記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成22年11月)


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外務大臣会見記録(平成22年11月30日(火曜日)15時55分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)根室訪問について

【前原大臣】私(大臣)から1点お話をいたします。
 12月4日、土曜日でございますが、根室管内を訪問いたしまして、根室上空及び納沙布岬から北方領土を視察するとともに、元島民の方を始めとしまして、北方領土返還運動関係者との対話を行う予定でございます。 私(大臣)は昨年10月にも、北方担当大臣として根室を訪問しておりますけれども、外務大臣としては今回が初めての訪問となります。対話では、先般の日露外相会談等の中身もお伝えをしながら、今後の対露外交の進め方について、私(大臣)の考え方を説明させていただきたいと思っておりますし、北方領土返還運動関係者の方々、あるいは地元自治体の皆さん方のご意見もしっかりと伺ってまいりたいと考えております。

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北朝鮮情勢

【共同通信 出口記者】北朝鮮砲撃に関してですが、本日、齋木局長が北京入りされて、武大偉朝鮮問題特別代表と会談されると伺っています。齋木局長を通じて、中国側にはどういったメッセージを外相は伝えたいと考えておられますでしょうか。

【大臣】情報交換も含めて、さまざまな意見交換をしてもらいたいということは申し上げましたが、私(大臣)の方からは、六者協議の呼びかけについて、やはり対話のための対話であってはならないし、六者協議の今までの合意というものが前進を得るというものでなければならないという基本的な日本側の考え方を伝えてもらいたいということは、私(大臣)から指示をいたしました。
 他方で、我々は対話の扉を閉ざすものではありません。六者協議は対話の重要なスキームだと思っておりますので、そういう意味では、対話は閉ざさない。しかし、ウラン濃縮を自ら公表し、あるいは無差別に無防備な韓国の方々の島を砲撃して、だから六者協議を再開というのはいかがなものかという日本側の考え方を伝えてもらうということであります。
 また同時に、どうすればこの問題について事態を悪化させずに、そしてうまくマネージメントできるか、解決の方向への道筋というものをお互いの知恵を出し合って見出すこと。忌憚のない意見交換をしてくるようにということで指示をしております。

【日経新聞 永井記者】本日、北朝鮮の崔泰福労働党書記と金永日国際部長も訪中していると伺っております。齋木局長がこの北朝鮮高官と接触される予定等はありますでしょうか。

【大臣】ありません。

【産経新聞 高橋記者】北朝鮮の砲撃に関連してですが、それを受けて現在、朝鮮学校の無償化については一旦手続をストップしているという状態ですけれども、そもそも現在の北朝鮮の体制を考えれば、今回の砲撃の事態も想定されましたし、今後もそうした事態というのは想定されると思います。そういうことを踏まえると、現在の北朝鮮の体制を美化する教育を行っている朝鮮学校は、そもそも無償化の対象外とすべきだと思うのですが、大臣いかがですか。

【大臣】文部科学大臣が、これについては所管されておりますし、最終的には教育の観点から判断をされるということでありますけれども、その前提として外交をつかさどる私(大臣)にも意見を聞きたいというお話がございまして、私(大臣)からは2点申し上げたところであります。
 1点はまさに今、仰ったような教育の中身の問題についての改善が必要であるということと、もう一つは新たな事態が発生した場合については、慎重に考えてもらいたいということを申し上げました。
 最終的にお決めになるのは文部科学大臣でございますので、私(大臣)の意見はこの砲撃の後も文科大臣には伝えているところでございます。

【産経新聞 高橋記者】そうすると手続を再開するとすれば今、大臣が言われた2点というのが条件となりますか。

【大臣】私(大臣)にお話をいただいて、関係大臣との意見交換も1つのプロセスになると思いますけれども、繰り返しになって恐縮でありますが、最終的に判断をされるのは文科大臣でございます。

【朝日新聞 山口記者】確認ですけれども、先ほどの大臣のご説明によりますと、先日中国が6か国に対して呼びかけた返事を持って行ったというよりも、どういう意図を持って中国が呼びかけたのか、中国が何を考えているのかという意見交換、中国側の姿勢を質したい、聞きたいという受け止めでよろしいでしょうか。

【大臣】武大偉さんがお話をされたことに対する日本側の考え方を伝えるのはもとより、さまざまな意見交換というのは会ってお話をするということで大事だと思いますし、繰り返し申し上げているように、中国は大変重要なキープレイヤーでありますので、中国との意見交換を緊密にするというのは大事なことであり、その目的で中国に行ってもらいました。

【フジテレビ 高橋記者】一方、ロシアとの外相電話会談は調整中ということでしたけれども、もしまだ調整中となると結構時間がかかっているなという印象を受けるのですが、調整がついたのか、もし調整中ならなぜ時間がかかっているのか、その辺をお聞かせください。

【大臣】お互いの時間の都合が合わないというのが最大の理由であります。

【フリーランス 小山氏】北朝鮮の拉致者の問題ですけれども、それを取り戻すには戦略というものを立てなければならないと思います。そういうものがなければ、いつまで経っても拉致者を取り戻すということはできないと思うのですけれども、齋木局長はそういう戦略を立てているのでしょうか。

【大臣】齋木局長が立てる立場の1人ではありますけれども、これは外務省全体として、あるいは内閣全体として考えなくてはいけないことであり、そういったものも拉致対策本部を含めて、今、内閣で連携しながら、どのように取り組むかということを話し合い、また行動しているところであります。

【朝日新聞 山尾記者】中国がこのタイミングで六者協議の緊急会合を呼びかけたことに対しての大臣の受け止めと、齋木局長の訪中は中国側の要請なのでしょうか。

【大臣】後者のご質問から言いますと、こちら側が齋木局長を中国に送ったということであって、先方の要請ではありません。
 中国側もさまざまな考えに基づいて六者会議の予備協議と呼べるものを呼びかけたとは思いますけれども、それを我々がコメントする立場にはございませんし、我々の現段階での考え方を伝えるように齋木局長には指示をいたしました。

【NHK 稲田記者】北朝鮮に関して、北朝鮮は濃縮施設の稼働ということを明らかにしましたけれども、前回、砲撃の時点でも大臣は六者協議からは遠ざかっていると、今回、このようなことを体制として発表して更に遠ざかっていると思うのですけれども、こうした事態についての受け止めと、これまで大臣は六者のかつての合意の履行というものを求めていらっしゃいましたけれども、少なくてもこういうことをしてくれというものがもしあればお聞かせください。

【大臣】具体的に、今、コメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、六者で合意をして、いわゆる不可逆の核廃絶のプロセスというものを前に進めていこうという合意をしたにもかかわらず、それが履行されていないといったところが最大の問題点だと我々は考えております。

【NHK 稲田記者】濃縮施設の稼働の方についての受け止めは。

【大臣】稼働については、ヘッカー博士に見せた、稼働しているということを言った、まだそれは確認されていないということであります。

【時事通信 西垣記者】北のことに関連してですけれども、12月上旬に日米韓の外相会談をワシントンでやるというお話になっておりますけれども、この会談の調整状況はということと、あとこの会談をどう位置づけて、どういうことをお話になっていきたいかということをお聞かせください。

【大臣】調整中でございます。

【時事通信 西垣記者】会談の中身については、どういうことを。

【大臣】ですから、それを前提で今、調整しております。

【ロイター通信 竹中記者】六者協議に関係することで確認なのですが、中国がこの間呼びかけた、先ほど前提となるというお話でしたが、六者協議に関係している6か国の緊急の協議と、それから、通常の六者協議ですね。今の時点で、先ほどのウランのこともあれば、無差別攻撃のこともあって、両方とも今は参加する、あるいはそういうことをするのがいかがなものかというお考えなのか、あるいは六者協議はまだ時期が尚早かもしれないけれども、緊急協議に関してはまた別の考えをお持ちなのか、そこをもう一度確認だけさせていただけますか。

【大臣】六者会合の前の協議を中国側が呼びかけられたということでありまして、我々が分けているわけではありません。ただ、我々の考え方は明確でありまして、六者協議そのものを否定はしていない。しかし、もし集まるのであれば、今までの過去の六者協議の合意について、何らかの前進が図られるものでなければいけないというスタンスでございます。

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日韓関係

【日本経済新聞 田島記者】日韓両政府が調整している李明博大統領来日の件ですけれども、今回の北朝鮮による砲撃のこともあり、その影響もあると思われるのですが、現在の調整状況を来日の可能性も含めて教えていただけますでしょうか。

【大臣】シャトル外交を再開しようということで、先般の日韓首脳会談で両首脳が確認をしたことは事実でございます。ただ、今回の砲撃事案によりまして、韓国側がどのようにお考えになるのかということと、もちろん今後さらなる事態が起こらないことは、我々は心から期待しておりますし、またそのための行動を取っているわけでありますけれども、まだまだ予断を許さない状況でございますので、明確に日韓首脳会談が固まったという段階ではございません。調整中でございます。

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米軍再編問題(沖縄県知事選挙)

【琉球新報 滝本記者】沖縄県知事選挙ですが、仲井真現職知事が再選されましたけれども、再選後のインタビューでも、普天間移設については、やはり県内には移設先はないのだということを明言されておられます。大臣は以前から「お詫びとお願いを続ける」というようにおっしゃられていますけれども、仲井真氏が再選されたことで県内移設に向けて、まだ交渉の余地があるのだというようにお考えでいらっしゃるのかということと、昨日の松本副大臣の会見で「沖縄振興についても沖縄の方々と真剣に議論する中で理解をいただくよう努力をしていきたい」と副大臣がおっしゃられましたけれども、以前、沖縄担当大臣の頃に前原大臣は「基地と振興策はリンクしない」というお考えをずっと掲げておられますけれども、このことについて、改めて振興策と普天間の移設ということについての現時点でのお考えをお伺いしたいのですが。

【大臣】昨日、朝に仲井真知事には電話で当選のお祝いをいたしました。また、是非話しをさせていただきたいということについては、電話でお願いをいたしまして、それについては、快く「また、是非お会いしましょう」ということでありました。我々、政府の考え方は一貫しております。5月28日の日米合意というものを、沖縄の皆さん方に過大な負担を今まで押しつけてきたことのお詫びと、また、総選挙では、少なくとも県外と言っていたのに、辺野古に戻ってきたお詫びと、そういった2つの意味でのお詫びをしっかりと申し上げながら、しかし、何とか全体としては必ず沖縄の負担軽減につながるということをご説明申し上げて、我々としては沖縄の皆さん方にお願いをしていきたいと考えております。
 後半のご質問でございますが、振興とこの問題を絡ませるということはございません。これは確認をしているところでございます。他方で、これは沖縄担当大臣をしていた時の私(大臣)の行っていたことは今でも継続しているわけでありますが、現在の沖縄開発振興計画というものが来年で切れます。したがって、ポスト沖振というものをどうしていくのかということ、そして、軍転法が切れます。これについて新たにどのような仕組みを作っていくのかということについては、辺野古、普天間の問題とは別個に議論していかなくてはいけない。そういう文脈で松本副大臣はおっしゃったのではないかと思います。

【共同通信 出口記者】先のAPECでの日米首脳会談で、来年春頃までの菅総理の訪米と、あと、それに併せて、日米同盟深化についての日米共同声明を出すということが両首脳から言及がありましたが、普天間問題は同盟深化の全てではないにしても、大きな要素だと思いますが、それまでに外相及び防衛省による2+2を開いて、普天間問題について決着させるというスケジュールをお持ちでしょうか。

【大臣】今回の沖縄の県知事選挙の主要な候補者のお二人は、どちらも県外移設というものを訴えておられましたし、そのお一人、現職の仲井真知事が当選されたわけでございます。そのような主張をされている方に、我々は普天間の移設を辺野古にお願いしたいと申し上げているわけでございまして、これはそんなに簡単に済む話だと思っておりません。沖縄の皆さん方にお詫びをしながら、物事を進めていきたいという立場に我々がある以上、期限を区切って沖縄の皆さん方にお願いをするというのは、私(大臣)はそれは沖縄に対してむしろ非礼であろうと思っております。
 したがって、菅総理の訪米の時期というのはまだ決まっておりませんが、訪米までに期限を区切るという考え方に我々は立っておりません。もちろん、普天間の問題は大事な問題でありますけれども、我が国を取り巻く戦略環境というものは極めて厳しいものがございます。日本の安全保障のみならず、この地域の安定の公共財としての日米同盟の深化というものは、普天間の問題を横に置いても極めて大事な問題でございますので、そういった文脈から日米両国で共同宣言を発出し、そして、首脳同士で確認するということは、大変意味のあることではないかと思っております。

【毎日新聞 西田記者】共同声明について普天間問題で目に見える進展がなくても、それとは切り分けて共同声明として出すことは、特に不自然ではない、問題はないというお考えですか。

【大臣】繰り返しになって恐縮ですが、期限を区切って沖縄の皆さん方にお詫びとお願いをするつもりはないということを申し上げた訳でございます。

【毎日新聞 西田記者】そうしますと、今、切り離すか、切り離さないかということについては、特段判断をされていないということでしょうか。

【大臣】今の答えで明確ではないですか。つまり、期限を区切るということは沖縄に対して非礼であるということで、我々は粘り強く、沖縄の皆さん方にお詫びとともにお願いをしていくということであって、それが首脳会談の日時とリンクされたものではないということを申し上げたわけです。

【琉球新報 滝本記者】端的にお伺いしますが、日米同盟深化の項目の中に、普天間の決着といいますか、進展というのは含まれるのでしょうか。

【大臣】仮定のご質問になりますが、菅総理が訪米されるときに、どういった状況になっているのかといったところで、書きぶりがどうなるかということがあるかもしれませんけれども、繰り返しになりますが、期限を区切って沖縄の皆さん方にお願いをするということはございませんので、そのときの状態の中で我々が判断をするということになろうかと思います。

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ウィキリークスにおける米外交文書の公開

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。ウィキリークスが米政府の外交公電を流しはじめました。クリントン国務長官はこれを強く非難。情報をリークした関係者の責任を追及していく構えです。一方、海外では、「歓迎」、「自粛」とメディアによって反応に違いが見られます。ウィキリークスに代表される内部告発サイトの存在について、大臣のご所見をお願いいたします。

【大臣】これはもう言語同断だと私(大臣)は思います。犯罪行為ですから。つまり、勝手に他人の情報を盗み取って、それを勝手に公開する。それがいかに未公開の秘密文書であれ、それを判断するのは、持っている政府であって、勝手に盗み取ってそれを公表することに評価を与える余地は全くないと私(大臣)は思っています。

【毎日新聞 西岡記者】ウィキリークスの件で、その中に日本の外務省の現職の幹部の名前が挙げられた文書が公開されていましたが、これに関して事実関係等の調査は指示されたのでしょうか。

【大臣】それについてコメントもしませんし、事実関係も調査しません。

【読売新聞 穴井記者】日本側から米政府に対して、何か対応を求めるとか、事情を聞くとか、あるいは米国から説明があったということはあったのでしょうか。

【大臣】米国から外交ルートを通じて事前の説明がありました。

【読売新聞 穴井記者】日本側からは、何か求めるということはしましたか。

【大臣】しておりません。

【フリーランス 上出氏】ウィキリークスのことですが、今の発言はやはりメディアとして聞き逃すことはできません。要するに、大手の新聞を含めて全部このことについて報道しています。これも含めて批判されているのか、また、西山記者がやった沖縄密約、あれはいろいろな技術的な問題で尻切れトンボになりましたが、改めて外務省も(関連文書を)公開しています。捉え方によっては、今の言葉はそういう問題にもつながる重要な問題だと思います。その辺も含めて、単なるコンピュータのマニアたちがやったということを批判するということではなくて、言論についての意味もあったと私はそのように聞きましたが、そのような意味は全くないのでしょうか。

【大臣】私(大臣)が批判したのは、勝手に人の秘密をかすめ取る、盗み取るということは犯罪であると、それを公開することは言語道断であるということを申し上げました。

【フリーランス 上出氏】それを判断して報道したマスメディアのことはどうですか。

【大臣】そういうものが出て、こういった内容があるというものを報道することは、我々は妨げることはできないと思います。

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根室訪問

【時事通信 吉岡記者】冒頭にご発表がありました北方領土の視察の件ですが、これは、馬渕大臣やどなたかご一緒に行かれる方、ご同行、ご随行の方がいらっしゃったら、主な方で結構ですので教えてください。それと、この件につきましては、ロシアに対して既に通知なり、説明なりはされているのでしょうか。

【大臣】これは、外務大臣として行くということでありまして、他の大臣や副大臣、政務官と行くということはございません。

【時事通信 吉岡記者】ロシアに対して、この件について事前に何か説明等はされているのでしょうか。

【大臣】その報告は受けておりません。

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外務大臣会見記録(平成22年11月26日(金曜日)15時05分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

北朝鮮情勢

【毎日新聞 西岡記者】北朝鮮の砲撃に関して、日本と米国と韓国の外相会談が行われるという一部報道がありましたが、いつ頃どこで行われる予定か教えてください。

【大臣】調整をしているのは事実でございますが、まだ具体的には決まっておりません。

【フジテレビ 高橋記者】今の日米韓(外相会談)に関連して、実際に行うに当たって、北朝鮮に対してどのようなことを要求したいということで話をしていきたいのか、具体的に見通しをお願いします。

【大臣】電話では既に会談をしております。一昨日には金星煥外交通商部長官と電話で会談をいたしました。また、昨日の朝にはクリントン米国務長官とも話をいたしまして、「北の民間人が住んでいる島への無差別な攻撃については言語道断であり、厳しく非難をする。そして韓国の抑制的な対応について評価をするとともに、これが広がらないように我々で緊密な連携をとって努力をしていこう」と。北朝鮮に影響を持つ中国などほかの国に対しても、ともに働きかけをしていこう。また、当事国が韓国でございますので、韓国がどうするかということがありますが、「他の国際場裡での取り決めを行うのであれば、これについても協力をしていこう」と、さまざまな情勢分析を含めた確認というものを行うことになろうかと思います。

【ニコニコ動画 七尾記者】今お話がありました日米韓で北朝鮮に影響力のある、中国に責任ある対応を求める動きが高まっておりますけれども、一部新聞で中国内部では北朝鮮に対して、どれぐらい働きかけていくかという見解が分かれているとの報道もございます。大臣のお考えになる中国への期待の大きさというものは、具体的にはどのようなものがあるのかお聞かせください。

【大臣】中国の内部の事情について私(大臣)からコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、六者協議の議長でありますし、国際場裡、例えば国連という場で仮に議論になるとすれば常任理事国でございますので、そういった意味での影響力は大きいという観点から中国とも連携をして、我々はとにかくこの事態がエスカレートしないように、この地域の安全と安定、平和というものを更に乱さないような状況をしっかりと作り出していくために、中国とも連携をしていきたいと考えております。

