記者会見

外務大臣会見記録(平成19年9月)


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外務大臣会見記録(9月29日 日中外相会談、日韓外相会談終了後)

 9月29日午前、高村大臣は宿舎インターコンチネンタルホテルにおいて記者会見を行ったところ、概要以下のとおり。

大臣冒頭発言

(1)日中外相会談
 楊潔チ中国外交部長と日中外相会談を行った。ちょうど35年前の本日、日中共同声明が発出されており、その記念日に外相会談が出来たが、お互いに戦略的互恵関係を目指していきたい、日中関係は今よい関係にあるが、さらに良い関係にもっていかねばならないという総論において完全に一致した。
 具体的な困難な問題としては、東シナ海の資源開発の問題については、自分(大臣)から、双方の立場を勘案し、共同開発のための具体的な提案を出してほしい、そうすれば、我が方も柔軟に対応する用意がある旨発言した。先方からは、双方がそれぞれ具体的な案を提出することを要請し、中国側はそれなりに具体的な提案をしているつもりであるとの発言があった。いずれにせよ、本問題は解決すれば双方の利益になり、解決しなれば双方の不利益になる、共同開発をすることについての双方の意見は一致しているが、どのように共同開発するかについては必ずしも一致しておらず隔たりがあるが、双方が懸命に解決のために努力することについては意見が一致した。次の機会に双方の距離が縮まることを期待している。
 ミャンマーについて、自分(大臣)より、ガンバリ特使の努力を皆が支持することが必要である、貴国はミャンマーに影響力があるので、良い解決のためにその影響力を行使していただきたい旨要請した。これに対し、先方より、中国はガンバリ特使の派遣に賛成し、またミャンマー側に同特使の受け入れをするよう働きかけた、いずれにしても、双方が自制して事態が改善することが大事である旨発言があった。
 安保理改革について、自分(大臣)より、我が方の立場について理解と支持を求め、また非常任理事国選挙に立候補しているので支持をお願いしたい旨要請した。これに対し、先方より、安保理改革についての日本の考えは理解しており、日本が国際社会でよい活動ができるよう望んでいる、非常任理事国選挙への支持は検討したいとの発言があった。

(2)日韓外相会談
 自分(大臣)より、1998年の金大中大統領(当時)が我が国を訪問されたとき、「日韓共同宣言」が合意されたが、当時、自分(大臣)は外務大臣として、案文作成に関わった旨述べたところ、宋ミンスン韓国外交通商部長官より、当時同長官も大統領外交問題秘書官として、同案文作成に関与したとして、お互いに「日韓共同宣言」がこれからの二国間関係の未来志向の出発点であり、日韓関係の基礎をなすものであるとして、互いに案文作成に関わった立場で、今後の日韓関係をつくっていきたい旨合意した。
 来週行われる南北首脳会談について、先方から説明があり、平和の問題、経済の問題、その他について話をする予定であるが、その中で韓国の拉致問題についても話をするので、その際日本の拉致問題についても言及する、また、南北首脳会談において大統領に随行した者を日本に派遣して、自分(大臣)に直接説明するようにしたい旨発言があった。自分(大臣)からは、拉致問題については、拉致被害者全員を日本に帰すよう、北朝鮮に求めてほしい旨要請、この問題が解決すれば、日朝関係は飛躍的に発展する、核問題、拉致問題、ミサイル問題が解決すれば、過去の清算もでき、国交正常化が可能となる旨説明し、そのために貴国にもよろしくお願いしたい旨発言した。
 また、六者会合については、先方より、核問題と拉致問題についての関係をどう考えるかとの質問があり、核問題、拉致問題、ミサイル問題が解決しなければ、国交正常化への道は歩めない、他方拉致問題が核問題の進展に足を引っ張るようなことは毛頭ない旨申し上げた。
 安保理改革について、自分(大臣)より、我が方の立場について理解と支持を求め、また非常任理事国選挙に立候補しているので支持をお願いしたい旨要請した。これに対し、先方より、安保理改革についての日本の立場を理解している、非常任理事国選挙への支持は検討したいとの発言があった。

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質疑応答

(問)日中会談において、六者会合、北朝鮮問題については話さなかったか。

(外務大臣)特に話は出なかった。

(問)日韓会談において、ミャンマーについては話さなかったか。

(外務大臣)ミャンマーについては韓国との間では話はなかった。

(問)日中会談において、首脳の相互訪問についての話は出なかったか。

(外務大臣)先方より、できるだけ早い機会に訪中してほしい、双方都合の良い時期に行うよう検討したいとの話があり、自分(大臣)からも、胡国家主席に来年の早い時期に訪日していただきたい、総理は訪中についてはできるだけ早く訪中したいとの希望がある旨延べ、先方からも同じ考えであるとの回答があった。

(問)薮中外務審議官をミャンマーに派遣するが、大使召還も含めた対応を検討するのか。

(外務大臣)それは今の状況で申し上げることではないと考える。これからミャンマー政府が事態の改善のためにどのような対応をするかを注意深く見守ることが大事である。

(問)中国は従来ミャンマーに対して慎重な対応であったが、本日の先方の発言から若干の変化が見られるか。

(外務大臣)中国も事態を大変憂慮しているということである。それぞれの国でそれぞれの対応があり、中国は中国として事態の改善を目指すことになると考える。

(問)民主化推進について中国の見解はどうか。

(外務大臣)中国は双方の自制を求めたい、との発言であった。いずれにしても、今の事態を憂慮しているとの見解であった。

(問)六者会合の草案づくりについて何か話は出なかったか。

(外務大臣)30分という短い時間であり、特に話は出なかった。

(問)大臣として、北朝鮮の核問題の次の段階についての見解如何。

(外務大臣)次の段階としては、無能力化、完全な申告が求められているが、いずれにしても、不完全な申告、無能力化も不完全なものにならざるをえないとの状況であるが、それでも次の段階の第一歩になればと思っている。

