記者会見

外務大臣会見記録(平成20年12月)


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外務大臣会見記録(平成20年12月26日(金曜日)11時05分~ 於:本省会見室)

冒頭発言-ジンバブエにおけるコレラ流行対策に対する緊急無償資金協力

(外務大臣)ジンバブエでは今、かつてない規模でコレラが流行しており、大変多くの死亡者が発生しています。本日我が国は、同国におけるコレラ流行対策への支援として、人道的観点ということで、国際連合児童基金(UNICEF)を通じて150万ドル(約1億6千950万円)の支援を実施することとしました。なお、この支援は今申し上げましたように人道的な観点から行うということであります。ご承知の通りジンバブエは非常に不安定な政治状況・経済情勢であり、従来から我が国も懸念を表明している訳ですが、そのように死者が大勢出ているということから支援を行います。この国の情勢の安定、民主化の進展、更に人道状況の早期の改善を強く期待しています。

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ソマリア沖における海賊対策

(問)閣議では総理から海賊対策について何らかの発言はあったのでしょうか。

(外務大臣)海賊対策については今日の新聞でも各紙報道されているようですが、昨夜の会見で麻生総理が述べられました通り、政府としてはソマリア沖やアデン湾この地域における海賊対策というのは各国も軍艦を派遣しているように国際的な課題であると繰り返し申し上げています。海上輸送の安全確保や我が国の乗組員もいる訳で、生命・財産の保護の観点から急を要する課題であると認識しています。そのような観点から、新たな海賊法制の整備あるいは現行法制下で如何なる対応が出来るかなどについて、鋭意検討を進めてきている訳ですが、できることから早急に措置を講じていく必要があると考えております。総理のご発言にありましたが、この件についての検討を取り進めるということに当たっては、外務省としても全面的に協力をしていこうと思っています。

(問)閣議で何らかの指示等があったのでしょうか。

(外務大臣)今申し上げました通り、昨日麻生総理が皆さんにお話ししたかと思いますが、その主旨に沿って外務省も対応して参ります。

(問)実際の目処としてはいつ頃の派遣になりますか。

(外務大臣)これはまだ検討を早急に進めるということですが、総合海洋政策本部で国連海洋法条約などに則して船舶の国籍を問わず航海上の海賊行為を我が国の国内法上の犯罪とするような法整備について現在検討を行っているところです。法案の提出の時期など現時点ではスケジュールはまだ分かりませんし、検討中ということです。

(問)艦船の派遣についてですが、できることから措置を講ずるべきだと、また急を要すると大臣本人も仰っている訳ですが、いつ頃になるのかという目途と、それは遅くはないのかということをお伺いしたいと思います。

(外務大臣)早く行おうということですが、検討の進捗状況による訳で、早く検討結果を出すということ、鋭意作業を進めるということしか現在は申し上げられません。ただ、法整備を行うということであれば、まとまった検討結果が出てこなければならないと思います。

(問)現行法でできることということで伺っているのですが。

(外務大臣)今はあらゆる点について原点に立ちかえって検討するということですから、法整備もあるし現行法もあるし、どういうものが望ましいのか、現地の状況がどうなのか、そういうことを細かく検討しなければなりません。早く行うことは大事ですが、皆さんご承知の通り、どういう状況が起きるか分かりませんので、法整備であろうと現行法であろうと総合的に検討するということです。

(問)麻生総理がこの件について11月末か12月くらいに派遣したいと表明されてからすでに大臣の会見ではずっと検討しているというお話だけだったのですが、昨日ああいう形で総理が具体的に表明された訳ですから、担当大臣の一人として、いつ頃までにという目途みたいなものがおありなのでしょうか。

(外務大臣)検討は以前から行っている訳ですが、それを更に促進するということです。それ以上は人が行うことですから、できるだけ早く、早期に検討するということでご理解頂きたいと思います。1月の幾日とか2月かということは、検討の進捗状況によりますので、申し上げられません。

(問)諸々の問題がうまく処理できた場合には、来月中の派遣もあり得るということでしょうか。

(外務大臣)どういう形になるか分かりません。それによって人数や艦船の種類などどういう準備が必要なのか、当然それなりの実質的な時間がかかると思いますし、いつということは、防衛省を中心に海洋政策本部と十分な議論をした上でのことです。これは今までの補給支援と違う形での支援というか、海賊対策ですから、慎重に行うことが大事だと思います。そういうことで時間もかかるかも知れません。しかし、海賊対策は早く行わなくてはならないと考えています。

