(1)米国訪問について
【前原大臣】私(大臣)の方から1点と、あとは今年最後の会見でございますので、所感を述べさせていただきたいと思います。
まずご報告でございますが、1月6日から10日まで米国のワシントンD.C.及びフロリダ州を訪問する予定でございます。ワシントンD.C.におきましては、日米外相会談及び米政府関係者との会談、シンクタンクでの講演を行う予定でございます。また、フロリダ州におきましては、フロリダ州の知事と会談を行う予定でございます。今回は外相就任以来4回目の訪米となります。来年前半に予定されている総理訪米の成功に向けて、しっかりとした準備を行ってまいりたいと考えております。
(2)外務大臣としての所感
【大臣】それから、今年最後の会見ということで、私(大臣)が9月17日にこの仕事に就かせていただきましたので、ちょうど3か月余りということで、少し所感をお話ししたいと思います。
まず日米関係でございますけれども、鳩山政権のときに普天間の問題で日米関係が大変心配をされましたし、また、政権交代後ということもあって、米国側は自民党政権と民主党政権の外交政策、特に対米政策はどうなのだといった、いわゆるお互いの認識の、言ってみれば、埋まり方が足りなかったという面もあったと思います。
しかし、鳩山前総理は5月28日に謝罪とともに辺野古への移設を決められて、政治的な責任を取る形で辞任をされました。その後、代表になられました菅総理は5月28日の鳩山前総理の日米合意というものを踏襲するということで一貫した姿勢を貫いておられまして、そういうことも含めて、私(大臣)は日米関係というのは、現在極めて良好な状況になってきているのではないかと思っております。
その背景には、外交とか同盟関係はボランティアではありません。それぞれの国がどう自らの利益に考えられるかということに関して言えば、朝鮮半島情勢を含めて、日本、あるいはアジア太平洋地域を取り巻く戦略環境の変化、こういうものを考えるときに日米同盟関係というものをしっかりと強化をして、そして、普天間の問題は引き続き大事な問題でありますけれども、日米関係のど真ん中にその問題が来ることが、お互いにとって得策ではないという判断と、また、民主党政権が唱えていた東アジア共同体というものが、別にこれは米国を排除するものではないのだと、米国を含めた共存共栄体制をつくっていくのだという理解が深まったことにより、私(大臣)は日米関係というものは、かなり足場は固まってきているのではないかと思っております。
私(大臣)も3か月余りで、3回クリントン長官とお会いし、電話会談を1回しましたし、また、年明けにもお会いするということで、やはり外相同士の信頼関係、コミュニケーションというものは大事だと思っております。来年は、更に日米関係が、より絆が深まったと言われるような取組をしていきたいと思っておりますし、特にそのハイライトになるのが、菅総理の訪米であると思っておりますので、その中身を詰めるための努力を、訪米も含めて、私(大臣)自身、しっかりやらせていただきたいと思っております。
それから、韓国との関係でございますが、今年は日韓併合100年という節目の中で、韓国との関係については、大事な隣国であり、戦略的なパートナーであるという観点から、総理も思い入れをもって、談話を含めて、取組をされてまいりました。
私(大臣)も、国土交通大臣時代に、6月でありましたけれども、ソウルを訪問し、さまざまな方々とお話をし、そして、日韓関係を考える戦略的議連の会長として、さまざまな交流ができたことをうれしく思っておりますし、韓国との関係も、より絆は強まっているのではないかと思っております。この未来志向の両国の関係を更に強化するために、努力をしていきたいと考えているところでございます。
中国との問題につきましては、尖閣の問題がございまして、ぎくしゃくした時期もございました。菅総理がASEMで、そしてまたAPECで、それぞれ温家宝首相、胡錦濤国家主席との会談をされまして、私(大臣)は、大局的な日中の戦略的互恵関係というものを進めていこうという方針が、今や一致をしていると思っております。
さまざまな問題はありますけれども、お互い、特に経済面では相互依存関係がだんだん強まっておりますし、両国の関係強化というものがお互いにプラスになる、あるいは地域の安定にプラスになるという思いをしっかり共有しながら、来年はもう一度、日中関係のしっかり立て直すいい年にしていきたいと思っておりますし、2012年が日中国交正常化40周年という節目の年でございますので、来年はそれに向けてのお互いさまざまなプロジェクトを確認し合って共同作業をしていく、準備をしていくといった年にしたいと考えております。
経済外交につきましては、私(大臣)がこの仕事に就いた後でもインド、それからペルーとのEPA、FTAを結ぶことができましたし、また豪州とのEPAについては再スタートを切ったと。そして、来年の早い時期には韓国、そしてEUとのEPA交渉を再開させる。またTPPについても協議をスタートさせて、そしてできるだけ早い時期に結論を得て、日本の立場を明確にするということで、より自由な貿易を進めるというモメンタムが生まれてきたのではないかと思っておりまして、これを更に進めていきたいと考えております。
インフラ輸出も、それぞれの国での結果が出ております。ベトナムの原子力発電、あるいはODAに絡んだ案件で言いますと、ベトナムやインド、あるいはインドネシア、さまざまな重要な国々での協力が整いつつございます。米国への高速鉄道や、ベトナムも日本式を採用するということが閣議決定されているわけでありますが、国会の承認を得るための努力をしていかなくてはいけないと思っております。あるいは原発その他クリーンエネルギー、そして日本の安全性というものを売りにして原子力協定を結んだところ、あるいはそれを前提として日本の安全な、かつクリーンな原子力発電というものも、しっかりとこれから海外へ展開するための努力をしていきたいと思っているところであります。
資源外交でも、例えばレアアース一つを取りましても、9月以降でオーストラリア、インド、ベトナム、モンゴル、それから米国、こういったところとの連携が確認をされているわけでありますし、また岡田大臣のときの成果としてカザフスタン、こういったところの資源外交も着実に進んでいるのではないかと思っております。
観光は、これは国土交通大臣からの共通した取組のテーマでございますけれども、今年は何とか過去最高の数字は残せる。しかし、目標の1,000万人には、尖閣の問題による中国人観光客の落ち込みと、そして円高の影響で届かないということで、残念は残念でありますけれども、中国向けのビザの緩和、そして、さまざまなプロモーション、中国について言えば、今まで3公館だけで発行していたビザを7公館で発行することになりましたし、10月の終わりからは羽田の国際化が本格的に進んでいきます。これから3年ぐらいかけて、今の3倍ぐらいの国際線を昼間も発着をさせることになりますし、また、千歳の国際線の枠の拡大等々、これから効果の出てくることも多いのではないかと思っておりまして、インバウンド観光を是非近い将来3,000万にするための取組というものを、来年もしっかりと、今年のベースに積み上げていきたいと考えているところであります。
なお、観光庁と連携をして観光庁の今後のインバウンド目標、国毎のインバウンド目標というものを在外公館で共有してもらって、そして何とかそういった取組を国土交通省と外務省で連携をして行っていきたい。また、ビザの発給要件の緩和は、法務省や警察と連携をして努力をしていきたいと考えているところであります。
生物多様性の問題、あるいはCOP16は、松本環境大臣が大活躍をされて、日本の存在感を示すことができたのだと思っております。特にCOP16については法的な拘束力はありませんけれども、それぞれの主要排出国が数値も含めてコミットメントをするという「カンクン合意」がなされたことは、評価すべきではないかと思います。今後、京都議定書の約束期間が終了する2012年までに、しっかりとした交渉が行えるように、日本もイニシアチブをとっていかなくてはいけないと考えているところでございます。
【NHK 市原記者】先ほど報告をいただきました米国の訪問ですけれども、総理訪米の成功に向けたしっかりとした準備とおっしゃいましたが、具体的にはどのような点をクリントン長官とお話しなさりたいのかということと、今回講演もされるということですが、そこではどういったメッセージを伝えたいとお考えでしょうか。
【大臣】講演の中身は、米国で行うものですので、日米同盟の重要性と、そして日米同盟がどうグローバルな問題に協力して対応していけるかという、日米同盟の可能性のようなものも盛り込ませていただきたいと考えております。
クリントン長官との中身でありますけれども、菅総理とオバマ大統領との首脳会談で、私(大臣)も2回同席をいたしましたけれども、安全保障面と経済面と人的文化交流面、この3本柱で更に日米関係を強化していく。それぞれに具体的なテーマを持って、首脳会談では1つの声明のようなものを出せればいいと思っておりますので、この3本柱のそれぞれ具体的なテーマについての中身を詰めるということが、あるいは確認をするということが大きなテーマになるのではないかと思っております。
【琉球新報 滝本記者】先ほどのお話の中で大臣は、「普天間の件は、引き続き問題ではあるが、日米関係のど真ん中に置いておくというのは互いの得策でない」ということでお話がありましたけれども、クリントン長官とのお話の中で普天間というのはどういうような位置づけで、具体的にはどういうような進展なりというのをお考えでしょうか。
