(外務大臣)先程の閣議決定を受け、明日29日に日本・スイスEPAの発効に関する外交上の公文の交換が行われまして、9月1日に本協定が発効する運びとなりました。この協定の発効により日本とスイス両国の経済が一段と活性化され、両国間の経済上の連携が強化されることが期待されます。
(問)民主党が昨日マニフェストを発表した訳ですが、特に外交分野についてどのように受け止めていらっしゃるか所感を伺いたいのですが。
(外務大臣)さっと民主党のマニフェストの外交部分を見て、一言で言えば、外交安全保障政策についてですが、今回の民主党の対応は非常に平和と安全をないがしろにするもので、無責任極まりないものだと思っています。例を挙げればきりがないのですが、今まで(民主党は)イラクの復興支援特措法或いは補給支援特措法に反対して、福田内閣の時、海上自衛隊がインド洋から一時撤収した。その間のロスがあり、また自衛艦が戻ったりするその燃料も無駄になった訳です。その後衆議院の3分の2の再可決で成立しましたけれども、去年の12月にもこれを1年間延長するのにも反対をしました。或いは、沖縄のロードマップ、米軍再編、沖縄の負担軽減、これについても、海兵隊のグアムへの移転に反対をしている訳でして、或いは北朝鮮の貨物検査法案、この間衆議院では可決しましたけれど、民主党が審議に応じないで最終的には廃案となり、不信任決議と問責決議が出た訳です。国際社会の平和と安定に貢献するということが日本の大きな外交の基本的な方針でもありますが、その為に行っているこれらの活動、特に北朝鮮の問題に関して言えば、我が国の国民の生命及び財産にかかわる大変重大な北朝鮮の行為が行われ、それに対して安保理決議が採択され、その後船舶検査法を整備しようとしていた訳で、そのような大事な法案も廃案になってしまいました。国家の外交安全保障をどう考えているのかと思います。或いは小沢代表(当時)の第七艦隊のプレゼンスだけで極東は大丈夫、十分だという発言もあった訳ですが、こういうことについても果たして本当にそれで日米同盟を堅固なものとしてやっていけるのかと、日本の安全保障は大丈夫なのかと、私は大変危惧をしています。また小沢さんのことになりますが、国連の平和活動に関する自衛隊の海外派遣について、たとえそれが武力を含むものであっても、憲法に抵触しないということをかつて仰っている訳であります。或いはインド洋への(自衛艦の)派遣は憲法違反ということも発言されたとも報道で聞いておりますけれど、そのような対応を今迄とってきて、今回選挙ということもあって従来と違うようなニュアンスの発言をされておられる。現実的対応をということを何処かで聞きましたけれど、それでは今迄非現実的だったのかと、そういうことを考えざるをえません。現実的対応をとることは勿論結構なことですが、今迄の国会審議は何だったのかと、国民の皆様にどう説明されるのか、はっきりと民主党の考えをお聞きしたいと思っております。自衛隊の活動を中断させた民主党が国民に対するきちんとした説明をしないまま、例えば補給支援活動を容認の立場に変えるというのは、ある意味では国民に対する裏切りではないかと思いますし、国際社会に対しても民主党は自分たちの変節というものをどう説明されるのかと思います。単なるそのような選挙を意識しての対応の変更、或いは大衆受けを狙った無責任な発言、このようなものは何よりも日米間の信頼関係を損なうものだと私は思っており、日米安保体制を揺るがしかねないものであります。さらには我が国の国益を損なうものだと思っております。外交安全保障というものは、政党としては一環した基本的な考え方が必要でありますし、余程のことがない限りはそれを堅持していくことが大事であると思っています。
(問)マニフェストに関してですが、民主党が公約の五本柱に外交を含めていないのですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)私もそれを見て何故外交が入っていないことだろうと不思議に思いました。生活中心ということなのかもしれませんが、入ってないということは、先程の外交に対する政策や、考え方が非常に曖昧である、従って十分党内で議論をしたのかどうか、その辺りも疑問であります。その中で今回の五つの約束に外交が入っていないということは私も民主党の考えをお聞きしたいと思っています。
(問)ARFの時に中国の楊潔チ外相と大臣が会談されましたけれども、選挙後も日本との関係を重視したいと仰られ、クリントン米国務長官との会談では給油活動は日本政府の不変の方針となることを期待すると、政権交代を意識している発言、という受け止めもあるのですが、その発言をどうお考えでしょうか。
(外務大臣)それは従来からの中国、或いは米国のお考えだと思います。確かに解散、選挙となりましたから、いろいろな考え方を持たれるかもしれませんけれども、そのような日中関係、或いは日米関係、これは揺るぎないということを再度仰っていたものであると思います。またインド洋への補給支援活動等は先方から、これについて今仰ったような発言があった訳でありまして、そのような意味で政権がどうという話ではなくて、日本の行っている外交政策に対する評価であると思っています。
