記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成21年12月)


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外務大臣会見記録(平成21年12月29日(火曜日)16時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)ロシア訪問について

【岡田大臣】大分(年の瀬も)押し迫りましたけれども、本日が本年最後の記者会見ということです。私(大臣)からは二点、第一点はロシアの訪問です。日程はご案内のとおりでありますが、まず、フリステンコ産業貿易大臣と(貿易経済に関する)日露政府間委員会共同議長間会合を実施致しました。食事を挟みながら2時間半程議論いたしまして、その中で、「極東・東シベリア地域における日本との協力を期待する各種プロジェクト」は、先般プーチン首相の来日の折に示されたものですが、その再整理を日本側が致しまして、そのリストを示すとともに、そのことを中心に重点的に議論する場として、次官級の貿易投資分科会を立ち上げることで一致を致しました。ハイレベルで具体的に、極東・東シベリア地域において、お互い協力ができるようなプロジェクトについて、更に議論を煮詰めて参りたいということであります。
 翌日、ラヴロフ外相と2時間強議論を致しました。食事の前にまず議論をして、そして記者会見、その後に食事ということにしておりましたが、1時間の議論の予定が90分程に延びまして、そこは主として領土問題の議論を致しました。本日の朝刊各紙も報道振りが違うわけですが、基本的に両国の間でかなり主張の違いがあるということがまず確認されました。ラヴロフ外相は、領土問題に関しては、国際法、それから第2次世界大戦の結果を踏まえる必要があるという基本的なスタンスであります。もちろん、解決を遅らせるつもりはないと、ロシア側にこの問題を解決する政治的意思があるということを言いつつも、基本的に姿勢は変わっていないということでありましたので、それは首脳会談で示されたメドヴェージェフ大統領の姿勢とは少し違うのではないかということで、そこを中心に議論を致しました。国際法及び第2次世界大戦の結果とは具体的に何かということを個別に議論をして、そこはお互い、かなりのやり取りになったということであります。私(大臣)からは、日露行動計画に基づいて日露関係は進んでいるが、これは先程の経済的な問題を主として指しているわけですが、「領土の帰属の問題について目に見える進展がないことが問題であり、経済と政治は車の両輪と言う、やはり政治が、特に領土問題がきちんと進んで行かなければ両輪は回っていかない」と申し上げたところであります。そして、「メドヴェージェフ大統領、プーチン首相、鳩山総理というこの三者が揃っている今こそが、この問題を前に進める大きなチャンスであり、これを逃すと難しくなるのではないか」ということを申し上げました。議論そのものは「進展はなかった」ということではありますが、これから何度か会って議論しなければならない相手でありますので、最初のやり取りとしては、私(大臣)はそれなりの価値があったというように思います。お互い交渉する相手として過不足ないと言いますか、しっかりした議論が出来るということは認識し合ったのではないかというように思っております。
 ナルィシキン大統領府長官とは、両首脳のリーダーシップの下、領土交渉の加速の必要性について一致を致しました。私(大臣)からは、日露間の領土問題を解決することを唱えた故ソルジェニーツィン氏の一節を紹介して、大統領にも伝えるよう申し上げたところであります。
 私(大臣)としては、13年ぶり3回目の訪露でしたが、「今回の訪露は議論のスタートであり、首脳間でこれからも様々な場で議論していただくと共に、それをしっかり受け止めて、外相同士で話を具体化していくことが、お互い外相としての務めであり、責任ではないか」ということをラヴロフ外相に申し上げたところであります。

(2)トルコ訪問について

【大臣】トルコの訪問につきまして、1月3日から4日まで、トルコを訪問することに致します。アブドゥッラー・ギュル大統領への表敬、アフメット・ダーヴトオール外務大臣との会談を行うことにしております。加えて「2010年トルコにおける日本年」のオープニング・セレモニーに参加をすることにしております。
 トルコは、地政学的にも非常に重要な国であり、同時に、現在、国連安保理の非常任理事国であります。もちろん、G20のメンバーとして、国際的な政治、経済の問題について重要な役割を担っているわけであります。この式典に参加をする機会を捉えて、しっかりと両国間の関係を深めたいというように考えているところです。

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ロシア訪問

【毎日新聞 野口記者】ロシアの外相との会談で、ラヴロフ外相が「国際法と第2次世界大戦の結果を踏まえる必要がある」ということを仰ったということですが、これまでメドヴェージェフ大統領と鳩山総理との会談では、こういった表現は確か出ていなかったと思うのですが、この言葉についてどういう意味があると大臣は受け取ったのでしょうか。

【大臣】伝統的なロシア側の考え方であるというように考えています。ラヴロフ外相は今回初めて言った話ではなくて、従来そういうスタンスで言われることが多かったというように思います。ただ、極端な立場はやめるべきと首脳(メドヴェージェフ大統領)が言っている訳ですから、そういう意味で、より具体的に何を意味しているのかということを一つ一つ議論させて頂いたということであります。

【日経新聞 山本記者】今の質問に関連して、従来の立場と変わらないということは、以前からロシア側が言ってきている「独創的なアプローチ」のような新しい提案というものは、今回なかったのでしょうか。

【大臣】ありません。メディアによってはそういう提案があったのではないかというように書いておられるところもあるかもしれませんが、ありません。

【北海道新聞 佐藤記者】外相会談の後の共同記者会見で、ラヴロフ外相は、独創的アプローチについてその用意があると、それについても、本日議論したというように発言をされたというように聞いていますが、実際の会談の中で、この独創的なアプローチを巡って、どのようなやりとりがあったのでしょうか。

【大臣】具体的に、何が独創的アプローチであるかというようなことについての議論はしておりません。

【北海道新聞 佐藤記者】日露外相会談についてお尋ねします。最近、政府高官を含めて、ロシア側から北方四島での共同の経済活動を日本側に提案するという場面がいくつかありますが、昨日の会談では、これについてやりとりがあったのでしょうか。昨日の会談であるなしに関わらず、大臣ご自身、この帰属問題が解決しない中で北方四島で日露共同で経済活動をすることについて、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】昨日は、そのような話は出ておりません。私(大臣)は帰属問題を明確にしない中で事実だけが先行するということは、決して望ましいことではないと考えております。

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訪米の見通し

【読売新聞 村尾記者】年明けの通常国会前に岡田大臣が訪米されるのではないかという話しがちらほら出ていますが、そのようなお考えがあるかどうか、実現する見通しのようなものをお聞かせ下さい。

【大臣】全く、まだわかりません。決まった時にお知らせします。そうでないと、またつぶれたとか、そのように書かれるところもありますので。現時点では白紙です。

【共同通信社 上西川原記者】訪米の件ですが、岡田大臣としては、時間が合えば、できれば訪米して話をしたいという意向はお持ちなのでしょうか。今、何をクリントン国務長官と話したいと思われているのでしょうか。

【大臣】(訪米が)決まるまでは、何も申し上げません。

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政権交代後100日及び来年の抱負

【共同通信 西野記者】外相として、ずっといろいろとご活躍を続けてきたと思いますが、本年を振り返ってどういった一年だったのかと、来年はどうのような年にしたいのかということについてお聞かせください。

【大臣】外相になってからは、まだ100日余りであります。様々な問題に取り組んで参りましたが、同時に政権も変わった上での外相就任でありますので、今までのやり方を変えていかなければならないという、いわば(国の)中を向いての仕事と、それから外務大臣としてなるべく外で直接対話をするという、そこのバランスがなかなか難しいなというように感じました。今回のロシアもそうですが、直接行くことでかなり物事が理解でき、そして前に進むと。前に進むというのは、別に解決に向けて進んだ訳ではないのですが、お互い責任者が知り合うことで、今後、前に進むための下準備と言いますか、そういう意味ではなるべく外にも出たいなというように改めて感じております。就任の時に3つの課題ということを申し上げましたが、その中でアフガニスタンについては日本としての対応は一応できたと思いますが、COP(気候変動)については会議そのものは先送りと言いますか、COP16に向けて引き続き、大きな課題でありますし、日米の問題も引き続き、宿題を残しておりますので、そういったことを懸命に取り組みたいというように思っております。併せて、やはり貧困の問題とか、或いは人権とか、そういった問題にも幅を広げながらしっかりと活動をしていきたいと思います。国会がありますので、前半は国会、そして参議院と8月ぐらいまでなかなか外に出にくい状況ですが、今回ロシアに行ってみて、正味24時間でもかなりの仕事ができるということがわかりましたので、土日を中心に、金曜の夜とか土曜に出れば、月曜日の朝には帰ってこられると、一泊二日ないし、一泊三日の旅です。そういうやり方も、割と良いと今回思った次第です。時差がアジャスト(適応)する前に帰って来れるということは悪くないと思いますので、予算委員会が終われば、4月以降はそういうことも多用しながらしっかりと進めていきたいと思っております。

【日経新聞 山本記者】大臣は就任時に「100日の課題」と「300日の課題」を掲げました。必ずしも「100日の課題」で満足のいく結果が得られていないものもあるかと思いますが、現時点で来年の「300日の課題」は何かということをどのように考えていますでしょうか。

【大臣】「300日」と申し上げたのは参議院選挙までということで、就任から300日ということで申し上げた訳です。残されたのは200日弱ということになるかと思います。やはり日米関係について、(米軍)再編の問題もありますが、日米同盟そのものをきちんとより持続可能で深いものにしたいと思っております。そのためのスタートが適当な時期にできるかと考えております。それから、先程も言いましたけれども、COPの問題も温暖化の問題も、或いは貧困とかグローバルな課題に対して、しっかりと対応する日本外交でありたいというように考えております。あとはアジア、ここは100日の間に随分進んだ部分だと思います。総理も自ら率先して韓国、中国やASEAN、或いはインドということで、関係を構築されて参りました。それを更に深めるという作業が必要かと思っております。そして、やはり北方領土の問題と北朝鮮の問題というのは、非常に大きな宿題であります。なかなか残された200日弱で解決するというのは非常に難しい訳ですが、少しでも前進できるように懸命の努力を続けたいというように思っております。

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米軍再編問題

【テレビ朝日 新堀記者】先ほど、お帰りになってから、藤崎駐米大使と会われていたかと思いますが、藤崎駐米大使からどのような報告やお話があったかを教えて下さい。

【大臣】話の内容まで申し上げる立場にはないと思いますが、藤崎駐米大使から見た現在の米国の状況についての報告があったとお考えいただきたいと思います。

【テレビ朝日 新堀記者】普天間基地移設問題についてとか、何か具体的な話はなかったのでしょうか。

【大臣】具体的なことは申し上げません。

【時事通信社 高橋記者】昨日、政府与党の協議も始まりましたが、民主党の小沢幹事長が鈴木宗男衆院外務委員長と会談された際、小沢幹事長の方から「沖縄の声をしっかり踏まえないといけない。あの青い綺麗な海を汚してはいけない」と、これは辺野古の海を指している訳ですが、このようなことを言われました。民主党という政党は、「コンクリートから人へ」という理念を掲げて選挙に勝利されている訳ですが、そういう点から見ると、この幹事長の発言はこの理念に合致している発言だと私は受け取っています。「社民党に言われたから辺野古はいけない」とか、そういう政局的な意味合いではなく、「コンクリートから人へ」という民主党の基本理念という観点から見て、この小沢幹事長の発言は非常に重いと思いますが、その辺りは大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】小沢幹事長の発言は私(大臣)は確認をしておりません。どこかの記事になったものかも知れませんが、正確にそれを反映したものかどうかということも確認しておりませんのでコメントいたしません。一般論として言えば、もちろん自然環境の保護ということは重要であるということは、私(大臣)も同じ思いです。それ以上のことは、今新たな候補地を探すための場ができ、そこでの検討がスタートした訳ですから、私(大臣)がそういった状況の中であまり発言をするのは望ましくないと考えております。

【朝日新聞 内田記者】普天間の問題で引き続き伺いします。鳩山総理が昨日訪問先のインドで記者団に対して、普天間の移設先について「5月までに日本政府内の結論を出した上で米国との合意も取り付けたい」という考えを示されているのですが、この問題で米側の理解を得るために外務大臣として何が重要だとお考えか、考えをお聞かせ下さい。

【大臣】「米国との合意」というのはもう少し詳しく、どういう場面で仰ったのでしょうか。私(大臣)は把握していないものですから。

【朝日新聞 内田記者】記者が「与党内で合意しても米側の考えがある」というように質問したところ、「与党内の合意をする時に当然日米で議論していかなければならない」と。さらに記者が重ねて「5月の目途というのは日米で大筋合意することか」と聞いたところ、「無論です」と仰っています。

【大臣】5月までに結論を出すということは、日本政府として結論を出すということですから、それがいかなる結論であったとしても、総理は5月までに結論を出すという当然のことを言われたのだと思います。

【朝日新聞 内田記者】「米側との合意を5月までに」という部分はどうでしょうか。

【大臣】そのように総理が仰ったのかどうかはわかりませんが、日本政府として結論を出すということですから、米国との合意、ややそこは微妙なところだと思いますが、もう少し総理の真意をきちんと確認した上で、私(大臣)の方からお話させていただいた方がいいと思います。

【TV朝日 新堀記者】先程、300日の課題の中で、日米関係について「より持続可能で深いものにするためのスタートが適当な時期にできれば」と仰っていたと思うのですが、これは与党の方で普天間の協議が始まったところですが、それと並行してというようなニュアンスで、日米関係の深化についても、外務省としては別にやっていくという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】昨日スタートしたチーム(沖縄基地問題検討委員会)がやることは、新しい場所を探すということです。ですから、日米関係そのものの議論とは別次元の話です。この場でも何度か申し上げたと思いますが、米側としては、やはり普天間の問題について、一定の結論が出ないと本格的な議論はしにくいという考え方もあるかと思いますので、どうやって折り合いをつけていくかが、これからの課題です。

【共同通信社 上西川原記者】普天間問題でもう一問だけ。今、政府と与党で新しい移設先を探していると思うのですが、大事なことは、「何故、辺野古では駄目なのか」ということが良く分かりません。つまり、地元が受け入れていて、米国もいいという状況です。大臣はワーキング・グループで検証作業をされていたと思うのですが、その結果についても、まだはっきりとした発表というか報道も出ていないと思います。何故、辺野古では駄目で新しい移設先を探しているのかという点について、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】「今の辺野古では駄目だ」と主張されたのは、社民党と国民新党ですから、その主張に基づいて代わり(の用地)を探しているということです。今の辺野古に様々な問題があることは、私(大臣)もそのことは事実だと思います。先程の環境の問題もそうですし、それから、新たな大きな構築物を作ると、しかも税金もかなり投入しないといけないという問題があるということも事実ですから、それよりも問題点の少ない場所があるということであれば、そのことを検討するには値すると思います。ただ一方で、現在の辺野古という選択肢がなくなった訳ではありませんので、よりいいものが出てくれば、もちろんそちらにすればいい訳ですが、出てこなければ現在の案が生き続けているとそのように私(大臣)は認識しています。

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いわゆる「密約」に関する調査

【フリーランス 上杉氏】先週25日の会見でも、岡田大臣は言及されましたが、故佐藤栄作元総理の自宅で発見された、これは一民間のご自宅なので、そのような公の文書が、そこで見つかるということに対して、外務省とか、政府の方から抗議、もしくは調査ということをされる予定ということはあるのでしょうか。

【大臣】抗議ということは誰に、どのような理由をもって抗議するのか、私(大臣)はよくわかりませんが。

【フリーランス 上杉氏】民間、要するに「国の機密文書」、外務省の機密ではないと言っているのですが、それが持ち出されたということに対して、どのようなルートで持ち出されたとかを含めてそういう意味での調査と言った方が良いのでしょうか、そういう形で改めて密約の問題について調査するということはあるのでしょうか。

【大臣】密約の問題はいつかも申し上げたと思いますが、今、検証するための委員会を設けて、そこで様々な議論をしていただいておりますので、そちらの方にお任せをしております。持ち出されたかどうかというのは、それすら明確ではない訳です。想像するに若泉さんの著書によれば、ホワイトハウスの別室に入って、お互いサインをしたと、他には誰も入らなかったということであります。その後、その文書が一旦外務省に戻ったのか、そのまま佐藤元首相が個人として持たれて、そしてご実家に保存しておられたのか、そういうことすら分からない、という状況だと思います。

【フリーランス 上杉氏】それを調査するおつもりはないのでしょうか。要するに、国のいわゆる文書が30年間も一個人の家にあるというのは、異状な事態だと思うのですが。

【大臣】総理大臣が署名しているのですから、そういう意味では国の文書だと思いますが、そういう取り扱いを受けてきたがどうかということすらはっきりしない訳です。佐藤元総理大臣は個人の立場でサインされたのではないと思いますが、どのくらい、一体誰がそのことを承知していたのかどうかも定かではないということです。そして、そのことは、ご遺族の方にお聞きしても分からない話ではないかと思います。何れにしても、今、この問題は検証委員会に委ねられておりますので、そこに一義的にはお任せしたいと思っております。私(大臣)はむしろ、こういったものを出していただいたご遺族の皆さんに敬意を表したいと思います。これは、故佐藤栄作元首相の評価にも関わってくる話であると思います、にもかかわらず文書を出されたということは、真実を明らかにするという、姿勢かと思います。その点について、私(大臣)は評価をしたいと思っております。

【フリーランス 上杉氏】大臣が今作っている検証チーム、来月に結論というか中間報告が出るということですが、その密約に関して、1967年の密約という認識をしているのですが、その後も1969年、70年、71年の密約もあるということで米国の方から公表されていますが、それについて改めて調査の内容の幅を広げる、或いは別の検証チームを作るという予定はあるのでしょうか。

【大臣】今、対象にしているのは4つの密約であります。それ以外のことについては、現時点で白紙です。

【朝日新聞 倉重記者】密約に関して、先程「幅」の話もありましたが、しっかりとこれを機会に調査しようということであれば、1月の発表というのが間に合わないのではないかという話が一部の委員の方から出ています。1月末が最終のデッドラインなのか、場合によってはそれ以降も大臣として検証作業を進めてもいいと思っていらっしゃるのか、その見通しをお願いします。

【大臣】北岡先生をはじめ、委員の先生方はかなり意欲的にヒアリングとか議論を進めて頂いております。議論が深まっていく中で、タイミング的にもう少し時間がかかるのではないかというご意見も聞かせて頂いているところです。これは、我々がやっているのではなくて、検証委員会の先生方にご議論頂いていることなので、いつまでにということは、とりあえず申し上げているのですが、それが間に合わないときに「では、途中で切り上げてやってください」ということではなくて、それはやはり納得いくだけご議論頂くことが必要ではないかと思っています。検証委員会に揃った先生方は、それぞれこの道の専門家の非常にいい顔ぶれでありますので、我が国の外交上の大きな課題でもあった密約の問題について、しっかりとした専門的な見地からいい報告書をまとめて頂きたいと思っております。先生方からは2月になると忙しいと、つまり、受験ですから、大学は2月は忙しい訳です。「2月、3月は忙しい」という話も上がってきておりますので、どうやってこれを折り合いをつけようか、いろいろご相談させて頂いているところです。

【朝日新聞 倉重記者】場合によっては、4月以降、引き続きの検証ということも、何パーセントかはあるのでしょうか。

【大臣】4月以降と言われますと、かなり延びてしまいますので、どのようにすることがいいのか、今、少しご相談をさせて頂いているところであります。ただ、基本的には、これは我々がやっていることではありませんので、「なるべく早く」とは思いながらも、遅れる場面は出てきつつあるということが現状だと思います。

【フリーランス 上杉氏】密約について、先ほど大臣は、佐藤栄作元総理の家、佐藤信二さんのご自宅から、(密約文書を)出したことを評価し、敬意を表すると仰いました。裏を返せば、30年前に事の重要性に気付いて、30年間出さなかったということは、ある意味、隠ぺいではないかと捉えることができると思うのですが、その辺りについては、いかがでしょうか。

【大臣】当時の佐藤総理としてサインをされて、そのことを明らかにしなかったということです。

【フリーランス 上杉氏】次男の佐藤信二さんが、30年前に机の中から発見し、その文書の重要性も分かっていたが、あえて表に出さなかったということは、一般の国民の立場からすると、それは隠ぺいではないかと、事実が明らかにされなかったと、保管ということも考えられるのですが、裏を返せば、隠ぺいではないかと考えられるのではないかということをお尋ねしたのですが。

【大臣】佐藤信二さんは当時者ではありません。この沖縄の返還交渉にかかわった訳でもありません。そういう中でいろいろな葛藤があったと思います。佐藤元総理は「核抜き本土並み返還」ということを訴えられて、沖縄返還を果たされた訳ですし、そのこともノーベル平和賞の大きなきっかけになっていると思います。そういう中で、その「核抜き本土並み返還」とは矛盾するような具体的な証拠が出てきたときに、いろいろ悩まれたと思います。そのことは私(大臣)も理解できます。それから、外務省関係者に「保管してくれ」と言ったという話もあります。そこは、私(大臣)もご本人に確認しておりませんが、そのときに「私文書だから」と言ったとすると、「そんなもの出てきてもらったら困る。そういうものは、ないことになっている」と、その時のそういう相談を持ちかけられた外務省関係者の反応だったと思います。それで困ってそのままにされたというようなことだと思います。しかし、今でもそのままずっとほっておいてもよかった訳ですが、やはり歴史の重さと言いますか、真実を明らかにすることの重要さにかんがみて、決断して頂いたということは、そこはやはり私(大臣)は評価すべきではないかと、私(大臣)自身は思っております。

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死刑制度について

【AFP通信社 長谷川記者】麻薬所持で中国で捕まった英国人の方が、本日、死刑執行されました。日本も死刑制度はあるのですが、このことについてどのように考えていらっしゃっるでしょうか。

【大臣】どのような量刑を定めるかということは、一義的には国に委ねられている訳ですから、そのことに対して私(大臣)は特にコメントすることはありません。国によっては麻薬については、非常に重罰を科している国が結構多いです。ですから、日本人でも同じように様々な重い刑罰の処分を受けるというケースがあると思います。あまり安易に考えずに、もちろん、日本国内でも犯罪ですが、大変厳しい刑罰を科す国がかなりあるということは、是非国民の皆様にも理解をしていただきたい、知っていただきたいと思います。

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ミャンマー情勢

【毎日新聞 野口記者】ミャンマー情勢ですが、数日前の毎日新聞の報道で、アウンサン・スーチーさんが来年の総選挙の前にも解放される可能性があるという報道がありました。大臣としてミャンマー情勢、アウンサン・スーチーさんの解放について、今どのように分析をされているかというのと、年明けにミャンマー訪問をする等、日本政府として何らかの働きかけをするお考えがあるのかという点についてお伺いします。

【大臣】報じられたのは可能性があるということですから、決まった訳ではないと理解をしております。日本政府としては、アウンサン・スーチー氏が自由な状況になるということをミャンマー政府に対して既に求めてきております。そのことが選挙前に実現するということは、公正で開かれた選挙が行われるということの一つの具体的な話だというようにミャンマー政府には申し上げてきているところであります。ミャンマー政府とは、先般、首相が日本に来られた際に、私(大臣)もお会いをしてかなり突っ込んだやりとりをいたしました。そこで日本政府の考え方というものはご理解いただけたと思いますが、その後、(南部アジア)部長がミャンマーに行ったり、いろいろなフォローはしております。是非、来年の選挙が開かれた公正なものになるようにしっかりとミャンマー政府に努力してもらいたいと考えております。

【毎日新聞 野口記者】大臣自身がミャンマーをご訪問するお考えは。

【大臣】(ミャンマーに)行って意味のあるのなら私(大臣)が行くことはやぶさかではありません。しかし、行って意味があるためには、どういう人と会って、どういう議論ができるかという問題があるかと思います。首相とは既に会っております。

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政治主導と外務官僚との連携

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読させて頂きます。政治主導における岡田大臣と外務官僚との連携についてです。政治主導についてお聞きします。政務三役はひとつの大きなシンボルだと思いますが、政治主導を円滑に進めていく上で、重要なこととして、大臣と官僚との関係があると思います。他の省庁において、大臣と官僚との連携不足が一部で伝えられる中、この100日で岡田大臣から見た外務官僚との関係はいかがだったでしょうか。

【大臣】一言でお答えするのはなかなか難しいですが、私(大臣)は非常に恵まれたと思っております。つまり、官僚の皆さんも非常に使命感を持って、そして優秀な人たちにサポートして頂いて外交を進めることができたというように基本的に思っております。ただ、従来と少しやり方が変わったり、或いは政策の中身も変わったりしておりますので、そういうところで時々ギクシャクすることはありますが、基本的には日本外交を皆でしっかりやっていこうという雰囲気ができてきたのではないかと思っております。

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来年度予算案(ODA予算の削減)

【朝日新聞 五十嵐記者】先週、閣議決定された政府の予算案で、ODAの予算が前年度比で7.9%減ということで、過去3番目の減り幅になりました。前政権では3年ぐらい4%減ということで減少傾向は続いていた訳ですけれども、大幅に減りました。一方で(来年度)予算全体の規模は過去最大級だった訳ですが、こういったODA(予算)の減少傾向というものは、今後も続いていくものなのか、来年に大臣はODAについてしっかりと見直したいと仰っていますけれども、こういった傾向というのはやむを得ないとお考えなのか、お考えをお聞かせください。

