記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成21年9月)


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岡田外務大臣会見記録(平成21年9月29日(火曜日)17時40分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣会見等の開放とその基本的な方針について

(外務大臣)暫く留守をして会見も空いてしまいましたが、今日はまず冒頭、前回の記者会見の時にお諮りをした、私(大臣)と副大臣なども含めてですが、会見の開放と基本的な方針についてお配りした資料にあるように改めて方針を決定させて頂きましたのでご説明をしたいと思います。9月18日付けでお示ししたように、全てのメディアに会見を開放するということに致しました。18日に一旦方針をお示ししましたが、外務省記者会霞クラブから様々なご意見を頂き、この間その実施を見合わせてきた訳ですが、霞クラブから記者会見の開放そのものについての明確な見解は示されませんでした。従って、あれから時間も10日以上経ったということで、別添の基本方針に基づいて、今日から大臣、副大臣の記者会見を全てのメディアに公開することにしたいと考えています。資料にありますように基本的方針ですが、大臣、副大臣はそれぞれ週二回、副大臣は二人いますので一人一回になりますが、記者会見を行う。正副報道官は週一回、外務省内のこの会見場において定例記者会見を開催致します。時刻は15時を原則に、国会開会中、公務その他で移動があることはご了承頂きたいと思います。上記1の会見は、外務省記者会所属メディアに限らず原則として全てのメディアに開放するということで、日本新聞協会会員、日本民間放送連盟会員、日本雑誌協会会員、日本インターネット報道会協会員、日本外国特派員協会会員及び外国記者登録証保持者、上記メディアが発効する媒体に定期的に記録等を提供する者と決めさせて頂きたいと思います。上記会見に参加するメディアは外務省ホームページを通じて所定の手続きを行って頂き事前に登録をするということでございます。なお、外務省記者会からお話がありました閣議後の取材の機会が失われるということに関しては、閣議後も短時間のぶら下がりには応じるということに致します。ただ、前回申しましたように閣議後の会見は今までも行われてきた訳ですが、国会内で行われることが多く、なかなか多くの方が取材が出来ない、事実上制限をされるということがありますので、閣議後のぶら下がりについては閣議に関する最低限の事だけはそこでお答え致しますが、基本的には本省に帰って本省での正式な記者会見の場でお話を申し上げたい。従って、閣議に関する事以外のことは、その場ではお答え致しませんのでご了解を頂きたいと思います。全体として、閣議後のぶら下がりも含めると私は週4回やる訳で、従来と比べてかなり実質的な時間は増えたということが言えるかと思います。そして、次官、局長懇談、在外大使の会見や実務者のブリーフ等は従来通りということにしたいと思います。お配りした紙には経緯が書いてあり、参考ですが、外務省記者会からご意見も頂いておりました。そして閣議後のぶら下がりについては先ほど説明した形で、その要望に沿った形にさせて頂いたところです。記者会見を全てのメディアに開放するということに関しては、意見の一致をみることができませんでした。引き続き、加盟社、上位組織の話し合いを見守りながら検討するというご回答でしたので、時間も随分経ったということで、ここは私(大臣)の判断で先ほど申し上げたようなことで開催を今後させて頂くということに致しました。もしこれ以上従来のやり方を続けるということになりますと、それ以外の記者の皆さんの取材の機会を奪うことになりかねませんし、国民の知る権利にも関わることですので、こう判断したことをご了解頂きたいと思います。

(2)外遊について

(外務大臣)この間、ニューヨークへの出張と上海への出張とございました。いろんな形でブリーフされていますので、そのことについてご説明は致しませんが、ちょっとスケジュールが過密すぎるという感想は率直にございます。今週はまたカンボジアにも行くということで、慣れない生活でやや疲れておりますが、元気に頑張っていきたいと思います。外務大臣の仕事というのはやはり、外務大臣同士がお互い何度か顔を合わせてフランクに話せる関係を作り上げること、そのことがあって初めて意味が出てくるのかなと感じました。そういう意味ではいろんな機会を捉えてなるべく外へ出て、或いは日本に来られる外相の方には勿論必ずお会いして、お互いの信頼関係をしっかり作り上げていきたいと思っているところです。

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大臣会見等の開放とその基本的な方針について

(問)岡田大臣がこのような形で正当な取材の機会を与えて下さったことにまず敬意を表します。質問ですが、事実関係の部分で、今日のこの会見は霞クラブ主催なのでしょうか。或いは岡田大臣の主催なのでしょうか。それに関連してもう一点が、この会見に関して、ここは基本的に外務省の建物ですが、いわゆる国民の財産の建物の中で、その民間団体である記者クラブの主催だとしたら、その法的根拠というのは何処にあるのか教えて頂けますか。

(外務大臣)今まで主催についてはどういう答弁をしていますか。

(報道課長)霞クラブと協議しながら、基本的には外務省が主催する形で本省では行われてきました。

(問)外務省が行っていると。

(外務大臣)ということです。

(問)もう一つ、法的根拠は外務省が主催だということで。

(外務大臣)はい。

(問)明日政務三役会議があると聞いていますが、政治主導で政策を決めていくことと政策の決定を透明にするということが政権交代の意義でもあったと思うのですが、政務三役会議で話されたことは、それは公開されるのですか。何らかの、こういうことが決まったと発表されるのですか。

(外務大臣)どこまで公開できるかという問題はあると思いますが、それは決まった後の大臣ないし副大臣の会見でご質問が出れば、お話しさせて頂きたいと思います。しかし、どこまで話すかという問題は勿論あると思います。

(問)決まったその日ではなく、次の日ならば次の日まで待ってくれということですか。

(外務大臣)今のところ、そう考えています。

(問)その日起こったことについても国民の知る権利ということに関して言えば、外務省でどういう政策決定が行われているかということはいろいろと興味あるところだと思います。会見でやりたいというのは原則分かりますが、どのような形で国民の知る権利に応えていくのか、政策決定の透明性という観点からどうなのかと。

(外務大臣)あまり国民の知る権利という言葉を振りかざさない方が私はいいと思いますが。

(問)大臣が会見で言われたので私は使っております。

(外務大臣)私(大臣)はまさしく開放するということは知る権利にかかわる根本問題だと思ったから言ったんです。必要があればその場でお話しすることもあって良いと思いますが。

(問)岡田大臣の同僚議員から聞いた話ですが、総理官邸の平野官房長官が、小沢代表や鳩山代表がインターネットやフリーの記者を会見に入れると言ったにもかかわらず、我々を閉め出した理由として、内閣記者クラブを持つ大メディアから圧力があり、平野官房長官は大メディアとの全面戦争を避ける為、やむなく閉め出したと答えていました。岡田大臣、そして大臣の周辺には大メディアからの圧力はなかったでしょうか。

(外務大臣)特に私は感じておりません。

(問)それなりのプッシュはあったのでしょうか。

(外務大臣)特にありません。

(問)質問ではないのですが、岡田大臣の決定に関しては、(私は)外国特派員協会の副会長をしていますから、本当に感謝しています。これから宜しくお願いします。

(外務大臣)お手柔らかにお願いします。

(問)他の役所で新しく着任した大臣の記者会見を開きたいということを言うと、必ずセキュリティの問題とキャパシティの問題 、たくさん人が来たらどうするんだという話や、いろんな人が来て靴でも投げられたらどうするんだという話が出ます。外務省はおそらくセキュリティが非常に重要な役所の一つだと思いますので、この記者会見開放の方針を貫徹される上で、この二つの問題をどのようにクリアされたのでしょうか。参考までにお願いします。

(外務大臣)セキュリティの問題は各省庁で対応が違いますので、一概に申し上げることは出来ないと思います。本日もセキュリティチェックはさせて頂いてやや不快な思いをされた方もいらっしゃるかもしれませんが、ある程度安定してくれば登録証を発給してそれで入省できるようにしたいと思います。何れにしても、それは試行錯誤でありますので、しかも各役所で違いますので一番オープン化が進んでいるのは現時点では外務省になりますので、我々がいろいろやっていく中でそれが他の役所にも伝わっていけば良いと思っております。

(問)今回は開放ありがとうございました。今迄の会見というのはよくわからないのですが、今迄は小じんまりとして、もう少しお行儀の良い感じだったのではないかと思いますが、今回のこういう、ある種国民の知る権利からすると画期的な会見というのに立ち合われてどのようにお感じになられているかお願いします。

(外務大臣)実はこの会見は二回目なんです。就任の時以来ですから、そういった意味でたくさんメディアの方がおられたんですね。次回以降お客さんが非常に少なくならないようにしたいと思います。

(問)会見室の隣には外務省記者会、霞クラブの部屋があるのですが、事実関係としてこの部屋は賃貸契約をされているのでしょうか、それとも外務省側で何らかの金銭的な負担をされているのでしょうか。

(外務大臣)承知しておりません。次回お答えします。

(問)今回、会見が開放されまして、取材ができる条件に日本インターネット報道協会会員であることというのが入っていますが、インターネットメディアに関して、外務省報道課にお尋ねしたら大臣の意向であると伺ったので、なぜこの協会を選んだのかが一点と、この協会は非常に少数のメディアしか加盟しておりませんので、これに加盟していることという条件があるので、PJニュースでは取材の許可がおりません。そうしますと、インターネットメディアに対する開放がまだ足りないと感じるのですが、基準の見直しを今後考えていますか。

(外務大臣)一定の実績・実体がある協会であればかまわないのですが、現時点では今言われたような形になっています。他にこういう協会があるとかがありましたら、検討の俎上には載せさせて頂きたいと思います。

(問)やはり協会会員の方よりメディア毎の申請というのはどうですか。

(外務大臣)メディア毎ですと、これはどうやって調べるのかという問題が発生しますので、事実上全くのフリーということになってしまうと思います。それは、今の段階ではセキュリティの問題とかいろいろ考えますとできないだろうと思っています。

(問)日本インターネット報道協会を選んだ理由はなんでしょうか。

(外務大臣)一定の実績を持った協会だということです。

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普天間移設問題

(問)普天間問題について伺います。訪米等を通じて米国高官と普天間問題について意見交換をしたかと思いますが、その結果、大臣は普天間を現行ロードマップ通り辺野古沖に移設するのが良いと考えておられるのか、それとも県内で別の案を考えられるのか、それとも県外或いは国外移設が望ましいと考えられているのか、現時点でどのようにお考えになっていらっしゃるのかを教えて下さい。

(外務大臣)現時点で私の考えは言わないほうが良いと思います。基本的な考え方としては、マニフェストには書きませんでしたがその前の沖縄ビジョンの中では県外・国外と言っております。その根本にあるのは、沖縄への過重な負担、それを減らしたいという思いです。その思いは今も変わっておりません。他方でこの問題は、当然の事ながら日米間で話し合ってきた問題であり、かなり進んできた話です。そういう状況の中で一体どういう道があるのかと、私達の思いと現実と、その間にある溝をどうやって埋めることができるのか、それがこれから我々が取り組まなければならない課題で、基本的に米側とも率直に話をしていきたいと思っています。具体的に今のご質問にお答えするのは時期が早いと思います。

(問)総理は県外・国外移設を目指すという考えを表明されています。北沢(防衛)大臣は県内移設という考えを堅持する意向を示されていますが、内閣不一致のような感じがするのですが、この受け止めは如何でしょうか。また北沢大臣は近く外務大臣、内閣府、総理大臣とともにこの問題について協議したいとおっしゃっているのですが、そういう予定或いは受けられる考えはございますか。

(外務大臣)まず総理が言われた思いは、これは沖縄マニフェストに書かれたことで、思いとしては私も同じ思いです。その背景にある考え方は、沖縄の負担を減らしたいということは、今説明した通りです。北沢大臣は現場を見て、いろんなご感想があったのだと思いますが、皆お互いまだ閣僚に慣れていませんので、率直に言いすぎているところがあるかもしれませんね。総理も交えたというのは、私の判断で、時期が早すぎると思っています。どういう体制で内閣の中でこの問題を取り組んでいくのかということを、官房長官も交えて相談をして早急に決めたいと考えているところです。

(問)早急に決めたいということですが、総理が外遊の中の記者に対する発言で、果たして年内に決めることなのかどうかという、決める時期についてやや慎重な発言をされていたのですが、一方で岡田外相は、予算の関係もあるので年内に片付けなければならないというご発言をされていると思うのですが、どういう結論か、何らかの目途を示す時期について、オバマ大統領の訪日もあるのですが、どういうふうに考えていらっしゃるかということを伺いたい。

(外務大臣)まず総理のご発言は、翌日またご発言になっていて、沖縄の事を考えると急いだ方が良いという趣旨のことを言っておられるので、今ご指摘の発言だけではないということです。私も必ずやると言っているのではなく、思いとして年内、或いはオバマ大統領訪日までに一定の目途をつけたいという私の思いを申し上げた訳で、そこに齟齬はないと思います。

(問)ただ、外相自身もおっしゃっているように予算の問題もありますので、そこは思いとかとは別に一定の結論を出さざるを得ないと思うのですが、そこはどう考えていらっしゃいますか。

(外務大臣)予算は勿論予定が変わればその段階で変えることは出来ますから。しかし、なるべく予算書の中にきちんと書かれていた方が良いことは間違いないと思います。

(問)大臣は普天間飛行場の移設の問題について再検証するという考えを示していますが、これは変更を機に新しい滑走路を造るという公共事業のあり方に疑問があるのではないかというお考えがあって再調査になるのか、もしなんらかの疑問が見つかった場合は計画を白紙に戻すお考えがあるのか、再検証というのはどういう形で誰が行って、いつ発表されるのかをお聞きします。

(外務大臣)再検証という意味はどういうプロセスで今の場所に決まったのかということをきちんと調べたいということです。我々は政権の座にありませんでしたので、決定したプロセスがよく分からない、他にも考え方はいろいろあったと思いますが、なぜそこに落ち着いたのかということをきちんと、当時にどういう議論が行われて、どういうメリット、デメリットの判断があってそこになったのかということを調べてみたいということです。その中で、我々が納得できるものなのか、そうでないのかということを議論しなければいけないと思います。これは米国側に米国の方でも検証してくださいということを申し上げております。