【大臣】引き続きこの普天間飛行場の問題というのは、大事な問題の一つであることは間違いがありません。これは十数年前から危険な基地として事故が起きたら大変であると、またこれが地域の方々に多大なご迷惑をおかけすることになるということで、何とか移転という形で危険の除去をしたいという思いを持ってまいりましたし、今もその気持ちは全く変わっておりません。
しかし、同時に、一基地の問題が日米関係のすべてではないということを申し上げたわけでありまして、例えば防衛面、経済面での更なる日米の協力というものを確認し合うことも大事なことであるし、あるいは同時に、沖縄県からご要望いただいている、例えば一部の施設でも先行返還ができないかとか、一部の訓練施設や区域でも返還はできないかとか、そういった個別に関わることについてもしっかりと議論しなくていけないと思っておりますし、何よりも沖縄の負担軽減ということを我々としてはトッププライオリティーにおいて長官とお話ししたいと考えております。
【朝日新聞 山口記者】先ほど大臣のご所感の中で、中国の関連でぎくしゃくした時期もあったけれども、もう一度関係をしっかり立て直すいい年にしたいとご発言していただきました。いろいろありましたけれども、大臣の頭の中ではぎくしゃくしたというのは、どういったことを想起されているのかということを改めて確認したいのと、いろいろな問題で、なかなか主張が歩み寄れないところがあったかと思うのですけれども、そういった中で、どういう環境が整えば、しっかりした関係に立ち直れると、大臣としてはお考えかということ。
重ねて、中国の問題については、海洋進出がいろいろ言われて、日本を始め、東南アジア、太平洋諸国の懸念が高まっていますけれども、これについては、大臣として、各国との連携も含めて、どのように来年は日本として外交努力をされていきたいとお考えか、いろいろありますけれども、以上、お聞かせください。
【大臣】ぎくしゃくした問題というのは尖閣の問題です。尖閣の漁船衝突事案というものに関わって、日中関係は問題があったと私(大臣)は思っております。
ただし、このことについて加えて申し上げれば、日中間には領土問題は存在しないということであります。我々は、固有の領土である尖閣諸島を今後も実効支配をしていくということに変わりはないわけでありますので、この点は変わりなくしっかりと貫いていきたいと考えております。
また、海洋の問題についても、今、ご質問がございましたけれども、海の憲法と言われる国連海洋法条約というものがあります。もちろん、それぞれの当該国が話し合いをして決める点もあるわけでありますけれども、我々は、国連海洋法条約に基づいて、海洋の秩序ある在り方というものをしっかりと決定をしておりますし、これはまさに条約に基づいた日本の理性的な主権の表明であります。それは過度でもない、また、過小評価でもない、日本の正当な主張をしているわけであります。恐らく多くの国々もそういった国連海洋法条約に基づく主権の主張をされているのだと思います。一般論で申し上げると、そういったものに対する挑戦というのは、これは国際秩序に対する挑戦でありますので、この国連海洋法条約に締約をしている国々は、やはり話し合って、この中身を遵守していこうではないかといった話し合いをするということは極めて重要なことではないかと思いますし、中国のご質問でありましたけれども、中国もこういった国連海洋法条約に基づく秩序というものをしっかりと守ってもらうことを私(大臣)は期待をしております。
なお、その観点に立って言えば、ハノイで行われたASEANの会議の中で、南シナ海の海洋行動基準について、中国とASEANの間で話し合いに合意をしたといったことは、私(大臣)は評価できることだと考えております。
【日経新聞 永井記者】先日、小沢一郎元代表がインターネットの番組で、「この間、中国の胡錦涛国家主席が来日した際に会談をした」という発言をされました。「この間」というあいまいな表現を使っていらっしゃいますが、一般的な感覚でいえば11月のAPECのときに会談をしたと受け止められます。この点について外務省として「小沢元代表と胡錦涛主席がAPECの際に会談をした」という事実関係をどのようにとらえられているでしょうか。
【大臣】「この間」ということばの定義でありますが、私は2008年5月に胡錦涛主席が日本を訪問された際に、当時の民主党代表の小沢さんとお話をされたことを指しておられるのだろうと思います。といいますのは、私もその席に副代表として同席しておりましたけれども、ヤマネコの話をされておりましたのを覚えています。ですから、小沢元代表の思いとしては、何もこの間のAPECのことをおっしゃっているのではなくて、会ったのがご自身の頭の中で「この間」とおっしゃったのは2008年の5月のことをおっしゃっているのだと、そのように我々は理解をしております。
【日経新聞 永井記者】おっしゃることは非常によくわかるのですが、一般的な感覚では「この間」という表現は、やはり11月のAPECを指してしまうと思うのですが、国の要人同士の会談というのは非常に外交上大きな案件だと思うのですが、そこで誤解や混乱を招くような発言を小沢元代表がしたことについては、どう受け止めていらっしゃるでしょうか。
【大臣】日経新聞らしからぬご質問のような気がいたしますが、ご本人に直接確認したわけではありませんが、言及されたヤマネコの話から類推すると、私は小沢元代表は純粋に「この間」というのは2008年に胡錦涛主席と会ったときにこんな話をしたんだよということで、何の意図もなくおっしゃったんだと素直にそう思っています。
【週刊金曜日 伊田記者】先程、最初にいろいろな国との関連のお話しをされたのですが、朝鮮民主主義人民共和国とのことについて言及がなかったのですが、この日朝関係、今後、どのように思われているのかというのが一つ。それから、日朝平壌宣言の捉え方、これは今も生きているのかどうかも含めて、どう思われているか。日朝平壌宣言というのは、村山談話に基づいて構築された面があると思うのですが、そういう意味で、本年は菅談話が出たので、今度、それに基づいて新たに交渉の糸口というか、組み立てが出来るのではないかと思いますが、そのことについて、どうお考えかお聞かせ下さい。
【大臣】北朝鮮に対する外交を行っていく上で、いくつか重要な文書があると思っておりますが、その一つが2002年の日朝平壌宣言。これは、今でも有効であり、政権交代後も、我々はこれにコミットメントしているということを改めて申し上げたいと思います。それから、2005年の六者会合の共同声明。これも、極めて重要な声明であり、北朝鮮がこれを誠実に履行することを我々は望んでおりますし、働きかけていきたいと考えております。あとは、数次にわたる国連決議。1718(号)とか1874(号)、こういった国連決議というものを、我々はしっかりと国連加盟国として役割を果たしていくということが大事だと思っております。別に、北朝鮮が大事でないということで申し上げなかったのではなくて、言いだすと皆様方の質問の時間がなくなるぐらい他の国も言わなくてはいけませんので言及しなかったわけです。この間、延坪島への攻撃、あるいは天安への攻撃、また濃縮ウランの開発、こうした一連の挑発的な行動というものは、これは北朝鮮は、国際社会から非難をされるべきだと私(大臣)は思っております。したがいまして、先ほど申し上げたように、2005年の六者会合の共同宣言というものをしっかりと北朝鮮が具体的な行動を伴って履行することが、まず大前提として重要なことではないかと思っております。中国が他の5カ国に投げかけた六者会合の特別協議というものについて、我々は否定はしておりません。しかし、対話のための対話はしないということです。まずは、北朝鮮が具体的な行動を伴って、2005年の六者協議の声明を誠実に履行するということを態度で示すことが極めて重要ではないかと思っております。付け加えて申し上げれば、今までも日朝間の協議というものは行われておりますが、なかなか皆様方の目に触れることはない面もあったと思います。これは、我々の政権下ではありませんでしたけれども、さまざまな形で日朝の協議は行われておりますけれども、こういったバイの協議というものもしっかりと強化をしていかなければいけない。核や拉致、あるいはミサイルの問題というものは、日本に直接関わる問題でありますので、そういうマルチの場のみに頼るのではなくて、自らが自らの問題としてしっかりと協議をするということは大事なことだと考えております。
【週刊金曜日 伊田記者】菅談話はどうですか。
【大臣】菅談話は大事なものでございますが、菅談話が出されたことをもって、2002年の日朝平壌宣言を変えるということはございません。
【フジテレビ 高橋記者】北朝鮮に関連して、ワシントンへ1月に行かれた際に、クリントン国務長官と、六者会合に向けて今は小休止というような状況に入っているかと思うのですが、中国、そして北朝鮮に向けてどのようなメッセージを出したいと考えていますか。
【大臣】先般、日米韓の3外相がワシントンに集まって確認しております。その確認というものを、斎木アジア太平洋局長がしっかりとモスクワにも、北京にも伝えて、五者でしっかりと北朝鮮に具体的な行動を促していこうという基本的な考え方は変わらないと思いますし、確認をするということになろうかと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。TPP、冒頭にもございましたが、米国、シンガポール、オーストラリア、ベトナムなど9カ国参加の下、2月にも最初の草案が固まるとの報道がございます。日本で見ますと、農業改革案をまとめるのは来年6月が目途で、実際交渉に参加するかどうかの検討はその後としています。こう考えますと、この参加国と日本のスピードのずれというものを経済外交を筆頭に掲げている大臣としてどうお考えでしょうか。
