記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成22年2月)


INDEX










外務大臣会見記録(平成22年2月26日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)バンクーバー冬季オリンピック(女子フィギュア・スケート)について

【岡田大臣】私(大臣)からは二点。一つは、先ほどのオリンピックの件ですけれども、残念ながらフィギュアで浅田真央さんが銀メダルということでしたが、非常によく頑張ったと思います。キム・ヨナ選手は最高点ということですから、その素晴らしい演技に祝福を送りたいと思いますし、そして、浅田真央さんはそれに決して負けていなかったと思います。同じ19歳という年齢の二人の演技に世界中が感動したと思います。その他の選手、3位だったロシェット選手も、5位だった安藤美姫さん、そして、米国から出られた4位の長洲さんも非常に将来期待させる演技だったと思います。全国注目の中で非常に素晴らしい演技をされたことに、それぞれ敬意を表したいと思います。

(2)閣議後のぶら下がりについて

【大臣】もう一つは例のぶら下がり取材の件について、前回、私(大臣)の方で、一部の報道で「会見拒否」と報じられましたので「そういうことであれば元に戻して、ほとんど意味がないと思うけれども、閣議後の記者会見を形式的にやる」と、「その代わり、いわば合意したはずの臨時のぶら下がり取材に弾力的に対応するという話も、もう一回白紙に戻してもらいたい」と申し上げたところであります。その後、霞クラブの方でいろいろと議論をされて、2月18日に霞クラブとしておまとめになった「臨時のぶら下がり取材の必要が生じた場合には積極的に対応すること」という、元にもう一回戻すというご提案がありました。そういうことであれば、私(大臣)の方はそれで結構だと思います。ただ、この話があった後に出た「ぶら下がり拒否」という記事は何だったのかという思いはありますが、この辺にとどめて、これからも私(大臣)はやはり、こういう会見はお互いの信頼関係に基づいて、私(大臣)は誠意をもってやっているつもりでありますので、私(大臣)が納得できないことは、申し上げさせていただきたいと、もちろん皆さんも仰っていただければと思っております。

目次へ戻る

いわゆる「密約」問題に関する調査

【毎日新聞 野口記者】密約の関係ですが、米国のライシャワー元駐日大使の特別補佐官を務めていたパッカード氏が、フオーリン・アフェアーズ誌に本州にも核を密かに持ち込んでいたということを明らかにしていますが、これについての受け止めと、日本政府として、本州に持ち込んだことを調査する必要性があるのかどうかということをお願いします。

【大臣】そういう話は時々ありますが、私(大臣)自身はまだフォーリン・アフェアーズ誌の論文を見ておりません。過去にいろいろなことがあった可能性はありますが、それを外務省としてきちんと調査するかどうかということについて、現時点ではまだ決めておりません。

目次へ戻る

六者協議の再開

【共同通信 斎藤記者】北朝鮮関係でお伺いします。ボスワーズ米特別代表と間もなく会談されますが、おそらく話の焦点としては六者協議再開に向けた意見交換がなされると理解していますが、その文脈でお伺いします。現在日本は北朝鮮の六カ国協議への無条件復帰、そして、現在実施している制裁については今後も着実に実施していくことを基本的な考えにしていると理解しております。こうした基本的な立場は、今後もしっかりと維持されていくの、そして、そうした意向は今後も米側に伝え、そして米側と連携していくのかどうかという点についてお伺いしたいと思います。

【大臣】現時点で従来の政策を変える意図はございません。

目次へ戻る

ハーグ条約への加盟

【NHK 禰津記者】ハーグ条約の加盟についてお伺いします。鳩山総理大臣が昨日、岡田大臣と千葉法務大臣に、ハーグ条約に対して今後日本の加盟などを含めて早期に調整を急ぐように指示をされたということですが、大臣のご認識として、ハーグ条約加盟に向けての課題等について改めてお伺いしたいのと、外務省として今後どのような対応をとっていくのかについてお伺いします。

【大臣】ハーグ条約に関しては、外務省としても従来から努力を重ねてきたところであります。大きく言って、問題は二つあるかと思います。一つは条約そのものの加盟の問題と、もう一つは、現に生じている問題です。例えば、離婚されて母親と共に子供が日本に帰ってきて、父親が面会したいと、しかし、できないと(いうケース)。あるいは、逆のケースもあります。日本で生まれた子供が、父親が自分の国に子供を連れ帰ってしまって、母親が取り残されて、面会できないというような様々なケースについて、外務省としては努力をして、なるべく、直接親が会えなくても、領事面会等もできないかということで、各国大使館と連絡を取りながら努力をさせていただいております。ただ、残念ながら、実際に会うに至るということは非常に少ないというのが現実であります。ここをまずしっかりと実効性をあげていかなければいけないと思っております。在京の各国大使館とは、日本の現状などを説明する、日本の制度などを説明する機会を設けたり、あるいは具体的な問題について連携を取りながら、機会を作ろうとしたり、いろいろな努力を外務省としてはしてきているところであります。
  最初のハーグ条約への加盟の問題については、「加盟するために何が障害となるのか」ということについて、外務省と法務省が中心になって、今までも局長レベル、あるいは政務官レベルで協議を重ねてきておりますけれども、先般、先週の金曜日、私(大臣)が法務省に出向いて法務大臣に協力をお願いしたところであります。それを受けて、官邸での総理の下での打ち合わせと言いますか、勉強会ということになりました。総理からは「この問題は早く解決すべきだ」と、「ハーグ条約の加盟についても、加盟に向けて何が問題かよく検討すべきだ」という前向きのお話をいただきましたので、法務省と協力しながらしっかりと検討したいと思っております。

【時事通信 水島記者】これまでの法務省とのいろいろな協議の中で、何らかの国内法の整備は必要だという認識に至りつつあるのかどうかということと、最終的に加盟ができるとすると、どれくらいのスケジュール感覚でご覧になっているか、この2点についてお願いします。

【大臣】まだ「具体的にどうすべきか」ということは検討中でありますので、あまり今、先取って申し上げない方がいいと思いますが、多少、法的手当が必要になる可能性があるということだと思います。スケジュール感というのは、この国会にということは、あり得ないことだと思いますので、その上で、なるべく早く論点を詰めていかなければいけないと思っています。

【共同通信 西野記者】大臣が二つ言われた中の後半の部分ですが、今、目の前にある問題に対応していかないと、諸外国、特に欧米が多いと思いますが、理解が得られない。昨日総理も言われましたが、そういった背景に日本に対する異質論が広がりかねないという懸念があると考えてもよろしいでしょうか。

【大臣】実は、ハーグ条約に加盟していない国は、特にアジアにたくさんありますので、必ずしも日本だけの問題だけではないと思います。ただ、子供に会うことすらできないということになると、何らかの手当をすべきではないかと、私(大臣)には思えます。もちろん、様々な事情があるということは分かりますけれども、会う道すら閉ざされているということは、それは何とかすべき話ではないかと思っております。

【朝日新聞 鶴岡記者】法的手当が必要とのご認識を伺いましたが、どの部分で法的手当が必要とお考えでしょうか。例えば、条約は原則として元の居住国に戻すことを原則としていますが、戻すといったところで法的手当が必要ということでしょうか。

【大臣】中身はあまり申し上げない方がいいと思います。どのぐらい必要なのかということも、いろいろな考え方があります。現時点ではまだ政府の中で検討しているわけですから、それ以上のことは、私(大臣)は申し上げるつもりはありません。

目次へ戻る

選択的夫婦別姓

【フリーランス 岩上氏】国際結婚関連でもよろしいでしょうか。国際的な結婚が非常に増えているわけですけれども、それに伴う問題が、今話されている問題の一つだと思います。それに関連して、「選択的な夫婦の別姓」を認めるか否かというのが非常に大きな政治課題になりつつあるわけですけれども、本日も亀井大臣が「これは認められない」ということを強く仰っていました。連立を組んでいる与党の中で温度差があるようですけれども、これについて大臣の見解を教えていただきたいと思います。

【大臣】これはハーグ条約とは直接関係のない話だと思いますが、選択的夫婦別姓を採用するかどうかということは、今、内閣の中で議論されている、政府の中で議論されている問題ですから、あまり私(大臣)自身の意見を申し上げない方がいいと思います。そういうことを自由に各閣僚が言うというのも一つの道だと思いますが、すっかり私(大臣)は懲りておりますので、また「閣僚がバラバラである」というような報道がされることを避けるために、申し上げない方がいいと思っています。

目次へ戻る

調査捕鯨

【読売新聞 川崎記者】捕鯨の問題です。日豪外相会談に続いて、昨日オーストラリア政府が国際捕鯨委員会に対し、南極海の捕鯨を今後5年以内に段階的に全廃をするといったような提案を行いました。これは日本政府にとっては受け入れられない内容であるかと思いますが、これについての大臣の御見解と、これによって国際司法裁判所への提訴という可能性がより一層高まったというように捉えてらっしゃるのかどうか、この2点についてお伺いいたします。

【大臣】IWCの中で議論をしてきている話でありますので、豪州側の考え方は考え方として、そういう趣旨のことは日豪外相会談でも話されたわけでありますが、なるべく両国間で、或いはIWCの場で議論するということが重要ではないかと思っております。提訴するかどうかは最終的に豪州政府の決めることですから、我々がそれを今から何かコメントすることは避けたいと思います。ただ、仮に提訴されれば、きちんと反論できるように準備はしておくということであります。

【読売新聞 川崎記者】もう一度確認させていただきますが、南極海での捕鯨を全廃するという提案は、これは「受け入れられない」ということであるのかどうかを確認させてください。

【大臣】考え方がよく分からないのですが、南氷洋で捕鯨することを全廃する、或いは捕鯨全体がそもそもだめだという趣旨なのかどうかということもありますし、一つひとつに対してその場でコメントするというよりは、日本政府としてきちんとIWCの場などで議論していくということで私(大臣)は良いと思います。あまりお互い批判の応酬になるようなことは避けて、冷静に、しかし言うべきことはきちっと言っていくということが大事だと思います。

目次へ戻る

米軍再編問題

【沖縄タイムス 銘苅記者】普天間飛行場問題についてお伺いします。本日、仲井眞県知事が県議会の答弁の中で、県外移設に反対する可能性について言及したとのことです。発言の内容としては、「県議会で全会一致で県内移設の反対決議が可決したことを踏まえて、県内移設は断らざるを得ないということがあり得る」という自身の考えについて言及したのですが、これまで知事は県内やむなしという立場から、名護市長選の結果を踏まえて、県内移設は非常に厳しくなったと発言して、さらに今回の発言なのですが、県議会と知事の考えが県内(移設)は厳しいということが明らかになったことを踏まえて、政府は今度どのように問題に臨むべきか、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】知事の発言を私(大臣)は直接まだ承知しておりませんが、今のお話の中でもかなり慎重に言っておられると思います。ですから、特にいちいちコメントする必要はないと思います。それは現時点の知事のお考えを示されたと、それは知事が言われていることですから、きちんと受け止めなければいけないと思いますが、一つひとつのことにコメントするということではなくて、それは政府の中で検討委員会が設けられて様々な議論をしているところですから、そこに委ねたいと思っております。

目次へ戻る

閣議後のぶら下がり取材

【フリーランス 畠山氏】ぶら下がりの取材の件でお伺いします。先程大臣は「形式的にやる」と仰いましたけれども、それは基本的に毎回「本日は何もありません」と仰ることを想定されているのでしょうか。

【大臣】もし閣議後のぶら下がりをやるとすれば、私(大臣)は基本的に週2回のこの場がオープンであり、ここできちんと出来るだけ時間を割いて会見をすると思っておりますので、閣議後に閣議以外のことについて言うことは避けたいというのが私(大臣)が従来から申し上げていることです。そうでないと、官邸の中とか国会の中になかなか記者クラブの皆さん以外は入りにくいわけですから、そこで機会に偏りが出てしまうと思っております。しかし閣議のことについて話すということであれば、それはやむを得ないという理解だったわけですが、改めて閣内で「閣議での発言は外には言わない」ということが確認されましたので、そうであれば、結局(閣議後のぶら下がりを)開いても何も発言することがないということに論理的になります。ですから、私(大臣)はもうそれはやめて、単にやめるというだけでななくて、「必要があれば、ぶら下がりはやります」ということで、従来よりも自主的には前進した提案をしたつもりでございます。それに対して、会見拒否とかそういう記事が載りましたので、「それなら元に戻してもいいのです」ということを申し上げてきたところです。

目次へ戻る

高校の無償化

【NHK 禰津記者】高校の授業料の無償の問題ですけれども、今、朝鮮の学校を対象外にする方向で検討が進められているという話がありますが、それに対して大臣の受け止めと、拉致問題だったりとか、北朝鮮の制裁などに関わってくる問題になるのではないかという指摘もあるようですが、その辺りのご見解をお伺いします。

【大臣】今、文科大臣の下でいろいろ検討されていると承知しております。しかし、その時に、「北朝鮮だから」とか、「拉致問題と関係するから」とか、そういう視点では検討されていないと思っております。文科大臣の下で、具体的に、これは省令に関わる話だとは思いますが、どういった方向にするかということをまず決めていただいて、その上で必要に応じて、何かご意見を申し上げることがあれば申し上げたいと思います。現時点ではその必要性は感じておりません。

目次へ戻る

イランの核開発問題

【読売新聞 石川記者】先日、イランのラリジャニ国会議長と会談されたと思いますが、そこで「安保理の制裁決議が採択されれば、日本としても従わざるを得ない」という見解を大臣が表明されたようですが、その制裁決議採択にいたらないように、何らかの対話による解決の手立てを日本政府として図るお考えはありますでしょうか。

【大臣】私(大臣)は個別の会談の中身は申し上げないことにしております。現在のイランのとっている態度というのは、「20%への濃縮を目指す」ということ等、安保理決議に反していると私(大臣)は思っております。ですから、そういうことについて、安保理を尊重していただきたいと思っております。そして、残された時間はそうたくさんないということですので、是非、国際社会に受け入れられる、そういう態度をとってもらいたいと考えています。

【読売新聞 石川記者】政府として、何らかの手立てを独自にとる考えというのはありますか。

【大臣】それはイラン側にかかっている訳ですから、昨日もラリジャニ議長は、低濃縮ウランについてご発言もあったようですが、国際社会に受け入れられるような態度をとって頂かないと、道は閉ざされてしまうということを、私(大臣)は懸念しているところです。

【共同通信 西野記者】質問が重なるかもしれませんが、イランが国際社会に受け入れられるような態度や行動がとれるように、日本が何らかの手助けをすること、欧米とは違う立場にある日本がやれることを検討されていないか、ということを改めてお伺いします。

【大臣】日本としては、今までも様々な努力を行ってまいりました。詳細は申し上げませんが、具体的な提案をしたこともあります。しかし、もうそういう状況ではなくなりつつあるということだと思います。

【ブルームバーグ 坂巻記者】先ほど、「具体的な提案をしたことはあるけれども、もうそういう状況ではなくなりつつある」と仰ったのですが、「原子力発電所用のウラン濃縮加工を日本がやりますと提案した」という報道があるのですが、その提案も含めて(そういう状況ではなくなりつつある)ということなのでしょうか。そして、その提案は既に今の状況では、できないという状況になったと理解してよろしいでしょうか。

【大臣】「濃縮加工を日本がやります」という報道があったかどうかは、私(大臣)は承知しておりませんが、そういう提案はしておりません。もちろん、イランとは長い関係がある国の一つとして、何とかしてイランが国際社会の理解を得て、そして多くの国が「(イランは)今や核兵器を持とうとしているのではないか」というように疑念を持っている訳ですから、その疑念を晴らすための努力をしてもらいたいということで、具体的な提案を含めて様々なことを今まで申し上げて参りました。ただ、そういった努力はしてまいりましたが、非常に時間的に限界へ近づきつつあると、そのようにイラン側も認識していただきたいと思っております。

【NHK 別府記者】大臣が仰った「時間がなくなりつつある」ということは、「追加制裁が迫っている」という意味でお伝えしているのでしょうか。

【大臣】制裁についての議論が相当煮詰まってきているということです。

【NHK 別府記者】フォローアップなのですが、一方でイスラエルがこの問題について、イスラエル当局の中からは「あらゆる選択肢を排除しない」という発言もあり、何らかの軍事行動が起こされるということを示唆しているものということが一般的に受け止められているのですが、そうした軍事的に問題を解決するという行動をイスラエルが起こすというような事態に対しては容認するということはあるのでしょうか。それとも、断固反対でしょうか。

【大臣】これは仮定の議論です。ただ、国際法上、認めら得れる武力行使というのは非常に限定されているということです。国際法に基づいて容認されるもの以外のものは、違法だということになります。

目次へ戻る

報償費

【朝日新聞 倉重記者】外務省の報償費の上納問題についてお尋ねします。本日の閣議決定で、鈴木議員からの質問主意書に対する答弁書の中で「少なくとも横領事件の発覚後は、官邸の外交用件に使われていない」ということでした。「少なくとも」と言うことだったのですが、それ以前のことについては、更に引き続き調査されるお考えはございますか。

【大臣】いや、もう特にございません。そして、少なくとも発覚後はそういう「官邸の外交用務に使うということは行っていない」というのは、この場で、私(大臣)がかつて申し上げたことであります。そのことを質問主意書でも書いたということであります。具体的に「何に使ったのか」とか、「いつから始まったのか」とか、鈴木宗男議員の質問主意書の中にも「いつから」という問いはあったと思いますが、そういったことについては調査不能な状況であります。かなり昔のことになります。資料は非常に限定されたものしかありません。そういう意味で、あそこ(答弁書)に書いたことが精一杯であります。あとは当時の当事者に聞いて頂くしかないと思います。

【朝日新聞 倉重記者】再調査もする予定はないということでしょうか。

【大臣】それは歴代の官房長官に聞くしかありませんから、そこまで今の政府が、政権が代わっているときにできるのかどうかという問題だと思います。

【朝日新聞 倉重記者】文書類というのは、例えば新しいものが出てきたり、そういうことも有り得るかと思うのですが、その都度対応される感じでしょうか。

【大臣】文書の保存期間が過ぎておりますので、基本的に役所には残っていないと思います。

目次へ戻る

ケネディ家の政治活動の終焉

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読させて頂きます。先日、パブリック・ケネディ米下院議員が、11月の中間選挙に出馬しないという意向を表明し、60年余りに亘るケネディ家の政治活動の歴史が幕を降ろすということにつきまして、大臣は2005年の民主党代表時、応援演説でジョン・F・ケネディの有名な大統領就任演説の一節を引用されていたそうです。それにつきまして、一政治家としてのご所見をお願いします。

【大臣】米国人にとって、ケネディ家は特別な存在なのかもしれませんが、私(大臣)にとっては、政治家は一人一人でありますので、あまりジョン・F・ケネディの親族だから、一族だからといって、それに対する特別な感傷、気持ちは私(大臣)にはございません。政治家というのは一人一人がどれだけのことを成し遂げたかということで判断されるべきだと思っております。

目次へ戻る

オバマ政権の支持率

【フリーランス 岩上氏】少しずつの変化ではありますけれども、米国においてオバマ政権の支持率が低下しております。ジリジリと下がっているので、どこからもって突然下がったということは言えないのですが、各社の世論調査の中にはかなりショッキングなものもあって、7~8割が不支持というような数字が出ているものもあります。こうしたオバマ政権の支持率低下が、日本との関係において、外交・安全保障等でどのような影響をもたらし得るのか、もちろん米国内部での力関係の変化ということを踏まえて、分析などご見解を聞かせて頂ければと思います。

【大臣】オバマ政権の支持率がこれからどうなるかということは分かりませんので、あまりそういった仮定に基づいてお話しをしない方がいいと思います。私(大臣)としては、オバマ大統領の誕生を大変期待感をもって、拍手で迎えた一人でありますので、オバマ大統領の基本的考え方というものに対して、私(大臣)は共感をするところが大変多い訳です。先般の通常国会が始まるにあたっての外交演説の中でも、オバマ大統領の名前が確か二回登場したというように思います。ですから是非、大統領が自らの信念に基づいて、大統領としての職責を果たし、そして米国民がそれを支持をするということ、更に支持が増えるということを強く期待しているところです。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成22年2月23日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)豪州訪問について

【岡田大臣】私(大臣)から2つ申し上げます。1つは、先日の豪州出張であります。既に発表されている訳でありますが、1つは日豪外相共同ステートメント「核(兵器)のない世界に向けて」というものを合意して出すことができました。オバマ大統領のプラハ演説に始まる「核兵器のない世界」に向けた、その努力、世界の努力を後押しする、そういう合意文書になったのではないかと思っております。今後、その他の国の外相とも話をして、そういった場を広げていきたいと考えております。本年は核セキュリティ・サミットや、NPT再検討会議が開かれますが、そういった重要な会議への対応だけではなくて、できれば年後半に「核(兵器)のない世界」に向けて、より力強い一歩を進めるための国際会議を日本がひとつの中心になって、開催をしたいと考えているところでございます。いずれにしても、豪州以外の各国の外相とも、ぜひ対話を通じて、核兵器、当面は核のリスクのより少ない世界を目指して、しっかりと議論していきたいと思っております。
 もう1つは、もちろんFTAとか様々な議論をやったわけですけれども、残念ながら捕鯨の問題が中心になりました。これはお互いしっかりと、二国間関係に及ぼす影響が深刻なものにならないようにお互い配慮しながら、捕鯨の問題は捕鯨の問題として議論していくことだと思っております。かなり立場が違いますので困難な面がありますけれども、二国間で、或いはIWCの場で議論をしていくということです。もちろん、訴訟にということであれば、それは1つの解決の仕方でありますので、そうなった場合には堂々と、国際的な法廷の場で日本の主張をしていきたいと考えております。
 今回、ラッド首相とはかなり長時間議論ができましたし、スミス外相ともいい議論ができたと思っております。ただ少し残念だったのは、もともと外相との意見交換は90分しか時間を取っていなくて、エレベーターに私(大臣)たちが閉じこめられて、20分ぐらい会談の時間が減ってしまいました。それはアクシデントですから止むを得ませんが、そういう意味で、外相との会談が実際には1時間程度しかできなかったということ、あるいは記者の皆さんに対して、記者会見の場でも質問2問ということで限られた時間になり、その2問も捕鯨に関するものでしたので、全体の成果をきちんとお話しすることができなかったことは、やや残念に思っているところでございます。

