(1)ニュージーランド南島での地震について
【前原大臣】私(大臣)の方から2点、お話をいたします。
まず1点はニュージーランドに関わる話であります。今日、閣議でニュージーランド南島の地震の被害に対する緊急無償資金協力50万ドルを行うということを閣議決定しました。これについては、ニュージーランドの赤十字社を経由して行わせていただく予定でございます。
被災をされた方々及びそのご家族の皆様方が今、現地に入っておられます。残念ながら未だに生存者について、緊急援助隊を含めて、発見をされていない状況でございまして、そのご心痛はいかがばかりかと拝察をしております。そういったご家族の皆さん方、あるいは被災をされた方々の心のケアというものを考えて、2人の専門家を派遣することといたしました。お一人は、国立国際医療研究センター病院の大谷恭平医師でございます。もう一方は、在フィジー大使館所属の古庄淳浩医務官。この2人を送ることにいたしました。
(2)第三国定住難民
【大臣】次に、我々は第三国定住という形でミャンマー難民5家族27名を受け入れておりましたけれども、今般、就職先が決まりましたので、発表させていただきます。2家族12名は千葉県八街市におきまして、3家族15名は三重県鈴鹿市におきまして、3月中旬以降、農業に従事されることとなりました。難民の方々を受け入れていただく関係自治体、または就職先を始め、関係者の温かいお気持ちに心から感謝、御礼を申し上げたいと思っております。今後、難民の方々が関係自治体、就職先や地域社会の支えを受けながら、安定をした自立的な生活を営んでいかれることを期待をしております。政府といたしましても、この方々の生活状況をフォローアップしていくとともに、各種相談に今後も応じてまいりたいと考えております。
【毎日新聞 犬飼記者】ニュージーランド地震の関係ですけれども、クライストチャーチで富山の専門学校生などが通っていらっしゃったキングス・エデュケーションのビルが倒壊しまして、昨日の時点で47人のご遺体が発見されているということですけれども、その後それがどういう数字になっているのかということと、その中に日本人の方々が含まれるのかどうか。または捜索状況についても是非お知らせください。
【大臣】今、犬飼さんがおっしゃった以上の発表は、今のところはございません。そして、身元まで含めて、地元警察から発表されているのは4名でございまして、すべてがニュージーランド人でございます。新たな情報がございましたら、報道官を通じて皆さん方に適宜お知らせをしたいと思います。
先ほど徳永政務官と電話でお話をいたしましたけれども、新たなインフォメーションはございませんでした。
【フジテレビ 高橋記者】事実関係やインフォメーションということではなしに、徳永政務官から、例えば現地の印象ですとか、何か現地にいるがゆえに感じた話などがあれば、ご紹介いただきたいのですが。
【大臣】現地は今日は雨が降っているそうでありまして、地盤が緩んでいるということで、ご家族の方々が倒壊現場に近寄れなかったということについて、極めて残念がっておられたということを伺いました。ただ、ニュージーランド政府、あるいは警察からは、二次災害のおそれありということで、その区域に入れなかったということについて、最終的にはご了解をいただいたと聞いております。
そして、66名の国際緊急援助隊の皆さん方は、極めて士気も高く、まさに交代交代でちょっとした休みを取りながら、獅子奮迅の活躍をしていただいているということでありました。また、大使館員も応援にかなり入っておりまして、その感謝の言葉と同時にみんな元気に活動しているということでありました。大使と徳永政務官はこれから入院されている方々の見舞いに参りたいということを電話の報告ではございました。
【日本経済新聞 田島記者】ニュージーランドへの政府専用機の派遣について、確認の意味でお聞きします。大臣は22日夜の会見で、政府専用機に家族も同乗させたいと表明されましたけれども、結局実現しませんでした。まずその理由についてお聞きしたいのが1点。それから、防衛省はこの件については外務省から正式な要請は来ていなかったとしているのですけれども、そもそも外務省から事前に防衛省の方に要請をしていたのか。以上、2点についてお願いします。
【大臣】報道機関として、いろいろと細かいことまでお聞きになりたいことはわかりますけれども、今回地震が発生したのが22日の午前8時51分、ニュージーランド政府から支援要請があったのが12時間くらい経った後でありましたけれども、その前に3名の事前調査隊を派遣し、国際緊急援助隊については事前のスタンバイをお願いして、そして、防衛省を含めて、政府専用機を使うのか、あるいは日本航空、全日空、それぞれのチャーター機を使うのか、あるいは商用便を使うのか、どれが早いのか。72時間というのが1つの目安でありますので、一刻も早くお送りするのはどうしたらいいのかということをさまざまに模索して、関係省庁は本当によく連携し、協力をしてくれました。とにかく一刻も早くということの中で、打ち合わせができているものもあれば、調整ができていないものもあります。また、ご家族の皆さん方も現地に行かれたいという思いがあったのは事実でありますし、また、結果として、検討したことができなかったことについては、がっかりされた気持ちについては、申し訳なく思っております。
ただ、全体の流れとして、いかに早く全体を調整して、現地に国際緊急援助隊を派遣するかということの中で生じたことでありますので、是非、事実を報道されるという皆さん方のお気持ちはわかりますけれども、全体の中での民主党の評価というものの中で、この問題の位置づけ、大きさというものを判断してご質問いただきたいと思います。
【NHK 稲田記者】先ほど大臣は、徳永政務官から現地で雨が降っているということに言及されました。昨日の会議でも菅総理の方からも、72時間ということがめどであり、これからの1分、1秒というものは非常に貴重であるということに言及がありました。
一定の目安ではあるものの、そこを超えているような現状、そして、今の現状について、どのような認識を持っていらっしゃるのか、特に現地の警察から、昨日47人遺体がという後に情報の更新がないという現状について、どのように感じていらっしゃるか、お聞かせください。
【大臣】先ほど申し上げたように午前8時51分に地震が起きて、先遣隊を送ったのが10時間余りというスピードでありましたし、また、政府専用機のお願いを防衛省にして、そして、恐らく不眠不休で千歳で整備をしていただいて、そして、結団式を成田で行ったのが、全国の消防が集まっていただいたのが11時半ということでありまして、26時間半後には、もう成田で政府専用機も機材を積む、そして、全国から緊急援助隊が集まるということで、かなりのスピードで努力をしていただきました。これもすべて、一刻も早く着いて、そして、日本人の方々のみならず、被害に遭われた方々を救いたいという思いの中で、私(大臣)は関係者の皆さん方が努力をしていただいたと思いますし、その努力を今もしていただいていると思います。
72時間という話は、当初からわかっておりましたので、だからこそ、一刻を争い、最短の方法をということで、今回のやり方を取らせていただいたわけでありますが、そのような中にあって、いまだにお一人も生存者が見つかっていないということについては、極めて残念に思っておりますし、ご家族の皆さん方の心中を察すれば、本当にいたたまれない気持ちでございます。
ただ、徳永政務官の報告でもございましたように、100時間以上経ってから無事に発見された例もございますし、長い方だったら1週間生存されていた方もおられますので、全くあきらめていないと。一生懸命に生存者の救出に向けて、士気は高く努力したいということでありますので、その皆さん方に心から敬意を表して、引き続きご努力をいただけるものと確信をしております。
【朝日新聞 大島記者】先ほどの政府専用機の関連で、一応、確認なのですが、昨日伴野副大臣は会見で、「若干そごがあった点について、ご家族が非常に不安な思いをされたということであれば、私からこの場をお借りしておわびするしかないと思います」というように昨日の会見でおっしゃっていますが、当事者の大臣としては、これはどうお考えなのか、改めてお聞きします。
【大臣】先ほど申し上げたとおりです。
【朝日新聞 大島記者】申し訳ないという気持ちということですか。
【大臣】先ほど申し上げたとおりです。
【毎日新聞 犬飼記者】政府専用機について別の質問ですけれども、政府専用機について、そのまま現地に置いて、被災者、あるいは負傷者、あるいはご家族の方も含まれるのかもしれませんけれども、そういった方々のご帰国に使うというような報道も出ています。
この場合、初めてのケースになるというようなことみたいですが、当初、ご家族を乗せる場合の法的根拠が不明確というような話もありましたが、その辺の検討状況、あるいはその辺の法的な整合性とかについては、大臣は、どのようにお考えになっているか、あるいはどういう方針かということについてお伺いしたいと思います。
【大臣】今、外務省と防衛省で、事務方で話をしております。
【毎日新聞 犬飼記者】今言ったような方向で検討しているということでよろしいのですしょうか。帰国に使うと。
【大臣】北沢防衛大臣と話をしましたところ、北沢防衛大臣のお気持ちとしては、私(大臣)と同じお気持ちでございまして、せっかく往復をするのだからということで、思いは共有していただいておりますが、今、法的な相談をしているところであります。
【日本テレビ 野口記者】昨日、政府は家族の支援チームというのを立ち上げられて、あらゆるリクエストというか、ヘルプに応えていくということを決めました。本日、更に心のケアについて2人お医者さんを派遣されたということですが、今のところ、家族の皆さんから、政府に対してこういうことをしてほしいというリクエストは、具体的にあるのでしょうか。昨日の時点では、(伴野)副大臣会見では、あらゆることに対応するとおっしゃっていましたが。それと、この精神科医の方がいらっしゃるということですが、通常こういった大惨事が起きた場合には、精神科医の方というのは派遣されるのでしょうか。それとも具体的な要請が家族の側からあったのか、お願いします。
【大臣】ご家族からの要請で医師を送るわけではございません。ただ、さまざまな今までの自然災害において、経験のある医師を送るということで、今回、派遣を決定したところであります。ご家族の皆さん方のご要望というのは、やはり、とにかく66名の国際緊急援助隊を含め、今、懸命な捜索活動をしていただいている方に対しての祈るような気持ち、その1点だと、私(大臣)は思っておりますし、そのために、我々としては捜索活動にあたっている方々を全面的にバックアップすることが、現在行い得る最大の我々の務めだと考えております。
【毎日新聞 野口記者】何か具体的なご要望というのが、もし、あればご紹介いただきたいのですけれども。
【大臣】徳永政務官を通じても、あるいは事務方からも、ご家族の皆さん方が、先ほど申し上げたように雨が降って、崩落現場には近づけなかったということを極めて残念がっておられたというようなことは聞いておりますけれども、具体的な他の要望というのは聞いておりません。
【ジャパンタイムス 伊藤記者】第三国定住に関して、今回、こういうプログラムというのは初めての試みだったと思うのですが、半年間という比較的短い期間だったと思うのですが、実際の難民の方々の、例えば、日本語能力ですとか、プログラムを経て日本での生活に慣れてきたとか、現状についてもう少しお話ししていただきたいのと、あと、農業に従事されるということですが、もう少し具体的に教えていただけますか。
【大臣】日本語の能力ということについては、日々スキルアップをしていただいているということだと思いますし、仕事をしていただく上で、支障がない範囲で日本語をお話しする能力が身に付けられたということで、農業法人の受け入れが決まったものと認識しております。極めて前向きなご家族でいらっしゃるという話を聞いておりますので、今後も仕事を通じて、あるいは地域コミュニティとのふれあいを通じて、日本社会に溶け込み、また、日本語のスキルアップも今後されていくのではないかと期待をしております。自治体までは公表しても構わないということですが、農業法人につきましては、個別の名前を申し上げて取材等が殺到しては困るということで、しばらくは静かにこの方々の仕事というものを落ち着かせたいという思いがございますので、具体的な農業法人名については遠慮させて頂きたいと思いますけれども、しっかりと仕事をしていただけるのではないかと思っておりますし、先ほど申し上げたとおり、出来る限り我々としてはサポートしていきたいと考えております。
【ジャパンタイムス 伊藤記者】名前を出せないということでしたが、名前ではなくて、例えば、どのような分野での農業だとか、そういうお話しをお伺いできますか。
【大臣】事務方からお伝えできる範囲で、皆さん方にご連絡させていただきます。
(補足説明)千葉県八街市については、葉物野菜、落花生等を生産する農業法人、三重県鈴鹿市についてはしいたけを生産する農業法人です。
【NHK 市原記者】ニュージーランドと、もう一つ毎日のように対策本部会議をされている中東・北アフリカ情勢についてですけれども、リビアの情勢が深刻さを増していると思いますが、現状についてのご認識と、あと、邦人保護、こちらも他国では軍用機を派遣したり船を派遣したりしているところもありますけれども、日本政府としての方策をお願いします。
【大臣】リビア情勢は極めて厳しい、そしてまた、熾烈な状況になっていると思っております。カダフィ大佐が徹底抗戦を呼びかけておりますけれども、軍や警察の中には、反政府グループと共闘している者がかなり出始めておりまして、首都トリポリは今のところ平穏という報告を受けておりますけれども、かなり反政府運動が首都トリポリに迫っているということで、嵐の前の静けさのような雰囲気をかもし出しているという報告を受けております。したがいまして、極めて内戦状況に近い状況が生まれており、また、無差別の殺りくも行われていて、何千名といわれる方が亡くなっているのではないかという報道も多いところではございますので、そういう意味では、我々として、無辜の一般市民まで銃を使って無差別に殺傷するというカダフィ大佐、今の政府の在り方については考えられないことでありますし、人道上絶対に許されないものであるということで強く非難するとともに、こういった今の状態を憂慮し、そして、こういった残虐な行為を即時にやめるように日本政府として求めたいと考えております。
在留邦人の方でございますけれども、かなり減ってまいりました。チャーター便ということでございますが、他の国のチャーター便、チャーター船というものにも手配をして、他国と連携をしながら行っておりまして、幸いスペイン政府チャーター機で、搭乗されていた方が国外に脱出したという報告を受けまして、結果的に今、残っている方は23名でございます。この23名の中で、米国がチャーターした船に乗って、これはトリポリ港でありますけれども、出港待機中が4名であります。それから、地方在留邦人が7名おられまして、これは4か所に7名が分かれております。1人は日立の方であり、あとの6名は韓国の企業の下請けで働いている方でございます。他国政府とも連携を取りながら、今日、全土を退避勧告にいたしました。渡航延期から退避勧告。ただし、「退避せず滞在中の場所にとどまる方が安全な場合には、滞在中の場所にとどまり、自らの安全確保に最大限の注意を払ってください」という渡航情報にしております。
現在、この7名の方とは連絡が取れている状況でございますけれども、こういった渡航情報や危険情報について引き上げをいたしましたので、残っている大使館、そして本省、あるいは近隣の在外公館みんなで協力して、どのような形で国外に出ていただくか、それを今、一生懸命に調整をしているところでございまして、今晩また対策本部を開いて、その調整状況についての報告を受けて、適切な指示を出したいと思っております。
【共同通信 出口記者】リビアに関して国連安保理で非公式の会合が開かれて話し合いが始まっています。米国はこれに関連して、あらゆる選択肢を検討するとして、独自制裁も含めた検討をしているようですが、日本政府として制裁なども視野に入れた対応を取っていかれるのでしょうか。
【大臣】先ほど申し上げたように、無辜の一般国民を無差別に殺りくするなどということは、絶対にあってはならないことでありますし、強く非難するとともに即時のそういった行動の停止を求めたいと思っておりますし、カダフィ大佐にはもう一度頭を冷やして考え直してもらいたいと思っております。
先ほど日本の国民が23名まだ滞在をしているということは申し上げました。先ほど言い忘れておりましたけれども、残り23から4と3と7を引いた9が残っているではないかと気が付かれた方もおられるかもしれませんが、この9名は現地の方と結婚されている方、あるいはそのご家族でございまして、基本的に意思確認をしたら、配偶者の方や家族がいる以上は出国はしないということをおっしゃっている方でございます。もちろん、その方々にも退避勧告はお伝えさせていただいております。