【大臣】閣議決定をされました、包括的経済連携に関する基本方針におきましては、農業対策をしっかりやった上でTPPについては、その参加も含めて関係各国との協議を開始をするという書き方になっております。それを受けて、今、さまざまな国との協議を行っているところでございまして、私(大臣)の理解では最終的にそれがまとまるのが、早くても来年のハワイでのAPECではないかと思っております。確かに、草案とか、いろいろな議論は行われるとは思いますけれども、やはり日本の立場をしっかりと固めるのには、どういった農業の抜本対策を行うかということも大事でございます。また、日本がどういう条件を付して、もし参加をするのであれば、その条件を投げかけるかという具体的な議論も必要かと思います。時間は無限にあるわけではありませんが、焦って入る必要もないと私(大臣)はそう思っております。
【読売新聞 向井記者】民主党の小沢元代表の政倫審への出席を巡って、本日、小沢元代表が会見をされ、政倫審に出席される意向を示されました。この問題を巡りましては、民主党内でいろいろ意見が対立したり、グループ内での抗争も見られるなど、波紋がありましたが、大臣の受け止めをお願いします。
【大臣】当初は政倫審の出席は、「司法の場で説明するのだからいらない」とおっしゃっていたのを、出られるとお決めになったことは一歩前進だと思っております。ただ、政倫審への参加の条件のようなものを付されているということについては、極めてわかりにくいわけで、もし出られるのであれば、私(大臣)は条件は付けられるべきではないのではないかと思っております。
【読売新聞 向井記者】大臣は、小沢元代表の今回の政倫審へのご出席を評価はされていないということなのでしょうか。
【大臣】出られるという表明をされたことは一歩前進だと思いますけれども、いくつかの前提条件を付けられているということは極めてわかりにくいと思います。出られて説明すると決めたら、そこは堂々と条件を付けずに出て、自らの潔白を、そう思っておられるのであれば、おっしゃるのが筋ではないかと思っております。
【テレビ朝日 花村記者】ロシアに関して伺います。河野ロシア大使を交替させる方針ということでお聞きしておりますけれども、日本政府としては11月の大統領の北方領土訪問の際、特に情報収集能力に関してコメントはされていませんでしたが、そこに若干足りないところがあったなどというような認識なのか。対ロシア外交ということでは大臣の考えを伺っていますけれども、今後のアプローチの仕方、情報収集などについて伺わせてください。
【前原大臣】人事は、まだ報道されているような決まったものはありません。また、情報収集能力は別に対ロシアだけではなくて、不断に強化をしているものであると考えております。
【産経新聞 酒井記者】大統領訪問直前に大使館の方はかなり可能性が高いのではないかという情報を外務省なりに上げていたというように聞いているのですけれども、それが政府内でそういう伝達がうまくいかなかったのかどうか。いずれにせよ、結果として大統領が訪問したということに関して、大臣なり外務省の局長なりの責任などについてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】内部の情報収集の在り方等については、今後の情報収集に支障を来すおそれがありますので、コメントは控えたいと思います。
【北海道新聞 島田記者】北方領土問題についてお願いします。今年1年ですけれども、メドヴェージェフ大統領の北方領土訪問を含め、北方領土で軍事演習が行われたとかということで、ロシアによる北方領土の実効支配を強める動きが強かったと思うのですけれども、この1年のロシアの動きをどう見ていらっしゃるかということが1点です。
また、大臣は年明けに、早ければ2月にもロシアの方を訪問されて外相会談に臨むと思うのですが、その中で、例えば先日の根室でも新しい戦略を考えているというお話をされていましたけれども、それを絡めて、どのような形で外相会談に臨みたいかということを教えてください。
【大臣】よく国会でも答弁をいたしておりますように、資源の価格の高騰などで、ロシアの財政が豊かになり、2006年に閣議決定をした「クリル経済開発プログラム」。これは合計2007年~2015年までの間、日本円で約813億円のお金が付いて、インフラの整備などが進んでいるわけでありまして、そういったもののフォローアップに2006年以降、政府高官が行かれている。その一環として、今年、メドヴェージェフ大統領の国後訪問があったのだろうと思っております。
はっきりしているのは、我々の立場は、北方領土は我が国固有の領土であって、4島のいわゆる帰属を確定して、そして日露間で平和条約を締結するという方針には、一切変わりはございません。
今後の日露関係ということでありますが、いつのタイミングでフォローするかということは、まだ決まってはおりませんけれども、領土問題というのは、大きな日露間の懸案事項でありますが、日露間で協力できる分野というのも、私(大臣)はかなりたくさんあるのではないかと思っておりまして、領土問題はしっかり筋を通して交渉していくと同時に、日露関係の発展のためのさまざまな取組みをお互い合意していくということも大事なことではないかと考えております。
【フリーランス 上出氏】基本的なスタンスですが、今回、ロシア大使の更迭の問題が紙面に出ているのですけれども、民主党の政治主導という立場から見て、評価を含めて国民に公表しなければ部分と、先ほどコメントを控える部分もあったということなのですが、その辺はやはり情報公開という点からいって、大臣なりのご見解、基準があってしかるべきかと思うのですが、どういうようにお考えでしょうか。
【大臣】前提として人事がどうなるというお話を聞いておられるのであれば、人事は決まっておりませんので、お答えをするにはふさわしくないのではないかと思います。
【共同通信 橋本記者】普天間飛行場周辺の危険性除去についてお尋ねします。
大臣が沖縄知事と会談された際に、普天間周辺の小学校等を県側から要望があれば、移転することも考えてもいいとおっしゃったことについて、北澤防衛相が本日、そういうものは閣内で決まっていないと大臣の姿勢について批判をされているのですけれども、そのことについて受け止めがほしいのと、仲井真知事は1期目のときに普天間の3年以内の閉鎖状態と、危険性除去の実現を訴えていたのですが、彼はそのとき普天間のヘリの移転を念頭に置いていたのですけれども、そういう要望が県からあれば、それも併せて検討される考えがあるのかどうかを教えてください。
【大臣】私(大臣)が仲井真知事に申し上げたのは、菅内閣として5月28日の日米合意というものに従って、普天間飛行場の移設を辺野古にお願いしたいということを、改めてお願いをいたしました。しかし、沖縄県からは「県外に」ということで、自分は知事選挙のときにそういった公約を掲げて当選したのだから、県外に持って行ってほしいということも仲井真知事は仰いました。そうなると、政府と沖縄県の意見が今、違うわけでございまして、その間、普天間飛行場の継続使用となるわけでありまして、危険性除去を考えるのはむしろ当たり前のことではないかと私(大臣)は思っております。しかも、県からご要望があれば出していただきたいということで、こちらから強制をする類のものではないと思っております。
なお、普天間第二小学校に言及したのは、これは現地の記者さんからのご質問があったから、例えば私(大臣)はこう思うということを申し上げたわけでありまして、知事との話で出てきた中身ではありません。また、今、ご質問のあったような訓練についての移転などの危険性除去についても、当然ながら危険性除去という観点でご要望があれば、我々はそれを伺って日米間で話し合いをして、できるものについては取り組んでいきたいと考えております。
【NHK 市原記者】普天間移設に関連してですけれども、22日に米国の議会が海兵隊8,000人のグアム移転計画を含むグアムの基地機能の拡張に充てる2011年度の予算について、国防総省が要求する分に対して4分の1に削減して承認をしました。これで2014年の移転完了は難しくなったと言われますけれども、これについて大臣はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
【大臣】今回の米国の予算については、私(大臣)が米国から受けている説明は、予算の要請が所要に先行して行われたためと。つまりは、予算を付けても消化できないために減額をしたのだといった説明を受けております。2014年に向けてお互いが努力していくという基本方針は変わりございません。
【日本経済新聞 永井記者】本日の北澤大臣の会見で、2009年度と2010年度の米軍再編交付金を名護に交付しないと北澤大臣が表明されていました。これは名護の市長も市議も受け入れに反対ですので、理屈上はそうなるのかもしれませんが、一方で地元からは反発の声も出てくるかと思います。ここら辺の大臣の受け止め、今後の地元への説得をどうされていくのかについてお願いいたします。
【大臣】これは再編交付金ですから、そういったご負担を受け入れてくださったところに出すという方のたてつけになっておりますので、北澤防衛大臣がおっしゃったことは、私(大臣)は、法の趣旨から照らして正しいと思っております。
私(大臣)がよく申し上げてきたのは、例えば北部振興というような経済対策において、基地問題とリンクをさせることはしないということを言ってきたわけでありまして、それは今後も貫いてまいりたいと考えております。
