(1)ミャンマーの選挙関連法について
【岡田大臣】私(大臣)から3点申し上げたいと思います。第1点は、ミャンマーの件です。ミャンマーの選挙関連法が明らかになり、その内容について確認をしてまいりました。前々回でしたか、この場でも申し上げたと思いますが、在ミャンマー大使に確認をさせていたところですが、その結果、「禁固刑に服している者は選挙に立候補できず、政党のメンバーになることもできない」ということが確認されました。自宅軟禁を受けているスー・チー女史も、これに含まれるという説明がございました。そして、これは我が国が期待している、すべての関係者が参加できる開かれた選挙とは明らかに異なるものであります。極めて遺憾であります。
本日、フラミン駐日ミャンマー大使に外務省へ来ていただきまして、「こうした状況で選挙を実施しても国際社会に認められない。すべての関係者に開かれた公正な選挙となるように是非とも再考してもらいたい」と申し入れたところであります。ミャンマーにとっては、今回の選挙は極めて重要であるということは、従来から申し上げて参りました。(ミャンマーの)首相に対しても、あるいは外相に対しても再三申し上げてきた訳でありますし、このような状況の明らかになった選挙では、重要な選挙、国際社会に認められるものにならないということでありますので、是非そこはもう一度考えていただきたいと思っているところであります。
(2)米軍再編問題について
【大臣】第2点は、本日朝、ルース駐日米大使と時間を取って、普天間飛行場の移設問題について、日本国政府の検討状況について説明を行ったところであります。若干の意見交換もいたしました。5月末までにという鳩山総理、そして日本国政府としての約束を必ず果たすということを申し上げ、今後とも緊密に連絡を取っていくということを確認したところでございます。細かい内容については、日本国政府の考え方といいますか、案について、まだ明らかにできない状況でございますので、細かいやり取りについては控えたいと思っています。
(3)米国訪問について
【大臣】3番目は、私(大臣)の米国訪問であります。G8外相会合及びハイチ支援国会合に出席のため、3月28日(日曜日)から31日(水曜日)にかけて米国を訪問します。3月28日及び29日にはワシントンを訪問し、主として29日ということになりますが、ゲイツ国防長官、ジョーンズ国家安全保障担当大統領補佐官と会談する予定です。29日及び30日にはカナダ・ガティノーで開催予定のG8外相会合に出席し、その機会にクリントン米国務長官、キャノン・カナダ外相その他、できるだけ多くのG8の外相の皆さんとそれぞれ会談をしたいと考えております。31日には、ニューヨークで開催予定のハイチ支援に関するドナー国会合に出席をして、(4月)2日(金曜日)の早朝、日本に戻ってくる予定でございます。
【朝日新聞 五十嵐記者】今お話があったミャンマーについてお伺いします。本日、フラミン駐日ミャンマー大使を呼んでお話をされたということですが、外務省側は誰が対応したのでしょうか。あと、駐ミャンマー日本大使に対して、スー・チー女史も例外規定に含まれるという説明があったということですが、これは、いつどのような形で説明があったのでしょうか。3点目ですが、こういう状況になって日本が期待するような選挙にはならない可能性が大きくなってきましたが、日本政府として今後どのような働きかけをしていくのかについて教えてください。
【大臣】まず、詳しい日時は私(大臣)も覚えておりませんが、ミャンマーにいる日本大使からミャンマー政府に対して確認をいたしました。その結果、「スー・チー女史も、この禁固刑に服している者に含まれる」という説明を受けたということであります。それから、本日、フラミン大使にお話をしたのは私(大臣)であります。今後、私(大臣)は、是非ミャンマーの未来が開けるような、そういう思いでこの問題に関心を持ってやっておりますので、ミャンマー政府に働きかけるとともに、今回、米国、カナダで多くの国の外相ともバイの会談の可能性もありますので、そういった折にミャンマーの問題についてもしっかりと話をそれぞれしたいと考えております。なお、アセアンの国々、例えばインドネシアやタイといった国にも、意見交換をして、協力しながら働きかけができればと思っています。それはこれからです。
【共同通信 斎藤記者】今の関連ですが、大臣の方から日本側の立場を伝えられたことに対して、ミャンマー政府の駐日大使の方から何か新たな説明、或いは釈明、何らかの反応はありましたでしょうか。
【大臣】会談の中身を、特に相手方の発言を言うことは如何かと思いますが、大使はスー・チー女史について、「これが禁固刑に服している者に含まれる」と明確には言いませんでした。若干そこは幅があるような言い振りでありました。あとは、本国に日本の考え方を伝えるということでした。
【TBS 樋口記者】昨年11月に日メコン首脳会議がありまして、その際に、日ミャンマーの首脳会談が行われた際に、鳩山総理は「2010年のミャンマーの選挙が我々の期待する方向で行われることが大事である」と述べた上で、「その時には、我が国としても貴国に対する、つまりミャンマーに対する様々な支援を強めていけるようになる」と述べまして、「ミャンマーの選挙が、日本政府が思う形で行われれば、更なる経済支援を拡充していく」というお考えを示したのですが、今のままでは、更なる経済支援というのは難しいということでしょうか。
【大臣】日ミャンマー首脳会談のあと、私(大臣)も(ミャンマーの)首相とお目に掛かって突っ込んだ話をいたしました。その時、「日本政府が用意しているメニュー、本格的な経済支援は、我々が期待している全ての関係者が参加できる開かれた選挙が実現した場合の話である」ということは明確に申し上げております。今日もそのことをもう一度繰り返した上で、「今の状況ではそういったことにはならない」ということを明確に申し上げたところです。
【朝日新聞 五十嵐記者】先程大臣は働きかけの部分で、アセアンの他の国々、インドネシアやタイというお話をされましたが、ミャンマー軍事政権に対しては中国がかなり影響力を持っていると言われています。中国と、この問題について連携をするというお考えはないのでしょうか。
【大臣】是非話はしてみたいと思っております。ただ、すべての関係者が参加できる開かれた選挙をやるべしという時に、そういった選挙をすでに実施している国の方が、より説得力があることは間違いありませんので、そういう意味で、インドネシアやタイというのは、より良きパートナーになり得るのではないかと思っています。マレーシアもあります。
【NHK 禰津記者】関連して、ミャンマー政策を巡っては、米国やEUのミャンマー政策が徐々に日本側の立場に近寄ってきたということを、以前大臣もそういった考えを示されていたと思いますが、今回、ミャンマーがこういった態度を示したことに対して、そうした流れに対して、大臣はどのような懸念を持っていらっしゃるのでしょうか。その辺についてお伺いできればと思います。
【大臣】クリントン国務長官とも、ミャンマーを巡ってはよく意見交換をしたいと思っています。なるべく歩調を合わせながら、是非開かれた選挙が実現できるように努力したいと思います。
【時事通信 水島記者】ルース駐日米大使とのお話について、詳しい内容は控えるとのことですが、基本的なことを確認したいのですが、大使は、「日本政府の考え方について慎重に検討する」という声明を発表されていますが、これは現行計画がベストという立場にこだわらずに検討するという意味なのか、そういうことではないのか、その辺の大臣の受け止めについてお伺いしたいと思います。
【大臣】それはルース駐日米大使ご自身がお答えになるべき問題で、私(大臣)の解釈を言うことは控えたいと思います。ただ、説明に対しては真摯に聞いて頂きました。
【NHK 別府記者】来週のゲイツ国防長官とクリントン国務長官との、米国との協議についてお尋ねします。政府の考え方であれ、政府案であれ、呼び方はさておき、それを先方の国防長官と国務長官に話されることになって、先方は、「普天間の移設問題については現行案がベストだ」という立場を繰り返し表明しています。かなり難しい外交になるのではないかと思いますが、外相としての責任感ということも含めて、会談に臨む意気込み、どのように臨んでいかれるのか、長めに語っていただけないでしょうか。
【大臣】少し誤解されているのではないかと思いますけれども、ゲイツ国防長官、クリントン国務長官と会談を持つのは月曜日であります。本日からあまり時間を置かずに行われますので、そこで詳しくやり取りをするということには、恐らくならないだろうと思います。まず、実務者レベルでしっかりと意見交換することになるのではないかと思っております。私(大臣)はクリントン国務長官とは、先程のミャンマーの問題もそうですが、あとイランの問題、それから、ゲイツ国防長官とは核戦略についてしっかりと議論したいと思っております。もちろん、普天間の問題もテーマにはなると思いますが、そう時間をかけたやり取りには、まだならないのではないかと思っています。
【毎日新聞 野口記者】日米関係についての認識についてですが、昨年の12月に「現行案で年内にまとまらなかった時は、日米関係が揺らいでいる危機感がある」ということを大臣は仰っていました。本日、ルース駐日米大使と会談されて、ルース駐日米大使は「現行案以外についても慎重に検討する」というご回答だったと思いますが、今の日米関係を大臣はどのように見ていらっしゃいますか。
【大臣】今何か動きがあるというようには思っていません。5月末までにきちんと政府としての案をまとめるということで、それは日米間の交渉も含めてということでありますので、それを粛々と行っていくということだと思います。
【週刊金曜日 伊田記者】読者からの質問を代読させてもらいます。普天間基地問題絡みですけれども、移転問題が日米関係に大きな影響を与えるという意見がありますが、米軍基地を廃止させたフィリピン、エクアドルは、基地廃止によって対米関係がどのように変わったと認識されておりますでしょうか。
【大臣】エクアドルのことは、私(大臣)は分かりませんが、フィリピンについては、その結果として、領土問題に明らかに影響が出たと思っております。ましてや日本の場合には、米国の抑止力に依存している部分がかなりありますので、日本独自で日本を守るだけの軍事力を整備するということであれば、それは一つの選択肢かもしれませんが、そうではない中で米軍の抑止力というものを失うということは、私(大臣)は国民の安全という観点から見て非常に大きなことだと思っております。
【読売新聞 村尾記者】先程大臣は、「今後は実務者レベルで協議をする」と仰いましたけれども、両国の外務、防衛当局の実務者レベルの交渉がしばらく続くという理解でよろしいのかどうかということと、去年、両大臣とルース駐日米大使を中心に検証作業みたいなことをおやりになっていましたけれども、これがまた今後も復活するのかどうかということも併せてお聞かせください。
【大臣】実務者間というのは、外務、防衛ということになると思います。官邸も加わるかもしれません。そして、大臣同士が会うというのは、そう何度もできることではありませんので、恐らくルース駐日米大使と私(大臣)が、実務者の協議を踏まえながら必要に応じて交渉していくということになると思っております。もちろん必要があれば大臣としてやると思います。その際には2+2のような形になると思いますが、そういう機会が何度もあるとは思いません。
【共同通信 西野記者】大臣は今回の訪米に関連して、「普天間問題はそう時間をかけたやり取りにはならないだろう」と仰られました。これは、現段階での検討状況を伝えた訳ですけれども、それについて、対米交渉の責任者としてはまだ落としどころを見極める段階ではないと思っておられるということなのでしょうか。
【大臣】我々の検討状況をお伝えして、それを受けて米国側が検証するというか、そのフィージビリティについて(米国の)中で議論をする時間も必要だと思います。結局、金曜日に説明して月曜日ですから、実質的にはそういう日が取れないということですので、突っ込んだやり取りにはならないのではないかと予想しています。もちろん、より時間を取ってこの問題をやるということになれば、私(大臣)は歓迎いたしますが。
【共同通信 西野記者】今のフィージビリティの問題もあったのですが、基本的には、今政府が検討している案というのは、大臣も非常に気にしておられる抑止力の問題、これはきちんと担保できる案になりつつあるとお考えなのでしょうか。
【大臣】我々の議論の前提は、沖縄の負担の軽減と抑止力の維持、この2点であります。
【NHK 梶原記者】本日のルース駐日米大使との会談で、対米交渉が本格的に着手されたという認識でいいのかということと、本日の鳩山総理大臣ですが、「あくまで移設先は、県外に移設させるという道筋を考えたい」と仰っていて、そこは若干、報道ベースですけれども、いろいろな案が出てくるのと少し違和感があります。大臣は、交渉に当たっては、総理が仰るように県外移設をさせる道筋を考えたいという方向で交渉に当たられるのか、それについてお伺いします。
【大臣】総理が仰っていることを前提にして、我々は考えなければならないと思っています。
【共同通信 西野記者】沖縄の負担軽減というのが、二つの原則の一つであると改めて指摘された訳ですが、普天間基地の危険除去ということか、その核心部分にあると思います。この場合、普天間基地の機能を減らしていく、或いはどこかに持っていくということが必要だと思うのですが、米国のウィラード太平洋軍司令官は、県外移転や分散については、難色を示しています。このような分散移転については、今後焦点になってくるということでしょうか。
【大臣】内容について、私(大臣)が触れることはありません。
【読売新聞 川崎記者】本日午前中に、北澤防衛大臣と沖縄県の仲井真知事が会談しまして、その席でも説明がされたようなのですが、記者団を前にしたやり取りの中で、北澤防衛大臣が現行案について、現行案が再び採用される可能性について極めてゼロに近いというような表現の言い方をされたのですが、現行案についての大臣の認識は北澤防衛大臣と同じでしょうか。或いは大臣ご自身のお考えはありますでしょうか。
【大臣】内閣としてゼロベースで検討していると理解しています。
【共同通信 比嘉記者】総理も今朝、「今月末までに政府案を固める」と仰って、政府案がまとまりつつある状況だと思います。大臣はルース駐日米大使とお会いになり、北澤防衛大臣が沖縄で知事とお会いになるという形なのですが、この中で政府案の中で出てくる自治体とか、地元の住民にとってみたら、「なぜ自分たちの自治体や地元が選ばれたのか」その経緯というのが全く見えずに、非常に理解しにくい状況だと思います。鳩山政権、政府として、どこかの段階で「ここしかなかったのだ」とか、或いは「他の所を検討したのだけれど、ダメだった」とか、そういうご説明をする機会というのはあるでしょうか。
【大臣】総理の仰る「政府案がまとまる」ということの意味の取り方にもよると思いますが、地元も理解をし、そして米国側も納得する案をまとめるという作業は簡単なことではないと思います。ですから、「いつまでに」ということを私(大臣)の口から申し上げるつもりはありません。
【AFP通信 檜山記者】普天間の件で、交渉のスピード感なのですが、3月末までに政府案がまとまるとして、4月、5月で交渉が加速度的なスピード感を持って交渉が行われるという認識でよろしいのかどうかということと、先ほどの質問と関連するのですが、「政府案がありますよ。こういう政府案ですよ」ということが国民に知らされるタイミングというか、国民が知る機会というのは、鳩山内閣として考えているのでしょうか。
【大臣】私(大臣)は先ほど申し上げましたように、政府の案ということの定義が明確ではありませんが、そう簡単にそれがまとまるとは考えておりません。米国側とも地元側とも、それぞれ納得されるということであれば、それは正しく5月末までにそれをまとめるということだと思っております。
【NHK 禰津記者】今回訪米される前に、ルース駐日米大使と会われたという、そこの意義付けについて、もう一度お伺いできますでしょうか。これをもって対米交渉、対米協議のスタートという位置付けになるのかどうかということも含めてお願いします。
【大臣】現状について、説明した訳ですが、事実上、そういった一連の説明、或いは意見交換がスタートしたと受け取っていただいて結構だと思います。このタイミングだったのは、たまたまで、別に私(大臣)が訪米するから本日やったという訳では必ずしもありません。
【NHK 別府記者】そうしますと、本日事実上スタートした。次のゲイツ国防長官とクリントン国務長官との協議というのは、さらにスタートしたものを確認するというのが主目的になるのでしょうか。よりそれを正式化して「実務者協議を始めるから、ひとつよろしく」ということを確認するためのことも、ひとつ会談の狙いとなっているのでしょうか。
【大臣】別に会談するのは、普天間の問題で会談する訳では必ずしもありませんので、そのうちのテーマの一つということであります。具体的にどういうやり取りがあるかというのは、相手もある話ですので、はっきりとここで申し上げる訳にはいきませんけれども、私(大臣)は本日(ルース駐日米大使と)会って、週末をはさんで月曜日の話でありますので、そう深いやり取りにはならないのではないかと思っております。もちろん、かなり突っ込んだやり取りになるのであれば、それはそれで結構なことだと思っております。
【時事通信 高橋記者】先ほどの北澤防衛大臣の発言に関連してお伺いしますけれども、「現行案が限りなくゼロに近くなった」という防衛大臣の発言ですけれども、今まで政府でゼロべースで検討してきて、それがいろいろな案を検討して絞り込んだ結果、つまり、ゼロべースで検討していろいろ取捨選択をして、次のステージに進んだ結果の発言だと私は受け止めているのですけれど、大臣がまだゼロべースで検討しているということは、現行案はまだ生きているというご認識なのでしょうか。
【大臣】あくまでも、ゼロべースで検討していると理解をしております。
【テレビ朝日 新堀記者】先ほど大臣が「実務者レベルの協議をするのにあたって、今回は官邸も入るかもしれない」と仰ったのですが、その位置付けをもう少し、意味付けというか、官邸が今回入るのは、やはり官房長官がやってらしたからということなのか、その辺りを少しご説明いただけますでしょうか。
【大臣】今回、今までの作業を官房長官が中心にやってこられましたので、やはり官房長官の意を受けた実務者が入る必要があるだろうと私(大臣)は思っております。
【NHK 梶原記者】先ほど大臣が、総理の「移設先はあくまで県外に」というので、そういうのを前提にして考えないといけないということでしたが、若干、閣内で総理と大臣の目指される方向が違うのかなという印象を受けるのですが、その辺りを大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】総理の方針の下で作業をしておりますので、違うということは全くありません。そして、私(大臣)が先ほど申し上げたのは、総理のそういう思いというものを前提にして、我々は作業しなければならないということを申し上げた訳です。
【AFP通信 檜山記者】政府案の定義付けというか、位置付けなのですが、大臣としては、どういった定義というか、位置付けであるということで今まで作業されてきたのか。これが、たたき台になって、4月になると交渉が加速度的に早く物事が運ぶということなのか、4月になると何が3月までとは変わるのかということをお伺いします。
【大臣】なかなか難しいご質問ですれけれども、本日、現状を説明しましたので、日米間で今までやり取りは実質的には何もしておりません。それが、具体的なやり取りになってくるということだと思います。
【共同通信 西野記者】対米交渉の責任者として、落としどころは見えているのでしょうか。
【大臣】コメントしません。
【NHK 別府記者】理解が悪くて恐縮なのですが、普天間に戻ってなのですが、本日、ルース駐日米大使に政府の考え方と案を説明したと。
【大臣】現状を説明したと私(大臣)は申し上げました。
【NHK 別府記者】その検討状況の現状、説明するには案があってそれを説明するのか、検討している途中のプロセスを説明したのか。(案が)まとまってない訳ですが、何を説明されたのでしょうか。
【大臣】政府の検討状況を説明しました。それ以上のことは申し上げません。
【共同通信 井上記者】総理は普天間に関して、「3月末までになんとか政府案をまとめなければならない」と仰っていて、それと5月末の決着の期限、そこでまとまる政府案との違いは一体どういうものなのでしょう。
【大臣】そこはぜひ総理に聞いていただきたいと思います。
【共同通信 井上記者】大臣は総理の方針に全面的に従って行うと仰っていて、5月末までの政府案というのは仰るのですが、3月末に関しては国会でも「私はそういう発言はしない」と仰っていて、総理の説明とのギャップというか違いが非常に目立つような印象を受けるのですが、大臣として、3月末までにまとめなければならない政府案というものがどういうものであると考えていらっしゃるのか、ご説明いただければと思います。
【大臣】これは本日は日がありませんので、米国から帰ったら、総理によくお聞きしてみたいと思っております。
【共同通信 西野記者】内容はなかなかお話できないということなので、少し違った面からです。朝7時前から人とお会いになるということは大臣は結構やることなのでしょうか。それから、本日、ルース駐日米大使と朝ご飯を一緒に食べられたと考えていいのでしょうか。
【大臣】朝ご飯を食べたかということは何人もの方から聞かれて、それがそう重要なことなのかどうかよく分かりませんが、「食べた」と言えば「何を食べたか」と聞かれるのかもしれませんが、食べておりません。私(大臣)は結構朝は早いことが多いのですが、本日はいつもより少し早かったかもしれません。
【週刊金曜日 伊田記者】読者からの質問を代読します。3月19日の大臣会見で沖縄のひき逃げ事故のやり取りを聞いて、次の疑問を持ちました。大臣に正しい情報が伝わっていないのではないでしょうか。重要なことであるとの報告があったのでしょうか。それから、「手続きが進んでいるから、問題ない」と答えられましたが、日本側に捜査権、逮捕権がないという地位協定が問題だという認識はおありでしょうか。つまり、地位協定がこのままでは、普天間の移設についても移設先の引き受け手がないという事態も想定されると思いますが、いかがでしょうか。
【大臣】若干誤解があるかもしれません。まず、「ひき逃げ」という言葉ですが、文字通りのひき逃げではなくて、車にぶつかって、そこで子供が怪我をした訳です。そして、そのまま逃げ去ったということで、これを「ひき逃げ」と言うかどうかです。普通、「ひき逃げ」というのは歩行者に対するものを言うのではないかと私(大臣)は思いますが、私(大臣)に思い違いがあるのであれば、正して頂ければと思います。むしろ、「当て逃げ」、普通の我々の言葉を使えば「当て逃げ事案」になるのではないかと思います。それから、逮捕、起訴権限がないというのは事実に反する訳で、米軍の公務に関することであれば、そうですが、そうでなければ、当然、逮捕され、起訴されるということであります。多分、事実関係に誤解があるのだろうというように思います。
【AFP通信 檜山記者】鳩山総理の記者会見が開かれて、記者会以外の記者の方、外国メディアの方とかが入った記者会見だったのですが、大臣はずっとこのような形で記者会見をなさっていて、以前のやり方と今のやり方で変わった点、良かった点、悪かった点があれば教えていただけますか。
【大臣】何回もこの場で申し上げておりますが、より幅が広い意見やご質問を頂けるようになったと感じております。
【朝日新聞 倉重記者】密約に関して、本日の外務委員会で公明党の赤松議員の質問で、「東郷さんの参考人質疑の際の引き継ぎについての調査を今後どのように進めていくのか」というところで、「今形成中である」という話ですが、お答えできる範囲で結構ですが、外部の人というのはどういうジャンルの方を想定されているのかということと、スケジュール感、大体どういう段取りで進めようと考えておられるのかと、また記者側にいつの段階で発表なりするのか。というのは、これは外務委員会のスケジュールにも影響してくるようなので、説明をお願いします。
【大臣】米国から帰ったところでお話をしたいと思います。
【共同通信 斎藤記者】本日の衆議院外務委員会で竹島問題について答弁をされていましたが、その件についてお伺いします。本日の答弁では大臣は「竹島について、当然日本の固有の領土である」という点について明言すると同時に、質問者の方が「韓国が不法占拠をしているのかどうか」という点については、大臣はご自身の表現で「不法占拠」という言葉を使われずに違う表現でお答えしております。そこでお伺いしたいのは、竹島問題についての対応と北方領土、これまで日露交渉で岡田大臣は、この前もモスクワに行かれてラブロフ外相とかなり突っ込んだやり取りをされたと理解をしております。北方領土も竹島も日本政府の見解からすれば、同じ日本固有の領土であります、しかし、外形的にみれば政府の対応には若干違いがあるようにも、印象論として違いがあるようにも思えます。例えば言葉の表現の問題、会談での取り上げ方の問題、そこには対ロシア、対韓国、取り巻く情勢も違うでしょうし、或いは日本の戦略もいろいろあるかと思います。ただ、一般の人たちから、外形的に見れば、そこには何らかの違いがあるようにも受け止められると思います。この点についていくつか説明をしていただければ幸いです。
【大臣】非常に抽象的な問いなので、なかなかお答えはしにくいのですが、本日の委員会で言われた表現は私(大臣)は北方領土についてもしたことはございません。
【日経新聞 山内記者】本日、EPAに基づく看護師試験の発表がありました。合格者は3名、これについての受け止めと、言葉の壁などが従来から指摘されていますが、候補者の在留期間を考えるとあまり時間が残されていないように思います。これについて、対応策を説明してください。
【大臣】確か、インドネシアの方が2名、フィリピンの方が1名だったと思います。合格されて非常に良かったと思います。ただ、漢字の問題など、そういったものが非常にネックになっていることは間違いないと思いますので、もう少し平易な言葉で試験が行われるとか、そういった言葉の壁が必要以上に阻害要因にならないような工夫というのは私(大臣)は必要であるというように思います。志を持って日本で看護師になったり、或いは介護士になろうということで、本来資格がありながら、資格を取得するまで日本ではそういった仕事ができない訳ですから、そこで一所懸命頑張っている人達たちの大半が試験に合格できないというのは私(大臣)は決して望ましい状況ではないと思います。政府として、もう少しできることがあるだろうというように思っております。
【NHK 梶原記者】本日の衆議院外務委員会ですが、その中で赤松議員の質問で核政策のやり取りがあったと思いますが、「米国の核政策が変われば、日本の考え方も変えなければならないことは当然のことだ」という趣旨の発言されたと思いますが、具体的に言うとどういうことを仰っりたかったのでしょうか。
【大臣】1991年と1994年の米国の核政策に基づいて、船舶、航空機に戦術核は載せないという決定がなされております。そういう政策が変わるということになれば、それはその段階でどうするかということの日米間の話し合いということが必要になると思います。
【フリーランス 安積氏】2001年に閣議決定された大臣規範の1.(5)に「パーティの自粛」というのがあります。大臣は来月12日、朝8時から都内のホテルで朝食会を開かれるとお伺いしておりますが、この朝食会が開かれるのかどうなのか、また、参加予定人数、会費等についてお答え頂きたいと思います。
【大臣】朝食会を開く予定にしております。大臣の規範というものがありますので、その範囲内で行いたいと考えております。
【フリーランス 安積氏】大臣規範の範囲内ということであれば、大体何人ぐらいが参加され、会費はいくらになるのでしょうか。また、この朝食会について、例えば取材等は可能なのでしょうか。
【大臣】基本的に公開はしていません。何人ぐらいかというのは、その場にならないと分からないところがあります。振り込みではなく、その時に会費を持ってこられる方もいますので、やってみないと分かりません。
【フリーランス 安積氏】これまでの朝食会や昼食会について、大臣は東京の方とか、地元の方、関西の方でいろいろ行われたと思いますが、朝食会について、これまで何名ぐらいご参加されたのでしょうか。今回の朝食会の会費は1枚あたりはおいくらなのでしょうか。
【大臣】1枚あたり2万円です。実は朝食会というのはあまりやっていません。大体、夕方の会合、或いは夜の会合が中心です。しかし、今は大臣をやっておりますので、早朝でないとできないということです。国会の関係や公務がありますので、その意味で早朝ということを考えております。なお、地元では土曜日と日曜日を使って行う予定です。
【伊勢新聞 中森記者】中井国家公安委員長の件ですが、週刊誌で女性関係が報じれられたのですが、これについて岡田大臣の感想というか受け止めをお願いします。
【大臣】私(大臣)がコメントすることではないと思います。プライベートなことが中心でありますので。ただ本日、国会で同じ委員会に出席しておりましたが、中井大臣は質問を受けて、そして陳謝をしておられました。
(1)ハイチ訪問について
【岡田大臣】私(大臣)からは2点。第1点は、ハイチへの出張報告ということでございます。金曜日の夜に立ちまして、月曜日の夕方に帰って参りました。内容は皆さんご案内のとおりであります。実際に現地を見ますと、ほとんど人間が住んでいる家がないなということで、被災の非常に厳しい状況が伝わってまいりました。そういう中で、自衛隊の皆さんは非常に元気にしっかりと活動しておられて、地元からの評価も高いということがよくわかりました。ミュレ国連事務総長特別代表代行、そして、プレヴァル大統領、ベルリーヴ首相、あるいは外相との会談を行いましたけれども、ハイチ側からは、今までの7,000万ドルの支援に対する感謝の言葉と、そして更なる支援の要請がございました。私(大臣)からは、月末に予定されているG8外相会合、あるいはハイチ支援国会議で積み増しを検討したいと申し上げますとともに、これは日本国民の税金なので、本当にハイチの国民のためにしっかり使って頂きたいと申し上げたところであります。その他、NGOとの懇談、それから日本の4つのNGOそれぞれがしっかりと活動しておられる様子もよくわかりました。それから、病院や被災民のテント村などを訪れて、若干の言葉も交わしたところでございます。以上がハイチの問題です。これから月末のG8外相会合、あるいはハイチ支援国会議に、実際に自分の目で見た経験を生かしていきたいと考えております。
(2)NPT運用検討会議について
【大臣】もう1つは、NPT運用検討会議に向けた軍縮不拡散の新しいパッケージの提出ということで、23日に日本国政府とオーストラリア政府は国連事務局に対して、2010年NPT運用検討会議に向けた実践的核軍縮及び不拡散措置の新しいパッケージを5月のNPT運用検討会議の作業文書として提出をいたしました。このパッケージは、2月21日の日豪外相会談で発出した日豪外相共同ステートメント「核兵器のない世界に向けて」において、両外相が追求していくことを確認したものであります。その時点でもかなり煮詰まりつつあった訳ですが、その後の調整を経て、今回提出ということになったものでございます。今後は他のパートナー国とも協議を行いつつ、このパッケージがNPT運用検討会議の最終文書に反映されるよう、全力を尽くしていきたいと考えているところでございます。
【共同通信 井上記者】ただいま配られた新しいパッケージについてお尋ねします。この中で、消極的安全保証の強化ということが謳われていますが、このことについて大臣は今まで、米国とも議論しながら軍縮等について議論していくと仰っていましたが、この点について、米国もこの案について賛同を得られる見込みがあるのか。それと、日豪共同声明にあった唯一の目的という考え方は、今回の新しいパッケージには入っていないようですが、その理由についてお聞かせください。