【朝日新聞 山口記者】予算委員会の集中審議で、一連の問題の後の国の初動体制についての野党側の追及もずっと続いていると思いますが、政府としての考え方は官房長官も大臣も国会でご答弁されていると思うのですが、野党の一連の追及を経て、改めて大臣として思うことがあれば、初動体制についてコメントを頂戴できないでしょうか。

【大臣】私(大臣)は今回の政府の対応については問題はなかったと感じておりますし、外務省でも政務三役始め、職員の皆さんもよくやっていただいたと思っております。ただ、物事が起きたときにはしっかり検証をして、更にいい体制にしていくことは大事なことでありますので、本日も政務三役の会議を行いましたけれども、見直すべき点があればしっかりと見直していこうということは確認いたしました。
 また、我々が野党のときにも与党の危機管理対応については、クロノロジーを含めて追及をしていたという部分もありますので、もちろん外交変動事象に関わる、国家の危機管理に関わる問題については協力をしていただきたいと思いますし、与野党を超えて協力をしていくべきだと思いますけれども、危機管理のあり方については野党がしっかりと厳しく与党政府を追及して、我々は万全だという思いは持っておりますが、よりそういった危機管理能力を高めていくことは大事なことだと思いますので、私(大臣)は野党の追及も必要であると思っております。

【産経新聞 高橋記者】この危機管理に関してですが、やはり初動が非常に重要だと思うのですが、国会議員の場合には、きれいな赤坂宿舎が近くに整備されていて問題はないと思うのですけれども、公務員の場合、こういう緊急事態に駆けつけられる場所に官舎を整備する必要というのはあると思うのですけれども、大臣はどのようにお考えですか。

【大臣】危機管理に関わる職員については、役所を超えて紀尾井町にございますし、すぐに駆けつけられる宿舎も含めての整備ができているという認識を持っております。

【産経新聞 高橋記者】現在の体制で十分だとお考えということですか。

【大臣】先ほど申し上げたとおり、常に見直していくということは必要でありますが、問題や支障が生じているとは思っておりません。私(大臣)も国土交通大臣を1年間やっておりまして、危機管理の担当の部署の人間は、とにかく何かがあったらすぐにかけつけるということで競い合っておりまして、そういう意味では、宿舎も含めて、モラルも含めて、しっかりとなされているのではないかと思っております。

【NHK 稲田記者】北朝鮮関係で2点、伺わせてください。まず中国の働きかけというように日米韓連携してこれまでやってらっしゃっていますけれども、日本政府として働きかけをしようということは一致していますけれども、具体的に働きかけるためのアクションはどのようなことをとっていこうとお考えなのかということと、28日から米韓軍事演習が始まります。これについて、北朝鮮はやめろと、場合によっては2度、3度の砲撃ということも示唆していますけれども、そういったことを言ってくる北朝鮮に対して、大臣から、もしくは日本政府として述べることがあれば、どういったことを述べられますでしょうか。

【大臣】まず1点目のご質問でございますが、これも一昨日、中国の程永華駐日大使に外務省に来ていただきまして意見交換をし、これからも緊密に連携を取り合っていこうという確認をいたしました。その中では、とにかく事態の拡大、報復の連鎖というものが大きくならないようにしっかりと我々も協力していこうということで意見の一致をみたところでありまして、これからもさまざまな外交ルートで中国とも緊密に連携をとっていきたいと考えております。
 2つ目のポイントでございますけれども、もともと予定されていた演習でございます。この事案を受けて急遽やったものではないということで、北朝鮮は勇ましい声明を発表しているようでありますけれども、自制を求めたいと思います。

【毎日新聞 犬飼記者】北朝鮮への外交戦略ですが、こういう事態が起きたということで、来週、米韓軍事演習、またその後、日米軍事演習とかもあって、今、大臣がおっしゃたように、しっかりとこういうことが拡大しないようにということでプレッシャーをかけていくこともあると思うのですが、今後の対応について、こうした事態について安保理での議論が中心になっていくと思うのですけれども、どのように今後北朝鮮に対してやっていくのかということについてお伺いしたいと思います。
 また、これは米国とか韓国は六者協議の再開に当たって、具体的な非核化の行動をとらなければ再開に応じられない、または対話に応じないというような方針をとってきたと思いますけれども、その辺の対話についてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】まず、安保理でございますけれども、今回の砲撃事件の被害国、また当事者というのは韓国でございますので、韓国がどのように国連の活用も含めて考えるかということを一義的には尊重して、緊密に連携をとっていきたいと考えております。
 また、2つ目のお話でございますけれども、ウラン濃縮、あるいは今回の砲撃事案が起きる前には、日本、韓国、米国との間では、単なる対話のための六者協議の再開、対話のための対話はしない。今まで合意したことを前進させるのであれば、我々は六者協議の再開には応じるけれども、現時点においてはそのような状況が見られない中では、対話のための対話には応じないというのが日米韓の共通した考え方でございますし、10月の下旬にハノイで楊潔チ外相と会談したときにも、楊潔チ外相も同じような意見でございました。
 今後、また状況が変わったというか、更に北朝鮮自体が自ら危機を高めているわけでございまして、私(大臣)はこのような行動が続けば、むしろ北朝鮮が六者協議の対話を望んでいるのであれば、その可能性はむしろ遠ざかっているということを認識すべきではないかと考えております。いずれにしても、特に当事国である韓国の考え方というものを尊重しながら、関係国と緊密に連携をとって対応していきたいと考えております。

【日経ビジネス 森記者】緊密な連携ですが、いろいろバイでやられているかと思うのですけれども、ロシアとはどういうやりとりをされていますか。予定も含めてお願いします。

【大臣】六者協議の中で、まだ外相同士会談できていない中、露については会談を求めているということでございます。調整をしているということでございます。

【毎日新聞 西岡記者】中国の対応、中国の影響力といいますか、そういうものを求められている一方で、日本というものは尖閣問題で中国と非常にこじれていたという経緯があります。それで、今回の北の件で中国と対話をするに当たって、今回のことはそれぞれ別個の事象であるというような整理で対話ができているのか、それとも、何らかの形で尖閣事件が北朝鮮問題に影を落としているような印象があるのかどうか、その点をお聞かせください。

【大臣】ASEM、それから、ハノイでは余り時間がございませんでしたけれども、菅総理と温家宝首相が会われて、関係改善に向けての努力をしていこうと。そして先般、横浜で胡錦濤国家主席と菅総理が会われて会談をして、また関係改善に向けての努力をお互いしていこうという確認がされましたし、私(大臣)も2回にわたって楊潔チ外相とはハノイ、そして横浜で会談をいたしましたけれども、やはり大事な二国間関係であるということで、関係改善に向けた具体的な努力をしていこうという方向性では認識は一致しております。
 尖閣の問題については、東シナ海において我々は領土問題は存在しておりませんし、また尖閣諸島は日本の固有の領土であることは疑いのない事実でございます。他方で、首脳間でも、あるいは外相間でも合意をしたように、お互いが戦略的互恵関係というものをしっかりと頭の中に入れて努力をしていこうということです。まさに朝鮮半島の非核化と平和というものは戦略的互恵関係のバックボーンになるものであるというように私(大臣)は思っておりまして、そういう意味では日中間の認識は全く一致していると私(大臣)は考えております。

【時事通信 吉岡記者】先ほど、まだ会談ができていない中露については会談を調整しているというお話がありましたが、これは電話という理解でよろしいでしょうか。

【大臣】電話です。

【時事通信 吉岡記者】それともう一つ、時期としては目途は何か立っていますでしょうか。

【大臣】今、海外に行かれておりますので、調整をしております。なかなか海外で電話会談というのはできない面もありますので。

【NHK 稲田記者】韓国のKBSテレビが延坪で二度にわたり砲声があったというように速報していますけれども、事実関係の確認と、それに対する日本政府の対応を、もし発せられることがあればお聞かせください。

【大臣】在韓国大使館から、そのような報告は受けておりますけれども、詳しい事実は現在確認中でございます。

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日中首脳会談

【産経新聞 高橋記者】先ほどのAPECでの日中首脳会談についてですけれども、菅首相も冒頭、メモを読み上げたことについては反省の弁を述べられていましたが、あの姿を見た日本国民は非常に恥ずかしい思いをしたと思うのです。大臣は菅首相のあの会談に臨む姿勢についてはどう見ましたか。

【大臣】ご本人が、これからテレビが回っているときにはメモは見ないようにするとおっしゃっているのですから、ご本人の意見を尊重すべきであると思っております。
 若干、かばうことになるのか、事実を申し上げると、かぜを引いておられまして、最悪の体調でありました。薬を飲みながら。私どもも打ち合わせをするときに何人かうつされて、くしゃみをしている秘書官や、あるいは事務方もおりまして、私(大臣)もうつらないことだけ注意をしておりましたけれども、鼻をかんで、極めて体調の悪い状況の中でAPECの議長という大役をこなされて、そして21の国と地域の代表が集まって、バイもかなりこなされたわけでありますので、そういう意味では私(大臣)は、相当体調的にも、またAPECの議長を果たさなければいけないという責任感でも一生懸命やっておられたと思っておりまして、映像のところまであまり頭が回っておられなかったのではないかと思っております。
 ひいき目かもしれませんが、私(大臣)は立派にあの議長役を務められたと思いますし、また、あそこの画像だけが映っていたわけでありますが、日中首脳会談の中では私(大臣)ですら少しどきどきするような、やはりしっかりと日本の立場を仰る総理の姿がありましたので、そこは国民の皆さん方にも理解をしてもらいたいという思いはございます。

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朝鮮学校の無償化

【朝日新聞 山尾記者】先日、大臣の方から髙木文科大臣の方に、朝鮮学校の無償化について申し入れをしたとのお話がありますが、どのような申し入れをされたのか。あと、現状を受けた朝鮮学校の無償化に対する大臣の考え方を伺えますでしょうか。

【大臣】事実は逆です。髙木文部科学大臣がわざわざ私のところに来られまして、外交問題でもあるので、外務大臣のお考えを伺いたいと。何か一連の流れの中で、関連する大臣の意見も聴取をするというプロセスを持っていただいていたみたいで、わざわざ私の部屋にお越しになられました。そのときに、私が2点申し上げたのは、いわゆる教科書の中身、特に思想教育、これについて改善が図られなければいけないということが1つ。もう一つは、現状が変わるような何か事案が起きれば、是非見直していただきたいということは、私は申し上げました。そのときに、私が申し上げたのは、例えば重ねて核実験をするとか、ミサイルを発射するとか、そういうことを私は申し上げたわけでございます。しかし、プロセスとしては、これは文部科学大臣がさまざまな意見を集約して最終的にお決めになるというプロセスについては合意をしておりますので、私(大臣)の意見を是非尊重していただきたいということは申し上げたところでございます。

【NHK 稲田記者】また2点で大変恐縮ですけれども、今、大臣がおっしゃった現状が変わるような事案というのは、今回の砲撃というものは、大臣としては含んでいるというようなお考えなのかというのが1点と、それから、六者についてですけれども、これまでの合意がなされたにもかかわらず、破棄され、更にウラン濃縮という非常に具体的なプロセスを北朝鮮が裏で行っていたことを自ら明らかにしたいうことですが、このような約束しておきながら破られ、再開と停止を繰り返して、六者というフレームワークそのものについては、どのような認識を、有効性についてお持ちでしょうか。

【大臣】まず、今回の事案が、私(大臣)が申し上げているような前提条件が変わるような事態であるかと問われれば、当然含まれると思います。朝鮮戦争が休戦以来、初めて民間人が住む島に無差別で砲撃を加えるということは、言語道断でありまして、そういう意味では、国連憲章やあるいはジュネーブ条約に違反しているのではないかという疑念すら持たれているわけでありまして、そういう意味では、私(大臣)は前提状況は変わったと、思っております。私(大臣)の考えている前提条件に含まれると考えております。
 2つ目のご質問でありますが、結論から申し上げると、六者協議は、今なお、有効な枠組みであるし、そうしていかなければならないと考えております。つまりは、粘り強くこの地域の平和と安全に責任を持つ国々が、北朝鮮との会話の中で最後の目的である朝鮮半島の非核化というものをどうやって実現をしていくのかということを責任を持つ仕組みというのは、私(大臣)はこれ以外にないと思っておりますので、確かに新たな挑発を北朝鮮は続けているわけでありますけれども、だからといって六者協議が無用であるとは全く思っておりません。

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米軍再編問題(沖縄県知事選挙)

【読売新聞 向井記者】沖縄知事選について伺います。知事選の投開票日が近づいていますが、有力な2候補がいずれも辺野古への移転に反対しています。結論はまだですが、政府としては今後、知事選の後、どう臨んでいかれますでしょうか。

【大臣】どなたが勝たれましても、県民の民意の表れであり、我々は真摯に受け止めなくてはいけないと思っております。しかしながら、5月28日の日米合意というものを、我々はしっかりと履行していきたいと考えておりまして、ただ前提は、やはり、先の総選挙であれだけ「少なくとも県外、できれば国外」と言って沖縄の皆様方の期待値を上げてしまった、あるいは1972年5月の返還以来、過重な負担を沖縄に負わせてしまっていると、この2つの意味でのお詫びというのはしっかりと申し上げなければいけないと思っております。今回の我々が日米で合意したものについては、名護市辺野古です。名護市という地域においては、新たな負担をお願いすることになりますが、しかし、沖縄全体で見れば、嘉手納以南で見れば、全体としては沖縄の負担軽減に必ずつながるということです。またそれが最も危険な飛行場である普天間飛行場の返還につながり、また、兵士で8000人、そして家族、軍属を入れて9000人、合計で17000人のグァムへの移動ということにつながってくるわけでありまして、是非その点はお詫びをしっかり申し上げながらも、我々としては真摯に粘り強くお願いをしてまいりたいと考えております。

【フリーランス 上出氏】今の日米関係に関係してですが、先日、高名な識者であり、オランダ人の記者をやっていて、今、アムステルダム大学の教授をやっているウォルフェンさんの講演機会がございまして、その方だけではなくて、今回ハワイで「尖閣は安保の対象になるのだ」ということをクリントン国務長官がテレビで示して、それに中国は反発していたのですが、そのような光景を含めて、多くの方がクリントン国務長官は、失礼ながら、前原大臣を子供扱いしているというような表現で言っておりました。自民党時代から一歩も米国に対してものを言ってない、いわゆる米国の言いなりであり、亀井さんの言葉で言うと「外務省は国務省の出先機関である」という状況というのを、変える余地はあるのか。それがなければ、今の沖縄の辺野古の問題も含めて、米国をどうやったら押すことができるのか、いろいろな複雑なことは省きますが、そのような点について、どうお考えになっているのか、改めてご説明いただけますか。

【大臣】一識者の意見にいちいちお答えすることは、やめておきたいと思います。
いずれにしても、日本の安全とこの地域の安定を考えれば、日米同盟関係をしっかりと堅持をし、そして、強化をしていくということは大事でありますし、それと同時に先ほどお話をしたように、負担が集中しすぎている沖縄の負担軽減というものを同時に進めていくということを菅内閣としてもしっかりやっていかなければいけないと思っております。

【琉球新報 滝本記者】知事選の後、いずれの候補がなられても、なかなか辺野古への合意ということの推進については困難な状況があると思うのですが、知事選後に総理自身も沖縄に入るご意向を示されたり、あるいは外相、防衛大臣、ロ-テーションで回ってという表現が、安住副大臣でしたか、出ていたりしましたけれども、今後の知事選後のスケジュールとして、外務大臣としては、どのような形で沖縄への理解を求めるアクションということをお考えでしょうか。

【大臣】まだ政府として、全体にどのように対応させていただくのかということについては、決めてはおりませんが、いずれにしても大事なことは、責任ある立場の人間が、やはり沖縄に行って、しっかりお詫びをしてお願いをするということが大事なポイントではないかと考えております。私(大臣)もできるだけ早く沖縄には行かせていただきたいと考えております。

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大臣記者会見

【産経新聞 高橋記者】記者会見についての要望ですが、前原大臣は会見時間を30分と制限されています。この外交問題が山積している中で30分では到底質問しきれないですし、深めることができません。公務に支障がない限り、質問があればそれにお答えいただくと、オープンな政治を掲げる菅政権であれば、是非そうやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

【大臣】ご意見として承っておきます。

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外務大臣会見記録(平成22年11月24日(水曜日)16時50分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)北朝鮮情勢について

【前原大臣】私(大臣)の方からは、昨日起きました北朝鮮による韓国への砲撃につきまして、まず冒頭発言をさせていただきたいと思います。
 先ほど、外務省のオペレーションルームで緊急対策本部の会議を開催いたしまして、最新状況を共有するとともに、今後の対応ぶりについて議論をいたしました。昨日からの動きについては、ご承知だと思いますので、本日の動きについてご説明いたしますと、本日、閣議の時に政府としての対策本部の立ち上げを決定いたしまして、そして午前11時にその対策本部が菅本部長の下、開かれました。それに先立って、私(大臣)は午前10時25分から約25分間でございましたが、韓国の金星煥(キム・ソンファン)外交通商部長官と電話で会談をいたしまして、その時点では民間の方が亡くなっておられるということについては、まだ明らかになっておりませんでしたので、その時点では2名の兵士が亡くなられておられたということで、その兵士の方のご冥福をお祈りしたいと、お悔やみ申し上げるということと、ご家族にも心から哀悼の気持ちを捧げると、そして怪我をされた皆様の一日も早い快復をお祈りしておりますということを申し上げました。また、日本国民を代表して、韓国の皆様方に対して我々は強い支持を申し上げると、そして、民間のまさに無防備な方々が住む島に対する無差別の砲撃という、あってはならない、行ってはならないことをした北朝鮮を強く非難するということを申したところでございます。そして、国連も含めて今後引き続き、日本と韓国、そして米国を含めた日米韓の連携をさらに緊密にしていきましょうということをお話しいたしまして、また必要に応じて、電話、あるいはお会いをしての会談をやりましょうということを金長官とは話をさせていただいたところでございます。また、午後3時半だったと思いますが、中国の程永華(テイ・エイカ)在京中国大使に外務省に来てもらいまして意見交換をいたしました。私(大臣)の方からは、日本の立場、北朝鮮を強く非難する、韓国の立場を支持するということを伝え、そして程永華大使に対して、公式の報道以上の中国のスタンスは何かありますかということを聞きましたところ、とにかく事態がこれ以上に悪化をしないことを望んでいると、そして半島の平和というものを願っているということを程永華大使からは、私(大臣)にお話しされました。いずれにいたしましても、中国は北朝鮮に対する影響力の強い国でございますので、中国の果たす役割は大きいということを私(大臣)から申し上げ、またお互い隣国同士として日中が協力をしてこの問題をとにかく拡大をさせない、そしト沈静化させるための取組みを協力してやっていこうということを確認したところでございます。米国とは時差の関係がございまして、最も初めに韓国とともに電話会談を申し入れたところでございますけれども、時差の関係でクリントン国務長官との電話会談は実現しておりませんが、今晩、もしくは明朝にでも実現が出来ればいいということで、今、お互いの日程調整をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、菅総理大臣からご指示がありました。この指示というのは、「動向等に関して情報収集をしっかりと引き続き行うこと。韓国、米国等と緊密に連携をし対応すること。そして、不測の事態にも備えるなど、国民の安全、安心の確保に万全を期すこと」と、こういったご指示がございましたので、かなり外務省に関わる事項もございますので、各国との連携、情報収集、また渡航者への安全情報の提供等々、外務省として出来ることについては、今後も緊張感を持って取り組んで参りたいと考えているところでございます。