【大臣】ODA予算というのはなるべく確保したいという気持ちは非常にあります。そのための新しい財源というものも検討していかなければいけないと、国際連帯税とか、様々な議論が国際社会の中で行われております。ただ、今回の来年度当初予算において、確かにODA予算は減っていますが、他方、補正(予算)ではかなり(予算を)付けておりますので、額的にトータルで見ると、決して私(大臣)は大きく減ったというものでは必ずしもないと思っています。大事なことは、これから中身でありまして、金額を確保するとともに、それが意味のあるものでなければなりませんので、そういう意味でODA全体の改革論議というものを来年前半のひとつの大きなテーマに据えて、しっかりと進めていきたいと思っています。本日の政務三役会議でも申し上げましたが、このODAの見直し論議と非核政策についての新しい方向付けといったことを力を入れてやっていきたいというように思っております。

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記者会見のオープン化

【マガジンX 島田記者】記者会見をフリーランスや雑誌にも開放して、得たものとか今後の課題点等、考えていることがあればお伺いしたいと思います。

【大臣】これも答え方がなかなか難しいですが、外務省においては、大体定着したのではないかと、時々お叱りを上杉氏とかに頂きますけれども、仕組みとしては、大体定着したのではないかというように思っております。他の省庁もできるだけ参考にして頂きたいという気持ちもあります。いろいろな幅広い意見がこの場で出るということは、私(大臣)はいいことだと思います。また、私(大臣)自身もこうやってお答えしながら、楽しまさせて頂いているということです。幅が非常に広がったのではないかと思っています。

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外務大臣会見記録(平成21年12月25日(金曜日)14時40分~ 於:本省会見室)

冒頭発言-クリントン米国務長官との電話会談について

【大臣】私(大臣)からは一点だけ。昨晩、クリスマスイブでしたが、クリントン米国務長官と電話でお話を致しました。日米安保50周年を来年に控えて、日米間の安全保障を巡る様々な問題について意見交換を行いました。その中には、普天間の移転の問題も含まれております。引き続き緊密に協議していくということで一致を致しました。普天間の問題では、従来の政府の方針を改めて説明しました。もちろん、今までもルース駐米大使を通じて、米国政府には日本政府の考え方を連絡し、意思疎通を行ってきたところでありますが、改めて電話でカウンターパートである長官に直接説明を致しました。それ以上のやりとりにつきましては、本日、皆様に詳細にお話するべきではないというように思いますので、この点につきましては、以上にさせて頂きたいというように考えております。

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日米関係(クリントン米国務長官との電話会談等)

【テレビ朝日 新堀記者】クリントン米国務長官との電話なのですけれど、これは大臣の方から申し入れたものなのでしょうか。藤崎駐米大使とまだ今週お話になったばかりかと思うのですが。

【大臣】どちらがというのは、必ずしもはっきりしません。お互いが必要だと認識をしたから成立したと思います。実は、かなり早い段階から、「一度電話で」話をすることとなっておりましたが、クリントン米国務長官がCOP15でデンマークに行かれまして、十数時間、首脳会議に同席されて、時間が取れないということもありまして、昨日になってようやく実現したものであります。

【共同通信 西野記者】この案件については、日本政府の方針というのは、「平野官房長官が中心になって」ということだった思うのですが、平野官房長官は5月までといった数字を出しておられるのですが、そういった官房長官の考え方というものは、議題には上ったのでしょうか。

【大臣】官房長官の考え方というよりも、日本国政府として意志決定をしたことについてお話をしました。

【沖縄タイムズ 吉田記者】詳細には言えないということだったのですが、クリントン米国務長官の反応は、大雑把にどういう感じの反応だったかということだけでも紹介いただけないでしょうか。

【大臣】先程もお話をしましたように、この件についてはルース駐米大使を通じてやり取りをして参りましたが、その反応と同じです。想定の範囲内の反応でした。

【朝日新聞 内田記者】その電話会談なのですが、政府として意志決定したことについてお話をしたということですが、もう少し、どういう意志決定について大臣からお話されたのか、出来る限りお聞かせ頂きたいのですが。また、何時頃に何分間位お話をされたのでしょうか。

【大臣】時間は確か、夜の10時半位だったと思います。同時通訳が入って、時間にして20分位だったのではないかと思います。それから中身については、何度かここで申し上げておりますように、官房長官がお話することになっておりますので、私(大臣)から事前に申し上げるのはいかがかというように思います。各大臣が集まった時に、官房長官が明らかにすると決めたことでありますので、むしろ官房長官に聞いて頂きたいと思います。

【共同通信 上西川原記者】日米の電話外相会談に戻ります。先程、「政府方針はまだ官房長官が発表していないので」ということでしたが、「5月まで」というところはオンで話されていると思うのですが、その点については伝えられたかどうかというのは確認出来ますでしょうか。また、この日米外相会談はかなり大きな関心事項でして、これも普通であれば(会談が)終わって速やかに報道発表がなされたと思うのですが、今回タイムラグが生じたのはなぜでしょうか。

【大臣】タイムラグというのは。

【共同通信 上西川原記者】要するに、昨日の夜の段階で発表が無かったのはなぜなのかなと。

【大臣】具体的な中身をきちんとご説明した方がいいと考えて、この場でお話をさせて頂いている訳です。それから、中身については先程言いましたように、官房長官がお話をするという約束になっております。政府として決めたことは、私(大臣)は伝えてありますけれども、どういうことを伝えたかということは、官房長官がお話しになることが伝えた中身であるというようにご理解頂きたいと思います。

【毎日新聞 須藤記者】先ほど大臣は、クリントン米国務長官と電話会談をした理由について「直接説明したほうがいい」と仰られたのですが、大臣と総理はルース米駐日大使と直接お話をされている訳ですし、総理もコペンハーゲンでクリントン米国務長官とお話をされています。それでも尚かつ、もう一度直接話したいと考えられたのは、この間大臣が会見で何度も仰っている「日米関係に注意を払わなければいけない」等のようなことを踏まえて、繰り返し相手と直接話しをした方がいいという認識からもう一度会談をされたのでしょうか。今回の電話会談は大臣の方から申し込まれたという認識でいいのかどうかという確認をお願いします。

【大臣】そこはやや微妙です。先ほど申しましたように、双方が必要だと考えたから電話会談が実現したと思います。今仰ったコペンハーゲンにおける総理とクリントン米国務長官との若干の意見交換というのは、たまたまそういったことが起きたということであって、そのことと今回の電話会談というのは別ものだとお考えいただければいいと思います。

【琉球新報 滝本記者】クリントン米国務長官との電話会談で、幅広い日米安保50周年や普天間基地の移設問題も含めてというお話でしたが、以前お伺いした部分で「普天間の移設とは別に危険性の除去について考えることを提起してみたい」というお話がありましたが、昨日の電話会談で、その関連の現状の普天間の危険性除去、騒音の問題、安全性の問題について大臣の方から言及ございましたでしょうか。

【大臣】昨日の段階では、私(大臣)からは特に言及しておりません。もう少し「フェイス ツー フェイス」でしっかりと話しをしないと、なかなか電話で話して、簡単に答えが返ってくる問題ではないと思っています。

【読売新聞 村尾記者】大臣は以前「年内に決着しなければ、日米同盟は危機的な状況に陥る可能性がある」と仰っていましたが、いよいよ年も押し迫ってきましたけれども、昨日の電話会談を受けて、そういった危機的状況はある程度回避されたとお考えなのでしょうか。

【大臣】私(大臣)は「年内に」と言ってまいりましたのは、場所を含めて年内に決めるというように必ずしも言ってきた訳ではありません。このように思っていた時期もありましたけれども、この会見の議事録をご覧いただければ分かりますが、ある時期から「年内に方針を決める」と言ってきたつもりです。その方針は、もう既に決まった訳です。昨日、クリントン米国務長官に改めて説明を致しましたが、ルース米駐日大使を通じて聞いていた反応と同じ反応で、そういう意味では想定の範囲内であるということです。中身は特に申し上げるべきではないと思います。

【NHK 禰津記者】今の日米関係全体についてお伺いします。100日という節目の日ということもありまして、これまでの会見で「今の日米関係が揺らいでいる、危機的な状況を感じている」ということを仰っていましたが、改めて今の日米関係の現状についてのご認識と、来年は日米安保50周年の節目の年ですが、日米同盟、日米関係をどのようにして立て直して行きたいか、その道筋についてお願いします。

【大臣】なるべくコミュニケーションをとりながら、信頼関係を構築していかなければならないと考えております。日米安保50年ということでありますが、最初に私(大臣)がクリントン米国務長官とニューヨークでお会いした時に「30年、50年と日米同盟が持続可能で、そして、より深化したものに、深まったものになるように努力したい」と申し上げましたが、改めてそういう気持ちでしっかりと取り組んで行きたいと考えております。同時に普天間基地の移設問題については、きちんと解決をしていくことが重要だと思っています。

【NHK 禰津記者】今の日米関係のご認識については如何でしょうか。

【大臣】厳しい状況であることは変わらないと思います。しかし、それが破綻するような状況にはないと思っています。

【日刊ゲンダイ 細田記者】今週月曜日の話に戻って恐縮ですが、クリントン米国務長官が藤崎駐米大使を呼んだというけんですが、22日の国務省のクローリー国務次官補の会見で「呼んだのか」という質問に対して「藤崎駐米大使は“STOP BY”立ち寄ったのである」要するに「藤崎大使の方が来た」とコメントしていますが、事実に食い違いがあると思いますが、事実はどうなっているのでしょうか。

【大臣】先ず、呼ばれもしないのに突然行ったというのは考えらません。外交について、それなりに経験のある方なら誰もが分かることだと思います。突然、大使が外務省にやって来て「(大臣に)会わせろ」と言って「分かりました」と言って大臣が会うというのは非現実的であります。藤崎駐米大使は呼ばれもしないのに、何もないのに行ったということは100%ありえないと思います。では、どちらが先に声をかけたのかということは、私(大臣)はそんなに大事な話ではないと思いますが、お互い必要だと思ったから合意が成立して会見になった訳です。私(大臣)が承知しているところでは、報道官のその発言は正確ではないと、米国政府の正式な見解ではありませんが、そのような発言は承知をしております。

【朝日新聞 内田記者】クリントン米国務長官との電話会談に関連してですが、日米同盟の深化に向けた日米間の協議を大臣は「出来れば動かしたい」と言うように仰っておられましたが、クリントン長官には具体的に提案されたのでしょうか。また、これから協議を始める見通しというのはついたのでしょうか。

【大臣】先程申し上げましたように、詳しい中身の話について、私(大臣)は申し上げません。

【沖縄タイムス 吉田記者】日米の普天間に関するワーキング・グループですが、クリントン米国務長官との電話会談なり他の場所なりで、今までは現行案を検証する場だったのですが、協議継続するために、例えば役割を変えて続けていこうとか、そういう話は今出ていますでしょうか。

【大臣】これも込み入った話であります。ですから、電話で私(大臣)と長官が話してそこで「わかりました」というものではないだろうと思います。ですから、今日はこの問題は取り上げておりません。少し腰を据えてじっくり話していかないとうまくいかないだろうというように思います。建前で言えば、「それは目的が違うのですから必要ありません」というように言われかねない問題です。ただ私(大臣)としては、普天間から辺野古への移転ということを前提としなくても、今現にある普天間基地や嘉手納基地の騒音や危険の問題を除去するということは、「それはそういう問題と切り離してでも」というようなことなので、是非話し合いを行いたいと思っております。そういうことをしっかりと説得力を持って説明していきたいと考えているところです。

【沖縄タイムス 吉田記者】そういう話も伝えられたということですか。

【大臣】いや、ですから昨日の電話でそれはやってすぐ結論が出る問題ではありませんので、少し時間をかけてしっかりとお話をしなければいけないというように思います。ただ、普天間に関する現行のプランを先送りにすると、他に探すということを決めたばかりですから、そういう状況の中でそういった話を持ち出しても必ずしも良い結果を得られないであろうと私(大臣)は判断しております。

【共同通信 西野記者】(普天間に関する)政府方針なのですが、クリントン米国務長官と電話会談をされ、御説明なさったということで理解しております。一方で、官房長官が発表するので(大臣からは)発表できないというようなことを仰っておられますが、どうも米側には政府方針は伝わるのですが、一部報道ベースで出てるものはあるのですが、政府としてはこういうようにすると正式に発表されていないというのが大臣の見解だと認識しています。そうしますと、外交の責任者として国民にわかりやすい外交を進めるということであれば、官房長官に例えば政府方針についてしっかり発表して欲しいというように働きかけるというようなことでないと、どうもすっきりしないというか、私どももどう聞いていいのか分かりません。そこで、官房長官がお話になっていることについてこれが政府方針なのかそうでないのかということも含めて、分からない部分があるので、それをどう整理していけば良いかをお願いいたします。

【大臣】官房長官も予算を始め色々と課題が多くてお忙しいのではないかというように想像しています。きちんとした形で決めたことを述べられた方が良いと、また述べられるべきであるということを私(大臣)から何度も伝えております。

【共同通信 西野記者】それがまだできていないということでしょうか。

【大臣】それは官房長官に聞いてください。

【琉球新報 滝本記者】普天間移設問題に戻りますが、クリントン米国務長官との会談では、突っ込んだお話ではなかったということですが、現状の普天間の危険性除去について、普天間の移設とは辺野古への移設を前提にしなくても、追求できるのではないかというお話ですが、前回の会見でもお伺いしてそのようにお答え頂きました。沖縄に12月初旬に訪問された頃の大臣の仰られ方では「やはり日米合意が前提としてあるので、負担軽減を別個にやることは難しい」ということでした。まさに宜野湾の伊波市長が「危険性除去ということは、移設とは別にやってほしい」と仰っていることにも関連し、(大臣が)「日米合意を踏まえた上でやるということが、前提にある」ということを仰っていて、そのお気持ちが変わられたようにも受け取るのですが、その変わられたきっかけというか、何故そのようにお考えを変えられたのかということをお聞かせください。

【大臣】気持ちは全く変わっておりません。私(大臣)は沖縄の負担の軽減、危険性や騒音の除去ということは、非常に重要な問題だと思っております。ただ、相手のある話ですから、米側からすれば、約束が果たされないというように「一部だけ『やってくれ』と或いは『協議してくれ』というのは違うのではないか」ということです。これも当然の反応です。そういう中でそういう当然の反応でありますが、私(大臣)自身の思いを少しでも実現するために、もちろん、それは私(大臣)の思いだけではなくて、沖縄の皆さん、全国の多くの人の思いだと思いますが、危険性や騒音の除去ということについて、なんとか米国を説得して協議が始められないかと考えている訳です。どうなるか分かりません。相手のある話ですから、話し合いに応じるかどうか分かりません。慎重にしっかりと進めたいと思います。

【琉球新報 滝本記者】以前には、協議にも入ろうという部分が少なくとも私には見えなかったのですが、それが、入ろうというお気持ちになられたきっかけというものはございますか。

【大臣】ですから、当時はそれより前にしっかり結論を出すと。出せば、もちろん、そいういう話は順調に進む訳ですから。しかし、今や政府としては、違う意思決定をした訳です。

【琉球新報 滝本記者】政府方針が変わった訳でそうなっているということですか。

【大臣】私(大臣)はいつも政府方針に基づいて活動しております。

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民主党政権発足後100日

【毎日新聞 野口記者】大臣は、就任後の最初の会見で、「100日間で目途をつけたい問題」として、この米軍の基地問題と、アフガン・パキスタン支援と、気候変動の問題を挙げたと思うのですが、本日が100日ということで、この基地の問題は結論が年内に出なかったのですが、改めてこの3ヶ月間を振り返っての感想をお願いします。

【大臣】普天間基地の移転の問題に関しては、方針は決まりましたけれども、どこに移設するかということについては決まらず、先送りされております。そういう意味では、大変残念なことだと思いますが、現状を見るとやむを得ない決断であったというように思います。それ以外の答えはなかったと思います。気候変動(の問題)は、COP15、必ずしも満足すべきことではないとは思いますが、そういう意味では次の1月の末までに、そしてCOP16までにということで、完全に100点満点ではありませんが、日本としては日本の考え方を示し、そして、EUや米国と一つのチームを組んで行動出来、日本もそれなりにリーダーシップを発揮することが出来たという意味では良かったと考えております。アフガニスタンについては、これからということが多い訳ですが、5年間で最大50億ドルという枠組みが出来て、これから中身をいかに織り込んでいくのかということが非常に重要になってくると思います。「100日間で」と言ったのは、すべて100%解決するというように思って申し上げた訳ではもちろんありません。そういう意味では、まずまずかなと思っております。

【共同通信 上西川原記者】民主党の政策の大きな柱の一つに、政府に100人(の国会議員を)入れるということだったと思うのですが、外務省では現時点でも一人の政務官の空席が続いていますが、それは、たくさん入れればいいという話ではないという判断なのか。今後は、また方針が変わって定員が増えるかもしれませんが、今後についてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】機会があれば、増員したいと思っています。ただ、スタートのときに埋められなかったものですから、いい機会を捉えてそういったことを考えたいと思います。今、政務三役は手いっぱいです。

【共同通信 上西川原記者】もっと多い方がいいと思いますか。

【大臣】多い方がいいと思います。ただ、仕事がかなりありますので、やはり選挙の心配がある人は外務省には向かないと思います。

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高校の新学習指導要領

【朝日新聞 東岡記者】本日公表されました高校の学習指導要領の解説書についてお尋ねします。昨年中学校の解説書が公表された際は、竹島が明記されて韓国側が反発して大使が帰国するという事態に陥りました。今回は「中学校の学習を踏まえ」という表現で、竹島は明記されていません。今回の表記を踏まえて大臣は、日韓関係に与える影響についてどのようにお考えでしょうか。

【大臣】韓国側のメディアの反応を見ますと、色々な意見がそこに出て参ります。私(大臣)は、今回のことは文部科学省が判断をされたことでありますので、そのことについて、もちろん、そのプロセスで相談を受けたことはありますが、基本的にはこのように決めましたというご連絡を頂いたことでありますので、この点について今の段階でコメントをしないほうがいいと思います。

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ロシア訪問

【北海道新聞 佐藤記者】大臣は27日(日曜日)からロシアを訪問されますが、以前委員会での答弁でロシア訪問について「是非にとは思っているけれども、日米の懸案事項もある」と仰っていました。結局年も押し迫った中でのロシア訪問になりますが、その日米の懸案事項である普天間基地移設問題について最終的な決着ができず、先ほどもお話がありましたとおり、「その同盟関係については揺らいでいる、厳しい状況である」というお話もありました。大臣は日米間のこうした状況がロシア、或いは他の国と日本との外交に影響を与えるという可能性はあるかどうか、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】日米間は、先ほども申し上げましたように方針は決定しました。後はその方針に沿って、しっかりと候補地を探すという作業が当面求められている訳です。方針が決まったという意味では一区切りついたという状況にあるかと思います。日米同盟というのは、非常に私(大臣)は日米外交にとっても基軸となるべき非常に重要な関係だと思っておりますので、そこがより安定し、深いものになるということが日本にとって望ましいことだと考えております。

【NHK 梶原記者】昨日大臣はインターファクス通信のインタビューを受けられ、北方領土問題について「この問題は果てしなく続けていこうとするロシア側の姿勢に不信感を日本国民が抱いている」という発言をしたという報道がありましたが、実際にロシア側の姿勢について、どのようにお考えになっていて、今度の日露外相会談にどのような姿勢で臨もうとしているのか、その辺りを改めて説明をお願いできますでしょうか。

【大臣】基本的に今までの政府の姿勢と私(大臣)は違っていると思わないのですが、四島の帰属の問題をきちんと解決するということは、平和条約を結ぶということが日露関係の正常化につながるということです。そこがクリアできないといつまでも平和条約を持たないという変則的な関係が続くと言わざるを得ないと思います。国民的にもそのような状況で、ロシアとの関係を深めていくことに支持が集まるというようにも考えられないと思っています。したがって、ロシア側には四島の帰属問題について、しっかりと誠意を持って交渉を行い、答えを出すということに努力していただき、もちろん我々も努力しなければいけないと思っています。

【北海道新聞 佐藤記者】日ロ外相会談についてもう一度お聞きします。会談では今後の政治対話についてもテーマになると聞いておりますけれども、鳩山総理のロシア訪問について現時点での大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】今具体的なプランがあるわけではありません。国会も始まりますし、それから具体的にはやはりこの領土の問題、四島の帰属の問題について日ロ間である程度方向性が出た方が実りある首脳会談になるというように思っております。当面は色々な場で両首脳が会う機会がありますから、そういう場で話をしていくということになるのではないかと思っております。

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いわゆる「密約」問題に関する調査

【読売新聞 村尾記者】密約に関してですが、先日沖縄返還交渉の時の佐藤(元)総理、ニクソン(元)大統領の核持ち込みを巡る密約の文書がご遺族のお宅から見つかったと報じられましたが、まずご感想を伺いたいのと、今後有識者委員会に委ねられると仰ってましたが、有識者委員会の扱いについてどのようなことが望ましいか、もしお考えがあればお聞かせください。

【大臣】有識者委員会は基本的に北岡座長を始め、専門家の皆さんが集まっておられますので、私(大臣)は色々口を挟むのではなくて、その判断に委ねたいというように考えております。沖縄返還時の核の持ち込みに関する密約、これは4つの密約のうちの一つですが、私(大臣)はその具体的な証拠が出てくるというのは一番難しいだろうというように想像しておりました。米国側も情報公開をしていない訳ですし、果たしてそのようなものがあったのかどうかということも、若泉さんの著書には出てきますけれども、私(大臣)は本を読んだ限りでは書かれていることのかなりの部分は恐らく本当だと当時は思いましたが、しかし決定的な証拠はない。そのもっとも表に出にくいものがこういう形で出てきたことは驚きであり、私(大臣)は、これは外務大臣という立場からは離れるのですが、非常にわくわくした、そういう気持ちでございます。佐藤元総理のご遺族もよく決断して出していただいたと、やはり歴史に忠実であろうというお気持ちで出していただき非常に感謝したいと思います。

【朝日新聞 東岡記者】先程、質問に出ました核の持ち込みを巡る文書が見付かった件ですが、この文書には、日本の総理大臣と米国の大統領の署名がある訳ですが、文書は現在でも有効だと大臣はお考えでしょうか、或いは、無効だとお考えでしょうか。

【大臣】そういう中身の話は、検証委員会で検証して頂いているので、私(大臣)が先取りして言うべきではないと考えております。

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献金疑惑

【ニコニコ動画 七尾記者】昨日行われた鳩山首相の記者会見に関してですが、昨日総理が元秘書が在宅起訴されたことを受けまして夕方釈明の記者会見を行いました。場所も官邸ではなく一人の政治家として行った訳ですけれども、大臣自身はこの件につきましてどう思われましたでしょうか。

【大臣】官邸を使わずにホテルで(会見が)行われたのは一つの見識であります。つまり、鳩山由紀夫衆議院議員として行われたことに関して、鳩山由紀夫個人としてお答えになったということ、或いは政治家鳩山由紀夫としてお答えになったということであって、総理大臣ということとは切り離して対応されたということは賢明であったと思っています。中身は鳩山総理ご自身が語っておられます。我々としてはそれに付け加えることは特にないのですが、あとは国民の皆様に政権交代、鳩山政権ということに対して大きなご期待をいただいて参りましたので、しっかりと仕事をしてその期待に応えていく、そのことしか私(大臣)にしかないというように思っております。

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日印関係

【ニコニコ動画 七尾記者】今後の日本とインドの関係の在り方についてです。27日からの鳩山首相のインドへの訪問は正式に決定していないとのことですが、日印安全保障協力宣言から一年が過ぎまして、今後日本とインド、或いはこれに米国も含めた協力関係をどのように深化させていきたいお考えでしょうか。

【大臣】鳩山総理の日程はまだ決まっておりません。従って、そのことを前提としてということではなくて今のお話にお答えするとすれば、インドは将来発展するアジアの中でもさらなる経済成長が期待され、人口もやがて中国を抜いて世界一になるということも予定されている非常に重要な存在であるというように思います。加えてインドでは民主主義というものが機能しているということも重要な点だと思います。インドと日本がしっかりと協力関係を築いていくということは日本自身にとっても、そしてアジア全体にとっても非常に有益なことであると考えております。米国も価値観を同じくする存在ですから、単に日印だけでなくて、米国も含めた協力関係を築いていくということも重要なことだと考えております。

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その他(インターネットの活用)

【J-CASTニュース 亀松記者】インターネットの活用についてお伺いします。インターネットで今非常に流行っているサービスでツイッターというブログのようなものがあります。鳩山首相はそのツイッターを始めることを検討しています。岡田外相も動画付きのブログを頻繁に更新されていますし、今この会見も「ニコニコ動画」等で中継されてもいます。また改めて、そのようなネットサービスの活用であるとか、ネットメディアへの情報発信ということについて、どのようにお考えかお聞きしたいと思います。

【大臣】直接全体を伝えることはできるという意味では私(大臣)は非常に重要だと思います。つまり、編集や加工ではなく、全体を伝えることができるという意味では大変重要なツールであると思います。ツイッターがどうか等、そのような話しはそれぞれ個人がお決めになる訳ですから、私(大臣)はあまり小まめではないものですから、週二回くらい動画で配信して、それを文章にしてブログへというのが、私(大臣)の今の状況から見ると限界だと思っています。