【大臣】基本的にこの文書は、NPT運用検討会議に向けたペーパーであります。より現実的な案として考えていかなければならないということで、今、ご指摘のあったような、日豪外相の合意文書との違いが出てきているとお考えいただければ結構かと思います。米国がこれに対してどういう考え方を取るかということは、非公式にはいろいろな意見交換をしておりますけれども、何か米国の見解が出ているということではございません。それはこれからの問題であります。
【共同通信 西野記者】パッケージの4.ですけれども、この中で、消極的安全保証をできるだけ早期に供与する前提として、「NPTを遵守している非核兵器国に対して」ということですが、「NPT遵守」ということで言えば、北朝鮮などはここには含まれてこないと読むことはできるでしょうか。それから、3.ですけれども、「すべての核兵器について、核兵器を増加させないこと、削減することを早期にコミットする」ということですが、「コミットしない」ということで言えば、中国が念頭にすぐ上がるのですが、そういう見方をしても差し支えないでしょうか。
【大臣】4.のところで述べておりますNPTを守っている非核兵器国に対して、現状では、北朝鮮がこれに含まれないことは明らかであります。それから、3.のところは、特定の国を名指ししたものではありませんが、核兵器をこれから削減すること、または、少なくとも増加させないことということで、どの国に対してもこのことを求めるということでございます。
【朝日新聞 倉重記者】東シナ海のガス田協議について質問します。先週、大臣が官邸の方に行かれて、その際にエネルギー庁長官と同席だったと思うのですが、今どういう状況で議論が進んでいるのかといった、中国との関係も含めて、現状のお話をお願いします。
【大臣】直嶋大臣も入られて、総理、官房長官に現状のご説明をしたということであります。事態が膠着状態にある中で、何とか前に進めたいということで様々な説明を行いました。その前提として、ここでも何度も申し上げていることですが、日中間の合意というのは2つあって、これは正しく報道されないことが多い訳ですけれども、1つは白樺、(中国名で)春暁です。ここについては、中国側のプロジェクトに、中国の法律に基づいて、日本が出資をするという話。そして、北部の開発は共同開発。これは峻別されています。そのことも含めて説明をさせていただきました。今後の対処方針については、この場で述べるのは適当ではないと思いますので、控えさせて頂きたいと思います。ただ、やはり日中間にいくつかの問題が存在しておりますが、そういうものを早く解決していかなければいけないといった視点で総理にもお話をさせて頂いたところでございます。
【朝日新聞 倉重記者】先週のその時期に総理に説明をする必要性が生じたのは、何か中国側とのやり取りの中で、緊急に検討するような事態が生じたのでしょうか。
【大臣】特にそういうことはございません。たまたまそういう時期になったということであります。
【NHK 禰津記者】普天間問題についてお伺いします。このあと各関係閣僚が集まって普天間問題に対する話し合いが行われるかと思いますけれども、3月末までに政府案をまとめるという期限がある中で、対米(交渉)の責任者として、本日の関係閣僚会議にどのように臨もうと考えられていたのか、そのお考えについてお伺いします。
【大臣】3月末までにまとめるのかどうかというのは、私(大臣)は認識をしておりませんので、何ともお答えできないですが、ただ、集約をしていかなければいけない時期であることは間違いありませんので、よく話をしてみたいと思っております。
【琉球新報 滝本記者】今、大臣がまさに仰られたように、何かカチッと決まったものを作るのかどうかは別にして、考え方を集約されていくということに、本日の協議を踏まえても、なるのかなと思いますが、その辺の考えを、月末に訪米されてあちらの国防長官との会合の機会がおありかと思うのですが、その会合でのお話振りというのは、本日の会議を踏まえて、日本側の考え方、進捗状況などを改めて説明されることになるのでしょうか。
【大臣】これはよく分かりません。日本側の進展状況次第だと思います。もちろん、求められればその時点における進展状況をご説明できると思いますが、私(大臣)が月末、誰に会うかということは、まだ明確には決まっておりませんけれども、米国政府の要人と会うことになったときに、この話というよりは、むしろ、例えばイランの話とか、ハイチの話とか、まず、そういうものがしっかりと話し合われるテーマではないかと思っております。
【週刊金曜日 伊田記者】国民に対する説明責任を巡って、岡田大臣が積極的な姿勢を外務官僚との間で綱引きされていることに敬意を表しております。その1つは、先週の火曜日の外務委員会の答弁における守秘義務のことが1つ。それから、先週の金曜日の夕方ですが、午前中の参考人質疑で東郷メモの存在が明らかになったときに、金曜日にすぐ開示されたことです。ところがその一方で、ややもするとこれはとても難しいことだと思いますけれども、官僚の戦術に大臣自身が流されてしまう危険性があるのではないかというのを踏まえてお聞きします。東郷メモを公開しなかった理由として、金曜日の会見で、「非公開を前提で受け取った」と発言されましたけれども、私が東郷さんにお聞きした範囲では、「そういう前提は一切なかった」ということでした。それから、有識者の聞き取りに対して渡したのだけれども、同席していたノートテイカーが欲しいと言ったので、これは参考人質疑で述べられておりますけれども、欲しいというので渡したと、いわゆる外務省の求めに応じて渡したということになると思います。ここで外務省の責任というものが生じてくると思うのですが、「非公開前提で受け取った」と金曜日に発言された根拠についてお教えください。
【大臣】有識者委員会でのヒヤリングというのは、東郷元局長に限らず、十数人に行っております。行った名前は報告書の最後に書いてあります。その時に、いちいち引用しないということでヒヤリングをしております。従って、そこで資料を提出されたのは、たぶん東郷元局長だけではないかと私(大臣)は思いますが、ちょっと分かりません。いずれにしても、資料はお渡しいただきましたが、それは公表していいと明示的に言われた訳ではありませんので、そういう意味で、有識者委員会及び外務省が受け取ったものだと私(大臣)は理解をしておりました。従って、公開をしなかった訳ですけれども、国会の参考人質疑の中で、「これは国民や外務省に手渡したつもりである」と元局長が仰いましたので、そういうことなら、これは公開可能だと考え、念のためにご本人に確認をした上で公開したものでございます。
【週刊金曜日 伊田記者】大臣自身は、東郷メモというのは事前に目を通されていたのでしょうか。それから、東郷さん自身が公開にしてくれ、非公開にしてくれと言ったのに関わらず、最終的に国民への説明責任を果たすという意味で、大臣が公開すべきだと判断すれば公開する。それは最終的に大臣がジャッジメントと言いますか、そこの鍵を握るべきではないかと思いますけれども、そこはいかがでしょう。
【大臣】メモは当然見ておりました。ただ、非公開前提と私(大臣)は理解をしておりましたので、基本的に、公開をするということは予定しておりませんでした。東郷さん以外の方々との個々のやり取りも公表していない訳です。私(大臣)はそれと同列だと考えておりました。
【週刊金曜日 伊田記者】もう一言だけお聞きします。結果的に、もしこの東郷メモというものが外務省の中に保管されていたら、これは当然、今回の調査でマル秘が解かれて公開されていた可能性があると思います。それから、各種の報道を見ても、文書リストというのは第一級の資料的価値を持つものであるという判断をされていた訳ですけれども、繰り返しですけれども、最終的に判断されるのは大臣が、つまり、政治主導で国民に選ばれた政治家として判断していくべきものだと思いますけれども、そこの判断は今でも正しいとお考えでしょうか。
【大臣】基本的に、これは有識者委員会の中でヒヤリングを行ったものです。ですから、その扱いも一義的には有識者委員会が持つべきだと思います。もちろん、有識者委員会が「公表してはいかん」と言った訳ではありません。ただ、全体の判断から、個別のやり取りについては表に出さないで報告書を作ると、報告書を作る際のバックグラウンドにすると、私(大臣)は理解しておりましたので、それを尊重していた訳でございます。
【NHK 別府記者】関連しまして、先週の段階で東郷さんの参考人質疑の中で、谷内さんの名前であるとか、藤崎さんの名前を出されていましたが、調査というか、確認というか、作業の現状、或いは現段階の見通し、大臣もハイチに行かれていましたのでお戻りになってからかなと思っていますが、どのように進んでいくと理解したらいいでしょうか。
【大臣】ハイチから帰ってきて、本日は一日、国会ですので、なかなか物事を決める時間がないのですが、先週も少し申し上げましたように、やはり、これは外部の人も入った第三者的な委員会を作り、それはむしろ第三者に任せるということではなくて、今回の場合、外務省の中の話でありますので、外務大臣、或いは副大臣が中に入った、そして、第三者と一緒になったような委員会を作って、そこで話を聞いたり調べたりすることが必要かと思っております。ただ、何を調べるのかということについては、この場でも申し上げましたが、情報公開法施行前に文書を大量に廃棄したのではないかという話については、まだ噂の域を出ませんので、そういう噂だけで、しかも、その噂があるのは外務省だけの話では恐らくない中で、そういうところに今広げるのではなくて、東郷さんのお話に関連して、彼もそれは噂話として伝えられた訳ですけれども、そうではない方の赤いファイルの話について、事実関係を確認したいと思っております。
【毎日新聞 野口記者】今の大臣のお答えの中で、新たな第三者の委員会を作るということで、北岡座長が中心になった委員会とは別で、大臣が本部長をしている本部とはまた別で、東郷さんのファイルを調べるための委員会を新たに作るということでよろしいでしょうか。
【大臣】そのとおりです。ただ、あまり大げさなものではなくて、数人規模のもので十分だと思います。別に議論する訳ではありませんので、いろいろお話を聞く際にいろいろな立場の人がいた方がいいという観点で、数人規模のものを作りたいと考えております。
【共同通信 西野記者】大臣は東郷メモを拝見されておられたということを今仰った訳ですけれども、一方で、外務省の調査は昨年11月段階で終わっていました。東郷メモの中には、参考人質疑でも明らかになったように、「8つの重要な文書がなくなっている」と東郷さんは言われました。東郷メモと外務省調査の間にはいくつかの違いがある訳ですけれども、大臣はメモを見られた時に、外務省に対して追加調査、あるいは「これはもうないのか」ということについて、話は、或いは指示はされたのでしょうか。
【大臣】外務省の調査は徹底したものであります。その違いというものは確かにある訳ですが、外務省にその調査がまだ残っているとは全く考えておりません。
【毎日新聞 野口記者】非核三原則についてですが、本日、長崎市長が首相官邸に行ったり、昼間には大臣とも直接お会いになったと思うのですが、非核三原則の法制化をして欲しいという要請をして回ってますが、大臣は元々、法制化には難しいというお考えを会見でも述べていますけれども、それを長崎市長にも直接お伝えになったのでしょうか。
【大臣】お話しました。少なくとも2つの点をきちんとしないと法制化ということは難しいと申し上げました。
【西日本新聞 斎田記者】確認ですけれども、2つの点というところを改めて教えてください。
【大臣】この場でも申し上げましたが、第1点は「無害通航」との関係です。これは従来の政府解釈では無害通航に当たらないというのが政府の解釈だと理解しております。ただ、いろいろな国の意見を見ますと、そうではない意見もかなり有力であります。例えば、当時の米国とソ連だったか、ロシアだったか忘れましたが、従ってそこは国際法的にクリアできるかどうかという問題が一つあります。法制化ということでなければ、これは日本政府の考え方として通るのだと思いますが、法制化するということになると、より厳密な検討が必要になるということであります。それから、もう1点は、どうやって実効性を担保していくかということでありまして、本日も参議院予算委員会で、山本委員から質問が出ました。聞かれるから、私(大臣)は「自民党時代にはどう考えていたのか」と聞いたのですが、お答えがありませんでした。これも、もちろん宣言的に言うだけなら、それなりの意味はあると、日本政府の考え方が分かって、それを尊重するということも、或いは考えてもいいのかもしれませんが、やはり法律ということになりますと、そういったことについてもう少しきちんとした議論が必要になってくるのではないかというように思っております。
【週刊金曜日 伊田記者】世界情勢が刻々と変化しておりますけれども、非核三原則をそのまま堅持されるということは、現在もしくは直近の国際情勢において、非核三原則を堅持したままで日本の安全保障上問題がないという考えでよろしいでしょうか。
【大臣】1991年の米国の核政策の転換によって、日本の主張する非核三原則で基本的に問題がないというように考えております。従って、非核三原則の堅持ということを我々は申し上げている訳であります。将来の仮定の話というのは、本日も国会で申し上げましたが、これは、要は仮定の話でありますから、その時にその時の政府が判断する、今からそこまでは縛れないだろうという趣旨で申し上げているところであります。
【共同通信 斎藤記者】日韓の有識者が第二期の(日韓)歴史共同研究の報告書を間もなくまとめ、公表すると聞いております。こうした日韓間の共同研究、日韓の歴史問題にどのような影響を与えるか、どのような意義をもたらすのか、そして大臣として、日本と韓国の間でこうして大きく歴史認識が異なる中で、隣国同士として、どこまで共通の歴史観を持つべきで、どこまでお互いの認識を、教科書もそうでしょう、あるいは政府見解もそうでしょう、摺り合わせていくべきとお考えなのか、ご見解があればお伺いしたいと思います。
【大臣】歴史というのは非常に多様な見方が可能ですから、一つの事実について完全に一本化するというのは私(大臣)は非常に困難なことだと思います。それは国と国との関係だけではなくて、歴史家一人一人に歴史観があるというのが現実だと思います。ですから、多様な見方があります。しかし、お互いに意見交換をする中で、少しでもその差というものが埋まっていけば、それは素晴らしいことであると思います。今、非常に日韓間の歴史に対するものの見方に開きがあるというお話でしたが、それは必ずしも全てについてそうであるということではないと私(大臣)は思います。近現代史ということになるとかなりシビアな意見の違いというものがあると思いますが、それ以前ですと、もちろん意見の違いはいろいろありますが、しかし共通する部分もあると思います。そういう共通する部分が議論することによって増えていけば、それだけ相互の認識というものが近づく訳ですから、そういう意味で歴史共同研究というのは私(大臣)は意味のあることだと思っております。
【琉球新報 滝本記者】米軍関係の事件とか事故というものが頻発しておりまして、飲酒運転がらみの逮捕事案であるとか、車両の進入事案等いろいろありまして、在沖縄の米軍のトップが内部調査というか、事件防止策に向けた内部調査を指示したというリリースがありました。外務省として発生時期に個別にはいろいろ再発防止なり、綱紀粛正なりを申し入れたりしていると思いますが、(このような事故が)相次いでいるという事態について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】前回の16日の名護市における追突逃走事件、これに引き続いて21日にはうるま市において米軍人が飲酒運転をし、タクシーに追突、逃走する事件が発生いたしました。今のご指摘のように続けざまに起きておりまして、たいへん憂慮しているところです。そういったことに対して、機会を捉えて米国側にも我々の懸念というものをお伝えしております。17日の事件についても地位協定室長から米国大使館の安保課長に対して、18日に行われた日米合同委員会において日本側から米側に対して申し入れを行ったところです。米側からは22日に在沖縄4軍調整官のロブリング中将から樽井沖縄担当大使に対して、「最近の一連の事件について心からお詫びをする。このようなことが二度と起こらないように徹底すべく、自分から指示を改めて出した。綱紀粛正についてきちんと対処することを約束する」旨伝達があったところです。このような事件は今後是非起こらないようにしてもらいたいと考えております。
【朝日新聞 高橋記者】今日の予算委員会の集中審議で鳩山首相が「消極的安全保証について法制化を求めていきたい」というようなご発言をされているのですけれども、これについて、確か岡田大臣はそのような事は過去に仰ったことはなかったと思うのですけれども、どのように(考えられますか)。
【大臣】「法制化」ということを総理が言われたとは、私の記憶には残っていないのですけれども。ただ、「安保理などで拘束力のある形の決議を」というように言われたかと思いますが、それは方向性としては私(大臣)は望ましい方向性だと思います。現在の常任理事国、核を持つ5つの国は、それぞれ消極的安全保証について基本的には賛同していると私(大臣)は思います。しかし、いろいろ条件も付いたりしております。それから、例えば北朝鮮など「核兵器を現に持っている」と自ら主張している国もあります。もちろんインド、パキスタンもあります。ですから、消極的安全保証ということであれば、そういう国の扱いをどうするのかということもありますし、方向性は私(大臣)は正しいとは思いますが、そう簡単にできるものではないということです。更に議論をしっかり重ねていかなくてはならないと、まだその途上にあるというように思っているところです。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読します。文化外交との関連から質問いたします。マンガやアニメなどのキャラクターの性描写の規制に関する、東京都の青少年健全育成条例改正案というものがあります。外務省におかれましては、大臣を委員長とします「国際漫画賞」やマンガを通じたパブリック・ディプロマシーの推進に大きな影響を及ぼすものと考えられるのですが、こうした表現の自由の規制に関する動きについて、ご所見をお願いできたらと思います。
【大臣】これはなかなか難しい問題ですけれども、ただ、子どもが目にする物に対して表現の自由という名の下に、何があってもいいということでは私(大臣)はないと思います。大変微妙で難しい問題だと思いますけれども、本来は自主的にそういうものについて規制が行われるということが望ましいと思いますが、それで済まないということになれば、様々な事柄について検討せざるを得ないかもしれない問題だと思います。子供の手に届くところに野放図に、そういったものがあるということに対して、もう少し関心を高めるべきだというようには思っています。
【フリーランス 上杉氏】ツイッター利用者からの質問を代読します。岡田大臣は、(会見の)壇上に立たれている時に、必ず議員バッジを外すのですが、それは何か意味があるのでしょうか。
【大臣】本日は外し忘れていたので、ここで外しました。国会から帰ってくると付けておりますので、忘れて付けたままにしているのですが。基本的に私(大臣)は初当選以来、1、2年は議員バッジを地元に帰っても一生懸命に付けて、支持者の皆さんの期待に応えていたのですけれども、やはり、これは国会に入るための印であるというように考えて、国会及び議員会館以外はバッジを付けないということを、17、8年間ずっとやってきております。テレビに出たりとかそういう時も含めて、基本的にはバッジはしておりません。外国に行っても(バッジを)される方もいらっしゃいますけれども、少し我々の感覚とは違うなという感じはします。
(1)大西洋クロマグロのワシント条約付属書Ⅰ掲載提案の第1委員会における否決について
【岡田大臣】私(大臣)の方から何点か申し上げたいと思います。まず、大西洋クロマグロのワシントン条約付属書Ⅰ掲載提案の第1委員会における否決ということで、関係者の皆さん、外務省、農水省、協力して行動した結果もあり、否決ということになりました。モナコ提案、EUによる修正提案が否決ということになりました。我が国としてはこの結果を歓迎するものであります。もちろん今後、24日と25日に行われる全体会合で、これらの提案に関する委員会の報告に基づいて採択が行われますが、3分の1以上の多数で再審議及び投票を求めることが可能となっておりますので、今後の情勢については依然として注視が必要な状況でございます。全体会合に向けて引き続き我が国の立場への理解、支持を求める努力を継続してまいりたいと思います。
(2)ハイチ訪問について
【大臣】それから、ハイチ訪問であります。明日3月20日、我が国の外務大臣として初めてハイチを訪問いたします。防衛省の長島政務官も同行されます。ハイチでは、1月に発生した大地震の被災地を視察するとともに、大統領や首相、それから国連ハイチ安定化ミッション事務総長特別代表代行と会談する予定であります。また、自衛隊の宿営地を訪問し、活動状況の視察、隊員の激励を行うとともに、現地で活動する日本のNGOと懇談する予定であります。
(3)いわゆる「密約」問題に関する調査(参考人の招致について)について
【大臣】参考人の招致につきまして、私(大臣)も本日、テレビはほとんど見ておりませんが、本日参考人招致が行われました。それぞれのやり取りをよく分析したいと思っております。また、この件についてはご質問があればお答えしたいと考えております。
【毎日新聞 野口記者】参考人質疑の関係ですが、本日、東郷元条約局長の証言で、具体的に廃棄された可能性のある文書の特定や時期、「2001年の情報公開法施行の頃にそういう話を聞いた」と具体的証言が出てきましたが、文書破棄について具体的なことが出てきたことを受けて、外務省で調べるお考えはありますか。
【大臣】情報公開前の話は、話を聞いたということであって、具体的な証言ということではなかったのではないかと私(大臣)は理解をしております。ですから、情報公開前の書類廃棄ということでは必ずしもないと思いますが、「東郷さんが作られたファイルを後任者に引き継いだ」ということは言われましたので、そういったものがどうなったのか、あるいは引き継ぎがなされたというお話が正しいとすると、その後、そのファイルはどうなったのかということについて、外務省としても確認をする必要があると思っております。
それから、東郷さんのお話の中で、「有識者のヒアリングを行った際に資料を渡した」ということを、確か服部さんの質疑だったと思いますが、本日質疑の中で言われていたと思います。「自分としては、それは国民や外務省にお返しをしたつもりである」と言われました。外務省としては、この資料についてヒアリングの際に入手しておりましたけれども、それは公開を前提にしないものとして受け取っていたものでありますが、「国民にお返しをしたつもりである」というご発言を受けまして、先程ご本人に確認しましたところ、了解が得られましたので、後ほど皆さんにメモとリストをお渡しできると思っております。
【フリーランス 上杉氏】先程の外交委員会での参考人招致について、具体的には、東郷元条約局長がフロッピーに58点のリストを作り、そのうち16点に重要な二重丸を付け、さらにそのフロッピーを含めて引き継ぎを、谷内正太郎条約局長(当時)、そして藤崎一郎北米局長にそれぞれ渡したということです。さらに、そのあとに「16点のうち8点がなくなっているのを確認した」と、かなり具体的に言っているのですが、その部分が具体的だということと、岡田大臣はどのような形でそれを今後外務省内の調査を行うのかをお聞かせください。
【大臣】私(大臣)は全部聞いておりませんので、人伝てで、正確かどうかわかりませんけれども、東郷さんが言われたのは、フロッピーは後任の局長に渡したということです。そして、北米局長にはリストを渡したと言われたのではないかと思います。ですから、フロッピーそのものは、北米局長の藤崎さんには渡っていないのではないかと私(大臣)は理解しております。私(大臣)の理解が間違っていれば修正が必要だと思いますが、もう一度議事録をよく精査してみたいと思います。誰にということは今申し上げませんが、先程言いましたように、事実関係についてよくお話を聞く必要があると思っております。
【共同通信 西野記者】今の関連ですが、谷内さんは大臣が調査命令を出した時にはOBでしたが、藤崎さんは駐米大使ということでした。今回の密約調査は米国の(日本国)大使館の方にも調査の網を広げるという大規模なものだったのですが、この際に藤崎大使の方から、「自分がこういった引き継ぎを受けている」という申告等はあったのでしょうか。
【大臣】具体的なことは、お話し申し上げるつもりはございません。
【フリーランス 岩上氏】東郷さんの証言のくだりについて、具体的な話は既に質問が出たところですので、事実経過を述べられたあと、東郷さんが非常に印象的な言葉を述べられております。「今後は少数の政治家と官僚だけではなく、国民レベルで真剣に議論して、成熟した安保政策を導いてほしい。心から願うものである」ということでした。当事者として、いわば少数の政治家と少数の官僚によって安保政策を導いてきた東郷さんが振り返って、「今後は広く国民レベルで成熟した議論を展開してほしい」と言われていて、いささか自己矛盾のような気もしますが、当事者として、切なる願いなのだろうと思います。これを受けて、どのような形で広く開かれた安保政策についての議論があり得るのか、この点についてご見解をお聞かせください。
【大臣】今回の密約を巡る資料の徹底調査、私(大臣)は、外務省には今回調査した以上のものはないと確信しております。そして、関連文書はすべて公表致しました。このことによって、誰もが過去の4つの密約にかかる文書、少なくとも外務省にあるものすべて見ることができるという状態を作り出したこと、これによって私(大臣)は、より幅広く国民的な議論ができる、その基礎が出来上がったと思っております。併せて、この一連の中で私(大臣)が申し上げてきたこと、例えば、米国の核政策が変わったことによって、一時寄港というものはあり得ないということです。しかし、我々は非核三原則を堅持いたしますが、将来緊急事態の場合において、実際に三原則をしっかり守るという選択と、場合によってはそれに例外を作ってでも国民を守るという場面がきた時に、時の政権が、政権の命運をかけて判断することであり、そして、大事なことは、きちんと説明することだと申し上げたことです。それから、これはあまり報道されておりませんが、領海上を通過するということに関して、特に三原則を法制化する時に、国際法の解釈で従来の政府の考え方が、どのぐらいそれが国際法の場で多数の意見になっているかということとか、様々な論点を私(大臣)は今までこの会見の場で、あるいは国会の場で申し上げてきたつもりであります。そういうものは、これからの将来に向かって、政党間でも、国民の間でも、ぜひ議論を深めていただきたいと考えて、そのように申し上げてきたところでございます。
【NHK 梶原記者】本日、谷内さんのお名前が出たことで、衆議院の外務委員会の方で、谷内さんの参考人質疑をやりたいという声が出ているのですが、これについて大臣はどのようにお考えになっているのか。特に守秘義務との関係、今回の参議院質疑では問題になりましたけれども、その辺りの関係について、どのようにお考えになっていますでしょうか。
【大臣】参考人招致ということに対してどう対応されるかというのは、ご本人が一義的には決めることでありますので、大臣である私(大臣)がコメントしない方がいいと思います。衆議院については既に答えが出ております。それから、さっきのご質問の中で、フロッピーを谷内さんに渡したという話がありましたが、そういうことではないと思います。現物を渡したと、「ファイルを」というようにお述べになったと思います。
【共同通信 井上記者】大臣は先程「政党間、国民の間でもぜひ議論をしていくべきだ」と仰って、国会でも同様のことを仰っていますが、例えば、有事の対応について、そういった議論を政府与党内、あるいは外務省の内部でも議論をすべきだと、そういうお考えかどうかをお聞かせ下さい。
【大臣】鳩山政権としては結論を出しておりまして、非核三原則は堅持するということであります。それ以降の話は、要は仮定の話になる訳で、今そこまで議論を政府の中でしなければならないというようには思っておりません。
【朝日新聞 鵜飼記者】本日の参考人質疑を受けて、外務省の中でも、東郷さんのファイルがどうなっているか確認をされるということですけれども、今回の東郷さんの証言というのは、有識者委員会に基本的に全部お話になられていたことで、たぶん本日(の証言で)新しいのは、公表された時に、何件が公表されていないというところだと思いますが、その点(について)も、外務省はリストの提供を受けている訳ですから、何があって、何が無かったのかというのは、その時点で分かっていたことではないかと思うのです。この時点になって待たれてから調査にかかられる理由というのは何だったのでしょうか。もう少し早く自ら動かれることがあってもよかったのではないでしょうか。
【大臣】今のお話は、まるで東郷さんがお話になった中身を全てご存知のような、それはどういうルートで、そのように断言しておられるのか、よく分かりませんが、有識者委員会でのヒアリングとか、そこで出されたリストとか、そういうものは外に出さないという前提で行っていることでありますので、それが公知であるかのような、そういう議論というのは私(大臣)はすることができません。
【朝日新聞 鶴岡記者】先程のご発言で、非核三原則に関して領海通過のご発言がありましたけれども、領海の通過については事前協議が必要な「持ち込み」に当たらないと解釈する余地もあるということでしょうか。それから国際法という無害通航などをお考えなのでしょうか。お考えをもう少し詳しくお願いします。
【大臣】この前国会で服部さんの質問にお答えをしたつもりでありますが、法制化をするということになると国際法上それがどうなのかと、無害通航ということで本来何らかの条件を課すということが出来るのか出来ないのか、今までの政府の解釈は、核を積んでいるということであればそれは無害通航ということではないという解釈だったと思いますが、それが国際社会の中でどのくらい市民権を得た考え方なのかということも含めて議論していただければいいのではないかと思います。私(大臣)は日本政府の今までの立場を変えると申し上げているのではありませんが、例えば米国や当時のソ連が違う解釈を取っていたのではないかと思いますので、そういうことについても議論があっていいのではないかと思っているところであります。特に法制化をするということになれば、そういう議論は避けられないのではないかと思います。
【NHK 別府記者】非核三原則について鳩山政権の間は堅持するということですが、必要以上に危険を煽る訳ではありませんが、有事の可能性というのはいつあってもおかしくないことであって、すぐにでも始めて、結論を出すのに時間がかかる問題だと想像しますが、なぜ今から始めていこうということには出来ないのでしょうか。
【大臣】有事というのはいろいろな場面が想定されますから、それはその時に国の指導者が決断するしかないのだと思います。予め何か決めておくということに馴染みにくい問題ではないかと思います。それからもう一つは、メディアが成熟していればいいですが、そういう一つの言葉尻を捕らえて、またいろいろな議論が出てくるということになると、せっかくこの問題について情報開示して、そして国民の間で深い議論が出来るチャンスでありますので、そういう道を閉ざしたくないというのが私(大臣)の率直な思いです。