(2)豪州訪問について

【大臣】昨日、0泊3日で豪州に行ってまいりまして、向こうでも記者会見はいたしましたけれども、皆様方に改めて豪州訪問のご報告をさせていただきたいと思います。
 今回の目的はいくつかございますけれども、1つは先般、閣議で「包括的経済連携に関する基本方針」というのを定めました。これは3つの柱からなっておりまして、今二国間で交渉しているEPA・FTAというものを交渉を促進させて早期に締結をさせるということ、これに豪州が該当しているということがまず1つの大きな目的でございました。2つ目には、私(大臣)の経済外交の柱の2つ目が、1つ目は今申し上げた自由な貿易体制でありますけれども、2つ目が資源外交、エネルギー外交、食料外交ということでございますが、レアアースの長期の安定的な供給というものに、お互いが確認をしたということであります。
 そして、3つ目には日豪というのは、日米に次ぐ2+2を行っているところでありますし、また今、国会でACSA、つまりは物品役務相互提供協定をご審議いただいているところでございまして、そのような連携を強めているところでございますので、そういった情報交換、あるいは機密協定のさらなる促進、また、丁度ラッド豪外相と私(大臣)が話をしている時に、私(大臣)のメールに秘書官から今回の韓国への北朝鮮の砲撃事案の第一報が来ましたので、先方にそういったものをお伝えをし、そして、アジア太平洋地域の主要な二カ国同士で、こういった地域の問題にもお互い情報共有をしっかり行って協力していこうということも確認をしたところでございます。

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北朝鮮情勢

【フリーランス 岩上氏】今回の砲撃事件、北朝鮮の真のねらいというのはどういうところにあると、現時点で分析されていますでしょうか。また、今回の事態は周辺事態法の定めるところの周辺事態に該当するかどうか、この点についてもご見解をお示しいただきたいと思います。

【大臣】北朝鮮の真のねらいということで、多角的な分析が引き続き必要だと思いますが、哨戒艦天安の沈没事案。これは他国、複数の国による調査結果として、北朝鮮の魚雷によるものであるということが明らかになりまして、我々はその調査結果を評価し、そして、北朝鮮を非難するという立場を日本として取っているわけでございますが、そのような事案に続いて、再びあってはならない。しかも、今回は一般の住民の方々が住んでおられる島に対する無差別砲撃だということで、絶対に許してはいけない行為を行ってきたということであります。
 また、その前には自ら米国の科学者を招き入れて、濃縮ウランの開発をやっているということを見せびらかすようなことをやっている。明らかに何らかの意図というものを持った行動が一連に起こっているということを注目すべきだと思います。
 その中にあって、では、真の意図は何かということを考えたときには、もちろん、多角的な分析は必要ではあろうかと思いますけれども、何らかのアクションを起こすことによって、例えば六者協議の再開であるとか、あるいは米朝の直接協議であるとか、そういったものを開きたいと。開いて、そして、自らの要望を受け入れてもらいたいという意図があるのではないかと思います。ただ、こういった、ある意味でゆがんだ意図というものについては、私(大臣)は国際社会としては到底受け入れられないものではないかと考えておりまして、報道によると北は六者協議を望んでいたということでありますけれども、むしろ今回の一連の事案によって遠のいたと見る方が私(大臣)はいいのではないかと考えておりまして、とにかく国際法に反するような蛮行をまずは一切やめるというところからでないと、むしろ北が本来意図をする対話の糸口というものは、むしろ狭まってしまう、遠ざかってしまうのではないかということをしっかりと認識すべきではないかと、私(大臣)はそう思っております。
 2つ目のご質問の周辺事態に当たるかどうかということでございますが、周辺事態というのは、放置をしておけば、日本の安全に深刻な影響を及ぼす場合が周辺事態ということでございます。直ちにそのように認定する事態とは、我々は今は考えておりませんけれども、菅総理の指示にもありましたように、不測の事態が起きないとは限らない。したがって、あらゆる日本の機関、組織というものがさまざまな想定をして、万全の体制を今、敷いているという状況でございます。

【毎日新聞 西岡記者】韓国だけではなくて、日本も北朝鮮の核とかミサイルの脅威に実際さらされているわけですが、今後、日本に対する挑発行為も十分予想されるわけで、そのような状況の中で、日本外交としてはどのような北朝鮮政策を取るべきだとお考えなのか、大臣のご所見をお願いします。

【大臣】総理がご指示をされた不測の事態というものは、我が国も含めて、あらゆる状況を想定して万全を尽くす、万全の対策を取るということでございまして、その中身については、詳細は控えさせていただきたいと思っております。今回、私(大臣)は、韓国は極めて強い自制を持って、この問題に当たっておられると思います。天安(号事件)に続いて、今回の一般の方が住む島への砲撃、無差別攻撃ということで、韓国の国民の皆さん方の心情から察すれば、怒り心頭というところだと思いますけれども、非常に抑制をされていると思います。それは事態が悪化をしないための対応というものを取られているのだと思っております。
 今回、韓国の外交通商部長官、あるいは程永華駐日中国大使とも話をいたしましたけれども、とにかくこういった事態というものが拡大をしないということが最も大事なことでございますので、さまざまな国が努力をして、平和的な解決、事態を更に広めないための自制を北朝鮮に求めていくということが大事なことなのではないかと考えております。

【朝日新聞 大島記者】民主党政権になってから、北朝鮮の核問題、そして拉致問題、ミサイル問題、いずれも進展がないと、私には見えるのですが、この理由については、どういうようにお考えなのか。つまり、北朝鮮の行為、あるいは関連する国際情勢の側に物事の進展を難しくさせるような原因があるのか、それとも、民主党の政権にとっては、北朝鮮外交というのが優先度が低いからなのか、大臣はどのようにお考えですか。

【大臣】民主党外交になってと、民主党政権になってという区切られ方をするのは若干うがった見方ではないかと私(大臣)は思っております。自民党政権の小泉さんが訪朝されたのは2002年であります。そのときは動いたわけでありますけれども、あの後の自民党政権からの拉致、ミサイル、核の問題が進展したのかというと、全く膠着状況にあるというのは、ご承知のとおりだと思います。だからといって、民主党政権で何も動かなくていいというつもりはありません。
 しかし、この問題というのは、もちろん、日朝の直接的な話し合いというものも必要ではありますけれども、特に核の問題というのは、六者協議の枠組みの中で議論していくという形になっています。それが、2年近く停滞をしているということの原因は、すべて私(大臣)は北朝鮮にあると考えております。
 そういう意味においては、もちろん我々としては、動かしたいわけでありますけれども、責められるべきは、六者協議で合意をした中身について、一切の前進をさせていない北朝鮮に大きな問題がある。だからこそ、この問題について進展をしていない。核実験を行うし、そして拉致に対する調査も、調査をすると言って、それきりなしのつぶてという状況でございますので、そういう意味では、我々も努力はしなければいけませんけれども、今の膠着状況の原因は北朝鮮にあると、私(大臣)はそう思っています。

【西日本新聞 斎田記者】北朝鮮に対する追加制裁についてお伺いいたします。前回、韓国の哨戒艦沈没のときには、いくつか追加制裁を出しましたが、そのとき議論として、なかなか実効性のあるものというのが難しいというお話もあったかと思います。そういう状況の中で、今回、追加制裁について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】今回の韓国への砲撃事案という文脈においては、これはやはり被害国は韓国でございまして、韓国との連携というものをどう考えていくのか。そして、また、韓国がこの問題をどのように解決をしようとしていくのかということを、やはり第一義的に尊重することが大事だと、私(大臣)は思っておりまして、そういう意味では、今、何らか我が国だけが予断をもって決めるということではなくて、今後、韓国、あるいは米国、あるいは他の連携をする国々とも話し合いをしながら足並みをそろえていくべき問題だと考えております。

【フリーランス 上杉氏】豪州訪問(の冒頭発言)時にもしかして言及されたかもしれませんが、その場合は改めてということで、今回の事案に関して、大臣が最初にこの事案を知ったのはいつか、そして、また、どのような方法によってかということをお聞かせください。

【大臣】ラッド外相との会談の最中に私(大臣)の携帯に秘書官からメールが来ました。時間は、日本時間の午後3時18分、つまりは、向こうの時間は2時間先ですので、夕方の午後5時18分であったと思います。

【共同通信 出口記者】本日、程永華駐日中国大使と会われたことをご紹介いただきましたけれども、その中で中国の果たす役割は大きいと、先ほどおっしゃいましたが、今回の事案は天安の話とは違って、北朝鮮も砲撃を実際行ったことは認めています。この事案に対して、中国は今後どういうように北朝鮮に働きかけてもらいたいとお考えでしょうか。

【大臣】中国の果たす役割が大きいと申し上げたのは、これは程大使にも申し上げましたけれども、まず一つは六者協議の議長国であるということ。2つ目は、経済的な支援、バックアップを中国が行っているということ。そういった2つを背景にして、中国の影響力の話を私はいたしました。
 程大使からは、あの海域における今までの取り極めと、今回の事実をもう少し精査をしたいといった反応がございました。つまりは、北が言っていることと韓国側が言っていること、もちろん砲撃したということは向こうも認めていますけれども、それに至る経緯について、つまりは韓国の演習についての事実上の精査というものをしっかりやりたいという表明はございました。

【フリーランス 安積氏】先ほど大臣は、第一報を得たのが午後3時18分とおっしゃいましたが、午後7時に松本副大臣と多分電話で会談されていると聞いております。この間、結構時間があるのですけれども、どういうように連絡を取り合っていらしたのか。午後3時半には、外務省の中で連絡室がつくられていますが、それについてどういうご指示をなさったのか。
 それから、邦人保護の情報が流されたのが午後10時からで、かなり時間が経っているのですけれども、こういうように遅れたのは大臣が海外にいらっしゃった影響があったのかどうか、教えてください。

【大臣】まず、先ほどしっかりメモを見まして午後3時18分にメールで第一報を受けたと。ただ、それは会談中でございましたので、相手にも失礼でありますし、またそのことで豪州の外務大臣とも話をしておりました。豪州側も、ラッド大臣が指示をして、そういうことが起きているのだったら、自らの外交ルートでもしっかり情報を取ってということで、お互い情報を突き合わせて今後の対応も含めて話をしていたところでございます。
 その会談が終わって、それはキャンベラの(ラッド)外務大臣の部屋で行っていたわけでありますけれども、そこからキャンベラ空港へ移動する最中に松本副大臣に対して、官邸に向かうようにと、つまりは官邸に連絡室が立ち上がって、外務大臣が今、不在の状況で、代理が官房長官でございましたので、しかし、外務省の大臣の代わりとして松本副大臣にすぐに官邸に行くようにという指示をいたしました。
 その後、キャンベラからシドニーに飛行機で移動して、シドニーに着いた後すぐに松本副大臣と、松本副大臣も官邸にいましたので、官房長官とも電話で話をして種々の指示をしたということであります。状況が今どうなっているのかということと同時に、外務大臣としての指示をしたということであります。
 外務大臣というのは、かなり海外にいることが当然ながら多うございます。そういう意味で、外務大臣が外にいたら連絡体制とか、あるいは何か起きたときの体制が遅れるということはあってはならないことでございまして、そういう意味では対応についてはしっかりやってもらっていると思っております。
 今回の事案が起きた場所が、当然ながらすぐに外務省が調べたわけでありますけれども、邦人が観光地で行くようなところでは全くないということでありました。離れた島であるということでありました。ただ他方で、先ほど申し上げたとおり、また総理からの指示もありましたように、不測の事態というものが、いつ、どこで起きるかわからないという状況の中で、領事部門を抱える外務省としても対応したということでございまして、まずは現地における対応で、邦人がいたか、いなかったのかということの確認と同時に、いわゆる不測の事態に対応してということでの、特に韓国への渡航情報については安全情報を出したということでございます。

【読売新聞 向井記者】大きく2点伺いたいと思います。まず程永華大使との会談ですけれども、中国はこの問題で大きな役割を果たすということをおっしゃいましたが、しかし、焦点の六者協議については、中国は開催について、日本や米国と少し考え方を異にしていて、前向きな部分もありますけれども、その部分について程大使と六者協議は今後どうするべきかという話は、実際にされたのでしょうか。
 また、大臣は訪豪の前にボズワース米特別代表とも話されていますが、米国国内にも六者協議を行うべきだという声があると聞いていますけれども、その部分について意見交換はされたのでしょうか。

【大臣】まず程大使でございますけれども、六者協議を開く前提で日本と中国で立場の違いがあるという認識はございません。10月末のハノイでの日中外相会談におきまして、この問題を楊潔チ外相と話をしたときには、対話のための六者協議、単なる対話のための六者協議開催であってはならないという点では合意をいたしました。つまりは物事を進展させる会議でなければいけないということについて合意をしておりますので、六者協議開催に向けての考え方の大きな違いというのはないという認識であります。
 それから、ボズワース特別代表については、この事案が起きる前でありましたし、ボズワース特別代表が来られた大きな目的は、濃縮ウランの開発を北朝鮮が行っているということに対する情報提供と意見交換ということでございました。このことについても、ボズワース特使と直接話したわけではございませんけれども、クリントン国務長官とは今まで二度お会いして話をし、電話で一度話をしておりますけれども、クリントン国務長官とも単なる会議を開くための、対話のための対話であってはいけない。やはり六者協議で合意した中身を前進させるものでなければならないという考え方では一致をしておりますので、ボズワース特別代表から何らか、そういった前提を崩してでも六者協議をやるべしという考え方が示されたことはございません。

【NHK 稲田記者】2点お伺いさせてください。
  まず、中国に関してですけれども、必ずしも六者ということにこだわらず、先ほどの(程)大使の方からも、韓国側と北朝鮮側の双方の精査をしたいという話があったと大臣がおっしゃっていましたが、若干ほかの日米韓とは温度差があるように感じられます。P5の一員でもある中国がそのような対応をしていることについて、前原大臣としては合点のいくものなのか、それとももう少し違った対応を求めていきたいのかということが1点。
  先ほど、当該の島で民間人2人が遺体で見つかったという報道がありました。このことについて事実確認をしていらっしゃるのか。また、民間人が犠牲になったことを確認していらっしゃるのであれば、そのことに対する受け止めと、民間人が犠牲になったことによる今後の影響についてどのように見ていらっしゃるかお聞かせください。

【大臣】まず、程大使の件でありますけれども、現時点において事実関係で申し上げれば、日本は北朝鮮の今回の砲撃を非難しているわけであります。中国はまだ非難をするということではありませんし、中立的な立場をとっています。その背景が、先ほど程大使からお話のありました韓国の軍事演習についての中身を精査するということでありました。
  程大使がおっしゃっていたのは、今までも何度かあの海域では、いわゆる北朝鮮と韓国で撃ち合いが起きているということです。ただ、今回は違いますねと、一般の住民の方々が住んでいるところに無差別で攻撃をするということで、全く違う事案であるということは、私(大臣)からも申し上げましたけれども、いずれにしても、精査をし、そして何よりも事態が拡大をしないように、そこについては大事な点では一致しているということではないかと思っております。今後、再発防止も含めて、そうした大きな目的を達成するために、中国側とも話し合いをしっかり行っていくことは大事であると考えております。
  民間の方がお二人遺体で見つかったということは、報告を受けております。これは極めて遺憾なことでありまして、亡くなられた方に、心からお悔やみ申し上げたいと思っておりますし、軍人と民間人、もちろん人の命に差はありませんけれども、しかし全く無防備の民間人が無差別の攻撃によって亡くなられたという意味は、極めて深刻で重いと私(大臣)は考えておりまして、更に強い憤りを感じております。その意味においても、絶対に許されざる行為を北朝鮮はやったと考えております。

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外務大臣会見記録(平成22年11月19日(金曜日)0時00分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)ハイチ大統領選挙等に対する我が国の協力について

【前原大臣】まず第一点は、ハイチの大統領選挙等に対する協力でございます。我が国は今月28日(日曜日)に実施されるハイチの大統領選挙に対しまして、選挙の円滑な実施のための措置として、投票用紙や集計用紙等の調達に必要な約150万ドルを、国連開発計画(UNDP)に対し拠出することを決定いたしました。また、我が国は外務省職員計5名からなる選挙監視団を、ハイチに派遣することを決定いたしました。
ハイチにおける大統領選挙は、今年1月の大地震被害からの復興を本格的に担う政権を選出する選挙であり、国際社会もその公正かつ円滑な実施を注視しております。我が国としても国際社会と協調する形で、今回の支援を行うものでございます。

(2)豪州訪問について

【大臣】もう一点は、私(大臣)のオーストラリア訪問についてでございます。国会のお許しがいただけましたら、今月23日にオーストラリアを訪問し、ラッド外相及びエマーソン貿易相と会談を行うとともに、ギラード首相にも表敬訪問をする予定でございます。今回の訪豪では日豪間の安全保障協力、地域的・グローバルな課題について意見交換を行い、両国間の戦略的パートナーシップを更に発展させたいと考えております。また、TPPについても意見交換を行うとともに、日豪EPA交渉の早期妥結に向けて豪州側と協議を行う予定でございます。

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北大西洋条約機構(NATO)首脳会合に際して行われるアフガニスタン会合

【読売新聞 向井記者】今週末の20日にポルトガルで開かれるNATO首脳会議に関連したアフガニスタンの会議について伺います。
日本は特別に招かれ、伴野外務副大臣が出席される予定になっていますけれども、日本政府として今後のアフガニスタン支援のあり方をどのように考えていらっしゃるか、また、この場でどのようなことを国際社会に訴えたいと考えていらっしゃるかをお聞かせください。

【大臣】我々としては、民主党政権になりましてから、前政権がOEF(不朽の自由作戦)に協力をする形で海上給油活動というものをやってまいりましたけれども、ああいうものからは撤退いたしました。しかし、新たな枠組みの中で、多額の資金を拠出してアフガニスタンの復興支援、あるいは民生支援などを具体的に行ってまいりましたし、また、PRT(地域復興チーム)に対して民間のボランティアの方々が案件創出のために努力をされていて、かなりの成果が上がっているということでございます。
 それぞれの国がそれぞれの国情にあった形でのアフガニスタンの復興支援というものをやっているということをしっかりと認知してもらうために、我が国の今までの取組みと今後の方向性について、それぞれの国に理解をしてもらうために、また日本はこういう努力をしているのだということを知ってもらうために、政務三役を送ったということでございます。