【J-CASTニュース 亀松記者】当面ツイッターというのはない感じでしょうか。

【大臣】考えておりません。

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外務大臣会見記録(平成21年12月22日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言-政務三役会議

【岡田大臣】私(大臣)からは本日は特に最初に申し上げることはありません。政務三役会議(のこと)だけ少し報告しておきたいと思います。色々ありますが、福山副大臣がCOP15から戻りまして、その現場の状況の報告がありました。その上で、やはりこれから、基本的にはCOP16に向けて、今回のことを踏まえて、より外交的な努力というものが求められる、ある意味では日本の外交資源のかなりのものを使って、これから(COP)16に向けて、様々な準備をしていかなければならないという話、或いは共通の認識に至ったという話です。もちろん、今回行かれた鳩山総理はじめ、日本の代表団は非常にいい仕事をしたという評価の上での話です。

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米軍再編問題

【朝日新聞 内田記者】米国のクリントン国務長官が藤崎駐米大使を国務省に呼んで、日米関係について話をするという異例の出来事がありましたけれども、クリントン国務長官からはどのような話があったのでしょうか。

【大臣】議論の詳細をお話しする立場にはございません。ただ、クリントン国務長官から日米問題の重要さ、そして沖縄の基地問題の重要さについてお話があったというように認識をしております。特に何か新しい話があったというようには認識をしておりません。

【琉球新報 滝本記者】今の話に関連しまして、沖縄の基地問題の重要性についてお話があったというように大臣はおっしゃられましたけれども、何がどういうように重要だということでのお話だったのでしょうか。

【大臣】私(大臣)はそういった個々の中身をお話しする立場にはございません。ただ従来、米国政府が述べてきていますことは、普天間の移転に関して、日米合意案というものが重要であるというのが米国側の一貫した主張でありますので、同様な話があったのではないかというように申し上げたいと思います。私(大臣)は断定をすべきではないと思います。

【毎日新聞 須藤記者】今の関係で、個別の話ではなくて全体の話をお聞きしたいのですが、コペンハーゲンで総理はクリントン国務長官との晩餐会の席で、かなり長い時間、色々とお話をされたと総理自身が仰ったのですけど、その時におそらく総理は我々(記者)に「クリントン国務長官の理解を得られた」と広い意味で言われたと思うのですが、そのあとすぐにクリントン国務長官が駐米大使を呼んで、もう一度、米国側の意図はこういうことだと伝えています。どうも個別のやりとりの中身というよりは、日本と米国との間で、いちいち細かいことのコミュニケーションがどうも上手くとれてないのではないかという印象を受けるのですけれども、そういうことについてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】コミュニケーションがとれていないというような判断をした理由がよく分からなかったのですが。

【毎日新聞 須藤記者】総理とクリントン国務長官は話された直後に、再び話をしたクリントン国務長官が大雪の中、駐米大使を呼んで念押しをしています。おそらく、クリントン国務長官は総理が「米国から理解が得られた」と記者団に話したことについて、「そうではない」と。日米関係の重要性ということは理解しているが、普天間の新しい移転先を容認した訳ではないということを強調したかったのではないかと思われるのですけれども、そのあたりの細かい意思疎通がどうも出来てないのではないかと思います。食い違いが感じられるのですが、そういうことをお尋ねしています。

【大臣】仮定に基づくお話ですから、どういう前提でその仮定が出てきたのかもよく分かりませんので、コメントのしようがありません。

【フリーランス 岩上氏】自民党の長谷川参議院議員が離党しました。自民党の議員が離党するのは、参議院議員ではこれで二人目です。これは、数は少ないですけれども、政局に大きな影響を与えるものであろうかと思います。とりわけ、外交問題で三党合意で、ある意味縛られている状態にあるこの普天間問題についても、どこかで大きな決断をする際、数の問題が影響を与えるのではないかと思いますが、この件についてお考えをお聞かせください。

【大臣】どういう経緯で自民党を離党されたのかというのは、私(大臣)は詳細に承知しておりません。また、及ぼす影響ということについても、あまり安易なコメントはしないほうがいいと思います。ただ、今仰った中で「三党合意に縛られている」と言われましたが、三党合意をご覧頂ければ分かりますように、かなり抽象的な話でありますので、「縛られている」という意味がよく分かりません。かなり大きな幅を持った表現になっていると(思います)。私(大臣)は交渉の当事者でありましたので、色々な具体的な話がある中で、あのような表現に落ち着いたということだけは申し上げておきたいと思います。

【西日本新聞 斎田記者】確認ですが、クリントン国務長官と藤崎駐米大使の会談で、大臣は、「詳細を話す立場にない」というように仰られましたけれども、大使の方から会談の内容についての報告は受けてらっしゃるのですか。

【大臣】もちろん受けています。

【西日本新聞 斎田記者】そうするとその上で、内容についてはご存知だけれども、詳細についてはここでは申し上げられないということでしょうか。

【大臣】それぞれの信頼関係に基づいて、外交、それぞれの国のハイレベルの人間が意見を交わしたことについて、個別具体的にお話しをするということの方がむしろ異例だと思います。

【朝日新聞 倉重記者】今の質問に少し追加ですが、会談の詳しい中身は立場上仰られないということですけれども、我々第三者から見て、米国は非常な寒波で交通状態が非常に麻痺している中で、あえて大使を呼んで、その直前でコペンハーゲンで総理が晩餐会で(クリントン国務長官と)隣同士で、「基地の話に触れて理解を頂いた」と記者団に語っている直後に、改めてクリントン国務長官から大使を呼びつけたと、呼ぶというのは、やはりどう考えても異例、極めて異例だと思うのですが、この米国側の対応について、どのように受け止めてらっしゃいますでしょうか。

【大臣】クリントン国務長官は大使を呼びつけたのではなくて、呼んだのですが、これは鳩山総理とクリントン国務長官がたまたま晩餐会で隣り合わせになって会話を交わしたことと関係があるのかどうかということも、これは一定の想定です。私(大臣)はそれが関係があるのかどうかもよく分かりません。ただ、恐らく長官としては、アメリカの受け止めについて、「受け止め」という意味は、今回の(日本)政府の決定、決定というのは公式には「三党でよく協議していこう」ということではありますけれども、その受け止めに対して、何らかの米国側としてのそれに対する受け止めを伝えておきたいということであったと思います。

【朝日新聞 倉重記者】これを受けて、大臣から改めて説明をされるという機会は、特に予定されていませんでしょうか。

【大臣】私(大臣)の判断する限り、そのことについて説明を求められているとか必要だというようには捉えておりません。

【共同通信 上西川記者】関連ですが、今言われた政府方針の実質的な内容がなかなか公に発表されませんが、クリントン国務長官、一連の米国側の対応を受けて、日本政府としてもこれからどうしていくのかという部分について、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】この前少しお話ししましたように、私(大臣)は事実上、基本政策委員会の場で三党の間で合意が出来たというように考えておりますので、それをどういうタイミングで出していくかということは官房長官に委ねられていると考えております。

【日本テレビ 小栗記者】先程のクリントン米国務長官と藤崎駐米大使の話に戻りますが、このタイミングでわざわざ国務長官が藤崎大使を呼んだということは、当然敢えてそういう場を設ける必要があったというようにクリントン長官側が判断したと思うのですが、基本問題政策委員会の決定を受けての反応だったということでしょうか。改めてもうこれについての反応はないということでしょうか。

【大臣】米国のことですから私(大臣)が勝手に決める訳にはいかないですが、基本的に日本の政府の考え方について今回米国政府としての受け止め方を話したということだと思います。日米間での意思疎通ということは、私(大臣)とルース大使の間でもかなり綿密に行っておりますので、そのことも踏まえての反応だったと思います。

【北海道新聞 佐藤記者】引き続き政府方針について、公にするのが官房長官の判断ということですが、今回の藤崎大使とクリントン長官とのやりとりを受けて、この固まった政府方針を変えるお考えはおありでしょうか。

【大臣】特にないです。公にするのは官房長官の判断というのは、「(三党間の合意を)いつ公にするのか」は官房長官の判断ということです。

【読売新聞 川崎記者】普天間基地問題の関連ですが、今回、クリントン長国務官から藤崎駐米大使へ伝えられた内容についての詳細は明かせないということですが、大臣ご自身の認識として、今回こういうタイミングで、我々から見ると、客観的に見ても異例と思えるべきタイミングで、長官が大使を呼んで米側の考えを伝えたと。そして、今の現状認識としまして、大臣は以前「日米関係が揺らいでいる」と仰っいましたが、揺らいでいる状況からさらにそれが継続しているというお考えなのか、ご懸念に思っておられるのか、その辺りについてご認識を伺いします。

【大臣】別にこれで問題が解決したわけではありませんので、そういう意味では、なお細心の注意を要するというように思っております。ただ、今回、藤崎大使が国務省に呼ばれた事自身が今まで以上に心配しなければいけない事態かと言うとそういうようには全く思っておりません。最終的に、米政府の今回の日本の方針に対する受け止め方というものについては、大使を通じて明らかにするか、あるいは私(大臣)とクリントン長官が電話なりで話をするか(ということになると思います)。何らかの形で、米政府の考え方が伝えられるものだと思っておりましたので、想定の範囲内のことであります。

【フリーランス 岩上氏】基本政策閣僚委員会の方で三党で協議していくと、これだけが決まったということが発表されました。そうなれば当然、社民党と国民新党の意向というものは無視することは出来ないということだと思うのですが、その一角である国民新党の下地政調議長が沖縄で「外務省、日本政府はとにかく交渉を続けるべきだ」と25日という日にちを出しているのですが、

【大臣】18日ではなくて。

【フリーランス 岩上氏】25日ということを。

【大臣】一週間延びたのですね。

【フリーランス 岩上氏】この辺りは、実は講演録の中身全部を把握していないのでわからないのですが、もしかしたら米国がクリスマス休暇に入る前にとにかくぎりぎりまで粘って交渉するべきだというような趣旨かもしれません。少しでもこうした米との交渉を前へ前へ進めていくべきだという考えについて、外相としてどのようにお考えになるかお聞かせください。

【大臣】三党でその前の基本政策閣僚委員会で方針は確認をいたしました。その中身は今、私(大臣)の口からお出しするわけにはいきません。これは約束ですから。その方針に沿って粛々とやっていくと。下地議員もその場にはおられたはずですから、当然、その考え方には賛同されているはずであると思います。

【NHK 別府記者】藤崎駐米大使から寄せられているクリントン国務長官の政府方針に対する反応であるとか、これまで米から得られている反応で、大臣は以前、日米関係に対する懸念といったことも言及されていましたが、それは高まるようなことになっていますか、それとも高まる必要はないとの受け止めでしょうか。

【大臣】想定の範囲内です。もちろん、楽観している訳ではありませんが、非常に重要な問題だと思いますので、しっかりと対応しなければいけないと思います。何か大使と長官が会った結果として、想定外の新しい事態になっているとは全く思っておりません。ちなみに、昨日の夜、(藤崎)大使から電話をもらいまして、(国務長官に)会うにあたってのいろいろな点についてアドバイスを求められたので、私(大臣)なりの考え方も申し上げておきました。それを踏まえて、大使に(国務長官に)会って頂いたということです。

【琉球新報 滝本記者】先程、大臣はクリントン長官の具体的な中身ではないのですが、普天間に関して、「日米合意案は重要だという米側の一貫したお立場」というお話ではないかというお話でした。それはその想定内というお話ですが、米側は「今の日米合意案で行くべきだ」というお立場ということは変わらずということは今もあると思いますが、一方、日本側としては「三党で協力してやっていこう」という話になっていると。また、そのベースにあることは、常々仰っておられる総理のお考えは「新たな移設先も含めてあらゆる選択肢を考える」ということ、つまり「現行案と違う方向も模索して考えるべし」という方向で協議をしていこうということになった理解します。そうなるとやはり、米との立場、その方向性が違う方向を向いたままになっていると思うのですが、その部分は三党で協議していくという日本国内の話と、ワーキング・グループの目的は別途付与されるのかどうかですが、米国との交渉は、どのように進めていくお考えかお聞かせ下さい。

【大臣】米側の負担の軽減ということは、現在の日米合意を前提にしての話ですから、そういう意味では、今のままではワーキング・グループを早急に動かすということにはならないと思います。以前も申し上げたと思いますが、それ以外にワーキング・グループに別の役割を負わすのであれば、それは話が違ってきますが、今の状況で、米側としては、考え方を変えていない訳ですから、そして、今の案でいくという前提で様々な負担軽減策ということを言っておりますから、ワーキング・グループが早急に動くと考えにくいと思います。

【共同通信 西野記者】先ほどのお答えの中で「楽観はしていない」「しっかり対応していかなければならない」と、外交の責任者としてのお言葉だと思いますが、そのしっかり対応する中身について、どのようなことをお考えでしょうか。

【大臣】今、非常に話しにくい状況です。三党でどのような合意をしたのかということは公式に発表されておりませんが、「新しい候補地について検討する」と総理が仰っておりますので、そういったことについて迅速に対応を進めていかなければならないということだと思います。

【読売新聞 川崎記者】今回の普天間基地問題についての大臣の先ほどからのお言葉で、「細心の注意を払わなければいけない」や「楽観視していない」という、ある意味現状の厳しい認識を示されたと思います。そうしますと、先ほど大臣が、日米関係について「若干揺らいでいる」と仰った時と、想定の範囲内とはいえ「日米関係は揺らいでいる」という現状認識は変わっていないという大臣のご認識ということでしょうか。

【大臣】揺らぎ方にはいろいろあると思いますが、十分注意をして進めていかなければならない状況であると思います。

【ドイツテレビ 西里記者】普天間基地の問題は、沖縄の負担を軽くするということと、対等な日米関係という二つの問題、角度があると思います。個別の問題というよりも日米関係ということで、自民党時代は特に海外からは「属国」という言われ方もされていた訳ですが、そのような意味で対等な日米関係を築く一つの表れ方というように解釈するのは間違いでしょうか。

【大臣】普天間基地の問題というのは、沖縄の負担を軽減するということと、我が国の抑止力というものをどのように維持していくかという問題だと思います。対等の日米関係というのは、切り口が違う問題だと思います。この問題が対等な日米関係につながるどうかということは非常にお答えしにくいです。私(大臣)はあまり、そのような視点でみたことはありません。

【日本テレビ 小栗記者】確認ですが、先ほど鳩山総理も言っておられるとおり「新しい候補地について検討する」と(大臣は)仰いました。新しい候補地を検討した結果、それが見つからなかった時に、沖縄では県外への期待感が高まっていますが、また辺野古に戻るという選択肢、可能性というのは残されていると見てよろしいでしょうか。

【大臣】今、総理が決意を示された訳ですから、そういったご質問に先取りしてお答えしない方がいいと思います。しかも、もっと良い案があるというように、他の与党も仰っている訳ですから、その可能性を徹底的に追求してみることが、今求められていることだと思います。その結果を先取りして、その先の話をするということは、今は避けたいと思います。

【琉球新報 滝本記者】先ほどの私の質問に対してのお話ですが、「今の案で負担軽減策というのは、今の合意案をやった上で」ということだと米側の姿勢で仰らたと思いますが、その仰られる時の負担軽減策というのは2006年の日米合意のロード・マップの中にあるパッケージとされたグアムへの移転も沖縄にとっては負担軽減策、更には本島中南部の基地の返還も負担軽減策ですが、これとは別のロード・マップの中の負担軽減策とは別の案(負担軽減策)がワーキング・グループで「この日米合意案を了承するならば、この負担軽減策を示せる」ということが米側から提示されているという意味でしょうか。

【大臣】議論の対象にはなり得るという話だった訳です。例えば、訓練場所を変える等、いくつかのことが考えられると思いますが、そういったものは米側は「基本的に今の日米合意案が前提の話である」というスタンスです。中身は詳しく申し上げません。私(大臣)はそこは必ずそうなのかどうかというのは議論の余地はあるのではないかと思っております。ワーキング・グループを動かして、例えば普天間基地の現在の騒音、或いは訓練中の問題とか、一部の移転の問題などは、今の日米合意案を前提にしなくても、今の危険を除去するという意味においても、考え得ることではないかと思います。嘉手納基地の騒音も同様です。そういうことはそういうこととして、切り離して話してみたい気がしますが、日米間で一呼吸おいた上でそういう提起をしていきたいと思います。

【琉球新報 滝本記者】まだ、提起はされていらっしゃらないのでしょうか。

【大臣】もう少し固まった上で言った方が良いでしょう。

【共同通信 上西川原記者】来年は日米安保条約50年で1月19日署名だったと思いますが、大臣は「普天間という目の前のものが片付かないと、この議論をなかなか進められない」という話でしたが、今の段階で分かっている話では数ヶ月かけて新しい候補地を探していくという流れにありますけれども、その間、この話は一切前に進まないとお考えでしょうか。

【大臣】できれば動かしたいというように思いますが、相手がある話ですから、一呼吸置きながらよく話をしてみたいと思います。ある程度並行してやらないと、その間全く話ができないということになりますので、できれば並行して動かすことができないかどうか交渉してみたいという気持ちはあります。しかし、まだ少し、今すぐということではないかなという気がします。

【フリーランス 岩上氏】先程、大臣は「三党の合意で方針は既に決まっているけれども、発表するのをもう少し待って欲しい」と仰っております。他方、米国とは緊密な連絡を取ったり、話し合いを続けています。ルース駐日米大使とも話を続けていると仰っています。内閣で決められた方針なり、方向性なりを米国側には既に伝えたのでしょうか。それとも国民に対してだけ待って欲しいということなのか、米国側に対しても、方針とか方向性も含めて米国側に伝えずに待って欲しいと言っている状況なのでしょうか。

【大臣】基本的な方向性については、これだけコミュニケーションを取っている訳ですから、米国側に伝わっていると考えています。

【フリーランス 岩上氏】そうしますと、国民の側だけが待たされているというような状況ですか。そして、いつになったら、それについて明らかにされるのでしょうか。

【大臣】それは官房長官に聞いて下さい。

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いわゆる「密約」問題に関する調査

【読売新聞 宮井記者】密約の調査に関連して、読売新聞の取材で沖縄返還時の核の持ち込みの密約が佐藤栄作元首相の遺族の家に保管されていることがわかったのですが、この事実、我々の報道を踏まえて今後その紙について調査をされる予定があるのかということと、今後の調査にどのような影響を与えるとお考えかお聞かせください。

【大臣】その報道は最近のものですか。本日の夕刊ですか。私(大臣)はまだ承知しておりません。どのように取り扱うかは、今はこの密約の問題は外務省の手をいわば離れて検証委員会に移っておりますので、北岡先生はじめ検証委員会のメンバーの先生方がどう考えられるかという問題だと思っております。私(大臣)から特にそのことについて予断を持って申し上げるべきではないと思います。

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カンボジア政府によるウイグル族難民の強制送還

【日本インターネット新聞 田中記者】話はカンボジアの方に飛んで恐縮ですが、先週の土曜日19日に、カンボジア政府が中国から亡命してきているウイグル族20人を中国に強制送還する事件がありまして、これはカンボジアと中国の問題だと言ってしまえばそれまでですが、日本政府は、国連の人道理事会でカンボジア人権決議の主要国になっています。それと1992年のUNTACの時から、私も現場に行っていましたが、ODAを通してカンボジアと長いつきあいがありますが、日本政府としてこの人権問題について何かアクションを起こさないのでしょうか。大臣のお考えをお聞かせ下さい。

【大臣】今回20名のウイグル族が本国に強制送還されたという件に関しては、そういった措置によって、このウイグル族の皆さんが、生命や安全の危険にさらされる可能性があり、難民条約の精神に照らして、かつ人道的見地から今回の措置が適切であったとは言い難く遺憾である旨をカンボジア政府には日本政府として伝えたところでありますし、懸念を表明したところであります。

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米露核軍縮交渉

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読させて頂きます。本日は、米露の核軍縮交渉についてです。12月5日に失効した「第一次戦略兵器削減条約START1」の後継条約について、コペンハーゲンで18日、オバマ大統領とメドベージェフ大統領の米露両大統領の間で会談がありましたが、合意には至らなかったそうです。それぞれ思惑があると思いますが、核なき世界の実現に向けて、日本として出来るこ
とということはあるのでしょうか。

【大臣】私(大臣)はそんなに悲観的ではありません。米露間で一定の合意がやがて出来るだろうと考えております。そしてその上で、米露間で一定数まで減らした後は、他の核保有国も含めて、つまり、英、仏、中国も含めて、もちろんそこには核保有国でないとはっきりしていない国も含めて、地球全体でどのくらいかということは、次のステップです。その辺りまでは、しっかり道筋を描きながら進めていくことが非常に重要だと思っております。オバマ大統領も「核なき世界を目指す」と言われましたし、ロシアの方も含めて、私(大臣)は、それぞれの計算の仕方とか、お互い少しでも多くという気持ちはあるにしろ、まとまるところにまとまるだろうと楽観的に考えております。また、そうでなければいけないと思います。

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世論調査(内閣支持率)

【朝日新聞 倉重記者】先週末、各社世論調査をしました。朝日新聞で申しますと、内閣支持率48%と5割を切り、(各社共)大体5割前後の結果が出ております。これに対して、政権交代をして非常に国民の期待が高い中で、支持率下落ということについての受け止めをお願いします。

【大臣】難しいですね。野党時代に民主党の支持率が高めに出ていたメディアほど今回低めになっているような気がしますが、これをどのように理解したら良いのかというのは、もう少し専門的な分析も必要だと思います。何れにしても、今の数字に一喜一憂するのではなく、国民の皆さんの期待に応えるという意味でも、我々の課せられた仕事をしっかりやっていくということに尽きると思います。外交についても、内政についても、やるべきことをしっかりやっていくということ、その姿を見ていただいていく中で、更に支持していただくということを期待したいと思います。

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その他(エコカー)

【マガジンX 島田記者】外務省の公用車のいわゆるエコカーの台数の割合を教えて下さい。

【大臣】私(大臣)は知りません。そういう事実関係は事前に聞いておいて頂いた方がいいです。なるべく増やしたいと思いますが、買い替えのときにそういったものを増やすように考えていくべきだと思います。ただ、エコカーと言われる中にも、ずいぶん排気量が多くてハイブリッドが付いているというものもありますから、その辺は常識的な線で考えていかないと、やたら高いものでもいけないと思います。

【マガジンX 島田記者】低排気量の車であれば、ハイブリッド車やEV車でなくても考えているということでしょうか。

【大臣】一つは価格の問題があると思います。ハイブリッド車でも、例えば3500CCとか4000CC近い巨大なエンジンでハイブリッドというものがあります。そういうものは、本当は、私(大臣)は、公用車としては適切でないと思います。ですから、単にハイブリッドであるとか、エコカーだからというだけで選ぶのではなくて、そもそもCO2の排出量がどれだけかという基準で考えていくべきだと、基本的にはそう思っています。ただ、私(大臣)も今、結構大きな車に乗っておりますが、これは大臣車ですから、買い替えのときにはいろいろと意見も言いたいと思いますが、それを今「替えろ」ということも無駄な話ですので、現在、自ら納得させて乗っているということです。

【マガジンX 島田記者】いずれ、納得したい方向にもっていきたいと。

【大臣】そうです。

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外務大臣会見記録(平成21年12月18日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣のロシア訪問について

【大臣】本日は私(大臣)からは2点です。第一点は、まずは私(大臣)自身のロシア訪問の件でございます。12月27日から28日にかけて、正確に言うと29日の朝に戻る予定ですが、ロシアを訪問し、28日にラヴロフ外相と外相会談を行いたいと考えています。鳩山総理とメドヴェージェフ大統領の間では、何度か首相会談が行われていますが、その場でも外相間での議論の必要性が指摘されています。ラヴロフ外相と、領土問題も含めて広く協議をしたいと考えています。それ以外の他の要人との会談については現在調整中です。

(2)EPA・WTO閣僚委員会について

【大臣】第二点は、今朝行われました第2回EPA・WTO閣僚委員会のご報告であります。赤松農水大臣、直嶋経産大臣、それから財務省の藤井大臣はご欠席でしたが、峰崎財務副大臣他関連の副大臣も出席して頂き、第二回のEPA・WTO閣僚委員会を開催いたしました。今日の議題はEPAの対応、特にペルー、インド、豪州、それからWTOドーハ・ラウンドへの今後の対応ということで 約30分間ですが、かなり効率的にいい意見交換ができたと思います。ペルーにつきましては、メキシコやチリといった既にEPAを締結している先例がありますので、それに習ってしっかりと対応すべきだということで、その方向性については意見の一致をみました。通常国会開催前ぐらいのタイミングで考えていますが、次回までにより具体的に、特に農水省の方で様々ご検討頂くということになりました。インドにつきましては、もう少し論点の整理が必要だということで、確定はしておりませんが近々首脳会談の話もございますので、それにも備えられるように論点を明確にしておこうということでございます。豪州は先般、ラッド首相と私(大臣)、或いは鳩山総理との間で議論した際に日豪の行方についても話題に上っています。具体的に豪州関心の4品目について、我が方としてどう対応していくか、これも農水省案件ではありますが、そういったことについて意見交換をしたところでございます。そして、WTOドーハ・ラウンドへの今後の対応ということですが、いずれにしても次回までにもう少し議論を整理しようということに致ました。今回は第二回目だったのですが、かなり具体的に論点を副大臣会議で煮詰めて頂いて、大臣間で方向性についてしっかり議論をするという形が整ってきたかなと思います。こういう問題はやはり政治主導で進めていかなければなりませんので、しっかりと今後とも対応していきたいと考えています。

