記者会見

外務大臣会見記録(平成20年10月)


INDEX











外務大臣会見記録(平成20年10月31日(金曜日)10時19分~ 於:本省記者会見室)

北朝鮮問題

(問)北朝鮮が拉致問題の再調査について、中国政府に対してメリットがないということで拒否する考えを伝えて、この北朝鮮の方針は中国政府を通じて日本政府にも伝えられていたという報道がありますが、事実関係は如何でしょうか。

(外務大臣)報道にあるような事実はありません。

(問)現在のところ、拉致問題の再調査について北朝鮮側から何らかの回答はありましたか。

(外務大臣)ありません。しかし、麻生政権としては8月の日朝実務者協議の合意内容を実施するという方針に変わりはないということは、総理の御発言や私の発言においてメッセージとして伝わっていると思いますが、改めてそういうことを申し上げたいと思います。全面的な再調査を早期に開始して頂きたいと思っています。再調査が開始されれば、「行動対行動」、それから「同時行動」の原則に基づいて日本が約束をした措置、すなわち、人的往来の規制の解除、航空チャーター便の規制の解除を実施するという考えに変わりはありません。

(問)報道のような事実はないということですが、北朝鮮が中国にそのようなことを伝えたという事実がないということでしょうか。それとも中国側から日本政府にそういうような話が伝えられていないということでしょうか。

(外務大臣)北朝鮮が中国にどういうことを伝えたかは分かりませんが、中国政府から日本政府に対してそのような話は伝えられていないということです。

(問)政府の中では北朝鮮が拉致問題の進展を見せない場合は、制裁をもっと効果的なものにするべきだという意見もありますが、具体的に何らかの対応が考えられているのでしょうか。

(外務大臣)党や国会でも様々な議論があると思いますが、国会での議論に先立って政府としてコメントすることは差し控えさせて頂きます。

(問)中朝間のやり取りについて、日本政府として確認をするということはお考えですか。

(外務大臣)今のところ、中国と北朝鮮との間でのやり取りについて、確認するつもりはありません。

(問)北朝鮮への制裁についてですが、政府内あるいは与党内で、今行われている日本独自の制裁が、あまり効果がないのではないかという意見もあるようですが、大臣のお考えをお聞かせ下さい。

(外務大臣)引き続き、いわゆる対話と圧力という方針の下で、またそのバランスにも配慮しながら、北朝鮮には具体的な行動を求めていくという考えです。追加の制裁ということに関しては、対北朝鮮措置の在り方については不断の検討を政府内で行っていきたいと思っていますし、行ってきています。いずれにしても、実際の対応については、拉致、核、ミサイルという3つの重要案件に対する北朝鮮側の対応、それから六者会合、更には国連の安保理等における国際社会の動きを十分に踏まえて、総合的に判断することにしています。

(問)六者会合について、若干難航しているようで、開催が遅れるのではないかという見方があるのですが、如何でしょうか。

(外務大臣)現時点では、何ら日程については決まっていません。

(問)今月中にも開かれることはありますか。

(外務大臣)何ら決まっていません。

(問)核の無能力化の当初の期限が今月末ということだったのですが、それは事実上不可能になったのですが、今後の見通しとこのように遅れてしまっていることに対しての大臣のお考えについてお聞かせ下さい。

(外務大臣)大切なのは、米朝間の協議が行われて、これから六者会合を開いて、それを実行に移していくということです。北朝鮮も含めて、実効的な検証の具体的な枠組みに関する文書を採択するということが一番大事なことですので、当面は六者会合を一日も早く開いていくということだと思います。無能力化については、報道によると、北朝鮮側も少しずつ進めていると伺っていますので、これは大変結構なことだと思っています。

目次へ戻る

米軍嘉手納飛行クラブ所属セスナ機の不時着炎上

(問)先般の沖縄での軽飛行機の墜落事故について、日米地位協定が捜査の壁になっているという指摘が兼ねてからありますが、今の日米地位協定は運用改善に止まっている訳ですが、改訂等に関する現在の考え方について教えて下さい。

