記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成23年4月)


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外務大臣会見記録(平成23年4月26日(火曜日)17時17分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)ミレニアム開発目標(MDGs)フォローアップ会合の開催について

【松本外務大臣】6月2日(木曜日)から3日(金曜日)にかけて、東京において、ミレニアム開発目標(MDGs)フォローアップ会合を開催します。
 これは、昨年9月にニューヨークで行われたMDGs国連首脳会合の際に菅総理が開催を表明したものです。開発分野における2015年までに国際社会が達成すべき8つの目標であるMDGsの達成に向け、幅広い関係者との連携を強化するため、閣僚級で開催いたします。
 今般の東日本大震災に対して世界各国から我が国に対して寄せられた支援や激励の背景には、これまでの国際協力の積み重ねによって培われた我が国に対する信頼があると考えております。そのような信頼関係を一層強化していくため、ODAを始めとする国際貢献に引き続き着実に取り組むと同時に、このような国際会議の開催を通じて、国際社会の議論に積極的に貢献して参りたいと思っております。

(2)ミロショスキー・マケドニア旧ユーゴスラビア共和国外務大臣の来日について

【大臣】本日26日(火曜日)から28日(金曜日)までの日程で、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国のミロショスキー外務大臣が来日されています。明日、私(大臣)と会談をする予定となっております。
 今回の来日は、今回の震災の発生を受け、日本国民へ支援の気持ちを伝えるために訪日したいとの同外務大臣の意向を受けて実現するものです。私(大臣)からは、同国からのあたたかいお見舞いと義援金に対して御礼を申し上げたいと思っております。

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米軍再編問題

【琉球新報 松堂記者】本日、官房長官(、北澤防衛大臣)と外務大臣の三者で沖縄の問題についてお話ししたとお聞きしたのですが、松本大臣からどのようなことをおっしゃったのか。あと一点、北澤大臣が沖縄を訪問して、政府の考え方を伝えるということで話していますが、松本大臣は沖縄を訪問して、何か示したり、軽減策とか伝えたりすることはありますか。

【大臣】お伝えすべきことは、沖縄を訪問をした際に、北澤大臣からお伝えになられると思っております。本日は、震災以降、なかなか関係の三大臣でそういったことについて認識を共有する場が少なかったので、意見交換をすると同時に、引き続きしっかり取り組まなければいけないという意識を共有する場であったと理解をしております。その意味で、さまざまな課題などについて確認をしたとご理解をいただけたらと思っております。私(大臣)自身も機会を見つけて、就任以降すぐに地震が発生したこともあって、沖縄を訪問する機会が得られておりませんけれども、是非機会が得られたら訪問したいと思っております。

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内政

【NHK 稲田記者】国内に関して、山岡元代表や鳩山前総理らが、「総調和の会」なるものを開きまして、公明党との連携も含めて、政局を新しく前に進めて行こうということになりました。鳩山前総理ご自身も、ある意味、政権に批判的、踏みこんで解釈すれば、菅総理退陣をも視野に入れた発言もされております。大震災が起きて、国内の政治が一体となるべきだという声が国民間で広まっている中で、与党内でこれだけの数で、しかも前総理という立場の方までも、そのような発言をした動きがあることを、大臣は閣僚の一員としてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】今、稲田さんが言われたことに尽きると思います。国民の皆さんは、いわば、挙国一致政治の一致した体制での、この震災での復旧・復興、そして日本自身の将来に向けた力強い歩みを期待しているというように思いますので、まずは、それぞれの政党があるのであれば、挙党一致であり、更に政治全体が一つになってしっかりと震災に対応することが望まれるというように思います。その意味では、私(大臣)も含めて、全ての国会議員がその方向に行くにはどうしたらいいかという立場から、真剣に議論されることが望まれると思います。

【NHK 稲田記者】本日そのような発言をされた方たちは、民主党として挙党一致をするためには、菅総理大臣ではない人をリーダーにということを視野に言動をしていらっしゃいます。大臣としては、菅総理を民主党のリーダー、代表として、そしてまた総理大臣として挙党一致を歩み、また、公明党ではなくて、現在の国民新党と連携という枠組みで進めるべきだというようにお考えでしょうか。

【大臣】すべての方は、国民の声に応えようという気持ちはおありだと思いますので、それぞれがどういう意図、ないしはどういう形で行くのが望ましいと思っているかについては、さまざまな議論があるということが、今、お話をいただいたことではないかなというように思っております。私(大臣)自身は、率直に申し上げれば、この外務大臣という職責を引き受けるに足るかどうかということを悩みつつも、今はお引き受けを、私(大臣)ができることをしようと決意をして、外務大臣をお引き受けさせていただいきましたので、私(大臣)は今、外務大臣の職責を全うできるように、今の立場でベストを尽くしたいと思っています。

【NHK 稲田記者】それは任命権者たる菅総理を中心にという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】外務大臣の職責を全うするのに必要な立場でしっかりとやっていくということになろうかと思います。

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原発政策

【共同通信 斎藤記者】 原発政策の関係でお伺いしたいと思うのですが、菅総理はサルコジ仏大統領訪日の際に 、次回のフランスでのサミットの冒頭でしっかりと日本の原発対応、そして、日本としてどうするかをしっかりと説明して欲しいという求めに対して、それを受けたと認識しております。残すところそんなに時間はございません。ただ一方で、日本国内を見る限り原子力政策をどちらに進めて行くのか、あるいは原発輸出をどうするのかという基本的な部分でまだ方向性が見えていないというようにも見えるのですが、この限られた時間の中で、どのようなスケジュール感を持って政府、与党も含めてでしょうか、政権としてのコンセンサスを得ていくつもりなのか、そして、また、大臣ご自身はどのように主張されていくのか、見通しを教えてください。

【大臣】サルコジ大統領と菅総理のご議論、そして、会見でのご発言というのは、やはり原子力の安全の分野でしっかりと向上・強化に向けた活動をこれからしていく、その一つの大きな節目というか、ある意味では実質的には今年の議論からすればスタートかもしれませんけれども、これがG8だというようなお考えになっておられるのではないかと思っております。もちろん、原子力政策については今後どの程度のあり方でいくかというのは、現段階で確定的なことを申し上げる段階ではないということは、これまでも申し上げていることでありますけれども、いずれにせよ、私(大臣)自身も申し上げてきたように、今、人類が持っているエネルギーの中で原子力というエネルギーは大変重要で、なおかつ未来に向けても大きなウエイトを占めるエネルギーではないかというように考えておりますが、その意味では今後どのくらいそのウエイトをどういうようにしていくかということをおっしゃったような議論だと思いますが、いずれにせよゼロか百かという議論にはならないだろうと思いますので、何よりも原子力安全についてまずしっかり、その分野について議論することが重要だという認識を共有されているのではないかと思っております。これについては、かなり技術的な側面もありますので、政治的なリーダーシップと技術的な議論との組み合わせでできるだけ早くに一つの、やはり世界の方々にある種の安心が届けられるような議論になっていくことが望まれると思いますので、その議論の一つの大きなポイントとなるのがG8だということでお話を申し上げているのだろうと思います。その意味では我々としても是非現在まだ引き続き対応に当たっているところではありますけれども、我々のこれまでの経験であるとか、これまでとってきた措置などについてお話をすることそのものが原子力安全に大きく資するのではないかというように私(大臣)自身は理解をしております。

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原発関連情報の公開・公表

【フリーランス 上出氏】原発関連ですが、今やっていると思いますが、共同記者会見という形で、昨日から東京電力で細野さんが仕切ってやっているのですが、大変長い時間で4時間。その中で昨日の冒頭、細野さんが国民に包み隠さず、すべて情報は公開しますと。原子力の透明性ということを言っておられます。
 それに関連してですが、米国がいろいろな形でサポートをしています。偵察機を飛ばしたり。ただ、この中には恐らく包み隠さずとは言いながらも、日米安保条約の関係とか軍事機密と言われているようなものの関係で、出せない情報もあるのではないかというように一応一般論では想像しているのですが、その辺は今までそういうことがあるなしは言えないかもしれませんが、言えないことも含めて、そういう問題も含めて包み隠さず大事な問題、特に外国の人たちが関心を持っている問題、国民が関心を持っている問題については、そういうことも開示できるのかどうか。その辺について、大臣のご見解をお聞かせください。
 現在そういう問題が発生しているかどうかも含めてです。軍事機密やこれまでの過程の中で言えないような問題が、国民に発表できないようなことがあるのかどうか。

【大臣】先ほどの斎藤さんのお話の続きで申し上げれば、もう一つ申し上げようと思って申し上げ損なったのは、今回の原子力発電所の事故で得られた教訓の一つというのは、間違いなく、やはり特に原子力でこういった事故が起きた場合には、必要なことは国際的な協力というのは非常に重要だということだと思います。ですから、そういう意味では、そのことの在り方自身が一つの議論の対象になるのではないかと思います。
 今お話がありましたが、国際的な協力を得ながら事故対応を進めるに当たって、あえて一般論でしか今は申し上げようがないと思いますけれども、それぞれの国の事情で、何をどこまで開示をできるのかというのは当然ルールがあります。今お話がありましたように、何らかの軍事的な機材などを使った場合には、それぞれのルールがあるということ。それは協力をいただいた場合には、やはりそれぞれの国のルールの範囲の中で、従っていかざるを得ないということは事実だろうと思います。
 ただ、包み隠さずという意味であえて申し上げれば、個別のデータの収集の方法であるとか、データそのものの内容であるとかいうものが提供いただいた国のルールによって開示できない場合があったとしても、データによって得られた、もしくは分析をすることによって得られた結果ないし内容というものは、恐らく共有できる範囲になると思いますので、その意味では、結果としては最終的には包み隠さずお話しをするということが細野補佐官の申し上げた趣旨でもあろうと思いますし、またそういうことでなければ、皆さんのご理解も得られないと思っておりますので、個別に取得したデータの取得方法であるとか、データそのものの数値とかいうものが、必ずしも全部、特に海外からの協力を得た場合にすべて得られるかどうかというのは、外務省の立場から申し上げれば、その国のルールに従わざるを得ないところがあることは事実だと思います。繰り返しになりますけれども、その得られたものを集約して、日本政府もしくは日本の対応として、それをどう受け止めて、どうするかということに関しては、しっかりお話をさせていただきたいと思っていますし、そういうことをしてくれると思っています。

【フリーランス 上出氏】それは一般でいいのですね。現実にあったということなのでしょうか。

【大臣】禅問答のようなことになりますけれども、お話しできるものはすべてお話しをしていますし、お話しができないものはお話しをしていないとしか申し上げようがありません。

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大型連休中の外交活動

【毎日新聞 西岡記者】大臣のゴールデンウイークの外遊に関してですが、最終決定がなかなか発表されない状況が続いていますが、その背景でどのような議論がなされているのか。最終決定のタイムリミットはいつなのかということを一度整理して、ご説明いただけないでしょうか。

【大臣】29日から私(大臣)自身は日米協力の感謝と同盟の今後ということについて訪米をして、国務長官を始めとする関係者と意見交換の機会を持ちたいと思っていますし、かねてから私どもも主催者の1人、共催として予定をされている核軍縮・不拡散に関する閣僚会合というのも30日に予定されていますし、1日以降はアフリカで我が国主催のTICADのフォローアップ会合が行われていることはご案内のとおりでありますし、また、我が国の今後の経済発展にも多く寄与するEUとの懇談の機会というのも、その直後に予定をされておりますので、いずれも、まさに今置かれた我が国にとって必要なものだと強く認識をしておりまして、私どもとしては、議会の関係者の方々にその認識をご理解いただくようにお願いしているというのが、引き続き今の段階であります。 これについて、議会の中でいろいろご議論をいただいているということは、報道等を通じて我々も知るわけでありますけれども、是非ご理解をいただいた上で、確かに国会の審議のさなかということになれば、例の多いことではないことは重々承知しておりますけれども、ご理解をいただけるようにということを期待するということであります。
 リミットというのは、いろいろなことを考えれば早く決まるに越したことはないわけですけれども、いつがリミットということは申し上げられませんが、相手を訪ねていく話であり、また会議の準備をする話であれば、できるだけ早く決まってほしいというように今は申し上げるしかないと思います。

【共同通信 斎藤記者】今の外務日程の中の米国訪問についてお伺いします。
 依然として日米間では、2+2をどういうように、いつやるのか、そして、どのような成果を出していくのかということが引き続き焦点だと思いますが、今回、予定どおり訪米ができた場合、この2+2について触れていくお考えがあるのかどうか。そして、現状での大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】米国へ行くことができて、クリントン国務長官と会談をすることができれば当然、やはり2+2で議題になるべき安全保障のテーマは共通戦略目標であり、また日米の協力、同盟の深化の在り方でありということは議論の対象になってくるものだと考えております。そういうことからすれば、更に言えば、その後の2+2をどうするのか。どのように行って、いつ行っていくのかということもやはり議論になってくると思います。
 前もここでお話をさせていただきましたけれども、私どもも今、やはり国会の開会中だと、基本的に開会が予定されている平日は外へ出にくい。また、米国のクリントン、ゲイツ両長官も、流動的な、激動する国際情勢の中で極めて日程がタイトであるという意味では、物理的に4人の日程調整そのものが、私どもも含めて、事務方も大変苦労するところではないのかなというように思っていますので、具体的な日にちが、もし行けるとした場合には今から3日後ということになりますけれども、それまでの間に何らかの形で出るのかどうかというのは、今の段階で確定的なことは申し上げられませんが、やはり日米の関係を考えれば、できるだけ早く開催されることを、できるだけ早いうちにきちっと発表できるようにしたいというようには思っております。

【共同通信 斎藤記者】日程についてはまさにおっしゃるとおりだと思うのですが、一方、その内容についてもこれはかなり重い内容を伴いますので、当然これは日本政府として認識を1つにして、そしてそれを持っていくということになるかと思います。
 仮に今回の訪米でクリントン長官と話す場合、ある程度こちらの認識も固めていかなければいけないということもあると思うのですけれども、総理、官房長官、防衛大臣、この辺の認識のすり合わせについては現時点でどうなのか、そして今後どのように進めるのか教えてください。

【大臣】現段階での認識というもの、そのものについては、いろいろな形で議論していますけれども、本日も先ほど、ご質問もありましたけれども、枝野長官、北澤大臣ともお話をさせていただきましたし、政府内においては認識の共有というのは行っていると思っております。ずっと日米同盟の深化も共通戦略目標の議論も、更には在日米軍に関連する課題についても、いずれも進行中のものでありますから、現在の進行状況の認識を共有すると同時に、今後の課題というのも政府内で共有されているものを改めて米国ともしっかり共有をして課題を1つずつクリアーできるように前へ進めていくということが我々の使命ではないかと思っております。

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ギラード豪州首相の訪日

【世界日報 山本記者】先日、大臣にギラード・オーストラリア首相の訪問の件で質問させていただきまして、事実婚のパートナーを伴って天皇皇后両陛下にお会いになったことについて、そのようにやって来られたので素直に受け入れられたとおっしゃったわけです。欧州の方にはアイスランドの首相など、昨年、同性結婚ということをなさっており、訪日される場合は、今後、この同性のパートナーを連れてこられて同様に天皇皇后両陛下にお会いになりたいという意向を表明される可能性もあると思うのです。そうした場合に、同じようにそのまま受け入れるというようにされるのでしょうか。日本の皇室の対外的イメージという問題もあると思うのですが、大臣のご見解をお願いしたいと思います。

【大臣】今の段階でどなたが来られて、それについて受け入れる、受け入れないということを私(大臣)から申し上げることはできないと思いますので、今、いくつかお話しなられた分については、言わば仮定のお話をお答えするのは難しいと思いますけれども、私(大臣)自身は、パートナーの在り方ということについては、それぞれの国ないしはそれぞれの考え方というものがあって、それがいろいろなお考え方があるのだろうと思いますけれども、社会的に認められたパートナーの在り方というのは、一般的に申し上げれば、それはそのまま認められてしかるべきではないかというように考えています。

【世界日報 山本記者】ご見解ありがとうございました。お聞きしたいのは、皇室外交といいますか、皇室がお会いになるというのは国事行為だと思うので、外務省の判断がそのまま反映されると思うのですが、そういった兼ね合いで大臣のお考えと皇室の対外的なイメージの危機管理と申しましょうか、そういった面のお考えについて、もうちょっとお聞かせ願えませんでしょうか。

【大臣】どういう方が来られて、どなたとお会いになるかということについては、私ども外務省も考えをきちんと申し上げなければいけないというときは、そのとおりだろうと思いますけれども、何よりもお会いをいただくのは首脳の方であって、その首脳の方がどういう日程で来られて、どういう中でどういうことが可能になるのかということに関しては、私どももサポートをさせていただくということになると思います。
その上で今、そのパートナー云々ということでしたけれども、これについては私どもの方でも当該の方がパートナーとして、もしくは伴って来られた場合に、その方がパートナーである、また、その国においてパートナーとして認められているということが、1つ重い事実として私どもとしても受け止めたいと思います。

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外務大臣会見記録(平成23年4月22日(金曜日)16時32分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)第一次補正予算の閣議決定について