(3)政務三役会議について

【大臣】最後に政務三役会議ですが、今日は私(大臣)からこのEPA・WTO推進閣僚委員会、或いは昨日の繰り上げ閣議の報告、或いは防衛力整備の方針等々についてお話をし、武正副大臣からは在勤手当の見直し等について、或いは公益法人の見直し作業等についての報告がありました。吉良政務官からは自ら今日出席された成長戦略確定検討チームにおける議論といったことについての説明があったところでございます。西村政務官からは、政策会議を基本的に週一回副大臣を筆頭に開いておりますが、今後のあり方について、もう少し委員会の所属の委員の皆さんと与党の、民主党のと言うべきか、意見交換がしっかり出来るような仕組みをしっかりと整えた方がいいのではないかという問題提起の下でもう少し具体案を煮詰めようとなったところです。

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米軍再編問題

【フリーランス 岩上氏】昨日、大阪府の橋下知事が上京されまして、全国知事会の戦略会議の席上で全国の知事の方々に向かって、沖縄の基地負担の問題を他の都道府県で分かち合おうじゃないかということを提案されました。そして記者会見等でも同様のアピール、もし政府から関西空港に(基地を移転)という話があったならば、きちんと前向きに受けて話し合いに応じるというアピールをされておりましたが、改めてこの件に関して大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】まず知事が基地問題の負担を沖縄だけではなくて全国的に分かち合おうと言っていただいたことは、非常にありがといことだと思います。まさしくこれは国民全体で負担の問題の共有というものを図らなければならないと思います。米軍の抑止力というものを我が国が必要としている以上、単にそれを受益するだけではなくて、その負担についても分かち合っていくというのは正しい指摘であって、それを橋下知事から言っていただいたということは歓迎すべきことだというように思います。関西空港の話は、これからもう少し様々な議論が出てくるものと思いますが、一方で関西空港と伊丹空港、神戸空港との関係をどうするのかという議論もあるやに聞いております。米軍に滑走路を一本貸すということは、伊丹空港の部分を関西空港に集約するという話と明らかにかち合う話でありますので、この辺りをどのように大阪府自身が、或いは大阪の経済界なり、両者の皆さんが考えておられるのかということもこれからよくお聞きをしていきたいというように思っております。まだ税金もかなりつぎ込んで二本目を作ったばかりですから、「それを米軍に使ってください」と言っていただくのはありがたいですけれども、一方で納税者の納得をいただけるのか等様々な問題があると思います。

【毎日新聞 野口記者】普天間基地の関連ですが、沖縄の米軍基地の抑止力について大臣はどのように考えておられるのかをお尋ねします。どのくらい必要なのかと、必要であれば海兵隊がどのくらい必要なのかをまず決めないと、鳩山総理は「他の移転先を」という指示をしていますが、議論が進まないと思いますので、そこの基本的な見解をお願いいたします。

【大臣】定量的に言うことは非常に難しいご質問だと思います。もう少し具体的に言っていただいた方がいいかと思います。

【毎日新聞 野口記者】海兵隊が沖縄に必要か必要でないかという基本的なところをお願いいたします。

【大臣】海兵隊が沖縄に必要かというのは、これまた難しいご質問で、ご質問の趣旨が沖縄に必要だというように言っておられるのか、日本に必要かと言っておられるのかよくわからないのですが、海兵隊は非常に機動性のある存在でありますので、沖縄に必ずなければならないかと言われれば、それは様々な議論があると思いますが、私(大臣)は日本にとって必要な存在であると少なくとも思っております。

【共同通信 上西川原記者】鳩山総理が15日だと思いますが、ぶら下がり(取材)で「辺野古以外の移設先を見つけていきたい。それを実現させる環境を全力で作っていきたい」と発言されましたが、これは岡田外相を含めて政府の中である程度共有できた認識なのでしょうか。

【大臣】この前の基本政策閣僚会議において決めたことは、私(大臣)がこの前にここ(記者会見)で申し上げたように、「三党で協議をしていく」ということです。官房長官も同じことを言われたと思いますが、それ以上のことは外に出せる形のものはないというのがその時の共通認識でありますので、若干それ以外のことを発言された会議の出席者もおられますので、そこは私(大臣)は戸惑いを覚えますけれども、前回その会議、基本政策閣僚会議での確認では、あの会議の段階では「三党でよく協議していこう」ということだけを外に出していこうということでした。それ以上のことは、様々な話し合いはしておりますけれども、基本政策閣僚委員会で内々で決めたことも含めて、そういったことをどういうタイミングで出していくかということは官房長官に一任されておりますので、私(大臣)がその内容の一部をここで申し上げたり、或いはその一部を前提にしてお答えするのは適切でないと思っています。ただ、そう遠くなく方針はきちんと出されるというように確信しております。

【琉球新報 滝本記者】抑止力の件に戻りますが、沖縄に必ずなければならないのかというと様々な議論があると思っているというように仰ってられましたけれども、その意味で大臣は海兵隊が沖縄になければならないのかということについてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】例えば沖縄でなくて九州ならどうかとか、そういうように聞かれるとそれは色々な答えがあると思います。なければならないかと言うと、なければならないということではないかも知れません。しかし、どちらがベターかという話はあると思います。それ以上はなかなか抽象的には言いにくいと思います。しかし、日本全体で考えた時に私(大臣)は海兵隊は必要であると考えております。

【朝日新聞 鵜飼記者】関連ですが、「日本全土にとって必要だ」ということは、社民党などは「沖縄駐留の海兵隊全てをグアムに移してもらったらいいのではないか」と議論されていますが、大臣としてはその考えに反対されているという議論でよろしいでしょうか。

【大臣】そういう議論になってくると、また議論が混乱しますので、あまり申し上げるべきではないと思いますが、海兵隊の抑止力、もちろん、抑止力というのは、米軍全体の抑止力であります。しかし、海兵隊の抑止力というものを期待したいと考えるのであれば、それは「日本の外に出てくれ」ということは、あまり通用しない議論ではないかと思います。

【ロイター通信 スイード記者】普天間についてです。先程(大臣は)「そう遠くなく方針を出せると確信を持っている」と仰ったと思います。総理はコペンハーゲンを訪問する前に「即に方針を出せる」と言われましたが、結局「三党で協議する」という方針が出されました。決まったという訳でもないし、何回も決めるということが言われていて、なかなか決められないということが、世論調査などを見ると、国民の中で「この政権は決断力があるのか」という心配が多少出ていると思います。決めるまで言わない方がいいのか、それとも、本当にこの政権は、普天間基地問題だけではなくて、いろいろな難しい問題について決断力を持っているということを国民に見せることができるのでしょうか。

【大臣】前回の基本政策閣僚委員会で確認はされております。ただ、それを直ちに出すことはしないということで、「三党でよく協議をする」という方針だけを出させていただいたということです。それ以上のことは、官房長官が方針を発表される際にご説明があると思いますので、私(大臣)が勝手にお話しないほうがいいと思っています。別に決断できない訳ではなくて、基本的には方針は固まっていると、確認されていると考えて頂いていいと思います。いつ出すかの判断は官房長官にゆだねられているということであります。それから、一部のマスコミの「方針を決める」ということと、「どこにするか決める」ということとは違いますから、その辺は若干混同されているところがあるのかと思います。そして、私(大臣)と総理の間で、二週間ほどずっと議論を重ねて参りましたが、この問題については、認識について全く一致をしているところであります。

【NHK 梶原記者】昨日、総理と関係閣僚の協議が普天間問題についてあったと思うのですが、その中で、鳩山総理がキャンプ・シュワブ沖に代わる新しい移設先を見出したいという考え方を示したと承知しているのですが、この点については大臣と考え方は一致しているのでしょうか。

【大臣】中身をいろいろと申し上げると、先取りすることになりますが、昨日、何か新しいことを議論した訳ではありません。もうすでに、私(大臣)と総理、或いは関係閣僚の間で考え方は一致しております。それをどういうタイミングで出すかの問題です。昨日、新たにそういったことで議論したということはありません。

【日経新聞 山内記者】先程の質問と重なるのですが、「辺野古ではない地域を模索する」と、「できれば、『決める』という状況をなんとしても作り上げていきたい」と、一国の総理大臣がそう仰っています。(大臣は)「外相と総理の認識は一致している」と先程仰いました。これについて確認なのですが、現行案で決着するという可能性はどう見ていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】ですから、私(大臣)は、その総理のコメントにもコメント致しません。やはり、決めたことは官房長官がきちんと発表するということですので、その発表をもって私(大臣)はコメントをしたいと思います。

【沖縄タイムズ 吉田記者】宜野湾市長が前から盛んに言っている米国の海軍のアセスの文書ですが、大臣と市長の考えが食い違っていることは、多分、大臣が海兵隊の定数1万8千人を前提に考えていらして、市長は実際にいる数を前提に考えているので、話がかみ合っていないのではないかと思います。大臣は、グアム移転が実現したら、沖縄に残る数が1万8千引く8千で1万人残るという認識ですか。

【大臣】伊波市長と私(大臣)の認識の違いがどこにあるかということは、私(大臣)は必ずしも、今おっしゃったようなことだけなのかよく分かりません。いずれにしても、外務省と防衛省でグアム移転に関する調査について今精査しておりますので、それを待って正式にお答えした方が良いと思います。ただ、今のご質問について言わせて頂くと、確かに今イラクとかアフガニスタンといったところに海兵隊も出ておりますので、現時点で見れば少なくなっているかもしれませんが、それはまた状況が安定すれば、戻ってくる訳ですから、今の状況だけを前提に議論するというのは、私(大臣)は成り立たない議論だと考えております。

【NHK 別府記者】政府方針について、あるけれども三党で決まったということだけを公にしようと、それ以外のことは時期を見て発表して・・

【大臣】三党で協力してやっていくことだけを確認したと。それを出すと言うことだけを確認したということです。

【NHK 別府記者】しかし、それ以外に決まっていることはあるということなのかなと理解するのですが、前回の会見では、政府方針というのは「三党で協議していこうと言うことが決まっただけであって、それ以外のことは、もっとしっかりとした方針を決めたいという可能性を年内に決めたい」という可能性を諦めた訳ではないというご発言と私も理解したのですが、本当はあったのに発表をここまでにしようということだったのか、それともそこまでしか決まっていなかったのかについて、どちらが本当なのでしょうか。

【大臣】いかに私(大臣)が真面目かということなのですが、もう一回きちんと決めるというセレモニーをするというのも1つの考え方です。ただ、それだと時間がかかるので、官房長官が発表することでいいのではないかという方向だと理解をしております。ですから、前回の段階では、もう一回やる可能性もありましたし、とにかく出していいのは「三党でよく協議をしよう」と言うことだけであると、決まったのはそれだけであるという確認をしておりますので、その通り申し上げた訳であります。ただ、もう一回新たに基本政策閣僚会議を開いて、事実上確認されたことをセレモニーするまでもないのではないかということが今の方向です。こうやって馬鹿正直に決めた方針に従ってやっているのは、私(大臣)ぐらいかもしれません。ぞろぞろといろんな意見が出てきますから。

【共同通信 上西川原記者】普天間基地問題の政府方針の件ですが、一応確認されているということですが、米国にとってみても非常に強い関心を示しているというか、大事な日米関係の中でも大事な話ではないかと思います。政府としてある程度決まった段階、公になった段階で、外交当局のトップとして、きちんと向こう(米側)の外交のトップと会われて説明されたいというお考えはおありでしょうか。

【大臣】会わなくても、説明はきちんとできると思っております。但し、説明はきちんと尽くしたいと思いますが、会うことが必然ではないと思います。

【朝日新聞 倉重記者】先程のお話で、政府としての方針は「基本的には決まっていて、いずれ官房長官の方から発表があるだろう」と仰いましたが、その時に「どこにするかを決めるとはまた別の話だ」ということを大臣は仰っています。一番、国民からすれば移設先が最終的にどこになるのか、というのが最終的な決断だと思います。この見通しというのは政権の中で、その決断がなされる見通しというのがあるのかどうか、教えていただけますでしょうか。

【大臣】もちろん、どこに移設するかということは、やがて決めなければいけません。それは当然のことです。

【朝日新聞 倉重記者】次の官房長官会見でも、そこまでの話はないということでしょうか。

【大臣】私(大臣)もずっと「政府の方針」という言い方を、この場でもしてきたと思います。どこに決める、というのを今決められると考えられるほど、私(大臣)は楽観的ではありません。

【琉球新報 滝本記者】抑止力の話ですが、「沖縄には、なければならないということではないかもしれないが、ベターなという選択で」と仰いましたが、それは「沖縄に、なければならない訳ではないかもしれないけれど、沖縄に基地を置くのはベターな結果」という意味で仰られたのでしょうか。他のところに行ってもいいはずなのだけど、政治的決着とか、いろいろなファクターも含めてベターな結果として、今まで沖縄になってきたということでしょうか。

【大臣】今までの議論をしているのではなく、ご質問が一般的な質問ですから、白地で考えたときのお答えを申し上げただけです。地理的には沖縄の方が、例えば、北海道や本州に置くよりは、おそらく良いという判断はあると思います。
 そういう意味で、沖縄の方が戦略的な視点から見ると優位性があると思います。もうひとつは、今まで(基地が)あったということですから、全部根こそぎ移すということは、かなりのエネルギーを要することであります。そういう意味でも沖縄というのが、より考えられ得るということです。しかし、沖縄にはあまりにも多くの基地がありますから、そのようなことも考えて、これからどうするかということを議論していくということだと思います。

【NHK 別府記者】「実は決まっているけれども、まだ明らかになっていない」というその政府方針ですが、この問題の外交上のパートナーである米国に理解を得るために、この間、どのような外交努力を行ってきて、これからも行っていきたいというお考えでしょか。

【大臣】私(大臣)は、そういったことをいちいち話す立場にはありません。しかし、私(大臣)が成すべきことはきちんとしていると考えております。

【琉球新報 滝本記者】日本全体として海兵隊の抑止力が必要であるとのお考えですが、何に対しての抑止力か、具体的にどのように考えているのかをお聞かせ頂きたいと思います。

【大臣】日本を取り巻く安全保障環境を見たときに、有事が発生した際、機動的で、そして様々な能力を持った海兵隊の抑止力というものが紛争が発生すること自身をまさしく抑止することに繋がりますし、或いはその機動力が日本の安全にとって有用であるという場面が当然考えられると思っております。

【読売新聞 石川記者】大臣はかねがね方針が決まったら、再度沖縄に行って説明をするというお考えを示してらっしゃいましたが、官房長官がその方針を示されたら、再度沖縄に行かれるご予定があるのかということと、現在止まっている日米閣僚級のワーキング・グループの扱いをどうされるお考えでしょうか。

【大臣】方針が示されたら、私(大臣)はいつでも行く用意はあります。率直にお話を申し上げて、様々な意見を頂くのは私(大臣)の仕事だと思っています。ただ、少し役割を整理した部分もありまして、沖縄は沖縄担当大臣がおられますので、前原大臣が中心になって、勿論われわれもそれを補佐して、やっていきたいと思います。勿論、外交交渉は外務大臣の本務でありますので、私(大臣)がやるということで、少し整理をさせて頂いたところであります。官房長が全体をしっかりと把握をして、言わば司令塔になるということだと思っております。
 それから、今あるワーキング・グループは、現在のプランを、つまり辺野古への移転ということを前提に、なぜそうなったのかということを検証するというのがワーキング・グループに与えられた命題であります。それと必ずしも一致しない方針が示されるということになれば、このワーキング・グループをそのまま動かすということはならないと思います。しかし、多少、このワーキング・グループで行うべき目的を拡大して動かすということはあるかもしれません。特に、沖縄の負担軽減のために個別にいろいろと議論されていることについては、どこかできちんと日米で議論できる場があった方がいいと思っております。

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大臣のロシア訪問

【共同通信 西野記者】ロシア訪問についてお伺いします。領土問題、それから、様々な問題について意見交換していきたいということだったのですが、領土問題というのは、どのようなことを確認していきたいのか。それから、その他いろいろと経済関係等もあると思うのですが、それについてもう少し詳しく、意気込みと抱負、獲得目標等も含めてお願いします。

【大臣】あまり気負わない方がいいと思います。冷静に議論したいと思います。領土問題も含めて、私(大臣)は、これはやはり短期間で劇的に進む話ではないと思います。少しずつ積み上げていく話だと思っていますので、外相レベルでも何回もやる必要が出てくると思いますが、今回はそのためのスタートであるというように考えております。

【北海道新聞 佐藤記者】ロシア訪問に関連して、北方領土問題の現状認識についてお聞きします。鳩山総理は早期の解決に非常に意欲を示していますけれども、現状としては日本政府側の発言に対して、ロシア側が反発したり、或いは、ロシア側は4島での経済交流を求めてきて、日本側がそれは難しいと言ったりと、いろいろと溝もあるかと思うのですが、大臣はどのようにご覧になっていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】目の前のいろいろな混乱はありますが、大局的に見れば、やはり極東ロシアにおいて、日本の技術なり、資本なりをできれば求めたいという考え方はあると思います。それから、今、ロシアは、メドヴェージェフ大統領、プーチン首相という比較的安定した強い政権が存在しており、そういうことはいろいろな交渉をする際に、プラスの要素だと基本的には考えております。ただ、これは随分時間のかかっている話でありまして、それぞれ国民感情がございますから、そういう意味であまり楽観的にならずに粛々と一歩一歩進めて行くということが、私(大臣)は正しい方向性ではないかと思っております。

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習近平国家副主席の訪日

【フリーランス 安積氏】習近平副主席の来日の関連についてお伺いします。丁度、習副主席の来日と重なる形で、ウルグアイのバスケス大統領夫妻が来日されました。双方とも実務訪問賓客ということで、街路旗の掲揚は必然的ではなかった訳ですが、ナンバー1のウルグアイの国旗は掲揚されなくて、ナンバー6の中国の国旗は掲揚されたという判断の基準というのは、どういうものなのでしょうか。また、その件につきまして、中国から、何かアドバイスと言いますか、申し伝えといいますか、「何かしてくれ」というようなことはなかったのでしょうか。

【大臣】私(大臣)が承知している限りございません。どうして中国であってウルグアイでないかと(いうことですが)、本来どちらも掲揚しなければいけないというルールにはなっておりません。言い方が難しいのですが、「どっちが良くてどっちが悪い」というように、私、外務大臣が言う立場にありません。しかし、日中は隣り合う国でありますし、やはり、習近平氏は将来のリーダーと言われている人ですから、裁量の中でそういうことが念頭にはあったかと思います。

【共同通信 斉藤記者】習近平副主席と天皇陛下との特例会見について、一つ質問をお伺いします。「天皇陛下が外国賓客と御引見される」という行為は、国事行為でしょうか、それとも国事行為ではないのかについて、その点とその理由についてお伺いします。

【大臣】国事行為とは、憲法に規定されたものですから、国事行為ではないと思います。公的行為というものが、普通の解釈だと思います。

【J-CASTニュース 亀松記者】習近平国家副主席と岡田大臣が16日に会見されていると思います。その時に話し合われた内容と、習副主席に対する印象について、どのような人だと感じられたのかをお聞かせ下さい。

【大臣】私(大臣)の前には、(習副主席は)東京での会見を、各党を含めて、全部終えられた最後でしたので、その感想をお聞きしながら、外務大臣として、どうしてもしっかり議論しておかなければならないいくつかの点については、提起させていただきました。一つは少し広報にも掲載させていただいておりますが、東シナ海の油ガス田の話です。他にもありますが、表には出しておりません。かなり、日中双方共に人が多かったものですから、詰めた議論という状況にはなりませんでした。引き続き、日本がそういう問題に大きな関心を示しているということは伝えられましたので、もう少し、例えば外相レベルとか、或いは局長レベルで詰めていきたいと思います。
 「習副主席と私(大臣)は年齢が同じです」という話をしましたら、「いや、私の方が一ヶ月早いですよ」と言われましたので、向こうもよく調べていると思いました。6月15日の誕生日だそうです。私(大臣)は7月14日で、私(大臣)より1ヶ月早いです。(習副主席は)非常に落ち着いた、話し易い方だと思います。中国の指導者の一つのスタイルを感じることができました。

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来年度ODA予算

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読致します。削減化傾向にありますODA予算についてです。2010年度予算は、民主党政権が誕生してから、初の本予算となりますが、16日、政府はODA予算につきまして、今年度に比べて6~7%削減する方向で検討に入ったとの一部報道がございました。近年のODA予算の削減化傾向に対する大臣のお考えや外交面での影響などについて、改めてお聞かせ頂ければと思います。

【大臣】来年度予算については、今、政府の中で検討中であって、一部の憶測を持った報道については、私(大臣)はコメントいたしません。もちろん、事業費ベースで考えるのと、予算で考えるのとでは、大分違います。例えば、アフリカに対するODAなども、一時期は日本が世界1位だったのですが、今やそのウェイトは次第に下がってきているということは事実であります。国民の中には確かに、これだけ国の中が苦しい中で、或いは困っている人が多い中で、どうして外国にそんなに支援するのだという声があるということは私(大臣)もよく認識しております。しかし、例えば、アフリカなどで、本当に病や飢えに苦しむ人に対して、同じ人間としての共感を持って、最低限のことはしっかりやっていくと、それが日本という国のあり様だと思っておりますので、そういうことはもっとしっかりと外務大臣として伝わるようにしていきたいと考えております。

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東アジアサッカー選手権北朝鮮籍選手団の入国の扱い

【フリーランス 岩上氏】北朝鮮の女子サッカーチームの入国の問題についてお聞きします。この入国問題で、武正副大臣が(北朝鮮チームを)「入国させてくれ」と要請したと報道が一部であり、そして、その報道に関して、「それは事実と違う」ということを昨日の記者会見でご本人が否定されたということを伺っています。昨日、金融庁の記者会見で大塚副大臣がその副大臣会議に出席していて、「全く、一切そのような発言はなかった。この報道は捏造である。抗議したい。」とかなり強い調子で否定されておりました。結構由々しき問題なのかと思いますが、大臣の方からこの問題についてのお考えをお聞かせ下さい。

【大臣】私(大臣)は副大臣会議に出席しておりませんので、そこでどのようなやりとりがあったかということは承知しておりません。いずれにしても、この問題はサッカー協会が「そういった北朝鮮の選手も日本に入国させてもらいたい」とお考えであれば、意を提して、文部科学省の方で、政府の中でよく説明をして、はたして制裁の例外たり得るのかどうか、ということについて意志決定をしなければいけない問題だと考えています。

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COP15

【時事通信 鈴木記者】コペンハーゲンで開かれているCOP15ですが、交渉の現状をどのように把握なさっているのかと大臣のお考えや方針をお願いします。

【大臣】午前中に福山副大臣から電話がありまして、明け方の午前4時だと言っていましたが、徹夜で作業しているということでありました。総理の簡単な演説といいますか、考え方を述べられる場面もあるので、その準備もしているということでしたが、状況はかなり混乱しているということが言えると思います。しかし、世界から首脳が集まって議論している訳ですから、最終的には一定の結論に至ると私(大臣)は確信しているところです。

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外務大臣会見記録(平成21年12月15日(火曜日)15時35分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」について

【大臣】先程オーストラリアのラッド首相がお見えになり、私(大臣)も昼前に40分程様々な意見交換をさせて頂きました。そしてその後、総理と首脳会談を行い、核不拡散・核軍縮に関する国際委員会の報告書が出来たということで、先程、エバンズ元外相、そして川口元外相から両首脳に報告書をお渡しをするというセレモニーがありました。私(大臣)は途中で出てきたのですけれども、これらの全体の日程が遅れてしまいまして、会見の開始が遅れてしまったことをお詫び申し上げたいと思います。
 私(大臣)からはラッド首相に対して、この核不拡散・核軍縮に関する国際委員会で、非常にいい報告書が出来たと(申し上げました)。途中で色々な議論がありましたが、私(大臣)は「これは政府そのものの報告書ではないので、中身について干渉をしないように」ということを強く事務当局には申し上げて、そのことは実現されたというように思います。また川口共同議長にも「川口さん自身のお考えでおやりください」と、「色々なサポートはしますけれども、中身には立ち入りません」というように申し上げたところであります。結果を見ると非常にいい報告書ができたというように思っております。「もの足らない」という声もありますけれども、結局それは、どの位現実を踏まえて行うかということでもあります。具体的な核廃絶に向けての手順を、ロードマップという形で示したという意味では、非常に優れたものが出来上がったというように考えております。
 ラッド首相ともお話をしたのですが、これはもちろん政府の意見ではありません。しかし、政府が参考にすべき多くの点が含まれておりますので、日豪両国政府で両議長を出しておりますので、この報告書をもとに、政府として世界に訴えるべき内容について検証をし、そして日豪両国、場合によってはそれに米国も加えて、この報告書をベースにして、新しい政策提言、「核のない世界」に向かっての政策提言をぜひ作り上げたいというお話をさせて頂きました。
 来年は、オバマ大統領の主催するサミット、核に関するサミット・ウィークリーもありますし、そしてNTP運用検討会議もあります。4月、5月とイベントが続きますが、年の後半に向けて、場合によっては日本が何らかの国際会議を主催してもいいという中で、核廃絶に向けての確実なステップを進めるための役割を日本として、豪州・或いは日豪米で協力を進めていきたいということをラッド首相とはお話をしたところであります。

