(外務大臣)メキシコ及び米国等における新型インフルエンザの発生に関する外務省の対応について申し上げます。本日、WHOにおいてフェーズ4が宣言されたことを受けまして、外務省としては速やかに次の措置をとるところとなりました。政府全体としての対策は昼の第一回関係閣僚会議で決定されるところです。外務省としては、今から申し上げることを行います。メキシコについては、不要不急の渡航は延期してください、との感染症危険情報を発出いたします。ホームページ等に掲載をしつつあると思います。また、メキシコの在留邦人に対しては、今後出国制限が行われる可能性、または現地で十分な医療を受けられなくなる可能性がありますので、退避が可能な方は早めの退避を検討してくださいとのお知らせを発出いたします。査証については、健康チェックを強化するために今後メキシコからの入国者について査証審査の厳格化を行う考えです。アメリカを含むその他の感染発生国については、感染の状況に鑑みさらに渡航者及び在留邦人に対して注意を喚起します。また、本日午前8時、私(外務大臣)を長とする外務省緊急対策本部を設置しました。先程私も出席して第一回の会合を開きました。外務省としては、国際社会及び関係各省庁とも連携して、引き続き関連情報を収集しつつ、必要に応じて更なる措置も検討していく考えです。
(問)この危険情報ですけれども、4段階の内のどの段階に該当するのでしょうか。
(外務大臣)3段階にあたります。
(問)危険情報ということですが、渡航情報については、特に変更はないということでしょうか。渡航の延期を求める渡航情報とは別に感染に関する危険情報を出したということですか。
(外務大臣)不要不急の渡航を延期してくださいということです。細かいことについては後ほど事務方から説明させたいと思います。
(問)メキシコとその他の発生国について区分けした理由は、メキシコは死者が出ていることも勘案したということでしょうか。
(外務大臣)メキシコでは多数の死者が出ているということですから、一番危険性が高いと判断したいうことです。
(問)海外の邦人の感染者等、発病された方の中に邦人が含まれているか等の情報は把握されていらっしゃいますか。
(外務大臣)現在、そのような報告は受けていません。
(問)メキシコからの査証審査の厳格化ということですが、メキシコは査証免除になっていると思いますが、新たに査証を付け加えるということでしょうか。
(外務大臣)査証免除の一時停止を含む厳格化ということです。つまり健康チェックを強化するという観点から、厳格化を行うということです。
(問)査証免除の対象となっている方も、今後査証をとった上で入国をするということでしょうか。
(外務大臣)メキシコについてはそうです。あくまでも健康チェックのためであり、ビザの発給を停止するものではありません。フェーズ4という発表を受けまして、メキシコ国民に対する査証免除措置を一時停止する。そして通常の査証申請書に加え、健康状態質問票及び現地医療機関が発行する診断書の提出を求めるなど、査証審査を厳格化することとしたものです。
(問)発熱など、豚インフルエンザを疑わせる症状があった場合には入国させないということでよろしいのでしょうか。
(外務大臣)詳細はまとめて事務方から説明致します。
(問)ビザの措置は当面ということでよろしいでしょうか。
(外務大臣)そうです。今後の推移を見守らなければなりません。このまま被害が拡大しなければいいのですが。
(問)政府の行動計画によりますと、外務省を含めた関係省庁との連携した対応として、航空会社等に対して運行の自粛要請をしたりとか、或いは海外駐在員や海外出張者がいる事業者に対して、速やかに帰国させるよう要請する等の指針が示されているのですが、今回はこのような対策はとらないのでしょうか。
(外務大臣)本日の関係閣僚会合で方針が決まると思います。
(問)IAEAの事務局選挙ですが、天野候補が再度立候補されていますが、日本政府としてどう対応していくお考えでしょうか。
(外務大臣)天野候補は前回一票足りずに当選しなかったのですが、私たちとしては事務局長に最適の人物だと各国にもお願いをし、運動をしてきた訳です。この方針は変わりませんので、今後も当選を目指して、外務省、政府一丸となってやっていきたいと思います。
(問)先日北朝鮮は、再処理を開始するという表明をしましたけれども、それについて大臣のお考えをお願いします。
(外務大臣)私たちはいつも申し上げているように(先般の北のミサイル発射は)安保理決議1718号違反であるということで、内容の濃い議長声明が発出された訳であります。その中に六者会合を早期に再開するという事もはっきりと明記されている訳で、六者会合を通じて北朝鮮の非核化を更に進めていきたいと、また、我が国としては拉致問題もありますし、ミサイル問題もありますし、これらの問題も六者会合の議題に入る訳でありますので、一日も早く再開出来るように議長国である中国を中心に北朝鮮に対し六者会合の再開の働きかけをしていきたいと思います。
(問)北朝鮮は六者会合から離脱すると表明をして、更に再処理を開始すると言っており、議長声明に対して真っ向から反発していますが、その点についてはどうでしょう。
(外務大臣)あちらはあちらの立場でそのような反応といいますか、そう言われているのだと思います。我々としては従来からの六者会合を中心とする方針に変わりはありませんので、会合の再開の為のあらゆる努力をすると、今はそういうことだと思います。
(問)来週月曜日、大臣から核軍縮・不拡散に関するスピーチがありますが、今回の柱といいますか、特にどういった点を強調されることになるのでしょうか。
(外務大臣)我々としては、核軍縮は非常に大事だと思っております。オバマ大統領の演説、遡ってはキッシンジャー元米国務長官のとかいろいろありまして、以前から考えていたのですが、我々としても我が国の考え方をきちんと表明した方が良いだろうということで、今回のスピーチをすることになりました。内容については、まだ最終的な詰めを行っているところで、まだ申し上げられません。
(問)月末に、日中首脳会談が予定されていますが、前向きな話題もありますけれども、課題といいますか、懸案といいますか、東シナ海のガス田の問題ですとか、ギョーザの問題も依然として残っている訳ですが、この二つの問題に関しては、見通しはいかがでしょうか。
(外務大臣)先日も首脳会談を行っており、シャトル外交で意思疎通は随分良い関係になっていると思いますし、今回もいろいろな問題について、忌憚ない意見交換が行われると思います。
(問)総理が靖国神社の例大祭にあわせて真榊料を祀ったということで、中国や韓国が反発をしている状況があると思いますが、それについてはどうお考えですか。
(外務大臣)中国や韓国から大使館に対してそのような通告がありましたが、これは私的な行為だと私は理解しております。政府として何かコメントすることではないと思います。
(問)このところ、自民党や民主党の間で議員の世襲を制限しようじゃないかという考えを表明している動きがありますけれども、大臣としてはどのように感じになっているのでしょうか。
(外務大臣)世襲とはどういう定義か教えてください。
(問)そこにいろいろ議論があるわけですけれども。一般的にはどちらかの親御さんが議員をしていて、その息子さん、ないしは娘さんが議員をなさるという状態だと思います。
(外務大臣)これは慎重に議論した方が良いと思います。私はそのような問題も大事だと思いますが、選挙制度全体を今は衆議院、参議院バラバラで整合性もないし、そのような意味では小選挙区制でいいのか、参議院との関係はどうなのか、選挙制度をどうするのか、政治改革の中で議論すべきことではないかと。最近は、つまみ食い的にここが問題になったからここ、というやり方が多いんです。私はそのようなやり方は良くないと思います。