(2)閣議後のぶら下がり取材中止について

【大臣】もう1つは先般ここで議論したことですが、閣議後のぶら下がりに関して、私(大臣)は「ぶら下がりで会見拒否だというのは、それは違う」と申し上げ、そして、「実質的にはほとんど意味のないぶら下がりを週2回開くことになってしまいかねない」ということと、「必要があれば弾力的にぶら下がりはやります」ということを申し上げて説明をいたしました。それにもかかわらず何社か、私(大臣)の知っている限りでは読売新聞と琉球新報の2社ですが、「会見拒否」と改めて書かれました。これは、私(大臣)は非常に遺憾、私(大臣)自身大変残念なことだと思っています。一応私(大臣)なりの「弾力的に応じる」ということを申し上げて、ご理解をいただいたと思っておりますので、それを改めて拒否だというのであれば、もう1回きちんと話し合いをしなければならないと思っております。したがって、閣議後のぶら下がりはしばらく、ほとんど意味のないものですが、やれというなら私(大臣)はやります。ただし、「弾力的にぶら下がり」という話も、もう1回きちんと議論させていただくと。パッケージですから、本当にそれでいいのかどうかということを、霞クラブ(記者クラブ)の皆さんの中で話し合っていただきたいと思っております。その話し合いがつくまでの間は、ぶら下がりは引き続き、私(大臣)は意味がないと思いますが、皆さんは意味があるというのであれば、やらせていただきたいと思っております。

目次へ戻る

大臣の豪州訪問

【共同通信 斎藤記者】オーストラリアについて補足でお伺いしたいと思います。オーストラリアでは、今お話があったとおり、捕鯨に多くの時間を割かれたということですが、実際本来の狙いとしていた安全保障協力、もう1つは、オーストラリア、特にラッド首相は、いわゆる東アジア共同体構想の別バージョンであるアジア太平洋構想、米国も入る、オーストラリアも入るという構想を持っている訳ですが、その点について何かご紹介できる話があれば教えていただければと思います。

【大臣】安全保障については、まず、ACSAの議論を3月から始めるということは確認をいたしました。それから、日程は未定ですが、今年の前半に2+2を東京において開催するということを確認して、2+2においてACSAの進捗状況、もちろんそれまでに実務的に終わっていれば決めるということになりますが、それは2+2の時期にもよると思いますし、少し時間がかかる可能性が高いと思いますけれども、いずれにしても、その場でACSAの業務も行うということも確認をされたところです。ACSAといっても、日米のACSAとは性格が異なるものであって、地震や自然災害のときの救助の問題を中心にするACSAということになる訳であります。これは是非まとめたいと思います。
 共同体構想は、ラッド首相とは1時間以上、非常にいい議論ができたと思いますが、ラッド首相からこの話を今回持ち出された記憶は私(大臣)はないので、たぶん話をしていないと思います。前回日本に来られたときには少し首脳との間で話が出て、私(大臣)が申し上げたのは、ASEANに対して配慮が必要ではないかということ、それから、既存の共同体といいますか、話をするための枠組みであるAPEC。APECというのは、日豪でスタートさせたものですから、このAPECをどう活かしていくかという発想で議論をしたほうがいいのではないかということも、前回ラッド首相が日本に来られたときに私(大臣)は申し上げたのですが、今回は特に具体的に議論はしておりません。

目次へ戻る

調査捕鯨

【NHK 禰津記者】調査捕鯨の問題でお伺いします。1つは、ニュージーランドのキー首相が記者会見で、「日本が調査捕鯨をやめなければ、オーストラリア同様に国際司法裁判所に提訴する」といったような発言をされていることについてのお受け止めと、IWCの国際捕鯨委員会の方で、調査捕鯨は捕獲できる鯨の数を大幅に減らした上で、IWCの管理の下で行うという議長提案を作ったという件に関して、その2点について、今後日本としてどのように対応していくのか、そのことについてお伺いできますでしょうか。

【大臣】後者の話は、私(大臣)は把握をしておりません。正式に提案があったとは思っておりません。今までIWCでいろんな議論を、我が国も含めて行っていることは事実ですが、それは外には出しておりませんので、それ以上のことは今申し上げるつもりはございません。それから、ニュージーランドのキー首相の発言は、私(大臣)が承知している限り、今言われたこととはだいぶ違うと思っております。キー首相が言われたのは、「我々が先行するのは外交的な解決を模索することである。もしも外交的解決に失敗し、かつ、唯一の選択肢が提訴である場合には、その時点でニュージーランドとして豪州の立場に同調するか否かを検討することになるだろう。裁判は解決までに長時間を要するものである。外交的な解決を図る方が裁判よりも速やかな方法である。」というのが、私(大臣)の承知しているキー首相の発言でありまして、豪州と同じように提訴するという趣旨のものとはかなり違うと理解しております。

【読売新聞 川崎記者】オーストラリアは先般の日豪外相会談でもお話があったように、「日本に対して調査捕鯨の段階的中止を求める。それを受け入れなければ提訴する」と言っている訳ですが、オーストラリアの段階的中止という要求に対して、日本政府としてはっきり、「それは受け入れられない」と現時点で言えることなのかどうか、その辺をもう一度確認いたします。

【大臣】豪州の首相も必ずしも明確ではありません。「南氷洋における」ということで、全体ではないとも受け取れますが、そこもはっきりしませんし、それから、「最終的には廃止、単に減らしていくだけではなくて」というようにも受け取れますので、簡単にコメントしない方がいいと思います。静かにしっかり議論していこうというのが日本の基本的スタンスでありますので、メディアを通じてお互い批判合戦のようにならない方がいいと思います。ただ、日本としての捕鯨についての正当性というもの、調査捕鯨も制度上認められたものであり、そもそも捕鯨というのは日本の伝統的なひとつの食の文化でもあります。そういったことを、種の保全のために制限するという論理立てであればわかりますけれども、そうではないものについて制限することについては、十分納得できるだけの説明を私(大臣)はいただいていないと思っております。そういうことをきちんと主張していくことは、大事だと思っております。

目次へ戻る

核軍縮・不拡散(核兵器廃絶への取り組み)

【週刊金曜日 伊田記者】核廃絶への取り組みですが、それに向けて努力をされるという意欲については高く評価した上で、それと併せた通常兵器、つまり、核兵器を削減するのはもちろん望ましいのですが、核兵器だけを削減していくと通常兵器のバランスが崩れる可能性があると。以前の米ソのブッシュ・ゴルバチョフのときの核縮減交渉は、併せて通常兵器の削減も視野に入れてやっていたと思いますが、その辺りについてはいかがでしょうか。

【大臣】なかなか難しい話です。特に東西対立の時代ではなくて、いろんな脅威がある訳ですから、米露だけでいろんな話ができるという時代ではもうないと思います。それからもう1つは、今回の米露は戦略核で、戦術核の話をこれからしなければいけないのです。それ以外に通常兵器もあります。非常に問題は錯綜していますが、影響力の大きさから言うと、核というのは人を殺傷する力が通常兵器とはかなり違いますので、私(大臣)はまず、戦略核に関する米ロの話し合いがきちんとまとまり、そして、次のステップとして、これは2つありますが、1つは、戦術核についての米ロの話し合い。これは非常に困難が予想されますが、これをきちんと進めていくこと。あとは、米ロという二大国だけではなくて、中国、フランス、イギリス、あるいはその他の国々も含めて、インド、パキスタンなど、そういった国々全体での核軍縮、そういうところに進まなければいけないということだと思っております。私(大臣)は、通常兵器と切り離して議論しないと、問題が複雑化すればするほどまとまりにくくなるという面があるのではないかと思います。もちろん通常兵器に関しても、先のクラスター爆弾の禁止でありますとか、地雷禁止とか、そういう形で特に非人道的なものについて制限をしていくことが必要であることは論を待たないと思います。

【共同通信 井上記者】戦術核の分野に入るものですが、米国が核トマホークの退役を決めたということで、大臣は昨年12月のクリントン米国務長官への書簡で、「トマホークが退役する場合は拡大抑止への影響、及びそれをどう補っていくのか説明してほしい」と仰っていましたが、米国からはこれまでどういった説明が来ているのか、大臣の受け止めにいてお聞きしたいと思います。

【大臣】私(大臣)が手紙の中で言ったことはそれだけではなくて、「個別の兵器について、やめる、やめないということを日本は言う立場にありません」ということを申し上げました。それがあの手紙の主たる狙いですので、そのことをまず申し上げた上で、トマホークについてのお尋ねですけれども、今、私(大臣)は特にコメントすることはございません。米国が通知をしてきたという報道もありますが、私(大臣)からは、確かに最近日米協議、核拡大抑止に関する日米協議を行ったところでありますけれども、その協議の具体的内容についてはお話をしないという約束のもとで行われておりますので、コメントはございません。

目次へ戻る

核軍縮・不拡散(核の抑止力と核軍縮)

【共同通信 西野記者】核の抑止力と核軍縮の話は、東アジアの今、大臣が思考されている核軍縮、日豪の間で進めていこうと今年がそういった契機になるのではないかという思いは思いとして受け止めた上で、日本が米国の核抑止力の下にあるというのも事実ということで一見すると矛盾するかのように見えるのですが、ここをどのように整理して核軍縮を進めていくのか、或いは核抑止をきちんと担保していくのか、その辺りのことを大臣は今のところどのように整理をしておられるのかということを是非お聞きしたいと思います。

【大臣】1月13日のハワイにおけるクリントン米国務長官との議論でもそのことは話題になってお互い合意をしましたが、要するに「この二つの問題はバランスの問題であって、二律背反ではない。どこにそのバランスをどのようにとっていくかということは具体的に議論しないと一般論で答えが出る問題ではない」というように長官と私(大臣)の意見が完全に一致をしました。それでは「具体的にどこに」ということになるといろいろな議論があると思いますが、それは具体的に議論していかないと一般論では結論がでない問題だと思っています。もう一つは、そこの拡大抑止と核軍縮の話だけではなく、不拡散という話もあります。不拡散を確保するために軍縮を進めなければいけないという話が本来はある訳ですから。

【共同通信 西野記者】バランスの問題で難しいということは分かるのですが、例えば先ほど話題に上った戦術核の扱いというところではいろいろと話していけることもあるのかなと、今米国が核戦力の見直しを進めているという状況の中で、ある程度方向性を決めてやっていかないと、どちらが優先されるのか等、今後、議論がスタートしていく中で方向性が見えないので、どのようなところで議論していくのかということをもう少しお話し願えないでしょうか。

【大臣】ご質問の趣旨がよく分からないのですが、日米間で意見交換は不断にしております。これから、戦略核レベルの話から次に戦術核ということになってきますと、米露の戦術核の不均衡という問題もありますし、それから中国の核の問題もありますので、話がより具体的になっていくと思います。戦略核の議論を米露でやっている間には、日本がそれに対して深く関与するということは、今までもありませんでしたし、必ずしも必要がなかったのかも知れませんが、その次のステップになってくると、やはり日本自身が核政策、核軍縮というものに対してより関与していかなければいけないと思います。どちらかというと今まで米国の核戦略に対して日本が深く関与してきたということはあまりなかったのではないかと私(大臣)は思います。もう少し日米間でも、そういった核を巡る様々な問題について、より我々も情報を得て、そして意見交換をしっかりできるような仕組みを構築していかなければいけないと思っております。今そういう方向で様々な議論をしているということです。

【共同通信 井上記者】関連して日豪の共同声明にも言及された、「消極的安全保障」と「唯一の目的」という二つの考え方ですが、今米国が近くNPR、核態勢の見直しをまとめるであろうという見通しの中、日本としてこの二つのアイデアについて米国の核態勢の見直しの中に取り込まれていくべきだと、そのように期待されているかどうかをお聞かせ下さい。

【大臣】基本的にNPRは米国政府の中での議論を経て打ち出されるものですから、どれがどうすべきだという議論をこういうところで声高に言うべき問題ではないと思っております。

【共同通信 西野記者】大臣が冒頭発言の中で、核セキュリティ・サミット、それからNPTの見直し、最近の会議等、併せて日本が中心となって核に関する会議を開きたいということでしたが、先ほど大臣は「日本がより積極的に関与していくべきだ」と「これまで以上に関与していくべきだ」というように言及されましたが、そういった文脈の中で日本で会議を新たに開くということを考えておられるということでしょうか。

【大臣】「関与すべきだ」というのは日米間の議論の話を主として致しました。私(大臣)は今年一年、「核なき世界」に向かって一歩を踏み出すことができるかどうか、非常に重要な一年だと思っております。ご存知のようにしばらく前まではむしろ拡散が進み、軍縮の気運はなかなかないという状況だった訳ですが、それがかなり変わってきているというのは事実です。それをより確実なものにするために、(今年の)前半は既存の核セキュリティ・サミット、そしてNPT検討会議という大きな会議がありますので、これを成功裏に導いていくことは非常に大事なことだと思います。ただ、そこで終わってしまうのではなくて、それ以降も「核なき世界に向かっての歩み」をきちんと作り上げていくために、私(大臣)は関係国が集まってきちんと議論が出来る場が必要ではないかと、まだアイデアの段階でどのような国が集まって、どのような議論をすべきかということを検討している途上にありますので、あまり詳しくは申し上げられませんが、今年前半の5月で終わってしまうということではなく、後半に是非この気運を繋げていきたいと、この気運を本物にしたいと思っております。

目次へ戻る

高校の無償化

【朝日新聞 東岡記者】高校の無償化についてお尋ねいたします。朝鮮学校を除外するかどうかについて、中井国家公安委員長は「除外すべきだ」とのスタンスのようですが、川端文科大臣は今日の会見では「外交については考慮しない」という考えを表明されました。岡田大臣としてのこの問題についてのお考えをお聞かせください。

【大臣】今議論しているところですので、あまり個々に大臣が申し上げないほうがいいと思います。そうすると、皆さんはまた「意見がそれぞれ違っている」というようにお書きになるかもしれません。閣内でしっかり議論して結論を出す問題だと思います。

目次へ戻る

各省庁の顧問・参与人数

【読売新聞 川崎記者】話は変わりますが、本日閣議決定された「質問主意書の答弁書」で、各省庁の顧問・参与の数というものを見ると、外務省は顧問6人、参与34人の計40人と、他省に比べて突出して多いのですが、それだけの人数を置いている必要性と、今後その人数を削減するかどうか、そういうことについて大臣のお考えをお伺いします。

【大臣】その中に有給でやっている場合と、そうでない場合があるのではないかというように思います。前政権の時代からの部分が非常に多いと思いますが、それぞれについて必要性があって任命されているものでありますので、不断の見直しは必要であると思います。

目次へ戻る

米軍再編問題

【琉球新報 滝本記者】普天間の問題ですが、今朝の閣議後の会見で、福島社民党党首が「拙速にならないように」というご発言をされていたようなのですが、社民党の中で「5月末までの決定というのもなかなか難しいのではないか」と、「先送りもまた改めて」という話も出てたりするようなのですが、そのような声については改めて大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】基本的には検討委員会で議論しているところですので、あまり私(大臣)が個別に言わない方がいいというように思います。ただ、亀井大臣と福島大臣が出ておられる基本政策閣僚会議、私(大臣)もその時は出席しましたが、そこの場で「5月(末)までに」ということは確認されておりますので、福島大臣もそこに出ておられたわけですから、私(大臣)はそこで確認されたことは重いというように思います。

【NHK 禰津記者】関連質問で、「5月(末)までに」ということですが、北澤大臣が「2月末までに検討委員会の移設案を集積してもらわないと、米国との交渉、地元との交渉が残り3ヶ月と迫っていることを考えると厳しい」というような発言をされているかと思うのですが、大臣は米国と交渉されている中で、スケジュール観などについて、どのように受け止められているのか、その辺りについてお聞かせください。

【大臣】簡単に交渉できる問題ではありません。時間がある程度、必要です。そういう意味ではなるべく早くと思いますが、しかし、基本的に検討委員会で平野官房長官を中心にご苦労されている訳ですから、外野で自由に発言しているというような形というのはあまり好ましくないと思います。必要があれば、私(大臣)なりの意見や考え方を官房長官に直接申し上げているところであります。

【琉球新報 滝本記者】今の件に関しまして、平野官房長官が委員長で検討委員会を進めておられますけれども、次に委員から移設の案が出て、官房長官のお話だと、それを引き取って政府の中で検討して、その実現可能性があるのかどうかということを検証していくというような方向で議論が進むのかなという趣旨でお話をお伺いしたりしているのですけれども、その部分を踏まえた上で、地元との折衝とか、あるいは対米ということになるのですけれども、その窓口は以前大臣がやはり対米交渉というのは外務省がなさるんだというようなお話をされていたと思いますが、その部分での今後のスケジュールという意味では、まだお話というのは来ていないと思うのですけれども、それが来れば来月にも始めていかれるということになるのでしょうか。チャンネルは、どのチャンネルでどういうようになっていくのでしょうか。

【大臣】米国政府との交渉は外務省で行います。タイミングその他については、今申し上げることはありません。ただ緊密に官房長官とはコミュニケーションを図っておりますので、それ以上のことは申し上げません。

目次へ戻る

長崎県知事選挙

【テレビ朝日 新堀記者】長崎県知事選挙について、本日、前原国交大臣に対しての閣議後の会見の質問で、「今回の敗北は知事選挙ですけれども、1つの判断材料に政治とカネがあったと思う」と仰って、「それを総理も幹事長もお認めになっている。どうしたら7月の参院選挙に勝てるのか、勝つための方策をこの二人にはしっかりと考えてもらわなくてはいけない」と仰っていましたけれども、これについて岡田大臣のご感想、ご意見をお聞かせ下さい。

【大臣】特にコメントしません。今後参議院選挙に向かって、参議院においてしっかりと勝利できるようにしなければいけないというように思いますが、今回の長崎の知事選をきっかけに私(大臣)が何か申し上げることは特にございません。

目次へ戻る

六者協議再開の目途

【共同通信 斉藤記者】北朝鮮情勢についてお伺いします。ボズワース特別代表、まもなく北京、ソウル、東京とアジア各国を歴訪します。狙いについては、最近の中朝での共産党幹部の王家瑞氏の話を聞いてくるのではないかというように報じられております。それで既に六者協議が開かれなくなってから相当の年月が経ちます。一方で、僅かながら中朝の往来、また幾つか関係国の動きなんかも少しずつですが、あります。現状を大臣はどうご覧になりますでしょうか。六者協議再開に向けての動きが現実的に少しずつ起きてきているのか、それともまだそこまで来ていないのか、その辺の感触をお聞かせ下さい。

【大臣】前回ボズワース特別代表が言われたことですが、やはりここは忍耐を持って、対応することが重要だというように思います。様々な制裁も行っている訳でありますので、そういったものの成果が出てきているというように思いますし、北朝鮮側には「無条件に六者協議に戻らない限り、道はないんだ」ということをそれぞれの関係国が、日本も含めて伝えている訳ですので、そういう情勢の中で北朝鮮側がどう判断するかという問題だと思っております。時間が経つことで決して彼らにとって有利な状況は作り出せないということを認識したときに六者協議の開催ということに繋がってくるのだと思います。

目次へ戻る

沖縄の人の思い

【週刊金曜日 伊田記者】沖縄の人の思いについて少しお聞きしたいと思います。日韓外相会談等の報告があった2月12日(金曜日)の記者会見で、大臣は「害を与えた側は忘れがちであるけれども、被害を受けた方はなかなか忘れない」という旨の発言がありました。これはもっとも大事な示唆だと思います。沖縄の方々に対しても、琉球処分という形で日本と一緒になり、そのあと唯一の地上戦である沖縄戦を経験し、そのあと現在も基地負担があると。こういう状況に置かれている沖縄の方々の心情について、大臣の思いをお聞かせ願えればと思います。

【大臣】もちろん、琉球と呼ばれた頃、日本との交流はいろいろとあったと思います。「琉日戦争一六〇九」という表題の本を読んでいるところですが、それを読みますと、薩摩による琉球に対する攻撃、以前からいろいろな交流があったということがよく分かります。そういう中で、今仰ったようなことがあり、そして、琉球という独立国から日本の支配下に置かれて、そして戦争下においても戦場になったということです。そういうことに対して、我々同じ日本人として、非常に厳しい状況下に置かれた沖縄の皆さんに対する思いを常に忘れてはならないと思います。現在もそういった多大なる基地の負担、日本全体としては米軍の存在によって受益しているというか、さまざまな日本の安全がそれによって保たれており、そしてアジア太平洋地域の平和と安定に非常に資している訳ですが、その基地の多くは沖縄にあるということで、沖縄に大きな負担がかかっているということです。私(大臣)は、大事なことは、外交演説でも申し上げましたが、やはり「日本の安全が米軍の存在によって守られている」ということをきちんと国民に伝えることが重要だと思います。それと同時に「その負担は誰が負っているのか」ということを伝えることにもなる訳です。なぜか安全というものが自然に保たれているような認識が日本人の中にあるとしたら、それは違うということであり、もっと発信していかなければいけないと思っております。

目次へ戻る

日米安全保障(米軍の存在による抑止力)

【NHK 別府記者】今、抑止力の話も出ましたのでお伺いします。米軍の存在によって日本の安全が守られているということから、海兵隊の抑止力も日本国内にあるべきだというお話をされていたと思うのですが、整理の質問で恐縮なのですが、何の脅威から我々はその抑止力によって守られているのか、或いは、もっと分かり易くこの抑止力というものを理解しようと思うと、「これがあるからこれだけ得していて、これが無いことによって我々の危険というのが、どれだけ高まるのか」という分かり易い例があれば、お願いいたします。

【大臣】なかなか定量的には言えない問題だと思います。それから、「何の脅威に」というのは、脅威ということを声高に言うのがよいのかどうかという問題が当然あります。ただ、日本をとりまく環境を見れば、朝鮮半島には核を保有しミサイルを持つ国が存在しているということは厳然たる事実でありますし、そして中国の軍事力というものは、年々高まっていると、能力が上がっているということも事実であります。その他、アジア太平洋地域というのは非常に経済的にもこれから成長していくことが期待されますが、そのことが安全保障環境にどのような影響を与えるかというのは、それは楽観・悲観の見方は色々あると思いますが、念頭に置いておかなければならない問題であるということは事実です。そういう環境の中で「日本だけでそういった問題に対応できるのか」と言えば、憲法9条もあり、日本自身の持っている、いわゆる防衛力には一定の限界があります。攻撃的なミサイルも空母も持たない国ですから。したがって、米軍が、矛と盾であれば、日本を盾とすると、矛の役割を果たしてくれていると。実際にそれを使うかどうかという以前に、そういうもの(抑止力)が存在するということによって紛争の発生が抑止されているという意味は非常に大きいと思います。もちろん、そういう軍事的な問題だけではなく、例えば災害や、そういう場合にも私(大臣)は海兵隊は実績もありますし、日本に対しても周辺の国々に対しても大きな役割が期待できると思っております。

