(外務大臣)本日の閣議では、私(大臣)の、31日にオランダのハーグで開催される「アフガニスタンに関する国際会議」への出席について閣議で了承されました。この会議は、アフガニスタンの政治、治安、あるいは開発といった問題について包括的に検討する会議です。それが了承されたということです。
(問)ハーグでは、クリントン米国務長官との会談も調整されているようですが、具体的にどういった話し合いがされるのでしょうか。
(外務大臣)会談についてはまだ調整中ですが、もし会談が実現すれば、北朝鮮の問題、その他国際社会の色々な問題について意見交換を行うことになろうかと思います。
(問)アフガニスタンの会合では、大臣から日本の様々な支援について改めて説明されると思いますが、外務委員会では、アフガニスタンの警官の給与の肩代わりについてきちんと末端までお金が届くのかといった懸念が出ているようですが、大臣はどうお考えでしょうか。
(外務大臣)警官への給与だけではなく、我が国は色々と支援している訳ですが、それらと同様に目的にかなった使い方がされるように、目的外使用がなされないように、政府としてもしっかりと対応していくつもりです。
(問)アフガニスタンに関する国際会議において、改めて、日本全体としてどのようなメッセージを出そうとお考えでしょうか。
(外務大臣)アフガニスタンの復興等に対しては国際社会が取り組んでいますが、我が国も主導的な立場をとってきました。そのような我が国が行っている支援の説明も行うことになると思います。今後の更なる支援については、各国との議論を積極的に行っていきたいと思っています。その内容について今は申し上げられません。
(問)ミサイルの破壊措置命令の目途がついたようですが、率直な今のお気持ちをお願いします。
(外務大臣)今朝、安全保障会議が行われて、北朝鮮の飛翔体事案に関する協議が行われました。国会でも答弁しましたように、もし我が国の国民の生命や財産に被害が及ぶような事態になるであろうと想定される場合には、当然、迎撃するというのが、政府の務めであると思います。全力で対応しなければならないと思います。
(問)ミサイルまたはその破片が、ブースターとか一段目とか色々呼び方があると思いますが、日本の領土内に落ちてくる可能性はほとんどないようですが、その辺の説明が政府側から少し足りないのではないでしょうか。
(外務大臣)可能性については、技術的なことはよく分かりません。これは防衛大臣の所管だと思います。政府としては、国民の皆さんにあまり不安を抱かせることも良くありませんし、とにかく万全の体制でそのような事態にならないようにするということです。
(問)IAEAの事務局長選の一回目から三回目までの投票が昨日終わりました。本日二日目の投票日ということですが、日本として3分の2の得票を得られる見通しが立っているのかどうか、また、改めてこの事務局長ポストが日本にとってどのような意義を持っているかの二点についてお願いします。
(外務大臣)選挙の方ですが、昨日ウィーンで行われた選挙では、我が方の天野候補、それから南アフリカのミンティ候補の二人が立候補している訳ですが、いずれも任命に必要な3分の2の得票がなかったということです。天野候補は大変な経験も有しており、国際機関の役員として実績もありますから、是非当選してもらいたいと思っています。引き続き、昨日から各理事国に私(大臣)から働きかけを行っているところです。IAEA事務局長のポストですが、日本は唯一の被爆国でもありますし、国際原子力機関の重要性に鑑みますと是非天野候補に事務局長になっていただいて、国際社会の原子力の平和利用等についてリードしてもらいたいと思っています。
(問)天野候補が仮にポストを取ったときに、日本の不拡散政策が反映されやすくなるのではないかという期待感もあると思いますが、仮にそうだとしたら、具体的にどのような形で何に優先順位を置いて反映したいと思われますか。
(外務大臣)事務局長は公正、中立な立場です。ご本人も就任をした場合にはそのように発言されていますから、そのような事務局長としての任務をされると思います。我が国は我が国としての主張を続けていくということです。
(問)IAEA事務局長選に際して、大臣は達磨を送られたようですが。
(外務大臣)(当選の)目入れが今日にでも出来るように期待をしています。引き続き、私は各国への働きかけを今日も行って参ります。
(問)直接お電話をかけたりするのでしょうか。
(外務大臣)もちろんそういったことも行います。
(1)パキスタン支援国会合及びパキスタン・フレンズ閣僚会合の本邦開催
(外務大臣)4月17日に、東京で、我が国と世銀の共催でパキスタン支援国会合を開催することになりました。この会合は、同日午前に、パキスタン政府により開催されるパキスタン・フレンズ閣僚会合に続けて開催されるもので、ザルダリ・パキスタン大統領が訪日する予定です。この会合において、パキスタン政府から、経済改革及びテロ対策等の困難な課題に対する政治的なコミットメントの表明がなされると私達は期待しています。そのようなパキスタンの取り組みを応援するために、関係国や国際機関が今回の会合でパキスタンに対する支援を表明することになると思います。
(問)パキスタン支援国会合では、ODAを含め色々な支援を各国で協調して表明することになると思いますが、その前提としてどの位の支援額が必要とされるかという見積もりは如何でしょうか。
(外務大臣)会合がどのように進んでいくかはまだ分かりませんが、いずれにせよ支援について我が国としても検討していかなくてはならないと思っています。会議が進行する中で方向が出てくると思いますので、今はそれ以上は申し上げられません。
(2)世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)への拠出
(外務大臣)先週末のボツワナにおける「TICAD閣僚フォローアップ会合」でのスピーチにおいて私(大臣)から述べました通り、エイズ等のための世界基金に対して、我が国として、約1億9400万ドルを拠出することを決めたところです。世界経済、そして日本経済も厳しい中で、我が国が保健分野での国際協力を引き続きしっかりやっていくという意思を表明することにもなると思います。また当然、エイズあるいは結核等で困っている人達のためになる訳ですので、引き続きこのような点で支援していくということです。
(問)昨日、齋木アジア大洋州局長が中国に行かれ、武大偉中国外交部副部長と協議を行ってきたようですが、北朝鮮のミサイル発射について中国側の役割を果たせるのかどうか、向こう側から何か打診のようなものはあったのでしょうか。例えば、大臣は以前から北朝鮮にミサイルを発射させないことが大事だと仰っていますが、如何でしょうか。
