記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成21年6月)


INDEX











外務大臣会見記録(平成21年6月30日(火曜日)9時52分~ 於:院内大臣室前)

日韓首脳会談(5か国協議)

(問)日韓首脳会談で、5か国協議を検討しようということで合意しましたが、具体的にいつ頃を目途にしていますか。来月ARFでという話がありますが。

(外務大臣)協議しようとかそういったことが決まった訳ではありません。従来から北朝鮮の問題についてはバイとか、色々な会談や協議が行われている訳で、六者協議の枠の中で5か国で協議をするということも有意義なのではないかと、そのようなことで一致したということです。いつするかという具体的なことは何も決まっていません。

目次へ戻る

「核持ち込み密約」

(問)米国軍の核持ち込みの関連で、元事務次官がかつて(核の)持ち込みの事前協議を必要としない密約があったと、ペーパーもあったという発言をしていることについてのその受け止めをお願いします。

(外務大臣)報道があったことは知っておりますが、政府が従来から申し上げています通り、ご指摘のような密約は存在していません。これは歴代の総理大臣及び外務大臣がこのような密約の存在というものは明確に否定している訳です。

(問)この関係で政府高官関係者が、文書は無いことになっているということで表向きには無いというような趣旨の発言をしたのですが、こういった発言については。

(外務大臣)政府高官がどなたか分かりませんが、そのような発言をされたということを私は承知しておりません。今回が初めてです。

(問)核持ち込みの密約の発言について、なぜこういう時期にこのような発言が出てきたのか、ご回答を。

(外務大臣)それは私自身が承知する立場ではありません。

(問)元次官は中曽根内閣時代の外務大臣にもこのようなことをお伝えしたというふうに述べてらっしゃるんですけれども、どうでしょうか。

(外務大臣)何時代か私の知るところではありませんけれども、密約は存在しないということです。これは従来から政府が申し上げている通りです。

(問)密約関係ですが、米国の公文書で存在を示す文書が出てきて、更に歴代の外務省幹部がOBになった時に撤回し、それを現役の外務省幹部が否定するということが続いているんですが、これによって日本外交の信頼性と言葉の重みが失われているんではないかと思われますが、その点の受け止めをどうお考えでしょうか。

(外務大臣)一つはそのような文書がない訳ですから、その点からも密約というものはありません。もう一つは、日米安保条約上、米軍による核持ち込みというのは、所謂国家間協議、事前協議の対象になっています。今迄、米国側から核持ち込みについての事前協議の話はありません。いずれにせよ今まで、全く密約はなかったということは疑いようのないところです。

目次へ戻る

イエメン航空機墜落報道

(問)イエメンで150人程乗っていた飛行機の事故があったのですが、邦人の関係の情報などはありますか。

(外務大臣)それについては今、情報収集中です。

目次へ戻る

北方領土問題

(問)ロシア側からラクイラ・サミットの際に提示される予定であった北方領土に関する提案についてロシア政府が見送る方針を固めたとのことですが。

(外務大臣)そのような報道は承知しております。総理がサハリンに行かれた時にそのような話し合いがあって、今度のサミットでロシア側が何らかの提案をされることをこちら側としては期待をしている訳ですけれども、ロシア側の対応に注目しているところです。

(問)その理由として、「総理の不法占拠発言」によって話し合いを行う環境がなくなったということをロシア側は言っているのですが、その理由をどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)理由はロシア側のことですから、もし報道のようなことがあるとしても、その理由については私達の知るところではありません。(北方領土問題の解決への)前進に向けて今度の会談が意味のあるものとなるように期待しています。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年6月26日(金曜日)午後 於:大臣宿舎内)

冒頭発言

(外務大臣)今日、G8の外相会合と、アフガニスタン、パキスタンの両外相も加わりましてワーキングランチが行われました。まだこの会議は続きますけれども、現在までの所感といいますかちょっと申し上げたいと思います。
 議論の焦点は、軍縮・不拡散、イラン、北朝鮮の問題、アフガニスタン、パキスタン等でありました。軍縮・不拡散につきましては、今回「核のない世界」、そういう言葉がこの議長声明に初めて入りまして、このG8の力強いコミットメントを表わすことができたと、そういうふうに思っています。他の全ての核兵器国がさらなる核軍縮に取り組むということを期待しているところです。
 イランにつきましては、状況がまだ動いています。選挙後まだ混乱しておりますけれども、そういう中で最新の動き、情勢の変化、そういうものを踏まえながら、イランへの「圧力」と「対話」のバランスの取れた明確なメッセージを出すことができた、そういうふうに思います。
 また、北朝鮮につきましては、先の国連決議1874を完全に履行していくという強いコンセンサスが印象的でありました。
 また、アフガニスタン、パキスタンにつきましては、先ほど両国の外務大臣から状況等も聞いたわけですけれども、アフガニスタン、パキスタンそれぞれに対して、各国からは、責任と支援の必要性、それが、各国から述べられていたところでございます。今回の会合では、7月の初めに行われますラクイラ・サミット(首脳会合)につながるような良い議論が行われたと思います。

