記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成21年5月)


INDEX









外務大臣会見記録(平成21年5月29日(金曜日)8時54分~ 於:院内大臣室前)

北朝鮮核実験に係る国連安保理決議について

(問)ニューヨークの方で、国連決議に向けて協議が進んでいるようですけれども、来週の半ばくらい迄に採択という見方というのは、楽観的でしょうか。

(外務大臣)これは、迅速に出そうということは共通した考え方だと思います。そのような意味で今、精力的にニューヨーク(国連代表部)でやっている訳です。来週半ばというか、もっと早い方が良いのではないか、そのような気持ちで皆さんやっていると思います。

(問)一部報道では、制裁を科すだけではなく、何かちゃんとこういう事をすれば、こういう見返りをしてあげようという条件付きで制裁を科せないかということ国連内でアイデアとして出ているようなのですが。

(外務大臣)決議の具体的な内容について触れることは控えたいと思います。今、かなり精力的にやっているところですから。しかし、我が国としては、国際社会が一致団結して強い決議を迅速に採択すること、そして、北朝鮮に対する追加的なメッセージを出すということが大事だということで、ニューヨークの方(国連代表部)には我々のそのような考えをよく伝えてあります。

(問)国連決議第1718号の貨物検査の話が出ておりましたが、もし臨検や貨物検査、これらを特に公海上で実施するためには新しい法整備が必要になってくるかと思いますけれども、その辺りの検討状況はいかがでしょうか。

(外務大臣)これについても、今まさに協議中なので、控えさせていただきたいと思います。

目次へ戻る

米国による北朝鮮テロ支援国家再指定について

(問)アメリカによる北朝鮮のテロ支援国家再指定ですが、昨日麻生総理が予算委員会でそのような方向で進んでいると思うと、つまりアメリカ側への働きかけを示唆しているといった発言があったかと思うのですが。

(外務大臣)まず、テロ支援指定国家再指定をどうするかというのは、米国(国内法)の問題です。日本がやる訳ではありません。それから、昨日の(参院での)与党の委員による質問に対する総理の応答ですが、金融制裁とか、テロ支援国家指定解除、そのようなところから始まった質問で、私は総理が直接テロ支援国家指定解除について発言をされたとは受け取っておりません。全体の中で、この意味の質問に対して総理がそのような方向で、つまり強いメッセージを出すと、そのような意味で仰ったと思っておりますし、議事録をよく見ていただければその辺りはおわかりなると思います。

(問)日本政府としては、テロ支援国家再指定が望ましいというような立場でしょうか。

(外務大臣)これは、米国が決めることであります。また、この問題というのは、やはり米国がまず考える事ですから、我々としては、今は国連決議全体を早くまとめることが一番大事だと思っております。幸い建設的で良い議論が行われておりますので、引き続き精力的に取り組むことになります。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年5月26日(火曜日)8時57分~ 於:院内大臣室前)

北朝鮮の核実験

(外務大臣)皆さんご承知のことと思いますが、国連で先程、安保理の非公式協議が行われまして、北朝鮮の核実験に対する強い反対と非難を表明すると共に、北朝鮮に対して関連の安保理決議、これに完全に従うようにと、そういう要請も行いました。また今後、安保理決議について、この手続きを迅速に作業を開始するということを決定したということで、議長からその旨の表明があったところでございます。我が国としては、今回の事態は地域の平和と安定を損なう大変な事態でありますので、積極的に率先してこの決議の作成にも取り組んでいきたいと思っています。

(問)今、言及されました決議ですけれども、具体的にどういった内容を日本としては盛り込みたいとお考えでしょうか。

(外務大臣)これは予断はなかなかできないのですが、我が国としては、関係国とまず十分協議をしながら対応を考えていくことが基本だと思います。

(問)前回の議長声明の時は、中国とロシアの対応というのが一つの焦点だとおっしゃっていましたけれども、今回の決議をまとめるにあたって、これまで様々なレベルで情報交換、意見交換をされてきたと思いますが、何か温度差ですとか、あるいは距離感等、何かお感じですか。