(問)現行法となると、海上警備行動を使うということが想定されると思いますが、これは、従来であれば不審船や領海侵犯等日本の安全保障上の大きな問題が発生した時に緊急対策として発令したケースしかなかったということでした。しかしながら、ソマリア沖のように日本から非常に離れたところで、海賊対策という、恐らく海上警備行動というものを作ったときには想定していなかったことに海上警備行動を使うのは適切かどうか議論もあると思いますが、大臣は現行法を使って海賊対策を行うことを問題ないとお考えでしょうか。

(外務大臣)現行法ということであっても、対象が日本人や日本の船舶に対してということになると思います。外国の船が海賊に乗っ取られた時にどうするかとか、現行の海上警備行動で本当に対応できるのか等あらゆることを想定しなければならないので、問題ないということになれば、それはそれでいいと思います。

(問)大臣自身は如何お考えでしょうか。

(外務大臣)私も法的な問題とか、そういったものがクリアされればそれはそれでいいと思いますが、ただし、長期的には、今まで海賊対策についての法律が日本にはないので、検討はしていかなければならないと思います。

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回顧と展望

(問)外務大臣就任から3ヶ月経ちますが、振り返って成果についてどう考えますか。また、来年オバマ政権が発足しますが、日本外交における課題について大臣の考えは如何でしょうか。

(外務大臣)9月24日に麻生内閣が発足し、その直後、私も総理に同行して、国連総会に出席しました。ASEM、金融問題、APEC、日中韓三カ国会議等、外交の場で総理は精力的にリーダーシップを発揮したと思います。日本の国際社会の中での役割もある程度果たせたと思います。特に金融問題では、リーダーシップを発揮できたと思います。補給支援特措法が年内に延長が決定され、隙間なく活動を続けられることは大きな成果だと思います。また、私が出席したクラスター弾の禁止に関する条約の署名については、日本としても署名し、参加できたことは歴史的意義があったと思います。来年は、オバマ新政権が発足されますし、米国とは政策調整が必要になるでしょうが、新政権がどのような政策をとるのか注視していくのが当然重要です。来年、気候変動の問題、COP15もあります。金融問題のフォローアップ、G20、APEC、日中韓三カ国会議、フォローアップをしっかりやって、国内経済の立て直し、途上国の支援のプログラムをしっかりと進めていく必要があります。また、来年は我が国が国連の安保理非常任理事国となります。安保理の非常任理事国としての役割を果たし、その中で国連改革、将来の将来の常任理事国入りを頭においたしっかりとした活動を行っていく必要があります。また北朝鮮問題については、12月上旬に開催された六者会合では、残念ながら合意に至りませんでした。しかし、我が国にとっては、北朝鮮の核の無能力化は我が国の安全保障にとって重要です。いつ開かれるかは分からないが、事前の準備をしっかりして5カ国間での事前の調整をして、会議を成功させ、非核化を確実に進めることが必要です。また、拉致の問題については、北朝鮮に対して再三再調査の申し入れを行っていますが、それが行われていません。「行動対行動」で我々も対応することを申し上げています。来年については、日朝関係の問題を更に進展させたいと考えています。

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大臣の外国出張予定

(問)来年の外遊の予定はありますか。

(外務大臣)国会が来月5日から始まりますので、外国出張ができるか分かりません。相手国があり、国会との関係がありますので、土日で行くこともあるかもしれませんが、検討してはおりますがどうとも申し上げることはできません。外務大臣として、国会のお許しが頂けるのであれば、各国との外交関係の強化のため出張したいとは思いますが、現時点では国会日程があるので分かりません。

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外務大臣会見記録(平成20年12月24日(水曜日)9時26分~ 於:院内閣議室前)