【松本外務大臣】本日の閣議で、政府として、東日本大震災の当面の復旧のための第一次補正予算の概算を決定いたしました。この財源を検討する中で、政府全体のODA関連予算について見直すということになりまして、501億円の削減となりました。外務省所管予算はその内の276億円であります。なお、外務省所管以外は、財務省所管のJICAの有償資金協力部門の出資225億円ということになります。震災後の我が国の対応に国際社会が注目しているときだからこそ、ODAは削減すべきではないという声も多くいただきました。あくまでも、今年度限りの削減という党の強い要請を受けて、決定をいたしたものと考えております。今回、この予算の削減にあたっては、私どもとしては、現場のプロジェクトに直接の影響が及ぶことを極力避けることを原則にいたしまして、二国間援助は削減をしないこと、これを基本といたしまして、一部国際機関向けの拠出の一時的な削減等を行うことといたしました。これは、二国間援助と国際機関経由の支援の間にプライオリティがあるということではありません。国際機関経由の支援の場合は、我が国からの拠出金が一旦各機関に支払われた後で具体的な事業に充てられるということになりますので、我が国の拠出と現場でのプロジェクトの間に、いわばワンクッション挟まっているということに着目をしたもので、これによってやりくりをさせていただくということになります。もちろん、各機関の事業の遂行に直ちに影響が出ないようにというように配慮はいたしているとご理解いただきたいと思います。我が国としては、これまでと同様に、これからも国際社会の平和と安定のために積極的な役割を果たしていく、すでに表明した国際的コミットメントは誠実に実現をしていく、この決意に何ら変わりはありません。このため、震災復興の進捗状況を見極めながら、必要な予算は今後手当していくように努力していきたいと思っております。国際社会として対応すべき課題が山積みとなっており、その解決のために引き続き、我が国に対して大きな役割が求められていると理解をいたしております。今回の削減は大変苦しい決断でありましたけれども、我が国の現状にかんがみて、やむをえぬものとして関係者の理解を求めていくように努力をしたいと、このように思っております。

(2)復興経済外交について

【大臣】次に、しばらく幹部との、いわばブレーンストーミングにもあたる省議が地震発生以降、開催することが、時間的なこともありまして、出来ずにおりましたけれども、本日、省議、そして経済外交推進本部を兼ねて開催をいたしました。復興に向けて経済外交をどのように進めていくかということであります。これまで、本日の国会でも決議が行われておりまして、国際社会とともに歩むというスタンスが示された訳ですし、総理以下、政府においても今後の復興の方向として、やはり国際社会に開かれた、そして共に歩む我が国という大きな全体的な考え方の下で進められていくものと思っておりますが、外務省においても、是非、このように進めていきたいと思っております。外務省としては、やはり諸外国の活力を取り込む、未来志向の開かれた復興を目指すと。そして復興は、これを進めるにあたっては、被災地域の声を経済の発展に資する形で外国の資源や知見を活用する、こういうことでありたいと思っておりまして、経済外交、これまでも五本柱ということで進めておりましたけれども、これを開かれた復興に資するような形に、引き続き進めるもの、さらに新しい要素を加味するもの等を加えて進めていきたいと思っております。ご案内のとおり、五本柱の一つは、自由な貿易体制・経済連携ということでありましたが、ますますこれから、人もモノもお金も外国から受け入れ、また外国に向かわせるという形で、外国の力を活用し、また日本の力を外国に届けることで日本の力を伸ばしていきたいと、このように考えております。また、資源やエネルギー、食糧の安全保障ということも、経済外交の柱であった訳ですが、これについても、やはり、特にエネルギーの確保等は喫緊の課題としても浮上してきている訳でありますけれども、私どもの外交の面からも大きな役割を果たさなければいけないとこのように思っております。インフラパッケージの輸出という意味では、何を輸出するか、私(大臣)自身は、水、そしてインフラ、また、いくつかありました原子力等も含む発電所を含めて、日本の高い技術というのは、引き続き国際的に有用なものもたくさんあると考えていますが、原子力の安全については、事故の検証、そして安全性の強化・向上の取組への貢献ということも、ある意味では、広い意味では、この分野に入るのではないかと思いますが、ありますし、また今回でも、地震発生以降、鉄道面では、新幹線などは高速で走っているにもかかわらず、ある意味では技術の結果、大変効果を発揮して無事にすべて安全な形で止まることができた訳でありますから、こういった面でも、日本の力を伸ばしていきたいと思っております。観光も一つのテーマであります。これまでは、伸ばしていくということでありましたけれど、今ご案内のとおり、残念ながら、観光客も大幅に激減しているような状況でありますから、もう一度、関係の省庁とも連携して、しっかり取り組んでいかなければいけないと思っております。私(大臣)の地元の姫路も、実は今年の春からお城の改修ということで観光客が激減しておりますけれども、観光客というものが如何に経済効果があるかということは、実は実感をさせられてきたところでありますので、改めてこの取り組みの意義を確認しながら進めていきたいと思っております。また、五本目の柱として、ジャパンブランドの発信ということを申し上げてきたところでありますけれども、まさに日本の食品・製品、安全性から質の高さというものをもう一回どのようにアピールをするかということも大変重要な課題になってきていると思います。本日は、こうした考えに基づいてブレーンストーミングを行ったところでありまして、これからどのような内容で、どのようなことに、どう取り組んでいくのか、戦略的なアプローチ、そして各省との連携というのも重要なテーマになるということで指示をさせていただきました。目前の課題である渡航制限や輸入制限等に対する対応についても、各省との連携、そして戦略的なアプローチという形から、さらに積極的な取り組みをしていきたいということで考え方が共有できたと思っております。

(3)新入省員の被災地支援について

【大臣】今回、岩手県にご協力いただきまして、この4月に入省した職員のうち、希望者を被災地に派遣をして支援活動にあたらせることにしました。現地を見てきた政務、また公務員の派遣ということで、外務省から現地に行きました職員等の現地を見た様子からも、人手が有用であるというような報告もありましたので、検討をいたしておりましたところでありますが、具体的には4月27日以降、21名を3つのグループに分けて派遣をするということになりました。岩手県宮古市で支援活動にあたるということでございます。具体的な内容は、現地で現地の指示を受けてということになると理解をしております。何よりも今回の派遣は被災地の復興に役立ってくれればと思っておりますし、併せて、いわば新入の職員がこの機会に国民全体の奉仕者としての公務員の自覚を持つという形になればと思っております。被災地支援に誠心誠意取り組んでくれれば、そうした効果が出てくるのではないかと思っております。

(4)ヨルダン及びタイからの医療支援チーム受入れについて

【大臣】プレスリリースを既に出していますが、ヨルダンとタイから、医療支援チームを福島県立医科大学に派遣していただくことになりました。医療支援のニーズのマッチングに、これまで努力をしていたところでありますけれども、新たな取り組みが始まるということで大変喜ばしいと思っています。
 そもそもは外務省のほうから、被災地に医療支援のニーズ、私どもがお話をつながせていただきたいということを、いろいろなチャンネルを通じて申し上げてきたものに対して、福島県立医科大学から問い合わせ、照会をいただいたことが、元々のきっかけであったと理解しております。こういう形で被災者の方々にとって、意義のある支援が外国の方々から行われるのは、大変ありがたいことだと思います。
 ヨルダンからは、血栓症の専門である血管外科医等4人が4月25日(月曜日)から来られることになっています。また、タイからはこどもの感染症防御を専門とする小児科医等2人が5月7日(土曜日)から派遣をされることになっています。
 この場で、ヨルダン及びタイ政府の協力に深く感謝を申し上げたい、そして来られたチームには活躍を期待していると申し上げたいと思います。

(5)ポリエ・パプアニューギニア独立国外務貿易移民大臣の来日について

【大臣】4月23日(土曜日)から27日(水曜日)までパプアニューギニア独立国のポリエ外務貿易移民大臣が来日されることが決まりました。
 私(大臣)は26日にポリエ大臣にお会いする予定となっています。東日本大震災に対するパプアニューギニアからの温かいお見舞いと多額の義援金に対して、お礼を申し上げたいと思っています。
 パプアニューギニアでは、現在、我が国企業が参加するLNG(液化天然ガス)の大型プロジェクトが進行中です。ポリエ大臣とは、震災からの復興も視野に入れて、LNGの安定供給を含む、エネルギー分野での協力について意見交換をしたいと思っています。ポリエ大臣の来日でエネルギーや投資を含めて、経済関係、幅広い分野で二国間関係が強化されることを期待したいと思っています。

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インフラ輸出

【朝日新聞 大島記者】インフラ輸出の今のお話で、一点確認させてください。インフラ輸出の中で、原子力発電所の輸出について、今のお話では引き続き日本政府として、輸出を推進、支援していくということなのでしょうか、それとも事故の検証、安全性の検証、こういった作業がある程度進むまでは見合わせることもありうるということですか。

【大臣】もちろん私どもは安全性について責任を負っていかなければいけませんので、検証等が必要な部分については、しっかり検証した上でお出ししたほうが、安全性の面からも望ましいというように、これは我々政府も、また直接携わる民間の事業者の方々もご判断をされる部分については、そのようにしていきたいと思っています。他方でご案内のとおり、原子力発電所というのは、大変幅広い分野での、また資機材も含めたら多様な協力になってきます。その意味では、計画を進めておられる、推進をされる国のご判断もお聞きをしていきながら、我々として期待にお応えするところは引き続きお応えをしていきたいと考えています。

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復興経済外交

【毎日新聞 犬飼記者】本日、省議・経済対策本部を兼ねて開かれ、復興外交について初めてお話になられたということですが、今後の見通し、これはいつまでにどういう形でまとめていくのか。一方、政府の方でも復興会議をやっていますけれども、そういったところとのリンクについてはどのようにお考えになっているのか教えてください。

【大臣】考え方としては今申し上げたことが全てであります。後は実践あるのみだと思っております。ですから、今後の大きな復興の枠組みというのは、復興会議もあり、これから基本法の中でどのようになるかわかりませんけれども、政府の本部がある中に、また新たな方向性なり、復興に向けての指針が示されれば、その中で外交でお手伝いできることというのを組み入れて加えていこうと考えておりますけれども、日々、国際社会が動いて行く中で、私どもとしては、日本経済が前向きに動いているということを積極的に発信をするという意味でも、また、先ほどの他方では観光であるとか、輸入関連措置であるとか、渡航制限であるとか、今、対応しつつあるような課題についても、改めて全省挙げてしっかり取り組むということを確認したのが、本日の位置づけだとご理解していただけたらと思います。

【毎日新聞 犬飼記者】そうしますと、順次実施していくと。何かまとめてやると、プランをまとめるということではないということですね。

【大臣】外務省が別個でプランを作るとか、そういうことを考えているわけではありません。

【共同通信 斎藤記者】原発輸出の件です。先ほどの大臣のお話をお伺いすると、現時点ではケース・バイ・ケースで相手の意向を、あるいはこちらの状況も見据えた上での対応というように受け止めたのですが、それとは別に、そもそも民主党政権は新成長戦略の大きな柱としてインフラ輸出、そして、その中の一つの目玉として原発輸出が位置づけられていたと、私はこのように認識しているのですが、そういう大きな方針、大方針としての原発・インフラ輸出という基本姿勢を今後も維持していく方向で議論を進めていくのか否か、この点についてできれば明快なご説明をいただければと思います。

【大臣】先ほど申し上げたように、広い意味での日本の高い技術力を活かしたインフラパッケージというのは、私(大臣)もしっかりと進めていくべきだろうと思います。その上で原子力発電所についても、大変遺憾ながら、ある意味では深刻な事故が起きたことは事実でありますので、私(大臣)も民間企業におりましたから思いますけれども、このことをしっかりと説明をすることがなければ、いうなれば、今後の営業は基本的にはなかなか、新規の営業というのはなかなか成り立ちにくいところがあると思いますので、そういう意味では引き続き対応中ではありますけれども、既に今後検証も一定の検証は進めていかなければならない段階が近づいてきていると思っていますので、そういう中で私どもとして、引続き何が活かせるのかということは遠からず判明をさせなければいけませんし、判明をしていく中で今後のあり方というものを考えていくことになろうかというように思うというのが、率直なところ現実だと思います。先ほど申し上げたように、既に原子力発電所でのパートナーシップであるとか協力とかをお話をしている国々とお話をさせていただく中では、やはり引き続き日本の高い技術力で有用なものはあるというように思っておられるところが多いのではないのかな、これが原子力発電所のどのくらいの部分を日本に頼ることになるかどうかは、これからの検証というのがそういう意味では非常に大事な部分になってくると思います。

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日米関係

【読売新聞 白石記者】本日の閣議後の記者会見で北澤防衛大臣は2+2について「5月下旬にも開催をしたいのだ」というご意向を示されましたけれども、この点について松本大臣もそのような時期に開きたいと考えていらしゃるのか、それとももっと早めるべきだ、遅めるべきだということについて外務大臣としてのご意見をうかがいたいというのが一点。もう一点は北澤大臣はゴールデン・ウィーク明けにも沖縄の方に行かれて仲井真知事らとお話をされるということなのですが、外務大臣の松本大臣としては、2+2の前に自ら沖縄に行かれていろいろ意見を聞いたり要望を聞いたり、そういったことをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。その二点について教えてください。

【大臣】一点目は、以前も申し上げましたけれども、総理訪米に先だって是非2+2はやるべきだということで共通認識になっておりますし、やりたいと思っております。他方で、実は4閣僚が揃ったのを遡ると4年前位まで遡ると記憶をいたしておりまして、やりたいという日にちを私(大臣)がここで申し上げるだけでは、私ども外務省としては、日程を調整する立場でもありますので、この日が早いとか、この日が遅いとかここで申し上げるのは控えたいと思っていますが、ある程度早い時期にやることが望ましいと考えていることは変わりありません。現実に、後は日程の調整等がいつ行われるのかということが一つ大きなポイントではないかと思っておりますので、この点については引き続き調整中だというように申し上げざるを得ないと思っています。
 二つ目でありますが、会見でも前に申し上げたことがあるのではないかと思いますが、私(大臣)としても是非、先方のご都合もお聞きをしながら、機会を捉えて沖縄に伺ってしっかりお話をお聞きをしたいという気持ちは持っております。具体的にそれがどれより先、どれより前、どういう日程になるのかというのは、先ほど申し上げたように2+2の日程そのものの調整も簡単なことではないわけでありましすし、既にいくつか外交日程のオファーなどもきている中ですから、できる限り調整をしていきたいと思っておりますが、考え方としてはおっしゃったように2+2の前に行くという考え方は一つ十分あるとは思います。

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竹島問題

【日本経済新聞 田島記者】竹島問題についてお伺いします。
本日の衆議院外務委員会でも取り上げられていたのですけれども、本日、韓国の国会議員数名が竹島を訪問して、現地で特別委員会を開くという計画があったようです。結局、天候不順等の理由で中止に追い込まれたわけですが、韓国は竹島近海に海洋調査基地を建設する計画を進めるなど、最近強硬姿勢を強めています。大臣、このことについての受け止めをまずお聞かせください。
 あと、自民党などにはこういった問題について、大臣自らが抗議の意思を示すことが大事だという指摘もあるわけですけれども、今後この問題について、大臣としてどのように対処していくのか、よろしくお願いします。

【大臣】1つは、竹島に係る一連の措置というのは、我が国の竹島に関する立場とは相入れないものであって、受け入れられない。この立場は一貫しておりますし、この立場を貫いてまいります。
 その上で、今後というか、私(大臣)自身がどうするかということをよくご質問をいただくのですが、私(大臣)も含めた日本政府として、また外務省として行動をさせていただいている中で、それぞれの事案について、今というか、そのときそのときにどの方法で、どういうレベルで、どういうルートでやることが最もそのとき求める目的にかなった効果があるものであるかということを考えて、私(大臣)自身が基本的には指示をして、対応していると考えていただけたらというように思います。

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内政と外国出張日程

【NHK 稲田記者】まず、本日の衆院本会議で、いわゆるトリガー法や財経委員会の委員の差し替え等に抗議する形で、何名かの与党議員が欠席をしたり、途中で退席したりしました。採決という法案を決める非常に重要な立場の与党議員がこのような行動をとったことと、またそのような結果を引き起こしてしまった執行部に対して、大臣としてどのようなご見解をお持ちなのかをお聞かせください。
 また、本日は与野党幹事長・書記局長会談が開かれまして、ゴールデンウィーク中の国会開催がほぼ固まってきていると思いますけれども、そうなると大臣の予定していらっしゃる外遊には何らかの影響があると思いますが、現段階での見通しと外務大臣としてこの大型連休をどのように過ごしたいとお考えなのかお聞かせください。

【大臣】後半の方からお話しをさせていただくと、最終的な日程については、私どもも正式に連絡を受けているわけではありませんので、何とも申し上げようがありませんが、伝えられるように、いわゆる休日などについても審議を行うとした場合には、かねてから私どもが主催をするものも含めて、予定される日程と重なってくることは事実であります。
 いずれにせよ、閣僚が外国へ出るに当たっては、国会の方のご理解をいただかなければいけないということになっておりますので、既に会議の趣旨などについては、公式、非公式のチャネルを通じて、国会の関係の方々にはお話しをさせていただきつつあるところだというように考えておりますので、私(大臣)自身としては、是非ご理解をいただくような判断を国会がしていただけることを望んでいると申し上げる立場だと思っております。
 1つ目の方でありますが、政府が出させていただいた法案ということで、与党として是非やはり、ましてや震災に関連をする国会でありますので、一致団結した姿が見られることが大変望ましいと思っております。もし個々の方に私(大臣)は聞く立場でもありませんし、聞いておりませんけれども、双方が例えば議論が尽くされていないと考えたとか、何らかのそういう行き違いのようなことがあるのだとすれば、それは相互の努力で解消されるということが望ましいと思いますけれども、一義的にはそういう意味では、やはり執行部も大変これまでもご尽力をいただいておりますけれども、大変ご苦労なことだなというのが率直な感想であります。
 震災の復興に全力を挙げなければいけないときでありますから、お一人お一人のその強い思いの中から何が適切かということを考えて、これがいいというように思ったことを強く打ち出そうとした結果ではないかとは思いますが、ご意見を聞いたわけではないので、私(大臣)としても断定的にはそれ以上は申し上げようがないと思います。

【NHK 稲田記者】前にもお伺いしたかもしれないですけれども、これだけ多くの国民が傷つき、また各国の支援がある中で、その政治、特に政府与党がごたごたしている感が見えていることに対する失望というのは、特に被災地の中でも昨日、菅総理大臣もそういった意見はあったのですけれども、そういったことについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】ごたごたしているように見えるということ、今お話があったようなことが私(大臣)自身は全部、本会議場で確認をしていたわけではないのでわかりませんけれども、あったとすれば、これは残念なことであると同時に、そういう意味では民主党全員の責任ということになると思いますし、一つ間違えれば、それは政治そのものに対する民主党の責任ということにもなるということで、しっかり対応しなければいけないと思います。