(外務大臣)齋木局長からまだ報告を受けていませんので、どのような会談の内容であったのかについては報道でしか承知していません。また、発射については以前から申し上げている通り、まだ発射すると決まった訳ではありませんし、とにかく引き続き中国に対しても、北朝鮮に対する発射の取りやめの働きかけを是非して欲しいということは、再三、私も色々な場面から言っている訳です。齋木局長からもそういった話があったと私は思いますが、詳しい内容をまだ聞いていないので何とも申し上げようがありません。
(問)迎撃に向けての閣議決定を月末にでもするべきだという声もあるかと思うのですが、大臣ご自身はどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)防衛省大臣と内閣官房長官が判断されることだと思いますので、私から申し上げることでもないかと思います。自衛隊法に則って、一番適当な形を取ることがいずれ判断されるでしょうから、それによって閣議決定が行われるのか行われないのか、行われるとすればいつ行われるのかという点は、いずれ決まってくることと思います。
(問)先日、一部報道で、ミサイルが発射された場合、日米で議長声明を出すべく法案の作成作業を始めたということでしたが、事実関係は如何でしょうか。また、先日、大臣は国会の答弁で、決議を視野に協力していくというお話をされていましたが、その決議というのは制裁決議なのか、それとも非難決議なのか、どちらを指していらっしゃるのでしょうか。
(外務大臣)まず、もし発射されたら、安保理でしっかりと議論しなければならないということは以前から申し上げている通りです。それから、発射の状況や対応がどういうものであるかを踏まえた上で、安保理での決議の可能性も議論されることになると思います。いずれにしても、発射されたらという場合のことですが、国際社会が一致して対応していくことが一番大事だと思います。
(問)迎撃に関連して、政府筋が「迎撃については鉄砲を鉄砲で撃つようなものだ、そんなに簡単なものではない」というような発言をしているようなのですが如何でしょうか。
(外務大臣)私はそういう発言は存じません。難しいのは事実でしょう。我が国としてはまだ迎撃を行ったこともありませんし、どういう形でどのように飛んでくるのか、どこへ飛んで行くのか分かりませんし。とにかくそのような事のないように、ぎりぎりまで全力で働きかけることだと思います。
(問)大臣は、発射されるまでは基本的にはそのようなご説明を貫かれるおつもりでしょうか。
(外務大臣)勿論、私は国会の答弁でも、もし発射が失敗したり、我が国に何らかの被害が及ぶようなことが予想され、そのような事態に陥りつつある時は当然しっかりと対応するのは政府の責任だと申し上げています。これは、防衛省や米国と協力した対応ですが、これは当然のことだと思います。
(問)イランで日系の米国人ジャーナリストが拘束されています。米国では、イランということで情報が無い中で非常に関心が高いようですが、日本の外務省として何かこの件に関して把握されている情報などあるのでしょうか。
(外務大臣)報道は承知していますが、米国籍の方ということで、米国政府が対応しているということですし、これはやはり生命に関わることなのでコメントは差し控えさせて頂きたいと思います。
(問)小沢民主党代表の秘書が本日起訴される見通しなのですが、その場合、公党の党首としての進退の対応はどうあるべきだとお考えでしょうか。
(外務大臣)進退は、政治家ですからご自分でお決めになることと思いますが、公設第一秘書ということですから道義的な責任、監督責任というものは当然あろうかと私は思います。
(問)昨日、北京で北朝鮮の金英逸首相と中国の温家宝首相が会談しまして、六者協議の早期の再開を北朝鮮側に促し、ミサイル問題についても自制を促したと見られていますが、今回の会談を受けてのご所感をお願いします。
(外務大臣)報道を通じて承知していますが、第三国間の話し合いなので、コメントは差し控えさせて頂きたいと思います。但し、六者協議を早く再開して、核の問題について議論することも必要ですし、特に今は北朝鮮のミサイル問題が喫緊の課題ですから、そのような意味で、両国で自制を求めるような話が行われているとすれば、大変結構なことです。
(問)本日は胡錦涛主席との会談も予定されていますが、そのようなところで更に踏み込んだ話し合いが行われると思いますが、それについて期待感はありますか。
(外務大臣)どのような会談が行われるか分かりませんが、今申し上げたように、北朝鮮に自制を求めるような話し合いが行われることを期待しています。
(問)中国、ロシアの動向が一つのキーポイントになると思いますが、日本側から両国に対して独自の働きかけをするお考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)中国に対しては私も訪中して、温家宝首相、外交部長にもお話ししています。ロシアに対しても、ラブロフ外務大臣が訪日された時、あるいは今、薮中次官がモスクワに行って協議をしており、このように色々なレベル、場所で働きかけを行っています。この他、中国、ロシアのみならず、私は英外務・英連邦省の閣外大臣にも働きかけを行っており、そのような形で、引き続き働きかけを行っていきたいと思います。
(問)安保理の場で、北朝鮮に対して制裁も見据えた厳しい決議を求めていくことをお考えでしょうか。
(外務大臣)まずは発射させないことが一番大事ですので、それに全力を注ぐということだと思います。仮に発射されたら、当然、安保理でしっかりと議論することが大事です。そして、関係国が一致した行動を取ることが大切だと思います。
(問)発射の自制を求めていくということですが、国際社会として、発射を阻止するために何らかの一致したメッセージを出すということはあり得るのでしょうか。
(外務大臣)今、関係国が努力している最中ですし、北朝鮮に一番近い、日本、韓国、中国、または米国が強いメッセージを出す、働きかけをすることが一番大事なのではないでしょうか。
(問)先日の国会の質問でも出ていたと思いますが、事前に安保理の開催を要求して、そこで発射の阻止を求めていく考えについて如何でしょうか。
(外務大臣)まず発射させない努力ということで、安保理の場で、と言いましてもなかなか色々な考えがあるでしょうから、それよりも強い働きかけを引き続き行っていくことではないでしょうか。勿論、国際社会が共同してそのような取り組みをすることは大切だと思っています。
