記者会見

外務大臣会見記録(平成20年1月)


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外務大臣会見記録(平成20年1月31日(木曜日)18時07分~ 於:本省大臣室前)

中国産冷凍ギョウザが原因と思われる健康被害事例の発生

(問)何亜非(か・あひ)中国外交部部長助理とはどの様なお話をされたのでしょうか。

(外務大臣)興味があるのはギョウザのことですか。ギョウザのことだけ申し上げますと、私の方から「食の安全というのは国民の最大関心事だ。日本だけでなく、中国でもそうだと思う。徹底的に原因を究明して再発防止を図りたい」と申し上げました。それに対して何部長助理の方からは、「大変遺憾である。被害者の方に心からお見舞いする。そして中国側とすれば、原因究明の措置、それから輸出停止等の措置を執った。原因究明に関しては捜査当局も含めて措置を執っている」という説明がありました。

(問)原因究明は日中で共同してという話がありましたけれども、どの様なことをなさっていくのでしょうか。

(外務大臣)当然、我が国の国内でも色々究明があるし、中国は中国の中で原因究明をしているという中で、お互いに協力すべきことは協力していくということです。

(問)食の安全の問題は、去年の日中首脳会談でも取り上げられましたね。

(外務大臣)そうですね。だから、こういう具体的な話が出た訳ですから、更にこの具体的事例に則して、二度とこういうことがないようにという観点から、より具体的に原因究明を図っていくということです。

(問)大臣が冒頭「残念だ」とギョウザの話に触れた時に、何部長助理の方はどの様な反応をされていましたでしょうか。ちょっと表情が見えなかったのですが。

(外務大臣)それはやはり厳しい顔で聞いておられたですね。

(問)日本側に厳しい世論があるということ、食の安全について厳しい意見があるということを分かっていらっしゃる感じでしたでしょうか。

(外務大臣)それは当然分かっていますよ。当然分かっているし、これは中国自体にとっても当然由々しきことです。ですから、もう既に捜査当局まで動いているということまで明らかにしてくれた訳です。

(問)今後、楊潔篪(よう・けつち)外交部長等が来日された際に、このテーマはまた議論されるのでしょうか。

(外務大臣)その時にどれだけ原因究明が進んでいるか、再発防止の措置がどれだけ執られているか、これは進展を見ないと分かりません。

(問)取り敢えず中国側から対応が示された訳ですけれども、この事件が日中関係に与える影響についてはどの様にお考えですか。

(外務大臣)それは分かりませんね。最大関心事の食の安全ということですから、国民レベルで色々な影響は出るでしょう。但し、日中両国の外交関係をそれで悪くするという話ではないので、両国が協力して原因究明、再発防止に取り組むということに尽きるのではないでしょうか。

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日豪外相会談

(問)今日のスミス豪外相との会談では、捕鯨問題はテーマとして取り上げられるのでしょうか。具体的にどういった話をされるのでしょうか。

(外務大臣)お互いに顔を見ればその話をしないということはないでしょうね。捕鯨問題をスミス外相が取り上げるかもしれないし、妨害問題を私が取り上げるかもしれないということでしょう。

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外務大臣会見記録(平成20年1月29日(火曜日)8時56分~ 於:院内大臣室前)

社団法人日米平和・文化交流協会に対する立入検査

(外務大臣)昨日、日米平和・文化交流協会の立入検査を行いました。書類等も必ずしも整っていなかったので、提出してくれるように言っていますが、協会側では検察側の要請で任意に提出しているので今は無いのだということを言っていたそうです。検査の目的はやはり帳簿等を調べると同時に、過去に改善の為の大臣命令を出しているので、それが適確に行われているかどうか、改めてきっちり調べたいということです。まだ、検査の結果は出ていないので、取り敢えずこういうことです。

(問)国際交流基金を通じて助成していますが、これについては如何ですか。

(外務大臣)国際交流基金が助成をしている件についてどうするか、ですか。今度はもう助成の申請も出ていないのではないですか。

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外務大臣会見記録(平成20年1月25日(金曜日)9時45分~ 於:本省会見室)

人間の安全保障基金による支援

(外務大臣)我が国は、国連に人間の安全保障基金というものを設けていますが、本日、その基金を活用して、リベリア共和国等三ヵ国において、国連開発計画(UNDP)、国連人口基金(UNFPA)等の国連機関が実施する3件のプロジェクトに総額約700万ドル(約8億2千万円)の支援を行うことを決定しました。
 我が国は、「平和協力国家」として責任ある役割を国際舞台で果たしていきたいと考えていますが、この基金を通じて「人間の安全保障」を実践していくことも、そのような努力の一端であると考えています。

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自衛隊の海外派遣に関する恒久法

(問)昨日の大臣の平和構築の講演の中で、恒久法の制定に強い意欲を示されたという感じがしますが、通常国会での恒久法の法案提出を視野に、これから取り組んでいくという認識でよろしいでしょうか。

(外務大臣)政府として、未だそこまで決めている訳ではありません。未だそういう検討もしていない訳ですが、私とすれば、遅いより早い方が良いと思います。

(問)講演の中で大臣は、PKOの本体業務にも、これから積極的に参加していくべきではないかという趣旨の発言をされていると思うのですが、これに絡んで、自衛隊の武器使用基準の見直しを検討するお考えはあるのでしょうか。

(外務大臣)私個人としては、民主党の所謂対案と言われるものの中にもそういったことが書かれている訳ですし、これから活動する中で、どういう活動をするのかということと、武器使用基準をどうするのかということは密接に関係あることで、そういったことは検討していかなければならない、検討課題だと思います。

(問)講演の中で、平和構築について、今年は飛躍の年にしたいというお話があったのですが、そのために具体的に何をなさるのでしょうか。例えば、有識者会議を設けてその道筋をつけるとか、恒久法を成立させるのか等、今年一体どういうことを行うのか、具体的なことに関するお考えについてお聞かせ下さい。