目次へ戻る

国会審議(自民党による予算委員会の欠席)

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。国会審議についてです。22日(月曜日)、自民党が小沢幹事長や鳩山首相の元秘書らの国会招致に与党が応じないとして予算委員会を欠席いたしました。民主党は自民党の要求を受け入れない方針のようですが、一閣僚として現在のこの状況に対するお考え、さらにはこのまま自民党が審議拒否を続けた場合、どのように対応していくべきか等ご見解をお願いいたします。

【大臣】国対(国会対策)の方針は国対(国会対策委員会)で決めますので、私(大臣)があまり個人的な見解を言わない方がいいと思います。こういう問題で言えば、それぞれの人は必ず意見が違いますから、また「閣内不統一」とか、そのように言われてしまうと思います。ただ、こういう審議、本日もこれから国会に出席をして共産党の委員の質問に答えるわけですので、国会自身は動いており、ただ自民党が欠席しているということです。我々(民主党)もそういった欠席戦術というのはよく採ったわけですが、なるべくこういう経済もそれから外交も様々な課題がある中ですから、是非出てきて審議していただきたいと思っております。一日も早い復帰を。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成22年2月19日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣の豪州訪問について

【岡田大臣】本日は久しぶりに定例の時間に始まります。私(大臣)から何点か申し上げたいと思います。まず、私(大臣)の豪州訪問について改めて申し上げたいと思いますが、今晩発ちまして、20日(土曜日)と21日(日曜日)の二日間、豪州を訪問し、ラッド首相を表敬訪問するとともにスミス外相、フォークナー国防相と会談を行う予定です。また、21日のスミス外相主催の非公式朝食会の際には、バーネット西豪州首相にもお会いする予定になっています。
 今回の訪問は4つの狙いがあります。第一に、日豪の戦略的パートナーシップを前進させたいと考えております。そのためにも、第3回2+2の本年前半の実施に向けて調整をしたいと考えております。それとともに北朝鮮やアフガニスタンなど、地域の安定に関する問題について、意見交換を行いたいと考えています。第二に、資源を中心とする日豪の経済関係を強化したいと考えています。特に鉄鉱石や天然ガス等豊富な西豪州を訪問することで、資源の安定的確保を目指したいと思います。日豪EPAについては、早期妥結を目指して両国が現実的に取り組む、そういう方向性を出していきたいと考えています。第三に地域、グローバルな課題についてです。例えば核軍縮・不拡散や気候変動などについて、日豪の連携を強化したいと考えております。第四に捕鯨問題については、日豪関係の重要性を踏まえて、大局的な見地から外交的解決が重要であることを確認し、同時にシー・シェパードの取り締まりに関し、豪州の協力を要請したいと考えています。以上が豪州訪問についての基本的考え方でございます。

(2)トヨタ自動車のリコール問題について

【大臣】二番目にトヨタ自動車のリコール問題についてです。既に報じられておりますように、トヨタの豊田社長が24日に予定される米下院監視・政府改革委員会の公聴会に出席されるという声明を発表いたしました。このリコール問題は安全に関わる問題でありますので、公聴会などを通じ、トヨタ自動車が米国を含む内外の消費者の安心と信頼を速やかに回復することに繋がることを期待しております。従来から申し上げておりますように、外務省としてもできる限り、もちろん個別の企業ではありますけれども、これは日本全体にも関わる話でありますので、できる範囲でしっかりとバックアップしていきたいと考えております。

(3)政務三役会議について

【大臣】政務三役会議は特に本日発表することはございません。当面の出張日程について、いろいろと役割分担の話し合いをいたしました。まだ具体的に決まっておりませんので申し上げる段階にはございませんが、5月の連休なども一定の目的をもってお互い手分けして各地を回ろうという方針を確認したところであります。

(4)バンクーバー冬季オリンピック(男子スケート)について

【大臣】最後に、今(大臣執務室を)出てくるところで、高橋選手が銅メダルであったということで、男子フィギュアとしては初めてでありますから、非常に嬉しいことだと思いますが、金(メダル)を逃したのは大変惜しいことだと思います。

目次へ戻る

米軍再編問題

【時事通信 水島記者】普天間問題ですが、政府がキャンプ・シュワブ陸上案を検討していて、米側に非公式に打診したという報道がありますが、この事実関係を確認したいのと、大臣としてはこの陸上案の実現性の見方についてご意見をお願いいたします。

【大臣】今、検討委員会でいろいろ議論しているところですから、個別のことについて私(大臣)は申し上げません。米国に対して打診したという報道がありますが、私(大臣)は承知しておりませんし、官房長官も明確に否定されていると思っております。

【NHK 梶原記者】普天間の問題を巡って、社民党の福島さんが陸上案に対して反対の意向を表明すると、これに対して国民新党の方からその反発が出る。ある種、閣内といいますか、連立与党内で混乱振りを印象付けるような形になっていますけれども、こうした状況について大臣ご自身どのようにお考えになっていますか。

【大臣】これは検討委員会で、平野官房長官のもとに、他の連立与党も入って議論をしている訳ですから、それが尊重されるべきだと思っています。私(大臣)もそういう観点から「どれが駄目だ」という言い方はしないように心掛けてきたつもりであります。それが、この検討委員会を作ったひとつの意味だと、私(大臣)は考えています。そういう意味では、個別にいろいろ言うことは、検討委員会で一生懸命議論している皆さんに対して、私(大臣)はいかがなものかと思います。

目次へ戻る

調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為等)

【共同通信 斎藤記者】日豪関係でお伺いします。間もなく大臣はオーストラリアに出発されますが、そうした中で、本日の報道によりますと、ラッド首相が本日のテレビのインタビューで日本の調査捕鯨について次のように言っております。「外交的な話し合いで止めさせられない場合、次の捕鯨シーズンが始まる今年11月までに国際司法裁判所に提訴する」と述べたそうです。先程、大臣は「できればこの問題は大局的見地から、外交的に解決していきたい」というようなお話があったと私は理解しているのですが、国際司法裁判所に提訴というと、これは少し違うやり方ではないかと、私は受け止めざるを得ないのですが、この辺について大臣の方から所感をお伺いしたいと思います。

【大臣】首相の真意がどこにあるのか、お会いしてよく聞いてみたいと考えています。ただし、首相も「話し合いで解決できなければ」という慎重な言い方をされておりますので、話し合いで解決するということが当然基本でありますので、そう大きな違いはないのではないか、話し合い重視という意味では、首相もそういう考え方を取っておられるのではないかと思います。それから、日本の主張は、我が国の調査捕鯨は国際捕鯨取締条約第8条に従って、公海上で実施する合法的な活動であると考えておりますので、そういった主張をラッド首相との会見でもしっかりと行いたいと、そして意見交換をしたいと思っています。

【共同通信 西野記者】オーストラリアも日本と同じ民主主義国で、国内世論が大きく政治家の判断に影響してくると思いますが、オーストラリア国内にはやはり反捕鯨感情があると。ラッド首相もマニフェストで商業捕鯨を中止するということで選挙を戦われていると聞いております。シー・シェパード問題と、このような反捕鯨感情というものをどのように切り分けて処理していくのか、政府の対応、方針をお聞かせください。

【大臣】今の政権がマニフェストの中で、調査捕鯨について言及していることは承知をしております。そういうことももちろん分かった上で、冷静にしっかりとした議論をしたいと考えております。シー・シェパードの問題はこれとは全く違う、いわば実力行使の話でありますので、そこは全く次元の違う問題であると考えております。人の安全にも及びかねない問題でありますので、その点について、オーストラリア政府の協力もしっかり求めていきたいと考えています。

【オーストラリア新聞 坂上記者】先程のシー・シェパードの問題に関連しますが、日本政府からは取り締まりについて、オーストラリア政府の協力を求めるということですけれども、具体的にどういったことを求められるのかということをお伺いしたいと思います。

【大臣】今回のシー・シェパードの活動家が、日本船舶に乗り込んだことそのものに関しては、オーストラリア政府と直接関係がある訳ではないと思っております。ただ、シー・シェパードの活動全体について、オーストラリアもこの問題について様々な発言もありますので、やはり、そういった危険な暴力的な行為は許されないというとこについて、お互い認識を共有できればと思っています。

【オーストラリア新聞 坂上記者】先程のシー・シェパードの取り締まりの件ですが、「具体的な」というのは、例えばシー・シェパードがオーストラリアの港を使えないようにするとか、そういった具体的なこととかは、ないのでしょうか。

【大臣】シー・シェパードの船舶については、オランダとトーゴとそれぞれ船籍が決まっている訳です。そういう船籍を持った船に対しては、船籍のある国に対して意見をいろいろ申し上げるということは当然できると思います。

【共同通信 西野記者】その関連ですけれども、シー・シェパードの船は、事実認定の問題はあるのですが、他国の旗を立てて日本の船内に近づいたという報道もあります。こういった行為は海賊行為に当たるというのが一般的な見方だと思いますが、海賊行為をやっているような団体に根拠地を与えている場合は、何らかオーストラリア政府に具体的に言っていく可能性もあると思うのですが、そういったことも念頭に置かれているということでしょうか。

【大臣】他国の旗というのは、私(大臣)は事実を確認しておりません。しかし、寄港地になっていたりということであれば、関連はある訳ですので、そういったことについても話し合いをしなければならないと思っております。
 また、先程申し上げましたが、トーゴ政府に対して我が国としてしかるべき申し入れを行ったところでありますが、トーゴ政府はボブ・バーガー号の船籍をはく奪したと聞いております。

【AFP通信 小沢記者】オーストラリア政府はこれまでも反捕鯨の立場を明確にしてきたところですが、大臣がオーストラリアを訪問される前日にこのように非常に強い形で首相が発言されていることについて、このタイミングとそれからその発言の強さについての受け止めを教えてください。

【大臣】いろいろ背景もあると思いますが、率直に申し上げてよくわかりません。ですから、直接会った時にお話を聞いてみたいと思います。

【NHK 禰津記者】先程、トーゴ政府に対して日本が申し入れを行った結果、トーゴ政府が船籍をはく奪したとのことですが、それについてもう少し詳しくお伺いしたいのと、トーゴ政府は今回そういった措置をとったことに対する評価というものをお伺いできますでしょうか。

【大臣】我が国政府としては、「旗国として然るべき措置を取るように」要請をしたところであります。そのことも一つも理由だったというか、そのことがきっかけになったと思いますが、トーゴ政府としては、ボブ・パーカー号の船籍をはく奪するということを決定されたと聞いております。我が国としてその要請に対して結果を出していただいたことに対しては、感謝申し上げたいと思います。もう一隻のスティーブ・アーウィン号についてはオランダ籍でありますが、船籍はく奪について今、法改正を審議中であると聞いています。

【読売新聞 川崎記者】日本政府がトーゴ政府に要請していた内容は「旗国として然るべき措置」と今仰いましたが、その然るべき措置とは今回の船籍はく奪、これを明確に挙げてそれを要請していたという意味なのでしょうか。

【大臣】具体的に外交の内容まで立ち入ってお話しするつもりはありませんが、我々としては、然るべき措置を取るように要請したということであります。

【共同通信 西野記者】捕鯨の関係ですが、調査捕鯨が国際法的に何の問題もないということはご認識として先程表明されたと思うのですが、一方で調査捕鯨の必要性、それから日本にとってのニーズについてはどのようにお考えでしょうか。食文化の問題等も絡めていろいろな問題があると思うのですが。

【大臣】食文化の話と調査捕鯨の話は次元の違う問題です。ですから、調査捕鯨については、個体数をきちんと認識することが種の絶滅とかその危機とか、そういうこととの関連で、きちんとした調査が必要であるということで元々こういう調査捕鯨が行われているものだと考えております。そういう調査は必要であると思っておりますし、きちんと条約の中にそれは位置づけられているということです。食の文化は次元の違う問題で、もし鯨を捕ることそのものがいけないという考え方があるとすると、それはそれぞれ食文化というものをお互い尊重し合うことが必要ではないかと、頭から鯨を捕ること、鯨を食べることに対してそれが間違っていると言われると、お互い多様性を尊重し合うということは重要な価値だと私(大臣)は思っておりますので、それは少し違うのではないかと思っております。

【オーストラリア放送協会 浅田記者】先ほど、日本の食文化と調査捕鯨の立場を教えて頂いたのですが、こちらは、オーストラリアに行かれたときに、ラッド首相に直接説明される予定はございますか。また、捕鯨問題というのは、日豪関係に、また今回の訪問にも影響を及ぼすとお考えですか。

【大臣】ラッド首相、それからスミス外相とは、当然これは議論になると思います。ただ、日本と豪州というのは非常に重要な二国間関係でありますから、そういう中でお互い冷静な議論をしたいと思います。

【大臣】あと、ご質問が出なかったのですが、ニュージーランド大使館の方から発表されたということで、皆さんご存じだと思いますが、在京ニュージーランド大使館員によるシー・シェパード活動家ピート・ベスーン氏に対する領事接見が行われました。昨日の夜8時、在京ニュージーランド大使館の領事が外務省の会議室にて、第二昭南丸に現在、乗船しているベス―ン氏に電話連絡をし、安否確認を行ったところであります。その電話の詳細については、私(大臣)から申し上げるべき話ではございませんが、その結果4点が確認されました。第一点は、ベスーン氏は、肉体的にも精神的にも良好な健康状態にある。第二点は、乗組員の監視の下、同氏には船上で一定の行動の自由が与えられており、個室が与えられている。第三に、同氏は然るべき内容の食事を一日三回提供されている。第四に、同氏は第二昭南丸に乗船したままでの日本への移送を望んでいる。こういった会話の内容については、ベス―ン氏の家族にニュージーランド政府から説明されたと承知をしております。

目次へ戻る

大臣の豪州訪問(核軍縮、日豪安全保障協力)

【NHK 禰津記者】オーストラリア訪問の中で、今回核軍縮というのがひとつ大きなテーマになると思いますけれども、5月のNPT再検討会議に向けて、今回のオーストラリア訪問は、核軍縮の話し合いはどのような位置づけで考えていらっしゃるか、改めてお伺いします。

【大臣】議論はこれからですので、まだ中身に立ち至った話はできませんけれども、日豪間で例の川口・エバンズ委員会というものも、これは政府とは切り離れた存在ではあるにしろ、報告書をまとめたという経緯もありますから、その委員会の様々な提案の中で注目すべき点について、お互いなるべく認識を共有して、できれば両外相で共同ステートメントなるものを出していきたいと考えております。

【共同通信 斉藤記者】オーストラリアの関連です。捕鯨とは別に、2+2を含めて、今後オーストラリアとの安全保障協力がひとつの大きな課題になっているということですが、改めて訪豪を前に日豪安全保障協力の意義、今後どういった点でこの協力関係が重要になっていくのかということを、できれば分かり易く解説をお願いします。

【大臣】これは実際に会談をやった上で申し上げた方がよいと思いますが、例えば災害時における協力とか、日豪間で協力できる分野というのは私(大臣)はあると思いますので、そういったことについてどういう協力ができるのかということをよく話してみたいと思っています。

目次へ戻る

閣議後のぶら下がり会見中止

【J-CASTニュース 亀松記者】昨日の夜、MSN産経ニュースのサイトに掲載された記事についてお尋ねしたいと思います。「岡田外相が閣議後の取材拒否へ」という見出しで、「院内でのぶら下がり取材を今後応じないと記者クラブ側に通告した」という記事が載っておりますが、まず事実関係についてこのとおりであるかどうか、お伺いします。

【大臣】私(大臣)は記事の中身は、そう間違っていないと思いますが、表題は非常に誤解を与えるものであると思います。拒否をしている訳ではなくて、記者クラブとも話をしたところであります。なぜそうなったかということは記事にも書かれておりますが、閣議後の記者会見というのは「閣議における発言を紹介する」ということで、最低限のところを行うということです。基本的にはこの場できちんと時間をとってやると、しかもオープンの場で。閣議後のぶら下がりと言うことになりますと、どうしても官邸の中とか国会の中ですから、なかなか事実上入れない記者の皆さんも多い訳ですから、それは最低限の発言の紹介に留めるということでスタートしたものであります。ただ、先日の閣議において「自らの発言も含めて、閣議におけるやりとりは対外的に公表しない」ということが改めて官房長官から言われました。ただ、唯一例外は、一定の発表文、発表に関わる部分については良いということでありましたので、それは発表に関わる部分というのは、速やかに外務省として、文書で発表するということでありますので、そうすると、ぶら下がりをやっても何も発言できないということになります。それは、お互い負担になるだけで「何もありません」と毎回言うのもいいのですが、実質的にそういうことであれば、止めてもいいのではないかということであります。なお、何と言いますか、「いろいろな出来事があったときに週二回の会見だけでは十分ではない」という記者の皆さんからのお話がありましたので、それは必要に応じてぶら下がりはやりますと。ただし、ある程度時間的な余裕を見ないと、そこにすぐに来れない記者もいますので、そういうことは考えながらやらせて頂きますと申し上げたところであります。これが事実関係であります。

【読売新聞 村尾記者】今の発言の関連ですが、一方で、取材機会が減るという指摘もありますし、そもそも発信する機会が減るのではないかという懸念もあると思うのですが、それについての見解をお聞かせ下さい。

【大臣】お約束は「閣議での発言をお話しする」ということでありましたので、それ以上の発信はない訳です。それはお約束と違う訳ですから。「閣議の発言は対外的に公表しない」という改めての申し合わせが閣内で行われましたので、そういう意味では論理的に考えても、何もものを言えないということでありますから、私(大臣)が毎回行って「何もありません」とだけ言って去るということも可能ですが、それは全く形式に過ぎませんので、止めるということは、私(大臣)はそれ以外に答えはないのだろうと思います。

【読売新聞 川崎記者】閣議後の会見ということで、他の閣僚の方々は閣議の直後にずっとやっていらっしゃいます。結局大臣だけが閣議後のぶら下がり会見も含めて取材の機会がなくなるということで非常に記者として残念なことですが、閣議後の会見というのは、この会見もそうですが、あらゆる重要政策、或いは政局についてタイムリーな話についても政治家としての大臣の見解をお伺いしたいということも非常にある訳です。その中で、閣議後のぶら下がり取材の機会は我々の貴重な機会として、削減をして欲しくなかったという点では非常に残念です。「閣議のこと以外は発言しない」という括りを最初にされたのは大臣のお考えですが、閣議以外のことも是非聞ける機会として閣議直後のぶら下がりは是非続けて欲しかったということですが、閣議直後に他の閣僚の方々全員に対してお話をお伺いしたいときに岡田大臣だけ(話が)聞けない、或いは岡田大臣だけが「発信がない」となることについて、改めて大臣の見解をお伺いします。

【大臣】今のお話だけ聞けば何か取材を制限しているように聞こえますが、全体を見て考えて頂きたいと思います。どこの省庁で、オープンで、そして1時間近く毎週2回、こういう形で会見をしている、そういう大臣がいるだろうかということです。閣議直後が良いか、それとも改めてこういった形で行ったほうが良いかということは、最初に随分議論を致しました。閣議直後に官邸内や国会の中であれば、それは一部の人しか参加出来ない、端的に言えば記者会の皆さんしか参加出来ない、後の人はなかなか入るのが容易ではない、そういう中で取材の機会が偏ってしまうので、それよりはこのような会見の場で、オープンで取材機会に偏りがない中でやるべきだというのが私(大臣)の基本的な考え方です。そういう(会見を)オープンにしていない大臣が国会の中や官邸でされるのは、それは一つの考え方だと思いますが、私(大臣)が見ていても、長くても10分か20分で(会見が)終わっている大臣が多いと思います。これだけ長時間、いろいろな質問に答えている大臣はあまりいないのではないかと思います。どちらが良いかという選択の問題、特にその選択というのは、それは聞き手である国民の皆さんにとってどちらが良いかという観点で決められるべき問題だと私(大臣)は思います。

【読売新聞 川崎記者】今、選択の問題だと仰られましたが、時間をとってきちんとやるということに関して、この大臣のお考えには敬意を表します。午後に時間をとって会見を開くのと同時に午前中もと、両方を両立するというお考え方は出来ないでしょうか。

【大臣】それは、回数を増やすという以上の意味はないのですが、つまり「閣議のことを話してはいけない」ということになれば、他の大臣で1日に2回記者会見をやっている人がどこにいるかということです。

目次へ戻る

記者会見のオープン化

【フリーランス 畠山氏】記者会見のオープン化について、先程、大臣は「どこの省庁でオープンで1時間近く会見を開いている大臣がいるだろうか」と発言をされました。この発言の根底には、ご自身が一番、会見のオープン化を進めているという自信の表れだと理解してよろしいでしょうか。

【大臣】他にもいくつかの省庁がオープン化を目指してやっておられると聞いております。私(大臣)は、外務省は元々、海外のメディアに対してオープンであったり、その職責上と言いますか、他の省庁とは少し違うところがあったと思いますが、目指すべき方向としては、ひとつのモデルになればいいと思っております。

【フリーランス 畠山氏】「ひとつのモデルになればいい」ということですが、他の大臣に「うち(外務省)はこれだけオープンにしているのだけれども、今のところ何も問題がないので、皆さまもやられたらどうですか」というような提言をされるおつもりはございますでしょうか。

【大臣】それはそれぞれの大臣の判断ですから、私(大臣)があまり押しつけがましく言う必要はないと思います。

目次へ戻る

報償費

【週刊金曜日 伊田記者】外務省の報償費に対する件でお伺いします。本日閣議決定された鈴木外務委員長に対する答弁なのですが、外務委員長の方で「例えば書類がなくても上納の慣行に直接携わっていた者等の関係者に話を聞く等の方法により調査をすることは可能であると考えるか、平野長官の見解如何」ということなのですが、答弁では「過去の政権に関わる事項でもあることから、現内閣としてこれ以上の調査結果を期待することは困難であると考えている」という決定があります。鈴木外務委員長の方としてはこの問題についてかなり積極的であると考えるのですが、国会の場で「これはきちんと調査したい」というような動きになれば、大臣の方としても協力する意思はあるのでしょうか。

【大臣】まず、報償費の性格上、非常に難しいと思います。今まで報償費のその使い道について政府の側から明らかにされたことはないと思います。そういうものについて、ましてや時間がたっているものについて、何か結果が出てくるというようには私(大臣)は思えません。もしあるとしたら、この前平野官房長官が言われように「当時の関係者、或いは官房長官経験者にお話をいただく」ということしかないのではないかと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】国会の場でこういった調査をするということになれば、大臣として協力されるようなお考えはありますでしょうか。