(問)働きかけを行っているということですが、中国、ロシアとの間の溝の様なものは埋まったという感じは受けていますか。
(外務大臣)中国、ロシアから正式な表明がありませんから、細かい点については承知していませんが、今までの両国の色々な発言等によって、発射させないことが大切だということについては、両国とも表明されていると承知しています。
(問)仮にミサイルが発射されたとしても、六者協議は六者協議として、日本としては早期の開催を求めていく姿勢に変わりはないのでしょうか。
(外務大臣)ミサイルを仮に撃った後のことを想定するのは難しいので、何ともお答えしようがありませんが、核の問題も一日も早く解決しなければなりませんから、六者協議の開催については引き続いて、北朝鮮を含めた六カ国で開催し、特に議長国の中国に汗をかいていただくことが大事だと思います。
(問)今まで六者協議では、ミサイルの問題はあまり触れられてきませんでしたが、ミサイルをもし撃ったら、日本として、ミサイルの話もしようということで、六者協議の開催を求めていく考えはありますか。
(外務大臣)六者協議では非核化が中心として議論がされていますが、北朝鮮問題という意味では共通した問題ですし、重要な問題ですから、そのような話も行われると思います。昨年の秋に行われた様に、非核化の検証の具体的枠組みをしっかりと文書化するということが、昨年は出来なかった訳ですが、引き続いてそれが大切なことだと思っています。
(問)3月末の総理の訪中が見送られたというお話がありましたが、一部報道で、尖閣諸島の対応がその原因なのではないかという指摘がありますが、これについて大臣のご所感をお願いします。
(外務大臣)まず、見送られたというよりは、ずっと調整をしてきた訳ですから、お互いの都合がつかなかったということだと思います。延期されたとか、見送られたということではなくて、日程が合わなかったということですので、誤解の無いようにしていただきたいと思います。私が訪中した時も、双方とも、早く行えればという考えでした。尖閣諸島の対応が原因なのではないかという点については、先方のことですから、私は何ともコメントのしようがありません。私としては、日程上都合がつかなかったと理解しています。
(問)本日、北朝鮮の金英逸(キム・ヨンイル)首相が北京を訪れて温家宝首相等と会談する予定ですが、北朝鮮問題が緊迫度を増す中、中国と北朝鮮との協議にどのようなものを期待されるでしょうか。
(外務大臣)今、非常に緊迫した状況になっていますから、現状を踏まえて、北朝鮮と中国の間でしっかりとした議論をして頂くことを期待しています。
(問)日本としては当然、北朝鮮のミサイル発射を防ぐということを国際社会の共通の目標として掲げている訳ですが、今回、中国側から北朝鮮側に自制を求める等、伝えて欲しいことはありますか。
(外務大臣)我が国や韓国、米国の考えは、中国はよくご存じだと思います。また先日の、中国外交部長との会談で私達の考えはお話ししてありますから、当事者同士がどのような話をされるのか分かりませんが、色々、ミサイルの発射についての話し合いが行われると思います。
(問)日本側の希望を、中国側の首脳部は理解しているということでしょうか。
(外務大臣)私達の考えは中国側の首脳部は十分に分かっておられると思います。いずれにせよ現状を踏まえたしっかりとした議論、協議を期待しています。
(問)大臣は、先週末の金沢の講演で日本に落下するものであれば迎撃は必要だという趣旨のご発言をされたと思います。仮に失敗して、落下という形でミサイルが日本に来た時、軌道計算もできず、迎撃は難しいとか、そもそも長距離弾道ミサイルの迎撃は技術的に難しいという専門家の意見もありますが、大臣のご認識として北朝鮮からのミサイルが日本に落下した場合、迎撃は可能だということでしょうか。
(外務大臣)まず、発射させないように、ぎりぎりまで努力していかねばならないと思います。ミサイルを発射して日本の領土等に被害が及ぶ可能性があるということになれば、それは当然政府として対応しなければならないと思います。国民の生命・財産を守るのは政府の一番重要な仕事ですからこれは当然のことです。迎撃できるかどうかということについては、技術的なことでもあり安全保障上のことでもありますから、出来る出来ないというのは、ある意味で手の内を見せるということになりますから、私としてはコメントは差し控えたいと思います。
(問)一般市民の感情としては本当にミサイルが落ちてこないのかということで、少し不安が高まっているようなのですが、如何でしょうか。
(外務大臣)勿論、そのような心配をお持ちなのは当然だと思いますし、我々もそういうことにならないように、政府としては万全の体制を期すということに尽きると思います。
(問)確実に迎撃できるとは、なかなか言い辛いというところでしょうか。
(外務大臣)それは技術的なことでもありますし、安全保障上の大事なポイントだと思います。ですから、私がここで出来る出来ないとお話しすることは差し控えさせて頂きたいと思います。
(問)日本の領土に被害が及びそうになった場合は政府として対応するということでしょうか。
(外務大臣)それは当然です。国民の生命を守ることが一番大事な政府の仕事です。
(問)それは具体的にはやはり迎撃ということでしょうか。
(外務大臣)どのような対応が可能かということは、防衛省はじめ政府全体で対応することですから、外務大臣の私としては手段について申し上げることは出来ませんが、被害が及ばないようにするにはどうすればいいか、最善の方法を取るということだと思います。
(問)北朝鮮が危険区域に指定した秋田県沖の9割ほどが日本のEEZ(排他的経済水域)に入っていますが、これについては特に問題はないというご認識でしょうか。
(外務大臣)詳しくは承知していませんが、いずれにせよ日本の上空をそのような弾道ミサイルが飛ぶようなことは決してあってはならないことなので、発射しないように自制を求めるということに尽きると思います。
(問)総理の訪中について、一部報道で、月末に予定されていたものが延期になったと出ていましたが、今の見通しと、延期になったのであれば何故なのかということについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)シャトル外交や首脳外交を緊密にやろうということで、また、今は国際経済の問題など色々ありますから、できるだけ早く首脳会談が出来ればということで中国側とは調整をしていましたが、3月中の会談の実現は困難な状況だと認識しています。
(問)困難な理由はどの辺にあるのでしょうか。
