(1)ハイチに対するPKO派遣について
【岡田大臣】私(大臣)からは、ハイチにおける大地震への対応ということで申し上げたいと思います。ハイチの震災について、さる25日、国連ハイチ安定化ミッションへの自衛隊施設部隊の派遣を行う用意がある旨国連に通報したところですが、日本時間の本日29日、国連より我が国の申し出を喜んで受け入れたいとの回答がありました。
これを受け、関係省庁と協力してすみやかに部隊を派遣できるよう必要な準備を加速してまいります。国連からは、「自衛隊の施設部隊190名と同部隊を支援する要員を派遣する用意があるとの我が国の申し出に感謝し、これを喜んで受け入れたい。可能な限り早く派遣してほしい」という回答がありました。この施設部隊190名ということでありますが、細部の調整はまだ残しておりますが、したがって現時点では確たることは申し上げられませんが、この施設部隊と同部隊を支援する要員をあわせて350名程度の規模になると考えております。派遣の時期については、2月上旬には実施計画の閣議決定を行い、派遣部隊が出発できるように作業を進めてまいりたいと考えております。 その一環として、すでに現地入りしている調査チームに加え、明30日から、派遣準備のための調査チーム、防衛省11名、外務省1名を派遣いたします。
(2)ハイチ地震への対応の検証について
【大臣】もう1点、この地震への対応ということで、昨日、私(大臣)の下で関係部局の皆さんに集まっていただいて、省内でハイチにおける大地震への対応ぶりについて検証するための会議を行いました。問題意識は、私(大臣)は今回の派遣について合格点だと思っておりますが、合格点が70点なら、80点、90点という対応ができなかったか、より迅速に派遣できなかったか、特に被災地が遠方の場合に情報が不十分でも被災地近くまで派遣できないか、例えば今回であればマイアミまでは(人員を)送っておくことができなかったとか、このあいだ申し上げたとおりであります。治安が劣悪な場合の派遣をどう考えるのか、つまり「緊急支援隊の安全」ということと「迅速さ」ということをどの辺でバランスを取るべきなのか、この前もお話したかと思いますが、法改正を行った時の付帯決議や閣議決定などあるわけです。それから、通信体制を強化できないかといった諸問題について省内で検討し、迅速に結論を出すべき事項と関係省庁やJICAなどとも協議して結論を出すべき事柄、それから中長期的な課題の3つに分けて検証を行い、そして、改善策を立てていくこととしております。具体的には、西村政務官をヘッドにして、それぞれの項目ごとに担当の部局を指定して、検討することとしたいと思います。そう時間をかけずに、1ヶ月ぐらいで何かの結論を出したいと考えているところであります。
【日本インターネット新聞 田中記者】今のハイチの件ですが、施設部隊を出すということですが、私は別にそれはそれで賛成です。1992年に日本が初めてPKOでカンボジアに出した時も施設部隊でした。この時は400人でした。それで私も現場にいたのですが、施設部隊がやった作業は国道2号線の補修で、補修したあとを日本のゼネコンのS社とT社が舗装工事して、潤っていました。これ自体、私は、再建に部隊を積極的に出したところが甘い汁を吸うというのは国際社会の常識ですから、これ自体には何の異論もございません。むしろ賛成です。今度のハイチの場合、日本のゼネコンでなくて、米国のベクトル社が潤うなど、そういう日本の施設部隊が復興したところを、どこがどうメンテするのか、チェックするシステムとか方針はございますか。
【大臣】今、現地は被災した深刻な状況にありますので、今、そういう話があるわけではありません。考えてもおりません。とにかく早く施設部隊を送って瓦礫を取り除く作業、そして必要な作業、例えば道路を造るとか、そういったことに早く取り掛かることが重要だと思っております。もちろん、ハイチ全体の再建の問題は、今回の地震の被害の大きさから見れば、かなり時間と資金を要する問題で、我が国はすでに一定の金額の約束をしましたが、国連を中心に世界規模で取り組んでいかなければいけないという問題だと考えております。
【共同通信 西野記者】確認ですけれども、施設部隊190人、それから残りは350人、残りは支援するということですが、この支援というのは施設部隊の安全確保とか、そういったことも自衛隊が自己完結的にやる、そういう意味で支援をするということでよろしいのでしょうか。
【大臣】もちろん、安全確保だけでなくて、例えば、宿営地の維持管理とか、食事の提供とか、様々なメニューがあります。基本的には自己完結で送ってくれというのが国連の要請でありますので、そういう形で送らせていただくということであります。
【朝日新聞 鵜飼記者】実施計画を2月初旬に承認したいということですから、まだ固まっていないだろうと思いますけれども、いつ頃までに現地入りしたいかなど、先遣隊を送るかどうか、そういったイメージみたいなものがあるのでしょうか。
【大臣】実施計画を2月初旬ということでありますが、先程申し上げましたように、それまでにはまず調査隊をということで、それはすでに決めてあります。実施部隊を2月初旬ということで、そう時間をかけずにしっかりと対応していきたいと考えております。具体的な日にちまではまだ申し上げられません。
【共同通信 斉藤記者】日中歴史共同研究についてご質問します。まもなく、日本側及び中国側が最終報告の論文を出してくるということになっていますが、改めてこれまでの日中の歴史共同研究の成果をどうとらえるか、課題がどこにあったか、そして今後の抱負がもしあればお聞かせ下さい。
【大臣】報告書公表ということになりますが、最終的な局面で若干、発表の時期が延びたりということがあったことはご承知のとおりであります。しかし、いろいろな困難を乗り越えて、私(大臣)は日中それぞれの委員の先生方の努力によって報告書がまとまったことは非常に評価できると思います。すぐにはなかなかうまくいかなくても、特に近現代史といったところについては、それぞれの考え方の違いというものがあったとしても、それは回を重ねていくことで、私(大臣)は次第に共通の認識ということも生まれうると思います。この前、北岡教授にお話をしたときにも、北岡教授も「お互い理解し合ったし、そして様々な困難はあったとしても、これはやってよかった」と言っておられました。私(大臣)もそう思っております。
【朝日新聞 東岡記者】関連して日中歴史共同研究についてお尋ねします。日中両政府は既に第2期を継続するということで合意をしております。今後第2期を継続する上で、先ほど大臣が言及された今回の発表をめぐる日中双方の困難があったということなどを踏まえて、今後の課題とか、どのように進めたらよいのか、あるいは、いつ頃から進めたらいいとお考えなのか、その点をお聞かせ下さい。
【大臣】それぞれ事情もありますから、日本だけの主張でという訳にはいきませんが、基本的にはこれは政府のものではありません。それぞれの有識者が議論を重ねて、歴史認識を深めるということでありますので、そういう意味では、なるべく自由度をもって、そういった有識者の考え方を制約することなく結果をまとめることができれば非常にいいと思います。なるべくそのことを確認してあとで色々と障害にならないようにすべきかなと思います。(報告書は)1月31日に発表します。
【産経新聞 久保田記者】現代史の部分について発表ができないということですが、日本側が中国側の要請を受けたということになった訳ですが、この件について「譲歩した」というように表現すればいいのかもしれませんが、この件についてどのようにお考えでしょうか。
【大臣】基本的には、これは委員の先生方に委ねていることであります。そもそもそういう性格のものです。北岡先生はじめ委員の先生方も非常に残念だったと思いますけれども、相手の主張ということもありますから、一定の妥協は止むを得なかったと考えておられていると思います。私(大臣)もせっかく成果を出したものを発表できないことは残念ですけれども、その辺はやっぱり国の仕組みの違い、体制の違いということもありますから、委員の先生方はぎりぎりの努力をして頂いたと思っています。
【共同通信 西野記者】同じく現代史のことなのですけれども、例えば、極東軍事裁判、或いは天安門事件といったセンシティブな問題も現代史にあるのですけれども、一方で、日本が政府開発援助を中国にずっとしてきたのも戦後史そのものだと思います。そういった日中友好の部分、日中協力の部分も現代史が発表できないことで、覆い隠されてしまうということは、非常に残念なのですが、その辺はいかがでしょう。
【大臣】具体的なことは政府が指示をする話ではありませんので、今回の教訓を踏まえて第2回の時に委員の先生方に話し合って頂くということだと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。先頃、ホワイトハウスで秋葉忠利広島市長と米大統領が握手を交わすという歴史的瞬間をとらえた写真が公開されました。オバマ大統領が被爆地訪問への意欲を示しているとされる一方で、米国内には反対があるとも一部で報道されております。大臣として、広島訪問実現に向けて対応されるお考えはございますでしょうか。
【大臣】質問自身がなかなか難しい問題です。米国の中にも色々な意見があります。最終的に決めるのは、米国政府、或いはオバマ大統領ご自身ですので、日本の、或いは私(大臣)の考え方、希望ということは、伝えることがあったとしても、それは希望として申し上げることにとどまるべきことだと思います。
【中国新聞 岡田記者】在日米軍の再編に関連して、空母艦載機が岩国基地に移転する計画がありますが、今週火曜日に閣議決定された答弁書で、ロードマップにしたがって確実に進めるということが閣議決定されています。大臣が以前の会見で、岩国の問題については、市役所の建設補助金を打ち切るとか、住民に十分説明がなされていないということで、前政権の対応を批判して、検証して説明するべきだと仰っていますが、今回、閣議決定についてはどのように判断されたのでしょうか。
【大臣】これは、基本的には防衛省に関わる話ではありますけれども、防衛省側から必要な説明はされていると受け止めております。
【NHK 別府記者】日本の新幹線ビジネスの関係なのですが、米国のオバマ政権も地球温暖化対策として関心が高いと(いうことで)、大きな市場ではないかと期待もあるようなのですが、そうした中、南米大陸で事実上最初の計画となるリオデジャネイロとサンパウロの計画があります。この受注に向けて、日本政府の意気込みをお願いします。
【大臣】最終的には、これは民間ですけれども、政府としてもできるだけ支援したいという思いは持っております。先般、吉良政務官がブラジルを訪れた際、長安国土交通大臣政務官ともども、新幹線についての説明と言いますか、話をブラジル政府に対して行ったものであります。なかなか、現時点で難しいところもあるようですが、ぜひそういうものを乗り越えて、日本の受注につながれば嬉しいと思っております。
【フリーランス 岩上氏】度々日米同盟の定義についてご質問させていただいているのですけれども、若干まだ納得できないと言いますか、理解できないところがありまして、繰り返し重ねての質問なのですが、「アライアンス」ということをきちんとどういう意味で定義するのかと調べてみると、やはりブリタニカなどを見ても「共通の敵に対して軍事的な同盟を結ぶこと」というような、やはりそういう非常に軍事、或いは安全保障に絞られた定義がやはり普通のものであると思います。軍事同盟の時の同盟の深化、「深める」ということを、岡田大臣は、例えば環境とか他の分野でも協調関係を拡げていくことと、ある意味解釈し直されている訳ですけれども、それはディープリーなのかそれともワイドリーなのか、もっと拡大していくということを意味しているような気がします。これも大臣の「拡げていく」という解釈の仕方が、米国側はそのまま同じ認識でいらっしゃるのか、それとも米国側は「深化していくこと」というのは「軍事同盟の部分をより深めて、より強固なものにして、米国の国際軍事戦略に役立つ関係を構築しよう」というつもりでいるのか、もしそこの解釈にズレがありますと、後々どこかで問題が生じてくるのじゃないかと思います。大臣の認識と、同時に米国側の認識はどうなのかを教えてください。
【大臣】日米で認識に差はありません。あとは今仰った中で、「アライアンス」という定が仰ったようなことだとすると、それを「同盟」と訳すのはややミスリーディングになって、「軍事同盟」と訳すべきなのかもしれません。我々が使っている「同盟」はもちろん安全保障の観点が中心になりますが、それに止まるものではないという前提で議論しています。
【朝日新聞 鵜飼記者】週明けにキャンベル米国務次官補とグレグソン米国防次官補が来日して局長級の「2+2」が行われるということですけども、日米同盟深化の実務レベルでの協議スタートという位置づけになりますが、大臣は何を期待されているのかについてお伺いします。
【大臣】実務レベルでの協議はすでに始まっておりますので、今回でスタートするという位置づけではありません。しかし、まだ1月13日にスタートさせると決めて日も経っていませんから、全体の枠組み、どういうスケジュールでどういうことを議論していくかということについてざくっと議論するという会合になると思います。
【共同通信 上西川原記者】事務レベルの安全保障理事会の件ですが、私の記憶によると、キャンベル米国務次官補が記者会見で、「今回の名護市長選挙を受けて、日本政府がどうしていくのかを聞いてみたい」ということを言われたと思いますが、それに対してどのようにお答えになりますか。
【大臣】私(大臣)は会う予定はありませんので、私(大臣)自身が何か考えている訳ではありません。ただ、国会答弁で答えているような、そういった答えになるのではないかと思います。
【日本テレビ 小栗記者】本日の外交演説の中で、まず普天間問題について5月末までに政府として決定すると、その上で地位協定とか思いやり予算について取り組むというような「そのうえで」というようなおっしゃり方をしていましたけど、ということは例えば今回の日米同盟の深化の話し合いについても5月に普天間問題で新しい移設先が米国と共に決定ができなければ、思いやり予算であるとか、地位協定改定のテーマについては提起しないということでしょうか。
【大臣】実務的には並行して、ある程度の話はスタートすると思います。しかし、私(大臣)のレベルで考えると、やはりまず普天間の移設の問題をきちんと(解決)して、ポジションを確保したうえでやりたいという思いです。
【フリーランス 岩上氏】日米関係の危機感とか、或いは逆に安定感に関わることなのですが、去年秋から年末にかけて、報道の動向も日米関係、或いは日米同盟は危機にあるということが繰り返し報じられたり論じられたりしていたと思います。継続的に会見に来ていて、大臣の発せられるメッセージはそう変わらない訳ですが、報道での感覚として今年になってぱったりと、先日、大臣自身が「静けさ」という言葉をお使いになられましたが、とても静かな状態になっております。また米国の高官も日米関係は揺らいでいないというようなメッセージを発しております。この日米両政府が出しているメッセージと、実際の報道との差ということについて改めてどのようにお考えになるか、お聞かせいただけますでしょうか。
【大臣】なかなかこれも難しいご質問ですが、率直に言って、私(大臣)はある程度の緊張感があったとは思っています。ただ、やや我々が思っているよりも、ややというかかなりですね、報道が集中したというようには思います。色々な人が色々な発言をする中でどれをとるかという判断があると思います。私(大臣)はよく言うのですが、やはりオバマ政権、或いは鳩山政権に対してなるべく批判的というか支持が下がれば良いと、わかりやすく言うとそういうように思う人たちの発言もあれば、違う立場の発言もあるわけで、その中のどれを採用するかということで報道が決まってくる訳です。そういうことについて、私(大臣)は米国のメディアも特に最近ですが、非常にバランスのとれた報道をしていると思います。
【フリーランス 岩上氏】一時的には実際に緊張感のあった時期もあるというのは、具体的にはいつの時期であって、またそれが好転してきたのは、いつの時期なのかということと、それからオバマ政権、或いは鳩山政権に対して批判的な、支持率が下がれば良いと思っている勢力というのは日米それぞれにあると思いますが、具体的にはそれはどのような勢力を指しているのでしょうか。答えられる範囲で教えていただきたいと思います。
【大臣】政党でいえば共和党を支持する人たちであり、自民党を支持する人たちということになるでしょうね。具体的な名前は申し上げませんけれども。しかし、世の中には様々な立場があるということは当然つきものであります。そういう中でバランスのとれた報道がなされるかどうかは、メディアの判断の問題だと思います。
それから、これは政府同士の実際の話ですので言いにくいですが、私(大臣)の感じだと11月くらいに(緊張感が)あったと思います。私(大臣)はシンガポールでクリントン米国務長官に会ったときにはかなり色々なことも申し上げ、普天間の話も出ましたがそれは一部で、他のグローバルな話とか二国間の話をかなりしましたので、あの辺りから私(大臣)としては、大分変わってきたなと認識しておりました。
【ニコニコ動画 七尾記者】新聞やテレビで予算審議の際の閣僚や議員の発言や行動が、あまりにもひどく乱れていると指摘されておりました。このことについて、一閣僚議員として岡田大臣はどのようにお考えになりますか。岡田大臣は野次の当事者ではないのですが。
【大臣】私(大臣)も全く真っ白という訳ではありません。つい思わず、という時もありますが、いつもとくらべてもやや野次が多すぎるということはありますね。普通は理事は野次らないものですが、今は理事が率先して野次っているようなところがありますので、そうすると全体の統制がつかなくなります。これは与党、野党ということで言っている訳ではありませんが。もう少し冷静に議論できる状態でないと、見ている国民も嫌になると思います。そこはお互いよく気をつけなければならな問題だと思います。
【共同通信 上西川原記者】政治主導と国会の関係ですが、臨時国会と比べて今回の国会は、聞くところによると官僚が現在は廊下で多数待機して、いろいろな突発的な質問に備えて待機している。臨時国会の際には政治家が政治主導ということで、自分の言葉で官僚が作ったペーパーに頼らずに答えるという方針で、官僚の中には、「9時5時で帰れるのではないか」という淡い期待もあったようですが、なかなかそれが実現しないのはなぜなのか、例えば民主党が目指していた英国議会等では、深夜まで官僚を連日拘束して朝早く呼び出すようなこともないと思いますが、そこの差といいますか、その現実と理想の違いをどのようにお考えでしょうか。
【大臣】二つあると思います。答弁作成にあたっての問題ですね。深夜早朝、官僚が答弁を作成することに追われるということで、私(大臣)も昔、明け方に長官や大臣の自宅に(答弁資料を)送り届けたことをよく憶えておりますが、本当に大変な作業だったと思います。私(大臣)自身は政治家になってから、午後5時までに必ず質問の項目を渡す、それ以上遅くならないようにすることを心がけてまいりました。英国ですと3日くらい前ではないでしょうか。そういうことであれば徹夜で残業する必要もないので、一足飛びにそこまでいかないにしても、一定の常識的な範囲の中できちんと「何を質問するか」という項目くらいは決まると、わかるということは必要ではないかと思います。もちろん、そうは言っても多くの人が項目だけでは、それに対する想定をたくさん作らなければいけないということはあると思いますが、少なくとも前々日くらいにはっきりしていれば、大分余裕を持って活動できるのではないか、他の仕事とうまく組み合わせできるのではないかと思います。
答弁するときの待機ですが、外務省が何人くらい待機しているのか、自分では把握していないのですが、細かい質問、或いは単に事実関係を確かめるような質問もありますので、そういうことを考えると、一定数必要ということに必然的になってくると思います。質問の中身も非常に大事です。政治家としての、つまり大臣や副大臣としてのきちんとした考え方を聞くということであれば全くいらないと思いますが、それになかなか止まりません。今回の予算委員会でもありましたが、そういった細かい技術的な質問に答えなければならないということになると、何人かそういう人が必要になってくるということで、このあたりも今後審議が成熟していけば変わってくるのかなと思っています。
(1)ハイチにおける地震被害に対する緊急無償資金協力について
【岡田大臣】本日、予算委員会が1日中ありまして、その後、長い閣議がありましたので、この時間になりました。私(大臣)からは何点か申し上げたいと思います。
私(大臣)からの第1点目は、ハイチにおける地震被害に対する緊急無償資金協力、本日の閣議で決定したものであります。25日に我が国政府はハイチにおける地震による甚大な被害を踏まえ、追加的支援の一部として2000万ドルを上限とする緊急無償資金協力を行うことを決定いたしました。この追加支援は、現地時間25日、モントリオールで開催されたハイチ支援に関する閣僚級会合において、武正副大臣より表明した7000万ドルの支援に含まれるものです。これら支援は各国より高い評価を受けました。今後ともハイチの復興支援に向けて我が国の知見を生かした支援を協調して行ってまいります。
(2)国連気候変動枠組み条約事務局に対する我が国の目標提出について
【大臣】それから、2点目は、これも先程、関係閣僚委員会で行ったものでありますが、国連気候変動枠組み条約事務局に対する我が国の目標提出ということであります。総理の方からご発言がありましたので、私(大臣)から重ねて申し上げることは避けたいと思いますが、1990年比で2020年までに温室効果ガスを25%削減するという目標を提出することを確認したものであります。ただし、その際に「すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの公式及び意欲的な目標の合意を制定する」という条件をつけて提出するものであります。本日、在ドイツ大使館を通じて、条約事務局に我が国の目標を提出する予定でございます。
(3)いわゆる「密約」問題に関する調査について
【大臣】それから密約調査について申し上げたいと思います。先程、北岡座長から中間報告を受けたところでございます。委員会としては、関連文書の検証を行うとともに、外務省OBを含めた関係者から聞き取りを行う等精力的に活動していただいているところでございます。