(外務大臣)今までも色々な問題が米軍との間で起きていた訳ですが、その都度運用改善で問題の解決処理をしてきました。住民の皆様からすれば、日米地位協定の改訂をとお考えになるかもしれませんが、実際上、運用の改善で対応してきています。そもそも日米地位協定は、日本での米軍の配置や活動等についての取り決めがなされており、日米安全保障条約の中でも一番重要な協定です。実際は、ケース・バイ・ケースで、運用の改善で図っていくということで良いのではないかと思っています。

目次へ戻る

緊急経済対策

(問)昨日、麻生総理大臣が緊急経済対策を発表しました。これが、国際社会に与える影響についてどうお考えですか。とりわけ金融サミットやペルーAPEC等の国際会議が控える中で、解散が先送りになるという見通しについて、大臣はどうお考えですか。

(外務大臣)まず、昨日発表された緊急経済対策の国際社会への影響としては、日本はこの前の補正予算に加えて、このような経済対策を出したということに関して、高く評価されると思います。日本は、今回の大きな国際金融問題の中で、日本は比較的打撃が少ないと言われていましたが、色々な指標的で見ると景気がまた後戻りしつつあるという状況の中で、こういう対策を打ち出して、しっかりと国内の経済状況を固めるということは、高く評価されるのではないかと思います。問題は、これを早く野党の皆さんにも協力頂いて、実行に移すということだと思います。

(問)麻生総理大臣の景気対策についてですが、総理はそれに伴って3年後には消費税も上げたいという話を伺いましたが、消費税の引き上げに対する大臣のお考えをお聞かせ下さい。

(外務大臣)経済対策、景気対策を実行するには、財源が当然伴う訳で、その点を無視する訳にはいきません。しっかりとした裏付けを作らなくてはいけないのは当然のことです。直間比率の見直し等を含む歳入改革は、以前から言われてきていることです。いつかはその改革を行わなければならないというのは国民の皆様にもある程度分かって頂いていると思っています。総理大臣が、全治3年と仰っているのと大体合うことになるのかと思っています。ただ、色々な政治情勢や経済の回復状況等が影響してくると思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成20年10月28日(火曜日)8時50分~ 於:院内閣議室前)

インド洋における補給支援活動

(問)今日、参議院の外交防衛委員会で、テロ特措法の審議が行われますが、民主党は、解散が先延ばしになりそうだということで委員会採決を見送る方針ですが、こういった民主党の方針転換についての大臣のご意見と、このまま60日を使ってでも採決をするべきかどうかという意見に分かれているのですが、それに関しても大臣のご意見をお願いします。

(外務大臣)私たち政府は、このインド洋での補給支援活動を大変重要と思っておりますし、これは海外からも高く評価されて、継続を期待されておりますし、そういうことから是非、この法案を一日も早く通して頂きたいと思っています。今日の委員会でも熱心な議論が行われると思いますが、そういうスタンスで答弁していきたいと思っています。60日云々については、私の方はただただ審議をしっかりやるということだけしかお答え出来ません。

(問)日本の国益に関わるということで、このような給油活動は現在民主党と自民党の、与野党の駆け引きの材料というか、いわば政争の具になっているという感もあるのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)政局絡みになるということは大変残念なことです。9・11テロで24名の日本人も亡くなっていますし、テロの撲滅というのは国際社会が協力して行うことですから、そういう意味でも、この法律を通して頂きたいということで、私達としては野党に対しても一日も早い審議促進をお願いしたい、その一点だけです。

目次へ戻る

金融・世界経済に関する首脳会合

(問)第2回金融サミットを日本で開催する方向で検討が進んでいるという報道がありますが、現にそういう検討が進んでいるのでしょうか。

(外務大臣)そういう事実はないと思います。まず11月15日の金融・世界経済に関する首脳会合をしっかりやるということでしょう。ここで成果をあげてもらわなければなりませんから。

(問)11月15日の金融サミットの時に、大統領選で勝った候補と総理が会談するような報道がありますけれども、そのような考え方について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)それは、そういう機会もあるかもしれませんし、ないかもしれませんし、今は何も申し上げられないと思います。

(問)出来れば行った方が良いということでしょうか。

(外務大臣)それは総理がどういうお考えかということだと思います。まだ米国の大統領選も終了している訳ではありませんから、米国の都合もあるでしょうし、総理のお考えもあるでしょうから、私からは何とも申し上げられません。