(外務大臣)先方の都合もあるでしょうし、こちらの国会日程など色々あると思います。しかし、出来るだけ早くやろうという双方の認識には変わりはありません。
(問)中国側から延期を求められたということでしょうか。
(外務大臣)これは調整をしている中での話だとご理解いただければと思います。
(外務大臣)本日、海賊対処法案について閣議決定が行われました。海賊行為は、言うまでもなく我が国の安全にとって大変危険な行為であります。そのような意味では、それに対処することは大事で、今回、対処法案が閣議決定されたことは大変意義のあることだと思います。今後は、国会で十分にご審議を頂きまして、一日も早く成立することを希望しています。また、海賊の根源を絶つことが大事でありまして、そのような意味では、近辺の諸国の海上保安活動の能力を強化するとか、あるいは関係国との協力体制をしっかりすること、また、我が国としては、ソマリア自体の安定化についてODA等を活用して取り組んでいきたいと思っています。
(問)北朝鮮が国際機関に対して衛星の発射をするということで、区域や時期等を通告してきましたが、この通告に対する受け止めをお願いします。
(外務大臣)報道されていますが、昨日、IMO(国際海事機関)とICAO(国際民間航空機関)に対して北朝鮮から4月4日から8日の間、試験通信衛星を打ち上げ、危険海域がどこであるかについて連絡があったということで、我が国にもそれぞれの機関から連絡がありました。
(問)これまでのミサイル発射では通告はなかったということを踏まえて、(北朝鮮の)意図等どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)試験通信衛星ということで、衛星打ち上げのルールに則って手続きを行っているということだと思います。
(問)今回通告したのは、国際世論の批判をかわすためだという狙いがあるという見方もありますが、発射した場合の日本の対応と、今後、国連安保理等で議論することになると思いますが、影響をどのように考えていらっしゃいますか。
(外務大臣)狙いは分かりませんが、まず、発射させないという努力を、我が国は関係国と協力して行っていくことが大事です。仮に発射され、我が国に被害が及ぶ場合にはしっかりとした対応をしていかなければなりません。また、日頃から安保理の関係国とも事前に良く協議をしていくことが大事です。万一発射された場合、人工衛星と称しても国連安保理決議違反だと認識しています。米国も英国も我が国と同様の考えですので、仮にそのような事態が起きた場合には、安保理でしっかりと議論していくことになると思います。
(問)仮に人工衛星なりミサイルを発射した場合は、すぐに日本独自の制裁を強化するお考えでしょうか。
(外務大臣)仮定の話にはお答えできませんが、いずれにせよ安保理でしっかりと協議をしていくことになります。
(問)北朝鮮は、国際的なルールを整えてミサイルを発射しようとしていますが、仮にこれが人工衛星であって、軌道に乗り、何らかの放送を開始した場合には、(北への制裁は)なかなか国際社会の理解を得ることが難しくなると思いますが、どのように、安保理決議違反であることの理解を国際社会に訴えていくのでしょうか。
(外務大臣)今出ている国連安保理決議というのは、北の弾道ミサイルに関連する活動が対象になっていますから、これが人工衛星と主張されても、技術的な面では違反になると私達は考えていますので、そのような見解を元に関係国としっかりと協議をしていくということだと思います。
(問)発射後、本当に人工衛星だったと確認された場合はどうするのでしょうか。
(外務大臣)まず発射させないことが大前提ですが、仮に発射が行われ、それが人工衛星だという主張があっても、私達としては、それが安保理決議違反であって、国連安保理の場でしっかりと協議をしていきます。先ほど申し上げたように、万が一、我が国の安全や生命に被害が及ぶ場合には、我が国としてしっかり対応することは当然のことだと思います。
(問)アフリカのボツワナ共和国で開かれる、TICADの閣僚級フォローアップ会合にご出席されるということですが、抱負をお聞かせ下さい。
(外務大臣)国会のご了承を頂いた場合には出席したいと思っています。昨年我が国でTICAD IVの会議が開かれましたので、今回はフォローアップ閣僚会議ですから、文字通りその後の各国、あるいは全体の状況を良く検討して、今後のアフリカ開発にどのように取り組むかということが話し合われると思います。大変大事な会議ですので、私としては是非出席して、共同議長役を務めたいと思っています。
(問)北朝鮮が、人工衛星を発射した場合に迎撃されたら報復攻撃をすると、警告をしていますが、この点についてどうお考えでしょうか。
(外務大臣)報道は承知しています。仮定の質問であるということなので、仮定の質問に答えるのは適切ではないと思いますが、ただ、政府としては北朝鮮が地域の平和や安定を損なうような行動を取らないように慎むべきであると思っています。それから、仮に発射した場合には、やはり人工衛星の打ち上げだと主張しても安保理決議違反だと日本政府としては考えており、安保理においてしっかりと取り上げていく必要があると思っています。
(問)安保理において取り上げる場合には、非難決議と制裁決議がありますが、制裁決議まで目指すのでしょうか。
(外務大臣)発射された訳でもありませんし、そのような事態になったらなったで安保理でしっかり議論するということでありまして、どうするかは今の時点では申し上げられませんし、適当ではないと思います。
(問)国連安保理での対応と同時に、日本独自の対応について、仮に発射された場合に、選択肢は色々とあると思いますが、日本として更なる追加的な措置を検討する必要性についてどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)まずは発射させないという粘り強い努力をしていくこと、そして関係諸国と北朝鮮に対して働きかけをしていくことが一番大事だと思います。つまりそのような事態を検討しなければならないような事態にならないようにすることが一番大事だと思います。
(問)仮に飛んできた場合に、日本としてはMDシステムを活用して迎撃するべきだと大臣はお考えでしょうか。
(外務大臣)防衛大臣が中心になって政府全体で考えることになると思います。仮定の質問にコメントすることは控えさせて頂きます。
(問)人工衛星と称した場合にも安保理決議違反という認識ですが、米国、韓国とは同じ認識で一致していると思いますが、中国やロシアの認識は日本政府として把握されているものはあるのでしょうか。