報告書の提出については、先に私(大臣)からお願いした際、1月中にお願いしたいと申し上げた訳ですが、この点については、本日、北岡座長より、検証すべき関連文書が膨大であることに加え、機微な文書を扱うため、基本的に外務省によって行わなければならないという意見もあり、委員会として責任ある報告書を提出するために、さらに1ヶ月程度の時間が必要であるとの話がありました。私(大臣)としても、有識者の方々に拙速を避け、当時の歴史的な背景も含めて、この問題について十分に検討して頂き、検証に耐えうる報告書の提出を受けたいと考えておりますので、報告書の提出時期については、北岡座長の意向に沿った形で差し支えないと判断し、(そう)申し上げたところでございます。
(4)政務三役会議について
【大臣】それから、政務三役会議を昼に行いました。本日は武正副大臣と吉良政務官がそれぞれ海外出張中でありますので、政務三役3名で行いましたが、私(大臣)からは、ハイチの地震を踏まえて緊急援助体制のあり方について、省内で少し検証が必要だということ、それから行政刷新、公益法人、独立行政法人の対応について、本日はおられなかったのですが、武正副大臣を中心にしっかりチームを作って検討してまいりたいということです。それから、ODA改革、これは福山副大臣、西村政務官の方からODAのあり方に対する検討体制について報告があり、意見交換を行ったところであります。1週間後頃くらいに、この場で、具体的な体制、検討項目等をご報告できるのではないかと思っております。
それから、私(大臣)の方から、少し気が早いのですが、5月の大型連休の政務三役の海外出張について、よく役割分担して、戦略的に行うべきだと考えて、よくこれから具体的に相談して行きましょうということを申し上げたところでございます。
【フリーランス 岩上氏】先日、名護市長選が行われまして、辺野古への移設反対を唱えている候補が当選いたしましたが、これによって、より辺野古案ではなく、他の地域もしくは県外の候補を探さなければいけないという必要性が高まったのではないかと思われるのですが、政権内部での温度とそれから米側の意向と言いますか、受け止め方の度合いみたいなものを教えていただければと思います。
【大臣】米国の考え方は特に承知をしておりません。それから、これは確かにひとつの争点になりましたので、そういう意味でひとつの民意の表れだと思いますが、この普天間代替施設の問題は基本的に国が責任を持って決める話であります。そういう意味では、今、検討委員会でゼロベースであらゆる可能性を検討しておりますので、今回のことはひとつの出来事ではありますが、だから(辺野古案の)可能性がなくなったとは考えておりません。
【時事通信 水島記者】普天間ですが、官房長官は本日の会見で地元との合意がなくても移設先を決定することは可能であるという認識を示しておられますが、基本的には大臣も同じ認識ということでよろしいでしょうか。
【大臣】これはそのように言ってしまうと、何か地元をまったく無視するような印象を与えますので、表現に気を付けなければならないと思います。なるべく地元のご理解を得るための努力ということも必要だと思います。どこに決まったと言う訳でもありませんので、どこに決まったとしても、その地元の理解を得るということは必要だと思います。ただ、法的に言いますと、例えば埋め立てをする、海岸を埋め立てするということになれば、これは知事の権限ということに関わってくることになりますけれども、法的にどうかという視点からいうと官房長官が言うようなお答えになるのではないかと思います。そのことが地元の意向を無視してでも、あるいはまったく地元の意向を聞かずしてやっていくというように受け止められるとそれは少し違うということです。
【共同通信 上西川原記者】同様の質問ですが、普天間問題が十何年間もなかなか前に進まなかった原因として、沖縄の中の県内移設への反発というものを政府がある意味見誤った、過小評価した部分があるのではないかと思いますが、今後の移設先を決めるに当たって、今回の市長選挙ではひとつの争点であり、新市長は明確に反対の意思表示をしていると思うのですけれども、地元の合意はどの程度重要だとお考えなのでしょうか。
【大臣】具体的に場所が決まった訳ではありませんので、仮定に基づいて議論する必要がないと私(大臣)は思います。あとは、先程言ったことに尽きていると思います。地元への説明、そしてご理解を頂くための努力は当然求められると思います。
【琉球新報 滝本記者】5月末までの決着と言うのでしょうか、米側の理解も得てということもあると思いますけれども、米側とは、向こうの理解を得た案にまとめるのが5月末までという理解でいますが、最終的に地元の理解も全部収まったものが5月末というスケジュールになると大臣は理解しているのでしょうか。
【大臣】地元については、先程申し上げたとおりであります。地元に対してもきちんと説明して、そしてなるべく理解していただくために努力をいなければいけないと思います。そういうことも全体を含めて、政府として決めるのが5月末ということであります。
【琉球新報 滝本記者】米側との合意も含めてということでしょうか。
【大臣】それは総理が国会で何度も述べられているとおりであります。
【共同通信 西野記者】名護市長選の中では、1600(票)ぐらいの差ではありましたが、県外移設という声が強く出ました。大臣は昨年、検証作業を進めていく中で、県外移設は無理ではないかと(発言しました)。それは抑止力の観点ということだと思うのですけれども、1月の名護市長選というひとつの節目を越えた今、やはり県外移設は難しいのではないかという認識にお変わりはないでしょうか。
【大臣】今、検証委員会で議論しているところですから、私(大臣)が何かを申し上げるのは適当ではないと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。確認も含めてでございます。東京新聞が25日、オバマ米政権が日本側に、米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、「決着するまでは、首脳会談には応じない」と通告していたことが明らかになった、と報じました。複数の日米関係筋が24日明らかにしたとのことですが、この通告がまず事実であるのか、また事実であるとすれば、この通告に対する大臣のご見解をお聞かせ下さい。
【大臣】私(大臣)が承知している限り、そういう事実はありません。
【NHK 禰津記者】米国務省のグローリー次官補が、「あくまで普天間の移設に関しては米国の立場は変わらない」ということを仰っていまして、キャンベル国務次官補も同じようなことを言っている訳ですが、改めて、米国の立場が変わらないという中、5月末までというデッドラインがある中で、どのように今後米国と交渉していくのか、特に来週、キャンベル国務次官補が来日されるということで、その辺についてどういった話し合いをするかの見通しについてお伺いします。
【大臣】米国の主張は一貫している訳ですから、そのことが繰り返されているということであります。それを超えるような新しい案を見つけることができるかどうか、そして地元も含めて、それを政府としてきちんと米側に提示できるところまで持っていけるかどうかということが問われています。
【J―CASTニュース 亀松記者】密約調査についてお伺いします。先程、北岡座長から中間報告があったということですが、どのような内容であったのか、もし教えていただける範囲であれば、お話し頂きたいと思います。
【大臣】残念ながら、中身はお話ししない方がいいと思います。私(大臣)も逐次、話は聞いておりますし、今回、北岡さんからも話をいただきましたので、承知はしておりますけれども、それはきちんと報告書がまとまった段階でお話し申し上げたいと思います。
【西日本新聞 斉田記者】昨日、ハイチへのPKOの準備命令が出ました。今回、日本政府がハイチにPKOを派遣する意義と特にそのことが日本の国益にどのような影響が出るか、その2点を教えて下さい。
【大臣】これは基本的に国連の方から、代表部から派遣について求めがあったということがまず基本であります。安保理で議論が行われ、そういう中で、全会一致で現在いるPKOのMINUSTAH(国連ハイチ安定化ミッション)の増強について、各国に要請があったものであります。したがって、まだ我が方としては、準備があるということは申し上げた訳ですが、今後、国連の方から具体的な中身とか人数とか要請がまいりますので、それを受けて派遣するということになるかと思います。
意義ですが、まずこれだけ悲惨な地震による災害、多くの方が亡くなって、そういう中での復興支援が急がれる訳ですから、それをPKO部隊という形でそれをやっていくということです。もちろん、治安の維持もありますが、もうひとつは復興です。例えば、瓦礫を取り除いたり、道路を作ったりという作業、そういったことで1日も早いハイチの復興を支援していくということです。これは当然、日本としてやらなければならないことと思います。
【朝日新聞 五十嵐記者】今回のハイチのPKO派遣にあたっては、これまで日本の自衛隊のPKO派遣というのは、PKO派遣法5原則に基づいて派遣されていたのですが、今回は武力紛争がないということで、その5原則とは別の基準に基づいて派遣されることになっていると理解しています。これは、初めてのケースだと思われるのですが、予てから岡田大臣はPKOに対する派遣というものに積極的だったと思われますが、こういう形での派遣ができるということで、他のPKOへの派遣というものがさらにスムーズに運ぶことになるのか、そういった見通し、どのようなお考えをお持ちかということについてお聞かせください。
【大臣】まず、基本的考え方としてPKO法に基づく派遣でありまして、5原則を充たしているという上での派遣であります。例えば「紛争の停止」ですが、ハイチのPKOの場合は、そもそもそういう意味での紛争がないということですので、「紛争停止についての合意がある」ということは充たしていると考えられます。そういう形で5原則をきちんと充たしているという前提で派遣するものであります。もちろん、紛争地帯そのものではなく、治安が非常に悪くてPKO部隊が派遣されていたということですから、いくつかの勢力が相争うという意味での、そういう形での典型的なPKOとは違います。しかし、あくまでもPKO法に基づいて要件を充たすという前提で派遣するものであります。私(大臣)はPKO法に基づく派遣というものは、より積極的に行うべきだというように従来から申し上げておりましたので、今回このハイチもありますが、それ以外も含めて、いろいろな可能性を検討しているという状況です。PKO法の見直しそのものの議論は様々な検討を行っておりますが、具体的にすぐ法案の形にして提出というところまで煮詰まっている訳ではありません。今国会に提出する予定はございません。
【共同通信 西野記者】大臣は先ほど、復興支援と同時に治安維持についても言及されました。いわゆる「本隊業務」と言われる領域に入ってくると思うのですが、もちろん国連の方がどのような要請を日本にしてくるかということになるのでしょうが、瓦礫を片づけたりするような復旧作業、そういったものがメインになるということなのか、それとも他国のPKOがやっている治安維持というようなところにも自衛隊が出ていくといった可能性もあるのでしょうか。
【大臣】中身はまだ具体的に決まっておりませんので、あまりこれはこうだとかああだとか言わないほうが良いと思います。十分に事前に三党の中で調整をして、そして国連に対して「派遣する用意がある」と申し上げたところでございます。
【西日本新聞 齋田記者】先ほど大臣は、「ハイチではそもそも紛争がなかった」と仰ったように私は聞こえたのですが、そうしますと確か地震が起きる前にPKOが入っていた、これはなぜPKOが入っていたのかと、つまり、「紛争がなかった」という認識をもう少し詳しく教えて下さい。
【大臣】普通は「紛争がある」と言うと、先ほど言いましたように複数の、普通は二つだと思いますが、場合によっては三つ四つのそういう集団が相争っているという状態を言うと思います。ハイチの場合はそういうことではなくて、非常に治安が悪いと、犯罪が多いとか、そういう状況の中で国連が入っていてPKO部隊が活動してきたということであります。
【朝日新聞 鵜飼記者】細かい法律解釈の点で恐縮ですが、先程(PKO)5原則の絡みです。PKO法の中で、武力紛争がそもそも起きていない場合というのは、「紛争の停止の合意」というものは必要でなくて、「当該国の同意により派遣ができる」という括弧書きがあり、我々の解釈としては、今回、この括弧内の条文を用いて派遣されるというように理解していました。つまり、(PKO)5原則の適用除外になるケースだと、紛争停止の合意とかの部分が適用されなくなるケースだと理解していたのですが、先程の大臣の答弁を聞くと、お話が少し違うような気がするのですが。
【大臣】それは、(PKO)5原則のうちの第一の原則ということで、どこまで読むのかということだと思いますけれども。そういう除外規定も含めて、第一の原則であるというように考えて、私(大臣)はお答え申し上げました。
【TV朝日 新堀記者】先程、北澤防衛大臣が閣議後の記者会見で、ハイチにPKOを出すことについて、「(ハイチは)特に米国の玄関口のような所ですから、米国世論に非常に良い感じに受け止められておるようで」というように、米国へのことを配慮した発言をされたのですが、今回、非常にスピーディーに決まった決断の裏には、そういったこともあるというように大臣もお考えでしょうか。
【大臣】ハイチの問題は、国際社会の非常に大きな関心事であって、もちろん米国も非常に大きな関心を持っております。それだけではなくて、ヨーロッパの国々も、アジアも、或いはヨルダン等もPKOについて既に手を挙げておられますし、世界的な大災害であるという認識です。
【大臣】先程は言わなかったのですが、基本的には治安維持ということではありません。工兵部隊を出すつもりでありますが、(詳細は)まだ決まっておりません。(政府の)中ではそういう前提で議論しています。
【朝日新聞 東岡記者】先程、大臣は総理のところに、斎木アジア太洋州局長とお入りになりましたが、どういった用件で、どんな話をされたのか、差しつかえない範囲でお教えください。
【大臣】私(大臣)は官邸に入った時は、そういう説明はしないことにしています。ただ、(官邸に)行ったのは斎木局長だけではありません。杉山地球規模課題審議官も行きました。さまざまな案件についてご報告したというようにお考えください。
【東京新聞 佐藤記者】民主党の小沢幹事長の問題についてお伺いします。23日に小沢幹事長の資金管理団体の政治資金規制法違反の事件で、小沢幹事長は特捜部の事情聴取を受けました。小沢幹事長は「虚偽記入については一切関与していない」として、ゼネコンからの裏献金も会見等で否定していますが、大臣は小沢幹事長の説明をどう聞かれたか、疑惑は晴れたとお考えでしょうか。
【大臣】これは検察が話を聞いて、まさしく、そういうレベルの話になっていますので、何か私(大臣)が感想めいたことは言わないほうがいいというように思います。また、法に基づいて、必要な措置が今進んでいて、どういう結果か等も含めて、知りえない立場であります。
【共同通信 西野記者】民主党が企業団体献金を一定の猶予期間をおきながら、全廃していくことを選挙前に決め、それが有権者の中に民主党のクリーンさをアピールしたという面もあると思います。今回、まさに争いのあるところではあるのですが、企業献金が裏献金という形で、もし渡っていたとすれば、民主党の方針で掲げた理想とはかなり離れてしまうと思います。そういった意味で言うと、何らかの自浄能力を示していくことも一つの有り様だと思うのですが、その辺りはどのように考えられますか。
【大臣】今おっしゃったことそのものが、今、検察と小沢幹事長との間で事実関係が争われていると思います。そういう状況にあることについて、軽々しくコメントすることは、私(大臣)はすべきでないと思います。
【NHK 梶原記者】本日の閣議で決定された答弁書について、核兵器に関する答弁書が出たと思うのですが、この中で「当時の外務大臣の了承を得て我が国政府の考え方を説明した」とのくだりがあるのですが、年末に大臣がクリントン国務長官にお出しになった書簡と内容によっては矛盾するのではないかと思うのですが、具体的にどのような説明をされたのでしょうか。日本政府としては、トマホークの退役等について、場合によっては懸念するという立場を取っていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】中身は申し上げるべきではないと思いますが、質問主意書に書いたことと、私(大臣)の手紙は矛盾をいたしません。私(大臣)の手紙にトマホークについて議論したことを私(大臣)が否定しているものではないということは、手紙を注意深く読んでいただければ分かると思います。むしろ、私(大臣)は、もしトマホークがなくなるということであれば、説明を求めるということを言っている訳です。あの手紙で言っていることは、「日本がそういったことでは困る」というように言っている訳ではありません。トマホークが退役することが困るとか、あるいは地中貫通型小型核が必要だとか、そのようなことを日本が言った訳ではないということを申し上げている訳です。
【NHK 梶原記者】確認ですが、そうしますと、この答弁書に書かれていますが、一般的な核態勢の見直しについての政府の考え方を伝えたという理解でよろしいのでしょうか。
【大臣】私(大臣)が先ほど言ったことに尽きていると思います。本日の閣議で決まった質問主意書の答弁に尽きておりますので、それ以上のことを申し上げるつもりはありません。
【南日本新聞社 谷上記者】鹿児島県の屋久島空港で低空で侵入してくるローアプローチ(訓練)を正体不明の飛行機が繰り返している問題について、米側が機体は米軍機であることを認めたという新聞報道がありました。これについて、日米合同委員会合意の中では、「民間空港の場所は安全かつ実際的な形で回避する」という合意があります。これについて「屋久島空港の上空の飛行については抵触する恐れがある」という外務省に対して、米側は「訓練は民間空港に出入りする権利等を認めた(日米地位協定)5条を根拠に訓練は問題ない」という見解を外務省に示したということです。これについて、大臣のご所見と、今後、こうした訓練をしないように(米側に)求めるお考えはあるのかどうかをお聞かせ下さい。
【大臣】よく協議していきたいと思います。協議する場がある訳ですから、あまりこういう場で申し上げるべきではないと思います。よく協議をしていきたいと思いますし、米側の説明も聞いていきたいし、理由も聞いていきたいと思います。
【南日本新聞社 谷上記者】米側が認めていることに対して、訓練をしないように申し入れるお考えについてはどうでしょうか。
【大臣】ですから、これは協議の場であり一方的に通告する場ではありませんので、お互い意思疎通をよくしていきたいと思います。
【琉球新報 滝本記者】先程の屋久島の件で事実関係の確認ですが、大臣としては、米側が不明機が米軍機であることを認めたという報告を受けられているのか。そのことが日米地位協定に抵触するのではないかと(考えられますが、)大臣のご認識はいかがでしょうか。
【大臣】そういうことをこの場でいきなり言うのではなくて、協議の場がある訳ですから、そういうところで議論をすべきだと私(大臣)は基本的にそう思います。
【琉球新報 滝本記者】米軍が米軍機だと認めたということの事実関係については、いかがでしょうか。
【大臣】それは承知しております。
【フリーランス 岩上氏】くだけた質問ですが、最近ツイッターというミニブログが流行っております。代議士や議員の方々もコミュニケーション・ツールのひとつとしてお使いになられて、閣僚の中でも原口大臣のように非常に積極的に活用されている方もいらっしゃいます。岡田大臣としてはツイッターをお使いになってダイレクトに国民有権者とコミュニケーションを図るというお考えはありますか。
【大臣】私(大臣)は週平均二回程度のブログ(を書いており)、そこには色々な御意見も寄せられます。それも目を通すことにしておりますが、頻繁に反応ということになるとそれを見ている暇もないし、そもそも発信をするタイミングも今の生活の中ではなかなか難しいので、今のところやろうという気持ちはありません。もう少し流行ってきたら考えたいと思います。
【フリーランス 岩上氏】大臣のつぶやきを聞きたいという人もいると思いますが。
【大臣】今のブログも、実は書いたものではなくて、しゃべっているものをそのまま文章に起こしている訳ですが、あれ(ブログ)を週二回やるだけでも結構大変です。ですから、それ以上は、もう少し生活環境を改善しないと無理だと思います。
【日経新聞 山本記者】ロシアに関して、本日、日本経済新聞の取材に対してロシアのデニソフ第一外務次官が北方領土での共同経済活動について前向きな意向を示されました。領土の帰属問題がなかなか進展しない中で、共同経済活動を進めていくことについて、大臣としてのお考えをお聞かせ下さい。
【大臣】本日の次官の新聞記事は私(大臣)も見ましたが、日露戦略対話の場でそういう意見は特に出ておりません。北方四島における共同経済活動への言及はありませんでした。この問題は、基本はやはり北方四島の帰属を明確にするということが重要であって、そういった根本的な問題解決を行わないまま、四島についての共同経済活動ということは、法律的にも非常に難しい問題を含みますし、必ずしも私(大臣)自身は前向きには考えておりません。もちろん、例えば、シベリア東部とか極東での経済協力といいますか、経済交流という機会を、領土問題の交渉と車の両輪として進めていくということについては当然そうすべきだというようには考えていますが、北方四島における経済交流ということに対して、私(大臣)は慎重であります。
【ニコニコ動画 七尾記者】中国製冷凍ギョーザ問題についてお伺いします。昨年12月31日の日経ネットニュースによりますと、「中国公安当局が専従捜査班の人員を百数十人規模から十数人規模に縮小していたことが、中国公安関係者の話で分かった」とのことです。今月30日で発覚から2年となります本件の現状認識と今後の対応について、お聞かせください。
【大臣】 私(大臣)は、人事異動があったと聞いておりますが、大幅に縮小したかどうかというのは、私(大臣)自身は確認しておりません。この前、楊潔チ外相が来られた時に、この問題も少し議論しようと思っていたのですが、他の問題に時間をとられて、そこまでなかなかいきませんでした。非常に前向きな話としては、日中間で「食の安全」に関する話し合いを行っておりまして、かなり話としては煮詰まってきております。それがひとつできれば、消費者から見て安心できる材料かというように思います。もうひとつは、時間があれば是非、外相に「最近、中国に対してどのくらい好意を持っているのかという調査をどこかで見たのですが、かなり上がっているということです。ただ、男女別に見ると、女性の好感度は男性に比べると低いです。それはやはり、ギョーザの話が効いているのではないか。」と言おうと思っていたのですが、そういう時間がありませんでした。そういうことを考えても、中国にとって、この問題をきちんとした方がいいと私(大臣)は従来から申し上げているところであります。
【フリーランス 畠山氏】先ほど大臣から5月の大型連休の海外出張のお話がありましたので、それに関連してお伺いします。これまで大臣の海外出張には、記者クラブに加盟していないフリーランスの記者は同行取材をしていなかったと思いますが、その要因の一つに海外出張に関する情報が、クラブの記者以外には積極的に知らされなかったということもあると思います。例えばアフガニスタン訪問もそうだったと思います。今後、海外出張の情報はクラブの加盟社以外にも平等に周知されると考えてよろしいのでしょうか。
【大臣】いつかこの場で申し上げましたが、既にパスを持っている人に対しては同じように門戸を開くと申し上げたはずです。そうした方々については、同じような情報がきちんと行くようにしたいと思います。
(1)ハイチ支援に関する閣僚級会合について
【岡田大臣】今日は、私(大臣)から2点です。まず、ハイチにおける地震についてですが、武正副大臣を25日にモントリオールで開催される「ハイチ支援に関する閣僚級会合」出席のために、派遣することにいたしました。24日(日曜日)に発って27日(水曜日)に戻ることになると思います。武正副大臣からは、我が国の対ハイチ支援策を説明し、また(会合に)出席する22の国・関係機関とともに、今後のハイチ支援のあり方について意見交換する予定であります。今次会合を通じ、国際社会が連帯し、被災者の早期救済、ハイチの早期復興に向けた動きが加速されることが期待されます。我が国としても、会合の成功のみならず、ハイチの救済・復興のために積極的に貢献していく所存であります。
なお、ご質問が出ると思いますが、この会合において新たな支援策を発表すべく、現在検討を行っているところです。
(2)核政策に関する岡田大臣発クリントン国務長官及びゲイツ国防長官宛書簡について
【大臣】それから、もう一点は、先ほどお配りした核政策に関する私(大臣)からクリントン米国務長官及びゲイツ米国防長官に対するレター(PDF)でありますが、昨年の暮れの12月24日に発出したものであります。内容はお読みいただければ、お分かりいただけるかと思いますが、一方で「核の傘」による抑止力を評価する一方、「核のない世界」に賛同し、そのために協力していこうということを述べたものです。さまざまな意見がありますが、一部メディアにおいて米議会戦略体制委員会の報告書作成の過程で、我が国外交当局が核トマホークとか地中貫通型小型核について、その保有を求めたり、退役に反対したりしたという報道がなされましたが、そういうことはなかったと理解しています。少なくとも、核軍縮を求める私(大臣)の考え方は、明らかに異なるという旨を述べたものです。もちろん、トマホークの退役が行われる場合に、それが拡大抑止にいかなる影響を及ぼすのか、どのように補うのかといった点についての説明を希望するということは述べてあります。その上で「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」、日豪共同イニシアチブで行われたものでありますが、その公表に触れて、その中にすべての核武装国による措置として、核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定すべきこと、NPT非核兵器国に対する核兵器の使用を禁止すべきことなどの提案が含まれていて、それらについて、私(大臣)は強い関心を持つと、直ちに実現し得るものではないかも知れませんが、現在あるいは将来の政策への適用の可能性について、今後両国政府で議論を深めたいということを述べたものです。
なお、これに対するクリントン国務長官、ゲイツ国防長官からの返事はすでに受け取っておりますが、その内容につきましては、相手方との信頼関係がございますので、特に述べるものではございません。ただ、これについて問題があるとかという趣旨の返事は全く受け取っておりません。そのことだけは誤解のないように申し上げておきたいと思います。
(3)政務三役会議について
【大臣】それから、政務三役会議は特にご報告することはありません。
【朝日新聞 東岡記者】先程ご紹介がありましたハイチの関連でお尋ねします。閣僚級会合において新しい支援策を発表すべく現在検討中であるということでしたけれども、お話し頂ける範囲で、どういった内容を検討しているのかという点と、本日、国連の赤坂事務次長が記者会見して、国連のアピールに対して日本の支援額が非常に低いとの指摘がありました。支援額が低いという指摘に対して大臣はどのようにお考えなのか、ご見解をお聞かせください。
【大臣】これは地震発生直後に発表したものであって、その時点では財源の裏づけが必要でありますので、決して少ないものではないと考えています。ただ地震が発生してかなり時間も経ちましたので、より復旧、復興に向けて活動が本格化する中で、日本としてどのように復興活動に携わっていくかという視点で今政府の中で検討しているところであります。内容については現在まだ決めておりませんので、申し上げるわけにはいかないことをご理解頂きたいと思います。
【朝日新聞 五十嵐記者】引き続きハイチ支援についてお伺いします。最初の医療チームの派遣についてですが、遅かったとか遅くなかったとか、そういった議論がなされておりまして、本日の国会でも小池百合子議員の方からそのような質問が出まして、それに対して大臣は「検証していきたい」というようなお話をされました。省内、政府内でこれからどのような検証を行いたいと考えているのか、あとは検証の結果、質問にもありましたけれども、要請主義であるとか、あるいは武器の携帯等についても見直そうとお考えなのかについてお答え頂けますか。
【大臣】検証作業は省内でまず行いたいと考えております。こういった緊急支援隊の派遣については外務省の法律でありますので、もちろん各省庁とも関連するわけですが、省内での検証ということを考えております。国会でも申し上げましたようにハイチの状況はPKO部隊が首都に多数配置されるなど極めて治安が悪い状況という中での地震という特殊事情もあったと思います。国民の皆様には特殊な事情があったということをぜひ理解して頂きたいと思います。既にPKO部隊を派遣していた米国や中国であれば派遣した支援隊を守るための人も形もあったと思いますが、日本にはない状態で、やはり慎重に実態を把握する必要があったということであります。
ただ、国会でも申し上げましたが、調査隊が出て、それから一日か二日置いて本隊が出たということを見た時に、なるべく早く本隊も出して、そして例えばマイアミで待機をするとかそういうことはできたかもしれません。見込みで出すということですね。その場合に一日ぐらい早く着いたかもしれないという思いはあります。今日は小池議員からもそういうことはやるべきだというお話もありました。それは税金の無駄遣いではないと。もちろん時と場合による訳ですけれども、私(大臣)自身はその可能性が果たしてなかったのかどうか、今後のこともありますのでよく検証してみたいと考えているところであります。
もう一つあるとすれば医療部隊を派遣した訳ですけれども、救出部隊は派遣していません。それは、例えば四川省の大地震などとはだいぶ違う状況があったと思います。距離的に離れていますし、行くだけで時間がかかりますから救出できる可能性は非常に低かったと思います。現実はそうだと思いますが、そういう選択肢はなかったのかどうかということも論点の一つだと思います。
【朝日新聞 五十嵐記者】要請主義については。
【大臣】それも、見込みで出す、少なくとも近くまでは出すということは十分考えられることではないかと思います。
【共同通信 斉藤記者】今のお話は、あくまでも日本の現行の憲法と法律の枠内で、現状を見ながら何ができるかというお話だと理解しました。しかし、現実に米国は言うまでもなく、中国、韓国、他の国もPKO部隊の増派などを通じて、積極的に活動を展開していると受け止められます。国の事情が違いますので、彼らはPKOを出せると、我が国はPKOを出せないという現状があるのですが、こうした現状を考えた上で、改めてPKO5原則を含む関連法及び関連のルールについて見直すべき時期に来ているのかどうか、改めてこの件についてお伺いしたいと思います。
【大臣】米国が軍を出しているのは、PKOという位置づけの中で出しているのかどうか、私(大臣)は子細には承知しておりません。少なくとも国連にPKOということで、正式に認可を経て出しているのかどうかは、ちょっと私(大臣)、今自信がありません。ご質問者はそう言われたのですから、自信を持って、根拠を持って言われているのだと思いますが、いずれにしても、今回のことでPKO5原則を見直すとか、そういう話ではないと思います。
PKOの見直しについては、今後の検討課題ということで、前にも申し上げたことがあると思います。ただ、災害だから、何かいろいろな制約を乗り越えて、何でも出すというようなことではなくて、もう少し落ち着いたところで、通常のPKOの派遣について、きちんと今の(PKO)5原則を変える必要があるのかどうか、ということは冷静に議論したらいいと思っております。
【読売新聞 川崎記者】カナダのモントリオールでの会合で支援策を説明されるということですけれども、その支援策の説明には、新たな追加の財政支援は含まれるのでしょうか。特に先程の質問にもありましたけれども、国連の方は、日本が経済大国としてそれに見合う規模の支援を実施してほしいという強い要請があるようですけれども、現在、最初に出した500万ドルがあると思うのですが、諸外国は数千万ユーロとか、あるいは1億ドルとか、米国はそういう金額の単位で出しているので、そういうことを考えますと、日本が大幅に積み増す、追加の支援を表明するということが考えられるわけですが、その規模については、今現在ご検討中ということかもしれませんが、大臣ご自身はどのようにお考えを持っていらっしゃるか、お願いします。
【大臣】これは政府で今検討しているところですので、私(大臣)があまり個人の意見を言わない方がいいと思います。ただ、ハイチの現状は極めて深刻であると認識しております。
【NHK 別府記者】ハイチ支援との関連なのですが、大臣の国際会議への出席についてなのですが、来週、世界ではこのハイチを皮切りに、ロンドンでアフガニスタン、その前の日にはイエメンの支援国会合があって、イエメンは遠いですけど、このあいだ日本人が誘拐された時もお世話になった国だと思いますし、いずれの会合にもヒラリー・クリントン国務長官も出席だと聞いていまして、様々な接触の機会にもなるのではないかと思うのですが、もちろん国会があるということは、長い間のあれだと思うのですが、今一度、せっかくの政権交代でもありますし、そういうことを変えて、やはり出席に向けて検討できないのだろうか、あるいは、こういうことが続いていくことが、お金にはなかなか出ないかもしれませんが、どういう日本外交の損失になりうる危険をはらんでいるとお考えでしょうか。
【大臣】私(大臣)は、かなり危機感は持っております。例えば、G8の外相が集まる機会が、この前のアフガニスタン大統領就任式には私(大臣)以外のG8の外相が全て集まりました。日本は福山副大臣に出てもらったということであります。あれは、その前に私(大臣)がアフガニスタンに行っておりましたので、まだ影響は比較的限られたものであったかなと思っておりましたが、しかしやはりG8外相が常に顔を合わせて、いろいろな議論をしているということは非常に重要なことだと思っておりますので、そういう観点から言うと、残念なことでした。
今回また、特にアフガニスタンの復興に関するロンドンにおける会議は、主要な議題は、一つは治安の問題、しかしもう一つは、タリバン末端兵士の社会復帰に関する問題で、これはイギリスと日本が事務レベルではかなりリードしてきた議論、問題であります。そういう時に、いざ大臣レベルになった時に、大臣が出て行けないということは、国際社会に対して、アフガニスタン問題に先頭に立って取り組んでいる日本の態度が疑問視されるということになりかねませんし、何よりも、そこでしっかり議論を自らしたいという立場からしますと、非常に残念なことであります。
ただ一方で、国会の現実も認識しておりますので、政府の中で議論をしたこともあるのですけれども、現実、国会を円滑に運営するために、やむを得ない部分もあると思います。私(大臣)は是非、別にこのことで国対ベースで野党に対して持ち出して、そして駄目だと言われた訳ではありませんので、そこは誤解を招かないようにしていただきたいと思いますが、ただ、今まで与党だった政党が、その事の重要さということはよくお分かりいただいていると思いますので、こういう話し合いにこれからもう少し乗って頂くということであれば、大変ありがたいと思っております。今、現にそういうことを野党に持ちかけている訳ではありませんが、本当にクリティカルな時には、是非お願いしたいと思っております。
【共同通信 上西川原記者】外相の国際会議出席の関連で、追加で聞きたいのですけれども、国際会議を取材していると、やはり日本の外務大臣がいないということは、非常に日本のアピール力に大きく影響するのではないかと思うのですが、国対の問題だと思うのですけれども、これを実現するために、与党と野党の立場が代わったら、それぞれの立場でものを言ってしまうと、何も前に物事が進まないような気がするのですけれども、実際に出席するためにどうすればいいのかというのは、何かお考えはありますか。
【大臣】我々、野党の時にも常に出席を求めていた、国会に張り付きにしていた訳ではありません。私(大臣)の経験では、それは委員会にもよりますけれども、弾力的に考えていたこともあったと思っております。ただ、非常に難しいのは、結局、「出すことを認めるから、代わりに日程を少し多めに取れ」ですとか、そういうネゴになりがちで、ということになると、やはり駄目だと与党の方がなりますので、これを根本的に解決する手段というのはなかなか難しいとは思います。副大臣で国会答弁が普通にできるという状況が作り出されないと根本的な解決にならないのかなと、それまでは、どうしてもクリティカルな場合には、ぜひお願いするということなのかなと思っております。
【毎日新聞 野口記者】クリントン米国務長官宛ての書簡なのですけれども、12月に出したというこの時期について、どういう狙いでこの時期にこういった書簡を送ったのかという目的についてご説明願えますか。その中で、一部報道で「我が国外交当局者が、貴国に核兵器を削減しないよう働きかけた」ということがありますけれども、そういうことはなかったと大臣として理解しているという件があるのですけれども、これは自民党政権時代の頃の話ですが、なぜそれはなかったと岡田大臣が言えるのかということをお願いします。
【大臣】これはきっかけは国内での某メディアの報道であります。そして、このトマホークと地中貫通型小型核の問題に関する報道であります。では、そういうことがあったのかどうかということを私(大臣)なりに精査させていただいて、その上でそういうことはなかったと私(大臣)は理解しました。しかし一方で、そのことにかかわらずとにかく核について現状維持をしたいという立場に立つ人たちから、日本の拡大抑止を求める立場というのが上手く使われているのではないかというご指摘も内外問わずありますので、そういうことも考えてこの手紙を出すことを決めたものであります。
【朝日新聞 鵜飼記者】あまりこういったものは公開されないものですが、この書簡を公表された狙いと、ここに書いてある拡大抑止に依存しているということと、核廃絶を目指すということは相反するものではないのだということですけれども、なかなか理解しにくいことだと思うのですが、どうして相反しないのかもう少し説明をしていただけますか。一方で核に頼っておきながら、もう一方で減らすということは普通に考えると矛盾するのではないかと思うのですが、ご説明いただけますでしょうか。
【大臣】公表したのは既に一部のメディアに出ましたので、正確にその内容を伝えた方がいいと考えた次第です。情報開示とお考えいただければと思います。それから、拡大抑止の話と「核なき世界」を目指すと、これはなかなかバランスが難しいと思います。全く相反するものではないと思います。今の核兵器の現状から見ると、人類を何回でも殺せるような過剰な核が存在する訳ですから、その核を減らしていくということと、拡大抑止というものは私(大臣)は矛盾なく実現できると思います。さらにそれが核の軍縮が進むことで量的に限られてくるといろいろな議論が出てくるかもしれませんが、それは現時点ではまだそこまでいっていないわけですから、私(大臣)には矛盾なく実現できると考えております。ただ、これは日本だけで決められる話ではありませんので、日米間でよく議論する必要があるという意味で最後に私(大臣)なりの考え方を述べつつよく協議をしたいということを申し上げた訳です。
【毎日新聞 野口記者】なぜ12月の年末の時期に出したのかという時期について、もう一度説明をお願いします。
【大臣】先ほど説明をいたしましたが、日本のメディアに、確か東京新聞だったかと思いますが、記事が出て、そのことを踏まえて私(大臣)なりに省内で検証をし、そして手紙にしたということであります。核態勢の見直し(NPR)の作業も続いておりますので、なるべく早く出した方がいいという判断でこの時期に出させていただきました。
【共同通信 西野記者】この報道は弊社がやったと理解しているのですが。
【大臣】失礼しました。共同(通信社)とフジ(テレビ)で。
【共同通信 西野記者】(大臣が)「そういうことがなかった」と理解されているということについては、非常に遺憾なことです。我々は非常に明確な取材をして、根拠に基づいて報道しているので、そのことは理解していただきたいと思っております。
その上でお伺いします。この書簡は、今後の日本の核政策が抱えている問題点を端的に表しているという気もするのですが、核政策を考える上で、大臣のこの書簡というのは、キック・オフというか、基本的な考え方になると位置づけているのでしょうか。
【大臣】あまり具体的なことを書いている訳ではありませんので、キック・オフになるというと、それは大げさだと思いますが、私(大臣)の基本的な考え方というのは、この手紙の中を読んでいただければ、ご理解いただけるのではないかと思っております。これから今年一年、核軍縮・不拡散について極めて重要な一年だと思っております。オバマ大統領のプラハ演説が、ある意味ではキック・オフになっていて、今年は「核セキュリティ・サミット」が4月にあり、5月には「NPT再検討会議」があるということです。その後も、私(大臣)としては、引き続き、核軍縮・不拡散の問題を今年一年をとおして、しっかりと前向きなはっきりとした一歩を示す、そういう一年にしたいと考えております。どちらかというと、数年前までは核拡散も進み、核軍縮についても、ブッシュ政権時代の話ですが、ほとんど議論すらされないような状況だったと思います。その流れが今変わりつつあり、その流れをより明確なものにしたいと考えております。そういう気持ちもありますので、先般のドイツ外相をはじめ、各外相との会談では、ほとんどこの核軍縮・不拡散の問題をテーマに取り上げて議論をしているところです。COP16を控えた「気候変動の問題」と「核軍縮・不拡散」と、この2つが一年をとおして大きなテーマになると認識しております。
【日経新聞 山内記者】書簡というより、米政府が今策定しているNPRについて、大臣は以前、大臣が就任される前に核の先制不使用について、「とりわけ、米国が核の先制不使用を宣言することを、日本が主張することが大事である」という発言を伺ったことがあります。この考えは、現在NPRを策定中ですが、盛り込まれる盛り込まれないと米国内でいろいろと議論があるようですが、考え方は変わっていないでしょうか。
【大臣】私(大臣)の考え方は、この場でも何度か述べておりますが、核の先制不使用というのは将来の課題です。それに向けた現実的なステップとして考えておりますことが2つあります。この(岡田大臣発クリントン米国務長官及びゲイツ国防長官宛書簡の)最後のページに書きましたように、ひとつは、消極的安全保障。つまり「NPT非核兵器国に対する核兵器の使用を禁止する」ということ。そしてもうひとつは、「すべての核武装国による措置として核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定すべき」と、この2つが具体的なステップだと思います。この2つも簡単に実現するものではないと思いますけれども、是非、日米、或いは日豪のいろいろな場で議論していきたいテーマだと考えております。
【朝日新聞 鵜飼記者】今後、日米両国で議論を深めたいということですが、たしか前政権の最後の頃に、局長級の2+2で拡大抑止の議論をしていくことで合意がなされておりますが、こういった枠組みを活用していかれるお考えなのか、新たに何か協議の枠組みというのを作っていこうというお考えですか。
【大臣】実際には各レベルで議論をしております。ただ、米側はNPRの結果待ちというところもあると思いますが、NPRにどのようなことを盛り込むかということも含めて、さまざまなレベルで日米間で核の問題も話し合っているところであります。
【共同通信 上西川原記者】書簡の関連で、大臣は年明けの日米外相会談でもクリントン国務長官に対して直接、同様の考えを伝えられました。引用すると「我が国が米国の核なき世界に向かっての努力について、まるで異を唱えているような印象を持たれている。それは違う」というような発言をされました。これはNPRをかなり意識されているのではないかと思いますが、大臣の中でNPRの持つ意義や重要性をどのように考えているか教えてください。
【大臣】NPRを意識しているということですが、少なくとも米国に間違ってメッセージが伝わっているとすれば、それは直さなければいけないという思いでこの手紙も書きましたし、外相会談の具体的な中身は申し上げませんが、そういう考え方で私(大臣)自身来ているところであります。NPR、米国の核政策がそこで方向付けられる訳ですから、もちろん、それですべてが決まる訳ではないにしても、ある意味重要だと思います。もちろん、現実をしっかり見据える必要がありますけれども、同時にオバマ大統領の「核なき世界」の理想に向かって、まさしくその理想と現実のバランスをどうとるか、どこに線を引くかということに非常に注目しているところです。
【日経新聞 山本記者】先程、今年は核軍縮・不拡散がテーマになると仰いましたが、昨日今日と都内で「アジア版の核セキュリティ・サミット」の国際会議が開かれました。今年は4月に核セキュリティのサミットもありますが、それに向けて日本としてどのようなメッセージ、もしくは世界に対する支援、協力というのを表明していきたいとお考えでしょうか。