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外務大臣会見記録(9月28日 藩基文事務総長との会談後)

 9月28日、高村大臣は、藩基文事務総長との会談後、記者ぶら下がりを行ったところ、概要以下のとおり。

大臣発言

(1)事務総長と会談を行った。主な議題は、まず、ミャンマーの問題であった。私の方からガンバリ特使に対して全面的に支持を表明する、協力していくべき旨申し上げるとともに、更に先ほどミャンマー外相と協議したよう、ガンバリ特使がミャンマーに行く際には、ミャンマー政府の側から具体的な改善策を示すべきであることを申し上げた。これに対して、まず、事務総長の方からは、日本人のカメラマンが殺されたことに対してお悔やみ申し上げる、これから話し合いで解決していかないといけないこと、アウンサンスーチー女史を含めて民主勢力と政府の側との対話が必要であることを述べた。私は、事務総長の弔意の言葉に感謝申し上げる、事務総長の見解に全面的に賛成する旨述べた。

(2)事務総長の方から、日本のインド洋における海上阻止活動に対する燃料等の補給について高く評価する、是非今後も続けてもらいたい旨発言があった。これに対して私の方から、海上支援活動については、安保理1776でも評価されているし、また、事務総長からもそういう話があったので、給油活動が継続できるような法的基礎を作るように全力を尽くしていきたい旨述べた。

(3)自分の方から安保理改革について、今次総会のうちに何らかの成果を出すようにお願いを申し上げ、事務総長の方からは、日本は世界第2の経済大国であり、国連に対する資金協力も第2番目である、そういう中で日本の気持ちは良く分かる、更に、日本の国内で日本は国連にお金を出しすぎではないかと非常にセンシティブな意見があることも事務総長の方から述べたので、自分の方から、安保理のみならず安保理改革を含む国連改革、邦人職員については、数のみならずランクの高い人がいないこともあり改善が必要であるので、これについても配慮して欲しい旨述べた。

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質疑応答

(問)日本人カメラマンが亡くなったミャンマー情勢について、事務総長との間でどのような形で意見交換を行ったのか、また、事務総長からお悔やみの言葉があったということであるが、事務総長は具体的にどのような言葉が使われたのか。

(外務大臣)「同情とお悔やみを申し上げます、ご家族にお伝え下さい」との言葉であった。短い時間であったので、情勢についてはお互いに共通認識の下に、ガンバリ特使に頑張ってもらうということであった。話し合いによる努力を続けていくことが大事である、民主化プロセスが大事である旨述べ、自分の方からは事務総長に全面的に賛成する旨述べた。

(問)六カ国協議についての日本の立場如何。日本は六カ国協議において非核化に向けての何らかの合意を促す役割を果たすことができると思うか。

(外務大臣)もちろん北朝鮮以外の5カ国が一緒になって、非核化を慫慂していくことを続けていき、六者協議の中で次の段階に進むことを日本政府は強く願っている。但し、この問題は、事務総長との会談では議論はなかった。

(問)アセアンが共同声明を出したが、シンガポール外相との会談ではミャンマー情勢についてどのようなやり取りがあったか。

(外務大臣)シンガポールの外相がまさにイニシアティブを取って声明を発出したことを高く評価する旨述べた。また、シンガポール外相から色々説明してもらった。ミャンマーは自分たちにとって家族みたいなものである、家族の一人が急におかしくなってしまった、そのときに家族がどうするかについては我々も思い悩む、そういう中で声明を出した、家族であるミャンマーに上手くいってもらわないといけない、今の政権側とアウンサンスーチー女史が良く話し合ってこの状況を良くして、民主主義プロセスを進めてもらわないといけない。機微な話は申し上げられないが、大変参考になった。

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外務大臣会見記録(9月28日 日ミャンマー外相会談終了後)

 9月28日、ニューヨークを訪問中の高村大臣は日ミャンマー外相会談終了後、会見を行ったところ、概要以下のとおり。

冒頭発言

(外務大臣)只今、ニャン・ウィン・ミャンマー外相と会談をしてきた。冒頭自分より、平和的なデモに対して強圧的な実力行使を控えるように、かねてから申し上げてきたにも関わらず、正に、強圧的な実力行使が行われて、日本人カメラマンが死亡するに至った。大変遺憾であり、強く抗議する、そして、報道を見る限り至近距離で発砲されている、決して流れ弾ではない、真相解明を強く求める旨申し上げた。そして更に、これから邦人の安全を確保してもらいたい。平和的な話し合いで民主化プロセスを進めてもらいたい旨述べた。それに対して、ニャン外相は、日本人カメラマンが死亡したことは誠に申し訳ない(extremely sorry)と述べられた。そして、今デモが鎮静化しつつあり、自分達としても自制していきたいと述べた。自分(大臣)より、ガンバリ国連事務総長特使がミャンマーを訪問する際には、ミャンマー側が改善策を具体的に示せるようにしてほしいと述べたところ、ニャン外相より、すぐに自分は帰れないけれど電話で間違いなくきちんと伝えると言っておられた。
 自分より、薮中外務審議官をミャンマーに派遣するのでよく話しあってほしいと申し上げたところ、ニャン外相より、受け入れてよく話し合うと述べられた。

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質疑応答

(問)ミャンマー側は当初、長井さんが亡くなられたのは流れ弾であると言っていたが、それに対して、フジテレビ等の映像からは明らかに至近距離から狙ったものであると大臣は仰っていたが、それに対する反応は如何であったか。