(外務大臣)ボズワース特別代表の訪韓・訪中の報道を承知しています。また、中国とは、先日私が訪問しまして、これについても米・韓・日は考え方が一致していると思いますが、中国、ロシアについては、まず「北」の自制を求めるということで一致しておりますが、その先については意見のやりとりはしておりません。中国に対しては、決議違反であるということは申し上げています。
(問)北朝鮮のミサイルあるいは人工衛星の発射に関して、国際社会が一致して自制を求めるということはそれぞれ各国同じであるということですが、その一方で国連決議に違反するかどうかに関しては、中露、日米韓で足並みが揃っていないという、この現状についてどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)それはその時、仮にそのような事態になった場合のことであって、今は中国、ロシアも含め、また日米韓も含め、そのような事態にならないように努力をするということが一番大事だと思います。残念ながら、もしそのような事態になったということであれば、その時、しっかりとした議論を安保理の場で行うということだと思います。
(問)その安保理で議論を行う際に、安保理決議に違反しているかどうかという点で一致していないと議論が難航する恐れがあるかと思いますが、その点はどうお考えでしょうか。
(外務大臣)それはその時、各国の見解の表明があるでしょうし、その中でどうするかを議論していくということです。そのような事態が起きれば、各国も、これは大変遺憾なことだということでは共通した認識になると思いますが、安保理としてどう対応していくかということはその時に議論するとしか、今は申し上げようがありません。
(問)ミサイルであれ人工衛星であれ、確かに仮定の話ではあるのですが、日本に飛んできたら、日本に暮らす者として不安があるのですが、現時点での状況は大丈夫かということと、北朝鮮がどういう段階になったら発表すべきかということについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)当然、我が国としても国民としても大変な脅威ですし、先ほどから再三繰り返していますように、政府としては発射されないように努力をしていかなければなりません。過去の事態もある訳ですから、あの三陸沖に着弾したというのは大変遺憾なことで二度とあってはならないことだと思いますし、そういう意味で政府としては発射されないように全力を尽くすということ以外ないのではないかと思います。
(問)具体的に発射された場合には大丈夫なのか、日本としての対応は大丈夫なのでしょうか。
(外務大臣)本当にそういう事態になった場合には、日本の国民の生命、財産を守るためにあらゆる手段を講じて被害が及ばないようにするというのは当然のことであって、仮に日本方面に発射されるということであれば、政府としてそれなりの対応をしなければならないのは当然のことだと思います。
(問)基本的に日本側の発表は発射されてからということでしょうか。発射の兆候が見られた段階での発表はなさそうでしょうか。
(外務大臣)それも仮定のご質問ですからお答えできません。やはり、粘り強くぎりぎりまで努力するしかないと思います。
(問)これまで発表は発射された後でしたが、明らかな兆候がある場合に何らかの発表はあるのでしょうか。
(外務大臣)兆候はあっても発射されるかどうかは分かりませんし、日本政府が勝手に断言して何かを発表するというのは如何かと思いますし、国民の動揺を煽って混乱しても困ると思います。
(問)場合によっては民間航空機や漁船・船舶等への警戒や警報が発生すると思うのですが如何でしょうか。
(外務大臣)人工衛星打ち上げであればその手続きが必要な訳で、北朝鮮がそのような趣旨でそのような対応を取ったということであれば、該当する地域は注意をしなければなりません。ただ、人工衛星と称しても、あるいは人工衛星であっても、私達は安保理決議違反と考えていることには変わりはありません。
(問)現在、北朝鮮の情勢が緊迫を増す中で、明日行われる田口さん御家族と金賢姫氏との面会が実現したのですが、こうした北朝鮮状況を踏まえて、今回の面会がどういった意味を持つのでしょうか。
(外務大臣)面会そのものは、昨日申し上げましたが、飯塚家のご希望を踏まえて我が国政府が努力して韓国政府のご協力と調整を頂いて実現したことであって、これは拉致被害者のご家族の要望が実現したということで、ミサイル等の問題とは別の問題だと私は思っています。
(問)拉致、核、ミサイルという一つのカテゴリーで考えた場合、今回の面会がある意味、北朝鮮へのメッセージになるのではないかというお考えは日本として持っていらっしゃるのでしょうか。それぞれの問題に関して報道もなされる訳で、北朝鮮国内でも注目が高まると思うのですが、如何でしょうか。
(外務大臣)北朝鮮側が今回の面会についてどのように思うかということは私は分かりません。報道もされる訳ですし、記者会見も行われる訳ですから、北朝鮮もこの面会について事後状況を把握される訳です。私達としてはその中で拉致問題の解決のために、良い方向に向かってくれればと思います。
(問)北朝鮮が強硬姿勢を深める中で、こうした形で北朝鮮が自国の工作員とは認めていない金賢姫氏にあえてフォーカスを与えるようにも思えるのですが、これは逆に日朝関係にマイナスの影響を与えるということの可能性についてお考えではないのでしょうか。
(外務大臣)私はそこまでは考えていません。人道的な問題ですし、これは御家族にとって、お話をしたいというのは誰もが理解できることだと思いますから、これが実現したということは良かったと思うのが一番良いのではないかと思っています。
(問)先日大臣は中国に行かれましたが、次は麻生総理が訪中というスケジュールもあると思うのですが、いつ頃になりそうでしょうか。
(外務大臣)これについてはまだ調整中で、日程は確定していません。
(問)今月になる可能性はあるのでしょうか。
(外務大臣)それについても、先方の都合やこちらの国会の都合もありますし、4月以降の外交日程もありますし、まだ確定していません。調整中としか今は申し上げられません。
(問)西松事件について、今、二階経済産業大臣周辺に疑惑が向かっているかと思うのですが、現時点で二階大臣はどのような対応を取るべきだと思われますか。
(外務大臣)私も詳しいことは分かりません。報道を通じての認識ですし、色々と報道されていますが、この件については必要があればご本人が説明をされることだと思います。私から申し上げることではないのではないかと思います。