目次へ戻る

質疑応答

(問)北朝鮮については、かなり強い非難が盛り込まれたと思うが、これに対する具体的評価如何。また、北朝鮮については今後どのように取り組まれていくのか改めてお伺いしたい。

(外務大臣)北朝鮮に対するメッセージは、今申し上げましたけれども、国際社会の声を代表するメッセージであって、北朝鮮はこういう国際社会の声をまず真摯に受け止めるべき、そういうふうに思っております。また、大切なことは、対話の窓口を開けておくということですね。そして北朝鮮に対しましては、圧力を強めて今いろいろ挑発行為といいますか、強行路線はコストが高くて対話に戻った方が得であると、そういう点を北朝鮮に認識させる、そういうことが重要であると思っておりますし、この会合では、北朝鮮は六者会合に復帰すべきだという見解も各国から出されていました。

(問)昨年の洞爺湖サミットでは、地球温暖化に大きな焦点をあて、また食料問題でも福田総理はイニシアチブを取りましたが、今年のサミットではトップアジェンダというのが、まだはっきり見えてこないという印象があるが、この辺り如何。

(外務大臣)今年のサミットはこれからですけれども、外相会合は、やはり現下の緊急の課題、イランの問題、それから海賊の問題ももちろん出ましたし、私からは北朝鮮の問題、これを会議でリードいたしました。そういうことでまた、アフガ二スタン、パキスタン、先ほど申しあげましたけれども、さらに核軍縮など、どれも重要ですが、イランの問題や北朝鮮の問題等がやはり議論の中心になってくると思います。それは当然のことだと思います。

(問)昨年日本政府は、イニシアチブをとったグローバル・イシューの食料問題などもかなり現状深刻な状況が続いているが、その辺如何。

(外務大臣)今日の会議では、先ほど申し上げたテーマについて議論が行われましたので、食料問題について話は出ておりませんけれども、今後、首脳会議でどう扱われるか、まだわかりませんが、幅広い議論が行われるのではないでしょうか。

(問)北朝鮮についてですが、声明には日本の主張がかなり盛り込まれたと評価して良いのか。

(外務大臣)それは、もう、日本が重視しておりました、やはり先ほど申し上げましたが、六者会合に戻る、あるいは、安保理決議1874をしっかり守るべきであるということもしっかり入りましたし、要するに圧力だけでなく、やはり対話の窓口を開いておくということが大事であり、そうでないとなかなか六者会合に戻らないという、そういう将来のことも考えた上で、今回北朝鮮に対する要求というものが出ました。しかし、G8各国とも非常にこの問題は重要視しており、私の意見に皆さん耳を傾けてくれました。特に人権の問題もやはり国際社会共通の問題ですから、拉致の問題についても自分から当然のことながらそれを話しましたが、そういう意味でもこのメッセージにもそういうことが入って良かったと思っております。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年6月22日(月曜日)10時46分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣のOECD閣僚理事会及びG8外相会合等出席

(外務大臣)今朝の閣議で了承を得たものですが、OECD閣僚理事会、G8外相会合に出席する為に、私(大臣)は25日から27日までフランスのパリ及びイタリアのトリエステを訪問する予定です。24日夜出発致します。OECD閣僚理事会は「危機とその後;より強く、クリーンで、公平な世界経済の構築」をメインテーマとしていますが、私はその中の「グリーン成長」のセッションに出席します。G8外相会合では、国際社会が直面する重要な外交課題である軍縮・不拡散、海賊対策、中東和平、北朝鮮、イラン等について議論を行うとともに、アフガニスタン・パキスタンに関するアウトリーチ会合も開催される予定です。また、トリエステ滞在中には、二国間会談も行う方向で調整中です。

(問)トリエステでの二国間会談ですが、今現在で固まってきているというのはどういった国でしょうか。

(外務大臣)こういう会談の機会を利用して出来るだけ多くの国と二国間会談を行いたいと考えていますが、今は調整中でありまして、今の段階で、どの国といつというのは申し上げられません。特に米国のヒラリー国務長官とは勿論会談したいとは思っていますが、ご案内のようにケガをされたということですから。その他の国とも出来るだけ時間の許す限り二国間会談を行いたいと思っています。