(外務大臣)今回、議長国はロシアですし、ご案内のような議長の発言もあったということでございますし、また中国とは、私は昨日ASEMの会議の場で楊外相とも協議を行いまして、楊外相も中国側としても容認できないという見解でありますし、また安保理とは別のこのASEMの会合の議長声明も今日出す訳ですけれども、この議長声明においても北朝鮮のこの問題に対するASEMの総意を打ち出そうということで、中国も我が国と韓国とその他の国々と議長国であるベトナム等と、一緒になってこれについて検討していくということですから、今回足並みを揃えながらやっていけるものと思います。

(問)大臣は日米電話首脳会談に同席されたのでしょうか。

(外務大臣)いいえ、私はハノイにいましたから、ヒラリー・クリントン国務長官と電話会談を行いました。強い決議が必要だと、それも迅速なものが必要だと、また一致して連携してやりましょうというようなことで話し合ったところです。

(問)その強い決議ですけれども、やはり新たな経済制裁を伴ったものを求めていくということでよろしいでしょうか。

(外務大臣)そういう北朝鮮に対する措置については、我が国としては不断の検討を行っている訳でありまして、今回我が国だけ何かをしても、国際社会全体が北朝鮮に対する措置というものを取る場合は、共同して歩調を合わせて、また各国がそれを守らなければなりませんので、まずは安保理での協議、そして同時に我が国としても色々な意見があろうかと思いますが、政府としても今後そういう点については判断をしていくことになろうかと思います。

(問)日本独自の制裁も検討していくということだと思うんですが、国連の決議では新たな制裁が盛り込まれたものでなければならないというお立場でよろしいのでしょうか。

(外務大臣)強い決議という中には各国と話し合った上でのことでありますけれども、前回強い議長声明が出たにもかかわらず今回また違反をしたということでありますから、それなりのしっかりとしたものにしていく必要があると思います。

(問)ここまでの国連の議論で、まず非難すべきだということで日本時間の今朝一致したとのことですが、ここまでの国連の議論をどのように評価されていますか。

(外務大臣)私自身、国連内部での議論はハノイにおりましたので、詳細は承知しておりませんが、今回の対応は非常に早い対応であったと思っております。各国共この北朝鮮の核実験に対する認識というものは、かなり強いものを持っていると、断じて許すことはできないというのは共通の考えだと思います。今後、精力的にこの問題を安保理の場で話し合っていくことになると思います。

(問)今回このタイミングで北朝鮮が核実験を行ったことは、どういう背景があり、なぜこのタイミングなのでしょうか。

(外務大臣)私の方でコメントすることは適当ではないと思います。

(問)日本政府として核実験を行ったことを確認されたのでしょうか。

(外務大臣)今、色々検証中ということです。北朝鮮はそのような発表を行っておりますが、検証中です。

(問)日本はこれまで六カ国協議を重視するとの立場でしたが、今回このような核実験を改めて行って、今後の六カ国協議の見通しは如何でしょうか。

(外務大臣)六者会合が、私は最も現実的で効果的な北朝鮮に対する枠組みであると思っておりますので、今後もこの形でこれを中心として対北朝鮮の問題は対応することが一番適当なことと思っております。

(問)北朝鮮は、もう今後は(六者協議に)出ないと言っている訳ですけれども、それでも六者協議をやはり重視されるのでしょうか。

(外務大臣)北朝鮮側はそのようなことを言っておりますし、先の議長声明の時にも強い反発をされている訳ですけれども、私達としてはこの六者会合を中心にやることが最も適切であると思っております。

(問)一方で拉致問題の日朝協議に向けての見通しについては如何でしょうか。

(外務大臣)これについては、昨年の日朝の実務者協議で調査のやり直しをするということで合意しております。これについて北朝鮮は否定している訳ではありません。私達は調査のやり直しが開始されれば、今行っております我が国の対北朝鮮措置についても、例えばチャーター機の問題とか、人の往来とかについては、約束通り履行することを表明している訳ですから、これはこれでしっかり実行して貰いたいと思います。ただ、事態は難しい状況になりつつあるのかなというのが率直な感想ではありますが、拉致の問題は我が国にとっても最重要課題の一つですから、引き続き北朝鮮に対しては働きかけを行っていこうと思います。