(外務大臣)自分が映像で見る限り、流れ弾というものではなくて、至近距離から撃たれていると言ったことについて、肯定をした訳でもないが反論も一切その点についてはしなかった。

(問)それは認めたということで宜しいか。

(外務大臣)申し上げたとおり、反論はしなかったということである。

(問)大臣の方から、ミャンマー政権についての対応措置ということについて、何か言及をされたのか。

(外務大臣)対応措置は、強圧的な実力行使はすべきでない、平和的な解決を話し合いによって目指すべきである、そして、民主化プロセスを進めるべきであるということである。ニャン外相は、このデモは、国連総会時期を狙った外国の人達によって組織されたものだと述べられたが、仮に一部そういうことがあったとしても、ミャンマー人の間に不満が充満していなければ、これだけのデモは起きないということを考えてきちんと対応しなければいけない旨述べた。

(問)スー・チー女史の話は出たのか。

(外務大臣)アウン・サン・スー・チーという固有名詞は出なかった。

(問)薮中外務審議官はいつ派遣されるのか。

(外務大臣)30日に成田を出発する。

(問)会談は日本側からの要請か。

(外務大臣)日本側からの要請である。先方はこういう時期に会ってくれて有り難うございますと言っていた。

(問)今後、この事態が長引けば、ODAなどの経済措置をする考えはあるか。

(外務大臣)現時点で、原則新規のODAは供与しないということになっている。緊急を要する人道的なことや、特別なことだけになって、アウン・サン・スーチーさんが拘束された時点でなっている。そういう措置を日本政府は取っている。それに加えて更に強い措置をとるかということは、そういうことも視野に入れながら、今後もミャンマー政府がどんな改善策をとるのかということを含めて推移を見守っていきたいと思う。

(問)ODAの供与は今後止めるかもしれないという話はしたのか。

(外務大臣)そういう話をストレートにはしていない。

(問)更に強い措置とはどのようなことをお考えか。

(外務大臣)更に強い措置というのはあらゆる可能性がある。今自分が申し上げたのは、緊急の場合や、特別な場合意外には既に一般的に新規ODAは供与していないと申し上げた。更に強い措置とは、更に強い措置である。

(問)ミャンマー側には、更に強い措置を取るということは言ったのか。

(外務大臣)ストレートには言っていない。自分の態度で分かったと思う。

(問)アウン・サン・スーチーさんについてのやりとりはあったのか。

(外務大臣)アウン・サン・スーチーさんという固有名詞は出していない。ただ、民主化プロセスを進めてほしい旨述べた。

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外務大臣会見記録(9月27日(木曜日)10時36分~10時42分 於:国務省中庭)

(問)今回の訪米の意義とライス長官とのやりとりを詳しく説明して頂けないでしょうか。

(外務大臣)新しい内閣ができましたが、新しい内閣においても、日本の外交方針、日米機軸、そういう中で、世界に対する外交方針を展開していくということには変わりはないということを伝えるために、就任のその日に、成田を出発してやってきたということを申し上げました。
 それとちょうど気候変動についての会合をライス長官主催でやることについても、来年の北海道洞爺湖サミットでまさに主要議題になるわけで、日米で緊密に協力していきたい、日本の原則は、主要排出国が全部入るようにすること、柔軟な枠組みでやること、そして環境と経済成長が両立するようにすることですが、アメリカ側とそう離れていないと思うので、是非来年の北海道洞爺湖サミットについては協力してほしい、一緒に手を携えてやりましょうということを話し合いました。
 それから、ライス長官の方からは、イランの核開発をやめろということについて言われましたので、やはり国際社会が一致してイランに対して圧力をかけ、説得していくことが大切なんだということを申し上げました。
 北朝鮮の問題については、日本とすれば、核、ミサイル、拉致の問題を包括して解決して、そして日朝国交正常化につなげていきたいという希望をもっている、そういう中で、もしアメリカがテロ支援国指定を拉致の解決がないままに解除すると、日朝関係を進めていく上でも梃子がなくなるので、非常にうまくないことになる、そこはそういうことはしないでくださいと私から申し上げました。(ライス長官は)基本的に日本の立場はよくわかっているし、是非とも協力していきたいと話されました。

(問)ミャンマーは?

(外務大臣)ミャンマーの話は、ライス長官のほうから、平和的に活動をしている人たちに暴力をふるうということはとんでもないことだ、そういうことは国際社会で許されないということを一致してやっていかなくてはならないが、安保理でなかなか全会一致にならないというような話がありました。私としても日本人もカメラマンが亡くなったという情報に接して、これに対してはミャンマー側には厳しく接して物申していく考えであり、暴力というものはとんでもない、平和的に解決していくべきということを話しました。木村副大臣が外務省にミャンマーの大使をよんで、そういうことを話したということも説明しました。

(問)テロ(特措法)については?