(2)米軍再編問題について

【大臣】 普天間の話は色々とご質問も出るでしょうが、今日は関係閣僚が集まり、そしてその中で「三党でこの問題を協力してやっていこう」という確認を致しました。官房長官が会見で述べられた通りであります。内容については、それ以上のことは現時点で申し上げることはございません。今日の確認に基づいて、しっかりと前に進めていきたいというように考えているところであります。

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「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」

【朝日新聞 五十嵐記者】川口・エバンズ委員会についてご質問します。今、大臣冒頭発言の中で「オーストラリアと協力して新しい政策提言を実現したい」とラッド首相におっしゃったというように話されましたが、具体的にオーストラリアとの間で何か協議機関のようなものを設けるであるとか、何か具体的なイメージがあるのかというのが一つと、大臣は常日頃から「日本の核政策について見直しをしていかなくてはならない」というようにおっしゃっておりますが、今回のこの報告書を核政策の見直しにどのように役立てたいとお考えか、その二点についてお願いします。

【大臣】様々なことをこの報告書は語っておりますので、それをしっかり検証した上で日豪で合意できることを取り上げたいというように思っております。それ以上のことを今申し上げるつもりは特にありません。どういう形で検討していくかということはこれからの話でありますが、とりあえずはNTP運用検討会議に向けてということでありますが、それが終わった後も、来年一年は、この核に関する一つの重要な一年だというように私(大臣)は考えておりますので、後半にその流れを更に強めていくための働きかけをしたいというように考えております。防衛大臣と外務大臣の「2+2」というものが、日豪間にはあります。しばらく行っておりませんので、それをどこかで開くべきだという話が、本日、総理とラッド首相の間でも出ておりました。そういう会議も場合によってはうまく利用しながら、核の問題についての議論をしっかり行っていきたいというように考えています。

【日経新聞 山本記者】今の質問について関連して、今、密約の調査も有識者会議で進めている中、今後、核抑止の在り方が議論になる可能性もあると思うのですが、改めて大臣として、「核の先制不使用」についてどのように考えているか、お考えをお聞かせください。

【大臣】この問題はここ(会見)でも何回かお答えしておりますが、なかなか正確には伝えられないのですけれども、「先制不使用」というのは大きな流れだと思います。ただ、直ちにそれが実現できるものではないので、現実に具体的にどういうことができるのかということをしっかりと、日豪間、或いは日豪米の間で議論していくべきだというように思っております。例えば、核を持っていない国に対する核の使用の問題でありますとか、或いは核の抑止というのは核による攻撃に対するものに限定すべきだとか、そういうものは報告書の中に書かれていることではありますが、そういう考え方が現実的にとり得るのかということをよく議論してみたらいいというように考えております。この報告書の中でも、「先制不使用」というのは第2ステップです。2012年以降の話ですから、そこに一挙にいくと、そういうことを考えているわけではありません。

【朝日新聞 五十嵐記者】川口・エバンズ委員会の関係に関して、日本の核政策の見直しという部分について、今回の委員会の報告書をどのように活かしていきたいとお考えか、ご説明願えればと思います。

【大臣】非常に重要な参考にしたいと思います。ただ、これは政府(作成の報告書)ではありませんので、ラッド首相も言っておられたのですが、そこは共通の認識ですが、2歩、3歩先を行くところがあります。ですから、それをそのまま「日本政府の政策に」ということにはならないと思います。しかし、ロードマップをはじめに、参考にすべき点はたくさんありますので、世界のこの問題に対する専門家といわれる人達が真剣に議論して出来た結果であります。そして、私(大臣)は、おそらく米国の中でも、この報告書に対する評価はかなりあると思います。もちろん、米国にはいろいろな意見があると思いますが、そういう中で、ここで述べられたことのエッセンスが、日本の政策にそのまま活かせる部分があるのではないかと思っているところです。

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米軍再編問題

【フリーランス 岩上氏】普天間のことについてお伺いしたいのですが、昨日と本日、米国のルース大使と大臣はお会いになったと聞いておりますが、その話し合いの内容はいかがなものであったのか。また、その時の大使のご様子はいかがでしたか。前に会談した時に、一部報道で顔を真っ赤にして怒りを顕わにして大声で怒鳴りあげたというお話がありましたが、今回はそのようなことがあったかどうかをお伺いします。

【大臣】まず、この前もここで申し上げましたが、同じことを聞かないでいただきたいということです。顔を真っ赤にして怒鳴り上げるなど、全くの事実無根です。

【フリーランス 岩上氏】今回もそんなことはなかったと。

【大臣】もちろんありません。

【フリーランス 岩上氏】内容はどうでしょう。

【大臣】発言する立場にありません。

【時事通信 水島記者】普天間問題に関する政府方針ですが、移設先の決定がかなり先にずれ込んだと理解しております。これによって現在の辺野古案は事実上難しくなったのではないかという見方ですとか、それによって普天間基地の固定化に繋がるのではないかという見方が出ていると思うのですが、大臣はこのような見方について、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】まだ、三党で何か合意をしたということはありません。いろいろな憶測でものを言う方がいらっしゃるかもしれませんが、昨日までと本日で何か変わっているという認識はありません。

【共同通信 西野記者】本日の基本政策閣僚委員会で対処方針が決まった訳ですが、今後外交の責任者として米国とどのように協議を進めていくおつもりでしょうか。

【大臣】本日決まったのは、「三党でよく協議していこう」ということですから、それ以上のことを何か決めたということはありません。

【琉球新報 滝本記者】「三党でよく協議していこう」ということを決められたということですが、その中には米国との交渉・協議ということがこの先あるのかということと、今ワ-キング・グル-プが一旦休止している状況だと理解しているのですが、その意味では、三党で、日本国内だけで、話し合いを続けていくという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】基本的にはそうです。ワーキング・グループというのは、現在のプランを前提にした経緯を検証するためのものですから、「現在のプランでいく」ということを三党で合意するならともかく、そうでないということになると、ワーキング・グループの検証すべき範囲を超えるということは、以前から申し上げております。

【朝日新聞 鵜飼記者】「三党でよく協議していこう」とお決めになったということですが、連立政権というのは、そもそも政権発足当初からある訳で、こういった合意というのは、そもそも発足時にやっておくべきことではなかったのかと(思います)。その前にワーキング・グループを作って米国と交渉していくというのは、順序が逆ではないかと思うのですが、大臣はいかがお考えでしょうか。

【大臣】どちらが先かという議論ですが、ある程度日米間で話し合った上で、他の与党と協議するということはあっていいと思います。

【テレビ朝日 新堀記者】米国側とは、日米作業部会は「迅速に、できるだけ早く合意を」ということで進めてきたと思うのですが、今後のスケジュール感と言いますか、大臣の中で目標はどのようになるのでしょうか。

【大臣】まだ、結論を出した訳ではないので、今、私(大臣)が申し上げるべきではないと思います。

【朝日新聞 内田記者】大臣は常々「年内に方向性を出したい」と仰られてきたと思いますが、我々は「本日をもってその方向性がでた」という受け止めでよろしいでしょうか。それとも、大臣としてはまだもう少し別の方向性を年内に示したいと思っていらしゃるのでしょうか。

【大臣】「三党でよく協議をする」ということが決まっただけなので、これをもって方向性とか方針ということは言えないと思います。

【NHK 別府記者】大臣は以前、この問題の結論が長引けば日米関係の影響について懸念も言及されていました。「三党でよく協議する」というこの方針で、その懸念は高まりますか、それとも減りますか。

【大臣】まだ、協議している最中ですから、どのような方向性になるのか決まらないとコメントは難しいと思います。

【NHK 梶原記者】普天間基地問題を巡る一連の国内政治の混迷を通じて、日米関係に悪影響が出るのではないかという指摘が出ていたと思うのですが、これについて大臣は今の段階でどのようにお考えでしょうか。

【大臣】その影響を最小限に留めるために、三党で協議をしている訳です。

【日本テレビ 小栗記者】先程、「三党でよく協議する」ということが決まっただけで、方針とか方向性ではないということでしたが、まだ年内に改めて方向性とか方針が決められる可能性があるということでしょうか。

【大臣】そのように私(大臣)は思っております。三党で協議するだけでは、何かを決めたことにはなっていないと思います。

【北海道新聞 佐藤記者】関係閣僚の間の協議で、年内の結論に向けて、「いい感じで詰まっている」という趣旨の認識を示されていたかと思いますが、本日の基本政策閣僚委員会で示した結論というのは、その流れにそったものと考えてよろしいでしょうか。

【大臣】まだ、結論を出していません。途中の段階ですが、議論としてはかなり煮詰まってきているのだろうと私(大臣)は楽観的に考えています。

【北海道新聞 佐藤記者】この先に結論が出るということでしょうか。

【大臣】いろいろな議論はしていますけれども、表に出せる形での結論というのがあるのだろうと思います。

【共同通信 上西川原記者】米国は今回の日本政府の中の話合いというか、調整をかなり重視していると思うのですが、米側の姿勢というのは一貫していて、「キャンプ・シュワブ沿岸部というのが唯一実現可能であり、そして、これを年内になんとか決着してもらいたい」ということだと思いますが、問題が長引いた場合に米側に対して日米関係よりも連立の方を重視したのだというメッセージを出すことになるというお考えはありますか。

【大臣】いや、そういうどちらかを重視するという問題ではないということは、米側はある程度理解されているのではないかと、私(大臣)は思っております。

【南日本新聞 谷上記者】沖縄米軍機の低空飛行(訓練)についてお伺いします。昨日、防衛省主催のセミナーが福岡でありました。その中で在日米国大使館のズムワルト首席公使が、沖縄米軍所属の米軍機が鹿児島県内で低空飛行(訓練)を実施している件について、沖縄県民の負担軽減のために進められている米軍訓練の本土移転の一つだと、空軍と海兵隊が九州の色々な場所で訓練していると発言されたそうです。鹿児島県は先月にも低空飛行(訓練)の禁止を外務省に申し入れていますが、このことについて外務省として承知をされて、それを踏まえた低空飛行訓練が行われているのかどうか、また、大臣のこれに対する大臣の御所見をお聞かせ下さい。

【大臣】こういう場(記者会見)で私(大臣)に確認するのではなくて、事実関係はなるべく事前に確認をしておいていただきたいです。私(大臣)は事実関係がどういうことかということは承知をしておりません。ただ、前回、鹿児島空港での一件も、必ずしも地元が知らない状況の中で行われたように私(大臣)は認識をしております。沖縄の負担を減らすためにあちこちで訓練をするということは、無断でやっているということでは無いはずなので、私(大臣)は理解をし難いところであります。事実関係を調べてみたいと思います。

【日刊ゲンダイ 小塚記者】先程、今回「三党でよく協議する」ということが決まったということなのですが、「三党でよく協議する」というのは最初から三党連立政権なので、当然のことではないかというように思います。そういうことをわざわざ出さなければならないというか、国民に対するメッセージとしてそれしか出て来ないと、どうしても政府がぐずぐずしているような感じに映ります。国民にはどういうメッセージを出そうと政府がしてらっしゃるのか、よくわからないのですが、どういうようにお考えですか。

【大臣】「もうちょっと待ってください」、ということでしょう。端的に言えば。

【日経新聞 山内記者】日本は核の関連でも、事実上アメリカの核の傘に守られている状態だと思います。今回、普天間の先行きが見えないというか、不透明でスケジュール感も現実よくわからない。この状況の中で、日本の核抑止力についての影響力についてはどうお考えですか。

【大臣】核の抑止に直接影響が出るという認識は持っておりません。またそういう話は聞いておりません。

【時事通信 高橋記者】普天間に関する今朝の基本政策閣僚委員会の中で、政府側は決める時期について来年5月までということを提案し、社民党の反対もあり結論は出ていないというように伺っておりますが、なぜ5か月なのかその根拠を、どのようにしてその5か月というのを導き出したのか。それから5か月になると名護市長選をまたいでしまうわけですが、この市長選をまたいでしまうことについてどのように認識されているのでしょうか。

【大臣】今仰った話は、一つの憶測に基づくもので、官房長官の記者会見の中でもそういうことは仰っていないというように思います。

【AFP通信 長谷川記者】先程の続きですが、社民党の福島党首が本日の会合の中では5月というお話もあったというように仰っていて、それに対して「デッドライン(期限)をきちんと詰めることには反対」と仰っておられたのですが、先程の大臣のお話とは若干食い違うのですが。

【大臣】それは福島党首に聞いてください。我々は「三党で協力してやっていこう」というのは今回の会議の結論であるということはその場で合意をしておりますから、それと違うことを言われる意見があれば、言っておられる人に聞いていただきたいと思います。

【共同通信 西野記者】普天間に戻ります。日米関係ということでいろいろな心配もあると思いますが、訪米されてクリントン米国務長官と話し合うというようなことは近くあり得るのでしょうか。

【大臣】今、具体的にスケジュールとしてはありません。

【共同通信 西野記者】一部報道で、明日にも(訪米する)ということですが、さすがにそれはないということでよろしいでしょうか。

【大臣】それはどういう根拠に基づいて、そういう報道がされたのか理解に苦しむところです。勿論、必要があれば行きますけれども、現時点でその必要性というのは感じておりません。

【ブルームバーグニュース 坂巻記者】普天間の問題ですが、先程年内で改めて決める可能性もあると思っているというお話だったのですが、そうすると年内に決めるのを諦めたとか断念したとか来年に先送りしたということではないということですか。

【大臣】私(大臣)が申し上げたのは、方針を年内に決めるということです。そういう可能性を諦めた訳ではありません。

【朝日新聞 内田記者】大臣の仰る方向性、方針というのは、今の日米合意をどうするのかとか、その仮に別の場所を選ぶならいつまでに選ぶとか、その場所であるとか、そういうものも含めて年内に示すのが好ましいというように思ってらっしゃるのでしょうか。

【大臣】具体的なことには触れない方が良いと思いますが、今日も様々議論はしているわけです。しかし結論は、「三党でよく相談していこう」というのが現時点での結論ですから、もう少し議論が煮詰まって方向性が出ればというように思っております。何がその方向性かということは今申し上げるべきでないと思います。

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。普天間基地の移設問題で日米関係が強調されております。大臣に教えて頂きたいのですが、この問題による東アジア各国及びロシアとの関係等において、近隣諸国における関係性での影響というのはあるのでしょうか。

【大臣】それは、あると思います。例えば、北朝鮮の問題を一つ取っても、先日ボズワース特使が外務省にも来て、北朝鮮とのやりとりを私(大臣)に詳しく語っていただきました。これも日米同盟というものがあってのことだと思います。日本の平和と、そして安全の確保のために、或いはこのアジア太平洋地域の安定のために、日米同盟が果たしている役割は、非常に広範であり、且つ、重要でありますので、しっかりしている必要があると(思います)。もし、そのことがしっかりしていないということになりますと、今、北朝鮮を例に申し上げましたが、様々な影響があるということだと思います。

【フリーランス 岩上氏】普天間の話について、先程、国民に対してメッセージということであれば、「三党でよく話し合う」という結論ということは、言い換えれば「もう少し待って下さい」という意味であると仰いました。

【大臣】少し分かり易く言い過ぎましたかね。

【フリーランス 岩上氏】それは、もう一度、同じように国民に対して、直接メッセージを出して頂けるということでしたら、「もう少し待って下さい」ということは、大体いつくらいまで、そして、どの案件に関して、どの範囲に関して、どの問題に関してなのか、その辺りまで出来れば、中継もされていることですし、ダイレクトにお示し頂けないでしょうか。

【大臣】与党三党で話し合いをしているところですので、明確な方向性が出るまでは、(待って下さいということです。)本日はその結論には至らなかったということです。

【琉球新報 滝本記者】普天間に関して、本日、与党三党の話し合いで確認されたということですが、その確認事項をルース大使に、米側にお伝えになられたのかということをお伺いしたいのですが。

【大臣】(与党三党で)確認し、決まったことは「三党でよく協議をする」ということだけです。

【琉球新報 滝本記者】そういったことをルース大使には、状況説明ということでお話をされたのでしょうか。

【大臣】そのこと自身というよりは、「どういう議論を今しているのか」ということについては、私(大臣)なりに伝えたつもりです。

【NHK 別府記者】その関連ですが、「三党でよく考えていくのだ」ということは、米への説明として、この問題のパートナーとしての米に対する説得としては、まだ不十分だということなのでしょうか。

【大臣】それだけでは説明にならないですよね。プロセスも含めてある程度説明したということです。

【読売新聞 川崎記者】普天間について質問です。大臣は常々、「なるべく早く迅速に解決したい」と、それは「できれば、年内に」ということを重ねて仰られてきました。本日12月15日の段階に至っても、先程、大臣がおっしゃったように「少し待ってくれ」という状況になっている訳です。先頃も、大臣は「日米関係が若干揺らいでいる」ことに危機感を示されていますが、その危機感は現時点でより強いものになっているという認識かどうかについてお伺いします。

【大臣】本日は結論は出ませんでしたが、そう時間がかかるということにはならないのではないかと、私(大臣)なりに判断をしております。前回より危機感が高まったとか、そういうようには考えておりません。

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習近平国家副主席の陛下への御引見

【朝日新聞 東岡記者】天皇陛下と習近平国家副主席の御引見について尋ねします。昨日の自民党の外交部会で、外務省が説明したところによりますと、11月26日に宮内庁から外務省に対して「今回、御引見はできない」という回答があった後、外務省は官邸と調整した上で11月30日に中国側に対して「御引見が実現できない」と伝えたということです。外務省が官邸と調整した上で中国側に御引見が実現できないと伝えたということは、岡田大臣も、或いは平野官房長官、鳩山総理も今回は無理であるということを了解の上で中国側に一旦伝えたということでしょうか。

【大臣】総理、及び官房長官がどのようにお考えだったかということは、それぞれにお聞き下さい。私(大臣)から話す立場にはありません。私(大臣)は「1か月ルール」というものがありますので、これは難しい話しであると認識をしておりました。

【J-CASTニュース 亀松記者】天皇陛下と習近平国家副主席の御引見の問題についてお伺い致します。昨日の小沢幹事長の会見がかなりテレビ等で放送されておりますが、その中で小沢幹事長は憲法を根拠に宮内庁長官のことを批判されております。「憲法をよく読みなさい」と仰っておりましたので、芦辺先生の憲法の教科書等を読んでみたのですが、国事行為は確かに「内閣の助言と承認に基づく」となっており、厳密にいえば「公的行為」ということです。通説ではそれも内閣の助言と承認のコントロールの下におかれているということは確かだと思うのですが、小沢幹事長は内閣にいる方ではないのですが、そういう立場の方がそこまで厳しく批判するのはどうなのかということについてのご意見をお聞かせ下さい。

【大臣】それは聞く人がいたから、お答えになったのだと思います。それ以上コメントする立場にありません。

【毎日新聞 須藤記者】習近平副国家主席の陛下への会見の関係ですが、前原国交大臣が今日の閣議後の会見で「面談の要請を政府に対して言ってきたのは、元総理大臣すなわち自民党の方からそういう要請があったからだ」という発言をされているのですが、そういう事実関係というのは大臣としてはご承知しておられるのでしょうか。

【大臣】直接、私(大臣)は存じません。いろいろな人の所にいろいろな人が言ってきたという話は聞いておりますが、少なくとも私(大臣)のところには具体的にはありませんでした。色々な噂が流れておりますが、それが事実かどうかは私(大臣)は承知しておりません。

【朝日新聞 東岡記者】引き続き御引見の関係でお尋ねいたします。今大臣が仰ったように、いろいろな方からいろいろなところに要請なるものがあったということですけれども、今回の一連の経緯については有識者の方々であるとか、或いは自民党の方から批判が出ております。今回特例措置を認めたことについて、大臣として何か反省すべき点があるのかどうか、或いは今後もこういった特例を認めることがあり得るのかどうか、大臣はどうお考えでしょうか。

【大臣】これを決定されたのは官邸ですので、いつか申し上げましたが、それ以上私(大臣)からコメントすることはありません。最終的には内閣として決めたわけです。従って、私(大臣)は内閣の決めた方針に従いたいと思っております。

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来年度予算編成(行政刷新)

【毎日新聞 野口記者】事業仕分けと外務省の予算編成の関係なのですが、もう外務省の方で予算編成が、大まかに決まって財務省の方に報告をされていると思うのですが、事業仕分けで見直しなどを指摘された項目についてそのとおりに外務省として予算をつけなかった項目はどのくらいの件数があって、額はどのくらいになるのかということと、その理由について大臣のお考えをお願いします。

【大臣】今のお話は来年度予算の話をしておられるのですか。来年度予算はまだ閣議決定もされておりませんので、今コメントする状況にはありません。

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外務大臣会見記録(平成21年12月11日(金曜日)16時20分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)習近平中華人民共和国国家副主席の訪日について

【大臣】それでは私(大臣)から三点。まず第一点は、習近平中華人民共和国国家副主席の訪日についてです。12月14日(月曜日)から16日(水曜日)まで、我が国政府の貴賓客として、訪日する予定です。滞在期間中、天皇陛下の御引見、鳩山内閣総理大臣や私(大臣)と会見を行うほか、各界要人との会見、九州視察等を行う予定です。この度の訪日は、日中両国間のハイレベル交流の一環として実施されるものでありますが、習近平国家副主席には、この訪日を通じて日本に対する理解を深めていただき、今後の両国関係の更なる発展の為の基礎を、一層盤石にしたいと考えています。

(2)ケビン・ラッド・オーストラリア首相の訪日について

【大臣】もう一点は、ケビン・ラッド・オーストラリア首相の訪日についてです。15日(火曜日)、オーストラリアのケビン・ラッド首相がCOP15出席の途中でありますが、訪日する予定です。同日、鳩山総理とラッド首相は首脳会談を行い、気候変動、核軍縮・核不拡散及び二国間関係について意見交換を行うとともに、「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」のギャレス・エバンズ及び川口順子両共同議長より同委員会の報告書を受け取る予定です。また首脳会談に先立ち、私(大臣)もラッド首相の表敬訪問を受ける予定であります。

(3)政務三役会議

【大臣】もう一点、政務三役会議については、特に今日お伝えするものはありません。私(大臣)から防衛大綱の見直しに関する閣僚委員会、閣議、閣僚懇の報告をいたしました。武正副大臣から、在勤手当ワーキンググループの検証結果を発表した旨の報告がありました。外務省政策会議の在り方について若干議論が出まして、西村政務官から少し従来のやり方で十分かどうか検討した上で、もう一度(政務)三役会議に諮るというお話がありました。

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習近平中華人民共和国国家副主席の訪日

【朝日新聞 東岡記者】冒頭御紹介がありました、陛下と習近平国家副主席の御引見についてお尋ねします。本日午前中の平野官房長官の会見で、総理の指示によって急遽調整がされたとのことです。もともとは1か月前に申請が必要なものが特例的に扱われているようですけれども、この経緯と、政治利用ではないかという批判があるわけですけれども、これに対して大臣はどうお考えになりますでしょうか。

【大臣】経緯は官房長官が述べられた通りだと思います。それから、「政治利用」というのは、陛下が外国からのお客様にお会いすることが「政治利用である」というようには思っておりません。

【共同通信 斉藤記者】今の御引見について、お伺いします。このいわゆる「1か月ルール」というものは、これまで基本的には厳格に運用されてきたと聞いています。今回、中国の習近平副主席を、このルールの枠から外れる形で会見に応じた場合、他国の方々との間で若干の不平等・不公平が生まれるのではないかとも推察されるのですが、この点についてはいかがでしょうか。厳格に運用するか、それとも柔軟に運用するか、その点について御認識をお願いします。

【大臣】基本的に「1か月ルール」は、陛下のご健康ということを考えて設けられているものだと承知しております。陛下のご健康に支障がないという範囲で今回の決定がなされたと考えております。詳細については、むしろ官邸で具体的に働きかけをされたことでありますので、私(大臣)がお答えしないほうがいいと思います。

【朝日新聞 東岡記者】習近平国家副主席の今回の訪日の意義ですが、ポスト胡錦涛の有力候補であると言われている一方で、日本についてはあまり縁がないという指摘もあります。今回の来日の意義について将来の主席としてどのような関係を作っていきたいか、改めて大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】訪日経験があまりない、或いはないかもしれません。若い頃のことは承知しておりませんけれども、少なくとも中国の要人として来日された経験はないように聞いております。折角のこの機会、日本としても大いにこの機会に習近平国家副主席に日本を理解して頂く、或いは逆に我々としても習近平国家副主席の人となり、考え方について十分に理解をさせて頂く貴重な機会だと思っています。

【共同通信 斎藤記者】もう一度「1か月ルール」に話を戻したいのですが、一般論として、この「1か月ルール」を外務省として、これは宮内庁と外務省(が担当)ですか、今後も守っていくべきものなのかどうか、これについてもご見解をお願いいたします。