ただ、世襲ということで、私に質問がありましたが、私は世襲ではないんです。二世ではありますが。私は父と18年間衆参で議員を重ねてやっているわけです。だから父親が亡くなったから後を継ぐとか、引退したから継いだ訳でもありません。18年は随分長いですよ。選挙区も、私は父の選挙区の5倍の広さの選挙区で選挙をやっているわけです。そういうことで、私は自分を世襲と思っておりませんし、悪いとは思っておりません。
もっとも、議論することは大事です。国民の皆さんが判断することですから。民主党も自民党も議論したら良いのではないでしょうか。大事なのは政治改革全体をどうするか、その中で、参議院は何をするところか、衆議院はどのような機能があるのか、そのためにはどのような議員を選ぶべきか、その議員を選ぶには、どのような選挙制度がいいのか。上から来なければおかしい。お金の問題があるからといって政治資金規正法だけ直す、世襲の問題があるからといってそこだけつまみ食いする、それは良くない。
(問)民主党はマニフェストに入れようと、争点にしようというような考え方を持っているようですが、これはどうお考えでしょうか。
(外務大臣)それは、民主党のお考えですから。どうなるかわかりませんが、自民党もいろいろ意見があるようです。よく議論したほうが良いと思います。問題が起きて、そこだけ直すというのは、最近の悪い傾向、総合的に全体を見て考えていかなければいけない。
(問)イタリアのサミットの開催地の変更をベルルスコーニ首相が検討しているという報道がありますけれども。
(外務大臣)私はその報道を承知しておりません。外務大臣として省の中から具体的な報告を受けておりません。
(問)昨日、谷内政府代表と電話で話をされたということですが、誤解があったという話もあったようですが、どういう点に誤解があったかのでしょうか。
(外務大臣)谷内政府代表と電話で話をしましたが、全体の発言の流れの中で、誤解を与える点があったかもしれないということで、関係者に誤解を与えてしまったことは大変遺憾である、ということでした。世間に、或いは取材をされた方、関係者に誤解を与えるということは大変良くないことですから、私としては厳重注意したということです。どの点ということではなくて、全体の話の流れの中でということです。
(問)どの辺りに誤解があったかを明らかにすることは、今後何か影響が出るので問題があるということなのでしょうか。
(外務大臣)個々の、一々の発言を私も知っている訳ではありませんが、誤解を与えてしまったと、与えてしまったかもしれないということで、本人が遺憾に思っているわけですから、そういう点について注意をしたということで、どの部分とかそういうことを追求する、調べるというつもりはありません。
(問)谷内政府代表は今後も日ロの交渉に関与していくのでしょうか。
(外務大臣)厳重注意をし本人も反省していると言っているので、今後も仕事をやってもらおうと思っています。
(問)谷内政府代表が今日お帰りになると思いますが、今日お会いになる予定はありますか。
(外務大臣)ありません。もう電話で話をしましたので。
(問)今後直接お話を聞かれる機会はありますか。
(外務大臣)そういう考えはありません。
(問)毎日新聞が公式のコメントで、谷内代表の発言は本人の了解を得て録音をさせて貰っている、その録音に則して記事を書いていると公式コメントをしているのですが、これ本当であれば、谷内政府代表が嘘をついている可能性があると思うのですが、その点について正すことはありませんか。
(外務大臣)私が彼から聞いたところでは、3.5島返還でも良いのではないかと考えているというような発言はしていないということであります。それは新聞社と本人との言い分の違いといいますか、私もそこは細かく厳密には分かりませんけれども、本人はそういうふうに発言していないが、誤解を与えてしまったかもしれないと言っている訳ですから、私としては、そういう誤解を与えてしまうような発言をされたということに対して注意をしたということです。
(問)谷内政府代表の発言を信じるということですか。
(外務大臣)どういう発言をされたのかということについて、本人から話を聞いて信じる信じないではなくて、あるいは新聞社を信じる信じないではなくて、私はそういうことの報告を受けて、結果として誤解を与えてしまったということに対して、注意をしたということです。
(問)明らかに言い分が違うと思うんですが、ご本人が発言していない、それに対して毎日新聞社は発言したと報道したと。
(外務大臣)新聞社が本人にどのように取材されたかは良く分かりません。インタビューすれば、録音するかもしれません、その点、私から新聞社に聞いている訳ではありませんし、一言一句新聞社に問い合わせている訳ではありません。私(大臣)は政府代表である谷内氏にどういうことなのかを聞くのが、私(大臣)のやるべき事だと思ったから、厳重注意しました。
(問)今回の一連の件で、「国益を害した」「重大な影響を与えた」と昨日、次官が言っている訳で、そういうことであれば、きちっと確認する必要があるのではないでしょうか。
(外務大臣)政府としては、従来からの北方四島の帰属問題を確定して、ロシアとの間で平和条約を締結するという方針に変わりはありません。官房長官も昨日そのように言われておりますし、私もそのように発言している訳ですから、国益と言いますか、政府の方針に変更はないので、問題ないと思います。
(問)総理の認識なんですが、大臣は谷内代表に厳重注意されたということですが、総理も同じように谷内代表の発言は処分にあたる発言であったと認識されているのでしょうか。
(外務大臣)それは総理にお聞きしないと分かりません。
(問)確認していないのでしょうか。
(外務大臣)していません。
(問)先ほど総理と会われたようですが、その話題は。
(外務大臣)今度、(総理が)中国を訪問されることについて、打ち合わせをしました。
(問)谷内政府代表の発言が誤解を与えたかもしれないということであれば、総理の二島や四島という発言も同じように誤解を与えていると。
(外務大臣)谷内政府代表の発言は、面積についての解説をした、そのような全体の中で誤解を与えたところがあったかもしれないというです。
(問)誤解を与えたということであるならば、毎日新聞社に対して誤解を正してほしいという要請とか要望とかされますか。
(外務大臣)それは私が言うことではなく、本人と新聞社との間での話だと思います。
(問)韓国が7月にロケットを発射するという報道がありますが、日本の領空を通るという話ですが、この事実関係をお願いします。
(外務大臣)それは、安全の面も含めまして、(日韓で)非公式協議はやっていますので、特に問題ないと思います。
(外務大臣)本日、パキスタン・フレンズ会合と支援国会合が開催されます。本会合は、アフガニスタン及びパキスタンは大変な地域ですけれども、この周辺地域を国際社会が一体として捉え、広域的な視点で積極的な支援を行おうという会議です。もう一点は、アフガニスタンへの支援の一環として、今年1月に発表いたしましたけれども、リトアニア政府からの提案に基づいたチャグチャランPRTへの文民要員の派遣を5月から6月にかけて行うことになります。外務省の職員として、在アフガニスタンの大使館に派遣をされて、PRTの現地のリトアニアのチームと共に活動することになっています。
(問)今日の毎日新聞に谷内正太郎政府代表のインタビューが掲載され、北方領土の返還に関連して、面積を折半して、3.5島でも良いのではないかという考えを示していますけれども、政府見解はどのようになっていますか。