(問)核実験を行うようだという連絡が、米国もしくは中国から今回あったのでしょうか。

(外務大臣)私が知る限りでは、我が国への事前の連絡はなかったということです。
:後刻、大臣がぶら下がり会見に応じた際に、この会見における「私の知る限りでは、我が国への連絡はなかった」という発言は、「北朝鮮からの連絡」を念頭に置いていたものであった旨の説明がなされました。)

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年5月22日(金曜日)8時35分~ 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

(1)メキシコに対する感染症危険情報・査証措置の緩和

(外務大臣)新型インフルエンザの関係でありますけれども、最新の状況を踏まえまして、メキシコに対し「不要不急の渡航延期と早めの退避」を呼びかけております感染症危険情報を本日5月22日付けで他の感染国に対するものと同様に「十分注意」の呼びかけとすることに致しました。また、メキシコに対する査証免除の一時停止措置、これにつきましても、同日付けで解除することを決定致しました。

(問)メキシコの関係ですが、感染症危険情報を引き下げたということで、その理由を簡単にご説明願いします。

(外務大臣)これは、今朝の対策本部でもいろいろと報告がありましたけれども、このインフルエンザの状況が弱毒性であるとか、或いはこの状況が日本では拡がっておりますけれども、例えば薬の効果があるとか、そのようなことから総合的に判断をして決定したものです。

(2)ASEM(アジア欧州会合)の第9回外務大臣会合への出席

(外務大臣)国会のご了解がいただければ、ASEM、アジア欧州会合でありますが、その第9回外務大臣会合に出席するため、明日23日(土曜日)より26日(火曜日)の朝までベトナムのハノイを訪問する予定です。この会合では現下の金融情勢、或いは気候変動、朝鮮半島問題、新型インフルエンザ問題など幅広い議論が行われると思います。私も積極的にこの議論に参加していきたいと思っております。また、アジア諸国での新型インフルエンザ発生に備えまして、我が国のイニシアティブで新型インフルエンザ対策事業として、抗ウィルス薬50万人分等を備蓄するものでありますけれども、この開始式が同会合開催中に行われることになっており、私(大臣も)出席する予定です。あとは各国の外相等と二国間会談を行いたいと思います。

目次へ戻る

日露首脳会談における北方領土に関する総理発言

(問)今朝の朝日新聞で報じられていますが、先日の日露首脳会談で総理の方から二島返還などを示した「56年宣言では未来永劫解決しない」という発言があったいうことの事実関係と、その発言の意味するところは今までの政府方針と変わるものがあるのか、という二点をお伺いしたいのですけれども。

(外務大臣)外交交渉の具体的なやりとりについては、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。当然のことながら(北方四島に関する)我が国の政府の方針は変わっておりません。北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということです。これについては、報道がどうなっているか詳細は存じませんけれど、方針は変わらないということです。

(問)その会談の中では、政府方針と違うような発言はなかったということでしょうか。

(外務大臣)会談の具体的な中身については、申し上げる事は出来ません。

(問)北方四島の関係ですけれども、昨日総理がこの関連で参議院の予算委員会で発言をされてましたが、四島の帰属をもとに四島の返還をめざすということでしょうか。

(外務大臣)これは従来からの政府の方針通りです。北方四島の帰属を解決して平和条約を締結する方針に変わりはありません。

(問)段階的に解決するのではなく、四島一括で解決ということでしょうか。

(外務大臣)まず、北方四島の帰属を確定するということです。

目次へ戻る

北朝鮮による危険水域設定について

(問)北朝鮮が近海の危険水域を設定しておりますけれども、これについて、日本政府はいかがでしょうか。

(外務大臣)これについては、海上保安庁の巡視船がたまたま北朝鮮が発している航行警報を受信したということで、海上保安庁も国際的な責務からこの航行警報を出したものでありますけれども、北朝鮮がどのような目的でこの航行禁止区域を設定したのかということにつきましては、私どもは、承知しておりません。