(2)イラン情勢

(外務大臣)イランの大統領選挙後の情勢について申し上げたいと思いますが、先週も申し上げましたが、我が国は6月12日に行われましたイラン・イスラム共和国大統領選挙の結果を巡るこの対立というものは、イラン政府とイラン国民の英知と努力によって解決されるべきものと考えており、その取り組みの動向を注視して参りました。その中で抗議行動が展開されている中、死傷者が出ていることを強く懸念しています。我が国はこのような犠牲者が出る事態は回避されなくてはならず、平和的解決を強く求めるところです。また我が国はイランの制度においてこの事態がどのような形で適正に処理されるのか、引き続き多大な関心を持って事態を注視して参ります。その過程で双方の意見や言論が適切に尊重されることが重要だと考えています。

(問)死傷者が出たことを懸念ということでしたが、イラン政府に対して何らかの働きかけを日本政府はするお考えはあるのでしょうか。

(外務大臣)これは一義的にはイランの政府とイラン国民との間で解決されるべき問題であると考えています。これは選挙後の混乱ですので基本的にそう考えています。事態は今、ハメネイ最高指導者の演説などもありまして、事態は動いているところですので、事態の進捗をよく見ながら、我々としても今後どうするかということは検討していきたいと思います。

(問)言論の自由が尊重されることが重要だというご発言でしたけれども、現状で言論の自由が尊重されていないような事態が起きているというご認識でしょうか。例えば外国のメディア等も含めて、自由な取材が難しい、許されないという事態が続いていまして、或いは反政府派の意見表明が自由に行われるかということにつきましても懸念があるかと思いますけれども、そのようなことを踏まえた上でのご発言でしょうか。

(外務大臣)このような混乱といいますか、どちらか一方が悪いということではなく、やはり秩序も大事だと、一般的に申し上げると秩序ある行動も大事だと思いますし、言論の自由も確保されなければならないと思います。国際社会が注目する中で行われた大統領選挙、その結果生じている今回の事態でありますので、事態の収拾を出来る限りオープンな形で図り、そして、国際社会の懸念に応えて欲しいと考えております。今、お話がありましたように、外国のプレス関係者の国外退去や拘束それ自体、私共も懸念しています。

目次へ戻る

北朝鮮問題

(問)北朝鮮船舶に対する貨物検査を巡る法案の議論が与野党で行われていますけれども、最大の論点である実施主体を海上保安庁にするか、海上自衛隊にするか色々意見があるようですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)これは今、政府として検討中でありますし、どのような形になるかここで申し上げることは出来ません。大切なことは今回採択されました、国連安保理決議第1874号、これを実効あらしめるようにするということです。我が国としては、何をなすべきか、その為にはどのような法律的な対応が必要かということですので、政府全体として検討を行っている最中ですので、現在の状況については申し上げることは出来ませんし、私の考え方もここで申し上げることもは出来ません。

(問)野党の協力を得て、今国会でなるべく法案を成立させられるような形が望ましいとお考えでしょうか。

(外務大臣)決議が採択されている訳ですから、出来るだけ早くそのような態勢を取っていくことが大事だと思っています。勿論、これは与党・野党の問題ではありません、隣の北朝鮮という国が核実験を行ったという事態を受けての国際社会が決定した決議であります。我が国としても国連決議を実効あらしめる為にはどのようにしたら良いかという、我が国はどのような対応を取るべきか、そういうことですから与野党で一致して対応、対処することが望ましいと思っています。

目次へ戻る

核持ち込みに関する日米密約

(問)一部報道で、外務省次官経験者の証言として、宗谷海峡と日本の主要海峡の領海の範囲が、12海里ではなく3海里にするという措置を取った理由に関して、米軍による核兵器の通過が容易になるようにという配慮が働いたという証言が報道されていますが、大臣として事実関係をどのように把握されているでしょうか。

(外務大臣)報道があったことは承知しています。また、この特定海域については、先の衆議院の外務委員会でも質問があり、答弁しておりますけれども、従来から繰り返して申し上げている通り、昭和52年領海法制定時に、当時我が国としては、海洋国家であり、そして先進工業国として、国際交通の要衝たる海峡における商船、大型タンカー等が自由に航行できるということが大事で、総合的な国益という観点からも不可欠であるということを踏まえ、我が国の特定海域であります五つの海峡については、外国船舶の自由な航行を保障することが適切であると、そのような判断からこの領海幅を現在迄3海里としたものであります。

(問)米国への軍事的な配慮というものはないということでしょうか。

(外務大臣)今、申し上げましたような理由でありまして、我が国は海洋国家でありますから、船舶が自由に航行出来得るようにということであり、軍事的な観点ではありません。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年6月19日(金曜日)9時22分~ 於:院内大臣室前)