【朝日新聞 倉重記者】(文書)破棄の関係で、改めて大臣のお考えをお聞きしたいのですが、東郷さんは本日の参考人質疑の中で、「基本的には有識者委員会にお話したことを本日お話しました」という話をされてまして、本日の外務委員会の前に東郷さんの話は恐らく大臣の耳に当然入り得る状況だったと思います。最初、会見等で大臣は、調査に慎重姿勢だったというように受け止めているのですが、本日になって「外務省として確認する必要がある」という問題意識を改めて持たれた大臣のお考えをもう一度お聞かせください。何が問題だと思われたのでしょうか。
【大臣】有識者委員会でのご発言というのは、外に出ない前提のご発言であります。そういう前提でお話を聞いています。ですから、そのことがオープンになっているという前提で私(大臣)はお話することはいたしませんでした。今回ご本人が自らオープンの場で仰いましたので、それを前提に議論しているということであります。
【テレビ朝日 新堀記者】(文書)破棄の関係なのですが、先程大臣が「今後事実関係を確認したい」と仰ったのですが、それは今出来上がっている本部の方でやるという理解でよろしいでしょうか。そして、それを引き継ぎのことだけではなくて、文書の破棄があったかなかったかも含めて、谷内さんや藤崎さんにも確認するということでよろしいでしょうか。
【大臣】具体的にどのように行うかということはまだ決めていません。しかし、本部でやる話ではないと私(大臣)は思っております。
【フリーランス 岩上氏】先程の質問に関連しまして、「国民レベルで幅広く安保政策を議論してほしい」という東郷さんの言葉に対して、岡田大臣は非核三原則の話に限定してお答えになりましたが、安保政策というのはもう少し幅の広いものであろうかと思います。それと、先程NHKの別府さんが質問されたように、有事というのはやはり平時のうちから準備をしておくといいますか、想定してその備えをしておく、或いは何かしら仮定をして論議をしておく必要性のあるものだろうと思います。しかし、かつて三矢研究が出たときに非常にメディアが叩いたようなこともありました。これも外務省の問題ではなくて、防衛省のことなのかもしれませんが、かつての世論では非常にタブーとされたこととかあったと思います。この時代に三矢研究があったら、今、同じように叩かれるのかどうか、叩かれるべきなのか、批判されるべきなのか、分かりませんが、むしろきちんと有事を想定した開かれた議論をするべきなのではないかと思われるのですが、この点いかがお考えになるのでしょうか、ご見解をお聞かせ下さい。
【大臣】別に非核三原則の話だけをしている訳ではなくて、この密約に伴う様々な情報開示したことで、それぞれの状況におけるその時の主導者がどういう思いを抱いていたかということは、私(大臣)はかなり国民の皆様にもお分かりいただけたのではないかというように思います。その奥深さというか、そういうものがこれから更に議論されていけばいいなと思っております。先程の緊急事態については、先程お答した通りであります。
【フリーランス 島田氏】有識者会議に関してですが、将来的に発言力等がオープンになる可能性とか、そういう考えはありますでしょうか。
【大臣】そういう前提ではやっておりません。
【毎日新聞 野口記者】参考人の質疑で外務省として、藤崎大使について、要請があった場合には許可するのか。また、文書の破棄について語ることは、現職、OBいずれにしても、これは守秘義務違反に当たらないという認識でよろしいでしょうか。
【大臣】仮定の質問では、最初の質問には、お答えできません。二番目の質問の意味が少しわからないのですが。
【毎日新聞 野口記者】要するに、文書の破棄があったか、ないかというのは、これはOB、現職を含めて表で証言しても問題ないということですか。
【大臣】それは、守秘義務の問題ではありません。
【琉球新報 滝本記者】沖縄の方での米軍車両のひき逃げの件で、いろいろと捜査も進んでいるようなのですが、まずこの事件の受け止めと今後の捜査協力、日米関係の話し合いについて、飲酒運転の有無についても捜査が及ぼうかという状況かと思いますけれども、大臣のご見解をお願いします。
【大臣】ひき逃げですか。
【琉球新聞 滝本記者】はい。名護市辺野古の方で米軍車両と民間車両がぶつかってひき逃げという形になった件ですが。
【大臣】お亡くなりになったケースですね。どの話をしておられるのですか。
【琉球新報 滝本記者】米軍車両が軍港要員の方の民間車両に追突して、同乗の子供さんとかが怪我されて、車両はそのまま逃走して近所の別のところで発見された件です。
【大臣】それはひき逃げ事件ではありません。
【琉球新報 滝本記者】ひき逃げというのは、道路交通法上、救護義務措置があるのを行わないで、そのまま逃走したことをひき逃げと言うようです。言葉は確かに実際にひいて逃げたということではないのですが、人身のものがあった場合、ひき逃げというように呼ばれます。
【大臣】本人も拘束されていると理解していますが、あとは手続きに従って(捜査が)進んでいくことだと思っております。
【琉球新報 滝本記者】この事件の受け止めは。
【大臣】事件は遺憾であります。しかし、ある意味では手続きに入りましたので、今それについて、私(大臣)がコメントするのは望ましくないと思います。当局によって粛々と(捜査が)進んでいくことではないかと思います。
【フリ-ランス 小川氏】事業仕分けでなくなりました「外交フォーラム」という雑誌がありますが、それを岡田大臣が新しい形で復刊させるということをお伺いしましたが、そのコンセプトみたいなものをお伺いできればと思います。
【大臣】事実認識は復刊させるとか、そういうことではなく、今までの買い上げでやってきた「外交フォーラム」について、「基本的に買い上げはしない」ということです。事業仕分けの中でのご指摘ですから、買い上げはしないということです。
【フリ-ランス 小川氏】ファッション誌のような作りを目指すと聞いたのですが。
【大臣】全く聞いておりません。
【共同通信 西野記者】安保論議に関する国民的な議論の件でお伺いします。大臣は「メディアの成熟」ということを先程指摘されましたが、大臣にとって「成熟したメディア」とは、どのようなものなのですか。
【大臣】レッテル貼りをしないということでしょう。成熟した議論を行うメディアのことです。
【記者】もう少し、私共も勉強させていただきたいのですが、「レッテル貼りをしない」ということはどういうことですか。
【大臣】奥深い議論を期待したいと思います。
【朝日新聞 鵜飼記者】これから行かれるハイチですが、大臣は訪問でどういったことをアピールしようという狙いで行かれるのか、お伺いできればと思います。
【大臣】アピールというか、現場を見るということが、私(大臣)は非常に重要だと思っています。まだ国会のご了解を得ておりませんので分かりませんが、今月末にはニューヨークで行われる「ハイチの復興に関する会議」にも出る予定です。その前のG8外相会議でもハイチの問題はテーマになっております。そういう時にはやはり自らの目で見ておくということは、私(大臣)は議論を深いものにするために非常に重要なことだと思っております。もちろん、大統領、首相、或いは国連の責任者と意見交換することにより、そして現場を具体的に見ることで理解が深まるものだと期待しております。今後、日本としても、更にさまざまな支援をしていかなければなりませんので、そういう時に意義のない、或いは(意義の)少ない支援にならないためにも、私(大臣)だけではなく、中南米局長も行かれることになっておりますが、関係者がしっかり見ておくということが重要だと思っております。
(1)川上隆久国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)事務総長副特別代表の逝去について
【岡田大臣】それでは、私(大臣)から何点か申し上げます。まず、昨日、福山副大臣の会見においてもご報告したとおり、川上国連東ティモール統合ミッション事務総長特別代表が現地東ティモールの自宅において病気で亡くなりました。川上氏は日本政府からの派遣で、これまでも国連アフガニスタン支援ミッション官房長としても活躍をしてこられた方であります。今後も一層の活躍を期待していただけに、同人を亡くしたことは日本政府としても非常に無念の思いでございます。残されたご家族に心からお悔やみを申し上げたいと考えております。
(2)潘基文国連事務総長との電話会談の実施について
【大臣】昨日の夜、潘基文国連事務総長と電話で会談を致しました。内容は、まず冒頭、「川上国連東ティモール統合ミッション事務総長副特別代表の突然の訃報に際して、心からお悔やみを申し上げる」という発言がございました。その上で、ハイチの支援について、我が国の対応に謝意を述べられると共に、今後更に支援をお願いしたいということでございました。私(大臣)の方からは、「本格的な復興支援に関しては、我が国も参加して行われている復興支援ニーズ調査の結果も踏まえ、我が国としていかなる支援が可能であるか検討したい」と述べたところであります。なお、3月31日の国連と米国政府主催のハイチ支援国会合への参加を求められましたので、私(大臣)からは「国会の調整がつけば是非参加をしたい」と申し上げたところであります。カナダにおけるG8代表会合等に引き続いて予定されている会合でございます。
(3)外交記録公開・文書管理対策本部第1回会合の開催について
【大臣】先程、外交記録公開・文書管理対策本部の第1回の会合を開きました。いわゆる「密約」問題に関して先程述べたところでありますが、文書の管理が十分でなかった、あるいは30年経ってもまだ十分な公表がなされていない。こういうお話が明らかになり、それに対してしっかり対応するための本部の設置でございます。私が本部長になりまして、主として3点、一つは「外交記録公開に関する規則の制定」ここにおいては30年で原則公開する。公開しない場合の事由を限定列挙する。それから、政務三役が最終的に公開しないと判断するときに関与する。こういったことを骨子とする新たな外交記録公開に関する規則を作るというのが一つであります。二番目は「外交記録公開についての体制の強化」。三番目は「文書管理に対する各種改善措置」ということで、大体2週間に1回ぐらいの頻度で開催を行い、そう時間をかけずに結論を出していきたいと考えているところでございます。
(4)衆議院外務委員会における参考人と守秘義務について
【大臣】3月19日の衆議院外務委員会における参考人招致に関して、衆議院側より参考人の守秘義務の解除について要請を受けました。公務員のOBの方が参考人として呼ばれております。国家公務員法においては、守秘義務の解除についての規定がございます。国家公務員法100条第2項であります。この規定は、証人や鑑定人等が法令に基づき課せられている出頭証言などの義務と、職員及び元職員の守秘義務とを調整するための規定であるということで、国会における参考人については、この規定に該当しないという政府としての解釈でございます。従って、今回の参考人に対して、法的には外務大臣として守秘義務を解除することはできないということになるわけでございます。これは、この法律を所管する総務省、内閣法制局、外務省で協議した結果であります。しかし同時に、既に3月9日に、いわゆる4つの密約問題に関する有識者委員会報告書、それから、外務省調査チーム報告書及び関連の331点の文書については、秘密指定を既に解除した上で公表しております。いわゆる4つの密約の存否、内容の全体像を明らかにしたところであります。
上記のように、既にこれらの全体像を明らかにしているので、いわゆる4つの密約の存否・内容に直接関連する事項は実質的に秘密として保護する必要はないものと考えております。上記の事項を超える情報については、秘密として保護するものが存在し得ると考えられますが、要職を経験し、外交関係に専門的知見を有する参考人は、この点も踏まえて、誠実かつ適切な発言が行われるものと考えております。私(大臣)と致しましては、上記のことを踏まえれば、守秘義務違反が生じるような事態に至ることは想定しておりません。ということで、19日の参考人質疑においては以上のことを踏まえてお話をいただければ結構であり、基本的に守秘義務違反が問われるようなことは想定していないということでございます。
(5)外務大臣就任後半年を振り返って
【大臣】最後ですが、本日は閣議でも、「本日でちょうど半年だ」ということが話題になりましたが、私(大臣)も大臣就任以来半年ということでございます。海外は結構行ったという感じが致しますが、いつかもお話ししたと思いますが、主な国の外務大臣とお互い親しく会話できるというネットワークを作るということが、外交を実現していく上で、実行していく上で非常に重要なことだと思っております。中国の楊潔チ外相と4回の会談、クリントン長官とは3回など、会談も数が増えてまいりましたけれども、まだまだしっかりとお話をしていない主要国の外相もおられます。近々にお会いするフランスのクシュネル外相も今回初めてということであります。そういった会談をさらに重ね、同時に現場を見るという中で間違いのない外交を進めていきたいと思っております。
この間、いろいろなことがございましたが、私(大臣)としては一つは、アフガニスタン・パキスタン支援をとりまとめたこと。もちろん具体的に予算を使っていくのはこれからでありますから、そのことも極めて重要でありますけれども、5年間で最大50億ドル規模の支援を決めていただいて、その枠の中でしっかりとこれから行っていきたいと思います。もう一つは、先程の密約調査について一定の成果が出た。これに、先程の文書公開のルール化というものが、あるいは現実に公開されていない多くの情報の公開がなされるようになれば、これは一つのまとまりをもった仕事ではないかと思っております。あと、皆さんの中にはお嫌いな方もいらっしゃるかもしれませんが、記者会見のオープン化。そういったことが、この半年間では特に思い出が深い出来事でございます。仕掛かりの一部の問題は、普天間とかいろいろございますが、その辺は結果が出てからお話しした方がいいかなと思っております。
半年を振り返りまして、非常に忙しかったということで、考えてみれば、外務省の中で自分の執務室や接見室を除きますと、あまり外務省の中をあちこち行っていないということでございます。噂によると、何かコンビニがあるらしいということですが、私自身はまだ行ったことはございません。食堂も(行ったことが)ありません。ましてや各課を訪ねるということは、基本的にまだ果たしておりません。多少、国会も予算委員会が終了して時間の余裕ができれば、そういうことも併せてやっていきたいと思っているところでございます。
【TBS 樋口記者】冒頭に大臣が言及された19日の外務委員会の参考人招致についてお聞きします。先程大臣は、4つの密約の存否に直接関連するものは実質的に保護する必要がないと考えていると仰いましたが、例えばこの4つの密約に関連して、文書破棄、あるいは「そこに公表されていなかった文書があったはずです」とか、そういった発言は守秘義務に該当するのでしょうか。
【大臣】文書廃棄というのは事実行為ですから、これはそもそも密約の秘密の対象ではございません。それから、「他に資料がかつてはあった」とか、そういうこともこの守秘義務の対象ではないと考えています。
【フリーランス 岩上氏】前回も実は質問させていただいて、問答が少しずれたのですが、公開のルールについて、そのルールを破った場合、とりわけ文書の破棄、文書の管理、そして違法な破棄というようなことがあった場合の罰則についてですが、それはどの程度厳しいものになるのでしょうか。今回、「規則」と書いてありますが、これは「内規」程度のものに止まるのでしょうか。法令になるのか、その辺りも含めて、ルールとサンクションの厳しさについてお話しいただきたいと思います。
【大臣】これは省令でしょう。
【フリーランス 岩上氏】罰則は。
【大臣】意図的に廃棄をしたりということになると、国家公務員法上それに抵触するということもあるかと思いますけれども、これから作る規則の中に罰則的なものを入れるかどうかというのも、これから議論していきたいと思います。
【共同通信 西野記者】外交記録・文書管理対策本部の件でお伺い致します。三本柱を掲げられましたけれども、二本目の、「外交記録公開についての体制強化」で推進委員会を設置されますけれども、これについてもう少し詳しく、どういう性格の委員会なのか。それから、三番目の「管理に関する各種改善措置」についても、想定できる範囲で今どういうことを考えておられるのかお願いします。
【大臣】二番目の話は、これから公開するにあたって膨大な資料がありますから、30年超のものだけでもたくさんあります。そういうものについて、どういう優先順位で公開していくかということを決定するというのは、一つ大きな仕事としてあるかと思います。それから、実際に公開していくための体制ということで、例えば、人員というのも必要です。人手もないと進んでいきません。そういったところをどういう形で整えていくかということもあると思います。それから、これは上の規則に関わる話でありますが、例えば書類を公開しないとなったときに、それを最終的にどういう形で決定するかということが、これは規則の中身に触ることになると思いますが、それに基づいて具体的に作業をしていくというのが(2)であります。
(3)は、むしろ普段の文書管理ということでありますので、例えばどのぐらいの期間が経れば担当課から違うところに移すのかとか、そういうことのより明確なルール化とか、あとは、人事異動のときには必ず書類をきちんとファイリングするとかそれをしないと異動させないとか。これはちょっと言い過ぎですが。私も経験がありますが、こういう書類の整理というのは普通、忙しいとあまりしないです。忙しい、大事な書類があるところほど、資料管理がいい加減になりがちでありますので、そういうことについて、個人ではなくて組織として、例えば課単位できちっと取り組めるような仕組みも含めて、できるところからすぐやっていくということだと思います。
【北海道新聞 島田記者】外交記録公開に関する規則の中で、原則として30年で公開するとありますけれども、現時点で例外として考えられる、想定されるものというのは、何か想定されていますでしょうか。
【大臣】これは個々の書類ということになりますから、例えば、明らかに国益を損なうようなもの、あるいは個人の名誉を害するようなもの。これは、具体的な限定列挙を規則の中にきちんとすべきだと思いますが、今思いつきで言っていますけれども、そういうものに当てはまるということになれば、公開をしないということになると思います。
【北海道新聞 島田記者】例えば、北方領土の問題は、例外的なところに入ってくると想定してもよろしいですか。
【大臣】これは、先の(2)のところで、外交記録公開推進委員会で順番をどうするかということで、30年経ったもののストックがかなりありますので、それをどういう順番で公開していくかということの中で、議論されるべきことだと思います。日米関係をだいぶ公開することになりますので、日米から最初にやっていくべきだという議論もあるかもしれませんし、古いものから手をつけるべきだという議論もあるかもしれません。より関心の高いものからという声もあるでしょう。その辺の順序づけの問題であります。北方領土の交渉はまだ続いておりますので、そういう意味では、あまり早くオープンにしないほうがいいという判断も、あるいはあるかもしれません。特に相手方が公開していないときに、こちらだけ公開するということになると、いわばつまみ食いされることにもなりかねません。そういうことは全体の判断で、やがて公開しますが、順番をどうやっていくかということだと思います。
【NHK 別府記者】守秘義務の関係で、衆議院の外務委員会より、解除してくれという要請があったということでよろしいのでしょうかということと、そもそも要請されても、いいも悪いも言うことではないというのが大臣のお立場であって、つまり、守秘義務違反になることはないという期待を表明されたというのが先程の話だったと理解してもよろしいでしょうか。
【大臣】外務委員会の方から、参考人招致を行うにあたって、守秘義務の解除についての要請を受けたものであります。私も守秘義務の解除が可能ではないかと漠然と思っておりましたが、法律的に詰めると参考人の場合には該当しないということです。証人ということになるとまた違うと思いますが、該当しないというのが政府としての解釈で、ただ、今回の場合には既に文書の開示は行っておりますので、具体的に守秘義務違反に当たるという事態は起こり得ないと私(大臣)は考え、そのことを公に申し上げたわけでございます。「外務委員会としては前例がないため要請しなかった」ということで、よく分かりませんが、外務委員会が要請、要するに自由にしゃべれるようにしてくださいということだったと思います。「正式に守秘義務を解け」というとこまでは、言ったのではないかもしれません。
【共同通信 比嘉記者】先程の対策本部についてですが、まず、外務省の内部の方ではなくて、有識者などの活用はどのように考えておられるかということと、職員や外務省OBの方の活用等はどのように考えていらっしゃいますか。それから、できるだけ早い時期にということでしたけれども、目途がありましたら教えていただけますか。
【大臣】この点でも、有識者のご意見をいただきながら話を進めていこうと考えております。それから、OBというのは、実際に情報公開の作業をするときに、退職した方にやっていただくということを考えております。現職はそれぞれ仕事を持っておりますので、第一線を退いた方で、当時のこともよくわかっているような方がやった方が、より効率的にできるのではないかと思っているところであります。いつまでにというのを言うと、また遅れてしまうといけませんので、しかし、参議院選挙を越えてというようにはイメージしておりません。そんなに時間のかかる話ではないと思っております。
【日経新聞 山内記者】有識者のご意見をいただきながら話を進めるというのは、本部での議論についてでしょうか、それとも国益にかなうかどうかという判断について有識者の意見も伺いながら、政務三役で決めるということでしょうか。
【大臣】ルールを作っていく中でということです。個々の判断ということでは必ずしもありません。これからの議論ですが、個々の判断という時にも外部有識者の知見を求めるという仕組みも、或いは考えられるかもしれません。政務三役がと言っても膨大な資料の中で、どのくらい非公開という候補のファイルが出て来るかによりますが、それを全て政務三役で片っ端から見るということは事実上難しい訳で、むしろ有識者の方々に先ず判断してもらうということも考えられるのではないかと思います。もちろん、そのときは守秘義務を科して見ていただくということはあり得るのかなと思っております。
【朝日新聞 倉重記者】確認ですが、先程大臣は参議院選挙を越えてというようにはイメージしていないと、時期について仰っていましたが、これは我々が「30年経ったものを見たい」と言った場合も参議院選挙までにはそういう状態になるという、環境が整うというイメージでよろしいのでしょうか。
【大臣】全ての資料を片っ端からチェックしていって、そして公開していく訳ですので、もちろん途中で情報公開要求があれば、それに具体的に応じるというケースがあると思いますが、膨大な資料を何とか数年くらいである程度、30年を越えたものは公開したいと思いますが、どのくらい膨大かというのは、2万点という説もありますし、マンパワーとの関係でよく計算してみないと分からないということです。今回、いろいろ作業しました日米の関係については、全体かなりの量の資料を見ましたので、そういうところはかなり早く出せるのではないかというように思っております。
【NHK 梶原記者】先程、参議院の委員会の中で、PKOでは武器使用基準の緩和について、大臣が、「国連決議にあったような場合には、緩和も、個人的には考えた方がいいのではないか」ということを発言されたと思いますが、どういったことを具体的に、どの部分で緩和し得るとお考えになっているのか、また、こういうことを考えられる背景みたいなものを説明していただけますか。
【大臣】ちょっと余分なことを発言しましたよね。まだ議論していませんから、それ以上言うつもりはないのですが、私(大臣)の従来からの考え方を申し上げたところであります。小沢幹事長のように、「国連決議があれば(憲法)9条からそもそも外れる。武力行使は可能である」という考え方には、私(大臣)は立っておりません。ただ、9条ができた淵源というものを考えると、自衛という名の下に勝手に武力行使したと、そういうことの反省に基づいて9条が海外における武力行使を禁止していると考えれば、その武力行使が、自分の判断や特定の国々の判断ではなくて、国連という場で認められたPKO活動ということであれば、普通における武器の使用と、許される範囲の程度を少し変えていいのではないかと、私(大臣)はかねがね申し上げている訳でございます。そういうことを申し上げたところです。省内で議論している訳ではありません。内閣の中でももちろんありません。
【NHK 梶原記者】可能であれば、具体的なシチュエーションで、今、自己、または自己管理下にいる者の正当防衛、緊急避難に限られるかと思うのですが、それからさらに治安維持とか、警護とかいろいろな場面が想定されますけれども、大臣ご自身はどういう場面を想定されているのでしょうか。
【大臣】これ以上言わないほうがいいと思います。それだけを取り上げられてしまいますので。じっくりと政府の中で、あるいは外務省の中で議論すべき話だと思います。ただ、私は必要だから武器をもっと使えるようにすべきだという考え方には立っておりません。やはり、憲法に基づいてきちんと、論理的に考え方が整備された範囲で認められるべきだと思っている訳であります。
【琉球新報 滝本記者】密約の調査結果についての関連ですが、第三番目の、沖縄の返還でいうところの核再持ち込みに関連した件ですけれども、外務省の方では、若泉氏の指摘の文書の存在は確認されなかったという事実関係の確認が、外務省の報告書ではあったと思いますが、有識者の方では、その文書と照らし合わせて、持ち込みの合意というか、つまり若泉氏のあの文書、合意議事録というのは、共同声明の範囲を超えるものではないと結論づけておられて、「だから密約ではない」と説明されておられます。つまり、「共同声明の文書自体、文言自体が、持ち込むということを外交的な事例の言葉で読めば、そのとおり読めるんだ」と、北岡座長などが仰っていました。その認識は、私の受け止めと少し違うのですが、つまり、持ち込みという意味合いを共同声明自体が包含しているということで、一般国民としても常識的には受け取りづらい感覚かなと思いますが、その辺は大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】北岡座長が言われていたのは二つです。一つは、今仰ったこと。もう一つは、これは佐藤元首相と当時のニクソン大統領の、いわば個人間での約束であって、少なくとも日本国政府には引き継がれていないという二つの理由で、これは密約には当たらないという判断をされたと思います。外務省の調査と有識者の調査で、考え方に差があるとすれば、三つ目の密約についての考え方だと思います。外務省の方は判断していませんが、そのときにはまだ紙が出てきませんでしたので。それは、せっかく我々が有識者にお願いをしてそれぞれ見識のある方々が議論した結果、出てきたものでありますので、それを私が言うというよりは、これからそのほかの有識者の皆さん、学者の先生方が、まさしく議論されるべきことではないかと思います。最初のときにも申し上げましたが、外務省ということではなくて、個人として聞かれれば、紙があって、そして、少なくともサインをした二人は拘束をされたという見方も可能なわけで、そういう意味では、あれが密約ではないかという見方も当然あり得ると思います。
【琉球新報 滝本記者】合意議事録の意味合いというか、持つ効力についての部分を大臣が仰られたことだと思うのですが、「合意議事録がなくても、共同声明があるだけで、リエントリーの部分が包含されている。外交の研究者の常識からはそう読むのは当たり前だ」と北岡座長は仰られていたのですが、その感覚が、私には理解しづらい部分です。
【大臣】北岡座長はそれだけではなくて、二つ理由を挙げられたと思います。共同声明で、核の再持ち込みということを読み込むことができるというのは、従来の外務省の考え方ではございません。
【フリーランス 岩上氏】密約関連で、先程、30年で原則公開というお話がありましたが、質問に対する回答の中で、「先方が公開していないような場合は、こちらも公開を控える可能性もある」ということを言われました。例えば北方領土の交渉などを例にあげましたが、そういう事例はあると思いますけれども、基本は、相手国が開示していない場合は開示しないということになるのでしょうか。それとも、原則相手国が開示していない場合でも、我が国として30年経ったら原則公開していくと。ただ、外交交渉上、不利になるような場合であれば開示を思い止まると、このように受け取った方がよろしろいでしょうか。
【大臣】原則は公開です。お互い、相手がしてないということで、見合って、両方公開しないなどということが論理的には起こり得ますが、相手にかかわらず公開するということが原則です。ただ、個々に見たときに、これは公開することで国益を損なう可能性がある場合があれば、その公開はしないということになります。申し上げたのはそういう考え方ですが、たくさんあるものの中で順番をつけて公開していくときに、やや問題があるようなジャンルについては後になるかもしれない。それはこれからの話し合いですけれども、そういう意味で申し上げました。
【読売新聞 川崎記者】本日、国務大臣の資産公開の訂正資料で、岡田大臣の方から訂正が出まして、愛媛県今治市の貸事務所ということのようですが、公開は昨年10月にあった訳ですが、なぜ今この時期になって訂正が出てきたのか、その経緯についてご説明頂けますか。
【大臣】これは妻の所有している土地でありますが、義父が20年以上前に亡くなって、その時に相続をした訳ですが、本人(妻)にその意識がなく、今回の公開のリストから落ちていたということです。それに気がついて今回入れたということです。
【読売新聞 川崎記者】そう致しますと、確認ですが、これは建物ですが、大臣ではなく大臣の奥様の所有ということでしょうか。
【大臣】そうです。妻の所有する不動産です。私は見たこともありません。
【共同通信 井上記者】米国のキャンベル国務次官補が明日、来日を予定していたのを、本日突然中止したということで、大臣はもちろん、直接対応されるお立場ではないですが、この急遽の中止は異例だという指摘もありまして、大臣の受け止め方をお聞かせ下さい。それと、G8に出席される場合はそこでクリントン米国務長官と会う機会もでてくるかと思いますが、3月末頃になると、その頃には普天間問題についてもお話になる頃合いになっているかどうか、見通しをお聞かせ下さい。
【大臣】キャンベル米国務次官補の訪日が急遽中止になりました。これは訪問先のタイにおける現在の混乱によって日本に来ることができなくなったということで、大変残念に思っております。タイの混乱が早く治まることを期待したいと思います。秋篠宮殿下も日程を変えられたということでございます。それから、G8外相会合がカナダで行われますが、その時に当然バイの会談も行われると思います。まだ具体的に、どなたと会談するかということは決めておりません。そのときに普天間の話がどうなっているかというのは、まだ分かりませんので、例えばクリントン米国務長官とお目にかかった時にお話できるような状態になっているかどうかということは、現時点ではコメントできません。
【週刊金曜日 伊田記者】半年を振り返っての中で、記者クラブのオープン化を成果の一つに挙げられましたが、それにつきまして大臣の感想と言いますか、「仕事」というように言われたということは、肯定的に受け止められているということだと思いますが、どの点が良かったとお感じになられているかについて、具体的にお聞かせ下さい。