(問)納得できない場合は撤回する可能性もあるということですか。

(外務大臣)あまり仮定の議論はしない方がいいと思います。

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来年度予算要求

(問)来年度の予算要求についてです。今日の閣議で総理は概算要求をもう一回作り直して、来月15日に再提出と聞いています。ゼロベースでの見直しということですが、現時点で大臣が考えていらっしゃるこういった部分・分野、或いはこの項目はもっと削れるとか、或いは追加する、増額するという考えはどうでしょうか。

(外務大臣)暫く留守をしていましたので、まだ具体的に予算書に分け入って見るチャンスはないのですが、明日政務三役会議をやりますから、副大臣がそれぞれ精査をして貰っていますのでそれをよく協議した上でお話しをした方がいいと思います。

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アフガン支援

(問)関連ですが、概算要求でアフガニスタン・パキスタン支援については現状で400億円を計上している訳ですが、これは来月15日までにある程度予算の話で出すことになるのでしょうか。それとももっと大臣がおっしゃっているように11月の中旬のオバマ米大統領訪日、或いは年内までこの件については検討を続けるのでしょうか。

(外務大臣)これも数字を置くことは幾らでも出来ますが、中身がきちんとしたものになると10月15日は少し厳しいかと思います。その際にとりあえずもう少し大きな数字を置くのか、それとも追加的に12月の三案が決定される段階で急遽入れるのか、それは技術的な話ですので、どちらが良いかよく考えながら進めていきたいと思います。

(問)アフガン支援についておうかがいします。中井国家公安委員長が今日の会見の中で、鳩山総理がオバマ米大統領に対して、アフガンの警察の訓練を考えてみたいということをニューヨークで伝えられたということを仰っていましたが、これは具体的にどういうことを想定されているのか、日本の警察官がアフガンに行って訓練にあたるのか、或いは向こうの方から来ていただくのか、或いは訓練組織にお金を出すという話しなのか、具体的な考えはいかがでしょうか。

(外務大臣)おそらく日米首脳会談での発言だと思いますが、具体的にそのように当時仰ったのか記憶に残っておりません。何れにしても様々なことが考えられますが、具体的な可能性を詰めていくのはこれからになりますので、一つの例として仰ったのだろうと理解しております。今、(警察官の)給与は日本が出している訳ですね。

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日露首脳会談(領土問題)

(問)大臣も同席されたと思いますが、ニューヨークでの日露首脳会談で領土問題について、これから外相レベルの話し合いをしていこうということで一致されたと聞いています。実際に11月のAPECの時に次の首脳会談が行われると思いますが、外相レベルの話し合いというのは、いつから、どのくらいの頻度で行われるというのを大臣は想定されていますか。

(外務大臣)外相レベルでというお話しはロシア側から出た話です。APECでというのは日本側から出た話です。弱冠そこの詰めはその場ではされないまま終わっておりますので、APECの時には勿論、首脳会談をするというのは当然だと思いますが、その前に外相レベルの話し合いを持つのか、或いは、もう少しAPECで地ならしをした上でその後から外相会談で詰めていくのかということについては、私はまだ決まっていない状況だと思っております。これから総理とも相談してどういった手順で進めていったらいいのか決めていきたいと思っております。

(問)総理は半年で国民の期待に応えたいと仰っておりますが、大臣はアフガンの問題ですとか、米軍再編とかいろいろお忙しくて交渉の加速が簡単ではないだろうと思いますが、その辺りの兼ね合いはどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)それは総理の意欲を語ったものだと思います。ただ、相手のある話ですので、実際始めてみないとどういう状況か、ということはわかりません。この外相会談でも具体的なことはわからないということでしたので、勿論チャンスがあればそのチャンスを逃さずにという気持ちもありますけれども、果たして、そういう時期なのかどうかという見極めはまだついていないというのが私の率直な思いです。

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東アジア共同体

(問)東アジア共同体についてお尋ねします。昨日の日中韓外相会議で大臣の方からお話しをされて、その後大臣はぶら下がりで一定の賛同を得られたという趣旨のことを仰っておられました。今後外務省として、或いは政府として鳩山内閣の掲げる東アジア共同体の具体像を決める、例えば作業チームを作るとかそういったことは考えておられるのでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)のブリーフもあったのですが、三外相での会談で東アジア共同体というのは一つのテーマであったことは事実ですが、報道されたようにこの話ばかりしていた訳ではありません。東アジア共同体というのは、将来のビジョンでありまして、会談の場でも申し上げましたし、いろんな場で申し上げているのですが、EUのような形になる、つまり統一通貨を持ち、お互いがある意味でかなり主権を制限するという状況というのは政治体制が異なる中では出来ないとのことで、そういう意味では、すぐにそういったEUのような状況が出来る訳ではないと、今出来ることは東アジア共同体という大きなビジョンを持ちながら、目の前にあることを一つ一つ積み上げていくことだと思っております。東アジア共同体というものがどういうものか具体像を詰めてみても詰め切れないと思いますし、それよりは一つ一つ着実に積み上げていった方が良いと、その先にある将来のビジョンとして捉えておけば良いのだと考えております。

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日韓外相会談

(問)これから、柳明桓韓国外交通商部長官との会談が行われますが、ポイントはどこにおかれますか。一方で北朝鮮に関する問題が主題になるかと思いますが、米朝協議を巡って少しずつ期が熟して来ているのではないかという分析もありますが、米朝協議に向けた現状、近い遠いどのように分析されていらっしゃますか。

(外務大臣)先ず、柳明桓韓国外交通商部長官とは、会談では北朝鮮の問題を中心に議論してみたいと思います。そして、米朝協議は何らかの動きがあるのではないかと思いますけれども、その辺りも韓国側の見方も含めて意見交換したいと思います。何れにしても、六者協議の枠内でということを米国は言っておりますので、その点については米朝で話し合うということは我々は全体の六者での協議が進む、これに資するものであると認識しております。

(問)会談の中では、天皇陛下の韓国ご訪問ですとか、永住外国人の地方選挙権の付与問題についても議題になるかもしれないのですが、このようなことについて、どのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)会談の前にこういうことを言って良いのかということもありますし、天皇陛下のご訪韓の話しは具体的に今出ている訳ではありませんので、ここで先走ってお答えするのは如何なものかと思います。外国人参選権の問題も現状について率直にお話しておきたいと思います。

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核軍縮

(問)今回の訪米で核軍縮というのが一つの大きなテーマですけれども、日本は核軍縮を主導的に導いていく立場だと思うのですが、一方で米国の拡大抑止力、核の傘の下に入っているという現実もありまして、核で守られている国が核をなくせという、長期的には矛盾はないのかもしれませんが、短中期的には矛盾があるといった見方もあります。その点について日本として短中期的にどのように核軍縮と核の傘の関係を考えているのでしょうか。

(外務大臣)ここはよく議論しなければいけないと思っております。外務省の事務方とも議論を始めておりますけれども、私のかつての持論は核の非保有国に対する核の行使は認められないというふうにすべきではないとか或いは先制不使用とかいうことを外務大臣になる前に私の考え方として申し上げておりました。それに対する異論もある訳で、よく議論として省の中で、その上で今のお答えを申し上げたいと思います。

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民主党職員及び政策秘書の8月の米国訪問

(問)既に一部でも報道されておりますけれども、衆議院解散後に大臣の衆議院議員としての政策秘書と民主党の政策事務局の職員が8月に訪米されたと思います。これは民主党幹事長としてどのような狙いで派遣をされたのか、それから、私としては大臣が就任直後に「密約」に対する大臣命令を出されたのは非常に素早かったと、この時ワシントンにある大使館のファイル数もある程度大臣が把握なさっていたようですけれども、この辺りは何か8月のミッションと関係があるのでしょうか。

(外務大臣)結論から申し上げますと関係ありません。選挙中に党の職員と私の政策秘書が米国に行ったのは事実です。これは、米国政府の方からの非公式に意見交換したいという申し出がありました。今だから言えることですけれども、政権交代を受けるのを見越してそういう話しだったと思います。こういう事で党の職員を派遣することにした訳ですが、そのサポートとして私(大臣)の政策秘書をつけたということです。

(問)鳩山代表の正式な名代として行かれたのでしょうか。

(外務大臣)勿論、そうです。

(問)もし差し支えなければ、例えば先方の最高位で会われたのは カート・キャンベルさんでしょうか。

(外務大臣)それは申し上げない方がいいと思います。

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日米関係

(問)大臣は日米交渉がインド洋でのパッケージだと仰っているのですが、それはどういう意味か、パッケージという意味を説明して頂きたいというのが一点と、そのパッケージというのは勝手に日本側が思っているのか、それとも日米の間でパッケージで協議するという共通の認識が出来ているのか、この点について教えて下さい。

(外務大臣)日米間でそういうことはありません。パッケージという言葉が適切かどうかは分かりません。前々から言っておりますように、例えばアフガニスタン、或いはパキスタンに対する支援の問題とインド洋の問題は別の問題です。こちらをやるから、あちらをやらないというそういう関係には基本的にないと考えています。しかし、日米関係ということで見ると沖縄の基地問題、米軍再編も含めて様々な問題全体を、これは交渉ですから、交渉と言う言葉を使ってはいけないとキャンベル米国務次官補は言うのですが、話し合いですから全体でお互いに納得できたら話し合いになると、一つ一つの問題で合意することにあたって全体のその他についても当然その背景にはあると、そういうのをパッケージと申しています。

(問)パッケージ論で国民新党の下地さんが全く違った見解をされていまして、アフガンでこれをやるから、沖縄はこうだと、そういう全体でリンクしているのだという言い方をしているのですが、それと認識は違うのでしょうか。

(外務大臣)基本的には別々の話です。しかし同じ日米関係でやっている訳ですから、全体の姿というのは見ながらやっていかなければいけないということだと思います。あるところではギブ、あるところではテイクということになったとしても、全体で整合性がとれていれば話は纏まる可能性がある。

(問)気になっているのは、アフガン交渉とインド洋の交渉は沖縄交渉より優位な立場にあるのではないかというニュアンスを感じられたことです。このアフガンを優先するということの中で沖縄の方の交渉が後退してしまう危険性を感じたものですから。

(外務大臣)それは逆ですね。

(問)大臣は先程、沖縄の負担軽減という話しを仰いましたけれども、普天間の移設というものは、嘉手納以南の米軍施設の返還だとか、もしくはグアムへの海兵隊の移設といった負担軽減の部分もパッケージになっています。その辺りの整合性についてどのようにこれから交渉・協議をされていくおつもりでしょうか。

(外務大臣)整合性とはどういうことですか。

(問)つまり、沖縄の負担軽減というところが、普天間のパッケージになっている訳ですよね。普天間の県外移設を拒否した場合はグアムだとか米軍施設の返還というところに影響が出てくるかと思うのですが。

(外務大臣)影響が出ないようにするのが交渉だと思います。

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地球温暖化問題

(問)地球温暖化についてお伺いします。明日に温暖化問題に関する閣僚委員会が官邸で開かれるとのことですが、どのような話し合いがもたれるのかというのが一点と国民に現在示されている削減モデルというのは前政権で作られた2005年比15%削減というのをベースにしたモデルだと思いますが、COP15の交渉が12月に控えていることも見据えた上で、国内との整合性をどう取るのかをお伺いしたのですが。

(外務大臣)基本的には明日はニューヨークにおける鳩山演説をベースに話をするという連絡が来ているわけですが、前回の関係閣僚会議の際に私の方から、もう一度きちんと前提条件を変えて計算をし直すべきだということを言ってあります。例えば、温暖化が進んだときのマイナスの影響というのは全く盛り込まれていない計算です。それから、いろいろな前提をおいて計算しているわけですが、その前提が果たして正しいかということについて、個人的にも大いなる疑問を持っています。ですから、もう一回そういうことを場を変えて、内閣の中に議論する場を作って、そして検討し直すべきだという問題提起を前回してありますので、そのことに対する一定の答えというのが出てくるのではないかと期待しています。これは急がないと間に合いませんので、是非それを着手してもらいたいと考えています。

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天下りの見直し

(問)鳩山政権による天下り見直しの動きが進んでいる関連でお伺いしますが、現在、大使ポストは外務省のOBでほとんど占められている訳ですが、民間や外務省以外の役所の方に開放していく考えがあるのかと、外務省不祥事を受けて、平成14年にまとめられた「外務省を変える会」報告書では外務事務次官は最終ポストであって、それ以降の大使転出は認めないとあるのですが、その方針は踏襲されるのでしょうか。

(外務大臣)「外務省を変える会」の報告書の位置づけがよく分かりませんので、それをそのまま全部受け入れてやるという性格のものだったのか、提言だったのかというのは分かりませんので、お答えできません。恐らく事務次官がその後に大使をしないということであれば、どこかできちんと決定しなければならないと思いますが、そういう決定はないのだろうと私は思っています。それから、大使ポストを天下りと同列に論じることはいかがなものかと私は思うわけですが、いまでも他省庁や民間の登用も少ないながらもあります。今後も必要に応じて、そういったことを考えていけばいいと考えています。

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日メコン外相会議

(問)今週末に行われる日メコン外相会議についての意気込みとその場でも東アジア共同体のビジョンについて話されるのかをお伺いします。

(外務大臣)東アジア共同体という考え方は説明したいと思います。そして、一つひとつ実績をあげていくと申し上げましたが、メコンにおけるインフラの整備とかはそういったことは重要なステップであると考えています。