(外務大臣)今日から私(大臣)がタイのプーケットで開催されるASEAN関連の外相会議に出席することに ついて、今朝の閣議で了解されました。
(問)今日からタイでASEAN関連外相会議及びARFがある訳ですが、五者協議が開催される予定があるのかという点と、北朝鮮が出席しますが、何らかの形で日朝の接触というのは予定されているのでしょうか。
(外務大臣)現時点では五者協議の開催について具体的な見通しというのはありません。いずれにしても、前から申し上げているとおり、五者協議は六者会合を代替するものではなく、やはり北朝鮮が六者会合に早く戻るということが大事ですが、五者協議も六者会合の前進を図るための方法の一つであろうかとは思います。
ただ、六者会合を早く再開して北朝鮮の核放棄を実現するための効果的な方法について、関係国とよく相談をしていきたいと思っていますが、六者会合の再開に資するものであれば、それは良いと思います。それから、日朝の接触というのは、確かに北朝鮮も参加しますが、今の段階でそのようなことが行われるのか行われないのか、何とも申し上げようがありません。
(問)本日解散ということで、麻生政権、自民党にとってこれからの命運を左右する大事な選挙ということでこれからの動きが気になるところですが、事実上これから選挙戦が始まるという時に大臣がASEAN関連外相会議という国際会議に出発されるというのは異例な気もするのですが、国際会議で訴えたいこと、目的等があればお願いします。
(外務大臣)衆議院は解散されるということになりますが、内閣は今日時点で終わりということではなく、私は外務大臣としての仕事と責任がある訳で、国際会議は前から決まっていたことであります。また各国が集まって重要課題を協議する訳ですから、出席するのは当然だというつもりでいますし、出席をして我が国のいろいろな立場をはっきりと主張してきたいと思います。特に北朝鮮の問題については従来通り各国への働きかけを引き続いてやっていきたいと思います。例えば北朝鮮の核の問題、或いは拉致を含む北朝鮮と我が国との間の諸懸案の解決について、更には時期的な問題では国連決議を各国がしっかり実行しましょうということを我が国が強く主張することが大事だと思っております。このようなことについての理解と協力を求めたいと思っておりますので、この会議は非常に重要ですから、出席させて戴くということで了解を戴いたということです。
(問)特にARFでは北朝鮮側はどのレベルかわからないが出席する見通しが高く、公式の場で北朝鮮側の代表に対し日本のメッセージを伝えるのは非常に貴重な機会だと思いますが、特に北朝鮮側に伝えたいことは何でしょうか。
(外務大臣)北朝鮮側からどういうレベルの方が出てくるのか現段階では私ははっきり承知していませんし、会議の中で北朝鮮の問題については私(大臣)自身から発信していきたいと思っています。当然北朝鮮にも伝わると思いますし、そういう形で従来より増してこの問題については積極的に発言していきたいと思います。
(問)今日の閣議で衆議院の解散が決定されたと思いますが、総選挙の争点について大臣としてはどのようにお考えなのか、それから閣議或いは閣僚間で何かこの解散或いは総選挙について、大臣から何か発言されたことはあるのでしょうか。
(外務大臣)私(大臣)から特に発言はございません。それから争点ですが、この選挙は言うまでもなく、この国の将来、命運を左右する大変大事な選挙でありますが、この国を正にこれからどういう国にするのか、そういうことが争点といいますか、本来ならばそういうものが議論されて、国民の皆さんに各党がそれをお示しをして国民の皆さんに判断をして貰う、そういうものであろうと思います。ただ内閣の一員として、昨年の麻生内閣発足以来、麻生首相の場合は総裁選の予備選といいますか、自民党の選挙の時から景気対策をやりますと、党員始め国民の皆さんにも訴えて総理になられた訳で、その約束通り昨年は2回の補正予算、今年は本予算と補正予算ということで景気対策に全力を挙げてきました。特に国際金融危機の発生については国内の我が国の対策のみならず、G20等の場を通じてこの世界の問題の一日も早い解決に向けたリーダーシップを取ってきた、そういう実績というものがある訳です。私(大臣)の立場から言えば、インド洋での補給支援活動の継続やソマリア沖での海賊対策、こういうことに国際社会の一員として特に責任ある我が国の立場として務めをしっかり果たすことが出来たと、そう思っています。そういう点なども国民の皆さんには評価して頂きたいと思っている訳です。民主党の皆さんは「政権交代」ということを掲げて以前からそのような形でやってきていますけれども、よく言われることですが、この国をどうするのか、何をするのかということが一番大事ですし、色々政策的なことも発表されていますけれど、やはり大事なのは財源の裏打ちというのがはっきりと説明されていない、一つの政策が打ち出されてその陰には別の方で減税的なこと或いは支援的なことがあり、また片方で逆に増税的なことがあるとか、そういうことがある訳で、その点は我々与党としても問題点があればはっきりと明らかにしながら、国民の皆さんに実態を知って貰うということも大事ではないかと思います。