【時事通信 吉岡記者】今の質問に関連してですが、いずれしても名護市の方では既に小学校とか道路の整備費ということで交付を前提に予算計上しているみたいですけれども、政府として別に何らかの手当をする必要があるとはお考えでしょうか。
【大臣】それは外務大臣に聞かれても所管ではないというお答えしかできません。再編交付金は、法のたてつけから言うと、北澤防衛大臣のおっしゃるとおり、基地の負担を受け入れてくださるところにお出しをするというたてつけになっていますので、これは仕方がないのではないかと思っております。
【読売新聞 向井記者】先ほどの北澤大臣のご発言に関連してですけれども、北澤大臣は会見で、「普天間が固定化することを前提にものを言うというのは非常に危険な話だ。政府全体が検討すべきだ」という話をされています。
大臣の先ほどのご見解では、現状がしばらく平行線なわけだから、それが続くことを前提に、では、現状でどうしたらいいのかという発想に立っていらっしゃると思います。でも、北澤大臣は、前提というか、発想が違って、それ自体が危険なことだと見ていらっしゃるのだと思います。その見解の違いについては、どうお考えになりますか。
【大臣】違わないと思います。北澤防衛大臣も5月28日の日米合意というものを遵守する、そして、沖縄県に普天間の代替地については辺野古をお願いするとおっしゃっているわけです。これは政府の考え方ですから、考え方が違うということはあり得ないわけです。
しかし、沖縄県としては、県外にと主張されて当選された仲井真知事が「県外に」とおっしゃっており、政府と県との考え方が合っていないわけですから、その分、継続使用、これは固定化とは似て非なるものであります。継続使用にならざるを得ないと。その間の危険性除去について、もし沖縄県からご要望があれば出していただきたいということは、政府の見解としても全く矛盾するものではないと思います。固定化というようなことではまずないということと、政府の考え方としても普天間が危険だから移転をすると、したがって、普天間の返還というものが早期に望ましいということでありまして、全くもって私(大臣)の発言が政府の考え方と矛盾をしているとは思っておりません。
【読売新聞 向井記者】しかし、現時点では、県の主張と国の見解というのは全く平行線なわけで、そうなると、平行線はいつまで経っても交わらないのではないのかと思うのですけれども、そうなれば、結果的に普天間の固定化につながるという結論にどうしても導かれてしまうのではないかと思うのですが、そこはどう打開されるのでしょうか。
【大臣】これは、沖縄でもお話をいたしましたように、今までの我々の総選挙時の公約、「少なくとも県外」ということについては、5月28日の日米合意で履行できなかったわけですから、そういうおわびをしっかりと行いながら、しかし、名護には新たな基地をお願いすることにはなりますけれども、今回、全体が動き出した場合においては、沖縄の負担軽減に必ずつながるということをしっかりご説明をさせていただいて、ご理解をいただくという努力を今後も続けてまいりたいと考えております。
【フリーランス 上出氏】そうなりますと普天間(基地移設問題について)、結局1つ残っている方法は、米国に妥協してもらう、要するに米国に違う働きかけをして何らかの道を探るという識者もいますが、日米合意が変わるという可能性、今の時点で私の言ったような可能性は全くないでしょうか。
【大臣】現内閣の方針は、5月28日の日米合意を履行するということを沖縄県にお願いし続けるということでございます。
【時事通信 鈴木記者】これから、トルコのエネルギー天然資源大臣とお会いになると思いますが、原子力協定の交渉の見通しと原発輸出に向けた意気込みを教えて下さい。
【大臣】原発も含めたインフラ輸出というのは、菅内閣の成長戦略の大きな柱の1つでございまして、先般のベトナムでの受注成功に続いて、是非、他の国でも原発の受注をしたいと思っております。その上で、トルコとの原子力協定は、我々の考え方をしっかり踏まえた上で交渉妥結に向けて、できるだけ早く取り組ませていただきたいと思っておりますし、原発の受注も期待はしております。ただ、その前提としては、民間が基本的に行われることでございますので、そのリスク要因というものをしっかりと勘案した上で条件というものを考えて、それはビジネスとして考えていただきたいと思っております。
【毎日新聞 犬飼記者】先日、米国のリチャードソン・ニューメキシコ州知事が訪朝されて、金桂冠次官との会談の中で3つの要件を出されたと、1つはIAEAの査察とか、あるいは核燃料棒の売却、あるいは南北のホットラインというようなものであったのですけれども、政府の人間ではないので、まだ確認していないのかもしれませんが、ただ米韓の方から、これはなかなか容易に受け入れられないとか、あるいは曲球ではないかというような声も聞こえてくるのですが、現時点でこれについて、どのように大臣としてお考えになるかということをお願いします。
【大臣】リチャードソン・ニューメキシコ州知事は私人の立場で訪朝されたと伺っております。私人の立場でお話しをされたことの中には、当然関心は持っておりますけれども、米国政府がどのようにそれを判断をするのかということについては、米国政府の判断が尊重されなければいけないと思っております。現段階において、米国政府からリチャードソン知事の訪朝の中身について、このように自分たちが考えるという正式な話はきておりませでんので、我が方としてはまだ判断できる状況にはないということです。
【毎日新聞 西田記者】22日に公開された外交記録文書のうち、沖縄返還を巡る日米交渉の経緯のところで、機密電報の焼却という記述があったり、一部目次や表紙にはあるものの中身の文書が欠落しているということがありました。これはかなり古い過去のことではあるのですが、かつ文書が公開されたこと自体は大きな前進だとは思うのですが、外交文書の管理のあり方について大臣のご見解をお願いします。
【大臣】今後のテーマとしては、外交文書の管理はしっかりとやられなければいけないと思っています。過去の文書において、欠落が生じているということを聞きまして、私も大変残念だなと思っています。そういったことを今後に生かしていきたいと考えています。
(1)医療滞在ビザの創設について
【前原大臣】私(大臣)から2点お話をします。一つは医療滞在ビザです。「新成長戦略」に基づきまして、いわゆる医療ツーリズムを促進するために外国人患者が治療を受ける目的で我が国を訪問しやすくするために「医療滞在ビザ」を創設します。2011年1月から運用を開始します。
このビザは人道的観点も踏まえまして、治療目的で来日される外国人の方々の必要に応じ、大変利用しやすいものにしました。具体的には高度医療から人間ドックまで様々な医療サービス等を受けることが可能となります。家族や付き添いも同伴できるようになります。1回の滞在期間が90日以内の場合は、数次ビザも発給しまして、最長3年の有効期間内に何回でも治療目的で来日できるようにいたします。最長6ヶ月間続けて滞在することも可能となります。
このビザによりまして、一人でも多くの方々が我が国を訪れまして、先進的な医療サービスを受けていただきまして健康になられる、あるいはチェックをしていただくということを心から期待をしております。
(2)外務省ホームページ「外務大臣コーナー」の開設について
【前原大臣】2点目は外務省ホームページの「外務大臣コーナー」の開設についてです。国民の皆様に外務大臣の活動をよりよくご理解頂くために、外務省ホームページに「外務大臣コーナー」を立ち上げることにいたしました。
この「外務大臣コーナー」を見ていただきますと、私(大臣)が外務大臣としてどのような外交に取り組んでいるのかを分かりやすく御理解頂けるようになっているはずです。その内容として、「前原外交を語る」では、日本の外交政策が一目で理解できるように、主要外交政策に関する私(大臣)の発言をとりまとめております。また「国内・海外出張履歴」では、私(大臣)がどの国や地域を訪問したのか世界地図上で示しまして、世界各国へ現場で国益の実現に取り組んでいる姿を視覚的に感じて頂ければありがたいと思っています。今後、動画も掲載をしていく予定です。
この「外務大臣コーナー」の内容は、これからさらに充実をさせていきたいと思っていますので、皆様方のご意見をいただければと思っています。
【テレビ朝日 花村記者】沖縄に関して伺いたいのですが、菅総理が今沖縄を訪問されていますけれども、この後、馬淵沖縄担当大臣、北澤(防衛)大臣や前原(外務)大臣も沖縄に行かれることになると思いますが、官邸での閣僚の話し合いの中で、皆さんそれぞれ役割や目的があると思いますので、どういったそれぞれの立場立場で、どういうようにして沖縄と接点を持っていこうとされているのか教えてください。
【大臣】共通しておりますのは、まずは昨年の8月の総選挙で沖縄の皆様方には普天間の代替施設案につきまして、「少なくとも県外、出来れば国外」と言いながら、結局5月28日の日米合意では辺野古に戻ってきたというお詫びを、やはり皆が行うということが大事だと思います。また野党ではありましたけれども、沖縄が日本に返還されて以来、日本の国土の面積の0.6%の沖縄県に米軍施設区域の約75%が集中をしつづけているということに対するお詫びもしっかりしていきたい。そして、特に私、外務大臣としては、いま74%くらいですが、この負担軽減に向けて努力をしていく。そして今回の日米合意というのは、名護には新たな施設をお願いをすることになるけれども、特に嘉手納以南においては、相当程度の施設区域の返還に繋がっていく。また、海兵隊の8千人、家族を入れると1万7千人がグアムに移転をすることによって負担軽減にも繋がるし、また普天間飛行場の跡地利用も国がしっかりと関わっていくことによって、沖縄の発展にも繋がっていく。こういったことをご説明をしていきたいと思います。