(問)北朝鮮がミサイルを発射しようとか、そういった日本の安全保障に関わるようなことはあるのでしょうか。

(外務大臣)今申し上げましたように、どういう目的で北朝鮮が航行禁止区域を設定したか承知しておりませんけれども、いずれにせよ、情報収集には努力したいと思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年5月19日(火曜日)11時20分~ 於:本省会見室)

新型インフルエンザ対策

(問)新型インフルエンザ関係ですが、メキシコへの渡航延期勧告を見直すという報道があったのですが、実際そのようなことを検討しているのでしょうか。

(外務大臣)昨日、WHOの総会でチャン事務局長が、現時点ではフェーズ5だと述べていますけれど、まずフェーズ6に引き上げるかどうかは、当然のことながら、今後の各国の感染状況を踏まえて判断されるものと思います。我々としては、まず情報の収集に努めることが大事だと思っております。渡航情報等の見直しにつきましては、今申し上げた通り、今後の状況を踏まえて検討するということで、現時点では変更することは決定しておりません。

(問)昨日、上海に到着した羽田発上海行の上海航空の搭乗者に新型インフルエンザの感染が疑われているということで、日本人も含む方々がホテルに留め置かれているということですが、この乗客について今どのような状況でしょうか。

(外務大臣)17日午後2時30分羽田発上海行の上海航空816便の乗客1人に発熱症状が見られたので、この人の近隣の席の人たち、前3列、後3列までの乗客が検査結果が判明するまで上海のホテルに停留されていましたけれども、先ほど10時44分に、全員解放されました。つまり乗客は新型インフルエンザに感染していないことが分かったということだと思います。

(問)もともと疑いのあった人も新型インフルエンザではなかったということが確認できたということでしょうか。

(外務大臣)そういうことです。

目次へ戻る

日露関係(四島交流)

(問)ビザなし渡航なんですが、第二回は22日から予定されていると思うのですが、見通しは如何でしょうか。

(外務大臣)第一回が間に合わなかったということで非常に残念なことです。薮中次官は在京ロシア大使を呼んで、遺憾の意と、第二回目を確実に行って欲しいとお話した訳ですが、現在は予定通り行えるようにロシア側と調整をしているところです。ロシア側は内部手続き上ということを言っている訳ですが、ロシア側内部の手続きを早期に完了するよう努力すると述べておりまして、我々としてもそうなることを強く期待しているところです。また昨日、モスクワに於いても、日本の駐ロシア大使から先方の外務次官に第二回目が間違いなく行えるようにということを強く申し入れているところです。

(問)(ロシア側から)特に返事はないのですか。

(外務大臣)現在、関係省庁との調整を行っているという説明を受けているところです。

目次へ戻る

北朝鮮問題

(問)テレビ朝日の番組で田原総一郎氏が、横田さんと有本さんが亡くなっている、そして、外務省も生きていないことが分かっているという趣旨の発言をされたようですけれども、外務省の見解は如何でしょうか。

(外務大臣)私もこのことを聞いた時には大変遺憾で、残念に思いました。非常に誤解を与えるような発言で、外務省の立場は皆さんもご承知の通り、外務省作成の拉致問題のパンフレットにも明記されていますけれども、北朝鮮側による納得のいく説明がなされていない以上、安否不明の拉致被害者は全て生存しているとの立場、前提に立って、北朝鮮側に対して全ての被害者の安全の確保、即時帰国、真相の究明、被疑者の引き渡しを強く要求するもので、それが我が国の立場であります。従って、田原氏の、外務省も(拉致被害者が)生きていないことは分かっているなどという発言は全くの誤りであり、大変遺憾であります。私たちとしては拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく努力をしている訳であります。新聞にも釈明みたいなものが載っていますけれども、ご本人ははっきりとした釈明をしていないのではないでしょうか。新聞によりますと、「人の生死に関する問題を具体的な情報源を示すことなく発言したことは深く反省している」ということで、情報源を示すことがなかった言い方をしていますけれども、大変重要なことでありますし、一日も早い帰国のために努力している多くの方に対して失礼なことではないかと思います。