(問)週末の各社の世論調査をみますと、相変わらず麻生内閣の支持率は下がっていますし、民主党、自民党と比較すると民主党の支持率、或いは期待する声が非常に上回っている状況ですが、何故このような状況だとお考えでしょうか。
(外務大臣)支持率低下の原因というのは一概に言えませんし、一つのことが原因ということでもないと思います。今までの党内のゴタゴタも一つの原因かもしれません。ただ私(大臣)は先程申し上げましたように、仕事はしっかりしているということは胸を張って申し上げていいと思います。地元(選挙区)を回ってみても、麻生内閣の政策についての批判というのは殆ど聞かれません。景気の方も改善されつつある訳ですから、当初麻生総理は(景気回復まで)3年かかると仰っていたと思いますが、今のような状況で進めばもっと早く改善される可能性は高い訳ですし、ここはやはり継続性というものは大事ですから、今の自公政権これを是非継続させて戴いて、景気の回復はもとより北朝鮮の問題や或いはその他の農業、経済の問題、いろいろな問題に取り組まさせていただきたいと思います。
(問)今日から事実上選挙戦が始まりますが、民主党の外交政策について大臣はどのように見ていますか。
(外務大臣)前の記者会見でも申し上げましたが、内閣不信任案、それから問責決議案が出されて国会の審議がストップしてしまったと、そして安保理決議で採択された北朝鮮の船舶検査、そのための特別措置法案が成立できなかったことは私(大臣)の立場からいえば大変残念です。安保理における強い決議の採択を目指して我が国としてはリーダーシップをとってきたつもりですし、中国、韓国もありますし、一番北朝鮮に近い我が国として北朝鮮の船舶検査ができる体制をとることは大切なことであり、そういう体制をとることにより国際社会に我が国はちゃんとやっていると示すことも大変大事なことだと思っていました。そういう意味では内閣不信任案によりこのようなことになり、他の重要法案もありますから、非常に残念に思っています。
(問)民主党の外交政策全般についてはどうですか。
(外務大臣)民主党代表の自衛官派遣についての発言等もあるようですが、多少従来の発言、党の方針と違うような、或いは将来に向けて外交問題についていろいろ再検討するというお話もありますが、そういうことであれば当初からしっかりと賛成してもらうなり、我々と協議をするなり、そういう形でやってほしかったと思っています。また、沖縄の普天間飛行場を県外にと鳩山代表がおっしゃっているが、県外にといって何処と言わないのは非常にずるいのではないかと思います。選挙を意識した御発言かもしれませんけれども、北海道に持って行くのか、地元でやるのか、どこにするのか、ロードマップで日米でしっかり合意して、グアム移転についても調整ができて、沖縄の負担軽減に全力で取り組んでいると、そういう中であのような御発言は一つの考えかもしれませんが、そういうことをおっしゃるのなら、もう少しきちっと全容を、移転なら移転で何処にどうするのかもおっしゃらないと、私たちとしては理解できないということです。
(問)沖縄の普天間基地の移設問題について、民主党が政権を執った場合、県外移設を目指すとされていますが、仮にですが、民主党を中心とする政権が出来た場合このような計画が進められることに対して、日米交渉への影響というのはどのようにみていらっしゃるのでしょうか。今までに接してきた関係者から懸念というものも出ていると思いますが、それらを踏まえて影響をどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)民主党が政権を取ればというご質問で、仮定のご質問にはお答えを差し控えさせて戴きたいと思いますし、我が自公が引き続き政権を執らせて戴くつもりでやっておりますので、お答えを申し上げるのは困難ですが、やはり沖縄の問題等については日米間でしっかり合意して進行中でありますから、予算的な措置もとりつつある訳で、これは日米関係、日米同盟、信頼が一番大事で、そのような意味で国家の一番大事な国民の命、財産を守る外交でありますから、我々が引き続いて政権を担当させて戴きたいと思いますけれども、そのような意味では国家本意、国益本意で考えて戴きたいと思います。
(外務大臣)今年11月、国際刑事裁判所(ICC)裁判官補欠選挙が行われます。我が国はこの選挙の候補者といたしまして、人権・人道問題の第一人者である尾﨑久仁子氏、政策研究大学院大学教授で外務省参与でありますが、この方を指名することになりまして、本日の閣議で私の方から説明を致しました。今回の選挙は、我が国初のICCの裁判官となられました、皆さんもご承知の齋賀富美子裁判官のご逝去等を受けて行われるものです。我が国出身者がICC裁判官として継続的に選出されることによって、我が国が重視している国際社会における「法の支配」の推進等にも寄与するものと考えています。尾﨑久仁子候補の当選を目指しまして、政府が一体となって選挙戦に取り組んでまいります。