【NHK 稲田記者】中には菅総理に責任があるという人もいますけれども、閣僚として、その点についてはいかがでしょうか。

【大臣】一般論で申し上げれば、民主党の代表は菅総理です。

【共同通信 橋本記者】ゴールデンウィーク中の外交日程に関してですけれども、例えば今、予定されているのがクリントン長官に会うですとか、TICADの閣僚フォローアップ会合に出るとかなのですけれども、復興外交の視点からすれば、そういう日本が復活しつつあるという力強いメッセージを発信するためにも、是非行った方がいいのではないかと思うのですけれども、そこら辺は与党の幹部の理解とかは得られそうでしょうか。

【大臣】私(大臣)自身は先週というか、この前の日曜日にやはりクリントン長官が来られたことも、大きな日本がやはり国際社会の中でも元気で頑張っているということを伝えるメッセージになったと思いますし、今週、オーストラリアのギラード首相がお出でになられていることそのものも、また、その活動そのものは日本にとどまらず国際社会に発信されることも考えますと、大変大きなメッセージになってくると思っております。そういう意味では、私(大臣)自身も日本の外務大臣として米国にしっかりお礼を申し上げ、今後の協力と復興へのことをお話をさせていただくことは、広く世界に伝えるチャンスだと思いますし、また、かねてから取り組んできた核軍縮不拡散の会合を主催者として行うということは、日本が引き続き国際社会で大きな役割を果たすということを伝えるメッセージにもなると思います。またTICADのフォローアップ会合は毎年行ってきて、まさに長年の積み重ねで世界が注目しているアフリカの開発という問題に日本が大きなリーダーシップを発揮してきたということが定着している、いわばプロセスでありますから、これをやはり例年どおりこなすことができるということが、いわば日本の底力を見せることになると思いますし、ほかにもいろいろ考えられているものは、すべて復興に資する形でつながってくるのではないかと、このように思っております。そこは今、ご理解をいただくべく、関係者の皆さんにお願いをさせていただいておりますので、是非これはご理解をいただけるかどうかではなくて、ご理解をいただけるように努力をするというのが私どもの立場であると考えております。

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ODA予算の削減

【朝日新聞 松村記者】一番最初のODA予算について伺いたいのですけれども、大臣が外務省予算について削られる部分をおっしゃいましたけれども、具体的にどのような内容で、実際にそれは本当に国際的コミットメントを実行しないことにつながらないのかというところをもう一度説明をお願いしたいのと、あと復興経済外交ということが本日初めて省議で取り上げられたということですが、その日にODA予算の削減ということで、そぐうようなものではないと思うのですけれども、今後、国際社会に向けてその復興外交というものをどのようにアピールしていくのか、もう一度大臣の説明を求めたいのですけれども、お願いいたします。

【大臣】ODA予算については、先ほど申し上げたように、1つはコミットメントの方は、数年間かけてということでお約束しているもののコミットメントはほとんどすべてやりますので、先ほども必要な予算は今後手当していきたいということをお話しさせていただきました。政府の中においても、コミットメントを誠実に実行するという日本の決意についてはご理解をいただいておると私どもは承知をしておりますので、今後の対応の中でコミットメントをカバーしていきたいと思っております。
 先ほど具体的にどの分野というようなお話でありましたが、276億円のうち、ほとんどが分担金、拠出金の削減で、例えばエイズの世界基金などもその対象になっているというように理解をいたしておりますが、先ほどお話をさせていただいたように、各機関の事業の進行に直ちに影響が生じないようにということで、例えば世界基金などは、これまでも日本がずいぶんと拠出をさせていただいてきておりますので、昨年度も本予算、補正予算で大体どのぐらいのお金を入れてきているかということは私どもは承知しておりますので、そういったことも見ながら、さっきやりくりという言葉を使わせていただきましたけれども、直ちに影響が出ない中でそういう対応をさせていただきました。これについてもやはり今後の対応の中で是非コミットメントを実現するようにしていきたいと考えております。
 先ほどお話がありましたが、復興外交、これは復興ということは外務省一省にとどまるものではなくて、我が国挙げて行っていくものでありますけれども、私たちとしては、大きく申し上げて特に復興経済外交という意味からは、まさに日本の経済というのは、今も動いていて、大変皆さんの尽力で復旧に向けても既に動き出していて、これからは元へ復するのみならず更に前へ進むということのメッセージそのものを伝えるのが我々のまず大きな役割だろうと思っております。
 私(大臣)も民間企業におりましたからよくわかりますが、やはり市場経済の基本は競争でありますので、しっかり我々も競争に参加しているということをアピールしなければどうしても競争から外される、脱落するおそれがありますから、まず我々が競争に参加していることそのものを強く訴えることが非常に大きな意義があるし、意味があるというように思っています。
 そういう意味で、外務省はやはり在外公館も含めて大変大きなチャンネルを国際社会に持っていますので、これをしっかり発信すると。この中身については、先ほど、柱などもいくつかお話をさせていただきましたけれども、是非全省一丸となっていくことが非常に大切だと考えているということでお話をさせていただきました。

【共同通信 斎藤記者】今お話にあった世界基金への拠出ですけれども、仄聞している限りでは、かなりの額だと、百五十幾らですか、当初予算に計上されているそのものをカットするという話ですので、それなりの額ではないかと思います。
 一般的な国民感情からすれば、百五十何億というのはかなりのお金であって、しかも世界基金というのはもともと歴史的に見ても日本が、あれは森元総理でしたか、沖縄サミットでしたか、つまり日本がかなりイニシアティブを示した形で設立されて、それ以降日本が随分積極的に取り組んできた事業だという認識を持っているのですが、この百五十何億は相当の額だと、だけれども影響が出ないというのは、なかなか国民的にはわかりにくい部分があるので、その百五十何億を切っても大丈夫なのだというところを、もう少し補足して、具体的に事業の中身なども紹介する形で説明していただけるとありがたいです。

【大臣】おっしゃったように、世界基金については、おおむねご指摘いただいたような、かなり大きな金額を今回は計上を削減、結果としては計上を見送ることになろうかと思います。
 世界基金については、おっしゃったように日本もかなり主導的な役割で、これまで拠出してきたことも事実であります。その意味で、世界基金の方の活動状況、そして支出状況を見ていきながら、拠出されているお金が追加的にこれから、いつ、どの時期に、いくらぐらい必要なのかということを我々もしっかり見させていただいた上で、今回こういう対応をさせていただいたとお考えいただけたらと思います。
 先ほども申しましたけれども、我が国が基金にお金を出して、基金から今度は実際に現場にお金が出ていくわけでありますけれども、どのぐらいの時期に現場で資金需要があるのか、そして今、基金にどのぐらいお金が残っているのか。
 先ほど申し上げましたけれども、実は今年に入ってから、つまり前年度の終わりにかけて一定以上の金額を私どもは補正予算で拠出させていただいております。その金額がまだ現在ここへ入って使う方向へ向かっている途中でありますので、この本予算の追加的な拠出は見送っても、先ほど申し上げたように、まさに直ちにこれからの活動には影響を与えないことが考えられるということで、本当に苦しい中で、どれも必要なものであるからこそ予算計上させていただいたわけですけれども、あえてやりくりするとすればということで、そういう形でやらせていただいたとご理解いただければと思います。

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ギラード豪州首相の来日

【世界日報 山本記者】ギラード首相の訪日で、世界に大きなメッセージが発信されたということで、また天皇陛下と皇后陛下に昨日、ギラード首相はお会いになったのですが、パートナーという立場の方とお会いになったということで、また私は新たな印象を受けたのですけれども、その辺のことについては何か議論があったのか、なかったのかを教えていただければと思います。

【大臣】ギラード首相が日本で言うところの事実婚のパートナーと来日をされて、ともに行動されたということでありますか。

【世界日報 山本記者】天皇陛下、皇后両陛下とお会いになって懇談されたということについての、何かそういう面での話し合いがあったのか、なかったのかということがもしあれば、お聞きできればと思いましてご質問させていただきました。

【大臣】人生のパートナーとどのような法制度に乗っけて、どのような形で対応するかというのは、その国それぞれだと思っておりますが、私どもとしてはオーストラリアの社会の中で、どういうことかはあれですけれども、私どもの認識としては、ギラード首相のパートナーということで来られた方ということで、そのまま素直に受け入れておりますので、特にそのことについて議論があったとは承知しておりません。

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外務大臣会見記録(平成23年4月19日(火曜日)18時21分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)東日本大震災について

【松本外務大臣】先日、ちょうど震災ひと月ということで、総理の方から広告を出させていただきましたけれども、在外公館でもいろいろ働きかけをさせていただいて、無料掲載も世界の53カ国166紙で実現をいたしました。私どももこれから透明性をもって発信に努めてまいりたいと思っております。
 (在京の)在外公館も、おかげさまで大分戻ってまいりまして、あと4公館ということになりました。こういった会見の機会を含めて努力をしたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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尖閣諸島周辺における我が国の巡視船と中国漁船の衝突事案

【共同通信 斎藤記者】昨年の中国漁船衝突事件と、それから先日の那覇の検察審査会の議決についてお伺いします。那覇検察審査会の議決では、すでに帰国した中国人船長について、これは起訴が相当であると議決した訳です。この議決をもとに検察当局が刑事手続きを、おそらく任意の捜査になると思いますが、任意の捜査を進めていって、改めて、起訴するか起訴しないか判断するということになると思います。そこでポイントは、今後、検察が捜査をするとするならば、今、この船長は中国にいる訳ですので、この中国にいる船長に対して、如何なる形でアプローチするかということが一つポイントになるかと思います。一方で中国は、尖閣諸島については、これは中国の固有の領土だと主張しておりまして、なかなか見通しがつかないと、難しい問題であるかとは認識しておりますが、今後、中国に対してこの捜査への協力、そしてもろもろの手続きについて支援・支持を中国政府に外交ルートで求めていくのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

【松本大臣】そのような議決がなされたということは、私(大臣)も承知しておりますが、斎藤記者からのご質問ではありますけれども、今後、検察当局が今回の議決を参考にして、法に基づいて適切に判断をされるものと思っておりますが、個別具体の捜査、その他について、今、私(大臣)の方から申し上げるというものはないというようにお答えをさせていただきたいと思っております。

【時事通信 西垣記者】確認ですが、そうすると、那覇検察審査会の判断を受けて、現時点では外務省として特段の対応を考えていらっしゃらないということでいいのかということと、あと、昨日の判断を受けて、何らか中国側からリアクションなりあったかということを教えてください。

【大臣】法の仕組みからしましたら、検察審査会の判断を受けて、検察当局に、いわばボールが返るものだというように思っておりますので、その検察当局にボールを返すという検察審査会の判断があったということの受け止め、事実としてそういうことがあったということを承知しているという段階でありますので、私(大臣)自身の方から今、何かを申し上げられるということはないということでお話をさせていただきました。また、個別の事件の具体的な捜査について、私どもから申し上げるということはそもそも差し控えさせていただくべきものだと思っております。
 中国側からということについては、今、私(大臣)のところに具体的な報告は上がってきていなかったと考えております。

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復興経済外交

【読売新聞 向井記者】先日の政務三役会議で、大臣ご自身が、「復興経済外交」というものを今後展開されるということをおっしゃったとお聞きしました。まず、その「復興経済外交」というものがどのようなものであるか、大臣ご自身から改めて説明をお願いしたいことが一点と、また、近く外遊の機会として、大型連休がございますけれども、国会の日程なども予定されていますが、どのような外交を展開される機会にされたいか教えてください。

【大臣】就任当初もお話をさせていただいたと記憶をしておりますけれども、我が国の国力の増進に寄与するという意味で、経済外交という視点は大変重要だと考えて、前原前大臣から引き継ぎをさせていただきました。3月11日にはあのような大きな地震が発生して、大震災ということになったわけですが、これから復興を進めていくというビジョン作りの中では、単に元に戻すというだけではなくて、更に強いものを作っていきたいという考え方、私(大臣)もそういう発想を持つべきだと思っておりますし、そういう方向性がこれから求められていくのではないかと考えてますが、そういう意味からも、この経済外交の基本的な考え方というのは、こうした復興に向けた考え方に合致をする、かなうものではないかと考えておりまして、これまでの経済外交というものに復興に資するものという視点を加えていきたいと。もちろん今行っているような経済に関わるものでいえば、物流であるとか、貿易であるとかいうものに対しても、復興に資する形に、むしろ今の輸入関連措置等について、是非そういったものの緩和を求めていく、申し入れをしていくといったことも含めてということになろうかと思っていますが、そういう意味でも復興という視点を全面的に出して、また復興の方向性にかなうものとしての経済外交という位置づけで、お互いに力を合わせていきましょうということを政務三役会議でお話をさせていただきました。経済連携や気候変動についても、いろいろな議論があるわけですが、こういった考え方というものは中長期的な国益にはかなうものだというように考えておりますので、その有用性というのは震災後も損なわれていないと考えています。是非これを具体的にどうやって進めて行くのかということの議論を省内でもしていきたいと、お話をさせていただいたところです。

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大型連休中の外交活動

【読売新聞 向井記者】大型連休というのはそういった外交を展開される良い機会だと思うのですが、国会の審議が入るような方向でも調整されていまして、このあたりの兼ね合いを大臣はどう考えていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】国会のご了解をいただいて、私どもは外国に出る立場だということを大前提として、まず申し上げなければいけないと思いますが、私(大臣)自身としては、是非、日本にとって大切な国々を訪問させていただきたいと思っています。まずその意味では米国というのが重要な同盟国でありますので、重要な位置づけになろうかと思います。また、ご承知の通り、連休中には民主党として積極的に取り組んできた核軍縮不拡散の閣僚級会合が、私どもも主催者の一人として予定されております。また、経済の面にとどまらないわけですが、経済の面でも大変重要なアフリカの外交という意味でのTICADのフォローアップ会合というのも5月1日と2日で予定されております。また、これも日本の経済にとって大変重要だと思っていますが、我が国とEUとの首脳会合に先立つ会議というのも連休中に予定されておりますので、是非大局的な国益の観点から、私(大臣)もしっかりと外務大臣としての努めを果たせるようなことになることが望ましいと思っています。

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原発事故を受けた各国・地域の輸出入等関連措置への対応

【NHK 稲田記者】復興外交の中で輸入規制に関しても言及されましたけれども、大臣がかねてから一衣帯水する隣国と言っている中国が、「食品の輸入規制を事実上今のところは変えることはない。世界各国もそういうようにしていて中国だけは特例というわけではない」ということを商務省の報道官が述べました。隣国で、しかも大国である中国がこのような対応をしていることについての受け止めと今後どのように輸入規制を緩和するように働きかけをしていかれるおつもりでしょうか。

【大臣】私どもの方から積極的に、今、日本がとっている措置であるとか、日本の放射能の状況のデータであるとかいうことを開示をし、また、現在の状況をお話をさせていただくことで、ご案内の通り渡航制限が米国をはじめとして緩和をされたり、輸入制限・輸入規制措置についても一部解除されたり、対象地域が縮小されたりということが起こっております。その意味では中国側に対しても、私(大臣)自身も日中韓(外相会議)の時も是非データに基づいた適切な対応をしていただきたいということをお話をさせていただきましたけれども、引き続きしっかりお話をさせていただくことで理解を得ていきたいと考えております。

【NHK 稲田記者】日中韓(外相会談)からですと、既に一月あまり経ちますけれども、そうやって一ヶ月かけて働きかけをしてきても、今回のような対応をとったというのは何が足りなかった、もしくは、今後、新たに何を打ち出していこうかというお考えがあるのでしょうか。

【大臣】中国側の意図・意思決定を私どもの方から申し上げる立場にはありませんけれども、是非、今我が国と取引がある国々において、まさに先ほどお話をさせていただいたように渡航制限が緩和されたり、また、輸入規制措置というのが緩和・解除されたりしているといった趨勢も含めてご説明をして、同時に原子力発電所、もしくは放射能の現状というのを的確にご説明をすることで是非理解を得ていきたいと思っております。やはり、日中関係も大変大きな経済的な相互の関係がありますので、その意味では双方にとって経済が、もし萎縮するようなことがあれば好ましくないことだと思いますし、もちろん、安全性の確保というのは最優先事項でありますけれども、我が国自身が安全性の確保については十分な対応をさせていただいているということもしっかりお話をして理解をしていただくように努力をしたいと思っています。

【共同通信 斎藤記者】中国、それから、韓国もそうなのですが、輸入禁止の背景には結果的に日本が商品に対して産地証明書をしっかり付けてくれていないと。逆に、きちんと付けてくれれば入れていいというような発言があったと承知しております。
 実際にすべてのそうした農産物・食品・商品に対して、日本政府が責任を持つ形でしっかりとした証明書をきっちり発行できるのかどうか。あるいはできないとするならば、それに代わる措置、何か知恵はあるのかどうか。この点についてお伺いします。

【大臣】産地証明については、そもそも私どもがとっている措置をご信頼いただければ、既に日本で市場に出ているものの安全性というのをご確認いただけるように、まず私どもとしては私どものとっている措置をしっかりご説明させていただいて対応していきたいというのがまず一番でありますけれども、その上で当面の措置として産地証明をというご要望が既にいくつかの国・地域からあるということを私ども承知しておりますので、これについては関係の省庁、そして自治体などとも連携をして、必要なことは速やかに適切に行えるようにということが望ましいと思っておりますし、その方向について我々も外務省の立場からできることはしっかり協力をしていきたいと思っております。

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東日本大震災(民間ベースの支援)

【世界日報 山本記者】首相のメッセージが民間の新聞を通じて伝えられたというお話があったのですが、米国の方などからは民間の方の救援団体なども被災地に入って救援活動をしているように聞いております。政府の外務省の方のホームページによりますと、政府、あるいは国際機関の援助については詳しく掲載されていると思うのですが、そのような民間の米国等の支援についても紹介されるようなことはお考えになりませんでしょうか。