冒頭発言

(1)日・越経済連携協定の署名

(外務大臣)日・越経済連携協定の署名等に関し、閣議決定がなされました。

(2)補給支援特措法の延長

(外務大臣)補給支援特措法の実施計画を、来年7月15日まで半年間延長するということも決定されました。

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ソマリア沖における海賊対策

(問)報道でもありますが、ソマリア沖の日本の船を護衛するために海上自衛隊の護衛艦を派遣するように調整するということですが、どのような状況でしょうか。

(外務大臣)海賊対策というのは今喫緊の課題だと思います。国連決議もありますし、そういう意味で政府としては、早急にこれにどのように対応したら良いかということを検討しているという状況です。

(問)具体的に調整はどの程度進んでいるのでしょうか。

(外務大臣)今検討中ということしか今の段階ではお答えできません。

(問)この問題が提起されてからだいぶ時間が経っていますが、大臣としてはいつ頃までに検討結果を出さなくてはいけないというような感覚はありますか。

(外務大臣)今日の閣僚の話の中でも、出来るだけ早くということで、そのような共通の考えがあります。ですから、出来るだけ急いでということで、今後検討を早めることになろうかと思います。

(問)海賊対策なのですが、給油活動に従事している護衛艦を使うということも実際に検討の中に加わっているのでしょうか。

(外務大臣)検討の細かい内容については今の段階では申し上げられません。

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外務大臣会見記録(平成20年12月22日(月曜日)15時17分~ 於:本省会見室)

冒頭発言-外務省所管予算

(外務大臣)先ほど財務大臣から復活内示を受けました。重要課題推進枠につきましては、総理大臣それから財務大臣に指導力を発揮して頂きまして、またご理解を頂きまして、外務省として必要な事業を認めて頂くことができました。具体的には、地球温暖化、水分野のためのODA、それから農業、食料支援のためのODAが認められた訳です。また、我々として大変力を入れておりますが、外交力強化の観点から、在外公館、更にマンパワーつまり定員等の増強、日本語の普及等を通じた日本理解増進のための事業、それから更に、平和構築分野の人材育成の事業、在外公館の体制強化のための事業、これらが認められました。それから復活重点事項につきましては、外務省として、海外在留邦人、それから日本社会の安全と安心の実現のための査証体制の強化事業、在外公館の体制強化のための大使館の新営工事をお願いしていましたが、こちらについても認められました。以上、重要課題推進枠と復活重要事項が認められた結果、最終的には、外務省所管の平成21年度当初予算総額は6,700億円となりました。外務省と致しましては、引き続き定員機構等の外交実施体制の強化、また本年我が国が指導力を発揮して行われました北海道洞爺湖サミットなどのフォローアップを通じて、戦略的国際協力イニシアティブを推進していく考えです。当然のことですが、認められた予算を、効率的、効果的に活用して、来年度以降も外交力強化に邁進していきたいと思っています。

(問)ODA関連分は総額幾らで、前年比は幾らになりましたでしょうか。

(外務大臣)21年度の外務省分のODA予算額は4,363億円です。20年度ODA予算額は4,407億円でした。

(問)補正予算でODAが1,060億円という数字ですが、これについて大臣はどのような評価をされますか。

(外務大臣)これについては、今年は1,060億円ということですが、補正予算全体が2,241億円で、そのうちの1,060億円がODAです。昨年が765億円ということですから補正の比較では300億円近く、平成20年度補正予算では増えているということで、内容はご承知と思いますが、アフガンの人道復興支援、食料価格高騰問題、気候変動といったものが内容になっています。あるいはASEANの緊急支援拠出金、感染症対策、また、国連の分担金といったものもあります。

(問)麻生総理は兼ねてからODAの充実が必要と指摘していたのですが、今回の予算で大臣は十分な外交力強化というものを果たせるとお考えになりますか。

(外務大臣)非常に今財政状況が厳しいので、そういう中で外務省のODA予算については今回、無償資金協力・技術協力については、今までずっと減少していたのが1.3%の増加になった訳でありまして、そういう意味で、全体が抑制されている中では、良かったと思っています。しかし、我が国はODAを通じて色々な活動を行うことによって地域の発展や安定や平和構築に貢献しなければならない訳で、そういう意味では、減少傾向にある訳ですが、これを増額できるように外務省としては努力していきたいと思います。国全体の財政状況が厳しい中で、増額について努力をしていくということしか今は言えないと思います。

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外交文書公開

(問)外交文書について今日報道されましたが、佐藤総理(当時)が米国政府に対して中国との間で戦争が起こった場合に、核による報復を要請したという文書の公開がありました。これについて大臣は、抑止力に期待するものと受け止めているのでしょうか。