米軍による北朝鮮船舶の追跡

(問)アメリカのCNNテレビ等一部で、核・ミサイル関連物資を積載していると思われる北朝鮮籍の旗を揚げた船舶を米海軍が追跡しているという報道がありますが、現在外務省として把握している事実、米政府から本件に関してどのような連絡が入っているか、事実関係をお願いします。

(外務大臣)報道については承知しております。米軍とは日頃から緊密に連絡を取り合っている訳ですが、このことは、情報収集に関することですので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

(問)情報収集といいますか、事実関係として、今、日本近海の中国沖でそういった事象が起きているのか、起きていないのか、ということについても、一切言及できないということでしょうか。

(外務大臣)相手国との関係もありますし、情報収集能力に関する事柄でもありますので、そのような色々な面を考慮してお答えすることは差し控えさせていただきます。

(問)このようなことが起きているのであれば、日本として積極的に情報収集等の面について協力する態勢というのは取れているのでしょうか。

(外務大臣)安保理決議を実行するというのは、国連加盟国各国の務めでもありますし、日本も日本としてやるべき事はしっかりやらなければなりません。

(問)当然、今回、仮に米海軍が北朝鮮の貨物船を追っているとしたら、日本も共同歩調を取って協力はしていると考えてよろしいでしょうか。

(外務大臣)それについては、お答えすることは差し控えさせていただきます。

(問)今の時点で、米海軍が追い込むような形で北朝鮮の船舶が日本に入港した場合、日本の税関等が貨物検査を出来る準備、つまり法的整備がまだ整っていないということでしょうか。

(外務大臣)それは仮定の質問ですし、今、このことについてはお答えは出来ません。

(問)国連安保理決議第1874号によれば、船籍国が船舶に対して適当な港に入るように指示をしなければいけないということになっていますが、仮に北朝鮮が日本の港に入港するよう指示した場合はどうされますか。

(外務大臣)仮定の質問ですし、仮にそのようなことがありましたら、その時に考えます。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年6月16日(火曜日)10時14分~ 於:本省会見室)

北朝鮮問題

(問)北朝鮮に対する日本独自の制裁ですが、本日の午後の持ち回り閣議で全面輸出禁止と送金規制に違反した外国人の再入国の原則禁止を打ち出していると思いますが、この2点で北朝鮮を対話に呼び戻す為の圧力として十分なものとお考えなのか、若しくは米国等と協調して更に加えた圧力の再追加制裁等も検討されているのか、この2点をお願いします。

(外務大臣)日本独自の制裁の追加措置、これに関しては与党の意見も踏まえつつ、現在輸出の禁止措置と対北朝鮮貿易金融措置に違反した一定の者に対する措置、この2点について正に今最終的な手続きを進めているところです。今の時点でこれらの措置の効果或いは圧力が十分かということについて云々することは適当ではないと思っています。今般採択された安保理決議第1874号、これを実効的あらしめなければならない訳ですので、これの実効的実施と併せて、北朝鮮から諸問題の解決に向けた具体的な行動を引き出すために政府が一体となってしっかりと対処していきたいと思っています。

(問)これ以上の追加措置は考えているのでしょうか。

(外務大臣)今の時点ではこの2点について、我が国としては対処するということです。

(問)北朝鮮の金総書記の三男が中国を訪問したとの報道があるのですが、そのことは中国政府から日本政府に何らかの情報の伝達はあったのでしょうか。そして、後継者問題について政府レベルでの連絡は日本政府に来ているのでしょうか。

(外務大臣)そのような報道があることは承知しています。政府としては日頃から様々な北朝鮮の内部情勢についての情報にも接していますけれども、政府が得ている情報の内容について或いは詳細について、具体的にここで述べると情報収集能力或いは情報収集経路が明らかになる訳で、今後のそういう情報収集活動に支障があってはいけないと思います。そういう恐れもあるということから差し控えさせて頂きたいと思いますが、また更に相手国との関係もあり、信頼関係というのが大事ですから今後の情報共有に支障をきたす恐れもありますので、事実関係について申し上げることは差し控えさせて頂きたいと思います。

(問)国連決議(第1874号)を実効あらしめるということですが、貨物検査の法整備の見通しなのですが、これについてはどうなっていますか。

(外務大臣)政府全体としては決議で決まったことを実行に移す為に適切な対応を早く取るということが一番大事な訳で、早急に関係省庁間で緊密に協力をしながら検討していくということです。具体的には今現在、政府内において検討を行っているところです。

(問)今国会中に法整備をした方が良いということでしょうか。

(外務大臣)それはもう決議が出ている訳ですから、早くそういう必要な体制を取るということが大事だと思っています。どういう点で何をしなければならないかということは今、政府内で検討しているということです。