(外務大臣)政府の基本的な方針は変わりません。これは、北方四島の帰属を確定して、そして、日露平和条約を締結しようというものであり、何ら変わっておりません。ただ、その時期、或いは返還の対応については、柔軟的にやろうということです。
(問)帰属を確定してという意味は、4島が日本であるということを確定した上で、返還の時期とか、対応とか、いろいろ考えるという意味でしょうか。
(外務大臣)そのとおりです。四島です。
(問)政府代表というのは、政府の肩書きがある方なんですが、このように政府方針と異なる発言を公にすることについては、どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)報道については、先ほど承知したばかりでありますけれども、私たちの方針は変わりませんので、そのことについては、今後よく考えてみたいと思います。
(問)それは、よろしくない、望ましくない発言だ、ということでしょうか。
(外務大臣)新聞報道で知ったものですから、もう少し詳細を承知しないと、何とも申し上げられないという意味です。
(問)大臣は、谷内政府代表から直接話を聞いてみることはありますか。
(外務大臣)それは、まだわかりません。発言内容を取り寄せてみないと。
(問)ロシア側に対して、そのような考え方が伝えられたという事実はありませんか。
(外務大臣)先ほど申し上げているとおり、基本方針は一貫しております。ロシア側に対しても、先ほど申し上げた四島の帰属を確定して、平和条約を締結しましょうということは一貫しております。
(問)この政府方針という考えは、きちんと総理も確認されているのでしょうか。谷内政府代表の考え方と違うということは確認されているのでしょうか。
(外務大臣)これは、総理もロシアとの会談等で述べておられるので、変わるものではありません。
(外務大臣)ご案内の通り5日の北朝鮮のミサイル発射に関し、安保理の議事国の総意として極めて強い内容の議長声明が出されたことを評価したいと思います。日本は関係国と連携をしながら強いメッセージを国際社会が一致して出すべきだと、そういうことを目指しまして、あらゆるレベルで外交努力を続けてきたところですが、最終局面の11日には、タイのパタヤにおいて、麻生総理及び私(大臣)が中韓両国の首脳、外相と協議を行うなど、ぎりぎりの調整を行ったところです。その結果、北朝鮮によるミサイル発射を、安保理決議1718号違反として非難をするとともに、またこの決議の履行を徹底するための具体的な手続きを盛り込むなど、我が国の主張に沿った異例に強い内容のものとなりました。これはやはり、ミサイル発射で最も深刻な危険にさらされた我が国のみならず、国際社会の平和と安全にとって、重要な意義を有するものだと思っています。我が国としては、北朝鮮が今次議長声明を重く受け止め、そして安保理決議1718号を完全履行するよう求めます。また、我が国として、六者会合の枠組みを通じ、拉致、核、ミサイルといった北朝鮮をめぐる諸懸念の包括的解決に向けて、引き続いて積極的に取り組んでいく考えです。
(問)日本は決議を主張してきましたが、議長声明という形で決着したことについての受け止めをお聞かせ下さい。
(外務大臣)今般の議長声明は、法的拘束力のある安保理決議の1718号、これの北朝鮮による違反の認識ということを示している訳で、これは北朝鮮に対して、法的拘束力のある安保理決議1718号の完全履行を求めたものです。従って議長声明で強い内容を出したということで、決議ではありませんでしたけれども、私は十分に対応出来るものだと思います。
(問)10日朝に大臣がクリントン米国務長官と協議されて、その時に決議を目指すということで一致されたという説明でしたけれども、その時点でニューヨークでは既に米国は議長声明採択で安保理常任理事国と調整をしてきたと報じられている訳ですけれども、その時の状況についてクリントン米国務長官からはどういう説明があったのでしょうか。
(外務大臣)外交上のやりとり、特に国務長官と外務大臣の電話ですから、内容について詳細をお答えするのは適当ではないかもしれませんが、(仮に)国連の場で議長声明というような話が進んでいたとしても、(議長声明と)決定した訳ではありませんでしたし、私としては決議が重要だということで、会談の中では話をいたしました。また、そういうことで国務長官とは引き続き決議を求めていくことで一致したのは事実です。その後、タイで日中韓、日中、日韓の会合もあるということで、クリントン米国務長官もそれを見てということになったのではないでしょうか。
(問)その時点ではクリントン米国務長官と決議を求めることで一致したということですが、どういう言い方をしたのでしょうか。
(外務大臣)細かい表現はここで申し上げる訳にいきませんが、我々としては決議を求めていくと、決議がふさわしいと、強い一致したメッセージを国際社会に向けて出すべきだと、それは繰り返し述べている事ですが、そう申し上げて決議で更に努力していこうとなった訳です。
(問)この措置について、北朝鮮が六者協議の離脱とか或いは核実験の再開とか強硬姿勢を取ってくるおそれがあると思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
(外務大臣)北朝鮮から特段のコメントが出されたとは承知しておりませんし、いわゆる反応というのもないと思いますが、我々としてはこの議長声明の中で六者会合の早期再開を要請している訳ですから、我々としてはそれに則って、また議長国の中国とともに、再開に向けて努力していくということだと思います。
(問)今回の件で、日本として、輸出の全面禁止もしくは人的往来の制限を含めて、新たな追加制裁措置を検討する余地はありますか。
(外務大臣)これは北朝鮮制裁委員会が、団体及び品目を指定して安保理に報告するためのリストを作ることになっていますから、それがどういう形になるか、見ていくことが必要だと思います。我が国としては、10日の閣議で日本としての対応を決めたところですから、新たな対応というものは今すぐ行うようなことにはならないと思います。
(問)制裁委員会のリスト次第では更なる追加措置もありうると。
(外務大臣)それはまだわかりません。その状況を見なければなりませんし、現在のところはそのような対応を取ったということです。我が国の北朝鮮に対する措置というものを明確にしたということです。
(問)1718号の制裁が行われている訳ですけれども、実際に行っている国も70ヶ国余りということで、完全には履行されていないような状況ですが、今回の声明を受けてどのように制裁を実行あらしめるのか、日本としてどのような対応をされるのでしょうか。
(外務大臣)この1718号違反ということで非難し、1718号が根っこにあり、1718号には履行しなければならないということを書いてある訳ですから、今回声明でこのようなことが確認されたということによって今後各国がそれぞれしっかり対応するということです。
(問)1718号の措置の実効性を高めるため、中国の役割が非常に重要だと思いますが、中国にきちんと1718号の措置を実効的にするよう要請する考えはありますでしょうか。
(外務大臣)今回、中国も今般の議長声明を支持した訳ですから、1718号の実効的な履行に向けて、たとえば制裁委員会、それから安保理での積極的な中国の対応というものも得られたものだと考えております。
(問)中国は制裁委員会に対する報告の中身を明らかにしていないと思うのですが。
(外務大臣)中国の今までやっていることですか?
