(外務大臣)世界エイズ、結核、マラリア対策基金に日本は約213億円の拠出致します。この基金は、九州・沖縄サミットで日本がこの三大感染症に対する問題を提起したことを契機に出来たものですが、今までの総額拠出が8.5億ドルになります。
現在、この三大感染症により、毎年500万人程度の人が亡くなっています。こういうことで、今度の北海道・洞爺湖サミットにおいても、三大感染症を含む保健の問題を重要課題のひとつとしておりますので、このようなことにもきっちり取り組んでいきたいと考えております。
(問)先日、ライス米国務長官が訪日し高村大臣と会談されましたが、この会談で台湾の問題は取り上げましたか。取り上げていたら、どのようなことについてお話になったのでしょうか。
(外務大臣)ライス国務長官との間で台湾の問題は取り上げませんでした。何れの方からも言及はありませんでした。
(問)福田総理は、台湾の国連加盟に関する公民投票を巡って、「緊張が高まることは良くない。また、一方的な現状変更に繋がっていくのであれば支持出来ない」と仰り、中国のマスコミも日本のマスコミも、日本政府は台湾の国連加盟についての公民投票を支持出来ないということと理解していますが、高村大臣はこの問題についてどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)福田総理が仰った通りです。正確に言いますと、現状を一方的に変更するものであれば、支持出来ない。この言葉通りで、それ以上でも以下でもありません。
(問)中国の公安当局が、殺虫剤が中国国内で混入した可能性は極めて低いとの見解を出し、これに対して、吉村警察庁長官等がかなり反発しているのですが、今後どのようにしてその辺りを埋めていくのか、どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)必ずしも可能性が低いと言ったことに反発しているのではないのだと思いますが、何れにしても両国の捜査当局の現状における認識は、ぴったり双方で合っているということではないということではあります。しかし、これから更に引き続いて捜査協力を進めて、真相解明をしてもらいたい。それに尽きるのですね。途中色々あっても、終わり良ければ全て良しということにしてもらいたいと、こういうことでございます。
(問)現状では中国公安当局と日本の警察当局の見解にかなりギャップがあるようですが、外務省としては如何でしょうか。
(外務大臣)捜査当局同士が捜査の過程で行っていることに、素人である外務省が、「変えなさい」とかそういう話ではないと思います。捜査当局同士で更に協力を進めて、そして真相を究明するということが何よりも大切だと思います。
(問)事実が違うということは当然有り得べきと思うのですが、言葉として中国側が「日本の態度は遺憾である」と言ったり、警察庁長官が「看過出来ない」と発言する等、言葉のやり取りがあるのですが、これについてはどのようにお考えですか。
(外務大臣)そういうことを乗り越えて、これからきっちり捜査協力をして、そして真相を究明してもらいたいということに尽きるのではないでしょうか。
(問)大臣は兼ねてから、日中の国民感情は非常に脆弱だと指摘されていたのですが、この事件が日中関係全般に与える影響について、どのようにご覧になっていますか。
(外務大臣)食の安全に対する日本国民の関心は凄く高いですし、もともと日中両政府は戦略的互恵関係ということで行おうとしていますが、必ずしも国民感情の分野では日中双方とも脆弱な部分があるということで、悪い影響、国民感情の部分で双方に悪い感情を与えないようにするためにも、双方の食の安全の問題についてきっちりした対応が必要です。これには二つあります。このこと自体に対する真相解明をきっちり行う。そして同時に再発防止、こういうことが起きないように、食品衛生の観点からどういうことをしていくのかという両方が必要です。片方が出来ればもう片方はどうでもよいという話ではないと、こういう風に思います。
(問)中国側は検疫当局の総局長を月曜日に日本に派遣して、高村大臣を含めた4大臣と会談して今回のことを伝えたいというようなことを言っていますが、そういう打診があるのかないのかということと、それに対してどのように対応されるのかお聞かせ下さい。
(外務大臣)総局長が訪日されることは聞いております。どういう内容の話になるかということについては、私は未だ聞いておりません。
(問)この問題が、両国の国民感情が脆弱な中で、胡錦濤国家主席が訪日することについては、どのようにお考えですか。
(外務大臣)基本的には日中双方で、未だ正確な日にちは決まっておりませんが、胡錦濤国家主席に訪日して頂くということになっている訳ですから、出来るだけ良い雰囲気の中でお迎えしたいということは私も考えております。ただ、胡錦濤国家主席をお迎えするのに良い雰囲気であるかどうかということと直接の関係ではなく、日本国民の食の安全に対する関心は凄く高い訳ですから、これはそういうことと絡めなくとも、先ず第一義的に安全・安心部分から、この問題の真相究明と、そしてこれからの対策ということを両輪として、両方きっちり、日中協力して取り組んでいくということです。
(問)訪日の時期については、この問題の進展状況を踏まえて判断するのではないという認識でよいでしょうか。
(外務大臣)そういうことはないと思います。この問題の進展状況で訪日の時期が決まるということはないと思います。
(問)総局長の訪日についてですが、もし来るとなれば中国側は、見方としては、幕引きをしようとしているのではないかという見方も出て来ると思うのですが、そのような見方について、どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)そういう見方、幕引きというのは、真相究明なくして幕引きというのはないだろうと私は思います。中国側も、そういうことを考えているとは思っておりません。
これは食の安全・安心について国民がどう感じるかと、また中国国民もどう感じるかという話ですから、政府間で幕引きするとかしないとか、そういう話ではありません。食の安全・安心を国民にどのように伝えるかについて、そういう方向で、両国政府は協力してこれからも進めていくということに尽きるのではないでしょうか。
(問)一点確認したいのですが、捜査当局同士の協力、真相究明だけで、いわば捜査当局同士の話だけで問題は解決するとお考えなのでしょうか。
(外務大臣)真相究明と食品衛生の観点からも、どういう風にこれから安心出来る体制を作っていくかと、両方あります。だから捜査当局同士の協力、そして真相究明は必要条件でありますが、それだけで十分だということではありません。
(外務大臣)ロシアの大統領選挙について、先方の要請で選挙監視員を3名派遣致します。外務省、総務省、学識経験者から各1名ということです。適正、公正、民主的に行われるように、選挙運動並びに集計・開票について監視をしていくということです。前の国家院選挙についても監視員を派遣しましたが、それなりの成果を挙げてきたと思っております。