(外務大臣)テロ(特措法)については、私たちは、11月2日以降、継続できるように、根拠法を成立すべく全力を尽くしているが、参議院で野党が過半数を持っているので、そうやさしいことではないが、全力を尽くす。それにあたっては、国会及び国民への説明のために米側より情報提供をお願いしたいと申しましたところ。それに対し、それはよく理解できるとライス長官はおっしゃっていました。

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外務大臣会見記録(平成19年9月26日(水曜日)16時07分~ 於:本省会見室)

挨拶

(外務大臣)これから、よろしくお願いします。昨日、官邸で冒頭に挨拶した通りですが、あまり繰り返しになっても仕方がないと思いますので、色々皆さんからご質問頂ければ、その中で、まだ十分な説明を省内で受けていませんが、答えられる範囲で答えさせて頂きます。よろしくお願い致します。

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高村大臣の米国出張

(問)まだ、国会の了解が得られていないようですが、大臣は今夜から米国に出発されるという話がありますが、国会の了承を得られたという条件で、行ってどのようなご予定があるのでしょうか。

(外務大臣)了解が得られれば、今日19時半の飛行機で行き、環境問題の会議に臨みたいと思っています。場合によっては、国連演説もして来たいと思っています。今、国対の方で鋭意調整して頂いていると承知しております。

(問)今回の訪米は、前々から検討されていたことなのか、それとも、就任されてわずかな時間ですが決定されたことなのか、どういう経緯なのかお聞かせ頂けますか。

(外務大臣)私は昨日就任したのですから、昨日聞いたのです。会議は元々ある訳ですから、これは日本の外務大臣が行かないより行った方が良いという状態が続いている中で、行けることであれば、行って欲しいということですから、私も行ける状態になれば行きたいと思っています。

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ミャンマー情勢

(問)ミャンマー情勢について、米国では経済制裁といった話も出ていますが、日本政府の対応は現時点ではどのようになっているのでしょうか。

(外務大臣)日本政府とすれば、ミャンマー政府に対して冷静な対応を促しているところであり、これから事態の推移を注意深く見ていきたいということです。

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北朝鮮問題

(問)北朝鮮問題について2点お伺いします。1点目は明日から六者会合に臨む姿勢を改めてお聞かせ頂きたいということ。もう1点は、米国議会でテロ支援国家指定解除に拉致の解決というものを加えるべきだという動きが出ましたが、これに対する大臣としての評価、この2つをお願いします。

(外務大臣)後の質問から言いますと、日本政府は一貫して米国に拉致問題を解決しない限り、テロ支援国家指定を解除してくれるなと言っている訳ですから、その日本政府と同じ方向の動きがあるということは、非常に結構なことだと思っております。
 六者会合に関わる我が国の姿勢ですが、それは核、ミサイル、拉致といったものを同時に解決する、そして、その上で過去の問題を清算して、国交正常化に向かうという方向に、六者会合の中で少しでも前進出来れば良いなという姿勢で臨みたいと思っております。

(問)そこの方針は、前体制と新しい高村大臣の体制は、基本的に変わらないのでしょうか。

(外務大臣)基本的に変わらないでしょうね。やはり、外交というのは、ある原理原則と状況対応ということがありますから、状況を見て対応する中で、それぞれ、実行する人間によって若干の差が出て来るかも知れない。それは何とも言えませんが、原則は変わらないと思います。

(問)新内閣が発足して間もないですが、総理から六者会合に臨むに当たって、何か指示があったのか、或いは対処方針について総理と話し合う、協議するような時間があったのか、その辺をお聞かせ願えますか。

(外務大臣)残念ながら、まだ協議するような時間はありません。福田総理もこの問題についてずっと、最近はともかく、携わって来た方です。私としても、最近、具体的に携わって来た訳ではありませんが、かなり前から色々携わって来た訳ですから、基本原則においては変わることはありません。

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WTO交渉への姿勢

(問)WTO交渉が大詰めを迎えていますが、それについて総理の方から何か指示はあったのでしょうか。

(外務大臣)特別な指示はありません。

(問)農業を中心に、凄くセンシティブな問題もあると思いますが、大臣の交渉の進め方に対するお考えをお聞かせ頂けますか。

(外務大臣)農業は非常にセンシティブですから、そのセンシティブなことは理解してもらいつつ、進めるべき点は進めなければいけないというのが、私のスタンスです。これも、外交は状況対応ですから、具体的なことを一つ、一つ調べながら、どこが譲って良い点なのか、どこは譲ってはいけない点なのか、そして全体的には進めなければいけないという話ですから、そういうことを考えながら行っていくということです。

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福田総理訪米に関する報道

(問)福田総理の11月の訪米を検討されているという一部報道がありますが、如何でしょうか。

(外務大臣)今、国会日程もまだ分からない中で、具体的に検討されているということはありません。ただ、日米の関係で何時か行かなければならない話ですから、これは訪米のみならず訪中時期も同じですが、探っているということは事実だと思います。ただ、具体的にいつ頃行くかといった検討に入るところまでは行っておりません。

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東シナ海ガス田問題

(問)日中関係ですが、東シナ海のガス田の問題の協議について、大臣はどのような姿勢で臨んでおられますか。

(外務大臣)これは、戦略的互恵関係ということを両首脳が言っている訳ですから、この問題について、双方が互譲の精神で解決すれば、両国民に対して正に戦略的互恵関係なんだなという確信を抱かせることが出来る問題だろうと思っています。ただ、では、すぐ解決するかと言えば、両国にとって、両国の原則論が違いますから、非常に難しい問題です。難しいけれども解決しなければならない、解決すれば両国にとって、お互いに利益を得るという問題だろうと思っています。

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高村外務大臣会見記録(平成19年9月25日(火曜日)20時16分~ 於:官邸会見室)

挨拶

(外務大臣)外務大臣を拝命致しました高村正彦でございます。
 日本の平和と独立を守り、その上に繁栄した日本を作っていく、これは日本の国益であり、外交を通じて追求していきたいと、このように思っております。そのために日米同盟を更に堅固なものにして、国際協調をきっちりやっていく、そして近隣諸国とは関係改善を更に進めていくことが必要だろうと思っています。
 テロとの闘いは国際社会全体が取り組まなければならない問題で、国際社会から大いに評価され、日本の国益にもなる海上自衛隊の補給活動が続けていけるように今後も努力して参りたい。北朝鮮関係ですが、核・ミサイル・テロを解決して、国交正常化を果たすことで更に努力したいと考えております。来年はTICAD、G8サミットが日本で行われますが、こういうことにも日本のリーダーシップを発揮していきたい。そういうことの前提として、外交実施体制を更に強化していくことが必要だと思っています。