(問)報告書は出ているけれども、内容は明らかになっていないということで、これは可とするのか、中国に公表してほしいと求めるのでしょうか。
(外務大臣)これは公表するということになっているのでしょうか。
(問)中国は中身を非公表ということになっていたと思うのですが。
(外務大臣)公表か非公表はわかりませんが、これはきっちり安保理の総意としての一致した声明に基づくものですから、これはどの国にも履行して貰わなければならないということです。
(問)一部報道で、飯塚耕一郎氏が金賢姫氏に宛てた手紙が外務省内で保管されたままであったという話がありますが、この事実関係と今後の対応について教えていただけますか。
(外務大臣)これは5年前の2004年の2月だったと思いますが、飯塚重雄氏および飯塚耕一郎氏が外務省を訪れまして、飯塚耕一郎氏の書簡を金賢姫氏に届けて欲しいとの依頼があり、当省として書簡をお預かりしたと、そして在韓国の日本大使館を通じて韓国政府に書簡を手交しながら、金賢姫氏への転達を依頼しました。その後日韓間で累次にわたり調整を行いましたけれども、結局韓国政府からこの書簡を金賢姫氏に届けることはできないとの連絡があり、書簡の返却がありまして、当省の北東アジア課内において保管をしていたものです。このことをめぐる過程において北東アジア課と拉致被害者支援室との間で一定のやりとりがありましたが、政府部内の意思疎通が不十分であり、結果的に飯塚家に対する書簡の返却が遅れてしまったということは、私は飯塚家に対して大変申し訳なく思っています。飯塚家に対しては本年3月11日に内閣官房に書簡を渡して、12日朝に飯塚さんにお返ししたという経緯でありますが、いずれにせよ飯塚耕一郎氏の心情を述べた手紙が金賢姫氏に届かなかったことは大変残念に思っておりますし、申し訳なく思っており、このような経緯も踏まえまして、飯塚家の強い思いと内閣官房の拉致問題対策室からの要請も受けまして、我々としましても面会の実現に努力してきたところです。二度とこのようなことが再発しないように関係者間で意思疎通をきちんとして、しっかり丁寧に取り組むよう私のほうから今朝ほど飯塚耕一郎氏にお電話にてお詫びを申し上げました。そしてこれは既に内閣官房および外務省の担当からはお詫びを申し上げましたが、私のほうからも改めて今朝お詫びをいたしました。そして対応が十分でなかったということで、担当局長等に私の方から注意を行いました。
(問)韓国政府から日本側に手紙が返却されたのはいつですか。
(外務大臣)韓国政府から届けることができないとなってその後ということで、いつ何月何日ということは私は承知しておりませんが、転達できなかったということで、外務省にそれが返ってきたということです、調べろということであれば調べますし、調べられるのか、ちょっと5年近く前の話だと思いますので、ちょっと分かりません。当時の担当者がいつどのようにしたのか。
(問)調べていただけないでしょうか。
(外務大臣)調べられると思いますが、その韓国政府が働きかけた後だと思います。駄目でしたということで。
(問)韓国政府が届けられないという何か理由はあったのでしょうか。
(外務大臣)それは分かりません。あちらの中で、韓国政府が届ける努力はしてくださったと思いますけれども、届けられなかったということです。あちらの事情ですから分かりません。
(問)累次調整したということですが、それも是非調べていただけないでしょうか。
(外務大臣)累次調整するように依頼した後、いつ何回どのようにやったのかはちょっと。
(問)先方が理由を何も言わずに、それを返却してきたということですか。
(外務大臣)どういう理由でかは、承知していませんが、返却されたということです。
(問)返却された後、手紙は北東アジア課内でずっと保管されていたのでしょうか。
(外務大臣)そのように承知してます。
(問)今回、金賢姫氏との面会が実現して、その際に渡す機会はあったと思うんですけれども、そこに想いが至らなかった責任はどこにあるのでしょうか。
(外務大臣)昔の話になりますが、返却された時の対応にひとつ問題があったのだと思います。早くお返ししようとか、いつまでお預かりしようとか、そのような対応がきちっとされていれば、ご本人にお返しできていたと思いますけれども。詳しい事情はわかりませんが、基本的にはそういうことではないかなと思います。その時にしっかり決めていなかった、あるいは対応しなかったとうことではないでしょうか。
(問)確認ですが、手紙が届かなかったということは、飯塚さん側にはいつ伝わったのですか。
(外務大臣)わかりません。
(問)つまり、面会のところまでは飯塚さん側には手紙が届いていなかったことはご存じなかったのですね。
(外務大臣)本人に伝わっていたかどうかは、調べてみたいと思います。
(問)手紙は北東アジア課の中で持っているとの認識はあって、その直前になってやっぱり渡してないから、面会の前に実は渡せませんでしたというふうに耕一郎さんに伝えたということになると思いますけれども。
(外務大臣)ずっと保管している歴代の課員なり担当者がずっと認識していたのか、預かった後そのまま全く忘れていたのかその辺は私はわかりません。
(問)飯塚さんに電話もしてお詫びしているんですよね。
(外務大臣)それは事実ですから。そのような形でずっと保管していたのは、お返しするのは当然義務ですから、個人的な書簡ですから。そのような意味でお詫びをしたのです。それと、細かいことはわかりませんが、当時の役所としての対応が私は十分でなかったということからお詫びしました。
(問)飯塚さんがどのような情報を今日に至るまで得ていたか承知されないままお電話されたということですか。
(外務大臣)飯塚さんがこの件をどのようにご存知かどうか、私は細かいことはわかりませんが、役所側の対応として十分でなかったとの認識からお電話しました。
(問)お電話なんですけど、飯塚さんはどのようなお話をされたのですか。
(外務大臣)電話のやりとりは控えさせていただきたいですけれども、電話を頂いたことについてありがとうございましたと先方はおっしゃってくださいました。
(問)例えば、この間お話がなかった件については、何もおっしゃらなかったのですか。
(外務大臣)そのような細かい話はありませんでした。
(問)確認ですが、担当課では手紙を保管していたという引継ぎをやっていなかった可能性はありますか。
(外務大臣)そこまではわかりませんので、後で事務方から説明させます。
(問)当時の齋木審議官が受け取ってそのまま保管されていたということはないのですか。
(外務大臣)そこについても誰がどうしたか、私は承知していません。
(問)局長にも指示を出されたということですが。
(外務大臣)それは今の責任者ですから、そういうことで私としては注意した訳です。
(問)もう一度大臣の会見をやっていただいたほうが良いんじゃないでしょうか。
(外務大臣)事実関係の経緯ですから、それは事務方からきちっと聞いていただきたいと思います。
(問)大臣が直接お電話されるような案件ですから。