【大臣】協力するもしないも、私(大臣)としてはわかっていることについては、基本的に質問主意書の中でそういった外交用務に使っていた時期があったということについてお話をさせていただいたところであります。

目次へ戻る

観光立国

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読します。以前にもお伺いしました「観光立国」についてです。昨年679万人だった訪日外国人数を、2013年には2500万人と2.2倍の増加を掲げています。中国人観光客の招致が重点の一つかと思いますが、個人観光ビザの制限の緩和などで、この大きな目標の実現にどれぐらい貢献できる見込みでしょうか。また、これ以外の外務省としての政策がありましたらお聞かせください。

【大臣】ビザの発給の条件を緩めるということは、観光客を誘致するための大きな手段であると思います。ただ、一方で緩めた結果の弊害も予想されますので、そういったことについて外務省として観光立国の重要性は当然賛同しつつも、そういったマイナスの面についても気を配りながら、最終的にどうするかということを決めていかなければいけないと思います。もう一つ、物理的になかなかビザの発給がタイトと言いますか、かなりの事務量になっていますので、そういうことについてもきちんと対応していかなくてはならないと思います。たしか今中国の中で北京と広東と上海の3カ所だったと思います。それを増やすということも一つですが、そのためには人が必要になりますので、そういったことについてもよく議論していきたいと思います。

目次へ戻る

米国におけるトヨタ自動車のリコール問題

【日刊ゲンダイ 小塚記者】トヨタの問題に関してですが、以前大臣は日米関係において「心配しています」と仰っていたと思うのですが、現状を見ると、社長が公聴会に出席するかどうかの問題を巡って、状況は悪化していることはあっても、良くなっているようには見えない部分があるのですが、まず現状を心配していらっしゃるということをどうお考えになっているのかということと、先程、「バックアップをしたい」と公聴会に向けて仰っていましたけれども、具体的にバックアップとはどういったことがあるのかについてお願いします。

【大臣】バックアップというのは、もちろんトヨタは私企業ですから、それからトヨタは大きな会社ですから、自分で出来ることが多いと思いますけれども、しかし日本政府として、例えば外交ルートで大使館の機能を使って出来ることがあると思いますので、そういったことについてバックアップしていきたいと思います。もちろん、これは安全に関わる話ですので、無条件にトヨタをバックアップするということではなく、意思疎通が、コミュニケーションがきちんと行われ、誤解というものがないようにバックアップしていくということです。トヨタの豊田社長は17日の記者会見で「公聴会の出席は先方からの指名が来た段階で考えたい」と言われて、今回、「正式に招致されたので、喜んで伺いたい」と言われた訳で、私(大臣)はその間豊田社長の主張というのは一貫していると思いますが、一部の報道ではそれが「出ないと言って、出ると言った」などど伝えられているのは非常に残念なことだと思っています。

【NHK 吉田記者】トヨタの関連で、大臣冒頭に「この問題は日本全体に関わる問題だ」というような発言をされましたが、その具体的な意味合いを教えていただけますか。

【大臣】これはトヨタ自動車という個別の企業の安全に係わる問題でありますが、やはり、「メイド・イン・ジャパン」という、トヨタはメイド・イン・USAもありますが、日本の技術とか商品に対する信頼に響きかねない問題だと思います。それから、トヨタの関連の企業などを含めると非常に裾野が広い訳ですから、もちろん事実として様々な減産を余儀なくされたり、或いはリコールすると、それが必要なことについては当然ではありますが、もしミス・コミュニケーションに基づいて、そういうことが必要以上に拡大するということであれば、なるべくそういうことは防ぎたいと思うことは、私(大臣)は日本政府として当然のことだと思います。

目次へ戻る

民主党の政策調査会

【NHK 禰津記者】今、民主党で政策調査会を復活させようという動きがあると思うのですが、今の政策会議では十分な議論が出来ていなくて形骸化しており、国会議員の意見が届いていないという意見が背景にあると伺っています。こういう政策調査会を復活させるという動きについて、大臣はどのようにお考えですか。

【大臣】これは、民主党の中で、或いは政府の方でもよく議論したらいいと思います。確かに「議論の場が非常に限られている」という声がよく聞こえてきます。外務政策会議も開いていますが、我々もなるべくそれを数多く開いて、いろいろな意見を言っていただく努力はしていますが、やはり組織として、いわば外務政策会議というのは外務省が開いている会議ですから、党の方で何らかの組織が必要だという議論は当然あると思いますし、例えば、議員立法等はどうするか、また、マニュフェストはどこで議論するのかとか、そのような問題が提起されておりますので、党の中で、或いは政府の中で議論したらいいと思います。ただ、最終的には「政策については政府で」ということでありますので、どういう形で行うのが一番いいのかということは、様々なアイデアがあり得ると思いますので、そういったアイデアの中で何が一番いいのかをよく議論すべきと思っています。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成22年2月16日(火曜日)17時20分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣の豪州訪問について

【岡田大臣】私(大臣)の豪州訪問について、今月の20日(土曜日)から21日(日曜日)まで豪州を訪問し、ラッド首相を表敬訪問するとともに、スミス外相、フォークナー国防相と会談を行う方向で現在調整中であります。より正確に言うと、19日(金曜日)夜に日本を発ち、22日(月曜日)早朝、成田に着くという日程であります。今回の訪問を機に二国間の諸問題と共に、気候変動、核軍縮・不拡散などのグローバルな課題について意見交換を行い、両国間の戦略的パートナーシップを更に発展させたいと考えております。その他、おそらく捕鯨問題についても議論を行うことになるだろうと予想をしております。

目次へ戻る

調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為)

【朝日新聞 東岡記者】捕鯨の問題についてお尋ねします。シー・シェパードのメンバーが日本の捕鯨調査船の中に侵入しました。大臣としてこれをどう受け止められるのか、また、外務省としてどのような対応をするのかという点に加えて、冒頭のオーストラリアを訪問される際の議論で、どういうことを日本側としてお話しされる予定なのかについてもお願いします。

【大臣】まず、シー・シェパードの活動家が不法に第二昭南丸に侵入した件については、外務省というよりは政府としての対応で、すでに赤松農水大臣なども記者会見でお話になっているとおりであります。基本的にはこの活動家を第三国に引き渡すことなく日本に連れて来るよう、準備を進めているところであります。豪州訪問の折りにどういう議論をするかということについては、これは相手方もあることでありますが、今まで主張してきたことについて、豪州側は調査捕鯨について様々な意見をお持ちのようですから、そういったことに関してしっかり議論することになると思います。

【AFP通信 長谷川記者】一部報道でシー・シェパードに関連して、ニュージーランドの方で日本大使館の大使が関連の方を呼んだと、日本側としても(在京)ニュージーランド大使館関係者を呼んだという報道があるのですが、それについて事実関係をお伺いできればと思います。

【大臣】私(大臣)は承知しておりません。

【読売新聞 川崎記者】大臣のオーストラリア訪問時のことに関連して、現在第二昭南丸は日本に向けて活動家を移送しているところだと思いますが、このまま真っ直ぐ日本に帰ってくるとなると相当時間もかかるということで、例えば第三国の寄港地で降ろして、そこから、例えば飛行機で連れて帰るという方法も当然考えられると思いますが、その場合に一番近いのが、当のオーストラリアになるのではないかと思います。オーストラリア政府に対して、移送に関して何か協力を求めるお考えはございますか。

【大臣】このことに関しては相手の国もあるわけですし、日本政府としても、どういう対応が望ましいのかということについて協議をしているところであります。日本政府として基本的なスタンスを固めた上でどうするか、オーストラリアも一つの候補かもしれませんが、他にもあるでしょうし、そういった国と協議をするのかどうかということを決めることになると思います。現時点では、そういうことは具体的に決まっておりません。基本的には船に今乗っているので、船は日本に向かっているという状況です。いずれにせよ、海上保安庁の責任ある者が行かないと身柄拘束できません。それから、証拠の問題もあります。そういう意味で、船そのものは日本に持って来ないといけないという状況にあると思います。

【AFP通信社 長谷川記者】乗組員の扱いですが、例えば、24時間監視をしているのか、どのように扱っているのかという情報があれば教えて下さい。

【大臣】拘束と言っても、船員法27条に基づいて、船内にその活動家を保護しているという状況です。

【AFP通信社 長谷川記者】保護しているということは、身体的な拘束をしているということではないのでしょうか。部屋の中、一室でじっとしてもらうとか何か。

【大臣】基本的に船員法に基づいて、「船長は船内にある者の生命若しくは身体又は船舶に危害を及ぼすような行為をしようとする海員に対し、その危害を避けるのに必要な処置をすることができる」ということですから、その範囲の中で対応しているということです。

【NHK 禰津記者】調査捕鯨に関して、先程、オーストラリア政府と意見を交わしたいということですけれども、シー・シェパードの船自体が、今オーストラリアの港を拠点として、いろいろ活動しているという実態があると思います。シー・シェパードの活動に対して、オーストラリア政府に対してどのような申し入れなどをする予定なのか等お伺いできますでしょうか。

【大臣】具体的な議論は、今からどういう主張をしたいということを言うべきではないと思います。それから、船籍の問題もありますので、オーストラリアにどういうことが言えるのか、そういったことも注意深く整理をしてみたいと思います。

【時事通信社 鈴木記者】シー・シェパードですが、先程、船そのものを日本に持ってくる必要があると仰いましたが、それは今メンバーを乗せたまま船が日本にそのまま来るということなのか、どこかで海上保安庁の船か何かに身柄を移した上で一緒に日本に戻ってくるということなのかの確認をしたいのと、それからそのお考えは政府の方針なのか、今のところ大臣の個人的な見通しなのか、その辺りを確認させてください。

【大臣】私(大臣)は、きちんと説明をしたつもりですが、その船に乗った人をどういう形で日本に連れてくるかということについては、今、決めていないということです。船は証拠ですから、これは、いずれにせよ、日本に持ってくる必要があるということであります。現状では、その船に乗って日本にやってくるというのが今行われていることであって、それを変えるという決断を何かしたわけではありません。

目次へ戻る

米軍再編問題

【NHK 禰津記者】普天間問題についてお伺いしたいと思っています。明日開かれる予定の政府与党の検討委員会で、社民党と国民新党が提示する予定だった具体的な案が見送られる方針になったということで、5月末までに地元と米国と合意するという期限が迫っている中、その影響などについて大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】これは検討委員会の中で一応明日ということになっておりましたが、それぞれの党内での調整もあると思います。多少ずれ込むということについて、特にコメントすることはございません。

【時事通信 高橋記者】本日午後に米海兵隊のスタルダー中将とお会いになったようですが、どのような話だったのか、それから、普天間に関して、向こうから何か要求と言いますか、提示はあったのでしょうか。

【大臣】普天間の話は特にございません。ただ、海兵隊がどのような役割を果たしているのかということについて、ご説明になったということであります。私(大臣)は先般、カエルの置物を頂いたこともあり、それは冗談ですけれども、日本に折角お見えになるので意思疎通をよくしたいと思ってお会いした訳です。普天間の問題については特に議論になっておりません。

【フリーランス 小山氏】普天間の移設問題ですが、移設先についてはどこが中心になって探しているのでしょうか。防衛省は全く探していないので、お伺いする訳ですが。

【大臣】今、政府の中に官房長官を座長にする検討委員会がありますので、そこで議論されていると、現状はそういうことです。

【琉球新報 滝本記者】米海兵隊の中将との面談の関連で、普天間のお話は特に言及がなかったということですが、海兵隊の果たしている役割という意味で、やはり沖縄の地にあるということ、基本的に日本の中でいうと海兵隊は殆どに沖縄にいますので、その地理的な状況、「ここにいるということの意味が重要なのだ」とか、そういうようなことについての言及だとか、その意見交換なりはなされてましたでしょうか。

【大臣】そういうお話がありました。

【琉球新報 滝本記者】具体的には「ここにいなければいけないのだ」ということでの。(お話でしょうか。)

【大臣】中身はお話しませんが、海兵隊の果たしている役割と、それから今、沖縄にある訳ですから、「沖縄にあることの意味」ということについてお話になっておりました。

【琉球新報 滝本記者】そのようなお話をなさったことに対して、どのように大臣ご自身のお考えなりを伝えられたのか、そのことについてお伺いします。

【大臣】私(大臣)は「お話をお聞きする」という態度で、そういったお話について耳を傾けさせていただきました。

【フリーランス 小山氏】米軍再編ですが、何年も前に日本は米国と合意しているわけですが、ほとんど防衛省は履行していないのですが、それは問題として少し深刻なのではないかと思うのですが、如何でしょうか。

【大臣】履行していないとはどういう意味でしょうか。

【フリーランス 小山氏】いろいろな合意事項があり、普天間もその一つですが、それ以外にもいくつもございまして、ほとんど防衛省は履行していません。これは一体どういうことなのでしょうか。

【大臣】必ずしもそういうことではないと思います。例えば岩国(基地)なども工事は進んでおりますし、履行していないということの意味がよくわかりませんが。

【フリーランス 小山氏】具体的には、米軍の戦闘機が日本の空港を使えるという合意になっていますが、未だに使えていません。その他いろいろありますが。

【大臣】ちょっと仰っている意味がよくわかりませんけれども、日米間では話し合いをしながら着実に前に進めていると思っております。

目次へ戻る

いわゆる「密約」問題に関する調査

【フリーランス 上杉氏】密約問題についてお伺いします。たしか検証チームの公表が今月末だったと思うのですが、もし違うとしたら一体いつになるのかということと進捗状況についてお話できることがあったらお願いします。

【大臣】進捗状況は順調に進んでおります。今月末という言い方は私(大臣)はしておりません。3月のどこかの時点でと申し上げているつもりです。

【琉球新報 滝本記者】密約の件に関しまして、沖縄返還の密約について本日裁判が結審ということで、国側からの反論というか主張も出されたと思うのですが、その最後の部分で密約の検証チームで今やっているということの締めがあったと思うのですが、密約検証チームの進捗の流れのお話をお伺いしましたけれど、裁判との関わりで、次の段階で裁判の判決がいつか出るということになると思うのですが、その裁判の結論の前に検証チームの結果を得て、外務省の自らの発意としてこの問題についてはどうなのだということについての見解というか考えを公表するという形の部分についてのお考えは如何でしょうか。

【大臣】裁判は裁判ですから、たしか判決は4月17日くらいということになったのではないでしょうか。それまでにはおそらく密約についての結論と言いますか、検証結果と調査結果は出ているということであります。あとはそれを裁判所がどう考えるかという問題だと思います。
〈補足〉沖縄返還に際する「密約」に関する情報公開訴訟の判決日は4月9日です。

目次へ戻る

公務員制度改革法案の見直し

【日本テレビ 小栗記者】今週の金曜日に公務員制度改革法案が閣議決定される見通しですが、これが民主党が言ってきた「政治主導による霞が関改革」につながるというように受け止めていらっしゃるのかどうか、大臣としての受け止めをお聞かせください。

【大臣】まだ金曜日に決まるかどうかということは決定されておりませんが、基本的に人事権というものは内閣総理大臣のもとにあると、より法律的に正確に言えば各大臣にあるわけですが、それについて、官邸が、或いは総理が、そういった省庁の枠を超えて人材を動かすことができると。その中には今までの考え方で言えば、昇格もあれば降格もあるということで、かなり自由度が増すということです。私(大臣)は霞が関のこの「省あって国無し」というような状況が次第に変わってくると、「国の公務員である」と、どこかの役所の省益ではなく、「国全体、或いは国民全体のために働いている」という意識が高まってくることを期待したいと思っています。

目次へ戻る

東シナ海の油ガス田開発問題

【ニコニコ動画 七尾記者】1月27日の報道によりますと、東シナ海のガス田開発問題を巡りまして、自民党が「日中両国が共同で開発」に合意しております「白樺」などの現状写真の提示を求めましたところ、政府は「今後の情報収集に支障をきたす」として公開を拒否していたとのことですが、理由をもう少し分かり易く教えていただきたいのと、また最新の「白樺」の状況についてお聞かせいただければと思います。

【大臣】今話し合いをしているところで、具体的なことを、私(大臣)は今、申し上げるつもりはありません。写真については、随時そういったものを政府として監視するためにも撮っておりますが、それも一般に公開する性格のものではないと考えております。これは従来、自民党が政権を取っているときも同じです。

目次へ戻る

沖縄担当大使の役割

【琉球新報 滝本記者】沖縄にあります外務省の沖縄事務所に沖縄担当大使がいらっしゃって、これまでは定例で記者会見をされていました。政権交代の移行というものがありましたが、その後、在外公館でも大使の会見というのは従来どおり行われていると思いますが、私の理解では、現在の大使になられてから会見を一切されておらず、地元の要請を受けるという窓口の形だけで、ガス抜的な位置付けで、本来の沖縄の実情を東京へ正確に伝えるという役目が果たされていないのではないかということで、(沖縄担当大使が)いらっしゃる意義について地元の方では疑義の声も上がったりするのですが、そういうことについて、沖縄担当大使の存在意義について、改めてお伺いしたいと思います。

【大臣】会見をやらないというのは、それぞれの赴任地において、外国にいる大使がそれぞれ国を代表して会見をするということは必要なことです。ただ、沖縄の場合、日本の国内ですので、こうして、私(大臣)なり、副大臣なりが会見をしていれば、それで兼ねているというように考えるべきだと思っております。むしろ次官も含めて、そういった会見、外に向かっての発言は、基本的に政務レベルでやるというように考えておりますので、大使が会見をしていないというのは、そういう方針から考えれば当然のことであります。その他、大使を始めとする沖縄で外務省の職員が役割を果たしていないかといえば、私(大臣)は十分に頑張っていると思っております。

【琉球新報 滝本記者】この度、官邸に沖縄連絡室というのができまして、その分室が沖縄の方にできています。それで「官邸との直接のパイプ」というように官房長官が仰られますが、本来政府は外務省の出先機関として沖縄事務所があって沖縄担当大使がいらっしゃって、沖縄の実情を吸い上げて報告されて、それは政府内で共有されているはずべきだと私は思います。それが、官邸がまた独自のパイプをつくられて、二元化ということで、では「大使は今まで何をしていたのか」と、それも先ほど私が申し上げたような地元の疑問の声ということの一つでもありますが、今回新たに開設された連絡室ということを受けて如何でしょうか。

【大臣】連絡室は沖縄の要請に基づいて平野官房長官がつくることをお決めになったと聞いております。既存の外務省の組織や、或いは防衛省の組織がありますから、それとバッティングしない範囲で動かしていくという前提で置かれているものであって、役割分担はきちんとできていると考えております。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成22年2月12日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣の韓国訪問について

【大臣】私(大臣)からは昨日の韓国訪問について、既にいろいろ報じられているところではありますが、実質的にはわずか1日という限られた時間ですが、外交通商相、そして非常にお忙しい中、大統領、首相、統一部長官にお目に掛かり、その他経済界の古い友人等にもお目に掛かる機会があり、併せて韓国語を学ぶ日本の学生とも意見交換する機会がありましたので、非常に充実したものであったと考えております。
 中身については既に報じられておりますけれども、今年1年は日韓併合100周年ということで、センシティブな年であるという共通認識の下で、しっかりとこの1年を協力してやっていこうということが外相間で確認できたと思っております。そして、日韓EPAの話とか、様々な具体的な問題についても意見交換を前向きにすることができたと思っております。特に私(大臣)は、大統領と久し振りにお会いをして、大統領になられてからは直接お話をするのが初めてだったのですが、アッバース議長や(他国の)首脳が二人おられる中で、時間を割いていただいて30分程意見交換できたことは大変有益だったと思います。大統領は大変エネルギッシュに前向きなお話をされましたけれども、日韓EPAについても是非議論を再開することについて、非常に前向きな姿勢を示されました。
 それから、非常に印象に残っておりますのは、「リーダーたるもの、もちろん国民の意見にしっかり耳を傾けなければいけないけれども、それだけでは物事は決められなくなる。決断すべきときはきちんと決断しなければならない」ということを言われました。一時期は支持率が20%程度に落ち込んだ中で、最近は50%近くまで支持率が上がってきておられると思いますが、まさしく自らの経験を踏まえて言われた発言だと思いますので、大変参考になったといいますか、非常に印象深い発言だったと思います。
 冒頭に戻りますが、いずれにしても今年1年、シャトル外交ということであれば、大統領がどこかの時点で日本にお見えになりますし、日中韓首脳会談が行われますので、総理も韓国に行かれる機会も当然あります。G20もありますし、APECもあるということでありますので、何回か行き来が首脳間でもあるという中で、これからの日韓関係の100年を見据えて、いいスタートを切りたいと考えているところでございます。

目次へ戻る

日韓関係(日韓外相会談等)

【時事通信 水島記者】日韓関係ですけれども、昨日の外相会談後の会見で大臣は、「日韓併合について、民族の誇りを傷つける出来事だった」と、かなり踏み込んだ発言をされましたが、その狙いと、そういう表現をされた大臣の心情について説明していただけますでしょうか。

【大臣】私(大臣)は「国を奪い、そして、民族の誇りを深く傷つけることであった」と申し上げたわけであります。これは当事者の身になればすぐわかることですが、例えば日本が同じような立場になれば、少なくとも私(大臣)は、私(大臣)自身の日本人としての誇りを深く傷つけられたと感じると思いますし、日本という国が他のある国に併合されて、なくなってしまうということは耐え難いことです。身を置き換えてみれば、多くの日本人の皆さんにも、私(大臣)の言ったことに共感していただけるのではないかと思います。私(大臣)がよく使う言葉に、「害を与えた方は忘れがちだけれども、被害を受けた方はなかなか忘れられない」と、まさしくこの日韓の問題について被害者となった朝鮮半島の人々、韓国だけではないですが、朝鮮半島の人々の立場に立って、受けた影響というものを忘れてはならないと私(大臣)は思います。私(大臣)の発言は日本に向けてもメッセージを発したつもりであります。相手の立場に立って考えみれば、よく理解できることではないかということであります。

【NHK 別府記者】朝鮮半島情勢ですが、北京で今、中朝間の外交接触が行われていますが、中国政府からどのような公式・非公式に何か連絡があるのかということと、あと、今回の中朝接触の意義をどのように見ていらっしゃるかお願いします。

【大臣】特に中身をお話しする立場にはありません。ただ、何か注目すべき話というようには、現時点で受け止めておりません。

【共同通信 西野記者】日韓関係についてですけれども、直接、昨日の会談で大きく取り上げられてはいないと思いますけれども、韓国側は歴史問題に関していろいろな論点を持っていると思いますが、日本政府は1965年の日韓条約で、いわゆる請求権については終わっているという認識が政府方針だと考えています。今後1年間でいろいろな話があると思いますが、そういった過去の問題は解決済みであるという日本政府のこれまでの立場には、変更はないのでしょうか。