【大臣】現在、いろいろと中で議論しているところですので、現段階で申し上げることは特にありません。
【琉球新報 滝本記者】昨日、4回目の沖縄基地問題検討委員会が開かれまして、そちらで「検討委員会としてグアムの視察ができないのか」という形のお話が出て、武正副大臣も「検討したい」というようなお話をされたというように聞いているのですが、検討委員会全体としてグアムの視察に行くということについての状況、調整の状況はどのようになっているかをお伺いできればと思います。
【大臣】これは、相手のある話です。米国政府側がどのような反応を示すかと、受け入れということがなければ成り立たない話ですので、現時点ではそういった具体的なことについて、私(大臣)は承知しておりません。
【テレビ朝日 新堀記者】普天間移設先の決定の時期について、昨日、総理と官房長官のコンセプトに違いがあったような形で、総理が改めて官房長官に指示を出して「5月末までに日米で合意だ」と仰ったのですが、この点について大臣のお考えをお聞かせ下さい。それから、官房長官に大臣からも決定の時期のことについて何か助言をなさったのでしょうか。
【大臣】総理が言われたことは、本日、国会でも総理が言われました。それが政府としての考え方であると思います。非常に重要な話でありますので、いつまでにという時に、何が5月の末までにということなのかということでありますので、官房長官や総理と意見交換をして総理の発言になったものです。
【共同通信 上西川原記者】名護市長選挙がまもなく投開票になりますが、選挙自身についてはコメントは難しいと思いますが、名護市では普天間の移設を巡って、1997年の名護市民投票から今回(の選挙で)5回目の住民投票のような様相が続いているのですが、日本の安全保障について、一自治体でそういった市民を二分するような状況が十数年続いてきているような状況について、どのようにお考えでしょうか。
【大臣】これは、私(大臣)が沖縄に行った時にも申し上げました。名護市民に対して申し訳ないと思います。本来、国が決めるべきことであるにもかかわらず、いわば市民の皆さんに選択を迫っているような形になっているということは申し訳ないと思います。
【NHK 禰津記者】この名護市長選の選挙結果というのは、米国も非常に注視しているといいますか、おそらく非常に気にされている部分だと思いますが、選挙結果を受けて外務大臣が米国側に何らかの説明だったりとか、そういうことを考えていることはありますでしょうか。
【大臣】公正公平に行われる選挙でありますので、私(大臣)から何か米国側に対して説明したりコメントしたりということにはならないと思います。
【琉球新報 滝本記者】検討委員会の視察の件ですが、まだ外務省として、検討委員会のグアム視察について、米国側に打診というのはもう投げられていらっしゃるのかどうかということと、グアム移転というのはまさに普天間の移転ということとは別に、沖縄の8000人の海兵隊員がグアムに行くということについて、日本側の財政支出もある訳です。そういう日本側からお金を出してグアムに施設を造ろうということの状況視察を含めた視察であるのに、以前は社民党の皆さんがなかなか予定がとれなかったというようなこととか、米国側が許可をしなかったのかという事実関係は別にしましても、視察に行けないという状況が生じることについてどのようにお考えでしょうか。
【大臣】私(大臣)は、昨日の検討委員会の状況はこれから武正副大臣の報告を受けますので、どのような結論になったのか確認しておりませんので、特に申し上げることはありません。したがって、外務省内でどのような状況になっているのかということも承知をしておりません。一般論で言えば、施設の視察を受け入れるかどうかというのは、受け入れる側の状況というものを尊重して、受け入れる側がそういったことが可能な状況にあるかどうかということに左右されるのはやむを得ないと思います。
【琉球新報 滝本記者】検討委員会での移設先の検討ですけれども、琉球新報で新年のインタビューで大臣にお伺いした時に、「一義的には防衛省が検討すべきことだけれども、外務省としても検討したい」とお答えいただいたのですが、新たな移設先の検討という文脈で、今外務省でどのように検討されていますでしょうか。
【大臣】これは検討委員会で官房長官の下で今議論しているところですから、その中には武正外務副大臣も出席をしております。中でどのような議論が行われているかということは私(大臣)はコメントする立場にありません。ゼロベースで議論しているということです。
【読売新聞 石川記者】EPA・WTO推進会合についてお伺いします。今朝、その会合があったと思いますが、以前大臣がEUとのEPAについて特に推進したいというようなお考えを表明されておられましたが、現段階で本日の会議も含めて、どの国や地域が議題になっているかということと、こういったEPAを進めていくには省庁横断的な対応が必要になってくると思いますが、その他の関係閣僚の皆さんとの連携、意思疎通というのはどの程度進んでいるのでしょうか。
【大臣】まさしく本日は関係閣僚委員会を開きまして、従来の4大臣、つまり外務・経産・農水・財務、財務は大臣は出てこられず副大臣だったのですが、その4名にあと、厚労大臣にも来て頂いて議論をいたしました。ペルー、それから豪州、韓国、EUということで議論をしたところであります。それぞれどういう状況にあるか、何が問題であるかについて、かなり突っ込んだやり取りをいたしました。ペルーについては、「メキシコ、チリ並み」というそういう視点で是非考えてもらいたいということで、経産大臣、農水大臣に対して私(大臣)から、従来から要請をさせていただいていた訳ですけれども、今の4省庁の出してきたものは、必ずしも満足できるものではありませんので、更に一段の政治レベルでの努力ということをお願いしたところであります。豪州についても、主として農産物について、問題といいますか、相手方は主張しておりますので、そのことについて「努力してもらいたい」というように具体的に申し上げました。インドは年末の首脳会談で、首脳間でも一定の意見交換がありましたので、それに基づいて加速させていこうと思います。EUについては、厚労大臣に来ていただいたのは、主としてEUの問題で、医療機器などについての要望もEU側から出ておりますので、なるべく基準を共有化することが出来ないか、ということも含めて議論をしたところであります。こういう形で、具体的な問題について閣僚クラスで認識を共有しながらしっかりと前に進めていきたいと考えているところです。
【朝日新聞 五十嵐記者】先日の日・インドネシア外相会談で「インドネシアから日本に来られている看護士の試験に関して改善をして欲しい」というような要請が、先方の外務大臣から岡田大臣にあったと聞いております。大臣はこれについて「なにがしか改善をしていきたい」との回答を示されておりますが、現在政府内での検討状況というのはどうなっているのでしょうか。
【大臣】インドネシアの外相からは、「試験そのものについて、漢字が難しいということにつき改善してもらいたい」というお話がありました。私(大臣)はそのこと自身には答えてはいないのですけれども、やはり日本語の能力にかなり問題があるので、そのための日本語を学ぶ機会をしっかりと作らないといけません。一方で実施研修と言いますか、仕事をしながら試験の勉強もし、日本語も勉強をするというのは事実上かなり難しいことがあり、もう少し考えないと、せっかく能力があり、しかも本国では非常に評価されている人たちが(日本に)やってきて、軒並み試験に受からないということは望ましくないと思っております。どうすれば良いかということを今、事務的にはそれぞれ省庁間で話し合いをやっているところですが、どこかの段階でしっかりと政務レベルでも議論しなければいけない問題だと考えております。
【読売新聞 石川記者】EPA(交渉)が今まで進んでこなかった訳ですが、政権交代をして政治主導だからこそ進められるものの一つであると思うのですが、今までもやはり農水省の反対なども一番強かったというような経緯があると思いますが、政治主導でそういった壁は破れるとお思いでしょうか。
【大臣】農水省だけを悪者にしてはいけないと思います。やはり、零細農家に対して一方的に負担がいく、ということでは困る訳です。ですから、所得保障制度や、そういった代替手段というものも考えていかなければいけないと思います。こういう問題はそういう実際の関係者以外に役所があり、色々な仕組みがあって、そこに天下りとか、色々なことがくっついている訳ですから、そういうものが障害になっているとしたら、私(大臣)は一般論で言っているわけで農水省のことを言っている訳ではないですが、そういうものが妨げになっているとしたら、まさしくそういうものを(政治主導で)変えていく中で、前に進めていくことが出来ると私(大臣)は思っております。
【毎日新聞 野口記者】鳩山総理の発言について、昨日逮捕された石川議員に関して「起訴されないことを望む」と発言されましたが、これは指揮権の発動ともとられかねない発言であって、この発言をどのように受け止めたのか。また、すぐに翌日に発言を撤回しているのですが、こうした総理の姿勢について併せてご見解をお願いいたします。
【大臣】鳩山総理の発言が指揮権の発動まで思わせるものだったかというと、私(大臣)はそうは思っておりませんけれども、そういう報道もあったので、そこは撤回したというか、誤解がないように言い換えたと私(大臣)は理解をしております。
(1)日米安保条約改定50周年に係る共同発表について
【大臣】私(大臣)から何点かあります。まず第一点目は、本日は現在の日米安全保障条約が署名されてから50年という節目の日であります。この日を迎えるに当たり、いわゆる2+2、つまり私(大臣)と北澤防衛大臣、ゲーツ国防長官とクリントン国務長官の4名で署名50周年に当たっての共同発表を発することといたしました。内容はお手元にお配りしたとおりであります。これまで日米安保体制が果たした役割を評価しつつ、今日及び将来の意義を確認し、これを21世紀にふさわしい形で深化させていくという日米両国のコミットメントを明確にするものであります。50年というと2分の1世紀ということでありますが、50年前と比べると、日本を取り巻く、あるいはアジア太平洋の安全保障環境というものは、大きく変わったと思います。日米安保体制、あるいは日米同盟の中身も日米安保条約に基づく日本及び極東から、しだいにアジア太平洋ということで広がってまいりました。それを追認的に認めたのが1996年の橋本・クリントン両首脳による共同声明だったと思います。そして、それから時間が経って、さまざまな要因に変化も見られます。そういう中で、日米両国が新たな課題を含む地域やグローバルに幅広い課題がありますので、そういったものに対応していくための日米同盟の役割というものを改めて議論を深め、そして、できれば本年中に一定の成果物を出したいと考えているところであります。クリントン長官との会談の折に、本年前半の適当な時期に2+2が集まって議論をしようということになりました。そしてハワイ(外相)会談で事実上、議論がスタートしたという位置づけでありますので、事務レベルではさまざまな議論がスタートいたしております。事務レベル、閣僚レベルでの議論を経て、そういった成果物が最終的にまとまれば(いい)と思っているところです。
(2)ハイチの地震に対する緊急支援について
【大臣】ハイチにおける地震につきましては14日に、当面の支援として500万ドルの緊急無償資金協力を発表しました。その支援の内容を国際関係機関と調整してきたわけですが、まとまりましたのでご報告したいと思います。まず国連世界食糧計画(WFP)に対し300万米ドル、国連児童基金(UNICEF)に対して150万米ドル、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)に対し、50万米ドルを供与することが決まりました。
(3)健康管理休暇の追加措置について
【大臣】健康管理休暇についての追加的措置について発表いたします。健康管理休暇について会計検査院の決算検査報告において一部の在外公館が規定している航空運賃が十分安価なものに設定されていなかったという指摘を受け、指摘を受けた在外公館、つまりその時5つだったと思いますが、サウジアラビア、ヨルダン、タンザニア、ジッダ、イランの館長、私(大臣)、当時の官房長が、監督責任を示す観点から、給与月額10%を1ヶ月分返納する措置を取ったわけであります。私(大臣)はこの会計検査院の指摘を受けたときに、国民の税金をもっと節約できたはずなのに、その努力をせずに、人によっては差額をエコノミーで来るという規定にもかかわらずビジネスで帰ってきたり、そういう事例があるということで、これはやっぱり厳しく受け止めなければいけないと。そして自らも範を示す必要があるということで10%の返納を決めたわけであります。その後、同様のことが他の館においてないかどうか調査をして参りました。その結果、8つの公館において会計検査院が指摘したのと同じようなことをやっていることが判明をいたしましたので、これらの公館長に対しても同じような厳重注意と給与の自主返納ということを決定したところであります。ザンビア、エジプト、スーダン、イエメン、マダガスカル、ボツワナ、セネガル、パナマの8公館であります。セネガルはその中でも特に問題があったということで給与の20%返納を命じたところであります。今後、税金の使い方として納税者から批判を受けるようなこういうやり方は、この外務省からなくなるようにしたいと思っているところであります。
(4)政務三役会議について
【大臣】政務三役会議ですが、特にご報告することはないかと思います。
【フリーランス 岩上氏】中国の楊潔チ外務大臣と会談されて、東シナ海のガス田の問題で「中国が単独開発をしようとしているのであれば、それは許されないことである」と毅然とした姿勢を岡田大臣がお取りになったと報じられております。このしかるべき措置というのがどういうことを指すのか、また、中国側の反応はどのようなものであったのか、その見通し。そして、少し欲張った質問になって恐縮なのですけれども、この日本と米国の安全保障条約署名50周年にあたっての共同発表の中に、この大きな目的として、「中国が国際場裡において責任ある建設的な役割を果たすことを歓迎して迎え入れることを日米協力してやっていく」ということが謳われているわけですけれども、このガス田の問題もそうですが、この問題に関して、日本側の姿勢に対して米国がどのような側面的な支援をしてくれるのか、外交的な支援をしてくれるのかという点についても併せて言及して、ご見解をいただければと思います。
【大臣】この東シナ海の資源開発の問題について、先般の楊潔チ外相との間の日中外相会談で、かなりの時間を取って議論することになりました。このガス田も色々あるのですけれども、問題になったのは、中国側のいう「春暁」、日本側でいう「白樺」であります。これについては、2008年6月18日に日中が合意した中に「日本法人が「白樺」の日中中間線の中国側において、中国側が既に着手した場所における開発に対して、中国国内法に従って出資による参加を行う」と合意をしているわけであります。ですから、共同開発ではありません。共同開発を認めたのは北部海域でありまして、そこはよく混同されることがありますが、「白樺」については出資ということが規定されております。規定されているにも拘わらず、具体的にそれを進めるための交渉が、これは北部の共同開発を含めてなのですけれども、つまり2008年6月の合意を実施に移すための話し合いが実質的には進んでいないということに対して、「レベルを上げて早く進めるべきだ」と私(大臣)は主張いたしました。そして「仮にこの「白樺」における開発が進むということであれば、それは約束違反である。つまり、出資を受け入れると言っているわけですから、今は開発行為は止まっているわけですが、それにも拘わらず開発行為を再開するということになれば、それは合意に反することになる。そういうことにならないですね」ということで議論をしたところであります。
中国側に「出資と共同開発は違う」と言われました。確かにそれは違うわけではあるのですけれども、しかし、出資も含めて合意の中に入っているわけですから、合意を実施するための具体的な手続きを話し合うことが進まないことは問題ですし、進まないまま、もし開発に行けば、それは重大なことだと申し上げたところであります。
それから、この問題で別に日米同盟がどうこうということではないと思います。これは日本として中国側と合意に基づいたきちんとした手続きを進めることを求めていくということに尽きると思います。
【フリーランス 岩上氏】大臣が「しかるべき措置を取る」とおっしゃった点、その「しかるべき措置」とはどのようなものでしょうか。
【大臣】まだそういうことになっていませんので、それは言わない方がいいと思います。
【共同通信 斎藤記者】これまでの報道及び取材した範囲では、日本政府はいわゆる非公式の実務レベル協議を通じて中国側に「早く共同開発に向けた条約締結交渉をやろう」と働きかけたと理解しております。それに対して中国側は、これまで明確な形で前向きな回答を寄せていないと受け止めております。これまで相当な期間、水面下で働きかけをしてきたにもかかわらず、実務レベル協議でなぜ進展がみられないのか、この原因はどこにあるのか、そして、それを乗り越えるために何をしなければいけないのか、その点についてご説明をいただきたいと思います。
【大臣】これについて、「中国側はなぜ協議に熱心ではないのか」ということの背景は、想像になりますので、外務大臣である私が安易に申し上げない方がいいと思います。ただ、私(大臣)としては、事務レベル、課長レベルで議論が十分に進まないということであれば、レベルを上げて議論した方がいいと考えております。首脳間では、2008年の合意において、お互い言及して「これは良いことだ」ということになっている訳ですから、首脳間でそう認めているのなら、早くその具体化について話をするというのは当然だと思っています。
【朝日新聞 東岡記者】JALがきょうにも会社更生法の適用を申請します。海外でチケットなどをめぐって混乱が起きる可能性もありますけれども、外務省としてどのような対応を予定されているのでしょうか。
【大臣】具体的にどうなるかということは色々報じられておりますが、政府として、本日、政府の方針が決定される予定でありますので、「そういうものが決定されたら」という仮定の議論としてお話しせざるを得ず、その方がいいだろうと思います。日本航空の安全で安定的な運航に支障がないように適切な処置を取ることが必要だと考えています。そして、それは前原大臣からもそういった要請を受けております。したがって外務省としてもこれに全面的に協力したいと考えております。政府の方針が決定されれば、関係国・地域の当局に対して、在外公館等を通じて、日本航空が円滑な運航が継続できるよう説明し、理解と協力を要請していく考えでございます。
【共同通信 西野記者】共同発表についてお伺いします。普天間移設問題の関連です。共同発表では、「沖縄の基地負担を軽減するとともに、変化する安保環境の中で米軍の適切な駐留を含む抑止力を維持する現在進行中の努力を支持する」と指摘してあります。これは普天間問題を含む米軍再編の推進をやっていくという趣旨なのでしょうか、ということが細かい話でありまして、それに連なる話として、同盟深化の作業と普天間問題の早期解決がどのようにリンクしていくのか、お考えをお聞かせください。
【大臣】素直に読めば、ご質問のことのようなことにならないと思います。別にここで普天間を特定しているわけではありませんから。一般論としてお読みいただければ結構だと思います。
【TBS 樋口記者】今の共同発表について続けて質問します。2ページ目のところに「閣僚は、中国が国際場裡において責任ある建設的な役割を果たすことを歓迎し」という部分がございますけれども、これは中国の具体的などういうことを念頭に置いて盛り込まれた文章なのか、あるいはそういったことは、今後、同盟深化の協議の中で大臣としては取り上げていきたいというお考えか、お聞きしたいと思います。
【大臣】これは別に具体的なことを言ったわけではありません。一般論として言っております。たしか1996年の時も中国について同様の趣旨の言及があったのではないかと私は記憶しております。
【TBS 樋口記者】中国のことについて深化の協議の中で取り上げていかれるかどうかは。
【大臣】この議論を行うに際して、まず現在の日本およびアジア太平洋地域における安全保障環境が現状どうなっているか、あるいは将来どういうふうになっていくかということについて共通の認識を持つということは非常に大事なことだと思います。その際にやはり中国の動向は当然議論することになります。その上で、中国にどういう役割を期待するか、あるいは中国の存在に対して同盟がどういう機能を果たすかということも当然議論が(行われます)。それをどこまで書き込むかということは、これからの問題ですが、一つの大きなテーマだと思っております。
【毎日新聞 野口記者】同じく共同声明に関してなのですけれども、共同(通信)の西野さんが触れていた「米軍の適切な駐留を含む抑止力を維持する現在進行中の努力を支持し」というところは、要はアジア太平洋地域の安全保障環境を考えて、米軍の抑止力が必要であるというような認識を示していると思うのですけれども、こういった同盟深化の協議を続けることと、先週も質問で聞いたのですけれども、政府与党の沖縄基地問題の検討会のほうで社民党がグアム移転を提案するような方針でして、やはり同盟深化の議論と政府与党の検討委員会の両方をリンクして考えないと、やはり結論がなかなかちぐはぐなものになってしまうのではないかと思うのですが、この2つの協議のリンク、関連について、どうでしょうか。
【大臣】この文章を関連づける必要はないと思います。これは「適切な駐留を含む抑止力を維持する現在進行中の努力」ということですから、ここで普天間まで絡めて読むのは深読みのしすぎだと思います。ただ、普天間代替の施設を考える時に、今米軍の果たしている抑止力をどう考えるのかということは当然無視をして議論はできませんから、代替施設を考える時の一つの論点になるということは当然に言えると思います。
【NHK 別府記者】私もこの「努力」のところでつまづいて、原稿を書いていて、どう分かりやすく視聴者に伝えられるかと困ったのですが、具体的に「ongoing efforts」というのはどういうことを指しているのかパラフレーズいただけないかということと、声明の中に実態的にはかなり話題になっている普天間が触れられていないということは、どういう狙いがあるのでしょうか。