(外務大臣)電話はさっきから言っているように、対応が全体としてまずかったというで総責任者として私はお詫びの電話をしたのであって、個々のどこがどうであったかということで電話したのではありません。とにかく外務省としての対応が私は十分でなかったと責任者としてお詫びをしたということであります。私は気持ちをお伝えしたかったということです。だからその間どこがどうだったという細かいことは一々承知していません。これは承知していなければいけないと思いますけれども、今、皆さんにお話するほど事実関係の細かいものを承知しておりませんので、事実関係につきましては事務方から聞いていただければと思います。
(問)日系ブラジル人で職を得ていない離職者の帰国支援について、厚生労働省がやっている件ですけれども、離職者についてはブラジルに帰国する帰国支援金30万円が支払われるという制度があるのですが、これを受け取った場合に同じ身分での再入国を認められません、ということが今の条件になっていまして、これについて一部ブラジルの日系人社会等では、再入国を永遠に認めないということはちょっと厳しすぎるのではないかと時限的な措置にしてくれないかという声があがっているのですが、外務省としては、どのようにこの措置について受け止めていらっしゃいますか。
(外務大臣)日系人ということでやはり特別に技術査証を出して、やっているわけですけれども、今回は経済情勢とかいろいろな理由があって帰国されたいという方がおられる訳で、その帰国の支援をしようということの一環だと思いますが、私は再入国は認められないということですけれども、当面の間という理解をしております。これは関係省庁間でも同様な考えではないかと思います。ただ、このように、認められないということで、例えば向こうの国で問題になっているとしたら、そういう支援が伝わるように関係省庁に働きかけはしていきたいと思います。日本の中の事情によって帰国せざるを得ない、ということだと思いますから。
(問)グアム移転協定が今日衆議院を通過する予定ですが、それについてコメントがあれば一言お願いします。
(外務大臣)この協定はもう再三委員会でも申し上げておりますが、沖縄の負担の軽減とそれから抑止力を維持しながら負担を軽減しようという、そのような在日米軍再編の一環でもありますし、また沖縄の皆さんの長い間の強い希望でもございますので、私はこれによって嘉手納以南の土地なども返還されてまいりますし、そのようなことが行われていくことによって負担の軽減や、それから更にその地域の活用などによって地域の振興にもつながっていくものだと思っております。
11日、タイ・パタヤ訪問中の中曽根大臣は大臣宿舎内においてぶら下がり会見を行ったところ、概要以下のとおりです。
(外務大臣)ご案内のように、今朝は日本と韓国と中国の外相会談、それから日韓外相会談が実施できなくて、大変残念でございますが、引き続いてタイ国政府の尽力によって一連の今後の会談がうまく実施できるように願っています。そういうことで、それぞれ両国の外相と電話会談を行いました。約20分間ずつくらいであったと思いますけれども、中国の外交部長に対しましては、昨年12月に福岡でこの日中韓首脳会談を単独で行ったわけでございますけれども、そういうふうに単独で行ってそれ以降の三ヶ国のいろいろな問題について緊密に連携をとって、進展しているということを私の方から歓迎を申し上げました。それから次回の会合ですけれども、これは日中韓の会談としては10周年になります、これを成功させるべく、緊密に連携をとってやっていこうという話をしました。それから、北朝鮮の問題について両国の外相に対して私からお話をいたしましたけれども、やはりこの問題は、国際社会が一致して、協力してかつ迅速に強力なメッセージを発出することが大事であると私の方からそういう風に述べたところでございます。両外相ともそういう考えには同じような考えを持っておるわけでございますが、北朝鮮問題は、今日日中首脳会談も行われますから、そういう場を通じてさらに意見交換をしていく、また、我が方の立場をお話していくことになろうかと思います。
(問)日中についてですが、安保理では議長声明で調整が進んでいるようですが、そのへんについてはどのようなやりとりがあったのでしょうか。
(外務大臣)私達は今申し上げた日本の立場を、私からお話して、これから総理とあちらの首相との間で、話が行われるわけですが、我々としては決議が好ましいと、やはり国際社会が一致して、強力なメッセージ(を出す)という意味では好ましいと、そういうふうに思っていますので、またそういうふうな話になろうかと思います。
(問)今の電話では中国側にはそれは伝えたのか。
(外務大臣)はい、私はそういうことをお話し致しました。
(問)中国側からはどのような反応があったのか。
(外務大臣)中国も、北朝鮮がああいう地域の安定を乱すような行為はそういうものは好ましくない、そういうことでは、日本も中国も韓国もこれは一致した立場でございます。
(問)仮に議長声明になる場合については、日本から強いメッセージを入れようという話は大臣からされたのか。
(外務大臣)議長声明になる場合についての話はしていません。あくまで我々は決議違反(との立場)ということですけれども、しかし、先ほど申し上げたとおり国際社会で一致してやること、そして強いメッセージが大事だということは再三申し上げているところで、総理の方からもおそらくそういう話になると思います。
(問)韓国側とは、どのようなやりとりがあったのか。
(外務大臣)韓国とは、再三連絡をとっており、考え方、立場は完全に一致しています。柳明桓長官とも話して、私たちとの会談の前に、中韓は外相会談、あちらは電話ではなくて実際に会われたわけですけれども、柳長官からは、中国の外務部長へ対して、私達の考えは一致しているのだから、そのような考えを述べられたと、そういうふうに聞いております。
(問)閣議決定された北朝鮮への追加制裁の効力などについて、大臣の感想をお聞かせください。
(外務大臣)一つは新しく資金の流れについてしっかりと実態を把握するためのものでありまして、そうすることによって日本政府の姿勢も明らかになります。そのような意味では、拉致問題やミサイル問題等の課題もありますから、そのような形で日本政府としてしっかりした対応をすることで、適切な対応だと思っております。
(問)また、今日から総理と外務大臣がパタヤを訪問されますが、安保理で北朝鮮を巡る協議が続いていく中で現地で日中韓首脳会談が行われますが、今回の訪問をどのように位置づけられていますか。
(外務大臣)今朝、クリントン米国務長官から電話が来まして、現状についてお互いに意見交換致しました。私の方としては、従来から申し上げているとおり、北朝鮮には毅然とした対応を安保理で協議する必要があるということで、決議の実現に向けて引き続き両者でやっていこうということになりました。また、その後、韓国の外務部長官とも電話会談を致しまして、このことで一致している訳ですけれども、日韓で協力しながらやっていこうということになりました。タイのASEAN+3で日韓首脳会談、日中首脳会談、日中韓首脳会談、外相会談とありますから、その機会の中でこの問題も話して、特に中国に対しては、我が国の考えを伝えていこうと思っております。
(問)クリントン長官とは今日会談されたのでしょうか。
(外務大臣)はい、先ほどです。
(問)安保理決議について。
(外務大臣)はい、それは前から一致していますから、引き続き決議に向けて努力しましょうということです。
(問)クリントン長官からの電話では、議長声明でやるという提案が米国からあったのではないですか。