【大臣】基本的には変わりません。法的な問題としてはそこで解決を、お互いが納得づくで解決をしたということであります。

目次へ戻る

外国人地方参政権

【産経新聞 赤地記者】日韓の外相会談の話題になった地方参政権付与法案の関係ですけれども、韓国側からは期待が表明されたと思いますが、今後政府内でどのように取り組んでいかれるのか、大臣の法案への賛否も含めてお聞かせください。

【大臣】賛否は、内閣で決めた時点で、その決めた方針に従うということで、あまり個別の意見を申し上げない方がいいと思います。閣僚ですので、そこは慎重に申し上げたいと思います。私(大臣)の基本的な考え方は今までの中で申し上げているところでありますけれども、閣僚になった以上は内閣の方針に従うということであります。これから、党と内閣と調整をしなければなりません。「内閣と」と言うときに、与党間での調整も必要になります。そういったことを、全体をこれから議論していくということになるのだろうと思います。現時点ではまだ固まっていないということです。「現在、検討中である」ということを韓国においても説明してまいりました。

【テレビ東京 柳川記者】検討中ということですけれども、日本国民にとって検討している先がどのようなメリットがあり、どのようなデメリットがあると想定した上で、その検討というのはしていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】それは、これまで進めてこられた党及び、担当は総務省でありますので、総務大臣にお聞きいただいた方がいいと思います。私(大臣)は直接この法案について責任を持つ立場ではありませんので、外務大臣の立場で特にお話をすることはありません。

【フリーランス 安積氏】先日、全国都道府県議長会で、参政権についての意見交換が行われました。この中で民主党を代表して今野東さんが発言された内容で「帰化には5年間の居住と、まともであることが要件である」とおっしゃいましたが、政府と与党は政策的には一致しているということでございますけれども、「帰化には5年間の居住とまともであることが要件である」ということは、「参政権の付与については、まともであることは要件とならない」ということになると思うのですが、この考え方についていかがお考えですか。

【大臣】論理的に少し質問の趣旨が分かりません。

【フリーランス 安積氏】5年間の居住と、まともであることが要件であるけれども、参政権については、その要件ではなくて10年間の居住であることだけが要件であるという発言でした。

【大臣】参政権について10年の居住という話は私(大臣)は初めて聞く話ですし、少し仰っていることがよく分からないのですが、国籍を取る取らないということと、参政権ということは質的に違うことですから、その二つの要件だけを比較して、そこだけが違うと仰っている意味が私(大臣)には理解が良くできません。

目次へ戻る

米軍再編問題

【NHK 禰津記者】普天間問題についてお伺いします。昨日、検討委員会のメンバーがグアムに視察に行っていましたが、この中で、サイパンの地元の知事が受け入れに前向きな姿勢を示したということについて、まずご見解をお伺いしたいのと、これを受けて社民党の福島さんが、党としても検討したいというようなことを考えていますが、これついてのご見解もお願いします。

【大臣】具体的に「どこが」という話は検討委員会で行われていることですので、今、私(大臣)が、どこがいいとか悪いとかそういうことは避けるべきだと思っています。そういうことでずっとやってまいりましたので、特にそのことにコメントはいたしません。ただ、サイパンの知事は、「米国政府の全面的なバックアップがあって」ということで言われたと思いますので、自らが全面的に引き受けるという趣旨ではなかったのではないかと思っております。

【テレビ朝日 新堀記者】普天間に関する基地問題検討委員会は、来週そろそろ与党内の案が出てくるということですが、その後の政府内、政府と与党の間の議論の進め方、どのようなことを考えていらっしゃるのかを教えていただけますでしょうか。

【大臣】基本的には、官房長官が検討委員会を責任を持ってやっておられますので、官房長官のお考えは当然あると思います。そのお考えも伺いながら、閣内でいろいろ相談してまいりたいと思います。現時点では何も決まっておりません。

【琉球新報 滝本記者】グアムへの視察の件で、先程テニアンのお話がありましたけれども、グアムの州知事は、今ある日米合意以上に(海兵隊の移転が)増えるということは受け入れ難いとの難色を示した回答をされているようです。これに対する受け止めをお伺いできればと思います。

【大臣】そのことも含めて、今、個別のことは私(大臣)が言わない方がいいと思いますので、検討委員会で検討されている途上にありますので、コメントすることは控えたいと思います。

目次へ戻る

報償費

【共同通信 土屋記者】外務省の報償費上納問題についてお伺いします。慣行があったということは、本日の閣議決定でも、答弁書でも認めておられましたけれども、いつからいつまでそういう慣行があったのかという事実を、外務省として把握しているのか。それから、総理が「ある程度までは調べてもいいのではないか」ということを、資料がないということを前提にして調べてもいいという考え方を示しておられましたけれども、その点についてどう思われるか教えてください。

【大臣】それは前回も出たと思いますが、総理も考え方を官房長官と相談して、その考え方を今言われていないと思います。いずれにしてもそれは官邸の中の話ですから、総理がそう言われるということですと、それは官房長官とよくご相談になる話だと思います。しかし、総理はそういった今お話のようなことは言っておられないと、私(大臣)は理解しております。上納というか、外務省の報償費を外交用務ということで使っていたということに関しては、詳細については、私(大臣)は報償費という性格もありますし、かなり昔の話でもありますので、事実関係がはっきりしないところもありますので語るべきではないと思っております。ただ、そういうものがあったという事実は、事実は事実として明確に申し上げた方がいいという判断をして、あのような質問主意書の答弁になったわけであります。

【共同通信 西野記者】事実を事実としてお認めになったことは、政権交代の成果であると評価できると思いますが、そこだけで、大臣は「詳細は報償費という性格もある」ということで、それ以上のお答えを避けているような気がします。例えば、どうしてそういったへんてこな仕組みになっていたのか、あるいは全体の額としてはどれぐらいだったのかということは、用途を示していなくても説明できるのではないかという気がします。なぜもう少し踏み込もうとしないのか、ほかに何か理由があるのであれば教えていただきたいと思います。

【大臣】例えば「どうしてそうなっていたか」ということは、当時の官房長官なり外務大臣でないと分からない話です。私(大臣)が当時の外務大臣や官房長官に聞くと、そのようには思っておりません。

【共同通信 土屋記者】気になるところは、1993年に細川政権が誕生したとき、鳩山総理が官房副長官として官邸の中にいたわけですけれども、そのときも、例えば「外務省の上納が行われていたかどうか」というところについては気になるところであると思うので、どのように認識しておられるかお伺いしたいのですが。

【大臣】それだけ過去に遡りますと私(大臣)は分かりませんし、調べてわかるかどうかというのは、外務省ではわかりません。

目次へ戻る

米国におけるトヨタ自動車のリコール問題

【マガジンX 島田記者】車の話でトヨタの問題ですけれども、メーカーとしての対応をどう考えているのかについて、関連して、米国の市場もいろいろとございますけれども、その辺りの感想をお伺いしたいと思っています。

【大臣】いろいろなことが言えると思いますが、大臣ですので、私(大臣)自身の感想を言うべきではないと思います。具体的なことについては、担当の国交大臣なり、経産大臣が、それぞれご発言になっているのではないかと思います。米国もいろいろな発言もあったりして、行き過ぎている部分もあるかもしれませんけれども、しかし、それぞれの政府の人間や、あるいは政治家が自らの見識に基づいて言っておられるわけですから、一つひとつについて何かコメントをすることはやめた方がいいと思います。

【マガジンX 島田記者】先ほど「経産大臣と国交大臣とも」と仰っていましたが、各省庁と連携して米国と何か調整するという方針も、全く今のところはないということでしょうか。

【大臣】基本的には、これは個別の企業の話です。もちろん、政府としてバックアップできることがあればやりたいと思いますが、今、政府ベースで何かやるということは私(大臣)は念頭にありません。もちろん、担当のそれぞれの大臣からそういう提案があれば、外務大臣として出来ることはしっかりとやっていきたいと思います。

目次へ戻る

日本漁船に対するロシア国境警備局による銃撃事案

【読売新聞 川崎記者】ロシア国境警備隊による漁船銃撃事案の関係ですが、ご承知のとおり、この漁船2隻の船長2人が衛星を利用した位置の装置の電源を切っていたということで海上保安部に逮捕されておりますが、これについての大臣のご見解と、これに関連しまして、ロシア側は、今後もこのようなロシア側が言う領海侵犯のようなことがあった場合には、銃撃を辞さないというようなことを報道を通じて言っているようですが、この2点について大臣のご見解をお願いします。

【大臣】まず、銃撃ということは人の命に係わる話で、そのことについて我々は抗議をしたところであります。そのことについては変わりません。お互いがきちんと約束をした、そういう地域を超えて漁船が活動していたとすれば、これはもちろん問題ですが、現時点では「機械を止めた」ということについて逮捕され、現在取り調べ中であります。起訴するかどうかはまだ現時点では分かりません。そういう状況でありますので、これ以上のコメントは現時点では控えたいと思います。ただ、事実関係がはっきりすれば、何か申し上げることはあると思います。

目次へ戻る

竹島問題

【読売新聞 石川記者】竹島の関係で、海洋科学基地が韓国によって建設されているということが亀井亜紀子議員から質問主意書が出ていたと思いますが、それに対する答弁書が本日、外務省から出ていると思います。「そういった報道があることは把握しているけれども、個別の外交問題については応えられない」という答弁書だったと思うのですが、報道ベースではなく、実際にこういった行為があるということを外務省として把握されているのかということと、これに対する抗議等はされているのか。また、昨日の外相会談や大統領との表敬では、こういった話は触れられることはあったのでしょうか。

【大臣】ありません。触れておりません。

【読売新聞 石川記者】報道ベースではなくて、実際にこうした行為があるということは把握されているのかどうか。

【大臣】私(大臣)は答弁を見たのが少し前なので、記憶が薄いので調べて報告します。

目次へ戻る

ODAのあり方に関する検討会

【共同通信 西野記者】ODAの見直しに関するタスク・フォースなのですが、どのような現状になっているのか、把握されている範囲でお話し下さい。

【大臣】動き出したところですから、まだ現時点でご報告するようなことは特にありません。時期が来ればお話したいと思います。

目次へ戻る

いわゆる「密約」問題に関する調査

【琉球新報 滝本記者】16日に沖縄密約の裁判が結審の見込みということですが、国側が前回、前々回、吉野文六さんが証言されたことについての反論として、「証言については推測も含まれている」というような内容の反論というか、国側の見解を出される予定との一部報道もありますが、前回の吉野さんの証言に対する国側の姿勢について、改めてお伺いしたいと思います。

【大臣】まだ、それは私(大臣)は確認しておりません。

目次へ戻る

調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為)

【NHK 禰津記者】南極海でまた日本の調査捕鯨船とシ-・シェパードとの衝突があり、日本の船員が三名、薬品をぶつけられて怪我人が出ているということですが、改めてこれに関してどのような外交的な措置をとるのかということと、前回アディ・ギル号と調査捕鯨船がぶつかった後の記者会見で、大臣は「今後、こういったことが続くようであれば抗議だけでなく、関係国と協議する必要がある」と仰っていたと思いますが、これで(衝突事案が)三回くらい続いているかと思いますが、どのような対応をとられるおつもりなのか、お考えをお聞かせください。

【大臣】非常に懸念をしております。今回の二隻、一隻はオランダ船籍、もう一隻はトーゴ船籍と理解をしておりますが、二隻の船舶が我が国の調査団に付きまとい、様々な妨害行為を行ったと。酪酸の入った瓶が第二昭南丸に投げ込まれ、船体に当たり瓶が割れ酪酸が飛び散り、船員三名の顔にかかったということです。視力には異常はないけれども、顔に痛みがあるということで、これは放置できませんので、外務省としては、在オランダ大使館の公使からオランダ外務省の運輸課長に申し入れを行ったところです。その後もこういった行為が続いておりますので、本日の午後、本省の漁業室長が在京のオランダ大使館の公使に来訪を求め、申し入れを行う予定です。水産庁の方もいろいろご検討されているということです。

【読売新聞 川崎記者】このように何回も同じようなことが繰り返されており、その度に外務省としては抗議をしているということだと思うのですが、抗議をしても、ある意味、一行に埒が明かない状態が続いているように見受けられます。今後、例えば、役人のレベルではなくて政務レベルで強く抗議をするとか、或いは何か具体的な、先ほどの質問にもありましたように、関係国と協議するとか、そいういうことは近々には考えていらっしゃらないのでしょうか。

【大臣】これはトーゴとオランダと申し上げましたが、それは船籍があるということなのです。そこに高いレベルで抗議をして、それで問題が解決するかどうかという見通しの問題もあります。こういう状況が続くことは極めて遺憾ですので、何らかの対応を考えたいと思いますが、どこに対してどのようにものを言うべきかということを、現在検討しているところです。

目次へ戻る

QDR(4年ごとの国防計画の見直し)

【琉球新報 滝本記者】今月初めに出ました米国のQDRについて、(QDRが)出た直後の時にはまだ精読されていないということでしたが、その後、時間も一定程度経ったので、ご覧頂けたかなと思っています。その中でグアムの位置づけについて、米国の戦略の中でのグアムの位置づけが改めて書かれて強調されていると思いますが、その部分を大臣としてどのように読み解いているかということをお聞かせください。

【大臣】現にいろいろな工事が進んでいて、方針について確認といいますか、別にそれで新しい方針が出た訳ではなくて、現在の方針を確認したというように受け止めております。ただ、知事も言われているように、どこまで集積ができるのかということについて、地元の意見もいろいろあるのだろうと思っています。

目次へ戻る

文化外交

【フリーランス 島田氏】フリーランスとしてお伺いします。以前のブログで飯倉公館のお話について、「大使等にお食事の説明するのも文化外交の一つだ」と書かれていましたが、以前の私の質問で「文化外交は重要だから、この先もやっていきたい」と仰っていましたが、具体的にどういう方向で、省内の職員の方々に、具体的な方針をどうしたいというようなことを。

【大臣】飯倉(公館)の話ですか。

【フリーランス 島田氏】飯倉公館の話ではなくて、それを広げて、文化外交というものをどのように進めていこうと、何かチームを作ったりとか、具体的にやろうとしている方向性というものがあればお伺いします。

【大臣】外務省として、例えば、日本の文化、この前はマンガについて賞を作り、世界各国から作品を募ったりとか、そういうことをやっています。私(大臣)があそこ(ブログ)で申し上げたのは、「日本の食事というのも日本を理解していただく上で非常にいいツールなので、そういうものを活用していきたい」という趣旨で申し上げたところであります。昨日も韓国で、夜は機内食だったのですが、韓国の食事が出るかと期待した(ところ出なかったので)少し期待外れだったのですけれども、昼は外交通商省の公邸で、韓国は公邸があるのですが、昼飯を食べながらということで、韓国料理が出て、非常に良かったです。そういうことも、国に対する印象をかなり変えるといいますか、良い影響を及ぼすということだと思います。飯倉公館で食事をしながら議論するというのは、私(大臣)は非常に良いことだと思いますし、そういう時に色々な工夫も凝らしたらいいのではないかと思います。昨日少し言っていたのは、飯倉(公館)ではなくて官邸ですが、なぜか日本食の後にケーキが出てくることがあって、習近平中国国家副主席の時にはモンブランが出てきました。理由はよく分かりませんが、最後(のデザート)にケーキが出るのではなくて、やっぱり最後は和菓子が出てくるとか、日本茶が出てくるとか、和食でやったなら最後までそれ(和食)で締めたほうがいいのではないかという話を少ししていたところでした。

目次へ戻る

公務用ワインの管理

【週刊金曜日 伊田記者】飯倉公館のワインリストについてお伺いします。前政権の時ですが、情報公開でワインリストを請求したら、「そういうものはない」という判断でした。質問主意書の答弁書では「適切に管理している」と、膨大なワインをワインリストなしに「適切に管理している」という答弁があったのですが、政権も交代した訳ですから、飯倉公館にあれだけワインがあるということの是非と、ワインリストもなしに「適切に管理している」ということがあり得るかということについて、お考えをお聞かせ下さい。

【大臣】(伊田さんは)まだ(会見に)ご出席ではなかったかもしれませんが、一度ここで問題になったかと思います。確か鈴木宗男議員だったかの質問主意書がありまして、「何本あるのか」という質問に対して、記憶が明確ではありませんが、「7千本」と答えたかと思います。そして、「年間千本位使う」と、「少し在庫をスリム化する」というような趣旨の答弁書を作成した記憶があります。そういう方針で、課題になっている在庫を減らしていくということです。よく議論するのですが、せっかく日本に来ていただいたなら、同じワインを出すにしても日本のワインを出すなど、私(大臣)はお酒を飲みませんから分かりませんが、日本のワインのレベルもかなり高いということですので、そういう工夫をしてもいいのではないかと思います。ある外務省のOBの方から「ワインというのは出た時が一番安いんだ。時間が経てば経つほど価値が上がるので、在庫にしておくことはそれは意味があることなのだ」と言われましたが、世の中の感覚から言うとやはり、役所がそのようなものをたくさん持つというのは、私(大臣)の感覚にも合いませんので、「(在庫を)減らす」ということにしたいと思います。そういう方針を決めたところです。

【週刊金曜日 伊田記者】私も安い間に買っておいて貯めておくというのは悪いことではないと思いますが、7千本にも上るワインをリストも無しに全部覚えているのかということです。それについてはいかがでしょうか。

【大臣】私(大臣)はワインを飲みませんので、そういうリストが容易に作れるものであるのかどうか分かりませんが、それだけのものをリスト化すれば、かなり手間暇がかかるのは間違いないと思います。その手間暇をかけるだけの価値があるかどうかという問題だと思います。

目次へ戻る

その他

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読いたします。岡田大臣の政治家としてのお人柄を表すエピソードとして、贈り物は一切もらわない主義であるという記事を以前お見かけしました。政権与党となり大臣になられて、一段と国民の注目が集まる中、2月14日のバレンタイン・デーのチョコレートは受け取って頂けますかという質問です。

【大臣】それは駄目ですね。私(大臣)の手に来るまでに事務所で断ってしまいますので、手に入ることはありません。後でこっそり誰が持ってきたか教えてくれと言っても、それすら教えてもらえませんので。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成22年2月9日(火曜日)18時56分~ 於:本省会見室)

小沢幹事長の訪米

【フリーランス 岩上氏】昨日、小沢幹事長が定例の記者会見の中で、キャンベル国務次官補が訪米を要請し、それに応える形で、訪米に際してはオバマ大統領との会談をセッティングするように求めたという話が出ました。これをどのように受け止めるかなのですが、訪中団を組織して中国で手厚い歓迎を受けたあと、米国にも、言ってみれば、手厚い歓迎をしてくれと言っているようにも見えます。こうした外交も一つの外交だと思うのですが、小沢的外交手腕のようなものを岡田さんの立場からどのようにご覧になっているのか、ご評価願いたいと思います。

【大臣】これはキャンベル国務次官補がそのようにお招きをしたいと言われ、それに答えたものだと考えております。したがって、米国政府としての正式な発言だと思いますので、与党第一党の幹事長に対してそういう話があったということは、歓迎したいと思います。その後、大統領に会うか、会わないかという話について、私(大臣)は詳細を聞いておりませんので、今後の問題だろうと思います。

【共同通信 西野記者】外務省としては、便宜供与等も含めて全面的にバックアップするという考えでよろしいでしょうか。

【大臣】基本的にはそのように考えています。「全面的に」という表現がいいかどうかはわかりませんが、与党第一党の幹事長が訪米されるということであれば、しっかりバックアップしたいと思います。

【日経新聞 山内記者】併せて訪米の時期がゴールデンウィークの辺りということで、ちょうど普天間(問題)の決着時期が近い時期になっていますが、これについての受け止めと、政府と与党との二元外交との指摘がありますが、これについてどう考えますか。

【大臣】これはキャンベル国務次官補と小沢幹事長の会談の際に、幹事長の方から「政策について、これは政府の問題である」と明言されていますから、そういうご指摘は当たらないと思います。

【フリーランス 岩上氏】小沢幹事長とキャンベル国務次官補がお会いになったのが、小沢幹事長の起訴決定の前日であったことは偶然であったのかどうかわかりませんけれども、非常に重要な、非常にデリケートな時期に、キャンベル国務次官補がわざわざ小沢さんに会いに来ました。米側はある程度不起訴になるというような見通しを持たないと、このような重要な会談を持てなかったのではないかと思うのですが、この辺はいかがでしょうか。

【大臣】タイミングの問題については、我々の関知するところではありませんから、米国政府の、あるいはキャンベル氏個人のご判断ということだと思います。

【琉球新報 滝本記者】先程のどなたかのご質問にあった「ゴールデンウィークの時期は普天間(問題)の決着の時期と近い」ということの関係は、どのようにお考えかということについてお答えをいただきたいのですが。

【大臣】先程お答えしたつもりですが、「政策については政府だ」という前提の下での訪米ですから、ご指摘は当たらないと思います。

目次へ戻る

内閣支持率に関する世論調査

【朝日新聞 五十嵐記者】週末に行った世論調査についてお伺いします。朝日新聞の世論調査では、初めて内閣支持率が不支持率を下回って、不支持率の方が上になりました。これについての受け止めと、小沢幹事長について、幹事長を辞任すべきだという声が7割になりました。それに対して小沢さん本人は続投すると、昨日の面会でも総理はそれを了承したということですけれども、こういった国民世論との乖離について、どのようにお考えになられますか。

【大臣】逆転したというのは朝日新聞では初めてかもしれませんが、他のマスコミでは少し前にそういうことがありましたので、特にそれについてコメントすることはありません。それから幹事長職に関して言えば、それは内閣総理大臣が続投について了承されたということで、人事権者は代表でもある鳩山さんでありますから、その判断ということが下されたときに、閣僚として何かそれに付け加えることはございません。

【フリーランス 岩上氏】今の世論調査に関連してお聞きしたいと思います。確かにテレビ・新聞等の世論調査では内閣及び小沢幹事長に対して非常に厳しい数字が出ているようですが、他方、インターネット等での様々な調査によると、全く逆転した7割ぐらいの支持という、以前よりもむしろ支持率が上がるという逆転の現象が起きています。このメディア内での違いと言いますか、この現象についてはどのように分析されておりますでしょうか。

【大臣】一般論としてお答えすることはできますけれども、私(大臣)も評論家ではありませんので、そういうことについて個人の見解を述べるべきではないと思います。いずれにしても、この一連の件に関して前から申し上げておりますように、私(大臣)は外務大臣としての職責を全うすることに全力を尽くそうと思っておりますので、そういったことについて特にコメントすることは控えたいと思います。自制しているところです。