(外務大臣)今日の新聞に一斉に報道されていますが、私は発言の記録を見せてもらいまして、前後の文脈から見ましても、これは戦時における米国による核抑止力の提供に対する期待を一般的に表明したものであると考えています。

(問)現在ですと、北朝鮮の核の問題もありますが、現状で見てもそのような抑止力に期待するというようなスタンスが容認されるのでしょうか。

(外務大臣)それは日米安保の下で、米国が米国の抑止力を持って、我が国の防衛というものをコミットしてくれている訳です。ただ、仮定の質問にお答えするのもどうかと思いますが、いかなる攻撃に対しても対応できる有効な体制を取るということが抑止力ということだと思いますので、核だとか核ではないとか、そういうことではなくて、またどういう状態が起こるかということも分かりませんので、今コミットすることは避けたいと思います。いずれにしても核が使用されるようなことがあってはならないことと考えますが、そもそもこの抑止の目的というのは今申し上げましたように核とか通常兵器というものを問わず、紛争自体発生することを防止することにあるのだと思います。

(問)佐藤総理(当時)は非核三原則などを訴え、ノーベル平和賞を日本人で唯一貰っているのですが、その佐藤総理(当時)が、核の報復という言葉をここで出したことについてはどのようにお考えになりますか。

(外務大臣)核兵器の所有あるいは使用についてはあくまで反対であるということを仰っている訳ですし、三原則はその発言の後だったと思いますが、佐藤元総理のお考えというものは、戦争になったら核抑止力の米国による提供をよろしくお願いします、ということを一般的な形で述べたのだと、私はそう思います。

(問)もし今日本が他の国に攻撃をされてしまう場合、日本が米国に対してそのような核の報復を要求するのでしょうか。

(外務大臣)そのような仮定のご質問にはお答えできません。

(問)公開制度一般について、今回に限った話ではないのですが、原則30年以内に出すというルールになっているにも関わらず、虫食い的に資料が公開されたり、中には公開された資料で一部出ていないものがあったりという現状がありまして、識者などから情報公開に対する姿勢が不十分だという指摘がありますが、その点について大臣はどのようにお考えですか。

(外務大臣)私の認識では全部を公開しなければいけないということにはなっていなかったと思います。ですから、公開する場合には、国民の知る権利というものもあるので、一定のルールの下で公開しているのであって、公開の仕方については公開する方がどういう形でということを決定することができるものと思っています。

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外務大臣会見記録(平成20年12月19日(金曜日)09時37分~ 於:官邸3階エントランスホール)

北朝鮮問題

(問)昨日豪州との2プラス2の中で、スミス外相が、北朝鮮のエネルギー支援について、検証がきちんとまとまらない限りは行う考えがないと仰っていたのですが、それについての受け止めをお願いします。

(外務大臣)正にスミス外相の仰るとおりで、北朝鮮の核の無能力化に対する検証の枠組みができない限りは(エネルギー)支援はできないとしっかりと表明されたものだと思います。

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内政

(問)閣僚懇が大分長引いたようですが、何かありましたでしょうか。

(外務大臣)特に何かもめたということではなくて、こういう時世ですから、経済対策について中川財務大臣等から説明もありましたし、それについての色々な意見交換がありました。

(問)昨日の参議院での野党案(雇用法案)の可決なども話題に上りましたでしょうか。

(外務大臣)そういう話はありませんでした。

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外務大臣会見記録(平成20年12月16日(火曜日)9時20分~ 於:院内閣議室前)

冒頭発言-第2回日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)の開催

(外務大臣)12月18日に日豪の「2+2」外務・防衛閣僚協議を行うことになっています。11月より調整してきましたが、いよいよ東京で行うことになりまして、両国間の安全保障の問題等について話し合うことになります。

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北朝鮮問題

(問)六か国協議が今回不調に終わりまして、米国側がエネルギー支援の見直しを検討しているという報道が出ているのですが、今後の見通しとしてはどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)その報道については承知しています。これから支援の中心的な役割を果たす韓国や米国など各国がよく協議をして、この問題に対応していくことになると思います。日本の方針というのは従来と変わりません。