目次へ戻る

在沖縄海兵隊のグアム移転

(問)民主党の新代表の鳩山氏が、普天間飛行場について、あくまで沖縄県外への移設を求めていくと記者会見で述べているのですが、これについてどうお考えですか。

(外務大臣)鳩山氏は県外のどこと言っていますか。

(問)どことは言っていませんが、あくまで県外ということです。

(外務大臣)県外のどこと言わないと具体性が全然ありません。沖縄の皆さんは県外ということを希望されていましたが、日米で十分協議をした上で、沖縄の皆さんの負担の軽減と抑止力維持という観点からロードマップが決められて、それに則ってグアムへの米海兵隊の移転が決まっている訳ですから、これは粛々と、一日も早く実現するということが沖縄の県民の皆さんのためにもなると思っております。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年5月15日(金曜日)11時20分~ 於:本省会見室)

冒頭発言ー北方領土択捉島への報道関係者の入域取材

(外務大臣)今般、日本テレビ・モスクワ支局長が5月9日から13日の間の日程で択捉島に入域し取材を行いました。この取材に基づく報道が12日夜放映され、私も見ましたが、この件については、すでに外務報道官から会見で遺憾の意を表明していますが、この機会に、私からも一言申し上げたいと思います。今般、この日本テレビの関係者はロシアの「出入国手続」に従った形で北方四島に入域したことは、我が国の法的立場及び領土問題の解決を願う国民の総意と相容れず、また一連の閣議了解にも反するものであり、極めて遺憾です。特に元島民も領土問題に関する我が国の立場を害さぬよう四島交流等の枠組み以外で四島を訪問することを自粛し、そして自由に故郷を訪問できない状況に耐え続けていることは、皆様もご承知のとおりです。今回の日本テレビの行為は、我が国の国益に反するものであり、このような元島民の心情を無視する行為でもありますので、重ねて遺憾の意を表明したいと思います。日本テレビにおいては、本件事案の重大性を十分認識して頂くとともに、今後このような行動を繰り返さぬように速やかに再発防止のための措置をとることを強く要請します。日本テレビの速やかな対応を期待します。

目次へ戻る

日露関係(四島交流)

(問)北方領土の関係で、(日露間で)四島とのビザなし交流について、意見が一致し再開の枠組みで合意したのですが、それにもかかわらず5月中旬に予定されていた今年度の第一回四島交流が中断されたという話ですが、何故そういうことになっているのか、政府間の合意ができたにもかかわらず何故そういう状況になっているのか、ロシア側に対して今後どういうふうに働きかけていかれるのかという点を伺いたいのですが。

(外務大臣)本年度の第1回の四島訪問事業については、4月23日に開催された四島交流代表者間協議で合意された計画日程に従い、5月15日から実施できるようにこれまでロシア側と調整を行ってきましたが、一昨日の13日、ロシア側から、内部手続きに時間がかかっており、残念ながら第1回訪問事業については、予定通り実施することができなくなったが、可能な限り早期に手続きを完了するよう努力したい旨の通知がありました。 ロシア側に対しては、これまで第1回訪問事業を予定通り実施するよう調整を進めてきたにも拘わらず、ロシア側の内部手続の遅延により中止せざるを得なくなったことに遺憾の意を表明すると共に、ロシア側の内部手続きを速やかに完了するよう強く申し入れをしました。昨14日、藪中次官がベールイ駐日ロシア大使をお呼びして、そのことを伝え、在モスクワ大使からも同様の申し入れを行っているところであり、一日も早く手続きが完了して第二回が実施されるようにと思っております。ただ、ロシア側の内部のことですので、何故手続が遅れているかということについては、コメントする立場にありませんが、ロシア側からは関係省庁等々との調整に時間がかかっているという説明を受けております。

(問)大臣ご自身も申し入れをされているのでしょうか。

(外務大臣)いえ、私からは直接は行っておりません。事務方のトップである次官から行っております。

(問)第2回の事業は5月22日ということですが、これについての対応は如何でしょう。

(外務大臣)今のところ、勿論22日は開催する方向で当然やらなければなりませんが、それに間に合うように手続きを完了してほしいということを申入れしているということです。

(問)ロシア側の内部の関係の調整ということですが、その背景に例えばその新しい枠組みの合意に対する理解の欠如とか反対だとか不満とか、そういった背景というのはあるのでしょうか。