(外務大臣)昨日、全体的に触れた積もりですが、それはODAの問題もありますし、昨日の言葉で言えば、川下の方の問題です。川上の方の問題とすれば、今年中にどこまでいくかということは、政府全体できちんと決めなくてはいけない話ですが、方向性とすれば、やはり制度を改革して、自衛隊を含む人的貢献がより一層出来るような形の恒久法、一般法、そういう方向も検討していった方が良いでしょうということもありますし、その他、上流、中流、下流、色々な面、色々な所で、それぞれ進めていきたいということです。今年中にどこまで進めるという具体的なことは、内閣として決めなくてはいけないことで、私個人として、こうだということを今、申し上げられられるということではないと思います。

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補給支援特措法

(問)テロの海上阻止活動の再開を前に、各国との交換公文の作業が進んでいますが、野党側は「転用」といった時、日本が給油した後に、他の活動を一時たりともしてはならないという意味で「転用」と使っていますが、こういった意味での転用防止を交換公文に反映させるというお考えはあるのでしょうか。

(外務大臣)法の趣旨を、相手方にはっきり分かるように交換公文に書きたいと思っておりますが、具体的にどう書くかということは今、交渉中ですので申し上げられないということです。

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北朝鮮問題

(問)米国務省のデイリー・テロ対策調整官が、北朝鮮のテロ支援国家指定解除の要件は揃っているという発言をして、その翌日に国務省でそれを否定したりと、その辺の米国内での騒動については、どのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)よその国の政府の中で色々とあるということについてコメントを申し上げるのはあまり適当ではないと思いますが、我が国の立場としては、拉致問題が進展しない中で、テロ支援国家指定が解除されることは困りますよということを米国側に申し上げています。そのことは一貫していると、こういうことです。

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外務大臣会見記録(平成20年1月22日(火曜日)9時30分~ 於:官邸3階エントランスホール)

シンポジウム「平和を築(つく)る-日本と国連」

(外務大臣)24日、「平和を築る-日本と国連」ということでシンポジウムを行いますが、そこで平和構築の問題について政策演説を私が行います。今、国連の平和構築委員会の議長を日本が務めており、或いは平和構築の人材育成について日本の広島大学で始めたところですが、そういったことも含めて色々日本がこれから平和構築の為にどうリーダーシップを取っていくか、総理の所信表明演説でも「平和協力国家」と言っておられますが、その文脈でお話をしたいと考えています。

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韓国次期大統領訪日

(問)外国の要人往来の話で、韓国の次期大統領が3月か4月に訪日するという報道がありますが、どうなのでしょうか。

(外務大臣)前から色々そういう話がありますが、まだ確定的な話として決まったとは聞いていません。

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G8北海道洞爺湖サミットのアウトリーチ

(問)G8にインドの首相と中国の首相を招き、環境問題について話し合うという報道もありますが、これについては如何ですか。

(外務大臣)アウトリーチ国として、幾つかの国を毎回のサミットで招いており、ここ何回かは中国とインドが招かれていると承知していますが、今度どの国がアウトリーチ国として招かれるかということは、G8でまだ正式に決定した訳ではありません。

(問)中国、インドに加えて他にもう2,3ヵ国ということは検討されているのでしょうか。

(外務大臣)「加えて」と言われても、中国、インドについても正式に決定していないと言った積もりなのですけどね。特定の5ヵ国がここ数回続けて招かれているということはあります。それだけに留めずに何ヵ国か呼ぶこともあり得るということですし、その特定の5ヵ国が必ずまた呼ばれるかどうかも決まった訳ではありません。これからということです。

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世界同時株安について

(問)世界同時株安で、日本も株の下落が止まりませんけれども、これについて何かお考えはありますか。

(外務大臣)これは正に世界同時株安なので、米国発ですから、そこが正に源ですから、米国が問題を何とかしてもらわないと、ということであろうかと思いますが、同時株安ということで、国際的な検討も必要だろうと思っております。
 一言だけ、日本について外人売りが何時から始まったか。いつも売ったり買ったりしているのだけれども、昨年の7月までは外国人投資家は買い越しであった訳です。8月から売り越しが始まっているのです。
 何故か。7月29日に参議院選挙があったのですよね。私から見れば、ばら撒きと思われるようなことを主張する政党が圧勝した。日本は国として、国民全体として財政再建の意志が薄いのかなと。日本のカントリー・リスクは何かと言えば、財政破綻なのです。世界の国と比べて。そういう風に思われた可能性がある。
 7月29日に、農家の戸別補償にしても財源無しにする、或いは年金の基礎的部分を税金で持つというのは一つの立派な考え方だけれども、消費税を上げないで行う。その他、ともかく国民が喜ぶ目先のばら撒き的なことを主張している政党が圧勝したのですね。7月29日です。その時から外人投資家は売り越しに変わっている、というのは客観的な事実ですから、どう評価するかは別として申し上げておきたい。
 私としてはやはり、日本売りを止めるためには、ばら撒き合戦になってはいけない、中長期見通しで、本当に財政再建ということも踏まえながら、本当に国民の為になることをやっていかなければいけないと思っています。

(問)そういう話が、今日の閣議で出たのですか。

(外務大臣)その話は出ません。それは私の個人的見解です。

(問)7月末のそのタイミング以降、安倍前総理が突然辞任したり、或いは福田内閣では改革にあまり積極的ではないのではないかという見方も出ていますが、そういうことも株安に影響しているのではありませんか。

(外務大臣)事実を見て下さい。7月29日に安倍前総理が辞任しましたか。8月から外人売りが始まっているのですよ。事実に即して話して下さい。

(問)サブプライム問題は7月から影響があった訳ですが。

(外務大臣)サブプライムは、これは世界的な問題です。何故、日本で外人売りが始まったか、多くなったかということは、正に7月29日の参議院選挙を受けて、ということが一番大きいのではありませんか。