(外務大臣)今朝8時頃、韓国の外交通商部からソウルにある日本大使館に連絡がありまして、田口八重子さんのご家族と金賢姫氏との面会が、明後日11日の午前11時に釜山で行われることになりました。その後、引き続き3人による共同記者会見を予定しています。この件は、飯塚家から予てからのご希望もありまして、日本政府としては様々な努力を行い、韓国政府と調整を行ってきましたが、ようやく面会が実現することになり、本当に良かったと思っています。飯塚家の方は、飯塚繁雄家族会会長と飯塚耕一郎さんがお会いになると伺っています。韓国の政府、特に柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官はじめ皆さんには大変お世話になり、心からお礼を申し上げたいと思います。この面会が本当に実り多いものになるように期待をしているところです。
(問)金賢姫さんの面会の意思表明から2ヶ月位経っています。それから日韓外相会談からも1ヶ月経っており、準備にかなり時間がかかっていると思いますが、どの辺が難しかったのでしょうか。
(外務大臣)事の性質上、難しいのはご理解頂けると思いますが、韓国政府、特に外交通商部には調整において大変ご努力を頂いたということです。私達も早期実現を目指して、韓国の方には再三早期実現出来るようにお話をしていました。私からもそのようなお話をしていました。
(問)今回の動きは、拉致問題が今、停滞していますが、これに対してどのような効果をもたらすと思いますか。
(外務大臣)ご家族としては当時の事情をお聞きになりたいということであろうと思います。また、金賢姫氏がお会いするのは大変良いことだと思っています。大変難しい問題ではありますが、日韓両国政府としてはこのような面会が実現したことを受けて、これは両国共通の重要な問題でありますから、今後も協力をしながら、一日も早く拉致された方々が帰国できるように引き続き努力していきたいということです。
(問)今回の会合を設定するに当たって、北朝鮮側を刺激するのではないかという懸念はお持ちでしたでしょうか。
(外務大臣)これは韓国政府に調整をお願いしていました。勿論、この面会の開催については日本政府が主体的に韓国政府に調整をお願いしながらやってきた訳で、そういう意味では拉致被害者の帰国と色々な解明は当然のことですから、先方がどう考えるか私の方はわかりません。
(問)飯塚さん側は金賢姫氏を今度は日本に呼びたいということなのですが、その辺の見通しや可能性については如何でしょうか。
(外務大臣)まずは面会して色々お話をされるということからで、家族会の皆さんにそのようなご希望があるということは私も報道等で承知していますが、まずはお会いするということが一番大事ですし、まずはそれが良かったなと思っています。
(問)金賢姫氏が(日本に)来たいといった場合に、拒むものではないということでしょうか。
(外務大臣)それはご本人あるいは韓国政府の色々な事情があるでしょうから、勿論、お気持ちはよく分かりますが、今私がここで意見を述べることは差し控えたいと思います。
(問)各社の世論調査で、小沢民主党代表の秘書の逮捕の件もありまして、若干、麻生内閣の支持率が持ち直している、あるいは下げ止まっているところがあるようですが、どうご覧になっていますか。
(外務大臣)政治とカネの問題というのは何年かに一回繰り返され、本当に残念ですし、襟を正して国民の皆さんに本当に政治というものをしっかりやっていくことがまず基本であると思います。支持率については、いつも申し上げていますように、とにかく景気対策が最優先ということでやっています。それにも関わらず支持率が下がっているというのは残念ですが、またこのような事態になって支持率が変化するということはありますが、とにかく内閣としては一生懸命景気対策をやると、そして今参議院で審議している予算をきちんと成立させることが最優先ですから、あまり一喜一憂しても仕様がないことだと思います。一生懸命仕事をして国民の皆さんに評価をして頂くことだと思います。
(外務大臣)今週末から総理特使に任命された緒方JICA理事長、それから、吉川アフガニスタン・パキスタン支援担当大使を米国に派遣し、アフガニスタン・パキスタン問題について米国政府と協議を行ってもらうことになりました。
(問)米国のボズワース特別代表が昨日、齋木アジア大洋州局長とお話をして、今日大臣と会われますが、どのような話をされますか。
(外務大臣)やはり北朝鮮問題が中心になると思いますが、核やミサイル、拉致問題など幅広く意見交換したいと思っています。また、私からも日本の状況について良くお話ししたいと思います。
(問)北朝鮮がミサイルであれ人工衛星であれ発射した場合は、日本独自の、今北朝鮮に課している制裁を強化するお考えはありますか。
(外務大臣)まず自制を求めたい、引き続き各国で緊密に連絡を取ってやらなければならないと思いますが、もし万が一そのようなことになりましたら、まず安保理で協議をすることになると思います。
(問)安保理で制裁決議を提起することになるのでしょうか。
(外務大臣)そこら辺はまだ分かりません。
(問)日本独自の制裁について大臣はどのようにお考えですか。
(外務大臣)今の段階ではお答えできません。関係各国と協議をすることがまず最初でありそれが一番大事だと思います。
(問)ちなみに現状はどうなっているのでしょうか。
(外務大臣)今の段階では、まず発射させないこと、自制を求めることに全力を尽くすということです。
(問)西松建設の事件で、小沢民主党代表が検察批判をしていますが、あの対応についてどのように受け止めていますか。
(外務大臣)記者会見を全て拝見した訳ではありませんが、もし報道されている通りであれば、公設第一秘書の逮捕ということですから、道義的な責任は免れないのではないかと思っています。
(問)自民党の中でも西松建設関連のパーティ券や献金を返金している方もいらっしゃいますが、それに対してどのように受け止めていますか。
(外務大臣)それぞれの方や団体の献金の受け方を私は詳しくは分かりませんので、それぞれの方のご判断だと思います。
(外務大臣)昨日、エジプトにおいて、約84の国・国際機関が参加し、「ガザ復興のためのパレスチナ経済支援に関する国際会議」が開催されました。総額約45億ドルの支援金拠出が新たに表明されたところです。我が国からは、伊藤外務副大臣が出席を致しまして、約6,000万ドルのガザへの人道・早期復興支援を含む当面約2億ドルの対パレスチナ支援を行うとともに、我が国としては、「平和と繁栄の回廊」構想等の対パレスチナ支援を通じて、中東和平実現に向け貢献していく旨表明しました。会議では、多くの国々が、ガザの復興のためには、永続的な停戦、通行所の開放、パレスチナ諸派の融和、そして「パレスチナ国家」建設に向けた和平プロセスの推進等が重要であることを強調しました。我が国としても、国際社会によるこうした努力に、積極的に参画していきます。