制裁についてでございますけれども、在留邦人のみならず、かなりの国々での外国人がまだリビアに滞在をしております。日本の国民が全員出たらそれでいいのかということではないと思っております。したがいまして、関係各国と連携をしながら、特に制裁というのは連携をしないと意味がないことでありますし、また、制裁という手段を取った場合に、どのようなリアクションがあるかということも想定をしながら議論をしていかなくてはなりません。
リビアにいる他国民、あるいはリビアの本当に何の罪もない方々のことを考えて、制裁については我々としては議論はしていきたいと思いますけれども、慎重に対応しなければいけない問題ではないかと考えております。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。現在の中国についてでございます。中国で民主化を求める「中国ジャスミン革命」集会を呼びかける動きがネット上で広がり、23日現在で集会場所が18都市に拡大しております。一方、中国人権民主化運動センターによりますと、国家政権転覆などの疑いで数人拘束されたとの情報もございます。中国におけるネットをツールとしました民主化デモ開催の動きや拘束の問題、あるいは中国政府のネット規制の動きにつきまして、どう思われますでしょうか。
【大臣】主に3点のお尋ねがあったと思います。まず、日本の価値観から申し上げて、憲法に3つの柱があります。国民主権、平和主義、基本的人権の尊重、これは日本の国体、つまり、国家の骨格である憲法に書かれていることであり、我々としてはさまざまな基本的人権というものが守られて、あくまでも国の行く末を決めるのは、国民が主権者であるという立場と言いますか、考え方を持っております。そういう意味では、我々は普遍的に、一般的な他の国に対しても、こういった価値観が共有されることが望ましいという考え方でいるところであります。
他方、チュニジアやエジプトの状況が生まれたときにも申し上げましたけれども、単に自由や民主主義というものを主張するだけでいいのかということです。例えば、三十数年間、リビアに至っては41年間、独裁政権が続いて、まともな議会すらもないといったところに自由や民主主義といって、果たして国として成り立ち得るのかという問題がありますので、これはやはりその国々の現状、あるいは状況に応じた判断をその国々の国民が行うということで、決して他国から押し付けられるものであってはいけないということも、私(大臣)は申し上げたいと思います。
その上で3つ目でございますけれども、さはさりながら、表現の自由というものは、私(大臣)はしっかりと担保されるべきであって、インターネット規制などというものは有害情報以外はしっかりと担保されるということが大事なことであり、一般通常の意見交換や意思を自ら表現するということが遮断されるということは、私(大臣)は好ましくないと考えております。
(1)ニュージーランド南島での地震の発生について
【前原大臣】ニュージーランドにおける地震のことからお話をさせていただきます。本22日、ニュージーランド時間午後0時51分、4時間あちらの方が先ですので、日本時間は同日の午前8時51分でございますが、ニュージーランドの南の島のクライストチャーチ付近でマグニチュード6.3の強い地震が発生いたしました。5キロメートルという地下でございますので、直下型の地震が起きましてニュージーランドの首相が発表されているのは、現時点において65名の方がお亡くなりになられたということでございます。被害は今後も拡大をする可能性がありまして、亡くなられた方、被害を受けられた方々にはお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。また、ニュージーランドの国民の皆さま方に心よりお見舞いを申し上げたいと思っております。
邦人に関わる状況でございますが、さまざまな情報がございますけれども、在ニュージーランド日本大使館及び富山外国語専門学校に入った報告によりますと、富山外国語専門学校の研修旅行生21名及び引率教員2名、内一人は外国籍の方だそうでありますが、全員が損壊した建物において被害を受けた模様であり、現在のところ、少なくとも3人が救出をされているということです。その他の方も救出、または安否確認中と承知をしておりますけれども、被害の詳細につきましては引き続き確認中でございます。在ニュージーランド日本大使館では、現地警察に至急の救援要請をしておりまして、現在救援活動が行われていると承知をしております。我が国といたしましては、引き続き情報収集に努めてまいりたいと考えております。また、邦人保護のために全力を尽くしたいと考えております。そのため、在ニュージーランド日本大使館及び外務省本省におきまして、この地震の対策本部を立ち上げました。私(大臣)が対策本部長でございます。また、これから、この後すぐに官邸におきまして、関係閣僚会合を開催して、今後の対応策を協議していきたいと考えております。ニュージーランド側には、お見舞いのメッセージを発出いたしました。また、緊急援助の用意があることも申し出ております。また、本日午後、在京のニュージーランド大使にも外務省に来ていただきまして、その旨を伝えたいと思っております。先方からの要請を待っていれば、かなり時間がかかりますので、本日中に夜のフライトで、まずは先遣隊調査チームを派遣をしたいと考えております。
(2)リビア情勢について
【大臣】今月15日からリビアで行われておりますデモに際しまして、リビア政府によりまして、著しい暴力が放置されていることを強く非難いたします。また、多くの死傷者が出ていることに強い懸念を表します。我が国といたしましては、国民のデモに対しては、平和的な手段によりまして、抑制的に対応することを引き続きリビア政府に対して求めるとともに、今後とも現地の情勢について注視してまいりたいと考えております。
また、中東・北アフリカ地域におきまして、表現の自由が確保され、国民の意見が反映された形で改革が進むこと、そういった政府が作られること、また、それによりまして、地域の安定が確保されることを期待しております。
(3)エジプト・チュニジアに関するEU主催有志国会合の開催について
【大臣】明日23日に、ブリュッセルでエジプト、チュニジア等に関するEU主催有志国会合が行われる予定でございまして、我が国からも松富中東アフリカ局長が出席をいたします。この地域の現下の情勢を踏まえた国際社会の対応につき、建設的な議論が行われることを期待をいたしますし、我が国といたしましても、民主主義のノウハウ、人的貢献、選挙監視、選挙のノウハウの伝達、若い方々の就業支援といったさまざまな日本が取り得る貢献について用意をした上で、国際社会との連携の中で、そういった国の安定、そして平和的な政権移行について、イニシアティブを発揮していきたいと考えているところでございます。
(4)日本メキシコEPA合同委員会の開催について
【大臣】最後に、現地時間の21日、メキシコにおきまして、山花外務大臣政務官を共同議長とした日本メキシコEPA合同委員会が開催されまして、2008年9月から行ってまいりました日本メキシコEPAの再協議等が実質合意をいたしました。今回の実質合意によりまして、メキシコ側は日本から輸出をされる自動車部品等について、また日本側は、メキシコから輸出をされる牛肉、豚肉、オレンジジュース等につきまして、市場アクセス条件を改善することとなります。詳細については、別途資料を配布いたします。
【NHK 稲田記者】大臣は、先ほど23名全員が被害を受けた模様とおっしゃいましたけれども、皆さんがその建物にいて、被害というのは、どのような被害ということを、外務省として確認していらっしゃるのかお聞かせください。また、今後の支援と邦人救出について具体的にどのようなことをやるのか、詳しくお聞かせいただければと思います。
【大臣】状況については、まだ確認中でございますし、富山の外国語専門学校生の皆さん方のみならず、別の情報では別の学生さんが被害に遭われているのではないかという情報もございますので、情報収集と現地における警察官との連携の中で、1日も早い、一時も早い救出をしっかりとやっていただくように要請をしているところでございます。
また、日本としては今まで何度も地震に見舞われておりまして、緊急援助隊というものを外務大臣の判断の下で送ることができるわけでございます。先方政府にはお伝えをしておりますけれども、これは勝手に送るというわけにはまいりません。しかし、仮に向こうから申入れがあった場合に、それから準備をしていては遅れますので、まず私(大臣)の判断で先遣隊として調査員を2名、今晩のフライトでニュージーランドに送るということです。そして、他の消防、自衛隊、医師といったさまざまな方のスタンバイ、つまり、いつ要請があっても送れるような準備状況には入っているところでございます。先方からの支援要請があれば、すぐさま先方に送れるように既に準備をしているところでございます。
【共同通信 斎藤記者】リビア情勢で、今、大臣の方から説明がありましたが、リビアという国、これまで日本にとってどういう位置付けの国であったのか。そして、今回の暴動が今後の日本の中東外交に、まず1つは国際情勢に与える影響、そして今後の日本外交はどうあるべきか、この辺について中長期的観点からご説明願いたいと思います。
【大臣】このリビアにつきましては、41年間、カダフィ大佐による独裁政治が行われていて、そして、世界でも珍しい直接民主制という形で、議会はなくはありませんけれども、我々が経験をしているような議会というものの経験が全くない状況でございます。そして、軍の中でも、カダフィ大佐をはじめ、執行部に対して反旗を翻している、あるいは亡命を求めているという情報にも接しておりまして、そういう意味においては、極めて危機的な状況にあるのではないかと思っております。
日本への直接の石油ということについて言えば、ございません。しかし、石油産出国でございまして、世界全体の石油の価格に対する影響というのは極めて大きいものがあると感じております。現に、さまざまな原油価格におきましては、1バレル100ドルを越しているものもございますし、上昇傾向にあるというものも大変懸念しております。
また、チュニジア、エジプト、リビア、バーレーン、イエメン、こういった中東・北アフリカにおけるデモの拡大というものが、まだどこまで広がるか、どのように収拾するかということがわからない状況が多い中で、特に日本は中東にほとんどの油を依存しているわけでございまして、そういう意味での先行きというのは懸念されるところでございまして、菅総理のリーダーシップの下で、午前中に関係閣僚の対策本部が作られまして、情報分析と中東情勢、なかんずく原油価格の動向等、また、備蓄などに対するケアというものについても指示がなされたわけでございまして、そういった観点での取組みを今後も進めていきたいと考えております。
あとは、イスラエルとの中東和平ということについて申し上げれば、やはり大きなカギを握っているのはエジプトだろうと思っております。幸いにしてエジプトについては、現在、状況が安定しておりますし、先ほどお話をいたしましたブリュッセルにおきまして、EUや関係国の有志が集まって支援会合を開いていこうということでございまして、具体的な支援を行っていく中で安定化をもたらすことが大事であると考えておりまして、日本としても主体的に行えるイニシアティブについては、しっかりと責任を果たし、この地域の安定のために努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
(1)調査捕鯨船団の帰国について
【前原外務大臣】私(大臣)からは1点お話しいたします。
調査捕鯨についてでございますが、本日、農水大臣が記者会見において、調査船及び乗組員の生命・財産の安全を確保する観点から、やむを得ず今期の調査を切り上げるという旨の発言をされました。これは、シーシェパードによる妨害行為によるものでありますが、このような妨害行為は、公海上で合法的な調査活動を行っている我が国乗組員の生命・財産及び船舶の航行の安全を脅かす危険な不法行為であり、断じて許されるものではありません。外務省といたしましては、シーシェパード船舶の旗国や寄港国であるオランダ、オーストラリア及びニュージーランドに対しまして、暴力行為を防止するための実効性のある措置をとるよう再三再四申し入れを行ってきましたが、結果としてシーシェパードの妨害行為を防止するに至らなかったことは極めて遺憾でございます。本日、伴野副大臣よりオランダ、オーストラリア、ニュージーランドの在京大使を呼びまして、かかる遺憾の意を伝達するとともに、シーシェパードによる妨害行為が再び行われることがないよう実効的な措置を取るよう改めて強く要請したものでございます。
【時事通信 鈴木記者】米国のフロリダ州の高速鉄道計画ですが、連邦補助金の受入れをスコット知事が拒否して、事実上中止ということになったと思いますが、ご所感と今後の高速鉄道の売り込みに与える影響についてお考えをお願いいたします。
【大臣】私(大臣)も1月の訪米時に、わざわざ1日かけてタラハシーに行って、スコット知事にお会いをして売り込みをしてきただけに極めて残念であります。新幹線計画そのものを現時点において断念するという発表でございまして、これは、日本のみならず、新幹線を売り込もうとしていた他の国、他の会社にとっても機会が失われるということでありますので、これについては、仕方がないとしかいいようがないです。つまり、計画があって、そして他の国に負けたとかそういうレベルではなくて、計画そのものが現時点においてはなくなるということでございますので、仕方がないと思っておりますが、今後とも様々な動きが出てくるかもしれません。ラフード米運輸長官自身も、極めて遺憾であると、がっかりしたという発言をされておりますし、フロリダは雇用と経済発展の機会を失ったという言い方をされておりますので、そういう意味では今後、一般教書演説ではオバマ大統領が高速鉄道について言及されておりますし、何らかの形で計画が復活した時には、またしっかりと継続して売り込んでいきたいと思っております。フロリダだけではありませんので、全米各地で計画がございますので、今後も引き続き、日本の新幹線の売り込みを官民連携をして行っていきたいと思います。
【共同通信 斎藤記者】日インドネシアの関係でお伺いしたいと思います。二つありまして、一つは、今のASEANの議長国を務めておりますインドネシア、非常に影響力を増してきていると言われていますが、このインドネシアとどのような形で戦略的な関係を今後強化していくのか、それがどのような形で日本に戦略的な利益をもたらすのかが一点。二点目は、日本とインドネシアの間で、いろいろと安全保障関係でも共通の利益があると思うのですが、例えばシーレーンの話、海上交通、南シナ海の問題もあるかもしれません。どのような具体的な協力関係の進展を期待するのか、また何を日本として提案していくのか、これについてお願いします。
【大臣】本日、これからマルティ外相と話をする中身を前もって言ってくださいという話みたいなものなので、終わった後、記者会見をいたしますので、その時に話をさせていただければと思います。その方がよりリアルでしょ。一般論よりリアルの方がいいでしょ。
大事な国ですから、しっかりとこれからも政治対話、安保対話、そして経済対話、そうしたものをしっかりと強化していきたいと思っております。本日、マルティ外相は、日本のある先進的な石炭火力発電所の視察に行かれたと伺っておりますし、また、総理との話し合いの中では、総理のASEANの会議の前に是非来ていただきたいという話もありました。総理からは、ユドヨノ大統領訪日の招請がございましたし、とにかく、首脳、外相、閣僚級のハイレベルの交流というものをしっかり行っていく中で、両国間の関係を強化していきたいと思っております。後は共同記者会見で。
【日経新聞 永井記者】捕鯨は日本の伝統文化に関わるものであり、今回の調査捕鯨活動が合法的なものであるというのは承知していますが、一方で国際社会では非常に豪州、欧州を中心に捕鯨に対する批判が強いというのも事実です。日本の国益上、文化・伝統的なものと国際社会の価値観なみたいなものと、どのようにバランスをとっていったらよいかと考えていらっしゃるでしょうか。
【大臣】もちろん、鯨に対する歴史的な経緯、食文化、そういったものについて国毎の違いがあるというのはおっしゃるとおりだと思います。ただ、今回の調査捕鯨というのは、国際捕鯨取締条約に基づいて行われる極めて合法的なものでありまして、その合法的なものを阻止する権利というのは、どの国にもないはずです。ましてや、シーシェパードにはないと。20年以上続けてきた調査捕鯨がこのような形で中止に追い込まれるということは極めて私(大臣)は遺憾に思っておりますし、こういった形で合法的な活動ができなくなるということに対する対応策をしっかり練らなければいけないと私(大臣)は思っております。つまりは、法的に認められたことに横やりが入って、不法な妨げによってできなくなるというのは、筋の通らない話ですので、今回は乗組員の安全のために断腸の思いで帰ってまいりますけれども、今後は外交的な働きかけや、あるいは対応策も含めて、やはり法的に認められたことをやれないというのは、あってはならないことでありますので、その点は毅然と日本の合法的な活動というものを続けられる対応策というのをしっかり政府として考えていかなくてはいけないのではないかと思っております。