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北朝鮮情勢

【毎日新聞 西岡記者】北朝鮮情勢についてお尋ねします。北朝鮮の咸鏡北道というところで、最近、核実験に向けた動きが活発化しているというような報道があります。また、一方で、寧辺核施設という北朝鮮がこれまで核開発を続けてきた施設の辺りで軽水炉、原発の建設の兆候があるというような報道があります。この2点について外務省として把握されている情報をお聞かせください。

【大臣】両方とも、衛星情報、ヒューミントを含めて情報把握しております。しかしながら、細かくお話をすることは当方の情報収集能力、あるいはどういう確度で行っているかということがわかることになりますので、詳細は差し控えさせていただきたいと思います。両件とも重大な関心を持って注視をしております。

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日露関係

【北海道新聞 稲塚記者】先の日露外相会談で、ラブロフ外相が日ソ共同宣言に関して、旧ソ連がなぜ締結に踏み切ったかわからないなどと、非常に否定的な見解を述べたと一部報道にあったのですけれども、その事実関係の確認をお願いしたいと思います。

【大臣】先般の日露外相会談の詳細についてお話しすることは差し控えたいと思いますけれども、ただ、双方の考え方を述べ合ったのは事実でございます。しかしながら、今後、領土問題の解決に向けて、しっかりと話し合いをしていこうということについては合意をしておりますので、日本の立場をしっかり守って、つまりは、北方領土は日本の固有の領土であり、四島のいわゆる帰属を確定させて平和条約を結ぶという考え方で、今後も粘り強く領土交渉に臨んでまいりたいと考えております。

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国会対応

【NHK 稲田記者】国会対応についてお伺いします。柳田法務大臣の2つのマジックワードを覚えていればよいという発言が非常に国会内で波紋を呼んでおりまして、本日も閣議の方で、菅総理大臣から各閣僚に対して発言に注意するようにということがありました。これに関して、2点伺いたいのですけれども、総理から各閣僚に対して、そういった発言に注意するようにという事態に陥ってしまっていることについて、どんな認識をお持ちなのか。また、柳田法相については、あのような国会軽視とも取れるような発言をしていることについて、野党側は罷免を求めていますけれども、それについて、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】2つのご質問をひっくるめて御答弁をすれば、我々、今、補正予算の審議をお願いして、一刻も早くこの補正予算を通すことが、今の日本の経済の立て直しを図る、あるいは腰折れを防ぐという大きな目的でございますので、そういった大局に立って、しっかりと任務を、自覚を持ってお互いが果たしていくべきだと考えております。

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外交記録文書の公開

【朝日新聞 鶴岡記者】外交記録の公開について伺います。公開の基準については、既に外務省の規則もありますけれども、大臣として公開、非公開を判断するに当たっての方針がございますでしょうか。また、今後の公開のペースについても、どうお考えでしょうか。

【大臣】今回、外交記録として公開されるものは、作成から30年以上経過した外交記録文書、582ファイルを外交史料館において公開をするものでございます。その中には、沖縄返還交渉63冊、日米貿易経済合同委員会64冊、これらを含む582冊のファイルが外交史料館に移管されまして、一般に閲覧していただくということになるわけでございます。今回の公開対象ファイルは、10月8日に開催されました外交記録公開推進委員会、これは山花政務官が委員長を務めていただいておりますけれども、この第2回会合における検討の後、私(大臣)の了承を得た865冊のうち、公開の準備が整ったものだとお考えをいただければ結構かと思います。私(大臣)の基本的な考え方を聞かれれば、一定期間を経過したものは基本的に公開するということでございますけれども、その中身によっては、やはり非公開と決めるものも出てくるでありましょうし、あるいは一部黒塗りをして公開をするというものもあるでしょうし、性質によって判断をするべきだと考えておりますが、基本的には、一定年度を経たものについては公開すべきというのが、私(大臣)の基本的な考えでございます。

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仙谷官房長官の自衛隊に関する発言

【産経新聞 酒井記者】先日、国会答弁で仙谷官房長官が「暴力装置である自衛隊」と発言されました。この発言はすぐ撤回されましたが、これに対する大臣の認識と、それと自衛隊を暴力装置とお考えかどうかお聞かせ下さい。

【大臣】万が一のときに国を守り、自らの命、体を挺して国家の主権を守り、国民の生命、財産、生活すべてを守ってくれる自衛官というのは、極めて崇高な役割を担っておりまして、私(大臣)は今の自衛官に対して誇りを持っております。また、これはいいことでありますが、警察予備隊から自衛隊に改組されて、もう50年以上経つ訳ですが、戦争がない中で訓練をもって士気を高め、そして精強さを維持していることの日々の訓練、あるいはモラルの高さにも、私(大臣)は大変敬服をしておりますし、隊員に誇りを感じているところでございます。また、何か災害が起きれば、自衛隊頼みが起きるということです。災害の救助、あるいは復興、先般、宮崎で起きました口蹄疫の問題でも、例えば家畜の処分などについては、重機を伴って自衛官が努力をしてくれたということについても、私(大臣)は大変ありがたいと思っておりますし、私(大臣)の地元で申し上げれば、昔、鳥インフルエンザというのが発生して25万羽以上の鶏を処分するというときに、京都府や近隣の自治体だけでは、とてもではないけれども処分ができないということで、そのときは石破さんが防衛庁長官か、防衛大臣かどちらか忘れましたが、お願いをして、(自衛隊に)出ていただいて、大変助かったという面もあります。そういう意味においては、本来任務である日本の防衛、そして何かがあったときに助けてくれるという意味でこれほど心強い組織はないと思っております。仙谷長官の発言について言えば、「実力組織」と言うところを、昔よく共産党系の本も読まれていたのでありましょう、その中に暴力装置のような言葉があったやに、私(大臣)はご本人から伺いましたけれども、それが間違って出てきたものだと思っておりますし、仙谷官房長官も、私(大臣)が先ほど申し上げたような自衛隊に対する敬意、使命の崇高さ、そして大切さというものを十二分にご理解されていると思います。あくまでも、御社でしたか、「本音が出た」等という記事がありましたが、本音ではなく、私(大臣)は言葉が誤って出たものだと認識しております。

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中国漁船衝突事件のビデオ流出問題

【フリーランス 上出氏】既に国会の方では出ている問題ですが、改めて伺います。
尖閣ビデオ流出問題ですが、国交大臣であられて、外務大臣もやられた。両方のお仕事をされた立場から、一連の経緯について、最初からボタンの掛け違いだったのではないかというようなことも言われていますが、どのように総括されているか、明快にお答えいただきたいと思います。

【大臣】全くボタンの掛け違いだとは思っておりません。私(大臣)が国交大臣の時の9月7日にあの事案が起きました。そして、海上保安庁長官から相談があって、こういう事案が起きたということで相談を受けて、「極めて悪質な事案です」と。ちなみに私(大臣)がビデオを見たのは翌日の9月8日の朝であります。ビデオを見ていない段階から、「悪質な事案です」という報告を受けて「ともすれば、船が沈む。そして、海上保安庁の職員の人命が危機にさらされるような事案であった」という話を伺いました。そこで、そういう事案であれば、海上保安庁の内規に則って処理をするのが当然のことであろうということで、私(大臣)はその報告を聞きました。ただ、この問題については、日本の固有の領土であり、領土問題は東シナ海に存在しておりませんけれども、他の国が領有権を主張している問題でもありましたので、これはしっかりと官邸と相談をして、そして、扱うべき問題だということで、当時の外相であった岡田前外務大臣や、あるいは他省庁とも相談の上、最終的に外交的な要件も含めて、公務執行妨害で悪質さを勘案して逮捕した事案だと思っておりまして、その後は、私(大臣)は日本の捜査、そして、司法判断によって現在に至っていると思っております。
 ビデオの公開については、いろいろと皆さま方も含めてご意見があるようでありますけれども、これは是非皆様方も冷静にお考えいただきたいのですが、一般の刑事事案として、これを処理するということで公務執行妨害で被疑者を逮捕するということになれば、そのビデオを撮っていたら、必ずそれはいわゆる公判の時に証拠物件として扱われるのは当たり前のことでありますし、それを公開をせずに、いわゆる証拠物件として検察に出すというのは当たり前のことであって、今だから皆「なぜ、あの時に公開しなかたのだ」という議論はありますけれども、あの時の段取り、手続きに則って考えれば、私(大臣)はあの時点で公開をしなかったというのは当然のことであると思っております。今後、政府がどのように判断をするかということについては、法務省を中心に刑訴47条に基づいて、ご判断をされるべきだと考えております。

【フリーランス 上出氏】守秘義務については、厳しく罰すると確か言っておられましたが、実際には、(ビデオを)流出させた保安官が逮捕されていないということについてはどうお考えですか。

【大臣】捜査が行われていて、結果的にまだ片がついていないと思っておりますけれども、仮に法律上、立件できなかった場合においても、内部で働いていた人間がそれを外に流出するということについては、やはり内部で何からかの処分がなされるべき案件であると、私(大臣)はこのように思っております。

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北朝鮮拉致問題

【共同通信 橋本記者】国連総会の委員会が、北朝鮮に対して早期の拉致問題の解決を求める決議案を採択しました。今回の同種の決議としては6回目らしいのですが、賛成票は最多となりました。そのことに対して受け止めをお聞かせ下さい。

【大臣】私(大臣)もまだ2か月余りですが、この決議について今まで棄権をしていたとか、あるいは反対をしていたところがあれば、必ず外相会談でこのことに言及をしてまいりましたし、さまざまな外交ルートを通じて出来るだけ多くの国民に拉致という犯罪を認知してもらって、そして決議に賛同してもらいたいと言ってまいりました。我々よりも何よりも、やはり拉致被害者のご家族の皆様方が啓蒙活動、広報活動を自ら先頭に立って頑張って来られた成果ではないかと思っております。我々の使命は一刻も早く拉致被害者をお連れして日本に帰るということです。その解決のために頑張っていくということだと思っております。

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外務大臣会見記録(平成22年11月16日(火曜日)18時38分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)ミャンマーのサイクロン被害に対する緊急無償資金協力について

【前原大臣】私(大臣)から1点だけ、本日の閣議で決まったミャンマーのサイクロン被害に対する緊急無償支援についてお話をいたします。ミャンマー西部におけるサイクロン被害に対しまして、50万ドルの緊急無償資金協力を実施することにいたしました。この支援は被災地で食料配布などの救援活動を行っている、国連世界食糧計画(WFP)と協力して実施をすることにいたします。

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日露関係

【北海道新聞 嶋田記者】先日、ロシアの現地紙がAPEC終了後に、歯舞・色丹の引き渡しを明記した日ソ共同宣言に基づく交渉は行わないとするロシア消息筋の話を報道しました。先日の首脳会談や外相会談でロシア側からこのような話は出たのでしょうか。また、これに関連して外務省としては、この報道に関する事実確認、情報収集をしていますでしょうか。もししていれば、どのような報告を受けているか教えてください。

【大臣】先般の日露首脳会談、あるいは日露外相会談において、そのような話はございません。もちろん、領土問題については両者の考え方の応酬をしましたけれども、今おっしゃったような話はございませんでした。新聞の記事で消息筋というのは誰かよくわかりませんので、それをいちいち確認をするという立場はありませんし、我々は新聞や会見を通じて日露交渉を行うつもりはございません。会って交渉をすると、そして、日本の立場、つまりは北方四島は日本の固有の領土であり、そして、今まで累次、日ソ間、日露間で確認をされた文書などに則って交渉をしていくと、そして、四島の帰属を確定をし、平和条約を結ぶ、この考え方に全く我々には変わりはありません。

【日経新聞 永井記者】今のような、日ソ共同宣言は前提にしないというロシア側の方針が確認された場合、政府としては今後どのような対応を考えていかれるでしょうか。

【大臣】確認もしていませんし、ましてや日ソ共同宣言という二国間のいわゆる合意事項を反故するということはないと思っておりますし、その後も累次重ねてきた日ソ・日露両国間の文書に基づいて、この問題を解決する、そしてお互いが平和条約を結んで更なる協力関係を強化すると、ウィンウィンの関係を作っていくという考え方には全く変わりはありません。

【産経新聞 酒井記者】本日の衆院本会議で、総理が日露の関係で、「首脳会談で北方四島が我が国固有の領土であるという我が国の原則的な立場はしっかりと伝えた」とおっしゃっていました。当日の福山官房副長官のブリーフでは、「固有の領土」との言葉は使ってないとおっしゃっていました。いったいどちらが正しいのでしょうか。

【大臣】固有の領土であるということは前提条件として、我々は話をしています。つまりは、固有の領土であるから、1956年に歯舞・色丹の二島では領土問題の解決にならないからと言って平和条約を結ばなかったわけですから、固有の領土であるというのは、我々は大前提であると考えております。そのご認識を前提でいただければ結構かと思います。

【産経新聞 酒井記者】ということは、会談では「固有の領土」だということは使わなかったということでよろしいでしょうか。

【大臣】ただ、固有の領土を前提としているから領土問題の話をするのであって、固有の領土でなければ話をしないわけですから、少しそこは「固有の領土」を言ったから言わなかったから弱気とか強いではなくて、それが前提で交渉しているということをご理解いただきたいと思います。

【東京新聞 竹内記者】日露外相会談及び首脳会談で、日ソ共同宣言については、明示的に有効性を双方で確認したということなのか、あるいは有効性を前提に議論を行ったということなのか、どちらでしょうか。

【大臣】日ソ共同宣言に少なくともラブロフ外相からは言及しておりました。私(大臣)からも、もちろん言及をいたしました。

【世界日報 山本記者】会談で日本側が、今回の国後訪問に対して抗議を表明したと総理の抗議のことが伝えられたのですが、その後、歯舞、色丹にも訪問するようなことが流れておりまして、そういう流れの中で、歯舞、色丹の訪問に対して、前もってそれに対しては抗議を表明されるという具体的な表明があったのかどうかについてお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】さまざまな外交ルートを通じまして、日本側の立場は何度もロシア側に伝えております。

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ノーベル平和賞授賞式への出欠

【日本インターネット新聞 田中記者】「ノーベル平和賞の授賞式に日本は出席しないように」と中国から要請があったというように、大臣も国会で答弁されておりましたが、日本政府はいまだ出欠について答弁していないというように報道があります。この事実関係について出欠をまだ本当に返事をしていないのか、まだ返事していないとすればどのような理由からなのか、返事したとすればどのような理由なのか、それぞれ理由をお聞かせ下さい。

【大臣】まだ返事していないのですか。

【日本インターネット新聞 田中記者】はい。各紙報道があります。

【大臣】私(大臣)は実務的にはまだ確認していませんが、「適切に判断する」と国会答弁で申し上げました。

【日本インターネット新聞 田中記者】「適切」ということはどのようなことでしょうか。やはり国際社会の常識ですと、出席するのが普通ですが。

【大臣】ノーベル平和賞について日本の立場というのは極めて大切な賞だと思っておりますし、過去ノーベル平和賞については毎回日本の大使は出席をしております。「適切に判断をする」というのは、そのことを意味するというのは当然のことです。

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ミャンマー情勢

【フリーランス 上出氏】冒頭でミャンマーへのサイクロン被害に対する緊急無償支援を決定したとのことですが、それ以外の今の対ミャンマーの対応についてお伺いします。ご存じのとおり、スー・チーさんは解放されましたが、結果がはっきりしたのが出ていませんが、実際に今、軍政が相変わらず仕切っています。こういう状況に対して、前回も厳しい批判をしていましたが、実際にはこの後、どのようなことをして、どのようにこれを改善していこうとしているのか、具体的な方針などありましたら、お願いします。

【大臣】今回、ミャンマーは20年ぶりに総選挙を行いました。総選挙を行ったということについては一定の評価はしておりますが、その中身については、上院、下院とも4分の1を軍部に割り当てるということで、決して公平公正な選挙であったとは見ておりませんし、アウン・サン・スー・チーさん率いるNLDはボイコットをしたということですので、そういう意味では、広くあまねく政党やグループが参加をした総選挙であるとは思っておりません。今後どうしていくのかということですが、「全くもって完全な民主的な選挙ではなかったから駄目だ」と言うことは簡単だと思いますが、私(大臣)はミャンマーなりにステップを一歩踏み出したと思っております。たとえそれが我々のスタンダードからして完璧なものでなくてもです。そこで、「駄目ではないか」と言うのか、あるいはもっと先に一歩二歩歩くように我々が促していくのかと、どちらの立場に立つのかと言えば、日本は後者であるべきだと私(大臣)は思っておりまして、更にミャンマーの民主化が促進されるように、我々としては関与していきたい。また、この間、ミャンマーの外相と話をしたときには、そのような観点で話をしてまいりました。
 なお、今までも日本は、人道的な観点での支援は行っているところでございまして、今回のサイクロン支援というものも、まさに人道的な観点の支援であるということをご理解いただきたいと思います。

【フリーランス 上出氏】20年前、実は私は現地で取材をしました。そのとき、有名な「建設的関与政策」を日本は(講じていました。)前原外相が言われたのは、そういうことかと思うのですが、現実に今、ミャンマーとの貿易や日本の商社などに対して、何らかの対応をするのか、しないのか、経済的な制裁等を考えているか、具体的にどうでしょうか。

【大臣】先般、総選挙が行われたばかりで、そして11月13日には、予定どおりと言いますか、事前に示されていたとおり、アウン・サン・スー・チーさんが自宅軟禁から解放されたということを見たときに、今後どのようにミャンマー政府が対応していくのかということを注意深く見て、我々としては判断したいと、対応したいと考えております。

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朝鮮王室儀軌等の引き渡し

【朝日新聞 山口記者】先日の日韓首脳会談で決まった朝鮮王室儀軌等文書の返還のことについてお問い合わせをします。
 あの会談の後のブリーフで、総理ができるだけ早くお返しをしたいということを仰ったとお聞きしているのですけれども。

【大臣】引き渡しですね。

【朝日新聞 山口記者】引き渡したいと仰ったということで、できるだけ早くという時期の問題なのですが、当初、日本政府としては、100年の記念である今年の年末までにという希望を持たれていたとお聞きしているのですけれども、国会の情勢を見ると、もし今の会期でこの国会が終わるとなると、なかなか厳しい情勢だと思うのですが、大臣の見通しについて、改めてお聞かせいただけないでしょうか。仮に年内ではなくても、来年以降になってしまっても、それはやむを得ないともお考えになられているのか、お聞かせください。

【大臣】朝鮮王室儀軌等の図書につきましては、韓国との話し合いが整って、先般のAPEC横浜での会合のときに、李明博大統領と菅総理の間で、引渡しに対しての合意ができた。私(大臣)と金星煥外交通商部長官との間で署名をさせていただきました。
 現段階で申し上げられるのは、できるだけ早く引渡しをしたいという思いは、日本政府としては持っておりますけれども、国会の情勢等もございますので、少なくとも私(大臣)からは、金星煥外交通商部長官には、できるだけ早くお渡しをしたいと思っているけれども、国会情勢のいかんでという注釈はつけております。