目次へ戻る

報償費

【J-CASTニュース 亀松記者】先週発表になりました報償費についてお尋ねしたいのですが、前回の記者会見での大臣のご説明は、金額や使い道については具体的に申し上げられないということでしたが、やはり国民からすると、それは説明としては不十分ではないかと感じているのではないかと思います。例えば社民党の福島党首も、「もっと過去の分について精査すべき」と仰っていますし、鳩山首相も「オープンにした方がいい」ということを仰られているのですが、もう少し具体的に公表されるというお考えはないのでしょうか。

【大臣】外務省としては、既にそれは外交用務に使われるということで官邸に持っていったものですから、そのあとのことは官邸で決めていただければいいと思います。先程、官房長官の記者会見を見ますと、総理が昨日言われたことについて、それとは違う方向で今仰っているようですから、官邸の今の意向はそういうことだと思います。

目次へ戻る

大臣の韓国訪問

【NHK 梶原記者】明日から訪韓されると思うのですけれども、意気込みと今年は日韓併合100年というデリケートな年になりますけれども、こうした問題をどのように取り扱っていくのかの二点について、お伺いします。

【大臣】基本的に外相同士でありますので、このデリケートな一年をどうのようにしっかりと協力をしながら乗り越え、そして未来志向の関係をより深めるかと、そのための意見交換ができればと考えております。

【毎日新聞 野口記者】日韓EPA交渉については、今、交渉が止まっていますが、再開への意気込みについての関連です。東アジア共同体を作るためには、アジア各国とEPA・FTAを結んでいき、その延長線上に共同体があるというお考えを大臣は持っていると思うのですが、一番近い隣国とEPAを結べないということについて、どのような見解で今後どのように打開していくお考えでしょうか。

【大臣】それぞれの言い分があります。私(大臣)は、もちろん、日本側もそうですが、韓国側もより積極的に取り組んでもらいたいと思います。なんとかもう一回交渉を再開するというところまで早期に持って行けるように、よく韓国側とも相談をしたいと考えております。

目次へ戻る

外国人参政権

【共同通信 斎藤記者】地方参政権を巡る議論はここで申し上げるまでもなく、閣内、そして与党内、そして国民世論でさまざま意見があります。一方、韓国側ではこの法案の早期成立に期待する声もあります。そうした中で、今外務大臣を任されている岡田大臣はどのように現状を考え、そしてどのようにこの問題に対処していこうとお考えか、その点についてお聞かせ下さい。

【大臣】この法案をどのような形で国会に提出するのかということについて、まだ政府与党の中で結論が出ていないというように思います。そういう現状をご説明したいと思っています。

目次へ戻る

韓国文化財引渡

【フリーランス 安積氏】宮内庁が保管している朝鮮王朝所蔵図書の件についてお伺い致します。2月7日に韓国政府が返還請求をすることを決定したという報道がありますが、今回の外相会談でこのことについてお話しされるご予定はあるのでしょうか。

【大臣】今、ご指摘の決定ということについては、私(大臣)は承知をしておりません。現時点でそういった内容が(外相会談で)出てくるのかということも不明ですので、コメントは控えたいと思います。

目次へ戻る

政治資金疑惑

【読売新聞 川崎記者】政治資金規正法違反事件で起訴された民主党の石川衆議院議員が、先程、北海道の地元で記者会見をしまして、自らの進退については、「与えられた職責を果たしたい」ということで議員を辞職する考えはないということを表明されたのですが、このことについて、大臣の見解をお伺いします。

【大臣】私(大臣)はまだ直接、映像などで見ておりませんので、石川議員がそのように言われたのかどうかというのは承知をしておりません。いずれにしても、ご本人の意見をよく聞いた上で、党としてどうするか、議員としてどうするかということは決められるべきだと思います。

目次へ戻る

北方領土問題

【産経新聞 赤地記者】先日、北方領土返還の全国大会が開かれて、大臣も出席されたと思うのですが、鳩山総理がその中で、「二島返還という結論はあり得ない」ということを表明されておりますが、今後の政府のこの問題に対する取組み方針について、改めてお聞かせください。

【大臣】大体、総理が述べられたものに尽きていると私(大臣)は思っております。首脳会談ベースでは前向きな雰囲気はしっかりと出ている訳ですので、それが外相レベル、或いは事務レベルでも、しっかり貫けるように粘り強くやっていきたいと思っています。

目次へ戻る

日本漁船に対するロシア国境警備局による銃撃事案

【共同通信 西野記者】羅臼の(漁船)銃撃の事案について、安全操業がストップしている状況が続いていますが、外務省として打開のために基本的な立場としてどのようなことを今、やられておられるのでしょうか。

【大臣】まず、今回の事件で銃撃があったことは許し難いことだと考えております。その上で事実関係がどうなのか、やや機器に途切れがあるという指摘もありますので、そういうことについて関係省庁で今精査をしているという状況だと思いますので、そのことを待って考えるべきだと思っております。

目次へ戻る

米国におけるトヨタ自動車のリコール問題

【共同通信 村上記者】トヨタの問題ですが、前回の会見で「しっかりとバックアップしてきたい。外交的にも一企業の問題ではない」とおっしゃられたのですが、具体的にどのようなバックアップをされるおつもりでしょうか。

【大臣】まず、この前のトヨタ固有の問題の前に、エコ(カー)補助金の話があった訳です。議会の中でいろいろな声がある中で大使館を中心に、(米側の)誤解もかなりありましたので、そのことを解くための努力をかなり力を入れてさせていただきました。現在のそれに加えてのリコール問題ですが、基本的にこれはトヨタの問題ですから、トヨタが解決するということだと思います。とはいうものの、日本国政府として、具体的には申し上げられませんが、そのことについてさまざまな側面でバックアップすることは当然だと思います。

目次へ戻る

調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為)

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読します。1ヶ月前に起きましたシー・シェパード船との衝突に続きまして、日本時間6日に再び、シー・シェパードの抗議船により日本の調査船2隻が光線の照射や接触に巻き込まれる等の妨害を受けたとの報道がございました。1月8日の大臣の会見につづくこととなりますが、度重なる妨害につきまして、大臣のご所見をお願いします。

【大臣】今回も急接近があったり、レーザー光線を照射したり、或いは臭いのついた物を投げ入れる等、度を越した行為には厳しく抗議したいと思います。外交的には、あの船はトーゴ船籍でありますので、(トーゴ)政府に対して申し入れもさせて頂いているところです。

目次へ戻る

イランの核開発問題

【NHK 別府記者】イランの核開発問題の関係ですが、国連の安保理で追加制裁の議論もという観測も出ていますが、日本政府も(安保理)非常任理事国として、追加制裁にどのように臨むのか、また(国連)現地代表部にどのような指示を出していますでしょうか。

【大臣】イランが新たな濃縮活動ということに言及したことは非常に残念なことだと思います。話し合いで解決が何とかできないかということで、日本政府も今まで取り組んで参りました。まだ望みを捨てている訳ではありませんが、しかし、このことに関して、今まで行ってきたEU3+3という枠組みの中で制裁という方向に議論はかなり進んでいると思います。安保理で更に議論がなされ、そして、そういう方向で一致をするということであれば、我が国としても安保理の決定に基づいて、制裁に参加するということに当然なります。そういうようにならないように、イラン政府はこの残されたチャンスをしっかり生かして、話し合いでこの問題を解決するように努力してもらいたいと思います。事態はかなり押し迫っていると思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成22年2月5日(金曜日)18時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)報償費について

【岡田大臣】私(大臣)から3点。第1点は報償費についてであります。本日の閣議で鈴木宗男議員よりの報償費関連の質問主意書への答弁書が閣議決定されました。外務省の報償費については昨年以来、これまでの経緯等について私(大臣)の下で確認作業を担ってきましたが、その結果、かつて外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたことがあったことが判明しました。なお、現在は外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていることはなく、また、今後もありません。以上の次第について、本日閣議決定された答弁書で答弁したところであります。外務省としては、報償費の適正な執行に引き続き努めてまいります。

(2)ハイチへのPKO派遣について

【大臣】第2点は、ハイチへのPKOです。これも本日の閣議において、国際平和協力法に基づき国連ハイチ安定化ミッションに自衛隊施設部隊等を派遣することを決定いたしました。この派遣は以前にもお話ししたように、地震によって甚大な被害を受けたハイチの復興支援のために大変有意義なことであると考えております。今後とも我が国が震災国として有する経験・知見を活かしつつ、国際社会と協力してハイチの復旧・復興に向けて積極的に取り組んでまいります。
 なお、派遣部隊は、明日(6日)第1派が本部を出発し、順次本隊が合流することになっております。派遣部隊の行うことは既に申し上げたところでありますが、瓦礫の除去、道路保守、あるいは軽易な施設建設などの支援活動を中心に、ハイチの緊急の復旧に貢献する予定であります。陸上自衛隊部隊約350名に加えて、司令部要員、連絡調整要員、その他輸送機のために海上・航空自衛隊部隊としております。場所については現時点でまだ決まっておりません。首都ポルトープランスからその西方、両岸近郊までのエリアを念頭に、現在国連等と調整しているところであります。実際に活動を開始するのは、明日(6日)出発をするということで、日本時間の8日に到着いたしますので、その後、準備が整い次第、速やかに活動を開始する予定であります。派遣期間は本年11月30日までを期間としております。

(3)大臣の北海道訪問について

【大臣】もう1点、私(大臣)のことですが、3月6日土曜日午後2時から北海道札幌市で「岡田外務大臣と語る」を開催いたします。この催しは従来から行ってきたものでありますが、日本の外交政策について直接国民の皆さんに説明するとともに、講演会参加者からのご質問にもお答えするもので、国民の皆さんとのコミュニケーションを重視した講演会にしたいと考えております。また、この機会に北海道知事、北方領土返還運動関係者等と会談し、北方領土問題や日露経済関係について意見を交換したいと考えております。あるいは本年、札幌で開催されるAPEC貿易担当大臣会合等に関しても意見交換を行いたいと考えております。翌7日(日曜日)、根室市を訪問し、元島民等の北方領土返還運動関係者の皆様と対話を行う予定にしております。

目次へ戻る

報償費

【NHK 梶原記者】報償費の件ですが、答弁書で外交用務というご説明がありましたけれども、もう少し具体的に金額や使途について教えていただきたいのと、支出されていたのは、平成13年に外務省幹部の使い込みが明らかになったと思いますが、これ以降も続けられていたということになるのでしょうか。

【大臣】私(大臣)の下で調査をいたしましたが、報償費ということでありますので、具体的に何に使われていたとか、金額はいくらかということについてはお答えしかねます。それから、事件後に使っていなかったかどうかということについては、事件が明らかになったあとは、そういうことはございません。

【フリーランス 畠山氏】報償費のことですが、今、金額についてお答えできないということでしたけれども、全体の、外務省報償費における内閣官房への上納額というか、渡していた額がどれぐらいの割合だったかということも、お答えいただけないということなのでしょうか。

【大臣】外交用務として使われていたこと自身が違法かというと、必ずしもそうであるとは言えないと思います。したがって、報償費という性格上、そのことについて私(大臣)が言及すべきではないと思っております。

【朝日新聞 鵜飼記者】報償費の性格上、額は明らかにできないということですけれども、総理大臣官邸の外交用務に使われているということは、報償費を目的以外に使用していたということにならないのでしょうか。もしそうであるとすれば、本来の目的から外れることになりますので、額を公開されてもよろしいのではないでしょうか。

【大臣】報償費というのは国の事務または事業を円滑に、かつ効果的に遂行するために、当面の任務と状況に応じてその都度の判断で最も適当と認められる方法によって機動的に使用する経費であると考えております。その枠を超えていたとは考えておりません。

【共同通信 斉藤記者】今のお話で、違法ではないという点はわかりました。では、調査結果を実際にご覧になった大臣から見て、違法ではないということですが、適切であったかどうか、使い道として妥当であったかという点については、大臣はどのように受け止められていますでしょうか。

【大臣】詳細については申し上げません。妥当かどうかについては、違法ではなかったということです。それ以上のことは申し上げません。ただ言えるのは、報償費という性格上、それが法の報償費ということの性格を超えて使われるリスクはあるものだと思います。したがって、こういった形で、官邸で外交用務として使うということは望ましくない。今はもう、行っておりませんが、これからも行うつもりはないということです。

【共同通信 上西川原記者】今付け加えられたところを伺おうと思っていたわけですが、この答弁書にあるように、今後において使われることはないということは、望ましくないという評価だと思いますが、そこをもう少し詳しく教えてください。それから、時期的なもの、例えばどれぐらいの時期だというところも言えないのでしょうか。

【大臣】具体的なことは申し上げられません。

【NHK 別府記者】報償費という言葉と、今の定義ですが、もう少し国民一般的にわかりやすく言うと、例えばこういう目的だというのをご説明いただけないでしょうか。

【大臣】報償費というのは基本的に、あらかじめ予算で定めて、具体的な使い道まで決めるというよりは、そういったことができない、例えば具体的に相手が明らかにできないとか、情報を取るために使う。誰に、いつ、いくら払ったかというようなことは公にできない。外交においてそういうことはあり得るというか、そういうことは当然あるわけで、そういったことのために使うということが基本だと思っております。それ以外の本来きちんと予算を立てて行うべきものについては、報償費というのは、私(大臣)は使うべきではないと思っております。

【週刊金曜日 伊田記者】(答弁書回答の)4番目で、外務省文書管理規則に基づき保管しているということですけれども、この保管期間は何年に当たるのでしょうか。

【大臣】文書そのものは、確か5年と理解しています。

【共同通信 西野記者】具体的なことは言えないということで、質問しにくいのですが、官邸の方にお金が行っており、外交用務に使われていたということで違法ではないということでした。それでは、なぜそちらの方にお金が行っていて、事件後に止めて、なおかつそのまま、止めたままでいられるのか。要するに、外交のニーズがある中でお金が使われていたとすれば、その分はどこか他のところに行っていたとか、いろいろと考えなければいけなくなります。実態として運用のやり方は、支出が言えないというのはわからないでもないですけれども、なぜこういうことが起こっていて、問題が解消したからこのように出来たのだというところは国民に伝えにくいので、もう少し分かり易く説明してください。

【大臣】どうしてこういうことが起きたのかということは、私(大臣)にはわかりません。当時の外務大臣なり官房長官に聞いていただくしかないと思います。現在、外務省に認められた報償費の範囲内で、外務省の様々な具体的なニーズについては賄っておりますけれども、そのことで特段不都合なことはございません。

【朝日新聞 鵜飼記者】官邸の方で外交用務に使われていたということですけれども、なぜ外交用務に使われていたということがわかるのでしょうか。他の目的に使われていた可能性は全くないのでしょうか。

【大臣】外交用務に使用するということで支出をしております。

【NHK 禰津記者】今後使わない理由という中で「報償費の性格を超えて使われるリスクがあるから」と先程大臣がおっしゃったと思いますが、これは具体的にどういったことを指しているのかもう少し詳しくお伺いしたいのと、今後において使われることはないということに関して、例えば何らかのチェック機能やその辺りは、今後どのような対策を考えていらっしゃいますか。

【大臣】具体的には申し上げませんけれども、今後使われることはございません。

【NHK 禰津記者】監視していくとか、そういったことは考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】報償費の性格上、具体的なことは申し上げない方がいいと思います。

【共同通信 上西川原記者】共同通信の過去の記事を見て質問しているのですが、予算の他省庁への移動が財政法違反に当たるという指摘もあります。さらに、これまで上納問題に対して、官邸、外務省についても「全くそのようなことはない」と全面否定してきたと思いますが、それとの整合性はどうなりますでしょうか。

【大臣】整合性はありません。大臣が代わりましたので、政権交代も行われて、事実を事実として申し上げているわけです。

【共同通信社 上西川原記者】財政法違反については。

【大臣】財政法違反には当たらないと思います。先程言った報償費の性格上、(違反に)当たるということは言えないと思います。

【日刊ゲンダイ 小塚記者】先程大臣は、どうしてそういう使い方になっていたかということは、「私(大臣)にはわかりません。当時の外務大臣、官房長官に聞いてください」ということでしたが、これが違法とは言えないまでも、望ましい使い方ではないと、内閣でこういう答弁書を作っていらっしゃるわけですから、それを国民にわかるように、国民は、報償費についてはかなり疑問を持っていますので、内閣で、過去のことにはなりますけれども、過去の政権にはなりますけれども、内閣のほうでお調べになるおつもりはないのでしょうか。

【大臣】わかる範囲で私(大臣)は調べたつもりです。しかし、残された文書の中では、それ以上のことはわからなかったということです。それから、刑事事件にもなった事件もありました。そういうことが起こり得るということで、その後、外務省としてはこういった使い方をやめたわけです。政権も代わり、大臣も代わってその方針をきちんと維持していくということを省内的にも明確にしております。

【北海道新聞 佐藤記者】先程「報償費の性格上、目的を超えて使われるリスクがある」というお話をされていましたけれども、一方で、官邸に対して支出していたものは、「なぜ外交用務と言えるか」という質問に対しては「そういうことで支出している」というお話でした。これを合わせると、つまり、外交用務として使うということで支出しているけれども、それがさらに目的外に使われた可能性もあるとお考えだということでしょうか。

【大臣】事件になったケースは、まさしくその一つだと思っております。それ以上のことはわかりません。我々としては、外交用務ということで支出をしておりますので、基本的にはその範囲内で使われたと思っております。

【共同通信 斉藤記者】ここに出てくる「総理大臣官邸の外交用務」、この言葉については、具体的な定義はありますでしょうか。例えば、外務省の中で、あるいは内閣官房の中で「外交用務」というのは具体的にどのようなことだという具体的な範囲、定義等があれば教えてください。

【大臣】報償費をどのように使っていたかということの説明ですから、具体的定義をしますと、中身をお話しすることになりますから申し上げられません。最初に申し上げたとおりです。

【朝日新聞 山内記者】先程大臣は「どうしてこういうことが起きたのは私(大臣)にはわかりません」とおっしゃいましたが、そうであれば、当時の外務大臣、官房長官、前の政権の自民党の方になると思いますが、直接聞いて調べる考えはありますでしょうか。

【大臣】違法なことがはっきりしていれば、国民の税金の使い途の話ですから、そういうことも必要だと思いますが、そういうものでは必ずしもありませんので、報償費の性格上、そういうことは一定の範囲で認められるものだと私は思っておりますから、そのことについて、私自身が聞くのはいかがかと思います。ある意味では裁量の範囲内と言えると思います。

【共同通信 上西川原記者】先程整合性の話をしたのですが、やはり国民に対して嘘を言ったのではないか、要するに「ない」という嘘の説明をしたのではないかというところの責任はあるのではないかと思います。政治家もそうでしょうし、官僚も、例えば国会答弁、そういった答弁が具体的にあったかどうかわかりませんが、国民に対して真実でないことを公に話してきたというところに責任があるのではないかと思いますが、なぜそういうことが起きたのか、お調べになるおつもりはありますか。

【大臣】これは政権が代わって明らかになったことですから、旧政権時代のことを私(大臣)がいろいろ言うのはいかがかと思います。それはむしろ私(大臣)の仕事ではないだろうと思います。

【フリーランス 畠山記者】首相官邸の上納は、現在は行われていないということですけれども、その分、外務省の報償費の予算は減ったのでしょうか。減っていないとすれば、首相官邸が担っていた外交用務の役割を、首相官邸から外務省が引き継いだと認識してよろしいでしょうか。

【大臣】引き継いだということはありません。報償費については、一般の予算と同じですけれども、余ればそれは当然国庫にお返しすることになっております。

【日本テレビ 小栗記者】先程「一定の範囲で認められる。ある意味での裁量の範囲内」ということをおっしゃいましたけれども、「一定の裁量の範囲内」であることと、「それ以外に用いられるリスク」があることの差は何なのかということを、改めて教えていただけますでしょうか。「一定の範囲内」のことと、「リスクがあるから使われるべきではない」とされることとの差(という意味です)。

【大臣】外務省報償費ですから、外交用務以外のことに使えば、それは範囲を超えていると私(大臣)は思います。

目次へ戻る

日米地位協定の改定

【琉球新報 滝本記者】本日の衆院予算委員会で大臣は地位協定の改定についての報告の上で「運用でできる部分もあるが十分になされていなかったという指摘もある」と仰られましたが、現行の地位協定上、十分になされていなかった部分というのは何がその部分か、環境についての部分であると以前お話されたこともあると思いますけれども、刑事裁判権の問題とかありますが、具体的に何の対応が十分でなかったのか、具体的にお伺いしたいのですが。

【大臣】例えば基地の騒音の問題です。時間を決めて離発着ということが確認されても、もちろん例外規定はあったにせよ、嘉手納などでは、嘉手納基地自身の航空機は大体守っているということであっても、外から来て早朝・深夜に離発着するということになると、それはやはり合意違反ではないにしても趣旨から言うとそれが非常に多いというのは如何なものかと、もう少し運用をきちっとやっていった方がいいということになると思います。それから、ここでも話題になりましたが、低空飛行をして、離発着の訓練のような形で行うということも、民間の空港で予告なく行われるということが果たして日米間で合意していることに沿ったものなのかと、そういった点についてしっかりとよく議論をして運用改善をしていくということに関して私(大臣)は申し上げました。

【琉球新報 滝本記者】地位協定の改定のことですが、先ほどの予算委員会について私が引用したのは、「地位協定改定についての動き」ということでの質問だったと思いますが、大臣のお話ですと「よく議論して運用の改善をしていく」ということで、もう一点は前半仰られたのは騒音規制措置のお話だと思いますが、あれは厳密に言うと地位協定とは別の日米間の協定というか取り決めということになりますので、地位協定の改定という部分についての論点ということでの具体的な動きはいかがでしょうか。

【大臣】ご質問が運用の話をされたと理解しましたのでお答え申し上げたのですが、地位協定そのものの改定は国会で申し上げたように、私(大臣)はこれは三党合意にもありますし、必要なことですから、しっかり議論したいと思います。あまり一度にあれもこれも持ち出すというのは、結果を考えた時にあまり良い結果を生まないだろうと、先ず目の前にある普天間の移設問題について日米間でしっかりと5月末までに結論を得ると、そしてその時にできた信頼関係を基にして地位協定の改定について議論を始めると、このように私(大臣)は考えているところです。その旨は先般の外交演説の際にも述べたつもりです。

目次へ戻る

キャンベル国務次官補の訪日(民主党議員団の訪米)

