日本航空にその整備を任しており、その日程がもう決まっているということを伺っております。いずれにしても、政府の中で今調整をしているところでございます。

【テレビ朝日 花村記者】チャーター便ということは(どうでしょうか)。

【大臣】チャーター便というものについて、例えばエジプトで反政府勢力との武力衝突、デモが拡大をした時にチャーター便を使ってローマに対して計3便、国外脱出をお願いしたところですが、その際におきましては、実費を一人頭おいくらということで頂戴をいたしました。このチャーター便というものについては、もちろん我々としてはさまざまなバックアップはさせて頂きたいと思いますが、法律に基づいて、どのようにそれをご負担をいただくのかと、誰が払うのかということについては詰めをしていかないといけない問題ですので、ご要望は承りますけれども、そのときに政府がどう関与するのかということについては、法律、そして、そのたてつけになっている条文等をしっかり照らし合わせて考えていかなければいけないことだと思います。いずれにしても我々としては、被災をされた方々のご家族のバックアップやサポートというものは、出来る限りさせていただきたいと思っているところです。

【NHK 市原記者】そうしますと、今行っていらっしゃる緊急援助隊の66人の方は、政府専用機で帰国をするということでしょうか。そして、それに今、行ってらっしゃる被災された方、怪我をされた方やそのご家族、安否が分からない方のご家族が搭乗して帰ることは難しいということでしょうか。

【大臣】整理をしてお話させていただきます。
 一つは、お怪我をされている方については、4名おられました。しかし、一人、昨日、男性の奥田健人さんは緊急輸送の飛行機で帰国されまして、現在入院をされている方は女性3名です。私(大臣)が徳永政務官から現地の報告を受けている情報を皆さま方にお伝えをしますと、お一人はかなりの重傷であります。一ヶ月以上の入院が必要ということです。また、残りのお二人についても骨盤を骨折をされているとか、怪我をされているわけでございまして、その方々には、医師の診断は一週間以上の入院が必要で、また、帰国をする場合にも医療サポートというものが必要ではないかというように言われておりまして、怪我をされている方々のご容体と、政府専用機が帰るタイミングについては、若干折り合わないのではないかと思っておりますし、もし政府専用機にお乗せをするということになったとしても、医師の付き添いをどうするかという問題が新たに発生をいたしますので、そういったタイミングの問題とサポート体制の問題が生じてまいりますので、あくまでも我々は、どうして無事に今入院をされている3名の方の帰国支援をするかと、現地の医師と相談をしながら無理のない形でやらせていただきたいと考えています。
 それから、残りの安否不明の方のご家族でございますけれども、ご家族のご意向というのはいろいろあると思いますけれども、現時点において未だに身元が確認をされていないという状況でございます。また、現地のCTVビルについては、大体約100名から120名くらいの方がそこで被災をされたのではないかということでありますが、今発見されているのは70名から80名ではないかと言われておりまして、現在も必死の捜索・救助活動が続いているところです。そうしますと、ご家族の皆さま方からすると、未だに安否の確認ができていない状況の中で、どのようなタイミングでお帰りになるかということについては、先ほどお答えをしたとおり、お帰りになられたいタイミングというものを我々は勘案して、できる限りのバックアップをさせていただくということを考えていきたいと考えているわけであります。したがって、ご家族のご心情、怪我をされている方のご容体、こういったものを、我々はどうサポートするかということを主軸に物事を考えさせていただきたいと、このように考えております。

【NHK 市原記者】66人の方は政府専用機でお帰りになるのでしょうか。

【大臣】今、政府内で調整をしているところです。

目次へ戻る

内政

【朝日新聞 山口記者】今朝未明に衆院で予算が通過した形になりましたけれども、現状ではまだ参院の裏づけが取れていない段階で衆院を通過した形になっていますけれども、この形の国会運営、国会回しについて、大臣はどのように受け止めになるかということと、一時は我々から見ても物すごく一体化して、一丸となって取り組んでいるように見えた民主党が、かつて代表を務めた方を含む十数名の欠席者を出したという形で通過したわけですけれども、このことについて、政権の求心力が問われかねない状況になっているかと思いますけれども、この欠席者を大量に出した現状について、大臣はどのようにお受け止めになっていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】まず政権交代後、初めて、当初から手がけた予算というものでありまして、野党、あるいはマスコミの皆様方から、マニフェストが遵守されていないのではないかというご批判があるのは重々理解をしておりますし、できていない面、あるいは不十分な面もあるということも十二分に理解をしております。また、4年間でマニフェストを実行するということで、それについて引き続き努力をしていかなくてはいけない面はございますけれども、いずれにしても民意で政権交代という大きなご判断をいただいて、一番初めの自ら手がけた予算案にいかなる理由があろうとも、欠席をするということは、これは反党行為であると取られても仕方がないし、それ以上に政権交代に期待をしてくださった国民の皆さん方への、言ってみれば反逆行為ではないかと私(大臣)は思っているわけであります。
中身については、これは徹底的に議論をしてやっていく話でありますし、今の予算については、昨日欠席された方々もそのプロセスにおいては参加をされているし、その決定プロセスというのはオープンになっているわけです。つまりは、何か言いたいことがあれば、政策決定プロセスで物を言えばいいことであって、そこでどれだけのことをおっしゃったのか、おっしゃっていないのかわかりませんけれども、最終的に決まったものについて、そのような対応をされるということは、私(大臣)は決して許されるものではないと思っているところであります。
確かにねじれというのは、私(大臣)どもの野党で、安倍政権、あるいは福田政権、麻生政権と徹底して厳しく対応いたしました。したがって、ねじれの怖さというものは我々も身をもってわかっているわけでございます。したがって、そんな生易しいものではないと思っております。
しかし、やはり政治の一番大きなポイントというのは、予算をつくって成立をさせることでありますし、関連法案についてはこれからの面がございますけれども、いずれにしても年度内に予算案を成立させるということが与党に課せられた最大の役割であり、政治に一刻の空白も許されないということで、我々は与えられた仕事をしっかりやっていく中で、国民のご付託に応えていきたいと。また、国民の要望、批判、あるいは今後どうすべきかということについて、しっかりと耳を傾けて行動してまいりたいと考えております。