(問)ガザの復興支援の件ですが、現在のガザはハマスが実効支配をしている状態が続いていると思いますが、今後日本政府として、ハマスとの対話についてどうお考えでしょうか。
(外務大臣)我々としては、ガザの問題については去年から今まで、イスラエル外相やエジプトのアブリゲート外相等関係各国の外務大臣と電話会談を行って、この問題の解決について我々としても努力をしてきました。政府としては、アッバース大統領そしてパレスチナ自治政府による「パレスチナ国家」建設への努力を支持し、イスラエルとの二国家の共存を前提とした中東和平の実現を目指しています。ハマスはイスラエルの存在を認めず暴力に訴えている訳で、そういうハマスと交渉することは、ハマスに一定の正統性を与えることになり、アッバース大統領の基盤を弱めて、「パレスチナ国家」の建設に向けての努力に水を差すことになりますので、私達としては現状ではハマスとの接触は考えていません。先ほど申し上げたように、国際会議の場を通じてとにかくガザ復興のための支援をという形で進めていきたいと思います。
(問)あくまでもハマスへの対話というのは、所謂カルテットが経済封鎖解除のために3条件を示していますが、その3つの条件を満たした際には日本政府としてハマスとの対話を考えていくということでしょうか。
(外務大臣)我々としてはこのようなプレッジを通じてとにかく経済支援をしていこうということで、その方向に力を入れている訳です。あとは、イスラエルやハマスの動きや近隣関係諸国の努力を見守っていくということでいきたいと思っています。
(問)両親の不法滞在を理由に国外退去を命じられているフィリピン人一家についてですが、入国管理局は、3月9日までに家族3人で出国するか、あるいは13歳の少女一人を残すか決めるように迫っています。一方で、国連人権理事会の特別報告者からは、外務省を通じて当該少女に関する説明を求めてきていると思いますが、そういった国連人権理事会の動きがあるにも関わらず3月9日に強制退去もしくは強制収容することを迫っていることについてどのようにお考えでしょうか。特別報告者からの照会などが終わるまでは強制送還すべきではないという意見もあるということなのですが、大臣のお考えをお聞かせください。
(外務大臣)この件では今のお話の通り、国連人権理事会のことと日本国内での法的な問題と両方の側面がある訳です。国連の人権理事会の方は、「移民の人権」及び「教育の権利」特別報告者から我が国に対して情報提供の要請がなされている訳で、これに対する回答については現在関係省庁間で協議中です。不法入国した当該夫婦につきましては、ご案内の通り、退去の強制令書は平成18年に発布されて、最高裁でも上告棄却で処分の適法性が認められていると承知しています。こういう場合には、法律に従って速やかに送還するのが原則ですが、入国管理局においては、一家3人での在留は認められないので、一つは帰国を準備するということ、当初は2月27日が期限だったと思いますが、それが延びている訳です。但し、長女が親以外の適切な監護者の下で学業の継続を希望するのであれば、長女には在留特別許可について改めて検討すると伝えた上で、3月9日まで仮放免を許可したと、私(大臣)は承知しています。この件については、不法入国は不法入国ですので、法に従って適切に処理されると考えますが、要は不法入国と子供の幸せの問題ですが、そのバランスをよく考えて処理されることを期待しています。
(問)3月9日の前に国連人権理事会の特別報告者に説明はできるのでしょうか。
(外務大臣)現在関係省庁間で協議中ですが、通常は60日以内に情報を提供するケースが多いのですが、書簡が発出されてから30日以内に回答することが望ましいとなっていますので、我々としては今そういうことで協議を行っています。
(問)回答をするまで、強制退去の3月9日という期限を設けなくても良いのではないかと思いますが、如何でしょうか。
(外務大臣)回答は回答で国連人権理事会の特別報告者に報告をするということで急いでやりますが、正確にいつ頃になるかは分かりませんし、私は法に従って適切に処理されることになると思っています。
(問)バランスの良い解決というのは、大臣は文部大臣をされていらっしゃいましたが、実際問題13歳の少女が一人で残って、親に代わる監護者がいたとしても教育を進めていくのはかなり厳しいと思いますが、そのあたり如何でしょうか。
(外務大臣)家族ですから一緒に生活をするのが一番だと思いますが、娘さんの面倒を見て下さる、そして娘さんも勉強をしたいということでうまく話がまとまるということであればそれで良いと思います。一方、法律は法律ですから、そこら辺今後どうなるか私自身は分かりませんが、できたら希望は叶えてあげたい、これは国民の皆様の感情だと思いますが、一方で法律があります。
(問)一部報道で今月11日に金賢姫さんと飯塚さんご家族との対面が実現するのではないかという話がありましたが、調整の状況はどのようになっているのでしょうか。
(外務大臣)政府としては、今までも飯塚家の希望を踏まえて金賢姫さんとの面会の実現に努力してきましたし、韓国政府に対しても早期にこの面会が実現するようにということは要請してきていますが、面会の場所とか時期あるいは対応については現在調整中です。具体的には何ら決まっていないと私は認識していますが、いずれにしても引き続き早期の面会ができるように期待しています。
(問)昨日の電話会談ではこの話は出たのでしょうか。
(外務大臣)出ませんでした。
(問)もしこの面会が実現した場合、一部外務省の幹部は、出来るだけ静かにというような意向を持っているようですが、一方で、金賢姫さんや飯塚さん側としては一定の情報公開というものはあっても良いのではないかとお考えのようです。大臣ご自身は、この面会が行われる場合にはメディアに対する公開についてはどう思われますか。
(外務大臣)面会してその状況を公開するということは、拉致問題全体の解決や拉致されている人々等、色々と影響が大きい訳でありまして、私は面会がどういう形でどうなるかということにもよりますが、慎重にやらなければならないと思っています。
(問)例えばメディアには非公開という形で、場合によっては場所等も明らかにしないまま行われるということでしょうか。