(問)本日、キャンベル米国務次官補が来日されて大臣に表敬されると思いますが、どのようなお話になるのでしょうか。
(外務大臣)本日、これから局長と会談をすることになっていると思います。私のところにはお昼頃に表敬という形でお見えになりますので、お会い致します。今の国際情勢、あるいは日本を取り巻く状況というものから見ましても、北朝鮮の問題やアジア太平洋地域のいろいろな情勢等について意見交換をすることになろうかと思います。その前の局長との会談でどのような話になるか、まだ始まっていないと思いますが、幅広く意見交換といいますか、話をすることになりますが、大切なことは日米関係をしっかりと強化していきましょうという話をすることになっています。
(問)来週(ASEAN関連外相会議である)ARF(ASEAN地域フォーラム)に出席されますが、北朝鮮問題が議題にあがっておりますが、大臣はどのようなご主張をなさいますか。
(外務大臣)ARF(ASEAN地域フォーラム)では、もう既に各国とも北朝鮮問題については十分に認識をされておられると思いますし、国連での安保理決議1874号も採択をされて、各国がそれをしっかり実行するというのが一番大事な段階であります。従って、北朝鮮問題等につきましては、国連決議で決められたことをしっかりと実行していきましょうという話に、基本的にはなるのではないかと思っております。
(問)白樺(油ガス田)のその後の状況について何かあればお願いします。
(外務大臣)前回の記者会見でもご質問にお答えしましたけれども、日本側から中国に確認しましたところ、先日申し上げた通り、中国側からこれは維持・管理等に関する作業であると、中国側の呼び方である春暁ですね、この白樺(油ガス田)の現状に実質的な変更はないという旨の説明があった次第であります。私たちとしては引き続いて重大な懸念を表明した訳ですけれども、重大な関心を持って注視をしているところです。
(問)総理は7月21日にも衆議院を解散すると仰っていますが、自民党内には両院議員総会を開くべきだとの考えがあるとのことですが、大臣はそれについてどう考えるかということと、現時点で解散の詔書への署名を総理が決断すれば、されるのでしょうか。
(外務大臣)この間の都議会議員の選挙の結果を受けて、反省しなければならない点はあるのは当然のことだと思います。また、今後の衆議院選挙に臨むにあたって、各議員がいろいろな意見、考え方を持っていることは極めて当然のことだと思います。従ってこれからの選挙は一丸となって取り組むことですが、その前にこの一連の地方選挙等の結果を踏まえた検証といいますか、何が問題であったのかということを、意見交換することは大切で、それを次の衆議院選挙に活かしていくことは大事だと思いますから、そのための場を設けることは、私はあった方が良いと思っております。そこで総理からも総理のお考えを表明されるであろうと思います。私は一つのスタート点として来るべき衆議院選に向けて一致結束していく場に本来はすべきものだと思います。今の内外の状況、景気の回復の状況、これから正に更に重要な時期であります。また外交の問題、私の立場からすれば、北朝鮮の問題に関しては、(北朝鮮特定)貨物検査法案が野党の皆様の問責決議等によりまして、衆議院段階で終わってしまったことは大変残念なことであります。国連安保理決議の採択の先頭に立って働いてきた我が国が、安保理決議を実行するための北朝鮮の船舶検査法が成立できなかったということは、私は残念でなりません。本来ですと、いち早く(北朝鮮特定貨物検査法を)成立させて我が国が対応をちゃんとやっていることを海外に示すと同時に、皆様にもしっかりやってくださいよと。北朝鮮の影響を一番受け易い我が国としては、この法案は非常に重要でありましたので、極めて遺憾であります。
インド洋での給油活動につきましても、鳩山代表かどなたかは存じませんが、法案には反対をされた訳ですけど、そのような考えをまた変えられるようなことも報道で出てますけれども、だったら最初からしっかり賛成をして、国際社会の中で、これも安保理の決議に基づいて行っている活動でありますから、しっかり国益というものを考えて、当時議論をし、延長を行ってきた訳ですけれども、しっかりやってほしかったと思います。今後どうされるかは、私は意見を述べる立場にはありません。
(問)解散の閣議詔書には署名されるのでしょうか。
(外務大臣)そのようなことになれば、私は署名します。
(問)それに関連して、都議会選の自民党の敗北を受けて、今回の自民党両院議員総会の求めもありますが、麻生さんでは衆院選を戦えないのではないかという声が大分党内にあがっているようですが、そのことについてはいかがですか。
(外務大臣)戦えないというのはどのような考え方から戦えないのか、政策なのか、あるいは総理の個人的なことなのか、それはどのようにお考えなのかわかりません。人によって違うかもしれません。それについてのコメントとしては、私は、開かれた自民党ですから、意見交換をして風通しを良くして、とにかく重大な課題が多い時に政権を引き続き維持していくことが、国家・国民のためになると思っていますから、意見の違いはあっても、あまりドタバタするというのは、かえって混乱することでありますし、そのようなことによって益々自民党に対する国民の皆様の信頼も低下していくんじゃないと思いまして、そのような意味では、一日も早く体制作りが大事だと思います。
(問)麻生総理の下で、結束してということですか。
(外務大臣)当然です。我々は今まで昨年の9月から麻生総理の下で、景気対策をはじめとしていろいろな課題の解決に取り組んできましたし、成果を上げてきた訳ですから。政策的にみても何ら間違ったことはありませんでした。そのような意味で今後も政府与党、今の内閣が掲げている政策を実行していくために、麻生総裁の下で結束して戦うことに尽きると思います。
(問)麻生内閣の支持率が低下したり、あるいは都議会選に惨敗したり、その辺の原因について、大臣はどのように思っていらっしゃいますか。
(外務大臣)原因はいろいろと分析されるんじゃないかと思います。言われていることは、都議選については、いろいろなゴタゴタが影響したということを都議会の先生方が仰っていたと聞いておりますが、そういうこともあろうかなと思います。
(問)今回の衆院選に絡んで、8月下旬に予定されていたとされる日中韓の首脳会議が延期になり、今月予定された中国での日中韓外相会議もそれに関連して延期になるということですが、その他WTOの会合とか閣僚が今回の衆院選に絡んで出席できなくなるとの懸念もでており、外交の停滞を招くんじゃないかとの指摘もあるのですが、その辺についてはいかがですか。
(外務大臣)私は、外務大臣ですから、外交の責任者として国内の政治状況がいろいろありますけれども、しっかりと職務を遂行していくことが当然のことながら務めでありますから、来週お許しがいただければ出張させていただきます。それぞれの閣僚も政府の閣僚として、国際会議に出席するのが望ましいと思います。閣僚だけでなく副大臣もおられますので、支障のないように考えながら対応していくことだと思います。
(問)東シナ海の白樺ガス田付近に中国船が集結し、そして再開発に向けた動きらしきものも観察されているということなのですが、現状はどのような事態になっていて、外務省はどういう対応を取っていらっしゃるのでしょうか。
(外務大臣)10日に我が方から中国側に対して確認を求めました。中国側からは維持、管理等に関する作業を行っているということで、「白樺」(中国名:春暁)油ガス田の現状に実質的な変更はないとの説明がありました。我々としては重大な懸念を申し入れしています。信頼を損なうような行為は取らないようにと申し入れをしているところです。
(問)重大な懸念というのは、単独開発の再開に向けた何らかの動きがあるということですか。
(外務大臣)中国側の説明では、プラットホームの維持管理等に関する作業であると、そういう説明を受けている訳ですが、我々としては掘削用のドリルについての確認はしておりませんけれども、その他将来の開発の準備のための一部資材が含まれているということであれば、これは大変なことですから、そういう可能性はあるのではないかと、そういうことで重大な懸念を申し入れていますし、信頼を損なうような行為を取らないようにということで先方には話をしてあります。
(問)開発準備のための一部資材を確認されているということか。
(外務大臣)中国側からはプラットホームの維持管理に関する作業であるという説明を受けている訳で、我々としては確認しようがないです。
(問)将来開発する可能性があるのではないかと判断している根拠は何ですか。
(外務大臣)開発の準備のための一部資材が含まれているという可能性があるかもしれない ということです。我々には分からないですから。
(問)可能性があると考えているのは判断材料が何かあるのではないのですか。
(外務大臣)いやいや、先方に何があるかはこちらはいちいちチェックは出来ない訳ですから、先方からの話はプラットホームの維持管理に関する作業だと説明を受けていますけれども、それは向こうの説明です。我々が懸念しているのは将来の掘削に繋がることですから、そういうことに繋がるようなものがあるということであれば、それは重大な問題ですから、将来の開発の準備の為の一部資材というものが含まれているということであれば、これは大きな問題ですし、そういう可能性もあるかもしれない。我々はチェック出来る訳ではないです。いずれにせよ中国側にはしっかりと申し入れをしていますし、我々としては信頼を損なうようなことのないようにということで強く申し入れをしています。
(問)将来の開発の準備と認められるような資材が含まれている可能性があるというのは、上空から日本側が検知したのですか。
(外務大臣)そういうものがあればということです。分からないです。こちらは今確証がない訳ですから、当然のこと、そういうことになったら困るということです。
(問)現状としてそういうものが含まれている可能性があると認識されておられるということで宜しいのですね。
(外務大臣)いや、分かりません。あるかもしれない。