【大臣】非常に多様な意見がでるということで、私(大臣)も勉強になりますし、楽しく記者会見をさせていただいております。「おやっ」と思うような視点からの質問もあったりして、大変有用であると思っています。
【共同通信 西野記者】半年を振り返っての中で、いろいろなところに出張されて大変だったことも私共は取材をさせていただいてよく分かるのですが、一方でこの半年で出来なかったこととか、こうすれば良かったという反省というか、自ら振り返るところとか、或いは今後もう少し変えていきたいというようなところは今考えているところはありますか。
【大臣】自分としては精一杯やってきたというように思いますが、もう少し立ち止まる時間も必要だと、日々少し忙しすぎるという感じはあります。しかし、それは国会も含めて、大臣としての仕事、それぞれ責任がある訳ですからやむを得ないというように思います。
【フリーランス 岩上氏】米国でトヨタ車の問題が非常にクローズアップされて、非常に大きな問題となりましたが、ここへきて、証言者の中に、急発進の原因が嘘だったと、証言の中に一部嘘が混じっていたという話が出てきたり、或いは、あまりも苛烈なバッシングの背景には、トヨタ車のプリウスのハイブリットの一番のブラックボックスとされている電子制御装置の中身を開示させたいという米国側の思惑があったのではないのかという憶測が流れたりとか、何か単純な事故やリコール問題ではない、複雑な政治的背景があるかのような気配がしてきました。もし一企業が政治的な背景をもって叩かれているとすると非常に気の毒なことでもあり、政府としてかばうべきはかばうところがあるのではないのかというようにも思うのですが、現時点でこの問題を、どのようにとられていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】今お話になった件は、かなり憶測と言いますか、伝聞と言いますか、そういうものもありますので、ひとつひとつはコメントはしませんが、いろいろなことがあったということは言えます。そういうことが出てくるのは米国らしいなと(思います)。きちんと、こういう問題があったのではないのかということが、それまたメディアで明らかになっていくというのは、やはり米国のオープンさの表れだというように思っております。今回の一連の出来事の中で、私(大臣)としては、基本的にはこれは安全に関わる問題、リコールの問題であって、しっかりとトヨタ自動車に対応してもらいたいと申し上げながら、しかし、国として外務省として、出来ることはバックアップしたいということを申し上げて参りました。そういう姿勢・気持ちというのは今も変わりません。別にトヨタでなくても別の企業であっても個人であっても、やはり、日本人や日本法人が厳しい立場にあれば、もちろん私人間の問題について、国がどこまで介入するかということではありますが、できるだけしっかりとバックアップしていくというのは、外務省として非常に重要な使命であるというように思っています。
【フリーランス 岩上氏】今、「できるだけバックアップしていく」というように仰いましたけれども、そのバックアップというのは具体的にはどういうことを指し示しているのか。現在までにされたこと、それから対応策として考えていらっしゃること、具体的にお示しいただければと思います。
【大臣】今回のトヨタ自動車に関して言うと、米国においてかなりの蓄積をお持ちですから、必ずしも外務省ができることというのは、そう多い訳ではありません。むしろ自分で出来るということだと思います。しかし、国によっては、国の関与がより強い国というところもありますから、そういう国については、やはり政府ベースでの話し合いということが、より大きな意味を持つ場合もあるというように思います。それはケース・バイ・ケース、それから事案によっても違うということです。あまり政府が全面に出た姿を見せるということになりますと、これはいつの間にか国と国との問題になりかねませんので、一定の節度ということを考えながら、しかし、あまり目立たない範囲でしっかりサポートする、必要があればサポートできる体制をとるということが私(大臣)は重要でないかと思います。
【日本テレビ 小栗記者】シー・シェパードの船長が逮捕されました。それで起訴するかしないか、いろいろ意見が分かれているようなのですけれども、大臣としてのご所見を聞かせてください。
【大臣】ベスーン被疑者を逮捕するかどうか、起訴するかどうかというのは、外務省が判断する問題ではありません。公正な手続きに従って、そういった判断がなされるということだと思います。それ以上のことはコメント致しません。
【時事通信 高橋記者】シー・シェパードの関係ですけれども、シー・シェパードが調査捕鯨ではなく、次のターゲットは大西洋のクロマグロの漁を妨害するとして、もう豪州から船を出したようです。これを予防する手段といいますか、どういう対策を今考えておられるのでしょうか。
【大臣】まだ具体的な行動がなされておりませんので、そういう意味では、あまり憶測でものは言わないほうがいいいと思いますが、一つ聞いておりますのは、トーゴから船籍を剥奪されて無国籍船となっているシー・シェパード船籍であるボブ・バーカー号は、オランダに船籍登録を申請したということを聞いております。オランダに対し、船籍を付与しないように、引き続き働きかけを行っているところであります。
【読売新聞 川崎記者】今、大臣が仰ったことに関連してお伺いします。(オランダに)船籍を付与しないように引き続き働きかけていくということですが、あともう一つ、昨年バルケネンデ前蘭首相が来日された時に、鳩山総理にお話されていることで「船籍を剥奪できるようにする法改正をするんだ」というように言っておりまして、実際に今年になってオランダ国会に法案が提出されたのですが、バルケネンデ内閣の崩壊により、その行方が不透明になっており、船籍剥奪が当面難しいかもしれないという状況にもなっておりますが、このことも含めまして、先程の件と岡田大臣の方から政治レベル、より高いレベルでオランダ政府に対して働きかけなどを行う考えはおありでしょうか。
【大臣】オランダ政府に対して二つのことがあるということです。一つは船籍の剥奪、もう一つは船籍を付与しない、二隻の船に対してある訳ですが、今ご指摘のようにオランダで政治的な変化がありましたので、我々が聞いておりますのは、6月の総選挙までは、船籍法改正案の審議は見送られることになったというように承知をしております。したがって、船籍を剥奪するということに関しては、6月、少なくとも6月まではそれは出来ない状況であります。付与しないようにというのは、別の観点だと思いますので、一定の対応が可能ではないかと思っておりますが、何れにしてもオランダ政府に対して引き続き働きかけをしっかりと行っていきたいと思っております。選挙の結果によって新しい政府ができた時にも、あまり時間をおかずに、そういったことはしっかりと伝えられるようにしておかなければいけないと思っております。
【フリーランス 岩上氏】シー・シェパードの関連で質問します。シー・シェパードの活動については、事故や事件が起こってから報じられたり、事後的な対応を練られたりと、後追いになっていることが多いと思うのですけれども、聞くところによると、このシー・シェパードの活動そのものが米国ではテレビでずっと追いかけられていて、テレビ番組化されているということです。もはや一種の娯楽、エンターテイメントで、そこにスポンサーがついて、メディアが一緒に乗って、おもしろおかしくずっと続けられるようなものになってしまっているというように聞いております。したがって、そういうサイクルそのものに介入して、何らかの警告をするとか、やめてもらうように依頼をするとか、事後的な形でなく、どこかもう少し先手を打った対処の仕方というものも必要なのではないかというように思います。このあたり、言論の自由や表現の自由なども関わるかもしれませんが、この点についてご見解をお示しいただきたいと思います。
【大臣】これからマグロ漁船に対して、一定の抗議行動を起こすということは、彼らは明らかにしていますが、具体的にそれがある訳ではありませんから、今の段階で予防的に何かするというのはそう簡単なことではないというように思います。ただ、先程も言いましたように、ベスーン船長に関してはこれからどうなるかは決まってはおりませんが、例えば裁判ということになれば、その中でこういったシー・シェパードの行っていることの適否ということが、当然議論になるということだと思います。
【共同通信 斎藤記者】クロマグロの問題に我が国としてどう対応すべきか、このクロマグロの問題については日本の関係者達がそれぞれ意見表明をされていますが、改めて外務大臣という立場からクロマグロ問題についての考え方、そしてクロマグロというものがどういう食材であり食文化にどういう意義を与えているかということも含めて、ご所見がありましたら教えて下さい。
【大臣】食文化にどういう影響を与えているかということは、私(大臣)があまり自分の意見を言ってみても仕方がないかと思いますが、マグロというのは非常に広く子供からお年寄りまで、日本の食文化の中で存在感を示していると思います。農林水産省と協力をしながら「なんとか回避できないか」ということで、今、外交的な努力を行っているところです。担当官を現地に派遣するということも当然考えておりますし、少しでも理解を得たいというように考えているところです。
【時事通信 鈴木記者】ドーハの会議は、かなり厳しいといろいろなところから言われておりますけれども、大臣は現状どのようにご覧になっているか教えていただけますでしょうか。
【大臣】現地には水産庁長官を始め、かなりの専門家が行って、日々状況をウォッチしながら活動していると聞いております。かなり厳しいという報道もありますが、予断を許さないというか、状況というのは、どちら側もまだ見通せないという状況ではないかということで、これから残された日々、しっかりと対応していくということが重要だと思っております。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読いたします。中国が無人島の資源や生態系保護の強化を目的とした「海島保護法」を施行いたしました。この保護対象には日本の尖閣諸島も含まれております。艦船による中国の監視体制が強化されるとの報道もありまして、これに関しての大臣のご見解をお願いいたします。
【大臣】尖閣諸島については、これは領土問題は存在しないというのが、日本国政府の考え方です。そのことは一貫して申し上げております。日本としては、日本の領土ですから、法令に則って粛々と対応していきたいというように考えております。
【フリーランス 上杉氏】昨夜のNHKニュースの中で、政府高官が普天間問題に関して、今後平野官房長官、岡田大臣、北澤防衛大臣の関係閣僚で話し合いの場を持つというニュースが流れましたがこのニュースは事実かどうか、仮に事実だとすると、どのような形で話し合いというのをやるかをお聞かせください。
【大臣】そのニュースは私(大臣)は見ておりません。具体的に特定して言われたとすると、ちょっと私(大臣)には思い当たりません。ただ不断に北澤大臣、平野長官とは意見交換しておりますので、それがニュースになるというのはあまりよく理解できません。
【フリーランス 安積氏】高校授業料の無償化に関してですが、朝鮮学校の適用除外について、人種差別撤廃委員会は改善勧告を3月15日に出すとの報道がありました。これについては、日本国政府の方はもう受け取られたでしょうか。
【大臣】私(大臣)は承知しておりません。
【琉球新報 滝本記者】前回の会見でお伺いしました、沖縄のうるま市の中部病院に米海兵隊の車両が侵入した件ですが、事実関係を確認してみたいと仰られた後、日米地位協定のからみで、要請団に対して外務省の皆さんのほうが地位協定違反ではないと見解を示されているというのが報道であるのですが、地位協定のからみで違反ではないというのは、どういう根拠や論理で違反でないということになっているのかというのをお聞かせください。
【大臣】病院ですから、時間とかいろいろなことを考えると普通ではないことは事実なのですけれども、一般車両が入り得るという施設ですので、地位協定の問題というよりは、一般の問題といいますか、民事上といいますか、国内法上の問題と考えていいのではないかと思います。
【琉球新報 滝本記者】この事故に対してはどのように。
【大臣】一般の車が入りうるとはいえ、しかし時間が時間ですので、しかも一部器物損壊があった訳ですから、そういう意味では望ましいことではありません。したがって、必要があれば民事上の問題として取り扱われるということだと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】今年はエルトゥールル号事件から120年の節目に当たりまして、外務省は本年をトルコにおける日本年としておりますが、これを踏まえましたトルコとの関係のあり方について、ご所見をお願いいたします。
【大臣】私(大臣)は1月4日にトルコを訪れて、今年1年間のスタートに当たって、(トルコにおける日本年の)オープニングセレモニーに参加をしてきた訳でございます。現地でも多少時間がありましたので、文化的な施設なども見る機会がありましたが、日本人の観光客もそういう時期にも関わらず結構いらっしゃいました。是非多くの日本国民に(トルコを)訪れていただきたいと思います。一つの文化の交流点でありますので、大変興味深いと私(大臣)は感じました。カエル(の置物)もホテルの売店で確保しました。
(1)ミャンマー情勢(総選挙関連法)について
【岡田大臣】私(大臣)からはミャンマー情勢について一言。8日にミャンマーで成立された総選挙関連法ですが、なかなか読み方は難しいですが、禁固刑に服している者が政党のメンバーになることはできない、立候補もできないと規定されております。アウン・サン・スー・チー女史の自宅軟禁がこれに該当するのかどうかということは明確ではありませんが、その可能性は排除できませんので、もしそういうことであれば極めて遺憾だと思います。この点につきましては、ミャンマー政府に、その意味するところを明らかにするように、現地の大使に、政府に接触をして、(話を)聞くように指示をしたところであります。いずれにしても、せっかく総選挙が行われ、これが開かれたものになるかどうかということがミャンマーの将来を大きく左右する訳でありますので、多くの国際社会を受け入れることができる、そういう法律、そしてその運用を是非お願いしたいと思っております。その回答如何によっては、次のアクション、対応も政府として考えていかなくてはならないかもしれません。外相とは2回会談を行っておりますし、首相が日本に来られた時に、首相とも、私(大臣)も表敬をしてお話をして、その時にもお伝えしておりますが、是非この際、開かれた選挙ということが、いかにミャンマーの将来にとって重要かということを考えていただいと思っております。
【朝日新聞 五十嵐記者】ミャンマーについてお伺いします。今、大臣は「ミャンマー側の回答次第によっては更なる対応を考えなければいけない」と仰いましたけれども、具体的にどういうことを考えられているのかということが1点。法律の中にNLD(国民民主連盟)が再び政党として登録するためには、60日以内に選挙に参加することを決めなければいけないということで、日本政府もある程度、働きかけに期限を切られたような格好になったと思いますけれども、大臣を含めて、どのような外交努力を具体的になさるのかを教えていただければと思います。
【大臣】「もし」という、仮定の議論で先の話をしない方がいいと思います。そして、60日以内にというのも、単なる申請・登録ということであれば、そう窮屈な話ではないかもしれませんが、アウン・サン・スー・チー女史の扱いが決まっていない中で、NLDに判断を迫るというのは、それはなかなか困難を強いることにもなると。したがって、アウン・サン・スー・チー女史の扱いが早期に明らかになれば、60日以内ということはそれなりの合理性があると思いますが、そういったことで、最初の問いに対する答えをきちんと出していただくことが重要ではないかと。もちろんアウン・サン・スー・チー女史が立候補するかどうか、これはご本人なり、政党のNLDが決めることでありますけれども、そもそも有資格であるのかどうかということを、明確にする責任がミャンマー政府にあると思っております。
【読売新聞 川崎記者】もう一度、今の質問の確認ですが、「更なる対応」というのは、具体的に大臣の念頭に考えていらっしゃることがあるのかどうか。
【大臣】答え次第ですので、その先のことまで言うのは、若干外交儀礼上如何かと思います。
【NHK 禰津記者】先程、反捕鯨団体のシー・シェパードの船長が例の件で逮捕されましたけれども、今回のシー・シェパードを巡って、オーストラリアや関係国といろいろ協議されたり、また、抗議されたりしていたと思いますが、改めてこの逮捕を受けまして、大臣の受け止めについてお伺いできればと思います。
【大臣】本日、艦船侵入容疑で東京海上保安部が逮捕したと聞いています。それ以上にこの逮捕の件は、これから起訴されるかどうか、司法手続きに入っていくかどうかということでありますので、今私(大臣)がこのことについてあまりコメントしない方がいいと思います。シー・シェパードの我が国の調査捕鯨の妨害行為が非常に悪質であるということは、何度も懸念を表明し、オーストラリア政府とも議論をしてきたところであります。そして、今回ニュージーランド人の船長が逮捕されたということでありますので、あとは司法手続きに従って粛々と進んでいくことになるだろうと予想します。
【フリーランス 岩上氏】関連して、シー・シェパードのメンバーの逮捕の件について、非常に確信犯的な妨害行為であると思いますし、殊更に政治問題化しようという意図も明白な人達であろうと思います。その取り扱いは非常に慎重でなければならないと思いますが、これを機会に取り調べの過程を可視化するというようなお考え、もしくは当局に対しての申し入れをするお考えはおありでしょうか。
【大臣】そこに結びつくとは予想外でした。逮捕された船長の扱いについては、在京ニュージーランド大使館代表からご本人にも連絡を取ったり、それから、恐らく本日、在京ニュージーランド大使館の総領事が、逮捕された船長に接見予定と聞いております。適正な手続きを経て、裁判を進めることを期待したいと思います。突然にそこだけ全面可視化というのは、如何かという感じがします。それは制度論として論ずべきことであると思います。
【読売新聞 川崎記者】今回仮に起訴されて、裁判になりまして有罪になったとしても、シー・シェパードの妨害活動そのものを封じ込められるかどうかというのは別問題で、依然として存在すると思います。結局、公海上での取り締まりが船籍国でないとできないという実情は変わらない訳でして、今後、妨害活動を止めさせるためには、どういうことができるか、或いは、やはりこれは難しいのか、その辺についての大臣のご見解をお聞かせください。
【大臣】今回逮捕された船長は、第二昭南丸と衝突事故を起こしたアディ・ギル号の船長でありますので、これは私(大臣)がコメントすることではありませんが、その件についても、海上保安庁が適正に捜査を行うのではないかと予想しているところであります。捜査の結果どういうことになるかということは、それは先の話ですから、そのことを一定の方向性を持って言う訳ではありません。
【読売新聞 川崎記者】もう一度質問させていただきますが、この件とは別個に、今後、シー・シェパードの妨害活動そのものを止めさせる、封じ込めるためには、どういうことが考えられるのか、或いは、それは困難であるのか、この辺について大臣のご見解をお伺いしたいと思います。
【大臣】国籍のある国に対して何らかの対応を求めるということは、当然考えられます。私(大臣)が承知している限り、そのうちの一つの船は無国籍になった状態だと思いますが、国籍があるのとないのでは、その船に対する保護の状況が変わってまいりますので、国籍を持っている船に対してはきちっと取り締まりをお願いする、或いは国籍があることそのものについて問い合わせをするというようなことも考えられるかと思います。
いずれにしても、今回は、妨害活動は終わったと彼らは主張している訳ですから、次回までにはIWCでの議論で何らかの変化がある、或いは訴訟に持っていくとオーストラリア政府は言っている訳ですが、その進展も見られるかもしれません。そういったことも見極めながら、次回の予想される妨害活動について、備えなければいけないと思います。
【北海道新聞 島田記者】北方領土のビザなし交流の件ですが、ロシア側が対話集会を中止する意向を表明したり、入港税のことを持ち出すなど、かなり強硬な姿勢を見せているのが伺えますが、その点に対しての大臣の見解と、今後の政府としての対応を教えてください。
【大臣】入港税を課すということは、我々から見ると、それは適切なこととは考えられませんので、そういったことについて、外交ルートを通じてよく話をしていかなければいけないと思っております。いずれにしても北方領土との交流というのは、両国政府で推進していく大きな方針は確認されている訳でありますので、その阻害要因になるようなことはお互いに避けるべきだと思いますし、我々、外交ルートを通じてそのことをロシア側に主張していきたいと思っております。
【朝日新聞 東岡記者】密約に関してお尋ねします。政権交代前の政府の立場は、今回調査対象となった四つの密約について「いずれも存在しない」という見解を表明していました。今回、外務省が調査チームに調査をさせ、報告書が纏まり、その上で有識者委員会が調査をして報告書がまとまりました。その上で、現在調査対象となっている四つの密約について改めて政府として、(密約が)あったのか、なかったのか公式見解をお尋ねします。
【大臣】公式見解という形では特に報告書の中でも出しておりません。事実関係について明らかにし、あとはそれをどう評価するかという問題です。有識者の皆さんは一定の推論も交えて、そして学者としての見識を持って「狭義の密約」、或いは「広義の密約」、或いは「密約とは言えない」と、それぞれ四つのケースについて結論づけられた訳です。我々は政府でありますので、推論とか、そういったことはなるべく避けるべきで、事実関係については明確にしましたが、それをもってどう解釈するのか、どう読むかということは私(大臣)は、今回の有識者委員会の結果が一つではありますが、違う解釈もあるかもしれません。そういったところは広く議論される中で歴史的な一つの定まった見方というものができてくるのだろうと思います。
【フリーランス 岩上氏】核の密約問題に関連しての質問です。先日の会見の際、列席されていた立教大学の佐々木先生が、非常に重要なご指摘をされておりました。「米国との関係だけに気を取られがちですけれども、韓国、台湾等々、他の国々との外交関係もあり、また、韓国、台湾などは日本の政府よりもずっと早くディスクロージャーは進んでいる。日韓条約については、今、韓国側はディスクローズしているけれども、日本側はしていない。そうすると、韓国側の資料によって日韓関係のヒストリーが書かれるような事態になっている」という非常に貴重なご指摘がありました。これについて、例えば、対米国との関係だけではなく、韓国、台湾、その他、あるいはロシア、中国、そうした諸国に対して戦略的に一歩早くディスクローズして、むしろ外交面でリードしていくためにも情報公開を進めるというお考えはございますでしょうか。
【大臣】基本的にはそういう考え方がなし得ると思います。今回も、例えばライシャワー・大平会談などは、我々の方は、基本的には資料は出てこなかった訳ですが、米国の方はある。それを見ると、あたかもそこで完全に合意したかのような扱いになっている訳です。日本はそれに反するものが新たに出てきた訳ではありませんが、その後、米国側の見方とは異なるいくつかの資料も出てきました。同じ一つの事柄を捉えた時に、両当事者それぞれから見ると違って見える場合がある。だからこそ、両方が情報公開をすれば立体的に物事をより考えやすくなる。一方しか出ないと、それが当然のことになってしまうということだと思います。ですから、なるべく情報公開をしっかりやった方がいいと言えると思います。今、外務省だけでもかなりの在庫と言いますか、本来、30年経って公開しなければいけないけれども、まだ作業自身が終わっていないものがかなりありますので、そういうものを、どういう順番で、どういう体制でやっていくかということは、私(大臣)が責任者を務める省内の議論の場、間もなく動き始めますが、そこで早急に目途をつけたいと思っております。
【毎日新聞 野口記者】密約の三つ目の、沖縄の核再持ち込みですが、外務省が11月に調査をまとめた時点では、関連の資料は見つからなかったという結果になっておりましたが、その後に佐藤家の方から保管された資料が出てきて、有識者はそれを受けて見解を発表しました。外務省は佐藤家の資料が発見されたことを受けて、密約があったのか、ないのかという判断をまだ下していないと思いますが、その辺、今後何らかの対応を考えていらっしゃいますか。
【大臣】基本的には密約があったか、なかったかということについて、これは3番目だけではなくて、明確に外務省の報告書は述べていません。事実関係、しかも外務省にあった資料に基づいて事実関係を述べたということであります。今回出てきた佐藤元総理のご遺族から出された資料は、我々もコピーは入手しておりますけれども、これは外務省にあった資料ではありません。そういう意味では、これについてコメントするというのは、外務省の調査そのものの今までの考え方からは少しずれてしまうということだと思います。あとは、あの資料をどう解釈するかという問題で、私(大臣)個人の意見はいろいろ言えますけれども、個人の意見を言うと「食い違っている」と言って新聞の見出しになるようなことでもありますので、やはり世の中の解釈に任せた方がいいのではないかと思います。外務省としては、特に公式に言うことはありません。
【NHK 別府記者】同じく密約の関係ですが、今回、「東郷メモ」というのが出てきて、歴代政権の説明ということも浮かび上がってきました。ある段階、海部元総理のところで終わっていると私は理解したのですが、それもそのはずかなと思ったのですが、今回対象だった文書は1989年までの文書ですよね。それ以降は、委員会の方は検討されなかったと想像するのですが、いつぐらいまで引き継ぎがあった、続いていたと見ていらっしゃいますか。
【大臣】東郷メモ自身は海部元総理で終わっておりますので、あのメモ自身を使った引き継ぎは、そこで終わっているのだろうと思います。その先はなぜ(引き継ぎが)なされなかったのかということは、よくわかりません。ただ、次の宮沢総理は外務大臣の時に既に引き継ぎを受けていたという見方もできますし、その後政権交代がありましたので、細川総理、羽田総理に対して、政権が変わったということであえて避けたのかもしれませんし、あるいは別の理由があったのかもわからない。その辺はよくわかりません。政権がもう1回、村山さんになって、あるいは橋本さんになって、そういう説明が再開されたかどうかということは、東郷メモが使われなかったことは推測できますけれども、それ以上のことは、現時点ではわからないということであります。
【時事通信 高橋記者】先刻、野口さんから質問があった第三密約に関してです。今回の密約調査公表前に、第一の密約について米国側との意見のすり合わせをして解釈の違いを明らかにしたと仰っておりましたが、佐藤・ニクソンの合意議事録の内容について、米国側とこれは拘束されないものなのか、向こう側は有効と取っているのか。その辺の有効性というか、拘束力と言いますか、この辺を米国側と何らかの確認をされたのかどうかということをお伺いします。
【大臣】日本側としては、現時点においては効力はないと考えております。
【時事通信 高橋記者】米国側に確認しましたでしょうか。
【大臣】情報交換は様々行っておりますが、それ以上のことはお答えできません。
【朝日新聞 倉重記者】先程大臣は、「公式見解を言うことはありません」とのお考えでしたが、この問題というのは、国会で野党が密約の有無について質問して、結果的に嘘の答弁をしてきたという歴史があって、今回の調査の最大の意義というのは、政府がこれまで言ってきたことが違っていて、どう違っていたのか、それについてこれからどのような見解を示すのかという、説明を新たに今の政権が示すということが最大の意義だと私は理解しています。ここまで有識者を含めた見解、報告書が出ているにもかかわらず政府としての統一した公的な見解を述べないというのは、そこは相当無責任というか、せっかくここまで時間をかけて調査した結果、「解釈は国民に任せます、委ねます」というのは少し無責任なような気がしますが、どうして公式の見解、お考えをまとめて仰らないのかをお願いします。
【大臣】そういう作業を行っていないということです。私(大臣)は今回の最大の意義は、事実関係を明らかにしたことだと思います。ですから、その事実関係を明らかにした訳です、それに対して、何らかの密約の定義をして、有識者委員会の定義でもいいのですが、狭義、広義という定義がありますから、これにあてはめるとどうなるのかと、外務省の調査をあてはめるとどうなるのかという作業は今していません。それは外務省の調査のあと、有識者委員会の見解も出ていますから、ここまで含めて全体をまとめて新たに外務省としての評価をするのか、それとも外務省の調査だけに基づいて評価するのかと、二つの考え方があり得ると思います。前者で、外務省の調査だけでやるということになりますと、その後に出た有識者の調査を、ある意味では無視してやるということになりかねませんし、有識者の調査も含めてやるということになりますと、そこに推測とか、いろいろな有識者の方々の、いわば穴を埋める形での学者としての見識に基づく、そういうものを全部取り入れて国としての評価をすることになってしまいます。そういうことをやるべきかというように考えた時に、そのためにまた新たな議論をしなければいけない。簡単に出る話ではないというように思います。今回の有識者の報告を受けて、それに対してまた他の有識者、専門家からいろいろな意見が出てくることも考えられます。今回お願いした有識者の意見だけを受けて外務省が何か(見解を)出すということが良いのかどうかという問題です。私(大臣)は歴史というのは非常に複雑なものだと思いますので、外務省としては事実関係を明確にするということが第一義であって、それに○か×か△かというようなレッテルを貼る、評価をするというのは、率直に言ってそう簡単ではない部分があると思っております。
【共同通信 比嘉記者】廃棄に関してですけれども、大臣は会見で廃棄に関しては、明確な事実の可能性がかなり高くないと調査をされないということでしたが、かなり可能性が高くなって本格的な調査をする前に、本当に調査をすべきなのか、それとも噂の段階で終わるものなのかについて、ご確認されるつもりはおありでしょうか。
【大臣】誰に確認するんですか。
【共同通信 比嘉記者】省内です。
【大臣】いずれにせよ、かなり前の話でありますので。しかし、噂としてあるのは、情報公開法制定の前にということであります。それにしても時間がかなり経っておりますので、そういう噂の信憑性が高いという見通しがあれば、調査をしなければならないと思いますが、現時点ではそのようには必ずしも受け止めている訳ではありません。
【共同通信 西野記者】かなり昔のことであるのは事実ですけれども、情報公開法の施行前後に、外務省でそういった幹部として働いておられた方で、まだ公務員でいらっしゃる方が何人かいらっしゃると思います。今回の密約調査でもOBの方やそうでない方から、いろいろ話を聞いて、いろいろな資料がないことの穴を埋める作業をしたと思います。文書の廃棄の問題は、報告書の中でも戦前は文書管理がきちんとしているのに、戦後はそうではないという厳しい指摘がされています。文書の廃棄の問題について、調査は難しいというのは分かりますが、あそこまで報告書が指摘しているのであれば、何らかの姿勢を示すとか、そのために何かするとかというには必要なのではないでしょうか。