(問)週末に、いわゆるロス疑惑の三浦和義さんがサイパンで逮捕されて、今、色々裁判所とやりとりをされているのですが、日本の裁判で無罪が確定した方が、向こうで逮捕されたということについて、どの様にお考えなのか。また、今後の対応について教えて下さい。
(外務大臣)法的には全く問題ないですね。ただ、あまり普通のことではないと思っています。今後の対応といっても、邦人保護の観点から外国で法に従った公正な手続きが行われる様に期待しているということです。
(問)日本の裁判の管轄権が外国に及ばないということは重々承知してお伺いするのですが、日本の精密司法でいったん無罪が出た人間が外国でもう1回裁かれるということについて、どの様にお考えでしょうか。
(外務大臣)ですから、「法的には問題ない。あまり普通のことではない」と、これに尽きるのではないですか。
(問)三浦氏の弁護士が、邦人保護の観点から、一度無罪が確定しているので、これはもう速やかに日本に身柄を引き渡すという考え方もあるだろう、引き渡した方が良いのではないか、という考えを示しているのですが、そういう考えからして、外務省として何かしら対応するということはあるのでしょうか。
(外務大臣)相手方が今、身柄を確保している訳ですから、これを引き渡すかということは相手方の司法、もしくは司法を含む相手側が考えることでしょう。我々が身柄を引き渡せと要求する法的根拠はないでしょう。
(問)明日からライス米国務長官が来日されるんですが、北朝鮮を巡る問題が色々あるのですけれども、どのような対話を期待されますか。
(外務大臣)基本的には日米同盟の強化、そして、そういう中で日米が共に行うべきことについては北朝鮮の話なども当然出てくるでしょうし、日本は今年、サミット主催国でありますから、そういうことについても協力の話があるでしょう。日米同盟の話の中では、先般起こった忌まわしい事件についても触れることになるだろうと思います。
(問)ライス国務長官との会談の関連ですが、今言及されたように沖縄の事件の関連で、大臣、先週、民主党の鳩山幹事長が地位協定改訂をしてはどうかと言った時に、大臣は運用改善には前向きという考えを示されたと思いますが、こうした地位協定の運用改善について具体的にどう考えられますか。
(外務大臣)運用改善と言ってもどの部分かということがありますが、日本政府とすれば運用改善については、常に日米合同委員会で話し合うべきことですし、そういうことは幅広く検討していく積もりです。
(問)週末のフィナンシャル・タイムズで、スーダンをはじめとするPKOに積極参加されるお考えを示されていましたけれども、具体的に今の検討状況についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)私の言った言葉を出来るだけ正確に思い出して言うと、スーダンという固有名詞が出たのは先方の質問で出た訳です。スーダンをはじめ幾つかの候補地があるけれども、スーダンについても検討を始める価値はあると思っていると、こういう風な言い方をしたのです。まだ、検討を始める価値があるという段階です。正式に検討を始めたと言った訳ではございません。一般のPKOについては、日本の国力に比してまだまだ日本は努力する余地があるだろうと申し上げました。重ねて言いますが、スーダンという固有名詞は先方から出た話で、それについて、幾つかの候補地の一つであって、検討する価値はあると私は思っていると言いました。それと共に、日本が考えるとしたらスーダンはダルフールの話ではなくて、南北の話になるでしょうねということを申し上げました。
(問)スーダンのPKOの件ですが、検討を始める価値があるということなんですが、その検討について5月にTICADがあり、サミットがあると。今年は平和協力国家ということなのですが、真剣に検討を始めるというのは、どういう感じなのでしょうか。
(外務大臣)まだ何とも言えないのですが、これはどの段階から検討という言葉を使うのが正確かどうか。例えば日韓のEPA交渉を再開するといっても、予備的なことから色々ある訳ですよね。正式に再開するのは何時からとか。それよりも政府内で検討を始めたというのが何時からかというのは、なかなか難しいことですが、まだ普通に言う「検討を始めた」という段階には入っていない。いざ検討ということになると、具体的にそこで動いて下さる人達を所管する役所が検討を始めたというところが、正に検討という話になるでしょう。予備的に「こんなことはどうですか」というようなこと、予備的にせいぜい話し合っているくらいの感じではないでしょうか。幾つかの候補地を挙げてね。
(問)イージス艦の衝突事故で、昨夜防衛省が12分前に視認したと発表したのですが、このことについて外務大臣としての所見をお願いします。
(外務大臣)私は正確・精密な事実関係を知らないので、コメントを差し控えたいと思います。
(問)東シナ海のガス田協議ですが、次官級協議が終わりましたが、中国側は必ずしも胡錦濤主席の来日までの解決にこだわらない姿勢ですが、今の見通しについては如何でしょうか。日本政府は意外と楽観的な見方をしていたと思いますけれども。
(外務大臣)私がここで楽観的なことを言ったことがありますか。私は責任者ですけれども、楽観的なことを申し上げたことはないと思います。こういう話というのは、やはりお互いにお互いの言っていることの理解はかなり深まっていると。但し、最後の最後の、お互い精一杯譲れると思うところを出し切ってまだ、隔たりがあるのですよ。そこを越えるというのはまた一段と努力がお互いに必要だということです。双方共、早く解決した方が良いということについては一致しています。ただ我々は、日中共にそうだろうと思いますが、福田総理の訪中の時までにとか、胡錦濤主席の訪日の時までにとか、そういうことを必ずしも関連づけていないのです。但し、早ければ早いほど良いと考えていることについては、変わっていないと思います。
(問)統合幕僚長が本日から中国に行かれるんですけれども、現段階での日中の防衛交流をどう御覧になりますか。今後の見通しについてのお考えをお聞かせ下さい。
(外務大臣)防衛交流は、やはり近接する二つの大国がお互いに防衛交流、軍事交流ということをきっちりして、お互いを知っているということが一つの安心感になりますからね。大いに交流をし、透明性を高めるということは、これからも継続的にしていかなければいけない。艦船の相互訪問とか、制服のトップの相互訪問とか、そういうことを積み重ねていくことが必要だし、そういう中でお互いに、お互いにというか、日本はかなり透明性が高いと思いますけれども、中国側が軍事力の透明性を更に高めてもらえれば有り難いと思 っています。
(外務大臣)先週沖縄の事件について当面の措置を今週中にまとめると申し上げましたが、この再発防止策は継続的に行っていかなければならないものなのですが、当面の措置について最終調整段階に入っているので、本日の午後には正式に発表出来ると思います。今とりあえず要点のみ、このような方向で調整しているということを申し上げます。