【大臣】いいご質問をいただきました。この場を借りて私ども日本政府としては、外国、海外からの民間ベースでのご支援というのにも本当に感謝したいという気持ちを持っておりまして、是非そのことは私どもも伝えていきたいと思っております。
 ただ、(外国)政府、ないしは国際機関の場合は、私どもの方へ直接お話をいただきますので、把握をしているものとしてお話をさせていただきましたし、いくつかについては民間のものについても私どものところに情報、ないしは報告が入ってきているものもありますけれども、お互い民間ベースのもの等、私どもが直接把握をしていないものであっても大変有用な支援をいただいているものが多々あるということは十分認識しているつもりでありますが、個別具体的なお礼という意味では把握をしていないものもあるので、まずは私どもで承知している国・地域と国際機関についてお礼を申し上げたという位置づけだとご理解いただけたらと思います。

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日米関係

【毎日新聞 犬飼記者】先日、週末にクリントン国務長官が来られまして、大臣と会談されたと思いますけれども、その際に震災、あるいは原発対応に当たって、官民のパートナーシップをこれから進めていきたいということも合意したと思いますが、これについて今後、具体的にどのような形でそういったものをつくっていくのか、それについて説明していただければと思います。

【大臣】震災対応、原発については、既に日米で緊密な連携が進んでいると理解をしております。今回、長官が来られて私(大臣)も合意をしたのは、復興に向けた官民のパートナーシップ、私ども官の関与も含めた形でのパートナーシップというものを進めていこうということで、合意をしたということであります。
具体的な内容については、まだこれから協議を進めていくものでありますし、そのときの会見でも申し上げたと思いますけれども、話を積極的に進めて、できるものからどんどん実現をしていこうと考えております。もちろん民間企業、ビジネス界、更にはNGO、シンクタンクといったものも含めてアイデアを出していただく、提案を出していただく、具体的なさまざまなビジネスベースでの活動も出していただくことも総合的に含まれる中で、官がどういう形で側面支援をしていくのかということも考えていきたいと考えております。
 大切なことは会見の際でも米側からもお話がありましたけれども、まさに今、日本経済は止まっているのではなくて今も動いていて、これから更に動いていくということを、私どもも申し上げてきていますが、同盟国の米国からもそういうメッセージが出されることによって、日本経済の復興・復活への力強い前向きなメッセージを出すということ、そしてそれを米国を始めとする国際社会の協力をいただいて、私どもも進めていきたいと思っていますけれども、まず米国が協力をする、支持をするという姿勢を示していただいたことが、非常に大きなメッセージとして私(大臣)は意義があったと思っております。

【毎日新聞 犬飼記者】関連してですけれども、先日会われたばかりであるのですが、冒頭もありましたが、ゴールデンウィーク中に国会の承認が許せばということで、米国の方にも大事な国だから是非訪問したいというご意向を示されたと思いますが、もし仮に承認が出て米国に行く場合は、どういったことについて話し合って、あるいはアピールしたいと思っていらっしゃるかということをお願いします。

【大臣】日米の関係は大変重層的で範囲が広いわけでありまして、先日の会談の中では復興、そしてその復興に向けた協力ということが中心の議題になったわけでありますけれども、もちろん、安全保障を含めた幅広い議題についても是非議論をしたいと思っていますし、当然今後というか、現在でもそうですけれども、震災対応から復興へのというのが、我が国にとっても政府にとっても最優先課題であることは間違いないわけでありますから、これについての協力などについても意見交換をして、確認をしていきたいと考えております。

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東日本大震災(復興財源)

【NHK 稲田記者】今後の復興という話をされましたけれども、政府与党の中では復興財源として、今後消費税の増税も1つの選択肢だと本日、官房長官はおっしゃられましたが、一方で消費税という形にすると被災者からもお金をとる形になるということで異論もあります。大臣としてはどのような形が望ましいとお考えでしょうか。

【大臣】私どもとしても、今後大きな財政的な需要が復興に関してはあるわけで、この資金をどうやって調達するのかというのは、非常に重要なテーマだろうと思っています。
やはり復興需要とかそういうことを考えると、私(大臣)が知る限りの経済の理屈からいけば、ある程度いわば借金をしてでも進めていくというのが、最も経済的には効果があるだろうと考えていますが、他方で我が国の場合は大きな財政赤字を既に民主党政権も引き継いだ状況でありますので、日本がこれから新たな資金調達をするに当たって、マーケットの信任を得るのにどういうことが必要なのかということが、1つのポイントになってくることは事実だろうと思います。
 その在り方というのが、今お話がありましたように増税に対する行動で意思を示すのか、計画を示すのか、いろいろな考え方があると思いますけれども、まず目の前の復興ということを考えると、先ほど申し上げたように一番効果があるのは、むしろ増税よりも支出を拡大できるような資金調達の在り方を確保することではないかなと、私(大臣)自身の立場からは思っているということでございます。

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外務大臣会見記録(平成23年4月15日(金曜日)16時05分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)第4回日中韓サミットの開催日程決定について

【松本外務大臣】日中韓サミットでありますが、来る5月21日(土曜日)及び22日(日曜日)、東京で開催し、主催は菅総理、中国からは温家宝国務院総理、韓国からは李明博大統領が出席の予定でございます。ご承知のとおり、これは、日中韓三ヵ国がアジア太平洋地域の安定と繁栄について大きな責任を担うという立場から、首脳のリーダーシップの下、幅広い分野で対話・協力を一層強化することを目的に行われてまいりまして、平成20年から一巡して、今回は我が国が二度目の議長国を務めることになります。中では、三ヵ国間の協力、地域・国際情勢について議論される他、今回の大震災を受けて、防災・原子力安全の分野における協力の強化等についても議論されるものと思っております。

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第4回日中韓サミット

【毎日新聞 西岡記者】サミットで、防災・原子力安全分野での成果物というものを何か出そうという方向になっているのでしょうか。

【大臣】ご議論をいただいてということになろうかと思いますので、今、具体的に何か決まっているというわけではないと承知しております。

【朝日新聞 大島記者】今現在、中韓両国で日本の食品の輸入制限の動きが広がっているのですが、今回の首脳会議では、こうした問題についても議論する予定はありますか。

【大臣】広がっているかどうかというのは、評価がいろいろあると思いますけれども、中国、韓国共に適切に対応していただくようにということで、これまでも求めてまいりましたし、個別の規制等については、私どもから必要な申し入れはさせていただいて、日中韓の様々なチャネルで協議をしていただいているというように理解をしておりまして、これは経済に関わることでありますので、5月と言わずに、今も行っているものもありますので、早く実って適切な形になっていくことを望んでいきたいと思います。

【日本経済新聞 田島記者】先ほどの日中韓サミットの話になるのですけれども、大臣は先ほど経済に関するものについても、今もやっているというお話だったのですが、恐らく日中韓投資協定での話を念頭に置かれていると思うのですけれども、これについては合意を目指して今までかなり交渉を続けてきたわけですが、このサミットで合意なり何らかの進展というのは見込まれるのかどうか。それから、日中韓のFTAの共同研究を前倒しするという話が以前ありましたけれども、この点についてどのような見通しを持っていらっしゃるのか。2点お願いします。

【大臣】「経済」と私(大臣)は言った記憶はないのですけれども、言いましたか。
いずれにせよ、幅広い分野での3ヵ国間での対話と協力ということでありますから、その中には経済分野も入ると思います。今おっしゃったように日中韓のFTAとか投資協定についても、これまで協力の方向性についての積み重ねがあるわけでありますから、成果を出していくことは望ましいことだと思っておりますけれども、サミット時点についてどうこうということで、今、私(大臣)からお話ができるようなものがあるとは考えておりません。

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日米関係

【共同通信 斎藤記者】17日のクリントン米国務長官の訪日に関してお伺いします。今回の訪日、そして、日米外相会談を通じて松本大臣としては、どのような成果を得たいと考えているか、そして、今回の会談の意義をどこに求めているのか、これについてお伺いしたいと思います。

【大臣】今回はクリントン長官から日本に対する連帯の意思表明と、さらには日本、また日本国民に対する励ましの気持ちを表明し支援を表していきたいという趣旨で来られるというようにお聞きをしております。発生直後の早い段階から、何らかの機会があればというようなお考えをお持ちだったやに漏れ聞いているわけでありまして、他方、日本側の受け入れの事情というのも考慮しなければいけないとお考えだったのではないかと推察されますので、(震災から)一ヶ月を経過した直後の週末ということになったと考えております。私(大臣)としては、この間、米国側には大変大きな協力をいただいておりますので、協力そのもの、支援そのものも大変大きな力となったと同時に、日米の連携というものが日本に対しても大きな励ましのメッセージとなっているということをしっかりお伝えをしていきたいと思っております。あわせて、この機会に今後の日米同盟の深化に向けての議論も深めていく中で、私(大臣)自身としても、クリントン長官と直接お話をするのはG8(外相会合)の際の会談に続いて二度目ということでありますので、双方の信頼関係を深める良い機会なればということを考えております。

【共同通信 斎藤記者】現在、焦点は原発への対処です。原発への対処を巡り、これまで米側の協力、いろいろな成果があったと思うのですが、大臣から見てどういう成果があったと、米側の支援によってどういう効果があったというようにご覧になっているかということ、そして、もう二点目は、今回の震災の前後で、日本を取り巻く東アジア情勢、そして太平洋情勢に何か変化が出てきているのかどうか、今後の日米協同戦略目標を作る上で、今回の震災の前後で何らかの変化が起きているかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

【大臣】一点目の原子力については、個別の機材であったり、米軍そのもののさまざまな協力であったりということが、具体的に大きな効果を上げたものもたくさんあることも事実でありますけれど、やはり、専門家の派遣も受けて原子力発電については、日本もその一つであろうと思っておりますけれど、これまで早いうちから、しかも広く原子力発電を行ってきた国として、やはりそれだけの知見を有していることもあって、我が国の技術と米国の知見・技術とか一致してすることによって、これまでの原子炉の押さえ込みにも大きな効果を上げてきたのではないかと考えているところです。
 それから、二つ目は、まさに、大震災というのはあらゆる面で大きな被害であります、しかし、この東アジアの中にあって、これからこの地域の平和・安定と繁栄を目指していく中には、やはり、日本がしっかりとこの東アジア地域においても存在感を持って、主導的な役割を果たしていくということは、大変重要なことであろうと思っていますので、それに向けて改めて私どもがしっかりと立ち上がっていくことが一番重要であろうと思っております。そういう意味で、我々のこれからの決意とそれに向けての方向など、復興会議も既にスタートしているわけですけれども、そういった歩みについてもお話させていただくことよって今回の会議でもお話をし、また国際社会にも発信をすることによって、東アジア地域のバランスといったものがいい形で維持されていくようにすることが望ましいのではないかと思っております。

【共同通信 出口記者】米国の原発対処への協力ですけれども、これまでの米国の協力がなければ、事態は現状よりもさらに悪化していたというように感じられますでしょうか。また、今後、米国の協力は不可欠だというように松本外相は考えておられますでしょうか。

【大臣】仮定の話でありますので、日本だけでやった場合どうなったかということは、今、私(大臣)としてはコメントする材料は持ちあわせていないわけですが、やはり、こういった原子力発電所の事故が起こった対応という意味からすれば、どういった形でやるのがいいのかということ自身が、まさに英知を結集してと言いますけれども、米国は米国の経験・知見・技術があるわけでありますから、米国と日本が一緒になることによって、さらには今、フランスなどの協力もいただいているわけですが、世界中の選択肢が揃う中で、その時点で考えられるベストの選択肢を選択をして対応しているということで、やはり、結果としては、全部が揃っている、世界中の力が揃っているということが最もいい方法をとるという意味では、大きな役割を果たしたのではないかというように思いますので、そういう意味では協力があった方が良かったと思いますし、これからも協力があることが必要だというように思います。

【時事通信 西垣記者】クリントン長官との会談のことですけれども、先ほど日米同盟深化、日米関係についても話をするというお話があったのですが、具体的にはどういう意見交換をしたいとお考えになっていますでしょうか。

【大臣】これから先、このアジア太平洋地域の情勢、また、この地域の平和と安定にどのように私(大臣)たちが貢献をしていくのか、今の情勢もありますし、今後、将来に向けてもどういう形で日米の協力をしていくのが望ましいのか、すぐにその場で結論が出るとは思いませんけれども、そういったことについても議論を深めていくことが、大変重要ではないかと思っているということで申し上げました。

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竹島問題

【読売新聞 向井記者】竹島問題について伺います。韓国が竹島の開発を進めていますけれども、今回、総合海洋科学基地について入札を決め、現代(ヒュンダイ)が落としたということを聞いていますけれども、これについて日本側はどのような措置をとったのか、また、韓国側が竹島の開発を進める背景はどのようなものだと分析されているのでしょうか。教科書問題との関連を駐日韓国大使が自民党幹部に述べたという話もありますが、どのように分析していらっしゃいますでしょうか。

【大臣】竹島において総合海洋科学基地の入札が行われて、現代建設が落札をしたという情報が公開をされているということには、情報は私どもも得ているところであります。
この総合海洋科学基地の規模であるとか場所であるというのは、入札公告等を見る限りは定かにはなっていないと承知をしているところでありますが、いずれにせよ竹島に関連する措置というものは、私どもの竹島に関する一貫した立場からすれば、受け入れられないものであるということは申し上げておりますし、韓国側に対しても累次の機会にわたって申し上げてまいりました。
 今回の総合海洋科学基地についても、在韓国大使館から先方韓国の外交通商部に対して、先ほど申し上げたように入札公告ではそういう状況でありますので、照会と抗議というものを行わせていただいたところでございます。
 それから、自民党さんの話は本日、国会の委員会で自民党の議員からご紹介がありまして、そのように大使がおっしゃったと自民党の方がおっしゃっておられましたので、そうおっしゃったのであろうと思いますけれども、竹島に関連する措置は私どもとしては受け入れられないものであるということで、これ自身どういう意図なのかというのは、今ここで韓国側政府の意図について私どもが推し量って何か申し上げるのは、差し控えさせていただきたいと思っています。

【共同通信 斎藤記者】これまで佐々江次官がこの件で一度抗議をしたということで発表があったことは私も承知しているのですが、大臣ご自身あるいは政務三役として正式な抗議の意思をこれまで表明されたのか、また、今後この総合海洋科学基地の問題で抗議を表明するご意思があるのかどうか、この点を確認させてください。

【大臣】先ほどの総合海洋科学基地も含めて、竹島に関するこれらの措置そのものが、言わばこのようにして俎上に上がってきたのは少し前からということになろうかと思います。その意味では、私(大臣)自身もこれまで金星煥外交通商部長官と会談をする機会もある中で、竹島に関する私どもの立場はしっかりと申し上げさせていただいてきたわけでありますけれども、この直近、今おっしゃったようにこの1週間ほどの間に私(大臣)が直接申し上げるということは今のところは行っておりませんけれども、今後、やはり私どもの立場をしっかりと先方に伝えるとともに、私どもの国のために働くという意味では、適時適切にまさに対応していきたいと考えております。

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内政

【NHK 稲田記者】内政に関してお伺いしたいと思いますけれども、自民党の谷垣総裁が菅総理に対して明確に退陣を迫り、また民主党内からも総理の交代や倒閣運動ともみなされるような言動が相次いでいるというように言われております。
 現在、被災して1か月が経ち、これから復興に本腰を入れ、更にこれだけ幅広い海外の国々から支援を受けている中で、内閣、行政府の長に対するそのような批判の声は公然と、しかも与党内からも上がっているという状況について、大臣はどのようにお考えなのかということをお聞かせください。

【大臣】与党の中から異論の声が上がっているというのを私(大臣)も報道で接しておりますけれども、直接お聞きをする機会があったわけではないので、真意等を確かめたわけではありません。現在、私(大臣)は外務大臣の職務に専念をして、党の方々とゆっくりお話をすることをこのしばらく行っているわけではありませんので、そういう意味がありますので、確認をできていないところは多々あるところはありますけれども、少なくとも報道等で拝見をさせていただく発言者の方々というのは、かねてから、やはり党が一丸となってさまざまな事態に取り組むべきだということを震災の前からもおっしゃっておられたと理解しておりますし、これだけの未曾有の災害の中で、それぞれお一人お一人のお気持ちとしては、まさに政治が大きな力となって、今、目の前にある被災者、避難民の方々への対応、そして原発事故への対応、またこれから先、我々が立ち上がっていくための復興への道筋をしっかりと進んでいくということに力を合わせるということの気持ちを持っていない方はいらっしゃらないと思っておりますので、その方向なり力を合わせるに当たってのさまざまなご意見があるのだろうと理解していますし、それは是非いろいろな意見を集めてみんなで力を合わせることが一番大事ではないかなと思っております。

【NHK 稲田記者】ただ、例えば民主党の松木さんとかは、1分1秒でも早く菅総理に辞めていただきたいと明確におっしゃっています。また谷垣さんにしてもそれは同じです。総理に対して辞めてもらいたいという言動を明確に言う人たちが一丸となってやっていこうという気持ちを持っているとはなかなか考えづらいのですけれども、その辺りは大臣、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】是非、我々が今なすべきことは、この災害の対応であり、復興へのことでありますから、やはり何をすべきかということから議論すれば、おのずとひとつになれるのではないかというように期待したいと思っております。

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TPPと観光

【フリーランス 上出氏】前回、会見でお聞きしたTPPのこといですが、その後、国会でも取り上げられて、松本大臣が答弁されたりしているのですが、現実に今、災害から立ち上がろうとしている国というのはもうほとんど農業、岩手県などは特にそうですけれども、国でも農業がとにかく大事だということで、食と農林漁業の再生実現会議というのが開かれて、そのとりまとめが3月でストップしています。その委員の方などの発言を聞いていても、やはり所得の再配分を、農業が落ち込むわけですから、どうするかということ。税金を使った場合、国民に納得できるかどうか。そういういろいろな問題がクリアーされていない。そういう大変な問題を抱えて、もし直接、被災地に行ってTPPやりますなどと言ったら、やはり大きなショックを皆さん受けるかもしれない。そういうことも考えて、これまでの形でのTPPというものに突き進んでいくということは難しいのではないかと思うのですが、その点も含めて改めてお聞かせいただきたい。
 もう一つ、これは言ってもしようがないかもしれませんが、今、外国人が、とにかくオールジャパンでもう来なくなってきている。どんどん観光地が落ち込んでいる。私も最近用事で行きましたが、関西などでも全然人が来ない。この辺について、何か対策といっても難しいでしょうけれども、大臣なりのお考え、その2点について教えてください。