【大臣】今の話も現職の職員の中にいるとかいうのは全て推測ですから、もう少し事実関係を明らかにした上で考えた方が良いというように私(大臣)は思います。
【フリーランス 岩上氏】文書の廃棄の問題に関連して、質問させて頂きます。文書を廃棄するということは、やはり国民に対する大きな背信ではないかと考えられます。なぜそういうふうに、そのことがまかり通ったのか、先ほども質問がありましたけれども、戦前は管理されていたものが、戦後はそうされなかったという問題点の追及、それから今後保管作業をきちんとしていくというお話がありましたが、その話の中に、もし仮にそういう作業をしても、密かに文書を破棄していくような人間が現れた場合のサンクションと言いますか、ペナルティと言いますか、罰則と言いますか、そういったものに対する言及がこの間なかったように感じられます。こういった問題に関して、どれだけ厳しく取り組むのか、文書廃棄は絶対に許されないのだというルール設定も含めてご見解を教えて頂きたいと思います。
【大臣】今、2つの話が1つになっていると思いますが、戦後、本来きちんと管理されて保存されるべき文書が穴が空いているということ、これはこの60年間の中で起きたこととであります。その話と意図的に特定の時期に大量に廃棄したこととは、分けて考えた方が良いと(思います)。先ほどから言っているのは、特定の時期に意図的に廃棄したのではないかという話だと思いますが、それはもう少しそれを裏付ける事が出てきた上で動いた方が良いと思います。まだ噂の段階ですから、そういう状況で私(大臣)自身が動くというのはいかがなものかと考えております。過去のいろいろな資料が時々無くなっているというのは、外務省だけの話ではないのですが、そういうことがないように、忙しいところ程、大事な資料があります。そして、それが整理されないまま、いつの間にか無くなってしまうという傾向にあるわけで、そういうものをきちんと一定の期間がくれば、記録文書として隔離をして保存すると、それは仕組みの問題としてきちんと構築していかなればいけないと思っております。
【フリーランス 岩上氏】ペナルティの問題に関しては。
【大臣】ペナルティの話は、昔無くなったというのは特定のしようがないのですけれども、まとめて何かそういうものが無くなったということになれば、ペナルティの話が当然あると思います。けれども、先ほど言いましたように、まだそれははっきりしていませんので、先へ先へと私(大臣)は言うつもりは今ありません。
【日テレ 小栗記者】先ほどの密約かどうかの公式見解のところについて、○か×かを出すのは簡単ではないし、そういう作業もこれまでやっていないというお話でしたけれども、そうであるならば、これからそういう作業をするつもりがあるかどうか、そして無いとすれば、どういう理由でないのか、教えてください。
【大臣】それについては先ほどお答えしたつもりですが、ですから何をもって判断の材料にするかだということです。外務省の調査だけをもって判断するのか、それとも今回の有識者の結果も含めて評価の対象にするのかいうことで、答はたぶんあまり変わらないと思いますが、論理的には違ってきます。どちらだとお考えですか。
【日テレ 小栗記者】それをどうするかというのを、外務省で話し合うべきではないかと思うのですが。
【大臣】ただ、有識者の結果を入れるということは、そこに有識者の皆さんのいろんな推論とか、そういうものが含まれてくる訳です。その推論が良いか悪いかということを国が決めるということが果たして良いのかどうかということです。むしろ一般にオープンにいろいろな方が議論される中で、今回有識者の報告書はかなりレベル高いと思いますが、更にそれに対して、レベルアップして、次第に評価が固まっていくということで良いのではないかというように思います。勿論、私(大臣)がどう思うかということは、今すぐ言えますけれども、あまりそうすべきではないと思いますし、外務省としての公式見解というのは、ここまできちんと調査をして、有識者にも結論を出して頂いた時に、それを踏まえて、外務省としては実はこうなのだというのはいかがかなというように私(大臣)は思いますが。むしろ、こういう問題は様々な見方もあり得るんだということを国民の皆さんに理解して頂くことも大事なことで、クイズ番組のように○か×かと、そういう単純さだけでは計れない問題だと思います。
【西日本新聞 斉田記者】今の質問に引き続きです。そうしますと、今は密約に関する政府見解としては「密約はなかった」というのが、つまり前政権の中でそのまま続いていると思われますが。
【大臣】そんなことはないでしょう。どうしてそうなるのですか。「(密約は)なかった」という結論は全く出してませんから。
【西日本新聞 斉田記者】質問書に対する答弁書という形で、そういう見解が出ているかと思いますけれども。もしくは、今までの国会答弁の中でも、前政権の中では「密約は存在しない」と。
【大臣】我々がそれをそのまま踏襲するなどということは、根拠のないことです。
【西日本新聞 斉田記者】ですから、そこは自民党政権だったのか、民主党政権だったのかは別として、日本政府としての見解としては、「いわゆる『密約』は存在しない」という形になっていると思うのですが。
【大臣】政府として、2つの調査結果を公表した訳ですから、それが結果です。だから、「(密約は)ない」という、今までの調査結果が生きているということはあり得ません。
【共同通信 斉藤記者】まさに今の件でご質問させて頂きたいのですが、外務省が出している内部調査の報告書、この結果に基づけば、例えば、一つ目の核持ち込みについては、結局、明確に密約だということを立証できるような関連文書が見つかっていないから、要するに外務省としては密約として認定していないけれども、有識者の方はそれに対して、大臣の言葉を借りれば、有識者の立場から広義の意味での密約だと認定したと私は理解しました。だとすれば、外務省の調査結果報告書に立脚して言えば、必ずしも密約は確認していないということになるのではないでしょうか。
【大臣】報告書を読んでいただくと、最初の討議の記録については、外務省の調査結果も、有識者の調査結果も、これが密約そのものではないということで一致している訳です。その後、タイミングのずれの問題、いつからかという問題がありますが、有識者も外務省も、やがて「暗黙の合意」というべきものが成立をしたということについても、一致していいます。それを「広義の密約」と有識者委員会の方は呼んでいますが、我々はそういう言葉を使っていないだけです。
【テレビ朝日 新堀記者】大臣は、これから国会で「密約はあったのですか、なかったのですか」という質問があったときに、「有識者委員会の調査では」ということで政府見解ではなく、お答になると理解してよろしいですか。どのような説明を国民に対してされるのでしょうか。
【大臣】「あったか、なかったか」という質問に対しては、有識者委員会の結論はお答えすることはできますが、「あったのか、なかったのか」という前に、まず我々が明らかにした事実関係をきちんと説明することが重要なのだと思います。それをどういうネーミングをつけるかというのは、それは必ずしも二義的な問題で、重要なのは事実関係を明確にしたということなのです。
【週刊金曜日 伊田記者】先程の答弁の話なのですが、仮定の話では答えにくいかもしれませんが、火曜日の(大臣会見の)冒頭の発言では「従来の答弁を繰り返し、約20年が経ってしまったということが、極めて遺憾だと思っています」ということは、今後は従来の答弁を繰り返すことはないという理解でよろしいでしょうか。
【大臣】それは当然です。
【朝日新聞 東岡記者】そもそも密約があったのか、なかったのとか、或いは米国政府との間に合意があるのか、ないのかについて、判断できるのは外交当局である外務省だと思います。公式見解として合意があったのかなかったのか、ということを説明出来ずに外交が成り立つのか、或いは国民の信頼を得られるのか疑問に思います。この点は如何でしょうか。
【大臣】具体的にどのことを言っておられますか。合意があったとか、なかったとかいうことは報告書の中で明確に言っています。
【朝日新聞 東岡記者】報告書の中で出ているのは承知しております。先程大臣が「外務省として議論をして正式に公式見解を出すのは難しい」と仰いましたが、公式見解を出さずして、国民の理解が得られるのか、そもそも判断ができるのは外務省しかないと思いますが、如何でしょうか。
【大臣】公式見解は全部報告書で出ている訳です。それをもって密約と言うか言わないかという問題です。外務省で分かっている限りの事実関係は全部明らかにした訳ですから。合意があるのに、ないのにと言われましたが、合意は例えば、ある訳でしょう、或いはなかった訳でしょう。最初の第1の密約で言えば、最初の時には合意はなかったというのが我々の判断です。たまたま有識者委員会も同じ結論ですけれども。しかし、どこかでお互いが違う解釈をしているということは知っていたということです。よく事実関係を我々は明らかにしている訳ですから、それをもって「暗黙の密約」というように呼ぶか、呼ばないかというのは、それは定義の問題で二義的な問題だと私(大臣)は思います。
【朝日新聞 五十嵐記者】ということは、一番目の「核持ち込みの密約」ついては、日米間で合意があったというように認識していらっしゃるのでしょうか。
【大臣】一番目は、最初は合意はなかったのです。しかし、途中の段階から合意が合ったかどうかは別にして、日本は米国の解釈が日本と違うということを分かっていたということです。
【朝日新聞 五十嵐記者】それは合意ではないということでしょうか。
【大臣】それを合意と呼ぶのかどうかというのは、言い方の問題だと思います。大事なことは事実関係として、日本は途中から、「一時的な寄港というのは、持ち込みにあたらない」と米国が考えているということを日本が知っていたという事実が我々の報告書には示されている訳です。これ以上の明確な結論はないと思います。
【朝日新聞 五十嵐記者】その前提でお伺いします。この報告書を公開した現在、「合意」というのはあるのですか、ないのですか。
【大臣】何の合意ですか。
【朝日新聞 五十嵐記者】核持ち込み密約についての政府間の暗黙の合意なり、そういうものはないという認識でしょうか。
【大臣】それは定義の問題です。ですから、日本だけが、日本が知っていたということをもって「暗黙の合意」という言葉を使うかどうかという問題でしょう。昔、学生時代に概念法学か、それとも実際の利益考量かという、定義がまずあって個々の中身があるのではなくて、個々の中身があってそれを後でどのように言うかという、我々のアプローチはそういうことですから。それをどういうかと言うことはある意味ではこれからも色々な解釈が出てくるので、あえて外務省として言っていないということです。しかもその直後に、有識者委員会の先生方が結論を出している訳ですから、それと違うものをまた外務省が上乗せしていうと言うのもいかがかと思います。
【週刊金曜日 伊田記者】報告を受けて国会の場でも密約について更に真相を明らかにしようとする動きが出ておりますが、これについて以前もお聞きしましたが、どのように協力されるおつもりでしょうか。一つはOBになっても科されている守秘義務と関わりがあると思いますが、前政権下ではありましたが、OBの方々がいろいろ本を出されると、その中で自分の知っている外交の事実について書かれるということに対して外務省の方として特に意見を言うとか、事情を聞いて、これは守秘義務違反であると言ったという事例が一つもないというか、個々の質問趣意書に対してそういうことは行っていないという答弁が出ていますが、そのことを勘案すると守秘義務というのは、かなり狭いというか、OBの方でもかなり自由に発言をしていいという解釈ができると思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
【大臣】これはもう少しお待ちいただきたいと思います。国家公務員法100条の問題です。もちろん、今回の報告書を作るにあたって様々な情報は既に情報開示というか、守秘義務を解いておりますので、そういった開示された情報に基づいてお話をされることは守秘義務に違反される訳ではありません。ですから、かなりの部分はそれで対応できると思います。しかし、開示された情報以外の問題については、これを話すためには守秘義務を解除しなければいけないのですが、国家公務員法上は一定の要件を満たした場合に解除できるということになっておりまして、その要件にあたるかどうかということを政府の中で検討を行っているところです。それに基づいて対応していきたいと、これは外務省だけで決められる話ではありません。具体的に言うと、「等」に入るかどうかということだと思います。条文は忘れてしまいましたが。
【NHK 別府記者】第1の密約についてですが、核を持ち込んだ艦船の立ち寄りというのは、事前協議の対象になるとする日本、ならないとしている米国、この現状は今日もそうだということでよろしいでしょうか。
【大臣】それは今も変わりません。ただ、そのことが隠されていたということです。隠されていたどころか、日本政府は米国が日本と異なる解釈をしているということを途中の段階から知っていたにもかかわらず、そのことを明らかにせず、そして国民に対して、「米国が事前協議を求めてこないから核はないのだ」という虚偽の説明をしていた、そういう状態が終わったということです。事実上1991年からは終わっているのですが、しかし説明はしてきた訳です。もうそういう説明は認められないということです。
【毎日新聞 野口記者】公式見解の件で、大臣が公式見解は報告書が出していると仰っていたのですが、つまり有識者の出している紙のほうが政府としての公式見解だという理解でよろしいのでしょうか。
【大臣】報告書は2つあります。今の段階ではその2つを総合的に見ていただくしかありません。
【毎日新聞 野口記者】外務省の方は事実関係を明らかにしただけで、それについて有識者の方が解釈も含めて見解を出した。広義の密約というものがあったというのを有識者の報告書は出していて、それをもって政府として「密約があった」と位置づけるということでよろしいでしょうか。
【大臣】外務省の報告書と有識者の報告書は必ずしも同じではありません。外務省は事実関係を中心に組み立てた報告書であります。非常に論理的に事実に基づいて作ったものだと言えると思います。それに一定の推論やその後行ったヒヤリングなどを含めて、ある意味では膨らませて説得力を持たして出したものが有識者の報告書です。その膨らませたところについて違う考え方もありうる訳ですから、断定しない方がよいということです。現時点では2つの報告書、それを総合的に考えて皆さんがどう判断されるかということだと思います。ただ、事実関係は外務省の報告書で出しておりますので、私はそれは外務省としての最大の責任だと思います。
【共同通信社 斎藤記者】同じ密約ですが、この前、大臣が会見で現在及び今後のことについて、米国が1991年、いわゆる戦術核撤去を決めたことによって状況が変わって 、そうした観点から、米国が少なくとも現時点において、過去にあったかもしれない、いわゆる持ち込みが起こる可能性はあまりないとご発言されたと私は理解しました。ここで問題になるのは、米国の核政策、たしかにオバマ大統領は「核のない世界を目指す」と言ってますから、現時点において、状況としては持ち込む可能性はないかもしれません。しかし米国という他国の国の政策の話であって、理論的にはいろいろな可能性もあると思います。そうした意味では、リスクが完全にゼロと言えるかというと議論があるところではないかと思います。ということは、リスクをゼロにするためには、例えば法制化という問題も一つ出てくるかと思いますが、大臣は会見で現時点では法制化という考えはないと仰られました。法制化が現時点で特に必要としないというか、検討するまでにいかないという理由についてご説明いただきたいと思います。
【大臣】米国の政策が将来変わるかどうかという話は、仮定の話ですから、その段階でその時の政権が判断するということだと思います。我々は非核三原則は変えないということを鳩山政権として申し上げている訳です。
【フリーランス 岩上氏】密約の問題に関しては、毎日新聞の西山太吉記者がかつてスクープをして、その結果、濡れ衣と言うのでしょうか、不名誉な思いをしてきた訳ですけれども、結果としてこうして事実が明らかになったところによると、かつてのスクープが間違っていなかったということになろうかと思います。西山さんの名誉回復というものを大臣としてお考えになることは有り得るでしょうか。リークということが昨今問題になっていますけれども、虚偽リークと、それから真性の情報をリークした結果、公務員の守秘義務に違反しても、国民の利益にプラスになるような行為をした場合、それは別の評価があるかと思うのですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
【大臣】それは大変難しいご質問だと思います。随分時間も経ちましたけれども、外務大臣である私(大臣)に、そもそもそういう権限なり可能性があるのかという議論もあると思います。たしか西山さんは衆議院の外務委員会の参考人としてご出席になると伺っておりますから、そこでどういうお話になるのかを、まず聞いてみたいと思います。個人的には、大変有能なメディア人であったにもかかわらず、その後、その世界から追われる形になった訳で、お気の毒だと思いますし、惜しいことだと思いますけれども、外務省はどのように関わっていくべきかということを含めて、少し頭の整理がいると思います。
【NHK 禰津記者】密約に関連して、在日米軍基地を抱える地方自治体への対応についてお伺いします。大臣は密約の報告を発表され、その前後に、例えば横須賀市であったり佐世保市であったり、各自治体からこれまで「核が持ち込まれていた可能性を排除できない」といったことに対して反発の声が上がっています。今後とも米軍の艦船が入港するという観点で考えますと、日米同盟の安保体制に影響を与えないようにするためにはどのような形で理解を求めていく必要があると考えていらっしゃいますか。
【大臣】これは可能性があるとすれば、1991年以前の問題です。そのことをまず申し上げたいと思います。そして旧政権時代の話ではありますが、政府という意味では共通ですから、これは政府として今まで間違った説明をしてきた訳ですから、そこは誠に申し訳ないと思います。ただ現時点においては米国の核政策が変わったことによって、そういう可能性はないと、その点についてご理解をいただくということです。外務省のそれぞれ担当の者が今お話のように、基本的には発表の後ですけれども、現地に行ったりしてご説明をし、理解を求めているところです。
【フリーランス 岩上氏】確認ですが、私が少し理解が及ばないのかもしれませんが、核持ち込みの事前協議の話について、日本政府が日米間での解釈の違いを理解した、理解した上でもある種虚偽の説明をしてきた、それについて言ってみれば、事実を明らかにし、訂正し、今後はそういう説明の仕方をすることはないだろうと仰いましたが、日本政府と米政府の間の事前協議の解釈は異なったままであるということだと思います。この異なったままでいい訳はないだろうと思いますので、何らかの形でこれをすり合わせを行うとか、或いは一定の日米共通の見解に立脚するようにするとか、そういう外交努力をするおつもりはあるのでしょうか。その点についてお聞かせください。
【大臣】まず、現実には解釈は違う訳ですが、そのことによって不都合は生じないということは何度も申し上げているとおりです。その上で異なる解釈を一つにするべきだ、それは正論だと思います。しかし、今日本は非核三原則、そして米国側は核の所在について明らかにしないという考え方ですから、これを一つにするというのは現時点では至難の業だと率直に言わざるを得ないと思います。
【フリーランス 岩上氏】そうしますと、日米間でこの解釈は統一できないということになりますと、実体として核を搭載した米艦船が寄港するかどうかという現実に関しては、日本は「非核三原則を守っている」という意向を表明し、米国の方は「核の所在は明らかにしない」と表明し、日米政府ともども、おかしなことは言っていないということで一種のダブルスタンダードが生まれて、艦船が寄港することが可能になるということになるのでしょうか。
【大臣】何度も申し上げているとおり、米の政策によって戦術核は艦船、飛行機に搭載されることはないということで、現実に持ち込まれることはないということであります。
【共同通信 西野記者】有事対応の話に関連してですが、例えば、朝鮮有事にしても有事の際にどうするのかという密約であったり、或いは核の再持ち込みという話にしても、通常はあり得ないというのは十分分かるのですが、有事の際どうなのか、或いは戦略核を持っているような原潜が故障したりなどの緊急事態になったらどうするのかとか、まさに通常のケースでない時にどうなのかという話もあると思います。そういったことについては、米国側と話をしていくということはあり得ないのでしょうか。
【大臣】議論としては非常におもしろい議論だと思いますけれども、例えば戦略原潜が日本近海にいるというのは私(大臣)は聞いたことがありません。それは基本的に米本土の周辺にいるということで、故障して急遽日本に寄港するというのはかなりフィクションであって、そこまで考えて私(大臣)が何か考え方を述べる必要はないと思います。
【共同通信 斎藤記者】先程私が非核三原則を法制化しない理由についてお伺いして、その後に別の方の質問に対して大臣が「日本は非核三原則、米はNCNDと、政策は違うので、それを一緒にするのは至難の業だ」という話をされました。ここは日米全く相容れない立場ということが日本として非核三原則を法制化できない根底にあると考えてよろしいでしょうか。
【大臣】法制化するかどうかというのは、それは根本的な問題ではありません。だから法制化できないということではありません。ただ先程言いましたように、日本の非核三原則と米国のNCNDは一つにはなり得ないという状況です。それは国民の皆さんに率直に語っていきたいと思います。それが現実だということです。ただし、非核三原則は、鳩山内閣としてこれは堅持するということです。
【NHK 別府記者】確認ですが、つまり米のNCNDは米国の政策として尊重すると、逆に言うと非核証明とかを求めることはないということでしょうか。
【大臣】米国のNCNDが変わることはないと思います。別にニュージーランドの例を持ち出さなくてもいいと思いますけれども。基本的に言わないという政策が変わることはないと私(大臣)は思っております。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。10日、日米間の密約問題で神奈川県知事が「非常に遺憾だ」と発言されました。報告書発表後の大臣や外務省に来ております国民の反応や評価についてお聞かせください。
【大臣】あまり来ていないのです。私(大臣)の個人的なメールとかそういうものは、私(大臣)が見ていないだけかもしれませんが、でも多分来ているはずです。多分まだ見ていないのだと思います。苦情の電話はいくつかあったというのは聞きました。
【ニコニコ動画 七尾記者】外務省の方には。
【大臣】私(大臣)が直接電話を取るわけではないので、まだ報告は受けておりません。
【共同通信 西野記者】普天間移設問題についてお伺いします。12月15日に米国のルース駐日大使と外務省でお会いになって、その後、総理官邸に行かれてルース駐日大使と大臣と総理と3人でお話になったと記憶しております。その際に日米合意について時間が経てば戻すと鳩山総理が発言されたと私どもは取材し、報道いたしました。その件に関し、大臣のご所見、或いはその時の状況について可能であればお聞かせください。
【大臣】ですから、どういう事実に基づいて、あのような報道になったのかわかりませんけれども、そこは私(大臣)としては苦笑いしながらあの記事を読ませていただきました。もちろん米政府は「今の日米合意は最善である」という言い方は変えておりません。しかし、我々は5月末までに普天間代替地を見つけるいうことを主張した訳ですから、「合意に戻すという話になるはずがない。新しい所を探す。もちろんゼロベースで」というのが私(大臣)とルース駐日大使の間のやり取りであります。
【共同通信 西野記者】先程大臣は、大臣とルース駐日大使の間のやり取りだと仰いましたけれども、弊社は鳩山総理の発言について報道しております。それはなかったのでしょうか。それともここでは言えないということなのでしょうか。
【大臣】鳩山総理に本来お聞きになるべきだと思います。私(大臣)がその時に総理がどう言ったかを言うべきではないと思いますが、そのような伝えられるような発言は私(大臣)は承知しておりません。
【時事通信 鈴木記者】本日閣議決定された地球温暖化対策基本法ですが、その中に排出量取引制度が盛り込まれたところ、特に原単位規制が盛り込まれたことに対する大臣のご見解と評価をお願いします。
【大臣】閣議決定されたことでありますので、私(大臣)が特にコメントすることはありません。これからよく議論をして、排出権取引についての制度設計を急がなければならないと思います。
【時事通信 鈴木記者】小沢環境大臣がご説明の中で、岡田大臣が原単位排出量取引について反対なさっていたと説明していたのですけれど、最終的に反対を取り下げられたというか、今回の法案でOKだという形になさった理由を聞かせていただけますか。
【大臣】鳩山内閣の一員ですから。
【時事通信 鈴木記者】それだけでは少し理解ができないのですが。
【大臣】環境大臣がどのように言われたかわかりませんが、昨日の夜は閣議に準ずる場ですから、その中でのことは基本的に言わないというのが我々のルールですので、詳細については申し上げるつもりはありません。
【NHK 吉田記者】温暖化対策基本法案についてですが、閣議に準ずる場だから内容については言えないというお話だったのですが、事実上法案の内容は両論併記という形になっていまして、1年以内に成案を得るということになっています。成案を得る過程で、外務省としても再び議論に参加していくと思いますが、その中で大臣はどのようなお考えを示していくおつもりでしょうか。法案そのものが今回閣議決定されたということで、国際交渉に関して、何らかの後押しをする役割を果たすのかどうか、この2点についてお伺いします。
【大臣】総量規制を基本とするという条文です。しかし、原単位というものも書いたということです。優劣と言いますか、重要さの順番は書き方によってはっきりしていると思います。それを今後の制度設計にどう活かしていくかということであります。私(大臣)も原単位方式が全くだめだと言っている訳ではないので、原単位というのをキャップをかける際に考慮要因として考えるというのはあるのだろうと思います。特に国際的な比較とか、そういう意味において非常に国際的に原単位で見ると優位性があると見れる産業について、一定の配慮をするということをも否定している訳では私(大臣)はないのです。ただやはり全体を総量規制でやらないと、量は減らない訳ですので、そういう意味で総量規制を基本とするという表現に収まって少なくとも良かったと思っております。今後いろいろな議論があると思いますが、早く議論した方がいいと思います。選挙の時から見たら半年経っている訳ですから、早く具体的に制度設計して、導入した方がいいと思います。外務省として、もちろん意見は言っていきます。
【日経新聞 山内記者】5月に開かれるAPECとG20についてお伺いします。G20がAPECの首脳会合に先駆けて開かれることになりました。それについて、先駆けることでこちらに注目が集まってしまうのではないかという懸念も一部であります。それについて大臣のお考えをお聞かせください。
【大臣】これは決まったことですので、あまり言わない方がいいと思います。しかし率直に言って私(大臣)は、まあどちらもあるかなと思っていました。最初に議論した、それを踏まえて後のより深い議論が出来るとそういう見方もできますので、人によって違うのですが、私(大臣)は順序は絶対先でなければならないとか、そう思わなくてもいいのではないかという考えです。元々そういう考えでした。
【琉球新報 滝本記者】昨11日の未明、沖縄県うるま市の県立中部病院という所で米軍の車両が侵入して、ガードレールや縁石を破壊したという事故がありまして、海兵隊の方が軍隊の車両だと認めてきているという話があります。有識者によりますと、施設間移動で公道を通ることは当然認められていますけれども、民有地に無断で入ってしまうということ自体、地位協定に違反することなのではないかという指摘もあるのですが、まず、この事件、事故についての大臣の受け止めと、地位協定違反という指摘についての受け止めをお願いします。
【大臣】今初めて聞いた話ですので、事実関係がよく把握できません。もちろん地位協定なり法に反するということであれば、ルールに基づいて厳正に対処されるべきだと思います。
【琉球新報 滝本記者】事実関係の確認は。
【大臣】よく聞いてみたいと思います。
【読売新聞 川崎記者】記者会見の前に、ナポリターノ米国土安全保障長官と会談をされていますが、おそらく会談内容はテロ対策ということが中心ではないかと思われるのですが、もう一つ、ナポリターノ長官は入国管理のトップでありまして、先に懸念を表明されておりましたエスタの入国手数料の有料化について、懸念を伝えたり、何らかの形で大臣の方から仰られたのでしょうか。
【大臣】その話は出ませんでした。いろいろな議論をいたしましたけれども、私(大臣)から、別に意識した訳ではないのですが、特に出してはおりません。
【読売新聞 川崎記者】この件については、米側に遺憾の意を駐米大使館の方から伝えられたのでしょうか。
【大臣】今までも伝えておりますし、当然伝えることになります。既に伝えたかどうか確認しておりませんが。
【読売新聞 川崎記者】昨日、書簡を出したという話があるのですが。
【大臣】確認してみます。
(1)いわゆる「密約」問題に関する調査結果について
【岡田大臣】本日は定例の記者会見に加えて、いわゆる「密約」問題に関する会見ということで、最初に密約の問題について私(大臣)から冒頭発言をいたします。
本日、いわゆる密約問題に関する有識者委員会から報告書の提出を受け、外務省調査チームによる調査報告書と併せてここに公表することといたしました。この問題は、私(大臣)が大臣就任時に、この問題によって日本の外交に対する国民の理解と信頼が失われている、しっかりと事実関係を明らかにしなければならないという観点で、薮中事務次官に対して徹底調査を命じたものでございます。調査の結果については、是非報告書を読んでいただきたいと思いますが、不公表文書が存在したこと、あるいは核持ち込みに関する日米両国政府の認識に不一致があったことなどを示す文書の存在が判明いたしました。当時の状況については簡単に判断できるものではなく、有識者委員会の報告書においても、外交に、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価、当時の国際環境、あるいは日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものであると述べられております。しかし一方で、この問題がこれほどの長期間に亘り、また、冷戦後の時期に至っても、国会及び国民に対して明らかにされてこなかったことは、自分(大臣)としては極めて遺憾であります。1990年の冷戦終了、あるいは米国の核政策の変更というタイミングが、こういった様々な密約について明らかにする一つの大きなチャンスだったと思いますが、結局、従来の答弁を繰り返し、約20年が経ってしまったということであります。このことは極めて遺憾だと思っております。
今回の調査の結果、2つの報告書が作成され、また、前例のない規模で関連の非公開文書を公開することといたしました。その結果、本件に関し、事実関係の解明が進展したと考えております。同時に文書管理及び外交記録公開に関する問題については、有識者委員会の報告でも指摘されているとおり、なお一層の改善が必要だと考えております。そこで今般、私(大臣)を本部長とする「外交記録公開・文書管理対策本部」を設置することを、先程の臨時省議で決定いたしました。今後、外交記録公開及び文書管理に関する改善措置を検討の上、速やかに実施に移していきたいと考えております。