【朝日新聞 山口記者】今、大臣が仰っていただいたお気持ちを、今後国会の中で野党からも質問を求められるか、もしくは政府与党の方から直接的に言うのかわかりませんけれども、国会の場でこれが俎上に上ったときに、今の思いというのを大臣のお立場でもご説明されるということでよろしいでしょうか。

【大臣】結構です。

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北朝鮮拉致問題

【共同通信 橋本記者】北朝鮮の日本人拉致問題ですが、15日で横田めぐみさんが拉致されてから33年が経過しました。いまだ解決の糸口が見えてないのですけれども、このことについてまず外務大臣としてどう思われるか。
 あと、解決策というのは、どういう方法で解決策を探っていこうとされているのかお聞かせください。

【大臣】先般、菅改造内閣が発足してから初めて拉致対策本部というものを開催いたしまして、私(大臣)も出席いたしました。そこで私(大臣)が提案したのは、もう少し人数を絞って、お互いの機密の情報を持ち合ってしっかり議論していこうということを提案したわけでございまして、今そういった話し合いも進めているところでございます。
 特に我々は外交交渉を担当しているところでございますので、つまびらかに皆さん方に申し上げるわけにはいきませんけれども、さまざまな形で、できるだけ早く拉致被害者の日本への帰国、解決というものに努力をしてまいりたいと思っております。

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日中関係

【読売新聞 黒岩記者】新華社電が、艦載ヘリを搭載した漁船監視船が広州から出港して、東シナ海方面に向かったということを報道しているのですが、政府として事実確認をされているのかどうか。仮に事実として確認されている場合は、先般の日中首脳会談で関係改善で一致されているわけですが、その数日後にこういう行動に出たことに対しての受け止めをお聞かせください。

【大臣】まだ事実は確認しておりません。

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外務大臣会見記録(平成22年11月12日(金曜日)17時38分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)APEC閣僚会議について

【前原大臣】私(大臣)の方から2点お話をいたします。
 まず1点は、昨日、一昨日と横浜でAPECの会合がございまして、大畠経済産業大臣と共同議長を務めました。多角的な自由貿易体制の支持、保護主義の抑止、地域経済統合、更にAPECの将来、成長戦略といったテーマについて活発な議論を行いまして、ドラフトをまとめましたので、是非首脳会談でそれをベースに、よりよい議論が行われることを期待しております。

(2)イラク新国会議長、新大統領の選出及び内閣首班指名について

【大臣】次に、イラクでございますが、イラクの新国会議長、そして新大統領の選出及び内閣の首班指名につきましてお話を申し上げます。
 11日にイラク国民議会が再開をされまして、アル・ヌジャイフィー国民議会議員が同議会の議長に選出をされるとともに、タラバーニー大統領が再任をされました。これを受けまして同大統領がマーリキー首相を内閣首班に指名し、組閣を命じました。30日以内に組閣をするということでございます。我が国はこれらの動きをイラク新政権樹立に向けた大きな進展として歓迎をいたします。今後早期に組閣が完了し、安定した新政府が発足することを期待しております。

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日米首脳会談

【日経新聞 永井記者】明日の日米首脳会談に関連してですけれども、民主党内には今回のオバマ大統領の訪日を機に、日米同盟50周年を機に、新たな新安保宣言のような成果を模索する動きがあったかと思います。明日の会談ではこの新安保宣言のような形のものは見送る方向だと思われますが、このことについて外務大臣としてどのように評価されていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】議員の中であったということですか。

【日経新聞 永井記者】私はそのように伺っております。

【大臣】私(大臣)は聞いておりません。

【日経新聞 永井記者】何らかの日米同盟深化策の結果、成果のような形が、新安保宣言のような形のものが今後必要になるかと思うのですけれども、それについては大臣としてどのように取り組んでいこうとお考えでしょうか。

【大臣】日米同盟というのは日本の外交の基軸でありますし、日米安保に基づく米国のこの地域のプレゼンスというものが、この地域の安定のための公共財になっていることは、紛れもない事実であります。確かに今年は50年でありますけれども、来年、再来年、そしてこれから先も大事であり続けるし、この関係というものを更に深化、強化させていかなければいけないという観点から、何らかのタイミングでそういうものは必要なのかもしれませんが、殊更今それをむしろ宣言しなくてはいけないという状況でもありませんし、しっかりと今後も日米同盟関係の深化というものを実質的な中身のあるものとして、努力をして進めていきたいと考えております。

【毎日新聞 西田記者】明日の日米首脳会談の件ですけれども、総理は6月と9月に続いて3回目の会談になって、前回は尖閣の事案の後ということで、対中国という色合いがかなり強かったと思うのですが、今回はそういった面でどのような会談にされるかという意義づけと、前回は中国に対してお互いに注視し、連携して対処するという結構強い表現だったと思うのですけれども、今回はそういった中国に対して何らかのメッセージを発するおつもりがあるかどうか。

【大臣】先般は確かにお会いをしたときは、9月24日でしたか。いわゆる尖閣の事案があった後でありましたので、そういった色彩というものが会談で色濃く出ていたとは思います。しかし、前回、具体的に菅総理からオバマ大統領に尖閣の説明があったわけではありません。私(大臣)がクリントン国務長官に詳しく説明をし、また、それをもって日本の施政下にある尖閣諸島が安保条約の第5条適用範囲だということを言っていただいたわけでありますけれども、今回は菅総理にとっては3回目でありますし、いつも菅総理が仰っているように、安全保障、経済、人材・文化交流、この3つの柱を具体的に進めていくということになるわけであります。
安全保障については、例えばある種の何らかの合意というものがなされると思いますし、経済については、特に日本の包括的経済連携への基本方針というものを菅総理が説明をされて、日米間での緊密な連携、そして、あの閣議決定の文案にあるように、協議というものを確認をすることになるだろうと思います。
 また、人的・文化的交流についても、何かの合意がなされるでありましょう。そういう意味では、あまり私(大臣)が今、申し上げると、皆さん方の楽しみがなくなりますので、広範な日米同盟関係の具体的な深化というものをステップ・バイ・ステップでやっていくということと、深化というのは言葉ではなくてプロセスですので、要は皆さん方に申し上げること、申し上げられないことも含めて、具体的に今、作業をしていることについて、よりそれを進める、加速させるということを確認することも、私(大臣)は実は大事なことだと思っております。

【読売新聞 向井記者】大臣は昨夜、米国のクリントン国務長官と電話で会談をされたと存じます。日米首脳会談を控えての会談だと思われますけれども、その会談の中でどのようなやり取りをされたのか。その中でどのような首脳会談にしようということで、お互いに話をされたのか。
また、別件ですが、先日ハノイでの米中の外相会談で、日本を交えた3か国で外相会談をしようという話をクリントン国務長官が提案されていたかと思います。中国側は応じる姿勢を見せていませんが、そのことについて、互いに話をされたのかを教えてください。

【大臣】日米首脳会談に向けた作業の確認というものも大きな議題でございましたし、また、先般のハワイでの日米外相会談において意見交換をした後のファローアップというものもいくつかございました。中身については、今、詳しく申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういった話し合いを行ったということでございます。そういったと言ってもわからないと思いますが、日米首脳会議の中身に関わることの作業・準備の確認と、ハワイでの日米外相会談のフォローアップについてのお互いの意見交換を行ったということであります。

【読売新聞 向井記者】日本、米国、中国での3か国の外相会談について、お話は特に出なかったでしょうか。

【大臣】どうでしたかね。スタインバーグ国務副長官と話したことと、クリントン国務長官と話したことが混同しているといけませんので、頭の整理、メモを見てから、またお答えをしたいと思います。

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TPP

【日経新聞 田島記者】TPPについてお聞きしたいと思います。このほど、政府が情報収集を進めながら関係国との協議を開始するという方針を決めましたが、14日には、交渉参加9か国による首脳会議が予定されています。日本政府として、菅総理がオブザーバーとして参加するなり、または事務方が出るなり、何らかの形で日本政府として参加すること、非公式でもそういう可能性はないのでしょうか。確認の意味でお願いいたします。

【大臣】最終日の14日、TPPに加盟を表明している9か国の首脳が集まって会議がございます。それについて日本に対しては、議長国として参加の打診がございました。菅総理が参加をされるかどうかは、今、検討しているところでございます。あくまでも議長国として、つまり、他にも関心を持っておられるところもあるわけで、日本だけ呼んで、何で他を呼ばないのかということにもなります。あくまでも議長国としてというご招待が来ているのは承知をしておりますし、今、菅総理が行かれるかどうかは検討しているところであります。

【朝日新聞 山口記者】前回の会見の時に、(会議)直後だったもので、まだご報告を受けていないという話だったのですが、9カ国に日本の事務方が加わった会議のご報告をどのように受けて、そのご報告に対してどのような指示、ご検討を事務方の方におっしゃったのかということと、今度9カ国の首脳と菅総理が議長国として招かれているという話をご紹介いただきましたけれども、せっかくそういう場に菅総理が加わって議長としてぽつりと座っているわけでもないでしょうから、どういった役回りで9カ国とお話をしていただきたいと大臣としてお考えになるのかと、この2点をお聞かせください。

【大臣】1点目は非公式な会合でありますので、その中身については報告は受けておりますが、非公式な会合の中身を報告を受けた日本の外務大臣が喋るとよくないと思いますので、その点については控えさせていただきたいと思います。
 後者についてでありますが、菅首相が時間的に都合がついて出席されるとすれば、私(大臣)は出席して貰いたいと思っておりますが、聞き役に徹してもらいたい。つまりは日本の立場というのはだいたい皆さん分かっておられるわけで、9カ国の首脳がどういう話をしてTPPの将来像をどう考えているかということを、まさに首脳の声を肌で感じていただいて、自らのイメージにつなげていただきたいと思っております。私(大臣)は閣議後の閣僚懇談会で、政府全体に対して提言をいたしました。それは、包括的経済連携に関する基本方針というのは決めたわけです。これは3つの柱からなっているわけです。つまりは、今進めている二国間のEPA・FTAを進めていくということで、本日、その趣旨でソウルで菅総理はEUとのEPAを進めたいのだという意思表示をされたのだと思います。あと、韓国もあります、それから、豪州もあります、また、GCCもあります。こういったものをどういう優先順位で進めていくのかということの整理がまず必要です。
 二つ目には、未だ結んでいないけれども、日本とはEPAでもいいし、FTAでもいいから結びたいという国があるわけです。また、日本の戦略上、ここの国とは結んだ方がいいという国もあるはずです。そういったものをどう選んで、そして進めていくかということも決めなくてはいけない。もう一つはTPPにしろ、あるいはASEAN+3や+6にしろ、いわゆるFTAAPに向けてのさまざまな取り組みの中で、例えばTPPの協議を始めるということですが、どういった条件が整えば協議をするのか、あるいはどういうテーマで協議をするのか、そういったことの戦略をつくらなければいけない。しかも、それは各省にまたがることであります、したがって、これは玄葉大臣が最後は引き取って「大事なことですから、私が中心になってやりましょう」と言われておりましたけれども、政府全体としての包括的経済連携に取り組む戦略本部のようなものを早期に作っていただき、その中で外務省として交渉の窓口にあたるわけですので、しっかりと努力をしていくことが大事だと私(大臣)は思っております。

【朝日新聞 山口記者】今の前原大臣の提言に対し、玄葉大臣のご反応を紹介していただけますでしょうか。

【大臣】たいへん良い提案なので、是非自分が中心となって進めていきたいとおっしゃっていました。

【朝日新聞 山口記者】総理や他の閣僚の方々は反応されていらっしゃいましたでしょうか。

【大臣】言葉はなかったですが、皆さん頷いて聞いておられましたし、先ほど、早速うちの事務方に戦略担当大臣から指示があって、どのレベルでやろうかという動きが出ていますので、玄葉大臣はもう実際に動いていただいていると思っております。

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沖縄県知事選挙

【琉球新報 滝本記者】沖縄県知事選挙が告示されましたけれども、従来いろいろお伺いしていますが、改めて告示に入って、この知事選で県民は何を問われるか、何を問う知事選になるべきか、あるいはなっているかとお考えでしょうか。

【大臣】沖縄の県民の皆さん方がご判断をされる選挙でございますので、私(大臣)が余りとやかく申し上げるのは差し控えた方がいいのではないかと思っております。いずれが勝たれても、県民の民意が示されたものとして、私(大臣)は受け止めたいと思います。

【琉球新報 滝本記者】今、まさに民意と仰られたのですが、その民意というのは、民意の一つとして受け止めるということが、名護市議会議員選挙の結果等でも仰られましたが、民意を国勢の政策にどのように反映させるべきだとお考えでしょうか。

【大臣】沖縄県知事選挙の争点、また県民がどのような判断基準で投票されるのか。そういったものを我々は見させていただく中で、その民意というものを見極めさせていただきたいと思います。

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APECにおける二国間会談

【毎日新聞 犬飼記者】明日、明後日とAPEC首脳会議が始まって、今夜続々と各国の首脳が集まります。日米は明日午前中で決まっていますけれども、もう一つ注目されている日中と日露について、現時点で調整はどのようになっているのかお聞かせ願いたいと思います。

【大臣】簡単なお答えになって恐縮ですが、調整中でございます。

【毎日新聞 犬飼記者】感触としては、日中よりも日露の方がよりできる環境といいますか、整っているという感触でしょうか。

【大臣】といいますよりも、菅総理のスロットの問題と、さまざまな国が求めておられるスロット、時間といったものをどのようにマッチングさせていくのかということで、事務方が今、努力をしてくれております。

【毎日新聞 犬飼記者】ソウルで一言、二言「また横浜で会いましょう」と菅総理から胡錦濤主席に言われたみたいですけれども、これの受け止めと、あと、中国側の方から、なぜ返事がここに至ってぎりぎりまで来ないかということについては、昨日、中国の報道官が「尖閣のビデオはこれ以上影響させるべきでない」ということも仰っていましたけれども、そういったことも影響しているのか。その辺をお願いします。

【大臣】中国の考え方を私(大臣)が解釈する立場にはありません。いずれにいたしましても、本日、立ち話をされたということですが、私(大臣)は日中の首脳が懇談形式ではなくて、少しまとまった時間でじっくりと今後の日中関係の在り方、具体的な政策課題について忌憚のない意見交換をされることを期待しております。

【朝日新聞 山口記者】今、大臣は日中、日露の調整状況について、スロットの調整がなかなか難航しているというお話でしたけれども。

【大臣】難航といいますか、調整しているということです。

【朝日新聞 山口記者】それは恐らくそのとおりだと思うのですが、この厳しいスケジュールの中で、場合によっては調整が上手くつかずに、せっかく来ていただいても、今、大臣は「じっくりお話ししていただくことが」と仰いましたけれども、じっくりお話ししていただく時間が取れなかったりしたような場合には、首脳会談が開かれないということも選択肢、想定の中に入っていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】本日、ぞくぞくソウルから皆さんお越しになるところでありますので、明日、明後日をどのように有効に使うかということを鋭意調整したいと思っております。

【NHK 稲田記者】中国のスロットがなかなか確定していない中で、当然、非常に難しい多次元の連立方程式を組むことになると思うのですが、中国が決まらないという要素によって他もなかなか決まりづらいということに対して、与野党で、国民世論も含めて、何で今回、そこまでして中国とやらなければならないのだという声も一部上がっているのですけれども、それに対して大臣はどのように答えられるのでしょうか。

【大臣】今のご質問を伺っていると、一つの仮定の上に立ってご質問をされているようでありますが、中国を最優先にして他を決めるから決まっていないということのような質問に私(大臣)は聞こえましたけれども、いろいろなオファー、そして空いているスロット、そういうものの中で調整をしているということでございます。

【共同通信 出口記者】日露の方ですけれども、本日、大畠経済産業大臣がロシアとの間の経済協力に関する合意を見送るという発言をされました。これは先般のメドヴェージェフ大統領の北方領土訪問などが影響を及ぼしているのでしょうか。前向きな動きではなかったと思うのですけれども、その辺り、前原大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】私(大臣)が聞いておりますのは、経済産業省とロシア経済発展省の覚書締結が予定されていましたけれども、日露双方の大臣が国会等の事情により、投資フォーラムに出席できなかったために取りやめることになったというように私(大臣)は聞いております。
 午前中の経済産業委員会において、佐藤議員に対して行った大畠経済産業大臣の答弁は、今、申し上げことの経緯に即して仰ったものだという理解をしております。

【共同通信 出口記者】では、あくまでもスケジュール面での理由から見送られたということでしょうか。

【大臣】両大臣のスケジュール、特に大畠大臣が経済産業委員会に出ておられたということではないでしょうか。

【共同通信 出口記者】北方領土問題は、全く関係ないという認識でしょうか。

【大臣】関係ないと思います。

【NHK 稲田記者】私の仮定を取り除いたとしても、どうして、今、この状況で中国とそこまでして首脳会談をやらなければならないという行為に対しては、大臣はどのようにお答えになられますか、改めて聞かせてください。

【大臣】重要な隣国でありますし、また、せっかくASEMで菅総理と温家宝首相が関係改善に向けての努力をお互いにしていこうということを確認されたわけでありますので、その流れを加速化するためには、私(大臣)は首脳が会って忌憚なく意見交換をされるのがいいのではないかと思います。

【毎日新聞 犬飼記者】大前提としてお伺いします。日中も日露も調整中というお話があったのですけれども、要するに調整中という意味は一切返事がないという意味なのか。それと、明日も調整するような見通しなのかということについてお聞かせください。

【大臣】もう明日、明後日のことですから、それは皆さま方のお仕事としての気持ちはわかります。私(大臣)が逆の立場だったらどうなっているのだということになりますので、きちんと調整をします。

【毎日新聞 犬飼記者】返事がないということについてご明言がなかったのですけれども、日中、日露とも、要するに返事がないという状況ではないということでよいのでしょうか。

【大臣】明日、明後日を見ていただければ、どのような日程になるか自ずと明らかになると思いますので、もう少しお待ちをいただければと思います。

【毎日新聞 犬飼記者】今の大臣の様子だと、開催に向けて非常に前向きな見通しがあるようにも感じらますけれども、そのように受け止めてよろしいのでしょうか。

【大臣】ですから、明日、明後日を見ていただければ、どのような状況になっているかということはおわかりいただけると思います。

【共同通信 高橋記者】ロシアの関係ですが、首脳会談については調整中ということですが、大臣はかねて首脳会談の前に外相会談をやりたいと、そこの場で日本の立場を述べたいというお話がありましたが、これについては今どういう状況でしょうか。