目次へ戻る

日豪2+2の開催

(問)11月3日に予定されていた日豪2+2が延期されそうとの報道がありますが如何でしょうか。

(外務大臣)そのようです。私たちはそのつもりで準備していましたけれども、先方のご都合だということですので、致し方ないことだと思います。

(問)いつ頃になりそうですか。

(外務大臣)それはまだ分かりません。日程調整はこれからです。

目次へ戻る

米軍嘉手納飛行クラブ所属セスナ機の不時着炎上

(問)沖縄の米軍セスナ機の墜落についてですが、米軍の軍用機ではなくて、飛行機の愛好家でつくるエアロクラブのようなのですが、こういった飛行による墜落が公務中に当たるのか、それとも公務外なのか、どういった認識でしょうか。

(外務大臣)まず、墜落したということは誠に遺憾です。公務証明書は発給されていないと聞いています。捜査を今行っていますので、これ以上のコメントは避けたいと思います。

目次へ戻る

倉田総務副大臣に関する報道

(問)倉田総務副大臣がビザ発給に絡んで働きかけをしたという件で、従来から調査中とお答えになっていましたが、その後調査はどうなりましたか。

(外務大臣)外務省の調査は終わりましたけど、今捜査中ですので、それ以上のコメントは差し控えさせて頂きます。

(問)調査の結果、働きかけをしたという事実はあるのですか。

(外務大臣)それについては申し上げられません。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成20年10月24日(金曜日)9時35分~ 於:院内閣議室前)

冒頭発言-キューバ共和国への緊急無償資金協力

(外務大臣)8月、9月にハリケーンにより甚大な被害を受けたキューバに対して、国際連合世界食糧計画(WFP)を通じて、緊急無償資金協力、約80万ドル(約9千万円)を我が国として提供することとしました。これは食糧中心ですが、前にも緊急物資などで約2千万円、今回が約9千万円ですから、合計で1億1千万円位の援助をすることになりました。

目次へ戻る

北朝鮮問題

(問)北朝鮮をめぐる六ヵ国協議開催の見通しと、日本も早くまとめたいと言っていた合意文書の調整が難航しているのかどうかについてお願いします。

(外務大臣)六者会合の開催日時については、前にも申し上げましたけれども、議長国の中国が中心になって各国と調整を行っている段階で、まだ日程は決まっておりません。それから、合意文書の取りまとめの見通しについては、米朝合意でできたものを基盤として更にしっかりとしたものを作るように我が方からも申し上げておりますし、会合の具体的な日程が決まれば、当然のことながら各国との調整を始めることになると思います。

目次へ戻る

米軍人に対する刑事裁判権の放棄に係る密約

(問)在日米軍の関係ですが、昨日1953年の米国の公文書が公表されまして公務以外の在日米軍人の犯罪については、日本の裁判権を放棄するというような趣旨の密約があったということなのですが、それについての事実関係と、外務省の受け止めをお願いします。

(外務大臣)詳しいことは承知しておりません。後で調べて、機会があれば報告します。

目次へ戻る

倉田総務副大臣に関する報道

(問)倉田総務副大臣の比人の査証をめぐる報道に関する調査に大分時間がかかっているようですが、なぜでしょうか。

(外務大臣)省内で調査中ということで、まだ私のところに報告が来ていないので、今日もう一度確認してみます。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成20年10月21日(火曜日)11時01分~ 於:本省記者会見室)

大臣冒頭発言

(1)日・ASEAN包括的経済連携協定の効力の発生に関する通告

(外務大臣)本日の閣議で、10月22日に日・ASEAN包括的経済連携協定の発効に必要な通告を、ASEAN側に行うことになりました。このため12月1日に同協定が発効する運びとなりました。この協定の発効によって、我が国とASEANとの戦略的な関係の強化に寄与することが期待されます。

(2)ザンビア大統領補欠選挙に対する緊急無償資金協力

(外務大臣)我が国は今月30日に行われるザンビア共和国の大統領補欠選挙の公正かつ円滑な実施を支援するために、緊急無償資金協力を行うことにしました。国連開発計画(UNDP)を通じて、約120万ドル(約1億3,560万円)の緊急無償資金協力の支援の実施をします。民主的な選挙が行われて、ザンビアが南部アフリカ地域安定のために、引き続き重要な役割を果たすことを期待しています。