【大臣】これはもう少しスコープの長い話ですので、目の前にある普天間の話をここに触れる必要はないと判断したわけであります。そこについては別途5月までに結論を出すということで我々は政府の中で議論しているわけでありますので、そのことはむしろ触れなかったことが不自然だとは全く思っておりません。むしろ触れるということは全く念頭にありませんでした。
「現在進行中の努力」というのは、まさしく様々な米軍が日本にあることによって維持されている抑止力を維持するための努力ということですから、これは今やっていること全てと受け取っていただければ結構だと思います。
【琉球新報 滝本記者】今の共同声明に関連しまして、抑止力に関連するのですが、先程の沖縄部分の次の次の段落の「グローバルな文脈における日米同盟の重要性」云々というところで、必要な抑止力を維持しつつとあるのですが、その抑止力というものがどれだけ必要なのか、現状があって、将来的に見たときにどうなのか。抑止力という言葉は曖昧な言葉なので、よく分かりにくいのですが、米軍のプレゼンスが当然抑止力になっているわけですが、そのあり方も議論の一つになっていくのでしょうか。
【大臣】先程申し上げたように、当然、どのような安全保障環境にあるかということを議論して、その安全保障環境を維持、改善するために何が必要かということを議論するわけですから、その中には当然、米軍の抑止力というのは重要な大きなファクターと入っていることは間違いないと思います。それを今の安全保障環境、あるいは将来の安全保障環境に対して維持するためにどういう抑止力が必要なのかということを議論するということです。
【共同通信 上西川原記者】共同声明についてです。この中に「米軍と日本の自衛隊との間の協力を含め、協力を深化させていく」という表現があるのですが、いろいろなことが想定されると思うのですが、現時点でどのようなことが考えられるのか、可能な限り教えて下さい。
【大臣】これは、ですから、自然災害、人道支援、その他のことを言っているわけです。そういうことも含めて検討していくということです。現に、災害時、そういうときに日米協力してやるということはあるわけです。物品、便益の供与もできる形になっているのですから、そういったことを言ったものと理解していただければいいです。
【朝日新聞 鶴岡記者】同盟のグローバル化についてです。大臣は民主党代表時代に国会で、小泉総理の「世界の中の日米同盟」を批判して、「日米安保は世界規模に拡大するものだ」と批判をされましたが、今回のグローバルな文脈における日米同盟と、世界の中の日米同盟と、どう違うのでしょうか。
【大臣】これは、中身の問題だと思います。私(大臣)が小泉さんを批判したのは、自衛隊が米軍の後方支援という形で世界に展開するということです。このことは、そういったことを前提にした議論ではありませんので、グローバルな課題について日米で協力するということは様々考えられる訳ですから、私(大臣)が当時申し上げたことと矛盾するものでは全くありません。
【NHK 禰津記者】今年、日米安保50周年をきっかけに、いろいろなレベルで「日米安保のこれからのあり方」や「日本における米軍基地のあり方」とか、そういった議論になる年になるのではないかと思いますが、これまで必ずしも、国民レベルを巻き込む形で、「日米同盟のあり方」や「在日米軍基地のあり方」等の議論ができていなかった部分もあるのではないかと思います。これから、そういった部分の必要性やあり方について、どのように大臣として感じてらっしゃいますでしょうか。
【大臣】そういったことについて、なるべく率直に語りたいと思います。例えば、米軍が存在することが、日本の安全に直接意味を大きく持っていることすら忘れがちです。或いはアジア太平洋地域の安全のために日米同盟というのが非常に重要な役割を果たしているということもなかなか国民の中で理解が共有されていない部分があると思いますので、そのようなことを率直に語るということが必要だと思っています。例の普天間基地移設問題を巡るいろんな議論の中で、橋下大阪府知事が、関西空港と言われたのは、私(大臣)はあまり現実性がないとは思いましたが、「この普天間問題は沖縄だけではなくて、全国民が背負わなければいけないことだ」と言われたことは、そのとおりですし、もっと国民に対して率直に語っていかなければいけないと思っています。その前提はやはり、「日米安保、或いは米軍基地によって日本が大きな恩恵を受けている」ということをもっと理解してもらわないといけないと思っています。
【フリーランス 岩上氏】発出された文章を見ますと、「共同発表仮訳」とあり、日本語が仮訳になっています。ということは、この共同発表というのは、正文は英文ということになるのでしょうか。50年を迎えた日米安保の条約の文書、過去の物を先日見直してみましたが、当時の条約の文章は英文と日本文の両方がそれぞれ正文でした。対等な国家として、それぞれの言語で正文を作り条約を交わし、署名をしたという形になっております。再三、2005年の日米同盟の文章のことを大臣にご質問をさせていただいておりますが、それも見直してみますと、正文が英文であって、日本文というのはただの仮訳で、つまりは言語的にいっても従属する形になっているように見えます。「たかが」というように思われるかも知れませんが、外交というのは、国家と国家が対等でやっていく時に、お互いがどういう言語できちんと取り結ぶかというのは、非常に重要なことではないかと思いますが、対等な日米同盟ということを掲げて発足した鳩山政権において、足下で決して対等ではないような条約の結び方というのは、いかがなものかと思いますが、ご見解をお示し下さい。
【大臣】私(大臣)はそのように考える必要はないと思います。条約であれば、もちろん正文は日本語でも必要で、きちんと英語と日本語で整合性のあるものを一字一句確認をして、その日本語を基にして国会で審議も行われるということになります。この共同発表は、一つはつい最近まで語句を(両国間で)やり取りしていましたので、時間的にあまり余裕がないということと、英語なら我々は分かりますけれども、日本語だとなかなか、それを(先方が)チェックするとなると時間がかかるということです。そのような中で英語がベースで、日本語も付けてありますが、もしそこに違いが出た時は、英語の方が正しいということを念のために書いてあるだけですから、それをもって何か従属しているとか、そのように考えることは全くないと私(大臣)は思っています
【琉球新報 滝本記者】共同声明に関して、大臣は従来から仰られておりますが、日本における米軍の存在が、日本の安全・防衛にとって果たしてきた役割がなかなか国民に共有・認識がされていない部分があるというように仰っておられました。しかし、こと沖縄に関しては、米軍の存在というのは「安全」ということよりも「脅威」であり、沖縄県民にとってその存在自体が脅威となることが多々あります。そういう意識がある沖縄にとって、この日米安保条約署名50周年記念に、沖縄という単語が入っている共同声明を出される意味をどのようにお考えでしょうか。また、沖縄県民に対してどのようにお伝えいただけますでしょうか。
【大臣】今のご意見は「沖縄はこうだ」という前提に立ってますから。私(大臣)は沖縄は多様だと思っております。
【共同通信 上西川原記者】安保条約改定50周年に関する共同声明に関して、日米同盟についてこの中(共同声明)でこれから多様に幅広くやっていくということになっていますが、そのコアな部分というのはやはり安全保障ではないかと思われます。ただ、これ(共同声明)を何回か読んだのですが、「安全保障分野において日米がどう具体的に協力していくか」について具体的な記述が見当たりません。先程から言われている1996年の安保共同宣言以降、アジア太平洋地域に安保条約、日米の役割が拡大して、米軍の後方支援をする自衛隊の役割拡大という一定の方向性がこれまであったと思いますが、それについてこれから大臣として安全保障、日米の米軍と自衛隊の役割分担をどのような具体像をお考えでしょうか。
【大臣】私(大臣)の1996年宣言の理解は「米軍の活動範囲、つまり、日本の基地をベースにした米軍の活動範囲というのは、実は日本及び極東だけではなくアジア太平洋である」ということを、追認的に明らかにしたというところに最大の意義があると思っております。そこに「後方支援して自衛隊まで」というところまでの意味は、そういうラインもあったかも知れませんが、私(大臣)は明確にはそこには出ていないというように1996年の宣言を理解をしております。あの後、周辺事態法等も出来ました。あれも日本の安全を守るための法律、日本の平和にこのまま放置すれば影響が及ぶ場合の事態についての法律ということでありますので、米軍がアジア太平洋で活動し、その後方支援に自衛隊がどんどん出て行くということまで規定したものだとは、必ずしも思っておりません。役割分担をこれからどうすべきかということを議論するということです。
【NHK 梶原記者】日米同盟について総論的な質問をしたいと思います。これから同盟の深化に向けた協議が始まると思うのですが、その同盟の取り組むべきテーマというか、今後数十年過ごしたときに、どういう脅威が考えられるのか。特に中国が軍事力を増強していますが、今、米国を中心として、アジア各国に同盟関係を結んでおりますが、こうした秩序に挑戦してくる可能性について、どのようにお考えになりますか。
【大臣】あまり「脅威」という言い方をしないほうがいいと思います。ただ、中国は経済的にも非常に成長をしていますし、軍事力も増強していますから、中国を現実の「脅威」にしないためにどうしたらいいかという議論は必要かと思います。
【読売新聞 石川記者】今の質問に関連しますが、日中、日米の関係について、昨年末、民主党の訪中団が行かれたときに、山岡国対委員長が副団長として上海で講演されて「日米中というのは等距離の正三角形である」というご認識を示されました。これに対して前原大臣などがテレビ番組などで「正三角形という関係はおかしいのではないか」と発言されていますが、外務大臣として、こうした正三角形論に対してどういうご見解をお持ちでしょうか。
【大臣】どういう視点で議論をしているかによって違うと思いますので、あまり分かり易く言うつもりはないのですが、経済という面で見れば、確かに(日本にとって)今や中国は米国と並ぶ、あるいはそれを超える貿易相手でありますし、米側から見ても、日本よりも中国はそう(重要な貿易相手)なのです。ですから、経済の世界で見れば「正三角形」という理論もあながち間違いではないと思います。ただ、日米は同盟国です。そして、自由、民主主義や市場経済という共通の価値を共有し、安全保障面でも条約を持っている同盟関係にある2つの国と、そうでない政治体制の違う中国と同じであるはずがないと思います。もちろん、私(大臣)は「中国は非常に大事だ」という前提で言っています。
【朝日新聞 鵜飼記者】同盟深化の協議の今後のスケジュール感について、何か思い描いていることがあれば、ご教示頂きたい。また、5月に普天間問題の決着をつけることになっていますが、これが片付かない限りは議論が深まらないのではないかという指摘や、連立政権の中に社民党を抱えておられて、安全保障に関する議論はなかなか難しいのではないかというような指摘もありますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】まずは高級事務レベルで、どこかで2+2の閣僚レベルで(会合が)あってと思っています。今年の前半と大体は見当をつけているのですが、まだ具体的に決まった訳ではありません。実務レベルで少し議論が煮詰まってきたところで、2+2という形でやりたいということです。「普天間の問題を5月中に」ということで、それまではなかなか腰が入らないという見方もあるかもしれませんが、現状認識の共有化とか、これは非常に大事なことなのですが、そういうところはどんどん議論できると思っております。
【北海道新聞 佐藤記者】先程、他の記者の方からの質問でお答えにならなかったので、もう一度改めてお聞きします。同盟深化の議論ということになると、今後おそらく安全保障の分野が絡み、日米で協議することになると思うのですが、今の普天間の日本国内の議論を見ていますと、岡田大臣のお考えと社民党の考えの間に、かなりの開きがあるのかなというように思うのですが、今後、同盟深化の議論で、安全保障の分野を米国と協議していく際に、こういった日本国内の意見の相違とか、そういうものが障害になる可能性があるとお考えでしょうか。
【大臣】障害にならないように、十分に意見交換をしていかなければいけないというように思います。
【J-CASTニュース 亀松記者】日米安保条約に関連して、少し古い話になりますが、お尋ねします。1月19日というのは、現在の日米安保条約が調印された日であると同時に、東大の紛争で安田講堂が陥落したという日でもあります。これはご存知のように、第二次安保闘争で、(日米安保条約を)巡って行われたものでもあります。その時、岡田大臣は高校生だったかと思うのですが、どのような思いで、日米安保闘争、東大紛争等をご覧になっていたのだろうかということをお伺いしたいと思います。
【大臣】私(大臣)は(その当時)高校生ではありません。中学生でした。中学三年生で、確か、私(大臣)が受験した学校は(試験が)早かったものですから、それが終わった直後だったかなと(思います)。前だったかもしれません。記憶にございませんが、いずれにしても、大事な時期の一日を、それを見ることで過ごしてしまったという苦い思いがありますけれども、その時は中学生でしたから、あまりそれ以上の関心はありませんでした。
【フリーランス 上杉氏】ハイチ大地震について質問させていただきます。民主党の方は先日、国会議員を二人、須藤衆議院議員と藤田幸久参院議員を(ハイチに)派遣しました。政府としては、大臣を含めて政務の派遣というのを予定しているのかどうか。そして、先週質問させていただきましたが、在日ハイチ大使が日本政府からの支援聴取という形で接触したかどうか。先週、事務当局にうかがうと言っておられましたが、結果としてどうなりましたか。
【大臣】在日ハイチ大使の件については、確認しませんでした。すみません。政務の人間を出すことは今、考えておりません。民主党からはぜひ(ハイチに)派遣したいということでしたので、先般(党の方に)返事を差し上げたのですが、現地では便宜供与できませんということです。隣国のドミニカのハイチ国境まではできますが、実際ハイチの中に入ってしまったときに便宜供与するだけの人員がおりません。それよりは、人命救済、そのための連絡とか、そういった仕事に専念させますので、そこは了解してくださいということを藤田(民主党)国際局長には申し上げたところです。そのくらい厳しい状況です。大使館員も住居が壊れて、車の中で寝泊りしていた。最近、ようやくホテルが確保できたということですけれども、それまでは何日か車の中で夜を過ごしたという状況で、なかなか電話も通じなかった、という状況ですので。また、治安状況もかなり厳しい、またかなり厳しくなる可能性がある状況でありますので、もし我々が入ったとしても、どれだけ役に立てるかということを考えたときに、今はその時期ではないというふうに思っております。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読します。ハイチ大地震の救助活動で、これまでにない中国政府の迅速な対応が注目されております。こうした国際活動はとても重要だとは思うのですが、日本が積極的に世界に貢献、アピールしていく代表的な外交政策は、短期、中期的にはどのようなものになるのでしょうか。年の初めということもありまして、改めてお考えをお聞かせください。
【大臣】少し質問が大きすぎて、非常に答えにくく、一言では言えないことだと思います。ただ、今回のことを考えた時に、今日もどこかの新聞が、日本の対応について、いろいろご意見を言っておられ、その意見を載せておられました。今、中国のことを言われましたけれども、中国は(ハイチに)PKO部隊を出しています。そして、もう一つは、(中国は)ハイチと国交がありません。(国交が)ないから、なるべく存在感を発揮したかったという部分があったのかなというように思います。せっかくのご質問ですから、遅かったのではというご意見、前回も出ましたが、そのことについて一言申し上げたいと思います。ハイチは、PKO部隊が展開している治安状況にあります。そこに、我が国の場合には、武器を持って行ってはいけないということになっておりますから、丸腰の人を派遣するということについては、やはり慎重にということはぜひご理解をいただきたいと思っております。そういう意味で、まず調査団を出し、その上で医療チームを派遣したということであります。今の前提の中ではやむを得ないことだったのではないかなというように思っております。
【朝日新聞 東岡記者】ハイチの地震についてお尋ねします。先程、民主党の議員団が視察に行くことについて、ハイチの(日本)大使館の現状などを踏まえて、(ハイチ)国内では便宜供与できないというお話でした。そういうことから考えますと、こうしたタイミング、或いはハイチの現状において、今この時期に行く必要はないのではないか、或いは好ましくないと大臣はお考えでしょうか。
【大臣】それは党なり、個人の判断の問題です。行くべきではないというようには考えておりません。(ハイチに)行く顔ぶれを見ても、かなり厳しい状況の中でも何とか生存できる、やっていける人達ですから、それほど心配しておりません。
【読売新聞 川崎記者】今朝の閣議で、国会会期中の海外出張に関して、大臣から何かご発言をされたと聞き及んでおりますが、その中身についてお教え願います。
【大臣】閣議の中身、閣議での発言までは、(対外的に)言ってはいけないことになっているらしいです。「外務大臣が重要な会議に出れないということはなるべく避けてもらいたい」と、「もちろん国会対策にも外務大臣として協力要請はいたしますが、そのために政府としても努力してもらいたい」と申し上げたところです。
【読売新聞 川崎記者】関連して、そのように仰ったのは、具体的に直近の会議のことを念頭に置いての発言ですか。
【大臣】この月末にロンドンでアフガニスタンに関する国際会議があります。これは、かなり厳しいということは、私(大臣)も分かっているのです。常識的に考えれば、補正(予算)の非常に微妙な段階になる可能性が高いということであります。ただ、アフガニスタンに対する支援を様々議論する場で、しかもその中でも、旧タリバン兵士に対する社会復帰が議論の中心になりそうだということが現時点での感触です。この問題は、我が政府の5年間50億ドルの三本柱の今回新しく入った一つとして、日本として力を入れてきましたし、現に国際社会でも、この問題は、実務的には日本と英国が中心になって議論してきた訳です。その全体をもう一回、大臣レベルで議論する場です。G8外相、ドイツも外務大臣が出る方向だと聞いておりますが、まだドイツとイタリアははっきりと決まっていません。他は全部、外務大臣が出てくる訳です。英国のブラウン首相も出席されますが。そういう中で、日本の外務大臣が出席できないということは極めて残念なことだと思っております。残念ながら、かなり諦めているのですが、今後のこともありますので、具体的な話を例に挙げながら、「今後、宜しくお願いしたい」と申し上げました。
【日本インターネット新聞 田中記者】アフガニスタン支援についてお伺いします。タリバン帰還兵への再就職に資金援助をするというのは、非常に目の付け所が良いと思うのですが、これは、直接彼らに、本人に手渡すようにしないと、(アフガニスタン)政府に渡したら、どんどん袖の下で(資金が)消えていってしまうのでは(と思います)。日本で言ったら、高校進学手当を飲んだくれの父さんにあげることと一緒になってしまうのですが。せっかくの税金が無駄に使われてしまうので、そのあたりは何か対策をお考えでしょうか。
【大臣】今の例がいいとは思いませんけれども。
【日本インターネット新聞 田中記者】もっとたちが悪いですよ。
【大臣】ただ、国民の税金ですから、それは無駄なく使われるようにしなければならないと、これは日本だけではなくて他の国もそう考えている訳です。今考えているのは、例えば、職業訓練などを行って、社会復帰し易いようにする。お金を渡すのではなくてです。
【日本インターネット新聞 田中記者】例えば、職業訓練の現場そのものの学校に渡すようにしないと。政府に渡すとどんどん消えていってしまいますから。
【大臣】例えば今でも職業訓練、これはタリバン帰還兵ではないのですけれども、私(大臣)も行きましたが、カブールでJICAが行っている(職業訓練がある)のですが、これは(アフガニスタン)政府が行っている訳ではありません。JICAが直接行っていて、丸ごと政府にお任せするということは、ある程度はあるかとは思いますが、こういうものはなるべく直接行うということ、或いは、いろいろなNGOを活用できるかもしれません。そういう手法でやっていく、なるべくそうしたいというように思っています。
【フリーランス 島田氏】日本のアニメーションやマンガ、ゲームが海外の若者にいろいろと影響を与えるという話をよくうかがいます。その日本のアニメーションを楽しみたいから、吹き替えではなく、字幕でも楽しみたいから日本語を覚えたという話も聞きます。大臣の文化外交についてのスタンスをお伺いしたいと思います。
【大臣】一般的なご質問なので、答えは難しいのですが、そういった日本のアニメやゲーム、ゲームのキャラクター、そういったものは、日本を若い海外の人に知ってもらうための非常に有効なものだと思います。先日、私(大臣)は出席できませんでしたが、国際的な漫画の表彰を外務大臣としてさせていただいたのですが、文化外交も非常に重要だと思っています。文化外交の中の一部ですが、日本に関心を持ってもらう大きなとっかかりになるものですから、そういったものは非常に大事だと思っています。
【朝日新聞 倉重記者】今朝、菅財務大臣が閣議後会見で「密約について財務省もしっかり調査するように指示をした」と発言をされました。以前、会見で私が大臣に質問した際には、「財務省に、特に要請するつもりはない」と仰っていたのですが、大臣が命令を出されている第4番目の密約について非常に財務省側の文書というものが関係してくると思いますので、改めて受け止めをお願いいたします。
【大臣】今、検証委員会が検証をしているところです。その中身を申し上げる訳にはいきませんので、報告書でご覧いただきたいと申し上げておきたいと思います。
【朝日新聞 鵜飼記者】エコカーの補助金のことについてお伺いします。ハワイの日米外相会談でクリントン国務長官の方から配慮して欲しいという要請があったと理解しております。それを受けて米の測定した燃費値を日本の申請にも使えるようにするのだということで、政府内で調整を進めているというように承知しております。岡田大臣は外相会談を受けて、帰国されてからどういう指示を出されたのか、エコカーの補助金に米国車が対象に含まれるということに対してどういうお考えでいらっしゃるのかお伺いします。