(1)基地外居住については、本年1月31日現在、沖縄県には4万4963人の米軍関係者がおり、そのうち、1万748人が基地外に住んでいることが判明したので発表致します。米側は、各市町村に居住する米軍人の人数に関する情報を年に1度提供することになりました。こうした情報は得られ次第、自治体と共有して参ります。また、基地外居住の基準・方針についても日米で再検討を行うことになりました。
(2)また、防犯カメラの設置についてですが、これは地元自治体に設置の意向がある場合には積極的に対応していきたいと思っております。
(3)沖縄県及び地元自治体の要望を踏まえつつ、地元警察が米側の協力を得て共同パトロールを行えるように、日米間で警察権限の行使等について必要な調整を始めるということです。
(4)それから外出制限措置であるリバティー・カード制度については、様々な観点から再検討を行うということです。
(5)それから米軍教育プログラムが沖縄の視点が反映された内容となるように、日本側として協力していくということです。
更に再発防止のためには継続的な取り組みが必要であり、日米は米軍タスクフォースによる調査結果や地元の意見等を踏まえて、日米合同委員会等で協議していきます。概ねこういうことになると思いますが、最終調整中ですので、本日午後の早い時点で、こういう風にフィックスされたかどうかということが発表出来ると思います。
(問)基地外に住む米兵の基準の厳格化等も検討されていると思うのですが、これは地位協定の運用の改善が必要になるとお考えでしょうか。
(外務大臣)厳格化そのものは、米国が自らの問題として行うものです。それに対して我が方として意見を申し述べていき、米国が自らの大きな問題として、「あなたは外に住んではいけませんよ。住んでいいですよ」と、そういうことを行っていくということです。そういう基準・方針について再点検を行うということで、日本からすればお願いする、米側としては行うということです。
(問)再発防止策で、米兵による事件等が減らされるとお考えでしょうか。
(外務大臣)再発防止策は、それなりの効果はあると思います。これで実際なくなるということは、日本の警察等あらゆるところが努力しても日本の犯罪がなくなるということは未来永劫追い求めることですよね。これにはそれなりの効果はあると思います。但し、これでなくなりますか。「なくなります」とそこまでは誰も言えないでしょう。ですから、こういう再発防止策については継続的な努力が必要だ、これからも必要だということを申し上げておきます。
当面の対策として、先ず出来ることから出し、更に取り組んでいくということです。
(問)基地外居住している方々が年に1回報告することになったというのは、今後ルール化されるということなのでしょうか。
(外務大臣)そういう風に、今最終調整をしています。
(問)これは、例えば日米合同委員会合意という形で今後まとめられるのでしょうか。
(外務大臣)どういう形かどうかは分かりませんが、今正に最終調整して、昼にも発表出来るということは、その最終調整が終わるということです。それを更に合同委員会の合意事項としてきっちりするかというのは形式の問題ですから、それはともかくとして、合意は数時間の内に出るというということです。
(問)そもそも発想として、基地外居住者を減らそうとか、大きく制限をかけようという発想なのでしょうか。
(外務大臣)的確な審査をしてもらいたいということです。
(問)昨日、米国のヒル国務次官補が六者会合について、早期の再開は難しいと率直に仰っていたかと思うのですが、そのネックになっている部分と今後のスケジュールの見通しについて、大臣の聞いていることと見解をお聞かせ下さい。
(外務大臣)完全かつ正確な申告が為されておりませんので、それが為されるように連携して努力していくということです。これが為されないと六者会合を行ってもどれだけ意味があるのかという話で、それを踏まえて行いたいと思いますので、いつ出来るかということは未確定だと聞いています。
(問)本日から日中次官級協議が北京で行われると思うのですが、東シナ海のガス田の問題ですが、春の胡錦濤国家主席の訪日の前にも地均しを、ある程度の方向性を出してから訪日して頂くとの見通しもありますが、今回の協議の見通しについてはどのように見ていますか。
(外務大臣)これはそう簡単ではないと、そう簡単ではないが日中の首脳間で、この問題が解決出来れば双方にとって利益である、解決出来なければ双方にとって不利益であるから何とか解決しようという強い意志を共有していますので、その強い意志によって最後の難しいところが乗り越えられるかどうかということだと思います。楽観も悲観もしないで進めていきたいと思います。
(問)福田総理が週末に韓国を訪問し、初めて次期大統領と会談しますが、利害関係もあると思いますが、3年間滞っているFTA交渉を再開することで合意出来るのでしょうか。
(外務大臣)お互いのことですから直ちにどうかは分かりませんが、方向性とすればそういう方向を私とすれば望んでいるということです。その時点でどうなるかということは分かりません。
(外務大臣)パキスタンの選挙ですが、我が国から選挙監視団を派遣している訳ですが、川上監視団長から比較的平穏に行われたという一報が入っています。勿論、政党間の争いで死者が出たというようなこともあるのですが、全体としては大混乱はなく、比較的平穏に行われました。まだ、集計結果も出ておりませんので、全体が公正だったと断定することはできませんけれども、ブットー首相暗殺等大変な混乱を乗り越えて、比較的平穏に選挙が実施されたことは一定の進展であったと考えております。
テロとの闘いの、正に前線国家としての役割を果たして頂かなければいけないし、民主化も進展していかなければいけないということで、我が国としてはその為の支援をこれからも続けていきたいと考えているところです。
(問)直接所管ではないのですが、本日未明に千葉県沖でイージス艦と漁船の衝突事故がありました。それについて大臣はどの様なことをお考えでしょうか。
(外務大臣)極めて残念な事故です。今、防衛省並びに海上保安庁が救助、捜索を行っているところですが、いずれにしても何故こういうことが起こったのか、原因調査をきっちりして、二度とこういうことがないようにしてもらいたいと思っています。
(問)中国で加工されたしめ鯖から、ジクロルボスが検出されたということですが、それについて何か対応をお考えでしょうか。
(外務大臣)これは食の安全の問題ですから、日本にとっては食の安全の問題がまた出たかという話ですし、中国からすれば日本の消費者の信頼を失うということは、これも中国側からしても由々しきことでしょうから、今までのギョウザの問題と同様に、それぞれきっちり対応していく、そして協力すべきところは協力して、早くギョウザの問題も出来るだけ早く解決と言いますか、結論が出るように、精力的に調査、或いは捜査を進めていく必要があると思っています。
(問)3月下旬にTICADの閣僚級準備会議がガボンで開催されますが、大臣は参加されるご予定ですか。
(外務大臣)国会が許してくれれば、行きたいとは思っています。
(問)コソボですが、欧米の国家承認の動きがかなり早いテンポで進んでいますけれども、日本の対応、承認に向けての動きはどのような感じでしょうか。