(外務大臣)内部の状況は分かりませんが、4月23日に札幌で行われた四島交流者間協議で日露で一致したところでありますから、方針が変わったとかそういうことがあるとは、私は考えておりませんけれども、実際のところはよく分かりません。向こうの手続きがということですから、早くやって欲しいということです。

目次へ戻る

北朝鮮のミサイル発射に関する報告書

(問)今日午前中に、先日の北朝鮮のミサイル発射に関する防衛省の報告書が纏まり、その中で北朝鮮のミサイルの能力が上がった、射程が伸びたことについて、他国から技術や資材が流入している可能性があるという指摘をしているのですが、それについて、どういう国からどういう技術が流入した可能性があるとお考えなのか、また今後かかるミサイルの技術向上を止めるためにどのような対応を日本政府としてされるのか伺いたいのですが。

(外務大臣)今朝の会議の内容については、官房長官が代表して説明をされることですし、今の技術的、能力的なことについては、いろいろ支障があろうかと思いますので、私からのコメントは差し控えたいと思います。

目次へ戻る

日露関係(プーチン露首相の共同記者会見での発言)

(問)先日のプーチン首相の共同記者会見で、プーチン首相は7月のイタリアでの日露首脳会談の中で「あらゆるオプションが話し合われることになる」と見通しを述べましたが、この点についてはどういうふうにお考えですか。

(外務大臣)これは記者の質問に対してプーチン首相が述べられたことだと思いますが、既に我が方から、2月のサハリンの首脳会談において麻生総理からメドベージェフ大統領に対してこの北方四島の帰属問題につき最終的解決に向けたロシア側の取り組み、姿勢を強く問いかけておりますので、7月のG8サミットの際の首脳会談において、ロシア側が答えを出すことを私たちとしては期待している訳です。プーチン首相はそのサミットにおいていろいろな議論がされることであろうということを述べたのだと私は思っています。

(問)3.5島返還などを含めた、そのような話し合いだと大臣は認識されますか。

(外務大臣)プーチン首相の発言そのものは、(G8サミットの際に)あらゆるオプションが議論されると考えるというような、日本語にするとそういうことだと思います。何島だとか 、そういう具体的なことまでプーチン首相は意識して述べられているのではないのではないかと、そこで色々な話し合いが行われるというような意味で話されたと思います。

目次へ戻る

在沖米軍関連

(問)在日米軍の犯罪について、沖縄は今日復帰37年を迎える訳ですが、法務省が公開した資料によりますと、2001年から2008年までの日本で米軍関係者が起こした犯罪の不起訴率が83%ということが明らかになったのですが、これは日本全体の平均でありますが、この数字をみると沖縄を含めて日本の主権が行使されているとは言い難いのではないかと思うのですが、沖縄復帰37年を併せて大臣の見解をお聞かせください。

(外務大臣)新聞にも記事が出てますけれども、法務省が行いました情報公開によるデータ、資料、これについて私共は急なご質問なので承知しておりませんけれども、既に今国会で米軍人等による犯罪の受理人員及び起訴人員という内容の資料を国会に提出しておりまして、その数字とは若干相違があるのではないかと思いますが、法務省がどのような数字を公開されたのかを拝見したいと思います。まずはそこが原点だと思います。刑事裁判権に関しまして、我が国が一定の場合に第一次裁判権を放棄するということについては、米側との間で秘密に合意していたとか、そういう事実はありません。新聞によりますと、密約が裏付けにという見出しが出ていることもある訳ですが、そのようなことはありませんし、日米地位協定に基づいて、我が国が第一次裁判権を有する事案については、関係当局において、個別具体の事案に則して、我が国の法律と証拠に基づき適切に対応してきているものと承知しております。まず、新聞にデータが出ていますが、法務省のデータを現在掴んでおりませんので、調べてみたいと思います。