【大臣】まず後段の方から申し上げると、本日これこそ国会の議論でも取り上げられておりましたけれども、現在のところ、やはり大幅に日本を訪れる観光客が減っているという現実というのは、私(大臣)自身としても、また国としても大変憂慮すべきことだろうと思っております。
これまでも情報の発信ということには意を用いてきたつもりですし、また、さまざまな、例えば外国プレスの会見であるとか、在京外交団への説明会などでも、さまざまな質問なども出ます。そういうやりとりの中から、我々からすればもうわかっていただいていると思っていることが、まだ伝わっていなかったりということも、率直に言えば新たに発見をすることもあるわけですから、そういうことを踏まえて、更に改善をして、理解をしていただけたらと思っております。
 いろいろな報道がありますので、すべてとは申しませんけれども、例えば今週のいわゆる(INES)評価です。レベル7への引き上げなどは、チェルノブイリとの対比なども比較的冷静に伝えていただいている外国メディアもあったのではないかと、報道を見る限りは感ずるところがありますので、このこと自身は大変重大なことでありますけれども、少なくとも努力をすることによって、正確に伝えることが、更に各国のメディアなどを通して、各国の国民の皆さんに日本の現状が伝わればと思っています。
 そういう意味で、これから外国の賓客の方も我が国に来られたりするわけでありますけれども、さまざまな発信の機会をとらえて、私ども自身としても、日本のまさに現状を正確に伝えられるように努力をする。これが、それについて私どもに与えられた使命ではないかと思っています。
 それから、TPPのお話でありますが、本日も一昨日も国会で議論をさせていただいたときに申し上げさせていただいたのですけれども、TPPそのものというのはご案内のとおり、内容は今、まだ議論がされている内容でありますし、私どもは、TPPを結んで農業をつぶしたいなどと思ってTPPを結ぶなどと言ったことは一度もないわけであります。
 経済連携の基本方針の中では、しっかりと農業についても対応をした上で、経済連携、開かれた国をつくろうということを申し上げてきているわけであります。その上で、どんな形になっていくのか。我が国にとって資するものがあれば、これはしっかり前向きに取り組んでいくという意味でお話をさせていただいていますし、TPPについては、お話をする機会があるのであれば、私(大臣)も是非お話に行きたいと思っておりますが、今はまだそういう状況になっているかどうかあれですが、きちんと今どういう状況で、どういうことを考えて、我が国のためであり、また地域のためになるという経済連携を私たちが目指している中で考えているということをお伝えしたいと思っています。
 なお、TPPについては、現在議論になっているのは、私(大臣)が承知をしている理解では、交渉参加をするかどうかということが議論になっていると思っております。これについてはご案内のとおり、さまざまな経済に関わるようなルールとか、そういうものも議論されているわけでありますから、こういった議論の輪に是非加わるべきだと、これはまさにこれから日本の経済を立て直すためにも必要だという側面もあるわけでありまして、この中で農業がどう位置づけられて、これによって日本の農業がどのような影響を受けるのか、受けないのか。受ける場合に何らかの我々の対応がとれるのか、とれないのかということも含めて、総合的に議論をしなければいけないということは確かだろうと思います。
 ただ、国際社会はどんどん動いていますので、TPPの交渉もそれはそれで進んできているわけでありますから、我々が交渉参加をいつ一定の範囲で判断をしなければいけないかという期限は、それなりの時期にはやってくるのではないかということを私(大臣)自身は国会でも申し上げているということでございます。

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海外メディアによる東日本大震災関連報道

【フリーランス 藤井氏】先ほど、冷静に報道していただいているメディアも多いというお話もございましたけれども、一方でCNNなどの欧米メディアでは、東日本に限らず、日本全体で被害が発生しているという誇張するような内容が含まれているニュースもたくさん流れております。そういった報道内容に関して、各国大使館、在外公館などから情報が上がってきて、把握なさっているのでしょうか。また、それに対する対応策等ございますでしょうか。
それに関連して、風評被害として一部韓国企業や中国企業が精密機器系、サプライチェーン切れのものに関して放射能汚染リスクがあるといううわさを流しているという話があります。こういった実態の方は把握なさっているのでしょうか。

【大臣】個別の国のメディアについて、特に論評を申し上げるつもりはありませんけれども、在外公館を通じて、またさまざまな形で日本にとどまらずというか、外務省としては、むしろ海外のメディアの発信などはウオッチをさせていただいて、事実と違うことなどについては申し入れをして、既にいくつか訂正をしていただいたものもあると承知をいたしております。
 今、おっしゃったうわさというのがどういうあれなのかわかりませんけれども、私どもとしては、メディアなどに明らかに事実と違うようなことが出ているときには、しっかり申し入れをさせていただいています。また、こういう対応は、先般、官房長官からも更に強化をしてほしいというご要請もいただいておりますけれども、これまで以上に誤った情報がもし広く流れるとすれば、それは本当に風評被害という意味で甚大になりますので、しっかり対応していきたいと考えております。

【フリーランス 藤井氏】1点確認ですけれども、明らかに誤っている報道をなさっているところには、逐一訂正なり、抗議をなさっているという認識で大丈夫でしょうか。

【大臣】私どもが見つけて、事実と違うということがきっちり申し上げられるものは、そのようにしております。

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外務大臣会見記録(平成23年4月12日(火曜日)17時35分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)パトリオッタ・ブラジル外務大臣の訪日について

【松本外務大臣】4月16日(土曜日)にアントニオ・パトリオッタ・ブラジル外務大臣が訪日をされます。今回の震災を踏まえて、弔意と連帯の表明ということでの訪日のお話をいただきましたので、これを実現するという形になります。パトリオッタ外務大臣と私(大臣)との間で、会談と共同記者会見を行う予定であります。震災関連等について意見交換をしたいと思っております。

(2)クリントン米国務長官の訪日について

【大臣】すでに発表されているとおりでありますが、クリントン国務長官が4月17日(日曜日)に訪日をされます。総理への表敬、私(大臣)との会談等が予定されています。すでにG8外相会合の際に会談をさせていただいたところでありますけれども、我が国を訪れて、我が国との連帯を示すというお話でございますので、心より歓迎をしたいと思っております。今回の震災を踏まえた日米協力、また日米同盟の深化を含む二国間関係等、お話を、意見交換をさせていただきたいと思っております。

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日中関係

【毎日新聞 西岡記者】一部の報道で、大臣が5月に想定される日中韓首脳会議に先立って、中国を訪問されるという具合に伝えられていますが、そのようなスケジュールは想定されているのでしょうか。

【大臣】私(大臣)も新聞を見て「決まったのか」とびっくりいたしました。かねてから申し上げて参りましたけれども、中国も一衣帯水の大切な隣国関係でありますから、外務大臣に就任をさせていただいたということで、いずれかの時点では、やはり中国訪問をしたいというように基本的には思っていますが、現在、具体的なスケジュールとか、日程とかいうものは、なんら確定をしたものがあるとは承知しておりません。

【共同通信 斎藤記者】今し方、中国の温宝総理と電話会談があったと聞きました。今回の会談はどのようなやりとりがあったのか、意義付け等々について、ご説明願いたいと思います。

【大臣】基本的には、総理が今回の震災に関して中国側のお見舞い、激励、それから支援に対してお礼をおっしゃいました。また、総理の方から原子力発電所の状況などを含めて説明をされて、引き続き最大限の透明性を持って説明をしたいということのお話もさせていただいたところです。その上で、双方、本年は辛亥革命から100年、来年が日中国交正常化40周年という節目の年ということで、二国間関係を進めていくということでお話があったと理解をしております。
 防災・原子力分野・原子力安全分野・環境面での協力、このあたりは日中韓の外相会議でも議論させていただいたテーマであります。また、東シナ海を平和協力友好の海とするための共同の努力、文化・人的交流の一層の強化といった点で具体的な成果を着実に積み上げていこうということで、それぞれ努力をすることで一致をしたと承知をしております。

【共同通信 斎藤記者】日中韓ではハイレベル交流が現時点ではまだ動き出していないというように受け止められるのですか、大臣ご自身の希望として、先ほど事実関係の話はありましたけれども、大臣ご自身の希望として、できればいつまでに行きたいというような思いがあるかどうか、また、総理のいわゆる首脳レベルの交流についての希望、抱負もあれば併せてお伺いしたいと思います。

【大臣】今年は日中韓は私どもがホストでありますので、この首脳会議も日程を定めていかなければいけないと思っております。先ほど申し上げたように、私(大臣)自身も早いうちに訪中をしたいと考えております。また、今年は総理が訪中をされる番であったと理解をしておりますので、そういった日程を固めていかなければいけないと思っていますが、現在もご案内のとおり国会の会期中である上に、今年は東日本大震災ということがありましたので、この対応を含めて今後の日程のたて方というものを、昨日で震災ひと月、本日がいわば震災ひと月と一日目でありますので、そういったことも政府として、また外務省として詰めていかなければいけない時期に差しかかりつつあると思っていますが、現段階では具体的な日付等でお話できることはまだ残念ながらありません。

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日米関係

【時事通信 西垣記者】外交日程ということで、多少の関連はあるのですけれども、本日午前と午後に総理官邸あるいは国会等で、2+2あるいは総理の訪米をめぐって、大臣は防衛大臣らと協議されたと思うのですけれども、その話し合いの結果がどうなったかということをまず教えてください。

【大臣】いろいろ報道等でも載せていただいているところでありますが、次回の2+2については、先般も少し皆さんにお話しする機会があったかと思いますが、是非日米関係を考えれば、早いうちにやりたいと私(大臣)自身も思ってまいりましたし、その点の基本的な考え方は、総理以下皆一致をしていると考えております。
 また、実際に4人そろってということになりますと、たしか4年ぶりであると思いますが、こういう時期は4人そろって2+2をやることが大切だということでも一致したと思っております。よく記事などで書かれておりますが、確かにゴールデンウィークというのは、私どもが動きやすく、比較的使える日にちが多いという意味では調整の可能性の高い時期だということは、さまざまな報道のとおりだろうと思っておりますが、具体的な日にちは引き続き調整を行っていたところであります。
 そういう中で、一つは今、10万人の自衛官を現場に出している責任者である北澤防衛大臣が、どのぐらいの時点から、2+2をどこでやるかにもよりますけれども、米国でやる場合は国を離れてということになりますので、そういったことも日程的にどの時点で可能なのかということで、本日も議論して整理をさせていただきました。
 本日の段階で、やはり北澤大臣が現段階ではもちろん国を離れることができませんし、ここから3週間後のゴールデンウィークの段階で確定的に国を離れることができると申し上げられる段階にはないだろうということで一致をいたしました。そういう意味では、それ以降のどこかの日程で、早い段階で2+2をやりたいということで、その点については引き続き調整ということになってくるだろうと思っております。
 本日の午後、枝野長官が今年前半の総理の訪米日程については変わりはないというお話でありましたけれども、これについても具体的にはこれから調整をさせていただくことになりますが、基本的な考え方を変更したことはないと理解しております。

【日本経済新聞 永井記者】次回の2+2では、昨年の日米合意で普天間の代替移設についての詳細を固めることになっておりますけれども、大臣として沖縄に理解を求める上で、今後沖縄に行かれるお考え、どのように理解を求めていこうとお考えでしょうか。

【大臣】次回の2+2で何を議論するかということも含めて、これから議論だろうと考えておりますが、沖縄の普天間基地については、昨年5月28日の合意を実現する、それで沖縄の皆さんにも誠意を持ってご説明を申し上げ、理解をいただけるように努力したいというのが私どもの立場であります。その努力のあり方について、おっしゃったように訪れるということも一つの方法の中にはあるかもしれませんが、政府一丸となってやっていく中では、防衛・沖縄担当それぞれの立場でよく連携を取って、どういう形で努力をしていったらいいのかということもしっかり詰めて行きながら前へ進めていきたいと思っております。

【時事通信 松山記者】先ほど総理の訪米に関して、基本的な考え方は変わりないということで、それは去年の首脳会談で合意した今年前半というラインを基本的には守りたいということかと思うのですが、今年前半というのがこういう状況、つまり震災が起こったという状況を受けても、どうしても守らなくてはいけないものなのか。それともある程度それも後にずれ込むのもやむを得ないということなのか。その辺はどういうふうにお考えでしょうか。

【大臣】具体的にまだ皆さんにご報告できるような時期についてのお話はありませんので、調整していくということになるわけでありますが、私(大臣)自身もかねがね申し上げてきているように、これだけ大きな震災が発生したということで、その対応はしっかりやっていかなければいけませんし、当然これだけ大きな震災が発生したことが、その後のことに何ら影響を与えないということはないと考えております。
 他方で外交・安全保障の課題ということについては、一日もゆるがせにすることなく進めていかなければいけないということでありますので、今の段階でこの今年前半というお話で考えていくことに、本日は4月12日だと思いますけれども、今申し上げたように外交も一日もゆるがせにできないということからすれば、これから詰めていくことは考えられるのではないかと思っております。

【NHK 市原記者】そうした中でクリントン長官は17日に訪日されるということですけれども、この中で日米同盟の深化については、どのような点を協議していきたいとお考えでしょうか。

【大臣】そうした中でというより、長官は今回は震災について連帯のお気持ちを表明されに来るのが趣旨だとお聞きしております。もちろん会談する中ではいろいろなテーマについてお話をさせていただくことになるだろうと考えておりますし、今お話がありましたように、これまでの、特にこの震災における日米の協力関係、連携を確認しながら、今後の同盟の深化のあり方については、いろいろ議論させていただくことになろうかと思います。

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東日本大震災

【読売新聞 向井記者】東京電力の福島の第一原発の事故について伺います。本日、原子力安全・保安院の方は、レベル5から7への引き上げを発表しましたけれども、これを受けて外務省から各国にどのような形で情報を伝えていくことになるのかをお教えください。

【大臣】私どもの方では、対外発表に先立って各国、それからIAEAに対しては通報をさせていただきました。

【読売新聞 向井記者】本日、省内では、韓国の専門家のチームと日本の関係省庁の会議が行われていますけれども、この中で個別に韓国側には特に説明するようなことはされたのでしょうか。

【大臣】韓国側の方からは原子力専門家を派遣したいというお話がありました。私どもとしては、できるだけ最大限の透明性を持ってということで申し上げてきておりますので、当然、対応に支障のない範囲でということになる部分はありましたけれども、このご説明を申し上げる、もしくは理解をいただくということも大変重要なことだということで専門家においでいただいて情報・意見交換をしていただいていると承知しております。
 先ほど終わったぐらいではないかと時間的に思いますが、その中ではレベル7の暫定評価についても具体的に説明したと報告を聞いています。

【読売新聞 向井記者】先ほど大臣の一番最初のお答えで、各国に事前にお伝えになったということですが、前回の汚染水の放出の際に、ファックスを送るなどされたと同時にブリーフィングでも各国の大使館にお伝えになったと思うのですけれども、今回、具体的にどのような手段を持ってどのような時間帯にお伝えになったのか、もう少し詳しくお教え願えますでしょうか。

【大臣】前回は、ちょうどかねてから予定されていた在京外交団のブリーフィングの時間の直前にそういうことがあったということでさせていただきましたが、今回は定例の在京外交団の時間よりは早い段階でありましたので、メールやファックスなど、通信手段はそれぞれでありますけれども、そういう通信手段を使って事前通報をさせていただいたと理解しています。
 正確な時間がもし必要であれば、改めてまた確認をさせていただければと思います。

(補足説明)INES暫定評価については、本12日午前11時からの原子力安全・保安院及び原子力安全委員会による合同記者会見で対外発表を行いましたが、当省からは、同記者会見が開始される午前11時までに、在京外交団に対し、メール及びFAXによって本件引上げの決定について事前通報を行いました。さらに、12日午後4時から実施した定例の在京外交団向けブリーフにおいても、本件引上げについてより詳しく説明を行いました。

【共同通信 斎藤記者】今の事前通報の関係ですけれども、韓国、ロシア、その事前通報の徹底を期待する国があるのはもちろんご案内のとおりですけれども、一方、当然そうした情報を一番知りたいというのは日本国民ではないかと思うのですが、その日本国内への発表に先立って一定程度海外の理解を得るためにできる範囲で日本国内よりも早く海外に何らかの形で伝えるという判断、検討というのはされるのか。そうしたことはある程度念頭にあるのかどうか。この点について教えてください。

【大臣】これは、おっしゃるとおり、いくつかの要素を総合して勘案しなければいけないと思っています。1つは、今回はレベル7への引上げで直接このことによって動くという話ではありませんけれども、例えば何らかの対策であれば、やはりあらゆる方法、あらゆる手段を検討した結果、これを行うべきだと決断をしたら、原子力発電所はまだ残念ながら進行中の事案でありますので、速やかに実行に移した方がいいという要請が1つあります。
 今、お話しさせていただいたように、関心の高いところにはあらかじめお知らせをする必要がある。これは外国に限らず、例えば関係の機関であるとか、自治体であるとか、発表と同時に問い合わせを受ける可能性のあるところに、混乱を招かないことも含めてどの段階であらかじめお知らせをするのかという問題があります。
 そして同時に、おっしゃったように、決まったことであれば速やかに国民に知らせるべきだという基本的な考え方というのがあります。
 このそれぞれの兼ね合いを総合的に判断しながら、決められたら速やかに発表するということが基本的に考え方としてあると思いますけれども、いわば一定のマージンの中でできるだけのことをするという中で、我々としても外国の各国の政府は、メディアを通じて発表されれば、場合によっては照会を受ける立場になられるということも考えれば、ある程度の説明を申し上げることは必要ではないか。これはまた日本自身のこれから外交ということで各国との関係というのも、日本自身開かれた国でありますから、重要でありますから、そういう意味では必要ではないかということで、できる範囲の中でさせていただいているとご理解いただけたらと思います。