また、今ダイバートの問題や、あるいは地位協定にかかわる様々なご要望というものをいただいておりまして、それについて現地の米軍の担当者と話をする中で、沖縄のご要望というものもしっかり伝えて、できるかぎりの負担軽減を行っていくということも外務大臣としての役割の一つではないかと、このように思っております。馬淵大臣につきましては、特に沖振が来年で切れますので、新たな沖縄振興計画、ポスト沖振というものをしっかりと仲井真知事はじめ首長さん、県民の皆さん方のご意見を伺って作るということが大きな仕事になるのではないかと思っています。いずれにしても基地の負担軽減と沖縄の自立的な経済発展、これを車の両輪として関係閣僚が沖縄に赴いて、その決意をしっかりとお伝えをし、ご理解をいただくために努力をしていきたいと考えております。
【琉球新報 稲福記者】「負担軽減と自立経済の発展が車の両輪だ」というようにおっしゃていたのですが、大臣は基地と経済のリンク論に関して、どのようなお考えをお持ちか、大臣の考えをお聞かせ下さい。
【大臣】国土交通大臣・沖縄担当大臣をしている時から明確に申し上げているのは、「リンクはさせない」ということを明確に申し上げてまいりました。「北部振興策というものは、まさに基地負担の受け入れとは別個にしっかりやるべきだ」ということを申し上げてきたのもそのためでございます。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。15日、米国防総省のミサイル防衛局は、長距離弾道ミサイルによる迎撃実験に失敗したと発表しました。今年、2回目の失敗になるわけですが、北朝鮮の長距離弾道ミサイルへの対応能力があるとされていただけにショックは少なからずあると思います。対北朝鮮、あるいは日韓の影響についてご所見をお願いします。
【大臣】もちろん、そういった実験においてうまくいかなかったことは極めて残念だと思っておりますが、私(大臣)が10月の終わりにハワイに行きました後に海上自衛隊も参加をしてSM3の迎撃実験、これは成功しておりますし、失敗事例だけではありません。いずれにせよ、この命中精度をしっかり上げていき、万が一の時にしっかりと迎撃する能力を日米で共にレベルアップをしていくことが大事だと考えております。
【フリーランス 上出氏】尖閣ビデオ流出問題のその後について、何となくマスコミの報道から立ち消えになっている感じもするのですが、流出させた海保の職員の処遇の問題も含めて、今、閣内ではどのような認識で、前原大臣ご自身はどうあるべきか、その辺りの見解をお願いいたします。
【大臣】このビデオについては証拠物件として、地検に提出をされたものでありますので、これがオープンになるためには刑事訴訟法の47条に基づいて慎重に行われるべきであるという考え方は今も変わっておりません。海保の職員がこのビデオをユーチューブに流出させたということについてですが、いかなる理由があれ、自らが持っている内部情報というものを許可なく出すということは、これは厳に慎まなければいけないということで、何らかの処分が必要だと思いますし、そのような処分がなされたのではないかという認識を持っております。
【共同通信 出口記者】先週の日米韓外相会談で、六者協議再開に向けた条件といいますか、一致されましたが、昨日、北朝鮮の外務省がそういった条件をのむ形での開催には応じられないという談話を発表しました。次の一手として、北朝鮮の核問題進展にあたって、外相の頭の中ではどういったことを考えておられるのでしょうか。
【大臣】5つという数字は申し上げた覚えはございません。また、米国のクローリーさんがおっしゃっている中身は条件ではありませんので、それはぜひ皆さま方にもご理解をいただきたいと思います。いずれにいたしましても、我々は濃縮ウラン、あるいは延坪島への砲撃については、あってはならないことであり抗議をしているわけでありまして、大事なことは北朝鮮自らが約束をした2005年の六者協議の共同宣言を真摯に履行するということが大事でありますので、それをしっかりと日米韓3カ国だけではなくて、中露も含めた5カ国で北朝鮮に対して求めていくという外交を今後も引き続き行ってまいりたいと考えております。
【ニコニコ動画 七尾記者】今の質問と先ほどのミサイル実験失敗も含めてですが、先日、民主党政権としまして、初の策定となった防衛大綱と中期防ですけれども、防衛予算についてはほぼ現状維持という形になりましたが、いろいろな問題も含めまして、東アジアの地域情勢が不安定な中、計画の中身も含め、これらについての大臣のご所見、評価といいますか、お聞かせいただければと思います。
【大臣】恐らく自民党政権下ではなかったことだと思いますが、この防衛大綱をまとめるに当たりまして、関係4閣僚会議というものを何度も何度も開きました。私(大臣)も含めて官房長官、防衛大臣、財務大臣で何度も行いまして、これがいわゆる政治主導なのだろうと私(大臣)は思いますけれども、現在の日本を取り巻く戦略環境、そして今後10年間がどう変化していくかということを踏まえて、我々としては基盤的防衛力から動的防衛力と、そして、南西により力を入れていくということと、自衛隊のいわゆる高齢化というものが進んでおりますので、そういう人的な配置を変えるとか、あるいは外交・安全保障の国家戦略をしっかりと関係閣僚間で議論できるような新たな組織を官邸の中に、今の安全保障会議をしっかりとレビューしながら考えていくということ、あるいはPKO五原則の見直しと、さまざまな観点での前向きな取組みができたのではないかと思っております。
それと同時に「民主党政権の防衛政策は何なのだ」ということがよく言われておりましたけれども、今回は党の議論も踏まえてまとめたものでございまして、いわゆる今回の防衛大綱の中身が民主党の防衛政策の中核になっているということを国民にお示しできるのではないかと、そのように考えています。
【西日本新聞 斎田記者】防衛大綱ということで関連してお伺いします。先ほど大臣も触れられましたが、(防衛大綱の)中でPKO五原則の見直しについて言及しております。今後、日本の国際平和活動の積極参加ということでしょうが、大臣ご自身は今どういうところに問題点があって、どのように改善すべきだとお考えでしょうか。
【大臣】これは防衛大綱に書かれているようにPKO五原則の在り方をしっかりと検討するということでありまして、関係省庁の副大臣が中心となって、今も議論をしていただいておりますので、その点について、しっかり議論をしていただきたいと思っております。
私(大臣)の問題意識ということでお尋ねでございましたけれども、このPKO五原則についての、例えば武器使用基準というものについて、今まで見直しは何度か行われてきているわけでありますけれども、果たして赴任を命じられた自衛官がその場で安全を確保できるような、あるいは任務が遂行できるような武器使用の基準であるかどうかということも含めて、議論されることが望ましいと考えております。
【日本経済新聞 永井記者】防衛大綱についてですが、武器輸出三原則の明記は見送られました。関係4閣僚会合でも党の方でも、武器輸出三原則の見直しを明記する方向でまとまっていたものが、社民党への配慮で今回は明記がされなかったということについて、大臣はどう受け止めていらっしゃるでしょうか。
【大臣】国際共同開発・生産が主流となるなどの防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策についてということでありますけれども、私(大臣)の問題意識は、例えば中古の船を海賊対策に他の国に使っていただくということについても、これが自衛隊も使っていた古い船であれば武器に当たるということは、これはいかがなものかと。あるいは、日本は海外から装備品を買っているわけです。しかし、これからは共同生産というものが主流になっていくということを考えるのであれば、自らがそれに参画をし、そして共同生産をする国、パートナーというものは、当然選ばれるべきではありますけれども、そういったものに参加をするということは時代の流れであり、今までの武器輸出三原則の理念を変えるものではないと思っておりますので、今回は検討するということになっているわけでありますので、この2点は、当然ながら検討して前向きな答えが得られるべきだと、このように考えておりまして、どの党、あるいは他党に配慮したからどうのこうのというご指摘は当たりません。
【日本経済新聞 永井記者】今、日米間で同盟深化策を協議しておりまして、その中で米国側は武器輸出三原則についても求めていたかと思うのですが、それに今回、同盟深化策への影響について、武器輸出三原則の明記は見送られたことについての影響についてお願いいたします。