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閣議

(問)今日は「案件なし」の割りには、閣議の時間が凄く長かったのですが、テーマはどういうものでしたか。

(外務大臣)それは官房長官が発表されます。

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外務大臣会見記録(平成20年1月18日(金曜日)9時53分~ 於:本省会見室)

捕鯨問題

(問)豪州の反捕鯨団体シーシェパードの2名の身柄が豪州に引き渡されたとの報道がありましたが、日豪政府間で、何らかの合意が為されたのでしょうか。

(外務大臣)シーシェパードの問題が起こる前に私とスミス豪外相で話し合った時に、この問題は、日本側からすれば科学的知見を得るための調査で合法的な問題であると、豪州側はまた違った考えを持っておられるが、良好な二国間の関係をこの問題で悪くしないようにしようということはスミス外相も何度も繰り返し言っておられたし、私も同じ考えであると。そういう中で、シーシェパードが危険極まりない妨害行為を繰り返した上で2人が乗り込んできたということで、暴力行為がその上で行われるのではないかという危惧もあった訳ですが、乗り込んだ上での暴力行為は特になかったと。そしてそういう中で、抗議文を手渡そうという目的がはっきりしたので、そういうことであれば、厳密に言えば不法侵入であるけれど、豪州側に引き渡そうという判断をしたということです。

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韓国次期大統領の発言

(問)韓国の次期大統領が日本との関係で、反省しろとか、謝罪しろとか言う積もりはないと仰っていますが、これについて大臣の受け止めをお聞かせ下さい。

(外務大臣)未来志向の関係を作ろうという強い意欲を次期大統領が持っておられるということは、日本政府としても、私としても大変嬉しいお話です。日本は過去について十分反省して、そして、その後一貫して平和国家としての道を歩んできている訳ですが、反省している人間に「反省しろ、反省しろ」と言うことは、あまり良い感じがしないということもある訳ですが、未来志向の関係を作ろうと志向されることは嬉しい話だと思っております。逆に、日本の政府関係者が、韓国の世論から突き上げられて、韓国政府の人が「反省しろ」と言わざるを得なくなるようなことを、あまり言わないようにした方が良いなと思います。

(問)それに関連して、次期大統領は日韓FTA交渉についても、すごく積極的だという方針を示しています。日韓FTAは停滞していますが、日本はこれに対してどのように対応していくお考えですか。

(外務大臣)FTAについては日本も積極的です。やりたいと抽象的に思うことと具体的に一致するかどうかというところはまた別の問題ですが、精力的に進めていきたいと思います。

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NHK職員によるインサイダー取引について

(問)今朝の新聞各紙にNHKのインサイダー取引の記事が載っていますが、閣議や閣僚懇談会ではそれに関連してのやり取りはあったのでしょうか。

(外務大臣)閣議・閣僚懇談会では、本件に関してのやり取りはありません。

(問)大臣ご自身はそういったものをご覧になって、どういう所感をお持ちですか。

(外務大臣)公共放送であろうがあるまいが、マスコミがその目的で情報を集めたことを、個人の利益に使うことは許し難いことだと思っています。

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国会における外交演説

(問)今日、国会で外交演説をされますが、今年は外交課題が目白押しで、非常に重要な年ということですが、一番強調したいことと狙いをお聞かせ下さい。

(外務大臣)日本は世界が平和で、世界が安定していなければ、繁栄出来ない宿命を持った国なのです。日本自身に資源がある訳でもないし、エネルギーが足りない。そういう中で世界が平和で、世界が安定していなければ出来ない。そういうことで平和を作る平和協力国家ということで、そういう中でTICADを行います。G8サミットを行います。平和を作る方向でリーダーシップを発揮していきましょうと。それで日米関係、国際協調、近隣諸国との関係等、そういったことを書いて、色々外交課題に触れた上で、最後はこれを強力に推し進めるために外交実施体制をきちんとしなくてはなりませんということを述べます。あらゆる部局から上がってくるものを入れますから、総花的になるというご批判を受けるかもしれませんが、基調は、日本は平和で安定した世界で初めて繁栄出来る、そういう宿命を持った国ですから、平和を作る外交、平和に協力する外交をしていきましょうという、私の頭の中にあることで全体を通している積もりです。文言にそう現れているかどうか、分かりませんが。

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南京虐殺記念館の展示について

(問)上海総領事が南京虐殺記念館の展示について、日本政府の認識との違いを示したという風に報道されていたのですが、どのような点に認識の違いを示したのでしょうか。何故このタイミングにそのようなことが行われたのでしょうか。

(外務大臣)私はその点、詳しく報告を受けておりません。詳しく報告を受けておりませんが、明らかに間違った写真があった等、そういうことは過去にはありました。今度のことについて、詳しく説明を受けておりませんので。

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気候変動問題

(問)資金メカニズムについてですが、外交演説もしくは施政方針演説には額について入らないような感じなのですが、これについてはいつ頃打ち出すお考えなのでしょうか。

(外務大臣)未だ、はっきり決めておりません。今思い出しているのですが、確かに私の外交演説には入っておりません。ただ、いくらぐらいと言っても、なかなか難しいのですよ。どこまで資金メカニズムというのかどうか等、なかなか難しいのです。

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外務大臣会見記録(平成20年1月15日(火曜日)17時52分~ 於:本省大臣室前)