【NHK 市原記者】本日、オランダ、オーストラリア、ニュージーランドの大使を呼んで遺憾のの意を伝えられたということですけれども、これに対してそれぞれの大使はどのような反応だったのでしょうか。日本の要請に対して協力するということなのでしょうか。
【大臣】ニュージーランドの大使に対しては午後の1時45分から2時まで、そして、オーストラリアの大使に対しては午後の2時10分から2時25分まで、オランダの大使は、これから4時15分から4時半までということでございまして、まだ伴野副大臣からその中身について聞いておりません。また、貼り出しでもさせていただきたいと思います。
【共同通信 斎藤記者】今回の事案は、昨年も同じ経験をしています。当然、これは予見できた話だと思うのです。これは外務省というよりは、他官庁の話かも知れませんが、前原大臣は国務大臣として、国としてこういった事態を予見できたのであれば、もう少し何か措置がとれたのではないかという思いがあるのかどうかという点、もう一つは、容疑者ワトソンは、日本のメディアにいろいろと語っていますけれども、居場所も分かっているわけですので、これは身柄引き渡しを要求しているのか、あるいは要求するのかどうか、この点についても併せて教えて下さい。
【大臣】対応策につきましては、水産庁が中心になって考えることでありまして、水産庁から外務省に対する協力要請があれば、全面的に協力したいと思っております。また、容疑者に対する対応については、海上保安庁が考えることでございますので、これも海保から外務省に対する協力要請等があれば、我々としてはしっかりと協力をしてきたいと考えております。
【フリーランス 上出氏】具体的な対応を取っていかなければならないと先程おっしゃっていましたが、非常に私たちが思う以上に感情的に反発する国も多いと思います。領土問題とはまた違う意味から「毅然と」ということが通用しない部分もあると思います。実際に具体的にどのように改善していって、各国の今のところつかんでおられる手応えをどう認識されているかお聞かせください。
【大臣】先程申し上げた、オランダ、あるいはオーストラリア、そしてニュージーランド、それぞれの国は我々の説明や働きかけに対して、かなり真摯に対応してもらっていると私(大臣)は思っています。例えばオランダであると船籍の剥奪の問題であるとか、あるいはその法律案を出すとかです。またオーストラリア、あるいはニュージーランドの外務大臣クラスでは、電話会談、あるいは直接お会いしたときも含めて、相当丁寧な説明、あるいは事前の話し合いというものがあります。そういう意味では、このシーシェパードという活動グループと、この3カ国については少し分けて物事を考えなくてはいけないのではないかと思います。ですから、シーシェパード対策でどのように水産庁がこれから調査捕鯨を具体的な行動として行っていくのかという対応策と、あとは我々が外交的に働きかけをする中で、相当この3カ国は、私(大臣)は丁寧に真摯に対応してもらっていると思っていますので、この3カ国とはむしろ連携をしていくということも、これから考えていかなくてはいけないのではないかと思っています。
たしかに先程からお話にあるように、鯨に対する考え方の違いというのがあるのは事実です。しかし、その点はやはり、我々は法と正義に基づいて全ての問題について対応していくということでありますので、国際捕鯨取締条約に基づいて行っているものについては、我々は正当に行う権利があるんだと、そういった主権国家同士の静かな話し合いをしっかりと行っていきたいと考えています。
【香港フェニックステレビ リー記者】中国の企業の北方領土の進出についてお伺いしたいと思います。日本政府の中国企業、あるいは韓国企業の進出について、改めてお立場を教えてください。そして、中国の商務部の担当者が中国企業の海外進出を支持すると発言したようですけれども、こういった動きについて日本政府から抗議、あるいは対抗措置を予定はあるのかどうか。そして、外務大臣として、こういった行動は日中や日韓の関係に悪い影響を与えるかどうか。お考えを教えてください。
【大臣】中国や韓国の企業がさまざまな国と協力してビジネスを行われるということは自由だと思います。ただ、北方領土というものは我が国固有の領土でございまして、我々の法的立場から考えますと、ロシアの企業との協力関係というものは相入れないものであるということを申し上げたいと思います。
その上で、我々としては事実関係を確認できておりません。中国や韓国の企業が協力したという報道は知っておりますけれども、具体的には確認しておりません。いずれにいたしましても、我々の法的立場と相入れないということを、中国・韓国両国は大局に立ってお考えいただけるのではないかと私(大臣)は期待しております。
【TBS 竹内記者】北朝鮮関連について1点質問させていただきたいのですが、中朝国境近くの東倉里という場所に北朝鮮が新しい大型のミサイル発射施設を建設したという報道があります。これは米国のボイス・オブ・アメリカが報道した内容ですけれども、この点について日本政府としてどこまで情報に接しているのか。もしくは確認作業はどこまで進んでいるのか。この2点を教えてください。
【大臣】そのような報道があるということは承知しております。ただ、申し上げることによって我々の情報分析、あるいは情報収集といったものに支障が生ずる可能性がございますので、今のご質問についてはお答えは控えさせていただきたいと思います。
【共同通信 出口記者】ゲイツ米国防長官が下院の軍事委員会で、代替施設について春ごろまでの決着を目指しているというように表明されました。大臣及び菅総理は常々、期限を区切って沖縄と交渉することはしないということはおっしゃっていましたけれども、非礼に当たるのでされないというようにおっしゃっていましたが、米国側のこうした希望・要望等とどのように折り合いをつけようとお考えでしょうか。
【大臣】我々としては、期限を区切ってこの問題を解決するつもりはございませんし、そのことは米国にも理解をしてもらっていることであると思います。ただ、同時に普天間飛行場の返還、そして危険性の除去というものはやっていかなくてはいけませんので、さまざまな、可能な範囲での作業を進めていくということは同時に行っていかなくてはいけないと考えております。そのことはゲイツ長官も含めて緊密に連携を取っておりますので、日米間でのそごは全くございません。
【共同通信 出口記者】今年前半までの菅総理の訪米の前にも2+2の開催を模索されていると思いますが、次の2+2の開催時には代替施設の工法などについて決めるということを昨年の5月合意を素直に読めばそう読めるのですが、それでは2+2が開かれても工法などについて決着しないという選択肢もあるという理解でよろしいでしょうか。
【大臣】今、日米間で話をしているところでございます。
【NHK 市原記者】ゲイツ長官の証言ですけれども、先月訪日されたときのことも踏まえて、日本でのやり取りに基づいて、私の希望は遅い春にも決着することを希望するということなのですが、ということは、訪日の際には、日本政府としては決着の時期について見通しを示されたようなことはないのでしょうか。そういう点では米国との意思の疎通がうまくできていないということなのでしょうか。
【大臣】私(大臣)はゲイツ長官の下院の委員会でのいわゆる陳述についてすべて目を通しましたけれども、日本側との意思疎通はうまくできている、考え方のそごは全くないという印象を持ちましたし、日本側の立場を配慮した発言をされているという感じがいたしました。
【共同通信 橋本記者】東京都が先日、中国からパンダ2頭が上野公園に来ると発表しましたけれども、中国のパンダ外交を通じて、尖閣の漁船衝突事件でぎくしゃくした日中関係は好転すると大臣はお考えになりますでしょうか。また、中国との関係改善を目指す管政権にとって朗報と受け止められますか。
【大臣】いいのではないですかね。パンダに来てもらって、人気者になって、たくさんの日本の方に見ていただくことによって、対中印象がより良くなることを期待しております。あれも賃貸料は結構高いですが、よろしいのではないでしょうか。我々としても、日中関係を更に良くしていくために、さまざまな努力をしていきたいと考えております。
【読売新聞 向井記者】民主党のことについて伺います。民主党の比例単独の議員16人が昨日、別会派をつくるという動きを見せました。まずこのことの受け止めをお願いしたいのと、あと1点、今後、社民党も予算関連法案に反対する姿勢を強めていく中、今回の動きも踏まえて、今後どのように政権運用をされているのか、どのような影響が出るのかをお聞かせください。
【大臣】私(大臣)も16名の方の会派離脱時の代表の方の記者会見を聞いておりまして、違和感を持ちましたのは、会派を離脱して、しかし民主党には残るというご発言でありました。中身を聞いても、民主党はマニフェストを実行していないと。したがって、マニフェストの正確な実行を求めていくのだということで会派を離脱すると。意味がよくわかりません。つまりは両院議院総会が何度も行われて、発言する機会があったときに、あの方々が発言されたのかということを言えば、私(大臣)はあの方々が発言されたとは認識をしておりません。そして、これから6月に向けて、マニフェストの見直しというものを党内でも議論をしていこうという作業が行われつつあるように認識をしておりますけれども、そういった場でおっしゃったらいい話であって、離党はしないで会派を離脱して批判をして、しかし、マニフェストの遵守を求めると。極めて国民にもわかりにくい決断をされたのではないかと。小沢さんの処分に対する関連ではないとおっしゃっていますけれども、その関連で行動されていると見られても仕方がないのではないかと、私(大臣)は思っております。
それと同時に、今後その予算の審議に当たって、ねじれているのは事実でございますし、やはり中身をしっかりとお話をし、予算、あるいは予算関連法案が通らなかったときに、国民の生活に対するどのような影響が出るか、ダメージが出るか。せっかく株価が持ち直してきて、明るい兆しが見えているにもかかわらず、そのような状況になったときには、日本の経済、国民の生活はどうなるかといったことを考えて、国会議員の皆様方には行動をしていただきたいということを私(大臣)も改めてお願いをしたいと思います。
【朝日新聞 小村田記者】とはいえ、予算関連法案の成立目途が立たないという中で、今まで菅首相を支持してきた人の中からも、民主党の有力幹部が公明党幹部に対して、首相退陣と引換えに関連法案成立に協力を得られないかという話をしていたという報道を、朝日新聞でしているのですけれども、こういう動きについてどういうように、ポスト菅の名前も挙がっていることですし、それも踏まえてお考えをお聞かせいただければと思います。
【大臣】朝日新聞がそういう報道をされたのは承知しておりますが、果たしてその幹部は誰なのか、その報道が事実なのかということは確認しておりません。しかし、私(大臣)の感覚では、そのような取引をするはずがないと思っておりますし、堂々と国会での議論を通じて予算の中身を質していただくことが、大事なのではないかと思っております。
【朝日新聞 小村田記者】しかし、なかなか政権基盤が安定しないと国民生活にも本当に影響しかねない。外交なんかも日程を組むのも大変なのかなと思う部分もあるのですけれども、そういう中で解散とか首相退陣ということが言われてしまっているのが現状だと思いますが、現状についてどのように見ていらっしゃるか、お聞かせいただけますか。
【大臣】私(大臣)が初めて当選したときに、3年余りの任期でありましたけれども、大半がさきがけというところに所属をしておりまして、自社さ政権という連立政権でありました。そのときにある時期、官房長官をされていたのが、五十嵐広三先生という北海道の旭川を中心にされて出てきてこられていた議員であったわけでありますけれども、五十嵐広三先生は、総理というのはその気になれば何でもできる立場にあるのだということをおっしゃっていました。
私(大臣)は政局とかいう小さなことではなくて、1年経つか経たないかで安倍さん、福田さん、麻生さん、鳩山さんが辞めておられるわけです。このころころ変わることが、私(大臣)は日本の政治、あるいは日本の外交というものを大きく傷つけていると思っておりまして、私(大臣)は菅さんには強い意志と覚悟を持って、自分の延命ではなくて、この国はそういったころころ人が変わることによって、相当なダメージを受けているのだという強い意志を持って、私(大臣)は国民に訴えかけてもらいたい。最後は、総理は、五十嵐先生いわく、その気になれば何でもできるという強い覚悟を持って、この国を立ち直らせるという思いを持って、私(大臣)は切り開いてもらいたいと思っております。
【読売新聞 向井記者】自民党の逢沢国対委員長が記者会見で、この前の日曜日以降、安住国対委員長から総理退陣と引換えに、予算成立をという話の打診を受けたという趣旨のことを述べておりますが、菅政権を支えるべき党幹部の中からこういった声が出ることで、一体政権は一枚岩なのかという指摘も出ると思うのですけれども、受止めをお願いします。
【大臣】それは事実かどうか確認しておりませんし、それは事実ではないと思います。私(大臣)はそこはみんなでしっかりと選んだ総理ですから、支えるという我々の強い意志も必要だと思います。繰り返しになりますけれども、難しい時代です。ねじれということではなくて、人口も減っているし、莫大な借金もあるし、少子高齢化、新たな社会保障の仕組み、あるいは財政再建、景気浮揚を両方やらなければいけないという、誰がやっても難しい時期だと私(大臣)は思いますけれども、菅さんは国のトップにいるわけですから、ここは本当に強い意志を持って国民にその気迫、迫力が伝わるように頑張ってもらいたいと思います。
(1)日・インド包括的経済連携協定について
【前原大臣】私(大臣)から4点お話をいたします。
1つは、今朝の閣議で日本とインドの包括的経済連携協定が閣議決定をされました。明日、シャルマ・インド商工大臣と私(大臣)が署名をする予定でございます。
(2)マルティ・インドネシア外相の来日について
【大臣】2番目は2月17日、18日と2日間、インドネシアのマルティ外相が日本に来られまして、私(大臣)と第1回の日本・インドネシア外相級の戦略対話を行う予定でございます。2月初めに当初お越しになる予定でございましたけれども、エジプト情勢の緊迫化を受けて、数千人のインドネシアの留学生がエジプトに滞在されているということで、その対応に当たられて延期になっていたものでございます。
(3)シコティ・アンゴラ共和国外務大臣の来日について
【大臣】3点目は2月20日から23日まで、アフリカ南部のアンゴラ共和国よりシコティ外務大臣が、外務省の賓客としてお越しになります。私(大臣)と外相会談を行うほか、滞在中に関係機関の訪問、民間企業関係者との意見交換等が行われる予定でございます。
ちなみにアンゴラはナイジェリアと並ぶサブサハラ・アフリカ最大の産油国でございまして、産出量は世界第4位のダイヤモンドを始めとして、豊富な鉱物資源を有する資源国でございます。また、2002年の内戦終了後、国家再建により開発が進む中で、多くのインフラ需要のあるところでもあります。私(大臣)が進める経済外交というものを、このアンゴラとも進めていきたいと、同時にアンゴラとの協力友好関係を進めていきたいと考えているところでございます。
(4)医療滞在ビザ第1号の発給について
【大臣】最後に、昨年12月17日の記者会見で、本年1月から医療滞在ビザを制度運用するということを申し上げておりましたけれども、第1号が昨日、上海総領事館において発給をされました。今後とも1人でも多くの外国人の方が日本の高度の医療というものに接していただける、サービスを利用していただけるように、こういったビザを活用していただきたいと思っております。
【共同通信 斎藤記者】北方領土の関係でお伺いしたいと思います。弊社を含めていくつかの日本メディアは、モスクワ発でロシア政府が北方領土で第三国投資を受け入れる。具体的に中国の大連の水産会社の投資を受け入れるということで、現地では基本合意をしていると伝えられています。この件について外務省として確認をしているかどうか、事実関係の照会をしているかどうか、また、これに対して抗議を含めた何らかの政府対応をとる考えがあるのかどうか、この点についてお伺いさせてください。
【大臣】報道があるのは存じ上げておりますけれども、確認をしたわけではありません。いずれにしても北方四島は我が国固有の領土であって、もしそれが事実であれば全く受け入れられないものであるということは、共同記者会見の場でも申し上げたことでございまして、その日本の立場は全く変わることはございません。
【共同通信 斎藤記者】大臣はモスクワ訪問中にナリシュキン長官と会談されていますけれども、この会談についてロシア側はロシアの通信社を通じて長官の発言をかなり大々的に報道し、それを日本メディアも転電しております。内容はご案内のとおりで、菅総理の発言を事実上取り上げる形で、このような発言が続くのであれば、今後領土について交渉することは意義を失うという趣旨の発言だったと理解しております。
これに対して大臣は改めてどのように発言されたのか。ここに外務省が配った資料もあるのですけれども、改めて大臣の口から、その場でこうした発言に対してどのように反論されたのか教えてください。
【大臣】まず、ラブロフ外相との間では、二国間で結ばれた諸合意・諸文書に基づいて、また、法と正義に基づいて今後も領土交渉を行っていくことは確認をしておりますので、いかなる発言があろうとも、そのスタンスは両国間で全く変わることはありません。
同時に、ナリシュキン長官がそのような発言をされたのは事実でありますけれども、私(大臣)の方からは、むしろ領土問題については今後もロシアの領土として支配を続けるという発言が政府高官からあったり、国家元首も含めて政府高官が度重なって北方領土を訪問していることについて、私(大臣)からは極めて遺憾であるということを伝えましたし、総理の発言については国民の多くの気持ちを代弁したものであるということを、私(大臣)からナルィシュキン長官には話をいたしました。
【共同通信 斎藤記者】今、大臣の方からも取り上げられた菅総理の発言ですが、許し難い暴挙について国内には賛否両論あると思うのですけれども、ポイントはこれだけ強い発言をされるということは、当然それなりの理由があると思うのです。つまり北方領土というものがロシアによって、歴史的に見て不法占拠されているのかどうかという点について、不法占拠されているという事実があるからこそ、あのような強い発言が出てくるのではないかとも見られるのですが、この点を改めて大臣の方から率直な見方をお伺いしたいと思います。
【大臣】今まで申し上げたとおりです。
【フジテレビ 清水記者】北方領土の関連ですけれども、先週ロシアが北方領土への軍備増強の方針を打ち出して、より揚陸艦の配備ですとか軍用空港の整備などが言われています。大臣は週末にロシアを訪問されましたけれども、改めて軍備増強の動きについてロシア側の意図というのは、どのように考えられていますでしょうか。
【大臣】ロシア側の意図を代弁するのは我々の立場ではありませんので、それを申し上げることはありません。どのような軍備増強がされようがしまいが、誰が行こうが、日本の固有の領土であるという法的評価は全く変わりません。
【日本経済新聞 永井記者】訪露の際にラヴロフ外相が記者会見で、歴史問題についての専門家委員会を提案され、大臣はそれに対して余り意義のあるものではないと否定的な見解を示されました。大臣はかねがね歴史的に見ても日本の固有の領土であるとおっしゃっていたので、歴史問題を両国で認識を一致させるということには、何らかの意義があるのではないかという見方もありますけれども、大臣が否定的な見解を示された理由についてお願いいたします。
【大臣】これは文書が必要であれば皆さんにもお渡しいたしますし、ホームページにも今、載っているか載っていないかわかりませんが、過去に日露両国の外務省でまとめたものがあるのです。つまりは法的、歴史的な経緯というものを両国間の外務省でまとめたしっかりしたものがありますので、そういうものを改めてやる必要はないということを私(大臣)は念頭に置いて、歴史家の協議というものについて必要ないのではないかと、もうまとまったものがあるのではないかということを申し上げたわけです。
必要であれば、またロシア課から、どれだけ冊子が残っているかわかりませんけれども、ございますので、皆さん方にお渡しをしたいと思います。
【世界日報 山本記者】菅首相の発言が国民の声を代弁するものだというように、大臣は交渉の席で言われたということなのですが、賛否両論があるという、先ほどの指摘もありましたし、必ずしもロシア側の北方領土返還運動が盛り上がっていないというような見方もあるというような指摘をする人もいるのですが、そういう中で発言が国民の意見を代弁するものだと言われる大臣の実感はどのようなものがあったのでしょうか。教えていただけますでしょうか。
【大臣】そもそも歴史的に見ても、あるいは国際法に照らし合わせても北方四島というのは日本の固有の領土であると。その固有の領土に対して、ロシア政府の高官、あるいは元首が行くということについて、多くの国民が憤りを感じているのは、紛れもない事実ではないでしょうか。
【NHK 稲田記者】沖縄に関連してお伺いさせていただきます。鳩山前総理が、この週末、沖縄地元紙に対してのインタビューの中で、5月28日の日米合意をつくる際に、抑止力という概念を持ち出したのは、1つの方便であるというように述べたと報じられています。
大臣は、前の政権では沖縄・北方担当大臣として、そして、今、外務大臣として普天間問題に深く関わっていらっしゃいますけれども、一国の総理を務めた方が、しかも沖縄にその決断を求めなければならないというときに対して、方便だということを言ったことについて、どのように受けとめていらっしゃるのかということをお聞かせください。また、この発言が今後の普天間問題に対して与える影響についてもお聞かせいただければと思います。
【大臣】在日米軍、あるいは日米同盟関係に基づく抑止力、これは日本の安全と地域の安定のために不可欠なものであり、その約4分の3を引き受けていただいている沖縄県には、日本全体として、その抑止力を負っているということで大変感謝をしなくてはならないと思いますし、同時に、過度の負担をお願いしてきた今までの政治というもの、それから前回の衆議院選挙において民主党は「少なくとも県外、あるいは国外へ」ということで、普天間飛行場の移設先について言及したにもかかわらず、結果として辺野古への移設をお願いしているということについては、率直に改めてお詫びをしなくてはいけないことだと思っております。
しかし、米軍のプレゼンスというもの、また、日米安保条約第6条に基づく施設・区域の存在というものがこの地域の安定、日本の安全保障に対する大きな役割を果たしているということは紛れもない事実でございまして、鳩山前総理がどのような意図でおっしゃったかについて、私(大臣)はその中身を知る立場にありませんけれども、鳩山政権のときにおいても、現在においても普遍的に米軍の抑止力は何ら変わるものはないと、私(大臣)はそう思っております。
【NHK 稲田記者】抑止力については。
【大臣】総理をやられた方が、どのような趣旨でおっしゃったかということについて、詳しく私(大臣)も存じ上げているわけではありませんので、把握をしておりませんけれども、確実に言えることは、鳩山政権下においても米軍の抑止力は極めて大事であったと、それは、私(大臣)は全く変わるものではないと思っております。
【琉球新報 稲福記者】昨日、浦添の市議団からキャンプ・キンザーの切り離し要請について、大臣は受けたと思うのですが、その中で、大臣は外務省、防衛省、内閣府とともに対米交渉を開始したと説明されているのですけれども、その後、防衛大臣、官房長官に話を聞いても、そのような突っ込んだ話はしていないと否定されています。なぜこのような見解違いが出てくるのでしょうか。大臣のお考えを聞かせてください。
【大臣】いや、話はしていますよ。
【琉球新報 稲福記者】確認ですけれども、対米交渉は開始しているということで確認は取れているのでしょうか。
【大臣】仲井真知事から要望も受けておりますし、5月28日の合意に基づいて、そういった話はしているということであります。
【琉球新報 稲福記者】それは防衛省も内閣府も同じ認識ということなのでしょうか。
【大臣】交渉するのは外務省と防衛省ですから。
【世界日報 山本記者】岡田外相の時代に、ちょうど抑止力を学べば学ぶほど米軍の関連で必要であることが理解できたとおっしゃったことに対して、鳩山総理の発言がちょっと失望を買っているのではないかというような中でご質問させていただいたのですが、そのときに、岡田外相のお答えは、まさか今の段階で抑止力が必要になったと理解するということはないのではないかとおっしゃいながら、前原大臣もそのようなことをおっしゃっていたというようなくだりが説明の中にあったものですから、そのときの大臣の実際の印象というか、こういう段階があって抑止力が必要であることを理解できたというのは、やはりちょっと違和感があったのではないかと、今からですけれども、考えられなくもないようなタイミングだと思われますので、そのときの率直な印象というか、受けとめ方を教えていただけますでしょうか。
【大臣】あのときのお言葉は、抑止力という意味はわかっておられたけれども、より深くそれについて認識をしたという意味でおっしゃったのだと私(大臣)は理解をしておりました。
【沖縄タイムス 前田記者】先ほどキンザーの話がありましたが、昨日、(儀間)浦添市長が来たとき、全部の施設の返還を要望されたと思うのですが、大臣が言われたのは、5月の日米合意にある一部の優先返還の交渉が始まっているという理解でよろしいかということ。もう一つは、明日、嘉手納飛行場でパラシュートの降下訓練があります。沖縄の復帰後5回目だそうですが、我々の理解ですと、こうしたパラシュート降下訓練は、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意で伊江島補助飛行場に移ることになっていたと思うのですが、それについての大臣の見解を教えてください。
【大臣】後者については、どのような経緯でそうなったのかということを調べてから、事務方を通じてお答えしたいと思います。
それから、キャンプ・キンザーの件でありますが、5月28日の合意は、まさにキャンプ・キンザーの中の牧港補給所というところでありまして、限定されている訳でありますが、仲井真知事からは、キャンプ・キンザー全体の先行返還についてのご要望を受けているということでございます。我々としては、ロードマップというものがありまして、このロードマップを進めていくということで、米側はパッケージだということを言っている訳ですが、しかし、それと切り離して、どれだけが米国との交渉によって合意ができるかどうか分かりませんけれども、沖縄の要望についてはしっかり伝えて、そして米側と交渉していくということでございます。
【補足説明】
【読売新聞 向井記者】民主党の小沢元代表の処分に関連して伺います。本日の民主党の常任幹事会に党員資格停止の処分が提案される見込みになっています。まず、このことに対する受けとめを伺いたいのと、もう一点、野党側からは当初菅総理は、小沢元代表に離党を求めたはずだと、党員資格停止というのは、逆に処分が軽くなっているのではないかという指摘もありますが、この点、どうお考えでしょうか。
【大臣】党の役員会でお決めになったことでありますので、常任幹事会がどのようなご判断をされるかということに、今後、委ねられるわけでありますが、党員の1人としては、その役員会、あるいは常任幹事会の決定というものに我々は従いたいと思っています。
【読売新聞 向井記者】処分の軽重についてはいかがでしょうか。
【大臣】ですから、役員会や常任幹事会が決めたことについて、我々はそれに従いたいと思います。
【時事通信 西垣記者】明日から韓国の金星煥外交通商大臣がいらっしゃいますけれども、今回の会談は、大臣としてどういうように位置づけていらっしゃって、先日、南北の高官級軍事会談の予備会談もあったところですけれども、そういうものを踏まえて、今回、どういう話し合いをしたいとお考えになっていますでしょうか。
【大臣】3つの柱があると思います。1つは日韓関係そのものをどのようにより発展させていくかということであります。去年が日韓併合100年の年であったわけですが、新たな100年のスタートを今年切るということで、更に日韓関係を発展させていくということをさまざまな分野において確認をするということが1つであります。
2つ目は、北朝鮮の問題について、日韓、あるいは日米韓の協力関係を更に確認をし、そして、我々が一致協力をして、北朝鮮の核開発問題、あるいはミサイル、あるいは日本の問題ですと、拉致の問題、そういったものも協調して行っていくということで、南北会談の現状をどう見ているのかということをお聞かせいただくと同時に、その二か国間、三か国間の協力というものを確認することが大事だと思います。
3点目は、特に私(大臣)が非常に関心を持っていることでありますが、経済面でのさらなる協力関係というものを拡大していくために、日韓のEPA、早期交渉開始を私(大臣)としては働きかけたいと、この間の訪韓に続いて、そういったものを働きかけていきたいと、このように考えております。
【産経新聞 酒井記者】明日の韓国の外交通商相の来日に関連してですが、2月22日は竹島の日でありまして、民主党の議員の方も県の式典に始めて出席されるとのことですが、領土問題の関心が高い中、この竹島問題について、韓国側に対して何か話し合いをする予定があるかどうか。あと、ホームページは不法占拠とかというように書いてあるのですが、大臣の基本的な竹島に対する認識をお聞かせ下さい。
【大臣】過去の金星煥外交通商部長官との話の中では必ず日本の竹島に係わる立場というものはしっかり述べておりますし、今回もそのことについて言及することになると思います。
【フリーランス 西中氏】国連の外交のことについてお伺いしたいのですが、第三国定住難民のことです。昨年の9月末に日本に27人来日されたわけですが、今年の3月上旬には6ヶ月のプロジェクトを終えて各地に散って自立生活をすることになっています。その何名かの方にお会いしたのですが、やはり日本語もおぼつかない状態の方もいらっしゃいますし、不況でこれから仕事も見つからない方もいるかも知れない中で、生活をこのまま自力でやっていくというのは非常に厳しいと思います。日本政府はもともと3年間のパイロットプランで終わらせるということではなく、国連の要請に従ってビルマ・タイ国境だけでなく、他の難民キャンプ等からも難民を受け入れるという前提の下でパイロットプロジェクトを始めたと思うのですが、しかもこれは2008年の閣議了解ということで、民主党政権以前の閣議了解に基づいて今のプランが進んでいるわけですけれども、今回の受け入れについて、それをさらに見直して、この30人の方、それから来年以降に受け入れる方について、政策の在り方を見直すとかいうことを考えていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】今、ご指摘のありましたようにミャンマーから3年間毎年約30人の方を受け入れるということを、我々は対外的に発表して、そして、第一陣を受け入れているわけであります。あくまでもパイロットプランでございますので、この方々にどう我々がうまく対応できるのかと、そして、自立的な生活を日本で送っていただけるような状況を作り出せるのかということを、しっかりこの3年間で我々も学び取らなければいけないし、そこから教訓を得ていかなければいけないと思っております。私(大臣)はその将来についても、むしろ門戸を広げるべきだという基本的な考え方ですが、しかし、受け入れ体制や来られた方の生活というのがきちんとフォローできていない中で、数だけ入れてもそれはお互いにとって不幸になりますので、どのようなフォローアップをし、そして、その経験の積み重ねの中で将来展望を描いていけるかということを、まさにパイロットプランとしてきめ細かに対応していかくてはいけないと考えています。
【フリーランス 西中氏】それでは、6ヶ月以上経ったとしても、生活の状況に応じて支援をしていく、あるいは予算を付けていくと、ビルマで言えば、ビルマ軍政に出しているODAのごく一部でも国内の難民支援に使えば、民主党の掲げている難民保護制度に近くなると思うのですが、予算の配分の見直しとか、そういったことも含めて考えるおつもりはございますでしょうか。
【大臣】大変な状況の中から日本で生活をするということを決められて来られている方々です。そして我々も国家として責任を持って受け入れると決めた以上は、さまざまなフォローアップをしながら適宜適切にこれからも対応していくということが、私(大臣)は重要だと考えております。
【フリーランス 西中記者】国内に自力で逃げてきた難民に対しても同じという考えでしょうか。
【大臣】はい。
【日本経済新聞 永井記者】本日の一部報道で、政府が普天間関連予算の凍結を検討しているという報道がありましたが、これに関連して2点質問させていただください。
1点目は、まず事実関係について、大臣がこの普天間関連予算の凍結案を政府内で耳にされたことがあるかどうかということ。2点目は、事実関係は別として、政府が5月28日の日米合意を履行するという方針は変わらないと思うのですけれども、この日米合意の履行をしつつ普天間関連予算案を凍結するという両立ができるのかどうか。その可能性について一般論としてお答えください。
【大臣】一部報道で、そのような報道がなされているということは承知をしておりますけれども、私(大臣)が他の政府関係者、あるいは党の関係者とこういった話をしたことは全くございません。
その上で申し上げますと、一部報道ですのでいちいちコメントする必要はないのかもしれませんけれども、今、出している予算は我々はベストだという思いで出しているわけでございまして、この予算はベストの予算でありますので、しっかりと議論した上で予算をご承認いただきたいという思いでございますし、5月28日の日米合意をしっかり遵守していくという日本政府の立場は全く変わりません。
【日本経済新聞 永井記者】社民党は8日からの民主党との政策協議で普天間関連予算案の取り下げを要求しています。今の大臣の発言からすると、社民党の普天間関連予算案の取り下げについては応じることは政府としてできないというように考えられますが、この理解でよろしいでしょうか。
【大臣】繰り返しになりますが、予算案はベストと考えて出しているものでありますので、我々としてはこのベストな案をお認めいただきたいと、これは社民党さんに限らず、全ての議員に対しそういう呼びかけをさせていただきたいと思います。報道で書かれている中身というのは、環境影響評価の事後調査を効果的に行うための、継続して行う環境現況調査に要する経費、それと、キャンプ・シュワブ内の陸上工事にかかる、既に建設中の建物の附帯工事等に要する経費ということでありまして、これは本年度も同様のものを行っているということでございます。本年度の予算は、どういった党が賛成をされたのかということは皆さん方もご承知のとおりでございます。
【共同通信 橋本記者】日朝関連の質問ですが、一部週刊誌は、大臣が京都府議時代に日朝友好府議連盟のメンバーだったと報じています。これは、大臣が六者協議にとらわれずに、日朝協議を目指す発言ですとか、対北朝鮮政策への柔軟路線につながっているとの見方を記事中で示しています。報道が事実なら、国益を大きく損なうことになろうかと思うのですが、事実関係を教えてください。
【大臣】週刊誌というのは、そのような取り上げ方をするのかなと改めて思ったのですが、京都府議会に私(大臣)が在籍しているときに、他国との友好議員連盟というのは4つありました。日朝、日韓、日中、そして日華(台湾)、この4つがございまして、私(大臣)は定数65の京都府議会の中で、たった2人だけの無所属でありましたので、他の会派の議員との交流がございませんでした。そういう意味で、すべての友好議連に私(大臣)は所属しておりまして、日朝だけをなぜ切り取って、あのように報道されているかということは、私(大臣)は理解に苦しむところでございまして、すべての議連に私(大臣)は所属していたということであります。また、私(大臣)がかつて朝銀の問題等で朝鮮総連との関係、そしてまた、架空口座、仮名口座、そして本国への送金に対して厳しく、小泉政権下でありましたが、追及をしていたということを想起していただければ、私(大臣)が北朝鮮に対して甘いのではないかというご指摘は、まったく当たらないと思っております。また、二回目に訪朝したときに、偶然、高麗ホテルに宿泊をしていたところでありますが、よど号のハイジャックの実行犯に会いました。偶然でありましたので、立ち話で2、3分だったと思いますが、体調とか、帰国の意思とか、そういうものを私(大臣)は聞いたことを覚えておりますが、帰国をした後に、公安調査庁に対して全てその話はしております。そういう意味で、私(大臣)の過去のそういった議連加盟、あるいは訪朝というものが、外相として北朝鮮に融和的な態度に出るのではないかというご指摘は全く当たりませんし、私(大臣)は国益に基づいてすべて行動してまいりたいと、このように考えております。
【NHK 稲田記者】大臣は今夜ロシアに向けて出発されると思いますけれども、メドヴェージェフ大統領の北方四島について、「北方四島はロシアの主権が全面的に及ぶとした上で、インフラ整備のみならず軍事面においても更に発展させるべきだ」というように会談をし閣僚にも指示をしました。当然ながら日本は主権を主張しているわけでありますけれども、このように大統領という国の元首が「ロシアの非常に大事な主権である」ということを明言したことの受け止めと、そして、今回の発言が大臣の訪ロ、そして、領土交渉第2ラウンドに与える影響というものをお聞かせ下さい。
【大臣】戦後65年経って、未だにこの問題は解決をしていません。過去にいろいろな時期がありました。特に米ソ冷戦が極めて熾烈な時には、この問題すらなかなか議論されてこなかったという経緯もあれば、領土交渉というのは二国間の間でいろいろな山もあれば谷もあったということだと思っております。大事なことは、北方領土は国際法的にみて日本の固有の領土であるということであって、このロシアによる占拠は国際法上根拠のないものなのだと。したがって、要人が何人行こうが、誰が行こうが、あるいは軍事的なプレゼンスを強めようが弱めようが、日本の固有の領土であるという、国際法的に日本の法的評価が変わるというものでは全くございませんので、我々としての意志は微動だにしないということであります。他方で、交渉ではありますので、我々としては、日露関係は大変重要なのだと、もちろん、領土問題というのは大事な問題であって、日露関係の大きなテーマではありますけれども、仮にこれを横においた場合、日露間で協力できる素地というのは、私(大臣)は無限に広がっていると思っております。これはお互いの国益に資するものであると思っております。経済協力、技術協力、環境面での協力、あるいはさまざまな国際関係、北朝鮮の問題、あるいはテロとの戦いの問題、さまざまな分野での協力関係というのは無限に広がっていると思っておりまして、そういう大局に立って日露関係を発展させていくということを私(大臣)としては、ロシア側との会談の中ではしっかり主張し、しかし、領土問題を解決をして平和条約を結んで無限に広がる日露の潜在力というものを、更に引き出すための努力をお互いにしていこうと、具体的な取り組というものも今回確認をしたいと考えております。
【NHK 稲田記者】今の発言に関して2点お聞かせ下さい。ロシアの主張については国際法上根拠はなく、誰が行こうが何回行こうが関係はないと、その評価に揺るぎはないとおっしゃっていますが、ただ、国際法上根拠がないという日本の主張をロシアは当然それは認めていないわけだと思います。そうした中で、国際法上の根拠があると日本が主張しても、実効支配をこのように強めていくことについてはどのように受け止めて
いらっしゃるのか、それによって返還そのものが遅れたり、また難しくなるのではないかという見方も当然あると思うのですが、そこについては如何お考えでしょうか。
【大臣】大事なことは、国際法上どういう評価が下され得るかということが最も根本にあるわけで、今までのさまざまな条約というものを照らし合わせてみれば、日本の固有の領土であるという主張は全く揺るぎのないものであって、ロシア側の主張というものについては、我々は十二分に反駁できる国際法上の裏付けを持っているということになろうかと思います。したがって、そういった交渉については、まずは我々としての法的根拠を明らかにして、そして、要人が何人行こうが、あるいは軍事的にプレゼンスを強めようが弱めようが、我々の固有の領土であるという法的評価は変わらないと。これは最も私(大臣)は大事なポイントであると思っております。ただ、一方で我々の支配が現時点においては及んでいないのも事実でありますし、65年間解決をしていない問題であるということも事実であって、そのことを粘り強く、お互いのウィン・ウィンの関係を築くために早く平和条約を結んだ方がいいと、そして、無限の可能性のある日露関係を発展をさせるということを、さまざまな観点での協力関係を具体的に進めながら、ロシアとの信頼関係を高めていくということが重要だと考えております。
【読売新聞 向井記者】社民党との連携について伺います。先ほどの普天間関連予算を凍結するか否かはまた別にして、民主党は社民党との実務者協議を始めていますが、鳩山政権のときにも見られましたように、やはり社民党とは安保政策で厳然たる違いがあるのは事実だと思います。外交の責任者として、民主党の連携が今後の外交に与える影響をどう見ていらっしゃいますか。
【大臣】今の民主党と国民新党の連立政権ができているのは、政策合意があって行われているものであります。大事なことは、野合にならないということであると思います。野合というのはどういうことかといいますと、数合わせのためだけに政策が食い違って一緒になることだと思います。
しかし、我々は他方で、今、ねじれを経験していて、予算関連法案も含めてのさまざまな困難を迎えているというのも事実であります。やはり結果を出していくということが政治の責任であるということを考えれば、その原則、つまり野合にならない、政策合意をしっかり行うという原則が保てるのであれば、さまざまな政党、あるいは議員との連携というものを模索していかなくてはいけないという必然性はあるわけでありますので、その原則を守った上で、さまざまなあらゆる可能性を追求していくということは、今、民主党に置かれた現状を考えれば大事なことではないかと思います。
【読売新聞 向井記者】今、大臣が指摘された野合ということですけれども、社民党は普天間の県外移設・国外移設を求めているわけですが、仮にその点を民主党政権が何らかの妥協をして3分の2を取るような方策を取るならば、それは野合に当たるとお考えでしょうか。
【大臣】現政権で申し上げられることは、昨年の5月28日の日米合意というものは米国との間の正式な合意でありますので、これをしっかりと遵守をし、履行していくということが菅政権の大事なポイントであって、そこを崩すことはございません。
【琉球新報 稲福記者】日米の安全保障高級事務レベル会合についてですが、本日から始まるということですけれども、具体的にはどういった話題になるのか。あと、辺野古のV字・I字の問題があったと思うのですが、それも話し合うことになるのかどうか、お聞かせください。
【大臣】基本的には、この日米間の実務レベルでの協議というものは、日本、あるいはこの地域を取り巻く戦略環境をどのようにお互いが認識し、そして今、日米同盟関係が存在するわけですけれども、その実効性・機動性をどうすれば、その戦略環境の変化に対応して行い得るかということをつぶさに議論することになろうかと思っております。
V字案・I字案について議論するかどうかということについては、私(大臣)は報告は受けておりません。そういった内容の議論になるかどうかということは、私(大臣)自身、今のところは把握しておりません。
【琉球新報 稲福記者】大臣始め、昨年末から沖縄へずっと行って、理解を得る努力をしていると思うのですけれども、それでも沖縄の現状は変わらない。日米合意の遵守が大事であると言っていたのですが、この普天間の移設の問題について、米国側にどのようなことをお伝えするのでしょうか。
【大臣】米国側も、総理の訪米までに何らかの結論を得るということについては、それについてリンクさせないで、やはり沖縄の理解を得るために粘り強く日本政府が話し合いをしていくことについて理解してくれています。そういう意味では、もちろん、永遠と無限の時間をかけるつもりは全くありませんが、我々としては粘り強く沖縄の皆さん方に対して、前回の総選挙で言ったことと違うことになったということは真摯におわびを申し上げながら、ご理解を得るようにさまざまな努力をしていくということが今後も大事であると考えております。
【NHK 渡辺記者】日本とオーストラリアのEPA交渉ですけれども、本日まで4日間の交渉が行われています。その進捗について、どのような報告が上がっているのか。あと、大臣は年央までの妥結ということをおっしゃっていますが、農業問題の課題が大きなところであると思うのですけれども、それに向けて、今後、どういう方針で取り組んでいくのか、そのことをお聞かせください。
【大臣】本日まで、日豪EPA交渉が実務レベルで行われるということで、現状においてどのような具体的な議論があるかということは、まだ聞いておりません。
ただ、私(大臣)から指示をしておりますのは、昨年の包括的経済連携に関する基本的な考え方、これは閣議決定をされているものであります。その中には、現在交渉中のEPA・FTAについては、できるだけ早くに合意をするということ。そして同時に、高いレベルでの自由化について努力をして合意をすること。この2つが書かれているわけでございまして、この2点に照らし合わせて考えれば、日豪がお互い高いレベルでの自由化というものにできるだけ早く合意をして、そしてこの日豪EPA交渉というものが、日本のFTA・EPAに対する前向きな意思をしっかり示していく試金石となって、対外的に私(大臣)は示されるべきだと思っておりますので、中身も大事でありますけれども、スピード感を持って、そして早くに合意をすることを私(大臣)からは指示をしております。
【フリーランス 上出氏】ミャンマー関係で質問させてください。
選挙が終わったりして、先週の金曜日に多少状況が良くなっているという認識を示されたと思うのですが、私の取材では、そういう行為を受けてかどうかはわかりませんが、大手企業などでは期待する声も出ているということで、2つ質問をさせてください。
今、人道支援だけに限られているODAは、どういう条件、あるいは基準で変わるのか。外務省なり、大臣ご自身のご認識をお願いします。これが1点。
もう一点は、かつて建設的関与という有名な言葉がございまして、軍事政権を孤立させるのではなくて、追い込むのではなくて、批判もしながら支援もしていくという、欧米とは違う施策をとられたと思うのです。ただ、そのことに関して、民主化に関心を持つ人たちからは、結局軍政を生き延びさせてしまって、結果的にはよくなかったのではないかということがありますが、今回もそれと同じような形になるのかどうか。建設的関与ということを現在どう思っていらっしゃるか。その辺の評価について、2つの点をお願いいたします。
【大臣】まず、1点目のご質問でありますけれども、状況が今良くなっているかということについては、私(大臣)は慎重に見極めなくてはいけないと思っています。私(大臣)が一定の評価を下したのは、不完全ではあるけれども、20年ぶりに総選挙が曲がりなりにも行われたということ。そして、アウン・サン・スー・チーさんの軟禁状態というものが解除されて、一定の自由が与えられるようになったという面においては、一歩前進はしているのではないかと思っております。大事なことは、一歩前進をした方向性が今後もとられ続けるかどうかということが大事であり、この点は余り拙速な評価をすべきではない。今の政権の新しい大統領が決まったばかりでありますので、もう少し方向性をしっかり見極めた上で、ODAも含めて判断をしなくてはいけないと思っておりまして、現時点において何か積極的に新たなものをやるということの判断を下せる状況にはないということであります。
それから、建設的関与の問題についてでありますけれども、こういった問題は必ず批判は起きます。しかし、私(大臣)は建設的関与をすることによってうまくいった例も多々あると思っております。そういう意味では、批判をして何もしない。そのことによって、例えば軍政というものが強化をされる場合もあるでしょう。今、私(大臣)が思いついた例で申し上げれば、やはり中東和平でイスラエルとの関係を好転させるイスラムの国々に対しては、日本を含め、平和の配当という形でさまざまな支援をしていくことによって、中東和平を曲がりなりにも前に進めてきたということもあるわけであります。
つまりは、白か黒か、イチかゼロかということではなくて、ある程度の関与をしっかりと保ちながら、民主化、基本的人権の尊重、あるいは発展というものに関与していくことも私(大臣)は大事だと思っておりまして、そういう意味ではさまざまな意見はあろうかと思いますけれども、今まででさえ人道的な面でのODAは行っていたわけでありますので、関与をしながら、しかし逆戻りをすることのないように、我々としてはミャンマーとの対話を続けてまいりたいと考えております。
(1)ロシア訪問について
【前原外務大臣】まず1点は、私(大臣)の訪露についてです。2月11日から12日にかけまして、これは国会のご了解が得られればということでございますが、ロシアを訪問する予定でございます。今回の訪問につきましては、ラブロフ外務大臣との日露外相会談を行う他、フリステンコ産業貿易大臣との間で、貿易経済に関する日露政府間委員会を開催する予定でございます。昨年11月の横浜APECの会議におきまして、私(大臣)はラブロフ外相と1回目の外相会談を行いました。政治、経済、文化、あるいは国際場裡での協力ということで、あらゆる分野において日露関係を発展させていくということを確認いたしましたし、今回は、前回と同様に、領土問題の第2ラウンドを行いたいと考えているところでございます。また、その際、我々の基本的立場についてしっかりと話をし、また、経済を含む幅広い分野で日露関係というものを発展させるための方策についても議論をしていきたいと考えているところでございます。今回の訪ロが日露関係の発展のために資するものとなるように努力してまいりたいと考えております。
(2)南部スーダン住民投票の最終結果の発表について
【大臣】南部スーダンの住民投票についてでございます。2月7日、南部スーダンの住民投票委員会は、圧倒的多数で南部スーダンの分立が支持された旨の最終結果を発表いたしました。我が国といたしましては、住民投票が平穏理に実施されて、南北スーダン包括和平合意(CPA)の履行に大きな進展が見られたことについて、心から歓迎をいたします。本年7月のCPA履行期限を控えまして、南北和平プロセスは極めて重要な局面にございます。我が国といたしましては、南北スーダンの当事者が今回の投票結果を受け入れるとともに、今後想定されます南部の分離独立に向けて、南北スーダン間のさまざまな課題について円滑に交渉を進めていくことを期待しております。また、そのような南北スーダン両当事者の努力を日本国政府として積極的に支援してまいりたいと考えております。
【TBS 竹内記者】ロシア関係で1点お伺いしたいと思います。昨日の北方領土返還要求全国大会で、菅総理がメドヴェージェフ大統領の北方領土訪問について「暴挙である」という言葉を使って非難をした訳ですが、大臣の訪露の直前というタイミングであのような発言をした。その裏側にある戦略というか、何らかの戦略が腹の中にあってのことなのかどうなのかということをまずお聞かせいただきたいのと、あの演説の草稿について、大臣は事前に目を通されたのかどうなのか、この2点をお伺いしたいと思います。
【大臣】まず、2点目のご質問から申し上げると、私(大臣)は目を通しておりません。メドヴェージェフ大統領の国後訪問というのは、我々にとっては極めて遺憾な出来事でございまして強く抗議をしたところでございます。昨日の北方領土返還のための全国大会で、今までずっと努力をされてきた方々の前で、総理がご自身の思いでお話しをされたものだと思っております。私(大臣)が総理の言葉を解釈する立場にはございません。政府として総理とも共通しているのは、日露関係というのは大事な二国間関係であり、まだまだ発展をする素地はあると、戦略的な環境から見ても、これを発展させていかなければならないと。しかし、領土問題というものが未解決のままで残っております。この問題を解決して、そして、北方領土の四島の帰属を確定して、平和条約を結べば、日露関係というのはより発展する素地があるのではないかと思っております。こういった問題意識に立って、日露関係の関係強化のために、領土問題も含めて、しっかりと私(大臣)がモスクワに行って、ラブロフ外相、あるいはフリステンコ産業貿易大臣と話をしてまいりたいと考えております。
【世界日報 山本記者】北方領土関係の件で、日教組の教研集会というものが、日本教職員組合で先月末にあったということです。その報道を見ますと、日本のちょうど北方領土のおひざ元だと思うのですが、根室市の中学の教師が、その経緯について教えていて、そのうちに「自分が北方領土がどこの国の帰属のものか分からなくなった」と言ったということです。さらに、子供たちに聞いたところ「分からなくなった」という子供も出たという報道がありました。日教組は民主党の有力な支持母体でもありますし、やはり、国内で、それも(北方領土の)おひざ元で、そういった教育が行われているということは、北方領土返還問題に対しても、力がそがれる状況でありますし、どのようなことが分からなくなる原因なのかということも含めて、その辺をきちんと指導をされるおつもりがあるのかどうか、その辺をお聞きできますでしょうか。
【大臣】今おっしゃったことについて、私(大臣)どもは事実かどうか確認はできておりません。仮にそれが事実とすれば、大変遺憾なことだと思っております。この北方領土については、我が国固有の領土でありますし、また、根室という土地は、北方領土返還運動の原点といえる地域でございます。そこに、我々の固有の領土である歴史的な経緯、こういったものがしっかりと、特に教職員の皆さん方にはお教えするような形を私(大臣)はとっておられると思われますが、理解が浅くて、そういう教師がいるとすると、極めて残念だと思います。仮にの話でありますが、そういう教師がいれば、大変遺憾なことでございますので、事実関係を確認した上で、一般論として、この問題を風化させてはなりません。そして、国民の世論というものをしっかりと盛り上げ、啓蒙に努めて、認識をしっかり持ってもらうように、今後も政府一体となって努力をしてまいりたいと考えております。
【世界日報 山本記者】「この問題を風化させてはなりません」とおっしゃったのですが、具体的に、教えられた内容に対して、しっかりと調査されて、そういう教育がなされないように努めたいというご意見なのでしょうか。
【大臣】事実関係を確認しなければいけませんので、そういう事実があるのかどうなのかということについては、確認させていただきたいと思います。
【NHK 稲田記者】ロシア訪問についてお聞かせ下さい。まず、北方領土問題についてですが、昨年のメドヴェージェフ大統領の国後島訪問以降、日本のロシアに対する世論というものは非常に厳しいものがあると。また、ロシア側も北方領土については、日本に対して「第二次世界大戦の結果を受け入れるべきだ」という立場を非常に強めていて、これまでになく頑なな姿勢を示しています。大臣は先ほど、今回は「領土交渉第2ラウンド」というようにおっしゃいましたけれども、領土交渉において具体的にどのような進展を見込んでいらっしゃるのかということが一点。それから、ロシアは今、アジアに対して非常に目を向けています。特に安全保障面に関してそうだと思うのですが、そうした中で中国の海洋進出なども踏まえて、アジアにおける安全保障面でロシアとどういった関係を築いてきたいとお考えなのか、また、ロシアの急激な軍備の増強についてどのようにお考えなのか、教えて下さい。
【大臣】いずれも、今回、ラブロフ外相と話をするテーマでございまして、マスコミを通じて外相会談をするつもりはございませんので、今のようなご質問については、外相会談を終えた後にブリーフもございますので、しっかりとお話をさせていただきたいと思います。
【読売新聞 崎田記者】日本の漁業会社がロシア側に多額の資金提供をしていて国税当局に指摘をされたという問題がありまして、水産庁の方で調べているのですが、指摘を受けた4隻と同様に、(北方)四島周辺で漁をしている多くの船とともに、同じ漁業協定を毎年交渉されていまして、大臣の方で漁業問題と領土問題をもし関連性があるというようにお考えであれば、その点について一つ。後、もう一つ、今回のロシア訪問でそのことを議題にされるおつもりがあるのであれば、そのことも併せて教えてください。
【大臣】先ほどもお答えしたように、これからいよいよ外相会談を行うわけでありまして、その前にマスコミを通じて交渉になるような発言は控えたいと思っております。ただ、漁業の問題について言えば、まずは既存の枠組みに基づく操業秩序を漁業者が守るということが私(大臣)は大前提だと思っておりますし、それが安定操業を維持するための必須条件だと、このように思っております。その上で、我々としては、漁業者の意向はしっかり承り、そして、関係機関と連携をしながらその意向というものを実現できるかどうかということも含めて、今後議論していきたいと考えております。
【テレビ朝日 花村記者】昨日の北方領土返還要求大会で、大臣はご自身の発言で「政治生命をかける」とおっしゃいましたけれども、交渉、外相会談の中身はともかくとして、今、この時期にこのような発言をされる意図、そして、この問題はずっと動いてこなかったと考えるのですが、それを実際に政治生命をかけて動かせるという何か方策をお持ちなのでしょうか。
【大臣】私(大臣)が「政治生命をかける」と申し上げた意図は、私(大臣)は大学時代、国際政治を専攻しておりました。丁度、米ソ冷戦が非常に激しい時期でありまして、「日本外交の主体性」というものが見えてこないというものに苛立ちを感じて、そして、政治家を志す一つのきっかけになったわけでありまして、その思いの延長線上で松下政経塾の門を叩いて、そして、北方領土問題も米国の学生と共同で研究をいたしまして、その時にご指導いただいたのが末次一郎先生でありました。私(大臣)が京都府議会議員に28歳で無所属で立候補するときに、一地方議員の選挙に無所属で出る議員が街頭演説で北方領土の問題について訴えていたことを今でも覚えております。それぐらい思い入れの強いテーマであって、政治家を志すきっかけになったテーマでもある、そして、この問題を解決しなければ、日本の戦後は終わらないという気持ちを持って今政治家をやらせていただいていると。私(大臣)は政治家としてこの問題を解決したいと、そういう思いを申し上げたわけでございまして、何とか自分(大臣)も含めて、この問題をできるだけ早く解決したいという強い思いを持っているということを申し上げたわけであります。
【フリーランス 上出氏】大事な問題だと思うので、あえて言わせてください。世界日報の人の質問に答えて、事実関係を確認するということを言っていました。私も北方領土は当然、日本の領土だということは認識していますが、学校の問題、特に組合が関わる問題について、とかくヒステリックになりやすくて、今、東京都で卒業式の問題が起きて、そういう中で国家公務員の労働基本権の問題がある中で、組合を否定するようなヒステリックな反応でということはよくないのではないか。もっと大きな視野でこの問題を見ていただきたいと思いますが、どうお考えでしょうか。
【大臣】組合のことで、私(大臣)は先ほどご質問にお答えしたわけではありません。一教師として、特に根室という北方領土返還運動の原点の地で、一教師が仮に先ほど言及されたようなことが事実であるとすれば、それは大変問題だということで、組合と結び付けてお話をしたわけではないということは、改めてお伝えしておきたいと思います。
【毎日新聞 西岡記者】本日、韓国と北朝鮮の当局者の対話が進められています。昨年11月の延坪島事件以来、初めての南北対話になるわけですが、これに対する日本の立場をお聞かせください。あと、南北間でどういう進展があれば日朝の対話に乗り出せると、着手できるとお考えなのかも併せて教えてください。
【大臣】去年起きました一連の事案につきまして、具体的には哨戒艦「天安」の撃沈事件、ウラン濃縮を北朝鮮が公表した事案、そして、また延坪島に対する砲撃。これについてはいずれも日本政府といたしましては、北朝鮮を厳しく批判しております。この問題は特に当事者である韓国との連携というものが大事だと思っておりますし、だからこそ南北の対話というものを優先させるということを繰り返し申し上げてきたわけであります。
今まで累次、南北の対話というものが行われてまいりましたけれども、もろ手を挙げて安心できるような状況が過去にあったかというと、なかなかそういう状況でなかった面も多かったということで、重大な関心を持ちながらも楽観視はせずに、推移を慎重に見極めたいと考えております。いずれにいたしましても、韓国との連携、米国との連携の中で、特に去年の12月初旬に外相会談をワシントンで、3か国でやりました。そのときにお互いに確認をした、六者協議に参加をする北の具体的な行動、こういったものを今後も3か国、更にロシア、あるいは中国にも働きかけて、北に対して求め続けたいと考えております。
【フリーランス 岩上氏】TPPについてお聞きしたいと思います。自由貿易体制を拡大・拡充していくためにTPP締結が必要であるということを大臣は今までも繰り返しお述べになってこられたと思います。また、この問題に関しては、影響が出る分野は農業分野程度であるというような報道も散見されております。しかし、24の産業分野でさまざまな形で影響が出ることが、ここのところ明らかになってくるとともに、懸念の声が大きくなっております。
例えば医療、あるいは司法です。こういう制度は貿易とは直接関係のない国民生活を支えるシステムでありますが、そうしたことも重大な影響が出るということも明らかになり、日弁連、あるいは日本医師会も懸念の声を上げるようになりました。また、おひざ元の民主党の中でも「慎重に考える会」というのが発足し、これが正式に議連になろうとしております。山田正彦前農林水産大臣が会長で、精力的に会合を重ねて、このTPPにストップという意味でしょうか、見直しの声が拡大していっております。
こうした点を受けて、改めて大臣の見解をもう一度、TPPが本当に必要なのか、正当性があるのか、ご見解をお聞きしたいと思います。
【大臣】一部報道でございましたけれども、昨日の夜、ルース大使の公邸で食事をいたしました。ルースさんから、家族、夫妻で食事をしませんかと。そしてもう一組どなたかお連れいただいて結構ですということで、官房長官のご夫妻と一緒に昨日6名で食事をいたしました。そのときにもこの話になりまして、ルース大使がおっしゃっていたことで非常に興味深いと思いましたのは、これは私(大臣)も国会答弁で申し上げたところでありますけれども、あたかも米国が日本にTPPに入れということを強要しているかのごとく報道があるけれども、それは全く違うということを、私(大臣)は答弁で申し上げましたけれども、それを裏付けるような話がルースさんからもございました。つまり、日本が入ることによって日本のさまざまな要求を米国がのまなければいけないのではないかという、米国側にむしろ慎重論があるということをおっしゃっておりました。
恐らく私(大臣)は、この手の話というのは、情報がしっかりと開示されない状況においては、その制度を変える、あるいは可能性があるということについて、極度にお化けのように大きくなっている部分があるのではないかと思っております。例えばみんなの党さんは、TPPには賛成とおっしゃっておられますけれども、みんなの党に所属されている川田龍平議員は薬害エイズの被害者でありまして、国民皆保険というものを維持すべきだという主張を本会議でされておりましたけれども、もしTPPに入れば、先ほどおっしゃったように、こういった医療分野においても全く米国と同じ仕組みにならなければいけないのではないかということで、自由貿易ではなくて、まさに国と国との統合のような話になってしまっており、まさにお化けのようなイメージとしてとらえられているのではないかという感じがしております。
例えば経済統合を進めているEUでも、医療制度は各国ばらばらでございます。つまりは経済統合しているEUでもそういう状況である。あるいはASEANも2015年までには経済統合しようとしているということでありますが、当然ながらそれぞれが主権国家として違った医療制度を持つということは当たり前のことであります。もし万が一、米国がTPPに入るのであれば、日本は皆保険制度を見直さなければいけないということになれば、それはTPPに入るべきではないと思います。また、そういう要求はしてこないと思います。しかし、その中にあってどういう整合性をお互い規制緩和の中で取っていくのかという議論が行われるわけであって、そこの情報収集をまさに我々外務省が中心となって行っていて、正確な情報に基づいて議論をする環境を我々としてはしっかり整えていきたいと思っております。情報がないから恐怖感が広がる。そして、昨日、ルースさんは、日本が入ると日本のいろいろな要望で米国が目指すものではなくなるという心配が米国の中であるのだとおっしゃっておられましたけれども、日本でもそういう心配があるということで、お互いが疑心暗鬼になっている部分があるということで、そこは情報収集をしっかりやって、そして先ほど申し上げたように、本当に日本の主権というものを脅かすようなものが仮にあるのだとすれば、私(大臣)はそれは交渉事ですから交渉したらいいと思っておりますが、そういう状況であれば入らないという決断はあってもいいと思いますけれども、私(大臣)はそうはならないと思っております。むしろそれは交渉でどうやって日本の立場をうまく取り入れていくのか、これは仮にTPPでなくても、ASEANプラス3とか、ASEANプラス6とか、こういう形でやっていったり、あるいはほかのEPA・FTAを結んでいくにしても、自らの主張というものをしっかり伝える中で、お互いが妥協を見出していくことが交渉事だと思っておりますので、そういう意味では我々の課された使命は、徹底した情報収集と情報開示、そして参加するかしないかの判断に資するだけの十分な情報を開示し、国民に納得のいただける議論をしていただける環境をつくっていくことが大事だと考えております。
【フリーランス 岩上氏】日本医師会は、強い懸念を既に表明されております。混合診療の拡大から国民皆保険制度が崩れていくということがあり得ると明確に懸念を表明しているわけですけれども、これはそうしますと杞憂であるのかどうか。大臣はどのようにお考えなのか。そしてお話の中に、情報を収集してということですけれども、現時点で収集は終わって分析判断が終わっているのではなく、まだ大臣ご自身も外務省も政府も十分な情報を収集し終えてないということなのか、その点を確認でお尋ねさせていただきます。