(外務大臣)要するに、国家承認要件を日本国政府として確認するか、しないかということです。国家承認要件というのは、ひとつは正統政府がそこで実効支配をきっちり確立しているかどうか、実効支配を確立している正統政府と言えるかどうかということと、その政府が国際法を遵守する意思と能力を持っているかということについて、日本政府としてきっちり判断をする。それが承認するかどうかということで、これに尽きます。徒に延ばす積もりもありませんし、拙速に行う積もりもないということです。
(問)東シナ海のガス田に関する日中協議の現状についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)現状は、何度も繰り返すようですが、両国の首脳共これは解決しなければいけないと思っているのです。かなり立場の差はあった訳ですが、それが相当の相互理解が進んでいるという状況で、更に越えなければいけない山があると思っております。
(外務大臣)沖縄で起きた忌まわしい事件についてですが、再発防止策の取り纏めを、完璧なものは時間がかかりますが、それなりのものを来週中にも出せるよう全力を尽くしていきたいと思っています。
その基本的考え方ですが、今まで何度も再発防止ということを行ってきたにも拘わらず、こういうことが起きたということで、まず真に実効性があるものを目指すということです。
そして、例えば今度の事件について、比較的年長で基地外に住んでいる人がこういう事件を起こしたということに鑑みて、今までの再発防止策は基地内に住んでいる若い人達を対象にしていたので、広範で、より包括的なものを目指します。
この綱紀粛正、再発防止というのは、本来的には米軍が主体的に行うものですが、我が国民が被害を被るということですから、日本側としても、今までもそれなりに協議をしてきた積もりですが、今まで以上により緊密に行っていきたいということです。
そして、ライト司令官が昨日、再発防止に向けたタスク・フォースを作ると仰ったことを歓迎致します。このタスク・フォースは恐らく来週以降、沖縄を訪れることになると思います。その時には日本側の政府関係者、或いは自治体関係者が作っているワーキング・チームがありますので、そこと協議が出来るように外務省として調整をしていきたいということです。
とりあえず来週中に、最終的なものではありませんけれども、一応の取り纏めを目指していき、その基本的考え方を示したいと思います。
(問)国会でも、基地の外に住んでいる兵士が事件を起こしたということが、かなり取り上げられていましたが、具体的に基地の外に住んでいる兵士に対する再発防止策というのは、どんなことが考えられるのでしょうか。
(外務大臣)具体的にはこれからです。これは米軍側が特別権力関係に基づいて行うことですが、「あなたはまだ基地の外に住む資格はありませんよ」といった仕分けというのは一つ考えられると思いますし、それ以外にも、「基地の外に住んでいる以上はこういうことを守りなさい」といったことについても、具体的には正に米軍の綱紀粛正の話ですが、我が方としてもその話を聞いて、「それで大丈夫なのかな」と疑問を呈していくとか、「そこまで考えるならここまでやって下さい」とか、色々あります。
(問)取り纏めというのは、本来は米軍が主体になって行うことですが、日本側も積極的に関与して、双方で作り上げていくということですか。
(外務大臣)そうですね。本来は米側が作るものも、それから日本側が行うものもあるかもしれません。アイディアは色々出て、国会でも提起されていますが、そういうアイディアも排除しないで、全てを検討していきたいということです。
(問)今日の予算委員会でその点について、日米合同委員会で基地外米軍について協議していく考えを示されていましたが如何ですか。
(外務大臣)日米合同委員会も含めて、あらゆる場でということを言ったので、別に、何も日米合同委員会を開かなければ出来ないという話ではありません。
(問)ワーキング・チームとタスク・フォースが来週以降に沖縄で行う調整ではその辺りも議題に入るのでしょうか。
(外務大臣)ですから、我が方のワーキング・チームと向こうから来るタスク・フォースとの間で、当然話し合いをするということの調整を外務省でやっていきたいということです。
(問)精神的なソフト面の対応とは別に、ハード面の、何か機材を使うといったことはありませんか。
(外務大臣)例えば、防犯カメラといったアイディアも出ていますので、これも自治体によって「実施したい」という所と、「ちょっと勘弁してくれ」という所もあるので、そういうことも考えながら、政府が押し付ける訳にはいかない話ですから、そういったことも含めて検討していきたいと思います。
(問)取り纏めを急がれる理由として、いわゆる普天間移設のプロセスへの影響などは、やはりお考えなのでしょうか。例えば、環境影響調査を今月中に実施したいとか。
(外務大臣)それとは直接関係ないでしょう。急いだ方が良いでしょう。そういうことと関係なく、急いだ方が良くないですか。だから、完璧なものを来週中に打ち出せるとは私も思っていませんけれども、何年もかかって完璧なものを作るよりも、ともかく急いで行って、その上で更に完全なものにしていくという感じを持っています。
(問)ワーキング・チームとは、外務省の沖縄事務所の事務局をやっている既存のワーキング・チームでしょうか。
(外務大臣)ワーキング・チームとは、外務省の沖縄事務所の事務局をやっている既存のワーキング・チームでしょうか。
(問)タスク・フォース側の構成メンバーというのは、どういったイメージなのでしょうか。
(外務大臣)イメージといっても、各軍が入るのでしょうか。これは米軍が作るものですから、もう既にライト司令官が着手していると思います。
(問)22日は、島根県が制定した竹島の日3回目を迎えるのですが、この竹島の日3回目を迎えるにあたって、外務省としてはこれをどのように捉えているか、また、地元の方では色々な活動をしているようですが、地元の方では国があまり動いてくれていないという不満もあるようですが、その点、地元との連携も踏まえて、今後どのように対処していくのかお聞かせ下さい。
(外務大臣)地方公共団体が自らお決めになって行うことですが、それについて国が特にコメントをすることはありませんが、竹島に対する我が国の立場は一貫している訳で、これは粘り強く、何が目的を達成するために効果的であるかを考えながら粘り強く対応していきたいと思います。
(問)来週18日から、ヒル米国務次官補が中国、韓国、日本には20日に来る訳ですが、どういう目的で来るのか、お聞きになっているでしょうか。
(外務大臣)具体的には聞いておりませんが、六者会合をどう進展させるかという観点から、現状、これからどう対応するかということについて、当然お話があるのではないかと思います。
(問)それで何かが進展しそうな気配はあるでしょうか。
(外務大臣)気配は分かりません。進展することを望みますが、そういう気配があるかどうかということは、何とも言えません。
(問)ギョウザの問題ですが、中国側は向こうの方に原因はないと言っており、ますます混迷が深まっていますが、大臣は来週、唐家セン国務委員とお会いになりますが、この問題についてはどのようなことをお話になりますか。