(外務大臣)いえ、ニューヨークでいろいろ努力されてますし、我々も各国電話会談をしたりして、北に対して毅然とした対応をするということでやっている訳で、決議に向けて引き続きやりましょうということで話をしました。
(問)米国から議長声明にするということで説得があったということではないのですか。
(外務大臣)私達は、ニューヨークの国連での現在の議論を大使館を通じてもいろいろ聞いております。これに対して、我々としては、決議でということで指示を出している訳で、クリントン長官ともそのように確認したところです。
(問)クリントン長官とも決議を出すということで一致したのですか。
(外務大臣)はい、引き続き努力しようということで一致しました。
(問)今日、グアム協定が委員会で採決されますが、沖縄側には次々に出てくる8000人の水増し論など、納得いかない部分もあり継続審議した方が良いのではないかという声もありますが、大臣としては十分な審議はなされたとお考えでしょうか。
(外務大臣)水増し論というか、あれは(在沖縄海兵隊員の)定員ということで答弁もしている訳です。今日も委員会の中で、そのような点を明らかにしていきたいと思いますけれども、私たちとしては、長い間、沖縄のみなさまに大きな負担をおかけしている訳ですから、「ロードマップ」の取極の中の一つの海兵隊のグアム移転を一日も早く実現することによって、負担が少しでも軽くなると思っております。今日も委員会の中でこの説明をしていきたいと思いますし、本日中の採決を期待しております。
(問)今朝のクリントン長官との電話では、この件について何かお話はありましたか。
(外務大臣)ありません。
(問)金正日総書記が昨日、姿を見せましたけれども、映像をご覧になられて健康状態ですとか、今後の北朝鮮の体制ですとかどのようにご覧になりましたか。
(外務大臣)ニュースで映像は見ましたけれども、病気をされているという話でありますけれども、病気をされていたとしたら、随分回復されているなという感じを持ちました。
(外務大臣)パキスタンにおける国内避難民対策支援ということで、対食糧計画、国連難民高等弁務官事務所、また赤十字国際委員会、これらを通じまして、総額500万ドルの緊急無償資金協力を行う事にいたしました。これは4月17日に東京でパキスタン支援国会合を行いますけれども、その会合において我が国を含む関係国、関係機関が、パキスタンに対する支援についていろいろ表明をされる事となると思いますが、本件はその一環として実施するものでございます。
(問)北朝鮮の飛翔体事案について、昨日、国連で常任理事国と日本で会合が開かれましたが、その会合の内容を受けての受け止めをお願いします。
(外務大臣)このような事態が発生して、我が国としては、これは安保理決議違反であり、強いメッセージを出すことが大切だということで、各国に働きかけてまいりました。国連の方では安保理の会合が開かれているわけでありますけれども、まだ完全に一致した対応というものが決まっていないということでありますので、引き続き各国に働きかけをしながら、一日も早く安保理としての対応が決まるように努力していきたいと思っています。
(問)昨日の常任理事国の会合では、日本が考えた決議案というものを実際示した過程とか、決議案について中露との溝は埋まったのか、そういったことについて教えて下さい。
(外務大臣)非公開でありますので、(安保理での会合の)内容についてお答えすることは差し控えたいと思いますが、中国、ロシアもこの緊張に対する懸念、あるいは平和と安定を損なうような(北の)行為というものに対しては、大変重視しているわけであります。ただ中国は特に慎重な対応ということでございます。引き続き一致するように努力していくということだと思います。
(問)最初の会合と二回目の会合で、中国とロシアとの距離は縮まっているとお考えですか。それとも、逆になかなか全く進んでいないというふうにお考えですか。
(外務大臣)それはまだ協議中ですので、私からお答えはできません。
(問)日本としては、最終的に内容を伴うものであれば、決議案ではなく、いわゆる議長声明といったものでも良いという選択肢は現時点であり得るのでしょうか。
(外務大臣)これは安保理決議1718号違反であるということは明確であります。そのように私どもは判断しておりますけれども、日本の上空を飛び越えていったわけでありますから、安保理できちっとした対応が出来ない、違反に対して放置するといったことになれば、安保理の信頼性にも関わることでありますし、決議とは何なんだというになるわけでありますから、私たちとしては決議が望ましいと考えていまして、引き続き各国に働きかけをやっていきたいと思います。
(問)実際のところ中国、ロシアは安保理決議違反ではないと言っているそうですが間違っているということでしょうか。
(外務大臣)私たちは、あれはミサイル技術と同一のものであるという観点から、これは文言を読んでいただければ分かりますが、決議違反という一貫した理解でおりますから、その点は主張し続ける訳であります。実際これは交渉でありますから、どういう結果になるか、この結論は予断はする事は出来ません。しかし、決議を目指して米国等と協力をしながら引き続き精力的に努力をしていく、今はそれに尽きると思います。
(問)中国側は議長プレス発表が適当であるというような意見を持っているようですが、それですと大分開きがありますので、その間を取って、議長声明くらいになるのかなという印象を受けたんですが。
(外務大臣)繰り返しになりますけれども、私たちは決議の採択が望ましいということで引き続き努力していきたいと思います。
(問)中露への働きかけも続けていくということですけれども、最終的に長い時間はとっていられないでしょうから、溝の埋まらない場合は、日米で決議案を出すという選択肢はあるのでしょうか。
(外務大臣)これは今、ニューヨークの現場で交渉中でありますから、今後どういう形になるかということを、今ここで予測することは難しいのですけれども、引き続き十分に働きかけを行うということに尽きると思います。
(問)いつ頃までに何らかの形のものを出さなくてはならないのでしょうか。
(外務大臣)これは速やかな結論を得ることが重要だと思っています。そのような事態が発生したら、出来るだけ早くそれに対する対応というものを出さなければならないと思っています。昨日ニューヨークで話しておりますので、引き続き協議が行われると思いますから、高須大使にはそういうことで、この方針のもとに頑張っていただくように話してあります。
(問)大臣はP5(常任理事国)には電話をかけられていると思いますが、昨日のベトナムのように非常任理事国に対しても今後も(電話を)かけたりしますか。
(外務大臣)それは、必要に応じて、今後の進め方によってはそのようなことも行うことをあり得ますけれども、協議の状況を見ながら考えていきたいと思います。
(問)必要によっては、政治家、副大臣とかをニューヨークに派遣するみたいな話はありますか。
(外務大臣)それも協議の様子を見ながら考えていきたいと思います。ただ日本としては、これは先ほどから申し上げている通り、一番危険に晒されたのは日本ですから、引き続き全力といいますか、出来るだけ決議採択へ向けての努力をしていくという、その一環で必要があれば、更なる人材の派遣とかもあるかもしれません。今のところ決まっておりません。