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テロ特措法

(問)テロとの闘いに関する新法ですが、安倍内閣では、衆院の3分の2の再議決をしてでも、という方針がありましたが、福田内閣の下でどのように取り組むのでしょうか。

(外務大臣)我々は、今後とも継続出来るように努力していきたいと思います。それに民主党が理解して下さって、一致して法律が成立すれば一番良い、そういうことでありますから、何れにしても、法律が成立するように最善を尽くします。

(問)インド洋での給油活動の新法ですが、防衛大臣在任中は国会承認は必要ないという趣旨の発言をされていましたが、福田内閣の一員としてもこの考えに変わりはないでしょうか。

(外務大臣)私は国会承認が必要ないということを言った訳ではなく、その頃、どういう新法を作るかも分かっていない時に、国会承認を削除するとすれば、削除しても良いような、それでもシビリアン・コントロールがはっきり保てるような、そういう新法を作るということでしょう、とこのようなことを申し上げました。
 色々な選択肢があって、その中でこれをするというのであれば、新たな国会承認が必要になってくるかもしれませんが、法律そのものが国会承認に代わるような、これをするのだという特定したものが出来る場合には、必ずしも国会承認がなくとも、シビリアン・コントロールという意味から問題ないのではないかと、その時点で、一般論として申し上げた、こういうことです。

(問)臨時国会の会期を延長してでも、この臨時国会で成立を図るという考えでしょうか。

(外務大臣)臨時国会で成立出来れば、それがベターです。延長しないで成立出来たらもっと良いでしょう、ということです。仮に中断するとすれば、中断の期間は出来るだけ短い方が良いということです。

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外相就任について

(問)防衛大臣から外相への横滑りですが、ある程度は予想されていたのでしょうか。

(外務大臣)テレビが皆、そういうことを伝え始めてから、「そうなのかな」と思った程度です。

(問)外相、防衛相とも再登板ということで、人材が不足して来ている印象を受けますが如何でしょうか。

(外務大臣)人材は不足していないでしょう。自民党には十分人材が沢山いると思います。ただ、自民党はある意味で、崖っぷちということになりましたので、かつてやったことのある人間に、しかも、国会開会中に変わるという条件のもとでは経験者が良いと総理が判断されたのではないでしょうか。普通の条件で内閣改造が行われた時は、幾らでも人材がいると思っています。

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北朝鮮問題

(問)北朝鮮問題で、「対話と圧力」と言われていますが、どのようなバランスで行っていくべきだとお考えでしょうか。

(外務大臣)どのようなバランスというのが非常に難しいですが、その時その時の状況に対応してちょうど良いバランスで行っていくということです。

(問)これまでは圧力が前面に出ていましたが、それについてはどのようにお考えですか。

(外務大臣)要するに、どちらに重きを置くかというのは、その時その時の状況でありますから、米国その他の国が一緒になって圧力を加えてくれそうな時と、そうでない時では若干違ってくるかも知れませんし、あらゆる状況を見て、その中でバランスを考えていきます。

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政治資金収支報告書

(問)政治資金収支報告書への領収書添付について、どのように公開するべきとお考えですか。

(外務大臣)これは内閣の人間があまり申し上げない方が良いと思っています。皆で決めてくれれば、それを守るというのは政治家として当然です。

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福田総理からの指示

(問)大臣就任にあたり、福田総理から何か指示はあったのでしょうか。

(外務大臣)瞬間的に紙を渡されて、言わなくても良いでしょうが、こういうことをして下さいと言われました。しっかり読む時間もなかったのですが、ただ、私が会見冒頭で述べたようなことが含まれていたと思っております。

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町村外務大臣会見記録(平成19年9月25日(火曜日)9時42分~ 於:本省会見室)

閣議

(外務大臣)今朝は安倍内閣最後の閣議でした。内閣総辞職ということです。総辞職に先立って私から、22~24日までニューヨークでイラクに関する閣僚級会合、アフガニスタンに関するハイレベル会合、それから潘基文(パン・ギムン)国連事務総長、カルザイ・アフガニスタン大統領、ライス米国務長官、クシュネル仏外相、モッタキ・イラン外相等々と個別に会談を行い、私どもが今、インド洋で行っている海上自衛隊の活動についてそれぞれ高い評価を受けると共に、その継続が期待されたということを御報告しました。
 内閣総辞職に当たっての総理大臣談話は、別途官房長官からお話があろうかと思いますけれども、教育基本法改正ですとか、憲法改正のための国民投票法の制定、あるいは防衛庁の省昇格、そして主張する外交、戦後レジームからの脱却、美しい国づくり、こうしたことで全力を尽くして来た。ただ、職責を全うすることが出来なかったことについて、国民の皆様方に心よりお詫びを申し上げるという趣旨の総理大臣談話がありました。
 総理のお話の後、冬柴大臣が閣僚一同を代表して感謝の言葉を述べ、また、伊吹大臣から涙ながらに御礼の言葉を述べるという一幕もありました。総理の様子は、昨日テレビで拝見した通りでした。大変残念な思いをしておられるのだろうなと、私自身も側で見ておりまして、強く感じました。
 外務大臣としての会見はこれで最後になりますが、大変お世話になりましたことを御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