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日中韓首脳会議

(問)先日の日中韓の初めてのサミットに関して、改めて成果はどのようなものだったのでしょうか。

(外務大臣)総理からもお話がありましたが、他の会合の時に行うのと違って、独立で三か国が集まって色々な問題について話し合ったということで、大変意義のあることだと思います。これは三か国のみならず、アジア全体あるいは世界全体の発展や平和に大きく寄与するもので、私は本当に良かったと思っています。

(問)日中韓サミットで外相レベルでの交流を密に行っていきたいというお話でしたが、どのように行っていくのかについてお聞かせください。

(外務大臣)総理レベルでも緊密に会いましょう、という話でしたが、これは当然のことながら外相レベルでも会っても良いですし電話をしても良いですし、あらゆる機会を通じて同様に緊密に三か国の話し合いを行いましょうということです。

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外務大臣会見記録(平成20年12月12日(金曜日)14時26分~ 於:本省大臣室前)

補給支援特措法

(外務大臣)先程、補給支援特措法を延長する法律が成立しました。これでインド洋上における補給支援が1月以降も継続してできることになり、本当に良かったと思っています。各国からもこの継続に大きな期待がありまして、これで国際社会と共にテロとの闘いを我が国も継続することができる訳です。特に、9・11のテロで日本人の犠牲者も大勢出ました。テロとの闘いというのは日本自身の問題でもある訳で、そのような意味で今後もこの治安・テロ対策の活動とともに、今行っている人道復興支援を「車の両輪」としてこれからもやっていかなければと思っています。

(問)衆議院での再可決という形になったのですが、これについては如何でしょうか。

(外務大臣)これは、何としても成立をさせなければなりません。参議院では残念な形になりましたが、これは規定に則って粛々と行って頂いた事ですので、私はこれは正当なことだと思っています。

(問)アフガニスタン支援は、オバマ新政権になればアフガニスタン重視という流れが強まるように言われていますが、現時点で、日本として今後の給油の先をどのようにお考えになっているのかお聞かせください。

(外務大臣)オバマ政権はまだ誕生していない訳で、今後どのような政策になるか分かりません。ですから、今申し上げることは出来ませんけれども、アフガニスタンに関するテロとの闘いは重要なことですから、米国がどのようになるかは分かりませんが、我々としては引き続いてテロとの闘いを続けていく、補給支援活動と人道復興支援活動を行っていくということには変わりはありません。

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米自動車産業支援法案

(問)米国のビッグスリーの救済法案が結局廃案になったことを受けて、円が更に高騰し88円台を付けているのですが、それについての所感をお願いします。

(外務大臣)米国だけではなく、今日本もそうであるように、実体経済にも大変影響が出ており、そのような意味では各国ともこの対策に力を入れている訳ですが、我が国としては、円高によって、輸出産業を始めとして、また更に経済面に影響が出てくるのではないかということが心配されます。当面は大手の輸出産業が大きな影響を受けますが、その後関連産業や下請け産業にも影響が出てくることが心配されていますので、やはりこの二次補正を始めとして、あるいは来年度本予算を一日も早く成立させることが、今一番大切なことだと思っています。

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外務大臣会見記録(平成20年12月12日(金曜日)9時24分~ 於:院内閣議室前)

北朝鮮問題

(問)六カ国協議ですが、結局は進展のないまま閉幕しました。この結果についてどう受け止めていますか。

(外務大臣)まずは大変残念です。この六者会合で検証の具体的な枠組みがきちんと文書化されることを今回の大きな目的にしていましたが、それができなかったということで、大変残念です。

(問)サンプル採取の文書化について北朝鮮は強硬姿勢を崩しませんでしたが、その背景にはどういった状況があると聞いていますか。

(外務大臣)先方との詳細なやりとりは私は分かりませんが、色々な表現の仕方があろうかと思います。五者側の考えたところと合わなかったということだと思います。はっきりとした北朝鮮の考えというのは私自身は承知しておりません。

(問)大臣は次回以降の協議の見通しについてはどのように見ていらっしゃいますか。

(外務大臣)議長国である中国が中心になって次回の開催については調整をするということです。中国の調整努力をお願いしたいと思いますし、できるだけ早く開催できればと思います。