【大臣】これは外務省というよりも、宮内庁の方でお決めになっている一つの考え方だというように理解しております。外務省としては、なるべく多くの外国のお客様のご希望があれば、陛下にお会いしていただきたいという思いはあります。しかし、その一方でご健康のこともあるので、こういうルールを設けておられるというように考えております。

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米軍再編問題

【朝日新聞 内田記者】米軍普天間飛行場の関係でお伺いします。鳩山首相はCOP15の前に米国側に政府の方針を説明して理解を求めていきたいと話しておりましたけれども、何らかの政府方針が現時点で固まったのでしょうか。もし、固まっていないとしたら、大臣の感覚では今、何合目くらいまで登ってきているという受け止めでしょうか。

【大臣】今、検討中です。何合目というのは、人によって違うと思いますし、私(大臣)があまりコメントしない方がいいと思います。なるべく早く政府の方針を固めたいと考えています。

【時事通信 水島記者】先程、鳩山総理と北澤防衛大臣と岡田大臣が普天間基地問題に関して意見交換をされていたと思いますが、防衛大臣のグアム視察を受けて、どのような協議があったのかということと、グアム移転そのものに関して岡田大臣はどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】前原国土交通大臣、平野官房長官も入って5者での意見交換を致しました。その中で、グアム移転についての議論は出ておりません。私(大臣)はどう考えているかというのは特に申し上げるべきことはありません。

【フリ-ランス 岩上氏】普天間基地問題に関連してお尋ねします。国民新党の下地幹郎政調会長が本日渡米して米国の要人と会談をしてくるという話を伺っております。会談相手としては、キャンベル国務次官補、ケビン・ベア国務省日本部長、グレグソン国防次官補といった名前も出ております。こうした二元外交ともいうような動きが連立政権内部で起こっていることについて、プラスの面とマイナスの面もあると思いますが、岡田大臣はどのようにお考え、どのように受け止めていらっしゃるかお聞かせ願えますでしょうか。

【大臣】必ずしも二元外交という認識はありません。個人の資格で行かれた訳で、別に政府の特使等の位置付けは全くありません。私(大臣)も野党時代には随分ワシントン、或いはその中の国務省や国防省に行っておりました。そういう自由はあると思います。米国側には政府の特使とか、政府の見解を述べに行くとか、或いは意見交換するとかという立場ではないということは米国側も承知しております。

【共同通信 上西川原記者】普天間飛行場問題ですが、日米合意では、2006年のロ-ドマップでは名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部にV字型滑走路を造るということが明記されていますが、今後の交渉としてV字型滑走路を造らないという選択肢はあるのでしょうか。仮に造らないとすると、日米合意を破棄するということになるとの認識をお持ちでしょうか。

【大臣】今、まさしく方針を検討しているところですので、あまり個別のことに私(大臣)がコメントするべきではないと思います。

【ドイツTV 西里記者】普天間基地の問題について、先頃、東京に上京していた宜野湾市の伊波市長は「海兵隊は全部、殆どの実戦部隊はグアムに移転するのではないか。しかもグアムにも、事実上70機程度のヘリコプターの施設が出来ている」と言われ、うがった見方をすれば、「グアムの代理基地建設のための思いやり予算を確保するために、海兵隊もやはり(沖縄に)残るのだ」という説が報道され始めております。その辺について、どのように理解されていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】伊波市長の方からそういうお話を少しお伺いしましたが、私(大臣)は「根拠がよく分からない」と申し上げました。伊波市長の資料によれば、「誰々と会ったときに、このように言っていた」ということが、いくつか資料の中に挙げられていました。これは、言った、言わないの話であり、確認のしようがありません。グアムにそういう施設が出来るということは、緊急時を考えれば、そういう施設を持つということはあり得る話であり、だから、普天間からヘリコプターがなくなるというように直結しない問題だと思っております。

【日経新聞 山内記者】普天間問題です。社民党は、国外と県外への移転を主張されていて、具体的にはグアムだとか、硫黄島という話をされています。これについて、今までのワーキング・グループでは、検証対象となっていないと承知しますが、これからの検証の可能性について、どのように考えていらっしゃいますか。

【大臣】ワーキング・グループで検証することは、ワーキング・グループの本来の役割とは違いますので、考えられません。それ以外にどうするかということは、これからの全体の方針に関わる話ですので、今コメントしない方がいいと思います。

【J-CASTニュース 亀松記者】普天間に関連して日米関係の問題についてお伺いします。日米関係について、米国側が不信感を強めているというような報道が強まっているように思われます。前回もそういうお話がありましたが、現時点での日米関係についての危機感というか、その辺りのご認識をお伺いしたいと思います。

【大臣】前回お話したことと変わりません。したがって、なるべく早く方針を決めるべきだと思っております。

【NHK 梶原記者】普天間の関連ですが、政府内、特に官房長官などがそうだと思いますが、普天間飛行場の移設先が決まる決まらないとは別に、危険性の除去、或いは負担の軽減というものを先行すべきだという意見も出ているようですが、これについて大臣はどのようにお考えになっているでしょうか。

【大臣】先行するというのは、日本単独でできることでは恐らくないと思います。現時点で聞けば、米国側は「約束を守って下さい。(約束を)果たして下さい」という答が返ってくると思います。したがって、官房長官も入ってこれからの方針について議論している訳ですから、そのことを踏まえて、今ご質問があったことについても考えていけばいいと思っています。

【フリーランス 上杉氏】官房長官と普天間についてですが、一昨日の記者会見で平野官房長官が普天間の移設に関して、「住民の移転もあり得る」というような発言をされたということで、私は官房長官の記者会見に出れないので、正確な引用はできないのですが、そのような報道がありましたが、政府内で官房長官の発言に関して検証されたという経緯があるのでしょうか。

【大臣】私(大臣)は聞いておりません。

【ビデオ・ニュース 神保記者】普天間に関連して、米国側が日米間に不信感という話がありますが、その不信感についてお伺いしたのですが、それは「日本の政府が一回約束したことを実行しないような政府であることへの不信感」なのか、それとも「日本が日米同盟について、これまで米国が理解してきたもの、日米間で同意されてきたものと違うような考えを持っているのではないかという不信感」なのか、不信感の中身について、もう少し詳しく教えて頂けますか。

【大臣】私(大臣)の理解は前者です。約束は守ってもらいたいということで、それが守られないとすれば、果たして信頼できるのかという話だと思います。

【ビデオ・ニュース 神保記者】後者ではないということですね。

【大臣】違います。

【フリーランス 岩上氏】普天間に関連して、10日発売の今月号の中央公論に、守屋元防衛次官の手記といいますかインタビューが掲載されております。この内容を大臣はご覧になったか、或いは、その内容についてお耳に入れられているでしょうか。その中では、今までの普天間の13年間にわたる経緯が書かれており、「不透明に事業規模が利権がらみで拡大してきた」というような記述があるのですが、こうした点も含めて検証、或いは検討されているのか、その点についてお聞かせください。

【大臣】私(大臣)はまず(ご指摘の)中央公論(の記事)を承知しておりません。見ておりません。守屋元次官がどういう趣旨で言っておられるのかも承知しておりませんので、コメントできません。ただ当事者でした。今の守屋さんの立場も考えると、それがどのくらい信憑性があるのかいうのは、私(大臣)には判断しかねます。

【共同通信 上西川原記者】今、関係閣僚等で協議中の政府方針について、当初「(COP15の12月)18日の日米首脳会談で一報を伝えることができれば」ということで年内ということがあったと思います。「それまでに取りまとめることができれば」というような趣旨の発言が総理からもあったと思いますが、そこが無くなった時点で、まだ年内に一定の政府方針というか、考えをまとめる必要があるとお考えでしょうか。それとも、越年する可能性もあるとお考えでしょうか。

【大臣】総理の18日というご発言は、私(大臣)は聞いておりませんでした。突然出て来たので、やや驚いた訳であります。私(大臣)が前から申し上げていることは、「なるべく早く方針を決めた方がいい」ということで、今日もそのことは申し上げておきました。

【フリーランス 上杉氏】普天間と官房長官について、官房長官が昨日の会見で同じように普天間に言及して、閣僚級のワーキング・グループに関して「普天間以外の議題設定の見直しをする」と発言をされたと報道にありましたが、その辺りについて政府内で話し合われて発言されたことかどうか、外務大臣の方からお聞かせ願えますか。

【大臣】その話は承知しておりません。いずれにせよ、ワーキング・グループというのは、何度も申し上げておりますが、今の現行案に至った経緯を検証するということで設けられたものです。それ以外の役割をするとすれば、もう一度日米間で話し合わなければいけないということで、日本だけで決められる問題ではないというように思います。かなり性格が変わりますので、何と言いますか、今のワーキング・グループの改編なのか、新たなものなのか、官房長官がどういう趣旨で仰っておられるのかわかりません。今のままではそれは出来ません。

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米朝協議

【毎日新聞 須藤記者】ボズワース米北朝鮮政策特別代表の訪朝に関してお尋ねします。直接関係ありませんが、基本的に米朝交渉は六者(協議)の枠の中でということだ思いますが、それとは別に日本の戦略として、旧政権時代は六者協議の中で日米韓の連携を重視しつつという基本的な方針があったと思います。今後、米朝協議が進む中で、日本と米国と韓国の連携というものをどのように考えてやっていこうと思っていらっしゃるかをお話し下さい。

【大臣】今回のボズワース米北朝鮮政策特別代表の訪朝に関してもそうですが、北朝鮮の問題に関する日本と韓国と米国の意志疎通・連携というものは十分に図られていると考えています。

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日米関係

【テレビ朝日 新堀記者】最近、在京米国大使館のズムワルト公使が山岡国会対策委員長や輿石幹事長代行といった(民主)党の方と会われたり、或いはルース米国大使が小沢幹事長と会いたいのではないかという話が私どもの取材では入ってきています。そういった件も大臣はご承知であるかどうか、ということと、それについてどのような感想をお持ちなのか、党の動き、党と米国との外交についてはどのようにお考えになっているかお聞かせ願えますでしょうか。

【大臣】事前に何か承知している訳ではありません。報道で国対委員長とズムワルト公使が会われたことは承知しております。それは(駐日)米国大使館の判断ですので、私(大臣)が何かコメントする必要はないと思います。

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防衛大綱の見直し

【時事通信 水島記者】防衛大綱の閣僚会議についてお伺いします。来年度予算に関して、普天間の移設関連の予算の扱いとPAC3の予算の扱いで方向性が出ているようでしたら確認したいと思いますが、どうでしょうか。

【大臣】普天間の件は、今お答え申し上げられません。まだ方針が決まっていませんから、そのことも決まっていないと理解しています。それから、PAC3については、一定の方向性が本日の議論の中でも示されたというように思います。ただ、外に出るのはきちんとした発表文書で出るべきで、私(大臣)が中身について触れるべきではないと思っています。

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捕鯨問題

【AP通信 岩佐記者】オーストラリアのラッド首相が、地元のラジオ局で「日本が調査捕鯨を止めなければ、法的措置も辞さない」と仰っているのですが、そのことについて、何か大臣の見解があれば、お教えていただけますでしょうか。

【大臣】「法的措置」という意味がよく分かりません。私(大臣)の理解では、調査捕鯨は認められた仕組みであるというように考えております。昨日もオーストラリアのメディアのインタビューを受けて申し上げたのですが、「食」というのは一つの文化でありますので、私(大臣)は鯨を食べるということは、日本の伝統的な文化であるというように思います。そのことが、もし駄目だというのであれば、もちろん絶滅しそうだから、それを控えるということはよく分かります。そうでないにもかかわらず「止めろ」というのであれば、私(大臣)は、お互いに寛容にそして多様な文化や考え方を認め合うということが基本であるべきだと考えております。

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その他

【日本テレビ「バンキシャ」担当 小原記者】普天間移設問題が長引く中で、正直最近、大臣はお痩せになったのではないでしょうか。

【大臣】痩せておりません。残念ながら。

【日本テレビ「バンキシャ」担当 小原記者】体調の方は大丈夫でしょうか。

【大臣】全く問題ありません。

【日本テレビ「バンキシャ」担当 小原記者】正直、お顔の頬の方とか、目の下が窪んでいらっしゃるのではないかと心配しております。

【大臣】それは、この記者会見のせいですかね。全く問題ないです。大丈夫です。そういうことは、あまり公の場で言われない方がいいと思います。

【日本テレビ「バンキシャ」担当 小原記者】済みません。ありがとうございました。

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外務大臣会見記録(平成21年12月8日(火曜日)15時40分~ 於:本省会見室)

政務三役会議

【大臣】本日の政務三役では、閣議、閣僚懇談会、午前の海外経済協力会議についての報告をしました。

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米軍再編問題

【共同通信 上西川原記者】普天間基地問題についてです。大臣は「年内で決着することができれば望ましい」という考えを表明されていますが、那覇市での記者会見で「米側が思う日米合意が実現できない時に、その信頼関係がどれだけ維持されるのか、必ずしも自信を持って言えない。そういう場合に、今の日米同盟の現状について強い危機感を持っている」と言われております。これは裏返すと、つまり、日米合意を履行する以外に米国との信頼関係を維持できないということでしょうか。

【大臣】いや、必ずしもそういう趣旨ではないということは、会見録をご覧になっていただければ分かると思います。私(大臣)は、「年内が望ましい」と言い続けて参りましたが、「最終的に決めるのは総理である」ということも言って参りました。総理も言われておりますように、一方で「沖縄の県民の皆さんの気持ち」、そして、「3党連立」があり、他方で「日米の合意」ということがあるわけで、そういう全体を満たすような答えを見い出していかなければなりません。そのために連日、いろいろな議論を交わしているということです。

【毎日新聞 須藤記者】普天間問題の結果、或いは結論がどうなるのかということは別にして、沖縄等の記者会見で、大臣が度々おっしゃられているように、普天間問題を発端にして、今の日米関係において、お互いの関係が厳しい、或いは厳しくなるかもしれない状況にあると思います。それについて、なんとかマネ-ジメントをしていかなければならないという意識を、沖縄ではおっしゃったと理解しています。米側も日米関係を壊したいと思っている訳ではなくて、なんとかマネ-ジメントをしたいと思っていると思うので、外相として、今後、日米関係について、この普天間に留まらず、どのように関係を緊密にしていき、話し合いをしていくのかについて、一般論で構いませんのでお答え頂けると幸いです。

【大臣】今、目の前にある普天間の問題が、非常に大きな問題としてあります。その他、私(大臣)は、日米の抱える問題で、何か懸案があるとか、非常に難しい問題があるという認識をしておりません。ですから、この問題をしっかりと乗り越えていかなければいけないと考えています。

【東京新聞 佐藤記者】総理が、COP15の首脳級会合の際、オバマ大統領と普天間の問題で日米首脳会談をやりたいという意向を示していますが、現段階の調整状況、実現の可能性についてお教えください。

【大臣】私(大臣)が理解していることは、総理がCOP15の場で「会えれば」ということを言われたのであって、「会談」とまでは言われなかったと思います。そもそも、全体のスケジュールが非常にタイトな二人ですから、そう長く時間を取って、温暖化の問題以外で時間が取れるというのは、私(大臣)には考えにくいことだと思います。せっかくご質問をいただいたので、本日の記事にコメントしますと、私(大臣)と総理の間に、見解の相違が今そうあるわけではありません。大体、同じ幅の中で、今、議論しているということは申し上げておきたいと思います。

【テレビ朝日 新堀記者】先日の沖縄で、「非常に日米同盟に危機感を感じている」とおっしゃっていて、今「総理との間にそれ程見解の相違があるわけではない」とおっしゃったということは、沖縄からお帰りになってこの数日間、総理とお話になり、その危機感というものが、大臣の中で変わってきていらっしゃるのでしょうか。それとも、やはり依然として日米同盟に対する強い危機感はお持ちになっていらっしゃるということでよろしいでしょうか。

【大臣】私(大臣)は従来からそういう危機感は持っております。

【テレビ朝日 新堀記者】総理とお話になっていく中で、少しそれは薄れてきているということではないですか。

【大臣】私(大臣)は変わっておりません。

【フリーランス 岩上氏】実際に米側の当局者と最前線で触れ合って、米側の圧力というか、米側の要望の強さというものを肌で感じて、仄聞ではなく、大臣のお言葉として、「合意どおりに履行してほしい」という米側の要望の強さというものは、如何なるものなのか、ご説明いただけないでしょうか。4日にルース大使は、顔を真っ赤にして怒鳴り上げたとか、マイケル・グリーン(米戦略国際研究所日本部長)、リチャード・アミテージ(元米国務副長官)が来日して、「辺野古という元々の合意案にならなければ、日米同盟は亀裂が入って元に戻らないだろう」とまで言っているシーンが繰り返しテレビに流されたり、或いは、新聞等の日本のマスメディアが、「もし、民主党政権により、元々の日米合意である辺野古案にならなかったら大変なことになる」ということが連日書かれている訳です。それを見ていると、国民は大変不安に思っています。実際のところ、どれほど「年内、辺野古」という米側の要求を丸飲みしなかったら、日米同盟は危機的なものになるのか、直接、国民にご説明願えないでしょうか。

【大臣】議論の前提として、米側が圧力をかけているとか、そういうことは全くありません。ただ、私(大臣)の政治家としての経験の中で、この問題はしっかりと対応しないと、日米関係で双方に深刻な信頼関係の喪失といいますか、そういうことになりかねないという危機感を持っている訳です。ルース大使との議論も、誰かが見ていたようなことを書いていますが、全くの創作です。もちろん、ルース大使もしっかりと自らの主張を言われましたが、別に顔を真っ赤にするとか、怒鳴り上げるとか、冗談じゃないと思っております。私(大臣)、北沢防衛相、ルース大使と通訳しかいませんから、何を根拠にそのようなことを言っているのかと思います。アーミテージさんは知りませんが、マイケル・グリーンさんは、従来からかなり厳しいことを言っておられることは承知しております。共和党の人間ですから、ある意味当然だと思います。グリーンさんが言っていたのではありませんが、昨日も民主党系の人と議論したときに、やはり米国にもいろいろな人がおり、今の日本の民主党や米国の民主党をいろいろと攻撃し、その関係を悪くすることが望ましいと思っている人もいて、様々な意見が出てくるという話を聞いたところです。日本の政界もそうですが、いろいろな意見があることは当然だと思います。それをどれくらい真に受けるのかという問題だと思います。

【フリーランス 岩上氏】ルース大使が怒鳴り上げたというのは、誤報だということですか。

【大臣】(怒鳴り上げたという)そんなことはありません。

【NHK 梶原記者】先ほど大臣から「大臣と総理との考え方にそれほど相違はない」というご発言がありました。確認ですが、大臣のそのお考えというのは「年内決着が望ましく、日米の合意の実現を図る」というスタンスでよろしいのでしょうか。

【大臣】いや、「年内決着が望ましい。しかし、総理が最終的に決めることだ」ということです。私(大臣)は、「日米合意」の実現を図ることが望ましいということを必ずしも言っておりません。しかし、両国政府で約束したことは重いと申し上げている訳です。

【時事通信 高橋記者】引き続き、普天間についてお尋ねします。鳩山総理は「あらゆる選択肢が残っている」、そして、平野官房長官は「辺野古だけではなく、他はないのかという考え方を総理自身が(米側に)出すのではないか」とこのように仰っています。まだワーキング・グループの検証作業の結論が出ていない途中の段階だと思いますが、そういう段階であらゆる選択肢を検討するのでしょうか。それとも、検証を終えた上で、そのための選択肢に入ってくるのでしょうか。嘉手納(基地)統合案は、もう死んでいるのでしょうか。それとも、まだ生きているのでしょうか。

【大臣】この前、申し上げましたが、閣議の後、総理に確認したところ、「他の選択肢を」という指示を出していないということです。ただ、総理は従来から「あらゆる選択肢」ということは言っており、スタンスは変わっていないという説明を総理はされたと思います。その中の一部が引用されたというように思います。嘉手納の問題は、そういう可能性がないかどうかということを検証の対象としてやってまいりました。まだワーキング・グループは終っておりませんので、結論は最終的に出ている訳ではありません。

【読売新聞 村尾記者】普天間基地の問題について、本日の午後、総理と関係閣僚の方にお会いになられたと思います。まだ途中経過だと思いますけれども、出席者の方のお一人が「方向性が見えつつある」という趣旨のことを仰っていたのですが、今後も続くのかということと、いつごろまでに結論を出されるのかについて教えて頂けますか。

【大臣】なるべく早くというしかないです。ただ、メンバーの中で北澤防衛大臣は既にグアムに向かわれましたし、総理はインドネシアに行かれますので、その間はこの会議は開けないと思います。必要があれば、週内にも再度集まることもあるかも知れませんが、具体的に今、そのことを決めている訳ではありません。昨日、本日と議論の方向性は大体一致しています。ただし、これは、相手のある話であり、先程「三つの問題がある」と申し上げましたが、それをどのようにして、特に連立している二党とも納得をし、そして、米国も納得するような答えを見い出していかなければいけないということで、なお努力が求められていると思います。

【NHK 相沢記者】先週、与党や共産党などの国会議員が集会を開き、「辺野古にはジュゴンが生息している」として、米国の裁判所で行われている訴訟の件が話題になりました。この訴訟では、昨年、米国の文化財保護法に照らして違法であるという中間判決が出ているのですが、今行われている日米合意の検証作業では、この訴訟は考慮の対象になっているのでしょうか。また、この判決に照らすと辺野古の基地建設は差し止めが可能であるという見解もあるのですが、大臣は政府が結論を出す上で何かしら影響を与えると考えていらっしゃいますか。

【大臣】ジュゴン裁判があることは承知をしております。ただ、訴訟の最中で結論が出た訳ではありませんので、特にコメントは控えたいと思います。

【朝日新聞 五十嵐記者】総理は、COP15でオバマ大統領に会えるかどうか別として、それまでに普天間に関する日本政府の方針を伝えて理解を得たいと話しています。その際、政府としての考え方を伝える立場におられるのは外務大臣だと思われますが、どのような形で伝えるのか、ワーキング・グループの場等で伝えるつもりなのか、それとも、電話会談等を考えていらっしゃるのか教えて頂ければと思います。

【大臣】総理は、ご自身が「お会いになって」と仰ったのではないですか。

【朝日新聞 五十嵐記者】「それまでに」と言われていると思います。

【大臣】それは承知しておりません。

【共同通信社 西野記者】前原国土交通大臣が、辺野古に関して、米軍の指導を基に オスプレー(垂直離着陸機)航空機が配備される場合は、環境影響調査がまだ出来ていないということで「米側が言うように『辺野古にすれば早いのだ』ということではない」というような論旨を展開されているというように理解しているのですが、例えば、四閣僚の協議、総理を含めた中では「辺野古が必ずしも早い訳ではない」というような認識は共有されているのでしょうか。

【大臣】そういう議論は、特にございません。

【フリ-ランス 岩上氏】連立と沖縄と米国の要求という三つ全部が納得する連立方程式の解というものを見つけられれば、それに越したことはないのでしょうが、なかなかそうならない可能性があると思います。もし、沖縄に負担を強いるという解になれば、つまりは辺野古をベースにする案になった場合、どのように沖縄を説得して、無事工事を着工していくことができるとお考えでしょうか。もし、地元自治体の長が建設許可を出さなければ、なかなか(工事に)入れません。そうすると、将来的に例えば、特措法を作り、かなり強制的な方法で造っていくという道筋になっていくかと思います。それが、出来ないようであれば、いつまでも、何十年もずるずると引き延ばされるかもしれない、「辺野古は現実的ではないのでは」という懸念も出ておりますが、この辺りについてお考えをお聞かせ下さい。

【大臣】それは、仮定に基づく議論ですので、私(大臣)がコメントする必要はないと思います。三者がある程度納得出来るような案を是非見い出したいと思います。

【読売新聞 川崎記者】先程、大臣はワーキング・グループについて、嘉手納基地統合案の結論はまだ出ておらず、ワーキング・グループもまだ終わっていないというご認識を言われました。ワーキング・グループはどういうタイミングで開かれるのか、一定の結論が出るのか、その辺りの認識をお聞かせください。

【大臣】ワーキング・グループは終わったと決めていないから終わっていないのですが、今後どうなるかは様子を見なければ分かりません。つまり、日本国政府がどのような考え方でやっていこうとするのか、その方向性が出た上でワーキング・グループをどうするかということを議論すべきだと思います。

【NHK 禰津記者】先程、大臣は、「関係閣僚の間で議論の方向性が大体一致している」と仰いましたが、議論の方向性というのは、結論を出される時期について大体方向性が一致されているのか、それとも移設先の考えについて大体方向性が一致しつつあるという意味なのか、お聞かせ下さい。

【大臣】その辺りを言ってしまうと議論の中身が分かってしまうので、コメントしません。

【共同通信社 西野記者】ワーキング・グループについて、今後どうなるか分からないということは、日本政府の方針を早急に決めて日米で再開したいという思いはないということでしょうか。この検証は「どうして辺野古になったのか」ということを検証、その結論を得ることによって、どのような日本政府の対応を決めていくかということに資するものだと理解していたのですが、ワーキング・グループをきちんとやっていくことは、「もう無理だからどうなるか分からない」というのが大臣の真意なのでしょうか。それとも、新しい方針を早く作って日米で話し合いを再開したいというのが真意でしょうか。