【大臣】これは政府の中で検討中であります。中心になっているのは経済産業省ですので、間もなく結果がまとまるのではないかと思います。まだ、それがまとまる前ですので、私(大臣)が色々なことを言わない方がいいと思います。私(大臣)が日本に帰ってきて直嶋大臣に申し上げたのは、「これは早くした方がいいと思う」と、「迅速に対応した方がいい」と申し上げました。
【読売新聞 川崎記者】冒頭に大臣の方から御報告がありました健康管理休暇に関する処分で在外の8公館の措置がありますけれども、全部大使館なので処分の対象となった館長というのは全員が大使ということでいいのかどうかということと、セネガルだけ給与月額20%(返納)と処分の金額が倍になっておりますけれども、セネガルが特に重い理由というのは具体的にどういうことなのか、ご説明下さい。
【大臣】名前は言いませんが、全員大使です。なぜセネガルかというのは、実は平成20年度第4四半期においても問題があった公館を対象にしてこの8公館を追加的に、会計検査院に指摘されたのと同じ基準ですけれども、選び出した訳ですが、セネガルについては平成21年度第1四半期においても、なお問題があったと、より悪質であるということで20%ということにいたしました。
【フリーランス 岩上氏】「『中国の脅威』という言葉はなるべく言わない方がいい」と仰られました。これはある意味、外交する上でごもっともだと思います。しかし、他方で従来型の兵器による戦争というような軍事的な脅威に限らず、サイバー兵器によるサイバー攻撃が日常化するようになってきております。先日もグーグルが中国においてサイバー攻撃を受けて、(事業を)撤退するということを表明したりとか、大変大きな騒動が起きかかっていると思いますが、日本の企業も中国への進出に傾斜しておりますし、またサイバー攻撃というのは国境を楽々超えうるものであって、戦争か平和か、戦時か平時かという、白か黒かという間のグレーゾーンが今、どんどん広がっている状況にあります。広い意味で、これも安全保障に入ることであろうと思いますけれども、自衛隊が出動するようなレベルのものなのか、それもと外交的な解決によるものなのか、民間企業の自助努力で防衛していくものなのか、いずれにしてもこういったことも含めて、広い概念で「脅威」というものを考えなくてはいけないのでないかなと思う訳ですけれでも、こういった点について、大臣のご見解をお示し頂きたいと思います。
【大臣】まず、グーグルが中国撤退とか、そういう議論をしているのはサイバー攻撃ということよりも、そこに規制がかかるということに対して見解が違うということだと私(大臣)は理解しています。しかし、サイバー攻撃、或いは宇宙における攻撃、衛星を撃ち落としたりとか、そういう新しい形での、今まであまり考えられなかったようなものが様々出てきておりますので、そういうことも安全保障環境の変化のひとつ、新しい分野として捉えていかなければいけない問題だと思います。
【琉球新報 滝本記者】以前お伺いした原子力潜水艦の寄港についてです。事前通告でメディアには事前に開示されていないという点について、(回答を)頂ければと思います。
【大臣】ちゃんと用意しておいたので聞いて頂いて良かったのですけれども、これは9.11、2001年9月の同時多発テロを受けて、米国側から、我が国寄港中の米艦船に対する万が一の脅威がないようにとの善処の要請があったことを受けて、自治体には通知しますが、公表はしないという措置を執ったものであります。そして、その状況はまだ変わっていないというか、米国側からは引き続き一般公表は控えてもらいたいという意向が伝わっておりますので、そういう状況も考えて、自治体には通知いたしますが、一般公表はしていないという措置を続けているということであります。
【琉球新報 滝本記者】大臣になられてから、米国側に改めて確認されたということでしょうか。
【大臣】随時、それは確認しております。
【共同通信 斎藤記者】本日の衆議院本会議での鳩山総理の御発言を紹介したいと思います。政治と金をめぐって、鳩山総理は「小沢幹事長が潔白を主張していることを信じるのが、党首としての基本です」と、このように仰られました。大臣のこうした鳩山総理の発言に対する受け止め、また、同じような気持ちをお持ちかどうかお伺いしたいと思います。
【大臣】私(大臣)は昨日も少し申し上げましたが(テレビインタビューにて)、これはまさしく小沢さんと検察の間で取り扱いを巡って、いわばせめぎ合いと言いますか、非常に微妙な状態になっております。そのときに私(大臣)がコメントすべきではないと考えております。
(1)ハイチへの緊急援助隊派遣について
【岡田大臣】まずハイチの地震の件ですけれども、ハイチの地震災害支援のために国際緊急援助隊派遣法に基づいて、国際緊急援助隊医療チームを派遣することを決定いたしました。同チームはJICAに登録する医療関係者、外務省職員、JICA職員から成り、被災者に対する医療活動を行うというものであります。なお、医療チームの人員および機材については、マイアミからハイチまで自衛隊の輸送機Cー130で輸送する方向で防衛省と現在協議中であります。全体で20数名程度、そして明日16日に成田発でマイアミに入る予定でありますので、現地での治安状況、安全確保対策など先行隊の情報等も総合いたしまして、確認したうえで、早ければ17日にマイアミを発ってハイチに入る予定であります。たまたま訓練中の自衛隊のCー130がアメリカに駐機中でありましたので、その機体を使って行うものであります。
(2)閣議及び政務三役会議について
【大臣】政務三役会議或いは閣議の報告といたしましては、閣議では私(大臣)の方から先般のハワイにおける日米外相会談の模様をご報告いたしました。それからハイチのその時点における状況について報告を閣僚懇でご報告をしたところであります。たまたま閣議ではハイチに対する無償支援の決定がなされたところであります。
閣議では人事案件の決定をされました。それから閣僚懇で、日独外相会談の報告をしたところです。
(政務三役会議では)武正副大臣から中央防災会議の報告、そして福山副大臣から総理と潘基文国連事務総長との電話会談の報告などがありました。
【共同通信 斉藤記者】海上自衛隊のインド洋の給油支援活動についてお伺いします。本日いっぱいでこの活動は終結ということになりますが、改めてこの8年間の給油支援活動をどう受け止めるか、成果をどう評価するか、そしてさらに今後、民主党、鳩山政権として新たな人的貢献策を打ち出すのかどうか、この点についてお伺いします。
【大臣】自衛隊のみなさんは、非常に厳しい環境の中でよくしっかりと活動していただいたと、そのことに対して心から感謝申し上げたいと思います。この活動自身長きに渡りましたが、当初は9.11のテロ攻撃を受けて、米国の自衛権の行使、そして国連における米国の行動に対する理解ということを受けて日本としても法律を作ったものだと理解をしております。ただその後、アフガニスタンのタリバン政権も崩壊をし、性格が次第に変わってきたことは否めない事実です。そういう中で、基本的に同じ枠組みの法律で続けてきたということについて、我々は野党の時代でしたが、国会において様々な議論がりました。それから、具体的にどういう行動をしているのかということについても旧政権の間には情報公開が十分になされなかったという中でイラク戦争に参加をしている艦船に対する間接的な給油がなされたのではないかとか、或いはこれは政府も認めたと私(大臣)は理解しておりますが、初期の段階においては米艦船から直接アフガニスタンに対する空爆を行うと、これに給油するということもあったということで、プラスマイナス含めて様々な評価がなされたと思っています。後から振り返ってどこかの段階で一度検証する必要があると思っております。しかしそういうこととは別に、現場で非常にご苦労された自衛隊の皆様に対しては心から感謝したいと思います。今後どうするかということについては、インド洋に同じように補給支援をするという考えはありません。そのほかの人的支援ということですが、現時点では具体的なことを考えているわけではありません。
【北海道新聞 佐藤記者】今回、海上自衛隊撤収ということですが、一方で鳩山政権では、アフガニスタンに対する民生支援、5年間で最大50億ドルというのを決定しております。大臣は、就任時に100日以内の課題として、アフガニスタン・パキスタン支援を上げられていましたが、年末の会見では「日本としての対応は一応できた」というようにご自身で評価されておられました。実際、アフガニスタンでの活動を考えると、現地の治安状況の悪化ですとか、或いはカルザイ政権の体制など、いろいろネックになることもあるかと思いますが、民生支援の実現、民生支援を実際に展開する上でどのようなことを考えておられますか。
【大臣】治安状況は不変ではありません。状況は変化していく訳です。カルザイ政権は、スタートにおいていろいろありましたが、私(大臣)としては、きちんと各国の支援を受け入れて効果的な行政が遂行できる体制になることを期待しているところです。付帯的な支援というのは、三つの項目に分けて、既に発表させていただいているところですが、昨日のドイツもそうですが、トルコ、ロシア、それぞれ外相間で会談する中で、協力できる部分はたくさんあります。各国との連携をよくしながら、しっかりと意味のある支援をしていきたいと思います。具体的には、新しくカルザイ政権が発足して間もない状況ですから、これからよく現地の政府とも協議をしながら進めていきたいと考えております。
【共同通信 斉藤記者】インド洋での自衛隊の給油活動の件について、もう1点、補足的にお伺いしたいと思います。先程大臣のお答えの中で、今後の新たな人的貢献策については現在は検討していないとの話だったと思います。現在はないとして、今後、政権として、新たな貢献策というものを何らか打ち出す必要があるとお考えなのかどうか。そしてそれは、昨年、大臣はPKOのあり方の見直しについて講演でも言及された経緯もあると思いますが、このPKOの運用、この辺も視野に入れて考える腹案といいますか、大臣ご自身のお考えがあるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
【大臣】ご質問の趣旨がはっきりしないのですが。これは、つまりアフガニスタンの問題を言っておられるのですか。
【共同通信 斉藤記者】私のお伺いしたい趣旨としましては、確かに今回の給油活動というのはアフガニスタンですが、アフガニスタンという枠を超えて、もう少し俯瞰して見ますと、確かにアフガニスタンの支援であると同時に、日本としての広義の意味での人的な貢献策というように私は受け止めました。若干、私の見方が正しいか間違っているか、そこは議論があるのかもしれませんが、広義の意味で人的貢献策を、そうしたものを視野に具体的な策を今後考えていく必要があるのかどうかという点でお伺いしました。
【大臣】人的貢献策の定義にもよりますけれども、今、日本の外務省の職員もアフガニスタンで活動しておりますし、アフガニスタンに限らず、全世界あちこちで危険な状況の中で、政府も民間もNGOも活動しておりますので、そういった活動というのは、これからも必要だというように思っております。
ご質問の趣旨がもし自衛隊の活動ということのご質問であるとすると、今もPKOの枠組みがありますけれども、私(大臣)はよりPKO活動に対して、法改正するかどうかということは横に置いたとしても、今の法律の枠組みの中でもっと活動できる余地があるのではないかと思っているところです。具体的に何か決まったものは現時点ではありません。
【毎日新聞 野口記者】先日のハワイでの外相会談の関連ですが、日米で同盟深化の協議を始めることで合意しましたが、同盟深化の協議と政府与党でやっている沖縄の基地検討委員会、これはどうやってリンクさせていこうとお考えでしょうか。同盟深化の協議でアジア太平洋地域の安全保障関係について共通の認識を持てるように分析するということは、当然のように国内でどの程度米軍基地が必要か、どの位置に米軍基地が必要かという議論とリンクしてくると思うのですが、その点如何でしょうか。
【大臣】アジア太平洋地域における安全保障環境について共通の認識を持つということは色々な議論の前提として非常に重要なことだとは思います。ただ、1996年の橋本総理・クリントン大統領のときの文書を見ても、その(米軍基地の)位置がどこにあるべきかとか、日本の中でどこにあるべきかとか、そういう議論と必ずしも直結するようなものではないということだと思います。ですから、分けた作業としてそれぞれ進めていくということだと思います。
【共同通信 西野記者】日米外相会談についてですが、会談後の記者会見で大臣は先ほども触れられましたけど1996年の橋本・クリントンの両首脳の安保共同宣言に代わるものを目指したいということでしたが、共同宣言の後には周辺事態法や日米の防衛協力というものについて色々な枠組みがその後できたという歴史的経緯があると思います。自衛隊がアメリカとの安全保障の中でどのような役割を果たすのかということも含めて、同盟深化の協議の中で話すことになるのでしょうか。
【大臣】周辺事態法はあの宣言が一つのきっかけになったことは事実だと思います。今回、日米同盟について議論をするということは何らかの法律とか、或いは制度の大きな変更につながるということを今想定している訳ではありません。しかし、あれから時間も随分経ちましたし、安全保障環境も変わってきた中で新たな情勢に対する共通の認識、その共通認識に立って、日本と米国が何をなすべきなのかということについて、しっかりと議論をし、できれば全体を一つの文書にまとめたいと考えております。
【フリーランス 岩上氏】ハワイ現地での記者会見に、私も含め、参加することができなかったフリーランスやネットメディアがございます。特に、ネットメディアはダイレクトに国民に岡田外相のお考えを伝えることができるので、もしかして重ねての質問になってしまうのかもしれませんが、今回のクリントン米国務長官との会談で、どのようなことをお話になられ、そして、どのようなことが決まったのか、そういったことについて、包括的にお話し願えないでしょうか。
【大臣】クリントン米国務長官との日米外相会談全体で60分の予定でしたが80分となりました。そのうち30分が日米両国に関すること、残りの50分がよりグローバルな課題についての意見交換ということになりました。最初の30分、日米両国関係の話でありますが、テーマとしては2つ。一つは普天間の移設の問題。時間的には10分足らずだったと思います。そして、中心になったのが、先程も話に出ております日米安保改定50年を機に、これから1年ほどかけて、もう一度日米同盟についてきちんと議論をする、より深めるための議論をするということについて、具体的に議論をスタートさせました。とりあえずは、1月19日が記念すべき日ということになりますので、日米の外相、防衛大臣の2+2で文書を出すということも最終的に確認をしたところです。その他、各首脳が声明を出す予定になっております。その中で議論されたことは、まず、アジア太平洋の安全保障環境についての共通の認識を持ち、そこから議論をスタートさせた方がいいのではないかということになりました。2+2の機会に大臣が集まるのは「本年の前半の何処かで」ということになりました。その前にまず、事務レベルで議論をスタートさせようということになったところであります。事実上、その議論はスタートしているとお考えいただいていいかと思います。私(大臣)がこの会談で強調させていただいたことの一つは、「やはり日米同盟というのは日本自身の平和のために重要である。そして同時に、アジア太平洋地域の平和と安定のためにも重要である」、或いは「日本の安全とアジア太平洋地域の平和と安定の2つの目的が日米同盟にはある」ということをです。
グローバルな課題に関して、まずは、アフガニスタン支援の問題があります。これはクリントン長官の方から言われました。50億ドルに対する心からの感謝。そして、(日米が)協力してアフガニスタンの民生支援をしっかりやっていこうと確認しました。あと、イランの核の問題。それから、ミヤンマーの民主化、本年に選挙が行われるミヤンマーの問題。それから、北朝鮮の問題。北朝鮮については、私(大臣)からニューヨークでお会いしたときにクリントン長官から拉致の問題について、米側から言及していただいたことに感謝を申し上げたところ、クリントン長官は、拉致家族の皆さんと日本でお会いした時の印象というものを語ってくれました。非常に印象に残ったことがよく分かりました。そして、気候変動、核不拡散・核軍縮、それから、(米国製の)自動車に対する日本のエコ補助金についても、クリントン長官から言及がありました。そういった問題について50分間(にわたり)お互い意見交換をしましたが、ほぼ考えている線は共通だし、これは昨日の日独外相会談もそうなのですが、方向性はかなり揃っておりますので、あとは、お互いが如何に協力し合いながらやっていくかということだと思います。(昨年)9月から3回目の会談でしたが、非常に有益な中身のある議論ができたと思っております。
【フリーランス 岩上氏】岡田外相が訪米される直前、12日の日米外相会談直前の11日に、クリントン長官がカリフォルニア州の空軍基地で現地の記者に対して記者会見を行いました。そこで、岡田外相との会談に臨むにあたって、「一つの問題よりも重要な同盟がある」という表現を使って話したとAFP電で伝えられ、それを産経新聞が報じておりました。この言葉は、7日のニューヨーク・タイムズに載ったジョセフ・ナイ氏の論文「an alliance is rather than one issue」という言葉をそっくりそのまま使ったものです。この論文の中には、「米国は普天間に対してずっと強硬姿勢をとってきたが、これを見直すべきで、このために日米関係、日米同盟という大きな同盟関係が損なわれることがあってはならない」と、米国の外交姿勢を転換させる非常に大きなサインを表すような論文で、全く同じ言葉をクリントン長官が(日米外相会談)直前に使っているという報道があったものですから、その報道を踏まえ、実際の会談でクリントン長官に軟化姿勢は見られたのでしょうか。
【大臣】普天間の問題は、それぞれが自らの考え方、それは外交ルートを通じて今まで何度か確認されていることですが、それを述べ合ったということです。米側は「現行の案が最善のものである」と繰り返したわけですし、我々としては「5月まで」という期限を切って、「今、政府与党の中で検討するための組織を作り、より良い場所はないかということを検討しており、5月までには結論をきちんと出す。併せて、並行して現行案に基づく環境影響調査は引き続きやっていく」と、今までの説明と同じ説明を繰り返し言ったところであります。お互いそういう意見を述べ合っているわけで、お互いの考え方が分かった上で、静かに議論が行われたということであります。「米国の態度が変わったか」ということですが、私(大臣)はそのようには思っておりません。普天間の問題は引き続き5月までということで、今の静けさがありますが、5月までにきちんと答えを出すということが大前提になっていると思っております。そして、普天間の問題だけではなく、同盟というものはもっと幅広く深いものであるということは、以前から米国がそういう考え方だということを私(大臣)は認識しています。だからこそ、いろいろな議論の中で今まで忍耐強く米側もやってこられたわけです。そういう意味で今回何か態度が変わったということではなくて、従来からそういう基本的なスタンスであると私(大臣)は思います。シンガポールAPECのときも同じように、よりグローバルな問題も議論したわけで、そのことは何度も強調するわけですが、日本ではなかなかそのことが伝わらないと思います。
【フリーランス 上杉氏】岩上さんと同じですが、ハワイでの日米外相会談に出席できなかったので、その件についてお尋ねします。大臣は先週の会見で「密約問題について意見交換というか意見報告はする」とおっしゃってましたが、結果として密約問題についてクリントン米国務長官と何か意見を交換されたのでしょうか。
【大臣】密約についても一言、私(大臣)から言いました。今第三者による検証を行っていることと、その作業は若干遅れ気味であるということも申し上げました。「この問題は、ほとんどは米国では法に基づいて情報公開されている話であり、したがって米国から見れば目新しい問題ではないかもしれないが、日本では今までそういった密約はないと言ってきたことを今事実はどうだったのか、ということを明らかにしようとしているんだ」ということです。このことが日米同盟にとって何かマイナスの影響を及ぼすということがないように、事前によく緊密に連絡していくということは申し上げました。
【フリーランス 上杉氏】クリントン米国務長官は、それに対してどのようなお言葉を。
【大臣】私の記憶ではあまりこのことにコメントがなかったような気がするのですけれども。うなずいていたぐらいじゃないですかね。
【NHK 禰津記者】1月19日は日米安保改定50周年の署名ですけれども、先日合意しました2+2の共同声明についてですが、大臣のお考えとして日米関係の今後についてどのようなメッセージを込めたいとお考えでしょうか。
【大臣】それは当日をお待ちいただきたいと思います。現在調整中です。
【共同通信 上西川原記者】(1月)19日の安保改定50周年にあわせて、首脳レベルでの声明を検討されているとのことですが、2+2で共同声明を出し、その上、さらに首脳レベルで出すことの意義と違いについて、もう少し詳しくお願いします。
【大臣】これは成り行きでそうなったので、私(大臣)もあまり論理的にこう言っている訳ではないのですが、2+2でやれば十分ではないかという意見もあるかもしれませんが、非常に重要な日米の同盟に係る話なので、両国の首脳も何らの声明を出すということです。(首脳レベルでの声明は)ないよりあった方がずっと良いと思います。ただ、最終的にきちんと決めた訳ではまだありません。
【時事通信 鈴木記者】日本航空ですが、本日夕方、前原大臣が鳩山総理とXデーをいつにするかということを決められるという最終的な局面にきているかと思うのですが、法的整理などに至った場合に海外で給油が受けられなかったり、着陸を拒否されたり、最悪の場合機材を押さえられたりといった色々懸念があると思うのですが、外務省としてどのような対応をお考えか教えてください。
【大臣】おっしゃった前段の部分については私(大臣)は確認をしておりませんので、コメントいたしません。全体的にお答えするとすれば、日本航空の安全で安定的な運行が確保されるということは非常に重要なことだと考えております。したがって政府としての方針が決定されれば、その方針はいかなるものかということはコメントいたしませんが、方針が決定されれば、それに基づいて外務省としても協力したいと考えております。