(問)国会に提出した起訴率という数字はおいくつになりますか。

(外務大臣)平成13年から19年迄の犯罪の受理人員と起訴人員、人数を出したものです。起訴率として提出した物ではありません。

(問)密約というものについては、存在しないということでしょうか。

(外務大臣)そのような事実はございません。

(問)現在、その密約を示す文書を公開するようにと、国会図書館に対して訴訟が起こされているのですが、その中の法務省が提出した資料によりますと、法務省側は現在も密約といわれる文書に沿った運用がされているので公開出来ない、という理由で文書を公開しないということになっているのですが。

(外務大臣)密約はないということです。

目次へ戻る

ミャンマー情勢(アウン・サン・スー・チー女史の訴追)

(問)スー・チー女史の訴追について国連の事務総長は懸念を表明していますが、日本政府として、訴追についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。

(外務大臣)インセン刑務所というところに移送され、裁判がおこなわれたと承知しておりますけれども、この件につきましては、私たちも深い懸念を持って注視しています。その旨をミャンマー政府にも伝えました。国際社会に祝福される形でミャンマーの民主化が進むことを期待しています。引き続き在ミャンマー日本国大使館等で情報を収集しています。具体的に申しますと、本日午前中、南部アジア部長から在京ミャンマー大使に対し、日本政府としても深い懸念をもって注視していると伝えました。民主化がすべての関係者が参加する形で進められ、2010年の総選挙が国際社会から評価されるものとなることを期待するという、日本政府の考え方を伝えたところです。

目次へ戻る

元新華社通信外事局長の裁判事案

(問)中国の宮本大使から金品を受け取ったとして、「新華社の記者が裁判で懲役18年」という報道がある訳ですけれども、事実関係は如何でしょうか。

(外務大臣)官房長官も記者会見で述べておりますが、政府の外交関係に関する個別のやりとり等については、今後の外交活動に支障を与え得るということで、コメントは差し控えさせて頂きます。一般論としましては、在外公館での外交活動というものは現地の国内法令を尊重し、遵守して行われておりますので、何ら問題はないと思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年5月12日(火曜日)8時53分~ 於:院内大臣室前)

プーチン露首相訪日

(問)昨日、プーチン首相が来日されまして、本日は首脳会談ということですけれどもどのような成果を期待されているのでしょうか。

(外務大臣)ロシアと日本の間では、領土問題、我々からしますと一番重要な問題でありますけれども、領土問題に限らず経済的な協力の問題も含めて話し合うことになっております。原子力協定の署名等、そのような形になっていくと思いますが、アジア太平洋地域における経済協力、それから何よりも領土問題の話が中心になると思います。

(問)これまでのメドベージェフ大統領の発言や、こちら側の対応も含めて見ていて国民の間では、進展への期待が高まっていると思いますが、如何でしょうか。

(外務大臣)大統領と首相の役割分担もあろうかと思います。領土問題については、7月のG8のサミットで(麻生総理が)メドベージェフ大統領としっかり話し合い、先方の考えも披露されると期待しております。プーチン首相との間では、そのようなことも踏まえた上で、日本側からは領土問題について一刻も早い解決と平和条約の締結という話をすることになると思いますし、プーチン首相のお考えをしっかりとお聞きすることになると思います。

(問)首相ということで、今回は特に経済の懸案が前進することが見込まれている訳ですけれども、報道等によりますと逆に「領土問題は、置き去り」という言葉が目立っているようですが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)決して置き去りにはならないと思います。二国間の問題には色々とありますから、現に過日、麻生首相もサハリンを訪問して、経済的な協力態勢も進展している訳ですから、置き去りにされるということは決してありません。

(問)大臣は領土問題が置き去りにされることはないと仰いましたけれども、経済協力が進む一方で置き去りにされないとお考えになる理由を改めてお願いします。

(外務大臣)私たちとしては、経済的な協力の進展に比べて、領土問題の解決が進んでいないということは先方にも伝えてある訳で、そのような意味で、領土問題の解決に一生懸命努力しています。平和条約締結という最終的な目標を考えますと、この経済協力を行いながら両国の関係を更に強固なものにしていき、この地域での協力を深めていくことは大切なことであります。領土問題については、再三、首脳会議や外相会議等で話し合っていることですし、歴史もあることですから、メドベージェフ大統領と麻生総理の間で話し合われて、一歩一歩進めていき、置き去れにされるということにはならないと思います。