【フリーランス 上出氏】震災関係で2点教えてください。1か月経ったということでいろいろな問題が見えてきたのですが、地震の前にいろいろ言われていたTPPの問題が、この震災によって影響を受けるのか受けないのか、私見でよろしいのでTPPと震災との関係について教えていただきたいのが1点と、公表できる範囲でいろいろな外国の方々が来られて、フランス等は原子力の専門家も来られて、具体的に今の復興も含めてですが、主に原発の事態を収束させる方向で、この点は役に立っている、こういう協力は非常に成果になったということで、積極的に公表した方がいい部分もあると思うのですが、その辺で今、言える部分がありましたら教えてください。

【大臣】先ほど私(大臣)は外交の責任者ですので、外交は一日もゆるがせにすることなくと申し上げさせていただきました。今おっしゃったTPPを含めて経済連携の活動などは外交の範囲に、また、内政とつながった部分でもありますけれども、入るだろうと思います。
その意味では、私(大臣)自身も経済外交というのは日本の国力を増す、経済力を更に強めることに資する外交という位置づけで展開をしてまいりました。その中の一環としての経済連携があるわけでありますから、これから復興に向かっていく中で経済というのは大変重要なポイントでありますから、これを前に進めるべきということを私(大臣)自身としては申し上げていきたいと思っておりますが、全体としてこれから復興の青写真が描かれていく中で国を開く、またはそういった各国との連携というものをどういう位置づけにするかということは、これから議論されることになるのではないかと思っています。
 また、我々としても懸命に努力をしておりますけれども、実際にはそれぞれ私(大臣)も含めて閣僚も1人ずつでありますから、震災の対応をしながらそういった活動をするということについても、物理的な制約から多少の影響が出ていることは事実としてあると思いますが、それをできるだけ最小限にするのが私どもの仕事ではないかと考えております。
 2つ目は協力ということでありますが、特に原発の関係は今、進行中の話でありますけれども、ご案内のとおり米国、フランスなど、それぞれ専門家においでをいただいておりますし、また、それ以外にもそれぞれの国から専門家が来られて意見交換をさせていただく中からは、いろいろなアイデアであったり、いろいろな資機材の提供であったりというのが行われていると承知をいたしております。
そういう意味で具体的なオペレーションそのものは、当然もちろん事業者である東京電力、そして我が国の政府が、日本側が主体となって行ってきているわけでありますけれども、個別それぞれ一つひとつ挙げれば、いろいろな資機材を提供いただいたというデータもありますが、全体としてはやはり原子力発電所、特に原子力発電に詳しい国々からの支援というのは大変有用であるということは、申し上げられるのではないかと思っております。

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内政

【NHK 稲田記者】内政に関してですけれども、統一地方選挙の前半戦が終了いたしました。民主党としては議席を減らして、党内からも執行部の責任を問う声は公然と広がっている状況でもありますけれども、こうした今回の選挙結果、そしてその執行部を今後どうするべきかということについて、また特に愛知6区で不戦敗という形にもなっていますけれども、候補者擁立のあり方等々について、受け止めと、今後執行部はどのようにあるべきかというお考えをお聞かせください。

【大臣】選挙はまだ前半でありますので、現段階で体制云々というお話をする前に、我々、党としては戦わなければいけないという状況だと考えております。私(大臣)自身は、今、この責任ある立場をお預かりしていますので、この職に専念をすることにいたしておりますけれども、私(大臣)の地元においては、私(大臣)の地元のスタッフなどは、引き続き後半戦に向けて戦いを継続している状況だと理解いたしております。
 その上で、今回の結果はやはりしっかりと受け止めて、この国民の皆さんの声ということはどういった点が我々に正すべきだということを求めているのかということも真摯に受け止めながら、これから理解いただけるように努力をすべきだということではないかと考えているところであります。

【NHK 稲田記者】そうすると、今回議席を減らした要因というものは、大臣としてはどういったところにあるとお考えなのでしょうか。

【大臣】選挙の感じというのは、現場に入って知るのが一番ですけれども、私(大臣)は今回1回も入っておりませんので、ちょっと現段階では私(大臣)自身の感じとかいうのを申し上げる材料は、残念ながら持ち合わせておりません。
率直に申し上げれば、地域によっても恐らく相当いろいろ違うと思うのです。今回は当然、先ほど申し上げましたが、震災のことによっても各地域が置かれた状況はそれぞれ異なっていると思いますし、ですから今、私(大臣)の段階で具体的なことをちょっと申し上げることは、材料を持ち合わせておりませんけれども、結果として議席が減ったという事実は、しっかり受け止めなければいけないというところから、よく見ていかなければいけないというようには考えています。

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米軍再編問題

【琉球新報 松堂記者】普天間問題でお聞きしたいと思います。日米返還合意から本日で15年経ちますが、返還の目途が立っていません。また、今回の震災後の米軍の対応で、改めて日米同意の重要性を評価する声が出ています。このことが普天間問題の解決にどのような影響を与えるか、お考えをお聞かせください。

【大臣】日米同盟の重要性というのは、私どもとしてはこれまでも大変重要なものだと位置づけてまいりました。確かに今回の災害対応のように共同で行動することで、これが目に見える形になったという意味はあるかもしれませんけれども、大変重要であるという位置づけそのものは、何ら変わりがないものだと思っております。
 そして普天間につきましては、かねがね申し上げてきているように、沖縄の負担軽減を図りながら5月28日の合意を実施していきたい、そして、そのために誠意を持って沖縄の皆様に理解を得られるように、努力をしていきたいということを申し上げてきているところでありまして、基本的な考え方、そして立場が変わるものであるとは思っておりません。もちろん、先ほど申し上げましたようにこれだけ大きな震災ですから、いろいろな形で皆さんの中にどのような影響を及ぼしているかというのは、我々も想像されること、計り知れないこと、いろいろあるだろうと思っておりますが、基本的に私どもの姿勢というのは変わらないということで、ご理解をいただけたらと思っています。

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外務大臣会見記録(平成23年4月8日(金曜日)16時46分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)松本外務大臣の日・ASEAN特別外相会議への出席について

【松本大臣】明日9日、ジャカルタで開催される日・ASEAN特別外相会議に出席することといたしました。この会議は、今回の震災を受けて、ASEANの議長国であるインドネシアからご提案いただいたものでありまして、日本に対する支援と日本とASEANの強固で特別な連帯を示す、大変意義のあるものだと思っております。
 会議では、私(大臣)の方から、ASEAN各国の連帯の意思表明と支援について感謝を申しあげると同時に、現在の我が国の震災の対応状況などもしっかりとお伝えをしていくと同時に、今後の日・ASEANの協力関係、防災分野等を含めて議論をしていきたいと思っています。

(2)ジュリア・ギラード・オーストラリア連邦首相の来日について

【松本大臣】今月20日(水曜日)から23日(土曜日)の予定で、オーストラリアのジュリア・ギラード首相とティム・マシーソン氏が、公式実務訪問賓客として来日されます。
 滞在中の21日(木曜日)に天皇皇后両陛下が、ギラード首相及びマシーソン氏を御引見されます。また、菅首相は、同首相と会談する予定です。
 今回の訪問を日豪関係強化に繋がるものとして歓迎したいと思っています。

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日米関係

【共同通信 斎藤記者】現在の日米関係を取り巻く状況や大震災の対応など総合的に勘案した場合、2+2の開催時期はいつ頃にするのが一番望ましいと考えるか、大臣の率直なご見解をお伺いできればと思います。併せて、菅総理の訪米についての日程的な希望もお願いします。

【大臣】外交的な面から申し上げれば、日米関係というものが強固なものであるということと日米の協力というのが幅広い形で進んでおり、未来に向けても大変有意義であるということを示すという意味では、やはり早いうちに行われることが望ましいと思っております。また、総理の訪米についても、さまざまな今後の外交日程などを考えれば、また、先ほど申し上げた日米関係の意義というのも併せて考えれば、しかるべき時に行われるのが望ましいということになってまいります。実際問題として、2+2ということになると4閣僚ということになりますけれども、過去4年間で現実の2+2、全員揃うというのは開催できていないということになろうかと思います。いかに4人の日程を全部そろえるのが難しいかということになりますので、まさに今の状況だからこそ4人がしっかり揃うことが大事だと思っておりますし、この認識はおそらく日米関係者皆同じような認識を持っていただけているのではないかと思っております。
 他方で、現在、我が国は引き続き未曾有の大震災の対応をしっかりやらなければいけない状況でありますから、そういったことを総合的に勘案をしてどういう形が望ましいのかということを、できるだけ早いうちにも決めていきたいと思っております。

【時事通信 西垣記者】本日、大臣は防衛大臣とこの件に関して協議されたと思うのですが、防衛大臣は午前中の記者会見で、震災対応もあるので、今、私(北澤防衛大臣)が日本を離れるのは少し難しいという趣旨の発言をされて、基本的には連休中の開催、日本での開催というのは難しいというご認識を示されたのだと思うのですが、こういったことに関して、外務大臣としてどのように考えていらっしゃるか、連休中の開催ということについて、どのように考えてらっしゃるかということを聞かせてください。

【大臣】特定の日にちを上げての議論は、今、私(大臣)の方から申し上げることはできませんが、当然、10万人の自衛官・自衛隊員を出している状況の中で、北澤大臣がそうおっしゃるのも、お気持ちというか、お考えとしては、私(大臣)どもとしても、よく分かります。同時に、本日、北澤大臣とお話しをさせていただいたのは、もうご案内のとおりですが、総理の訪米は然るべきときに行われるべきだということ、それから、総理の訪米前に2+2が行われるべきだということ、そして、2+2は当然4人揃うべきであるということ、また、4人が揃うというのは、なかなか簡単なことではないということ等の認識も共有をさせていただいていると考えておりまして、そういう中で、いま申し上げたような形の、一定のことを考えていかなければいけないと思っております。

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日印原子力協定

【朝日新聞 大島記者】日インド関係についてお伺いいたします。
インドのラオ外務次官が来日されていて、これから大臣もお目にかかれて、次官級の対話もあると承知していますが、その中で交渉中の日インド原子力協定についても当然話題に上るかと思うのですけれども、今回の震災を受けて、改めて日本としてはこの交渉について、どういった立場や考え方を持っていて、それを今回インド側に伝えるのか。その点をお願いしたいのですが。

【大臣】当然、原子力の安全という分野での強化というのは、国際的にも行っていかなければいけないと思いますし、原子力に取組みをされる国々とは安全性の強化についてしっかり議論をして、それぞれ政府にも、そして、それぞれの国の国民にもご理解をいただけるようなことが必要であるし、望ましいと私(大臣)も思っております。協定そのものはさまざまな資機材から技術などを移転する場合に、これを平和利用目的にするということが協定のそもそもの主たる目的でありますし、それを確立するといった資機材等の移転の法的な枠組みということでありますので、個別の協力をするに当たって、またさまざまな今お話をしたような安全性の追加的な強化というような議論については、もちろん我々もしくは専門家の分野で応じていくことになろうと思いますけれども、協定そのものの交渉というのは、私どもの認識でも恐らく先方の認識でも、平和利用の法的枠組みは必要である認識は根本的に変わっていないということで、話を前へ進めるというご意向があるのではないかと思っております。

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東日本大震災

【毎日新聞 西岡記者】韓国側の報道によりますと、昨夜の大規模余震を受けて日本側が韓国側に、余震発生からおよそ50分で福島原発の状況に異常はないと通報したと報じております。報道は迅速だったという具合に評価をしているのですが、ほんの50分で深夜に起きた出来事の状況把握できるのかという、若干の疑問もあります。実際、どの段階でどのような内容を韓国側に通知されたのか、お聞かせください。

【大臣】私(大臣)も起きてテレビを拝見しておりまして、既にかなり早い段階から一定の情報というのは、福島原発についても原発の現場からメディアを通して出されていたのは、既に皆さんもよくご承知のとおりだろうと思います。
前もここでも話をさせていただきましたけれども、情報提供というのは速やかにということと、確認をしてからということの兼ね合いというのでしょうか、その組み合わせの部分というのがあると思いますので、日韓関係のこれまでの関係からしても、一定のわかったことは速やかにお伝えをするというのが望ましいんだろうという趣旨で、関係者の皆さんは常にご尽力いただいていると理解しております。

【毎日新聞 西岡記者】また同様に韓国報道の確認ですけれども、福島原発の放射能事故対策を議論するために、日韓の間で専門家の会議を来週開くという報道がありました。並びに5月に予定される日中韓首脳会議で原子力安全協力に関する共同合意文をまとめるとの報道もありました。この2点について確認をお願いします。

【大臣】すべてのスケジュールを承知しているわけではないのであれですけれども、情報提供、また透明性の高い形をとっていくという意味では、もちろん、専門家の方々の議論というのも基本的に私(大臣)どもは歓迎をしたいと思っております。
 もちろん対処に当たる一方でということですので、スケジュールとか時間的な調整というのは必要にはなってくるのだろうと思いますけれども、その意味では、お問い合わせいただいたことについては、具体的には私(大臣)の手元で今、確認する情報は持ち合わせておりませんけれども、基本的には専門家同士でお話をいただくということは理解を深めていくのに大変重要なことで必要だろうと思っています。
 首脳会議での文書ということでありますが、まさにご指摘があったように、3月の日中韓の外相会議で原子力安全分野についても協力を強化していこう、そしてそれについて首脳会議でしかるべき成果につながればという思いで、言わば議論はスタートしましたけれども、現段階で文書その他のことが確定しているとは私(大臣)は承知しておりません。

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ODA予算削減

【NHK 稲田記者】今回の震災を受けて、130を超える国々が日本に対して支援の意を示してくれました。その背景にはODAということがあると数多くの方が指摘しておりますけれども、一方で、震災復興の財源としてODAを2割カットということを岡田幹事長から外務省に伝えたと理解しております。
 先に2割カットという数字がある形で、しかも割合も大きな話ですけれども、こうした震災復興という理由があるとはいえ、ODA大幅削減ということについて大臣はどのようなご見解をお持ちなのかお聞かせください。

【大臣】私(大臣)が承知をしている限り、記者会見で岡田幹事長は、1年に限って一定の削減は理解をいただけるのではないかというようなご発言があったということは承知しております。また、削減については、岡田幹事長のもとにご説明に上がった事務方に対してお話があったということも報告は上がってきておりますけれども、まだ党の中、そして政府の中で、どのような議論でどのように決まったかという意味では、これから議論をさせていただけるのではないかと私(大臣)としては期待をしたいと思っております。
 その上で何点か申し上げたいと思いますけれども、1つは、もちろん国際的な分担金とかODAといったものは、年度とかそういったことの関係もあることもありますが、ODAについては、かなりの部分が従来からも補正で計上させていただくことによって年間のODAの総額がある程度の金額になってきているという中で、本予算だけを見て、そこからどのぐらい削減できるのかということについては、やはりしっかり議論させていただかなければいけないだろうと思っています。
 その上で、今、申し上げたように、本予算というのは、まさにある程度人的貢献とかも含めて、継続的に来ているものが決して少なくないわけでありますから、これは追加的にやっているものを1年で切るとか、切らないという話ではなくて、継続的なものをやはりここで切れるかどうかという意味では、決して影響は小さくないという、どういった金額かにもよりますけれども、切り方によっては決して小さくない影響が出てくると考えるべきではないかと思っております。
 これまでODAで支援をしたから今回支援をしたということで、出したから返ってきたとかという感じにとらえるべきでないと私(大臣)自身は思っております。どういった内容で、本当にその国のことを思って、その国の発展に日本の支援というものがODAも含めた、人的貢献も含めた、また日本の外交も含めたものが寄与してきたということが、今回やはり信頼すべき国として、また友である国として日本を支援しようという形で返ってきたのだと思っています。同時に、それは私どもも是非日本は復興、復活をしたいと思っていますし、多くの国々が期待しているのは、やはりこれまでと同じようにか、もしくはこれまで以上にしっかりと多くの国々とともに歩む日本というのを期待しているだろうと思います。
そういう意味では、ODAについて先ほど申し上げたように、特にこれまでの継続的な貢献というものが無になりかねないような形はできるだけ避けていきたいと思っています。

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原発対応をめぐる韓国高官の発言

【共同通信 高橋記者】昨日、韓国の金首相が原発の対応をめぐって、日本は無能だと明言しました。まず、この発言に対する受け止めと、この発言は、恐らく韓国の国民の中で日本の原発対応に対して不信感が高まっていることの現れだと思うのですが、日本としてはこのような不信感を払しょくするためにどのような対応をとればいいかとお考えでしょうか。

【大臣】前後の議論の経過から、日本は無能と言ったかどうかというのは、さまざまなあれがあるのではないかと思いますが、私(大臣)どもも日韓関係にかんがみて、これまでの隣国としての良好な日韓関係にかんがみれば、やはり今回のやむを得ぬものとはいえ、汚染水の放出については、きちんと詳細な説明なり、手続なり、しかるべき形がもっとあったのではないかという問題提起を韓国政府がされているということは、私どもも認識をいたしておりますし、やはり非常に時間が限られた中で、速やかに判断をして行動に移すことが、ある意味では引き続き今の原発の対応については必要だとはいえ、我々もこれから更に努力できるところは努力していこうというのが、今の政府の基本的な考え方であります。まさにそういう問題提起をされている中で、(韓国)国民や(金)総理は日本政府や日本自体が無能という趣旨でコメントをしたとは理解をしておりませんし、そういう趣旨だと私(大臣)どもも確認をさせていただいているとご理解をいただいていいと思います。

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ジュリア・ギラード・オーストラリア連邦首相の来日

【朝日新聞 松村記者】先ほど大臣からご説明があったように、ギラード首相の訪日の件ですけれども、日豪関係はさまざまな課題があると思いますが、特にどのような議論が交わされる見通しか、特に日豪EPAの交渉進展についても期待されていると思うのですけれども、どのようなお話が期待されるかをお聞かせください。