【時事通信 鈴木記者】具体的にどういう協力が考えられるとお考えですか。
【大臣】それは政府としての方針が決まった段階で申し上げるのが適当だと思います。
【琉球新報 滝本記者】今週末に、沖縄県の名護市長選挙の告示があります。(普天間基地の)辺野古への移設についての立場が違う予定候補者が二人いらっしゃるということですが、この選挙の結果が、普天間移設について、日米の協議が進む中で、どのように影響するとお考えでしょうか。
【大臣】今のこの段階で、個別の選挙についてコメントすることは適切ではないと考えています。
【産経新聞 久保田記者】国会開会前に、小沢幹事長の政治資金を巡るいろいろな動きが今出ておりまして、大臣は小沢幹事長のこの一連の強制捜査について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
【大臣】私(大臣)が、今、党の立場であれば、申し上げることはあるかと思います。しかし、政府の外務大臣(という立場)を務めておりますので、そのことに全力をあげ、鳩山総理の下で、この政権の予算をしっかりと成立をさせ、国民生活に不安のないようにする。外務大臣としても、しっかり外交をやる。そのことに専念したいと考えております。したがって特にコメントすることはありません。
【日本テレビ 小栗記者】小沢幹事長の政治資金の問題に関して、「閣僚の立場でまず仕事をする」というお話がありましたが、かつて民主党が野党の時に自民党の「政治とカネ」の問題を厳しく追及していたということから、政権交代の際には国民が「民主党はそこのところをきれいにしてくれるのではないか」との期待感があったのではないかと思います。その期待感が裏切られたのではないかという国民の気持ちに対して、鳩山政権にある立場の岡田大臣としてどのようにお考えなのか、お聞かせください。
【大臣】既に検察の捜査が入っている訳ですから、あまり簡単にコメントすべきでないと私(大臣)は思います。「捜査を見守る」ということであります。しかも閣僚という立場ですので、中途半端なものの言い方はしない方がいいと思っています。それよりは、今の外務大臣として目の前にある大きなたくさんの課題をしっかりとやっていくことが国民に対する責任の果たし方であるというように考えております。
【毎日新聞 須藤記者】小沢さんの件をもう一度お尋ねします。小沢さんは民主党の代表であられた方で大久保秘書の問題で辞任され、現在も民主党の幹事長で民主党にとって非常に重要な政治家でありますし、岡田外相は民主党政権の重要閣僚でいらっしゃいます。お尋ねしたいのは捜査の行方であるとか、捜査に対するコメントとかいうことではなく、民主党政権に対して政治とカネの問題でいろいろな事が起こっていることについて民主党の政治家としてどのように対応すべきか、ということをお尋ねします。可能な範囲でお答え頂きたいと思います。外相である以前に政治家でもあると思いますので、もう一度お聞かせ願います。
【大臣】外相である以前に政治家であるというのはその通りですが、しかし外相であるというのも事実で、鳩山内閣の下で外務大臣を務めております。内閣の中で外交という重責を担っている以上、そのことをまず優先して考えるべきだと思います。そしてあまり中途半端に評論家のようなことは言うべきではないと思っています。
【NHK 別府記者】ハイチの支援ですが、スピードの問題で米国、フランス、中国と比べても若干遅いのではないかという気がしますが、今後、もっと早くするためにどういった課題があったのか、どう改善したいというのがありましたら、教えて下さい。また、明日からのFEALAC(アジア中南米協力フォーラム)の議長として、このハイチ支援の問題をどうやって議論していきたいとお考えでしょうか。
【大臣】早い遅いというのはいろいろな議論があると思いますが、かなり現地は混乱しています。そして、略奪等も行われているとの情報もあります。そういう中で、もちろん(支援に)行く人達の安全ということもあります。今、関係者が入って、既に実態把握のための活動がこれから間もなく始まるところであります。そういったことを踏まえて、具体的なニーズはどこにあるのかということを見極めて(支援を)出すということは、私(大臣)は必ずしも間違った対応ではないのではないかと思っています。米国は非常に近いですから、機動的にいろいろなことができる立場にあるというように思っています。
【NHK 別府記者】FEALACについてはどうでしょうか。
【大臣】かなり関心が高まっていますので、参加国の国々からもいろいろな意見が出ると思います。各国のいろいろな意見を踏まえて、最終的に何らかの統一的な考え方をまとめるということもあるかもしれません。
【共同通信 西野記者】ハイチの地震の件、もう1度なのですけれども、先ほどスピード感の話があったのですけれども、我々も阪神・淡路大震災を経て、私も当時その周囲におった者なのですけれども、その記憶をたどれば、一刻でも早い救助が入ることが人命の確保、それから社会の安定につながるということは、かなりコンセンサスになってきていると思います。先ほどの治安の状況とか事前の情報収集というのは大変よく分かるのですけれども、もう少し早く日本が入っていく方法というのはないのでしょうか。もう少し早くする方法というのは今後検討される考えはないのでしょうか。72時間が絶対的なラインだというように言われています。
【大臣】先ほど言いましたように、緊急調査チームというのは、もう既にドミニカに今日の午後到着して、そこからハイチに向かうということになっております。ハイチ大使、ドミニカ共和国に駐在しているわけですけれども、四宮さんを団長として、それに加えて、外務省2名、防衛省2名、JICA2名からなるチームは既にハイチに向かっていると、ドミニカにはもう到着しているということであります。状況を把握するということも非常に重要なことで、何が求められているかということでありますので、現場は非常に混乱しておりますし、連絡も取れないような状況です。何が求められているかということも必ずしもはっきりしていないという状況の中で、しっかりと見極めた上で行動するということは、それは唯一の選択肢かどうかというのは議論があるところだと思いますが、私(大臣)は決して間違ったやり方ではないと思っています。
【フリーランス 上杉氏】同じくハイチについてです。昨夕、駐日ハイチ大使とお会いしまして、直接日本に求めることということで、考えうる限りのあらゆる支援、これは当然歓迎すると同時に、具体的に日本の地震の経験を活かした科学技術での支援というのを何度か口に出して訴えてらっしゃったのですが、ハイチにも日本の大使、日本人の大使がいますが、日本にもハイチ人の大使がこうやっているのですが、政府として、ハイチの代表である駐日ハイチ大使に支援の意見を聞いた、あるいは、聞いたなら、どういうことを要請していたのか、その事実関係についてお尋ねしたいのですが。
【大臣】ハイチの大使が日本の支援に対して感謝を述べられたということは聞いております。具体的にどこまで話を聞いたかということは、私は聞いておりませんので、事務当局が接触したかどうか、その点は確認してみたいと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。本日、中国のネット規制を背景とした今後の日中外交についてでございます。グーグルが中国から受けたとするサイバー攻撃について、12日、クリントン米国務長官は強い懸念を示しました。中国のGDPが日本を抜き世界第二位になると言われている中、従来の中国のネット規制は今後の更なる日中の経済、文化、外交を進めていく上で支障とはならないのか、大臣のご見解をお聞かせ下さい。
【大臣】まず基本的にそれぞれの国において言論の自由に対してどのような規制を行うかということの裁量権はそれぞれの国にあると基本的には思います。ただ自由で民主主義という国に生きるわれわれとしては言論の自由というのは可能な限り保証されるべきだと考えております。中国には中国の考え方があるかと思いますが、普遍的な価値としての言論の自由はなるべく尊重されるべきだと考えます。
【ブルームバーグ 坂巻記者】同盟深化についてなのですけれども、大臣はしばしば「日米同盟が今後30年、50年と持続可能なようにしたい」ということをおっしゃっているのですが、通常、「持続可能」というと、景気が先割れするのではないかといったような、持続できないんじゃないかという想定をしやすいのですが、それは例えば地域の情勢に何か同盟が持続できなくなるような状況を考えていらっしゃるのか、それとも単に政権交代とかそういうことがあっても、ということを考えているのか、どういうコンテキストでこの「持続可能」という言葉を使っていらっしゃるのかご説明ください。
【大臣】普通、同盟というのはそう永続するものではありません。環境は変わりますし、お互い細心の注意と多大な努力を払って同盟というのは持続できるものだと基本的にはそう考えております。しかし、日米同盟が果たしている役割は非常に重要ですので、私(大臣)は30年、50年持続可能なものにしたいと、その思いを率直に述べたところです。
私(大臣)は30年、50年、同盟が持続可能なものになるように、その深化のための議論もしたいということを、9月にクリントン米国務長官と初めてお目にかかった時に申し上げた訳ですが、今日たまたまアメリカンエンタープライズ研究所(AEI)の所長がお見えになって、そこに同席されていた方が、私(大臣)が数年前に「日米同盟を50年間持続可能なものにしたい」ということを述べていたと言われていまして、「ああ、自分の言っていることは変わっていないのだな」と改めて確認したところです。
【フリーランス 岩上氏】先ほど、同盟の話が出ましたが、「同盟の深化」という言葉、これはもう、岡田外相になる前に、ずっと前から扱われている言葉ではあります。なんとなく我々は分かっている気にはなっていますけれども、よく考えると、意味するところがちょっと不確実なところもあります。同盟を深めていくというのは、いったいどういう方向に向かっていることを指すのでしょうか。前回質問させていただきましたけれども、「日米安保」と「日米同盟」というのは、厳密に言うと少しニュアンスが違うということも、質問させていただきました。日本を守るという方向に特化していくというようなことが、もしかすると日米同盟を深化させることなのか、あるいは米国が広く世界に展開していく戦略に寄り添って、米国についていくということが同盟の深化なのでしょうか。方向性はいろいろあると思うのですが、同盟を深化させるということの定義を教えていただきたいと思います。
【大臣】ここは、いろいろ議論があるところです。ですから、今言われたこと以外にも、「日米同盟」という中で、狭い意味での安全保障以外の部分にさらに、今でもそうなのですが、日米同盟という名の下に、先ほど言った地球温暖化とか核の問題とか、いろいろ議論しているわけですが、そういうものをさらに広げていくという考え方もあると思います。
同盟ということを広く考えればそういうことですが、ここは意見がまだ、おそらく日本政府の中でも、或いは米国政府もそうかもしれませんが、必ずしも、まだきちんと固まっていません。やはり同盟の骨格の部分というのは安全保障なので、そこのところをよりしっかりと踏み固めるべきだという方向性の議論と、もちろん安全保障は骨格であることは間違いないけれども、より幅広いものとして、日米同盟を考えていくべきだという議論と、両方あり得るのだというように思います。
【フリーランス 岩上氏】外相ご自身はどのように定義されているのですか。
【大臣】今、あまり自分の意見を言ってしまわないほうがいいというように思います。基本的には、私(大臣)両方必要だと思いますけれども。日米安保のところをよりしっかりしたものにするということと、しかし同盟というのはそれだけではないと、もう少し幅広いものとして考えて、より広範な範囲での日米協力ということを考えていく、それは何も軍事面の問題にとどまるものでないというように思っていますが。
【琉球新報 滝本記者】原子力潜水艦が寄港する際に、事前の通知、いわゆる24時間前通知というのがあります。以前はその通知が地元自治体にも、外務省を通じて、都道府県を通じて届いており、その時には報道機関への情報提供もされていたのですが、それがこの間ずっとありません。そのことについて、それは外務省サイドのほうが、報道機関に出さないということを前提に地元への事前通知をされているのですが、これを見直されるお考えはないかどうかをお伺いしたいのですが。
【大臣】いつからそういうようになったということですか。
【琉球新報 滝本記者】9・11の同時多発テロを受けてという措置だったのですが、そもそもは。
【大臣】相手のあることですから。安全に関わる話なので、米側の意見もよく聞いてみないと即答はできません。確認したいと思います。
(1)大臣会見等に関する基本的な方針について
【岡田大臣】あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。私(大臣)から何点か。まず第1点は、この記者会見のオープン化についてお話したいと思います。記者会見をオープン化してからほぼ3ヶ月ということで、この会見が非常に定着してきたかと思いますが、その間色々ご要望も戴きましたので、さらに参加対象を拡大することにいたしました。そのことによって、国民の皆様への説明責任を一層果たせるのではないかと考えております。内容といたしましては、まず第1に、今までに加えて「日本専門新聞協会会員」それから「日本地方新聞協会会員」に会見を開放いたします。
第2に、すでに改訂をいたしました「大臣会見等に関する基本的な方針について」で掲げられている協会に加盟していなくとも、発行する媒体の目的、内容、実績等に照らし、(1)から(7)のいずれか、今までの基準のいずれかに準ずると認め得る者についても会見を開放することにしたいと考えております。
席上資料の配付をさせていただきましたが、そういったことでこの会見の対象を広げるようにいたしましたので、まずご連絡申し上げたいと思います。
(2)ブルンジ共和国の選挙プロセスに対する緊急無償資金協力について
第2点、本日閣議後のぶらさがりで言うのを忘れてしまったのですが、本日の閣議で、ブルンジ共和国の選挙プロセスに対する緊急無償資金協力について決定がなされました。これはブルンジ共和国において本年5月から9月にかけて行われる大統領選挙、国会議員選挙及び地方議員選挙の実施を支援するため、国連開発計画(UNDP)を通じ、170万ドル(約1億7,500万円)の緊急無償資金協力を行うことを決定したものであります。
ブルンジ共和国においては、90年代から続いた内戦の終結、その後の武装勢力の武装解除等を経て行われるものであり、同国における平和の定着の観点から重要な選挙です。我が国は、このような選挙の意義と二国間関係にかんがみ、本件支援を実施することといたしました。我が国としては、本年の選挙がスケジュールに沿って公正かつ円滑に行われることを通じて、ブルンジ共和国における民主化及び国民和解が進展することを期待します。
(3)日独外相会談の開催について
次は、ギド・ヴェスターヴェレ・ドイツ連邦共和国外務大臣兼副首相の訪日の件です。新しいドイツの連立政権がスタートいたしまして、外相に就任をされたギド・ヴェスターヴェレ新外相が、1月14日から15日まで訪日する予定です。14日に日独外相会談を行うこととしております。今回の訪日は、新政権成立後、初めてのドイツ外相の訪日であり、日独両国における初の会談の機会となるということで、幅広く日独両国問題はもちろん、グローバルな課題、核の問題、温暖化の問題などについて意見交換することを楽しみにしています。
(4)日米外相会談について
それから私(大臣)自身の訪米について。12日にホノルルにおいてクリントン米国務長官との間で日米外相会談を行うことになりました。私(大臣)としましては、普天間飛行場の移設問題を含む日米同盟の今後の在り方、そして北朝鮮をはじめとするアジア太平洋地域の情勢、核不拡散、核軍縮問題などグローバルな課題、そういった諸問題について、幅広く中身の濃い意見交換を行いたいと考えています。
(5)政務三役会議について
あと1点、政務三役会議を本日開催いたしました。武正副大臣から沖縄基地問題検討委員会の報告があり、その後、通常国会に提出する予定法案・条約についての意見交換をしたところです。それから2010年の外交課題ということで、随時、省の中で意見交換しておりますが、政務三役でも改めて本日議論をいたしまして、引き続き来週の省議でも議論をしようということになっているところです。
【フリーランス 岩上氏】今、オープン化についてお話がありました。この点について、確認させていただきたいと思います。元々の条件、2.には(1)から9項目(1月8日改訂「大臣会見等に関する基本的な方針について」参照)ありますけれども、この法人を前提にせず、個人もしくはフリーランス、あるいはノンフィクションライター、ノンフィクション作家といった個人に関してですが、特定の媒体に定期的に記事を書いているという状況ではなくて、たとえばもう大御所になられた方、単行本をお書きになっていたり、書籍を執筆している方、たとえば外交問題について書いている方というのは、この項目からは完全に脱落しています。「日本雑誌協会」は書いてあるのですが、そのあたりのくくりが曖昧になっているのではないかと思います。この点について、大臣のご見解を教えていただきたいと思います。
【大臣】まず、記者会見に出てきていただく方は、その記者会見の結果を国民に広く知らしめるという基本的な役割を持った方というのが、基本的な考え方だというように思います。「そういうことはしないけれど、本を書くのだ」という方は、もちろん本という媒体を通じて国民に知らしめるということになるかもしれませんが、これは日々の様々な情報について国民に知っていただくための会見でありますので、私(大臣)は少し性格が違うような気がいたします。そこまで拡げた時に、多分この部屋にも入り切らなくなると思いますし、本を書いたことがあるというだけならたくさんの方がいらっしゃいますので、そこまで広げることについては、私(大臣)はそう簡単に考える話ではないのではないかと思っております。
【マガジンX 島田記者】会見の基本的な方針についてですが、2.(8)の「発行する媒体の目的、内容、業績等に照らし、(1)から(7)のいずれかに準ずると認め得る者」というのは少し曖昧でよくわからないのですが、例えばどういうものが入るのでしょうか。雑誌とか出版物を一回も出していないけど、毎日書いているブロガーなどもこれに入るのかどうかということをお伺いできればと思います。
【大臣】ブロガーをここに含めるというようには必ずしも思っておりません。ただ、上記の「協会には入っていないけれども出版物として確立した、準ずるような実績のある」ということで、「週刊金曜日」がひとつの具体例だということです。
【ロイター通信 レイノルド記者】12日のクリントン長官との会談ですが、一番成果を上げたい部分はどこにありますか。
【大臣】長官とはなるべく数多く会って、常に意見交換をしたいというように思っております。シンガポールでお会いして以来、しばらく時間も空きますので良い機会だと思います。一つはもちろんこの普天間の問題について政府としての考え方、これはもうすでに昨年末に明らかになっているところでありますけれども、そして大使館ルートで米国政府には話はしている訳ですが、直接説明をするということが一つです。同時にそのことに止まらず、これからの日米同盟の在り方についてどういう考え方で取組をしているか、ということについて率直に意見交換したいと考えております。今年はたまたま日米安保改定50周年という区切りの年でもありますので、そういった今後の日米同盟について少し基本的な所に戻った議論をしたいと考えておりまして、そのための事前の意見交換ということも兼ねて行いたいと思っております。もちろん先程も申し上げましたように、様々なグローバルな課題、或いは両国に共通する北朝鮮の問題などについても意見交換したいと考えております。
【ファイナンシャルタイムズ 中本記者】先程のクリントン米国務長官との会談ですが、最近の日米関係というのはかなりぎくしゃくしているというように感じるのですが、今の日米関係の現状をどのように見てらっしゃるのか。クリントン米国務長官とお会いになるということは、一歩関係が前進しているのか、どういう風に見てらっしゃるのか。それから、日米安保の基本的なところというのが私にはよくわからないので、具体的にもう少しどのような所をお話されたいのかお聞きできますでしょうか。
【大臣】私(大臣)は日米安保という言葉は使わなかったと思うのですが、普天間の問題、それから日米同盟、(日米安保改定)50周年を機にそれをより深めるための具体的な議論をしたいというように申し上げたつもりでございます。日米関係は必ずしも問題が無いわけではありません。特に普天間の問題を巡って様々な議論がなされている訳であります。ただ、何度もこの場(会見)で申し上げておりますが、率直に言って旧共和党系の皆さんとか、或いは日本で言えば自民党の立場に立つ方々は日米関係が非常にうまくいっていないということを強調される訳ですが、一方的なそういう見方だけではないと思います。私(大臣)が外交ルートを通じて国務省とお話をしたり、或いはクリントン米国務長官とも電話で会談をする機会も年末ありましたけれども、お互い日米同盟の重要さは理解しながら、しっかりとこれから30年、50年(続く)日米同盟を深めるためにしっかりとやっていこうという共通認識はお互い持っていると考えております。
【共同通信 上西川原記者】以前の会見で大臣は直接クリントン米国務長官と会われたときに日米同盟再検討と、もうひとつ沖縄の基地負担軽減について、普天間と切り離した形、普天間とはまた別の形で直接会って出来れば提案したいと仰っておられたと思いますが。
【大臣】記憶にありません。
【共同通信 上西川原記者】いずれにせよ米国はまず普天間の話を決着させたいという意向が強かったと思うのですが、今回は今年安保条約改定50周年ということで、(同盟)再検討に向けた協議の実質的なスタートと位置づけで良いのか。またその沖縄の基地負担、騒音軽減とかといったものを普天間協議とは別の形で先行させて提案される気持ちはあるのでしょうか。
【大臣】実質的なスタートかどうかと言われると、それはよく話をしたいと思っておりますが、正式にそのために協議をするわけではありません。お互い意見交換をする段階であります。基地負担軽減の問題というのは、もちろん、特に普天間とか嘉手納とかであるわけですが、その問題もなるべく並行して議論していきたいと思っております。今回はその具体的な議論をするというよりは、もう少し入り口のところでの、議論の交通整理をするという場だと認識しております。