【共同通信 上西川原記者】日米関係の関連で、キャンベル米国務次官補が4日にワシントンの空港で記者団に対して、民主党の小沢幹事長との会談内容について一部話されました。それによると普天間の話を少ししたということに加えて、民主党の議員団の訪米を要請したと、ゴールデンウィークを考えているということで、報道によりますと、小沢幹事長も訪米の準備というか検討はしているということのようです。5月と言うと、普天間飛行場の決着時期が5月末までということと、深化協議についても前半にできれば「2+2」を開いて中間報告をしたいと言っていますけれども、民主党議員団の訪米の時期とこういった普天間や深化協議への影響は何かあるとお考えでしょうか。

【大臣】キャンベル米国務次官補が言われた中で、「政策の話は基本的にそれは政府の方だと小沢幹事長が言われた」ということもあったと思います。ですから、そこはそのように我々は理解しています。したがって、今いろいろと言われたことについては基本的にはそれとは独立した問題であると考えております。一般論として言えば、小沢幹事長が行かれるかどうかを私(大臣)は確認しておりませんが、多くの議員が直接いろいろな国々に行って、特に同盟国である米国ワシントンに赴いて意見交換をしてくると、特に私(大臣)は議員同士の意見交換というのが最近不足していると思いますので、そのことを申し上げたいと思いますが、政府関係も含めて、そういうことは非常に有益なことだと思います。私(大臣)自身も野党ではありましたが、一時期最低1回はワシントンに行って当時の国務次官補代理であったキャンベル氏とか、毎年のように国防省を訪ねて意見交換したことを思い出しますけれども、そういうことは非常に良いことだと私(大臣)は思います。

目次へ戻る

QDR(4年ごとの国防計画の見直し)

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。今の日米関係について、米国防総省が1日に発表しましたQDRについてお伺いします。今回の指針では多様な脅威に対処していくためとして日本をはじめアジア太平洋の同盟国等に対して、安全保障上の役割の拡大を促しております。この部分に対する大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】QDRはまだ発表されたばかりで、現在注意深く分析をしているところです。安全保障上の役割ということですが、かなり幅広い中身を含むことですので、まさしくそういうことを、これから日米の2+2、或いはその下の高級事務レベルの対話の中で議論していくことになると思います。

目次へ戻る

ハイチへのPKO派遣

【毎日新聞 野口記者】今回、民主党政権になって初めてのPKO派遣で、非常に早く派遣の決定が決められたと思いますが、自民党政権と比較して、自民党の場合は政府与党の了解を得るために部会や総務会等、様々な手続きを経た上で決めたので、かなりこれまでのPKO派遣は決定までに時間がかかっていたのですが、今回は災害を受けての緊急派遣という初めての事態というのはあったのですが、やはり民主党政権になって公の場での意志決定というのが、基本政策閣僚委員会の一つだけだったと、今後もPKOを派遣する場合は、こういった民主党政権での手続きで、簡略化した手続きでされるのか、それとももっと与党との議論を公の場でされる機会を増やすのか、いかがでしょうか。

【大臣】基本的に他の与党との調整はやっている訳です。国民新党及び社民党ですね。今回、早期に決定という結果になったのは、一つは災害ということがあります。そして、手を挙げる締め切りがありました。確か月曜日中でした。それに合わせて動いたということもあったと思います。もう一つは、PKOについて、外交演説でも申し上げましたが、カンボジアや東ティモール等で非常に良い実績をあげながら現状でみるとかなり少ないと、事実上はゴラン高原だけだということです。よりこのPKOについては積極的に考えるべきだと、そういう中でハイチのアンテナミッション、国連が要請を各国に出しましたので、素早く手を挙げたということです。これも外交演説で申し上げましたが、「これに終わることなく、その他にも必要があればPKOについては積極的に対応していきたい」と外務大臣としてはそう思っています。

【北海道新聞 佐藤記者】PKOはハイチだけでなく、今後も積極的に派遣したいというお考えを外交演説でもお話されていましたけれども、一方で現状は少ないということがあります。これから拡大するにあたって障害となるもの、或いは越えなければならない課題というものを、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】5原則の見直し等、いろいろな議論がありますが、それはやや中長期的課題ということで、今の仕組みの中でも派遣できるものはかなりあるだろうと思っています。そういうものを追求していきたいと考えています。

【共同通信 西野記者】メールマガジンを拝読しているのですが、PKOではなくてハイチの関係で地震直後の対応のことについて、まず、調査団を出してから医療チームを出すということで、お考えがまとまったような表現があったと見て取りました。結局、今回の対応について70点より高く出来ることがあるのかないかということを検証していると思うのですが、その辺りは今のところどうですか。

【大臣】例えば、医療部隊の前に、瓦礫の下に閉じ込められた人々を助けるための救出部隊を派遣する余地はなかったのかと、今回は非常に遠いということもあって、そのワン・ステップを飛ばした訳ですが、結構時間が経ってから救出された人はいます。これはやはり、気候も影響したと思いますし、瓦礫の性格といいますか、隙間があったとか、いろいろなことが言われています。ですから、それ(救出部隊)を諦めずに出すべきではなかったかという議論はあると思います。それから、調査団を出して、その調査結果が完全に出るまでに本体を派遣したのですが、例えば同時に出してマイアミなどで待機をしていて、ゴーサインが出たらすぐに入れるということも考えられたかもしれません。そうすると、1日ぐらい、あるいは2日かもしれませんが、前倒しに出来た可能性はあります。もちろんブログにも書いておきましたが、この前の土曜日に緊急支援隊の皆さんと話をしたときには、実際に治療するときには、「言葉の問題があって、ハイチの人の9割は現地語で仏語を話す人は1割しかいない。だから、仏語と現地語の通訳を確保しないと医療行為ができなかった」とか、それから「基本的には、自己完結型で食料や水を確保しなければいけない。そのあてがなければ行けなかった」とか、「スリランカのPKO部隊に24時間交代で守ってもらった」とか、外にはカナダか何かの部隊がいたと思うのですが、敷地の中には、そもそも寝泊まりできる敷地があるかどうかということを、ある程度見通しをつけないまま、いきなり現地に入れるということは、PKO部隊が展開している状況ですから、やはり安全の問題とかをいろいろ考えたときに、私(大臣)はそれはないのだろうなと思いました。ですから、(ハイチに)行かれた緊急医療支援隊の方からは、「いいタイミングで、或いは早く行っても、いろいろと出来なかったのではないか」という話がありました。しかし、より完成度の高いものを求めて検証作業を今、行っていることろです。

【共同通信 西野記者】原口総務相が「(ハイチ地震)発生直後にハイパーレスキューに待機命令を出していた」と国会答弁する際に言っております。「自己完結型」ということで言えば、自衛隊が想定される訳ですが、そういった要員を予めこういった災害派遣に備えて国内で準備しておくとか、そういった他省庁との連携を深めておくとか、というようなことも検討課題になるとお考えではないでしょうか。

【大臣】もちろん準備はできている訳です。ですから、医療の緊急支援隊も、総務省のハイパーレスキューも同じだと思いますが、名前が登録してあって、何かあれば募集をかけて、手を挙げた人にチーム編成して行っていただくということです。それ以外の専門の部隊を持つということは、「では普段は何をしているのか」ということになりますから、あまり現実的ではないと思います。もう一つの論点は「もっと早く自衛隊を出しても良かったのではないか」ということで、別に民間の緊急支援隊をいろいろな病院から手を挙げた方でチームを作るのとほぼ同時期に、自衛隊を出すという考え方もあっていいのではないかという見方もあります。しかし、自衛隊は大きな組織ですから、そのために時間がかかるという説もあり、その辺も含めてよく議論したいと思っております。後は、医療行為の性格によっても変わります。大体、日本から医療部隊が行く時には、普通はその事件があって(緊急医療支援隊の)お医者さんへ最初にかかるということは、今までの経験では少ない。しかし今回は、多少時間がかかって行ったにもかかわらず、初めて医者にかかるという人が何日も続いたということでした。例えば、傷口が化膿してウジがわいているような患者さんもどんどん担ぎ込まれたと。普通であれば、震源地そのものではなくて、国の中で医療機関がその周りにある程度は残っていて、そういうところで本当に(傷が)重い人は対処できる、或いは診た後にそういうところに送りますが、今回は全体が崩壊してそういうことが全くできない状態であり、今までにないことだったということが、私(大臣)が医療緊急支援隊の皆さんから聞いた話です。しかし、そういうことも起こり得るので、そういうことも少し想定に入れながら少し検証しようということです。

【NHK 別府記者】初期動作の判断の部分ですが、大臣ご自身、あの日はハワイでクリントン米国務長官と会っていたときに最初に(一報が)入り、そのあと飛行機に乗られたと思うのですが、もう少し、例えば「飛行機に飛び乗る前に指示ができればよかったのではないか」等、ご自身の部分で自分に対して、こういう面があったのではないかという部分はございますか。

【大臣】私(大臣)はハワイでは聞いておりません。クリントン国務長官はそこ(ハワイ)から直接(ハイチに)向かったのではないかという人がおられますが、日米外相会談の後、クリントン国務長官は、たしか東西センターで講演をされて、ハワイにかなりおられました。そういう中でニュースが入って決断されたと思います。私(大臣)が飛行機に乗ったときは、その地震が起きた1時間後です。まだ(現地とは)電話もまともに通じない状況で、外務省にもきちんとした情報が入っていない状況でした。そのまま飛行機に乗ってしまいましたから、成田に着いたときに、第一報を私(大臣)は受けました。この辺をどう考えるかですが、外務大臣は飛行機の中でも常に電話が通じるような状態を確保すべきなのか、そういうことが可能なのか、そもそも外務大臣の専用機が必要なのではないかとか、いろいろな議論があると思いますが、日本として可能な範囲でやっていくしかないと思います。

目次へ戻る

政治資金疑惑

【時事通信 水島記者】小沢幹事長の政治資金団体に絡んだ問題ですが、先日東京地検が小沢幹事長は不起訴処分、石川衆議院議員は起訴処分としました。小沢幹事長は続投されますが、道理的責任を問う声もあります。これに対する岡田大臣の見解と、それから石川議員に対しては、福島社民党党首は「議員辞職に値する」という趣旨の国会答弁が本日ありましたが、これについても岡田大臣の見解をお伺いします。

【大臣】まずは、石川議員に関しては、これからご自身で考えて自らの意思を明らかにされるという時間は与えるべきだと私(大臣)は思います。その時間を与えられないまま、何か本人の身の処し方に対して、いきなり言うのは、私(大臣)は同じ党の人間としていかがかと思います。まずはそれを見定めて、その上で、党としてきちんと必要な機関がありますから、そこで意思決定をするということだと思っています。それから、小沢幹事長ですけれども、幹事長続投ということを自ら言われたというように聞いております。基本的に幹事長ご自身のご判断、あるいは任命権者である党代表である鳩山さんのご判断、それ以上のことは、私(大臣)は言うべきではないと思います。私(大臣)自身は鳩山内閣の外務大臣として、何度も申し上げておりますけれども、自分自身の意見を言うということは控えたいと考えております。必要があれば、それは党の常任幹事会という場がありますから、そこで議論されるべきことだと思っております。

【共同通信 西野記者】大臣はこの件について答弁する内容をほとんどお決めになっているとの印象を持っているのですが、一方で各社の世論調査を見ても、説明責任が果たされていないとか、辞任論についてはいろいろなことがあるのでしょうが、説明責任は尽くされていないのではないかという声が国民の中にはあると思います。政権交代という時にこの問題があった訳ではありませんが、民主党政権ができる時はこういった問題というのはなくなった方がいいのではないかという期待も含まれていたと私は思っています。そういった観点から、何かコメントすることはありませんか。

【大臣】私(大臣)はこれまで幹事長とか、或いは副代表という役職にあった時は、いろいろ申し上げて参りました。控えめですけれども、元々。党で議論する場というのは、役員会とか、或いは常任幹事会という場があります。必要があれば、そういうところで議論すればいいことであって、私(大臣)は党にあって、そういった責任ある立場にある訳ではありません。したがって、軽々しく言うべきではないと思います。

目次へ戻る

大臣の韓国訪問

【読売新聞 村尾記者】来週に韓国を訪問されますので、その件でお伺いします。改めてどういった議題が取り上げられるのかということと、経済連携の話も当然されると思いますが、その点も含めてお願いします。

【大臣】様々なテーマがありますので、今、議論すべき項目を整理しているところです。日韓関係は、鳩山政権がスタートして、鳩山総理及び同夫人の活躍もあって、非常にいい状態だと思います。そうは言っても、今年は特別な年で、日韓併合100周年ということでありますので、この1年を如何にしっかりと乗り越えていくかということについて、(韓国の)外務大臣と議論をしたいと思います。経済連携協定の話も、是非我々は結びたいと思いますので、交渉再開ということをしっかり合意できればと考えております。

目次へ戻る

大臣の北海道訪問

【北海道新聞 佐藤記者】先程大臣が発表された北海道訪問についてです。北方領土返還運動関係者との対話を行うということですが、今領土問題を巡っては漁船の銃撃事件等動きもありますが、まだ1ヶ月先の話ではありますが、今回の関係者との対話を行う狙いと、そこで北方領土問題についてどのようなメッセージを伝えたいかをお聞かせください。

【大臣】メッセージを伝えることも大事ですが、私(大臣)は話を聞きたいと思います。実際に元島民の皆さんの御意見ですね。一度外務省に来ていただいて代表者の方と意見交換をさせていただいたのですが、やはり現場に行って聞くということを前々から是非やりたいということを思っていたのですが、なかなか機会がありませんでしたので、この北海道に行く機会を利用したいということであります。

目次へ戻る

米国におけるトヨタ自動車のリコール問題

【日経新聞 山内記者】トヨタの品質問題についてお伺いします。トヨタが大規模なリコールを発表して、米国では政治問題に発展する可能性も指摘されています。今回の問題が日米外交に及ぼす影響も含めて、大臣の御所見をお伺いします。

【大臣】心配しています。ある意味では日米の経済関係は今、非常にセンシティブな時期でもあると思います。特に自動車についてはGMのこともありましたし。その中でこの問題が起きました。もちろん日本における輸入アメリカ車に対する補助金の問題も一時は大分話題になりましたが、もちろん今もなっておりますが。ですから、基本的にはトヨタ自動車が対応されることですので、政府として余り言うべきではないと思いますが、トヨタブランドは非常に信頼されているので、アメリカのユーザー調査などでもトヨタ車、或いはレクサスに対する信頼は非常に高かったと思いますが、それがきちんと今後とも維持されるようにトヨタ自動車には迅速に努力していただきたいと思います。

【日経新聞 山内記者】日米関係に与える影響はどうでしょうか。

【大臣】議会でも色々取り上げられています。基本的にはそれはトヨタ自動車がどう対応されるかということですが、もちろん外交的にも、これは一企業の話ではなくて、日本の自動車業界、或いは日本の製品に対する信頼感の問題ですから、しっかりとバックアップしていきたいと思っています。

目次へ戻る

日台FTA

【ニコニコ動画 七尾記者】台湾の馬英九総統が4日、日本と台湾との間で早期にFTA問題について協議したい旨の意向を示したとの報道がありました。これが事実であるかどうかという点と、総統は早期に討論をと仰っられていますが、その求めに対してどのようなスタンスを取っていかれるのか、お答えください。

【大臣】早く質問に短く答えると次に難しい質問が来るということですかね。なかなか難しい微妙な問題だと思います。まず馬英九総統がそういうことを言われたか、ということを私(大臣)は確認しておりません。台湾との間で基本的には我々、「中華人民共和国、中国はひとつ」という考え方に立っておりますので、台湾と日本国政府との関係というのは非常に微妙な問題であります。中国の考え方も聞かなければなりませんし。余り無いのですね、そういう経済的(関係は)。全く無いわけではないのですが、例えばAPECなどには台湾は入っているのですが、地域として入ってというか、国ではないということです。そういったこともありますので、簡単に答えの出る問題ではないと思います。

目次へ戻る

その他(閣僚ポストへの女性登用)

【J-CASTニュース 亀松記者】ブログについてお尋ねしたいのですが、メキシコのエスピノサ外相との会談の時の(ブログの)回で、「日本にももっと女性閣僚が増えると良い」と書かれておりますが、なぜそう思われるのか。また、もし増やすとすれば具体的にどのような方策があるとお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)は任命権者ではありませんから、なかなか言えないのですが。メキシコの外相は非常に有能だと思います。お話していても非常にはっきり物を言われますし、バランスも取れていると。そういう姿を見ていると、「日本にももっと女性の閣僚がたくさんいて良いじゃないか」と単純に思っているわけです。もちろん、今の閣内にも女性閣僚がおられますが、今後のことですけれども、新しい政権ですから、少しずつでも増えていくということがあっても良いのではないかと思います。外務省の政務三役の中に必ず女性を少なくとも一人は入れようと思っておりましたので、西村さんに政務官をやっていただいている訳です。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成22年2月2日(火曜日)18時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)アッバース・パレスチナ自治政府大統領の訪日について

【岡田大臣】国会と閣議で長引きましたので、この時間になりました。私(大臣)からは3点申し上げたいと思います。
 第1点は、アッバース・パレスチナ自治政府大統領の訪日の件でございます。マフムード・アッバース・パレスチナ自治政府大統領は、2月7日(日曜日)から10日(水曜日)まで訪日する予定であります。滞在中、アッバース大統領は、8日(月曜日)に、鳩山総理と日パレスチナ首脳会談を行うとともに、私(大臣)とも9日(火曜日)に会談と夕食会を行う予定です。今次訪日は、今後の中東和平の行方、我が国の貢献のあり方などについて、アッバース大統領と率直な意見交換を行うこととともに、同大統領の和平路線への支持を表明し、和平プロセスを促進すべく我が国としての役割を果たすことが目的です。また、将来のパレスチナ国家建設に向けたパレスチナに対する我が国の支援等についても議論する考えであります。
 私(大臣)としてはアッバース大統領とは東京で1度、パレスチナで1度、2回お会いしておりますので、今回が3回目の会談ということになります。

(2)ODAのあり方に関する検討会について

【大臣】それから2点目。お配りした資料でありますが、ODAのあり方に関する検討会についてです。そういったものを行うということは私(大臣)の外交演説の中でも触れたところでありますが、お手元の資料にあるような検討項目について、つまり国際協力に関する理念・基本方針、国民の理解・支持の促進、多様な関係者との連携、援助の効果的・効率的な実施、JICAという5つの論点で行いたいと思います。ODAについては、国民の共感が十分には得られていないと考えております。そのために、国民の理解と支持を得るための見直しを行いたいと考えています。そのことによって、ODAをより戦略的かつ効果的に実施していきたいと考えているものであります。
 よくこれも言うのですが、アンケート調査などをみると、6割、7割の人が「ODAは必要だ」とか、あるいは「増やすべきだ」ということですが、我々の実感からすると7割、8割ぐらいの人が「こんな日本が厳しい時になぜODAを増やすのか」と、「ばらまきではないか」という意見はよく聞かれるところであります。そういう中で、現実に日本が行うODAがいかに世界の役に立っているか、特に日々の生活にも苦しい人のために、あるいは日本の国益のために役立っているかということをきちんと伝えること、伝える前提としてまず、様々なご批判の中には耳を傾けなければいけない点も多いわけですから、そういう点について、より効率化という視点で見直していくということです。そういったことについて福山副大臣、西村政務官の下で、検討項目ごとにタスクフォースを立ち上げて、国際協力局、総合外交政策局の参加の下に検討を行いたいというものであります。なお、外部有識者やNGOなどのご意見も聞かせていただくということでございます。

(3)大臣の訪韓について

【大臣】3点目でありますが、私(大臣)の訪韓であります。2月10日(水曜日)夜から11日(木曜日・祝日)に、韓国を訪問し、日韓外相会談を行う予定であります。実質的には1日、11日だけであります。10日の予定は特にございません。具体的な日程等は現在調整中でございます。柳明桓(ユ・ミョンファン)長官とは、3度目の外相会談ということになります。未来志向の日韓関係を更に強化するために、日韓の協力の問題、北朝鮮の問題など幅広く意見交換をしたいと考えております。

目次へ戻る

米軍再編問題

【NHK 禰津記者】普天間基地の移設問題に関してお伺いします。大臣は昨日の日本記者クラブでの会見の中で、普天間の移設先について、「あまり望ましいことではないが、他になければ、今のままということもあり得る」という発言をされていると思うのですけれども、これに関して、国民新党や社民党の幹部からは問題視する発言が、また、沖縄県の国会議員の方からも問題だという意見も出ていると思いますが、改めて、これについての受け止めと昨日の発言の真意についてお伺いできますでしょうか。

【大臣】真意は言ったとおりです。ですから、そういうことにならないように、今、一生懸命に検討委員会で検討していると考えております。検討委員会では、代替地を探すということが任務であります。その任務が果たされれば、別に現状のままである必要はないので、それが、もし適地が出てこないということになれば、最悪の場合、もちろん現状と言っても、危険度をなるべく減らすとか、そういう努力は行うとしても、基本的に今の普天間ということになりかねないという私(大臣)の危機感を表したものであります。

【NHK 禰津記者】社民党や国民新党から批判が出ていることに関してはどのように受け止めていらっしゃいますか。

【大臣】だからこそ、しっかりとそれぞれの党からも提案してもらいたいということです。これはダメ、あれはダメ、と言っていたら、結局見つからないということになってしまいます。

【NHK 別府記者】本日、日米の同盟深化の事務協議が開かれましたが、その後の記者団とのぶら下がりで、キャンベル国務次官補に質問に応じていただいたのですが、その中で、「米国としても移設先についても話し合う用意があるのだ」と、「discussしていく用意がある」という話を伝えたとした上で、自分としては2つのことに用意があると、「1つ目は、まず米国の立場というのは、現行案が最善だということを明確にすることである」と、「2つ目に、同時に新しい移設先をexploreする、探求するということについても用意がある」というように述べ、その時は「そのことも日本側に伝えた」ということを話していました。この2つ目の新しい移設先をexploreする用意があるという発言について、受け止めはありますでしょうか。

【大臣】それは私(大臣)は聞いておりません。それから、最初に言った、米側が今の案が最善であるというスタンスは変わっておりませんので、その前提で考えた時に、もし2番目の話をキャンベル氏が言ったとして、それがどういう意味を持つのかというのは、現時点ではわかりません。もちろん、日本が今作業をしているということは認めているというか、それをよしとしているわけではないにしても、そういう作業というものがあるということは彼らは分かっているわけですから、そういうことを言ったのか、少なくとも、日本として、「ではどういう案があるのか」ということをしっかりと固めないと、米国が一緒に探すとか、もしそういうふうに仰ったとしたら、私(大臣)は少し違うのではないかと思います。