(問)日朝協議が行われませんでしたが、こちらはどのように今後進展させていくお考えでしょうか。

(外務大臣)拉致の問題は大変重要な問題ですので、1日も早く解決したいと思っています。私たちの方からは、北朝鮮の外交当局に対しては北京の日本大使館を通じて協議の開催を呼び掛けている訳ですが、今のところ先方からはそれに対する返事がないという状況です。

(問)協議の開催を呼び掛けているのですか。

(外務大臣)我々としては、8月の実務者協議での合意に沿って調査のやり直しを早く行って欲しいということは再三言っている訳でありまして、それとともに、北朝鮮側と直接話し合いをするということは重要ですから、そういう意味で、大使館を通じて外交ルートでそのような申し入れをしているところです。

(問)今回の六者協議の結果を踏まえると、事前の米朝協議あるいは米国の見通しが甘かったのではないかという指摘もあると思いますが、どうお考えですか。

(外務大臣)私たちは、再三、非核化に向けての検証の具体的枠組みを文書化することが大事だということで、10月3日にヒル国務次官補から、米朝会談が終わった後に日本に対して報告があった時から、一貫してそのことを申し上げてきた訳です。そういう意味で、米朝間の合意通りにならなかったことは非常に残念ですが、今後もこのために引き続いて努力していくことが大変重要だと思います。

(問)結果として北朝鮮はテロ支援国家の指定が解除されて、それ以外の検証の枠組みは全く進展がなかったことを考えると、やはり甘かったのではないかと思いますが、如何でしょうか。

(外務大臣)私から甘かった等の判断は致しませんが、我々としては、相手があることですから、非常に交渉が難しいということは当初からある程度予想もされていました。引き続いて北朝鮮に対して、次回開催も含めて働き掛けをしていくことが大事だと思います。

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外務大臣会見記録(平成20年12月9日(火曜日)10時46分~ 於:本省会見室)

冒頭発言(1)-日中韓首脳会議への参加について

(外務大臣)12月13日に、九州国立博物館におきまして開催される日中韓首脳会議に、私も参加することに致しました。今回の首脳会議には、中国からは楊潔チ外交部長、韓国から柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官も参加される予定と承知しています。初めて日中韓首脳会議が単独で開催されるということで、大変歴史的な意義があると思っています。外務大臣として、首脳会議の結果を踏まえ、三国間協力を更に推進していきたいと考えます。

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冒頭発言(2)-イエメン共和国における洪水被害に対する緊急無償資金協力について

(外務大臣)10月末の豪雨で甚大な洪水被害を受けたイエメン共和国に対し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連児童基金(ユニセフ)を通じ、合計約80万ドル(約9千万円)の緊急無償資金協力を実施することと致しました。マット・テントの供与、学校の公衆トイレの整備などに向けられます。既に約1800万円分の緊急援助を実施しており、これと併せて総額約100万ドル分の支援を実施することになります。

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日中韓首脳会議

(問)日中韓首脳会議の際に出席されるということですが、首脳会議とは別に、外相レベルでの日中韓の会議を行う予定はあるのでしょうか。

(外務大臣)今のところはセットされておりません。どうなるかは分かりませんが、何れにせよ、首脳会議で話し合われたことを我々外相として実行に移していく事だと思いますので、首脳会議の結果を踏まえて対応したいと思っております。時間があるのかどうかも分かりませんし、今のところそのような話はございません。

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中国海洋調査船の尖閣領海内への進入

(問)中国海洋調査船による尖閣諸島の領海侵犯の件について、昨日も事務次官会見で話がありましたが、その後の経緯と進展があれば伺いたいと思います。

(外務大臣)事実関係についてはご承知と思いますが、8日午前8時10分頃、尖閣諸島付近の海上において、警備中の海上保安庁の巡視船が我が国の領海内において、中国の海洋調査船2隻を発見しました。言うまでもありませんが、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、これは歴史的にも国際的にも疑いのないことであり、外交ルートを通じて中国側に対して早急に抗議の申入れを行い、即時我が国の領海から退去するように繰り返し強く要求致しました。海上保安庁においても、現場の水域で粘り強く退去の要求を行った訳ですが、8日の午後5時22分、同35分に2隻の海上調査船の領海外への出域をそれぞれ確認しました。政府としては引き続き外交ルートを通じて、ハイレベルでの抗議を含めて、中国側に対してこれらの船舶が我が国の領海内を航行していた目的などについて説明を求めております。同時に、このような事態が二度と起こることのないように、現在申入れを行っているところです。