目次へ戻る

クラスター禁止条約について

(問)大臣自ら署名されました「クラスター禁止条約」が本日、衆議院通過の見通しですけれども、受け止めをお願いします。

(外務大臣)先般、オスロに行き、自ら本条約に署名をさせて頂きました。人道的観点から日本としても署名をして、クラスター弾が一日でも早く無くなり、悲惨な被害が及ばないようにということで、この日に至ったということは嬉しく思います。今後は、署名、或いは締結に参加していない国に対して強く働きかけることが大事だと思っております。また日本政府としては、地雷を含め不発弾の処理に全面的に協力していくことが大事だと思っております。

目次へ戻る

北朝鮮問題(ボズワース米国北朝鮮政策担当特別代表の訪日)

(問)昨日、ボズワース特別代表が次官、斎木局長と会談されましたけれども、米側の姿勢に早く対話を再開したい、或いは六カ国協議に復帰して貰いたいということで、焦りのようなものは感じられましたか。

(外務大臣)そのようなことはないと思います。議長声明にもありますように再開を要請している訳ですし、我々としては従来通り六カ国協議を中心に北朝鮮に働きかけをしていくという方針は変わりません。六カ国協議の枠組の中、その一つの動きとして米が北朝鮮に接触をしようとし ていることは反対することではありません。ただし関連各国とは緊密な連携をとって同じ認識の下に進めていくということが大切であるということ、これはボズワーズ特別代表も十分承知していることだと思います。

目次へ戻る

小沢民主党代表辞任について

(問)昨日の小沢民主党代表の辞意表明について、どのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)なぜ今お辞めになるのか、国民の一番の関心というのは説明責任ということで各種調査でも、あらゆる方がその辺りを注目されているようですが、その点のご本人のお考えが披露されていなかったのではないかと思っております。

(問)何について説明不足だと、大臣は受け止めていらっしゃいますか。

(外務大臣)政治資金関係ということだろうと思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成21年5月8日(金曜日)8時52分~ 於:院内大臣室前)

冒頭発言 新型インフルエンザ

(外務大臣)シカゴ在住の6歳の日本人男の子が、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。この男の子は家族と共にシカゴ滞在を続けて、回復に努めているということです。

(問)家族の方等に感染しているということは。

(外務大臣)6歳の男の子が感染されたということですから、ご家族は感染されてないということです。

(問)確認されているのでしょうか。

(外務大臣)ご家族への感染があれば、そのように連絡があります。

(問)在留邦人、それとも旅行者でしょうか。

(外務大臣)在留邦人です。

(問)シカゴに在住しているということですか。

(外務大臣)そうです。

(問)日本人としては初めての感染ということですか。

(外務大臣)アメリカにいる日本人としては初めてだと思いますし、我が国全体としても初めてです。

(問)外務省としてはいかがな対応をとるのでしょうか。

(外務大臣)現在は現地当局が対応し、本人もご家族と一緒におられるようですから、現地の対応に任せて、私たちは出来るだけ情報を集めてやっていくということです。

(問)容態はいかがでしょうか。

(外務大臣)詳細は承知しておりません。

(問)日本政府がテストをして確認されたのでしょうか。

(外務大臣)現地当局だと思います。詳しいことは事務方から聞いていただきたいと思います。

目次へ戻る

プーチン露首相の訪日について

(問)プーチン首相の訪日について、領土問題について国内で関心が高まっていますが、ロシア政府の政府高官が「島を返す用意はないと、準備は整っていない」という領土問題について後ろ向きな発言をされているようですが、それを踏まえ、今回の訪日にどのような進展を期待されているかお聞かせください。

(外務大臣)今回来日されれば、首脳会談においては二国間の問題を始め、幅広いことが意見交換されると思いますが、当然のことながら領土問題の話題は出ると思います。我が国の立場は、従来から申し上げている通り、四島の帰属を確定して平和条約締結を目指すということです。これは一貫して変わりません。先方のご発言の詳細、或いは真意、意図についてはわかりませんが、我が国の立場は一貫しております。

目次へ戻る

このページのトップへ戻る
前月へ戻る | 次月へ進む | 目次へ戻る