【毎日新聞 大貫記者】先ほど、日米同盟の深化の協議の関連で「日米安保という言葉は使わなかったと思うが」と仰いましたが、大臣就任から100日以上経ちまして、大臣が当初から仰っている「30年、50年続く日米同盟」というのは、どのような姿を大臣の中でイメージされているのかをお願いします。
【大臣】そのことを議論するために日米協議をするということです。私(大臣)が言っているのは、「30年、50年日米同盟が持続可能でより深いものになるために、我々は努力しなければいけない」と言っている訳です。
【時事通信 水島記者】50年の安保協議ですが、今回のクリントン米国務長官との会談は、「同盟深化の協議そのもののためではない」ということですが、大臣のお考えとして、今後の段取りやどの程度のレベルでやるのか、そのくらいのことは決めていきたいという認識でよろしいでしょうか。
【大臣】議論した後、決まったことはお話したいと思いますが、議論する前にいろいろ言うべきではないというが、私(大臣)の基本的な考え方です。
【NHK 別府記者】日米外相会談ですが、(普天間についての)政府方針については先にクリントン米国務長官に電話で大臣の方からご説明があったと思いますが、今日、会談をするということで、先の説明を越える何かメッセージを持っていくということはあるのでしょうか。また、普天間問題について、電話(会談)と直接会うということについて、どのような違いがあると理解したらよいのでしょうか。
【大臣】内容的には、普天間に関して新しいことがある訳ではありません。先ほども言いましたように、外交ルートを通じて、日本にある米大使館、ルース駐日米大使を通じて、或いは藤崎駐米大使を通じて、或いは電話で何度もこちらの方針は説明しておりますので、そのことについて新しいことが今回あるということではありません。今回はそれだけではなく、今後のことも含めてしっかりと意見交換しようということです。米国の国務長官と日本の外務大臣はもっと頻繁に会った方がいいと私(大臣)は思いますので、今回は良い機会だと思います。もちろん、今回も用事がありますが、特に用事がなくても会うだけでも私(大臣)は重要なことだと思います。
【ブルームバーグ 坂巻記者】クリントン米国務長官との会談について、同盟深化についてですが、今年は日米安保条約改定50周年ですが、例えば調印は1月19日でしたからすぐですが、何らかの日米間の新しい合意の発表の目途などがあるのでしょうか。また、6月は発効から50周年になりますし、日米首脳会談も本年あるのかもしれません。いつごろまでに日米の合意を出したいという目標はあるのでしょうか。
【大臣】そういうことも含めて、よく意見交換したいと思っています。
【フリーランス 上杉氏】日米外相会談では、クリントン米国務長官と「密約問題」について意見交換をする予定はあるのでしょうか。
【大臣】「密約問題」について、従来の経緯はお話しようと思っています。ただ、まだ今、検証委員会、第三者委員会で様々な議論をしているところですので、結論が出ている訳ではありませんので、現状について少し説明をしようと考えております。
【朝日新聞 内田記者】日米外相会談について、キャンベル米国務次官補が7日の記者会見で、クリントン米国務長官が「12日の外相会談で普天間問題を前進させることの重要性を提起する」ということを明らかにしているのですが、大臣は既にクリントン米国務長官に日本の政府方針を説明されていると思うのですが、5月までという日本の方針は、理解されているとお考えですか。仮に日米の認識に差があるとすれば、今回の外相会談でその差は埋められるとお考えでしょうか。
【大臣】理解するということの定義の問題だと思います。米側は「今の案が唯一の案だ」と言っている訳ですから、それが3月であろうと、5月であろうと、或いは、その先であろうと、そのことは言い続けるということだと思います。そこに認識の違いがある訳ですが、そういうことはお互い分かりあった上で様々な議論をしているということです。
【琉球新報 滝本記者】日米外相会談に関係しますが、先程、政務三役会議で武正副大臣の方から検討委員会の報告があったということで、その検討委員会では「1月までに新たな移設先を各党が出してきてという議論になろう」ということですが、その中で各政党がいろいろなところを視察、下地島の声があがったり、大村基地があったりというようなことがある訳ですが、それを外相会談の場で「そういう形でそういう検討も始めているよ」という検討委員会の内容についてクリントン米国務長官にお伝えされるおつもりはあるのかどうか。また、「そういうレベルでは、そういう細かい話はしない」というようなことであれば、外務省として米側に検討委員会の内容「日本でこのようにやっているのだ。このような名前も上がっていて、それがどうなのか」というようなことの提起ということまでされることになるのでしょうか。また、それは平野官房長官が言っておられる「外交の一元化」ということが、外務大臣がなされることになるのかどうかということ、平野官房長官はご自身がされるというような仰られ方もしているようなのですが、その辺はいかがでしょうか。
【大臣】今回のハワイにおけるクリントン米国務長官との会談の中で、まだ議論の途中ですから、検討委員会の具体的な中身を言うことはありません。しかし、こういう形で議論しているという説明は、簡単にはする必要があると思っております。それから、平野官房長官が、検討委員会で何かまとまれば、米国との意見交換ということは必要になると思いますが、それは当然、平野官房長官は「外務省、外務大臣が行うことになる」という認識だと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。少し日にちは戻りますが、自民党の石破政調会長とオバマ政権幹部らとの会談についてお伺いします。6日ワシントンで、自民党の石破政調会長がレーダーNSCアジア上級部長、キャンベル国務次官補、グレッグソン国務次官補と会談いたしましてて、米国側は「過去多くの可能性を検討した後に出した結論だ。内政干渉をするつもりはないが、他に適地は無い。」と力説したとの一部報道がございました。この会談に関します大臣のご見解をお聞かせください。
【大臣】まずその会談が事実であったかどうかということは、間接情報ですので、私(大臣)には分かりません。ただ、米国側の主張は従来から一貫して、日米合意した現在の案、つまり辺野古沿岸部への移設が唯一の考えられる案であるということは一貫して言ってますので、内容的にはそのことと一致をしていると思います。我々はそれに代わる案を今、平野官房長官の下でワーキング・チームを作って議論を始めております。つまり今の案よりもより魅力的なものを作り出すということが求められていると思います。そういったものができれば、米国側がそれを拒む理由はないと思っております。
【フリーランス 岩上氏】日米安保と日米同盟を峻別して外務大臣がお話になっておられますが、多くの国民がこの二つの概念の違いがよく分からないままになっているかもしれないと思っています。私もよく分からなくて、勉強をしているところですが「日米同盟の正体」という本を書かれた孫崎享さんという方がいます。元外務省の情報局長の方ですが、その方が一民間人だったらどうっていうことはないのですが、この方が鳩山総理の私的勉強会のリーダーを務められて、先日普天間基地の移設先を長崎県の大浦の方に移設したらどうかというようなことも提案されたりするような内閣に影響を与えるような方です。この方が言う「安保」と「同盟」の違いの定義は、「同盟」は2005年に日米間で締結された文書に基づく概念であって、「安保」と「同盟」の最大の違いは、「対象領域が、「安保」は日本及び極東を守るという話であるが、「同盟」は世界中に米国が国際戦略を展開していく、その時に日本が追随して協力をするというもので、「日米安保の本来の姿からずい分変質してしまっている」ということを仰っています。長い質問でたいへん恐縮ですが、一般の国民にも分かるように「同盟」と「安保」の違いについて大臣の見解をお示しいただきたいと思います。
【大臣】先ず、孫崎さんは鳩山総理が総理になる前の勉強会の責任者を務めておられ、その結果がまとまったので報告に来られたと理解しております。したがって、総理になってから議論をしたということではなく、その前からの議論の結果だということです。
今のお話は、私(大臣)は三つに分けて考えた方がいいと基本的に思っています。一つは「日米安保条約」、もう一つは「日米安全保障同盟」、最後はより広い「日米同盟」、このように考えております。
「日米安保条約」は仰るように日米安保条約に基づく範囲は日本自身及び極東でありますので、まさしく条約に書かれたような範囲に関する安全保障面での条約というのがコアであります。実は、条約上はもう少し幅広くなっているのですが、より狭く言えばそういうことです。
「日米安全保障面での同盟」というのは、まさしく安全保障面における日米関係ということで、それは安保条約を越えて、例えば日本の基地を使う米軍が極東や日本自身のためだけではなくて、アジア太平洋地域やより幅広い範囲で活動している訳ですから、そういう意味ではより幅広いということが言えるかと思います。
「日米同盟」という言い方になりますと、安全保障だけではなくて、より政治面であるとか、もっと幅広く言えば、文化面とか様々な関係を指す言葉だと私(大臣)は理解をしております。
従って、地理的には、「日米安保条約」から「日米安保同盟」という概念で広がり、「日米同盟」という言葉になると、安全保障だけではなく他の分野にも広がると理解をしています。
【フリーランス 岩上氏】三つの概念の内、「日米安保条約」は50年前に締結された条約であることは明白だと思います。二番目の「日米安全保障同盟」、それから三番目の「日米同盟」については、基礎となり、該当する合意文書や条約というのはどこを指すことになるのでしょうか。
【大臣】明示的な文書がある場合もあるし、ない場合もあると思います。「日米安保条約」も範囲は「日本自身及び極東の平和と安定」ということですが、そのための基地を他の目的のために使ってはいけないとは書いていない訳ですから、そういう意味でより広い範囲で使われているということです。そういったことを明示的に認めたものとしては、例えば1996年の橋本・クリントン日米安保の再定義などがその文書にあたると考えております。安全保障だけではなく、もう少し幅広い範囲に言及していますから、二番目であり、また、三番目であると言えるかもしれません。今回議論すべきは、そういった幅広い意味での「日米同盟」というものについて、機会があれば、日米安保改定50周年という一つの節目の年に議論してはどうかと思っております。
【週刊金曜日 伊田記者】今回の(会見参加者)拡大によって初めて参加しております。よろしくお願いします。会見の拡大とか密約への取組とか、国民に対する説明責任を果たされている岡田大臣の姿勢に強く共感し、支持したいと思います。その上で外務省の報償費についてお聞きします。いわゆる報償費、機密費ですけれども、かつて外務省から首相官邸に上納していたというような指摘がいくつかありますが、この真相について大臣はご存じでしょうか。それから国民に対する説明責任を果たすという名において、調査される気はありますでしょうか。
【大臣】事実関係については、私自身は、あるかないかを含めて承知をしております。ただこれは、外務省に止まる話ではなく、内閣官房も含めた話になりますので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
【共同通信 上西川原記者】機密費の上納問題ですが、現時点では「今以上コメントしない」ということですが、今後、内閣官房と何か相談して、これについて公表するお考えはあるのか、今後の取り扱いについても一切何も言わないのか、情報公開についてどのようにお考えでしょうか。
【大臣】こういう問題は、内閣として基本的に一つの考え方にした上でお話しすべきことだと思いますので、現時点ではコメント致しません。
【AP通信 ヒトミ記者】水曜日に起こりました日本の調査捕鯨船とシーシェパード船との間の衝突ですが、大臣としてお感じになっていること、この衝突に関して実際にどのように日本の方々の命と財産を守るのか、どのような手段を講じようと今考えておられますか。昨日の農林水産省の副大臣の会見では、「例えば海賊行為に当たるということにして、何らかの形で守るということで協議することも考えられる」というような発言があったのですが、どのような具体的な対応を講じることを考えておられますか。
【大臣】まず我が国の船舶に対して様々な、進路を妨害する行為でありますとか、或いは生命・財産を侵す極めて危険な行為については、これは断固抗議をしたいと思います。そして、このシーシェパード、或いは今回の実際に衝突事故を起こした船舶であるアーディ・ギル号について、これはニュージーランドを船籍国としておりますので、ニュージーランド政府に対しても強く抗議したところであります。こういうことが続くということであれば、よりそういった関係国政府とこの問題について協議をするだけでなくて、今後こういうことが繰り返されないようにしっかりと抗議をしていかなければならないというように思っております。
【AP通信 ヒトミ記者】その中には、手段として外交的な努力プラス実際に海賊行為というような形で協議するということも考えておられますか。
【大臣】まず、きちんと話し合いをすることが先だと思います。
【朝日新聞 東岡記者】今日の一部の報道で、日本と韓国の両政府が今年、新たな共同宣言を検討していると、具体的には一部報道では安全保障の分野で出すとありますが、そういった検討をされているのか。されているとすればどのような内容でどういう狙いがあるのかということについてお教え願います。
【大臣】今、具体的にはございません。それは今日も総理がお話しになったとおりであります。
【共同通信 斉藤記者】先程質問に出ましたが、「日韓共同宣言をどうするか」という話でございますが、現状、具体的な話はないというお答えを頂いております。それと切り離して、現在の日本を巡る東アジアにおける安全保障の情勢にかんがみて、韓国との間でこの時期に安全保障分野について一定程度踏み込んだ形での共同宣言、メッセージを出して話を進めていく意義があるかどうか、この点についての大臣のご見解をお伺いできれば幸いです。
【大臣】意義があるかないかという個人的な見解を、私(大臣)が言うべきではないと思います。言えることは、そういう議論が、現時点では政府内においてなされていないということです。
【琉球新報 滝本記者】沖縄県読谷村でのひき逃げの件ですが、昨日、起訴され、身柄が引き渡されましたが、地元が求めていた、起訴前の身柄の引き渡しの実現がなされず、書類送検で起訴して起訴後に身柄の引き渡しがなされたということでした。従来お伺いしている中でも現行の枠組みでは問題点があるのではないかと私は思います。それについての大臣のご見解は以前から出ていますが、現行の問題点ということ、捜査当局としてはひき逃げということも視野に入れて、引き続き捜査を続けるということです。自動車運転過失致死ということになっていますが、最終的な目標というか立件の狙いということに至らない中での捜査の進展具合いに支障が出てきているというのは、供述を拒否したことが問題点であったと思いますが、その辺りについて、改めてご見解をお伺いしたいと思います。
【大臣】先ず、私(大臣)の承知している限り、「ひき逃げで改めて逮捕」ということになりました。当初は自動車運転過失致死ということで起訴して身柄を拘束したということですが、それは警察の一つの判断です。つまり、逮捕起訴した後、裁判においてきちんと証拠を示して、そして警察の考える犯罪を検証するために最善の道として今回の措置がとられたものだと私(大臣)は理解をしています。
【琉球新報 滝本記者】警察の捜査の仕方、進め方ということの議論になるかも知れませんが、大臣がよく仰られた部分で「事情聴取はできるということは確保されている。米側の協力は得られている」ということは、ずっと外務省の皆さんは強調されているのですが、その基地の中にある身柄を事情聴取するということが、どこまで自由にできたかということについては、日本の刑事訴訟法上、(日本人と)同じだと仰られるのですが、やはりそこは違うと私は思っています。そこの部分が今回大きな問題点になっていると思いますが、その部分についてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】日本の刑事訴訟法においては、逮捕することなく強制的に身柄を拘束することはできません。任意での事情聴取しかできません。そういう意味においては、私(大臣)は変わらないと思います。日本の刑事訴訟法手続きにそって、今回のことは行われたと考えています。
【読売新聞 村尾記者】政と官のことについてお伺いします。最近、総務次官や観光庁長官の交代が、突然出てきた感があり、官の側からも萎縮するような声があるようですが、外務省における政務三役と官僚との関係を今、大臣はどのようにお考えでしょうか。例えば、官のほうが萎縮しているとか、そういうことがあるのか、その辺りも含めて大臣のご見解をお願いします。
【大臣】私(大臣)に聞かれても分からないのですが、適度な緊張関係は必要だと思います。それから、(業務を)やっている中で従来型の発想なのか、本来きちんと相談すべきこと、或いは最終的に政の大臣が意志決定しなければいけないことが、場合によってはそうでないというケースもない訳ではありません。その度にそれは指摘をしてきちんと組織として大臣を最終的には責任者として動くような形にもっていきつつあるというところです。しかし、必要以上に萎縮するということであっては仕事になりません。年末も申し上げましたが、それぞれに志があり、能力のある人たちがたくさんおられますので、そういった力を存分に発揮できるようにしていきたいと考えております。
【伊勢新聞 中森記者】年末の会見で「来年は外へどんどん出て行きたい」と仰ってまして、トルコにも行かれたと思うのですが、訪問先の外国というのをどのような基準で選ばれて行くのかということを教えて頂きたい。
【大臣】なかなか難しいご質問ですが、何か具体的なテーマがあって行くということです。ロシアは、首脳間で、外相レベルで協議した方がいいという話がずっとありましたので、年末のタイミングを捉えて行きました。トルコに関しては、トルコにおける日本年のスタートのオープニング・セレモニーに出席するとともに、大統領及び外相と意見交換をしました。トルコはG20の重要なメンバーでもあるということです。今回のハワイにおけるクリントン米国務長官との意見交換は、これも必要があるからこそ行くわけです。基本的に必要かどうかの判断です。国会の事情やその他で、必要があっても行けないことが結構多く、少し残念には思いますが、なるべく時間を見て(行きたいと思います)。最近、ロシア、トルコ、そしてハワイと一泊の旅というのが続いておりますので、だんだんそれに慣れてきた感じがします。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読致します。空港におけるテロ対策の世界的動向についてです。オランダ、英国に続き、カナダが昨年末の米機爆破未遂事件を受けまして、主要空港で乗客の全身を透視できるスキャナーを用いた安全検査を実施すると発表しました。オバマ米大統領もテロ対策の強化を指示しておりますが、こうしたテロ対策の世界的な傾向についてお聞かせください。
【大臣】それは、それぞれの国で決めることですから、それだけ切迫感のある危険度のより高いところにおいて、様々な方法を用いて安全を確保するということはそれぞれの政府の判断だと思います。もちろん、プライバシーの問題とかいろいろとあるとは思いますが、命には代えられないというところもあるのではないかと思います。
【朝日新聞 五十嵐記者】年明けすぐに薮中外務事務次官が米国に行かれまして、スタインバーグ国務副長官と会談されました。結果的にその直後に大臣が訪米する形になる訳ですが、事務次官の訪米の成果を大臣はどのように認識されていて、どのように評価されていらっしゃいますか。
【大臣】薮中事務次官が行かれて、旧知の相手方と意見交換したことは、日米相互の理解に役立ったと思います。若干、米側から見ていると、日本からいろいろな人が来て、「いろいろな人が来て」というのは「政府そのものではない方々が来られてお話になる」と、それがどこまで政府と関係があるのか、そういったことについて、やや困惑が米側にはあったと思います。そういったことについて、今後、外交ルートをきちんと一本化して、外務大臣、或いは外務省が米側の国務省及び国務長官と話をするということの第一歩になったと思います。
【フリーランス 岩上氏】外国人の地方参政権の問題についてお伺いしたいと思います。通常国会が始まりますと、この問題が法案として出されるかどうかということが本当に重要な課題になってくると思うのですが、定住外国人の方々の母国の動向ということも気になるところです。多くの方が韓国の方で、韓国政府はどのように考え、或いは、日本と韓国との外交関係にどのような影響をもたらすのか、この参政権を与える与えないどちらにしても、先程の(日米)同盟深化というような話もありましたが、一体どのような影響が出てくるのかということを、一つは、閣僚として、議員として、この地方参政権を寄与すべきか否かということについてのお考えと、それから、外務大臣として、この法案がどのように外交関係に影響をプラス或いはマイナスにもたらすのか、そのご見解をお聞かせ下さい。
【大臣】この問題は、まだ政府として正式に議論しておりませんので、正式に決める段階では、私(大臣)も外務大臣としてお話をさせていただきたいと思いますが、現時点であまり先走った話をしないほうがいいと思います。
【フリーランス 上杉氏】週刊ゴルフダイジェストの特派記者としての質問します。石川遼プロと池田勇太プロ、それから片山晋呉プロが今回米国で7月に行われるマスターズに招待されましたが、特に若い池田プロ、石川プロに対する岡田さんとしての感想、それと岡田さんがスポーツとしてのゴルフに対するイメージがあればお聞かせください。
【大臣】私(大臣)も、正月にテレビ番組などで石川プロの出演した番組などを見ましたが、やはり今の若い人たちは非常に可能性が無限だというように感じました。これは石川プロだけではないのですが、非常に努力もしているし、それから色々な受け答えもしっかりしているし、ぜひ日本を代表するだけではなくて世界を代表するような選手に育ってもらいたいと思っております。ゴルフは、私(大臣)も決して嫌いではありませんが、なかなか時間がありません。今、密かな楽しみは休みの日にゴルフの練習をすることで、外務大臣をしている間に、飛躍的に良くなるということを夢想しながら練習に励んでいます。