目次へ戻る

東シナ海の資源開発

(問)東シナ海のガス田で、中国と二国間開発に合意して間もなく1年ですが、この期間全く具体化に向けた条約締結の交渉が動いていないという状況についてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)昨年6月の合意から1年経とうとしていますが、これは、両国の首脳の意向を踏まえた政府間の合意ということでありますし、戦略的互恵関係の成果の一つだと思っております。中国側も同様の認識を持っておりますし、重要なのは国際的な約束の締結交渉、これを早期に始める事だと思います。今迄、このような締結交渉が開始されていないのは、大変遺憾に思っておりますし、中国には引き続き粘り強く働きかけをして参ります。先日、王岐山副総理が来日された際にも、日中ハイレベル会合でこのことを私の方からお話をし、また日中外相会談でも早期締結交渉、早期開始についてお話をしましたし、総理からもお話があったということです。今迄の中国の首脳の本件に関する発言を見ましても、温家宝総理も今年の4月の日中首脳会談では合意に対する立場を後退させてはいないと、事務レベルでの意思疎通と連携を強化していきたいと、楊 潔チ外交部長は先日の日中外相会談に於きましても、合意は日中戦略的互恵関係の重要な進展であって、双方にとって利益であるということを言われている訳であります。私たちとしては、引き続き粘り強く働き掛けていくということだと思います。

(問)日中双方、重要な合意であるという共通認識がありながら、一向に条約交渉が始まらないことへの受け止めは。

(外務大臣)中国側の事情はわかりませんし、推定をしてもあまり意味がないと思います。我々としては、首脳レベルで強く申し入れをしている訳ですから、引き続き粘り強くやっていくということだと思います。

(問)目途とか、いつくらいにというのはありますか。

(外務大臣)先日、本件については首脳レベル、外相レベルでも協議を行い、日本側からも強く要請している訳ですから、丁度1年にもなりますので、これを一つの契機として強く働き掛けをしていきたいと思います。

目次へ戻る

イラン大統領選挙

(問)イランの大統領選挙の受け止めと、ムサヴィ元首相支持派が集会をしたことに対して発砲されたという報道がありますが、そういったことについての受け止めをお願いします。

(外務大臣)先日私もイランを訪問しましたけれども、現在のイランの混乱というものを非常に懸念していますし、事態の推移を注視しているところです。ハメネイ最高指導者が憲法擁護評議会にムサヴィ氏の意義申し立てを慎重に検討するようにと強調したということでありますので、今後どのように、適正に処理されるのか関心をもって注視をしているところです。発砲という話がありましたけれど、そのような事態は一日も早く収拾されるようにと思っています。

目次へ戻る

内政

(問)マスコミ各社の世論調査で、内閣支持率が急落しているようですけれども、そのことについてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)支持率が下がるということは非常に残念です。昨年、麻生総理は総裁選の時から景気対策をやりますとそのように党員、国民に訴えて、またその後も補正予算、本予算、今年度も補正予算ということで全力で現下の最大の課題であります景気対策、或いは国際経済問題、金融問題に取り組んでいる訳ですから、また株価も回復して参りましたし、そのような意味では政策を評価して頂きたいと思っております。支持率低下の原因というのは、色々あると思いますし、マスコミの皆さんの影響も大きいのではないかと思いますが、とにかく政策をしっかりやっていくこと、これに尽きるのではないかと思います。

(問)鳩山総務大臣が、正義が通らないと言って辞められた訳ですけれども、その判断或いは郵政公社の社長を代えるべきか否か、大臣はどうお考えでしょうか。

(外務大臣)鳩山総務大臣のお考えであのような決断をされたことでありますし、総理も総理のお考えであろうと思いますので、私からこれについて、どうこう申し上げることではないと思っております。ただ、この問題は早く収拾して、簡保の問題で不明瞭な点があれば、それは早く究明すべきだと思っておりますし、民営化ということは決まっている訳ですから、それが本当に地域住民のために、国民のためになるように、前向きに皆で知恵を絞っていくことだと思います。

(問)内閣支持率回復のために、内閣改造という話がありますが、これについてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)私はそのことについては、コメントを差し控えさせて頂きます。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年6月12日(金曜日)9時24分~ 於:院内大臣室前)

北朝鮮核実験に係る安保理決議を受けた国内法の整備

(問)北朝鮮に対する国連の安保理決議を受けた国内法整備の問題ですが、昨日大臣は委員会で関係省庁と連絡をとって必要な対応をとっていきたいと仰いましたけれども、これは法整備をして今国会での成立を目指すという方向でよろしいでしょうか。

(外務大臣)今、安保理で大詰めの最後の協議中で、確か日本時間ですと今晩の夜中の零時に会合を開いて、そこで協議が行われ、採択になろうかと思います。我々としては、採択されたらその制裁の内容というものをもう一度よく精査しながら、どのような対応が必要かということを政府として考えていきたいと思います。最終的に採択されておりませんので、具体的にどこをどうするということは申し上げられませんけれども、必要な対応はしっかりやっていこうと思っています。

(問)これも迅速にということでしょうか。

(外務大臣)そうです。

目次へ戻る

三度目の核実験兆候

(問)安保理の決議を受けて北朝鮮が3度目の核実験の準備をしている兆候があるという一部報道があるのですが、今確認されていることを教えて下さい。

(外務大臣)情報収集は常日頃しっかりやっている訳でありまして、その内容については申し上げられませんけれども、そのような一部報道があることも勿論承知しています。またそういうことのないように北朝鮮に対して働きかけをしていかなければいけないと思っています。

(問)3度目の核実験を北朝鮮が強行した場合、日本としてどういう対応をすべきだとお考えでしょうか。

(外務大臣)仮定の質問にはお答え出来ません。どのような形でいつ頃行われるのか、行われることを望んでいませんけれども、万が一そのようなことになりましたら、また必要な対応をしっかりやらなければと思います。特に関係国とは緊密な連絡を取っていきたいと思います。

(問)今仰った必要な対応とは具体的にはどのような対応か教えて下さい。

(外務大臣)今回の安保理の決議がまず出ますから、それとの関係もありますし、我々としてはこれは仮定の話ですからお答えできないのですが、そういう万が一の時は状況を見ながら、何を我が国として対応していかなければならないかということは当然考えなくてはならないと思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年6月9日(火曜日)9時27分~ 於:院内大臣室前)

冒頭発言

(1)パキスタンにおける国内避難民に対する緊急無償資金協力

(外務大臣)閣議では私の方からパキスタンにおける国内避難民に対する支援について、緊急無償資金協力ですが、これについて報告を行いました。パキスタンで約350万人の国内避難民が発生した訳ですが、我が国は、緊急支援として、WFP(国連食糧計画)、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)或いはUNICEF(国連児童基金)を通じ、総額1,000万ドルの緊急無償資金協力を実施することと致しました。これは、4月に東京で開催したパキスタン支援国会合で我が国は2年間で10億ドルの支援を表明しているのですが、その一環です。

(2)日本テレビ記者による北方四島入域について

(外務大臣)先般、日本テレビ・モスクワ支局長がロシア側の手続に従った形で択捉島に入域をして取材を行い、報道がなされた訳ですが、その件につきまして、私からも再発防止を強く要請していたところです。今般、日本テレビ側から、「今回の取材は閣議了解に反するとの指摘を重く受け止めて、甚だ遺憾であり反省している。今後は、日本政府の立場、特に平成元年の閣議了解を最大限尊重し、元島民や関係者の方々の心情を踏まえて取材・報道に当たる。」旨の表明がありました。国民の皆様や報道機関の皆様におかれては、一連の閣議了解にてお願いしているとおり、ロシアの「出入国手続」に従ったかのごとき形で北方領土への入域を行うことは、北方領土問題に関する国民の総意及び政府の政策と相容れないものであることをご理解いただき、このような北方領土への入域を行わないよう、引き続きご協力をお願いしたいということです。

(問)日本テレビの問題ですが、いつ、どういう形で日本テレビから表明があって、この問題はこれで決着がしたとお考えなのかと、2点お伺いしたいのですが。

(外務大臣)先方とのやりとりもありますので、時期など詳しいことについてはお答えは差し控えたいと思いますが、しっかりと反省もされているようですから今後は注意をして報道取材にあたって頂きたいと思っています。

目次へ戻る

北朝鮮核実験に係わる安保理決議

(問)安保理ですが、大詰めになっていると思いますが、決議採択の見通しは、今日明日にもあるのか伺いたいのですが。

(外務大臣)引き続き協議中ですが、早く良い決議が出来るようにということで期待をしています。ニューヨークで今精力的にやっている最中です。大詰めに近いのではないかと思います。

(問)大臣が中国外相と話した時にも慎重な姿勢は変わらなかったようですが、その辺りは何が今、障壁になっているのでしょうか。

(外務大臣)内容の詳細については、発言は差し控えさせて頂きますが、中国外相との間では、良い決議になるようにということで、話し合いを行ったところです。

(問)安保理で貨物検査が焦点になっているかと思いますが、これはどういう形で盛り込まれれば日本としても対応するということになっているのですか。

(外務大臣)それは決議次第ですが、対応すべきところが出てくれば必要な対応を取ることになると思います。

(問)それは法整備も含めてですか。

(外務大臣)内容次第ですので、それによって判断していくと思います。決議の内容次第です。

(問)国連決議ですが、中国が強制力を弱めるような案を出してきているようですが、それは日本としては受け入れ可能なのでしょうか。

(外務大臣)中国がどのような具体的な要請をしているかということについては協議中ですのでお話は出来ませんが、その他の関係国も一緒になって協議をしているところです。私たちとしてはいずれにせよ、追加的制裁を含めた強い決議を出すということが、非常に大事だと思っています。時間も随分経ちましたので、一刻も早く纏めていきたいと思っています。

目次へ戻る

米国女性記者2名への判決

(問)米国の2人の報道記者が北朝鮮に拘束されて、12年の労働という判決が出ましたけれども、米国の対応とか今後の北朝鮮に対する話し合いへの影響の受け止めは。

(外務大臣)これは日本政府としても関心を持って見守っているところです。米国政府も人道的観点から早期の釈放を求めている訳であり、私たちもやはり早期解決を願っています。

目次へ戻る

在日米軍再編に係わる米海兵隊司令官の議会証言

(問)米軍再編に関してですが、先週、アメリカの海兵隊のコンウェイ司令官がグアム移転や普天間再編に関して修正する方向で日本側と協議したいという発言を議会でされているのですけれども、それについて外務省としては今後どのように対応していかれるのでしょうか。

(外務大臣)発言があったことは承知していますが、その意図については私はよく分かりません。いずれにせよ日米両国では、米軍再編についてはロードマップに則って実施していくということで合意しており、そのような方針に変わりはありません。また、米国も予算的な措置を行っていますから、我々は規定方針通り進めて参ります。

目次へ戻る

北朝鮮の弾道ミサイル発射

(問)北朝鮮が、早ければ、決議が採択されればその直後にも弾道ミサイルを発射するという見方も示されていますが、それに対して万全の体制を取っていくということになっているのでしょうか。

(外務大臣)北朝鮮が今後どうするかということについては、私が想像したり述べるということは適当ではないと思います。いずれにせよ弾道ミサイルを含むミサイルを発射すれば、これは国連安保理の決議違反ですから、そのようなことを北朝鮮側は判断をしなければいけないと思っています。我が国としては万全の体制を敷いていくということが一番大事だと思っています。

目次へ戻る

米国による北朝鮮に対するテロ支援国家の再指定

(問)クリントン国務長官が北朝鮮に対してテロ支援国家指定国に再指定の検討について発言をしていますが、日本としてもそういうことになれば前回も大きな事でしたし、米国の事とはいえ再指定になれば日本もまたプラスになる訳で、その動きに対して日本としてはどのような対応をされるのでしょうか。

(外務大臣)これは米国の国内法(の適用の話)ですので、米国の判断ということになります。それからテロ支援国家指定を再指定する場合、法的な根拠といったものが必要ですし、国際的なテロ活動を行っている証拠が必要で、これはクリントン長官も述べておられます。そういった意味で検討というのは常に行っているのではないかと思っており、(クリントン国務長官の)ご発言は、北朝鮮に対しては強い対応が必要だと、そういうことを仰っておられるのではないかと思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年6月5日(火曜日)9時26分~ 於:院内大臣室前)

北朝鮮核実験に係る安保理決議

(問)ニューヨークでの安保理決議に係る協議についてですが、中国が厳しい決議に難色を示しており、これから各国で中国を説得していくことになると思うのですが、ここ迄今回も中国が(協議を)難航させていることについて、どの辺に理由があるとお感じでしょうか。

(外務大臣)強い決議を出すということは、各国とも一致している訳で、それに向けて努力をしていますが、いくつかの点で完全に全員が一致していないということがあるのは事実です。どの点ということは申し上げられませんけれども、今精力的にやっているところで、私も中国楊 潔チ外交部長とは電話等でお話をしていますけれども、更に一致できるように努力していきたいと思います。

(問)どの辺りの中国の姿勢を意識されていらっしゃるのか、教えて下さい。

(外務大臣)今、具体的なやりとりの内容は申し上げられません。まさに大詰めのところですので、控えさせて頂きたいと思います。

(問)安保理決議の方ですが、週を跨ぐ可能性は高いのでしょうか。

(外務大臣)出来るだけ早くということでやって参りましたけれども、残念ながら、今日までまだまとまっておりません。この状態でいくと、そのようなことになるかも知れませんが、今現在もニューヨークでは精力的にやっておりますので、この一両日見守りたいと思います。我々としては、国連代表部に対して迅速にやることが大事だと、そして追加的制裁を含む強いメッセージが大事だということは、再三指示もしておりますし、各国ともそのような形で一致しておりますので、一日も早い解決を期待しております。