次期韓国大統領特使との会談

(外務大臣)今、次期大統領のお兄さんでありますが、次期韓国大統領特使との会談を終えました。先方から日韓関係を重視している、他の各国に先立って先ず特使を派遣した、今までの日韓関係の延長線ではなく、新しい日韓関係を作っていきたいという話がありました。私も、全く同感であると応えました。
 それから明日、総理との間で話があると思いますが、首脳間のシャトル外交を再開したいというお話がありましたので、私としても賛成であるということを申し上げました。
 それから北朝鮮との関係で、非核化の問題について、日米韓3ヵ国で完全に連携して取り組んでいこうということで一致しました。そして先方から、核の問題だけではなく、日本には、ミサイルと拉致が大きな関心としてあると思うが、この問題についても解決されなければならない問題である、拉致問題について理解し、支持するというお話がありました。

(問)北朝鮮問題は、六者会合の対応以外に、何か具体的な話は特になかったのですか。

(外務大臣)具体的に特に話はありませんが、何れにしても日米韓3ヵ国が協調して取り組んでいくことが大切だということで完全に一致しました。

(問)盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権になって日韓関係は、政治の部分ではかなり冷えた関係になっていたと思うのですが、今後、新政権とどういう関係になりそうだと大臣ご自身はお考えですか。

(外務大臣)それは先方も、今までの継続ではない新しい関係を作りたいということを仰っておられました。今までも、それ程悪い関係ではなかったと思いますが、もっと良い関係、更に良い関係にしていきたいと、私もそう思います。

(問)シャトル外交についてですが、早ければ今年中にも早速再開ということでしょうか。具体的な場所等も、例えば雑談レベルでも挙がったりしているのでしょうか。

(外務大臣)具体的に言うのであれば、候補として大統領就任式というのがあると思います。これは未だあくまで候補ということで、韓国側が未だ外国の賓客を呼ぶかどうかということを決定しておられないように承知しておりますので未だ分かりませんが、それが一つの候補です。それから更に、先方の大統領も早い機会に日本に来たいということを言っておられます。そういうことの積み重ねが、シャトル外交ということになると思います。

(問)かつては指宿や済州島で行われましたが。

(外務大臣)未だそういう具体的な話をしている訳ではありません。両国は非常に近い所にある国で、お互いに価値観を共有し、北朝鮮問題という課題を共有している訳でありますから、積極的に意見交換しなくてはいけませんねと、そういう中で首脳間のシャトル外交も必要ですねという抽象論で一致したということであります。

(問)新大統領も、またお兄さんも日本の大阪生まれと聞いているのですが、在日韓国人、協定移住者に関する話は出ましたか。

(外務大臣)話題になりました、当然。在日韓国人に関心を持って下さいという先方の発言に対し、私も在日韓国人の友人もいますし、関心を持っておりますと、私から言いました。私から、日本に住んでおられる方の生活というのには当然、日本の政治家も関心を持っていかなければいけない問題でしょうという話をしました。

(問)向こうは、それについて何か仰いましたか。

(外務大臣)あまり深い話はしませんでしたが、例えば地方参政権の話というのも出るだけは出ました。

(問)次期大統領は南北政策の見直しについても先の会見で言及されていたのですが、今日はそのような話もあったのでしょうか。

(外務大臣)今日はそこまでは出ませんでした。

(問)韓国新政権は、経済の立て直しというのが最大の課題・仕事となっている訳ですが、それに関して日本に協力を求める等、具体的な話はあったのでしょうか。

(外務大臣)具体的にはありませんが、抽象的にそのような話があったことは事実です。日本は先進国であり、今韓国の経済状況は厳しいので、色々協力してもらいたいと。私としては、日本と韓国が経済の面でも緊密な関係になるように協力して参りましょうということを申し上げました。

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ムンタボーン国連北朝鮮人権状況特別報告者との会談

(問)先立ってムンタボーン国連北朝鮮人権状況特別報告者と会談されていましたが、そちらの方ではどのような話があったのでしょうか。

(外務大臣)ムンタボーンさんについては、特別報告者として誠実にやって頂いているということを私の方から評価しました。彼は北朝鮮に入れていないのですよね。北朝鮮が拒否をしていますから。そういう中でも色々な情報を集めて、きちんとした報告をしていますから、それに対して評価致しました。
 それから私と会う前に拉致被害者の家族の方々ともお会いしているということで、そういうことも含めて、日本の滞在が良い滞在になるようにということを申し上げました。
 それから今後、更に国連からのマンデートを得て、特別報告者としてやっていくことについて、日本は期待もしていますし、応援もしていますということを申し上げました。
 拉致問題を含めた北朝鮮の人権問題については、解決されなくてはならない問題が多いということを言っておられました。

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インドの国連安保理常任理事国入りについて

(問)中国とインドの首脳会談で、中国側がインドの国連の常任理事国入りの支持を表明したようですが、これについてはどのようなお考えですか。

(外務大臣)日本もインドが常任理事国入りすることを支持しています。一緒に入ろうということですから。

(問)中国が支持したことは今までなかったと思うのですが。

(外務大臣)結構なことではないですか。一緒に入れば良いのですから。

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外務大臣会見記録(平成20年1月15日(火曜日)9時40分~ 於:本省会見室)

日・ラオス投資協定への署名

(外務大臣)今日の閣議で、日・ラオス投資協定の署名について承認を頂きました。これを受けまして、私とトンルン・ラオス副首相兼外相との間で、明日午後、署名を致します。この協定によって日本の投資家がラオスに安心して投資が出来るようになり、両国の経済関係が強まることを期待しています。明日の日メコン外相会議の中でこの署名が行われますが、メコン地域の発展を支援することによって、ASEAN内の経済格差を無くすことにも資するし、ASEANの統合促進にも資すると考えています。

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在日外国人の日本語能力

(外務大臣)長期滞在する外国人の入国・在留の手続きについて、日本語能力を重視する方向にしようではないかということで、課長レベルで、外務省と法務省との間で協議を始めることに致しました。やはり日本で生活する外国人自身の為にも、日本語が出来るということが生活の質を高める為にも大切だし、日本社会の為にも必要です。在留外国人が日本語能力を高めようということになると同時に、その出身国の中で、日本に行く為には日本語を勉強しようという機運が高まれば大変良いことだと考えています。この問題は前から言われていて、緩慢な検討しか行われていないのですが、課長レベルで実際に協議するということで、前に進めたいと思っております。