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在任期間についての感想

(問)大変短い在任期間でしたが、それに対する受け止めと、現在、報道では今日にも発足する次期内閣では官房長官という説も挙がっていますけれども、これに対する受け止め等、ご心境をお聞かせ下さい。

(外務大臣)次の内閣のことは、今日の夕方6時過ぎくらいからはっきりしてくるだろうと思いますので、それまでは私は特に申し上げることはございません。
 本当に1ヶ月、8月27日に着任して今日は9月25日ですから、文字通り1ヶ月しかなかった、極めて短い、戦後もっと短い内閣があったのかどうか、私はつまびらかではありませんが、本当に短い期間であったなと思います。正直言うと、これでは仕事が十分出来るはずがないと思います。しかし、残念な形で内閣が終わってしまったなという思いが強くしております。
 特に外交は、色々な課題を抱えている最中ですから、腰を落ち着けて仕事をしなくてはいけない。諸外国を見ても内閣が変わっても外務大臣は変わらないという国もかつて随分あったということですから、そういう意味で私は幸い2年前やっておりましたので、この間の国連の色々な会議に出ても、多くの外務大臣から「Welcome back」と言われるのですね。大変有り難い挨拶をしてくれるなと思いましたが、やはり顔馴染みでないと、色々な会議で初めて顔を合わせて「初めまして」と言っても、なかなか話が通じない訳です。そういう意味からも、小泉元総理が「一内閣一閣僚」と言われたのは、私は本来そうあるべきではないのかなと思いますが、なかなか日本の政治風土ではそうもいかないという面もある訳です。
 いずれにしても、1ヶ月という大変短い間でしたが、その中でも印象に残るのは、シドニーでのAPECでの会談です。外務大臣としても相当精力的に色々な方々と会って、会議に出たりもしました。あまり報道されなかったのですが、安倍、ブッシュ、そしてハワード3人の首脳による初めての日米豪首脳会合は、朝食を共にしながら行われたのですが、あれは非常に良い会談だったと私は思っております。詳細を申し上げる部分は少ないのですが、会話の半分とまではいきませんが、半分近くは安倍総理が語っておられました。多分、ハワード豪首相はホストということで控え目だったのかもしれません。ブッシュ大統領も半分以上お話になっていました。私はその時の安倍総理のやりとりは、誠に見事であったと強く印象を持ちました。実に堂々とした、また当意即妙な受け答えをしておられたのが私にとって大変印象的でした。従って、それだけに帰国して所信表明をなさり、すぐお辞めになるというのは、どうも私の頭の中ではつながらないのですが、そういう意味からも大変、御本人が何と言っても一番残念だろうし、自由民主党の一員としても残念なことだという思いがしてなりません。本当にその時も、日米首脳間で「晋三」、「ジョージ」という感じで話し合える仲というのが、折角出来たのになという思いが強くしたことを今でも印象深く思っています。
 APECと今回の国連、現地滞在26時間、飛行機に乗っているのが26時間という、半分くらいは飛行機に乗っているような出張でしたが、それでも短い期間の中で、「テロとの闘い」の重要性、継続への期待というものを強く、マルチの場でも、バイの場でも確認出来たのは良かったと思いますし、そうした意味での国際的な期待というものを、是非民主党の皆さん方にも理解してもらいたいと思っております。
 また同時に、これは先般どこかの新聞で東大の山内先生が、「これは日本の国益なのだ。インド洋の平和というのは正に日本の大動脈ではないか。それを守るために、それを平和の海にするために、あのオペレーションも実質的には機能しているということも併せて考えて、これは日本の国益に合致する」ということを書いておられました。そういう色々な側面から見て、この自衛隊による海上補給活動というものは、是非継続しなければいけない活動であるという確信を、今回ニューヨークに行きまして、改めて思ったところです。

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自民党4役の人選について

(問)党関係で恐縮なんですが、昨日4役が決まりまして、伊吹さんの幹事長就任が非常に我々にとっては驚きだったのですが、町村大臣はこの点、ある程度予想されていたのか、或いは意外だったのか、人選の思惑といいますか、侠客として選ばれたのではないかとも思いますが、その辺りはどうなのでしょうか。

(外務大臣)ベテランの政治家ですから、彼は何でも出来る人です。勿論、政策を語らせてもピカいちですし、色々な折衝をやらせてもピカいちですし、文部科学大臣として教育基本法の改正の鮮やかな応答ぶり、応答のみならず色々なところへの根回し等含めての優れた仕事ぶり、そしてその後の教育改革三法の成立、国会対策も出来る人という意味で、オール・ラウンド・プレイヤーだと、同じ昭和58年当選同期の身びいきを少し差し引いてみても、十分立派な幹事長になられる方だと私は確信しております。

(問)福田総裁とは前からお親しいのでしょうか。

(外務大臣)それは、どちらかの方に聞いて下さい。私にはよく分かりません。

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対北朝鮮外交

(問)福田新政権になった場合、対北朝鮮外交の路線変更もあるかという予測もありますが、そこについて次への注文なりご意見等があれば教えて下さい。

(外務大臣)それは、改めて新政権が出来て、新総理がどういうお考えであるのかをよく伺って、進めなければならないと思っております。ただ、基本的に「圧力と対話」小泉内閣から、そういう姿勢で臨んでいるのは変わりがないと思っています。段々、六者会合も今、第2フェーズに入るかどうかというところに差し掛かっている訳ですから、ある意味では重要な時期を迎える、そういう際に新しい総理大臣として、内閣全体として拉致問題を含めて如何に取り組むのかということは、大きな課題であるとは認識しております。

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外務大臣会見記録(平成19年9月23日(日曜日)9時52分~ 於:米国・ニューヨーク)