【大臣】これも明日、明後日のことですので、もう少しお待ちいただければおわかりいただけると思います。

【共同通信 高橋記者】現段階ではまだセットされていないという認識でよろしいでしょうか。

【大臣】明日、明後日のことですから。

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中国漁船衝突事件のビデオ流出問題

【フリーランス 上出氏】尖閣ビデオ流出の問題でお聞きします。本来、片山大臣などに関係あるのかもしれませんが、お聞きする機会がないものでその関係しているITCフォーラムに出て学識経験者の方たちにも聞いたのですが、この問題は今、守秘義務の問題で、まだまだ取り調べが続いていると思います。大臣は刑事事件で厳しくやるべきだと仰っていましたが、この全体の状況の中で、今一番大事なことは何なのでしょうか。
 それから、この流出したことが、新たなネット規制などにつながってはいけないのではないかと思うのですが。例えばネットカフェに固有名詞を書かなければ入れないとか、そういうことも含めた規制の動きがあるのか、大臣自身はどうお考えか、その2点についてお願いします。

【大臣】今のご質問で後者の意図で申し上げているわけではありません。ただ他方で、私(大臣)は国土交通大臣をしておりましたけれども、検察に証拠物件として出しているものの管理は、当然ながら厳格にやらないといけない。それは当然だと、私(大臣)は思っていまして、それが何らかの形で流出をするというのはおかしいのではないかということの中で、私(大臣)は厳しく捜査をするべきだということを申し上げたまででございます。

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世論調査(内閣支持率)

【時事通信 吉岡記者】弊社が今月5日から8日にかけて行った世論調査に関して、2点お願いします。1点目ですが、菅内閣の支持率が1ヶ月前の調査に比べて11.4ポイント減り27.8%に急落しました。この要因についてどう分析するかなど、受け止めをお願いします。
 2点目ですが、この調査で次の首相に相応しい人物と聞いたところ、トップは前原外相の10.3%、前回の5.8%から倍近く支持を増やしました。一方で菅首相と答えた人が26.9%から8%に激減していて、菅首相への支持が前原外相に流れたという側面もあるようなのですが、受け止めをお願いします。

【大臣】尖閣の問題を含めて、国民の皆様方の中に政権への不満というものがあるということは十二分に認識をしております。先般の記者会見でも申し上げましたけれども、つくづく外交というものは難しいものだと。例えば、言いたくても言えないこと、当然ながらあります。また、その度合いをどのように言うのかということも非常に難しいことですし、国民からすると厳しいことを言ったり、あるいは厳しい施策をとった方が一時的にはよくやったと、頑張れと、こういうような雰囲気になるかも知れませんが、我々の仕事は結果が全てだと思っておりますので、そういう意味では短期的な支持率の上がり下がりではなくて、特に外交というものは中長期の結果を国民にも見ていただきたい。もちろん我々の説明責任が問われる面もありますけれども、これほど外交というものは私(大臣)も言えることと言えないこと、どちらが多いかと言われると言えないことの方が多いし、それが中長期的な国益に必ずプラスになると思っておりますので、そういう意味においては国民の皆さん方にお示しをできる範囲で理解を得るように、とにかく頑張っていくと、それに尽きます。

【時事通信 吉岡記者】2点目の質問に対するお答えはいかがでしょうか。

【大臣】支持率の上がったり下がったりも含めて、結果が全てですので、しっかりと自分に与えられた仕事をやることにつきると思います。

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外務大臣会見記録(平成22年11月9日(火曜日)17時41分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)APEC閣僚会議出席について

【前原大臣】私(大臣)から一点、お話をいたします。国会のお許しがいいただければという前提でございますが、明日と明後日と横浜で開催されるAPEC閣僚会議に議長として出席をしたいと考えております。多角的な貿易体制の支持、そして保護主義の抑止、ボゴール目標の達成評価、また、地域経済統合の加速化、成長戦略の策定実施、こういったものを意見交換をして一定方向にまとめたいと、このように考えております。

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北方領土問題

【毎日新聞 犬飼記者】昨日の衆議院予算委員会で、ロシアのメドヴェージェフ大統領の国後訪問に関連して、北方四島について「ロシア化が進んでいる」と、更に「領土交渉について根本的に見直すことが大事だ」という発言をされたのですけれども、この発言の真意を、具体的に例えばこれまでの経済協力をてこにしたやり方を見直すのかというような、何か腹案があるのかと、北方領土がロシア化していると認識した理由についてもお伺いできればと思います。

【大臣】まず、根本的なことを申し上げたいのは、北方四島は日本の固有の領土であって、四島の帰属を確定させてロシアとの間で平和交渉を結ぶという考え方には何ら変更はありません。ただ、再三再四国会で答弁をいたしておりますように、2006年にロシアは閣議決定をして、クリルの発展計画というものを作って2007年から2010が第一次計画、そして、来年から第二次計画に入るということで、これは資源価格の高騰によって資源国であるロシアが、ロシアから見ると最も端の地域である北方四島、あるいは千島列島、そういうものに対しても資金を出して開発計画を行うということが今行われているわけであります。私(大臣)が申し上げたのは、例えば昔は日本の支援というもので発電所を造ったりとか、私(大臣)も択捉に行った時、日本が造ったという発電所を見ました。しかし、今や5年前に私(大臣)が択捉に同じ時でありますけれども、行った時には地熱発電所というものを造ろうとしていたと。そういうことも含めて考えると、この北方四島について言えば、日本の支援というよりは自らの資金でいろいろな開発を始めているということでありまして、そういう意味でロシア化が進んでいる、あるいは非日本化が進んでいるということを私(大臣)は申し上げたわけであります。先ほどの原則というものは全く変わっておりませんが、この北方四島に限っての経済支援というものは、てこにはなかなかなりにくくなってきたということを私(大臣)は申し上げているのでありまして、ただ他方で、例えばウラル山脈から東側、シベリア、あるいはサハリン、そういったものの資源開発、あるいはロシア全土のエネルギーの効率化、省エネ、さまざまな協力というものは日本の最も得意分野でありますし、そういったものをてこにして領土交渉を進めていくということも大事なことだろうと思います。ただ1956年から結果的には領土問題が解決をしていないということを考えれば、そんなに簡単な話ではないと思いますけれども、私(大臣)が外務大臣就任をしたということで、今までの歴史もしっかり紐解いて、かなり紐解きましたけれども、しっかりと領土交渉というものをどのようにしていくのか、対露外交をどうしていくのか、そういったものをしっかりと、いわゆる形作っていきたいという思いで国会で答弁をさせていただきました。

【毎日新聞 犬飼記者】今、おっしゃったように極東開発、ロシア全土も見据えた上で、なかなか北方領土だけではてこにならないというようにおっしゃいましたけれども、今言ったようなアプローチというのは、先日帰任させた河野大使、新たなミッションを与えたと言いましたけれども、そういったことも含めて帰したのか、あるいは事務方にも具体的に何か検討させているのでしょうか。

【大臣】河野大使にはそのような話はございません。

【時事通信 吉岡記者】ウラル山脈以東のシベリア、サハリンの資源開発とか、ロシア全土のエネルギー効率化というお話がありましたが、こういった内容というのは、今度のAPECで想定されている日露外相会談、ないし首脳会談でも議題になるという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】今までも、日本とロシアの間で、例えばサハリンワンとかサハリンツーとか、そういったものの協力、これは企業が参加をしたものであったわけでありますし、今までなかったわけではありません。更なるそういったものの可能性も当然ながら模索をしていくことにはなろうかと思います。

【産経新聞 酒井記者】先日、(メドヴェージェフ)大統領の北方領土訪問に関して、地元の元島民の方たちは内閣副大臣に対して「外務省の説明が欲しい」というようなことをおっしゃっていました。外務大臣として現地に行かれる予定はありますか。もう一点、歯舞・色丹への大統領訪問が言われていますけれども、現状での情報の認識といいますか、捉えているものを教えてください。

【大臣】後者のご質問については、日本の立場はロシアに何度も伝えております。昨日、根室市長、それから根室市議会議長、そして千島連盟の根室の支部長さん、仲野博子議員と一緒にお越しになりました。さまざまなご要望をたまわりました。私(大臣)も領土交渉を行う当事者になりました。一年前のは北方担当の内閣府の特命大臣でございましたけれども、今度はロシアと直接話をする立場になりましたので、地元の方々のご意見というものはできるだけ早くお伺いしたいという気持ちはございます。

【世界日報 山本記者】北方領土問題について、大臣は、今回も固有の領土、あるいは原則的な日本の立場という表現でおっしゃっているわけですが、地元の元島民の方、地元の方も含めて、「不法占拠」されているという思いでいらっしゃると思うのです。大臣のお話全部を調べたわけではないのですが、今回もおっしゃっている形のように、「不法占拠」という言葉をあえて避けていらっしゃるような印象があるのと、前任者の岡田大臣も「あえてそういう言葉を使わないんだ」ということをおっしゃっていたようなのですが、そういう申し合わせがあるのかどうか。実際、外務省のホームページでは北方領土という部分があって、そこをちょっとだけ調べた限りでは「不法占拠」という言葉があるので、その点の整合性など大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】先ほど申し上げた通りで、北方四島は日本の固有の領土であり、そして四島の帰属を確定をさせて、平和条約を日露間で締結するということに尽きます。

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朝鮮王室儀軌の引き渡し

【フリーランス 安積氏】昨日の夜に合意されました、韓国へ引き渡しが決まりました朝鮮関係の図書についてお伺いいたします。この基礎となった首相談話によれば、日本の統治期間中に朝鮮総督府を経由してもたらされた、日本政府が所有していたものということになりますが、朝鮮王朝儀軌の件ですけれども、今回引き渡しが決まったのが167冊となっているのですが、これに該当するのが163冊で残りの4冊は売買を基にして日本にもたらされたというか、日本の宮内庁が所有しているということになっているのですけれども、この4冊も含めて引き渡しの対象となった理由について、教えていただきたいのですが。

【大臣】我々はできるだけ、8月10日の菅内閣総理大臣の談話というものに忠実に引き渡しをしようということで努力をしてまいりまして、最終的に昨日、金長官と電話会談で合意をいたしましたように、朝鮮王朝儀軌の図書が167冊、その他の図書が1,038冊、合計1,205冊ということで合意をいたしたところでございます。

【フリーランス 安積氏】4冊、朝鮮総督府を経由しないで、売買によって宮内庁にもたらされたものが含まれている理由は何でしょうか。

【大臣】とにかく8月10日の菅総理の談話に基づいて、できる限り精査をし、その談話に真摯な形で、日本政府として引き渡すということで最終的に決定をしたところでございます。

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世論調査(内閣支持率)

【読売新聞 向井記者】週末に行われた報道各社の世論調査で、菅内閣の内閣支持率が3割台前半にまで下落しました。その支持率の低下の理由として、菅内閣の外交に不安があるという声もたくさん国民からは聞かれたのですけれども、大臣のご就任以来、いろいろな発生的な出来事もたくさんあったとは思うのですが、それも含めて、なぜこのように国民が今、外交や内閣のかじ取りに不安を感じているのか。どのようにご自身は分析していらっしゃるか、お聞かせいただけませんでしょうか。

【大臣】1つは尖閣の問題、そして、その政府の解決の在り方というものに納得をされていない国民が多いのではないかと思っております。また、今回のメドヴェージェフ・ロシア大統領の国後訪問というのも多くの国民が憤りを感じているのも事実だと思っております。
そういった状況の中で、もちろん、さまざまなバックグラウンドがあって、それを対症療法的にではなくて、根本的に解決をしていくというのが我々の役割でございますけれども、現状において聞かれれば、国民の意識というものは世論調査に表れるような状況になっているのではないかと、これは謹んで考えなくてはいけないと思っております。
いずれにいたしましても、私(大臣)が外務大臣になって1か月半でありますし、もちろん、さまざまに起きている問題というものについては、しっかりと対応をしていかなくてはいけないと思っておりますが、根本は日本の国益をどう守り、伸ばしていくのかということで、安全保障、大事な国との二国間関係、何よりも国益を増進させるための経済外交。これをしっかりぶれずにやっていく中で、その結果を国民にご判断をいただくということで、危機管理と併せて、そういったロングタームの問題についてもしっかりと足場を固めて、取り組んでまいりたいと考えております。

【ビデオニュース 神保記者】今のお話に関連してですけれども、国民が外交政策に納得していない人が多いのではないかという大臣の発言がありましたが、これはなぜなのでしょうか。
つまり、政府がやっていることが国民に理解されないのは、国民が望んでいることが、先ほどの大臣の言葉から言えば、長期的な国益に基づいたことではなく、短期的なものを求めているから、そこにそごがあるのだということなのか。それとも、やはり政府側の方に説明がきちんとできていないために、その政府の長期的な国益のために、もしかしたら短期的なそうした国民の求めている措置というものを犠牲にしているということが十分に理解されていないところにあるのか。その解離というのは、大臣はどこにあるとお考えでしょうか。

【大臣】尖閣の問題でも、あるいは国後の問題でも、多くの国民の皆様方が当該国に対して憤りを持っているということは事実だろうと思います。
私(大臣)は過去の歴史を見ても、確かにそれは短期的に強硬に発言をする、あるいは強硬な対応をとる、それは国民の理解と関心と、ひょっとすれば支持も得られるかもしれません。しかし、中長期的なタームの中で、いかに日本の外交をマネージメントしていくかということになれば、短期的には物足りないと言われることについてもしっかりと国民に理解を求めながら、外交というのは言えることと言えないこともあります。そういった中で、しかし、中長期的な国民の利益になるようなことをしっかりやっているのだという信念を持って取り組んでいかないと、日本のみならず過去にナショナリズムというものに乗じた政治家が結果としてどういう方向に国を導いたのかという例はたくさんあるわけでありまして、そういう意味では私(大臣)は短期的にはおしかりをいただいたとしても、この国をしっかりと平和で安定し、誇りと尊厳はともに保ちながら、国民の安定した生活に資するような基盤をつくる外交というものを行っていくことが大事なことなのではないかと思っております。

【ビデオニュース 神保記者】ということは、今、ご指摘があったように、支持率が下がっている原因の1つに外交政策があるということがわかっても、大臣としては日本の今の外交政策のスタンス、国民からは短期的な要求という意味では理解されていないかもしれないけれども、それをこの支持率等の反応を見ても変えていくおつもりはないというお考えということでいいでしょうか。

【大臣】すべて、やはり結果が問われるのだろうと思います。例えば一般論で、短期的に何か強い政策に出る、反発をするということについては国民の支持が得られるかもしれませんが、それによって大きく国民の利益が失われることに仮になれば、それは結果として正しい判断をしていなかったということになるわけであります。
 難しいのは、国民の誇り、矜持というものは極めて大事にしながらも、それと同時に国力に合った外交というものをしっかり行っていくということ。そういう意味では、中曽根総理が昔仰っていた中曽根四原則、外交四原則、つまりはギャンブルをしてはいけない、国力以上のものをしてはいけない。あるいは内政の延長線上で物事を考えてはいけない。こういった考え方については、私(大臣)は常に頭の中に入れてやっておかなくてはいけないと考えています。

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日中関係(中国漁船衝突事件のビデオ流出)

【ニコニコ動画 七尾氏】今の大臣のお答えと、もしかしたら重なるかもしれない、あと、世論と含めまして、あえてお伺いします。尖閣に関する衝突事件の映像の全面公開を求める声につきまして、大臣はいかがお考えでしょうか。

【大臣】まず、私(大臣)は国土交通大臣でございましたので、なぜ当初に出さなかったということを今よく聞かれるわけでありますけれども、当時はご納得いただけたのですが、公務執行妨害で船長を逮捕しました。そして取り調べをしてすぐに検察に送致をするということはわかっていたわけでありまして、そういう意味においてはこのビデオというものが証拠物件として取扱われるというのは目に見えていたわけであって、証拠物件として扱われるものの公表には非常に慎重であったということを私(大臣)は繰り返し申し上げておりますし、そのことは是非国民の皆さん方にはご理解をいただきたいと思うわけであります。
 その後に、公表についてということでいろいろなご意見があるわけでありますけれども、検察の証拠物件がさまざまな意見が付されて、一部国会議員で閲覧をしたということでございます。それについてもいろいろな意見があり、また今回流出をしたということであります。
流出をしたのだから公開してもいいのではないかということになれば、検察がなぜ刑事訴訟法47条というものに勘案をして出してきたのかといったこととの整合性が、そういう文脈の中で公開すれば問われるということでございますので、今後はもともとがそういう司法の手続に則って行われたもののマスターテープ、あるいは編集ビデオ、こういったものをどうするかということについては、もう一度原点に立って考えることが必要である。つまりは捜査の過程の証拠物件として扱われたものを、まだ処分は保留ですから、その中で刑事訴訟法47条にのっとって、注釈付きで出されたものなのだということを考えるという原点に戻って考えるべきだと思っております。

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TPP

【朝日新聞 山口記者】本日午後、横浜の方でTPPの関連で、現加盟9か国と日本側の事務方の会議が行われたとお聞きしているのですけれども、これは交渉ではなくて打ち合わせだとはお聞きしているのですが、さりとて前原大臣の方で会議に臨むに当たって、事務方の方にどのような指示をなさり、終わったばかりだとは思うのですけれども、どのようなご報告を受けているのか。まずこのことをお伺いしたいのと。そもそもこの件、大臣から我々がご紹介を受けたときには、中国も加わっていたとお聞きしたのですけれども、どうやら現場にはいらっしゃらなかったようなのですけれども、この経緯について事務方からどのような御報告を受けているか。その2点をお聞かせください。

【大臣】報告については、まだ受けておりませんし、他国がどう判断したかについては、私(大臣)がコメントする立場にはございません。ただ、そういった中国のみならず、他の国で、9か国以外で関心を持っている国があったという情報があった形の中でお話をしたわけであります。
 今回、今朝の閣議決定において、協議を開始するということでございますけれども、参加を前提にしたものではありません。そして、このTPPについては各国の思いがどういったところにあるのか、やはりそれは各国が集まっているところでしっかり話を聞くということがベースだと私(大臣)は思いますし、そのことにおいて是非参加をして、各国がどのような考え方を持って、またどのようなタイムスケジュールで物事を進めようとしているのかということは、しっかりと話を聞いて来てもらいたいという指示は出しました。

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外務報償費

【週刊金曜日 伊田氏】外務報償費についてお聞きします。前の衆院外務委員長だった鈴木宗男さんが、12年前、98年の沖縄県知事選において、当時の総理大臣だった小渕さんの指示で外務報償費を含む内閣官房機密費3億円を投入したという発言をされています。これについては、当時自民党政権であったので、事実関係については聞きません。今後の一般論として、外務報償費の使い方の在り方として、そういう都道府県知事選に使われるということの是非についてどうお考えになっているかお聞かせください。

【大臣】答えは簡単ですね。あり得ません。

【週刊金曜日 伊田氏】関連して外務報償費の使い方ですけれども、いろいろな情報収集の仕方があると思うのですが、例えば新聞の記者、テレビの記者、それから新聞通信社、民法、NHKなどの幹部などと職員が飲食をともにするときに機密費を使うということについては、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】中身次第だと思います。もちろん、国家公務員ですから自らは情報を明かしてはいけない。明かす場合には限度があるということでありますけれども、いろいろな情報を持っておられるマスコミの方々との意見交換で、さまざまな情報を得ると、そして分析能力を高めるということは、あっていいことだと思います。
 他方で、単に食事をして、飲んで騒ぐというようなものについては、到底認められないものであると思っております。