(問)日本語能力の件ですが、協議は何時までに結論をというお積もりでしょうか。

(外務大臣)そこまで行っていません。やっと立ち上げるところです。

(問)あまり長くはかけられないですよね。

(外務大臣)元々政府の中で、「生活者としての外国人」に関する総合的対策というものがあり、その中で特に日本語能力を取り上げて重視しようということで、課長レベルの協議を立ち上げることにしました。現在、言えるのはそれまでで、何時までにどういう結論というところまでは申し上げられません。

(問)具体的には、長期に日本に滞在したい人に、日本語が出来ないとビザを提供しないといったことなのでしょうか。もう少し具体的に要件の中身について教えて下さい。

(外務大臣)これから課長レベルで検討しようということです。日本語能力を重視すると。ですから、日本語能力だけで、オンかオフかという話では必ずしもないかもしれません。どこまで重視するかということについても、課長レベルで検討したいということです。

(問)課長レベル協議の初会合の予定は決まっているのでしょうか。

(外務大臣)それはまだ決まっているのか、いないのか、私は知りません。やっとこういう会議を立ち上げることになったという報告を受けたところです。

(問)他の外国では、そこの国の言葉が出来る、出来ないということを入国の条件の一つにすることで、その国に来たい人の希望を叶えられないのではないかというネガティブな見方もあるようですが、そういう懸念はあまり考えてはいないのでしょうか。

(外務大臣)良いことだけだったら検討する必要もなく、パッと決めればよい訳でしょう。肯定的な部分と否定的な部分と、両方あるから検討しようということです。ただ、検討するという以上、肯定的な方が大きいのではないかということに立って行おうとしている訳です。そこには勿論、影響は両方色々ありますから、オール・オア・ナッシングではなく、やり過ぎにならないように、だが、やるべきことはやるということで検討しようということです。

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次期韓国大統領特使の訪日

(問)今日、韓国からの特使の方とお話されるということですが、どんな内容になりそうですか。

(外務大臣)今から予想するのですか。あちらから新しくなるべき大統領の特使としていらっしゃるのですから、お考えを色々お聞きしたい。そして、日韓関係が重要であるということについては、日本も韓国も全く意見に相違はありませんので、ではその重要な日韓関係をどのようにして更に良くしていくかということについてお話したいと私は思っておりますが、まずお話を伺うことからです。

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台湾の立法委員選挙

(問)台湾の立法委員選挙をどう見ていますか。

(外務大臣)それは台湾の人達が決めたことですから、そういう結果だなと受け止めたということです。

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外務大臣会見記録(平成20年1月11日(金曜日)9時48分~ 於:本省会見室)

スリランカへの明石政府代表の派遣について

(外務大臣)スリランカ政府が、反政府組織「タミル・イーラム解放の虎」と結んだ停戦合意から脱退することに決定した訳でありますが、先般、ラージャパクサ大統領が日本に来られた時、私も会談した訳ですが、民族和解を推進すると言っておられた訳ですが、この度のスリランカの決定は、紛争の悪化に繋がりかねないと大変心配しております。
 そのような中で13日から15日にかけて、明石康政府代表をスリランカに派遣することを決定致しました。対話を通じた政治解決に向けて努力を継続するようにスリランカ政府に改めて働きかけていきたいと思っています。

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日本ブラジル交流年の実施

(外務大臣)今年実施される日本ブラジル交流年の名誉総裁に、皇太子殿下が就任されることになりました。今年は日本人のブラジル移住100周年、その節目を祝うと共にブラジルとの間で幅広い交流をすることを目指しています。4月には都内で政府主催の記念式典を開催致します。また6月には皇太子殿下のブラジルご訪問も検討されております。
 本日、日本における日本ブラジル交流年が幕を開け、ブラジルにおいても来週、オープニング・セレモニーが開催されます。木村副大臣が出席されます。今日のオープニング・レセプションの主催は、木村副大臣がされます。
 この交流年を機に、ブラジルとの関係を大いに発展させていきたいと考えています。

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テロ対策関連新法

(問)今日、テロ新法が成立することになっていますが、それについて大臣の所感をお聞かせ下さい。

(外務大臣)是非、成立してもらいたいと強く期待しております。これは国際社会の期待でもありますし、或いは日本の国益にもなることですから。世界中で、日本がこの補給活動に従事するということに反対している国を、私は知りません。強いて言えば、北朝鮮の労働新聞が反対の意向を表明していたようですが、それ以外の国、私が会う全ての政府関係者から期待を表明されていますし、それから、私の知っている今申し上げた北朝鮮の新聞以外の全てのマスコミ、日本のマスコミを除いて国際社会のマスコミが期待を表明しているということですので、何で国内で反対が強いのかなと思いますが、是非とも国会でこの法律を成立させてもらいたいというのが、今の私の気持ちでございます。
 これが成立した暁には、海上自衛隊に淡々とこの仕事をして頂く、それと同時に前々から言っている車の両輪、人道復興支援、政治プロセスの支援、DDR(元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰)で成功した、そして、これからDIAG(非合法武装集団の解体)等も日本が中心になって行っていくということで、或いは農業支援、道路網の支援、或いは教育の問題、保健の問題、これをお手伝いすること等も精力的に行っていきたい。これは何も法律を作らなくては出来ないという話ではありませんから。自衛隊を動かすのには法律がいるからこの問題を法律にかけていたので、法律を作らなくとも出来る部分については、今まで色々困難な条件の下でも1400億円という世界第2位のお金を出して支援をして来ました。そして、そういう状況の中で、治安の問題については、まだまだ問題を残しておりますが、特にアフガニスタンの国民生活が少しずつ良くなっているというのは、昨日の審議の中で述べた通りであります。難民も500万人が帰還しているということですし、経済成長も10%、就学率もずっと上がっている、特に女性の就学率は0%だったのが、35%程度になっています。悪い面にだけ目を向けるのではなく、こういう民生が向上しているという良い面にも目を向けて、そして明日、更に良くなるように日本政府としては努力していきたいと思っています。このことは法律が通る、通らないに拘わらず進めていく訳でありますが、出来れば二本柱ということで両方行える状況になってもらいたいと思っているところです。