(外務大臣)これは韓国政府が金賢姫さんと接触をされているので、韓国政府のお考えもあるでしょうし、一般的に事の難しさとか影響ということを考えると、その時期が決まってどう対応するかという時になって最終的に考えることでしょう。但し、拉致問題全体に対する影響を考えますとこれは慎重にやるべきだと思っています。
(問)昨日、麻生総理が定額給付金の受け取りを表明したことについてですが、そのことへの受け止めと、今日閣議で全員受け取るということになったと思うのですが、大臣ご自身はどうされるかお聞かせください。
(外務大臣)総理が昨日発言されたことは、私も報道で知りましたが、総理のお考えは総理のご発言の通りだと思います。私自身は前から申し上げていますように、景気対策のために使わせて頂こうということです。当初、昨年定額減税という形でスタートした時は、ガソリン代も160円、170円になると、漁船の油がないとか、色々なそのような企業あるいは国民の生活面で原油の値上がり等でこれは生活が大変だということでスタートし、また減税という形で考えられました。しかし所得の低い方にはその恩恵が行き届かないというような状況でスタートしたものですから、では給付の仕方はどうするかとか所得の制限をするかとか議論があったと思うのですが、今はとにかくこの景気を何とかしなくてはならないということで、目的や用途が変わってきているのは事実です。景気刺激、景気対策のために私自身は使わせて頂きたいと思いますし、国民の皆さんにもそうして欲しいということを政府としても期待していると思います。
(問)定額給付金を貰うということに関しては、今まで個人個人の判断ということで、大臣もご自身の判断で貰うということを閣議後の会見で仰った経緯がある訳ですが、今度は自民党として各議員に協力を求めるという形になりまして、党としての統一見解が一応出た形で、個人個人の判断から党としての判断になったということで、判断のぶれがあったとみられるのですが、大臣のお考えは如何でしょうか。
(外務大臣)これはあくまでも個人個人の判断であることは変わらないと思います。党としてはこのような経済情勢とか諸般の状況を考えると、そのような目的に是非使って欲しいということであって、これは強制出来るものではないと思います。
(問)昨日麻生総理が明言されていましたが、自民党の中では、結局もっと早く総理が明言すべきだったのではないかという意見もあるようですが、その表明したタイミングについては適切だったのでしょうか。それとももっと早く総理は表明すべきだったのでしょうか。大臣はどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)それは総理がご自分のお考えで今まで態度を明らかにされておられ、そしてご自分でタイミングと言いますか表明する時期をお考えになったと思いますので、私からはコメントを控えたいと思いますが、この法案の審議が進んで参りましたので表明されたのではないかと思います。
(問)今回の北京訪問での一連の会談のご感想、特に北朝鮮に関するやりとり等の内容如何。
(外務大臣)今回外務大臣としてはじめての訪中でありますけれども、基本的には大変来てよかった、いい会談ができたと思っております。(よう・けつち)外交部長との会談に引き続きまして、今日は温家宝国務院総理との会見も行われまして、二国間の問題や国際・地域問題、様々な問題についての意見交換を行うことが出来ましたし、また、数々の点で意見の一致をすることができました。
二国間の問題では、ハイレベルの交流を通じて、「戦略的互恵関係」、それの構築に向けて、今後もさらに進めていこうということについて意見が一致いたしました。それから東シナ海でのガス田の話、安全保障の分野、食の安全、これについても話がございました。国際情勢につきましては、朝鮮半島の非核化、そしてこれを解決すべく努力をしていこうと、また、拉致問題も当然ですけれども、六者会合のプロセスを通じてこれを解決していこうと、これも意見の一致をしたところでございます。
それから北のミサイルの問題ですけれども、これはいま大変緊張が高まり不安があるわけではありますけれども、これについては人工衛星であっても、仮にこれが人工衛星であるとの北朝鮮の説明があっても、これが発射された場合、発射されないということが大事なのですけれども、これはもう明らかに安保理決議違反であると、そういうようなことでございまして、これは自制を強く北朝鮮に求めていくということでございます。全般的にはそういうことでした。
(問)日中間の諸懸案、尖閣諸島問題、東シナ海のガス田、ギョーザ問題は、今後どのように取り組まれていくのか。
(外務大臣)東シナ海ガス田の問題については、既に非公式な協議は行っているが、今後、速やかに、正式な協議ができるよう我々は期待しており、その旨中国側には話をしました。それからギョーザの問題については、早期解明が必要で、もう一年たっているわけでありますけれども、更なる情報の提供を我々からは求めました。中国側からは、刑事事件ということもあり、真相解明に努力をしているということでありますが、引き続き関連情報を日本側に行うということになりました。それから尖閣諸島問題については、これは中国側から話が出てきたが、私としては我が国の原則的な立場を述べだけであって、まぁ、こういうことで私の両国の関係に影がささないようにということを述べました。
(問)東シナ海ガス田についての、事務レベル協議は比較的近いタイミングではじまりそうな感触は得られたか。
(外務大臣)私たちとしてはすでに事務的にはやっているが、正式な協議を行いましょうと強くその話を行いました。協議のスタートを真剣に検討してくれるものというふうに思っております。
(問)北朝鮮が仮に人工衛星を発射しても安保理決議違反という話だが、その認識は中国側とも一致しているのか。
(外務大臣)これについては私たちの意見をはっきりと述べました、中国側からは、それについて認識している、していないという話はなかったが、これは当然深い関心をもっております。
(問)日中ハイレベル経済協議及び麻生総理の訪中については、温家宝総理とどのような話しがあったか。
(外務大臣)ハイレベル協議は、去年行われなかったが、早期に行いましょうということで、事務方で今後協議をしていくことになりました。総理訪中は昨年は胡錦濤国家主席と温家宝国務総理が来日されたということで、今度は麻生総理が訪中する順番であるということになります。私としてはできる限り早期に、総理としてもまた訪中したいとそういう意向もあるのでその旨を伝えて、できる限り訪中が実現するように中国側へ調整・検討をお願いしたところであります。
(問)温家宝総理のそれに対するコメント如何。
(外務大臣)できる限り早期に実現するよう話を進めましょうということであった。