(問)その申入れに対する反応や目的についての説明はまだないということでしょうか。

(外務大臣)まだ先方からは我が方からの要求や申入れに対する回答はありません。

(問)その問題に関して、昨夜中国の外務省報道官が、中国が管轄する海域での正常な活動であり、非難される余地はないという談話を発表しています。これに対しての大臣の受け止め、また日中韓首脳会議を前にして、こうした対立は新たな火種になるという指摘もありますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)中国の外交部の報道官がそのような談話を発表したようでありますが、先ほど申しましたように、尖閣列島が我が国の固有の領土であることは、歴史的にも国際法上にも疑いのないことですので、我々としては中国側に対して引き続いて外交ルートを通じてこの領海内を航行していた目的について説明を求めて、二度とこのような事態が発生しないように申入れをしております。

(問)今度の日中韓首脳会議の中で抗議したりということはありますか。

(外務大臣)日中韓では、色々な機会をとらえて首脳会議を今までも行ってきています。13日の首脳会議に際しては中国の温家宝総理との間で日中首脳会談を行う予定ですが、この会談で本件について麻生総理からしかるべく提起をするということになると思います。

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ナルィシュキン・ロシア大統領府長官の訪日

(問)今日、ロシアのナルィシュキン大統領府長官が大臣と会談される予定ですが、プーチン首相の訪日を控えてどのようなことをお話しされるのでしょうか。

(外務大臣)ナルィシュキン・ロシア大統領府長官は今日と明日の2日間、訪日することになっていまして、滞在中は麻生総理及び私と会談することになっています。ナルィシュキン大統領府長官は「日本におけるロシア文化フェスティバル2008」に出席することになっています。私との会談では、プーチン首相の訪日に向けて、領土問題やその他の二国間の諸問題について話し合う予定です。

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北朝鮮問題

(問)六者会合は現在難しい状況のようですが、大臣ご自身はどのような見通しを持っていらっしゃるのでしょうか。

(外務大臣)(六者会合は)昨日から始まりましたが、前から申し上げていますように、検証の具体的な枠組みをしっかりと文書化する事がこの会議で一番大事だと思っております。昨日の会議では各国から基本的な考え方の表明が行われたと承知していますし、今日引き続いて議長国の中国が各国の立場を踏まえて検証の具体的枠組みに関する議論をどのように進めていったらいいのか、その考え方を提示し、それに基づいて議論が行われていく予定だと聞いています。日本の考え方は何度も申し上げていますし、日本の立場は理解されています。北朝鮮からは、日本について批判的な発言があったと聞いていますが、ここは何としても、非核化、無能力化を一歩前進させるためにも会議での文書化について討論しなければならないと思っています。

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調査捕鯨に対する妨害活動

(問)米国の環境保護団体のシー・シェパードが調査捕鯨の妨害を表明していますが、これについての対応は如何でしょうか。

(外務大臣)以前、日本の調査捕鯨に対するかなり激しい妨害行為があり、負傷者も出たこともありましたので、私たちとしてはこの問題を非常に心配しています。色々な機会を通じて、そのような行為が行われないよう、日本側として表明している訳です。シーシェパードは米国の団体ですが、オーストラリアの外相と会談した時にも、過激な行動は止めてもらうよう私からお話ししました。できるだけ理解してもらって調査がきちんとできるように、機会あるごとに発言しています。

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内政

(問)先週末、麻生政権に対する支持率が各社の世論調査で相当低下したことが判明しましたが、これに対して、閣内の一員として、どのように受け止められているのか、また、急落した背景についてどうお考えになっているのかについてお聞かせください。

(外務大臣)私も内閣の一員として、この支持率の数字については厳しく受け止めていまして、謙虚にこれを受け止めなければいけないと思っております。総理をはじめ、政府は景気対策など一生懸命やっているわけですが、総理もおっしゃっているように、今一番大切なのは政策をしっかり実行していくことであり、私もそのように思っております。私は外交が担当ですから色々な諸課題のある外交に全力で取り組んでいかなければならないと考えています。それからやはり国民の皆さんのご理解を得ることももっと努力する必要があるのではないかと考えています。