今回の調査は、日米安保体制の運用についての長年の日米のやり取りを巡るものでありますが、本件調査開始当初から私(大臣)も明らかにしてまいりましたように、我が国の行う本件調査によって、日米安保体制の運用に影響を及ぼす考えはありません。
最後に、今回の調査結果の検証作業に当たっていただいた北岡座長を始めとする有識者委員会の委員の先生方に、この場を借りて厚く御礼を申し上げたいと思います。同時に、外務省のこの問題を担当した職員の皆さんに対しても、懸命に事実関係を明らかにしようという思いの中で最善の努力をしていただいたことを、私(大臣)からも皆様にご紹介を申し上げておきたいと思います。私(大臣)としては、今回の作業が、外交に対する国民の信頼回復に繋がることを期待しております。今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に全力を傾注していきたいと考えております。
【時事通信 水島記者】報告を受けて、いろいろあると思いますが、これまでの核の持ち込みはなかったと政府は説明してきた訳ですが、この見解を見直すのでしょうか。大臣の見解をお願いします。
【大臣】今回の調査結果によれば、日米間でこの問題について、(核搭載艦船の)領海の通過及び寄港について日米間、両国政府間で解釈が異なることが明確になりました。我々はそういう結果をあまり想像したくはありませんが、従来通り核の持ち込みがなかったと言い切ることはできない状況であり、その疑いを完全に払拭することはできないということだと思います。
【朝日新聞 東岡記者】従来政府は、今回調査対象となった4つの密約について、いずれも存在しないという立場を貫いてきました。今回の調査によって、先程大臣は、事実の解明が進展したと仰いましたけれども、従来の見解についても修正する必要があるかと思います。外務省として、あるいは政府として、この4つの密約について、あったのか、なかったのか、あるとするならば有効性はどうなのか。現在の公式見解をお尋ねします。
【大臣】今回は事実関係を明らかにするということで作業を行ってまいりました。密約があったのか、なかったのかということに関しては、「密約とは何か」ということにもよります。狭義の密約ということを、有識者委員会の中で定義づけをしていただいておりますが、そういう観点から見たときに、例えば朝鮮有事の際の事前協議なしでの出撃ということに関する密約はあったということは、これは外務省の調査結果でも、そして、有識者の委員会の結果でも一致しているところであります。
【神奈川新聞社 佐本記者】私共の地元の横須賀市の方では30年以上に亘って、「核の持ち込みがないのか」ということを外務省側に照会しては、「事前協議がないので、ないものと思っている」という通告だけが繰り返されてきた訳ですが、今後、そうした地域、地元、地方の自治体からの問い合わせなどの際に、例えば今回、これまで行ってきたような事態を繰り返さないということを担保できるような対応を取られるお考えなどはありますでしょうか。
【大臣】今回の調査の結果、日米両国間で持ち込みに対する考え方が違うということが明確になった。我々は従来から非核三原則に基づき、一時的な寄港も持ち込みに当たるという考え方を取ってきております。その考え方を変えるつもりはありません。「米側とは考え方が違うじゃないか」というご指摘は当然あると思います。考え方が違う状態は今もあるわけでありますが、そのことを我々は明らかにした訳です。今の米国の政策は先程言及しましたように、1991年以降、(米国は)艦船あるいは航空機への核の搭載は行わないということを明らかにしております。したがって、1991年以降、我々の考える一時的寄港の形で核が持ち込まれたことはないと考えております。
【産経新聞 高橋記者】今の非核三原則についてお伺いしたいと思います。私の考えを申し上げますと、非核三原則、特に「持ち込ませず」という点については問題があると私は思っています。というのは、核の問題を巡って、国際社会の現実と日本国民の理解の間には大きなギャップがあると私は見ています。それを埋める苦肉の策が今回検証された密約であって、私は、政府、外務省がそうした国際社会の冷徹な現実をきちんと日本国民に説明し、理解を求める努力が足りなかったということを示しているのではないかと思います。例えば、万が一日本周辺で有事が発生した場合、緊急事態が発生した場合、特に日本に核攻撃の可能性がある場合、米国が日本に核を持ち込むということは、核攻撃を抑止する効果を持ち得ると考えます。にもかかわらず、「非核三原則があるから、日本に核を持ち込むことは絶対に駄目だ」ということにすると、抑止力を自ら放棄することになるのではないかと思います。したがって、私は万が一の緊急事態を考えた場合、この「持ち込ませず」というのをどの程度、柔軟に考えていくべきなのかということは、政府としてきちんと検討して、日本国民にきちんと国際社会に合った現実の中で説明して理解を求めていくべきだと思うのですが、この非核三原則の検討、見直しについてどうお考えですか。
【大臣】我々は非核三原則を見直す考えはありません。今のご意見は、今ご質問の方のご意見なのか、あるいは産経新聞社としてのご意見なのか、そこははっきり分かりませんが、一つのご意見として承っておきたいと思います。それから、国民に率直に語っていなかったというのは、そういうところは確かにあると思います。今の国際安全保障環境について、なるべく国民の理解を得られるように率直に語っていかなければいけない、そのように考えております。
【毎日新聞 野口記者】非核三原則に関係して、今回明らかになった文書の中で、佐藤栄作元首相が沖縄返還の交渉の中で、外務省の事務方との打ち合わせで「非核三原則は誤りだった。反省したい」という感想を述べていますが、非常に難しい国際関係の中で、佐藤首相自ら非核三原則を提唱しながら悩まれておりました。こうした佐藤首相の「非核三原則は誤りだった」という発言について、大臣のお考えをお聞かせください。
【大臣】それは、それぞれの政治家が自分の責任で仰っている訳であります。しかし、今言われたものは、今回の情報公開で明らかになりましたが、対外的にそのように佐藤栄作氏が語っているわけではないと思います。したがって、もちろん情報公開制度で、やがては明らかになるということは想定されていたと思いますけれども、その時には対外的に出ないことを前提に語っておられることに対して、私(大臣)がコメントすべきでないと思います。
【NHK 禰津記者】今回の密約の1.の部分(「いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書」序論:密約とは何か、1.外交の公開)ですけれども、この中で、「暗黙の合意」というものが指摘されています。この「暗黙の合意」というのは、日米同盟の運営に障害を与えることを避けようとするということの「暗黙の合意」というものがあるということですが、大臣のご認識として、「暗黙の合意」は今も続いているというご認識でしょうか。そして「暗黙の合意」というものが今も続いているというご認識でしたら、それに対して、米側と今後どのようにきちんと話し合っていくお考えですか。
【大臣】先程お話ししたと思いますけれども、今回のこの調査によって、日米の違いがあるということが対外的にも明らかになったということであります。しかし、幸いにして1991年以降の米国の核政策の変更によって、今、具体的に何かそれが問題になるということではないということです。
【フリーランス 岩上氏】先程、大臣は、機密について、「外交にはつきものであって、一定期間経過後にそれは公開されるべきものである」と仰いました。「機密」、「広義の密約」、それから「狭義の密約」という言葉が使われておりますけれども、それぞれの定義と、それから、その差異が、このペーパーを読む限りでは判然としないように思います。機密と密約はどう違うのか、また、密約の中にも「広義の密約」と「狭義の密約」はどのように違うものなのか。そして、例えば、機密は一定程度是認されるなら、条件付きで是認されるならば、密約というものはどのような形で是認されるのか、あるいは、今後二度と認められない類のものなのか。そうした評価と言いますか、定義についてお聞かせいただきたいと思います。
【大臣】これは必ずしも外交に限らないかもしれませんけれども、政府間で様々な議論をする時に、それが全部オープンの場でできる訳ではなくて、表に出せないことがその時にはあるのは、ある意味やむを得ないと言いますか、当然のことだと思います。外交においてはそういったことが、あるいは多いということが言えるかもしれません。しかし、一時的な機密と密約というのは、かなり性格が違うということであります。密約の定義については有識者委員会で定義をしていただいておりますが、「狭義の密約とは両国間の合意、或いは了解であって、国民に知らされておらず、かつ公表されている合意や了解と異なる重要な内容を持つもの」ということであります。当然合意文書というものが存在するのが「狭義の密約」であります。「広義の密約」というのは文書化されていないもの。一言で言えばそういう違いかと思っております。「明確な文書による合意ではなく、暗黙のうちに存在する合意や了解である。」というのが「広義の密約」の定義でございます。
【フリーランス 岩上氏】そうしますと、両国間で、とにかく今は表に出せない約束であるということは共通しているように思いますが、機密というのは先程の「一定期間経過後には公開するルールを設ける」というお話でした。では、密約はその中に含まれるのでしょうか。今後そうした両国間の機密の約束というものは、必ず公開のルールにすべて含まれて、一定期間経過後にすべて明らかになっていくと考えてよろしいでしょうか。
【大臣】結論から申し上げると、必ずしもそうは言えないと思います。つまり、日本の場合には30年経てば原則公開ということですが、すべてを公開すると言っている訳ではありません。その時点において、国益に照らして、今明らかにすることができるかどうかの判断をしなければなりません。今までは、それを外務省の中でやっておりましたが、今後は、大臣始め政務三役の判断も加え、場合によっては第三者の判断も加えた上で、それを明らかにするかどうかを決めていこうということです。全体として、あまりにも公開するものが少な過ぎたという反省に立って、より公開を増やしていくという中で、しかし、最終的に明らかにできないものは残ると考えております。30年では駄目でも、40年後、50年後には可能になるというものも当然あると思います。
それから、密約というものをどう考えるかと、今回のこの検証作業の中で、私(大臣)もいろいろ考えさせられることがございました。できればそういうものは無い方がいいと思っていた、時の総理もいらっしゃる。例えば佐藤総理は沖縄返還時に、その前の岸総理の改定安保締結時の朝鮮半島有事の際に日本に事前協議なくして出撃できるという密約について、これを何とか記者会見における発言に置き換えようと、そこでは事前協議があることを前提に、しかし、プロンプトリー・アンド・ポジティブリーに対応するという表現で置き換えようと努力をされました。これは恐らく、なるべく表に出ない密約という形は望ましくないという判断を、時の佐藤総理がされていたのではないかと私(大臣)は想像するわけであります。そういった様々な、今までの指導者も、国際環境の中でギリギリどこまでできるかということを悩みながら、従来どおり続けるか、あるいは形を変えるか、努力をされた形跡もかなりあるということであります。
【産経新聞 高橋記者】関連なのですけれども、事前協議制度についてお伺いしたいと思います。大臣は先程、今回の検証を日米安保体制をこれによって変更することはないというように仰いましたけれども、事前協議制度を経て、米国から核持ちこみを要請され、事前協議が行われ、日本政府が日本の安全保障上、核持ち込みが必要だと判断した場合は、核の持ち込みを容認するということはありうる訳でしょうか。
【大臣】先程来、繰り返しておりますように、非核三原則を守るという日本政府の考え方に変化はありません。それ以上のことは、これは仮定の議論ですから、お答えするべきではないと考えております。
【フリーランス 上杉氏】この密約に関してなのですが、国民共有の知的財産、この文書にも書いていますが、まさにその通りだと思うのですが、そうした公式文書の破棄に関わった者というのは、ある意味、日本の歴史の破壊者とも言えなくもないかと思うのですが、不正ともいえる大量破棄に関わった職員の処分というのは、今後、考えていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】今のご質問も、ある程度、仮定に基づくご質問だと思います。そういう大量破棄というようなことが、現実にあったのかどうか、色々な噂があることは承知をしておりますけれども、意図的に廃棄するということがあったかどうかということは、まだ明確ではありませんので、そういう段階で、あまり仮定に基づいてお話をしない方がいいと思います。
【フリーランス 上杉氏】この文書の中に、「行政官庁における公式文書の大量破棄という事態を招いたことは、容易に推測できる」という文言があるので、それをもってして、先ほど質問をさせていただいたのですが。
【大臣】有識者委員会の報告書の中にそういう表現があるのは事実です。しかし、それは「推測される」ということでありますので、事実として、そういうことが明確になっている訳ではありませんので、現時点でまだ何か言うのは早いと思います。しかし、事実として、そういうことがもし明らかになれば、それは放置できない事態だと考えております。
【共同通信 井上記者】非核三原則についてお尋ねします。非核三原則を見直す考えはないと仰いましたが、「持たず、作らず」の部分は、原子力基本法やNPTで法的に担保されている訳ですが、「持ち込ませず」という部分については、寄港の問題も含めて、そういった制度がありません。今後、非核三原則の法制化を検討するお考えがあるかどうか、お聞かせ下さい。
【大臣】本日、私(大臣)がここに立っていますのは、過去の事実関係を明確にするという作業の結果を報告するために、今、会見を開いている訳ですけれども、政策的に何か変えようとか、そういう意図は私(大臣)にはございませんので、(非核三原則)法制化についても、従来、政府が答えてきたのと同じであります。法制化する予定は現時点ではございません
【TBS 樋口記者】大臣は、この調査を始めると発表した際に「まず事実を明らかにすることが先で、最初から外務省幹部を処分するなどということは、そこに支障をきたすので、そういう考えはない」ということを言われましたが、そういった考えに変更はないかということと、現在の幹部の中で、密約について、何人が把握していたかということを、大臣は把握されているのでしょうか。
【大臣】私(大臣)、そう言い方をした記憶はあまりないのですが、私(大臣)が事実を事実としてまず明らかにすることに専念すべきだというように申し上げたのは、その後のことを考えて、説明が大変だとか、政策の整合性が取れなくなるとか、いま質問に出ている非核三原則の話などはその1つですけれども、そういうことを考えていたのでは、事実を明らかにするという、矛先が鈍ってしまうので、ここは割り切って、まず事実をはっきりするということに専念すると申し上げた訳です。幹部の処分とか、そういうことの関連で申し上げた記憶は私(大臣)にはございません。
【TBS 樋口記者】後半の質問で、現在の外務省の職員の中でどれくらいの職員が、この4つの密約について、1つは(密約では)ないということですが、把握をしていたのかということは、大臣は報告を受けているのでしょうか。
【大臣】密約の把握ですか。
【TBS 樋口記者】或いは見つかった文書の存在だとか、そういった意味です。
【大臣】これは、今回徹底的に調査して出てきたものでありますので、そういったものが事前に分かっていたかどうかということは、必ずしも明らかではありません。ただ、例えば、その資料の1つ、東郷北米局長が作ったメモなどを見ると、事務方の中にも、それを承知していたということは伺われます。つまり、日本の解釈と米国の解釈が違うということを、少なくとも、大平外相とライシャワー大使の会談以降、そういうこと(事務方による問題の把握)がかなり一般化していたというように想像されます。どの範囲までというのは、なかなか、それは想像するしかないので分かりません。
【琉球新報 滝本記者】沖縄に関連する第3番目と4番目の密約、すなわち「沖縄の返還と有事の核の再持ち込み」の件と、「沖縄返還と原状回復補償費の肩代わり」の件ですけれども、この件に関する有識者委員会、或いは外務省の調査報告についての評価というのを、大臣はどのようにご覧になられるか、お聞かせ願います。
【大臣】有事の際の核の再持ち込みに関する密約でありますが、これは外務省には資料がないということで、調査時点、11月末の段階で見つからなかったという調査結果になっております。その後、佐藤信二氏が自宅から佐藤栄作元総理とニクソン元大統領のサインが入ったものが出てきたということで、事態が一変したということはご案内の通りであります。そのことを受けて、この有識者委員会の報告書の中では、その性格について、つまり、両首脳のサイン入りの紙の意義付けについて議論をしていただいた結果、これは密約とは言えないだろうという結論になったと承知をしております。これは、密約の定義に関わる問題で、少なくとも日本の場合には、外務省を始め、総理以外の政府関係者は関わっていなかった。したがって、将来にわたって拘束するものではないということで、密約ではないというように判断されたものだと思います。違う解釈も当然ありうるだろうというように思います。
補償費をめぐる密約の問題については、報告書に書かれている通りでありますけれども、有識者委員会の方は、「広義の密約」という表現をされていたと思います。私(大臣)もそのように考えることもできると思います。ただ、国会答弁では、日本が出したお金をどのように使うかということは、米国政府の決めることであると明確に答弁しておりますので、ある意味では、それは秘密ではなかったとも考えられると思います。
【共同通信 太田記者】核の運用政策の問題に関わってくる話でございますが、先程頂いた調査報告書を拝見しておりますと、やはり大きなそういった日米間の齟齬が生じる一つの政策というのは米国のNCND政策、艦船上の核の存否につきましては否定も肯定もしないという、あのNCNDがあった訳でございます。大臣は先刻ご承知のことかと思いますが、NCNDは1957年のナッシュビルリポートを元にしまして、1958年に政策化されているということでございます。冷戦下において、対ソ連に対しまして核のターゲティング、これを複雑化させるための戦略であったということでございます。大臣は常日頃に「核なき世界」を標榜されておられるオバマ大統領の考え方にも賛同されておられますが、このNCND政策、冷戦時代の政策が「核なき世界」の障害になるのかどうか、もしも障害になるとお考えならば、米国とこの問題を協議される考えはございますか。
【大臣】私(大臣)は必ずしも障害になると思っている訳ではありません。この問題を考える時に、「核なき世界」を目指すという将来に亘っての理想と、現実に核が果たしている「抑止力」というもののバランスをどうとっていくかという問題だと思います。「核の抑止力」ということを私(大臣)は肯定しておりますので、その補強のためのNCNDという政策についても、これは米国の判断ですが、米国がそういった政策をとるということについて、理解をしているところです。
【朝日新聞 川端記者】沖縄返還の(有事の核)再持ち込みについてお尋ねいたします。有識者委員会の報告では、この再持ち込みについてだけ「必ずしも密約とは言えない」と結論を出しています。冒頭部分の定義について議論はあると思いますが、当時公表された共同声明の内容というのは、そういう再持ち込みを明記したものではありません。ある意味玉虫色かも知れません。しかし、今回発見された文書というものは、そこにかなり明確に再持ち込みを容認する内容となっています。冒頭の報告書の定義に照らしても追加的な権利を与える、(持ち込みを)認めることの善し悪しは別にして、追加的な権利を相手に与えうるというものにあたるのではないかと思うのですが、その点大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】今引用されたのは、有識者委員会の報告書で書かれたものですので、それは有識者の皆さんの考え方を是非聞いて頂きたいと思います。有識者委員会の報告書と外務省の報告書というのは、いくつか違う部分もありますが、これは一つにしなければいけないということではありません。結局は文書の性格、つまり両首脳間がサインをしたのだけれども、しかし、過去日本国政府としては承知をしていなかったということ、それにどれだけの拘束力があるのかという判断の問題ではないかと思います。常識的に考えると、両トップがサインした文書が一枚あって、それが何十年かぶりに発見されたということですと、これこそ「密約」だと、そういうように受け止められやすいかもしれません。いろいろな解釈があって私(大臣)はいいのだろうと思いますが、有識者委員会の結論としては、「これは密約ではない」というように結論づけたということです。
【共同通信 斎藤記者】先程大臣は、「現在、当時の核持ち込みに関する暗黙の了解が現在どのように関与しているか」という趣旨の質問に対して、「ブッシュ政権時の1991年の政策転換以来、日本に核は一時寄港という形で持ち込まれていたとは考えられない」という趣旨の発言だったと思います。そこでお伺いしたいのは、米国の政策変更によってそうした事態が起こっていないという現状があるにせよ、将来的にもし米国が再びその政策を何らかの形で変更してきた場合、その場合は問題が起きるのではないかと、理論的には考えられるのですが、この点についての受け止めと対処についてお伺いします。
【大臣】基本的に今の米国の核政策の方向性というのは、「核に対する依存を減らしていこう」ということだと考えております。核の目的というものを低下させていくという方向性にありますので、私(大臣)は仰るようなことが将来起こるというようには考えておりません。あとは、仮定の議論ですから、仮定の議論をあまりあれこれ言うべきではない、現時点ではそのようなことはないと申し上げておきたいと思います。
【日本テレビ 山見記者】核持ち込みで、1991年以前のことに関しては、現実にあったかもしれないという疑いを拭い去れないと仰っておりましたが、これを調べるお考えはありますか。或いは、「おそらくあっただろう」というような確証等はありますでしょうか。
【大臣】現在、外務省で承知している限り、そういった具体的な証拠はございません。
【日本テレビ 山見記者】今後お調べになるおつもりは。
【大臣】必要があれば、外務省が持っている資料の範囲で調べることは可能かと思いますが、おそらく出てこないであろうと思います。
【西日本新聞 齋田記者】今回の密約が明らかになったことと、政権交代が実現したこと、この関係についての大臣のお考えをお聞かせください。
【大臣】もちろん、政権交代しなくても、こういうことは出来たはずだと私(大臣)は思います。先ほど申し上げましたように、冷戦が終わり、そして米国の政策も変わった1990年代前半というのが、一つのチャンスだったと思います。しかし、それが変わらないまま、ある意味では国会答弁で事実でないことを歴代の総理や外務大臣が述べてきたということは大変残念なことだと思います。しかし、考えてみれば、政権交代というのは一つのきっかけでありまして、前任者と全く違う答弁をするというのは、なかなか大変なことでありますので、そういう意味では政権交代があったことが、こういった情報公開といいますか、事実を明らかにすることの追い風になったということは間違いないと思います。私(大臣)も国会で質問が出て、「そういう事実があるのか」と聞かれて、そこで答えざるを得ないという事態になる前にと考えましたので、大臣就任の日に調査を命じた訳です。
【朝日新聞 谷津記者】先程、(資料の)破棄についての質問が出ていました。「あったかどうかは明確でない」とすると、今後そこを明確にされるつもりはありますかというのが1点です。もう1点は、この話は決して過去の話でなくて、ごくつい最近まで「文書は無い」というように政権交代直前まで政府は答弁していた訳です。先程、似た質問が出ていましたが、現役の職員の方で、特にこの「東郷メモ」と言ったらよろしいのでしょうか、その存在について承知していた方というのはいらっしゃらないのでしょうか。そもそも、そのメモはどこにあったのでしょうか。
【大臣】「東郷メモ」自身は、説明した経緯を見ますと、最後は1990年位、確か海部総理、中山外務大臣までは回覧されてきたと思うのですが、それ以降、ありません。ですから、それ以降については、果たして、歴代の外務大臣や総理に(東郷メモを)説明したのかどうかというのは、このメモからは明らかではありません。どこから出たのかというのは、個別の話ですから申し上げるつもりはありません。しかし、このメモが出てきたことは、私(大臣)は今回の調査を行うにあたって、「非常に良かった」と言うとおかしいですが、事実関係がこれでかなり明らかになったと思います。資料の破棄の話は、そういうことが事実として明確になれば、それはやはりあってはならないことだと思いますので、事実関係について、そういったことがかなりの可能性を持ってあったということであれば、調査をしなければならないと思います。現在、まだそれは推定といいますか、想定の段階だというように考えています。
【朝日新聞 谷津記者】その可能性が高いかどうかをお調べになるつもりはありますか、という質問です。
【大臣】可能性が高いかどうかというのは、ある程度、客観な手法が必要です。現在のところ、そういうようには考えておりませんが、必要性があるなら調査をしたいと考えています。
【J-CASTニュース 亀松記者】先程、核持ち込みのことについて、以前、「実際に核の持ち込みがあったかどうか」ということについて、「必要があれば調べることは可能である」というようなお答だったのですが、3月7日の毎日新聞で報道されたところによりますと、1966年にライシャワー駐日大使がいた時の特別補佐官のジョージ・パッカード氏が「1966年の少なくとも3ヶ月間、岩国基地の沿岸部に核兵器を保管していた」という証言をしたという報道がなされています。「これはもう、通過とか寄港を超えるものであるというような評価だ」と報道ではなされているのですが、こういう報道が実際にあり、かつ具体的に元特別補佐官だった方が証言しているということですので、これは先程の「必要がある」ということに該当するのではないかと思うのですが、この具体的事実についてお調べになるというお考えはありませんでしょうか。
【大臣】今回、全体について、先程言いましたように、膨大な資料について、全体スクリーニングして、関係書類を特定していますので、仰るようなことがあれば、それは分かるはずだと思います。ですから、外務省にはその資料はないというように判断しておりますが、具体的な案件について再度調査するということは、必ずしもできない訳ではないと思います。ただ、その話も、私(大臣)が記憶している限り、ライシャワー駐日大使もその事実を知って、確か激怒したとか、というようなことだったと思います。ですから、米国を代表して日本にいる大使が「たまたま知った」ということだとすると、それは日本国政府に全く分からないところで、そういうことがあったのかもしれません。いずれにしても、そういうことになると日本としては確かめようがないということになると思います。
【共同通信 太田記者】先程の朝日の記者の質問の関連で、(資料の)破棄の問題です。理解力が不足しているのかもしれませんが、大臣は「客観的な事象があれば(資料の)破棄について調査される」ということだったかと思うのですが、その客観性というものは、現前にある事実について判断されなければいけない訳です。現在、手持ちの事実でそういうような調査が必要というお考えかどうかというのが第1点です。手元に事実が無いのなら、追加調査が必要な訳です。そうしないと、客観性が出てこない訳です。この点にはついてはいかがお考えですか。
【大臣】具体的な、どういう場合にどういう廃棄をしたのかということがないと、漠然と調査をすると言っても、これはできませんので、もう少し特定がされれば、そのことについて関係者から話を聞くなど、そういうことができるかと思います。
【共同通信 太田記者】そういたしますと、現時点では「具体的な情報はない」ということでよろしいですか。
【大臣】いろいろ書かれたものは目にしますけれども、私(大臣)自身が確信を持って、「これは事実で多分こういうことがあったのだろう」と思えるだけのものは、今の時点ではありません。
【共同通信 太田記者】廃棄簿の調査などをするつもりはありますか。
【大臣】廃棄簿は保存が5年です。ですから、5年の範囲ではそういうものは特に見当たらないということです。
【毎日新聞 倉重記者】今回の調査結果を基に、米国に対して何か物申すということがあるのかどうか。要は、核持ち込みについて、基本的に認識の差が明らかになって、トランジットに対する解釈の差があって、それは暗黙に合意として認めていたものが明らかになった訳です。ところが、「これからは非核三原則の中にトランジットもきちんと入れるから、トランジットも認めない」という日本政府の新しい態度を明確にされたということは、これまで暗黙の合意として認めていたものを、政府の調査結果を基にした大臣が、こういう形で発言されるというのは、ある意味では日本政府の政策の変更と受け取られる可能性もあるものだと思うのですが、それは向こうにどう取られるにせよ、そういう重大な一つの調査結果に基づいた政府の指針について、米国に対して何か物申されるこがあるのかどうか、要は、密約の効果がいつまで続くのかということにも繋がっていくということです。
【大臣】今回、「日米の考え方が違う」ということが明確になったということでありますが、日本政府としての政策は変わっておりません。ですから、そのことが何か障害になるとは考えておりません。
【毎日新聞 倉重記者】米国に対して何か物申されるということは。
【大臣】「物申す」ということの意味がよく分からないのですが。
【毎日新聞 倉重記者】日本政府ではこういう調査をしました。こういう結果が出ました。非核三原則について、トランジットも認めませんということを改めて。
【大臣】「従来の政府の考え方は変わらない」ということは、米国側にもその旨述べてあります。
【毎日新聞 倉重記者】述べてあるということですが、今回これだけの大変な調査をした結果を伝えるつもりはないということですか。
【大臣】必要に応じて、米国側とは意見交換をしております。
【琉球新聞 滝本記者】先程、私が質問させていただいた沖縄密約の2件についてのフォローアップです。まず、核の再持ち込みについての部分については、大臣の評価は、有識者の皆さんの結果は出ているとのお話が出てましたけれども、そのことについて大臣はどう思われるのか、大臣はどのようなお立場なのか、ということを確認したかったということなのです。
【大臣】これは、外務省の調査では何も書いてありません。まだ佐藤信二さんの重大な資料が出てくる前でしたから。ですから、そういう中で私(大臣)が自分の意見を言わないほうがいいと思います。ただ、外務大臣ということを離れてみると、「これこそ密約ではないか」という感じがしない訳でもありませんけど。それは密約の定義に関わるものであります。