(問)麻生総理が来週にも解散して8月30日に衆議院選挙をやると表明しましたけれども、参議院側からですけれども、どのように受け止めていらっしゃいますか。
(外務大臣)任期は9月10日迄ということですから、7月、8月ともう2ヶ月しかありませんので、どなたから見ても解散は近いということだと思います。この時期が適当かどうかということは私はコメントを申し上げませんけれども、政府の一員としては、昨年の麻生内閣発足以来、特に景気対策については一次補正、二次補正、本予算また補正ということで全力で取り組んできましたので、来るべき衆議院の選挙に於いては国民の皆さんにはそのような点を是非ご理解を戴いて賢明な判断をして戴きたいと思います。
内外、非常に重要な課題が山積しております。私の担当で言えば北朝鮮の問題を始めとして色々ある訳です。気候変動の問題とか、将来の国際社会の我々の子々孫々まで影響する大きな課題をたくさん抱えている訳ですから、そのような意味では政治というものが安定することが大事ですし、国際共通の問題にも我が国は責任がある訳です。それをいままで麻生内閣でやってきた訳ですから、是非そのような点は評価して戴きたいと私は思います。
(問)北朝鮮貨物検査特措法案ですけれども、不信任案を提出されて、参議院の問責決議が出たという状況で、ほぼ廃案が確実視されているのですがこれについての受け止めは如何でしょうか。
(外務大臣)国連の安保理決議第1874号の採択にあたっては、我が国は核実験が行われて以来、速やかに先頭に立って各国に働きかけをしてきた訳で、その決議に基づいて貨物検査をする。我が国としても(貨物検査を)実行する為の法律でありますし、各国にもこの決議をしっかりと実効あらしめるようにという働きかけをしている訳でありまして、そのような意味でこの法案は非常に重要でありますし、一日も早く成立をして戴きたく審議をお願いをしているところです。本日、衆議院の海賊テロ特別委員会でこの法案の締めくくり総括質疑が行われる予定でありますけれども、私たちとしてはこの法案の成立に全力を尽くすという姿勢に変わりはありません。
(問)この北朝鮮貨物検査特措法に基づく検査は、国連の集団的安全保障の一環であるというのが政府の立場をとられているのでしょうか。
(外務大臣)これは北朝鮮のあのような行動に対する国連の安保理の意志というものを表したものでありますし、このような行為が二度と行われないように北朝鮮に対してもこの決議の履行というものを要請している訳ですし、各国にも実効あらしめるようにお願いしているものですから、これは集団安全保障という観点とは別に、地域の、また国際社会に対する安定を損なうものであるということで、それに対する法案でありますから、そのようにご理解戴きたいと思います。
(問)河村官房長官は国連の集団安全保障の一環として捉えられる可能性もあるというような趣旨のご答弁をされているのですが、大臣は集団安全保障ではないとおっしゃいましたが。
(外務大臣)(北から)ミサイルが飛んで来て核実験が行われて、これは北東アジアのみならず、国際社会に対する挑戦でありますし、また平和と安定を乱すものでありますから、この行為をやめさせると、そして、北朝鮮の非核化を進めさせるということが一番の目的であります。そのような意味でこの決議は出来たものと思っております。この決議を実効あらしめる為の法案であるということです。
(問)「核密約」の件ですが、昨日、河野衆院外務委員長が記者会見を行いまして、従来の政府答弁の変更を求めるとの考えを表明されましたが、これに対する受け止めをお願いします。
(外務大臣)河野委員長の発言についてということですが、立法府の方針について見解を述べる立場にはありませんけれども、いずれにしても従来から申し上げております通り、ご指摘のような密約はありません。そしてこの点につきましては、歴代の総理大臣、外務大臣が密約の存在を明確に否定している通りであります。私、外務大臣というよりは一国会議員として 、例えば参議院で議員運営委員長、予算委員長、懲罰委員長等を務めましたけれども、そのような経験をした議員としての立場で申し上げれば、新聞によればですが河野委員長が村田氏と直接お話をされたという報道は承知しております。委員長が一人でお会いして信憑性が高いという一個人の判断だけで、これだけ重要な問題を確証もないままに国会の答弁の修正を求めるということは手続き上も如何なものかと考えています。あくまでも、立法府の方針について見解を述べる立場にはありませんが、国会の委員長を経験した者からすれば、そういった感想を個人的には持っております。
(問)確証のないままと仰いましたけれども、既に米国の公文書等で密約の存在は明らかであるというのは研究者或いは報道関係者等の認識だと思いますけれども、確証のないままというのはどういう意味なのでしょうか。
(外務大臣)確証というのは、委員長が村田氏とお会いしてどういう話をされたかは知りませんが、その会談についてのことを申し上げているのです。いずれにしてもこの核持ち込みに関する密約はないということで、この政府見解に変わりはございません。