大臣発言

(1)クシュネール・フランス外務大臣と話をしました。ちょうど今月、フランスは安保理の議長国ということもあって、日本の海上自衛隊のインド洋上での活動を高く評価して先般の決議に賛成したという話でございました。テロとの闘いをしっかりこれからも一緒にやっていこうという話がありました。

(2)中東問題全体について幅広い意見交換を行い、日仏で協力していこうという話でした。

(3)安保理改革につきましても、日本が正当な役割を果たせるように今後互いに協力していこうという話をしました。

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質疑応答

(問)自民党総裁選について、麻生さんが200票近くとって事前の予測よりもかなり善戦したという見方が党内で強いようですが、この結果についてどのように見ていますか。

(外務大臣)そういうふうに見るのが普通なんだろうと思います。もっとも、1年前の安倍さんの選挙のときも、だいたいこれくらいの票が取れるかなあと思っていたのに対して実際はその8割くらいの票でした。ですから、今回、福田さんが議員票で300を超えるかと言われておりましたが、だいたいその8割程度の票を取ったということで、ある意味では、予想される範囲内での麻生さんの善戦ということだったのではないでしょうか。

(問)大臣は新政権でも留任されるのでしょうか。

(外務大臣)それは福田さんがお考えになることだと思います。私がどうこう言う話ではございません。

(問)この選挙結果を受けて、人事構想は変わると見るのが普通なのでしょうか。

(外務大臣)率直に言って、福田さんとしては、ゆっくり考える時間がないまま投票日を迎えたわけでしょうから、率直に投票結果を見ながら、今最終案を固めているところではないかと思います。

(問)選挙の結果を受けて、福田さんと何か話をされましたか。

(外務大臣)福田さんとは、こちらの今朝、電話で話しましたが、中身は申し上げられません。

(問)フランス外相との会談のことですが、インド洋上の日本の活動について、具体的にどのようなことまで期待感が示されたのでしょうか。

(外務大臣)クシュネール外相は日本の給油活動をよくご存じであり、多くの国がそれぞれの役割を果たすことがテロとの闘いの上で非常に重要であるとおっしゃっていました。そう意味で、日本の給油活動を非常に高く評価しているし、今後も、是非協力してもらいたいという話がありました。

(問)大臣からはどのようにお答えですか。

(外務大臣)私どももそういう思いでこれからも努力していくという返事をしました。

(問)アフガニスタンにおいて日本の陸上自衛隊を展開するということについて支援要請はされたのでしょうか。

(外務大臣)そういう期待感までは示されませんでした。

(問)イランついて、具体的に何か言葉を交わされましたか。

(外務大臣)イランの問題はフランスとして大変関心を持って取り組んでいるテーマでありますので、私からは、昨日のイランのモッタキ外相との会談の内容をお話ししました。おそらくクシュネール外相も数日中にモッタキ外相と会われるのではないかと思います。この問題については、EU全体として大変関心を持っていただいているようです。今後具体的にどういう展開になるのか、今ここで中身を全部申し上げられませんが、色々なお考えを持っておられるということが分かりました。

(問)自民党総裁選ですが、選挙結果を踏まえて、麻生さんは要職で起用されるべきだとお考えですか。

(外務大臣)人事のことは、福田さんがお1人でお決めになることだと思います。

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外務大臣会見記録(平成19年9月22日(土曜日)19時50分~ 於:米国・ニューヨーク)

日米外相会談

(外務大臣)

(1)まず日米外相会談をしました。考えてみると、9月7日にシドニーで会談をしてから2週間ちょっと経って、またライス長官と30分ぐらい話をしました。私の方からは、新政権が近々できる訳だけれども、日米同盟を外交の基軸とするという日本政府の基本方針というものは変わりがないということを伝え、日米同盟の一層の強化のために引き続き真剣に取り組んでいくということをライス長官に伝えたところであります。

(2)テロとの闘いでありますけれども、ライス長官の方から、「海上自衛鑑による給油支援活動がテロとの闘いにとって不可欠である。そういう意味でISAF(国際治安支援部隊)のマンデート延長決議が通ったのはとても良かった。ロシアが棄権したのは日本の事情であるかのごとき報道ばかりが出回っておりますが、決してそうではない。」という発言がありました。どういう事情かということになりますが、これは当地の国連の関係者に大体等しく共有されている認識でありますけれども、ドイツの国内手続きがあって、ISAFの延長の決議ができるだけ早く要るとのドイツの事情を反映して安保理での採決を急いだ、それに対して一部の国で不満があったということであるという風に私は理解をしているところであります。日本には野党の反対という難しい問題はあるけれども、引き続き給油支援活動が出来るように努力をしていく考えであるということを私から申し述べたところであります。

(3)北朝鮮問題についても議論致しましたが、新政権の下でも、核の問題とともに拉致の問題も解決して日朝関係を進展させていくという立場に変更はないということを申し上げておきました。先方からは、日米関係を犠牲にして米朝関係を進める積もりはないという従前からの話があったところであります。また、来週27日から、北京で開かれる六者会合の中で、多分「次の段階」というものについての考え方が議論される訳でありますけれども、それがどういう意味内容であるのかということについて、日米間で共通の理解を得たところであります。

(4)質疑応答

(問)先ほども日米外相会談でご説明頂いたように、北朝鮮との関係についてですね、日米関係を犠牲にしてまでは、ということですが、これはテロ支援国家指定解除についてですね、拉致問題を排除するというようなことはなく、拉致問題の進展を考慮するというのがライス国務長官の話だと思うのですが、大臣としてはどうお考えですか。