【共同通信 上西川原記者】1問目の質問に関連して、「最悪の場合は現状維持になる恐れも否定できない」ということですけれども、まず最初に、鳩山首相が「現状に戻ることはない」という認識を示されている、それと少し食い違うのではないかと思うのが1点あります。もう1つは、もともとこれは普天間の危険除去、一刻も早い危険除去というのが出発点にあったかと思うのですけれども、それを考えますと、考えたけれども結局できなかったということで、政権選択の意味が問われるのではないかと思います。自民党政権では少なくとも、ベストではないにしろ、辺野古という結論を出した。しかし、民主党政権では、移設先が見つからなかったから現状維持でお願いしますということになるのではないか批判もあるかと思うのですけれども、その点についてお願いします。

【大臣】まず、総理が仰った答弁は、マスコミなどでは、そのうちの一部が報道されていますが、「普天間の危険性の除去からスタートした問題でありますので、またそこに戻るようなことはしないと、その決意のもとでベストシナリオを今作っているところでございます」、これが、総理の発言でございます。私(大臣)の発言と根本的に違うことを言っているとは、私(大臣)は思っておりません。それから、もちろん普天間の危険性除去ということで始まったわけですから、そのための案を今、真剣になって検討しているわけであります。それで案が出てくるということを我々としては当然考えたいわけです。しかし、案がまとまらなければ、今のまま残るという最悪の選択になってしまう。そうしないように、一生懸命探さなければいけないというふうに思います。ゼロベースで議論しているわけですから、どれがいい、あれが悪いというような話をしては、私(大臣)はいけないと思っております。

【琉球新報 滝本記者】今の話に関連しまして整理したいのですが、ゼロベースでということなのですけれども、そもそも、案をまとめるというのは、代替の案を考える、危険性の除去をどうするのかということを考えるということだったのだと思います。今の手持ちは全く何もないという白紙でいうことが、ゼロベースでということであると理解するのですが。

【大臣】違います。すべての可能性があるということです。

【琉球新報 滝本記者】優先順位ということでもないのですが、日米合意があるということが出発点としてあると思うのですけれども、その日米合意も全部同じスタートラインでゼロということなのでしょうか。

【大臣】あらゆる可能性があるということです。そのことは私(大臣)は何度も申し上げております。

【日刊ゲンダイ 小塚記者】今の話の続きですが、大臣の発言、今のままでもいいということですが、先週、平野さんが「地元の合意がなくても」と発言されたことで、色々とそれに反発する地元からの声ですとか、与党からもあったりしまして、その時に大臣が平野さんの発言について、「そのように言ってしまうと、地元をまったく無視するような印象を与えるので、表現に気をつけなければならないと思います」というように言ってらっしゃいました。そういう状況の中で、今の時期にあえて普天間が現状のまま残る可能性という最悪のケースというのを敢えて口にされてらっしゃるというところ、その辺はどうしてなのかと思ったりするのですが、その辺を教えていただきたいと思います。

【大臣】ですから、何もなくて普天間が閉鎖されることはないという意味です。そういう選択はないということです。この問題のスタートは、米軍の果たしている抑止力としての役割と沖縄の負担軽減、この2つを同時に満たすということで議論しているわけですから、「では米軍は日本から出て行ってください」という選択肢はないということを申し上げたわけです。

【日刊ゲンダイ 小塚記者】まだ可能性を探っている段階ですけども、最悪のケースというものをあえて今の時期に仰られるのはどうしてなのでしょうか。

【大臣】総理の発言がやや正確に伝えられていないと思ったからです。

【共同通信 西野記者】大臣は先程、「今後、代替案を固めて、米国に示す上では、しっかりと固めなければならない」ということだったのですけれども、そこには地元の合意というものがあると思います。辺野古に関しても、地元の合意というのが言われていました。代替地を探す上で、どこにするのかは別にしても、やはり地元合意というのを作っていかなければならないという大きな状況があると思います。民主党は先の総選挙で、比例復活を含めれば、ほとんどの選挙区から議員が出たということで、おそらく、どこを選んでも、与党の政治家としての責任が問われるような状況になると思うのですけれども、そういった問題意識というのは、政府与党の中で共有されていっているのでしょうか。

【大臣】仮定の議論に答える必要はないと思います。

【琉球新報 滝本記者】先程、大臣は、「米軍は要らないのだという選択肢はないというか、可能性はないのだ」と仰られたと思うのですけれども、そのことを言いたいがために、今このご発言をされたという趣旨で私はお伺いしていたのですが。つまり、「なぜこの時期に最悪のシナリオというのを出されるのか」という日刊ゲンダイさんの質問に対して、「スタートは米軍の抑止力の維持と沖縄の負担軽減を同時に満たすということの追求だ」ということで、そういう意味で、「米軍は全く出て行ってくれ」ということの可能性はないのだというように仰られたかと思うのですけれども。

【大臣】少なくとも、米軍の果たしている役割、抑止力というものを無視しては決定できないということです。それが沖縄である必要は必ずしもありません。

【琉球新報 滝本記者】その部分の確認をさせていただいた上で、グアムへの移転ということを社民党は主張して、またそうか、というような形になっていることに対するけん制というようにも伺えるのですが、そういうご意図なのでしょうか。

【大臣】いや、そういうことではありません。ゼロベースですから、何がダメだというように私(大臣)は言うつもりはありません。しかし、逆に、何がダメだという議論に私(大臣)は与することができないということを申し上げている訳です。あらゆる可能性があるということで、議論をスタートしたはずですから、これはダメ、あれはダメという議論は、検討委員会の中でやられることであって、外に向かって言うことではないということを申し上げている訳です。

【琉球新報 滝本記者】先程の大臣のお話で、「現状といえども、危険度を下げるということなしに(現状維持)はない」と仰られたかと思います。ということは、最悪のシナリオが残るということでも、やはりその危険性除去ということでは考えた上でやらないといけないのだというように受け取ったのですけれども。

【大臣】あまり細かいことに議論を入らない方がいいと思います。とにかく、何が最悪かということも議論が分かれます。今の現行案が最悪だという人もいるかもしれませんし、それは人によって変わりますから、何が最悪ということはありませんけれども、あらゆる可能性について、今、検証しているわけなので、これだけはダメだとか、そういう言い方はすべきではない。そういうことの一環として、今のまま残るということについても、「100%ない」という言い方をすべきではないということを申し上げているだけです。

目次へ戻る

ODAのあり方に関する検討会

【朝日新聞 五十嵐記者】先程の冒頭発言にあったODAのあり方に関する検討についてご質問します。これは省内での検討だと思われますが、具体的にこのタスクフォースには、どういう方がメンバーに入って、いつごろまでにこの検討をまとめようと思われているのか、またまとめる際に、文書で報告書のような形でまとめるのか、あるいは今ODA大綱がありますが、そのODA大綱の見直しというところまで含めて考えていらっしゃるのか、その部分についてお伺いしたいと思います。

【大臣】いつまでにということは、私(大臣)の外交演説で「夏までに」ということを言っておいたつもりです。どこまでその中身を含むかということはこれからの議論です。

【日本インターネット新聞 田中記者】ODAのあり方ですが、反対するものでも何でもなくて、大臣が仰ったように効果的に使うというのは非常に戦略的だと思います。日本の海外へのプレゼンスというのはODAに裏打ちされているところが非常に大きいということを体で実感します。これから日本の経済が縮小していくにしたがってODAも減らざるを得ないと思います。例えば日本のプレゼンスの確保の仕方ですが、スカンジナビア3国、とりわけノルウエーだとかスウェーデンだとかのように紛争解決などに積極的に介入していって、紛争後の復興利権を扱うというような、ODAからのドラスティックな外交転換ということは大臣の哲学的な視野の中には入っていないのでしょうか。

【大臣】まずに日本の経済が縮小していくという前提には私(大臣)は立っておりませんので、少し前提が違うかと思いますが、何のためにODAを出すのかということについて、きちんと分かりやすい理念的な整理というものが必要だと思います。そうでないと、国民から見えないということになると思います。

【読売新聞 川崎記者】先程の質問の中で、大臣が直接お答えにならなかった部分についてもう一度確認させて下さい。ODA改革のタスクフォースですが、この中にどういうメンバーの方が入るのか、つまり、各タスクフォースにJICAの方は全部に入ると書いてございますが、この中にそれぞれ有識者の方が入るのか、それともJICAプラスあくまでも外務省の職員の方だけなのか、その辺の構成を教えていただきたいのですが。

【大臣】これは総合外交政策局長と国際協力局長の下にあるわけですから、基本的には役所の中です。私(大臣)の横に有識者やNGOが書いてありますが、そういう位置付けで、第三者として(意見を)言ってもらうということです。

【NHK 別府記者】ODAの関係ですが、色々な理念もあると思いますが、対外的にわかりやすさとかメッセージとしてのインパクトというのは、どうしても額という面があると思うのですが、基本的には増やす方向なのか、あるいは自公政権の流れのように2000年以降どんどん減っていく流れという方向なのか、どっちに向かおうとされているのでしょうか。

【大臣】我々としてはODAというものを国民の理解を得ながら増やしていきたいと考えております。ただ、これは国の予算全体のあり方に関わる話ですから、いくら外務省が、我々が強くそれを思ったとしても、やはり内閣の中で理解を得ないとそういうことにはなりませんので、そういうことも合わせてやっていかなければいけないということだと思います。

【朝日新聞 倉重記者】ODAに関して、細かい質問ですが、この項目を見ますと、日本国民に対する理解・支持というものがありますが、ODAを拠出する相手国の国民に、日本のプレゼンスという意味で、日本がこうした案件で援助しているのだという広報戦略という視点は入っていないのでしょうか。

【大臣】ここは特に日本の税金ですから、国民の理解と信頼ということが大前提になるということで国民と書いています。しかし、それを受ける側の理解も、もちろんひとつの論点かと思います。

【NHK 吉田記者】夏までまとめるということですけれども、それはまとめた結果というものは直ちに2011年度の概算要求に反映するお考えという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】それには遅くとも間に合うように、夏まで、いつまでもゆっくりとは思っておりませんので、もう少し早いタイミングでというように思っております。いつまでにと言って、また延びると、また何か色々言われますので、「夏までに」という言い方をしております。もう少し早ければもっといいと思います。

目次へ戻る

情報公開(マスコミと外務官僚の会食)

【週刊金曜日 伊田記者】マスコミの記者や幹部の方々との外務官僚の会食についてお聞きします。私は、昨年の10月30日に情報公開制度に基づいて、マスコミ各社の記者や幹部と、外務省の関係者との会食に関する全ての記録を開示するように求めました。過去5年間、これは殆ど自公政権下に当たっていると思いますけれども、というのは、外務官僚側は5000円以上の接待を受けて入れば、国家公務員倫理法で贈与等報告書を出さなければいけない。一方、外務官僚側がマスコミの記者や幹部を報償費で接待していれば、領収書などがあるということで請求させていただきました。要求したマスコミとしては、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞社、産経新聞社、日本経済新聞社、東京新聞社、共同通信社、時事通信社、NHK、新潮社、文芸春秋、それから、民放はひとくくりで、この12分類としています。この請求に対する開示結果が、1月4日に外務大臣臨時代理で平野さんの決裁で出ています。結果については、民放について1件開示があっただけで、後はすべて不開示でした。正確に言いますと、「現時点までに該当する文書を特定することができなかったため、不開示、不存在としました。(引き続き、調査中です)」という回答でした。誤解を受けないように言っておきますと、私はマスコミ関係者と外務省の官僚の方々が食事をすることを一概に悪いとは考えていません。親しくなって情報を取るのはマスコミの仕事だと思いますし、外務官僚からいっても、思い込みによる誤報等があるから信頼関係を築いておくと。これはとても大事なことだと思います。ですけれども、請求から2ヶ月以上経って、会食の記録が1件しか見つかってないと、これはあまりにも実態とかけ離れているのではないかと(思います)。具体的に持ちつ持たれつでやっているというような話も聞いております。この決裁をしたのは、平野さんですから、岡田大臣はご存じないかもしれませんけれども、こういう情報開示の結果について、どうお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)は見てません、その決裁は。

【週刊金曜日 伊田記者】この後、引き続き調査ということですので、開示結果を待ちたいと思うのですが、もし仮に、届けていないと、全て割り勘で出していれば(会食の記録が)ないこともあり得るのですが、持ちつ持たれつという話も聞いておりますので、そうすると届けていない可能性があると。そうすると、可能性としては、国家公務員倫理法違反で検察辺りが手を突っ込むと誰でも引っ張れる可能性があります。そうなると、政争の具に使われかねない。余りにも実態と離れていることはまずいと思うのですが、如何でしょうか。

【大臣】よく調べてみます。私(大臣)も海外に出ていることが多いのですが、何かいないときに決裁されたような気がしますので、よく事実関係を調べます。

目次へ戻る

日本漁船に対するロシア国境警備局による銃撃事案

【北海道新聞 佐藤記者】北方四島周辺海域でのロシアによる日本漁船銃撃案件についてお聞きします。漁船に対する銃撃があったことについて外務省はロシア側に厳重注意を行いましたが、その後、漁船側の位置情報システムの記録の問題などが指摘されています。照明弾を発射されたという第一報から現在にいたるまでの経緯を含めて、今回の銃撃についての大臣の所見と、領土問題を含めた今後の日露関係への影響について見解をお聞かせ下さい。

【大臣】まず、ロシア側が漁船に対して銃撃を行ったということは人命の損失につながりかねず、それは容認できないと考えております。また、ロシア側が北方四島に対する管轄権を前提とした行為を行うということも、領土問題に関する我が国の立場と相容れないものであります。御指摘のVMSのデータに一部欠落があったということ、これは最初そういう話は聞こえて来なかったわけですが、そういうことが事実としてわかりました。一体どういうことでそういったことが起こったのか、その意味することは何か、ということについては徹底的に調査をする必要があると考えています。

【北海道新聞 佐藤記者】日露関係への影響についてはいかがでしょうか。

【大臣】事実関係の全容が明らかになっておりませんので、今早急にコメントするのは適切でないと思います。ただ、事実は事実としてしっかりと調べた上で明らかにしたいと思っています。

目次へ戻る

日米同盟の深化

【朝日新聞 鶴岡記者】日米同盟の深化につきまして、本日SSCもありましたので、改めてお考えをお伺いします。これまでのご発言を伺いますと、普天間移設をはじめとする米軍再編以外の分野に広げていくようなイメージで、「それは拡大であっても深化ではないのではないか」という質問が以前にもあったと思うのですが、「深化」というのは、例えば、共和党と自民党政権が進めていた自衛隊と米軍を一体化を深めたようなことを意味しているのか、お考えを改めてお聞かせ下さい。

【大臣】「深化」と「拡大」をどう考えるか。つまり、意味をどう考えるかということは、それぞれの進め方の問題だと基本的に私(大臣)はそう思います。ただ、私(大臣)は、アジア太平洋地域の中での深化だと考えておりますので、深化という言葉の方がより適切ではないかと、協力をより密接にしていくということだと思います。

目次へ戻る

知る権利とオフレコ

【週刊金曜日 伊田記者】2月5日に開かれる大臣主催の夕食会にご招待いただきましてありがとうございます。「万障繰り合わせの上御参加いただければ幸いです」とのことですので、喜んでお伺いしたいと考えております。その上で三点お聞きします。一点目です。私が夕食会に参加するにあたって、応分の負担をしたいと考えておりますが、費用の分担はどうなっておりますでしょうか。二点目です。外務省側の支出は当然公金からされると承知しておりますが、予算の区分はどうなっているのでしょうか。例えば報償費から支出されているのでしょうか。最後ですが、「これは完全オフレコで実施させていただいています」というご要望ですが、話の内容によってはジャーナリストの使命として知る権利に答えるためにどうしても報道する責任がでることも、内容によってはあるのではないかと考えます。つまり税金を使う夕食会ですので、こちらの方も国民の知る権利に答える義務があるのではないかと思っています。完全オフレコにできる法令上の根拠はあるのでしょうか。つまり、記者達と信頼関係を作る場も大事だと思うのですが、それを完全オフレコにしてしまうということで、従来の自民党の政治家がやってきたオフレコ懇談と全く変わらないと思うのですが、国民に対する説明責任、それから知る権利との関わりでどう考えているかお聞かせください。

【大臣】今回は、基本的に外務省の負担で費用を(支払う)というように考えています。報償費を使う予定はもちろんありません。一般の外務大臣としての認められた予算の中で支出をするものであります。そんなに高いところにいきませんから。それから、オフレコの根拠ですが、一定の、これは別に会食でなくても、色々な場で「これはオフレコだ」ということで話をする場合と、それから「オンだ」ということで話をする場合があるのは、私(大臣)は当然だと思います。もしオフレコが嫌だということであれば、それは出席しないという選択の自由はあると思います。

【週刊金曜日 伊田記者】もちろん、そのオン、オフというのは、当然のことだと思います。それにどう参加するのかも記者の自由だと思いますが、そこに使っている費用が国民の税金であると、そこにおいてオフレコを主張されることが、今まで自民党がやってきたわけですが、その辺りについてはいかがお考えでしょうか。

【大臣】自民党がやってきたかどうかというのはよくわかりませんが、懇親を深めると、そして報道されないという前提で、より自由にものをお互い言うということはあって悪いことではないと、例外的ですが、私(大臣)は思っております。基本的に私(大臣)自身は「オフレコ」ということは普通ありません。全部オンです。しかし、そういうこと(オフレコ)が例外的にあるということはおかしいとは思っておりません。

目次へ戻る

政治資金規正法改正

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。政治資金規正法改正案についてです。民主党は4月上旬までに企業団体献金禁止などを盛り込みました政治資金規正法改正案の原案をまとめることを決めました。これにつきましては、昨年春、大臣は党の政治改革推進本部長として先頭に立って検討されております。そこでお伺いしたいと思います。企業団体献金の禁止に関して、法のあるべき姿とはどのようなものであるべきかとお考えでしょうか。例えば、ここは最低限押さえる必要があるなど、そういった部分もあるかと思います。

【大臣】(民主)党で行われている政治資金規正法の改正については、今、論議を行っているところですから、それについて私(大臣)はコメントするのは適切ではないというように思います。それから、最低限という意味では、きちんと記載されているということは最低限必要かと思います。それが全ての前提だと思います。

目次へ戻る

米中関係

【NHK 禰津記者】本日の日米深化協議に関わってくる問題だと思うのですが、最近、米中関係が、台湾への武器供与の問題やグーグルの問題などで、若干ギクシャクしている印象を受けるのですが、こうした中、日米同盟を基軸とする日本の外交としてどういった影響が懸念されるのかということに対する大臣のご認識と、今後の日米深化協議の中で中国の扱いをどのように議論していくのでしょうか。

【大臣】今回の台湾への武器の輸出を巡る米中関係の対立と言いますか、「対立」と言うと少し言葉が強いと思いますが、そういったことについて、お互い良識を持って話し合いをすべきだと思います。しかし、この前もどこかで申しましたが、基本的に中国側も想定の範囲内の出来事ではないかと、徹底的な対立ということにはならないというように思っております。そのことと、日米間の高級事務レベルで日米同盟の深化について議論していることとは直接関係ありません。

目次へ戻る

中東和平への取り組み

【共同通信 上西川原記者】アッバース議長の来日ですが、アッバース氏は議長任期が既に過ぎていて、パレスチナ自治政府の中で急速に影響力を失っているという報道があります。その原因としてハマスとファタハの対立もありますが、報道によりますと次の選挙に出馬しない理由として、米国のイスラエル寄りの態度に反発したということです。日本政府として中東和平で米国も含めてどのような役割を果たしていきたいとお考えでしょうか。

【大臣】最初に言われたことと最後の質問がうまく繋がらないのですが。

【共同通信 上西川原記者】アッバース議長が影響力を失っている原因のひとつに米国のイスラエル寄りの政策があるという報道がありますが、日米間でいろいろと協力していこうという中でアッバース議長が来日するにあたり、米国も含めて中東和平にどのような役割を果たしていきたいとお考えでしょうか。

【大臣】質問の趣旨がよく分かりません。ただ、アッバース議長は確かに今は西岸とガザで、ある意味では二つに分かれた状況、ハマスとの関係がうまくいってないという状況があります、そこは私(大臣)も懸念しているところです。アッバース議長が次期選挙に出馬しないということもそのとおりです、しかし、そのことがアッバース大統領が決定的に力を失くしているということに繋がっているとは思っておりません。アッバース大統領は依然として一定の支持を得て、今大統領職を務めていると考えております。
 中東和平については、日本は欧米とは少し違うスタンスで今までもパレスチナを支援してきましたし、独自の考え方でやってきた訳です。もちろん米国側と様々な意見交換をしながら進める訳ですが、常にそれぞれのプロセスで色合いが違ってはいけないということではないとそのような多様な、いろいろなアプローチがあっていいと私(大臣)は思っております。

目次へ戻る

韓国訪問(日韓併合100年を迎えて)

【朝日新聞 東岡記者】冒頭ご紹介のありました、大臣の韓国訪問についてお尋ねします。今回の韓国訪問では「未来志向の日韓関係を築いて行く」という趣旨の発言をされました。今年は日韓併合100年を迎える年ですが、大臣は日韓併合についてどのようにお考えになるのかという点と、100年という節目の年にナショナリズムが敏感な年だと思います。その観点から逆に日韓併合に関連して未来志向、或いは過去についてどのようにお考えなのかお伺いします。

【大臣】日韓併合というのは、その時の世界の状況を見れば、そういった行動は日本に限ったことではなかったかもしれません。しかし、少なくとも併合された側から見れば、自分の祖国がなくなり、やがていろいろな伝統的な例えば名字が日本の名字になったり等、併合によるプロセスで様々なことがありました。そういったことを考えればやはり、そういう痛みを覚える側の気持ちというものは、我々は忘れてはならないと考えています。

目次へ戻る

政治資金疑惑

【日経新聞 山本記者】小沢幹事長の政治資金問題についてお尋ねします。4日に石川議員の拘留期限が迫っていますが、小沢幹事長は起訴された場合、幹事長を辞任、もしくは民主党を辞めるのであろうか。また起訴されなかった場合、幹事長の留任を容認されるのでしょうか。

【大臣】何度も申し上げておりますが、先ず、仮定の議論にはお答えしません。それから、私(大臣)は現在、鳩山内閣の外務大臣の職にあります。外務大臣の職というのは生半可なことではできません。したがってそれに専念すると(いうことです)。今仰ったような質問には答えない、自らを自制しているところです。

目次へ戻る

このページのトップへ戻る
前月へ戻る |  次月へ進む |  目次へ戻る