【大臣】今後の可能性について言えば、先ほど申し上げたように、世界の流れというものは、技術を持っている国々が知恵を集めて、そして共同開発をして、より良いものをより安くという方向性は、私(大臣)は時代の流れであると思っておりまして、その方向に向かっていくことは大変大事なことだと考えております。もちろん、その際のいくつかの条件というものも付けなくてはいけないと思っておりますけれども、その意味において、それでは今、具体的に日米間で差し迫ったものが目の前にあるのかどうなのかといえば、今後の課題としてはありますけれども、例えばミサイル防衛のノーズコーンなどというものは、これは官房長官談話で、例外にして共同生産を行ったりしているわけでありますし、あるいは戦闘機を新たに米国が造る予定があるかといえば、今はF-35というものを米国は造っているわけでありまして、そういう意味においては何か具体的な装備というものが念頭にあるかと言われれば、私(大臣)はそれほど目立つものはないと思っております。したがいまして、今後の検討課題として、「検討する」とこの防衛大綱に書かれているわけですから、具体的なニーズが生まれてきたときにしっかりと議論して、結論を出し、国民にしっかりと説明をしていくということが大事なことなのではないかと思います。
【フリーランス 上出氏】今の前原大臣の理解はそれはそれでわかるのですが、民主党が国民から選ばれた背景の下には、自民党と比べていわゆる平和志向といいますか、そういう部分もあるかと思うので、少し意外な受け止め方をしている国民が多いのではないかと思います。特に武器輸出三原則というものは自民党でも変えられなかったものです。そういうことに対して国民とのギャップというものをお感じになりませんでしょうか。
【大臣】国の根本というのは憲法があって三本柱があると、基本的人権、国民主権、平和主義です。平和主義の中に我々は政策をつくっていくわけであって、しかし、大きな枠の中に入っていることは、当然大事なことではありますけれども、それと同時に時代は変化をしているということもしっかりと受け止めなければいけないと思っております。私(大臣)は、自民党と民主党の違いということで、自民党がより平和ではないみたいな言い方で、民主党が平和志向だと。これは両方平和志向であるべきだと思っておりますし、外交安全保障の基本的な考え方は、私(大臣)は、むしろ政権交代によって大きく変わるべきではないと思っております。やはり国家の根幹に関わるところはお互いが共通の価値観を共有して、政権交代があってもその軸は大きくぶれることがないということが大事でございますし、我々、民主党政権になってからも、そういう意味で外交政策や、あるいは防衛政策の根本が基本から変わる、例えば日米同盟が基軸であることが変わるとか、そういうことはあり得ないわけでありますので、そういう意味では同じ価値観を共有しながらも、時代の変化に対応することができる党が国民から理解されるし、またそのためにしっかりと我々は説明責任を果たしていくということが大事なことなのではないかと思っております。
【読売新聞 向井記者】大きく2点伺いたいのですけれども、民主党の小沢元代表の政倫審での政治とカネの問題の説明に関してですけれども、本日、小沢氏側が岡田幹事長に文書で出席を拒否する旨をお伝えになりました。まず1点目、これの受け止めをお願いしたいのと、あと岡田幹事長は政倫審での説明を議決で目指す方向という意向ですが、これについて小沢氏を支持するグループからは、党を二分するような行為だと批判も出ています。これを大臣はどのように受け止めてらっしゃるのかお聞かせください。
【大臣】まず大前提としては、小沢さんご自身が従来から国会へ説明することについてはやぶさかではないとおっしゃっておりましたし、特に代表選挙で立候補されたときは、それを前面に出しておられたと思います。ご自身がおっしゃっていたことをしっかりと実行していただきたいと思っております。したがって、おっしゃっていたことと違う対応を今とられようとしているということであれば、議決もやむなしと私(大臣)は思います。
【読売新聞 向井記者】小沢元代表の政倫審の説明をめぐって党内が混乱していることについては、大臣はどう見てらっしゃるのでしょうか。
【大臣】いろいろなご意見があっていいと思いますけれども、政治とお金に対してしっかりと説明責任を果たし、そして、自らの責任を果たすということが民主党の掲げるクリーンな政治の原点だと私(大臣)は思っておりますので、是非、小沢さんもその責任を果たしていただきたいと思います。
【時事通信 吉岡記者】今の小沢元代表をめぐる対応で党内が混乱しているということを背景に、弊社が本日発表した菅内閣の支持率ということが、前月比6.8%減の21%で過去最低だったと。一方で、政党支持率がトップが自民党になりまして17.8%、民主党は4ポイント離されて13.8%に留まったと、こういう結果が出ていまして、続落傾向、歯止めがきかないという状況なのですが、こういうことについての受けとめをよろしくお願いします。
【大臣】我々は与党ですので、政策遂行、実行によって国民の皆さん方に評価をいただくということと、今の政治とカネの問題については、しっかりけじめをつける、自ら律する自浄能力があるということを示すということにおいて、国民の理解を得ていくしかないと思います。
【共同通信 橋本記者】「議決もやむなし」という話をされたのですが、今あったように、内閣支持率も低迷していて、政権の安定要素というのは殆どないかと思うのですけれども、そういう脆弱な政権基盤の中で、果たして小沢さんを追い出すようなことをして、他に何か戦略みたいなものはあるのでしょうか。
【大臣】議決を目指すということと追い出すということは、全くイコールではありませんので、ご質問自体がおかしいのではないかと思います。
【共同通信 橋本記者】小沢さんは政倫審などに今の段階では出席を拒んでいて、出たくないと言っていて、それで議決でもって出るべしとすれば、また、党内対立が生まれるというのは必須かと思うのですけれども、そこまでしてなぜこのタイミングでやらなければいけないのかというのが分かり難いのですけれども、例えば、今、予算編成の時期でもっと予算に集中すべきではないかと思うのですけれども、そこら辺はどうでしょうか。
【大臣】予算編成はしっかりやっています。これは年内にしっかり予算編成をして、年明けの通常国会にご審議をいただくものを準備できると確信しておりますので、この問題が予算編成の足を引っ張っているとか、邪魔になっているという認識は全くありません。それと、先ほどから申し上げているように、ご自身が国会で説明することについて肯定的な発言をされていたわけですから、自らがご説明をされるということは、私(大臣)は何らおかしいことではない、党としてそれを押し進めて、党としてのけじめをつけようと考えることはおかしなことではないと思っております。
【日本テレビ 野口記者】小沢元代表が「国会が決めれば」というように言っていたのは、たしか代表選の辺りに一番言っていて、その頃まだ強制起訴が決まっていなかった時期だと思います。ですので、その前提が変わっていると思うのです。強制起訴が決まった今となっては、本日文書で出した理由に関しても裁判に今後出て行く身だからという趣旨ですけれども、その理由で政倫審にも出ないよということですが、これはこれでつじつまが合っているような気がするのですけれども、どうでしょう。
【大臣】つじつまが合っているかどうかを判断されるのは国民だと、私(大臣)は思います。もちろん、司法の場でしっかりと、自らの無実をおっしゃることは大事なことだと思いますけれども、国会議員として、そういう疑惑を持たれた議員については、自ら進んで話をするということが、もともと政治倫理審査会の趣旨だと思いますので、それは、私(大臣)は強制起訴されたからという理由は、恐らく国民の皆さん方には、なかなか理解をいただけないのではないかと思います。
(1)インドネシア、チュニジア及びアルジェリア訪問について
【前原外務大臣】米国に6日(月曜日)から行きますが、その後、インドネシアのバリ(で開催される)民主主義フォーラムに行きまして演説をさせていただきます。我が国の民主主義に対する考え方について話をしてきたいと考えております。また、インドネシア、あるいは、いくつかのバイの会談を行って、その国との関係強化に努めてまいりたいと思っております。また、今回の北朝鮮の事案についても、日本の立場を述べてまいりたいと考えております。その後に、地中海に面したチュニジアに行きまして、日本・アラブ経済フォーラムに出席いたします。その後、アルジェリアに行きます。1962年の外交関係樹立以来、これは私(大臣)の生まれた年でありますが、我が国の外相が訪問するのは初めてだということでありまして、2012年の外交関係樹立50周年を前に、二国間関係をしっかりと強化するために行ってまいりたいと思っております。ただ、この出張も何らかの事態がなければという前提でございまして、もし何らかの事態が生じる場合においては、日本に戻ることも有り得るという前提で行ってきたいと思っております。
時事通信 鈴木記者】外交安保関係の問題が山積している中で恐縮ですが、TPPに関して、6日からオークランドの方で首席交渉官級の協議が開かれるということで日本として情報収集等をどのような形で行うのかということと、それから、バリの民主主義フォーラムに関して、今、バイ(会談)等をなさるということですが、そこでもTPPに関しても話が出るのかどうか、教えてください。
【大臣】まず、ニュージーランドで行われますTPPの第4回の会合についてでございますが、オブザーバー参加は認められておりませんので、我々が、日本が参加するということはございません。しかし、情報収集についてはしっかりと行ってまいりたいと考えております。
バリにおいては、誰とまだ二国間の会談をやるかということは、正式に決まっておりませんが、相手の方が決まって、例えばTPP加盟国であれば、そういった話も含めて会談をしたいと考えております。
【時事通信 鈴木記者】追加ですが、情報収集というのは、事務方の方をオークランドの方に送り込む等、そのようなことは具体的にお考えでしょうか。
【大臣】そのようなことも含めて考えております。
【朝日新聞 山口記者】韓国についてお尋ねいたします。韓国の大統領が今月中旬の訪日を予定されていたと思うのですが、それをいろいろな諸事情もあってキャンセルといいますか、日程の変更、訪日しないという連絡をしてきたという報道があるのですが、その事実確認をお伺いしたいのと、あと、前原大臣を含む菅政権としてずっと要望していた今国会中における儀軌の図書協定の国会承認が、本日、国会が終わってしまったことによってなされなかったわけですけれども、それについてのご所感と、どうしてなされなかったのかの背景について、野党の方からは政府与党の根回しとか事前準備が不足していたのではないかという意見もあるのですが、そのことについての大臣としてのお受け止めをお聞かせください。
【大臣】そういう報道をされているのは朝日新聞ではないかと思いますが、松本副大臣を中心に各党に対して十二分な根回しをしていただきましたが、残念ながら会期延長はしないということと、あとは4条約も衆議院では可決をしていただきましたけれども、参議院でまだ議論されていなかったということなど、様々な理由があって、結果として通常国会に回るということになりました。いずれにしても、できるだけ早い時期に、この朝鮮王朝儀軌の引き渡しのための協定というものを国会でご承認いただければと、このように考えております。
それから、李明博大統領の訪日の件でございますけれども、今回の延坪島への北朝鮮からの砲撃事案もあり、現時点においては難しいという判断を韓国から伝えられているところでございます。ただし、シャトル外交については、極めて大事であり、早期にシャトル外交というものを再開させたいという強い韓国側の気持ちも併せて寄せられているところでございまして、我が国と韓国を取り巻く環境というものをしっかりにらみながら、日韓関係は非常に大事な関係でありますし、大事な局面でもございますので、緊密な連携を取れるように今後もしっかりと情報交換、意見交換をしてまいりたいと考えております。
【NHK 稲田記者】本日で国会が閉会いたしました。改めて、参議院選挙が終わった後、ねじれ国会を振り返られてのご所見と、大臣も仰られたように、いろいろな法案とかが通らなかったですけれども、菅総理が熟議の国会という中で、結局、党首討論も開かれずというような形で終わりましたが、なぜ、うまく審議が進まなかったのか、停滞してしまったのか、そこはどのように見ていらっしゃいますか。
【大臣】当初の方針としては、テーマごとに、法案・政策ごとに協調していただく政党との連携をその都度求めていくという形で臨時国会に入ったと思いますが、さまざまな事案が起きて、例えば尖閣の問題も含めて事案が起きる中で、そういった環境が生まれなかったということは大変残念なことであると思っております。熟議と言えるかというと、もちろん、野党というものはさまざまな政策について、あるいは政府の取組みについて批判をするのも大きな仕事でありますけれども、やはりねじれが起きている以上、批判だけではなかなか前に進まないということもありますので、そういう厳しい現実を前提に通常国会にどう臨むかということは、もう一度菅総理には、我々も含めて通常国会の対応というものをしっかりと戦略をもって当たらないと、ねじれている以上、なかなか厳しいのではないかという認識を持っております。
【NHK 稲田記者】そうすると、通常国会の前に戦略をもってということは、今回テーマごとの連携ということではなくて、例えば、与党の組替え等も視野に入れて、これから総理を含めて議論をしていくべきだということでしょうか。
【大臣】こういった大方針というのは、まさに総理である、あるいは民主党の代表である菅総理がお決めになることであって、その指示に基づいて、我々はサポートをしていくことになろうかと思います。やはり、リーダーである総理が今回の補正予算を含めた臨時国会への対応というものの総括をしていただいて、どう通常国会へ臨むのかということをしっかりと考えた上で、我々に指示をいただきたいと、それを支えるために一生懸命に働きたいと考えております。
【読売新聞 向井記者】民主党内には、通常国会に臨むに当たり、人心一新のため、内閣改造を求める声があります。また、現状では、仙谷官房長官が法務大臣を兼務されており、非常に負担が大きいという状況もあります。大方針は総理がお決めになることとはいえ、一閣僚として、そういう方法での通常国会の乗り切り方というのはいかがお考えでしょうか。
【大臣】総理がお決めになることでありますので、私(大臣)が詳細について申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、ただ、ねじれている以上は、人心一新だけで果たして通常国会を乗り切れるのかというと、私(大臣)は、それはなかなか厳しいのではないかと思っております。
【香港フェニックステレビ リー記者】大臣に是非お伺いしたいのですけれども、中国が呼びかけた六者協議の緊急会合について、日本の立場は今のところ慎重だと思うのですが、この緊急会合に応じる可能性を排除しないということでよろしいでしょうか。もし排除しないのであれば、応じる条件としてどのようなことが必要でしょうか。
【大臣】六者会合の枠組みというのは、大変重要な枠組みだと思っておりますし、これをしっかり活用していくということは、日本としても極めて重きを置いているテーマでございます。今回の中国側の呼びかけというものは、正式な六者会合ではなくて、その前段階の六者の代表が集まって話をしようということでございますけれども、六者会合というのは、基本的には、もともと核の問題を扱う場であったわけです。そうであるならば、ただ単に集まって話をするということではなくて、核についてどういったスタンスで会合に臨むのかといったところが大事だと思いますし、これは中国の楊潔チ外相ともハノイで確認をしたところでございますけれども、対話のための対話は意味がないと、今までの六者協議での合意に基づいて、どう前に進めていくのかといったことが、私(大臣)は大事なところであると思っておりまして、そういう意味での前進が、やはり正式な会合でなくて、まず集まりましょうといっても、そのポイントというものは、極めて大事なポイントではないかと考えております。したがって、結論から申し上げると、中国から投げられた提案を我々としてどう返していくのか。単に「対話のための対話はしないからだめですよ」ということではなくて、これは是非私(大臣)は米国や韓国と外相会談で話をしたいと思っておりますけれども、では、どういう要素を盛り込めば、あるいは確認できれば、我々としては、例えば中国側の提案に対して考えられる余地が出てくるのかといったこともしっかりと考えていきたいと思っております。例えば、濃縮ウランの問題が新たに提起されたけれども、今まではプルトニウムの問題だけが六者協議では扱われていたが、当然濃縮ウランについても六者協議で議論すべきだということです。これは、恐らく日米韓では確認できる問題だと思います。例えば、ヘッカーという学者の方が寧辺の濃縮ウランの施設を見せられたが、それについて本当に稼働していたかどうかわからないということです。つまり、あれについては本当に動いているのか動いていないのかということを、専門家の方がしっかりと見なくてはいけない。そうであれば、NPTを脱退したときにIAEAの査察官を国外に退去させているわけですから、もう一度、北朝鮮はIAEAの査察官を受け入れて、濃縮ウランの施設も含めて見せて、それが本当に稼働しているのかということを、透明性を高めてオープンにしていくことが大事ではないかニ私(大臣)は考えておりまして、例えば他に韓国や米国からも意見があるかもしれませんが、そういったところを三か国で少し議論し合って、そして、中国側の提案に対して我々がまた問題提起をするということで、単に中国側の提案を「それはだめですね」というのではいけないと思いますし、そういう意味では、中国やロシアも交えて、五者で緊密な連携をとりながら、北朝鮮に対してどう対応していくのかを考えていくべきポイントではないかと考えています。
【TBS 竹内記者】今の砲撃関連で質問ですが、昨夜、前原大臣は中国大使館の程永華大使と都内で会談されたと報じられていますが、この会談は、昨日、中国外務省の報道局長が、もう一度強く緊急会合の開催を呼びかけたことを受けての会談なのか、それともこれまでの関係修復を含めての会談だったのか、差し支えない範囲で教えてください。
【大臣】「関係修復をする」という意味がわかりません。我々は、もちろん尖閣の問題がありましたけれども、尖閣の問題というのは我が国固有の領土でありますし、領土問題はないという立場でありますので、そういう意味においての関係修復という文脈は、私(大臣)は余り理解ができません。たまたま近くに他の大臣の番記者がおられて、我々が話をしているというのがわかったということだと私(大臣)は聞いていますが、随分前から一遍食事をしましょうということを言っていて、そしてお互いの時間調整でかなり先になったということであって、今回の事案を受けて急に集まりましょうといったものではありませんし、もちろん仕事の話もしましたけれども、お互い昔から知っている関係でもありますし、共通の友人もいますので、かなりソフトな話が多かったとご理解をいただければと思います。
【香港フェニックステレビ リー記者】確認ですが、今度の日米韓の外相会談の協議次第で、緊急会合に応じる可能性はあるということでしょうか。