【大臣】ご質問の前提として、ワーキング・グループというのは何かということの認識の問題があると思います。ワーキング・グループというのは現在の普天間基地の辺野古への移転、こうなったことの経緯を検証するということです。そういう前提の基で様々な議論を行ってきました。嘉手納基地統合案なども、そのプロセスで検討された案の一つですから、取り上げてきた訳です。今、政府の中で議論されている結果として、何らかの方向性が出れば、ワーキング・グループの問題ではなくなってしまうかもしれません。そこはまだわかりませんが、どのような方向性が出るかによるので、現時点では将来のことについてはお話し出来ないということを申し上げておきます。今のワーキング・グループは、何でも議論する場ではありません。

【NHK 別府記者】確認ですが、議論の方向性は一致しているということなのですが。

【大臣】概ねです。

【NHK 別府記者】それが答えだったのですが、もう収束に向かっている段階なのか、まだもう少しかかるといった段階なのでしょうか。

【大臣】いろいろな議論が途中で、また新しい要素も入るかも知れませんので、特に私(大臣)からコメントすることは避けた方が無難だというように思います。しっかりと方向性を出さないといけないというように思って真剣に今議論をしています。

【フリーランス 岩上氏】先程の質問と回答の中で、嘉手納(基地統合)案について完全に断念したわけではないというようなご趣意のことを仰られたように思うのですが、沖縄に行ったときの報道では一斉に主な新聞報道はほぼ「岡田外相嘉手納統合案断念」というような書き方をしておりました。改めて、外相の口から、これ(記者会見)はYouTubeとかで実際に外相のお答えがそのまま聞けますので、それはまだ残っているのか、それとも本当に断念したのかをお答えいただければと思います。

【大臣】 これはワーキング・グループの中で議論しているわけですから、私(大臣)個人が断念するとかしないとかそういう問題ではそもそもありません。ですから、私(大臣)が断念したというように書かれたのは少し違うのではないかというようには思います。いろいろな難しい問題があるということは、ワーキング・グループの議論の中で出てきたことは承知しております。ワーキング・グループ自身が閉じた訳ではないので、まだやっている最中ですから、そういう意味ではこれだけ駄目だったとか、これは良いとかそういう結論が途中で出るわけではありません。

【フリーランス 岩上氏】大臣ご自身が断念したということではないということですか。

【大臣】断念したという事実はありません。ただ様々難しい問題があるということは前から申し上げておりますし、何が難しいかと言えば騒音レベルを今よりも下げなければならないということは、かなりの機能を他所に持っていかなかければならないということです。それが短期間で出来るかどうかということについて、そう簡単なことではないということはよく分かっております。

【朝日新聞 五十嵐記者】先程のワーキング・グループについてですけれども、ワーキング・グループというのは辺野古への移転の経緯を検証するというものだというように先程大臣は仰られました。11月の段階では、辺野古への移転の経緯の検証が必要だというように日米で認識された結果、ワーキング・グループが作られたと思うのですが、12月の今の段階になってその必要がなくなったというように判断されるのであれば、それは何が変わったのですか。

【大臣】いや、必要がなくなったということは一言も言っていないと思いますが。

【共同 上西川原記者】最初の質問に戻りますが、先程日米同盟の現状について強い危機感というのは、強い言葉だと私は思うのですが、これは戦後ずっと続いてきたものですから。これについて具体的にアメリカのどういったところについて大臣として危機感を持っているのかをもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

【大臣】私(大臣)が20年間政治家を続けていて今肌で感じていることです。

【共同 上西川原記者】現行案を受け入れるかどうか、その一点についてでしょうか。

【大臣】いや、そういうことではなくて、やはり同盟というのはそれぞれの信頼関係に基づいて細心の注意を払ってやっていかなければいけないことですが、若干そこは揺らいでいると、またそういうようにしてはいけないと思っております。一部のオバマ政権や鳩山政権が弱くなった方が良いと思っている人たちが色々発言しておられることとは全く違う次元で申し上げております。

【朝日新聞 内田記者】ワーキング・グループについて重ねて確認なのですが、これまでワーキング・グループはワーキング・グループの結論を踏まえて、この普天間問題を総理が判断するという方向性で進められていたと思うのですが、現在ワーキング・グループの結論に関わりなく日本政府で結論を出す状況に変わったという認識なのでしょうか。

【大臣】必ずしもそういうわけではありません。ただワーキング・グループで議論をしながら、他方で連立の話も出てくる中で、先送り論のようなものも出てきましたし、他に探すというような話も出てきましたので、そういう話はワーキング・グループを超える話です。ですから、ワーキング・グループというのはいったん停止をして、状況がまたワーキング・グループに戻して議論すべき状況になるかどうかを、今待っているという状態だと思います。

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日米安保50周年

【毎日新聞 野口記者】大臣は予てから、日米同盟は30年、50年続けていくような深化をしていきたいということをおっしゃっていました。来年の50周年に向けて、閣僚級で、そういった深めていく作業をしようと合意していているのですが、今回、普天間の問題が決着しない場合、その作業に与える影響は、どのようにあると見ているのでしょうか。もしくは、米側から、何か懸念が伝えられているのでしょうか。

【大臣】まず、米側からは何か言われているということはありません。あと、「決着しなければ」という仮定の議論にはお答えしたくありません。ただ、私(大臣)の思いとしては、目の前の懸案をしっかり解決する中で、より信頼関係を増し、そして本質的な議論をしっかりと行いたいと思っています。

【朝日新聞 内田記者】来年の日米安保50周年に向けた新たな協議のことについて、大臣は今、「米側から何か言われたことはない」と仰いましたが、一部報道で、先の普天間のワーキング・グループで、米側が延期の意向を日本側に伝えたというのがあるのですが、この事実関係を教えてください。

【大臣】私(大臣)の記憶にはありません。ただ、私(大臣)自身、そういう状況ではないと自覚しておりますので、私(大臣)自身が、この普天間の問題をきちんと解決せずに、安保50周年、これからの日米同盟のあり方みたいなことの議論に入るという気持ちになれないということです。

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米朝協議

【フリーランス 上杉氏】米朝協議についてお尋ねします。本日、ボズワーズ米特別代表がピョンヤンに向かい、オバマ政権初の米朝協議が始まります。この情報に関して、日本政府に対してはどのような形で入ってきたのか、また、日本政府として、この協議に対してどのようにコミットしていくのか教えてください。

【大臣】「コミット」ということの意味にもよりますが、日本政府が米朝間の協議にコミットすることはありません。それは、米朝間で行われていることであります。ただ、米側はあくまでも6者協議を前提に、まずは米朝間でということであります。そのスタンスは我々は確認しておりますし、やがて6者協議の場に戻ってくると考えております。ボズワーズ米特別代表が北朝鮮に行くことに関しての日米間の連携といいますか、或いは情報の問題ですが、それは従前に日米間で連携が取れております。

【フリーランス 上杉氏】米側から直接情報が(来た)という理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】詳細は申し上げません。

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北朝鮮・拉致問題

【朝日新聞 東岡記者】北朝鮮問題について、国連の人権理事会で、北朝鮮側が拉致問題は解決済みであるという立場を表明しました。昨年8月の日朝協議では、拉致問題の再調査について合意しているにもかかわらず、こうした立場を表明したことについて、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】これは、昨年8月の合意に明らかに反するものであり、全く認められません。昨日、お話になった方のレベルの問題もあると思いますが、我々としては、昨年8月の合意がもちろん生きており、早くそれを履行すべきだと考えております。

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米軍流弾事件

【琉球新報 滝本記者】12月10日で、沖縄金武町伊芸区で銃弾が見つかって1年を迎えます。この間、県警が基地の中に立ち入るということは認められたりということで、捜査が1年経っても、地元としては、その銃弾が米軍の演習による蓋然性が残念ながら高いということで、改善を求めている訳です。米側の対応というのは、「日にちが違う」とか、「演習によるものではない」というような見解を崩していない中で、1年経っても、まだ解決に至っていないという状況です。捜査は捜査で別にして、対米、対米軍という観点から、外務大臣のお立場で、この問題が1年経過して未解決ということについて、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】未解決の状態のまま、1年が経ったことについては残念なことだと思います。先般、沖縄に行きましたときに、米軍の方からは説明がありました。物理的にも、銃弾が飛ぶギリギリの距離です。そういう中で、米側としては、米国から専門家も呼んでいろいろと検討させたが、演習に伴うものであるという可能性は、ほとんどないという結論を持っているようです。とはいえ、現にそれがナンバープレートに突き刺さった訳でありますので、誰かということはわからない訳ですが、しっかりと事実関係を解明できるものであれば、解明努力をしてもらいたいと思っております。その後、金武町の儀武町長とお会いして、いろいろなお話をさせてもらいましたが、今後、こういうことがないように、もう閉じたということですが、レンジ4の視察もしましたし、様々な意見、その他を通じて、県民、町民の皆様の生活に悪影響が出ないように、更なる努力が求められていると思います。

【琉球新報 滝本記者】先ほど仰られた「努力してもらいたい」ということは、米軍とのやりとりの中で直接お伝えになられたのでしょうか。

【大臣】全体の安全の問題として、集会があった上でのことですが、米側もレンジ4を閉じるとか、様々な努力については、私(大臣)の方からもお願いしておきました。

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中国人権活動家

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読致します。成田空港に留まっている中国の人権活動家の方について、馮正虎(フォン・チョンフー)さんという中国の人権活動家の方が祖国中国への帰国を拒否され、帰国を求めて成田空港のターミナルに一ヶ月以上留まっておりますが、この件につきまして、ご対応のお考えはありますか。

【大臣】すみません。私(大臣)はその話は承知しておりません。先ず、事実関係を把握したいと思います。

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対アフガニスタン支援

【ニコニコ動画 七尾記者】アフガニスタン民生支援の具体策について、カブール首都圏開発構想を軸に政府内で検討しているとの報道がございました。一部のインフラだけでも、25万人の雇用、元タリバン兵士の雇用等を生み出す巨大プロジェクトになるとのことですが、治安悪化の中、可否も含め、実際の推進の判断のタイミングにつきまして、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)も報道を見ましたが、これは既に行っていることです。今までかなり進めてきたものを、ある意味では、更に規模を拡大してやっていこうということです。現時点では進捗に何か重大な問題な出てきているということではありません。これだけがアフガニスタン支援策ではなく、その内の一つとお考え頂きたいと思います。

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いわゆる「密約」問題に関する調査

【朝日新聞 倉重記者】前回の会見で大臣に質問をして、改めて確認するというお答えでしたので、本日改めて質問させて頂きます。外務省の密約の調査について、藤井財務大臣が会見で前向きな話をされ、その真意について岡田大臣が確認すると仰っていたので、もしされたのであれば、お願いします。

【大臣】特にまだしておりません。外務省自身の密約の問題、これは私(大臣)がコメントする段階にはありませんので、その内の一部を切り出して具体的に財務大臣なり、財務省にどうかというのは早すぎます。将来必要があれば、そういうことはあるかもしれませんが、特に考えておりません。ただ、テレビ等を見ておりますと、大平元総理の秘書官をやっておられた森田さんがいろいろ語っておられます。そういったことを裏付ける資料が財務省にあるのか、ないのか(分かりません)。現時点では自分のところ(外務省)がきちんと出来ていないのに、他省庁にお願いする訳にはいきませんが、必要があればお願いすることがあるかもしれません。

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道路にロープ・ミニバイク転倒事件(米兵の子らの逮捕)

【琉球新報 滝本記者】武蔵村山市で米兵の子らが道路を横断するようにロープを張り、通行中の原動機付き自転車に乗った女性が転倒、大怪我をされた件ですが、あの事件で逮捕状が出た後、逮捕に至るまでのブランクというか、そこでの地位協定の問題という議論が一部で出ているのですが、現行の地位協定での身柄の引き渡しについて、大臣としては、問題というか支障があったとお考えになられておりませんでしょうか。

【大臣】私(大臣)は、そういう認識を特に持っておりません。本人以外だと、そもそも地位協定の対象外ですから、地位協定に基づき、何か問題があったと思ってはおりません。

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外務大臣会見記録(平成21年12月4日(金曜日)14時50分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)政務三役会議

(外務大臣)政務三役会議のご報告を申し上げたいと思います。
 まず、私の方から閣議の報告をした後、朝刊各紙が報じております普天間の問題について政務三役の皆さんに少しお話を致しました。一部の報道では新たな候補地の検討するようにと外務大臣、或いは防衛大臣に総理から指示があったという報道がありましたが、私(大臣)はそういう指示をもらった覚えがありませんでしたので、念のため、今日の閣議の後で総理にもう一度確認をいたしましたが、「そういうことはない。新たな指示をしていない」ということを確認致しました。ただ、昨日の総理官邸での話し合いの中で言われたことは「今日予定されているワーキング・グループでしっかり対応してもらいたい」ということでありましたので、そのことも総理にもう一度確認したところであります。
 それから、武正副大臣のところで行われておりました在勤手当プロジェクトチームの検討結果について報告を受けまして、来週の政策会議で議員の皆さんにも報告をするということを確認いたしました。
 行政刷新会議の事業仕分けへの対処方針について了承を致しました。それについて若干説明したいというように考えております。事業仕分けは国民的な大きな関心を呼んだわけでありますが、その結果を十分尊重しつつ、外交に必要な予算を確保すべく、予算編成作業に臨む必要があるというように考えております。具体的に何点かご質疑を頂きましたが、無償資金協力、JICAの運営費交付金につきましては、より効率的かつ効果的な援助を行うべきだという視点から必要な見直しを求められていると認識しております。したがって、そういったご指摘を踏まえて、具体的な予算案を作って参りたいというように考えております。同時に、ODA全体のあり方について、再来年度の概算要求、つまり来年の夏までを目途に省内の関係者、或いはJICAや民間NGOの関係者の皆さんも含めて大いに議論をし、そのあり方について見直しをしていきたいと考えております。今度の予算要求ではそこまで間に合いませんが、再来年度の予算要求においてはそういった検討結果を踏まえた新しいODA政策のあり方というものに基づいて、再来年度の予算要求を行っていきたいと確認致しました。
 それから、国際機関等への任意拠出金の問題ですが、これも色々ご指摘を頂きましたが、実はすでに概算要求レベル段階で15%削減をしております。その上で、適切な水準を維持していきたいと考えております。ただ、今回はともかく、行政刷新会議の方でも公益法人の見直しというのが来年以降の大きな課題であります。外務省としても、外務省関連公益法人について、これも武正副大臣のところでヒアリング等を行っておりますが、全面的な見直し作業というものを、これも12月一杯ということでは間に合いませんが、もう少し時間をかけて行っていきたいと考えているところであります。
 国際問題研究所補助金、或いは国際交流基金運用資金の国庫返納、外交フォーラムを含む広報や招へいについて様々なご指摘を頂きました。私は国民に理解される外交というのが非常に重要だと思っておりますので、こういった部分についてどう考えるべきかいろいろ苦慮するところもある訳ですけれども、国際問題研究所を直ちに廃止するというのは、私(大臣)にはやや乱暴に思えます。したがって、予算を合理化することで少し時間を頂き、今後、研究機関やシンクタンクというべき機関のあり方について、一年ぐらいかけてしっかりした議論を行っていくということではないかと思っております。よくわからないから直ちに全部廃止をしてしまうというのは少し乱暴な議論のように思います。
 外交フォーラムにつきましても、買い取りが非常に多いというのは事実であります。しかし、国民に対して外交を説明する有力な媒体でありますので、これも直ちに廃止、わずか1か月の間に買い取りをやめて一般に市販できるようなものに変えろというのはやや乱暴な議論でありますので、少し時間を頂いてその間、どういった読者層に対してこの雑誌を位置づけるのか、そして外交政策を国民に伝えていくためのツールとしてどういう形がいいのかということをきちんと一年間議論をして参りたいと思っております。いきなり全部やめるということが適切だとは必ずしも思っておりません。この辺はこれから財務省とも議論をしていきたいと考えております。
 国際交流基金の国庫返納につきましては、かなりの額を返納したいというように考えております。ただ、こういったものにつきまして国際交流基金についてのみ行政刷新会議の事業仕分けの中で外交問題に悪影響を及ぼさないようにという条件を頂いておりますので、他の公益法人がお金を貯め込んでいるというものとは性格も異なるところがあると思いますので、外交に悪影響を及ぼさない範囲で、しかしかなり思い切って国庫に返納していきたいと考えているところであります。
 最後に運営経費につきまして、人員の配置の見直しなど、それから在外職員の手当については、省内で立ち上げた在勤手当プロジェクトチームの結論を予算の縮減に反映させていきたいと考えているところでございます。
 以上が事業仕分けに対する外務省としての政務三役で決定をした対応であります。具体的な金額等はこれから予算の編成作業の中で決まっていくことでございます。

(2)記者会見用アクセス・パスの発給その他について

(外務大臣)記者会見用のアクセス・パスの発給その他についてお話を申し上げたいと思います。
 第一点は「記者会見用のアクセス・パス」の発給についてであります。来年の1月から外務省の定例記者会見への参加手続きの簡素化を目的として記者会見用アクセス・パスを発給することにいたします。発給申請の受付対象者は現在、毎週5回行っております定例記者会見(大臣2回・副大臣2回、外務報道官)に関して、直近3か月以内に平均週1回以上参加をしている方々に対して12月中旬を目途に申請を受付け、来年1月からパスを発給したいと考えております。
 第二点は、ご質問を頂きました不定期な記者会見のオープン化であります。基本的に定例記者会見と同様の参加資格と手続きでオープン化したいと考えております。その際、アクセス・パスを受領された方については不定期の会見にも同じパスで参加できるということも申し添えておきたいと思います。
 三点目は外国出張時の同行取材です。この件に関しましては、アクセス・パスの発給を受けた方々の中で、同行取材参加の条件をきちんと守るということを前提に新たに同行取材を認めることにしたいと考えております。
 以上、三点を申し上げましたが、ご質問がある場合には、今ここでご質問を頂いても結構ですし、報道課の方にご質問を頂きたいと考えております。

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米軍再編問題

(朝日新聞 内田記者)普天間飛行場の移設問題について伺います。総理から、「今日のワーキング・グループでしっかり話し合ってもらいたい」と言われたというご紹介がありましたが、年内に方向性を出すという大臣の目標を考えると、ワーキング・グループの検証作業も大詰めだと思いますが、本日は米国側にどのような話をするお考えでしょうか。

(外務大臣)ワーキング・グループの中身については従来もお話しておりません。終わった後、事務方から若干の説明を行わせようと思っております。今詳しく申し上げることは避けるべきだと思っております。

(毎日新聞 野口記者)ワーキング・グループについてですが、総理は普天間問題の結論を年明けに先送りするような意向を示しています。このワーキング・グループでは前回の会合で「迅速に結論を出す」と日米で合意していると思いますが、この「迅速に結論を出す」という方針は変わらないのでしょうか。それとも、年明けに結論を出すのを先送りするお考えでしょうか。

(外務大臣)「出来るだけ早く迅速に」というワーキング・グループの考え方は変わっておりません。総理も同じお考えだと思います。それが年を越すのか越さないのかということについては、私(大臣)はコメントいたしません。

(NHK 梶原記者)昨日だと思いますが、社民党の福島大臣が今回の普天間飛行場の移設問題に関連して、キャンプ・シュワブ沖への移設を決めた場合には連立政権の離脱を検討せざるを得ないという考えを示しました。今の検討状況にも影響を与える発言だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)従来、社民党はかなり普天間基地の移設問題について強いお考えをお持ちですから、そのような発言になったのではないかと思っております。

(毎日新聞 須藤記者)総理が年内(決着)を見送るかどうか別として、岡田外相は以前から予算の問題であるとか、或いは嘉手納(基地)統合案も時間がかからないということを一つの理由にして検討すべき対象とされていたと思います。そういう意味で言えば外相は「年内に結論を出すべきだ。年内が望ましい」と仰ったこともありますし、年内に結論を出すべきだという考えを持っていらっしゃると思います。一方で米国の方も岡田外相のそのような考えを聞かれて、「年内に(結論を)出して欲しい。出すべきだ」と思っていたと(私は)思いますが、そのようなことを受けて、今でも岡田外相は年内の結論を出したいと思っていらっしゃるかどうか、お聞かせ下さい。

(外務大臣)質問をされる時には正確に言われた方が良いと思います。私(大臣)は「年内が望ましい。しかし、最後は総理が決めることである。」と言っており、年内に出すべきだという表現は使っていないと思います。また、米国側が年内に出すべきだと思っていると仰いましたが、そのような話は聞いたことがありません。もちろん、早い方が望ましいということはお互い合意している訳です。

(TBS 樋口記者)大臣は今も仰いましたとおり、これまでも「最後は総理が決めることだ」と繰り返し仰ってきました。そうした中でワーキング・グループはどういった役割の位置づけなのでしょうか。或いは岡田大臣自身の役割というのはどういったものだとお考えでしょうか。

(外務大臣)ワーキング・グループで一定の結論が得られた場合に、総理も重く考えると仰っていると思います。しかし、ワーキング・グループというのは両大臣(外務・防衛)が参加をして米国側と協議をしている訳です。最終的に総理が決め、内閣として受け入れるかどうかということです。それに先だって両大臣が交渉しているということは、何らおかしなことではないと思います。

(朝日新聞 鵜飼記者)社民党の福島党首のご発言ですが、民主党は参議院で過半数を得ていないために、連立政権を組んで過半数を維持されていると思いますが、このような政治状況の中で、社民党の立場というものには最大限配慮しなければいけないと思われますか。或いは外交交渉であるので、日米の大臣を中心とした交渉の中で結論を出していくお考えなのか。大臣のお考えはいかがでしょうか。

(外務大臣)両立する答えを見つけなければいけないということです。連立政権が壊れるということは避けなければなりません。少数与党政権ということでは、物事を決めることはできません。したがって両立が如何にして可能かということが問題で、その問題があるからこそ、これだけ様々な試行錯誤を繰り返しながらやってきている訳です。

(NHK 別府記者)外交を進めている中で、日本国内の連立の枠組み、その連立の中には強い立場を持っている政党もあって連立を組まれていることが、米国と外交する中で周囲にも説明していることなのでしょうか。日本の国内問題であるからということで、何らかの理解というか、感触を得ているというように理解してよろしいでしょうか。

(外務大臣)米国に説明をしているかという質問に対しては、説明をしております。最初から「こういう難しい状況にある」と、私(大臣)はキャンベル米国務次官補にも、ゲイツ米国防長官にも申し上げました。もちろん、ルース駐日米国大使にも申し上げております。クリントン米国務長官に言ったかどうか記憶にありませんが、常にそのような難しい状況の中で答えを見いださなければいけないと言ってまいりました。

(日本インターネット新聞 田中記者)水面下でも水面上でもグアム(移転)への動きが伝わってくるのですが、大臣は如何思われますか。

(外務大臣)そのような話は聞いておりません。北澤防衛大臣が(米国に)行くという話は聞いておりますが、それは以前から決まっていたことです。

(日本インターネット新聞 田中記者)グアムに基地を移転するという話ですが。

(外務大臣)そのような話は聞いておりません。

(時事通信 高橋記者)ワーキング・グループの位置付けについて、お尋ねしたいのですが、これまで大臣は「なぜ現行案に決まったか、過去に検討された案でなぜダメになったか」、つまり今までの経緯の検証を中心に作業をされていると思います。日々状況がいろいろ変わってきておりますし、総理も「現行案以外の選択肢もあるのであれば検討して欲しい」というような考え方をにじませているように我々も受け取っています。今までの過去の検証だけではなく、今まで検討されていないような新しい案やこれから何をするのかということをワーキング・グループできちんと取り上げていくのか、ここを確認したいのですが。

(外務大臣)総理がそういうようににじませておられるという発言がありましたが、私(大臣)の理解は異なります。先程申し上げたとおりです。ワーキング・グループというのは、今お話しになったように、現在の案になった経緯の検証であります。新しい候補地があるのか、ないのかといったことは明らかにこのワーキング・グループの範囲を超える問題です。

(日本テレビ 小栗記者)連立政権と外交交渉を両立させないといけないと、そうした中で出来るだけ早く迅速に結論を出したいというお話でした。その場合、年を越したときに具体的にどのようなデメリットが発生するというように大臣はお考えでしょうか。

(外務大臣)あまり考えたくありません。しかし、外務大臣として非常に懸念はしています。

(琉球新報 滝本記者)本日、午前中の前原沖縄担当大臣の閣議後の会見で、普天間基地移設について、「辺野古が最善か、普天間の危険性を取り除くために最短かと言えば、決してそうではない」というようにお話されました。常々岡田大臣は「普天間の危険性除去のためには辺野古に移設を早期にして進めるべきだ」と仰っていますが、前原大臣は少し違うことを仰っているようにも私は受け取ったのですが、その前原大臣の発言について、岡田大臣はどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)どこが違いますか。

(琉球新報 滝本記者)辺野古にというのは最短ではないという部分です。

(外務大臣)我々も辺野古を前提に議論しているのではないので、私(大臣)は今聞いた範囲では違和感はありませんでした。そのような意見があっても不思議ではないと思います。