【大臣】日豪の関係は、政治、安全保障、経済、全般的に大変重要な関係だと私どもは思っております。現在、国会でもご承知のとおり、日豪ACSAも審議中でありますし、今回はオーストラリアの方は輸送機も震災の支援に出していただいていると記憶をしております。
 そういう意味では、本当にオーストラリアと我が国の関係というのは、幅広い協力の関係だと思います。もちろん、その中にはおっしゃったように、日豪の経済の関係。既に大変な資源の供給国としても、我が国に対してある意味では、オーストラリアにとっても、もちろん資源の輸出という大きなメリットがあると思います。我々にとっては資源の供給という大変なメリットがある関係がありますし、それにとどまらず、さまざまなものがオーストラリアと関係している中で、広い意味でオーストラリアとの経済関係を深めるという意味では、私どもとしても、日豪のEPAは現在交渉中でありますけれども、是非これは交渉が実るように努力をしたいと思っております。広い意味での協力関係の中では、具体的に今、何がテーマかというのはあれですけれども、いろいろと議論が出る中の一つとしても、それはもちろん考えられるテーマだと思います。

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外務大臣会見記録(平成23年4月5日(火曜日)15時32分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発表

(1)東日本大震災について

【松本外務大臣】昨日、当省の政務の高橋副大臣、菊田政務官、徳永政務官を被災した東北三県の現地調査に日帰りで派遣をいたしました。自己完結ということで、早朝スタートして戻りは深夜でありましたが、往復をしてまいりました。
 高橋副大臣は、岩手県を訪問して、支援活動に携わる日本のユニセフ協会の関係者、避難民を受け入れている「ふれあい岩手ランド」の関係者、盛岡市長、岩手県警察本部と意見交換を行いました。資料をお手元に配らせていただいていると思います。副大臣からは、震災対応のフェーズが移っていくにつれて、新たなニーズが発生している、海外からの支援についてもきめ細かい対応が求められているという報告がありました。
 菊田政務官は宮城県を訪問して、イスラエルの医療チームとトルコの救助隊の活動について現地の関係者と意見交換を行いました。菊田政務官からは、医療面での検査機能や感染症対策等にも重点があるという報告がありました。
 徳永政務官は、福島県、栃木県、避難民を受け入れているJICAの二本松青年海外協力隊の訓練所、福島県の政府の現地連絡対策室、日本赤十字社の栃木県支部の関係者と意見交換を行いました。特に福島であったと聞いておりますが、海外からの風評被害の対応を是非という声を聞いてきたという報告がありました。今回の地震で、世界各国の援助チームや物資支援といった形で多大な協力を得ておりますので、今回の現地調査の結果を今後の活動にまた役立てていきたいと、このように思っているところでございます。それぞれの報告書はお手元資料に配布申し上げたとおりです。

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福島第一原子力発電所の対応

【日本テレビ 野口記者】福島第一原発に関してお伺いします。低濃度とはいえ、放射性物質を含んだ水を意図的に海に放出するという作業を東京電力が昨日から始めましたが、韓国ではメディアを中心に反発の声が上がっているようです。この件に関して、事前に近隣国に関して、海に放出するということに関して、協議や相談等々の有無について確認させて下さい。近隣国に事前に協議や相談はしたのかどうかということを、まずお伺いします。

【大臣】おっしゃったように、意図的に汚染水を出したというご指摘でありますが、もちろん、結果として意思をもって排出をしたということにはなろうかと思いますけれども、今回の件については、原子炉等規制法の国内法に基づいて危険時の措置ということで行ったものであるということを、まずご理解をいただきたいと思っております。その上で、人への健康への有意な影響はないもので、今お話があったように、国際法上の義務との関係で、直ちに問題となるというものではないというように考えております。しかし、自発的に係ることについても、国際社会については、情報を提供する必要があるということで、IAEAに対しては、本件の事実を通報をいたしておりますし、また同日になりますが、4日、定例の外交団向けのブリーフィングの中で、本件の放出措置については述べさせていただくと同時に、外務省から外交団に連絡をしているのですが、全外交団向けに出しましたファックスの中でも連絡をさせていただくという形をとらせていただきました。

【日本テレビ 野口記者】連絡を取られたということですが、それに対して各国、特に近隣の諸国から理解は得られたとお考えでしょうか。また、反発の声等々、もしあったら教えて下さい。

【大臣】直接、私(大臣)のところに具体的な声をお聞きしたという報告はまだ上がってきているとは承知をしておりません。もちろん、先ほど、危険時の措置ということでお願いをさせていただいて、わかりやすい言葉で申し上げれば、しなくて済むのであればその方が望ましいに越したことがないと思っておりますが、これは私(大臣)自身というよりは原子力の対応に当たっている方々や専門家の意見も、おそらく聞いた上で、今必要な措置として取ったものだと認識をいたしておりますので、諸外国・国際社会にもそのような背景も含めてしっかり説明はしていきたいと考えております。

【朝日新聞 大島記者】大臣は今、国際法上の義務との関係で、「直ちに問題になるものではない」とおっしゃいましたが、この「直ちに」というのは何か意味が込められているのでしょうか。つまり、日本政府としては問題はないと考えているけれども、今後そこに違った解釈が外国の方からする可能性があるという意味ですか。それとも、全くこれは問題ないということでよろしいですか。

【大臣】早期通報条約というのがありますけれども、これにおいても国境を越えて放射性安全に関する影響を及ぼしうるような放射性物質の放出をもたらす、またはその恐れがある原子力事故についてはIAEAを通じてということになるようですけれども、及び関係国に関連情報を提供する義務が生じることになっておりますが、私どもとしては現段階では国境を越えて影響を与えるというものではないと思っておりますが、同じく3条で、これ以外の場合にも通報することができるとされておりまして、できるかぎり国際社会に説明するということで、自発的にご連絡をする必要があるという認識で連絡をさせていただいていると考えていることをご説明申し上げたと思っております。

【産経新聞 酒井記者】確認ですが、韓国から大使館なりを通じて、そういう問い合わせがあったかどうかという確認は、大臣のレベルではまだ確認できていないということでよろしいのでしょうか。

【大臣】正確には、私(大臣)のところに韓国から政府レベルでのそういったお話があったということは、情報には接していない。確認できていないのではなく、接していないと申し上げたつもりですが。

【朝日新聞 鶴岡記者】条約について確認をさせていただきたいのですが、先ほどおっしゃった早期通報の条約での通報に限らず、前の方でおっしゃった昨日に意思を持って排出をしたことについては、例えば海の環境の保護・保全を定めた国連海洋法条約に規定があって義務付けられているのですけれども、そうした国際法の義務に抵触する可能性もあるのではないかという指摘も出てくるかもしれないのですが、その意思をもって排出した海の環境の保護・保全という点では条約上問題はないのでしょうか。

【大臣】海洋法を全部ご存じだと思うのですが、もちろん、我々も含めて海洋汚染を防止する一般的な義務を負っていると承知をしております。その上で、どの国もあらゆる発生源から海洋汚染を防止・軽減・規制をしていくために実行可能な最善の手段を用いて、かつ自国の能力に応じて海洋汚染の発生源からの放出をできる限り最小にするための措置をとるということになっておりまして、私どもとしては、今ベストを尽くしてやっていると理解をしております。

【読売新聞 向井記者】汚染水の放出の関連ですが、一部省庁で例えば農水省などは事前に経産省、東電から放出について連絡はなかったということを大臣が会見でおっしゃっています。
 昨日の段階で、外務省は外交団への定例ブリーフで説明をしたということですけれども、外務省には事前に経産省もしくは東電から放出について連絡はあったのか。この点を確認したいのが1点と、また、本日以降の定例ブリーフで今後とも各国に理解を求めていくのか、あるいは大臣の側もしくは省幹部から各国に個別に理解を求めていく形になるのか、この方針をお聞かせください。

【大臣】まず後段から行けば、昨日のブリーフの様子をおおむね概略を聞かせていただて、その旨を報告した。こういった放出を行うことになるということを申し上げたという報告は聞いておりますし、そのことについてその場でどういうやりとりがあったかということで、特に報告すべきことがあったのかどうかわかりませんけれども、本日改めて結果としてこういうものをどのぐらい実行したということは、恐らく報告することになるのではないかと思います。
 私(大臣)が承知をしている限り、外交団へのブリーフでは基本的には前回のブリーフからほとんど連日やっていますので、この1日ということが多いのですけれども、この後、直近で決まっていること、考えてられていることを申し上げているというのが実態だと思いますので、恐らくそうなるのではないかと思います。
 その中でどのようなご意見が各国から出てくるかによって、またそこで対応させていただくことになろうかと思います。

【読売新聞 向井記者】昨日、事前に外務省に連絡があったのか。

【大臣】農水大臣の会見は私(大臣)は直接把握をしていないのでわかりませんけれども、政府として決めたことだと理解をしておりますので、是非民主党政権の1つの目標の縦割りの弊害の除去に向けて、努力がもし必要であるとすれば、引き続き努力をしたいと思います。

【読売新聞 向井記者】再度の確認で恐縮ですが、つまりお聞きしたいのは、昨日午後7時の段階で東電は放出を始めているのですけれども、外務省のブリーフというのは何時にあって、それは午後7時より前の段階だったのか、後の段階だったのか。もし午後7時より前に行われたのであれば、事前に外務省に東電もしくは保安院なりから連絡はあったのかという点なのですが。

【大臣】外交団ブリーフは午後4時です。

【読売新聞 向井記者】では、事前に連絡があったと理解していいわけですね。

【大臣】私(大臣)としては、これは政府として決めたというか、東電はもちろんですけれども、そういうもので共有をしているものだと理解をしておりました。

【世界日報 山本記者】先だってドイツの外務大臣が来られて、その問題等のお話になったと思うのですが、ドイツの有力紙の中には、当初新聞論調というのは日本の対応が懸命にやっておられて、避難民の行動も素晴らしいという論調が大半だったと思うのですけれども、3月末の段階では、そもそも福島原発の補助電源がちゃんとその前から機能していたのかというくだりも書かれたりしておりまして、外相がそういう内容を紹介されたかどうかわかりませんが、そういうような国内の論調の中でドイツの方としても与党が負けたり、いろいろな変化が起きている中で、そうしたそもそも論みたいな、事故が起きる前にきちんとした対応ができていなかったというような疑念とか、そういうトーンがもしあったのかどうかお聞きできますでしょうか。

【大臣】ドイツの内政について、私(大臣)どもがお答えする立場にはありません。外相会談においては、私どもから現在行っている対応についてお話をさせていただきましたし、先方からは必要な支援については、震災、原子力発電所対応、いずれも全面的に行いたいという旨のお申し出がありました。
 そのほか二国間関係であるとか国際的な関係についてお話したのは、当日の記者会見でお話をさせていただいたとおりでありまして、それ以上のやりとりについては外交上の関係からも申し上げられることは、これ以上は差し控えさせていただきたいと思います。

【世界日報 山本記者】そういった論調が出たりしていることを踏まえて、きちんとした整備、あるいは事前の点検が万全だったというメッセージが、もう一度必要な場合もあるのではないかと思うのですが、その辺の誤解を解くという意味での政府側の対応については、どうお考えでしょうか。

【大臣】当然、原子力についてはさまざまな制度がありますので、それに則ってこれまでも運営をされてきたものと思っておりますので、今のお話も含めてお話をしっかり伺わせていただいたと受け止めたいと思います。

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海外からの物資支援

【共同通信 斎藤記者】各国からの物資支援状況と今後の対応についてお伺いしたいのですが、これまで各国政府、ご案内のとおりで相次いで物資支援を表明して、申し出もあるわけなのですが、複数の国が、具体的に言うと、シンガポール、フィリピン、インドネシア等々、いろいろ送りたいものがあって表明しているのだけれども、なかなかそのマッチングの問題、また、日本国内の受入体制の問題等々があって、なかなか思ったように支援がいっていないという話も伝わってきております。
 こうした各国の要請に対して、より応えられるように、更に日本国内の輸送体制、受入体制を整備する余地は、現時点で残されているのかどうか。もっと改善する余地が残されているのかどうか。この点についてお伺いしたいと思います。

【大臣】先ほどの高橋副大臣の報告でも、フェーズによってニーズが変わるという趣旨のお話をさせていただきました。正確な項目は、記憶ですので、確認をしていただく必要があるかもしれませんが、私どもとしても、これまで外国の方にも、過去の経験も生かして、今の時期は、例えば毛布のニーズがあるとか、例えば保存のきく食料のニーズがあるとか、比較的新しい段階では、長靴のニーズがあるとか、出てきたニーズはできるだけ、こういったニーズが今、出てきているということはお伝えをするようにして、供給というのでしょうか、支援と現地がマッチすることがあらかじめできるようにということを努力してまいりましたけれども、実際の問題として、今、何とは申し上げられませんが、いくつかやはり現地からのお話ですと、支援の物資の種類によっては、総量でそろそろ需要を満たしているものもあれば、また他方では、まだ需要に欠けているものもあるというような状況がありますので、できるだけそういう情報はうまく伝わるような形で努力をしていきたいと思っております。
 これも正確な数字は必要があれば確認をしていただいた方がいいと思いますが、現実には、今、物資の申し出があったところは130ぐらいだったと思っておりますが、そのうち4分の1ぐらいは、既に実際に届いています。また、2割ぐらいは、今、まさに配送中というか、手続中になっているのではないかと思っておりまして、更に2割あるかないかぐらいだと思いますが、それが具体的な申し出で、まだこれからマッチングをしなければいけないという課題だと思っております。
 他方で、半分とは申しませんけれども、半分近くは一般的に支援をするといった申し出の内容もありまして、先ほど話したように、そういうところには、こちらとしてはこんなニーズが今ありますよということを、いろいろな形でお伝えはしているという中で、またお話が出てくれば、具体的にマッチングをさせていきたいと考えておりまして、せっかくの海外からの支援の申し出ですから、できるだけ有効な形で現地の被災の方々にも喜んでいただけるような形で届けられることが、最終的には双方にとっていいのではないかと思っております。
 その上で、今、お話があったように、マッチングにできるだけ時間がかからないように、配送もできるだけ速やかに行えるようにということについては、実際にやってみて、改善すべき点については、恐らく常に何かしらは改善すべき点があるだろうと思いますので、情報を緊密にとって、連携を緊密にとって、一つひとつ改善をしていくべきだと思っております。そういう一環で、昨日も政務三役に現地に行ってもらったと思っておりますので、そういった報告も踏まえながら、気づきの点はまた直していくということを積み重ねていって、改善をしていくことが望ましいのではないかと思っております。

【共同通信 斎藤記者】今の関連ですが、地域別に言うと、今のASEANの議長国ですけれども、インドネシアは非常に熱心に日本支援を訴えております。現時点ではまだ調整中ということで本決まりではないということですが、インドネシアでの会合も予定されているということでございますが、このインドネシア及びASEANの彼らの現時点での支援の意向と、また今後ASEANとどういう形でまた連携を取り組んでいこうとお考えなのかどうか。この点についてお伺いしたいと思います。

【大臣】ASEANは、我が国もこれまで大変ASEANとの関係というのは重視をしてまいりました。そういう意味で、今回の支援に当たっても、ASEAN各国もこれまでの日本との関係を大変重んじた形で積極的な支援のお申し出をいただいているのだと理解いたしております。
 先ほどお話をさせていただいたように、国と国との関係としては、お互いの意向というか気持ちが伝わった時点で1つ大きな信頼関係が更に増進するものではないかと思っております。もちろん、おっしゃったように具体的に実現することが更に望ましいわけですけれども、具体的な実現に当たっては、まさに万一でありますけれども、送ってもらっても実はもう既にニーズが満たされているものであったりということになると、送っていただいた方にも申し訳ないことに最終的にはなりますので、していかなければいけないと思っています。
 もちろん、ニーズを合わせるためとか、配送が大変だからとかということが支援を受け入れないとか支援を先送りするような理由になってはいけませんので、そういうことはないようにというのは私(大臣)も指示をしておりますし、各職員はそういう受け止めで努力をしてくれていると思っております。是非それは実現をしていきたいと思います。
 その上で、ASEANとはこれまで、今回残念ながら、ASEAN地域フォーラムの災害協力の訓練のARFDiRExはちょうど震災翌週でありましたので、我が国の自衛隊は参加することはできませんでしたけれども、我が国政府を代表として、外務省の菊田政務官に行ってもらったわけでありますが、ああいった試みなども、やはり防災についてはこれまでも日本が一定の主導的な役割を果たしてくることができたのではないかと思っております。
 今回のことについても、震災の対応についてはあらゆる意味で、今後、復旧・復興と同時に防災対策としての検証ということも行われていくと思いますけれども、こういったことも含めて、更にASEAN各国とは、残念ながら東アジア地域というのは大きな災害がこれまでも何度か発生しているという意味では、自然災害への備えというのは更に強めていかなければいけないと思いますので、そういった面でも我が国ではさまざまな知見や人材というものもまだまだASEAN各国にも活用していただけるものもあるのではないかと思っておりますので、しっかりとそういう意味で国際的に貢献のできる外交展開をしていきたいと思っております。

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米軍再編問題

【琉球新報 仲井間記者】日米地位協定について伺いたいのですけれども、午前中の安保委員会で地域協定の改定について大臣は、「喫緊の課題で、普天間飛行場移設の進展を踏まえてその対応について検討していく考えだ」と答弁されたのですけれども、地域協定の改定が普天間の問題の進展を踏まえる必要がある理由についてお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】どうご説明していいのかわかりませんけれども、直接普天間の進展とリンクをしているとは考えておりません。広い意味での日米関係の中から、これについてもしっかりと検討していきたいという趣旨を申し上げたわけでありますが、当面、日米関係においては普天間の基地移設問題というのも喫緊の課題としてあるということを申し上げた趣旨だとご理解いただけたらと思っています。