(問)新法の成立を各国、諸外国にどういう形でアピールしていくお考えなのでしょうか。また、自衛隊派遣の恒久法の必要性についてのご見解を改めてお聞かせ下さい。

(外務大臣)新法の成立については、各国とも関心を持って見守っていますから、当然知ることになると思いますが、それぞれの外交ルートを通じて正式には知らせることになると思います。
 恒久法については前から言っていますように、いつも特措法で泥縄式に行うのではなく、恒久法があった方が良いということはあると思います。その中で恒久法、法律というのは成立しないと意味がないことでありますから、成立させるために野党とも色々話をしていかなければならない訳です。民主党の対案と称するものについて、私はほとんどの部分について法律がなくても出来るもの、あっても自衛隊の関係については実際に何も出来ないことでほとんど意味を認めません。ただその中に、武器使用について非常に積極的な面が見られたということは、これから恒久法を論議する上で有意義かなと思います。自民党はそういうものを先に出した場合、民主党が本当に賛成してくれたか分からないようなものを民主党が出してくれたということは、有意義かなと思います。与党内部でも色々話していかなくてはいけないこともあると思いますが、そういう感じは持っております。
 それから現時点では、自民党と民主党の間で、国連決議というものの扱いを巡って、一見越え難いようにも見えるところがあるのですが、こういうことは話し合っている内に何とかなるということも有り得ることで、恒久法を作って積極的に国際的に貢献していくということは必要なことだと考えています。

(問)時期の目処は通常国会にも出したいというお考えですか。また、民主党との協議はどのような形で行っていくのでしょうか。

(外務大臣)それは分かりません。そこまで私が踏み込むのは、僭越だと思います。

(問)給油活動を巡って、給油の実態が不透明だという指摘もあったと思うのですが、交換公文を作るにあたって注意して進める、外務省としての考え方というのはあるのでしょうか。

(外務大臣)基本的に補給する艦船は、海上阻止活動に関わる艦船であるということ、そして補給することが海上阻止活動に資する、役に立つ補給であること、そのために行うのですよ、ということを明記したものが必要であると思います。
 ただ、交換公文、交換公文と仰るけれど、一片の紙を作ればそれで解決するという話ではなくて、現場レベルまできちんと徹底させることが大切なので、そのことを幅広く努力していきたいと思っております。
 色々言われていたけれども、かなり大げさな指摘が疑惑と言われて指摘されていたのですが、私は防衛省の努力によって殆ど払拭された。私から見れば完全に払拭ですが、世の中の人から見ても、一部大げさに言われていたように、かなりの部分がイラク戦争に使われていた等、そういうことは完全に払拭されたのではないでしょうか。

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在中国大使館防衛駐在官の一時身柄拘束

(問)北京の駐在防衛官の話ですが、以前も類した事件、問題がありましたので再発防止策等も取っておられたと思うのですが、また起きてしまったなという印象を受けたのですが、どうお考えですか。それから、今後の対応についてお聞かせ下さい。

(外務大臣)大使館員たるもの、疑いを受けるようなところには、あまり出入りしない方が良いですね、ということは徹底していきたいと思います。それと同時に、強制的に拘束されたということではない訳ですが、中国側に念のために、ウィーン条約上、外交官の地位というものは、こういうものがありますよということは伝えてあります。
 ですから、我が方とすれば、疑いを受けるようなところには、行かない方が良いということを徹底させるということと、中国側には強制的に拘束した訳ではなく、任意事情聴取を受けただけだとしても、外交官にはこういうものがあるのですよということを念のため伝えておいたということです。

(問)本人から話を聞くために呼び戻す、或いはもう任期を切り上げて戻すということはお考えですか。

(外務大臣)それはこれからのことですから。

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北京五輪ハンドボールの予選やり直しについて

(問)オリンピックのハンドボールの予選の話で、今月中に東京で予選をやり直すという話がありますが、それについてアジアの他の3ヵ国、具体的には中東の3ヵ国が反対しているということで大分揉めているようですが、どうご覧になっていますか。

(外務大臣)外務大臣がコメントすべきことではないですね。

(問)中東との関係は、日本は比較的良い中で、中東は何を言っているのだというイメージが段々、テレビを見ている視聴者から出ているようですが如何ですか。

(外務大臣)人間の世界、どこでもドロドロしたものがあるのだなという感想は持ちますが、これについて現職の外務大臣が、こうすれば良い、ああすれば良いと口を挟むことではないというのが私の見解です。

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外務大臣会見記録(平成20年1月8日(火曜日)10時00分 ~ 於:本省会見室)