(外務大臣)必ずしも国務委員がギョウザのことで来る訳ではありませんが、私と
国務委員は非常に長い付き合いですから、また、会談、食事の時間は相当長く取ってありますから、この問題が出ないということは有り得ないと思います。向こうから出るかもしれないし、私から出すかもしれないし、どちらからか必ず話し合いが行われると思います。これは所謂形式的な話というよりも、出るとすれば相当個人的見解も含めて突っ込んだ話し合いになると思います。
(問)中国の外務報道官が日中共同で検疫当局、警察当局の調査チームを作って事件の解明にあたりたいと言っていますが、それについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)検疫当局でもかなりの協力は既に行われている訳であり、捜査当局同士でも、情報の交換等行われていると承知しておりますが、かなり突っ込んで共同で対処したいとは具体的にどういうことなのか、記者会見で言ったことは承知していますが、未だ具体的な申し出はありませんので、どういうことを考えておられるのか聞いた上で対応したいと考えております。私はそういう具体的なことを決めて、より強い協力をしていくのは有意義なことだと思いますので、しっかり対応していきたいと思います。
(問)国務委員の訪日は、胡錦濤国家主席訪日の下準備ということですが、改めて、胡錦濤国家主席の訪日を控えて、ギョウザ問題をどういう形で解決されるのかということをお伺いしたいのですが。
(外務大臣)胡錦濤国家主席の訪日を控えてということではなく、これは日本側からすれば国民の食の安全の問題であり、中国側からすれば、中国側が日本側から信頼されないということは輸出がストップするということですので、両方にとって共通の利益の問題であり、この問題については両方が協力して、そして解決するということです。そういうこともあるかも知れませんが、胡錦濤国家主席が来るからということは、そこは主眼ではなく、この問題はこの問題として解決しなくてはならないと、こういう風に思います。
(問)中学生暴行事件に関連することですが、今回の事件の被疑者ですが、米軍基地外に居住地を置いているということで、軍の規律がなかなか及ばないという実態があるのですが、米軍基地外に住んでいる米兵の場合、住民登録の義務がないということもあって、地元自治体が何人どこに住んでいるかという実態をなかなか把握しきれない状況になっています。こういうことから再発防止がなかなか難しいということもあるようですが、こういった実態については、どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)今、米軍側に基地外に何人住んでいるかということ等について問い合わせ中です。何人ということははっきり分かっていないのですが、貸家の賃貸契約をしたのが何件というのは大体分かっていると承知していますが、本当にそういう人達が住んでいて、家族が何人いるか等、そういうことについては必ずしもきっちりした報告が来ていませんので、今米軍の方に問い合わせ中です。
(問)暴行事件に関連してですが、日米地位協定について公明党の北側幹事長が、今回は基地外だったため身柄の拘束が出来たが、そうでなかったら時間がかかっていたかもしれないということで、運用改善に留まらない見直しが必要でないかと指摘されているのですが、こうした与党内の声について如何ですか。
(外務大臣)今回の事件のような極めて忌まわしい事件について、仮に米側が先に確保したとしても、私は今までの運用のことを考えれば時間がかからないで身柄は日本側に引き渡されたと思います。
昨日も国会答弁で申し上げたように、米軍が駐留しているのは日本だけではなく、NATO諸国、韓国にも駐留しています。そういう中で地位協定は大体同じです。それは受け入れ国の主権と、それから米側から言えば、目的は米国自身の利益もあるが、受け入れ国の防衛ということも含めて、場合によっては血を流すということで派遣している、そういう人達の人権をどう守るかということで、お互いの国で話し合った上で摺り合わせて、米側からすればグローバルスタンダードが出来ている訳です。そういう中で地位協定が出来ていて、そして、その地位協定はNATOの地位協定と大体同じであり、起訴前については、米側が身柄を確保した場合は米側がそのまま保持して、そして捜査には協力する。そして、その中で起訴された場合にはそこで身柄を受け入れ国に移すというのは、NATOと全く同じような形になっています。そういう中で、こういう非常に凶暴な事案等については起訴前でも引き渡しますという運用上の取り決めがきっちり出来ている。そして実際に、何件も起訴前に引き渡されているというのは日本しかない。だからそういう意味では、米側から見た世界のグローバルスタンダードから言えば、日本については若干進んだという形になっている訳で、そういう客観的な事実の上で、さらに日本だけやれるかどうかという話であります。
今まで日本側がこれは引き渡しを求めるべきだと判断して引き渡しを求めた件は5件あります。5件のうち4件は引き渡された。1件は引き渡されなかったが、きっちり捜査の目的を遂げて、そして起訴されて引き渡された。起訴前に引き渡されたのが4件です。起訴されて引き渡されたのが1件。全てそれは捜査の目的を遂げている。
こういう運用上のことで、そして今度の事案について言えば、最初から日本側が身柄を持っていると、そして地位協定については全く問題ないと、こういう中で米側から見れば、世界中の駐留米軍のスタンダードでやっているものを、日本側がこの事件がいくら忌まわしい事件であるからといって、それ以上のことを日本が外交上要求するのかどうかということはあります。このような事件が起こらないようにするためにどうしたら良いかという、これは再発防止プログラム、或いは教育プログラム等、そういったことをどう改善してもらうのか、そういったことに我々の努力は向く話なのではないかというのが、私の今のところの感じであります。
(問)韓国の李明博政権の外務大臣に柳駐日大使が起用されるようですが、本件については、どのようにお考えですか。
(外務大臣)我が国の組閣についても私は前にコメントを発表して、誰を起用すれば良いとか、悪いとか言ったことはありませんので、よその国の組閣についてコメントする立場にありません。昨日、大使は私の所に挨拶に来られたということはありますが、人事については知りません。
(外務大臣)22日に、国会の事情が許せばの話ですが、水と衛生に関する政策演説を国連大学において行います。今年は日本が主導して出来た国際衛生年ですが、この記念シンポジウムにおいて行います。
今、途上国に暮らす5人に1人が安全な水を利用出来ないという状況でして、水と衛生というのはミレニアム開発目標の一つにもなっています。TICAD IVや、或いはG8サミットでも取り上げられる問題ですが、22日に政策演説を行うということです。
(問)一昨日、沖縄で米軍兵士による少女暴行という、あってはならないことがまた起きてしまいましたが、これに対して大臣はどうお考えになりますか。また、今後基地移転問題など日米関係に与える影響については、どのようにお考えになりますか。