(問)先ほど速やかにやることが重要だとおっしゃっていましたけれども、具体的に何か目途というか、いつ頃までに安保理の結論を出すことを考えているのでしょうか。
(外務大臣)それは難しい案件ではありますけれども、対北朝鮮ということを考えまして、国際社会が一致してメッセージを出すということが大変意味のあることですから、そういう意味で、一日も早くまとまることが私は大事だと思っています。
(問)在ドイツ日本大使館員が不適切な公金流用をしたとの事ですが、事実確認と受け止めをお願いします。
(外務大臣)大変遺憾なことでありまして、本人、それから上司に対しましては、内規に基づいて処分を行いました。また外務省、在外公館を含めましてきちんとした今後の対応といいますか、二度とこのような事のないよう、私から指示を出しております。
(問)イタリアで大地震がありましたが、日本として支援はされるのでしょうか。
(外務大臣)これは本当にお気の毒なことでお見舞い申し上げたいと思います。総理からも私からも、お見舞いのメッセージを出しているところでありますが、必要であれば何らかの支援も考えられますが、イタリアから援助の要請は現在のところ来ておりませんが、今後の状況を見守ってまた適切な対応をしていきたいと思います。
(問)邦人の被害は、特に今のところは。
(外務大臣)邦人の被害は今のところ、あったという報告は受けておりません。
(外務大臣)(外務大臣)先ほど関係各国と電話にて外相会談を行ってまいりました。米のクリントン国務長官、韓国の柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官、そして只今、中国の外交部長とお話をしたところであります。私の方からは、今回の北朝鮮による飛翔体の発射というものは地域の安定と平和を損なうものであり、また、明らかな安保理決議違反であり、とても容認できるものでないと(申し上げました)。国連安保理等でしっかりと議論を、強いメッセージを出すことが大事であるということをそれぞれの外務大臣、外交担当の責任者にお話を致しました。日本の立場を説明したわけでありますけども、米、韓国とも、この考え方は完全に一致しておりまして、特に韓国とは決議違反でもありますし、今後、国連の場でしっかり議論をしましょうということを(話しました)。米も同様であります。日米韓がまず緊密に連絡をとるということ、これは以前からそういう考えは共有しておりましたけれど、さらに確認ができたところでございます。
中国との間では、中国は日本の立場に耳を傾けつつも冷静な対応が必要であるというようなことを話しておりました。しかし、国連の場でこれも議論をしようということでございます。中国と日本は、これも緊密な連絡をとって、今後の対応をしていきましょうという話でした。我が国が安保理開催を要請しましたら、早速、ニューヨーク時間で4月5日、日曜日ですけれども、午後3時(日本時間6日午前4時)から緊急に開催することになりまして、大変良かったと思っておりますし、この場でしっかり議論をしていきたいと、そういうふうに思っているところです。
(問)中国は安保理での扱いに関しては、発射前は態度を明らかにしていなかったわけですけれども、今回の外相電話会談の中では新たな立場の表明というのはあったのでしょうか。
(外務大臣)特に安保理でどうするということではなく、日本の立場に耳を傾けたというか、わかっておりますと、そういうことでありましたし、よく相談していきましょうということでした。
(問)その日本側の安保理決議違反であるという表明の繰り返しに対して中国はどういう反応だったのでしょうか。
(外務大臣)中国はそのことに対して何ら表明はありませんでした。ただ、地域の緊張を高めるということから、中国としても再三北朝鮮に対しては自制を促してきたけれども、こういうことになったということでした。
(問)北朝鮮側は朝鮮中央通信で人工衛星の打ち上げが成功したというような発表を致しました。また韓国などでの報道でも、どうも軌跡などから人工衛星のようであるというような報道もあるようですけれども、そのへんの人工衛星か否かというところの分析というのは如何なところでしょうか。
(外務大臣)それは確認致しておりません。できておりません。
(問)もし人工衛星だということになりますと、日本政府の立場としては人工衛星だろうと安保理決議違反だという立場に変わりがないわけでありますけれども、実際の議論の場になれば、もし人工衛星だということになれば、中国やロシアとの議論、また今後、人工衛星を打ち上げたいと思っている他の安保理の中の国との交渉というか議論が厳しくなるのではないかと予想されますが、そのあたりは如何でしょうか。
(外務大臣)人工衛星であるかどうか確認できるものなのかどうか、ちょっとよくわかりません。北朝鮮のこの衛星というものは、国連の安保理で各国色々な考え方の表明をされるでしょうけれども、我が方としては、1695の決議、それから1718、これに明確に違反していると、そういうふうに判断しているわけでありますから、そういうことから、これはとても容認できないという立場です。そういうところを強く訴えて、決議というものの可能性も当然含めて議論していきたいと思います。何しろ、日本の上空を飛んだわけですから、これはやはり我が国にとって国民にとっても大変な事態でありますから、そういう点は各国に強く、先ほど電話会談でもそういうようなことも私はクリントン国務長官には申し上げました。韓国にも申し上げましたけれども、そういう立場というものは、やはりありますという立場でありますから、我が国が毅然とした考え方を表明することが大切だと思っています。
(問)新しい決議を出すことの可能性も視野にということですけれども、日米では一致していると思いますが、中国とはなかなか決まらないのでは。
(外務大臣)これについては、中国からは決議についての話はありませんでした。先ほど申し上げたとおりでありますけれども、今後、5日から(国連安保理が)始まるわけですから、その場でそれぞれの国が考え方を述べられるでしょうし、我が国としてはまたそういう決議の可能性というもの、私達としては決議というものが必要だと、そういうふうに期待しているわけでありますけれども、そういう形で話を進めていきたいと思っていいます。
(問)実際に飛翔体が発射されまして、六者協議、拉致問題への影響について大臣としてはどう分析されているのかということ。また、今後の政府の対応について2点伺いたい。
(外務大臣)これは六者会合違反でもある、今回の発射というものは、六者会合については、非核化というのは非常に大切なことですから、これも当然進めなければならない、そして我が国としては拉致の問題もあるわけでありますが、六者会合の開催については影響がないとは言えないと思います。しかし、この問題も議長国である中国、米国はじめその他の六者会合のメンバーと話し合いを進めていかなければならないと思っています。
(問)今、決議を期待しているという話がありましたが、それは制裁を盛り込むことが日本としては望ましとお考えですか。
(外務大臣)どういうものになるかわかりません。これは国際社会の考え方、そして安保理の各国の皆さんの考え方というものもあるでしょうから、ただ私達としては先ほどから申し上げているような明らかな違反でありますし、そういう意味では決議ができればというふうに考えております。