【大臣】TPP参加表明国、これはご承知のとおり、9か国でございます。ほぼ月1回のペースで協議を行っておりまして、非常に精力的に行われているなという感じがいたします。結論から申し上げれば、我々は参加を表明していないにもかかわらず、友好各国の協力の下で、相当程度の情報収集はできていると考えております。
ただ、国会でも答弁をさせていただきましたとおり、まだ固まっていないものについて、情報公開、情報開示をするわけにはいきません。特に入ると決めていない国が、今まだ固まっていなくて、9か国でこんな議論をしていますよということを第三者が情報開示をするわけにはいかない。しかし、こういう議論、途中経過も含めて、9か国は相当程度日本には情報提供をしてくれているということであります。
我々としては、参加表明もしていないし、まだ固まっていないものについて、国会や国民に情報開示をするわけにはいかないということで、出せる情報のみを、今、お出しをしているという状況でございます。
医師会のご懸念もわかります。先ほど申し上げたように、どうなるかわからないという意味での、未知への恐怖といいますか、そういったものがあるというのはわかりますが、ただ、農業の話と同じで、TPPに入る入らないは別にして、今後、高齢化社会が進んでいく中で、医療費というのは上がっていくわけでありまして、この上がっていく中で、持続可能な医療制度というものをつくっていくために、高額療養費制度というのはもうあるわけでありまして、その在り方も含めて見直していくということは当然あるでしょうし、TPPとは別個の議論として、やはり医療制度の時代とともの変化ということは、積極的にやはり我々は考えていかなければいけないのではないかと思っております。
【中国新聞 岡田記者】先日、米国とロシアの新しい戦略核兵器削減条約が発効いたしました。まず、これについての受けとめと、次のステップとして戦術核の削減に向けた動きがあると思うのですが、その点について、どういう見通しを持っていらっしゃるかというのと、被爆国の政府としてどういうことができ得るのか、考えをお聞かせください。
【大臣】中国新聞さんということで、被爆地である広島がエリアに入っておられて、そういう問題意識をお持ちでご質問されたと思いますし、この間のSTARTが米露両国の間で批准がされたということは、私(大臣)は核のない世界に向けてのさらなる一歩ということで評価をしなくてはいけないと思っております。
しかし、一歩であって、果てしなき道がまだまだ続いているなという感じがいたします。今、ご指摘のように、戦略核のみならず、ほかの核はどうするのかということと同時に、米露だけで削減をしていくのではなくて、他の核保有国について、どのように歩調を合わせるような協力を求めていくのかということも大事であります。
同時に、カットオフ条約とか、CTBTとか、核に関連する条約というものに対する効果を持たせるために、まだ協力をしていない国に対して協力を求めていくということも極めて大事なことではないかと思っておりますので、我々といたしましては、オーストラリアと共同議長をして、核のない世界に向けた、いわゆる核リスクの少ない社会に向けてのグループというものをつくりまして、去年の9月、国連総会で会議をして、その議論を、今、事務レベルで行っているわけでありますけれども、この米露両国のSTART批准というものは評価をしながらも、あくまでも一歩であって、今後、どのように核のない世界にあらゆる面で努力をしていくのかということについては、しっかりと被爆国として日本がイニシアティブを取るべきところは、しっかり取りながら、各国と連携をして進めてまいりたいと考えています。
(1)G4外相会合について
【前原大臣】G4の外相会談でございますが、国連安保理改革に向けての4か国の外相会談の日程調整をしておりましたけれども、ニューヨークで2月11日に行われることになりました。残念ながら、私(大臣)はモスクワに訪問しておりますので、松本外務副大臣に出席をしてもらうことにいたしまして、その方針につきましては、先ほど総理に報告をさせていただいて、ご了解を得たところでございます。中身についてはこれからの交渉事でございますので、現時点では差し控えたいと思いますけれども、その方針で松本副大臣にはG4に臨んでいただこうと思っております。
(2)「前原外務大臣と語る」の開催について
それから、3月5日(土曜日)の午後2時から神戸におきまして、「大臣と語る」という国民との直接対話の場を設けさせていただきたいと思っております。神戸国際会議場メインホールで午後2時から開催をさせていただきたいと思っております。今までこういった同様の講演会は、平成14年4月に第1回を開催して以来、全国各地で19回開催をしてきたと聞いておりまして、今回で20回目の開催になるということでございます。
(3)エジプト情勢について
最後にもう一点、エジプト情勢のことでありますけれども、邦人の皆さん方の動向について、今どういう状況かをお話をさせていただきたいと思います。今朝も第13回目の対策本部を開きまして、カイロにおいては脳梗塞で入院をされているお一人のみでございまして、あとはすべてカイロ空港からは出国をされました。ルクソールでございますけれども、本日出発予定のルクソール発ドーハ行きというものが35名出られるご予定でございますけれども、その方々を含めて、現在103名おられます。クルーズをされている皆さん方が68名おられまして、我々としては退避勧告を出しておりますので、早くにということを申し上げたわけでございますけれども、残念ながらクルーズをされている皆さん方は続けるということで、自己責任において68名の方が2月6日に、これもルクソールからドーハに出られるということでありまして、観光客はもしこの35名の本日の便が出ますと、カイロにお一人、ルクソールには68名の方が残られるということになります。2月6日にはその便が出れば、カイロに入院されているお一人のみになるということでございます。
なお、1,000人を超える在留邦人の方々がおいででございます。この1,000名というのは大使館関係者を除くでありますけれども、1,000名余りの方がおいででございますが、現在は約610名の方が滞在をされているということでございます。出国意思のない邦人の方が約400名。これは日本人で現地の方と結婚されている配偶者の方でありますとか、企業団体の管理者などが現地にとどまるという意向を現時点では示しておられまして、残りの210名が一時出国を検討されているということでございます。
あとは我々が若干心配をしておりますのは、邦人の記者が60名ほど入っておられまして、2~3日前の20名から3倍になっているということで、トラブルに巻き込まれる件数が増えてきておりまして、大変危惧をしておりまして、皆さん方のご同業の方々ばかりでございまして、そういう意味では、もちろん取材をしていただくということは大変ありがたいことでもありますけれども、特に身の安全には気を付けて取材をしていただきたいと考えております。
【朝日新聞 大島記者】ミャンマーの新大統領の選出について、2点お伺いします。報道ベースではテイン・セイン首相がそのまま大統領になられているのですが、政府としてそれを確認されているかどうかは別にして、いずれにしろ、少なくとも形式の上では、選挙があって議会が開かれまして大統領を選ぶと。この「民政移管」のプロセスが進んでいることについて、どういうように評価されるのかが1点目です。
2点目は、新政府の発足に伴って、日本政府としてのODAの在り方も含めた対ミャンマー政策についてはどう考えていらっしゃるのかをお願いします。
【大臣】まず1点目の新大統領が選出されたという報告は、まだ受けておりません。
2つ目でございますけれども、我々の基準からいたしますと、20年ぶりに総選挙が行われたとはいえ、軍人が極めて多いということで、開かれた選挙だとは言えませんが、しかし20年ぶりに総選挙をやられたと。そして、スー・チーさんが解放されて、さまざまな行動の自由を徐々にではありますけれども、与えてきているということについては、一定の評価をしております。そのような方向性を今後見極めながら、我々としてのミャンマー政策というものを検討していきたいと考えております。
【北海道新聞 嶋田記者】本日、ロシアの国防大臣が国後、択捉島を訪問したということがありますけれども、これについて大臣は、このねらいとどういうように受け止めているかということをお聞かせてください。また、この訪問を受けて、ロシア側に何らかの抗議とか遺憾の意を表明するようなことをされたのか、そのことも教えてください。
【大臣】本日、セルジュコフ国防大臣が北方四島を訪問したことは、我が国の立場と相入れずに極めて遺憾だと思っております。本日4日、小寺欧州局長がベールイ大使を外務省に呼びまして、厳重に抗議を申し入れたところでございます。
中身につきましては、日本の原則的立場と相入れずに極めて遺憾であるということと、私(大臣)がこれから日露関係を領土問題の解決も含めて発展をさせていこうというときに、こういう訪問は両首脳間の合意にそぐわないし、また発展させていこうというものについて、冷水を浴びさせるものだといった趣旨の抗議を行ったところでございます。
今までも国防大臣については、何度か北方四島を訪れております。我々がその意図を分析する立場にはございませんが、先ほど申し上げたとおり、我が国の立場とは相入れないということで、遺憾の意を表明し、抗議を申し入れたところでございます。
【北海道新聞 嶋田記者】先ほど冒頭で、G4の件で2月11日ごろにはロシアにいるとお話しされたと思うのですけれども、恐らくその場で(日露)外相会談もあると思うのですが、この点に関しては直接大臣の方からラブロフ外相の方に抗議するような形で考えていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】マスコミを通じて外相会談をするわけではありません。さまざまな今までの経緯について、我々として感じることはしっかりと物を言うという原則的な立場には全く変わりはございません。
【時事通信 吉岡記者】国防相の前にバサルキン地域発展相がやはり北方領土を訪れて、その際に北方領土を含む千島列島の開発プロジェクトに韓国企業が参加するよう提案したという話があります。これを踏まえて、韓国側に対して、ロシア側の提案に乗らないように伝えるなど、第三国の開発参加を防ぐ手立てというのは何か講じられているのでしょうか。教えてください。
【大臣】あくまでも報道ベースでありますので、報道ベースのことについて、我々の事実関係ができていない中で、具体的な行動をとることはございません。
【時事通信 吉岡記者】そうすると、これはあくまで報道ベースであって、政府としては事実そのものも事実でない可能性があると認識していらっしゃるということなのでしょうか。
【大臣】というか、確認できておりません。
【日本経済新聞 永井記者】北方領土についてですけれども、現状、ロシアが実効支配をしている状況ですので、実際の領土解決にはロシア側が何らかの日本と早期の領土問題解決をしたいと思わせるようなことがないと難しいと思うのですが、日本政府としてはロシア側をどのようにして動かそうとお考えでしょうか。
【大臣】今までの累次の二国間の会談や会合におきまして、領土問題を解決して、早期に平和条約を締結しようということは、お互いの合意だと、私(大臣)は認識をしております。
そういう意味においては、ロシア側も何らかの前進は得たいと、私(大臣)は思っていると認識をしております。いずれにいたしましても、領土問題の解決というのは極めて大事であります。と同時に、この地域の協力相手国として、今後、経済、あるいは資源開発、こういった面で日露関係というのは、更に強化をしていきたいと思っております。
領土問題については、四島の帰属を確定して平和条約を締結するという我々の基本的な考え方には変わりはございません。
【毎日新聞 犬飼記者】対露外交ですが、大臣は以前からメドヴェージェフ大統領の訪問以来、従来の北方四島に限ったような経済協力の在り方ではなくて、更に、ウラル以東の開発とか、そういったものまで拡大して、そういったものをてこにして、領土問題の解決を図るというお考えを披瀝されてきたと思うのですが、今回の国防大臣などもそうですが、残念ながらロシアにそうした前原大臣の思いやメッセージが伝わっていないのではないかという感じも受けるのですが、その辺りはいかがでしょうか。
【大臣】言葉尻を捉えるようで恐縮ですが、「北方領土に限ったという経済協力ではなくて」という言い方がありましたけれど、北方領土で経済協力をやるつもりはありません。我々の主権が全く侵されない形で行われるという万全の担保があれば話は全く別でありますけれども、そういう意味において、我々は北方領土で二国間の経済協力関係をやる考え方は持ち併せておりません。その中で日露関係というものをさまざまな形で発展をさせなければいけないという思いはございます。先ほどから申し上げているように、マスコミを通じて外交交渉をやるつもりはありませんし、ラブロフ外相との対話の中で日本側の考え方をしっかり伝えていくということで、日露関係をさらに強固なものにしていき、また、同時に領土問題の解決に向けて、外相としてできることについてはしっかりやっていきたいと考えております。
【毎日新聞 犬飼記者】過去の考え方で、領土問題が進展しなければ経済協力はしないという考え方もありましたが、大臣としてはそういう考え方は一切しないと、それはそれとして別個に考えていくということでよろしいでしょうか。
【大臣】あまりそういう二元論的な考え方で物事を見られるというのはいかがかと思います。領土問題が解決しなければ全く経済協力はしないというスタンスでも今までなかったと思います。その数の多寡は別にして経済協力もやられてきたわけですが、私(大臣)は更なる経済協力もしっかりやっていくべきだと思っております。これは、領土問題という問題はありながらも、二つの意味において大事だと、一つは日本の利益にもなる、例えばロシアのさまざまな資源、あるいはインフラ、こういったものを日本が持つ技術を裏付けして共同開発をすることによって、日本の企業、あるいは日本に対して利益がもたらされるという、まさに日本の利益の観点から、と同時にそれがロシアの利益にも私(大臣)はなると思っております。そういう意味ではウィン・ウィンの関係というものが築けていけるのではないかという思いがございますので、そういう意味において、入口論か出口論かの二元論に立つのではなくて、もう少し比重として協力関係というものをもたらすということは、これは相手のためにもなるし、我々のためにもなる、そしてそれがひいては二国間の関係強化、信頼強化につながって領土問題を解決する環境整備にもなるのではないかと思っております。
【産経新聞 酒井記者】来週モスクワを訪問されることに関連してですけれども、去年のAPECの首脳会談で、菅総理の今年中のロシア訪問を要請されたと思うのですが、現在の見立てというか、どうなるかという認識はどうでしょうか。
【大臣】日露関係を更に発展させていくために、また領土問題を解決するために、やはり首脳が話をしないといけない話であります。外相会談というのは、あくまでもその条件を整えるものであって、首脳同士が最終的にはさまざまな決断をするわけでありますので、答えから申し上げますと未定でございます。しかし、私(大臣)としては、首脳会談を是非してもらいたいと思っております。
【NHK 稲田記者】モスクワに関連して2点聞かせてください。まず、11日、訪ロされるというのは正式に決定したと大臣が冒頭おっしゃっていましたけれども、そこを確認させてください。
先ほど大臣は、国防相の北方領土訪問について、訪問の意図について分析する立場にはないとおっしゃいましたけれども、さはさりながら、日本が自国の領土だというところに他国の閣僚が入って、それを分析する立場にないというのがよくわからないので、そこの真意をもう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
【大臣】まず訪露については、訪問する方向で調整しているということであります。累次、我々はいろいろとお話をしてまいりました。国会でも、例えば2006年、いわゆるクリルの開発計画プログラムといわれるものが閣議決定されて、それ以降、フォローアップのためにかなりの大臣が訪問しているというところであります。
ただ、他方で、その前に国防大臣については何度か、クリル経済開発計画が閣議決定される前からも北方領土には国防大臣は行っているということであります。もちろん、外交当事者として、さまざまな分析は行っておりますけれども、安全保障、軍事に関わるテーマであるので、我々として積極的にその意図をコメントする立場にないということを申し上げたわけであります。