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内政

【NHK 稲田記者】大連立に向けての話ですけれども、本日、先ほど公明党の山口さん達が菅総理とお会いして、その中でこれまでも野党として協力はしている、必ずしも連立を組むという方式でなくてもよいのではないかと菅総理に伝えました。
 一方、自民党側では必ずしも谷垣総裁に限らずとも、閣内で連立という形をとるべきだという話もありますけれども、大臣としてはどういう方法で与野党が協力するのが最もよいと考えているのか、また、その場合には民主、自民だけではなくて、どういった規模であるのが最適であると考えているのか、お聞かせください。

【大臣】震災の対応、復旧・復興については、やはり政治として一致して臨むべきであると思いますし、一致して臨むことができれば大変望ましいと思っております。それは前回か前々回の会見でも申し上げましたけれども、復旧・復興ということそのものがこれまでのかつてない被害をもたらした大震災でありますだけに、復旧・復興についても、これまでのかつてない取組みになる部分が多数あるだろうと思います。
 そういう意味では、あらゆる英知を結集してという意味でも、既に国会においても本日の質疑でも全面的に協力をするという表明がいくつかの党からあったわけでありますけれども、政治レベルも同じ方向を向いていると思いますので、是非その力を糾合して、良い復旧・復興への道筋をつけるとともに、同時に国会を始めとする必要な実現プロセスを、できる限り速やかに実行することが大変重要だと思っております。
 そのための方法として、今、お話がありましたように、今までのような復旧・復興の対策の本部という形で1つに糾合するのがスムーズな方法なのか、何らかの協力という形なのか、それは閣内という形なのかということは、いずれも方法としてはどれもあり得るだろうと率直に思いますけれども、例えば連立とかそういう話になりますと、政党間で今、お話をさせていただいたような復旧・復興の道筋や実現への協力などについても、ご議論をいただくという形になると思いますので、その意味では党の代表である総理始め、与党の皆さんの方のご努力を既にいろいろさまざまされておられると思いますけれども、それに私どもも従っていきたいと思っています。

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外務大臣会見記録(平成23年4月1日(金曜日)16時45分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)原発事故を受けた各国・地域の輸出入等関連措置への対応について

【松本外務大臣】地震の関係でありますが、各国の、また各国地域の輸入関連措置への対応について、すでに副大臣などからもお話を申し上げた点もありますが、改めてお話をさせていただきたいと思います。原発事故を受けた日本からの輸入食品等に対する各国の輸入関連措置への対応として、外務省としては、在外公館による情報収集、在京の大使館・国際機関への情報提供・説明、また、過剰な措置を取っている国に対しては働きかけをするということに取り組んできているということは、申し上げてきたとおりであります。これに関して、昨31日、私どもの方から呼びかけをさせていただいて、福山副長官の下で、関係各省副大臣級連絡会議が開催され、各省で連携を取っていくことが申し合わされたと承知をしております。対応策の一つとして考えられている産地証明については、福山副長官がその場のブリーフで述べられたとおり、関係省庁との間で準備を進めていただいているところだと理解をしております。各国の措置については、外務省では在外公館に訓令を打って、調査をしております。その結果を随時、関係の各省庁と共有をして、各省庁より関係各業界、関係方面に情報提供をしてまいりました。主要国の措置については、外務省のホームページに一両日中に掲載をしたいと思っているところでございます。外務省としては、今後とも各国に対して原発の現状など十分に情報提供を行い、過剰な反応や不当な輸入禁止等の措置がとられることのないように、関係省庁とも連絡・連携して対応をしていきたいと考えております。ちなみに、大使館がいくつか閉鎖をされておりましたが、順次再開をされてきて、現在のところ、閉鎖をされているものは14と承知しております。

(2)ヴェスターヴェレ・ドイツ外務大臣兼副首相の訪日について 

【大臣】明日2日に、ドイツのヴェスターヴェレ外務大臣兼副首相が訪日をされますので、会談を行いたいと思っております。今回の訪日は、今般の地震の発生を受けて、日本に対する支援と連帯の表明のための訪日というようにお聞きしておりまして、実現をさせたいと思っております。私どもの方からは、本年、日独は交流150周年ということでありまして、両国間の友好協力関係の一層の緊密化をする機会とも考えております。もちろん、震災、原発事故に関する私どもの取組みを説明してまいりたいと思っております。

(3)平成23年度版外交青書の閣議配布について

【大臣】外交青書の要旨を本日、閣議で配布をしたところでございます。ご案内のとおり、昨年22年の国際情勢及びこれを踏まえた我が国の外交上の取り組みについて説明したものというのが、外交青書の位置付けでございます。

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原発事故を受けた各国・地域の輸出入等関連措置への対応

【共同通信 斎藤記者】今、大臣の方からお話しのあった一つ目の輸入措置規制についてお伺いします。「過剰な対応があった場合には、」というお話ですが、どのようなものが過剰で不当な措置なのか、日本政府としての明確なガイドラインがあるのでしょうか。もしあれば、具体的にどういった定義なのか、それをお示しいただきたい。
 二つ目は、実際にこれまでそうした不当と見られる措置によって、相当な損失が出ているのかどうか。ご認識で結構ですが、具体的なデータまでは問いませんが、印象論として、実際にそうした過剰な措置によって損失が出ているという受け止めなのかどうか。
 さらに相手国に対して、具体的にどのような改善措置を求めているのか、その点もできる範囲でお伺いしたいと思います。

【大臣】基本的には、国際的な基準もあるということはご承知のとおりでありますし、国際的に科学的な根拠などをしっかり示すということが求められているということもご案内のとおりでありますので、先ほど、各国で情報収集と申し上げたように、具体的にどういう基準で、どういう根拠に基づいて、どのような措置をとっているのかということ、そのものを問い合わせをすることも大事な作業ではないかと思っております。その上で、必要に応じて、既に申し入れを行うべきところはいくつか行っていると承知をしています。また、先ほど産地証明については、少し今の動きを話をさせていただきましたけれども、各国の要求も輸入の一時停止といったものから、各種類の証明書の添付などさまざまな措置がありますので、個別の事案に則して具体的に向こうに働きかけを行うことができるものについては働きかけをしているところでありますし、これからもしっかり取り組んでいきたいと思っております。
 実際の損害というか影響ということでありますが、まさに今、ご質問の中でおっしゃったように数字が出てきていませんので、確たることは申し上げられませんけれども、私どもとしても、引き続き現地においては救出・救援の活動が行われ、また、被災者支援の活動が行われ、これは最優先で進めていかなければいけないわけですが、併せて復旧・復興も進めていかなければいけないという中では、やはり、我が国全体の経済活動ということが進められていくことがたいへん重要なことですので、そういった意味からも、こういった措置についてはしっかり対応することが必要だという観点から進めているということです。

【時事通信 西垣記者】今、大臣のお話の中に、働きかけができるところについては既に働きかけをしているというお話があったかと思いますが、具体的にどういう国に対してどういう事案があったからどういう働きかけを行ったのか、分かれば教えて下さい。

【大臣】個別具体的に全てを申し上げることはできませんけれども、既に日中韓の会談の際には中国の措置について基準であるとかそういったものをしっかり示していただきたいといったようなことを私(大臣)自身が申し入れた経緯もあります。内容を明確にしていただきたい、趣旨をまず示していただきたいといったような内容から、私どもから見てどういった根拠なのかということがあれば、正すということと同時に、ある意味ではそれは是正を求める意味合いも持つものに、ものによってはなってきていると理解をしております。

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竹島問題(教科書検定)

【NHK 稲田記者】教科書検定についてお伺いしたいのですが、先日の検定の中で地理・公民の教科書のほとんどが竹島は日本固有の領土であるということが記述され、韓国側も大統領等が不快感を示しています。本日、権韓国大使ともお会いしていらっしゃると思うのですが、先方からどういった申し入れがあり、大臣からは改めてどのような日本の立場を伝えられたのか、また、教科書というものに記載されたことについてのこれまでの韓国の反応について、大臣としてどのような見解をお持ちなのか、お聞かせ下さい。

【大臣】大使の方からは、既にご承知のとおり、韓国政府の立場を表明をされたと思っております。併せて、今回の地震の支援というのは、それとは成熟した韓国市民の中においても別のものとして捉えており、そのように考えているというお話がありました。私(大臣)の方は、私どもの政府の竹島に関する立場は一貫しておりまして、また、教科書検定という制度についての立場も一貫をしておりますので、抗議は受け入れられないと申し上げたことが一つ。
 二つ目は日韓関係は大変重要な隣国関係であると認識をしているので、大局的な観点から対応をしていただきたいということを求めました。
 三つ目は、先方からも支援の話がありましたので、私どもも支援には感謝をしているし、その気持ちに変わりはないということをお話しさせていただきました。

【NHK 稲田記者】教科書ということになると、当然若い世代の人たちもそういった認識を持つということになります。これから日韓関係を見直していこうということでのコンセンサスはあると思うのですが、この見解のギャップはずっと続いてきますが、松本大臣としては、どういった形でやればこうした抗議の応酬というものをやめることができるとお考えでしょうか。

【大臣】まず、大前提として竹島についての我が国の立場は一貫をいたしております。そこの大前提をスタートラインとして、ここは大前提としてお話をさせていただかなければいけませんので、その上で今まさにお話があったように、残念ながら私どもとしては受け入れられない抗議があったという今の状況の中で、直ちに具体的な方策があるというわけではないと思いますが、外交の責任を担う立場からは粘り強く私どもの立場を理解して認めていただけるように努力をしていきたいということを申し上げたいと思います。

【読売新聞 向井記者】関連ですが、2008年に学習指導要領に竹島の記載がされた際には、韓国側は大使の一時帰国を決めるなど、強い抗議の姿勢を見せました。今回の韓国国内での報道ぶりなどを併せて見ても、当時よりは少し抑制的になっているという見方もあります。大臣は前回の08年と今回の違いをどのように見ていらっしゃるのかという点と、もしその違いがあるとしたら、それは何が理由だと見ていらっしゃいますか。

【大臣】私どもの方は、本日も大使から直接抗議を受けたところであります。韓国政府としては、韓国政府の立場を私どもに表明をされたということで、韓国側のメディアの対応であるとか、そういったものを今の段階で、私(大臣)が評価をするということは、申し上げる立場にはないと思っておりますので、2008年との違いという意味で、今、申し上げられることはないのではないかと思っています。

【読売新聞 向井記者】重ねての質問になりますけれども、お聞きしたいのは、2008年当時と比べて、日韓関係というのは前進しているのかどうか。つまり領土問題とその他、地震を分けるということですけれども、まず分離をするという点が、外交上は何らかの両国関係の成熟を示しているとお考えでしょうか。

【大臣】この件については、先ほども繰り返し申し上げましたけれども、私どもは私どもの立場を一貫して、立場を貫いていくという形になってまいりますが、先ほども申し上げたように、日韓の関係というのは大変重要な隣国関係であると、私どもはお話をさせていただいておりまして、お話がありましたように、これは両国のそれぞれの認識ということになろうと思いますので、私どもが前進をしているとか、していないという評価を、私どもの方で一方的にするのは適切ではないと思いますが、前進をしていると双方が実際に示すことができれば、それは大変望ましいこと思います。

【フリーランス 安積氏】竹島問題について、お伺いいたします。昨日の参議院の外交委員会で、佐藤議員の質問に対して、竹島についてですけれども、「法的根拠のない占有」と大臣はお答えになっております。「不法占拠」という言葉はお使いになっておりません。これは岡田大臣と前原大臣と民主党政権になって歴代大臣、皆さんが「不法占拠」という言葉はお使いになっておりません。これは大臣に就任されるときに、前大臣からの申し送り事項なのでしょうか。
 それから、竹島としての我が国の立場は一貫しているとおっしゃいましたけれども、これは国として一貫しているということなのでしょうか。それとも、前政権の自民党政権のときは不法占拠ということでしたので、これは民主党政権としての立場は一貫しているということなのでしょうか。

【大臣】正確に記憶をしていませんけれども、自民党、民主党の不法占拠ということはというように私(大臣)は理解をいたしておりませんが、私(大臣)自身は、今、最も適切な表現として法的根拠なく支配されていると申し上げるべきだと考えて、そのようにお話をさせていただいています。
 前大臣からは、当然あらゆる面について引継ぎを受けて、外交を展開していることはそのとおりでありますけれども、私(大臣)は今、責任をお預かりした以上は、私(大臣)の責任で判断をして、表現をさせていただいているとご理解いただけたらと思っております。

【共同通信 斎藤記者】竹島の関連ですが、今の韓国の世論では、ご案内のとおりで主要メディアが、「我々韓国は今、総力を挙げて日本の東日本大震災支援に懸命に取り組んでいる。これも韓日関係のためである。ところが、その日本からの返答はこれか」というような趣旨の報道がなされています。
 一つひとつの報道についてのコメントは求めませんが、そうした論調が強いということは、恐らく大臣も承知されているのではないかと思います。その観点から、先ほど大臣は、震災での支援を受けているということと、竹島問題に対する日本の原則的立場、この2つの問題は、それぞれ切り離してお話しされていると承知したのですが、もう少し韓国国民、そして日本国民向けに、こうした韓国の感情や考え方について、日本政府としてのクリアな立場。そして、彼らの支援に対する考え方と、そして竹島問題をどういうように切り分ける、といっても同じ日本政府の立場ですと、どういうように整理して、そしてどういうように韓国の皆さんに言葉を送るか。この点、ご発言をお願いしたいと思います。

【大臣】確かに言論・報道ではさまざまなお話があるだろうと思っておりますが、本日おいでをいただいた大使は、竹島については韓国政府の立場を表明され、同時に支援についての見解を述べられたと承知をしております。それに対して私(大臣)もそのように、先ほどお答えをしたとおりであります。
 その意味では、これまでも竹島についての私どもの立場は一貫して変わらない立場を申し上げてまいりました。そして日韓両国の関係は大変重要な隣国関係であるという私どもの考え方も申し上げ続けてまいりました。更に今回の支援については大変感謝を申し上げておりますし、我が国被災地域にも多くの韓国籍の方々がおられて、実際に被災をされている方々、残念ながらお悔やみを申し上げるところでありますが、命を落とされた方々も韓国籍の方でいらっしゃるわけでありますが、日本の国民と同じように救援・救出を力を合わせてさせていただいて、また被災をされた方々への支援も同じようにさせていただくべきだと思っておりますし、そのように進められていると承知をしていると、このことは是非お伝えをしたいと思います。

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内政

【共同通信 橋本記者】大地震に絡んでの大連立という構想が今、政府・与党内で浮上しておりますけれども、そのことについてお尋ねします。
 菅総理は一旦、谷垣自民党総裁に入閣を要請したのですが、谷垣さんは断りました。その断ったことについてどう思われるかという点と、復興していくに当たって与野党は力を合わせてやっていくというからには、やはり野党の幹部も入閣した方が国民にとって形としてわかりやすいと思うのですけれども、大臣はどのようにお考えになりますか。

【大臣】そのときもたしかご質問いいただいたような記憶があります。この震災の対応、復旧・復興については、是非とも国を挙げて行われるべきものであって、政治の面についても力を合わせよというのが国民の声ではないかと私どもも感じております。
 その際に、方法としては、今、お話があったように、政治的にさまざまな方法が、既に行われている与野党の合同の対策会議も一つの方法だと思いますし、入閣をされるという形で責任を持ってコミットされるというのも一つの方法としてはあり得ると思いますが、大切なことは、実際に何をどういうようにするかということであろうと思っております。政策的にもこれから救援、復興・復旧に向けてやらなければいけないことがたくさんあります。その中では、当然、立法措置という意味で国会での対応が必要になってくるものもいろいろあります。
 私(大臣)としては、結果として速やかに政策が実現されることが一番重要であって、そのための方法としては、私どもとしては幅広い選択肢を持つこと自身は否定しませんけれども、野党の皆様も累次にわたって復旧・復興については全面協力をするとおっしゃっていただいていると理解しておりますので、それを具体的にどのような形で表すことが最も早く政策効果を届けることができるかという観点から議論していただいて決めていただきたいと思っております。

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原発関連情報の公開・公表

【ニコニコ動画 七尾氏】冒頭、大臣からご発言がございましたが、福島原発事故について顕在化しております情報公開の遅延や誤った情報の公表は、国際社会からの信頼性の失墜につながるばかりか、風評被害をもたらす可能性もございます。
 原発事故収束の見通しがなかなか立たない中、海外におけます風評被害や日本の環境状況に対するネガティブな見方が長期間にわたる可能性がございますが、こうしたリスクに対してどのように具体的に対応されていくお考えでしょうか。

【大臣】ご質問いただきました。まさに私どもとしては、こういった会見等も通じて、できるだけ正確なことをご説明することが私どもの務めだと思っているところでございます。今、お話もありましたけれども、実際の情報の提供という意味では、私どもはそんなに遅れているとは思っておりませんけれども、正確性と速やかに出すということ、これは両立をさせることが必要であることはおっしゃるとおりでありますけれども、実際の現場からしますと、確認作業を重ねれば正確性は増してまいりますけれども、その分、時間を要することになります。
今回のことは、この情報提供も含めて、可能な時期が来ればあらゆる角度から検証をされてこられなければならないと思っておりますが、今、私ども自身も、そして現場も、それぞれ会見をされる立場の方々も、そのときそのときではまさに全力を傾けてベストだと思われる状況で、確認作業と、いつ情報を提供させていただくのかという兼ね合いでお話をさせていただいていると思います。
少なくとも、誤った情報については極めて速やかに修正されるべきところは修正されておると思いますので、是非そのことも併せて正確にお伝えをいただけるようになれば、ありがたいと思っております。
 昨日もIAEAの放射能の評価について、いくつか報道があったわけでありますが、IAEAの発表なども私(大臣)自身も、直接どういった表現をしているかというのも確認をいたしましたけれども、この表現そのものは1つのサンプルが出たということであって、引き続き更に詳しく調査をする必要があるという段階だという認識の評価であったと承知をしております。その意味では現在の政府の対応と全く一致をしていると思っておりますので、是非、国際機関と政府も連携をし、もちろんデータですから相互に検証し、確認をしていきながら進めているということを、むしろ国民の皆様にお伝えをしたいと思います。

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