高村外務大臣のタンザニア訪問報告

(外務大臣)明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
 タンザニアに行って参りまして、外相、大統領等々と会談しました。大統領との会談では、TICAD IVに大統領が参加すると、その日程は自分の手帳に空けてあると確約を頂きました。そして、私から、ご自身が参加されるだけではなく、アフリカの各首脳に働きかけて欲しいと申しましたら、「勿論、それはする。 一人でも多くの人と一緒に訪日するようにしたい。」と言っておられました。
 私から発言したのではなくて、大統領から「国連安保理常任理事国入りは支持する。従来から支持してきたし、これからも支持する。アフリカ53ヵ国で反対する国は1国もないであろう。」と言っておられました。それと同時に、「ただ日本だけというのではなくて、アフリカからも常任理事国入して当然だろう。」と仰ったので、日本としても同じ意見ですと言っておきました。
 また、ケニア情勢について意見交換し、タンザニア側から色々とお話を伺いました。大統領候補が3人いた訳ですが、「三派からそれぞれ接触があり、相談を受けている。それは自分が全く中立だということが分かっているからだ。」と言っておられました。そして「今、ケニア国内の情報だけでなく、国際社会がどう考えているか、色々と情報を集めているところであり、落としどころは色々考えられるけれども、色々な落としどころをそれぞれが言うのではなくて、国際社会全体が一致した落としどころをアドバイスすることが大切であろう。だから、今色々と情報を集めているところであり、ケニアの三派から色々と話を聞いているところだ。」と言っておられました。タンザニア大統領の調停努力を日本としても全面的に支持していきたいと思います。それぞれ三派からタンザニア大統領の所に、それぞれの所から派遣されて人が来ているようでした。タンザニア訪問については以上です。

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TICAD IV

(問)今のお話の関連で、TICAD IVに参加を表明している国は多くないようですが、やはり元首レベルの出席をこれから強く働きかけていくのでしょうか。

(外務大臣)何人参加を予定しているか、それは事務方に確かめてみて下さい。詳細は把握しておりませんが、最低30人の首脳級には来て頂きたいと思っているところです。

(問)首脳級が30人ということですが、どうして30人なのでしょうか。

(外務大臣)全員に来いと言うのも、なかなか大変なことです。日本の総理があらゆる会合に出られますか。

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沖縄駐留米軍の移転経費負担

(問)沖縄に駐留している米兵のグアムへの移転に関連して、石破防衛大臣が、昨年12月10日の決算委員会で一戸当たり7000万円かかるということを明らかにされたのですが、日本側は59%負担することになっていますけれども、一戸当たり7000万円ということで、日米間で合意しているものなのでしょうか。

(外務大臣)そういう合意があるとは承知していませんが、主としてそれは防衛省の方で扱っている話ですから、私が不正確な知識で色々申し上げると、百害あって一利なしだと思いますので、防衛大臣にお聞き頂きたいと思います。

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イランにおける邦人の誘拐

(問)イランで誘拐された中村さんの事件から3か月が過ぎました。時折、本人から自宅に電話があるという話も聞いているのですが、今どの様な状況になっているのでしょうか。

(外務大臣)本人から自宅に電話が最近あるかどうかは把握しておりませんが、少なくとも日本政府が得ている情報では本人は無事であるということです。当初からこういうものは、早く無事に解決するのが一番良いに決まっている訳です。では、「早く」と「無事に」と、どちらがより重要かと言えば「無事に」の方がより重要なので、あまり早期解決を焦って強引なことはやってくれるな、無事に解決することが一番大切だと言ってきた経緯もあります。それにしても、長引いていることについては憂慮しています。

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日米平和・文化交流協会

(問)今、参議院の外交防衛委員会で日米平和・文化交流協会の議論が行われていますが、この団体は外務省が所管官庁ということで、外務省の管理責任というものは今まで為されてきたとお考えなのでしょうか。また、今後この団体に対してどのような監督・監視強化を行っていくのでしょうか。

(外務大臣)実施すべき事は実施してきたのではないでしょうか。大臣名で改善命令も出しておりますし、その改善命令の点については、それなりに行ってきたと思います。今、協会そのものの問題なのか、秋山氏個人の問題なのか、よく分かりませんから、今後どうするかということについては、それ程遠くない将来にまた外務省として検査を行うということは、あり得ると思っています。

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北朝鮮問題

(問)北朝鮮関連ですが、ずっと特に北朝鮮側と折衝に当たっていたヒル米国務次官補は、申告が遅れているとずっと言い続けてきて、日本側も基本的にその立場を支持するという形で進んできましたが、年始になって北朝鮮側が「既に申告は11月に行っている」と言っており、何故そういった齟齬、食い違いが出てきたのでしょうか。

(外務大臣)分かりませんが、私が想像するところでは、「こんなものでどうだろう。」と打診して、「そんなものでは問題にならないよ。」と言われたというのが本当のところではないでしょうか。「こんなものでどうだろうか。」と言ったところが、不正確、不完全極まるものだから、「それでは、どこの国も納得しませんよ。」という話になったと。だから、誠意をもって、完全かつ正確な申告が為されたことは、未だないというのは事実でしょう。

(問)北朝鮮側の言う11月の時点から、既に2ヶ月ほど経ちますが、北朝鮮側の態度は前進というか、より完全かつ正確なものに近づいているのでしょうか。

(外務大臣)前から言っているように、この申告の問題は北朝鮮が政治決断さえすれば、いつでも出来る話なのです。ですから、完全かつ正確な申告を行うという政治決断をしない限り、この問題については前に進まないということだと思います。3つの施設の無能力化の問題と違うことは、そちらの方はそれなりに作業を進めているけれども、安全性を考えているから期限に間に合わなかったという話ですが、完全かつ正確な申告を行おうとする政治決断を北朝鮮が行おうとするかどうか、これはオンかオフかに近い話なのです。

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外務大臣会見記録(平成20年1月6日(日曜日)午後)