(外務大臣)正に今仰ったように、あってはならない問題で、極めて遺憾だということを、昨日の時点で西宮北米局長から米側に綱紀粛正と再発防止を申し入れたところです。「もういい加減にしてくれ」という感もあります。今、身柄を日本側が押さえている訳で、法と証拠に基づいてしっかりとした措置をしていくということです。基地問題などについて影響があるかと言われれば、それは県民感情という問題で、影響がないということはあり得ない話です。この問題について、日米当局がどうしっかり取り組んでいくか、日本側が捜査は捜査できっちりやる、米国側はそれに協力する、そして綱紀粛正がどう行われて再発防止を、どう県民が安心するかといったことによって、日米関係への悪い影響を少なく収められるかどうかという話で、こういう問題があって、影響がありませんということは、私はないと思います。
(問)海兵隊による少女暴行事件が、かつて普天間返還合意につながりました。沖縄県知事は米軍再編の中で「3年以内の普天間閉鎖状態」を求めている。こういった要求が今後強まることも考えられますが、外務省としてはこの点を米国側に働きかけていく考えはありますか。
(外務大臣)普天間移設の問題は要するにそこで飛行機が飛ぶことの危険性ということが一番大きな話なので、それについての懸念をなくすということで、それについては決まっている通り、早く移設ができるようにするというのが、最大の解決策です。その為に、今までも日本政府は取り組んできたし、これからも取り組んでいきたいと。今度の問題は、飛行機による事故の危険性ではなく、米軍の綱紀粛正という問題なので、これは仮に次にどこかに移っても綱紀粛正はきっちり行ってもらわなくてはならない。どこにあっても、日本のどこの基地にあっても綱紀粛正をきっちり行ってもらわなくてはいけないという問題だと思います。
(問)今回の事件で身柄は日本側にある訳ですが、こういった事件が起きる度によく地位協定の抜本的な見直しということが強く沖縄から主張されます。これまで政府は運用改善という形で対応してきましたが、今後このような形で地位協定の抜本的な改正という要求が沖縄から上がってきた場合、どう対応されるのでしょうか。
(外務大臣)今度の問題を日本側が捜査するにあたって、地位協定が邪魔になって捜査が出来ないということは一切ない訳です。一切ないです。ですから、身柄を日本政府が確保して、日本側がそのまま淡々と法と証拠に基づいて、きっちり捜査をするということで、今回のことと地位協定をどうするかということとは直接の関係はありません。
(問)閣議後、沖縄の暴行事件についての話が出たかということと、沖縄担当相がいらっしゃいますが、政府として対応はどうされるのでしょうか。
(外務大臣)閣議前に沖縄担当相から、協力して行きましょうというお話がありました。
(問)1995年の暴行事件の時に、米兵に対する再発防止のプログラムというものが在日米軍の中で出来たのですが、その有効性の見直しなど、政府として何か働きかけていくのか、また更に詰めた対応というものは考えていますか。
(外務大臣)今、更なる綱紀粛正を申し入れているところで、そしてこういうことがまた起こったということは、どこが問題なのか、米軍の中で考えてもらうということだと思います。我々とすれば、綱紀粛正して、結果としてこういうことが起こらないという体制を作って頂きたいと強く申し入れているところです。
(問)山口県の岩国市長選挙で、米軍再編を容認する候補が市長になりましたが、これについての受け止めをお願いします。
(外務大臣)福田候補が勝ったということは、福田候補は私の友人でもありますが、それはそれとして、非常に接戦だったということで、やはり岩国市民の気持ちというものを受け止めて、全体の気持ちを受け止め、そういう中で政府の姿勢を、政府のこの問題に対する考え方をよく理解してもらって、そういう中で進めていきたい。艦載機を岩国基地で訓練するということについても、理解を更に政府としては求めていきたいということです。
(問)土曜日、産経新聞が小泉元首相訪朝前の段階の日本と北朝鮮の交渉の記録について一部欠落が出ているが、これは記録を元々作っていないのか、或いは作ったけれども、どちらかに行ってしまっているのかというような報道がありましたが、これについて外務省としての立場はどのようなものでしょうか。
(外務大臣)外交交渉の直接のやりとり、その準備段階でどのようなことを行ったかということについて、私から申し上げるつもりはございません。
(問)どういうやりとりであったかということとは別に、文書管理については如何ですか。
(外務大臣)準備段階のことについても申し上げるつもりはございません。ただ、申し上げられることは、その時のことについては外務省の中で引き継ぎはきっちり出来ておりますので、これからの外交を進める上で支障はないということだけを申し上げておきます。
(問)外交に支障があるかどうかは別として、如何ですか。
(外務大臣)これ以上やりとりしても押し問答ですから。
(問)正面からきちんと答えて頂きたいのですが、文書管理の問題については今非常に皆さん注目している問題ですし、私だけが個人的な関心を持っている訳ではないと思います。外交文書が欠落しているのではないかという報道があって、これについて実際に紛失しているのか、或いはしていないのか、調査はされるのか、されないのかというのはきちんと答えて頂けますか。
(外務大臣)今、調査をするような必要がないと私は思っていますし、その時の事情については引き継ぎはきっちり為されていますので、そういうことを申し上げておきたいということです。
(問)中国のギョウザ事件に関して、中国の今までの対応に関して満足はされていますか。また、今の段階ではその問題は中国にあるのか、日本にあるのか、どちらなのでしょうか。
(外務大臣)これはまだ断定するという状況にはないと思いますが、日中間の協力というのは、それなりに行っているということだと思います。日本の中の色々なやり方についても、それは批判があるのと同様に、中国の中のやり方にも完璧ということはないだろうと思いますが、両方がこれからもきちんと協力をして、事実を明らかにすることが大切だと思っております。事実上、捜査当局間でも色々協力をしていると思いますし、或いは食品衛生当局もお互いに協力していると考えています。満足という言葉を使うと、100パーセントかどうか、そういう話は置いておいて、それなりに協力が為されていると思っています。
2月10日14時頃(日本時間22時頃)、当地における第44回ミュンヘン安全保障会議に出席した高村外務大臣は、ミュンヘン出発を前にぶら下がり会見を行ったところ、概要以下のとおり。
(問)日本の外務大臣として臨んだ初めての会議であったが、スピーチを終えられての感想如何。
(外務大臣)おっしゃる通り日本の外務大臣として初めての出席であったが、欧米の関係者が非常に多く、その視点からの話が多かった中で、私と印のナラヤナン顧問、シンガポールのテオ・チーヒン国防大臣がアジアの視点から話をした。司会者は、アジアの視点に対して自分たちは大変無知だった、学ぶことが多かった旨述べていた。日本の見た目でアジアの問題を欧米の安全保障の専門家に発信することができたことは意義があったと思っている。