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「密約」問題に関する調査

(問)密約の検証ですが、どのような状況になっているのかと今後はどういうような展開になっていくのかについて材料があればお聞かせください。

(外務大臣)11月末までに調べるということになっていますので、これから行われていく調査、必要に応じて中間報告を受けながら、とにかく調査をしっかり進めていくということだと思います。チームのスタート時に私(大臣)はおりませんでしたので、明日には少しチームに私の考え方を改めて伝えたいと思っています。そして、後で新たなことが出てこないようにきちんと調べる、徹底的に調べるということをお願いしたいと思います。

(問)密約調査の関連でお伺いします。現状の非核三原則について「持たず」「作らず」というのは非常にわかりやすいのですが、「持ち込ませず」ということについて外務省の英訳を見るときちんと「introduction/配備はしない」ということですが、外相の認識では日本の国是である非核三原則の「持ち込ませず」というのは、「entry/通過」「transit/寄港」もないことを含んだ上で「持ち込ませず」ということなのでしょうか。

(外務大臣)そのところについて、従来の国会における政府の答弁と伝えられる米国側の一部公開された資料との間に矛盾があるということです。その矛盾が本当にあるのかどうかということを検証するのが11月末までですから、その先のことは今は予断をもって言うつもりはありません。

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岡田外務大臣会見記録(平成21年9月18日(金曜日)17時45分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣会見に関する基本方針について

(外務大臣)私から三点申し上げたいと思います。既に少しご説明していたことでありますが、大臣会見に関する基本的な方針ということでお話しをしたいと思います。この会見をこれから毎週2回を原則に行いたいと考えております。従来ですと国会開催中は閣議の後に行ってきたというケースが多かったと思いますが、少なくとも週1回は省内で会見をしたいと考えています。できれば2回ともと思いますが、そこは時間との関係、そして場合によっては週1回はぶら下がりに変えることがありますが、それも併せて週2回は必ず会見を行うということです。そしてその会見につきましては、外務省記者会所属メディアに限らず、原則として全てのメディアに開放したいと考えております。
 具体的には、日本新聞協会会員、日本民間放送連盟会員、日本雑誌協会会員、日本インターネット報道協会会員、日本外国特派員協会(FCCJ)会員及び外国記者登録証保持者ということにしたいと思っています。それ以外にいわゆるフリーランスの方々についても、今申し上げた様々なメディアに定期的に記事を提供する方については含めたいと考えています。そういった方々に事前に登録を行って頂くことによって基本的に全ての方に会見に出席して頂けるようにしたいと考えております。

(2)国連総会出席

(外務大臣)二番目ですが、私の国連総会等への出席ということで、日程は随分固まって参りました。月曜日の21日に成田を発ちニューヨークに参ります。日米外相会談、日米豪閣僚戦略対話等がありますので、少し早めに日本を出るということになります。その他、現在調整中ですが、様々な二国間会談、先程ミリバンド英国外相と電話会談を致しました。電話会談というかご挨拶を頂いた訳ですが、それも含めて二国間会談を精力的に行っていきたいと思います。その他G8外相会合等、様々な会合がございます。勿論、総理がご出席して演説される際には私も同席をさせて頂きますし、バイの会談についても必要に応じて私も同席をさせて頂くつもりです。最初にしては、かなり長い日程になりますが、最終的には土曜日の夕方に日本へ戻るという日程です。

(3)キャンベル米国務次官補との会談

(外務大臣)三番目にキャンベル米国務次官補が訪日中で、私も本日お会いしました。様々な意見交換を45分ほど致しました。最後は国会が始まるということで駆け足になりましたが、このような中で私自身旧知の友人であるキャンベル次官補と面会できることは感慨深いと申し上げ、そして、クリントン米国務長官との面会を楽しみにしていると申し上げました。日米同盟については30年、50年先も持続可能であり、そして更に深い関係が築けるように努力したいということを申し上げました。同時にオバマ大統領の来日にあたってしっかりとした準備をしたいと、このキャンベル次官補との会談をその第一歩にしたいと申し上げました。
 キャンベル次官補からは日米で緊密に協力して、21世紀の課題に対処していくことを楽しみにしていると、ルース大使はオバマ大統領が最も信頼を寄せている人物であるということを仰っていました。私からは当面私自身が力を入れていこうと思う課題として、三点あると申し上げました。これは皆様に就任の時の会見で申し上げた通りであります。在日米軍の再編の問題、アフガニスタン・パキスタンへの復興支援、12月のCOP15に向けた地球温暖化問題、この3つに当面力を入れたいと申し上げました。併せて「密約」の問題についても取り組むことで既に事務次官に対して命令をして、解明に取り組んでいるということを申し上げました。以上のようなことで、様々な、非常に有益な意見交換ができたと考えております。

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キャンベル米国務次官補との会談

(問)キャンベル次官補との会談ですが、在日米軍の関係でキャンベル次官補は再協議する用意があるというような趣旨の発言を報道機関との会見で仰っていたんですが、今日の会談では見直しについてはどういう意見交換をされたのでしょうか。

(外務大臣)今日、キャンベル次官補が言われたのは、原則は従来の合意されたものということを言われながら、それでなければだめだというような堅い言い方ではなかったと思います。

(問)大臣としては、それをお聞きになって、今後、交渉の余地は大いにあるというか、交渉を急がなければいけないとお考えになったのでしょうか。

(外務大臣)交渉の中身はともかくとして、この問題について私が申し上げたのは、沖縄で4つの小選挙区があり、その小選挙区で当選してきた人々は、我が党であったり、社民党であったりするけれども、普天間の辺野古への移転については反対ということを明確に言ってきたということです。それから我々は連立政権である。それから我が党自身もマニフェストの中では言っていないけれども、普天間の問題について、いろいろ発言してきたということもお話しておきました。そういう日本の政治的な状況について説明しておきました。

(問)キャンベル次官補についてですが、大臣が密約問題について言及されたのに対して、キャンベル次官補からどのような認識が示されたか教えてください。

(外務大臣)私の方から言及する時に、そもそも米国側が公表したものによって、日本の説明と食い違いがでてきたような問題だと申し上げました。従って、米国にとって支障がでることは基本的にないと申し上げました。

(問)キャンベル次官補からはそれに対する意見なり、感想はあったのでしょうか。

(外務大臣)特にそのことについてはありません。ただ、50年代、60年代のことであると理解していると、そのことがこれからの日米の関係に影響を及ぼすようなことではないと理解しているというお話でした。

(問)キャンベル次官補とは、北朝鮮問題についてのやりとりはあったのでしょうか。あったなら、その内容を教えていただけないでしょうか。

(外務大臣)北朝鮮の問題について、今日は特に話しておりません。時間も限られていた中ですから。

(問)キャンベル次官補との会談の中で、インド洋で日本が行っている給油について何かありましたか。

(外務大臣)ありません。アフガニスタン、パキスタンの復興支援については言及がありましたけれども、船(への給油)の話はありませんでした。

(問)米軍再編の関係ですが、大臣の方から取り組むべき課題という言い方をされたとのことですが、(大臣から)明確に反対しますという表現はされたのですか。

(外務大臣)日本の状況を説明した上で、これからよく協議をしなければいけない問題だと申し上げました。

(問)キャンベルさんとの話の中で、復興支援については発言があったということでしたが。

(外務大臣)重要性について私もキャンベル次官補も意見が一致したということです。そして、日本の、具体的な表現はちょっと忘れましたが、様々な、今まで行ってきたご支援に対して評価するというような話もありました。おそらく、警察官に対する給与を日本が出していることとか、JICAを通じて行っていた様々な、アフガンへの復興支援について言及されたものだと思います。

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「密約」問題に関する調査命令

(問)「核密約」の関係ですけれども、大臣の次官に対する命令は、従来からいろいろと話題になってきた「核密約」だけではなくて、4つの「密約」について指示されています。4つを束ねて調査するというところの意図とか考え方をお聞かせください。

(外務大臣)基本的にこの4つがですね、メディアなどでも報じられていることですので、どうせ調べるわけですから、この際ひとつだけではなく4つ全部を徹底的に調べさせようということで申し上げました。4つと言っても事実上は2つ、沖縄返還にかかわるものと安保改定にかかわるもの、2つにすることができます。
 折角のご質問ですから、若干申し上げておきますと、この前もちょっと申し上げましたが、ファイルの数が日米安保関係で、正確に言いますと2694冊。それから、沖縄返還関係で571冊。それから、アメリカ大使館の中に約400冊。アメリカ大使館の中に当時の資料が残っているということであります。こういうものが調査の対象になります。
 これを調査するためには、マンパワーが必要になります。アメリカ大使館のものはアメリカ大使館の中でやってもらいたいと思いますが、これ2つだけでも大変な量になります。従いまして、事務次官の下で調査チームを9月25日に立ち上げるということにしております。もちろん正式に立ち上がるまでの間も、順次調査はスタートさせていきたいと思っております。全体のとりまとめとして、北野官房審議官にヘッドになっていただこうということを、先ほど次官と相談しました。そして、全体で14から15人のメンバーで調 査にあたるということにしたいと思います。その中の何人かは在外公館から一時的に戻ってもらって、その調査に参加をしてもらうというふうに考えております。

(問)密約が存在する存在しないということと別の問題として、今も有効かどうかという問題もあると思います。これはアメリカ側に対してうまく聞けば早く答えが出るのではないかと考えられるのですが、今、日米間で「核密約」は生きている、有効だというような意識がアメリカ側にあるかということを、例えばクリントン長官と会われる際とか、いろんなチャンネルで確認するという手もあるかと思うのですが、いかがでしょうか。

(外務大臣)今有効かどうかというよりも、「密約」が存在したか否かということが重要だと思っています。これはアメリカに聞くのではなく、日本自身がきちんと調査して情報公開することが重要だと考えています。

(問)核持ち込みの件で、有効かどうかというよりは、まず事実関係だと仰いましたが、有効かどうかというのは非常に重要ではないかと思います。今でも米国が有効と認識しているのであれば、我が国の国是である非核三原則との関係で抵触するのではないか。無効ということであれば、歴史の過去の出来事だと思うのですが、そういった点についてはどうでしょうか。

(外務大臣)有効かどうかという前に、そのようなものがあったのか無かったのかという確認が先だと思います。この確認無くして、有効かどうかを言うのは、私にはちょっと理解できません。これからどうかという話は出てくると思いますが、まずは事実関係をはっきりさせること、それをやっている中でいろいろなことを議論するということは、手が緩んでしまう可能性があります。まず事実関係を明確にし、国民に対して情報開示をして、その上でどうするかというのは、事実に基づいてすればいいと頭の中で整理しています。

(問)事実関係と言うことですが、調査の結果、「密約」なるものが存在していたということが明らかになった場合、歴代の外務省幹部の方は「密約は無い」と答弁してきた訳ですが、その責任を問われる考えはありますか。

(外務大臣)この問題については、調査の結果を見ないと一概には言えませんが、基本的に総理大臣や外務大臣が「無い」と言っている時に、(外務省の幹部が)「いや、あります。」と答弁しろと言うのは少し酷かなという感じは持っています。

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外務省の情報発信体制(会見のオープン化、事務次官会見の中止等)

(問)今回、会見を全てのメディアに開放するということを仰っていましたが、私が取材したところ、外務省と経済産業省以外の省庁では基本的に私のようなフリーランスの記者は大臣会見に出席することができなくて、出席できたとしてもオブザーバーとしての参加で質問もできないというような状況なのですが、このような閉鎖的な状況で、今回、会見をオープンにするという方針を発表された大臣としては、どのようにお感じになっていますか。

(外務大臣)それぞれの省庁で考え方があると思います。それと大臣の考え方ですね。私は最初は幹事長代理だった時ですかね、政調会長をやった時だったですかね、その時の民主党の会見をオープンにしました。私が幹事長になり、或いは代表になるに従って、オープンの範囲が広がってきました。私が全ての大臣をやれば、全部オープンになると思いますが、現状ではありえませんが。外務省なり経産省がオープンにして、それが支障がないということになれば、それが広がりをもってくるのではないかと思っています。基本的には、その省庁及び大臣が決めることです。

(問)会見の関係で、閣議後の会見というのは、閣議が日本の動静の中で非常に大きな位置づけをもっているということで、記者クラブの方も閣議が終わった後に会見をやっていただくということがいいのではないかと考えていたところがあります。お昼のニュースや夕刊がある中で、外相という非常に重要なポジションの方が(閣議後の)会見をやられないということには多少びっくりしました。今日、改めて方針を示されたわけですが、どのような運用がお互いにとって一番良いのかどうか、またはこれが決まりだからやってしまおうという姿勢なのでしょうか。

(外務大臣)基本的にはこういう方針でやりたいと思います。これからも閣議後ということはないわけではないのですが、少なくとも1回は省の中できちんとやりたいと申し上げたのは、閣議後の限られた時間の中で、つまり国会が始まるわけですから、やるのは本当の会見に値するものではないのではないかと私は判断しました。もう少ししっかりと皆さんの質問も頂きながら、誠実に答えるというのが本来の会見のあるべき姿で、閣議があった直後というのはそれなりにニュース性があるかもしれませんが、外交問題というのは、閣議案件のうちのごく一部に過ぎませんので、やはり基本的にはここ(外務省会見室)に戻ってしっかりとやる。そのことを考えたときに、国会の日程等を考えると時間はなかなか限られてくるということであります。もちろん、今日はこのような時間で始まっていますが、国会と重ならない範囲で他に考えられるのであれば、多少移動させることはやぶさかではありません。もうひとつ、閣議後の会見ということになると、国会の中でやるということになりがちで、そうすると事実上オープンにしたといっても、国会に入るにはなか なか大変な手続きがいりますから、それはオープンにしたことにならないのではないかという思いもあって、私は今の形を申し上げているわけです。もしそれでなにか私の説明に異論があるということであれば、また仰って頂きたいと思います。私の基本はオープンに、国民の知る権利、なるべく多くの方に直接、会見に立ち会ってもらいたいという考え方です。