【NHK 稲田記者】先ほどの欠席した16人の方たちについてですけれども、大臣は、言ってみれば反逆行為ではないかという形で、非常に厳しく糾弾されました。党の方では、16人の代表格である渡辺さんに対して6か月の党員資格停止という形になりましたけれども、この処分について、甘いのではないかという声もありますが、そこについてどのようにお考えなのでしょうか。
 また、大臣としては、反党行為というものを働いた人たちが党にい続けるということについてもどのようにお考えでしょうか。

【大臣】これは党の役員会、常任幹事会でお決めになったことでございますので、私(大臣)はそのプロセスというものに従いたいと考えております。

【NHK 稲田記者】処分は適切であるとお考えですか。

【大臣】適切かどうかという判断は、私(大臣)はここではいたしません。これは役員会、そして常任幹事会で決められたことでありますので、私(大臣)はそれを党の決定として従いたいと考えております。

【読売新聞 向井記者】大臣は先ほど16人の方に対して、政権交代という民意を裏切るものだというご指摘をされましたが、一方で菅内閣は党内すらもまとめ切れていないとの指摘もありますし、国民からの内閣支持率も非常に低いという現状があります。政権交代を実現させた民意というのは、まだ民主党についてきていると現状でお考えでしょうか。

【大臣】これは皆さん方も一国民として、なぜ政権交代が起きたのか。皆さん方の投票行動を一々私(大臣)は確認いたしませんが、多くの国民は過去の自民党政権について評価をされている方々も、たくさんおられると思うのです。だからこそ自民党というのは長い間、政権与党で私(大臣)はいたと思うのです。
しかし、なぜ政権交代が起きたのかということを私(大臣)なりに考えれば、中長期の戦略なく、まさにその場しのぎで物事をやってきて、にっちもさっちもいかなくなって切羽詰まってきた状況になってきた。例えば2004年から人口が減ってきた。それは出生率が2.1ぐらいなければ人口が減るというのは、だれが考えても明白なことでありますので、そんなとうの昔から放置しておけば人口が減って、少子高齢化が進むなんてことはわかっていたのに、対応がとれてこなかった。例えば子ども手当。私(大臣)は子ども手当の現状が万全だとは思いませんけれども、少子化を止めるための総合対策のコアとして、こういうものを出しているわけであって、私(大臣)は必然性というか必要性は決して揺らいではいない。ただ、国民の皆さん方は財源は安定的にあるのか、子ども手当だけで果たしていいのか、しかも2万6千円というのは多過ぎないか。そうであれば現物支給を行って、託児所、あるいは保育所といったものの充実をトータルに図る中で、女性が結婚しても働きやすい環境をつくって、出生率を全体として上げていく方がいいのではないか。こういう思いを持たれていると思います。そういう思いには私(大臣)は柔軟に対応すべきだと。
しかし、先ほど申し上げたように、これだけの人口減少社会になると数十年前からわかっていたことに、自民党政府は何ら有効的な手を打ててこなかったから、この状況があるということは、私(大臣)は政権交代が起きた大きな要因だと思います。
そして、高齢化にしても、年金、医療、介護、それは政権交代で3号保険、年金の問題も今批判を受けておりますけれども、仕組みを変えるということは大変なことです。しかし、100年安心と言っていた自公政権の年金については、国民は安心だと思っていない。その中身を変えていく壮大な作業を政権交代で課されたわけです。これはもっとスピード感を持ってやれとか、もっと期待をしていたほどの成果が1年半で上がっていないとか、批判があるということは真摯に受け止めなければいけませんけれども、65歳以上の人口比率が23%の現状においても、このような年金、医療、介護の状況で、これからどんどん2050年には5人に2人が65歳以上になると言われている状況の中で、社会保障改革というのは待ったなしなのです。そういうものをやってこなかった自民党、だから政権交代で何とかしてくれと。それを私(大臣)は着手していると思います。しかし、それが言っていたほどはスピーディにやれていない。それの不満がたまってきているということだと思います。
 もう一つは、特例公債についてさまざまなばらまきだとか批判がなされていて、そして2年連続で税収を上回る公債を発行するのはいかがなものかという批判はございます。
 しかし、対GDPで180%を超えるまで放置をしてきた最大の責任は自民党政権の放漫財政にあるわけであって、それに対して何とか対応してくれということが政権交代のまた大きな要因であったと思います。リーマンショックがあって、確かに207兆円の組み換えということについて、これは閣議で何度も議論がありましたけれども、思った以上に進んでいないことも事実であります。これは我々は真摯に批判を受け止めて反省しなくてはいけないし、この207兆円の組み換えということをこれからもしっかりとやり続けなければいけないと思いますけれども、まずはデフレ脱却をし、財政再建するということの自民党政治がやらなかった社会的使命というものを我々が果たせという必然性というものは何ら変わっていないと思います。
 したがって、スピードが遅い、えらそうに言っていたほどできていない、その批判は我々は真摯に受け止めなくてはいけないけれども、自民党政治の行き詰まりの中で問題は放置をされてきた莫大な財政赤字、遅れた少子化対策、今の状況での社会保障の極めて足元の不安定さ、これを克服することが民主党のみならず今の政治家に課せられた大きな使命だと思いますので、そういう意味ではここで放り出すということは選択肢としてありません。つまり、我々は放り出すのではなくて、そういう状況をどうすれば変えられるかという政治的な意思とビジョンと覚悟を持つことが大事だと思っておりますので、その思いで我々が選んだ菅さんをしっかり支えて、その問題意識の下で与えられた仕事をやっていくと、それに尽きると思っております。