目次へ戻る

ソマリア沖における海賊対策

(問)国会で議論されたソマリア沖の海賊対策の件で、自衛隊がソマリア沖で貢献するということに対して、大臣は現時点でどうお考えですか。

(外務大臣)基本的には、我が国の船舶等もあるので、どの地域ということに限らず、海賊対策に協力することは必要なことだと思っています。ただ、どこでどういう方法で行ったらいいかということは、これからも議論する必要があると思っています。昨日の委員会の中、あるいは総理の先週の発言の中でも、海賊対策の必要性については皆が同じような認識を持っていると思っています。

(問)自衛隊の武器使用基準の制限等、色々クリアしなくてはいけない点があると思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)どういうケースにどういう行動が行われるのかということは、これから幅広く検討していくべきことだと思っています。

目次へ戻る

国際金融サミットの開催

(問)ブッシュ大統領と麻生首相が、来月米国で開かれる金融サミットに関して、本日10分間電話会談をされたということですが、それについて大臣は何かお聞きになりましたか。

(外務大臣)本日午前9時15分から約10分間、ブッシュ大統領から麻生総理大臣に対して電話があり、世界経済に関する緊急首脳会合についての会談が行われたと聞いています。今、こういうような金融会議を行うことの重要性は共通の認識ですが、いつどこでどういうメンバーで行うかということについては、米国が中心になって調整が行われると思います。

目次へ戻る

倉田総務副大臣に関する報道

(問)先週の金曜日の閣議後のぶら下がりでもお伺いしましたが、倉田副大臣がビザ発給に関して外務省への働きかけをしたとされる問題ですけれども、金曜日の段階では調査中だと仰っていましたが、その調査した結果どのような形になったでしょうか。

(外務大臣)現在も省内で調査中です。まだ結果は出ておりません。

(問)いつ頃をめどに。

(外務大臣)分かりませんが、これは出来るだけ早くやらなければならないと思っています。

目次へ戻る

北朝鮮問題

(問)北朝鮮の核問題で、日本政府は北朝鮮の核放棄の費用を一部負担する方向で調整に入ったという報道がありますが如何でしょうか。

(外務大臣)新聞報道は承知しています。我が国の方針は変わっていない訳で、拉致問題における進展がない限り、北朝鮮に対する経済エネルギー支援には参加しないという方針は変わらないということをまずはっきり申し上げておきます。一方、この核放棄に向けた支援については、これまでもIAEAを通じた貢献を我が国は行っている訳でありますから、今後もどういう形で貢献できるか、関係国とも協議をして取り組んでいきたいと思っております。

(問)そうしますと、抽出したプルトニウムを搬出する作業に協力するという日本政府のこれまでの方針とは矛盾しないということでよろしいのでしょうか。

(外務大臣)どういう形で協力するかということは、今後、各国とも協議をしていくことになっております。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成20年10月17日(金曜日)9時50分~ 於:院内閣議室前)

冒頭発言

(外務大臣)私は今晩から、拡大中東・北アフリカ(BMENA)構想「未来のためのフォーラム」第5回閣僚級会合出席のため、アラブ首長国連邦に出張いたしますが、本件につき閣議で了承されました。それから、グルジア支援国会合が22日からブリュッセルで開かれますが、西村大臣政務官を派遣して、我が国としても、グルジアの復興支援に協力して行くつもりです。

目次へ戻る

北朝鮮問題

(問)北朝鮮を巡る六者会合なんですが、首席代表者会合が近く開かれるという見通しがありますけれども、来週には北京でASEMもあるんですが、開催の見通しについては、どのように考えておられますか。

(外務大臣)ASEM(アジア欧州会合)との関係というのはよく分かりませんが、私達としては、米朝合意ができたわけですから、それを基に1日も早く六者会合を開いて、検証の具体的な枠組みをしっかりと文書化し、非核化が進むように交渉を早く始めなければならないと思っています。議長国は中国ですから、中国を中心に、日程等については相談があると思います。国会の都合によりますので、ASEMに総理がいらっしゃるかどうか分かりませんが、我々としてはとにかく六者会合を早くやりましょう、ということです。

(問)六者会合ですが、開かれるのは11月初旬の米大統領選より前という理解でよろしいでしょうか。

(外務大臣)分かりません。大統領選挙もありますけれども、せっかく合意が出来たのですから、それを更に進めていくことが大切だと思います。

目次へ戻る

倉田総務副大臣に関する報道

(問)今朝の朝日新聞で報じられていた倉田総務副大臣の関係ですが、フィリピン人の入国のビザ発給に関連して、法務省と外務省にも便宜を図るよう働きかけていたという記事が出ているのですが、事実関係は如何でしょうか。

(外務大臣)今事実関係を調査中です。従ってこの場ではお答え出来ません。

(問)それでは、働きかけがあったかどうかだけでもわからないのでしょうか。

(外務大臣)現在調査中、ということだけしかお答え出来ません。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成20年10月14日(火曜日)8時47分~ 於:院内閣議室前)

北朝鮮問題

(問)米国が北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除を行いましたが、改めてその受け止めについてお聞かせ下さい。

(外務大臣)核の問題は、我が国にとって大変重要な課題ですから、今回米国がこのような判断をされたことは、麻生総理も仰ったように、この問題の解決のための一歩前進と思っています。私たちにとり拉致問題が大変重要な課題ですから、この問題にも引き続いて全力で取り組んでいくということが大変大事だと思っています。米国の発表によると、我々が主張したように六者会合の中で、米朝間で合意されたものが正式な文書として今後作られていくということになっています。是非早く六者会合が開催されるように、そして更に前進するようにと思っています。

(問)先週の金曜日の閣議後の記者会見で、大臣は日本にはまだ確認すべき点が幾つか残っていると仰っていましたが、誰に対して何を確認すべきだということなのでしょうか。

(外務大臣)具体的な内容については申し上げられませんが、やはりこの米朝合意が残りの4カ国にとって、納得のできるものでなければならないと考えたので、日本側の意見を申し上げました。

(問)確認すべき点というのは、テロ支援国家指定解除の前に確認できたのでしょうか。あるいは、今後開かれる六カ国協議等で確認していくのでしょうか。

(外務大臣)私たちは、そのような点は米国側が十分に配慮したものと理解しています。

(問)配慮はあったものの、確認のないまま米国側が解除に踏み切ってしまったという理解でよろしいでしょうか。

(外務大臣)細かいやり取りは申し上げられませんが、(米とは)非常に緊密な連絡を取ってきました。事務レベル、大使館を通じてのレベル、私とライス米国務長官のレベル、あるいは総理とブッシュ大統領のレベルというように、緊密な連絡を取って、問題なく今回の米側の発表に至ったものと考えています。

(問)先週土曜日の夜中に、「北」のテロ支援指定国家解除を米国が発表した訳ですが、その日の夕方まで外務省の中でも、まだ解除しないだろうという考え方が支配的でした。しかしながら、右発表の30分くらい前に、突然ブッシュ大統領から総理に電話で連絡があったというやり方についてはどうお考えですか。

(外務大臣)非常に緊密な連絡をずっと取り合ってきました。ですから、私たちとしては事前に、解除を行うということも聞いていました。ただ、時期等についての詳細は申し上げられません。

(問)内容に納得ができなければ、六者会合でも、(日本として)あくまでも反対をし続けるというお考えでよろしいですか。

(外務大臣)内容については、米朝間で今回合意されたものが、六者会合の場において正式な文書としてしっかりと今後取りまとめられることが大事だと思っています。ですから、今後は六者が集まって、この実行が確実になされるようにしていくということが大事だと思っています。

(問)エネルギー支援に対する現在の日本の考え方をお聞かせ下さい。

(外務大臣)拉致問題があるので、私たちとしては、従来通りの方針でいきたいと思っています。

(問)北朝鮮に対する、エネルギー支援以外の支援というのは考えられるのでしょうか。

(外務大臣)私たちは、従来より申し上げている通り拉致問題を解決することを最重要と考えていますので、従来の方針に変わりありません。

目次へ戻る

三浦和義元社長の自殺

(問)ロスで三浦和義元社長が自殺されましたが、連絡はどういう形で入ってきて、どういうように受け止めていらっしゃいますか。

(外務大臣)大変驚いています。私自身は、報道で第一報を知りました。

(問)今後の対応についてどうお考えですか。

(外務大臣)現地の警察が、状況について捜査、調査しているということですから、それを見守るということだと思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成20年10月10日(金曜日)11時11分~ 於:本省記者会見室)

大臣冒頭発言

スペイン王国国王及び同王妃陛下の来日について

(外務大臣)先程の閣議で、スペイン王国の国王及び同王妃陛下の来日について決定しました。スペイン王国のフアン・カルロス1世陛下及び、同王妃陛下が11月9日から11月14日まで我が国を国賓として訪問されます。滞在中、天皇皇后両陛下は、同国王王妃両陛下と御会見になるほか、宮中晩餐を催されます。同国王王妃両陛下の今回の来日は、我が国とスペイン王国との親善関係を一段と深めるものとして、政府は心からこれを歓迎するものです。

目次へ戻る

北朝鮮問題

(問)今日の閣議で、北朝鮮に対する制裁措置延長は決まったのでしょうか。

(外務大臣)10月13日で期限が到来する対北朝鮮制裁を延長しました。北朝鮮が検証の具体的な枠組みに未だ合意していないのみならず、寧辺の核施設の無能力化作業を中断し、そして現状復旧に着手していることや、拉致問題についても今年の8月に合意しました拉致調査のやり直しに未だ着手していないということなど、具体的な行動がないこと等及び北朝鮮を巡る諸般の情勢を総合的に勘案をして、これらの措置の継続が必要と判断しました。

(問)マコーマック米国務省報道官が記者会見で、先日の米朝協議を受けてテロ支援国家指定解除を行う方向で検討していると述べたという報道がありますが、日本としては米国国内法の問題であり、致し方ないのか、それとも拉致問題に進展がない場合には解除しないで欲しいと改めて要請するのか、伺います。

(外務大臣)どちらも大変重要で大きな問題でありまして、私達は、両方の課題に対して、日本政府として強く関心を持ち、強く関わってきている訳ですが、拉致の問題は拉致の問題で、ご承知のとおり日本政府として早く解決するように申し入れておりますし、核の問題は、米国を中心に先日のヒル次官補の訪朝を受けて米国内で検討中です。関係なくありませんけれども、関心を持っているということです。

(問)もし米国がテロ支援国家指定解除に踏み切っても致し方ないということでしょうか。

(外務大臣)検証をしっかり行うということが、核の問題ではとても大事なので、それはしっかり実行してもらうということです。拉致問題も大事ですが、北朝鮮に地理的に近い我が国としては核問題をきちんと解決するということがとても大事になってきます。米国がいつどういう判断をするか分かりませんが、その最終判断をされる前に我が国にも話があろうかと思いますが、その判断が我が国にとっても、ある程度満足できるものであるということであれば、それはそれで良いのではないかと思います。

(問)ヒル米国務次官補が訪朝して協議した内容について、報告を受けたと思うのですが、その内容について大臣はどうお考えですか。

(外務大臣)この問題は、北朝鮮が検証の具体的な枠組みにきちんと合意したことを行うということが一番大事で、ヒル米国務次官補の訪朝した結果については、当然のことながら、米側から私たちは説明を受けている訳です。今申し上げたように検証の枠組みをしっかりと構築して、更に六者会合を前進させるというようなものでなければなりません。その米国の努力というものを我々は高く評価しています。米国には、我が方としては、まだ確認すべき点が残っているという考えを伝えています。昨日、シーファー駐日米国大使にお会いして、私からもそのようなことを伝えました。いずれにしても、一義的には米国国内の法律適用に関わることですが、我々の考えも伝え、更に緊密に連絡をとっていくということです。

(問)テロ支援国家指定を解除することは一義的には米国内の問題ということですが、検証ということであるなら、これは六者会合の枠組みとなると思います。確認すべき点が残っているということを伝えられたということは、現時点でのヒル米国務次官補と北朝鮮側の米朝間による話し合いでは十分ではないというのが日本の立場でしょうか。

(外務大臣)十分とは言えないというよりも、確認しなければいけない点が残っているというのが、正しい言い方だと思います。

(問)無能力化の作業が残っていて、拉致の調査も中断しているという段階で、米国の方から、テロ指定解除をするかもしれないという可能性が出てきた訳ですが、仮に現時点のような状況の中で、米国がテロ支援国家指定を解除した場合、日本が目指している北朝鮮の核廃棄に対して、いわゆる北朝鮮に対する融和政策が本当に核廃棄への前進となると思われますか。

(外務大臣)非常に難しい問題ですが、やはり六者会合を通じて、粘り強く北朝鮮に対して核問題の解決を迫っていくということが必要です。

(問)ヒル米国務次官補の訪朝の結果についての報告の中に、拉致問題が含まれていましたでしょうか。含まれていたとしたら、どういう内容でしょうか。

(外務大臣)拉致問題は含まれていません。核問題の検証の枠組みの関係のことです。

(問)北朝鮮への制裁は4回目ですが、効果がないのではないかという指摘があります。制裁を更に強化するというお考えはありますでしょうか。

(外務大臣)北朝鮮への措置については、拉致、核、ミサイルという懸案に対する北朝鮮の対応や、六者会合や国連安保理における国際社会の動き等を踏まえて、総合的に判断しています。私たちとしては、拉致問題が解決していないので、総合的に判断して、10月13日に制裁を延長するということを決めました。効果がないとは思っていません。効果がないというよりは、解決されていない訳ですから、(制裁の)継続はするということです。

(問)制裁の強化は考えておられますでしょうか。

(外務大臣)今のところは、本日決定した制裁措置を実行するので、更なる制裁の強化は考えていません。

(問)米国の一部報道で、北朝鮮が提出した枠組みに合意をするという動きが米国内で出ているようですが、日本が拉致問題などを抱えていて、六者会合の中でそれを合意することがなかなか難しいというコメントが米政府関係者から出ているようですが、どう思われますか。

(外務大臣)そのような報道があることは承知していません。先程申し上げたように、核の問題の検証の枠組みが合意されることが一番大事です。

(問)六者会合の中で、日本と他の国々の足並みが揃わないということに関してどう思われますでしょうか。

(外務大臣)足並みが揃わないということはありません。

(問)核の問題については、検証の枠組みについてきちんと合意がなされれば、米国によるテロ支援国家指定解除に関して受け入れるという立場を伝えたということでしょうか。

(外務大臣)核問題は重要な問題ですので、検証の枠組みがきちんと(北朝鮮以外の)5カ国が納得し、了承できるものであって、これなら大丈夫だということでなければなりません。一義的には米国の法律の適用の問題ですが、そういうことも考慮しながら、米国内で議論しているのだと思います。

目次へ戻る

インド洋における補給活動

(問)アフガン情勢について、昨日(9日)米国キーティング米軍司令官が大臣に対して補給支援の延長に加えて、更なる貢献を日本に期待したいというお話をされていたのですが、現時点で補給活動の支援に加えてどういう貢献を考えているのか、その検討状況について教えて下さい。

(外務大臣)我々としては、この法案を補給活動が継続できるようにすることが現段階での最大の仕事ですので、他の貢献については申し上げることはできません。現在海上自衛隊が行っている活動については、国際社会でも高く評価されていますし、日本にとってもあの地域は重要な海上航路であり、現在の活動を確実に行うということが重要です。その他の貢献については、現時点では考えていません。

目次へ戻る

内政

(問)政局や国会の状況が日々変わる中で、日中韓首脳会談の開催や大臣の中東訪問等についての外交日程が、見えにくい状況になっているのではないかと思います。政局が外交に影響を与えているように見受けられるのですが、外務大臣としてこの状況をどうお考えになっていますか。

(外務大臣)私は、政局が外交に影響を与えているとは思っていません。政局が流動的で、金融問題も、国内株価の経過も非常に大きな課題ですが、外交は外交、北朝鮮問題は北朝鮮問題でしっかり対応していこうと思っています。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成20年10月7日(火曜日)8時53分~ 於:院内閣議室前)

英国皇太子殿下及びコーンウォール公爵夫人の来日

(外務大臣)今月の27日から31日まで英国の皇太子殿下とコーンウォール公爵夫人が、公賓として我が国を訪問されることが閣議で了承されました。

目次へ戻る

国際金融問題

(問)世界的な金融危機が起こりつつある中で、サルコジ仏大統領が年内に関係国の首脳による会議の開催を要請してきたということなのですが、G8議長国の日本としてはどのような対応をとっていくつもりですか。