(問)スピーチの内容について、とりわけ中国についての言及が多かったように思うが、その狙い如何。
(外務大臣)印のナラヤナン顧問も、「ヨーロッパの人から見ると印・中は仲が悪いと思われているのではないかと思うが両国関係は良好である」という言い方をしておられたが、日本としても最近の日中関係の進展振りを欧米の人にきちんと理解してもらうということは必要だったと思う。
(問)ソラナEU上級代表と会談においてコソボ問題について話題となったか。日本はコソボ自治州が独立宣言した場合はどのような態度をとる考えか。
(外務大臣)コソボの件は当然話題になった。そして、EUはどうするのか伺ったところ、独立宣言した後はEUはEUとしての立場を打ち出す、その中で国家承認の問題はEUとしてもそれぞれの国が決める、極めて早く決めるところもあるだろうし時間がかかるところもあるかもしれないという言い方をしていた。日本としても、国家承認をするためには国家承認の要件を法的に検討し、国際社会の受け止め方についても見た上で判断したい。
(問)コソボ問題について、ソラナ代表から独立時期について何か説明はあったか。
(外務大臣)独立時期はわりと早い時期だと受け止めた。独立を意外と早くするのではないかということを受け、アハティサーリ調停案に基づき、民族間紛争になると困るので、EUとしてEUがするべきことをする、統一見解を直ちに出すとのことであった。また、国家承認については、それぞれの国がそれぞれの手続に従って行うということだった。
(問)岩国の市長選挙について、在日米軍の再編をめぐって争点が張られたわけだが、今回の結果について大臣はどのように受け止められたか。
(外務大臣)まだ結果が出てないわけだが、どちらの候補が勝ったとしてもそれは市民の審判の結果であり、国としては米軍再編というのは抑止力を維持して日本総体としての軍事負担を軽減するために大切なことである。従って、国側の主張を新市長に誠心誠意説明し理解を得ていく方針には変わりない。
(問)岩国市長選の絡みであるが、井原さんが再選された場合は移転反対という民意が示されたという受け止め方をされるのか。
(外務大臣)安全保障の問題であるので一地方の民意だけで決まる話ではない。但し、そういった民意の下での市長であり説得がより難しくなるということはその通りだと思う。
(外務大臣)土曜からミュンヘンに行って参ります。
(問)大相撲の時津風親方が弟子への暴行で逮捕されましたが、外国にもファンの多い国技の大相撲でこのような事件が起こったことについて、外務大臣として、また少林寺拳法の格闘家として、何かご所感があればお願いします。
(外務大臣)どういう世界であっても、力のあるものが力のないものに対して集団で暴行することはあってはならないものです。それについては捜査当局が証拠に基づいてしっかりやるだろうと、その推移を見守りたいと思いますが、相撲は国技であり、相撲道というようなこともあるので、やはり、そういうことを日本相撲協会自体が全体としてきっちり考えてもらいたい。昔から相撲は「無理偏に拳骨と書いて兄弟子と読む」とか、そういうことを言われる世界ではあったのですが、伝統とは「良いものを残して、悪いものを排除していく」ということで良き日本の伝統が出来るので、そういうことはしっかりやってもらいたいと思います。
(問)新たに、密封されたギョウザのパッケージの内側から異物が見つかったということで、中国での混入の可能性が高まっているのですが、大臣は先日、日中関係について、「あまりぎくしゃくしないように」ということでしたが、それから数日経ち、このような展開を見せているのですが、改めて日中関係に与える影響と今後の対応についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)このような問題が起こると、やはり悪い影響はあるものです。悪い影響を最小限に留めるためには、日中両当局が協力して、この問題の原因究明をきちんと行って、再発防止の措置を執ると、そういうことは、最初申し上げたことと全く変わっておりません。
(問)大臣も食の安全は非常に重要なことであると前から仰っていますが、食糧自給率をもっと高めた方が良いのではないかという話等が出ておりますが、今後、自由貿易協定(FTA)交渉等、外交への影響はどうお考えでしょうか。
(外務大臣)FTAは世界貿易機関(WTO)の役割を補完するものとして、さらに積極的に進めていかなくてはならないと、そして、やはりセンシティブな問題については、きっちり配慮しつつ進めるということです。ただ自給率については、消費者が食の安全とか、或いは地産地消というものをどう考えるかとか、そういうところから自然に高まってくることが望ましいのではないでしょうか。
(問)日本の政府の調査団が中国で今日から本格的に活動を始めますが、どういったことを期待されますか。
(外務大臣)今日、中国の検疫当局と意見交換をして、この後、現地に入って工場を視察するということですが、ともかく一番大切なことは日中両政府が協力して、原因を究明して再発を防止すること。その為に必要な意見交換をきちんと行ってもらいたいと思っています。
(問)中国国内では、逆に日本人による自作自演だなどという過激な意見もネット上等では飛び交っているようですが。
(外務大臣)両国の中で、その過激な意見に反応してまた過激な意見を誘発すると、かつてのようなことになりますから、冷静に対応してもらいたいと思います。ともかく、少なくとも政府はお互いにきっちり協力して真相解明し、再発防止を図るということで全く一致しています。
(問)その中国側の姿勢ですが、協力に対してはどの程度積極的なのでしょうか。
(外務大臣)どの程度って、かなりのものでしょう。中国だって真相解明して、日本人が安心しないと困るでしょう。日本人だけでなく、世界の人が安心しないと中国だって困るから、これをきっちり真相解明して、原因を解明して、再発防止が図られましたよということが中国自体の国益でもある。それは一生懸命になるでしょう。
(問)中国側は、日本側の通告から一週間ほどで調査等の結果もどんどん発表しており、先に結論ありきなのではないかといった指摘もあるようですが。
(外務大臣)はっきり言ったように、食の安全というのは消費者がどう感じるかという話だから、先に結論ありきということではないと思いますよ。中国側でネットで過剰な反応をしているのと同じような質問ですね。
(問)7日は北方領土の日ですが、領土返還交渉の現状と問題解決に向けた方向を一言お願いします。
(外務大臣)日本の固有の領土ですから、返してもらわなければ困る訳で、これが返ってこないと日露間の飛躍的な友好関係も望めない。今の状態だから、角突き合わせていてよいということではないのですが、飛躍的な友好関係を作る為にはこの領土問題を解決しなければいけませんねということですから、それに向けて最大の努力をするということです。
(問)今日、補給新法絡みで、交換公文の署名式が午後にありますが、中身は後程として、ここまでこぎつけたことについて、大臣の所感をお願いします。