【時事通信 西垣記者】予算案は本日未明に通過したわけですけれども、関連法案、特例公債法案などはまだ主に残った状態にあると思います。造反者が出たことからも状況が更に厳しくなったのではないかと思うのですけれども、全く成立の見通しが立っていない現状をどう打開していくのがいいとお考えになっていますでしょうか。

【大臣】私(大臣)は、1つは予算案を成立させる、そして、年度内に予算関連法案を成立させるための最大限の努力をすると、あらゆる努力をする、それに現時点では尽きるのではないかと思っております。
 簡単に菅さんが辞めて、そして、新たな方になったら今の現状のねじれが回復するのか、解消するのかと言えば解消しないわけです。私(大臣)は、やはり今の予算案というもの、万全ではないけれども、本日もいわゆる労働力調査発表というのがあって、有効求人倍率というのは回復していますし、失業率は4.9%のままでありますけれども、株価もこの中東の情勢にかかわらず、何とかまた持ち直しをしてきているということの中で、この日本の回復基調を確実なものにしていって、先ほど申し上げたように、まず、デフレ脱却なのです。デフレ脱却をしないと、財政再建ということをやったら、また腰折れになります。これは、過去何度も経験しているわけですから、そういう意味では、デフレ脱却まで何とかもっていって、そこから先、制度改革も含めて歳出・歳入一体改革をしっかりやっていくというところの道筋を早く付けておくということが大事だと思います。私(大臣)は、首が代わって、今の難しい状況が変わるとは思っておりません。もし、代えたいのなら、去年の参議院の選挙までもう一度逆戻しして、何とか勝てるように、例えば、余り言うとあれだな、とにかく人を代えて何とかなるものではないということで、予算関連法案は、とにかく年度内に成立するように努力をする、これに尽きると思います。

【朝日新聞 山尾記者】そうは言っても野党の協力が得られなければ、予算関連法案が通るのは難しい状況にあると思います。一方で、野党は解散に向けて攻勢を強めているわけですけれども、政権として、どのように野党に対応すべきだとお考えでしょうか。連携なども場合によっては考えるべきなのでしょうか。

【大臣】予算案の中身については、これはベストなものを出しているわけです。ですから、このままでお願いをしたいというのが、本来あるべき姿だとは思いますけれども、衆議院と参議院の多数党が異なると、いわゆるねじれが生じている状況の中で、どうすれば野党の協力を得られるかということは、私(大臣)は個別のことは申し上げませんが、真摯にやはり考えなければいけないことだと思います。
 この1か月間、3月末まで、参議院の予算審議がありますけれども、それに統一地方選挙もありますので、なかなか野党の皆さん方も急に衆議院で反対をしたのに協力しましょうということにはならないと、私(大臣)は思いますけれども、しかし、どうすれば我々としても、どの野党がということは特定しては申し上げませんけれども、協力をしていただける状況がつくれるのかといったことも考えながら、最終的には柔軟に対応し、そして、予算関連法案への賛成というものも活路を見出していくという柔軟さも、私(大臣)は持ち合わせることが大事なのではないかと、そう思っております。

目次へ戻る

このページのトップへ戻る
前月へ戻る |  次月へ進む |  目次へ戻る