(問)今、会見の話が出ましたけれども、今幹事社をやっていまして報道課の方ともやりとりさせていただいたのですが、大臣のお考えが良く分からないまま、半ば夕方になりますと一方的に言われたようなところがあって、先ほどの方もおっしゃっていたように、民放は夕方にメインのニュースを構えていますし、時間的問題とかも考えると、大臣のお考えもあるでしょうし、こちら側のできない要望もあるので、調整をきちんとさせていただきたいという提案です。できるだけお互い知恵を絞りたいなと。大臣のお考えは分かりましたので、より良くするためにどうするべきか相談させて頂きたい。

(外務大臣)今の件は、今日皆様がお集まりになって何か意見交換をされると聞いていたのですけれども、そういう集約があるのであれば聞かして頂きたいと思いますが、いろんなニュースの時間もありますが、一方で国会もありますから、結局この時間より前になるということは、従来と同じように国会が始まる前ということになります。限られた時間になりますね、本当にそれでいいのか。それから先ほど言いましたように、一部の人が入れないということに対してどう考えるのか、そういうことについて、もしご意見があるのであれば聞かせていただきながら、基本的に私はこの時間しかないんじゃないかと、少なくとも週一回は、というふうに思っています。

(問)駐米大使や国連大使の記者会見が急遽中止になるということがあってですね、官房長官からの記者会見では、大臣の方からそれはやって差支えないということで元に戻したという経緯があったそうなんですが、どういう経緯でこれは中止になったのでしょうか。

(外務大臣)中止になった経緯はよくわかりません。私はそういうことは言っておりません。ただ、基本的に事務次官の会見もやらないという方針が示された中で、大使についてもその類推の中で、予防的にといいますか、正式にはまだ決まっていないという中で、そういう措置が取られたのかなと思います。私の方は、大使は国を代表する者としてそれぞれに赴任していただいていますので、その会見は当然やっていただく、やらないと困ると、そういうふうに申し上げているところです。ついでに申し上げますと、外務報道官についてもですね、従来からこれは省全体を代表した形で行われていますので、それも変わらずやっていただきたいというように考えております。事務次官の会見はそういう意味でなくなりますけれども、これは政府としての方針ですから、懇談の形でやっていただくことは、これは取材を集団的に行うのと同じですから、それはかまわないと思っています。

(問)大使の会見のことをおっしゃられましたけれども、その問題に象徴されるように、官僚というのはそれぞれの識見と責任をもって外交の一部を担っています。我々は官僚かどうかという立場だけで報道すべきか判断しているのではなく、立場を含め、その発言内容も含め判断して報道している。つまり外相が言ったから報道する、事務次官が言ったから報道しないというわけではなく、外相がおっしゃても報道しないこともあるし、事務次官が言っても報道することもある。しかしながら政府の方針といいますか、外務省の方針としては、官僚というだけで発言は公にさせない、事務次官というだけで発言はさせないとおっしゃっている。それは結局、省内に政治家に対する批判を許さないという雰囲気を作ることになるわけでして、私としては一般的に使われる悪い意味での官僚的な対応だと感じられます。我々は実際に事務次官のご意見をお伺いしたいとしてインタビューを申し込んで実施することもありますが、そういったことも禁止されるということだと思いますが、そういったことをする理由が理解できないのですが、説明していただきたい。

(外務大臣)具体的にどこまで制限するかということは、今日の閣議で議論になりまして、もう一度官房長官のところで基準を示すということになりましたので、それを待ちたいと思います。ただ、事務次官というのは、大臣や副大臣の下にあります。ですから、より責任のある者がきちんと述べれば十分だと思います。

(問)それは1か0かという問題ではなくて、事務次官も仕事を前に考えもあるわけで、我々も意見を聞きたいということがあるわけです。それを大臣が職務上補うからといって、大臣の判断で発言してはならないという職務命令を出されるということは、我々としては報道の自由を制限されていると受けとるわけです。
 もちろん事務次官は大臣の部下ですから、発言するなということで発言できなくなるわけですが、そのことを考え直していただきたいということなんです。

(外務大臣)事実関係については懇談という場があるわけですから、そこで聞いていただければいいわけです。政策、最終的な意見に当たる部分については、政治家が行うというのが、我々内閣の方針です。

(問)我々は政治的な部分だけではなく、公の場面で責任ある発言を聞くという権利というか、国民に対する責任を持っているわけですから、色々な政治家にも聞きますし、次官にも聞きますし、色々な方にも聞きます。

(外務大臣)それは考え方の違いですね。イギリスなどでも官僚の発言というものは、制限されています。

(問)政治家として積極的に発言したいという訳ですが、この一方的に書かれた紙を拝見すると、大臣会見は週2回となっています。これまでも週2回実施しているので、発言の機会は増えない訳です。オープンにするといいながら、外務省として情報を発信する機会を減らしている訳です。

(外務大臣)減らしているというのはどういう意味ですか。

(問)これまで大臣が2回だとすると、それに加えて事務次官の会見もあったわけですが、事務次官の会見はやめるし、大臣の会見は増やさない。時間の点でも我々の考え方は受入れられない。

(外務大臣)事実関係を聞いてから質問してもらいたいと思います。事務次官の会見は失くしますが、副大臣の会見は増やします。

(問)事務次官の会見の代わりに副大臣の会見を行うということですか。

(外務大臣)副大臣の会見を増やすということです。

(問)取材の関連なのですが、今日は事務次官の定例懇談がある日ですが中止になりました。国際協力局長の定例懇談も中止になりました。他にもいくつか中止になっております。何か大臣との間で懇談をやらないといった指示はあったのでしょうか。

(外務大臣)全くありません。初めて聞きました。

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鈴木議員の衆議院外交委員長就任

(問)今日、新党大地の鈴木宗男代表が衆議院の外務委員会での委員長選任のやりとりにおいて、自民党の方から、あっせん収賄罪で裁判継続中の被告人を役員につけた前例がないと反発がありましたが、それについての受け止めと感想をお願いします。

(外務大臣)様々な意見があると思いますが、我が党としては賛成をして、そしてすでに決まりました。自民党が反対されたのは事実です。

(問)鈴木宗男議員は外務省の幹部の方を実名で告発したりしましたが、そういった方が外務委員長のポストに就いたことをどう考えられるのか。今後、鈴木氏は密約や報償費の問題で調べたいと言っていますが、全面的に外務省として協力されるのでしょうか。

(外務大臣)委員長人事は、委員が決めることですので、それに対してコメントをするべきではありません。党として賛成をしました。また、様々なことをおっしゃられていますが、委員長として言っておられるのか、政治家として言っておられるのかよくわかりませんが、委員長が委員長の権限の中で行われることには当然協力していきたいと思っています。

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米軍基地再編問題

(問)北沢防衛相が、現実的には県外ですとか、国外移設については難しいのではないかという考えを会見で述べられたのですが、これについて外相はどのようにお考えになりますか。

(外務大臣)これから様々な交渉があることなので、最初からいろいろな発言を、政府内の調整なしに言うのは、ややいかがなものかという感じがします。

(問)米軍再編について伺います。報道各社とのインタビューで、年内が一つの判断基準だという回答がありましたが、その判断対象というのは、建設関連の予算を付けるかどうかということを判断することなのか。それとも辺野古以外の移設先を年内に決めるということまで決める判断なのでしょうか。

(外務大臣)相手のあることなので、具体的に交渉を始めてみないと分かりません。

(問)それでは何に対する判断なのでしょうか。

(外務大臣)(年内に)予算の話はありますので、予算を付けるということは現状のまま進めていくということを意味すると思いますので、そうするかそうしないかという意味で、年内がひとつの判断基準だと申し上げました。

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北朝鮮拉致問題

(問)拉致問題についてお尋ねします。鳩山内閣では中井さんが拉致問題の担当大臣に就任されましたが、外務大臣との役割分担がどうなるのか。北朝鮮は宋日昊朝日国交正常化交渉担当大使が、拉致問題解決の基準について議論、整備すべきではないかと日本のメディアに対して語っているのですが、拉致問題解決の基準について大臣はどうお考えでしょうか。

(外務大臣)北朝鮮側がどのような思いで言われたのか、私は承知しておりませんので、今それに対して特にコメントする用意ができておりません。中井氏とはコミュニケーションを良くして、連携を取りながら進めていきたいと思っております。(日本側の拉致問題担当大臣については)従来も拉致問題担当という職がおかれていたので、基本的にはその役割分担を踏襲してやっていきたいと考えております。

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新大臣を迎える会

(問)今日、外務省で新大臣をお迎えする会が予定されていましたが、中止されました。その理由と、大臣として所属の官僚一人一人に対してメッセージを発する機会は大切だと思いますが、そのあたりどういう風にお考えでしょうか。

(外務大臣)来週一週間出張するので、今日是非やりたかったのですが、副大臣が正式に就任する前に行うのはいかがなものかと。私だけでやるのではなく、副大臣、政務官そろってやった方がよいという中で、(副大臣が認証式のために)皇居に行く前にやるのはいかがなものかということです。

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国連総会等への出席

(問)ニューヨークでの国際会議について、新しい政権として岡田外務大臣は、様々なアピールをされると思うのですが、岡田外務大臣が特に強調してアピールされたいことはありますでしょうか。

(外務大臣)相手によって変わりますが、私自身としては、当面の課題として3つあげましたが、地球温暖化の問題、アフガニスタン・パキスタンへの復興支援はグローバルな問題でありますので、そういう点について強調したいと考えています。後は相手によって、二国間の問題とかになると思います。

(問)CTBT(包括的核実験禁止条約)発効促進会議に米国も10年ぶりに参加するということですが、どのようなことを我が国として主張されますか。

(外務大臣)米国が、(CTBT発効促進会議に)参加するということは、大変意義深いことだと思います。私も核の問題については、少なからず関心を持っており、取り組んで参りましたので、オバマ大統領のプラハ演説もありますが、核廃絶に向かって具体的にどういうアクションを世界がとるべきかについて発信していきたいと思います。

(問)国連総会において、安保理改革ということが非常に重要になるのではないかと思います。これまで日本外交は常任理事国入りを目指してきた訳ですが、岡田外務大臣としては、安保理改革についてどう臨まれますか。

(外務大臣)外務大臣に就任して2日しか経っていないので、どういう機会を捉えて安保理改革を実現していくということまで議論した訳ではありませんが、日本自身、常任理事国になるということは、私は当然のことだし、国益に合うと思っていますので、そういう方向で努力していきたいと思います。

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核の先制不使用

(問)大臣は先日の会見でも、核の先制使用は認めるべきではないという考えを示されましたが、本日のキャンベル米国務次官補との会談の議題になったのでしょうか。あるいは、今後政府間の議題にするのはいつ頃のタイミングとお考えでしょうか。

(外務大臣)本日は議題になっておりません。様々な課題がある中で、どういう優先順位を付けていくかということだと思います。私が当面注目しているのは、(核不拡散・核軍縮国際委員会の)エヴァンズ・川口両共同議長によるレポートが広島で発表されることとなっています。そのレポートの中でどのように触れられるのか、まずそういう点がきっかけになるのではないかと思っています。

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温暖化に関する閣僚委員会

(問)20日(日曜日)に温暖化に関する閣僚委員会があると思いますが、どのようなことを議論され、(大臣は)どのような主張をするつもりでしょうか。

(外務大臣)先方からご連絡を頂いたばかりで、どういうテーマになるのかを聞いていませんので、何とも申し上げられません。民主党自体では既に考えはまとまっておりまして、鳩山総理が代表の時代にそのことを明らかにされました。2020年に(温暖化ガスの90年比)25%減ということを明確に言われました。そう言うことを前提に、何をどういうタイミングで行うべきかということが議論の中心ではないかと想像しています。私から言えることは、きちんと決められたことをやりましょうというしかありません。私自身が温暖化委員会の本部長として、責任をもってやってきたことでもありますので、そのことをしっかりやっていく ということを強調したいと思っています。

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岡田外務大臣会見記録(平成21年9月17日(木曜日)0時50分~ 於:外務省会見室)

冒頭発言-「密約」問題に関する調査命令

(外務大臣)皆さん、こんばんは。時間が遅くなってしまいまして恐縮です。このたび外務大臣を拝命いたしました岡田克也です。よろしくお願いします。先ほど官邸で既に記者会見を行いましたので、重なることは申し上げないようにしたいと思います。またご質問があればお聞きいただきたいと思います。本日は先ほども少しふれました密約の問題について資料をお配りさせて頂きました。いわゆる「密約」の問題は、外交というのは国民の理解と信頼の上に成り立っていると考えていますので、そのような意味でこの密約の問題は外交に対する国民の不信感を高めている、結果として日本の外交を弱くしていると思います。私は従来、この密約の問題は、外務大臣なり総理大臣、つまり政治家が自らイニシアチブを発揮しなければならない問題であって、総理や外務大臣が「密約はありません」と明言する限りは事務方も同じように言うことしかないのであって、まさしく政治家のリーダーシップを試されているとかねがね申し上げてまいりました。
 このたび外務大臣になりました、この機会を捉えて、いわゆる政権交代という一つの大きな変化を機会として、この密約を巡る過去の事実を徹底的に明らかにし、国民の理解と信頼に基づく外交を実現する必要があると考えております。
 そこで、国家行政組織法第10条及び第14条第2項に基づく大臣命令(PDF)PDFを発し、下記4点の「密約」について、外務省内に存在する原資料を徹底的に調査をし、本年11月末を目処に調査結果を報告することを求めたものでございます。作業の進捗状況については、随時報告を求め必要に応じて指示を仰ぐように併せて求めているところです。
 一 1960年1月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する「密約」
 二 同じく、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する「密約」
 三 1972年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みな関する「密約」
 四 同じく、沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに関する「密約」
ということでございます。
 先程、省議が開かれまして、その場で私から薮中事務次官に対してこの命令を発しと言いますと大げさですけれども、徹底的に自ら自浄能力を発揮して既存の資料の調査を徹底する。そのことを求め、次官の方からはそれに対してそのことを実行するとお返事を頂いたところです。
 なかなか大変な調査になると思います。聞くところによりますと、日米安保関係の関連ファイルが約2700冊、沖縄返還関連が570冊ということです。これを一つ一つにあたってもらうことになります。マンパワーが足りないということであれば、在外公館から一時的に職員を呼び戻して、経験者その他理解する能力のある皆さんに11月末まで残ってもらって作業してもらうと考えているところです。
 薮中事務次官の方からは、9月25日に調査を開始して約6週間位を目処に原資を調査して、その後2週間を目途にその精査取り纏めを行って、11月末に大臣に報告するというお話しを頂いているところです。なお、これは外務省の中での徹底的な調査ということですが、それに加えてOBの皆さんでいろいろな発言もあります。それからその資料の評価というものも第三者の目で行うことも必要になるだろうと思います。したがって将来的には、一ヶ月プラスアルファ位の先には外部の有識者による委員会を立ち上げて、そこでも併せ調査をし、同時にOBからもヒアリングをしてもらい、必要があれば米国にも調査に行き、外務省の中で見つかった資料を更に精査してもらおうと考えております。併せてこの密約という問題が議論された時代状況ということも併せて検討してもらう必要があるのではないか。何故こういうことになったのか、ならざるを得なかったのかということも、外部の目で分析をしてもらい、全体トータルとして国民に対する説明責任を果たしたいと考えております。併せて、密約に限らず外交に関する情報公開については、現在、基本的に30年、一定のルールに基づいて公開ということになっておりますが、必ずしも十分な公開になっていないと考えています。例えば、日本では公開されていないけれども、韓国や米国では公開されているということもあります。したがって公開のルールそのもの、運用についても有識者に併せて議論をしてもらい、必要があれば新しいルール、新しい運用というものについて提言を頂きたいと考えております。それだけの想いを持って、とりあえず先ず中にある資料を徹底的に調査してもらいたいということで、命令を発したところでございます。

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「密約」問題

(問)有識者委員会ですが、11月末の外務省内の調査が終わってから立ち上げて、更にそこから一ヶ月位かけてその調査報告を見ると言う事ですか?