(問)支持率低下の要因として、総理の失言であるとか政策が迷走している等指摘されていますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)(総理の)ご発言については私からはコメントは差し控えたいと思います。何のことを指すのかという事もありますし、私もそうですが人間ですので色々あろうかと思います。それはそれと致しまして、やはり今は政府・与党が一丸となって難局に対応するということが一番大切だと思っております。

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外務大臣会見記録(平成20年12月5日(金曜日)9時51分~ 於:院内閣議室前)

冒頭-エスピノサ・メキシコ外務大臣の訪日

(外務大臣)6日から9日にかけて、日・メキシコ修好120周年を記念して、エスピノサ・メキシコ外務大臣が来日します。滞在中は、皇太子殿下と御接見になります。また、同外相は、麻生内閣総理大臣を表敬し、私と外相会談を行う予定です。外相会談では、気候変動問題や来年の日墨交流400周年など双方の関心事項につき意見交換を行い、(メキシコとの)関係を強化していきたいと思っています。

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北朝鮮問題

(問)シンガポールで米国と北朝鮮が六カ国協議の関係で協議を行っていますが、何か進展があったという報告はありましたでしょうか。

(外務大臣)特に報告はありませんが、引き続いて協議を行っていますから、結果を待ちたいと思います。

(問)来週の六カ国協議に向けて、何か期待することはありますか。

(外務大臣)やはり、10月に米朝で合意した検証の具体的枠組みを文書化するということを是非行わなければいけない訳で、今回のシンガポールでの会談でもそういったことについて合意されることを期待しています。

(問)来週の六カ国協議では北朝鮮の代表団も来ますが、日本と北朝鮮の協議も行われると期待されていると思いますが、如何でしょうか。

(外務大臣)私たちとしては、拉致の問題もありますし、大事な問題です。是非拉致被害者の調査のやり直しをということですから、機会があれば(日朝協議を)行いたいと思います。先方の事情もあるでしょうし、その点については何も決まっておりません。

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大臣のクラスター弾に関する条約署名式への出席

(問)クラスター弾の条約に署名されましたけれども、関連の国内法整備を急ぎたいということで、通常国会で行っていくと思いますが、そのスケジュールについてはどうお考えでしょうか。

(外務大臣)早く国会で御審議頂いて、締結したいと思っています。

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外務大臣会見記録(平成20年12月2日(火曜日)10時20分~ 於:成田空港搭乗口前)

冒頭発言 ー 大臣のクラスター弾に関する条約署名式への出席

(外務大臣)この度ノルウェーのオスロでクラスター弾に関する条約に署名することに致しました。クラスター弾はご承知の通り、不発弾によって子供たちや一般の民間の人たちが手足を失ったり負傷するということが多く、我が国政府としても人道上の問題は深刻に受け止めてきた訳ですが、今回署名をして、そして保有・使用を行わないこととしました。大変歴史的な意義のあることだと思っています。

(問)この条約には米国やロシアが参加していませんが、こうした国々についてはどのような働きかけを行うのでしょうか。

(外務大臣)今後米国、中国、ロシアにも働きかけをしていきたいと思います。従来から不発弾や地雷の除去等に対しては、支援をずっと行ってきました。38カ国及び地域に350億円を今まで支援してきましたが、今回更に積極的に約7億円支援するということで、私が現地で署名の時に表明することとしています。

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米次期政権の閣僚指名

(問)この度オバマ次期政権では、ヒラリー・クリントン氏が国務長官に指名され、ゲーツ氏が国防長官に留任するということですが、こうした人事についての受け止めをお願いします。

(外務大臣)私としてはカウンターパートであるヒラリー女史については、一日も早くお会いして日米関係について話し合いをしたいと思っています。ヒラリー女史は今年の1月に日米同盟の重要性について述べておられる訳で、そういう意味でもまた従来通りそれ以上に緊密な関係が築けるのではないかと期待しています。

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タイ情勢

(問)タイで政情不安定な状態が続いており、東アジアサミットの延期についての話も出ているのですが、現状をどのように見ていらっしゃいますか。

(外務大臣)今、タイ政府が検討中だと聞いていまして、どのような結果になるかはまだ連絡が来ておりません。一日も早くあのような事態が収拾されることを期待しております。

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