(外務大臣)ここまで漕ぎ着けたと言うけれども、法律が通った時は特別の感慨がありますが、交換公文を結ぶというのは当たり前のことで、交換公文を交わしたということ自体に、それ程の感慨はないです。
(問)内容についても、特にないですか。
(外務大臣)良い内容ではないですか。
(外務大臣)今月の5日から6日、アフガニスタンの支援に関する国際会議を我が国で開催します。私自身も出席する予定です。
支援の実施状況を確認し、今後の調整作業を行う考えです。アフガニスタンのスパンタ外務大臣を始めとする多くのアフガニスタン閣僚、その他アフガニスタン支援に関係する24の国、機関が参加する予定です。
(外務大臣)今、ケニアで大統領選挙後の混乱で25万人の国内避難民が出ています。国連世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(UNICEF)を通じて、食糧及び水の支援のために、約4億7800万円の緊急無償資金協力を実施することを決定しました。
アナン前国連事務総長等の仲介によって与野党指導者で話し合われておりますが、ともかく暴力を先ず止めて、そして民族間の和解が進むことを期待しております。日本としても、国際社会の仲介努力に協力していこうと思っております。
(問)改めてなのですが、中国製のギョウザの問題で、今後中国に対してどういったことを要請されていくのかお聞かせ下さい。
(外務大臣)日本国内、或いは中国国内両方で、原因究明、再発防止のために全力を尽くすということです。
(問)関連ですが、捜査がこれから始まると思うのですが、今後、日中の協力体制が必要になってくると思うのですが、既に署名は済まされている日中間の捜査共助に関する条約ですが、その国会承認を政府として急がれる考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)これは今国会でやりたいと思います。共助条約がなくとも外交ルートを通じてやろうということであれば捜査協力が出来る訳で、共助条約があれば外交ルートを通じないで捜査当局同士でいきなり出来る訳です。今の状況でも、両国政府が合意すれば捜査協力は出来ないことではありません。今のところ、日本の捜査当局からそうしたいということは未だ言われていないという状況です。
(問)昨日、中国側の会見で、一両日中にも日本に調査チームを派遣して、そして問題を一緒に明らかにする作業を進めたいという風に言っているのですが、今日明日にも、そういった人達が中国側から来るということでしょうか。
(外務大臣)いつ来るかはちょっと分かりませんが、在北京の我が国大使館にそういう申し入れがあったという事実と、それを受け入れるという方向で検討しています。
(問)具体的に向こう側の組織はどのような組織なのでしょうか。
(外務大臣)良く分かりません。事務方に聞いて下さい。
(問)この問題が日中関係に与える影響について、どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)食の安全というのは国民の関心が非常に高い問題だから、これは日中関係に良い影響を与える訳にはいかない。場合によっては悪い影響が出て来るかもしれない。そういう中でやはり、出来るだけ両国政府がきちっとした対応をして、そういうことが両国政府、特に中国政府が原因究明、再発防止に対してきちんとした対応を取ること、そして、お互い協力してそういう体制を取れれば、悪い影響は最小限に抑えられるのではないかと、こういう風に思います。
(問)ギョウザの問題は中国で起きたのですが、日本国内でも色々な機関の対応が上手く噛み合わなくて被害が拡大してしまったということがあるようですが、その辺のことは今日の閣議・閣僚懇談会では話し合われたのですか。
(外務大臣)閣僚懇談会で、それぞれの大臣から報告がありました。
(問)大臣は何か発言されたのですか。
(外務大臣)私は、昨日の何亜非(か・あひ)中国外交部部長助理との間で、私が申し上げたこと、向こうが言ったこと、そのことをご紹介申し上げました。
(問)戦略的互恵関係と今回のギョウザの対応策については、どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)戦略的互恵関係に悪い影響を与えないように、先程から繰り返しているように、原因究明、再発防止を両国政府がきっちりやるということだと思います。
(問)閣議が終わった後に、総理と長くお話をされていたようですが、それはギョウザ問題に関してでしょうか。それとも、その他のことでしょうか。
(外務大臣)ギョウザ問題は一言もありませんでした。雑件でございます。
(問)古い話で恐縮なのですが、1999年に発生した日本人の誘拐事件で、日本政府が3億円余りの身代金を支払ったが、それが治安当局の関係者によって山分けされてしまったということが、キルギスの国会で問題になっているようですが、日本政府として、例えば調査、情報収集等を行うお考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)そういう事実はないと承知していますから、そういう考えはありません。
(問)事実というのは、身代金の話でしょうか。
(外務大臣)身代金を払ったという事実はないと承知しております。
(問)ODAを使って排出権取引を進めていく方針を政府が取るという報道があるのですが、こうした方針で排出権取引を進めていくお考えなのでしょうか。
(外務大臣)ODAをクリーン開発メカニズム(CDM)に流用することは、原則、まかりならんとなっている訳ですが、被援助国及び国連のCDM理事会の承認を受けた場合、そういうことが可能であるとされている訳です。それは別に新しい話ではなく、日本が既に2件、そういう形で行っていると承知しております。
(問)昨日のスミス豪外相との会談で、捕鯨問題について、大臣から、専門家同士で話し合おうという提案をされたようなのですが、これは具体的にどのようなことでしょうか。
(外務大臣)必ずしも日豪二国間で作業チームを作ろうということを提案した訳ではなく、それを排除してはいませんが、それは国際捕鯨委員会(IWC)という多国間の枠組みがありますから、そういう中で、先ず第一義的にはそこで専門家が話すのが良いでしょうと、ただ、場合によっては二国間でやるということを排除した訳ではありませんが、積極的にそこまで提案した訳ではありません。
(問)ラッド政権になって捕鯨の問題、或いは他の問題について、前ハワード政権と何か違ったニュアンス、或いはスタンスの違い等感じていたら、その印象をお聞かせ下さい。
(外務大臣)気候変動については良い方に変わり、捕鯨問題ではそうではないと、こういう感じですが、日豪関係全体については、引き続いて良い関係にあると、こういうことです。
(問)中国の外交部部長助理と胡錦濤国家主席の訪日について話し合われたと思うのですが、訪日の際に共同文書を作るかどうかについて、日本側として、今どういうお考えかお聞かせ下さい。
(外務大臣)日本側として、良い内容のものが作れるのであればそれは結構ですね、内容次第ですねと、こういうことではないでしょうか。