【大臣】私(大臣)の意見としては、中国の提案を拒否したつもりはありません。中国の提案については、受け止めるけれども、「何の前進もないままに、まずは集まりましょうというのではだめですね」ということを申し上げているわけであります。繰り返しになりますが、六者協議の枠組みというのは極めて大事な枠組みだと思っておりますけれども、では、そのテーブルにそれぞれが乗るための条件というのは一体何が考えられるのかということです。私(大臣)は先ほど2つの例を申し上げましたが、では、韓国はどうなのだ、米国はどうなのだといったことを少し話して、そして平和的な解決以外にはないわけですから、平和的な解決の枠組みとしての六者会議の再開をどうさせていくかといったことを、虚心坦懐に3か国の外相会談では話し合いたい、そして中身の一致をみたいと考えております。
【産経新聞 高橋記者】明日の大臣の北方領土視察について、昨日、鈴木宗男さんが「前原大臣は去年も行っている。新たな戦略を持って行くならわかるけれども、そういったものを持たずに単なるパフォーマンスで行くならやめたほうがいい」とご批判されていました。大臣としてはパフォーマンスなのでしょうか、それとも何らか戦略を持っていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】外務大臣として、今、8,000名ほどの元島民の方がおられるわけです。平均年齢は77歳。そして北方領土の返還というものを切望されています。その方々のお話を現地に行って、私(大臣)は強い北方領土返還への思いを持っているのだと、また皆さん方の思いを聞かせていただきたいということをお会いしてお話をすることは、全くパフォーマンスではないと思っています。
【産経新聞 高橋記者】戦略は。
【大臣】戦略などということはべらべらとしゃべるものではありませんし、鈴木宗男さんが今までどういう動きをされていたのかということについては知る立場になりましたけれども、いちいちコメントはいたしません。
【ニコニコ動画 七尾氏】視聴者の質問を代読いたします。拉致問題についてでございます。菅首相は25日に拉致問題対策本部で8項目にわたる北朝鮮への対応方針を指示いたしました。政権交代後、民主党政権が拉致問題で正式な方針を打ち出すのは初めてだと思いますが、今まで時間がかかった経緯、あるいは8項目の方針の方向性について教えていただけないでしょうか。
【大臣】鳩山総理のときも、中井大臣が極めてこの問題については熱心でいらっしゃいましたし、拉致担当大臣として精力的に取り組んでこられたと思っておりますので、政権交代後、初めての方針が示されたとは思っておりません。
ただ、菅内閣としては、拉致担当は替わりましたけれども、この問題は前に進めたいという菅総理の強いご意向を踏まえて、しっかりと全省庁を挙げて取り組んでいこうということで方針を出されたのだと思います。あるいは出される以前にも、外務省として、私(大臣)もこのポストに就いて、先ほどの対ロではありませんけれども、対北朝鮮外交はどんなことをやられていたのかということを一番初めにレビューいたしまして、拉致問題についてもさまざまな指示を既に出しておりますので、今から動き始めるということでは全くないという認識を持っております。
【ニコニコ動画 七尾氏】ちなみに今の正式な方針を打ち出すのは初めてというのは、一部新聞報道でございまして、もし間違いでしたら訂正いたします。
【大臣】わかりました。
【共同通信 出口記者】北朝鮮のウラン濃縮施設に関連してですが、この問題は安保理で取り上げようという動きがありますが、中国が依然消極的というように報じられています。来週の日米韓外相会談で、中国の北朝鮮の核問題に対する働きかけ及び砲撃事件に対する働きかけはどういったメッセージを打ち出そうとされていますでしょうか。
【大臣】中身については、3外相でお会いをしたときにしっかり議論すべき話だと思っておりますので、今から予断を持って何かメッセージを決めているということではありません。
しかしながら、濃縮ウランの問題というのは大変な問題だと思っておりまして、絶対に放置するわけにはいかないということで、さまざまな観点で国際社会が取り組んでいく必要があると思っておりますので、私(大臣)の思いとしては、当然国連の場でもこの問題を取り扱うべきだと思っておりますし、その前提でどのようなアプローチかは別にして、中国にも働きかけていくということは当然のことだと思っております。
【フジテレビ 高橋記者】ウィキリークスの関係ですけれども、先日、大臣は言語道断だと仰ったのですが、その関連もある中で、昨日一応ルース駐日米大使と会談をされたと思うのですけれども、ルース大使に大臣の方から日本の政府のそういった立場というのをどんな言葉でお伝えされたのか。ルース大使の方からはそれに何か謝意といいますか、支持を感謝するような言葉はあったのか。伺える範囲でやりとりをご紹介いただければと。
【大臣】昨日のルース大使がこちらに来られたのは、私(大臣)が来週頭にワシントンに行きますので、それの打ち合わせが主でございまして、そのほかのやりとりについては、いろいろ話はございましたけれども、コメントは差し控えたいと思います。
【朝日新聞 山尾記者】ウィキリークスの問題について、米国のクリントン国務長官が計12か国の首脳らに電話で謝罪というか、遺憾の意を表明したという話があります。日本政府に対してはそのような電話はあったのでしょうか。
【大臣】クリントン長官からは、直接私(大臣)には電話はございません。外交ルートを通じて事前に、もう少し前でありますけれども、お話はありました。
【ニコニコ動画 七尾氏】視聴者の質問を代読いたします。今回の事件ですけれども、外務省としまして、機密情報の管理体制の見直しを行っていくお考えはありますでしょうかという点と、また逆に、今後積極的に外務省自ら情報公開を進めていくことも可能性としてございますでしょうか。
【大臣】まず、初めのご質問でありますが、先般、国会でも仙谷官房長官が政府全体の機密保持について抜本的に見直すということを仰っておりまして、外務省でも今、それにとりかかっているところでございます。やれるところからやる、そして法改正が必要になるかどうかも含めて、今、内部で検討しているところでございます。
情報公開でありますが、これについてはむしろ岡田前大臣の方針を踏襲して、一定期間のものについては、日本の外交と国益に差し支えない範囲で、できる限り一定期限を過ぎたものについては公表させていただくということで今後も当たっていきたいと考えております。
【日本インターネット新聞 田中記者】外務省の所管ではございませんが、郵政改革法案がまたしても見送られました。日米の金融情勢から見た場合、これをどうお考えになるか。外務大臣としてよりも、一政治家前原誠司さんとしてのお考えをお伺いできれば幸いです。
【大臣】国会に提出された全ての法案というのは閣議決定を経ていると。私もサインをしているわけでありますので、国会に出した以上は成立させるという思いで出しているわけでありますので、今国会で成立できなかったことは残念だと思っておりますし、国民新党との首脳会談で次の通常国会に向けての意志が確認をされたわけですので、その方向性で我々も努力をしてまいりたいと考えております。
【琉球新報 稲福記者】沖縄の普天間飛行場の問題に関して質問させてください。昨日、菅首相も早めに沖縄に訪問されたいという話をされていましたが、外務大臣も沖縄に訪問される予定はあるのでしょうか。
その場合、菅首相は沖縄の問題を肌で感じたいという目的で行かれるということなのですが、5月の日米合意の見直しと県外移設を求める知事が当選した今、外務大臣が沖縄に行かれて、どういった目的で行かれるのかという点についてお伺いさせてください。
【大臣】まずは、総理ができるだけ早く沖縄に行かれたいということで、その後に関係閣僚も沖縄に伺って、まずは謝罪をすべきだと思っております。前回の総選挙のときに、「少なくとも県外、できれば国外」と言って選挙を闘って、沖縄の方々はそれに期待をされて民主党に投票された方々もたくさんおられると思いますけれども、結果的に辺野古に戻ってきているという状況は、どんな言い訳をしても許されるものではないかと私(大臣)は思っておりますので、まずそのお詫びをすべての閣僚が行うことが大事だと思っておりますし、また同時に、沖縄に過度の負担を今までも押し付けてきたことについてのお詫びもしなければいけないと思っております。
その上で、名護市辺野古には新たな基地建設という負担をお願いすることになりますけれども、トータルでは沖縄の負担軽減に必ずつながるし、また最も危険な飛行場である普天間飛行場の返還にもつながっていくということを、しっかりと知事始め、沖縄の皆さん方にご説明を申し上げて、理解をいただけるように誠心誠意お話をさせていただきたいと思っております。
また同時に、外務大臣という立場であります。前回までは、私(大臣)は沖縄担当大臣ということで、沖縄振興とか軍転法の見直しなどを担当しておりましたけれども、今度は基地問題について、例えば地位協定上の中身の問題とか、あるいは米軍施設に関わる各市町村の要望、あるいは県のご要望、こういったものをしっかりと承って、直せるものについては小さなことでも是正していくことが大事だと思っておりますので、そういう視点で沖縄を訪問させていただきたいと考えております。
【琉球新報 稲福記者】訪問の予定は、いつごろというのは決まっていますでしょうか。
【大臣】まだ総理がいつ伺えるかということが決まっておりませんし、本日、冒頭ご報告をいたしましたように、私(大臣)も6日から14日まで日本を離れる予定でございますので、それ以降になることは間違いないことでありますが、まずは総理ご自身が行かれたいというご意思でございますので、総理が行かれた後に我々としてはできるだけ早く伺いたいと思っております。