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警視庁の内部資料の流出事案

【フリーランス 西中氏】10月末に発覚した警視庁の内部資料流出の件はまだ質問が出てなかったと思うので、質問させていただきます。まず、大臣はこの資料をごらんになったのかということが1点と、この中には在日外国大使館に対する詳細な調査ですとか、あるいは治安テロ対策ということで、在日イスラム教徒の人たちやモスクに対するかなり広範な資料が、個人情報も入った形で調査されているのですけれども、外交や人権侵害の問題に発展するような内容も含まれていると思うのですが、この件について在日外国大使館等から問い合わせがあったのかどうか。
 それから、今後この問題に対して、外務省としてどのように対応するお考えがあるのか。もしお考えがあればお伺いしたいのですが、よろしくお願いします。

【大臣】私(大臣)のところに、在外公館から外務省に対して照会があった、問い合わせがあったという報告は受けておりません。また、今回の件は極めて遺憾な問題でございますけれども、警察が一義的に調査・捜査を行っているところでございますので、我々が今、コミットメントをしてはおりません。

【フリーランス 西中氏】大臣は資料はごらんになりましたか。

【大臣】見ておりません。

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外務大臣会見記録(平成22年11月5日(金曜日)15時17分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

日中関係(中国漁船衝突事件のビデオ流出)

【毎日新聞 西田記者】尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を巡って、海上保安庁が撮影したとみられるビデオの一部がインターネット上に流出しています、この件について中国外務省からの照会とか日本外務省の回答、そのようなものがあったかどうか、その内容についてお願いします。

【前原大臣】このビデオの流出の可能性についての話でございますが、11月5日の早朝、在京の中国大使館から外務省の中国・モンゴル課に対して、事実関係及び背景についての照会があったのに続きまして、同日昼ごろ、東京及び北京において外交ルートを通じて中国側から関心の表明及び憂慮の意を伝える申し入れがございました。

【毎日新聞 西田記者】それに対する日本外務省からの回答というのは、いかがですか。

【大臣】今、流出しているビデオなるものが海上保安庁が本当に撮ったものなのか、もしそうであれば、どのようなところから流出をしたのか、あるいは盗まれたのか、そういった事実関係について調査をしているところだということで、回答をしております。

【時事通信 吉岡記者】(ビデオが)流出したことで、中国が懸念を有しているということなのですが。

【大臣】憂慮の意を伝えているということです。

【時事通信 吉岡記者】憂慮の意を持っているということなのですが、このことがギクシャクしている日中関係で、とりわけAPEC閣僚会議、あるいは首脳会議時の日中首脳会談、あるいは日中外相会談の設定に与える影響についてどうお考えでしょうか。

【大臣】外交ルートからの申し入れについては、やりとりの内容は抗議ではなかったという報告を受けております。私(大臣)はASEMで菅総理と温家宝首相が会談をされて日中関係を改善していこうという流れは不変だと思っておりますし、先般のハノイでも私(大臣)と楊潔チ外相の間で各般にわたる実りの多い議論ができましたし、この流れというものをしっかりと強いものにしていきたいと思っておりますし、APECでも中国の首脳に来ていただいて実りのある議論を是非していただきたいと思っております。

【朝日新聞 山口記者】外交ルートを通じて関心と憂慮の表明があったというお話でしたけれども、もう少しかいつまんで言うと「関心」というのは、もう少し説明がなかったものでしょうか。「憂慮」というのは、どういう言葉で憂慮を伝えられてきたのかということと、どなたから日本の外務省に連絡があったのかということについても教えてください。

【大臣】具体的な名前については、外交ルートということでご容赦をいただきたいと思います。私(大臣)に報告が上がっているのは、関心の表明と憂慮の意の表明があったというのみでございます。

【フリーランス 上出氏】まず、流出した経緯、その他について調べているという、これをいつまでに解明する目標があるのか、海保が中心でしょうけれども。もう一点、私も拝見しましたけれども、あのビデオが本当だとしましたら、一隻一隻について、あのような事故を起こす起こさないに関係なくウォッチして撮影をしているようなのですが、それは常態ということでよろしいのかどうか。領域に入った船については全て撮影しているのかどうかということを、分かっている範囲でお話しください。

【大臣】今、あのビデオは海保が撮ったものなのかということの事実確認をしていますが、これはすぐにできるでしょう。おそらく、海保が撮ったものであると私(大臣)は映像を見た感じは思います。それと同時に私(大臣)は国土交通大臣の時に見たものはもっと短いものであって、あのYouTubeにアップされていたものは、かなり長いものであります。ですから、大体、私(大臣)や海保の長官も含めてトータル5分程度のものを見ておりますので、違うものが、もし本物だとすれば流出をしているということになろうかと思います。いずれにしても、もし仮に海保のビデオが流出したということになれば、これは政府の文書が公務員の秘匿義務にもかかわらず流出をしたということなりますので、これは刑事的な事案になると私(大臣)は思います。そういう意味においては、誰がそれを流出させたのかといったことを徹底的に究明するということになろうかと思います。それについては、もし究明するということになれば、内部でそれができないということになれば、捜査当局に依頼するということになろうと思いますので、いつまでにということは、なかなか、私(大臣)から申し上げるテーマではないと思います。
 二つ目のご質問については、先ほどもお話した申しように、どういった編集がおこなわれたものなのかということはよくわかりません。私(大臣)が見たものとは長さが違うようでありますので、そういう意味においては先ほどのご質問は恐縮ですが、お答えをしかねます。

【NHK 稲田記者】二点だけ確認させてください。「YouTubeで私(大臣)は見た」というようにおっしゃいましたけれども、大臣ご自身これをご覧になられたかどうかというのが一点です。

【大臣】全部は見てないです。ちらっと見ました。

【NHK 稲田記者】今回のビデオの扱いについては、その当初はマスコミへの公表を考慮をしたりだとか、東京の方へ伝送する時にいっぱいコピーが作られて、それは後に廃棄されています、というように海上保安庁は言っています。仮に大臣が国交大臣在任中にこれが流出したということになれば、その点ご自身の責任というのはどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】先ほど、国会でも答弁をいたしましたけれども、まずは全容解明をしっかりやるということが大事なことだというように思っております。

【日本インターネット新聞 田中記者】今、厄介者のネットメディアの代表です。大臣は仮に公務員から出ていれば、刑事事件の犯罪だとおっしゃっていましたが、確かに公務員機密漏洩罪に当たると思います。
 これはご認識いただきたいのですが、インターネットというツールがある以上、必ずどんなことをやろうが抜けます。中国みたいな死刑も含めた厳しい言論統制を敷かない限り、必ず抜けます。
 ですので、大臣が国交大臣のときに漁船の船長を逮捕されて、すぐビデオを見せた方がいいというような判断を示されたのですが、今となっては、それの方が正しかったと思うのですが、そういうようには今、お考えになりませんでしょうか。ご所見をお伺いいたします。

【大臣】事実関係が2つ間違っておりまして、私(大臣)が逮捕したのではありません。海上保安庁が逮捕したということでありますし、2つ目には、私(大臣)はビデオを見せるべきだと主張したとおっしゃっていますが、私(大臣)は確かに処分保留で、いわゆる問題の区切りがひとつついた後には、これについては私(大臣)なりの考え方を持っておりましたけれども、当初は国土交通大臣として、海保が逮捕して、そしてすぐに取り調べをした後には、検察に送致されるわけです。そのときに証拠物件として扱われるということで、私(大臣)は当初のビデオ公開には極めて慎重でありました。

【毎日新聞 西岡記者】仮の話で恐縮ですが、仮に誰かがこのビデオを流出させたとするならば、誰がどのような意図で流したと推察されているか、大臣の見立てをお聞かせいただけないでしょうか。

【大臣】それはよくわかりませんね。流した方の意図というのは、よくわかりません。

【ニコニコ動画 七尾氏】視聴者の質問を代読いたします。
 まず、詳細は今後の調査ということだと思いますが、国民として見れば非常に恐怖感を覚えた事件であるとも思います。具体的な言葉で表現いたしますと、反政府的な行為ではないかという見方でございます。要するに、流出した人間が反政府的な行為ではないかという見方がございます。こうした国民の不安に対します大臣のご所見をお願いしたい、これが1点でございます。あと、事実関係だけ端的にお伺いします。海上保安庁が撮影した衝突ビデオは、国外の政府に提供はされていますか。この2点でございます。

【大臣】まず1つは、国外には提出されていないと思います。そんなことはあり得ないと思います。その上で1つ目のご質問ですが、私(大臣)も同感でして、公務員というのは守秘義務が課されて仕事をしているわけでありまして、その仕事の上で知り得た情報については公開してはならないというのが大原則でありますけれども、それが今回、仮にあのビデオは海保が撮ったものであって、そしてだれかが窃盗したのであれば別ですが、そうでなく、政府内部の人間が流出をした、あるいはYouTubeに張り付けたのであれば、これは大変ゆゆしき問題であって、だからこそ徹底的に調べなくてはいけない。そして、もしそうであれば、再発防止のためにも、刑事事件としてとことんまで私(大臣)は捜査をしなくてはいけないと思っております。

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日露関係

【NHK 新井記者】メドヴェージェフ大統領の北方領土訪問についてお伺いします。今回、大統領が北方領土訪問に踏み切った背景の1つに、これまで日本政府が不法占拠されているという言葉を使ってきたことに対する反発のようなものがあったと思いますけれども、根室も視察されている当時の担当大臣として、これまでの対応が適切だったかどうかの見解をお伺いしたいと思います。

【大臣】私(大臣)の申し上げたことに間違いは何らないと思っております。日本の立場は一貫をしておりますし、北方領土は日本の固有の領土であり、四島の帰属をはっきりさせた上で、確定をさせた上で日露間での平和条約を結ぶという考え方については全く私(大臣)は間違っていないと思います。

【日本経済新聞 永井記者】ロシアの大統領の北方領土訪問に関連して、ロシアの河野大使に総理が情報収集をきちんとやるようにという指示を出されました。外務大臣は、外務省全体の情報収集能力の強化についてどのようにお考えでしょうか。担当者の増員とか、組織の見直しとか、検討するお考えがあればお願いいたします。

【大臣】現在、私(大臣)がこの仕事に就いて一月半でありますけれども、今回に限らず個々の事象についていろいろ考えるところもあります。そういうところについてはある程度、私(大臣)の考え方がまとまった段階で皆さん方にお知らせをさせていただきたいと思います。

【共同通信 出口記者】来週のAPECに併せてロシアの外相及び大統領がいらっしゃると思いますけれども、前原大臣ご自身及び菅総理、首脳会談が行われるのか、まだ確定はしていないと思いますが、どういったことを先方には伝えようというように考えていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】私(大臣)自身は、是非ロシアのラブロフ外相と話をしたいと思っています。そして今回の件について遺憾の意を表明し、この領土問題について日本の立場をしっかりと話をし、その上で領土交渉をしっかりと菅政権でも行っていきたいということは伝えたいと思います。
 同時に、この領土問題を解決する、つまりは日本固有の領土である北方四島のいわゆる帰属を確定して平和条約を結ぶ。それに当たって、今後の日露間の主に経済協力といったものをしっかりと今後やっていこう。そしてウィンウィンの関係を築いていこうということも是非、話をしたいと考えております。
 菅総理については、ロシアに限らず、まだどなたと首脳会談をするということについては決まっておりませんので、決まった段階でまた皆さん方にご報告をさせていただきたいと思います。

【NHK 稲田記者】大臣は沖縄・北方担当大臣から外務大臣になられた際には、これまではロシアとの交渉という意味では隔靴掻痒の感があったけれども、これからはしっかりやっていきたいというようなことをおっしゃっていました。実際、今回、このようなことがあって、当時、根室へ行かれて元島民の声を非常に真摯に聞かれていらっしゃったと思うのですけれども、一方で今、それが怒りの声に変わりつつあるということをどのように受け止めていらっしゃるのか。また、そういった島民に対しては何らかの形で直接アクションを取られるお考えはあるのでしょうか。

【大臣】元島民の方々の心情をお察しすれば、今回のメドヴェージェフ大統領の国後島への訪問というものは大変残念なことであって、そして元島民の方々が怒り嘆いておられるというお気持ちはよく理解をいたします。
 同時に、我々政治家、特に菅総理、あるいは私(大臣)は外務大臣として、領土問題を解決するという直接のロシアとの交渉をやる立場にいるわけでございまして、日本の立場は不変であるということをしっかりとメッセージを出しながら、いかにこの領土問題を解決するために努力をしていくのかといったことが大事なことであって、それについては元島民の皆さん方にもしっかり、我々の強い決意というものはお伝えをしなくてはいけないと思います。

【時事通信 吉岡記者】今のことに関連してですが、大統領の訪問を受けて、日本政府として状況によっては対抗措置を考えるというような話があったと思うのですが。

【大臣】いつですか。

【時事通信 吉岡記者】大臣が大使を呼ばれて、その際に大使の方に、大統領が訪問したときの状況分析をした上で日本政府としての対応を考えていくと。

【大臣】対応をね。今、対抗措置とおっしゃっていたから。

【時事通信 吉岡記者】いずれにしても、その対応ということに関しまして、この訪問を受けての対応措置というものは今後何か、実際、現在は駐ロシア大使を日本に一時帰国させて状況を聞くという行動は取られていますが、そのほかに何か追加的に現時点で考えていることはおありなのでしょうか。

【大臣】現時点で考えていることはありません。

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米軍再編問題(名護市長・市議会要請団の上京)

【琉球新報 滝本記者】本日、沖縄の名護市の稲嶺市長と市議会の比嘉市議長ら要請団が上京して政府の方に、市議会の決議ですとか、稲嶺市長の名護市辺野古への移設は反対だということの意向の要請ということで上京されていますけれども、先方は、政務三役でずっと面談を求めている中で、外務省を含め、事務方の対応ということに終始していて、それについて反発をされて、途中で要請を中断して帰られるという形になっています。
 従来、普天間の名護市辺野古への移設について、外務大臣を含め、政府としては沖縄側の理解を求め続けるのだということを常に言っておられる中で、その当該市長が来て、「政務三役と会いたい」といって来ているのに、その時間を昨日からも調整している中で会われないということについて、この辺は言動不一致ではないのかとも思えるのですが、いかがお考えでしょうか。

【大臣】どのようなご要望があったのかわかりませんが、実際、今回来られた、そして北米局長がお会いをするという予定の時間は11時30分でございました。政務三役、徳永政務官は、今、海外出張中でございますが、その他の政務三役は、衆議院の外務委員会に全員が出席をしておりましたし、そういう意味においては、もし、その時間がご指定であれば、我々は物理的に対応できなかったということでございます。

【琉球新報 滝本記者】では、名護市市長、市議会の要請について内容は把握されていないということもありますが、調整については応じたいと、時間の調整は当然制約があると思いますけれども、どのように対応すべきであるとお考えでしょうか。

【大臣】この沖縄の問題のみならず、すべての陳情について党を通してやっていただいているというのはご承知のとおりだと思っておりますし、その中で、どのようなレベルでお会いをさせていただくのかと、それはすべて大臣や政務三役がお会いできれば、それに越したことはありませんが、なかなか陳情の数からして難しいということで、どなたが対応させていただくかということについては、すべてについては政務三役の担当の政務官に任せているところでございますので、そういう判断をしたのだろうと思います。それは、別に他意があることではなくて、その日のそれぞれの政務三役の都合、スケジュール、あるいは他の案件を含めての総合的な判断だと思います。

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小沢元幹事長の政治倫理審査会出席拒否

【共同通信 橋本記者】ちょっとドメスティックな話題になるのですけれども、政治とカネの問題で、昨日、岡田幹事長が小沢一郎さんと会談しまして、政倫審に出席してくれと求めたのですけれども、小沢さんは、これを断りました。今、国内の世論とか、説明責任を果たすべきだという声が多いのですけれども、そういうことを踏まえて、同じ党の国会議員として、大臣はどのように受けとめられますか。

【大臣】従来からの私(大臣)の考えの繰り返しになりますけれども、小沢さんご自身が国会で説明するつもりはあるのだとおっしゃっていたのであれば、私(大臣)は自ら率先して国会でしかるべき場所でご説明をされるべきだと思っております。
 また、仮に私(大臣)が小沢さんの立場であれば、身の潔白であったとしても、やはりそういった疑念を持たれている中で、国会の審議が進まないというような状況があれば、当然政治家として潔白をしっかりと主張すべきは主張し、また、説明すべきは説明すべきではありますけれども、国会全体の大きな流れにしっかり協力をするという姿勢が私(大臣)は求められてしかるべきではないかと思います。

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TPP

【テレビ朝日 花村記者】TPPについてですけれども、民主党が党の提言をまとめられましたけれども、情報収集を含め協議に入るということなのですが、大臣が従来からおっしゃっていた参加を目指していくというところからすると、少し後退しているのではないかという気がするのですが、来週、方針を閣議決定だと思いますけれども、現在の状況をどのようにごらんになっていますか。

【大臣】私(大臣)も国会議員になって16年、また、地方議員も含めると19年余りこの仕事をやらせていただいていて、自分の思いは自分の思いとして、しかし、どのラインでまとめるかということについては、自分の思いがすべて100%通るわけではありません。
そういう意味においても、よく慎重論が多い中で、党としても山口壮PT座長を含めて、ご努力をいただいたなと思っております。あとは、この党のまとめたものを受けて、政府の中でどういった議論をして、最終的に閣議決定するかについては、これはまた私(大臣)の思いをしっかりと述べさせていただき、まとまったことについては、しっかりと協力をするということで臨みたいと考えております。

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外務大臣会見記録(平成22年11月2日(火曜日)14時50分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)日露関係(河野駐露日本大使の一時帰国)

【前原大臣】私(大臣)から1点だけお話をいたします。ロシアのメドヴェージェフ大統領が国後島を訪問したのを受けまして、この訪問に関する事情等を聞くために、近く河野駐露日本大使を一時帰国させることといたしました。

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日露関係

【週刊金曜日 伊田記者】今回のメドヴェージェフ大統領の国後島訪問は、正式に訪問をしそうだという報告が大臣の元に上がったのは、何日何時になるのでしょうか。

【大臣】詳しい、そういった情報に関わることについては、控えさせていただきたいと思います。

【共同通信 出口記者】今、発表された河野大使の一時帰国ですけれども、これは期間のめどは設定されているのでしょうか。

【大臣】あくまでもメドヴェージェフ大統領の国後島訪問に関する事情などを聞くために一時帰国させるということでございます。期間については、まだ決めておりません。

【時事通信 吉岡記者】一時帰国ということですが、これは召還と受け止めてよろしいのか。それとも、また別の何か。

【大臣】事情を聞くための一時帰国でございます。

【時事通信 吉岡記者】召還とはまた別ということですか。

【大臣】ですから、事情を聞くための一時帰国であります。

【朝日新聞 山尾記者】事情を聞いた結果、何か重大なことがわかった場合には、帰らないといったこともあり得るのでしょうか。

【大臣】事情を聞くための一時帰国ですから、そのような重大なことが事情に入っているかどうかは、今は前もって確定できませんので、あくまでも一時帰国であります。

【毎日新聞 犬飼記者】大使の一時帰国ということですけれども、これは事実上の対抗措置と受け取っていいのかということと、そのほかに例えば日本がロシアにやっている経済協力とか支援とか交流関係とか、いろいろあると思いますけれども、もしくは閣僚同士の交流とか、そういったことについて、例えば止めるとか、今回の大統領の訪問に抗議する意味で、そういったことを止めたりとかいうような措置を検討しているような状況はあるのでしょうか。

【大臣】今回の河野駐露大使は事情を聞くための一時帰国であります。さまざまな報道がなされておりますけれども、例えば対露外交について言えば、領土問題を解決して平和条約を締結し、さらなる日露関係を強化するというような大きな方向性は全く変わっておりません。
 我々が何を目指して外交をやっているのかということは、もう一度触れたいと思いますけれども、とにかくこの失われた20年という間に経済が成長しない、人口も減ってきた。これは2004年から人口が減ってきている。そして、借金が莫大なものになって、GDPの1.8倍を超えているような状況になってきている。だからこそ、政権交代が起きたと私どもは思っておりますけれども、その状況にあって、どういった外交をやっていくのかということになれば、これは再三申し上げているとおり、日本の国力をどう回復するか。身の丈以上の外交はできないわけです。また、するべきではないと思っております。
そして、将来の社会保障、あるいは教育、また社会資本のこれから更新になるのがいっぱい出てきます。そういったものに対して、どんどん借金が多くなってきて、返さなければいけないものが大きくなっているがために、どんどんそこら辺が縮まってきている。あるいは海保の更新や防衛費もずっとこの間、10年以上にわたって停滞をしてきているわけです。増えてこないような状況になってきている。これをどう打開をするかということを外交に当てはめた場合、とにかく成長を促すような外交をやっていかなければいけないということを申し上げているわけです。
 先般、インドのシン首相が来られたときに、包括的なEPA、そしてレアアースの開発。これはまさに日本の国を開いて、10億を超えるインドとEPAを包括的にやっていくということで、日本の成長分野をどんどん伸ばしていく。そして、資源の多角化というものを図っていく。今回のベトナムの合意もまさにインフラ需要で成長期にあるベトナムの需要をODAなどを使って日本が受注をする。あるいは日本企業が受注をする。特に原子力発電所を2基目については日本が受注をした。レアアースについても日本が共同開発をするということで、このベースに沿ってきた我々菅内閣の外交姿勢というのは、私(大臣)は一貫していると思っています。それをこれからも進めていかなければいけない。
APECでは、それを更に進めるための合意をとらなければいけないと我々は思っているわけです。ただ経済外交だけではだめだと。やはり、この地域の不安定さ、不確実性というものがある中で何をやっていくのかということについて言えば、やはり日米だろうと。日米の足腰をしっかりと固めて、そして強化をしていく。これがもう一つの大きな柱でなければいけないということで、私(大臣)もまだ1か月余りでありますけれども、2度にわたってクリントン長官と話をし、そしてかなりの方向性について合意をし、皆さん方に記者発表をしているものも、していないものも含めて、日米関係の強化というものの具体化を今、進めているわけであります。
そういう意味では、日本外交の基軸というのは2つあって、足元はまず日米関係を再構築する、再強化する。経済外交、自由貿易、資源外交、そしてインフラ輸出といったものをどうやる中で、日本の根本的な問題である経済成長を促していくのかということをこれからやっていくということで、その流れの中でさまざまな国との外交をどうこれから再構築していくかということを考えていかなくてはいけない。その中にあって、私(大臣)は、ロシアというのは大事な国だと思っています。もちろん、残された領土問題というのはありますから、この領土問題については決着をつけなければいけない。しかし、この領土問題の帰属の問題を解決して、平和条約を結んで、更に日露間の経済面での協力というものを強くしていくという方向性は、何ら変わりません。
 したがって、申すべきことは申す。また、我々の考え方については伝える。しかし、方向性としては、今、申し上げたような日露間の協力関係を強めていきたいという方向性は何ら変わりません。

【毎日新聞 犬飼記者】確認ですけれども、今の大臣のご説明ですと、やはり日露との経済協力、もちろんエネルギー依存率も上がっていると思いますが、そういった意味において、今回こういった領土問題があったけれども、やはりそういった意味で対抗措置というものを取ったり、あるいは対応を正すということはしないというお考えだということでしょうか。

【大臣】一番初めに戻りますけれども、まずは大使から一時帰国してもらって話を聞くということに尽きるわけであります。

【北海道新聞 嶋田記者】一時帰国の件ですけれども、大使の口から直接聞くことによって、具体的に確認したいというか、はっきりさせたい点というのはあるのでしょうか。

【大臣】ロシアの国内でのバックグラウンド、あるいはロシア大使館として、皆様方にすべてをお伝えできるかどうかは別として、情報収集をしていたでしょうから、そのバックグラウンド、政治的な背景、すべてを大使から聞きたいと私(大臣)は思っております。

【NHK 稲田記者】2点お伺いさせてください。
 まず、大使を呼んで事情を聞くというのは通常ある話だと思うのですけれども、例えば中国の場合はそういったこともしていなくて、場合によっては、それが対抗措置と見られかねないということもあると思うのですが、その点に関してどのようにとらえていらっしゃるのか。
 そして、今回のメドヴェージェフ大統領の北方領土訪問について、彼は現地では領土については触れませんでしたけれども、改めてそこの総括的な評価を聞かせてください。

【大臣】昨日、ベールィ駐日ロシア大使を招致した中身については、皆さん方にもお話をしたとおりでありますけれども、「メドヴェージェフ大統領が国後島を訪問したことは、日本の原則的立場と相入れず、また我が国国民の感情を傷つけるものである。極めて遺憾であり、抗議する」ということを申し上げたわけであります。
 しかも、私(大臣)は9月29日にベールィ大使に対して、もし訪問すれば、日露関係に対する大きな懸念を有しているといったことも伝えていたわけでありまして、それを踏まえて昨日、抗議をしたということであります。
 日本と中国の間、あるいは日本とロシアの間の違いということを仰いましたけれども、今回の一時帰国というのは、あくまでもどういうバックグラウンド等があったのかという事情を聞くための一時帰国でございますので、その点を繰り返し申し上げているところであります。
 総括としては、先ほど申し上げたように、そういった申入れをしていたにもかかわらず、国後島への訪問が行われたことは極めて遺憾であるということであります。

【NHK 稲田記者】メドヴェージェフ大統領が現地で領土問題について触れず、外形的な国内視察という体系を保ち続けたことについては、どういうようにお考えですか。

【大臣】私(大臣)がコメントすることではないと思います。

【テレビ朝日 花村記者】今後の影響ですけれども、APECが非常に近づいている中で、大使を一時帰国させるということの影響、そして仙谷官房長官は会見の中で、日露首脳会談が行われるのではないかという期待というか、見通しを示させていますが、その辺は大臣はいかがお考えでしょうか。

【大臣】まだ、日露の首脳会談が行われるかどうかは決まっておりません。

【NHK 藤田記者】先ほど大臣は、外交の今後の進め方について、足元の日米を再構築していかなければならないということを仰いましたけれども、そうしますと、このロシアのメドヴェージェフ大統領の北方領土訪問と、尖閣を巡る中国との関係ということについて言えば、やはり普天間問題を巡って日米同盟が揺らいだからこういうことが起きたというように分析されているのでしょうか。

【大臣】確かに普天間問題というものが日米間に存在をしていた、あるいは今も存在しているということは間違いがありません。
 ただ、私(大臣)が見ていて、鳩山政権のときは日米同盟関係のすべてが普天間問題であったようなイメージがあった。これは両国にとって、私(大臣)はいいことではないと思っています。もちろん、5月28日の日米同意というものをしっかりと履行していく、そのためには、沖縄の皆様方に今までのおわびを申し上げながら、理解を真摯に求めていくという方向性は変わりませんけれども、今回の日米外相会談でも、やはり日本の安全というものを一義的に日本が責任を持つと同時に、米国もコミットメントをするということと同時に、地域の安定のための公共財として極めて重要であるということから、さまざまな地域の情報交換、分析というものを更に強化していこうということを確認いたしましたし、あるいはさまざまなグローバルな問題についても、更に連携を深めて共に協調していこうということで、例えば中東の問題であるとか、パキスタン、アフガニスタン、あるいはイランといった問題について更に強固な体制を強めていこうということも合意をいたしました。
また、今、APECが目前になっているこの状況において、日本が今、TPPというものにも参加の検討を、総理は所信表明演説で述べられておりますけれども、世界ナンバー1と世界ナンバー2の経済大国であり、同盟国である日本と米国の間のより自由度の高い貿易体制というものをしっかりと意見交換をして、そして築いていこうということについても合意をしております。
また、日本が得意分野である、例えばクリーンエネルギーの象徴であるような原子力発電所、あるいは新幹線、あるいはマグレブといったものへの我々の期待というものを伝え、そして米国もそれを日米同盟の象徴として重く受けとめるという話もありました。
また、人材交流というものを更に活性化させていこうということで、普天間問題が日米の問題のすべてでは当然ない。これはしっかりとお互いが解決をしていくけれども、ほかにもっと日米間で協力をし、確認をし、進めていく問題があるではないかということを2時間にわたって我々は議論して、そして、その具体的な協力関係も進めるということを確認し、また、オバマ訪日に更に具体的なことも決まっていくということで、一部の報道で普天間の問題や、日米関係の足元が弱くなって、その結果として云々というような話がありますが、私(大臣)の感覚では、これはクリントン長官との我々のやりとり、あるいはそれを準備してくれた事務方のやりとりを考えると、むしろ日米関係というのは、私(大臣)は非常にベーシックとして非常に強固である、良い状況であるというように思っておりますし、また、それをどの国とは申し上げませんが、アジアの国々は、大変そういった方向性を歓迎しているという面も私(大臣)はあるのではないかと思っております。
 とにかく2つの外交構築、日米同盟関係のさらなる深化、これをやっていくのと同時に、これはさっき申し上げた3分野、もう一つは経済外交、国を開き、より自由な貿易体制にしていくと、あるいはインフラ、日本の得意技のインフラを取っていく、あるいは多角的な資源外交をやっていくと、その方向性の中では、私(大臣)は菅外交というのは、インドとの合意、ベトナムとの合意あるいは米国との再確認あるいは工程表を含めたさまざまな議論について足元は着実に固めつつあると、これからその外交というものを展開し得る状況というものをつくれるような環境になってきていると、私(大臣)はそう思っております。

【時事通信 松山記者】大使の一時帰国について2点確認があるのですが、1点は午前中、大臣は総理らと官邸でこの件についても協議されたかと思いますけれども、この場で大使の一時帰国が決まったのかというのが1点と、もう一点は、期間は未定だと思うのですが、今日中に帰国の途につくというように理解してよろしいのでしょうか。

【大臣】1番目の質問は、総理ともご相談して決めたことであるということであります。
 2点目のご質問については、詳しくはまだ事務方から聞いておりません。

【朝日新聞 山口記者】先程、大臣は「APECにおける日露首脳会談はまだ分からない」というお話でしたけれども、近々の大使の一時帰国にはじまって、およそ2週間しかないわけですが、せっかくの横浜の場で日露がきちんと話ができるような雰囲気作りをするために、大臣としてはどういったことを大使帰国にはじまってスタートの皮切りとしてやっていきたいとお考えかと、そのお考えをお聞かせください、この2週間の間に。

【大臣】先ほど、同僚の記者の方のご質問にお答えをいたしましたが、長い目で見た場合、日露関係というものは私(大臣)はしっかりと前進をさせて強化をしていかなければならないと思っております。北方四島の帰属、これをしっかりと明確にして、そして平和条約を締結をし、新たな協力の段階に進んでいくということが日露両国にとってウィンウィンの関係を築いていくためにたいへん重要だと思っております。ただ、今回のメドヴェージェフ大統領の国後訪問について我々の立場はしっかりと伝えなくてはいけないということでベールィ大使を呼んで抗議をしたということでありますし、事情を含めて大使を一時帰国させて話を聞くという状況であります。私(大臣)といたしましては、まずは大使から話を聞いてみて、それからまた次のことについてはしっかり考えたいと思っておりますが、外相会談というのは、私(大臣)は常にやれる環境というものが大切だと思っておりますので、私(大臣)はラブロフ外相とは是非日本に来られるのであれば話をしたいとこのように思っております。

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日中関係

【産経新聞 高橋記者】菅首相がハノイでの記者会見で尖閣問題について「多少の問題だ」という発言をされました。私はこれは明らかに誤った認識だと思いますし、国民の中にもこれを問題視する声がありますが、大臣は尖閣問題を同様に多少の問題というように認識しておられるのでしょうか。

【大臣】総理は「多少の問題」とおっしゃったのですか。

【産経新聞 高橋記者】おっしゃいました。

【大臣】それは私(大臣)は承知をしておりませんが、楊潔チ外相とは当初30分の予定でありましたけれど、1時間20分にわたりまして話をいたしました。冒頭、私(大臣)から尖閣諸島に関する日本の確固とした立場を申しました。そしてまた、先方からも先方の立場の表明がありました。その後、今ようやく再開をしはじめている人的交流を更に進めていこうとか、あるいは一部誤報をした新聞社があったようですが、東シナ海の問題についての交渉再開を私(大臣)の方から申し入れをしましたし、私(大臣)が国土交通大臣の時に再開の合意に至った日中航空交渉、オープンスカイの話し合いも再開をしようとか、あるいはレアアースの問題についても私(大臣)の方から今の中国側の考え方を聞くというようなこともございました。たいへん中身については、私(大臣)は充実をしたものであったと思っております。今後、更にASEMで日中の首脳が会談をされて、両国の関係正常化に向けた努力を行っていこうという流れにそって、私(大臣)も私(大臣)の立場で行えることはしっかりと行っていこうとこう考えております。

【東京新聞 竹内記者】29日でしたか、菅総理と温家宝首相の正式な会談が中国側の意向で見送られまして、これに関して中国外務省の高官が事実上、前原大臣を名指しする格好で「雰囲気を壊した。責任は全て日本にある」といったようなコメントをしております。これに関して大臣は特にそういったご自身が言動をとられたという自覚をお持ちなのか、あるいはないとすれば、中国の真意をどのように理解されているのか、その辺りをお願いします。

【大臣】中国側のコメントを私(大臣)が分析する立場にはございませんけれども、おそらく中国側は二つのことを言っていたのだと思います。一つはハワイでの日米外相会談について、「尖閣が安保条約第5条の適用範囲内である」とクリントン米国務長官が述べられたことについての話と、日本が事実と違う東シナ海に関わる日中の外相会談の中身をまき散らしたという二点だったと思いますけれども、一点目は別に今に始まったことではなくて、ずっとこのことについては自民党政権時から確認をされて、確かに民主党政権になってから三段論法ではない、ハワイでの共同記者会見ではクリントン長官は直接「尖閣諸島は第5条の適用範囲である」ということはおっしゃいましたけれども、ただこれは別に目新しい話ではないと私(大臣)は思っておりますし、二点目の問題については誤報であるということがわかったわけでありますので、そういう意味では私(大臣)はなぜ日中首脳会談がなくなったのかということについては理解をしかねております。いずれにしても、その後、また立ち話があったと聞いておりますけれども、日中両首脳で「また話をしましょう」という会話がなされ、そしてその前提として日中外相会談1時間20分にわたって行われたものについては、たいへん私(大臣)は実りの多い会談だったと思いますので、今後もそういった積み重ねを行っていく中で戦略的互恵関係というものを真に築いていくための努力はしていきたいと考えております。

【西日本新聞 斎田記者】中国だけでなくて、与野党内からも前原大臣のいわゆる強気の外交姿勢というようなところにに批判の声が一部上がっているようですが、それについては大臣どうお考えでしょうか。

【大臣】物事をやって今までの京都府議会議員を含めて20年間の政治生活の中で、全面的に賛成を受けたという行動もありませんし、全面的に批判を受けたという行動もありませんし、常に政治家というものは評価もされるし批判もされるというものだと思っておりまして、信念を持ってしっかりと自らの職責を全うしたいと考えております。

【毎日新聞 西岡記者】ハノイでの日中の首脳懇談の席上で、総理と温家宝首相はゆっくり話す機会を作るということを申し合わせたということでしたけれども、APEC前にゆっくり話す機会というものがセットされる見通しというものがあるのでしょうか。

【大臣】温家宝首相と菅総理という意味においては、APEC前には物理的に無理だと思います。

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日米関係

【毎日新聞 西田記者】大臣が日本外交の基軸、足元とおっしゃっている日米ですけれども、11月のオバマ大統領の訪日時の日米首脳会談についてですが、両国で日米安保条約改定50周年で進めている同盟深化の協議について、成果物としての共同宣言、96年の日米安保再定義といわれた共同宣言のような形で発出されるご予定があるのかどうか、岡田前大臣は来年にずれ込むという見通しをおっしゃっていましたが、いかがでしょうか。

【大臣】オバマ大統領が来られる時に発出するという予定がもともとあったとは引き継いでおりませんし、もちろん成果物を出すということも大事で、今度の日米首脳会談でも成果物はあると思います。また、共同宣言をというご意見でありますけれども、しかるべき時期にそういったことも必要であれば行うことになると思います。大事なことは、やはり日米の信頼関係をしっかり醸成をし、そして同盟を深化させる、そのためにお互い努力をしていくことが大事だと思っておりますので、特に首脳間、あるいは外相間の信頼関係をしっかり強めて、いつでも話せるような関係をつくるということが私(大臣)は大事だと思っておりますし、ハノイではクリントン長官とはすれ違うくらいでしたけれども、会うことがわかっていながら、しかしその前に日本だけは別個にハワイで日米外相会談をやって、その次の日にできれば演説にも同席してもらいたいというオファーはいただいておりましたけれども、どうしても日程の都合上同席はできませんでしたけれども、これから、アジア太平洋地域の戦略を考えていく時には、日本をはじめとする同盟国と協議をしていくのだということで、やはり一番はじめに日本というものをおいて、クリントン長官も演説をされたと聞いておりますし、そういう意味では日米が協力してアジア太平洋地域のさまざまな問題について、あるいはアーキテクチャ-についてしっかりと意見交換をしながら行動していくことが大事だと思いますので、今後もそういった方向性で仕事を共にして参りたいと考えております。

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