(問)中国、ロシアですけれども、やはりここにきても態度がなかなか変わらないというか明らかにしないようですけれども、今後、中国、ロシアとの安保理で拒否権を持っている国でもあり、かなり鍵になると思うのですが、その二国に対してどのように働きかけをしていきたいと思っていますか。
(外務大臣)ロシアとは今日夕刻、ロシアの外相と電話会談をすることになっております。中国、ロシア、温度差がそれぞれあると思いますが、これについては韓国や米国とも協力して働きかけをしようというふうに電話会談では話し合ったところでございます。
(問)今回の発射によって、日朝協議や拉致問題への影響についてはどう考えていますか。
(外務大臣)まだ、発射したばかりですから、これはどういう影響がでるかわかりませんけれども、昨年8月の日朝の合意、これは1日も早く実行に移して欲しいということで、我々としてはこの拉致問題についても、当然のことながら北朝鮮に対して強く調査のやり直しを働きかけしていくつもりです。勿論、このミサイルの問題、非核化の問題ありますけれど、我々としてはこの3つを従来から申し上げているとおり包括的に解決をして、日朝の正常化にもっていきたいということは変わりありませんから、こちらの方も引き続いて努力していきたいと思っています。
(問)決議案を出すタイミングについてはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)5日の午後、まず最初に安保理の会合が開かれますから、そこで、我が方としては日本の立場、主張、考え方をしっかり述べますし、各国の考えを聞いた上でのことでございます。先ほどから申し上げているとおりです。
(外務大臣)今、自衛隊の艦船がソマリア沖・アデン湾周辺で海賊対策の活動を行っていますが、活動が円滑にできるようにジブチ共和国との間でいわゆる地位取極が閣議決定されました。本日夕刻、ジブチの外交担当大臣である国際協力大臣と私との間で署名を行う予定になっています。自衛隊の皆さんには大変ですが是非頑張っていただきたいと思います。
(問)北朝鮮のミサイル問題ですけれども、通告された発射が明日に迫っています。各国、自制を促す旗振りをしていますけれども、その一方で燃料を注入しているという報道もあります。明日以降の見通し、大臣としてはどういうお感じでしょうか。
(外務大臣)私達はいつも申し上げておりますように、地域の緊張を高め 、安定を損なう、そういう行為は絶対にやってほしくないということで、ずっとぎりぎりまで努力をしている訳です。報道といいますか、あちらの発表では4日からということになっておりますので、私達としては どんな事態にも対応できるように政府として万全の体制を敷いているところであります。まだ時間はありますが、ぎりぎりまでそういう努力は続けたいと思っています。
(問)4日から8日ということですけれども、天候なども影響すると思いますが、大臣としては、発射のタイミングについてどのように分析していらっしゃるのでしょうか。
(外務大臣)それは私は分かりません。あちらのことですから。
(問)仮に万が一発射され、日本に落ちてきた場合、日本としては迎撃を辞さないということですか。
(外務大臣)それはもう当然のことながら、我が国の国民や財産、領土に被害が及ぶ虞がある、そのような確率が高いということであれば、対応しなければなりませんから、迎撃等もそういう方法だと思います。
(問)それに対して、北朝鮮は日本側が迎撃してきたら、報復的に、都市を攻撃するというような過激な発言もしているのですが、それに対して大臣はどう思われますか。
(外務大臣)北朝鮮の報道について、私も正確には分かりませんけれども、北朝鮮の言う迎撃がいかんというのは、上空を飛んでいって日本に影響を及ぼさないのに撃ったらいかんということなのか、日本に危険が迫っているのに撃ったらいかんというのか、私はよく分からないです。但し、私が先ほど申しましたように、そのような国民あるいは財産に被害が及ぶ虞がある時は、迎撃するのはどこの国だって当然のことですから、私はそのように思っています。
(問)実際、発射されれば、日本としては安保理に持ち込むということですが、これはタイミングとしては発射されて、どのタイミングなんでしょうか。
(外務大臣)仮に発射された場合、安保理を開催するように要求して、各国と緊密な連絡を取って対応を協議し、しっかりとした議論をしなければなりませんし、やはり決議も念頭に入れ、強いメッセージを出すということが大切だと思っています。
(問)タイミングとしてはまだ分からないですか。
(外務大臣)それは発射の状況や、時期にもよります。仮に発射された場合、それはできるだけ速やかにそのようなアクションをとるということが大事だと思っています。
(問)その安保理で議論する際は、やはり決議を出すかどうか、制裁を加えるというものを出すのかどうか、そこのところが議論だと思いますが、政府としては、深刻な飛び方をした場合に、新たな制裁ということは絶対に加えるべきだとお考えでしょうか。
(外務大臣)深刻な飛び方と仰いましたけれども、そもそもこれが人工衛星であろうともなかろうとも、安保理決議違反だというのは、安保理各国の共通のした意見であります。中国、ロシアとはまだ見解が必ずしも一致していないところもありますけれども、そういうことから考えますと、しっかりとした対応をとるということが一番大事だと思っています。曖昧にしてはいけないと思います。
(問)ゲーツ米国防長官が米国本土に届かないミサイルに対し、迎撃的手段はとらないと発言しておりますが、日米安保条約に基づいて話をした場合、もし日本の領海とか領土に北朝鮮のミサイルや人工衛星というものが飛んでくるような場合は、米国としては、日本と共同で迎撃するということでよろしいんでしょうか。
(外務大臣)ゲーツ長官の発言については報道を通じてということで、十分に承知しておりませんが、日米安保体制の下で、米側も今回の事態に対して対応をとってくれているわけですから、度々申し上げておりますが、飛び方とか態様によって、それに適した対処をしていくということです。米国本土どうこうということは私はわかりません。
(問)制裁決議案について、米国大統領は新たな制裁決議案を用意しているとのことですが、それも日米間で話し合われているということでよろしいでしょうか。
(外務大臣)ロンドンでの首脳会談等において、そういう方向で話が行われていると私も承知しております。やはりこれはきちっとした(安保理決議)違反であるということを明確に国際社会にアピールしなければなりませんし、北朝鮮に対しても当然そういうメッセージを発出しなければならないと思っております。制裁等については、これも発射の状況等を見極めた上での話だと思います。自民党、与党の中でもいろいろと議論がありますが、まずは発射させないこと、発射した場合には国連安保理できちっとした議論をするということが一番大事だと思います。
(問)北朝鮮が核小型化に成功したとの報道がありますが、この報道についていかがでしょうか。
(外務大臣)その内容については承知しておりません。
(問)六者協議等への影響については。
(外務大臣)正確な報道を存じておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます。