記者会見

外務大臣会見記録(平成20年9月)


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外務大臣会見記録(平成20年9月30日(火曜日)11時00分~ 於:本省会見室)

北朝鮮問題

(問)北朝鮮に対する経済制裁について今朝の自民党の外交関係の部会で半年延長することが了承され、政府としても延長する方針だと思いますが、その確認と延長する理由をお聞かせください。

(外務大臣)10月13日に期限切れとなる訳でありますが、延長するには閣議決定する必要があります。まだ日にちがありますが、延長するかどうかについては北朝鮮が(無能力化の)検証の具体的な枠組みをまだ合意していないのみならず、寧辺の核施設の無能力化作業を中断していて、原状復旧に着手していることや、拉致の問題につきましても、今年8月に合意した調査のやり直しにまだ着手していないなど具体的な行動がないことなど北朝鮮を巡る諸般の情勢を総合的に勘案する必要があると思っています。これから13日までにどうなるかわかりませんから、今後北朝鮮側の対応を見極める必要があると思いますが、現状のままでは13日に期限切れになる措置は延長せざるを得ないことになると考えています。

(問)現状のままなら経済制裁を延長せざるを得ないとお話になりましたが、北朝鮮による拉致の再調査委員会が設置されれば延長しない可能性があるのですか。

(外務大臣)北朝鮮に対する措置というのは、ご承知のとおり、拉致、核、ミサイルといった色々な懸案の解決に向けた具体的な行動をとればいつでも諸般の情勢を総合的に勘案してその一部、または全部を終了するということが可能でありますが、今年8月の日朝実務者協議の合意に従って権限を与えられた調査委員会を(朝鮮側が)立ち上げて 、拉致問題の解決に向けた具体的な行動をとるために、すなわち生存者を発見して、その方たちを帰国させるための拉致被害者に対する全面的な調査を開始するということになった場合、それと同時に日本側としても人的往来の規制解除や航空チャーター便の規制解除を行う方針で、これは何ら変更はございません。

(問)ヒル米国務次官補が、近く北朝鮮を訪問する予定ですが、核の検証手続きが合意できれば、テロ支援国指定解除を行うと改めて表明している訳ですが、米朝の協議の見通しをどのようにご覧になっていますか。また指定国解除された場合、日本政府としてどう対応されるのかということを改めてお聞きします。

(外務大臣)六者会合は膠着している訳ですが、その状態を打開をするためにヒル米国務次官補が訪朝し、検証を巡る問題を中心に六者会合のプロセスを前進させるために努力している訳です。米国務省はヒル米国務次官補がソウル、平壌、北京そして東京に立ち寄るということを発表されたものと承知しています。そして、私が26日に米国のライス国務長官とお会いした時の会談では、両外相間で今後の対応をしっかり議論し、協力していきましょうということだったのですが、無能力化(作業)を再開して検証の具体的枠組みに早期に合意するよう、引き続き北朝鮮に求めていくということを確認しました。従って、今般の訪朝に際しては、ヒル米国務次官補がこうした日米間のやりとりを踏まえて、北朝鮮側に前向きな対応を促すことを日本政府としては期待しています。

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新JICAの発足

(問)明日JICAがジェービックのODA部門を吸収統合して新JICAとして発足します。三位一体のODAができるようになる訳ですが、改めて政府として今後新JICAを使ってどのようにODAを展開していくか御所見をお聞かせ下さい。

(外務大臣)新しい組織になりますが、それぞれ重要な役割を担ってきている訳ですから、新しい体制になってもそれはしっかりと引き継いで頂かなければいけないと思っています。

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インド洋における給油活動

(問)給油支援活動について臨時国会に法案が提出されました。ねじれ国会の中での対応、今後の見通しについてお聞かせ下さい。

(外務大臣)確かに厳しい状況ではないかと思っています。ただテロ問題は、9・11の時に日本人は24人も犠牲になった訳で、外国だけの問題ではありません。私たちはそういうことからテロとの闘いという問題に対して、他の国と同様責任があると考えています。アフガニスタンをテロの温床にしてはならないということで、国際社会と協力して取り組んでいきたいと思います。この補給支援活動は、先日の国連総会でも各国から高く評価されていますし、継続の希望もありました。これは日本としてなし得る最低限の貢献だろうと思います。結果として、欧州や中東の海上輸送路の安全に貢献していて、(日本が輸入している)石油の90%がその海域を通っているということもあって、自動車の輸送も同海域を通って来ることが多いようです。石油ももちろん大事ですが、日本の経済、貿易にとって、安全を確保することが非常に大切なことだと思います。日本の人道復興支援の実績は、米国、英国に続いて多く、両国共に非常に多額の戦費負担を行っている訳です。私達は復興支援と治安対策は、車の両輪だと思っていますので、復興支援では補給はできませんので、この法案を是非通して頂いて継続していきたいと思います。あの地域のタンカーが攻撃されたこともあり、そういう時に日本が補給活動をしていないと、ただ助けを求める訳にもいきません。日本も、できる範囲内で貢献をしていくことが必要だと思います。

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国際金融問題

(問)米国下院議会で金融安定化法案が否決されて、ダウの終わり値が777ドルという市場最大の下げ幅を記録しています。そうした米国発の金融危機についての現状をどうお考えでしょうか。

(外務大臣)米議会の政党間で合意していたものが下院で否決されたというのは、それなりの結果だと私も受け止めています。市場が大きな混乱を起こしていると思います。この法案は、今の金融市場の混乱に対して米国政府が問題解決しようという迅速な取り組みです。米国、世界経済の安定のためにも、今後この法案が再審議されて早期に成立することを期待しています。

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日中韓首脳会談の実施時期

(問)ニューヨークで行われた日中外相会談で、日中韓の首脳会談を年内に行おうということが合意されましたが、右首脳会談の見通しあるいは調整状況をお聞かせ下さい。

(外務大臣)それについては3カ国とも同様に必要性を感じています。それぞれの政局などによって未だ実現していない訳ですが、年内に実現するために現在検討中ということです。

(問)それは衆議院選の開票日前ですか。

(外務大臣)それは分かりませんが、できるだけ早く行いたいと思います。

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外務大臣会見記録(平成20年9月26日(金曜日)日米外相会談終了後)

 26日、当地訪問中の中曽根大臣は、国連本部におけるライス米国務省長官との会談終了後にぶら下がりを行ったところ、概要以下のとおり。

冒頭発言

(外務大臣)ライス長官とは初めて会談したが、非常に良い会談であった。一つは日米同盟について、これは日本外交の機軸であるが、今後もしっかりとした緊密な関係をとって協力していくことを確認した。その上で現在、金融問題等の国際社会の様々な問題、そしてアジア太平洋地域の様々な問題についても同じように連絡を取り合うこととなった。ライス長官は、自分をファーストネームの「コンディ」と呼んでくださいと述べ、いつでも必要な時は電話で連絡をすることとなった。
 北朝鮮に関しては、事態の後退が見られる現状に対する懸念を共有した。五者がしっかりと結束していくことが大事である。拉致問題に関しても、米国はこの問題を非常に重視しており、早期解決を願っているわけであり、本件についても色々協力していくこととなった。
 イラクの航空自衛隊は年内で任務を終了させる方向で検討を開始しているが、ライス長官は、自衛隊の活動を高く評価をしている旨述べていた。また、ライス長官は、補給支援活動についても同様に評価していた。これに対し自分からは、これを継続したいと話をしたところ、ライス長官より、大変難しい事情にあるということはよく分かっているが、大事なことなのでぜひこれを継続できるようにお願いしたいという期待が表明された。
 安保理改革についても、相談していくこととなった。
 パキスタンについては、パキスタンとアフガンの国境地域の難民の問題や、洪水の問題等があるが、これに対する日本の支援として、約400万ドルの緊急無償資金協力を行うという話をした。本件については、今朝のパキスタンに関するフレンズ・グループ会合でも述べたわけであるが、ライス長官よりは、それについては高く評価している旨の発言があった。自分よりは、引き続きパキスタンについては色々な支援をしていくという意向を表明し、この問題についても色々と話し合っていくこととなった。

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質疑応答

(問)アフガニスタンに関し、補給支援活動以外の支援への言及はあったのか。

(外務大臣)ライス長官は補給支援活動を評価していた。

(問)来年のアフガニスタンの大統領選挙に向けた支援についてはどのように考えるか。

(外務大臣)選挙が成功裏に行われるべく、日米で連携してやっていくとのことであろう。

(問)「コンディ」と呼んでくれといわれて、大臣は呼びかけたのか。

(外務大臣)その場では言わなかったが、呼びかけた。私の名前が弘文ですから「ヒロ」と呼んでくださいとこちらからも話した。

(問)自衛隊のアフガン本土への派遣について言及はあったのか。

(外務大臣)なかった。

(問)グルジア情勢に関するやりとりはあったのか。

(外務大臣)本件に関してロシアがかなり強硬な対応を行っていることに対して、懸念を共有した。あまり突っ込んだ話をしたわけではない。

(問)イランの核問題についても懸念しているという話をしたのか。

(外務大臣)自分から核問題を懸念しているということを述べた。

(問)米軍再編は話題となったのか。

(外務大臣)「ロードマップ」に基づき着実に実施していくということである。

(問)会談にはヒル国務次官補が同席していたが発言はあったのか。

(外務大臣)ヒル国務次官補は出席していたが、発言はライス長官が行っていた。

(問)北朝鮮の核問題に関し今後の方針についてやり取りがあったのか。

(外務大臣)後戻りするような状況であるので、それについて両方とも懸念しているということである。五者の結束が重要であるということであった。

(問)北朝鮮の指導者の健康問題についてのやり取りはあったのか。

(外務大臣)なかった。

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外務大臣会見記録(平成20年9月26日(金曜日)日中外相会談終了後)

 26日、当地訪問中の中曽根大臣は、国連本部における楊潔チ中国外交部長との会談終了後にぶら下がりを行ったところ、概要以下のとおり。

冒頭

(外務大臣)中国の楊外交部長とお話致しました。今後、今日は第1回ですけど、これから機会あるごとに意見の交換をしていこうということになりました。
 私どもの方からは、麻生内閣になりましたけれども、日中の関係については従来と基本的は変わりはないと、つまり戦略的互恵との関係でいくということを申し上げたわけであります。
 あとは、北朝鮮の問題等も色々と話し合いをしましたけれども、我々は六者協議がこういう状態で大変残念に思いますが今後も中国側の積極的な協力をお願いしたところです。
 それから食の問題とか色んな話があったのですが、食の問題、食の安全については日本の国民も大変な関心があり心配もしていると、中国側の解決に向けての積極的な努力をお願いしたいと、あちらからも情報提供を始め、真剣にこの問題を考えているので、解決にむけて努力したいという話がありました。とりあえずそういうことです。

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質疑応答

(問)今問題になっているメラミンについてはどのようにお話されたか。

(外務大臣)この問題もですね、餃子もメラミンもそうなんですけど、中国側も重視してまして、そういうことでありまして、解決にむけて努力するということでした。あまり突っ込んだ話にはなりませんでした。

(問)中国側からの謝罪のようなものは?

(外務大臣)謝罪ということはありません。今後も情報をよく日本にもお知らせするということでありました。

(問)捜査の進展具合について。新しい情報について。餃子について。

(外務大臣)特になかったと思います。

(問)国連安保理改革について。

(外務大臣)安保理改革については、胡錦濤主席が福田総理とお会いしたとき、そのときの考え方に変わりはないと、そういうことでありまして、日本が国連の諸問題について積極的な役割を果たしていただくということ、そういう点についてですね、自分たちはそういうことを期待しているという話でありました。

(問)拉致問題については何か言及されましたか。

(外務大臣)拉致は私のほうからですね、先ほどの北朝鮮の問題に関して、拉致と、核と、ミサイルの防衛の問題というのは、包括的に解決するという従来からの日本政府の立場を説明して、不幸な過去から1日も早く日朝の国交が正常化するようにと、そういうことで是非中国の協力をお願いしたいと、そういう話を致しました。

(問)予定よりも若干会談が長引いたみたいですが、その主な理由はどういった議題があったということでしょうか。

(外務大臣)そうですね。色々北京でこの間オリンピックがあったりですね、今度上海(万博)があったりとか、色々このところ行事もありますし、麻生内閣誕生に対する祝辞をいただいたり、初めてですので全般的な色んな話がありました。

(問)昨日の麻生総理の国連演説についての感想はどういったものがありましたか。

(外務大臣)そういったものはありませんでした。ただ、できるだけ首脳間、あるいは外務大臣レベルのこういう対話をできるだけ緊密にやりましょうと、そういう基本的な意見についてお互いに合意したということです。

(問)東シナ海のガス田開発については。

(外務大臣)これについてはよくする考えがあると思うけれども、事務レベルでしっかりやるという話でした。

(問)食の問題について、先に言い出したのは日本側からでしょうか。

(外務大臣)はい、私の方から。大変重要視していると、日本の国民の皆さんも心配しているというところで、こちらからお話しました。

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外務大臣会見記録(平成20年9月25日(木曜日)01時52分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(外務大臣)大変遅い時間になりご迷惑をおかけします。先ほど皇居での認証式、初閣議を行ってきたところです。実質的に只今から外務大臣としての務めをする訳ですが、皆さんのご協力とご指導をお願い申し上げます。また、明日から国連総会に行きます。私自身外交問題については、前から関心を持ち、大変重要な課題であるということで政治活動の大きな仕事として位置づけしており、今回大臣に就任したことを嬉しく思っています。また、責任の重さを感じております。麻生総理の補佐をしっかりとして、日本の外交の進展に努力して参りたいと思います。先ほど官邸で記者会見がありましたので、冒頭の挨拶とさせて頂きます。

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北朝鮮関係

(問)北朝鮮が寧辺の核施設無能力か作業を中断し、監視をしているIAEAに対して、核物質を搬入すると通告すると共にIAEAの要員を現地から退去させると宣言したことに対する、日本政府の対応をお願いします。

(外務大臣)我々が懸念しているのは、寧辺の核施設の復元化の動きです。北朝鮮が核施設の無能力化作業を再開して、そしてIAEAに対して検証の具体的な枠組みに早期に合意して、六者会合プロセスが前進するように引き続き努力したいと思っています。

(問)大臣は先ほどの官邸での記者会見で日朝関係については、包括的に解決を目指したいと仰っていましたが、その中で喫緊の話として拉致の再調査は、福田総理の突然の辞任で頓挫しているというか、北朝鮮側から見れば新政権の状況を見たいとして止まっている訳ですが、今後北朝鮮が動かない場合に日本の方から積極的に北朝鮮側に働き掛けていくのか、それとも北朝鮮が約束したのだから動くのを待つのか、如何でしょうか。

(外務大臣)調査の開始を見合わせるという北朝鮮側からの連絡は、残念に思います。私どもとしては日朝実務者協議における合意を基礎にして拉致問題を含む日朝の問題を前に進めたいと思っています。今後の対応ですが、出来るだけ早く再調査が開始されるように引き続き努力して参りたいと思っています。

(問)具体的に何か働き掛けるのでしょうか。

(外務大臣)今の段階でどういう形で(働き掛けるか)ということは申し上げられません。

(問)麻生政権では、北朝鮮が拉致問題のための再調査の委員会を立ち上げた時点で、日本も制裁を解除するという方針に変わりはないのでしょうか。

(外務大臣)先の日本政府の決定に変更はありません。

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外務大臣に就任して

(問)大臣は政治家として外交に力を入れてこられたと言っておられましたが、文部科学大臣をされ、最近で言えば携帯電話の問題など文教関係に力を入れてこられたと思うのですが、麻生総理からなぜ外相として起用されたとお考えでしょうか。

(外務大臣)総理が私をなぜ外務大臣に指名したかということは、分かりません。想像するに一昨年でしたか、当時麻生総理は外務大臣としてリトアニア等を訪問されました。私もあの地域の、例えば日本・ポーランド友好議員連盟会長、リトアニア友好議員連盟会長、また、ラトビア友好議員連盟会長と三カ国の友好議員連盟会長をしておりまして、当時麻生大臣とリトアニアでご一緒したこともありました。その他私の議員交流活動等をどこかで御覧になっていて、ご指名されたのではないかと思っています。

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日米関係

(問)麻生総理が外相に望むこととして日米同盟の強化ということを仰られましたが、給油活動の延長等、見通しが立たない状況で、総理が挙げられた日米同盟強化にどのように取り組むお積りでしょうか。

(外務大臣)日本外交の一番の基本は、日米安保条約を中心とした日米関係の強化、日米同盟の強化であります。日米関係が良好な状況にありますが、ここは協力関係、同盟関係をしっかりと維持することと、それから日本は日本としてインド洋地域において国際貢献活動をするということは日本の国益に大変資するという訳であり、そういう意味で私たちは今後も活動を継続していきたいと思っています。いずれにしても米国と日本の関係が外交においては、現状ではこれが基本だと思いますので、インド洋の給油活動に限らず世界の平和と安定の構築のために米国としっかりと協力関係を維持していくことが一番の基本であると思っています。

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エチオピアにおける邦人誘拐事件

(問)エチオピアにおいて邦人が誘拐されたのではないかという報道があるのですが、日本政府として、確認していること及び今後の対応についてお聞かせください。

(外務大臣)この件については、「世界の医療団(MDM)」本部がプレスリリースを出しており、「外国人職員2名」が誘拐された旨公表しています。私としては、現時点ではそれ以上お答えできないということです。

(問)外国人2名の中に日本人も含まれることを、日本政府も確認しているということでしょうか。

(外務大臣)いいえ、私が申し上げた「外国人職員2名」ということ以上のことは現時点ではお答えできません。

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補給支援特措法関係

(問)インド洋における給油活動を継続するためのテロ対策特別措置法の改正案を「3分の2」を使って衆議院で可決するかどうかという論点についてですが、麻生総理は3分の2を使うかどうかは民主党の対応を見て検討したいと仰っていましたが、大臣のお考えは如何ですか。

(外務大臣)私もこの地域の活動の重要性、我が国の国民に与える影響、或いは国際社会で果たす日本の役割等々を考えますと、野党の皆さんも本当は大変重要なことであると思っておられるのではないかと個人的には思っています。国会が始まって、野党の皆さんがこの問題にどう対応してくるかは、その時の状況に応じますが、総理の仰る通り、今の時点では3分の2を使うとかどうするかということはお話しできないのではないかと、私もそう考えています。

(問)補給支援の法案の取扱いですが、臨時国会が招集されて近く提出する方向なのか、或いは解散総選挙後の特別国会で提出する予定なのか、提出の時期についてどうお考えですか。

(外務大臣)法案については、来週早々国会に提出できるかと思っています。

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米軍再編

(問)米軍再編の関連で、米軍普天間飛行場の移設に関して、地元と政府の間でワーキングチームが立ち上がる作業が進んでいます。その中でも仲井眞沖縄県知事や地元は、沖合に移動することを求めていますが、それに関するご見解と、また、ワーキングチームの一つには現普天間飛行場の危険性除去の課題も入っていますが、名護市移転の前の普天間飛行場の危険性除去について、大臣のお考えがあればお願いします。

(外務大臣)移転については、米軍のうち8,000人がグァムに移転することになっており、日米同盟の核心である日米安保条約により、安保体制の一環として米軍が日本の沖縄に駐留している訳であります。そういう意味ではこの安保条約の抑止力をしっかりと維持していく、それから地元の負担を軽減するという意味では、米軍再編を確実に予定どおり実施していくことが大事だと思います。

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外務大臣会見記録(平成20年9月24日(水曜日)19時32分~ 於:官邸会見室)

冒頭発言

(外務大臣)この度、外務大臣を拝命致しました。大変、変化の激しいこの国際社会において我が国の国益を実現するために私は外交の責任者として、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。私は国会議員として当選して以来、外交の問題にも一生懸命取り組んできたつもりでございます。国会には各国の議会との友好議員連盟がたくさんありますけれども、数多くの議員連盟にも所属をし、いくつかの議員連盟では会長や副会長や役員を務めてまいりました。そういう経験から申し上げますと、やはり外交というのは、政府間レベルのみならず議員間レベルの交流なども非常に重要だなと感じていた訳でありますけれど、何よりも首脳同士の信頼関係を構築するということが大事だと痛感しております。麻生総理は外務大臣もお務めになられまして各国との幅広い人脈や首脳とのおつきあいもある訳で、そういう意味で総理大臣としてまた外交にも先頭に立って活躍をして頂けると確信しております。私は外務大臣という立場であらゆる機会を通じて私のカウンターパートである各国の外相等との信頼関係を築いて総理の外交の手助けをし、一体となってやっていきたいと思っております。日本の安全と繁栄というものを確保するということが我が国にとって大変重要な国益でございますが、そのため私が日米同盟の強化に努力するということ、それから近隣諸国、韓国や中国等との協力関係の推進に真剣に取り組んでいきたいと思っております。同時に北朝鮮の問題に関しては、拉致問題や核の問題、ミサイルの問題等それを包括的解決に向けて全力を尽くしていきます。更に世界の平和と安定を必要とする我が国としては、国際社会において日本の地位にふさわしい役割を果たすことが大変重要であると思います。特に国際的なテロ対策への参画というものは重要であって補給支援活動の継続のために全力で努力をする決意です。私は明日から総理に同行して、国連総会に出張します。気候変動、アフリカ開発など国際社会の諸問題に我が国が積極的に取り組むことを総理と共に世界に向けて明確に発信をしてまいりたいと思っております。また、米国を始め、中国やその他の国々との外相などと精力的な会談を行うべく、調整中でございます。

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日中関係

(問)国連総会に合わせて日中外相会談も予定されていると伺っています。大臣はこの日中外相会談に向け、中国にどのようなメッセージを発信したいのでしょうか。また今後対中政策についてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)中国の楊潔チ(ヨウ・ケツチ)中国外交部長と会談する予定になっています。日中関係は、近隣であって長い交流の歴史等もあって、我が国にとっても大変重要な課題で、その評価もまた重要であると考えています。そういうところで、幅広い分野における具体的交流を積み重ねて、戦略的互恵関係を推進していきたいと思っています。今回の国連総会のみならず、今後もハイレベルでの緊密な対話を通じ、懸案にも適切に対処していきたいと思っています。

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靖国参拝

(問)近隣諸国との関係を重視されるというお話がありましたが、小泉内閣では小泉総理の靖国参拝によって近隣諸国との関係が悪化した経験があります。大臣は靖国参拝についてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)靖国の参拝については、個々の閣僚の問題で、私も適切に判断していきたいと思っています。私自身、子供の頃は靖国神社の近くに住んでいて、そこの境内で遊んだ記憶があります。終戦直後だったので傷痍軍人の方々がそこでアコーディオンなどを演奏されるなどの大変ご苦労されている姿を目の当たりにしてきました。ですから、二度と戦争は起こしてはならないと子供心に思っていました。戦争でご苦労された英霊に対しては、本当に御霊が安らかなるよう願うということが必要だと思います。しかし、大臣になったので、今後適切に判断していきたいと思っています。

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郵政民営化への対応

(問)大臣は、2005年のいわゆる郵政国会で、民営化法案の参議院採決において、法案否決への大きな流れを作ったとされていますが、麻生内閣で外相という政権のポストに就いての感慨を教えて下さい。

(外務大臣)政治家なので、その時々の課題について、国民の皆様の意向を反映して、また自分の経験や自分の判断で行動するというのが正しいことだと思っています。私自身あの時は、そういう判断で行動しました。今回、麻生総理より外務大臣に拝命されましたので、私自身の持っている各国の色々な人とのパイプを生かして外務大臣として仕事をしていきたいと思っています。恐らく、総理もそういう点をご存じで私を指名したということだと思っています。

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外務大臣会見記録(平成20年9月24日(水曜日)9時54分~ 於:本省会見室)

大臣冒頭発言

(外務大臣)長い期間ではありませんでしたが、一年間ありがとうございました。

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外務大臣在任中の所見と新内閣への期待

(問)今日で福田内閣の外務大臣としては最後の会見になるかもしれませんが、最後にこの一年間外務大臣としてやり残したことは何かありますでしょうか。

(外務大臣)現時点においてまだ、インド洋における補給活動が来年以降も継続できるという確信を得ていないということは、やり残したことです。あるいは、北朝鮮問題で核問題、拉致問題とも停滞を余儀なくされています。この問題は、急いで解決しなくてはいけないけれども、淡々と次の方に引き継いでいきたいと思っています。今停滞していることは非常に残念なことであると思っています。

(問)次(の総理大臣)は麻生総理になろうかと思うのですが、麻生氏は外務大臣も経験されて、麻生外交にどういう期待をしますか。また、安倍総理と麻生外相のコンビで行われた自由と繁栄の弧、価値観外交というものと、福田総理と高村外相が行ってきた共鳴外交と若干ニュアンスの違いもあるかと思うのですが、その辺どのようにお考えですか。

(外務大臣)安倍前首相にしても麻生元外相にしても、子供の頃から外交をずっと見ていますから、体で外交を理解している部分があるので、私はかなり安心して見ていられると思っています。それから、「価値観外交」、「自由と繁栄の弧」というのは手段の問題であり、日本政府は一貫して、世界の国々が自由、民主主義、基本的人権を尊重する国になって欲しいと考えながら外交をずっと行ってきています。もちろんそのような目標を掲げることにはプラス面とマイナス面の両方あるので、総理大臣や外務大臣がその人の個性によって、そういうものを掲げた方のメリットを打ち出していくのかということです。日本は「自由と繁栄の弧」という標語を掲げたからと言って、決して相手国に押し付けるような外交はしません。「主張する外交」にしても、できるだけ静かに浸透していくような外交をしようというのか、あるいは目標を掲げて国民にも分かってもらえるような分かり易い外交を行っていくのかというのは、それぞれ総理や外務大臣の感じ方であり、外交の中身は変わっていないと思います。就任の記者会見の時も、そういうような趣旨のことを申し上げたつもりです。

(問)福田政権は2つの標語、「平和協力国家」と「シナジー外交(共鳴外交)」を掲げて外交交渉をされてきたと思うのですが、この2つの考え方が次の政権にどのような形で引き継がれていくと思いますか。

(外務大臣)私は当然きちんと引き継いで頂けるものだと思っています。各政権によって掲げる標語は変わってきます。例えば、「自由と繁栄の弧」という標語を次の内閣が掲げるかどうかは分かりませんが、麻生氏はこの「共鳴外交」に反対だとは決して仰らないだろうと思います。引き継いで頂けると思いますが、そういう標語を掲げるかどうかというのはまた別の話です。あるいは、「平和協力国家」、これは資源のない島国である日本が生きていくために必要なことなのです。ですから当然引き継いで頂けると思いますが、内閣ができる度に前の標語をどんどん増やしていくのはあまり適当なことではありません。どういう標語を掲げるかというのは新しい内閣でお考えになるのではないかと思います。

(問)この一年間で、日中関係がどういう形で進展したのかについての評価と、また日米関係も様々な困難があったと思うのですが、どう評価をされていますか。

(外務大臣)日中関係については、進展したことは間違いありません。それは安倍総理が(日中間の)氷を砕き、福田内閣の時には逆戻りしないような関係が出来たのではないかと思っています。東シナ海の問題についても一応政治的に暫定的な合意ができるところまで進みました。それは非常に良かったと思います。ただ脆弱なところがあって、それはお互いの国民感情です。外交を二国間で、勝った負けたで捉えると、自ずからして国民感情は悪くなります。非常に近い地域に政治的にも経済的にも大国といえる2つの国が並立しますと、どちらの国が勝ったか負けたかという話になりがちですが、両方が発展する道を選ぶのか、それとも足を引っ張り合う道を選ぶのかで、21世紀が北東アジアの時代になるかならないかという非常に大きな差になります。外交というのはwin-winの関係を目指す訳ですが、ライバルに負けるなと両国民が思って、そういう姿勢でいると相手を負かしたと思ったら国際社会全体の中では両方が負けていたという結果になることもあります。外交とはそういうものなので、両国国民が、二国間の勝ち負けで決めないという大らかな気持ちになることが必要ですが、その段階にはまだまだ至っていないということです。国民間の相互信頼があって、両国関係も盤石になるし、相互信頼のためには相互理解が必要になるし、相互理解のためには相互交流が必要になります。ですから、相互交流というのをもっともっと行っていきましょうということです。今までそれなりの理由があって、日中の国民感情の良くない状態が続いていますが、それをなくすためにお互い交流していくとお互いに良い感情が育っていくと思います。歴史的に見れば、日本と中国の関係は、かつてのドイツとフランス関係ほど悪くないと思います。ですから、色々な努力をしていけば、21世紀は東アジアの時代となるであろうと思っています。日米同盟については、未来永劫とは言いませんが、長い間日米同盟を継続していくことは絶対に必要だと思っています。両方の関係が近ければ近い程、色々問題は出てきます。日米同盟といっても、日米安全保障条約というのは非対称的な双務条約であるため、お互いが相手にどれだけ負担を掛けているのかをお互いが思いやらなくては成立しません。良い関係が続かなくなります。かつて米国で「安保ただ乗り論」というものが出た時に、私はちょうど防衛政務次官でした。その時に独立国の中に外国の基地を置く、どれだけ薗Sが掛かるのかということを言ってきました。他方、同時に若い青年を送って、いざという時には、相手の国のために血を流すというのがどれだけ大変なことなのかということを我々は考えなくてはいけません。お互いがお互いのことを考えないで、自分たちだけが割を食っていると考えていると、同盟は続きにくいと思います。日本が在日米軍駐留経費をたくさん払っているではないかという意見もありますが、そのたくさん払っている経費を入れて日本の全防衛費というのはGDPの1%以内で済んでいる訳です。北東アジアで、必ずしも冷戦構造が完全に崩壊したとは言えない状況の中で、平和と安全を維持できているという大きな観点から見ないといけません。世界の常識からすると非常に少ない防衛費で済んでいる訳です。小さなところだけを見ていると、日本がメリットを受けている全体の構造に悪い影響が出るかもしれません。

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外務大臣会見記録(平成20年9月19日(金曜日)11時05分~ 於:本省会見室)

大臣冒頭発言
補給支援特措法の一部を改正する法律案についての閣議決定

(外務大臣)今日の閣議では、補給支援特措法の一部改正が承認されました。国連を始め各国から評価され、結果的には日本の国益に直結するインド洋での補給活動が、継続できるようにする根拠法ですから、是非次の国会ではこれが成立することを期待しています。

(問)給油法の改正案が閣議決定されたということで、国会の情勢も解散の見通しもあり、野党もまだ反対の姿勢が強いようですが、改めて国民の理解を高めるためにどのようなことをお考えでしょうか。

(外務大臣)アフガニスタンにはアフガニスタン国民から選ばれたカルザイ政権があります。そして約40カ国の軍隊がアフガニスタンで、カルザイ政権の、国内治安維持のお手伝いをしているという状況です。日本は憲法上の問題やアフガニスタンの状況から自衛隊をアフガニスタン国内に送ることは難しいという中で、せめてアフガニスタン国内の治安と密接な関係にあるインド洋が、テロリストの自由の海にならないようにするお手伝いを続けようということです。直接的な海上阻止活動への参加は、日本としては非常に難しい状況にあります。その中で、日本は油や水を補給することによって、現実に海上阻止活動を行ってくれる各国と役割分担をして、インド洋を静かな海にしているということです。その活動が、テロリストが麻薬を運んだり、逆に武器を入れたりすることを阻止すると同時に、結果としては、海賊対策にもなっている訳です。まさに日本の関係する船が3隻程海賊に銃撃されたということがありましたが、いずれも有志連合の船が対応してくれました。そして、そのような現実に起こった事案だけではなくて、そこに有志連合の船があるということが、海賊が出没することを非常に少なくしているという抑止効果がある訳です。インド洋が平和な海であることによって、一番メリットを受けている国は日本であるということです。原油の9割は、そこを経由してタンカーで運ばれている訳です。そういう中で、日本は何もやりません、皆さんやってください、我々はそのメリットだけ受けますということは、国際社会では通用しないと思います。

(問)新内閣の成立を待たずして、福田内閣の下で閣議決定を行った狙いというのはあるのでしょうか。

(外務大臣)それは福田内閣として閣議決定できる状況になったから淡々としたことです。法案を提出する時には、更なる閣議決定を新内閣で行うのではないかと思います。

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外務大臣会見記録(平成20年9月16日(火曜日)11時08分~ 於:本省会見室)

大臣冒頭発言
アフガニスタン邦人誘拐事件の発生を受けたNGO等による安全対策の強化に向けた施策

(外務大臣)アフガニスタンで邦人が誘拐され殺害された事件を受けまして、更に安全対策を強化していこうということで、外務省はアフガニスタン国内において危機管理会社の専門家を招いて「安全対策講習会」を開催します。更に同様の専門家を招いて日本国内でも危険な地域に邦人を派遣しているNGOを対象とした「NGO海外安全セミナー」を開催します。また、「NGO海外安全相談ホットライン」を開設します。これは危険地域で活動するNGOが電話で各地の安全情報等の相談が出来るという新たな安全対策となります。

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国籍不明潜水艦確認事案

(問)高知県沖の不審潜水艦による領海侵犯の事件についてですが、現時点で外務省に何か情報が入っていますか。また林防衛大臣が外交ルートで周辺国に問い合わせたいとのお考えを示していますが、外務省の対応はどのようになりますか。

(外務大臣)少なくとも私は、林防衛大臣からそういうお話は聞いていません。むしろ何らかの根拠を持っている国に問い合わせするということはあり得ますが、今防衛省から聞いている範囲では、どこの国だと判断するような情報は現時点でありませんので、もう少し防衛省と外務省の事務方同士で連絡をさせたいと思います。

(問)今回この事件では、首相に連絡された時間の遅れが指摘されていますが、大臣はこの問題についてどうお考えですか。

(外務大臣)防衛省の話ですから、防衛省にお聞き下さい。但し、どこまで確認した上で知らせるべきかということです。軽々に遅れたとか、適切であったとかと判断する立場にありません。

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インドにおける日本人代理出産

(問)インドでの日本人による代理出産で生まれた子供に、インド政府は渡航許可証を出すべしという裁判所での判断が出て、無国籍状態で渡航許可証を出し、御両親や関係者は日本に連れて帰りたいということですが、これは直接的には法務省のお話だと思いますが、大臣の所見を頂けますか。

(外務大臣)本件は法務省の判断ですが、外務省がお手伝いできることがあれば、お手伝い致します。

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原子力供給国グループ(NSG)におけるインドの扱い

(問)米印原子力協定に対する日本政府の対応に関して、本日、長崎、広島の両市長が政府の対応の説明を求めて、まず官邸に行かれて、その後外務次官にお会いすることになっています。被爆地からは、かなり厳しい抗議の声が挙がっているのですが、大臣としてこのような声にどのようにお答えされますか。

(外務大臣)今日は、日程上私がお会いすることは出来ませんが、米印原子力協定に関する政府の見解は官房長官が既に詳細に述べているところです。まさに日本は唯一の被爆国ですし、被爆地の市長が被爆地の住民のお考えを踏まえて、そういう行動をされるのは良く理解できます。しかし、この問題は、広い意味で、核不拡散の問題でもあります。外交問題は、一つの切り口では判断できません。色々な切り口を総合的に判断して、決めなければいけない話です。まさにNPT(核兵器不拡散条約)で核保有国と認められていない国が、核実験を行った場合、一般的には原子力供給グループがその国に対して、平和利用であっても一切協力しないということでNPT体制が出来ています。ある意味で、2つの考え方があって、確実に平和利用でのみ使うのであれば協力しても良いではないかという考え方と、確実に平和利用にしか使われなくてもそういうことを行うのはけしからんと懲罰的に協力しないという考え方があります。一応、原子力供給グループは、今までは、そういうことをする国に対しては、NPT体制を維持するために、確実に平和利用にしか使用しなくても、懲罰的に供給しないという体制をとっていました。今度は、確実に平和利用に限られるということがIAEAの保障措置で確実視された場合に、インドは例外扱いするかしないかということが問題になっている訳です。インドには核兵器を開発するためのお手伝いは一切しません。原子力開発にしか使われないという完全な措置があった場合に協力しても良いのか、やはり原則的に平和利用にも協力しないかということなのです。一方で、NPT体制を維持するためには懲罰的なことをすることが必要なのかという意見ももちろんあります。広島、長崎の方々がそうお考えになるのは、極めて自然のことだと思います。しかし例えば、これから地球温暖化の問題があります。まさにインドは新興国としてどんどんGDPを伸ばしています。それに対する電力需要を伸ばすために、今まで通り、石油や石炭を大量に使用した場合、それがどれだけ地球温暖化に悪い影響を与えるかというような観点もあります。もちろん、インドという国の重要性もあります。インドというのはまさに建国以来、軍事クーデターもなく民主主義が行われている国で核の管理がきちんと行われている国です。そして、インドがIAEAの保障措置の下に完全に入って、今まで以上にその平和利用にしか使われないことがはっきりするという状オの中で、更にインドに核実験モラトリアムを維持するということを宣言させた上で、日本が世界の国のコンセンサスが得られている中で、日本が唯一の被爆国だからといって、コンセンサスを阻止してまで反対するのかということの判断になると思います。NPT体制を維持するという一点だけを考えれば、例外を認めるべきではないという主張も十分に理解できますが、全体の判断を見ると、私たちが主張したことによって更にインドが核実験モラトリアムを再度宣言することがあって、そういうことを総合的に判断して、私たちはコンセンサスを阻止することまではしませんでした。ただし、引き続いてインドに対してNPT体制に入れ、CTBTを批准せよということを言い続けていきます。長崎、広島という被爆地の方々の気持ちは良く理解できますが、全体的判断で、日本政府はこういう判断をしました。これについては既に町村官房長官が日本政府の考えを詳しく会見で述べておられています。

(問)米国のメディア、ワシントン・ポストだと思いますが、ウラン濃縮等の機微な技術については、インドに流出させないということについて原子力供給グループ内で暗黙の了解があったということが、インドのモラトリアム宣言に加えて、今回の判断の要因になったという報道がありますが、そのような暗黙の了解があったのでしょうか。

(外務大臣)機微なものについては、言及しないことになっています。

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外務大臣会見記録(平成20年9月12日(金曜日)10時51分~ 於:本省会見室)

大臣冒頭発言
(1)補給支援特措法の下での我が国補給支援活動(デンマークとの交換公文)

(外務大臣)本日午後、私と在京デンマーク大使の間でデンマークの艦船に補給をするための交換公文の締結を行います。これで日本がインド洋で補給を支援する対象国は8ヵ国になります。新たにデンマークが海上阻止活動のために艦船を派遣するということは、インド洋を平和の海にするための活動に参加するということで、国際社会にとっても大変良いことでありますが、我が国自身にとっても大変有難いことです。インド洋がテロリストや海賊の自由の海にならない、これは日本にとって死活的に大事なことで、大変有難いことと思っておりますし、日本としてはそのお手伝いをするために、燃料や水を支給するということです。新たにデンマークが参加してくれることは有り難いことだと思っています。

(問)インド洋が、テロリストや海賊などの自由にならないようにとのことですが、日本が提供する燃料は海賊対策に使われるのですか。

(外務大臣)海上阻止活動は、各国の軍艦が、全ての不審な船に対して行うわけです。本来の目的はテロ対策ですが、インド洋に軍艦が常にいて不審船を調べるということは、つまり海賊対策にも有用ということです。

(2)「日メコン交流年2009」のロゴマークとキャッチフレーズの決定

(外務大臣)2009年は日本メコン交流年ということで、「ロゴマーク」と、「ともに未来へ、日本とメコン」というキャッチフレーズが出来ました。これは日本とメコン各国が共通に使うものです。メコンの発展というのはASEANの利益、ASEANの利益は日本の利益だという観点から、ASEANの中で比較的遅れている地域であるメコン地域の発展に力を注いできました。この2009年を交流年として、あらゆる分野で交流を図っていきたいと思っております。

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北朝鮮問題

(問)金正日総書記の健康不安が伝えられていて姿を見せていないという状況で、現状をどのように外務省として受け止めていますか。また日朝及び六者会合等の北朝鮮が加わる会議にどのような影響を及ぼすと思いますか。

(外務大臣)色々な情報がある訳で、日本政府がどういう情報をどこまで持っているかということは、事柄の性質上申し上げられませんが、今色々な情報が来ていることは事実です。非常に強い関心を持って注視していくということです。日本政府としては、どういう状況であっても、核問題の進展や拉致問題を含む日朝関係の進展等に、悪い影響が及ばないように、仮に出るとすれば最小限になるように、状況を注視しつつ色々な対応を考えています。

(問)核問題は、検証を巡って暗礁に乗り上げていますが、また北朝鮮は拉致問題に関して調査委員会の立ち上げを見合わせると言ってきましたが、最高レベルで意思決定出来ないということと何らかの関連があるのでしょうか。

(外務大臣)そういう可能性はありますが、余り断定しないで状況を注視するということです。

(問)北朝鮮が新たにミサイル発射台を作っていると、米国の写真が公開されましたが、それについてはどのようにお考えですか。

(外務大臣)そういうことであれば、大変遺憾なことです。しかし、日本がそれについて、本件もどういう情報をどれだけ持っているかということについては、差し控えたいと思っています。

(問)何らかの意見交換はされているのですか。

(外務大臣)常にしています。日米間、あるいは他の国々としています。

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外務大臣会見記録(平成20年9月11日(木曜日)11時00分~ 於:本省大臣室前)

航空自衛隊によるイラクでの輸送支援

(外務大臣)イラクの航空自衛隊の任務を年内を目途に終了させるという方向で、具体的な検討に入ることとしました。イラク側とも色々と協議をしていますが、イラク国内の状況が改善しつつあり、イラク特措法の目的を達成しつつあると認識しています。イラク側としても来年多国籍軍に対して、どういうことをお願いするかということに関して、各関係国と調整したいと言っていまして、日本側の考え方について理解を示しつつあると考えています。今まで航空自衛隊とODAによる人道復興支援を車の両輪ということで行ってきて、国際社会から大変高い評価を得てきた訳ですが、そろそろ年内に自衛隊の任務を終了させることで具体的な検討に入ろうとしています。今までもイラク、米国、あるいは国連等、各関係国と色々話し合う中で、日本側の考えは伝えてきた訳ですが、更に関係国、国連等と協議してそういう方向を出していきたいと思っているところです。航空自衛隊が引いても、イラクを支援しようという気持ちは全く変わりませんので、更に復興支援等をきちんと行っていきたいと思っています。今日はちょうど9・11から7年目ということですが、国際社会がアフガニスタンに対して一生懸命、更に取組を強化しようとしている中で、日本はインド洋での補給支援活動をしっかり継続していく必要があると考えています。

(問)多国籍軍の駐留の根拠である国連決議が年内で期限切れとなることが、撤退の理由なのでしょうか。また、来年以降新たな地位協定の関係で、支援をイラクに対して改めて行う予定はあるのでしょうか。

(外務大臣)国連決議が期限を迎えるというのも一つのきっかけです。ただそれと同時にまさに法の目的を達成しつつあるということで、イラク側もそれについて理解を示しているということです。我々が考えているとおり、イラク、国際社会の理解を得られて、任務を終了するということになれば、地位協定は必要ないということになります。

(問)特措法の期限が来年7月末だったのを、半年以上早めてここで任務の期限を終了する方向で検討するという大きな理由というのは何でしょうか。

(外務大臣)まさにイラク特措法の目的を達成しつつあり、治安が良くなっているということです。イラク政府の中にスンニー派が復帰して、国内融和が進んでいる、治安が改善しつつあるということです。そして特措法の期限というのは、それまで行わなくてはいけないというものではなく、それまで行っても良いですということです。

(問)今日発表になったという意味合いとは何かあるのでしょうか。

(外務大臣)ずっと協議してきた中で、機が熟したということです。本日、同じ時間に、官房長官、防衛大臣がほぼ同じことを言っていると認識しています。私は外務大臣として発言しています。

(問)今日は「9・11」です。米国はイラクにおける兵力を減らし、アフガニスタンへは増派する動きを見せている。いわゆるテロとの闘いの中で、アフガニスタンへの動きを強めている訳ですが、日本政府が「9・11」というアフガニスタンに関係ある日を選んだということに、そういう意味合いが込められているのでしょうか。

(外務大臣)「9・11」という日だから、今日発表したということではありません。今日たまたま発表することになりましたので、「9・11」、アフガニスタン、インド洋のことも触れさせて頂きました。

(問)日本政府としては、これからインド洋の方に重点を置いていくことになったと考えてよろしいでしょうか。

(外務大臣)先程申し上げたように、イラクから航空自衛隊は撤退させますが、イラクと約束した復興支援等を少なくするということではありません。航空自衛隊の支援、任務を終了させるということで、イラクから手を引いてアフガニスタンにいくという話ではありません。インド洋の補給活動は、これと関係なく行わなくてはならないと日本政府は一貫して言ってきたところです。

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外務大臣会見記録(平成20年9月9日(火曜日)10時52分~ 於:本省会見室)

地球温暖化4大臣会合

(問)閣議前に4大臣会合が開かれましたが、大臣からCOP14に向け、日本がどういった国際戦略をとるか、あるいはそのポイントについて何か御指摘されたことはありますか。

(外務大臣)その会議の内容は公表しないことになっており、官房長官がまとめてお話しになるということでご了解下さい。

(問)会議での発言はさておき、アクラで行われた会合で、日本として途上国の差異化やセクター別アプローチの重要性について主張していたと思うのですが、今後年末にかけて、日本としてどういった主張をしていくつもりですか。

(外務大臣)本格的交渉は来年から始まります。その交渉の基礎となるものに、我が国の主張がどの様に入るかが大切です。セクター別アプローチは勿論、その他諸々大切なことはありますが、これ以上言うと本日の会議での私の主張と密接な関係がありますので、差し控えさせて頂きます。

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北朝鮮問題

(問)今日北朝鮮は建国60周年を迎えますが、大臣から北朝鮮あるいは金正日総書記に向けて何かメッセージはありますか。

(外務大臣)私が直接メッセージを出したことはありませんが、北朝鮮においては、国際社会の一員として、建設的な役割を果たして欲しいということです。具体的に言えば、六者会合で約束したことをきちんと進めて欲しい、あるいは日朝実務者協議で約束したこともきちんと実行して欲しい、そうすれば我が国も約束したことをは実行します、ということです。

(問)核の問題で、北朝鮮はかなり強硬姿勢をとっていますが、核と日朝関係を別のものとして、日朝関係を進めていけるのなら進めていく、という方針に変更はないでしょうか。

(外務大臣)日朝関係と核の関係をバランス良く進めていくことが大切なのですが、現実には、核の問題は見方によっては後退、少なくとも滞っている状態ですが、核と日朝関係から言うと、どちらかと言えば核の問題の方が先に進んでいるという状況ですから、そういう状況の中で、日朝関係が進むのであれば、我が国はそれを歓迎するし、国際社会も歓迎するだろうと思います。現実の問題として進んでいないことは大変残念なことだと思います。

(問)拉致の再調査の問題ですが、昨日久しぶりに行われた福田総理のぶら下がりインタビューで、ご自分の辞任表明が再調査の延期に影響したのではなく、状況的にそうだったのだと説明されていましたが、そうするとこれまで大臣や外務省の幹部の方々が説明されたことと違うという印象を受けるのですが如何でしょうか。

(外務大臣)総理の話を直接聞いていませんのでコメントを差し控えます。私は北朝鮮が日本側が間違いなく約束したことを実行するという心証を得れば、北朝鮮も約束したことを行うだろうと思います。日本の中で色々な意見が出ている中で、本当に実行するのかということが一つあります。そこに総理が辞任されたことが関係しているのかどうかは北朝鮮に訊かないと分かりません。

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北海道洞爺湖サミットなどの評価

(問)この一年間の福田政権の温暖化対策を振り返って、ダボス会議、北海道洞爺湖サミットと大きなイベントがありましたが、大臣ご自身の評価と仮に残したことがあれば何なのかということについて、総括して頂けますでしょうか。

(外務大臣)評価はAです。北海道洞爺湖サミットにおいても、サミットについて最も権威ある評価機関とされているトロント大学G8リサーチグループが、福田総理のリーダーシップについてAと評価しています。これは客観的事実です。それと同じ評価を私自身もしています。日本のセクター別アプローチというは、割と世間に誤解されていました。日本は国別総量目標から逃れるために、それを主張しているのではないかと誤解されている面がありました。まさに国内で色々な議論があった中で、福田総理がリーダーシップを発揮して、国別総量目標をきちんと定めるということをダボスでの会議ではっきり言ったことによって、誤解のほとんどがなくなりました。そして、EUにしても途上国にしても、積極的にセクター別アプローチに耳を傾けるようになりました。これは福田総理のリーダーシップの成果です。米国と発展途上国、中国、ロシアが見合いになって、お互いやらない口実を相手のせいにしている状況の中で、それなりにお互いを説得し、米国を含むG8サミットで、G8の共通目標、少なくとも長期目標として2050年までに(温室効果ガス排出量を)半減することで一致させると共に、中国、インドなどのいわゆるMEMのメンバーに対しても、温暖化は先進国の責任なので自分たちは何も行わないというシナリオから脱却させて、少なくとも途上国における排出量の増加の緩和には自分達も力を注ぐというコンセンサスをとりました。ですから、米国、中国、インドがお互い牽制して進まないという状況から一歩踏み出させたということは、私は高く評価しています。皆さんも福田総理のことを高く評価しているからこそ、突然辞任するということに対して、無責任だと言うのでしょう。

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テロとの闘い

(問)米国がイラクからの部隊を8,000人撤退させて、アフガニスタンに4,500人余り増派するという報道がありますが、日本の対応はどのようになりますか。

(外務大臣)その話については、詳しく聞いていませんが、大きな流れとしては、イラクについては安定化の兆しがあり、今のイラク政府自身も出来るだけ自分たちで治安維持を行いたいと思っています。その一方でアフガニスタンは治安の面で、非常に厳しい状況にある中で、米国はイラクから少しずつ随時軍隊を撤退させ、アフガニスタンに重点を置くという考えを持っているのだろうと感じています。日本としては、米国がアフガニスタンに重点を移すからという訳ではなく、様々な情勢を考えながら、航空自衛隊でお手伝いしている分をいつまで続けるのか、アフガニスタンでどういう活動が出来るのかということについて考えいかなくてはいけません。