(外務大臣)必ずしも全部終わる必要は無いと思います。これから調査やるわけですから、今すぐ立ち上げる必要はありませんが、私は重なって活動している時期が必要だと思います。そうでないと時間が非常にかかってしまいますので、11月末に結論が出る、それを全て待つ必要はないというように思っています。

(問)文書の掘り起こしなんですけども、この部分については、中の調査だけで行うのか、第三者委員会もそれにあたるのか、それからその第三者委員会の調査はいつ頃目処に完了したいと考えていらっしゃるのですか?

(外務大臣)一つ一つの資料を外部の人が、例えば一時的に公務員の身分を与えるにしても、守秘義務の問題もありますから、それを全部チェックするというのは現実的では無いと思います。しかし、微妙な問題資料については、直接見てもらうという事もあり得るというふうに思っています。いつ頃までにというのは、ちょっとやって見なくては分かりませんが、そう長く時間をかける問題では無いと思いますので、11月、例えば11月初め位から平行して検討をはじめてもらって、そう時間をかけずにしっかりとした提言をもらいたいということを考えています。しかし、最も大事な事はまず事実をちゃんと出すということだと思います。そう言う意味では外務省の中での調査というものを非常に重視しているという事でございます。

(問)この密約の問題について、これまでに非公式に引き継ぎがされていたと思うのですが、この中で薮中次官からのこれまで説明を受けられて、現在、密約があるという蓋然性についてどのような心証をもっていますか?

(外務大臣)まあ、私自身は、今日外務大臣になったばかりで、現時点でそう言う引き継ぎとかそう言う事は特に受けておりません、先ほど、外務省に初めて足を踏み入れた訳であります。それから、私はかなりの確度でいわゆる密約と言うものは存在しているというふうに思っています。ただ、それは確たる根拠がある訳では有りませんので、今後の調査を待ちたいというように思っております。

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米軍再編問題

(問)先ほどの官邸での会見でもお答えになっていましたが、米軍再編について2点伺いします。県外、国外移設の表記について、沖縄ビジョンには書いてあるけれども、マニフェストには書いていないというご説明でしたが、マニフェストに書いていないと繰り返しご説明されたということは、県外、国外移設を目指すという姿勢を変えられたと受け止められかねないですが、姿勢を変えられたのか、それとも変わらず県外、国外移設を目指すということで理解して良いのでしょうか。 

(外務大臣)目指すという姿勢は変わっていません。ただ、沖縄ビジョンには書いていますが、マニフェスト、或いは連立政権樹立の政策にはそこまで書かなかったということです。想いは変わっていませんが、あまりに手足を縛ってしまうと身動きがとれないということにもなりかねない訳で、多少選択肢を増やすということもあるんだと思います。それは普天間の問題だけを米国側と協議するわけではなくて、様々な問題、全部机の上に並べるべきとは思いませんが、年内で言えば、普天間の問題とアフガニスタンとパキスタン支援の問題という2つの大きなテーマがあるわけで、これは直接的には関係のない話ですが、実際には各ステージで米国側と議論しなければならない、そういう場面もあるかもしれません。そういう意味で、我々は絶対譲りませんよって全部言ってしまっては交渉になりませんので、少し懐を大きくして交渉したいと考えています。想いは変わっていません。

(問)米軍再編問題に関して、年内に着手すべき課題というふうなご認識をお持ちということですが、再編見直しの交渉を始めて、目標としてはいつ頃までに新たな答えを出したいとお考えですか。

(外務大臣)相手のある話ですから、そう簡単には申し上げられません。ただ、どんどん米軍再編の中で、辺野古への移転の問題というのは進んでいますから、放置しておけば既成事実がどんどん積み重なっていくということになると思います。従って、我々としては議論は急がなければならないと考えています。

(問)普天間の県外移設問題に関して確かマニフェストに書いていないんですけれども、日米地位協定の改定を提起するというのはマニフェストに書いてありまして、三党合意にも書いてあるわけですけれども、これについては具体的にどの部分を改定したいとお考えでしょうか。刑事裁判権の問題なのか、それとも環境評価なのか、政府は具体的にどれを想定しているのでしょうか。

(外務大臣)私の判断は、何からやっていくのかということを明確にしたほうがいいと思います。そしておっしゃるように地位協定は、全面的な改定案ですが、三党で改定案も出したという経緯もあります。非常に重要な問題だと思います。しかし、時間的に迫られている問題は米軍再編、基地の問題だと考えております。そういうことから考えると、どちらを急ぐかといえば、私は米軍再編・基地の問題をより急ぐべきだと、地位協定の問題はもちろん、こちらにとってすべての要求が通れば良いのですが、やはり相手のあることでありますので、ある程度絞り込んで、そして議論に入ったほうがいいと。その議論に入る時期は、私はお互いの信頼関係に基づいて、米軍再編の問題とか、あるいはパキスタン・アフガニスタンの問題について解決策が見出された、その次のステップの問題ではないかな、と個人的には私そう考えているところです。どういうところを絞り込むべきかという勉強は続けていきたいと思います。

(問)米軍再編ともかかわってくる最初の再編ロードマップでのグアム移転協定が進んでいるんですけれども、これはたとえば二十八億ドルの負担等を新たな合意ができるまでは有効だとお考えなのか、予算執行の停止を考えるのか、その辺はいかがですか。

(外務大臣)そこまでいけばこれは完全な対立になってしまいます。話はそう延々とやるわけではありませんので、私は現実的な判断が求められると思います。お互いの信頼関係に基づいて、より良い解を求めて議論をするということであって、対立することが目的ではありません。

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インド洋における補給支援活動の延長

(問)インド洋での給油問題ですが、来年1月で現在やっているものが切れますが、継続されるお考えでしょうか。それともやはり見直しのお考えでしょうか。

(外務大臣)選挙の時に申し上げましたし、選挙の後でも申し上げましたが、「単純延長はしない」というのが私の考えです。

(問)それに変わる何か別の支援を考えてらっしゃるということでしょうか。

(外務大臣)「単純延長はしない」ということは、それ以上でもそれ以下でもありません。

(問)また更なる追加支援ということについては、どうお考えでしょうか。

(外務大臣)この問題とは直接リンクしている話ではありませんが、、現在のアフガニスタンの状況を見れば、或いはパキスタンも含めてですが、かなりしっかりとした支援というものを日本は求められていると考えています。それが具体的にどういうものがあり得るのかしっかり議論していきたいと、国民の皆さんにとっては税金を使うわけですから、国民の皆さんにも納得して頂かなくてはいけません。そういう前提の中でしっかり議論していきたいと考えています。

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事務次官会見の廃止

(問)事務次官会見の廃止についてですが、先ほど岡田大臣以外の大臣にかなり質問がありましたが、会見を廃止するのは政治主導を必ずしも邪魔するとは思えないのですが、過去の事務次官会見では、官僚が隠そうとしていたことが明らかになったりすることもあった訳で、たとえば岡田さんが幹事長の時におっしゃっていたような世論を誘導するおそれがあるということでしたら、その回答を聞いた時点で大臣が何か言えば良いわけですし、会見を中止するという意味合いが分からないのですが。

(外務大臣)例えば国会でも、今や局長の答弁は原則無いということになっています。勿論、これは完全に貫徹されている訳ではありませんが、大臣、副大臣の答弁だけで、それが何か知る権利を害しているとか、そういうことは全く成り立たないと思っています。これからは大臣や副大臣、或いは政務官が会見をするということですから、回数は増やさざるを得ないかもしれませんが、それが何か問題になるとは思っていません。ただ、皆さんも取材には行かれたりしますので、そういうことを考えると、その延長としての懇談のような形で行われることを私は制限する理由はないと思っています。

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北朝鮮問題

(問)北朝鮮について、伺います。先ほどの会見では核、拉致、ミサイルを包括的に解決するとのことでしたが、全面解決に向けて、民主党自ら率先して政府間対話、北朝鮮に対話を求めていく考えはあるのでしょうか。

(外務大臣)これは、政権が変わったので、いろいろな動きがあるかもしれません。ただ、気をつけなければいけないのは、先ほどの質問に出ましたが、再調査という、拉致の問題ですが、それについて、(北は)ほぼゼロ回答で、全く約束を果たしていないわけです。それから核、ミサイルの問題についても核実験を行ったり、核の保有を宣言したり、ミサイルを飛ばしたりとやりたい放題というのが現状ですから、こういう状況にあるにも関わらず、話し合いというのは違うと思います。強く出れば、話し合いに結びつくんだという誤ったメッセージを送ることにもなりかねません。今はしっかりと制裁を強化していく中で、しかし制裁をするということは話し合いのテーブルに着かせるために制裁をしている訳ですから、その制裁を進めていく中で、北朝鮮側に何らかの変化があれば、変化があればという意味は、今言ったようないろんなことを止めて話し合いをきちんとするという状況が生まれれば、六カ国協議の枠の中で話し合いをしていけば良いことだと考えています。

(問)同時に現在六カ国協議が全く開かれていません。状況としては、正に大臣がおっしゃったような状況があって、政府が全く出てこないという状況がずっと続いています。この膠着状態をどう打開していくのか。米朝で二国間対話を北朝鮮が求めているようですが、そうした中で日本が独自に北との二国間関係を進展させていく余地があるのかどうかその点についてはいかがでしょうか。

(外務大臣)これから事務方ともよく議論していかなければいけないと思います。その点については、基本的には慎重に考えるべきだと思っています。先ほど言った理由と同じです。

(問)通常国会で廃案となった、北朝鮮に対する制裁に関する貨物船検査、特措法案をどのように取り扱われるのでしょうか。

(外務大臣)この法案は急いで成立させたいと考えております。このことは、選挙の最中も言ってきました。(開会中の)現在の特別国会という訳にはいきませんが、出来れば、次の臨時国会で成立を目指したいと考えております。自民党も自ら作られた法案ですから、そういった意味で、そう議論無く成立が可能なのではないかと期待しております。

(問)北朝鮮情勢について、制裁を強化しながら北朝鮮が変化するのを待つということで、前の自民党政権と現政権では、北朝鮮に対する政策の違いはないということでしょうか。

(外務大臣)前の政権と言っても、いつからカウントするのかと言った問題もあるかと思います。米国では、ブッシュ前大統領の時代には、現北朝鮮政権を変えると言われた時期がありましたし、同じように我が国の政権の中でも体制の転換ということを強調された総理もいたかと思いますが、我々新政権は、そのような考え方には立ちません。そういう可能性を感じれば、益々話し合いという可能性は遠のいてしまうと思います。基本的には、ブッシュ前政権の時には、ブッシュ前政権の間にということで、時間の利益は、北朝鮮側にあったかもしれませんが、今やオバマ政権が誕生して、そういう意味では時間の利益は、こちら側にあると思います。したがって、焦ることなくじっくりと対応していけばいいと思います。もちろん、拉致の問題等もありますので、ゆっくり構える訳にはいきませんが、焦って我々からいろいろな提案をするとかいう必要はないかと思います。

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副大臣、政務官に関する人事

(問)副大臣、政務官の人選についてお尋ねします。

(外務大臣)副大臣、政務官の人選について、私としては、平野官房長官に希望は述べていますが、恐らく同じ人に集中する現象があるかもしれませんし、委員長等の国会人事とも重なってくるので、調整が必要だと思います。本日の閣議、閣僚懇談会でもそういった話は出ました。私としては、明日の然るべき時間までに調整してもらうことを期待しています。具体的な名前は、今申し上げられる段階ではありません。

(問)副大臣、政務官の人事に関して、今、名前を述べられる段階ではないということですが、希望を述べる段階で、どういった基準で、どういったプライオリティーを勘案されて希望を出されたのでしょうか。