(共同通信社 上西河原記者)数日前まで外務省と防衛省のワーキング・チームは年内決着に向けて非常に大きな流れが出来ていたと私は受け取っていましたが、ここ数日で風向きがかなり変わって、社民党のあのような動きが出てきました。それに対して政府の中で何か事前にきちんと準備していたのか、調整していたのか、想定されていた事態なのかについてお考えをお聞かせ下さい。

(外務大臣)社民党がかなり厳しい意見を持っているということは、従来から分かっていたことだと思います。どこ迄それを明らかにするかは別にしてですね。

(西日本新聞 斉田記者)普天間問題について、年を越した場合、懸念をされていると仰られていましたが、どういう懸念をされているのでしょうか。

(外務大臣)今まさしく議論をしているところですので、あまりこと細かく言うつもりはありませんが、もちろん、米国の議会の問題もあります。年を越したことで、総理ご自身も仰っていますが、時間をかけることが移転実現を遠のかせることになるのではないかということです。つまり、今の普天間の危険な状況が長く続くことになるということです。

(フリーランス 岩上氏)グアムにおける米軍基地増設についてのアセスメントの最終的な評価書が出たということで、それについて、宜野湾市の伊波市長が「グアムに現在ある施設で、沖縄のヘリ部隊、海兵隊の受け入れが十分可能なのではないか」、また「これは、沖縄基地負担の受け入れ先として十分候補に上がるのではないか」と仰られております。これについて、ご見解をお示しください。

(外務大臣) 伊波さんには、沖縄で少し時間を取って、お話を聞いてみたいと思いますが、私(大臣)の理解では、グアムが受け入れようとしているヘリというのは、一つは岩国からということでございます。沖縄からというのは、私(大臣)は承知しておりません。その他、他の地域からも、例えば、ハワイなどからの受け入れも考えているかもしれません。沖縄からというのは、私(大臣)の知る限り承知しておりません。

(テレビ朝日 新堀記者)その関係ですが、先ほど大臣がワーキング・グループでは、今までと同じ検証を続けるということで仰ったのですが、そうしますと、新しい候補地を考える時には、ワーキング・グループ以外で何か検討していくことはあり得るのでしょうか。それともワーキング・グループだけでやっていく、絞るということになるのでしょうか。

(外務大臣)日米間の話し合いの場としては、このワーキング・グループ、そして、それは検証ということで行っているということになります。その他、日本政府の中でその他の検討を行うのかどうかということは、現時点では考えておりません。そういった必要があるのかないのかということの議論がなされるのではないかと思っています。ワーキング・グループというのは、現在の普天間の案に対して検証しているということですから、前提が大きく異なることになってしまいます。その時には、ワーキング・グループが必要なのかという議論までに及びかねない問題だと思います。

(共同通信 西野記者)この記者会見で普天間の話がたくさん出たのですが、沖縄にまた行かれる訳ですが、住民の方々とも対話をすると聞いています。改めて沖縄入りする抱負、それから、どういったことを沖縄の人たちと話をしていきたいのか、どういう理解を作っていきたいのか、そのあたりのことについて改めてお聞かせください。

(外務大臣)基本的には、沖縄の皆さんの話に耳を傾けたいと考えております。政府として何か決まったことがある訳ではなく、方針の決定があった訳ではありませんから、そこは一定の範囲の中で申し上げるに留まるだろうというように考えております。この記者会見で申し上げているようなことを沖縄でもそのまま申し上げていきたいと思っております。

(沖縄タイムス 吉田記者)普天間の話ですが、仮に結論が延びた場合、普天間の移設を2014年までに完了するというロードマップの合意に影響が出るという可能性があると思うのですが、大臣はこの2014年という期限を、例えば2015年や2016年にすることが可能かなど、そういう交渉をする必要があると思われますか。

(外務大臣)あまり、(先に)延びたことを前提にお答えすべきではないと思います。

(フリーランス 岩上氏)月曜日に大阪府知事に質問したのに対し、「もし、政府から正式な要請があれば、大阪の方で沖縄の基地負担を前向きに検討することを考えている」というご発言があったことを、こちら(記者会見)でも申し上げました。その後、知事がいろいろな記者団の質問に答えて、繰り返し同じ発言をなされて、全国知事会でも「全国でこの沖縄の基地負担を受け入れよう、検討をしようじゃないか」と呼びかけるとまで仰っているような状況です。火曜日の記者会見の時点で岡田大臣は、「機会があれば橋下知事のお考えを聞いてみたい」というように仰られておりました。知事は政府からの働きかけを待っているような状態ですので、外相として知事に働きかけをする用意があるのか、或いは予定があるのか。「ある」とするならば、話を聞きにいくということであっても、いつ頃になりそうなのか、そのあたりのお考えをお聞かせ下さい。

(外務大臣)基本的には、これは国内の基地移転の問題ですので、防衛省です。したがって、私(大臣)から先般の記者会見の後、北澤(防衛)大臣に電話をして防衛省として対応してもらいたいと、また、防衛大臣ないし副大臣がお聞きになるのがいいのではないかと申し上げたところです。その他に下地議員とか阿部議員のお話をお聞きになったというように聞いております。必ずしも関西空港だけの話ではなくて、神戸という話も出たやにも聞いています。いずれにしても、何を持って行くかにもよりますが、飛行機だけではなくて2、3千人の海兵隊員とか、空軍の人も伴う話で、どこまで現実可能なのかというように漠然と私(大臣)は今思っております。

(毎日新聞 野口記者)大臣が検証している嘉手納(基地)統合案について、普天間問題の結論を先延ばしする可能性が出てきて、嘉手納(基地)統合案について時間が出来たので実現の可能性が出てきたと考えるのか。それとも逆に、沖縄県内で沖縄県外移転の期待が高まったことで厳しくなったのか、現時点での現状認識はどうでしょうか。

(外務大臣)中身のことはコメントしない方が良いと思います。

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上海総領事館における旅券の無断更新

(毎日新聞 工藤記者)上海の日本総領事館で、2004年に親権者である母親の同意も取らずに子供の旅券を更新していたということが報じられていますが、このことに関する認識と今後の対応についてお願いします。

(外務大臣)どのような事実があったのかを現在調査中です。親権者であった母親が意見を外務省に述べていたことは事実です。にも関わらず、同意なくして旅券が発給されたことも事実です。ですから、その間に何があったのかということを調査中です。

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アフガニスタン支援

(ニコニコ動画 七尾記者)視聴者からの質問を代読させていただきます。オバマ大統領が先日、アフガニスタン新戦略として、「戦争終結に向けて新たに米軍3万人を増派する」と発表しました。併せて、追加派兵を欧州主要国に要請するなど、アフガニスタン安定化の責任分担を国際社会に求める考えを明らかにしております。これを受けて日本は、50億ドルの民生支援の他に人的貢献を新たにお考えになる可能性はあるのでしょうか。

(外務大臣)現時点ではありません。50億ドルの新たな支援というのは、国際社会の中で米国も含めて、高く評価されております。

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いわゆる「密約」調査委員会

(朝日新聞 倉重記者)密約に関してなのですが、今朝、藤井財務大臣が閣議後の会見で、「外務省がいろいろ努力していることを財務省としてもやっていく」と密約の調査をするという考えを示したのですが、これは岡田大臣の方から協力を要請したのでしょうか。また、これに対する受け止めをお願いいたします。

(外務大臣)特に協力は要請しておりません。藤井(財務)大臣が言われたのは、何に関して言われたのか、私(大臣)は理解ができないのですが、それは我々がやっている4つの密約に関して協力していくと仰ったのですか。

(朝日新聞 倉重記者)すいません。質問がわからないのですが、少なくとも4つの大臣命令の中には、財務省の方で記録が残っているであろうものがあるので、それについて関連しているのかと思いまして。

(外務大臣)そういう趣旨ですか。それとも「財務省は財務省で別の密約があるから、しっかりと調べる」という意味ではないのですか。

(朝日新聞 倉重記者)外務省です。

(外務大臣)外務省に関してですか。確認してみたいと思います。

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記者会見のオープン化

(J-CASTニュース 亀松氏)記者会見のオープン化についてお尋ねします。アクセス・パスの発行と不定期の会見の参加をフリーランス記者等にも認めていただき、ありがとうございます。この件について、このように拡大というか、さらに前進されたということは、記者会見をオープン化されてから2か月が経っておりますが、特に運営について問題がないというご認識なのでしょうか。

(外務大臣)現時点では問題は生じておりません。

(J-CASTニュース 亀松氏)もう一点なのですが、外務省の会見がオープン化されてから、金融庁ではオープン化しているのですが、他の省庁にはそのような動きはまだ残念ながら広まっておりません。それについてはなぜであるか、ご認識をお伺いしたいと思います。

(外務大臣)それについては、私(大臣)が言う話ではないと思います。基本的にどうするかは各省庁、各大臣がお考えになることだというように思いますので、私(大臣)が外務大臣の立場でものを言うべきではないと思います。

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外務大臣会見記録(平成21年12月1日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)天野前外務省不拡散・原子力担当大使の国際原子力機関(IAEA)事務局長就任

(外務大臣)本日、天野之弥(あまのゆきや)前外務省不拡散・原子力担当大使が第5代IAEA事務局長に就任いたしました。日本人として、またアジアから初めて、原子力の平和的利用と核不拡散の両立を目指す国際機関であるIAEAの事務局長が誕生したということは、昨今の核軍縮・不拡散の大きな国際的な機運が盛り上がりを見せている中で、誠に意義深く喜ばしい限りです。北朝鮮やイランの核問題、それから原子力技術協力の強化の必要性など、様々な課題に直面しているIAEA事務局のトップとして、これらの課題に果敢に取り組むことを期待いたします。

(2)政務三役会議

(外務大臣)今日、私(大臣)から、総合政策海洋本部、閣議の模様についてお話をしました。ちなみに私(大臣)は(閣議で)何も発言はありませんでした。政務三役としては、これから行政刷新会議で出された結論に対する対応について、今週中に対処方針を策定し、政務三役会議において決定をしようとしたところであります。

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米軍再編問題

(フリーランス 岩上氏)昨日、大阪に行き、大阪府の橋下知事に直接取材して参りました。先般こちらでも質問させていただいた件ですけれども、沖縄の基地負担の軽減を関西の方で引き受ける、あるいはそういう問題を検討するということについてどうお考えかお尋ねしたところ、はっきりとした口調で、「もし政府から正式なお話があれば、関西として沖縄の基地負担軽減のために前向きに検討したい。また、そういう話し合いに入りたい。そして、本土の日本人すべてが沖縄の基地負担軽減に全力をあげて取り組まなければいけない」と非常に熱っぽく語っておられました。それに関連して、小沢幹事長にも沖縄振興策の陳情に上がりたいと仰ってました。改めまして、岡田大臣としてはこの熱い橋下知事のお言葉を聞かれてどうお考えになりますか、お聞かせいただければと思います。

(外務大臣)大阪府知事がそういった気持ちをお持ちいただいていることは非常に歓迎すべきことだと思います。この日米同盟に伴う様々な負担、それが沖縄に偏っているということは、まぎれもない事実であります。約75%の(米軍)基地が沖縄にあるということであります。それを少しでも軽減するために日本全体として努力をしなければならない訳で、そういう中での知事のご発言ですから、私(大臣)としては歓迎したいと思います。ただ、その真意はよく把握しておりませんので、一度何らかの形でよく聞いてみたいと思います。

(朝日新聞 鵜?記者)普天間の関連ですが、週末にはワーキング・グループが事務レベルの方で開かれると承知しております。また、週末には沖縄へ大臣が行かれる御予定もあると聞いているのですが、そのあたりのことで何か仰っていただけることがあればお願いいたします。

(外務大臣)大臣レベルでも防衛大臣と私(大臣)が、アメリカ側からは、ルース大使が、アメリカ側のヘッドになると思いますが、説明を聞き議論をするということになると思います。まだ中身は承知しておりませんので、現段階で中身についてのコメントは控えたいと思います。「沖縄にはなるべく機会があれば再度(行きたい)」というように申し上げておりましたので、その機会が来たということであります。金曜の夜に行きますので、事実上一日ですが、前回、回れなかったところを中心に、土曜日一日かけて基地も見ますし、色々な方と意見交換して行きたいと思っております。

(琉球新報 滝本記者)今日と昨日、大臣が官邸の方に入られて、北澤防衛大臣とも、官房長官ともお話しをされていたとお聞きしております。そのお話し合いは、普天間についてお話し合いを詰めておられると推測申し上げるんですが、どういった内容でお話しをされているのでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)は官邸で誰と会ったか、どういう話をしたか、言わないことをモットーとしております。

(共同通信 西野記者)予算の関連ですが、大臣は普天間の問題について、予算の問題もあるので年内に決着するのが望ましいと言うことを繰り返し仰っていたと思います。嘉手納(基地)統合案を一つの案として、政府案となるかという検討は、やはり予算と絡んでくるというように私は理解していますが、もしそうであるとすると、嘉手納(基地)統合案を検証・検討し続けるのは、何時頃までがタイムリミットだとお考えでしょうか。

(外務大臣)まず年内が望ましいと私(大臣)は言っておりますが、同時に最終的に決めるのは総理であるとも言っております。毎回言わないと、また引用が偏ってされると困りますので。嘉手納の話についての御質問ですが、全体がこのワーキング・グループの検討がどういうスケジュールで行われるのかは、先程申し上げたとおりであります。全体の中で決まってくることであると思います。繰り返しますと、私は、年内が望ましいと思いますが、最後は総理が決めると言うことです。中身も時期もです。

(読売新聞 村尾記者)普天間の話に関連ですが、今週末に沖縄に行かれて、今週内にワーキンググループがあるということで、昨日と今日と官邸で協議も重ねられているようですが、大臣のご認識としては、調整が加速してきたと感じていらっしゃるでしょうか。

(外務大臣)官邸で何を議論したかということは、私(大臣)は申し上げませんので、その質問にも非常にお答えしにくい訳です。ただ従来から言っておりますように、「迅速にできるだけ早く」と思っておりますので、そういう思いで、今は様々な活動をしているところです。

(日経新聞 山内記者)先程、大臣は「迅速にできるだけ早くという思いで」と仰いましたが、普天間問題を巡って、社民党は年内決着に難色を示しています。認識のズレが未だに大きいように感じるのですが、連立政権内の調整は今後どうやっていくつもりでしょうか。

(外務大臣)もちろん、我々もいろいろ取り組んでいるところですが、連立の問題ですから、基本的には官邸でやっておられると思っております。

(読売新聞 川崎記者)今週末に沖縄へ行かれるということで、「再度の機会が来た」と仰いましたけれども、この機会という意味は、年内決着に向けて決断の時期が近づいてきたから、再度沖縄を訪問するという意味なのかどうか、そこをお伺いします。

(外務大臣)基本的には、前回と変わっておりません。沖縄の皆さんの声を率直に聞きたいということです。

(読売新聞 川崎記者)その関連でもう一点、今回沖縄では名護市と糸満市の二カ所で住民の方の意見を聞くと伺っておりますが、名護市はキャンプ・シュワブを抱えて、現行案の移設計画の先ですが、糸満市については、米軍基地はない訳です。この糸満市に行かれる理由は何でしょうか。

(外務大臣)ここ(糸満市)は必ずしも外務大臣として行くということではありません。この二カ所は玉城衆議院議員と瑞慶覧(ずけらん)衆議院議員の主催する会合に出席するということですので、ここは公務という位置付けを私(大臣)はしておりません。ただ、率直に意見を聞く会であると思っております。

(読売新聞 川崎記者)名護市についても同様でしょうか。

(外務大臣)同じです。それぞれの衆議院議員の選挙区の皆さんが集まるということです。率直に意見を聞くというのを、どのようにしたらよいかと考えたのですが、どういう形にすれば一般の方々に集まっていただけるか、思い浮かばなかったものですから、このような形で集まっていただくことになりました。したがって、声をかけるのは、民主党の衆議院議員ですから、ここは大臣という位置付けではないと私(大臣)は思っております。

(フリーランス 岩上氏)本日、亀井(金融・郵政担当)大臣の記者会見に出席致しまして、普天間基地に関する質問をさせていただきました。亀井大臣は日頃こういった問題に関してコメントされることは少ないのですが、本日は非常に時間をかけて話していただきまして、「急ぐべきではない」と、それから、「基地をどこに移すかという問題に矮小化されているけれども、日本全体で非常に(沖縄の)負担の問題に関しては見直さなければいけないことがたくさんある。慌てないでじっくり時間をかけてしっかりやろう。基本政策委員会でも連立を組んでいるのだから、一致をみるようなやり方で議論を進めるべきだ」というような形で仰っておりました。先程、社民党に関しての話もありましたけれども、連立の国民新党も急がない方が良い、もっと見直しをじっくりやるべきだという論調が社民党と合っているような気がします。これについて大臣のご見解をお示しいただきたいと思います。

(外務大臣)特にコメントすることはありません。そのための基本政策、閣僚委員会もある訳ですから、いつ、どのようなテーマで取り上げるかというのは、まさしく官邸にかかっている訳です。必要があるということであれば、私(大臣)がいくらでもご説明いたしますが、全体の作戦といいますか、いつどのように説明するかということは、最終的には官邸が決められるということです。

(琉球新報 滝本記者)週末の来沖についての関連でお願いします。名護市と糸満市という話がありますが、仲井眞知事とも再びお会いになられるというお話もあって、前回行かれ、お会いされてお話もきかれた中で再度お会いになるならば、どういう理由でお会いになるのかということをお伺いしたいのですが。

(外務大臣)知事との日程はまだセットされておりません。

(読売新聞 村尾記者)大臣がかねがね一つの案として掲げてこられた嘉手納基地への統合案ですが、「いろいろ米国が言っている、運用上難しいということには、今のところ納得できないところもある」をずっと仰ってこられましたが、今の時点でまだそういうご見解には変わりはないということでよろしいでしょうか。

(外務大臣)途中の段階での話はしない方が良いと思います。もちろん、平時と緊急時とでは違うだろうと思います。ただ、「運用上非常に難しい」ということを言われる方は日本にも結構いらっしゃいますけれども、どのくらい検証した上で言っておられるのかというのは、私(大臣)にはわかりません。私(大臣)は自分なりに納得するような検証をしっかりやりたいと思って今日までまいりました。

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沖縄返還に際する「密約」に関する情報公開訴訟

(NHK 梶原記者)今日、東京地方裁判所で、沖縄の返還をめぐる密約に関して、外務省の元アメリカ局長の吉野さんが証言をされます。まだ詳細はわからないのですが、吉野元局長はこれまでも密約の存在を認めるような発言をされていますが、元外務省幹部がこうした発言をされるということについて、大臣自身どのように捉えられているのかをお聞かせ下さい。

(外務大臣)中身はまだ承知しておりません。したがって、特にコメントはありません。ただ、吉野元局長が証言をされることについて、外務省として特にそれがいけないという立場ではありません。

(テレビ朝日 新堀記者)有識者委員会も始まっておりますが、改めて今回裁判の場で、ある種密約的な部分が明らかになってくるところも踏まえた上で、日米だけではなく、いわゆる外交文書の取り扱いについて大臣が今度どうされていきたいのか。何かもっとオープンな形というのを何か考えていらっしゃるのか。先日、北岡伸一東大教授(有識者委員会議長)も、諸外国に比べて、昔のことまでずっと明らかになっていないのは不自然だと仰っておられたのですが、そういった今後の外交文書のオープンの仕方等についてどのようなお考えかをお聞かせ願えますか。

(外務大臣)私(大臣)はもう少しオープンにするべきだろうと考えています。ですから、有識者会議にもお願いをしたところです。具体的には有識者会議の提言を待ちたいと思います。

(毎日新聞 須藤記者)行政府と司法との関係があり微妙な問題だとは思いますが、吉野さんは元とはいえ、外務省の幹部であって、それが司法の場で正式に密約はあったという証言をされるということなのですが、一方で行政府の立場としては現在の外務省としては密約についてはあったと認めたというわけではもちろんないと思いますので、そのあたりの関係はしばらくはっきりしないというか、外務省の方が公式の場で公に密約があったということを証言することと、今の外務省の立場というものは微妙な関係だと思うのですが、そのあたりのことは密約調査委員会の調査を待つという対応でよろしいのでしょうか。ちょっと御確認も含めてお尋ねします。

(外務大臣)それ以外にありえないと思います。

(NHK 梶原記者)吉野元局長のことに関連してなんですが、吉野元局長が、ここのところ一貫して「密約はあった」という証言をしている中で、日本政府というのは一貫して「密約もなく文書もない」と否定してきました。調査もしてなかったと思うのですが、こうした政府の姿勢、或いは自公政権がとっていた姿勢について御所見があればお願いします。

(外務大臣)今、有識者による調査といいますか、協議が進んでいるところですので、私はそれに先だって何か物言いすることはありません。

(NHK 別府記者)吉野元局長の本日の東京地裁での関連の質問ですが、吉野元局長の証言で大きなヤマ(を迎える)ということで、大変、関心も高いのですが、この1970年の西山事件、私もまだ小さかった頃ですが、先輩の同僚の記者が逮捕されるという歴史的な事件です。外務大臣として、この西山事件をどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)も生まれておりましたが、大スクープが一転して逮捕ということになったので、非常に驚いた記憶があります。何歳くらいだったのかは、憶えていませんが、一体何が起こったのだろうという印象を受けたことを思い出します。
 こういった裁判を通じて真実が明らかになるということであれば、それは非常に大きなことだと思います。中身はコメント致しません。

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日露関係

(北海道新聞 佐藤記者)ロシアのナルイシュキン大統領府長官が、昨日鳩山総理とお会いになった際に、「領土問題について静かに建設的な雰囲気の中で話を続けていく用意がある」としながら、続けて「交渉相手に対する過剰な圧力は、建設的な話し合いの妨げになる」というように述べられたと聞いています。これに先立つ講演でも長官の方から、「ロシアに不法占拠されているというような不適切な言い方をすることは、非生産的な態度だ」という発言をされました。ロシアの政府高官が、日本でこのような発言をされたことについて、外務大臣としての受け止めをお聞かせ下さい。

(外務大臣)それぞれ日露両国で立場が違うわけですから、ロシアの高官として、そういう発言になることは、私(大臣)は全面否定する訳にはいきません。しかし日本には日本の主張があるということです。お互いの意見が食い違っているということです。だから交渉する訳です。

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ハーグ条約

(朝日新聞 鵜飼記者)子の奪取に関するハーグ条約の件でお伺いしたいのですが、本日、子の親権問題に関する日仏連絡協議会第1回会合が開かれると思います。これで恐らく問題となっている個別具体的な例について、どういった対応ができるのかといったことが話し合われると思っていますが、今回この協議会を立ち上げられた意義と、ハーグ条約加盟に向けた考え方や検討状況を改めてお聞かせ願いますでしょうか。

(外務大臣)今回の日仏連絡協議会の中では、フランスからはフランス政府として把握している35の事案のリストが渡されました。個別の事案について、お答えすることはできませんが、そのような事実関係がございます。外務省の中に、全て併任ではありますが、子の親権問題担当室を設け、この問題について検討していきます。具体的に今ある問題の対処の問題と今後の条約加入の適否の問題も含め、外務省としてはここで議論をしていくことになります。特に欧米諸国から、私(大臣)も外相レベルで様々な意見をもらっております。既に対応をしている訳ですが、日本としての対応を早急に検討したいと考えております。難しい問題があることも事実です。

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行政刷新会議(事業仕分け)

(毎日新聞 須藤記者) 冒頭にあった行政刷新会議の件についてお尋ねします。政務三役で今週中に対処方針を出したいということなんですが、色々なデータ仕分けの結果の中の一つで、ODAのハコモノ無償について、行政刷新会議の結論として縮減と仕分けされたと思います。ハコモノと言ってもODAの場合、途上国ではインフラ整備も全然出来ていないので、学校を作るなど、日本で言うハコモノとはちょっと意味が違うと思います。今の段階で大臣として、ODAのハコモノ無償の問題について、意見があれば、仰って頂きたいと思います。

(外務大臣)御指摘は御指摘として、大切にしたいと思います。ただODAのあり方そのものについて、もう一回全体的な議論をきちんとした上で、今後どうすべきかということを検討すべき話です。これから再来年度の予算要求、つまり来年の夏ぐらいまでを目処にODAのあり方についての議論を、省内だけではなくて、JICAやNGOの皆さんも含めて議論していかなくてはいけないと思います。今回、来年度予算について、ハコモノ無償については3分の1というお話しも出ましたので、それはそのまま受けられるかどうかは検討しますが、なるべく御趣旨は尊重していきたいと思っております。

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観光立国への取り組み

(ニコニコ動画 七尾記者)視聴者からの質問を代読します。観光立国の取り組みについて、外国人観光客数が低迷する昨今、観光立国の実現に向け、年内に省庁を横断しての対策本部を設置するとの報道がありました。これにつきまして、外務省が参加するとすれば、省としてどのような課題を負って参加するお考えでしょうか。

(外務大臣)いろいろなご要望が寄せられております。例えば、国によっては日本の旅行社が活動できないので、活動できるようにする。つまり、その国でツアーを募集する等ができるようにする。ただ、なかなかビザがおりない。もちろん、これは難しい問題があります。しかし、なるべくきちんと裏付けをとりながら、ビザをおりやすくして観光客として日本にもっと来て貰おうとなりますと、外務省が責任を負っている部分になります。そういったところが外務省に関係あるところだと思います。

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