(問)つまりそうすると、河野委員長の検証は不十分であると。確証がないという。
(外務大臣)私はどういうふうに村田氏と話し合ったかは分かりませんし、報道を通じてですから。ただそういうふうにお一人で行ってお会いして、信憑性が高いと個人で判断された訳です。皆で行ったということならまた違うかもしれませんし、そういうことが私も委員長経験者として、そういういうことについては手続き上も如何なものかなと、そういう感想を持っているということです。
(問)手続き上の問題だと。
(外務大臣)手続き上の問題というか、これだけ重要な問題ですから、委員会で答弁を修正させるとか仰っていると聞いておりますから、私も委員長を経験しましたけど、それは如何なものかなと、そういうふうに考えているということです。
(問)村田元次官が参考人として委員会に招致され、そこで同様の答弁をされればまた対応も違ってくるということでしょうか。
(外務大臣)それは国会がお決めになることですし、私の方から見解を申し上げることは差し控えたいと思います。
(外務大臣)本日(10日)の閣議において外務省の一部機構改革について決定されました。これは、外務省組織令(政令)の一部改正が閣議で決定されました。具体的には、限られた人的資源を優先度の高い業務に投入しようということで、特にその中でも、安全保障政策、対アフガニスタン・パキスタン政策、更に気候変動に対する体制を強化するということで、また新JICAの発足も踏まえまして、ODA実施体制の再編・強化などの実現を目指すものでございます。尚、詳細については後程資料を事務方より配布する予定です。
(問)サミットでの日露首脳会談で、ロシア側から領土問題に関して新たな提案があるのではないかとの期待もあった訳ですけれども、今回終わりまして特に具体的に新たな提案はなかったと、これには麻生総理の国会での発言、或いは領土問題に関する新しい法律があがったことで、ロシア側が態度を硬化させたのではないかとの見方もあるのですけれども、大臣はこの辺りはどのように評価されますでしょうか。
(外務大臣)メドヴェージェフ大統領から、北方四島の帰属の問題に関する包括的な説明があった訳ですが、このご説明は、我が国の立場を充たすものではなかったということで、残念でありますが、引き続いてあらゆるオプションというものを含めて検討していくということで、一致しておりますので、今後のロシア側の対応というものをしっかりと注目をしていきたいと思います。今仰いましたことにつきましては、先方がどのように受け止めておられるかということを私が申し上げるのは適当ではないのではないかと思います。何れにしましても、首脳の間ではこのような解決に向けての作業を加速すると、また強化するということで一致をし、これを支持していくということでございますから、我々の方としても引き続き強い意志を持って交渉に臨んでいきたいと思っております。
(問)今朝の朝日新聞で所謂「密約」について、「密約」に関する文書を2001年の情報公開法の制定を前に破棄したと、元政府高官が話しているのですけれども、これについて事実関係をお願いします。
(外務大臣)報道は承知しておりますが、再三国会で答弁しておりますように、「密約」はない訳でありまして、我々としてはこの問題については、従来から核の持ち込み、寄港、領海通過、そのようなものについては事前協議の対象ということになっているのですから、そのようなものがないということでありますから、「核持ち込み」はないと「密約」もないということであります。
(問)調査をするお考えはないということでしょうか。
(外務大臣)そのようなことは考えておりません。
(外務大臣)北朝鮮の関連ですけれども、核、或いはミサイル、大量破壊兵器等に対する国連安保理決議の第1874号を受けての我が国としての措置を閣議で了解を頂きました。金融面での資産の移転に対する措置等がその内容になっています。
(問)総理から北朝鮮について何かお話がありましたでしょうか。
(外務大臣)本件については、ございません。
(問)北朝鮮のミサイルの精度が上がっているという一部報道がありますが、そのことについてはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)そのことについては、防衛省を中心によく検証されるものだと思っておりまして、まだ一昨日の話ですから、具体的な内容については、今、私から申し上げることは差し控えたいと思います。
(問)今回北朝鮮はミサイルを7発連射したということですけれども、政府として安保理に提起するとか、或いは新たな制裁措置を検討するとか、そのようなことについては如何でしょうか。
(外務大臣)(北の弾道ミサイル発射は)累次の安保理決議に対する違反ですから断じて容認すること出来ない訳でありまして、国連の場で緊密な連絡をとって今後の対応を検討するということです。そのような意味でこれから関係国とよく協議をしていくということです。
(問)静岡県知事選で自民党の候補が惜敗した訳ですが、それへの受け止めをお願いします。