(外務大臣)一つは、個人の能力。もう一つは、チームとしてしっかり活動できるという視点で、私の方でしっかり候補者を選択させて頂きました。

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国家戦略室と外交政策の関係

(問)菅直人副総理が担当される国家戦略室と外交政策をどのように両立させていくのでしょうか。

(外務大臣)国家戦略室は、未だ法律に基づく組織ではありませんので、弾力的に考えなくてはいけませんが、基本的に私の理解は、一つは予算に関すること、当面はこのことに相当なエネルギーを割かれると思います。予算に加えて、鳩山総理が、具体的にこの問題について、国家戦略室で取り扱えと指示される問題、その中には外交も含まれるでしょうが、そういった問題を国家戦略室で取り扱うことになると思います。現時点では、外交に関する指示は出ていないと理解しています。
 おそらく次の臨時国会では、国家戦略室を法律の形で出すことになると思います。国家戦略室をきちんと位置づけて、所掌の問題等をきちんと整理することになると思います。

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日米外相会談

(問)早ければ来週にも、日米外相会談が行われる可能性があると思いますが、その一回目の会談で外務大臣は、密約の問題や米軍再編の問題等を提起される考えはありますか。

(外務大臣)密約の問題については、調査を開始したという事実は伝えなくてはならないと思いますが、米国側にも影響が及ぶ可能性はあると思います。どこまで公開できるかという、我が国だけでは判断できない問題も出てくるかもしれませんので、そのようなことは米国に断っておく必要はあるかと思います。その他の個別具体的な話について私は、初めて米国側と会うので、もう少し時間を見た方が良いのではないかと思います。双方の信頼関係を深めあうことを中心に、日米同盟の重要性の共通認識を持つことに力点を置きたいと考えております。

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軍縮・不拡散

(問)外務大臣は、かねてより軍縮・不拡散に熱心に取り組んで参りました。前任の中曽根外務大臣も、我が国で来年にも軍縮の国際会議を開催したいとの考えを表明されましたが、岡田外務大臣は、そのような会議を開催されるお考えはありますか。

(外務大臣)私は詳細を承知している訳ではありませんが、そのような機会があれば是非活かしたいと考えております。そもそも核の核軍縮、不拡散の問題については、今年の秋に広島で、共同議長である川口元外務大臣とエバンズ元豪外務大臣による報告書が出来上がって、会議が開催されるということもあります。様々な場面で我が国がもっと前に出るべきだという様に考えております。先般、川口元外務大臣からは、現状についていろいろ御報告を頂きました。出来れば、エバンズ元豪外務大臣とも直接話したいというメッセージを、近々エバンズ元豪外務大臣と会う予定の皆様に託したところであります。

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集団的自衛権

(問)集団的自衛権の問題ですけれども、現在の政府解釈だと集団的自衛権の行使は禁じられているわけですけれども、これを見直す必要性があるとお考えでしょうか。もしくは、鳩山政権においては政府解釈を踏襲するのでしょうか。

(外務大臣)これ(集団的自衛権の解釈)を変える、ということを(民主党の)マニフェストその他にうたったということはありません。そこは私の意見を言わせてもらうと、これを早急に変える必要はないと考えております。ただ安倍政権の下で四類型でしたか、さまざまな議論をいたしました。いろんな種類のものが含まれていたと考えますけれども、既存の解釈を少し広げる中で、あるいはそれで十分なものもあるかもしれませんし、基本的に集団的自衛権という概念を認めないとできないこともあるかもしれません。その辺の議論は必要だと思いますが、私は、集団的自衛権を幅広く認めていくということは、少なくとも憲法との関係でいえば、海外における武力行使に制限的であるという憲法9条の基本的考え方とかなり矛盾する問題だと思っています。

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東アジア共同体

(問)大臣はかねてより東アジア共同体の構築ということをおっしゃっておられますけれども、具体的にどういったことをどういった時間軸で進めていきたいとお考えでしょうか。

(外務大臣)わたくしだけではなくて、実は鳩山総理も言われています。もちろんEUのように通貨も一つになったり、政治的な統合も進んでいくというようなイメージではなかなかありません。やはり体制の違う国がその中にあるわけです。みんなが民主主義国家というわけではありませんから、政治的な統合というのはかなり先の話だと思います。しかし、経済的な相互依存関係という意味でいえば、EUほどではありませんがNAFTAよりは相互依存が進んでいるし、最近更にそれは深まっております。そういう経済面での相互依存の深まりということを、経済だけではなくその周辺にも広げていく、例えばエネルギーや環境、保健とかインフルエンザの問題とか、ということで多層的に相互依存を深めていくということが、私はこの地域の平和と安定にも大いにプラスになると考えております。ですからできるところからことからしっかりやっていく、というアプローチで当面いいと思います。

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日中関係

(問)日中関係ですが、まもなく日中韓首脳会談もあると伝えられておりますが、今後どういう風に中国と向き合っていくのか。近く中国のGDPが日本を追い抜くと言われています。大変な勢いで経済、各方面で国力をつけてきておりますけれども、その中国というのを脅威と見るのか、あるいは違う見方をされるのかがまず一点。それから、これまで日本の歴代内閣と中国共産党との間で、四つの重要文書があります。最近では福田元首相と胡錦濤国家主席との間で戦略的互恵関係の共同声明を締結したわけですけれども、これを踏襲するのか、この二点についてお伺いしたいと思います。

(外務大臣)まず後者から言いますと、戦略的互恵関係という言葉は、鳩山さんは既に使われています。したがって、基本的に四つの文書についてはそのまま引き継がれていくと、私は判断しております。戦略的互恵関係とはなかなか分かりにくい言葉で、僕は普通の人が聞いてわかるかなという感じはありますけれども、しかしこれは中国側も熱心に唱えられた単語、ワーディングでありますので、それをそのまま引き継いでいいのかなと、鳩山首相もそのまま使われておりますから、そう思います。脅威については、確かにGDPで見れば日本は追い抜かれるということかもしれませんが、人口が10倍違うわけですから、あまり大げさに考える必要はない。むしろ中国の経済が非常に成長しているということのメリット、恩恵もたいへんもあるわけで、現に日本の経済というのはその恩恵を享受しているわけですから、あまりネガティブに考える必要はない。しかし、それだけ政治的にも経済的にもパワーを持った国がすぐ近くにあるということ、プラスマイナスという観点ではなく、そういう事実はしっかりと踏まえて、様々な政策をとっていく必要があると思います。

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核の先制不使用

(問)核の先制不使用政策について聞きたいのですが、核兵器廃絶に向けた取り組みに関して、官邸での会見で300日プランによる少し長期の取り組みになるという話をされていたと思いますが、先程述べられたエバンス、川口両氏の核軍縮委員会が、核先制不使用への支持を米国にも求める内容を主とした報告書を年内にまとめ、米国が核態勢の見直しをやはり年内に国防総省を中心となってまとめて議会に提出するようです。今まで日本政府は一貫して化学、生物兵器に対しても先制使用で守ってくれるよう求めてきたと思うのですが、この機会に年末にかけて日本を守ってもらうために核の先制使用は不要だというメッセージを何らかの形で発するお気持ちはございますでしょうか。

(外務大臣)私の持論はそういうことですが、今回大臣になりましたので、事務当局によく聞いてみたいと思います。エバンスさん、川口さんの報告書は政府のものではありません。有識者としての世界各国から集まった人たちの一つのレポートでありますので、私は日本政府がいかなる考え方を採ったとしても、それとは独立して自らの信ずるところに従ってレポートをおまとめになったらどうかと考えております。

(問)政府はとしてトラック2のレポートであっても、そういった何らかの意思表示がないと、結局は報告書も絵に描いた餅になりかねないと思うんですけれども。

(外務大臣)報告書が提出された上で政府としてもう一度きちんとした議論をすればいいのではないかと思っています。ただ、核の先制使用、例えばそれが大量破壊兵器に対する報復であったとしても、つまり生物兵器や科学兵器を違法に使われたことに対する報復であったとしても、核を先制使用するということは倫理的にも、そして核を将来なくしていこうという考え方からいっても、なかなか認めがたいことではないかという風に私は現時点では思っております。このことは核で攻撃を受けたときに核での報復を禁ずるものではありませんので、先制使用はアメリカだけではなく、核を保有している国々が先制使用しないということをお互い確認するというのは、どこまで実行を確保できるのかという問題もありますけれども、核廃絶に向けての一歩になるのではないかという風に現時点では思っています。
 併せて、核を持っていない国に対する核の使用は、他の大量破壊兵器それ自体が違法となっていますが、核はそういう扱いにはなっておりません。核を持っていない国に対して核保有国が核を使うというのは、私はそれ自身が違法だという議論が成り立つ可能性があると思っています。

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WTO交渉

(問)WTO交渉、あるいはEPA、FTA交渉でのスタンスに関しまして、大臣は前政権までと違ったカラーを出していくことになるのか、さらに、今月上旬のWTO非公式閣僚会合に閣僚が出席しなかったことは前の政権だったということがありますが、閣僚が参加できなかったことへのお考えをお聞かせください。

(外務大臣)閣僚が出席しなかったことは無責任ではないかということは、我々はそのときに申し上げたことであります。そして、これからどういうスタンスで臨んでいくかということは、まだ政権が今日始まったばかりなので議論しておりません。関係省庁とよく議論しながら対処方針を考えていきたいと思います。現時点ではまだ決めておりません。

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中曽根外務大臣会見記録(平成21年9月16日(水曜日)9時40分~ 於:本省会見室)

冒頭発言-離任挨拶

(外務大臣)昨年の9月24日に外務大臣を拝命致しまして、早いもので約1年となりました。この間、報道の皆様には大変お世話になりまして、お礼を申し上げます。
 外交はいろいろな課題がある訳ですが、麻生総理のご指導の下、首脳外交、或いは外務大臣、それぞれの立場での外交がありますが、私自身日本外交の責任者として全力で取り組んでまいりました。
 特に日本外交の基本的な方針である日米関係、日米同盟を中心とした日米関係の強化と維持。また近隣諸国との関係、そのような意味では、昨年福岡で日中韓三カ国の独立した首脳会合が開かれました。このことについても、そのような形で良いスタートが切れたと思っております。米国との関係に於いてはオバマ大統領の新政権が今年初めに発足を致しましたけれども、米国の新政権と共に日米関係の諸課題について協議を行い、関係の強化ができたと思っておりまして、そのような意味では米国の新政権とも良いスタートが切れたのではないかと思っております。
 細かいことはその時々の記者会見で申し上げております。残る課題としては、新しい政権がどのように海賊対策や船舶検査の問題、或いはインド洋での補給支援活動について対応されるかという、私自身いつも申し上げておりますように、新しい政権にも是非継続して国際社会の中での信頼を維持しながら日本としての役割を果たして欲しいと思います。
 北朝鮮の問題につきましては、在任中、北朝鮮が弾道ミサイルの発射や核実験等を行いまして、特に4月のミサイル発射、5月の核実験、その後は国連の安保理に於いて我が国は主導的な立場でリードをしながら、関係国と協力をしながら強い決議が出来たのは良かったと思っております。これを是非実効あらしめなければならないし、その関係におきましては船舶検査の法案を一日も早く成立させなければと思っています。また、北朝鮮との関係では拉致と核、ミサイルを包括的に解決するということで、我が国として取り組んでまいりましたけれども、その中で拉致問題に大きな進展がなかったというのは大変心残りです。
 昨年の夏に北朝鮮とは合意がなされて、権限ある調査委員会を立ち上げて調査のやり直しをする約束になっておりますが、まだ果たされておりません。このことについては引き続いて日本政府として強く働きかけをする必要があると思っております。
 核の関係で言えば、オバマ大統領が4月に「核兵器のない世界」という演説をされましたけれども、ご承知の通り私も4月に我が国の考え方を具体的な「11の指標」として発表致しました。これらが来年のNPT運用検討会議に繋がることを期待しておりますし、引き続いて唯一の被爆国として先頭に立って核軍縮、不拡散については我が国として努力していく必要があると思っています。
 昨年12月には「クラスター弾に関する条約」、私自身がオスロに行って署名できたことは良かったと思っております。
 その他、気候変動の問題、あるいは国際金融経済やODA等いろいろな課題はありましたけれども、これらの国際的な課題につきましては米国を始めとする諸国と協力をしながら日本としての役割をしっかり果たしていく必要があると思います。そして何よりも、外交は国際社会の中での信頼が大事であり、継続性が大変重要であります。その中に於いて日本独自の外交というものもあると思います。そのような多様的な、効率的な外交のあり方というものを今後も進めていって欲しいと思います。
 来年はAPECが日本で開催されるということでありまして、これについても成功させなければなりません。
 最後に在任中、大臣として仕事をするにあたりまして、多くの方のご協力を頂きました。特に外務省の皆さん、在外公館の皆さん、多くの皆さんにご協力を頂いたことを感謝する次第であります。

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外務大臣在任中の所見と新内閣への期待

(問)約一年間取り組まれてきた中で何か足りなかったところ、心構えとしてもう少し出来たのではないかという心残りの点がありましたら教えて頂きたいのと、就任前にイメージしていたことと現在一年間を終えて、自身で採点すれば何点くらいになるでしょうか。

(外務大臣)先に二番目の質問ですが、採点は皆さんの方でして頂ければ良いのではないかと思います。私自身は、限られた時間の枠の中で精一杯やってまいりました。心残りの事という最初のご質問ですが、ちょうどこの時期は補正予算、政府として景気対策に全力で取り組んでいましたから、昨年の秋から暮れにかけて、2回の補正予算と今年度の本予算、そして補正予算ということで、予算委員会が4回も開かれて、当然の事ながら大臣としてそれへの出席、答弁がありました。また、重要案件ですから当然の事ですが、海賊対策の法案やインド洋補給支援活動の延期、或いは核実験が行われたことによる安保理決議等で、かなりそれらの対応に時間もかかりました。そういう中で国際会議等の出席とか、或いは二国間の会談とかというものが私自身は土日中心の出張でしたし、副大臣、政務官には大変活躍をして頂きました。安保理の非常任理事国に今年からなり、これは非常に良かったと思いますし、またその成果も出てきている訳です。そういう中で、もっともっと国際社会の中で顔の見える外交をやるべきだと思っています。そういう意味では行きたい会議等に行けないことも幾つかありました。一方でクリントン米国務長官を始め各国の外相はしょっちゅう顔を突き合わせてやっているという国際外交の場を見ますと、日本の外交のやり方を更に研究、改善する必要があるだろうと思います。本来、副大臣、政務官が大臣と連携しながら答弁に立って頂いたりして外相が海外に行くとかいうことであったと思うのですが、そういう点がなかなか当初の考えていた通りになっていないのではないか、そういう点は改善をして頂きたいと思っています。