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グルジア問題

(問)グルジア問題について、一ヶ月以内のロシア軍撤退が約束されましたが、これを受けて、日露関係にどのような影響があるか教えて下さい。

(外務大臣)一ヶ月後にグルジア領内から撤退するということは大変結構なことだと思います。もっと早く行われれば良かったのですが、一ヶ月後でも約束通りきちんとして欲しいということです。日本政府としてはロシア政府に対して言うべきはきちんと言っている状況です。日露関係全体について、ロシア軍撤退の問題や独立の承認など、まだ色々問題があります。独立承認は、国際社会の建設的プレイヤーとして良くないですよということです。そういった中で、日露関係全体を壊してしまって良いという話ではありません。日露関係は互恵的な関係ですので、そういう関係を維持するということです。

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外務大臣会見記録(平成20年9月5日(金曜日)10時48分~ 於:本省会見室)

北朝鮮問題

(外務大臣)昨夜、北京の「大使館」ルートで、北朝鮮側から、北朝鮮側は日朝実務者協議の合意事項を履行するという立場ではあるが、突然日本で政権交代が行われるようになった日本側の事情に鑑みて、新政権が実務者協議の合意事項の履行についてどういう考え方なのかを見極めるまで調査委員会の立ち上げを差し控えるという連絡がありました。日本側としては、これまで、早く権限ある調査委員会を立ち上げ、秋までには結果を出して欲しいと申し入れ、生存者を発見して帰国に繋がることを期待していた訳ですが、このような連絡があったことは非常に残念なことだと思っています。これからも早期に調査を開始するように引き続き働き掛けていきたいと考えています。

(問)もちろん日本側の事情がある訳ですが、両国で同意したことであって、このような事情だからといって延期をするというのはどうなのでしょうか。

(外務大臣)非常に残念であり、遺憾なことです。

(問)その残念であり、遺憾であり、日本としては早期に調査委員会を立ち上げて欲しいということは、北朝鮮側には伝えてあるのでしょうか。

(外務大臣)昨日より少し前の段階で早く調査を開始して欲しいと伝えたことに対しての北朝鮮側の回答として、このようなことが先方から伝えられたということです。

(問)それは福田総理の辞任表明以降に、昨日までの間に伝えられたということでしょうか。

(外務大臣)そうです。それは何度も行っていることなのです。どのような調査委員会を立ち上げるかということについても、色々な意見交換があった訳です。そのような中で、我々の方から最終的には今週の火曜日に、調査委員会を立ち上げて調査を開始して欲しいと申し入れたことに対して、昨夜、このような回答が来たということです。

(問)北京の北朝鮮大使館から北京の日本大使館へ連絡が来たということでしょうか。

(外務大臣)そうです。普段は「大使館」を主なルートとしています。

(問)今般の北朝鮮の回答については、総理に伝えられたのでしょうか。

(外務大臣)既に伝えられています。

(問)総理はそれに対して何と仰っていたのですか。

(外務大臣)具体的に何と仰っていたか分かりませんが、私と同じように残念な気持ちでしょう。

(問)直接伝えた訳ではないのですか。

(外務大臣)私が直接伝えた訳ではありません。秘書官経由で伝わっていると思います。

(問)もし、福田総理の辞任表明がなければ、調査委員会の立ち上げは行われたと思いますか。

(外務大臣)このような場合どのようになったのかという仮定の質問については、相手が北朝鮮ですから何とも言えませんけれど、断定的に言うことは誰も出来ないと思います。ただ我々は立ち上げて欲しいと思って進めてきましたので残念です。

(問)寧辺(ヨンビョン)の核施設の復旧作業に着手したという情報ですが、関係国との意見交換の中で日本政府としても承知されているということですが、北朝鮮から直接この件について日本側に説明はあったのでしょうか。

(外務大臣)説明があったとは、私は承知していません。北朝鮮が復旧作業に着手するような姿勢を示していることは間違いないでしょう。どこからが復旧作業に着手したと言えるかということは、人によって見方が違うので、復旧作業に着手したということが言えないこともない状況でしょう。

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外務大臣会見記録(平成20年9月2日(火曜日)10時50分~ 於:本省記者会見室)

内政

(外務大臣)閣僚懇談会で、福田総理から昨日の辞任会見についてお話がありました。皆で、行政の停滞は許されないので、最後まで任期を全うして、有終の美を飾ろうということで意見が一致しました。

(問)福田総理の考えをお聞きした感想についてお聞かせ下さい。

(外務大臣)非常に残念であると思います。外交面で言えば、福田総理の下で比較的安定した外交を進めることができたと自負していますので、更に福田総理の下で外交を進めたかったという気持ちがあります。しかし、総理が熟慮した上で決断されたことですから、我々はそれを受け止め、国民にできるだけご迷惑を掛けないように、外交もそうですが全行政分野において停滞なきように、有終の美を飾ろうということを申し合わせたということです。

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北朝鮮問題

(問)北朝鮮の拉致問題について、再調査への影響があると思われますか。また仮に北朝鮮が再調査を開始した場合、日本政府がこのような状態で、制裁解除に関する判断ができると思われますか。

(外務大臣)(日本側が)制裁解除の判断ができないと思えば、北朝鮮は再調査を開始しません。我々は、(北朝鮮に対し)早く権限ある調査委員会を立ち上げて、生存者を発見して帰国させるための調査を開始させろと言っている以上、日本側が約束したことも実行すると言っている訳です。日本側は約束したことをやらないが、北朝鮮側は約束したことを早くやれと言っても彼らが応じないのは当然の話です。

(問)早く調査委員会を立ち上げて欲しいということですが、北朝鮮は、次期内閣に対するスタンスが見えない中で、今後調査委員会の立ち上げを遅らせてくる恐れもあるのではないかと思うのですが如何ですか。

(外務大臣)それを想像しても仕方ありません。北朝鮮側に質問して下さい。我々は約束したことを早く行って下さい、そうすれば我々も約束したことを行いますと言って色々と折衝をしています。

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日中韓首脳会談

(問)日中韓首脳会談に関しては、どのようになりそうですか。

(外務大臣)日中韓首脳会談は、まだ日程も場所も決まっていませんので、更に日程と場所を詰めていくということです。

(問)できれば今月中開催するという予定でしょうか。

(外務大臣)日程的なことに何らかの影響はあるかもしれません。我々は日程が延びたから外交に悪影響を及ぼすとは思いませんが、できなくなったということがないように、一生懸命していきたいと思っています。まだ韓国側からの返事が来ていない段階ですが、韓国との間でも、日程や場所はともかくとして、日中韓首脳会談ができるようにすることが大切だと思っています。

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インド洋における給油活動

(問)総理の辞任により給油延長法案に悪い影響があると思いますか。

(外務大臣)悪い影響が出るとしたら困ったことだと思いますが、悪い影響が出ないように、私の任期中は一生懸命この法律が通るように最大限の努力をしたいと思っています。

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バンコクにおける非常事態宣言の発令

(問)バンコクで、非常事態宣言が出ましたが、今、タイの情勢についてどう分析していますか。

(外務大臣)一日も早く平静に復してもらいたいと思っています。外務省は危険情報を邦人に伝えるようにしています。非常事態宣言はタイの法律に基づいて発令されたものですが、それが余り長く続くことは好ましいことではないとタイ政府自身も思っていると思いますから、出来るだけ早く平静に復して頂ければいいと思っております。

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総理の国連総会への出席

(問)(福田総理辞任の)外交面への影響ですが、過去2年間総理は国連総会に出席していませんが、(本年も)総理の出席は厳しくなるのでしょうか。

(外務大臣)どうでしょうか。どの総理かは別にして、出席しにくくなると断言はできないのではないかと思いますが、分かりません。国会について野党がどういう風に考えるのかも踏まえて検討したいと思います。

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