【日本テレビ 小栗記者】核の持ち込みについてですが、先ほどから大臣は、「将来的にもこの核の持ち込みがあると思っていないし、仮定の質問にはお答えしない」ということですが、そうした不測の事態に対応していくということも外交の大きな仕事かと思います。その観点からこの問題について政権として改めて協議する、或いは確認するということをされるおつもりはありますでしょうか。
【大臣】先ほど申し上げたとおりです。非核三原則を変えるつもりはございません。仮定の問題をに答えるべきではないと思います。
【日本テレビ 小栗記者】改めて政権として確認するというような作業をされることもないということでしょうか。
【大臣】何を確認ですか。
【日本テレビ 小栗記者】「非核三原則」、或いは「事前協議の位置付け」について、改めて政権内で確認するということをされるおつもりはありませんでしょうか。
【大臣】政権内というのは。
【日本テレビ 小栗記者】外務大臣を含む、鳩山政権として非核三原則をそのまま守るということを確認するということをされるおつもりはないでしょうか。
【大臣】総理はこの間、何度も「非核三原則を守ります。堅持します。」ということを公にされているところであります。最初は国連総会における鳩山総理の発言です。国会でも何度も答弁されています。
【週刊朝日 諸永記者】有識者委員会の報告書の中でも、文書の欠落が指摘されておりまして、先程、岡田大臣も核持ち込みについて、「文書がないので、日本政府として確かめようがない」というような発言をされています。多くの文書がないという指摘を受けて、自分の国の歴史に何があったのかということを十分に確認、認識できないという部分がいくらかあるように見受けられます。このことについて、大臣はどのようにお考えでいらっしゃるでしょうか。
【大臣】今の話で、核の持ち込みというか、先程おそらく岩国基地の話を言われたと思いますが、これは(文書が)なくなったというより、元々ないというように推定されます。ですから、そこは意味が違うと思います。それから、外交文書が欠落しているというのは資料管理の悪さもあるということでありますので、それはきちんとシステム化して、後世の批判に耐えうるような、そういうものにしていかなければいけない。情報開示をきちんとする、一定期間30年経てば基本的にはオープンにするということは、私(大臣)は民主主義の根幹に関わる問題だと思います。それを十分やってこなかったということは反省されるべきだと思います。
【朝日新聞 武田記者】核持ち込みのことで何度か出ている質問の関連ですが、これまで、「一時寄港は持ち込みにあたらない」という米国の解釈があって、やはり持ち込まれた可能性が高いと思いますが、とりわけ米軍の寄港を受け入れている自治体とその住民の皆さんにとっては、「過去、一体何だったのか」と、そこがはっきりしない限り、これから基地を受け入れるかどうか、「説明がないと」という方もいらっしゃると思いますが、この問題で外務省には資料がないということですが、米国側に照会をかけるということが可能と考えられておられるかどうかということと、そのご意志があるかどうか、伺えればと思います。
【大臣】先ず、今の「核の持ち込みの可能性が完全に排除できない」というのは先ほど申し上げたところでありますが、それは1990年以前の問題、米国の核政策転換前にそういう可能性があったということであって、その多くは自民党政権でありますので、私(大臣)から見ても、それは極めて不本意なことです。そして、地元の皆さんに対しては、そういった不安感を抱かせたことについては申し訳ないことだと思います。しかし、それ以上のことは私(大臣)の立場で申し上げにくい訳でありまして、むしろ時の政権に聞いて頂くしかないということだと思います。米国側に改めて問い合わせるかどうかということについては、先ほどのNCNDという米国の政策もありますので、それは聞いても答えは返ってこないというように思います。
【琉球新報 滝本記者】沖縄の密約に戻ります。原状回復費用のことですが、これで文書が見つからなかったということについて、先ほど来、文書破棄のことについてもありましたが、一方で米側で文書が見つかっているというので裁判にもなっていますけれども、この文書が当の外務省でどうなったのかということについて、今後改めて調査というか、この文書のあり方について調査されるおつもりがおありでしょうか。
【大臣】なかったものはなかったとしか言いようがありません。これは全体的に資料の欠落は一部ある訳ですから、そのことについて今私(大臣)に聞かれても、それはお答えのしようがないということです。
【琉球新報 滝本記者】まさに、具体的に調査する理由になるのではないでしょうか。
【大臣】それを、当時の(関係者が)どれだけお元気でいらっしゃるかという問題もありますが、それを調査するというのは、私(大臣)には現実的なことだとは思いません。
【フリーランス 岩上氏】大臣は大事なことを3点仰っております。第1点として、過去も今もこれからも密約、機密はありうる。それから第2点として、今回はその過去の密約について時間の経過と共に公表しても良いと判断したものについて公表したということ。3点目、非核三原則は今後も守るという断言です。ということは、過去の密約は刷新して、公表してクリアにして、きれいになった上で、このような非核三原則という建前を裏切るような密約はないというように仰っているようにももちろん受け止められます。同時に、この公開されていない直近の間に、交わされた密約、公表されていない密約が存在しているかもしれないし、また今現在新たな密約があるかもしれないと、しかしそれは公表できないと、機密はあるものだと仰っていますから、だからここでは非核三原則は守るという建前を仰っているという、合理的な疑いが論理的に考えてもありうるなというように思います。産経新聞の方が先程、厳しい国際環境の中で、これはその核の密約をしたというのは、苦肉の策だったというように仰っていましたけれども、今も、或いはこれから先もこうした形で、苦肉の策で非核三原則は守ると言いつつも、実はまた別な形で現実に即した密約というものが、日米間で結ばれている、もしくは結ばれる可能性があると疑うことができるのですけれども、「仮定の質問には答えられない」とお答えされてしまうかもしれませんが、是非ともお答え頂きたいと思います。
【大臣】何と言いますか、言葉の定義の混乱が見られると思うのですけれど、密約の話と機密の話は違います。ですから、外交に機密は、それは場合によっては止むを得ない場合があるということで、全てが直ちにオープンにできるという訳ではありません。しかし、密約というのは、それを越えて単に事実を明らかにしないというだけではなくて、事実とは違うことを積極的に述べるということですから、そういったことは過去のいろいろな状況を考えれば、当時のその指導者の苦渋の選択として、そういうことが止むを得ない選択としてあった、私(大臣)はだから一方的に断罪すべきではないと思いますけれども、しかしそういうものは望ましくないということは当然前提です。
【フリーランス 岩上氏】そういう点を先程明らかにしたいと思いまして、機密と密約の違いは、どういう定義になるかという御質問をさせて頂いたつもりでした。機密があるけれども、その現実とは違うことを積極的に述べることが一種の密約の問題であるというご説明でしたけれども、もう一度重ねてお聞きしたいのですが、非核三原則を守るというように強くはっきり断言されている訳ですから、現時点においてこの言葉を裏切るような形での密約というようなものは存在しないと断言できるのでしょうか。
【大臣】それはできます。
【中国新聞 岡田記者】核持ち込みの関係で、核密約が結ばれた背景に国民の反核感情があるということも有識者委員会の中で報告されていますが、結果として、人類は核兵器と共存できないと言い続けてきたその被爆者の思いに反する事態があったかもしれないということになると思うのですが、この点について大臣の受け止めをお聞かせ下さい。
【大臣】それは先程申し上げたと思います。まず一つは、それ(核の持ち込み)があったと言っている訳ではなくて、論理的にその可能性が排除できないということを申し上げている訳です。解釈が違った訳ですから。そして、それはもちろん日本は非核三原則ということを日本の重要な政策の柱として唱えてきた訳ですから、その事実に反するようなことが仮にあったとしたらそれは極めて遺憾だというように思います。
【TBS 樋口記者】大臣も冒頭に仰ったとおり、今回前例にない規模で同時に資料も公開されたと仰いましたけれども、今回調査報告書だけではなくて、併せてこれだけの資料も併せて公開しようということになった経緯、これは大臣の強い意向なのか、あるいはどういうプロセスだったのか、省内に抵抗はなかったのか、そういったことをお聞かせ下さい。
【大臣】この問題に関しては、省の中で、事実を徹底的に明らかにしようというコンセンサスができあがっていたと思います。別に私(大臣)が無理にそうしたのではなくて、当然のことのように、やはり調査報告書を公表するにあたりバックグラウンドになった事実については、少なくとも出そうということで、外務省の中で合意ができたということであります。
【毎日新聞 倉重記者】核の持ち込みについて、1991年以降オープンにできなかったことは非常に遺憾だと、まさにそのとおりだと思います。しかし、その前の大平さんの時代には、相当な程度までオープンにしようとする動きもあったし、あるところまで行ったということを考えると、一体その後、それだけの機会がありながら、また環境がありながら、なぜ長い間秘密にせざるを得なかったのか、非常に大きな疑問を抱くのですが、その時足りなかったことは、政治家の勇気なのでしょうか、それとも官僚の歴史に対する誠実さが欠落したのでしょうか。一言で言うとどうお感じになられますか。
【大臣】これは基本的に、リーダーたる外務大臣や、或いは総理大臣の問題だと思います。もちろん、政権交代のない中でより困難であったということは間違いないと思います。大平さんもいろいろと考えられたけれども、結局、周りが止めた訳です。様々なリスクを考えれば、そういう結果になってしまったのだろうということだと思います。ただ、私(大臣)は、あの時の大平さんがそこまで何度も、何か車の中でつぶやいたという話も聞きますが、そこまで思いつめてお考えになったと、悩まれたということには心から敬意を表したいと思います。
【J-CASTニュース 亀松記者】密約の1番目の点について、細かい点で、もう何回か質問に出ている件なのですが、もう一度確認させて頂きたいと思います。安保改定の際に、核持ち込みについての密約があったのではないかという点ですが、それについて、検証委員会の判断では「狭義の密約はなかったけれども、暗黙の合意という広義の密約というのはあったのではないか」という認定になっていました。それが今どうなっているかという点については、先ほどの大臣のお答えですと「1991年以降の米国の政策変更によって、今、具体的に問題になることではない」というような答えでした。ということは、現在はその暗黙の合意というのは、もう拘束力は持っていないという解釈をされているということでよろしいのでしょうか。
【大臣】暗黙の合意というのは、お互いがどうも解釈が違うということに対しての暗黙の合意なのです。有識者委員会の結論は、正確に言いますと「その暗黙の合意が安保改定時にできあがりつつあった」と、そこは「暗黙の合意の萌芽があった」との言い方なのです。その後、大平・ライシャワー会談のときにはっきりと、ライシャワー大使から米国の考え方を示されて、そこで米国の考え方がはっきりと分かったにも関わらず、その後も日本政府は不誠実な答弁を継続してきたということであります。従って、最初から、その暗黙の合意があったというように必ずしも言っていないのです。その萌芽があって、次第にそれが形成されてきたということであります。今回、そのことがお互い解釈が違うということが明確になりましたので、もうそのようなものは、もちろんない訳であります。
【フリーランス 上杉氏】文書の破棄についてですが、先ほど大臣がこの会見の冒頭で、文書管理本部を設置されたと仰いましたが、これについては、例えば、破棄についても関わるのか、その決裁方法とか、或いは外務省のいわゆる文書管理規則とどう整合性があるのかということも含めて、今後その本部がこの破棄をどういうように取扱うのかということを現時点で分かったことをお聞かせ下さい。
【大臣】文書管理のあり方については、改めてこの本部で議論を行って、今、内規のような形であるものについて、きちんとより明確な形でルール化しようと考えております。廃棄の話はこの本部と直接係わる話ではなくて、本部はこれからのことでありますので、そういう事実がかなり明らかになってくれば、それはそれとして、むしろ政務レベルを中心に対応しなければいけない問題だというように考えております。現時点ではそこまでいっていないということです。
【琉球新報 滝本記者】原状回復費の肩代わりの件ですが、この文書の件は先ほどお伺いしましたけれども、ずっとこの密約はなかったとの説明で今まできて、沖縄県民の沖縄返還にともなう原状回復は米国が払うとされたものが、日本が払っていたということを確認されたということになると思うのですが、それで今まで答弁してきたことと、沖縄県民、この件に関しては新聞記者の西山さんも裁判に絡んでいましたけれども、西山さんに対して、或いは沖縄県民に対して外務大臣としてこの密約の存否について、どのようにお考えかということをお伺いします。
【大臣】西山事件と呼ばれるものは、これそのものではないです。そして、我々の調査の結果は、これは外務省の調査の結果ですけれども、その議論の要約というのは、先ほど言いましたとおり、「発見できなかった」ということであります。そして一方で、原状回復保障費の400万ドルの支払いの問題について、大臣に「書簡を出せ」と米側から強い要請があった訳ですが、それについては「ノー」ということにしました。最終的にこれは当時の大臣の判断によって、そういうものは出さないということを決めたというメモが発見された訳であります。あと、国会答弁の中でも、従来、現実に支払われた3億2000万ドルについての使い道については、米国政府に委ねられているという答弁もしておりますので、外務省の意見を聞かれれば、これは必ずしも密約と言える事態ではなかったのではないかと、そういうようにも考えられます。
【琉球新報 滝本記者】先ほどの広義の密約という有識者委員会の判断には、大臣個人としては、そのようにも思うというように仰られたかと受け取っておりましたけれども。
【大臣】外務省としての意見を聞かれれば、今、申し上げたとおりです。そこはいろいろな考え方の幅があるのだと思います。
【朝日新聞 谷津記者】もう一度、文書破棄の件についてです。有識者委員会の報告書の、例えば45ページ、或いは105ページ。105ページの方をそのまま読みますと、「多くの文書の欠落については、今後何らかの調査が必要であろう」と具体的に提言というか指摘されていると思います。そうすると、先ほどの大臣のお答えをお伺いすると、この指摘については宙ぶらりんになるということでよろしいのでしょうか。
【大臣】有識者委員会でご提起頂いたことについて、精査をしながら必要に応じて、先ほど言っていますように、事実がはっきりすれば、これは調査をしますが、まだそれを確信させるに足る事実の提起はないということであります。過去のかなり昔に廃棄されたものについて、今、調査をしたとしても、それはどこまで明らかになるのかという問題も当然あると思います。もう少し特定されないと、なかなか実際に調査をするというように断言することは難しいと思います。別に私(大臣)は否定している訳ではありません。
【朝日新聞 谷津記者】特定するのは、どちら側に誰に特定する義務というか、それがあるとお考えですか。
【大臣】それは事実関係が明らかになってこないと、闇雲に行うわけにはいかないと思います。
【NHK 禰津記者】これまでの歴代の自民党政権への対応について、どうお考えになっているのかということについてお伺いします。報告書でも「歴代政権が嘘を含む不誠実な説明をしてきた」と指摘していますし、大臣も先程から「極めて遺憾だ」というようなことを仰っていますけれども、今後、これまでの自民党の歴代政権について何らかの対応というものは考えていらっしゃるのかどうか、その辺についてお伺いできますでしょうか。
【大臣】先程申し上げましたように、これは極めて遺憾だというように思います。ただ、例えば、先程言いました岸総理が当時置かれた状況の中で、事前協議制度というものを米国側と協議の結果、作りました。私(大臣)はそれは従来の安保条約と比べて見た時に、それは大変な努力の中でよくここまでできたというように思っております。それを作っていく中で、何らかの例外を設けざるを得なかったということで、先程の朝鮮有事の際の問題とか、そういったことが、言わば、事前協議制度を勝ち取る過程でそういうものに穴を開けざるを得なかったということで、それは私(大臣)が当時の岸総理の立場にあれば、完璧にそれができたかというと、恐らくそうではなかったと思いますし、私(大臣)は当時の岸総理は独立してそう時間も経ってない中で、よくあそこまでやられたというように思う訳です。先程言いました佐藤総理が沖縄返還時に、それを事前協議を前提にしたステートメントで置き換えようとしたという努力に敬意を表する訳であります。ですから、あまり一方的に断罪しないほうがいいと思っております。
【NYタイムズ マーティン記者】半年続いてきた調査の結果が、今日出まして、大臣はやって良かったと思いますか。その成果をどう評価しますか。特に、今の日本の民主主義にとっては、この結果はどういう意味を持ってますでしょうか。
【大臣】やって良かったかどうかと言われれば、明らかにやって良かったと思います。事実が明らかになったと、ずっと今後も事実に反する答弁を時の総理や外務大臣が続けたとすれば、それは政治に対する信頼感、或いは外交に対する信頼感が更に失われていったと思います。そういう意味でやって良かったと考えております。そして、事実を明らかにするということは、民主主義にとって最も基本的なことでありまして、後に明らかになるからこそ、その時に後世の批判に耐えないような判断というのはできない訳で、そういう意味でも、今回密約なるものが明らかになり、そして今後、より情報公開というものに積極的な政府になるということは非常に意味のあることだと思います。もう一つだけ付け加えさせて頂きますと、やはり、いろいろな事実が、歴史ですから、あると思います。米国は米国の情報公開制度に基づいて、いろいろなことを明らかにしてきた訳です。日本はそれを否定して、そういうものは無いと。しかし、今回明らかにしたことで、より立体的に物事を見ることができるようになったと思います。米国が明らかにしてきたことと、日本の中に若干違う部分があると思います。例えば、大平・ライシャワー会談の中で、大平さんは「イエス」と言ったというような、詳しいことは忘れましたが、そういう米国での伝わり方、しかし、日本側では必ずしもそういうことではなく、もう少し曖昧さを残した対応であったと、そういう一つの事実を受け取る側によって微妙な違いというのは出てきますので、そういうところをお互いが明らかにすることで、より深みのある解釈というものが可能になってくるということではないかと思います。
【フリーランス 岩上氏】普天間問題の進捗について、少しお尋ねしたいのですが、6日だったと思いますが、超党派の沖縄の米軍基地問題議員懇談会委員の川内ひろし民主党議員が首相官邸に行かれて、「2014年までにグアムに移転するけれども、それを明確にする代わりに、現在の普天間を移動させない。現状維持のまま2014年まで固定化させるという案はどうか」というように提案したという話がありました。それから7日に、キャンプ・シュワブ陸上案について、小沢幹事長が「県議会が全会一致で県内移転は駄目だと言っているのに、この県内移転ということは考えられない」ということを与党幹部に申し入れたという話もあり、キャンプ・シュワブ陸上案というのは、これは難しくなるのではないのかなというような憶測もあります。一方で現状固定、一方で県外という話が出ておりますが、今後、この問題は、どのように進展しそうでしょうか。この2点についてお聞かせください。
【大臣】私(大臣)の承知している限りでは、小沢幹事長の発言はそういうことを言っておられないと、自ら否定されたというように聞いております。いろんな方がいろんなことを言われるんでしょうけど、今、政府として平野官房長官の下に検討委員会を作り、そこで一元的に議論しているという状況であります。
【フリーランス 岩上氏】川内提案についてのご評価は。
【大臣】いちいちコメントは致しません。
【琉球新報 滝本記者】今の普天間に関連してですけれども、昨日、検討委員会の方に社民・国民新党のそれぞれ移設案の提案がありました。今後、対米交渉の(担当は)、以前からお伺いしている中では、当然外務省、外務大臣が行われるというようにお伺いしたかと思いますけれども、官房長官が行われるのかというような情報もあったりで、改めて今後の政府案策定に向けた米国側との交渉ということについての窓口というのはどういうようになるのかということを教えて頂きたいのですが。
【大臣】米国政府との交渉を、いつ段階で行うことになるのかは、まだ決まっておりません。政府として、まず案を固めることが先だと思います。ただ、いざ米国と政府と交渉するということになれば、外務省が中心になるということは当然であります。いろいろなメディアがいろいろな想像で様々なことを書いておられますけれども、政府としての考え方は一貫しているというように思います。
【琉球新報 滝本記者】今仰っていただいた部分で、ということは、「まず政府案を決めて、対米交渉をする」と正に仰られたと思います。改めて確認ですが、政府案を決める段階で、米国側の意見も、運用可能性というようなことで参考に意見を聞きながら、実際に使うのは向こうだということで、その意見を入れながら、政府案を決めていって、更にハイレベルな部分での交渉に入るんだというような考え方もあると思いますが。
【大臣】私(大臣)は今、私(大臣)の記憶では、「決めた」という表現は使わなかったと、「固めて」と言ったと思いますが。そこは、微妙な幅を持たした言い方をしたつもりであります。
【香港フェニックスTV 李記者】中国の楊潔チ外相が全人代の記者会見で、東シナ海に関して、「中国は消極的ではなく、十分積極的だ」というように話しているんですが、大臣のお考えを聞かせてください。また、大臣は「日本が国際法廷への提訴も辞さない」と表明しているのですけれども、この考えは現時点では変更ないでしょうか。
【大臣】まず、私(大臣)が申し上げたのは、対抗手段をとるというように申し上げたのであって、それ以上具体的なことを申し上げている訳ではありません。楊潔チ外相とのやり取りの中で、「白樺」(「春暁」)ですが、これに対しての開発ということが単独で進むということになると、それはいろいろな対抗措置を執らざるを得なくなりますと申し上げた訳であります。楊潔チ外相の今回の発言は、非常に私(大臣)は勇気づけられました。積極的にやるということであれば、是非、ともにしっかりと、日中両国政府で合意した、その合意に基づいて前に進める努力をともに行っていきたいと思っております。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。今のご質問に関連してなのですが、1月19日の会見で大臣が言われた「レベルを上げての議論」ということに今後つながるとお考えかどうか、ご見解をお聞かせください。
【大臣】私(大臣)としては、そのことを期待をしております。積極的にハイレベルで議論できれば良いと思います。
(1)平野官房長官とルース大使との会談他について
【岡田大臣】私(大臣)からは特にお話することはございません。明日から北海道に行くということで、これはすでに前回お話ししたとおりであります。あとは、昨日、普天間を巡って平野官房長官がルース大使と会ったという件に関して、いろいろと各社書かれましたけれども、平野官房長官とも連絡はよく取っておりますが、何か具体的な案を持って米側とやったということは全くございません。前々から会うという約束があり、それが、なかなか機会がなかったということで、予算も衆議院を通過して一息ついたところで、初めて官房長官としてルース大使にお会いしたということであります。その発言の内容がいろいろ書かれていますが、具体的な案について議論したとか、そういうことは全くない訳でありまして、そのことを前提にいくつかの新聞が、「一体外務省はどうなっているのか」というような記事を書かれましたが、私(大臣)は全くそういうことは気にしておりません。具体的な案がまとまれば、或いはまとまりつつあるときに、外務省として、しっかりと米国との交渉をやっていかなければならないと思っているところでございます。
【NHK 禰津記者】今、大臣がおっしゃられた普天間基地の問題でお伺いします。具体的な案がまとまれば、まとまりつつあれば、米国との交渉をやっていきたいということですけれども、鳩山総理は3月中に政府の案をまとめるというようなことを仰っていますが、大臣のスケジュール感として、今後の対米の交渉と窓口についてはどのようにお考えになっているか、その辺りについてお伺いできますでしょうか。
【大臣】窓口は今申し上げたとおりであります。それから、スケジュール感は、私(大臣)はなるべく早くということを何度も、総理にも官房長官にも申し上げてまいりましたので、最終的に総理自らが期限を明確にされたということは、非常に好ましいことだと思います。
【NHK 禰津記者】それに関連して、今朝、スタインバーグ米国務副長官とお会いになったと思いますが、その中でも、総理が3月中に政府案をまとめたいといったスケジュール感などについて、また、普天間問題に関してどのような意見交換がなされたのかお聞きしたいのですが。
【大臣】普天間の問題はなかった訳ではないのですが、具体的な中身を申し上げることはいたしません。それから、総理が「3月末までにと言った」ということは、話題にはなっておりません。
【週刊金曜日 伊田記者】火曜日の会見で、沖縄の県議会の全会一致については非常に重く受け止めなければならないというお話がありました。その中で、沖縄の県議会の方の要請がまだない段階で、このような形で出てくると。「平野さんとルースさんの会見があった。そこで説明があった」みたいな報道が出ることについて、沖縄の方々からすると「米国に説明するより先に自分たちに何らかの説明があって然るべきではないか」という受け止め方が出ると、今後、まとまるものもまとまりづらくなると言いますか、民主主義が一番大事だと思うのは手続きの話だと思いますが、その辺りについていかがお考えでしょうか。
【大臣】中身について説明したものではないということであります。そこは正しく報道していただければありがたいと思います。
【琉球新報 滝本記者】普天間の移設に関連して、大使と官房長官の会談で、出た、出ていないとは別に、昨今、「キャンプ・シュワブ陸上案」というのが紙面にも出て検討されているやに報道ベースでは出ています。キャンプ・シュワブ陸上案ということについて、大臣はこの案についてはどのようにお考えになられるか。もう一つは、昨日も少し出ていましたが、別の案として「ホワイトビーチの沖に埋め立てて造る」というようなことも取りざたされています。この2案について、大臣としてはどのようにお考えになられますか。
【大臣】答えは当然予想されていると思いますが、検討委員会で今議論しているところでありまして、そのプロセス、過程で、何か具体的な案について、私(大臣)はコメントいたしません。
【週刊金曜日 伊田記者】関連してお聞きします。検討委員会で検討されているのはその通りだと思いますが、その中で、検討委員会の結論がまとまる前に、各党のいろいろな思惑なり案なりがどんどん出てくると、それが検討委員会で検討していると言いながら、別のところでそういうのが出てきたり、平野官房長官がまた検討委員会自体を打ち切ると取られかねないような発言をすることについてはいかがお考えでしょうか。
【大臣】各党が検討委員会に案を出すに当たって、党の中で議論して、それが表に出るというのはやむを得ないことだと思います。それから、これから検討委員会をどう持っていくかということは、平野官房長官を中心に基本的に決めていかれることなので、今何か決まったということではないと思いますし、特にそのこともコメントすることはありません。
【ロイター通信 レイノルド記者】普天間移設の現行案についてなのですが、今でも可能だと思われますか。
【大臣】私(大臣)が従来から言っていることは変わっておりません。個々のことについてはコメントいたしませんが、あらゆる可能性があります。
【週刊金曜日 伊田記者】鈴木宗男さんのブログを読んでおりますと、昨日の夜、岡田大臣の夕食会があって、そこでお会いしてお話をしたと書かれていますが、その時、普天間の話は出ましたでしょうか。
【大臣】記憶にはあまりないです。私(大臣)から何か持ちかけたことはないと思います。顔ぶれも顔ぶれでしたし、3人の委員長ですので、それぞれご見解も違いますし、慎重に対応しました。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読いたします。1日から2日にかけまして、ネット巨大掲示板2ちゃんねるのサーバーがダウンし、アクセスしづらい状況が続きました。韓国を含む多くのコンピュータから深刻な打撃を受けたとして、サーバーに被害を受けた米国のIT企業が、FBIなどと協議、法的措置も視野に入れていると報じられております。これについては、韓国の有力紙である中央日報などでも伝えられ、今後、事実関係が明らかになってくると思いますが、ネット上における日本と韓国の一部ユーザーの対立及びこうした傾向に関する大臣のご所見をお聞かせください。
【大臣】個別のことは事実関係がはっきりしておりませんので、現段階ではコメントしない方がいいと思います。ただ、そういったネットを通じての攻撃というのは、民間のレベルでもあるし、国のレベルでもあるということです。国のレベルで言えば、そういったことに対してしっかりと対応できるようにしていかなければいけない。現在もそうですが、これからも重要なテーマであると思います。
【共同通信社 井上記者】本日のスタインバーグ米国務副長官との会談ですが、会談後に副長官がイランの核問題についても話したとし、「安保理でも重要なパートナーであり、今後も同じスタンスでやっていける、同じような共通のアプローチでやっていけると思う」とおっしゃっていましたが、米国はイランに対する追加制裁を求めておりますが、日本としても現状で追加制裁が必要だとお考えかどうか。もし必要であれば、どういった措置が考えられるのか、お考えをお聞かせください。
【大臣】私(大臣)からは先般イランの国会議長がお見えになった時に、私(大臣)も1時間程意見交換をしましたので、そのことを踏まえてお話をいたしました。日本とイランの今までの関係というのがありますので、私(大臣)は、そういうものは重要だと申し上げた上で、しかし、これだけIAEAで(報告書が)出されたこと、あるいは国連安保理で出されたことについて(イランが)責任を果たしていないという中で「ぜひ責任を果たしてもらいたい。あまり時間は残されていない」ということを(イラン側に)申し上げた訳ですが、そういった話をスタインバーグ国務副長官にも伝えました。これから国連安保理の場で議論がなされていきますので、もちろん日本もそのメンバーでありますし、4月には議長国ということもありますので、重要な役割を果たさなければならないと思っています。具体的な制裁の中身については、これから話し合っていくということでありますので、あまり個別に申し上げない方がいいと思いますが、「国際的にこういう方向で」ということが出れば、もちろん日本は誠実に決まったことを実行していくのは当然のことであります。
【NHK 別府記者】今の制裁論議の関係ですが、安保理ではなくて、有志国で制裁をかけていこうといった対応が出た場合には、どのように対応されますか。
【大臣】仮定の質問には答えない方がいいと思います。今、安保理でしっかりと対応していこうということを議論しているところです。