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中曽根外務大臣会見記録(平成21年9月15日(火曜日)10時55分~ 於:本省会見室)

冒頭発言-天野大使の次期局長任命のIAEA総会での承認

(外務大臣)昨14日、ウィーンにて開催中の第53回IAEA総会につきまして、天野之弥核不拡散・原子力担当大使の次期IAEA事務局長任命が正式に承認されました。IAEAは、我が国を含む国際社会にとりまして極めて重要な役割を果たす国際機関でありますが、今般、天野大使が次期事務局長への任命が正式に承認されたことは大変喜ばしいことであります。天野大使が今後も、核不拡散と原子力の平和利用の推進のために、すべての加盟国と協力して、その責務を充分に果たされることを期待しております。
 我が国としても、原子力の平和利用のモデル国として、IAEAの活動に一層積極的に貢献していく考えです。

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北方領土問題

(問)麻生政権の締め括りにあたって、日露関係、特に領土問題についておうかがいしたいと思います。麻生総理の下では、昨年11月に大臣とラブロフ外相との外相会談に始まって、リマですとか、或いはラクイラまで様々な首脳レベルの会談が重ねられてきましたけれども、成果という面では大きな進展がなかったのではないかという指摘もあります。麻生政権の一連の領土問題の交渉についてどのように総括されるのかということと、民主党の鳩山代表が昨日の一部メディアとのインタビューで領土問題について、半年から1年以内に進展させたいという旨の発言をされましたけれども、次期政権に領土問題について望む点があればお聞かせ下さい。

(外務大臣)領土問題は大変重要な問題で、北方領土の問題は国家にとっても最重要課題でありますし、解決というのは長年の問題であります。この麻生内閣時代に大きな進展がなかったということは残念でありますし、また担当する外務大臣としてもこの件については非常にいろいろな思いがあります。
 麻生総理を先頭に、ロシアの首脳とも度々の会談の中でこの問題の解決について努力をしてまいりました。先方もこのことについては継続して、更に協議をしようということになっておりますので、これは次期内閣に於いて、半年という話しもありましたけれども、一日も早く前進するように、そして、全面的な解決が図られるように次の内閣に期待をし、努力をお願いするところであります。

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在日米軍再編問題

(問)在日米軍再編に関してですが、大臣は先日グアム協定の署名などを通して米軍再編の推進に尽力されてきたと思うのですが、一方で沖縄県内の方では現行の県内移設を前提とした現行案の推進への反対の声も根強いのですが、新政権は普天間飛行場に関しては県外・国外移設を目指すという考えを示されていますが、外務大臣の経験を通して新たな政権が米軍再編を進めるにあたってアドバイスのようなことを示すとすれば、どういうことを期待しますか。

(外務大臣)アドバイスというようなことが宜しいのかどうか、差し出がましいかもしれませんが、これは国家にとって、また沖縄の県民の皆さんにとっても大変大事なことですから、このことについては新しい政権になりましても引き続いて米軍再編が予定通り、計画通り一日も早く進展するよう努力をお願いしたいと思います。ご承知の通り、長い時間をかけてロードマップが合意をされて、今お話があったような海兵隊、また家族のグアム移転も既に進んでいます。また、21年度我が国の予算、米国の上院ですか、そこでも承認がなされたと承知をしている訳で、沖縄の皆さんの負担軽減のためにも抑止力を維持しながらこの再編が進むことは大変大事なことだと思っています。普天間基地の県外移転については、鳩山代表は最初、国外、県外だと仰っていたと思うのですが、今は県外という形になってきていると報道で承知しています。県外ということであれば何処なのかということもひとつ問題ですが、今のロードマップはいわゆる3点セット的な形になっており、海兵隊がグアムへ移転することによって嘉手納以南の大変膨大な土地、聞くところによると、大ざっぱに言って千代田区くらいの面積があるという話も聞いています。こういう土地が返還されることによって沖縄の発展に、活用の仕方によりますが、間違いなく大きく資する訳ですし、勿論普天間移転は地域住民の皆さんの長年の騒音や事故やいろいろな面での負担を取り払うことになります。そういう点からも現在の計画に沿って、是非新しい内閣にはこれを進めて頂きたいと思っています。

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インドネシア・コタパンジャンダム事業訴訟に関するテレビ朝日の報道について

(外務大臣)外務省ホームページでご覧になったかもしれませんが、インドネシアに対する我が国のODA事業について、事実誤認、そして不適切な報道がなされました。我が国政府のODAについて国民の皆さん、視聴者に誤解を与えるものであり、大変遺憾に思っています。今後報道については適切に行って頂きたいと思います。また当然のことながら、事実確認を外務省等にしていただいた上で、放送・報道をお願いしたいと思います。

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内政(八ッ場ダム建設問題)

(外務大臣)新政権に関連して、私は群馬出身の国会議員として申し上げますと八ッ場ダムの問題があります。
 これについてはさんざん取り上げられていますから皆さんも御承知ですし、国民の皆さんの関心も高いと思うのですが、50年近くかかって住民の皆さんの合意を得て、また国・県・近隣の都県で進めてきたものでして、これが急に中止ということになると逆にどれ程の費用がかかるか、混乱するか、或いは今後の地域の発展に支障をきたすかと、大変大きな問題であります。既に暫定水利権という形で近隣の県や市・地方公共団体が水も利用していますし、治水・利水両方の面で大変大事な事業です。こういう点から是非継続をしてほしいと、地元出身の議員として私の考えを述べさせていただきました。

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中曽根外務大臣会見記録(平成21年9月11日(金曜日)10時55分~ 於:本省会見室)

冒頭発言-「ソマリア周辺海域海賊対策に関する第4回コンタクトグループ会合」の開催

(外務大臣)ニューヨークの国連本部で開催されておりました「ソマリア周辺海域海賊対策に関する第4回コンタクト会合」が先ほど終了したとの報告がありました。
 この会合は、ソマリア周辺の海賊対策に関連する国連の安保理決議に基づいて設置された主要な枠組みであり、今回はじめて我が国が議長となったものであります。今回の会合では、我が国の積極的な働きかけを受けて、前回を大幅に上回る45カ国の参加を得ることが出来ました。
 特に我が国からは、国際海事機関(IMO)に14億円を拠出し、周辺4カ国に海賊対策のためのセンターを造ることを表明し、各国から高い評価を得たということです。訓練センターとか情報共有センターというものです。

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インド洋における補給支援活動

(問)アメリカのモレル国防総省報道官が、インド洋での給油活動の継続を記者会見で求めましたけれども、日本の一部にはこれを外圧だという受け止め方もあるようですけれども、大臣の受け止めはいかがでしょうか。

(外務大臣)インド洋における海上阻止活動というのは、テロ撲滅のための一環であります。アフガニスタンのテロ対策というのは各国が協力してやらなければならないことでありまして、我が国の海上自衛隊の補給活動はその円滑な実施を下支えするものであります。これについては、私も外相就任以来、各国の首脳や外相と会談いたしましたけれども、大変高い評価と、継続の要請や期待というものを強く受けております。ヒラリー・クリントン米国務長官との会談でも、そのことについてはっきりとした、継続に対する期待といいますか、要請というようなものがございました。
 本日は9.11で8年前にニューヨーク貿易センタービルへのテロがあった日にあたります。インド洋での補給支援活動というのは、国民の皆さんからすれば遠いところでの活動のように思われ、テロ撲滅活動と聞いてもあまり身近に感じられないかもしれませんが、これは9.11のテロの時にも24名の日本人の尊い命が失われている訳ですから、これは国際社会が協同して対応しなければならないことでありますし、我が国としても活動を行う訳です。その中で海上自衛隊の活動として相応しいものであり、各国からも評価を得ているものですから、私はこれを是非継続していくことだと思っております。
 付け加えますと、鳩山代表がこのインド洋での海上補給支援活動を止めて、何か新しい支援活動を検討しているような報道を見ましたけれども、何をお考えなのか。ご承知の通り、我が国としては既にアフガニスタンにおいて、いろいろな人道支援活動を展開しております。学校を500校建設したり、井戸を450本掘ったり、幹線道路を650km造ったり、或いはポリオやBCGのワクチンを4000万人分供給し、30万人の識字教育や1万人の教員養成をしたりとか、カブールの国際空港のターミナルビルを建設したり、稲作指導、灌漑活動とか、いろいろやっている訳ですから、自衛隊の海上給油活動を止めて何をされようとするのか、今何が不足なのか、私には既に各国からこのようなことについての高い評価を得ておりますので、むしろ車の両輪である海上の補給支援活動を続けなければならないと思っております。

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核密約問題

(問)密約問題ですが、政権交代を目の前にして民主党はこの問題の解明を進めてくると思いますが、現時点で何かそれを見据えて外務省として対応を始めているということはありますでしょうか。

(外務大臣)民主党関係者の発言を詳しく承知しておりませんので、コメントすることは差し控えたいと思いますが、いつも申し上げておりますように、政府の立場としては密約は存在しないということに尽きる訳です。新政権の方針についてもコメントする立場にありませんが、それは新しい大臣のお考えやご指示によって事務方が今後対応していく事だと思っております。

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在日米軍再編等

(問)先日纏まった、民主党、社民党、国民新党の連立政権樹立政策合意の中で、特に沖縄に関する問題について、在日米軍基地の在り方を見直す方向で臨むとか、地位協定の改訂を提起するということが盛り込まれていますが、この点について大臣はいかがお考えでしょうか。

(外務大臣)沖縄を中心とする米軍再編については、既にロードマップに則って実施が進んでいる訳ですし、ご案内の通り、平成21年度の予算においても約346億円が、既に計上されて、これも交換公文に基づいて支給もされているものですし、米国政府も上院のこれに関する予算については確か承認をされていると私も承知しています。普天間基地は確かに私も行きまして、あのままでは住民の皆さんの大変な負担だということで、そのようなところから負担の軽減を図る、そして抑止力を維持しながら負担の軽減を図るということで、日米政府が長い間議論をして、また地域の住民の皆さんともいろいろ話し合いをして決まったものですから、これは着実に実施をしていくべきものだと思っています。海兵隊とその家族のグアムへの移転によって、嘉手納以南の多くの土地や建物が返還される訳で、それを沖縄の発展のために有効に使うというプラス面もある訳です。ですから、これは従来通り着実に実施していくということが私は正しいと思っています。
 地位協定については運用等で対応してきた訳です。これは、新しい政権がどうされるかということについては、私はコメントは差し控えたいと思います。

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内政(事務次官会見の廃止)

(問)民主党から伝えられているところによると、民主党政権では事務次官会見を廃止しようという動きがあるのですが、政と官の関係においてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)そういう考えがあるということを私は詳しく承知しておりませんのでコメントも適当でないかもしれませんが、大臣の会見、或いは副大臣、政務官の会見等とまた違って、詳細な各省の活動状況等の説明を国民の皆さんにすることも出来ると思います。私はそういう点から考えてもこれはあって良いものではないかと思っています。ご発言の趣旨がよく分からないので、お答えにならないかもしれません。

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中曽根外務大臣会見記録(平成21年9月8日(火曜日)10時55分~ 於:本省会見室)

冒頭発言-「ODAの不正・腐敗事件の再発防止のための検討会」報告書の受領

(外務大臣)本日、「ODAの不正・腐敗事件の再発防止のための検討会」の報告書を、座長である渡辺拓殖大学学長より私が受領することになっております。これは、昨年8月の政府開発援助(ODA)事業を巡る株式会社パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI社)による不正事件を踏まえ、私が指示をして外部の有識者等からなる検討会を設置して、この検討会で同様の不正腐敗事件の再発防止に向けた検討を行っていただいたものです。報告書を受領した後、座長から皆様に報告書の内容について説明を行っていただくこととしております。

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内政(政権移行関連)

(問)まだ正式に決まったわけではありませんし、報道や民主党内部での話ではあるのですが、次期外相に民主党では岡田氏を内定したと言われているのですが、当然引き継ぎとか個人的な引き継ぎも行われると思うのですが、そういったこととは別に、次期外相になられる方に日本外交についてどういうことを引き継いで欲しいか等メッセージがあれば一言。

(外務大臣)今、外交というか国際社会でいろいろ問題がありますが、課題が非常に山積しています。北朝鮮問題とかテロ対策とか、或いは気候変動や国際金融経済危機とかいろいろある訳で、非常にそういう課題が山積していて、外交も非常に難しい時期だと思います。岡田氏はベテランですし、外交についての見識もしっかりしたものをお持ちと伺っていますので、しっかりとやって頂けるものと思っています。私が外務大臣に就任して各国の外相をはじめとする方々とお会いして、日本に対する期待というものが非常に大きいと感じてきました。それから信頼も厚いということでありますが、そういうものを損なわないようにすることが非常に大切なことだと思います。外交がうまくいきませんと内政もうまくいきません。また内政がしっかり安定していなければ外交もうまくいかないと思っていまして、今回の選挙ではあまり外交について注目されなかったようですが、しっかりとやらなければと思いますし、やって頂きたいと思っています。大事なことは、やはり継続性というものが大切ですし、それから何より国益中心で外交を進めていくということです。
 それから当然の事ながら信頼関係で外交というのは成り立つと思っていますから、相手国との信頼関係というものもしっかりとしたものを構築していく、それから維持していくということではないかと思っています。特に日米関係については、これは鳩山代表もオバマ大統領との電話会談やルース新駐日大使との会談等でも、これをしっかり堅持していくというお話だったようですから、このことはしっかりと今後も良好で緊密な関係を維持していって頂きたいと思っています。