(外務大臣)坂本候補は参議院で一緒に仕事をしていましたし、地方自治の経験もありますし、そういう意味で私は最適任者と思っておりました。結果は残念ですが、結果は結果として受け止めるということしかないのではないのでしょうか。色々反省すべき点もあろうかと思います。
(問)政権運営への影響についてはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)それはこれから国政選挙、衆議院の選挙がいずれある訳ですから、自民党としては或いは内閣としては、実績を国民の皆さんにしっかりと知って頂いて評価をして頂くということ、それから党が一丸となって結束していくということが一番大事だと思います。
(問)今回の結果が麻生首相の進退と解散総選挙の日にちに影響を与えるのではないかという見方がありますが、それについて如何ですか。
(外務大臣)それについては私は分かりません。結果を受け止めてそれについて今後どうしていくかということは、党や政府としてしっかりと検討するということだと思います。
(国会報告)
(外務大臣)閣議で、補給支援特措法、これはインド洋での給油給水活動を行っているものですが、これが半年間延長されることが決定されました。それから、イラク特措法ですが、自衛隊による活動を高く評価されておりますが、これも無事終了致しまして、これを国会で報告することについて、閣議で了承されました。補給支援活動は、インド洋の大変暑い中で、自衛隊による給油活動が行われている訳ですが、アフガニスタンを始め各国の外相と会談する度に高い評価を頂いております。今後もこれについて、半年間延長されましたけれども、しっかりやって貰いたいと思います。イラクについては、自衛隊は撤収ということで終わりましたが、今後はODAを通じた支援とか、それから経済ビジネス活動を進めて頂いて、イラクの復興にも貢献をし、良好な緊密な関係を築いていきたいと思っております。
(問)北朝鮮が昨日、短距離ミサイルを発射しましたけれども、これとは別に、また中距離ミサイルを発射するのではないかとの見通しが言われていますが、政府としての対応は如何でしょうか。
(外務大臣)昨晩の北朝鮮による発射については、勿論承知しております。これは私の個人的な感想ですが、やはり弾道ミサイルの技術と言いますか、あるいは関連の活動になると思いますので、そのような意味で、問題ではないかと思います。ただ、その他の今仰ったような動きについては、色々情報収集しておりますが、今、意見を申し上げることは差し控えさせて頂きたいと思います。いずれにせよ、国連の安保理決議を北朝鮮も重く受け止めて、しっかり守って欲しいと思います。
(問)IAEAの事務局長に天野大使が選ばれましたけれども、これについて改めて大臣としての受け止めをお願いします。
(外務大臣)総理始め、各閣僚、私も勿論ですが、各国にも働きかけを行いました。天野大使は最適任者だということで、働きかけを行いまして、昨晩、3分の2以上の支持を得て当選したことを本当に嬉しく思います。ただ、日本時間の今晩10時、現地の午後3時に理事会が開かれまして、そこで正式に任命されるという手続きがあります。更に9月に総会があり、そこで承認もされるということで、まだ正式決定ではありませんが、途上国も含め、私は幅広い支持を得られたと思っております。今後の核・不拡散や原子力の平和利用といった問題に天野大使が就任すれば、またしっかりと取り組んでくれるものと期待をしています。
(問)IAEAでの当選を機に、日本として財政面を含めたIAEAに対する支援は何か具体的に検討されているのでしょうか。
(外務大臣)我が国は唯一の被爆国であり、これには先頭に立って取り組んでいる訳でありますが、事務局長が我が国からの天野大使ということになれば、しっかりと様々な面でバックアップしていくのは当然だと思っております。
(問)財政面でも、ということでしょうか。
(外務大臣)その辺りは、今後状況を見ながらということになると思います。まだ、正式に決まっておりません。ただ、核軍縮・不拡散・原子力の平和利用に関しましては、オバマ大統領の演説もあり、私も「(世界的核軍縮のための)11の指標」を4月に発表致しました。そのような意味では、この世界的な一つの大きな動きを更に前進させていく必要があると思っております。我が国はこれからも、積極的にリーダー的な役割を果たす必要があると思います。
(問)これから参議院本会議で、北方領土問題の特別措置法の改正が成立する見込みですけれども、ロシア国内で改めて色々な反応が出ることが予想されますが、今度の日露首脳会談に与える影響についてどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)北方領土問題については、従来から政府の見解は変わらない訳でありまして、サミットの場において、メドヴェージェフ大統領と麻生総理の会談が行われると思いますが、前回プーチン首相が訪日した際に会談をし、北方領土問題について今回話し合いをすることになっておりますので、私たちとしては(北方領土問題が)前進するような会談になるということを期待しております。