【NHK 別府記者】原油の禁輸には、日本は賛成でしょうか。
【大臣】先程言いましたが、具体的中身は、今、安保理で議論されておりますので、個別のことについて、これができる、或いはできないと言うべきではなく、決まればきちんとやるということです。
【NHK 吉田記者】大西洋のクロマグロを巡る問題なのですが、米国が昨日、モナコ提案を支持するという判断を示しています。モナコの提案に反対している日本としては非常に不利な状況に追い込まれたという見方が広まっていますけれども、投票まであと2週間程度ということですが、現段階での大臣のご認識と日本の反対という姿勢を少なくとも3分の1確保するために今後どのように活動していかれるのかご見解をお伺いします。
【大臣】これは農水省とも連携をとりながら、是非日本の主張が理解されるように努力していきたいと思います。
【NHK 吉田記者】形勢的にはかなり不利なのですが、具体的に今後どのように行っていくというお考えはありますか。
【大臣】外交的に、或いは国際的な論議の場で、どういう形で対応していくかということを今述べるつもりはありません。日本政府として全力で頑張りたいと思っています。
【ブルームバーグ 坂巻記者】海外における原子力発電所の日本の原子力発電技術の売り込みについてですが、総理がベトナムに親書を送ったとか、或いは新会社を設立するという報道がなされていますが、そういったことも含めて、日本政府としてどのような活動をなさっているのかご説明ください。
【大臣】具体的なことは申しあげるべきではないと思いますが、総理ご自身が親書を送ったことはお認めになっている訳ですが、今までもベトナム、UAEで様々なことを行ってきております。そういったことも踏まえて、基本的には民間なのですが、今やこういった大型プロジェクト、原子力とか、新幹線とか、水処理とか、そういうものについては、国がかなり関与するということは一般的になってきておりますので、日本政府としても、そういった時に役割を果たせるように、議論も行っておりますし、現に目の前の問題については、より関与を深めて政府も努力をするということを考えているところです。単に親書を出しただけではなくて、様々なプロジェクトについて様々な努力を今までも行ってまいりました。
【日本テレビ 小栗記者】金賢姫元死刑囚の来日について、中井大臣が閣議後の会見で「岡田大臣にすでにお話をしている」ということを明らかにされましたけれども、これについての現状と外務省としての立場をお聞かせください。
【大臣】中井大臣からは確かにお話をいただきました。どの場でいただいたかというのは少し忘れてしまいましたが、立ち話の中でお話をいただきました。一義的にはそれは担当大臣がご判断になることだと思います。様々な問題や障害はあるかと思いますが、外務省として、必要があれば、そういった障害を取り除くための努力もしてまいりたいと思います。具体的にどういった形でお呼びするのかということも含めて、詳細はまだ決まっていないと承知をしております。
【共同通信 斉藤記者】六者協議の関連でお伺いします。前回の記者会見で大臣は、6カ国協議に向けた姿勢について、「六者協議の再開そのものを自己目的化するのはどうか」という趣旨の発言があったと記憶しております。この点について、もう少し噛み砕いてその趣旨を説明していただけますでしょうか。と言いますのは、取り方によっては、北朝鮮が今さまざまな条件を言ってきますし、いろいろな駆け引きがあるやに聞いております。従って、あくまでも北朝鮮の無条件復帰を前提とするという立場から、一切の妥協はしない。妥協するくらいなら、再開する必要はないというようにも取れますし、一方では逆に、さまざまな駆け引きがあるのは当然で、そうしたものは当然と思って受け入れるけれど、再開した協議の中で議論することが大事であって、再開に応じること自体は別にかまわないというように、また取れる訳です。そのところの整理を、もう少し詳しく話していただけると助かります。
【大臣】いずれも少し読み過ぎではないですか。ですから、私(大臣)が言っているのは、「六者協議を再開することは重要だけど、本来、何のために六者協議を開くのかということを忘れてはならない」ということです。開催することが、自己目的化してはいけないということです。それ以上のことは、私(大臣)は言っておりません。
【共同通信 斉藤記者】関連ですけれども、改めて確認しますが、日本政府がこれまでとってきた「北朝鮮は無条件で六者協議に復帰すべきである」という点については、一切変わりがないという理解でよろしいでしょうか。
【大臣】基本的にそう考えております。
【フリーランス 安積氏】竹島問題についてお伺いします。先月、島根県で「竹島の日」の記念式典が開催されたと思うのですが、政府の関係者及び民主党の議員の先生方は皆さんご欠席されて、メッセージもなかったと聞いております。一方で、亀井亜紀子参議院議員に対しての政府の答弁では「竹島問題について韓国に対し、累次にわたり我が国の立場を文書等で申し入れている」というような回答がございました。今後の竹島問題についての取り組みについてお伺いしたいと思います。
【大臣】まず、県の行事に参加しなかったというのは、私(大臣)は私(大臣)の判断で行きませんでしたけれども、県の行事に外務大臣が参加するということは、あまりないと私(大臣)は思っております。竹島の問題については、韓国側と私(大臣)も会う機会が多い訳ですが、それぞれの立場、日本から言えば、「これは日本の領土である」ということについてきちんと主張するということであります。
【フリーランス 安積氏】国会開会中ということで、多分、お忙しかったと思うのですが、衆議院の外務委員長の鈴木宗男議員の方は、出席していらっしゃいます。委員長としては最初の出席だというようにお伺いしているのですが、竹島問題は、例えば、「竹島の日」がまだ制定されていないこととか、あと、北方領土に関しては10億(円)余りの予算が計上されていますけれども、竹島の問題については、国の予算が1200万(円)位しかないというようなことがございますが、これだけの格差があるのだけれども、同じ国境問題だと思いますが、国境問題について大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】日本にとっての領土問題、北方領土、竹島、それぞれ非常に重要な問題だと思っております。だからこそ、日本の主張をしている訳です。
【読売新聞 川崎記者】米国にビザなしで渡航する渡航者を対象に行っているインターネット申請時に一律10ドルの手数料を課す法案が、米国時間で昨日(日本時間で本日)、大統領が署名して成立いたしました。これにより、日本人が米国にビザなしで渡航する際に、ネット申請時には必ず、2年に1回ですけれども、10ドル取られます。他方、米国人が日本に来るときは、ビザなしで来ても、別にその手数料は発生しないということで、格差というか、アンバランスが生じる訳ですが、これについて、日本人のハワイへの旅行者であるとか、そういう方々多数に影響することだと思いますが、大臣の見解をお伺いします。
【大臣】この問題は、日米間の人的交流、それから、それに伴う経済関係の発展に否定的な影響の恐れがあるということで、外務省としては、従来から懸念を伝達してきたところであります。いざ大統領の署名により、法律は成立したということでありますから、その影響がどうなるのかということについて注意深く見守っていきたいというように思っています。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読いたします。少し長いのですが、前回の記者会見で、チリ政府の医療チーム受け入れ見合わせを放送で見て気になったという視聴者からでございます。ハイチ、チリ等、大地震が続いております。今後、もし日本が同様の被害にあった場合、外務省として行うべき対応の流れは、「外務省防災業務計画に沿って」ということになると理解しています。質問ですが、例えば、大地震等による被害で政府そのものが機能麻痺に陥った場合を想定しました。支援を受け入れる国の優先順位や、或いは日本として支援してほしい具体的な中身まで踏み込んだシュミレーションのようなものは行っているのでしょうか。また、前政権時からそうしたものが出来ていた場合、大臣の目からより万全なものへとブラッシュアップするお考えはありますでしょうか。
【大臣】ハイチの事案というのは、極めて異例で、行政機能そのものがかなりの部分破壊されたということであります。同じことが日本に起こり得るかということですが、そういうことがないように、耐震構造やそういったことについて、総理官邸をはじめ、各役所については、十分なハードウェアが揃っているというように理解しております。総理大臣に万が一の時があったときに、その代わりということも、順番も決まっておりますから、日本においてハイチの地震のように行政機能が麻痺してしまうということは、まず考えられないことだというように思います。もし、そういう可能性があるということであるなら、そうならないような手当を今からしっかりしておかなければいけないと、私(大臣)は、かなりできていると思っております。
そういう中で、そのときの責任者、基本的には総理大臣ですが、支援の要請を行うということです。国によって、あまり順番をつけるということはないです。ただ、支援の内容とか、そういうことについて何かお願いするということはあるかもしれません。今回のチリの場合も、「人は入れていただく必要はない」ということで、「将来についての再建のための物資や資金」ということでチリ政府は言っておられると理解していますが、そういうことは日本でも、状況に応じて中身について、一定のプライオリティを、順番をつけるということはあるかもしれません。日本政府全体が崩壊してしまうという事態はあまり想定したくないし、そういうことはないように日本の場合にはなっているというようにお考えになっていただいたら結構かと思います。
【時事通信 高橋記者】間もなく核兵器の持ち込みに関する密約の報告書が出てくるのだろうと予想されていますが、昨日も総理が非核三原則を見直さない、堅持するとの考えを示しましたけれども、大臣自身の非核三原則、特に「持ち込ませず」という部分について、冷戦時代には形骸化していたのではないかという指摘もありますが、「持ち込ませず」についてのこれまでの評価と今後どうしていくのか、大臣のご見解をお伺いします。
【大臣】従来と基本的に変わっておりません。ただそれ以上のコメントは今までもこの場で申し上げてまいりましたが、今検証中であり、検証結果が明らかになったところで様々なご質問にお答えしたいと思います。その答えを本日も引き続き維持させていただいた方がいいと思います。
【週刊金曜日 伊田記者】先ほどの密約に関連してお聞きします。間もなく発表ということですが、報告書は発表日まで機密指定がなされているのでしょうか。機密指定がなされているとすれば、昨日の朝日新聞と読売新聞で内容が報告されているのですが、こういった一部報道機関に、もちろんこれは報道機関側とすれば全力で取材して内容を取ってくるというのは当たり前のことなのですが、外務官僚側のリークによって、たとえば密約文書の有無みたいな方向に焦点がずらされていく危険性があるような気がしております。これは問題は前政権並びにこれまでの外務官僚が国民をだましていたということが焦点だと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。一つと言いながら二つになりました。機密指定がなされているかどうかと、その密約問題の焦点がどこにあるか、細かな中身には踏み込みませんが、そこについてお聞かせください。
【大臣】もちろん今までの検討対象になった文章については機密指定はなされています。その機密指定というのは外務省の職員だけではなくて、検証委員会のメンバーにも臨時の職員という形で守秘義務をかけてあります。新聞にいろいろ載っております。正しいもの、正しくないもの、いろいろあります。誰が漏らしているのか、或いは想像で書いておられるのかその辺は分かりませんが、私(大臣)は好ましいことではないと思っております。
【週刊金曜日 伊田記者】報告書自体に機密指定がかかっていると。
【大臣】報告書自体に、これはまだ内部文書ですから、基本的にはマル秘とは書いてありますから、そういう意味ではかかっていると言っていいと思います。
(1)チリにおける大地震被害に対する支援について
【岡田大臣】私(大臣)からは、まず今朝の閣議において既に張り出しはしておりますけれども、チリにおける大地震災害に対する緊急無償資金協力について決定をいたしました。当面の支援として、現地赤十字社等と協力しつつ、300万米ドルを上限とする緊急無償資金協力を行うことを決定したということであります。この支援に加え、3000万円を目途に、マイアミに我が国が備蓄しております発電機、テント、送水機といった緊急援助物資の供与も決定したところであります。そして、昨日決定いたしました国際緊急援助隊医療チームの派遣につきましては、既に先発隊は現地に向かっておりますが、本格的な二十数名のチームの派遣を考えていた訳でありますが、チリ政府の方針として「医療チームについては追加派遣を見合わせてほしい」という申し出がありましたので、これについてはチャーター機による移動を考えていた訳ですが、これを見合わせることにいたしました。
今後とも、よく現地と連絡を取りながら、チリ政府のニーズに沿った支援という視点で、そのニーズを見極めながら、必要に応じて医療チームの派遣や物資の提供などを担っていきたいと考えております。
なお、震源に近いコンセプシオン市における在留邦人33名のうち、現在のところ32名までが無事を確認できているところでございます。
(2)国会審議について
【大臣】本日は衆議院予算委員会において予算案が可決されました。本日中には、順調にいけば衆議院を通過の予定であります。今回の予算委員会における審議は、どちらかというと政治とカネの問題にかなり焦点が当たり、外交案件はあまり答弁の機会がなかったということは、やや残念な気がいたします。あまり残念だと言うと、参議院でいっぱい来ても困りますが、明日以降参議院に場を移して、予算委員会で様々な議論がなされると思いますけれども、外交についてもしっかりと、普天間以外も含めて議論ができればと考えております。もちろん普天間の問題についても、現時点でお答えできることについては誠意をもってお答えしていきたいと考えております。
【週刊金曜日 伊田記者】先程、普天間の問題についても「誠意を持ってお答えしたい」というお言葉がありました。ご存じのように、沖縄県議会が2月24日午前に与野党超党派で議員提案した米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書を全議員の賛成により、全会一致で可決しております。これを受けて3月上旬にも県議会代表団が上京して政府に要請するという報道がありますけれども、岡田大臣はこの代表団に対応する基本的なお考え等をお聞かせいただければと思っています。
余談ながら、前政権のときの集団自決の問題について、あの時は沖縄県議会の最初の要請に対して、当時の文科省の対応が著しく悪かったということで、沖縄の人々の怒りがさらに燃え上がったというようなこともあると承知しております。
【大臣】県議会の代表者の皆さんが私(大臣)のところにお見えになるのかどうか、まだそういった情報に接しておりませんので、私(大臣)自身がどうするかということも決めておりません。必要に応じて判断していきたいと思います。県議会で全会一致ということは、非常に重いと思います。沖縄議会の皆さんの思い、そこにはもちろん県民の思いが反映されておりますので、そのことについてはしっかりと受け止めていく必要があると思います。ただ、従来から申し上げておりますように、この普天間の移転の問題は、一つは普天間の危険性の除去というところから議論がスタートしております。なるべく早く危険な状況を除去するために、どこかに移転しなければいけないということであります。現時点で「どこ」ということが具体的に議論されている、あるいは決まっている訳ではありませんので、私(大臣)からこれ以上のコメントは差し控えたいと思いますけれども、スタートは普天間の危険性の除去だということが一つです。
もう一つは、この問題は沖縄の負担の軽減と、日本における米軍の存在、抑止力の重要さということの二つの視点で議論されてきている問題ですので、日本の平和や安全のために米軍が果たしている役割、あるいはアジア太平洋地域における米軍の存在の意味、そういうことについても併せて考えていかなくてはいけない問題であると考えております。
【週刊金曜日 伊田記者】関連してお聞きします。「危険性を除去するために移転しなければならない」というお考えですけれども、結果として移転した先に作った基地が、今よりもかなり機能を強化した強力なものになってはならない。つまり、除去と移転ということであれば、沖縄の負担軽減の意味から、強力な基地の新設に繋がるような動きは避けるべきだと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
【大臣】これは全体で見なければならない問題です。ですから、「普天間の移転」だけではなくて、その他「8000名の海兵隊のグアムへの移転」、その結果としての「基地の返還」ということをトータルで、この三つのことを一つにして考えないと、普天間の移転だけの問題ではないと思います。
【琉球新報 滝本記者】関連で普天間の問題ですが、普天間に限らず、オスプレイの配備について、長島防衛政務官が「2012年の10月に、沖縄に24機が配備されることになっている」というお話を講演されたり、前原大臣が「オスプレイが来るので1300(メートル)とか1500(メートル)とかいう滑走路が必要になってくる」というお話をされたということで、オスプレイが来るという前提で、ここのところお話や発言が相次いでいるように思うのですが、オスプレイの配備について大臣はどのようにご認識されておられますか。
【大臣】現時点で確たることは、私(大臣)は聞いておりません。前原大臣も一定の仮定の議論をしておられ、それが決まったという前提で、前原大臣は議論している訳ではないと思います。長島政務官はよく分かりません。どういう根拠で仰っているのか、しかもそれは政務官としての発言なのかどうかということも分かりません。それは長島政務官ご自身か、あるいは北沢防衛大臣がお答えになるべき問いだと思います。私(大臣)が答えるべきではないと思います。
【共同通信 西野記者】対米交渉は外務省の責任でやるという基本的なお考えだと思いますけれども、その場合、いろいろな新たな案が政府、それから与党の委員会の中で提示されたといった場合、対米交渉の前提は、新しい案の地元合意ができているところからスタートするのでしょうか。それとも、地元合意ができていない段階でも、米国と交渉することになるのでしょうか。
【大臣】それは、一般的に答えるのは非常に難しいと思います。お答えできるのは、最終的には地元に対しても理解が得られ、そして、米国も合意できる、そういう案である必要があるということであります。プロセスについてはいろいろあるでしょうから、それを一概に言うことは、私(大臣)は決して、結果をまとめるという立場から見たら、いいことではないと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。国民新党の下地議員が予算委員会の集中審議の中で「首相が5月末までに判断せず先延ばしにすることがあれば、沖縄選出の国会議員として6月1日には衆議員を辞める」と述べました。この発言に関する大臣の受け止めをお願いいたします。
【大臣】私(大臣)は直接その話を聞いておりません。下地議員は、私(大臣)を予算委員会に呼んでくれませんので、普天間の話であるにも関わらず、私(大臣)はその場に居合わせることはありませんでした。議員が自らの身分に関わる話を発言されたということでありますが、そういった身分に関わるという性格上、本人以外がコメントすることは避けたほうがいいと、私(大臣)は思います。
【時事通信 水島記者】六者協議についてお伺いします。議長国の中国が本会合へのステップということなのでしょうが、「予備協議のようなものを考えている」という報道がありますが、日本政府に対してこうした考え方が伝えられているのでしょうか。
【大臣】六者協議についての様々な意見交換、中身については、私(大臣)はコメントをいたしません。
【共同通信 斎藤記者】六者協議についてお伺いします。ボスワースさんが来られて、いろいろ意見交換をされました。報告を聞いた限りで、全体として六者協議の再開に向けて、実質的な進展、動きは出てきているのか、それとも、いろいろ議論はあるけれども、とても現時点では早期再開の目途が付いていないと見るべきなのか、この辺の大臣の感触をお伺いしたいと思います。
【大臣】「中身を私(大臣)が語るべきではない」という先程の答弁を繰り返させていただきたいと思います。ただ、全く何も動きがないということではなくて、様々な動きがあると(いうことです)。しかし、それが最終的に六者協議開催に繋がるのかどうかということは、現時点では判断しかねるということだと思います。そもそも六者協議を開催することが目的ではありません。開催をして、そこで核やミサイルの問題等を解決していくということ、あるいは、日本政府から言うと拉致の問題も含めて解決していくということ、これが六者協議の意味ですから、開催自身が自己目的化しているということにならないように、気をつけなければならないと思います。
【共同通信 西野記者】東アジアでは北朝鮮、中東ではイラン、核問題については世界的に見れば二つの大きな問題が起きています。この問題はおそらく、4月、5月の世界全体の核関連の重要課題になると思いますが、日本における北朝鮮の危機の問題とイランの問題というのは関連していると、あるいは関連づけていくというお考えでしょうか。それとも、このような問題について世界全体の取り組みを進めるために、何か日本としての提案のようなものは考えておられるのでしょうか。
【大臣】特に新しい提案などを考えていることはありません。関連しているか、していないかというご質問は、あまりにも漠然としていてよく分かりませんが、核不拡散を止めるという意味では共通の問題ということは言えるかと思います。いずれにしても4月は、我が国は安全保障理事会の担当議長国でありますので、非常に重要な1ヶ月になるのではないかと思っております。
【読売新聞 川崎記者】昨日、北海道国後島沖で銃撃された漁船の事案で、区域外操業ということで船長二人とその会社が追送検されたということがございました。区域外操業ということが改めて起訴ということで明らかになったことについて、大臣のご見解をお願いします。
【大臣】まだ起訴されてはいないですから、起訴するかどうかという判断はまだ下されていないと思います。ただ、仮にそういうことになったとすれば、これは誠に遺憾なことだと思います。もちろん、今回の一連の事件の中で、一歩間違えれば人命が失われる可能性があるような対応がロシア側にあったということに対して、日本政府としてそれを批判するということについては何ら変わりがない訳ですが、同時に我々の抗議の中に北方四島周辺水域操業枠組み協定に基づく了解覚書を守っていたにも関わらずとして、抗議をしていた部分については、もし事実が違うということであれば、その部分に限っては修正と言いますか、撤回しなければいけないと思います。しかし、だからといって今回のロシア側の銃撃という事実に対して、我々が批判しているということは和らぐことはありません。
【日経新聞 山内記者】昨日、民主党の小林議員の陣営に不正な資金を提供したとして、北海道の教員組合の幹部等が逮捕されました。大臣も先ほどおっしゃいましたが、明日から参院の方に予算審議が移ります。参院の議員会長は日教組出身の輿石会長で、これについて自民党は追及する構えなのですが、これについての今後の審議への影響についてお願いします。
【大臣】これだけの事件が起きましたので、予算委員会でそれが取り上げられることについて、私(大臣)が特にわざわざコメントすることはありません。当然、自民党は取り上げるだろうと思います。ただし、事件として(捜査が)今進んでいるところでありますので、政府としてどこまで納得がいく答弁ができるかどうかというのは、状況を見なければ判断できないということだと思います。それ以上、外務大臣として申し上げることはございません。
【ジャパンタイムス 伊藤記者】チリの医療チーム派遣について、見合わせの要請があったということですが、それは事前に現地との調整はされていなかったのでしょうか。
【大臣】厳密な意味での調整はしておりません。ある程度見切りで、時間もかかりますので、飛行機を一便逃してしまうと24時間また時間が経ちますので、最低限の人数ということで、先ず4名を送ったということです。4席しか空いてなかったということもありましたが。それは調査ということで、先発隊で自ら医療行為をすることも可能ではありますが、機材等は送っておりませんので、いわば調査的な先発隊として送ったということです。その上で、改めて大使がベガ保健次官と会合を行って、そこで改めて確認をしたということです。それまでもいろいろなルートで確認をしていましたが、改めてベガ保健次官に確認したところ、「日本の支援の申し出には感謝をするけれども、誠に申し訳ないが、チリは海外からの医療チームの受け入れをお断りしている。したがって、第二次隊については、日本の出発をキャンセルして頂きたい」ということです。我々は飛行機をチャーターして機材を搬入して、約20名が第二次隊として本日出発ということを想定していた訳です。今朝早く、この件の報告が私(大臣)のところにありましたので、相手方がそう言っておられる以上、ここは見合わせた方がいいということで、出発をキャンセルしたということです。もちろん、これから更に必要が出てくれば、いつでも派遣できる態勢というものはとり続けたいと思います。大統領が出された要請の中には、いろいろなことが書いてありましたが、保健省としても、送水装置や診療所の施設、手術可能な設備を備えた野戦病院等、そういうものについては要請がきています。野戦病院を要請しているのですから、当然医師も必要であろうと思いましたが、その辺りがよく分からないのですが、「医療チームについては見合わせてもらいたい」ということです。ハイチのように政府そのものがほとんど機能マヒに陥っているというのではなく、そこはきちんと政府が機能しておりますので、その考え方というものは最大限尊重されるべきだと考えております。
【伊勢新聞 中森記者】出発式の30分前に中止という話が現場にあって、現場の皆さんも困惑したようですが、現場が困惑したということに対するコメントをお願いします。
【大臣】出発式を考えていたというのは承知しておりませんが、いずれにしても必要があれば派遣するということですから、必要がないということであれば派遣しないということは、やむを得ないと思います。今回、先発隊を派遣したことも含めて迅速にやろうと思えば、そのようなリスクを恐れては迅速に派遣できませんので、安全等そのようなことは、非常に大事だと思いますが、場合によって結果的に空振りになるというリスクを恐れては迅速な派遣ができないということだと思います。
【朝日新聞 五十嵐記者】今、「迅速に対応するためには空振りになるリスクも恐れてはいけない」と仰いましたけれども、ハイチの際に「初動が遅れた」という批判がありましたが、そういった批判を受けて考えられたのでしょうか。あともう一つ細かい点ですが、先発隊の方々はどうされるのでしょうか。
【大臣】先程言いましたように、先発隊4名、そのうち1名は防衛省ということで、それぞれ今後の活動を睨んで、必要な調査を行うということになると思います。例えば、機材、医療機器等を送るということになった場合、どういうものが不足しているのか等、そういったことも先発隊は調査できますし、防衛省の方は将来的に自己完結型の医療部隊を出すとか、或いは、瓦礫を取り除く為のPKO部隊が国際的に求められるとか、そういうことに仮になるのであれば、そういうニーズについても予め知っておくということは意味のあることだと思っております。ハイチは、いろいろなご批判がありましたが、しかし、あの治安状況の中で、あのタイミングで出したことが遅かったとは全く思っておりません。緊急支援隊の医療チームの皆さんがお帰りになって、私(大臣)は直接お話も聞きましたが、あれ以上早く行ったとしても何もできなかったということでした。通訳の確保とか場所の確保、それから24時間彼らを守ったスリランカの兵士、そういうものがない中で医療活動はできなかったということでありますので、私(大臣)は決して遅れたというようには思っておりません。ただ、場合によっては「空振りがあっても出していく」という考え方は、私(大臣)は意味があることだと思います。今回、結果的には少し空振りになりました。チャーター機まで出して、空振りになるともっといろいろなご批判はあったと思いますが、4名(の派遣が)、全く空振りになった訳ではありません。想定とは少し事態が変わりましたけれども、こういうことは災害ですから、よくあることで、それを織り込んで行っていくしかないというように思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。海外における外務省と日本企業との連携の可能性についてお伺いします。トヨタの大規模リコール問題を巡る米国の公聴会を見ておりますと、追求の仕方ひとつをとってみても、その国独自の傾向があると思います。国際問題が発生した場合、その国で活動する外務省職員の情報分析能力や経験等を事前に日本企業に伝えることで、より当該国の理解を得られる可能性が高まると思いますが、こうした連携は考えられないものでしょうか。
【大臣】そのような連携は考えられますし、現に必要に応じてやっているということです。この場でも私(大臣)は「トヨタのこの問題は、トヨタ一社の問題ではなくて、日本全体の信用に関わる話であるので、可能な範囲でバックアップしていく」ということは何回も申し上げているところです。ただ、今回を見ますと、トヨタというのは大きな会社ですので、自前で米国にもかなりの基盤を持ち、専門家も揃えておられますので、より脆弱なと言いますか、それだけ大きくない企業が同じようなトラブルに巻き込まれたときには、より日本政府の役割というのが重要になるのかなと思います。トヨタの場合にも必要な情報提供等、つまり、これは安全に関わる話でありますので、そのようなことについて日本政府も一定の役割を果たしたということです。
【産経新聞 久保田記者】鳩山総理がベトナムに原発の誘致について親書を送られていると承知していますけれども、こうした首相のセールスといいますか、こういう方針はこれからも何か続けられるということなのでしょうか。
【大臣】ベトナムの親書の件は、私(大臣)はコメント致しません。個々のことについては申し上げません。といっても、総理が言ってたりするとなかなかつらいところがあるのですが。ベトナムに限らず、UAEもありましたし、いろいろな場で政府ができることをやっていくことは意味があることだと思いますので、親書というやり方もあるし、或いは会談の場で話題にするということもあります。私(大臣)も先般ベトナムの副首相がお見えになった時には、原発や新幹線の話は大分致しました。そういったことについて、政府が一定の関与をするということは決して悪いことではないと思っております。もちろん節度はいると思います。しかし、他の国はより関与の度合いが強い訳ですので、そういう国が多い訳ですので、政府としてもできることについて、協力していくということは必要だと思います。それから、仕組みの問題として、出資とか融資とか、そういうことがよりできるようにする、そういった制度を整えるということも議論のテーマになっておりますので、まだ具体的な方向性を決めた訳ではありませんが、既存のJBICとかJICAとかそういった政府系の機関に一定の役割を付与すると、追加するというようなことも議論はなされているとご理解頂きたいと思います。