(問)昨日、クリントン国務長官と電話会談をされたようですが、中国に働きかけをしっかりやっていこうと、そういった話をされたのでしょうか。

(外務大臣)クリントン国務長官は海外出張中でしたが電話で会談をいたしました。安保理での協議が大詰めですので私の考えを述べ、クリントン長官からも、従来から米国も変わらない、引き続き結束してやりましょうというのが、基本的な昨日の電話会談でありました。その中で色々と詰めることがあればやっていく。これは当然のことですが、具体的にどの国とどうという細かい話は差し控えさせて頂きたいと思います。

目次へ戻る

北朝鮮の後継者問題

(問)北朝鮮の金正日総書記の後継者の問題ですが、韓国、中国、米国の高官からも三男と言われている「金正ウン」氏のようだということですけれども、日本としては、どのように分析されているのでしょうか。

(外務大臣)報道もありましたし、我が国としても、外務省としても日頃から情報の収集、分析を行っております。これまで正式な北朝鮮側の発表があった訳ではないということでありまして、私たちとしては引き続きしっかりと情報の収集に努めて、また事態が変わってきた場合には、それに対応出来るようにしていこうと思っております。

(問)今、こういった状況で北朝鮮の後継者問題が出てくるという現状について、北朝鮮国内の金正日総書記の健康問題も含めて、その辺はどのように受け止めていらっしゃいますか。

(外務大臣)北朝鮮側の意図を推測するのは、適当ではないのではないでしょうか。

目次へ戻る

温暖化中期目標に係る関係閣僚会議

(問)5大臣温暖化会議でどのような話がありましたか。

(外務大臣)地球温暖化問題の国際戦略について、総理の出席を頂いて、官房長官、環境大臣、経産大臣、財務大臣そして私(外務大臣)の出席で話し合いました。具体的な内容は申し上げられませんが、温暖化の中期目標について意見交換をしました。また必要があれば会合を開こうということです。具体的には官房長官から話があるかも知れません。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年6月2日(火曜日)9時55分~ 於:院内大臣室前)

北朝鮮問題(スタインバーグ米国務副長官の訪日)

(問)昨日の日米の北朝鮮担当者間のハイレベル協議ですが、どのような話し合いがありましたか。

(外務大臣)現在、安保理で北朝鮮に対する決議(に関する協議)が行われていますけれども、今後の北朝鮮問題にどのように取り組んでいったら良いかというような意見交換でした。いずれにしても日米でしっかり緊密に連絡を取っていきましょうということです。(スタインバーグ副長官一行は)韓国や中国にも行かれるようですから、その上で総合的な話を日米の政府としての考え方としてまとめられるのではないでしょうか。我々としては我々の考えをしっかりとお伝えしたつもりです。

(問)北による核実験の後にまた弾道ミサイルの発射の兆候という報道も出ていますが、米国側の認識というのは相当厳しいものだと思われましたか。

(外務大臣)昨日の会議ではそのことについての話はありませんでした。この間核実験をやったばかりですから、そのような事態になれば大変な事態です。私自身も報道は承知しておりますし、政府としても外務省としても情報は日頃から収集しておりますけれども、もし仮にまた発射ということになれば、これは明らかに安保理決議違反ですから、国際社会が一致して強い対応を取るということは当然だと思います。

(問)昨日、米国の北朝鮮担当者一同とお会いになって大臣も表敬を受けられたのですが、その時に米国側が持つ危機感というか、受けた印象はどういうものでしたか。

(外務大臣)会議は極めて実務的に両者の考え方を交換したのですが、核実験というのは北東アジアのみならず国際社会にとっての大変な脅威です。そのような意味では北朝鮮に対して決議を守らせ、六者会合を復帰させるということが大事で、その為にはどうしたら良いかという話し合いをしたところです。各国とも当然この北朝鮮の問題については大変重視しています。

(問)六者協議の話ですが、六者協議の有り方を見直していくべきだというような声も出ているようですけれども、これについてはどのようにお考えですか。

(外務大臣)北朝鮮の反応を見ますと、六者協議は難しいのは事実だと思います。再開にしろ、運営にしろ。しかし米国との話の内容については大変申し訳ありませんが、申し上げる訳にはいきません。

(問)スタインバーグ米国務副長官と直接お話をされたと思いますけれども、米国の(北に対する)対話重視の姿勢が変わってきたのかなという印象は持たれましたか。

(外務大臣)従来から、「対話」と「圧力」ということです。「圧力」というのは、この決議等が念頭にあると思います。バランスをとってやっていくことですから、特に変わったとか変わらないではなく、意見交換をしたということですから、米国が今後どうするとか、そのようなことを私たちに具体的に話しをしたということです。

目次へ戻る

このページのトップへ戻る
前月へ戻る | 次月へ進む | 目次へ戻る