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中曽根外務大臣会見記録(平成21年9月4日(金曜日)10時57分~ 於:本省会見室)

北朝鮮関連(北朝鮮国連大使から安保理への書簡)

(問)北朝鮮が国連安保理の制裁に反発して安保理議長国に対して書簡を送りました。対話か対決かと選択を迫る一方で、ウラン濃縮実験に成功したという内容が含まれているようですが、まずその書簡についてどういう受け止めをされているのか、また政府としての対応が何かあれば教えてください。

(外務大臣)朝鮮中央放送は、北朝鮮の国連代表部常駐代表が国連の安保理議長を務める米国代表宛に国連安保理決議第1874号に拘束されない、核燃料棒再処理やウラン濃縮が最終段階に入ったとする書簡を送付した旨発表したものと承知しています。我が国を始めとする国際社会の一致した立場として、北朝鮮の核保有は断じて容認できるものではなく、北朝鮮に対し、改めて、緊張を高める言動を慎み、関連する安保理決議を履行し、六者会合共同声明の完全実施に向けて建設的に対応することを求めていきます。

(問)北朝鮮がこういう対応に出た背景をどのように見ていますか。

(外務大臣)北朝鮮の考えを私どもが憶測するのは適当ではないですが、クリントン米元大統領や韓国の経済人の訪朝とか、いろいろな動きがあります。国際社会が共同して北朝鮮への安保理決議の履行、実施を進めているということがある訳です。私どもとしては 北朝鮮の核問題を始めとする拉致問題、ミサイル発射の問題という諸懸案が六者会合をはじめとする関係国との対話を通じて、平和的かつ包括的に解決されることが重要であると考えています。引き続き米国や韓国、中国等の関係国と緊密な連絡をとって、しっかりと連携してやっていきたいと思います。

(問)現在、政権移行の段階にある訳ですが、民主党側に対して今回の北朝鮮の書簡について、どの程度情報提供をされるのでしょうか。独自に入手した情報であるとか、外交ルートを通じて得られた、いわゆる機密情報などについても民主党側に説明する用意はあるのでしょうか。

(外務大臣)これは最初に申し上げましたように、朝鮮中央放送が発表したものでありまして、私たちとしては、(北が)国連安保理議長に送った書簡を見ている訳ではありません。報道を通じて承知している訳でありまして、今の段階で民主党に対して外務省なり、或いは現内閣からお話しするということはないと思います。

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内政(小沢代表代行の新幹事長就任及び首班指名)

(問)民主党の小沢代表代行が幹事長に就任されるという報道がありますが、どのように見ていらっしゃるかという点が一つと、もう一点は自民党内では首班指名にどのように対応するかということについて、まだ様々な意見が割れているようですけれども、これについて大臣の意見をお聞かせ下さい。

(外務大臣)小沢代表代行を幹事長にということは民主党の党内のことですから、民主党内の人事について私がコメントするのは適当ではないと思います。
 首班指名については、前回の記者会見でも申し上げましたけれども、残念ながら首班指名における我が党の国会議員の対応について未だ方針が決まっていない。大変残念に思います。
 本来総裁選びあるいは首班指名候補の選出というものは首班指名の国会前に行われるのが適当であり、これは誰もがそう思っていると思いますが、やはり客観的に見て時間的にも物理的にも時間がない。やれるという方もいらっしゃいますけれども、やはり今回の選挙にこれだけ負けたのですから、地方の皆さんの声とか、我々自身も充分に反省をして、そして新しい総裁はどのような人が相応しいかということを冷静に考えて対応、行動していくことが大事だと思います。このようなことを考えると時間がないかなと思っております。したがって執行部が決定した選挙日程は適当だと思います。それから、誰の名前を書くかということについては麻生総裁の下で一丸となって戦って、そして国民の皆さんの審判が下った訳です。次の首班指名までは麻生総裁の下で一致した行動を取るべきだと、それについて私は党所属の国会議員全員が「麻生太郎」と書くのが筋だと思います。
 選挙の結果は厳粛に受け止めますけれども、これは選挙の結果であって議員が選ばれたということでありますから、その議員が首班指名で議員としての役割といいますか、一票を投じることで完結するのだと思います。ですから、それは麻生総裁ということでよろしいのではないでしょうか。或いは完全に皆さんが一致して、こうしようという別のアイデアがあればそれはそれで良いです。大事なのはここは一致団結して新しい自民党の出発に向けてのスタートを切るということだと思います。

(問)白票で一致したら良いのではないかという意見もあるようですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)全員が白票でということであれば、それはそれでまとまるということが重視されると私は思っていますから良いと思います。ただ白票というものがどういう意味をなすのか、白票というのは民主党の候補者、これは鳩山氏なのでしょうが、に対する信任的な、そういう票そのものの本来の意味があるのであれば、ちょっと問題かなと思います。つまり鳩山氏を我々としては当然の事ながら承認しない訳ですから、そういう意思表示というのも大事だと思います。そういう意味で、麻生総裁ということで最後までやるというのが筋ではないかと個人的には思っています。ただ私は最終的にまとまってこうしようということになれば、勿論、党所属の国会議員として同じ行動を取るつもりです。

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中曽根外務大臣会見記録(平成21年9月1日(火曜日)10時06分~ 於:本省会見室)

内政(衆院選結果)

(問)衆院選の結果ですが、自民党にとって大変厳しい経験だったと思います。大臣は選挙前に政策を見て欲しいと仰っていましたけれども、国民の現内閣に対する審判というものをどのように受けとめていますか。

(外務大臣)大変、政府与党にとっては厳しい結果になった訳ですが、これは国民の皆さんの判断の結果ですから、これは厳粛に受け止めなければならないと思います。また総理も仰っていますが、私達も反省すべき点が多々あったのではないかと思います。また私は選挙中もいろいろな所で申し上げたのですが、何故内閣支持率が下がってしまったのか、何故自民党離れが起きているのかということは、今回の選挙で私達の政策や訴えを一方的に行うだけではなく、やはり県民、国民の皆さんのご不満やご要望、或いはご期待を今回の選挙はしっかりと受け止める必要があると思って発言もしましたし、そういう気持ちで私も選挙に臨んできました。そういうものを受けた上で、自民党としては出直しをしなければならないと思っております。選挙前から厳しい結果になるという報道を始め、そういう予想がありましたので、この選挙は我が党にとっても、ある意味では出直しの選挙といいますか、スタートであると私自身は受け止めてやって参りました。民主党のマニフェストには財源の裏付けがないものがあったり、或いは外交・安全保障面については、前の記者会見でも申し上げましたが、日米関係を緊密化する、重視すると仰っていながら、実際の政策、例えばソマリア沖の海賊対策、インド洋における補給支援活動、或いは日本にとって国民の生命、財産に関わる北朝鮮の核実験や弾道ミサイルの発射等を止めさせる、或いはそれに備えるための船舶検査法案を審議拒否して廃案にするなどがありました。或いは普天間飛行場、いわゆる米軍再編のロードマップについての見直し発言等もありまして、米国との関係を強化、緊密化するどころか、私としては関係を弱体化するといいますか、また国際社会の信頼を失うということになるのではないかと前から申し上げている通りです。報道によると国務省のケリー報道官も昨日の会見で、米軍再編についてロードマップの見直しは有り得ないと発言されたように聞いておりまして、鳩山代表は普天間飛行場の移転代替地の場所について県外と仰っていますけれども、本当にそういう形で沖縄の負担の軽減と日本の防衛がしっかり出来るのかと心配しています。政権が移る訳ですから私の立場からすれば、日米関係重視ということは当然の事でありますので、関係を緊密化して日米同盟を中心とする日米関係が更に良好になるように新しい内閣には努力をして頂きたいと思います。

(問)自民党の総裁選についての対応をどのような形で、どの時期にやるべきかという点と、特別国会が自民党総裁選より早くなるという日程が言われておりますが、その場合に首班指名で大臣は「麻生太郎」と現総裁の名前をお書きになるのかということ、その二点をお伺いしたいと思います。

(外務大臣)総裁選の時期について、新総理が国連総会等に出席するということであれば、国会の開会は、今言われておりますように14日の週ということになるのだと思います。そして首班指名が行われる訳ですが、それまでに我が党の新総裁を選ぶことについては、私は時間的には大変きついと思っており、今回の選挙の結果をしっかりと受け止めて広く全国の党員、国民の皆さん、特に総裁選という意味では地域、また党員の考えをよく聞いた上で、総裁選に反映するということが大切だと思います。
 できれば首班指名の前にやるのが好ましいのは、誰もがそう思っておられると思いますけれども、時間的に足りない、物理的に無理だと思います。やれるというご意見もありますけれども、しかしここはバタバタするのではなく、これだけ歴史的な大敗をしている訳ですから、じっくりと次へのスタートという位置付けで、新しい総裁選出については、正式な日程が発表されていますので、そちらの日程でしっかりとした総裁選の対応をやっていくというのが良いと思います。
 首班指名については、仮にそれ迄に我が党における新総裁の選出が出来ていないのであれば、今回の選挙は麻生総理の下で一丸となって戦ったのですから、「麻生太郎」と党所属の国会議員全員が書くのが私は筋だと思います。 国民の皆さんの審判で麻生内閣というものに厳しい結果が出た訳ですが、まず選挙結果が出たということであって、それを国政に反映するのは首班指名選挙です。それが最初ですから、そこでは私たちは選挙中に訴えて来たのと同じように麻生総理の下で、そこまでは対応するべきだと思います。

(問)総選挙の敗因について、もう少し具体的に、何がこのような結果に結びついたのかという大臣のお考えをお聞かせください。

(外務大臣)今からあまり敗因のことについて述べるのもどうかと思いますけれども、これは一つではないと思います。景気対策については度重なる補正予算、本予算という形で全力を挙げてやって参りましたから、そのような意味では政府の政策の大筋として間違っていなかった。これから、景気が更に改善されることを期待していますし、そうなると確信しております。また原因については、色々なごたごた、或いは内閣の閣僚自身の不用意な発言、行動、人事面等細かいことを個々に挙げても仕方ありませんが、全般として内閣の信頼といいますか、そのようなものを弱めてしまうようなことが内閣や党にあったと思います。
 それと、長年、自民党が政権を執ってきたことに対する、政権交代という民主党のスローガンとか戦略、それとマスコミが一体となった大きな嵐のようなものがあったと思います。

(問)14日の週に首班指名が行われる前に、政権移行のために民主党側と何らかの協議をやるべきだと思われますか。もう一つは沖縄の密約に関して吉野文六元アメリカ局長が裁判所に出廷する意向を示していますが外務省としてこれを許可される予定はありますか。

(外務大臣)政権移行の協議については先方からそういう申し出があるかわかりません。どういう趣旨のご質問かわかりませんが。

(問)首班指名を待ってから外交等政権移行の中の協議を始めるのか、アメリカ等だと政権の発足前に政権移行の協議を各分野で始めると思いますが、日本の場合はあまりルールがないので政治のレベルである程度合意しないといけないと思うのですが、先方から申し出があった場合には受けられるのか。

(外務大臣)結果が出た訳ですから、新しい政権が国家のために、国民が期待するような、過ちのないような政権運営をしてほしいと私達も当然願っていることです。そういう要望があれば、あるかどうかわかりませんが、今仰った通りそういったケースがないですからどこがどういうふうにお受けするのかわかりません。それぞれの大臣の立場から言えば引継をしっかりやることが大切だと思っています。今日総理からも引継はしっかりやるようにというご指示がありました。
 また、吉野元局長の話ですが、これについては8月25日に第2回口頭弁論が行われましたが、文書不存在による不開示の決定は情報公開法に基づき適切に判断して行ったものです。今訴訟係属中ですから、詳細についてはコメントを差し控えたいと思います。裁判所は証人尋問を行う意向と聞いていますが、次回の弁論で行われるとも聞いておりますが、いずれにしても訴訟継続中ですからコメントを差し控えたいと思います。

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東シナ海「白樺」油ガス田

(問)東シナ海の「白樺」ガス田についてですが、前回の記者会見で中国の船が横付けしたとのことでしたが、その後変化はありましたでしょうか。

(外務大臣)私達としてはこれを注目して見ている訳です。本件についてはあの時点での我々の見解を伝えている訳でして、引き続きこのことについては注視していきたいと思います。

(問)船自体は撤収したとか、あるいは別の作業をさらに始めたとか、そういうことはあるのでしょうか。

(外務大臣)そういうことについては私達は注目してみていますが、いずれにせよ、合意に背くようなことが発生すれば当然厳重に抗議するとともに、また内容や時期にもよりますが政府としてはそれなりの対応をきちっととるべきだと思っています。

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「密約問題」について

(問)密約問題について、最近藪中事務次官が記者会見での発言がやや軟化しているというか、ぶれているようで、「日米間に解釈の違いがあった」と言われたり、或いは「調査をやる可能性がある」ことに言及しています。あらためて外務省としては「核の持ち込みに関する密約」、及び「沖縄の返還に関する密約はない」という立場でよろしいのでしょうか。

(外務大臣)私の考えは前から申し上げているとおりで何ら変わりはありません。事務次官の発言に関しては基本的には私と同じスタンスであると思っています。当然外交ですからいつの時点のことを言っているのかわかりませんが、相手といろいろやりとりするわけですから、確かにやりとりがあったという発言だったと思います。当然やりとりというかコンタクトというものがなければ事前協議の対象とするとか、しないということがまとまる訳がありません。そういう意味で一般的なやりとりは、外交ですからやりとりがあるのは当然のことで、そういう意味だと私は解釈しております。

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