(外務大臣)株がこれだけ下がって、世界的な連鎖反応が起こり大変な状況になるという懸念が当然あります。そして、円高になって日本の輸出にブレーキが掛かるという日本経済に対する大きな懸念があるので、(関係国の)首脳同士が話し合うというのは良いことだと思いますが、それは私の直接の担当ではないので、財務大臣なりがご判断することだと思います。国会日程などもあるので、政府としてよく検討することが必要だと思います。

(問)ASEM(アジア欧州会合)の場で、日中韓の金融危機に対応する会議を開催するべきだと李明博韓国大統領が提案していますが、これについてはどうお考えですか。

(外務大臣)以前から日中韓の首脳会議は行うことは3カ国で合意されているので、私も早く開催するべきだと、国連総会で中国の楊外交部長ともお話ししました。首脳同士色々話すことがあると思うので、そういう意味で、年内に開催するのは良いことだと思います。

(問)ASEMの場での日中韓首脳会議の開催について前向きなお考えだということですか。

(外務大臣)ASEMの場で行うかどうかについては、そもそも総理がASEMに行かれるのかどうか等、日程等の問題もあるでしょうし、そういう場で首脳が会えば、そのような話をされるのもいいのではないかと思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成20年10月3日(金曜日)9時17分~ 於:院内閣議室前)

国連スーダン・ミッション(UNMIS)への自衛官の派遣

(外務大臣)閣議では国連スーダン・ミッションへの自衛官派遣が了承されました。国連からの了承を受けて、PKO法に基づいて国連スーダン・ミッションに我が国の自衛官を司令部要員として2名派遣することが了承されたものです。これは、スーダンと我が国との二国間の関係を更に良好にするということはもちろんですが、地域の平和や安定のために大きく資するものと思っています。

(問)スーダンへの派遣についてですが、今回司令部要員ということですが、色々調査を行って、いわゆるPKOに部隊として参加するということも選択肢としてはあるかと思うのですが、今後はどういうように考えていますか。

(外務大臣)これから送る訳ですから、先のことは分かりません。その人たちに、しっかり任務を遂行してもらうということが第一です。そういうところで経験を積んで、また地域の状況等も色々把握すると思います。来年以降の話になると思います。今のところ部隊派遣の話については、全く白紙の状態です。

目次へ戻る

マンモハン・シン・インド首相の訪日

(外務大臣)マンモハン・シン・インド首相を招待することが了承されました。10月21日から23日まで公式実務訪問賓客として我が国に招待することになりました。今回の訪日は、両国間の良好な関係の更なる強化に大きく資するものだと思っています。

目次へ戻る

北朝鮮問題

(問)ヒル米国務次官補が北朝鮮での交渉を延長していますが、米国側が検証パッケージというものを示していると報道されていますけれども、これに対して政府として納得できるものかどうかお考えをお聞かせ下さい。

(外務大臣)米朝間の交渉が終わった段階で、我が国の担当者と結果についての話し合いがあるものと思っていますので、そこでの説明を聞いてから、色々考えなければならないし、それを受けて、今後関係各国と相談しながら対応を決めていくことだと思っています。

目次へ戻る

内政

(問)自民党の国会対策委員会が外務省を含めた各省庁に対して、民主党など野党の資料要求については自民党の国対に報告するようにという指示を出しています。これに対して民主党の方から事前検閲だとか色々批判が出ていますが、これに対して大臣はどうお考えですか。

(外務大臣)私の聞いているところでは、資料要求、資料提出の在り方について、自民党と民主党でルール作りを検討しているようです。その一環として、(民主党の)資料要求を参考にして今後どうあるべきかを検討するために、自民党が教えてもらうということになっているのだと思います。

(問)結果的に、民主党にとっては自分たちの手の内が分かってしまうということで、今後の民主党の活動に大きな影響を与えるという懸念があるのかと思いますが、その点についてどうお考えですか。

(外務大臣)議院内閣制ですから、与党と政府はある意味一体です。小沢氏には100人くらい議員を役所に送り込もうという構想もあるようです。ですから、どういうことを質問されるかということについても、質問への対応を行う訳ですから、あってもいいのではないかと思います。

目次へ戻る

このページのトップへ戻る
前月へ戻る | 次月へ進む | 目次へ戻る