【共同通信 斎藤記者】政府としての対中国の戦略についてお伺いします。1つが、菅総理が、今度、有識者の皆さんを集めて中国問題について、お昼に意見交換をするということで、有識者懇談会を開くということですが、有識者懇談会を事務的にサポートする外務省として、この懇談をどう位置づけ、どう総理は生かすおつもりかと見ているのかという点と、もう一つは、対中戦略については、前々から、中国はこれだけ大きくなってきているので、外交だけではなく、安保、また経済、こうしたものを一体的に総合的に勘案して戦略を立てるという必要性についても有識者などから意見が出ていますが、こうした点について、大臣のご見解があれば、お伺いしたいと思います。
【大臣】今までも総理官邸並びに外務省として、さまざまな有識者の方々からお話を伺って、それも参考にしながら対中政策というものを固めて、今、実施をしているわけであります。
総理としては、なぜこの時期に懇談会をつくられたのかということについて、私(大臣)なりの解釈を申し上げれば、やはり来年が国交正常化40周年という節目であって、何とか尖閣の問題で一時期ぎくしゃくした日中関係というものを、関係改善をして、文字通り戦略的な互恵関係という両国の関係をより強固なものにしていきたいという総理のご意思の表れではないかと、私(大臣)は思っております。
そういう意味で、総理の中にある中国との関係強化というものを、さまざまな分野の方のお話を伺う中で、総理として、より強固な、今でも対中政策を我々はしっかりと確認をし合っておりますけれども、それを更に強めていくという思いではないかと、私(大臣)は考えております。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。エジプト関連ですが、ムバラク大統領は次期大統領選に不出馬を表明しましたが、エジプト市民は納得せず、4日に再び大規模デモが計画されております。「退陣の金曜日」「追放の金曜日」とも日本では報じられておりますが、大きな衝突と流血の可能性が取りざたされております。米国をはじめとする諸外国のムバラク政権へのメッセージや、あるいはエジプト市民に対して大臣としてどのような思いをお持ちでしょうか。
【大臣】2月4日に「出発の日」という言い方をされる方もおられますし、「追放の日」と言う方もおられますが、大規模なデモが呼びかけられていて、我々は非常に現状を憂慮しております。明日の朝、土曜日ですが、対策会議を開いて、そのフォローアップ、現状分析をしたいと考えているところです。欧米はかなり即時のムバラク大統領の退陣というものを求めているわけですが、そもそも30年間、一人の人が大統領という元首についていたわけです。その意味で、私(大臣)はもっと現実的に物事を考えるべきではないかと思います。といいますのも、もちろん今まで選挙で選ばれてきたわけではありますが、その選挙についても様々な疑念が国民から投げかけられているとすれば、新たな元首を選ぶにいたしましても、国民が納得するスキームでの選挙制度の在り方、あるいは実施の在り方というものも、しっかりと検証されなければいけませんし、納得を国民が持たなければなりません。では、そういったものを全くやらずに、トップがいなくなった場合に、果たしてその職務執行代行者でそれが成し遂げられるのかどうなのかということも我々はしっかり考えておかなくてはなりません。
私(大臣)は14、5年前だったと思いますが、IPUという世界各国の国会議員が集まって会議をする会合が、その年はたまたまカイロでありまして、カイロでのIPUに参加したわけですが、私(大臣)が参加した後の1ヵ月半くらい後に、ルクソールでの銃撃事件というのがありまして、日本人の新婚旅行の方を含む10名の方がお亡くなりになられるという痛ましい事件がありました。私(大臣)は、やはりこういったことも考えますと、特にエジプトというのは中東の雄であり、安定の要であったわけでありまして、そういったところが、安定的にこれからも中東の要として役割を果たしてもらうためには、国民の皆さん方の気持ちはわからないでもありません、しかし、現実的ないわゆる政権移行、あるいは政権を作っていくということはどういったことかを、少し冷静になって考えるべきではないかと私(大臣)は思っています。そういう意味で現政権側、軍部治安当局も当然ですし、また反政府デモを行っている方々におかれても、冷静に自らの国の将来というものを考えて、今どのように取り扱うべきなのか、取り組むべきなのかということをお考えをいただきたいし、そのベースに立って、平和的な、そして民意が代表される、新たなエジプト政府が樹立をされることが私(大臣)は望ましいと考えています。
【産経新聞 高橋記者】昨日の予算委員会でも出た話ですが、1月14日に石垣市で開かれた「尖閣諸島開拓の日」式典に政府と民主党から出席もメッセージもなかったという問題について、案内状を出した、いや受け取ってない、という話になっていますけれども、そもそも、この式典が開かれるということは周知のことであって、もし民主党が知らなかったとしたら問題だと思うのですが、いずれにしても政権与党である民主党としては、案内状が仮にこなかったとしても、問い合わせをするなどして出席すべきだったと思うのですが、大臣はいかがお考えですか。
【大臣】私(大臣)は民主党の党員、民主党所属の議員ではありますけれども、今は内閣の一員であります。昨日は官房長官が答弁をされておりましたけれども、党に招待状をいただいたのかどうなのかといったところでのやり取りがございましたけれども、いずれにしても党でご判断をされるべきお話であろうと思っております。大事なことは、もちろんそういった地域の皆さん方が自らの領土をしっかりと守っていくのだという気持ちを持っていただけるということは、たいへんありがたいことであると思っております。政府としては、そういった大会が開かれる開かれないにかかわらず、歴史的に見ても日本の固有の領土であり、領土というのは絶対に侵されてはいけない、主権の一部でありますので、そういう意味での実効支配をしっかりやっていくということが、政府に課された、あるいは与党に課された使命ではないかと私(大臣)は思っておりますし、その思いを持って私(大臣)も内閣の一員として努力をしていきたいと考えております。
(1)エジプト情勢と日本の対応(邦人保護)について
【前原大臣】私(大臣)から1点、エジプトの情勢、また、日本の対応についてお話しさせていただきたいと思います。
エジプトの情勢が非常に緊迫をしているということで、懸念を持っております。憂慮しております。政府、またデモに参加をしている一般国民も含めて、暴力的な行為は排除し、自制的な対応を取られることを心から期待をしております。また、政権においては、国民の意見にしっかり耳を傾けて、民主的な、安定した政権がつくられるように最大限の努力をされることを心から期待をしているところであります。
我々といたしましては、一義的には邦人保護というものに万全を期さなければいけないということで、今まで累次対策本部を行ってまいりました。その結果、現時点において、昨日の時点では1,492名の観光客がパックツアーで滞在をされておりましたけれども、チャーター便が3機、182名、127名、154名の計463名。コマーシャルフライトはエジプト航空、これは成田行きでありますけれども、それとカタール航空の2便、これはカイロ-ドーハとルクソール-ドーハでありますけれども、これが3便、合計して479名。その結果として、現在においては550名まで旅行者は減っているわけでありまして、何とかできるだけ全員に近い人数を本日中に国外に出ていただくように、手はずを今、整えているところでありま
す。コマーシャルフライトが飛ぶという状況で聞いておりますので、チャーター便を更にということは考えておりません。
他方で、枝野官房長官にお願いを先日からしておりまして、いざとなったときの政府専用機の活用については準備をしていただいていたということでありまして、防衛省のご協力には心から感謝を申し上げたいと思っておりますが、現状においては、政府専用機の活用まではいかないで済むのではないかと考えているところであります。
ちなみに、チャーター機にかかった費用につきましては、これは乗られた人数で等分をさせていただくということでありまして、一人当たりのお値段は3万4千円ぐらいになるのではないかと思います。一応、領事局が航空会社に対してはお金を出します。しかし、その後、乗られた方々から、先ほど申し上げた金額を徴収させていただいて、最終的に国庫に返納をするという形をとらせていただこうと考えているところでございます。また必要があれば、550人はコマーシャルフライトで無理だということであれば、チャーター便の手当てもすぐに段取りできるようには準備をしているところでございます。
また、在留邦人の安否確認も大使館が非常に少ない人数、しかも空港に半分以上出かけてサポートをしている中で、在留邦人の安否確認もしっかりやっていただいておりまして、現在のところ、エジプトに滞在しておられる日本人の方は700名程度ということでございます。当初は1,070名余りの方を把握しておりましたけれども、現在とどまっておられる方は700名ぐらいということでございまして、本日、大規模デモが呼びかけられて、また2月4日にも大規模なデモが予定をされているということでありますので、今朝の対策本部においては、私(大臣)から奥田大使に対して、できる限り在留邦人の方々も国外に一旦はお出をいただくように、しっかりと連絡をしてもらいたいということをお願いしたところでございます。
【日本経済新聞 永井記者】エジプトに関連して2点質問させてください。
1点目は、昨日、米国のオバマ大統領が新政権への移行を支持するという考えを表明されましたけれども、日本政府の立場を改めてお聞かせください。
2点目は、政府専用機の準備をされていたというように、今、伺いましたけれども、政府専用機を飛ばすには、非常に現地の下見が事前に必要ですとか、非常にハードルが高いものだと思うのですけれども、その辺りのハードルを今回はどのように乗り越えようと考えて準備されていらっしゃったのか。また、もし、その中で課題のようなものがあったとすれば、どのような部分があったのかをお聞かせください。
【大臣】オバマ大統領の演説は、秩序ある移行という言い方をされていると思います。それが、私どもはムバラク大統領が代わるということを前提に発言をされたという認識ではおりません。日本とエジプトの関係というのは、極めて友好な関係を続けてまいりましたし、アラブの雄として、要の国としてエジプトの安定というのは、地域の安定、中東和平にとっても極めて重要でありまして、我々としては、とにかくエジプトの政府が国民の声を聞いて、平和的に安定化することを望んでいるということでございまして、そういう意味では、秩序の回復にムバラク大統領は最大限のリーダーシップを発揮してもらいたいということです。どうすればエジプトが安定をするかということを一義的に重要性を持って考えてもらいたいと、我々は願っております。
それから、政府専用機についてのご質問でございましたけれども、今の法律におきましては、「安全性が確保された上で」ということを法律に書かれておりまして、その意味においては、現地での先遣隊の派遣、そして調査というものが必要でありますが、ただ、その場合は、今までに政府専用機が離着陸をしていない空港ということで、チュニジアのときには、それが1つの大きなハードルにはなりましたけれども、カイロには何度か政府専用機は離着陸をしているということでございまして、チュニジアとは違うということを防衛省からは伺っておりました。
ただ、いずれにいたしましても、今回の場合はスピード面、スピード面というのは、自衛隊はちゃんと迅速に準備、スタンバイをしていただいたわけでありますけれども、距離が非常に遠いということ、現地でのチャーター便の確保の方がよりスピーディーに日本の観光客をエジプトの国外に退去できる蓋然性が高かったということ、そのことにおいてご準備はいただきましたけれども、チャーター機を選ばせていただいたということであります。
一般論として、政府専用機を使っての邦人保護については、さまざまな観点からやはり議論することが大事だと思います。自民党さんも法律を出されておりますし、我々としても、どういった問題があるのかということをしっかり考えて、防衛大臣と連携を取りながら、より効果的な邦人保護ができるような仕組みを、今後、検討していきたいと考えております。
【ニコニコ動画 七尾記者】冒頭、大臣から邦人の方々の安否のお話がございました。大変憂慮すべきことだと思います。少し見方を変えまして、国内の情勢から見ますと、チュニジア、エジプト両国に共通しているのは、ツイッター、フェイスブック等のSNSで民衆共の参加の呼びかけのツールとして活用されている点です。エジプトでは昨日、インターネットが遮断されたものの、グーグルがインターネットに接続しなくても、メッセージをテキストに変換し、自動的にツイッターに投稿できるサービスを立ち上げております。民衆蜂起のきっかけとなっております、こうしたソーシャルメディア革命の波について、ご見解をお願いいたします。
【大臣】チュニジアではジャスミン革命という言われ方がなされておりましたが、インターネット、あるいは携帯電話等を通じて情報が瞬時に広がって、そして、多くの方々がこうして政府を動かす、あるいは政府を変える活力になるということは、私(大臣)は新たな時代の訪れを感じさせるものであったと考えております。エジプトに対しては、先般の記者会見で申し上げましたように、先般の記者会見のときには情報ツールが制約されている状況でありましたので、こういうものの遮断ということはよくないということで、携帯電話、インターネットが自由に使えるという状況に戻すようにということは、在京エジプト大使にも、私(大臣)はお話しをしたところです。やはり、個人の思想・信条の自由、そして、表現の自由、これが秩序ある形で、大きな変革を生むということは、私(大臣)はむしろ歓迎すべきことではないかと思いますし、今回のチュニジアでも、最後は、軍がベンアリ前大統領に対して、自分たちは民衆に対して銃を向けることができないということで、それが国外退去、亡命につながったということでございますので、そういった民衆の力、そして、軍部という実力組織の極めて妥当な活用というものが今後必要だと思いますので、エジプトにおいても、くれぐれも、私(大臣)は軍部が民衆に対して引き金を引くことがないように望んでおりますし、そういったものも、在京エジプト大使には申し上げたところでございます。
【読売新聞 向井記者】エジプト情勢に関連して、アジアでも独裁体制にある国がいくつかありますが、アジアのそういった国々への影響をどう見ているかお聞かせ下さい。
【大臣】国それぞれによって発展段階というものがございますし、一概にチュニジア、エジプトでこのような状況になったために、アジアや他の国、特に独裁国家と言われている国に、すぐさま波及することはないのではないかと思います。ただ、潜在的な可能性としては排除されないと思っておりますし、そのときに国際社会が連携して、今回、チュニジアやエジプトに対して、世界に対して訴えかけたように、平和的に、そして、国民の声を聞いて、正当性を持った政権が確立されるということが望ましいというように思いますし、是非、そういった国々が多くなることを、我々としては期待しております。
【共同通信 斎藤記者】今の質問の裏表になるのですが、民主化という側面があると同時に、一方では大臣の冒頭のお話にもありましたが、エジプトの役割、特に米国の中東戦略に果たしてきた役割というものもあるわけで、今後の動向によってはイスラム過激派がどう出るかという問題も出てくるかと思います。この点についての大臣の見解、見通しをお願いします。
【大臣】エジプトにおきましては、30年間ムバラク政権が続いているということでありまして、政権交代が仮に行われるとすれば、その受け皿が果たしてどうなるのかといった課題も浮かび上がってくるわけであります。したがいまして、民衆の蜂起というものを我々は大事にしなくてはいけませんけれども、その中でどう秩序を形作っていくのかということは、それぞれの国が払わなくてはいけないコストだと思いますし、それと同時にテロなどを繰り返す過激派というものが跋扈する状況にならないように、その国々が自浄能力を発揮するとともに、国際社会と連携をして、そういった芽を摘んでいくということも大事なことではないかと思います。
【NHK 稲田記者】小沢元代表が検察官役の指定弁護士から強制起訴をされました。小沢さんは「離党もしないし、今後も民主党員として頑張っていく。議員辞職もしない」ということをおっしゃっていますけれども、党内の方では菅総理や岡田幹事長をはじめ、「役員会の決定に従ってもらわなければならない」と、場合によっては進退をという話も出ていますが、大臣としては、こういったねじれ国会の中で小沢さん、そして党執行部として、どのような対応が一番望ましいかと、どうあるべきだとお考えでしょうか。
【大臣】小沢代議士は、党の代表まで務められた方でもありますし、役員会、党の決定には従っていただきたいと思います。また、何よりもご本人が代表選挙に立候補された時に「国会で説明責任を果たすことはやぶさかではない」と自らおっしゃっていたわけでありますので、自らがしっかりと説明責任を国会の場でも果たすということを私(大臣)は期待をしております。