1月6日午後、タンザニア訪問中の高村大臣は、キクウェテ大統領表敬後、ぶら下がりを行ったところ、概要以下のとおり。

冒頭発言

(外務大臣) 今、キクウェテ大統領と約40分の会談を終えて参りました。最初、大統領から歓迎の言葉がありまして、私の方から、ケニア情勢の対応で極めて忙しい時に時間を割いて対応頂いたことにお礼の言葉を申し上げました。キクウェテ大統領から、ケニア情勢について今、自分としてもいろいろ努力している、まず暴力を止めて話し合うことが先決であるという話がありました。
 それから日本の常任理事国入りに関し、(先方より)タンザニアは全面的に支持をする、タンザニアだけでなくてアフリカの中で反対する国は一カ国もないとそういう風に言っておられました。ただ、アフリカも常任理事国に入らないということはないはずだと言っておられたので、(当方より)日本としても当然アフリカからも常任理事国に入るべきだと思っているということを申し上げました。
 TICAD IVについては、(先方より)改めて自分(キクウェテ大統領)は参加する、その日の日程はちゃんと空けてあると言っておられました。私の方からは、ご自身が参加するだけでなく、他のアフリカ首脳にも参加を呼びかけて欲しいと言ったら、もちろん呼びかける、少しでも多くの人が参加するように呼びかけると言っておられました。
 日本のODAについては、(先方より)心から感謝する、これからもよろしく頼むというお話でありましたので、私の方から、アフリカに対する経済協力のタンザニアは最重点国の一つであり、その理由は、(タンザニアは)大統領のリーダーシップの下に民主化を進め、行財政努力を進め、内政的にも外交的にも安定的に取り組んでいる。それだけでなく、この地域全体の安定勢力として平和構築に努力しており、そういう国に対しては、我が国としてこれからも応援していくということを申し上げました。
 キクウェテ大統領が日本に来られた時に、当時の安倍総理に産業開発アドバイザーを派遣して欲しいという話があったわけですが、今月末には派遣を決めていると言ったら、「いや、1月28日に来ることになっているんだ。」と先方は良く知っておられました。
 また、北朝鮮の核問題の解決について、日本の立場を支持するということをおっしゃいましたので、核問題と拉致問題があるんだと申し上げたら、それについても全く立場を共有するということを言っておられました。

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質疑応答

(問)ケニアに関して具体的な打開策のようなものはおっしゃっていましたか。

(外務大臣)各派からここにもうすでに来た人たちもいるし、それからこれから来る人もいる。その人たちそれぞれに対して自分の考えている(思いを)アドバイスをするということを話しておられました。誰にどういうアドバイスをしたかというのはちょっと機微にあたりますので差し控えさせて頂きますが、それぞれの立場の人たちにそれぞれのアドバイスをすると、そして自分(キクウェテ大統領)の立場は中立であるとそういうことを言っておられました。そして何が何でもこの問題を収めてもらえると思うし、そういう風に希望すると、(先方は)おっしゃっていました。

(問)北朝鮮の件は、これは高村大臣のほうから特に言ったのではなく、向こうから出たのか。

(外務大臣)向こうから最初に話したとき核の話を解決しようとする日本の立場、努力を支持するという話がありました。それで核ともう一つ拉致があるんだと私(高村大臣)から(先方に)伝えた。

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外務大臣会見記録(平成20年1月5日(土曜日)午後)

 1月5日午後、タンザニア訪問中の高村外務大臣は、メンベ外務国際協力大臣との会談及びE/N署名式後、外務国際協力省において、ぶら下がりを行ったところ、概要以下のとおり。
冒頭発言

(外務大臣)私(高村大臣)の方から、日本の国内事情で、新年の最初の週末に訪問することになったにも関わらず、暖かく迎えてもらってありがたいということを申し上げました。
 外務国際協力省からは、日本からは長く色々と協力してもらっている、大変ありがたいと深甚なる感謝の言葉と、私を歓迎するとの言葉がありました。
 私としては、また、日本の外相として29年ぶりのタンザニア訪問であることを大変喜ばしく思っていることを申し上げました。それから、TICAD4については、大統領にお越し頂きたい、そして色々とご協力願いたいということを申し入れました。
 (先方(メンベ外務国際協力大臣)からは)そういう方向で検討しているが、正式には、明日、大統領自ら(参加の意思を)表明することになるだろうという話でありました。
 それから、外務国際協力省のほうから、日本の国連安保理常任理事国入りを、自分たち(タンザニア)は一貫して支持していると、これからも支持すると。タンザニアが支持すると言うことはタンザニア一国の話ではないと。東アフリカ20カ国、そして、アフリカ53カ国の支持に大きな影響がある。みんなが支持するように努力する。こういうことを言って頂いて、大変ありがたく思いました。
 ケニア情勢については、今、大統領がケニアの双方のトップに対して、色々と話をしていると。この問題は、なんとかいい方向に解決しなければいけないということを言っておられました。
 そして、AUとか、あるいは国際社会の調停努力について、日本とタンザニアが一致して支持していこうということで一致したわけであります。
 あとは、今E/N署名をした2件の案件でありますが、あの場でもちょっと申し上げたように、6.3億円の財政支援。これはあの非常に相手国政府のガバナンスに信頼がないとできない支援で、日本はだいたいプロジェクト毎に支援をしている。これを、このタンザニアに対してはやっていいだろうという判断をしたということです。
 これから、タンザニアに対する支援というのは、日本のアフリカ支援に対するモデルケースとしてやっていくことになるということであります。
 以上であります。

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質疑応答

(問)タンザニアからこれ以外に具体的な話はありましたか。

(外務大臣)色々ありました。道路の話とかたくさんありました。

(問)ケニアについては今後日本政府としてはどうするのか。

(外務大臣)国際的にやっていく話ですから、それに協力していくと。昨日も申し上げたように国内避難民に対する支援として20万ドル決定をしたところでございます。
 これからも色々な支援を考えたいと思いますが、あまりいろんな支援をしなくてもいいように早く解決してもらいたいというのが願いであります。

(問)開票作業をやりなおせという話もありますが。数をかぞえなおすとか。

(外務大臣)そういうことも含めて。そういうこと、開票作業をどうするかということも含めて、両者の話し合いを一刻も早く始めるということが重要である。というのが、日本政府の立場で あります。

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