(外務大臣)ちょうど隣にヒル国務次官補も座っておられまして、ヒル次官補も毎回の会合で自分はこの拉致問題にしっかり北朝鮮が取り組まなければ、六者会合全体として良い結論が出ないのだということは、毎回必ず自分からも北朝鮮に強く言っている、という話をしておられました。そういう意味で、それは一体のものとして考える、もちろんテロ支援国家指定というものは、アメリカにはアメリカの基準があるということは分かっている訳でありますが、全体として日本の拉致問題も考慮に入れながら、そこは考えていくという風に私どもは理解しております。

(問)日本政府としては米朝関係がどうしても先に進んでいるという報道もあるのですが、ここは、ある程度、今日日米関係というのは非常に特別だと確認できたのでしょうか。

(外務大臣)何度も何度も、例えばそれはキャンプ・デイビッドで安倍首相とブッシュ大統領との話し合いの中でもそういうことが確認をされているので、今回特に何か新しいことを確認したという積もりはありません。

(問)給油活動の継続については、新法を臨時国会に提出するという具体的な話はありましたでしょうか。

(外務大臣)新法という言葉は使いませんでした。けれども、これはもう国内的に両候補とも新法ということを言っておられますから、その基本方針は別に何ら変わらないと思いますので、今日はあえて新法でいくという話まではしませんでした。

(問)テロとの闘いに限らず、ライス長官の方から新政権に期待することということで、何かお話はありましたか。

(外務大臣)特に何か目新しい話があったとは思いませんね。日米の個別の問題については前回シドニーで相当色々な話をしましたから、今日は日米間の固有の問題についてはそんなに時間をかけて話をしませんでした。

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イラクに関するハイレベル会合

(1)それから、イラク・ハイレベル会合でありますが、だいぶ予定が延長されて長く会議が続きました。潘基文国連事務総長とマーリキー・イラク首相の共催という形でありまして、国際社会で一致してイラク復興支援を継続していこう、その場合、国連がイラクにおいて一層大きな役割を果たしていくことになるであろうといったようなことで、多くの国が同様の発言をしておりました。

(2)質疑応答

(問)イラクのハイレベルの会合ですけれども、その場では大臣はどういうご発言をされたのですか。

(外務大臣)これまで日本がイラク復興に向けて資金協力の面、あるいは自衛隊の派遣といったような面、色々な面で日本は協力をしてきたし、これからも協力をしていくという決意を述べました。そして8月10日に、国連安保理決議第1770号が出た訳でありますが、その前提としてこの5月にイラク・コンパクトというイラクと関係国との間のある種の契約といったようなものが出来上がった。それに基づいてバランスよく幅広くいろんな問題が取り上げられている、それをサポートする決議も出ているということで、その決議を日本も支持しながら、イラクの復興に日本としても引き続き努力をしていくし、また、国連が今まで以上に大きな役割を果たしていくという国際社会のほぼ一致した意見であったと思いますので、その方向性を日本も支持するという発言をしました。

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日イラン外相会合

(外務大臣)その後、イランのモッタキ外務大臣と30分くらい話を致しました。国連の会議室で行いました。モッタキ外相はかつて東京で大使をなさっていた方でありますので、大変親日的な方でありますが、イランのウラン濃縮活動を停止することを始めとして、国際社会の信頼回復に向けて一層努力をする必要があるということを私の方から申し上げました。イランはイランで、今この問題、国連から既にもう2回決議が出ている問題でありますから、なかなか従前の主張を変えることができない、自分たちはもう十二分にIAEAとの話し合いを行っているのということを盛んに言っておられまして、なかなか答えが一致する問題ではなかったのかなと思います。以上であります。

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テロ特措法

(問)給油活動の延長の関係ですが、「謝意」決議採択の中でありましたが、給油のイラク戦争での流用疑惑があるということで、民主党は結束して反対する構えであるという話がありますが。

(外務大臣)疑惑なるものの実態が必ずしも定かではございませんが、そこのところは、きちんきちんとした手続きに基づいて米国の船に日本は給油していると実態があることは確認しておりますから、何か別のことに使ったのではないかということはないのではないでしょうか。その辺は、よく実態を防衛省と米国の国防省との間で話をして、疑問がないようにしていく必要があるのだろうと思っております。

(問)給油支援問題について、現実問題、国会の会期がまだ1ヶ月以上ありますけれども、11月の期限切れに間に合わないのではないかという見方が大勢を占めていまして、それについて具体的に米側とどう話しているかはあるでしょうけど、それを前提としたお話をされているのかとか、理解を求めていくのかとか、その辺はどういう風にお考えでしょうか。間に合わせたいという風には思われているのだとは思いますが、たぶん間に合わないのではないかと。

(外務大臣)今は、これから法律を出して議論をして頂く時にね、いついつまでにはこの法律は上がらないであろうということを予測して説明することは、誠に国会を侮辱するものであるという考え方がありますからね。我々としては一刻も早く衆議院参議院で可決成立を願いたいという気持ちしか述べようがないですね。現実のオペレーションとしてアメリカあるいはその他の国々に給油をしている訳ですから、現実の支障が発生してはいけない訳で、そういう意味で、仮に法律がそれまでに決着が付いていないことを想定して、ある種事務的なオペレーション上の話をしていることは、オペレーション・レベルではあるのかも知れませんけれども。そのことは直ちにこの法案の審議に影響を与えることはないと思います。

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安保理改革

(問)今回、潘基文事務総長やライス長官との会談の中で、安保理改革については何かお話がありましたか。

(外務大臣)安保理改革の話は当然私の方から致しました。事務総長にはですね、ちょうど私が2年前に外務大臣をしていた時からの、2005年という一つの節目の年でね、ずっとそういう国連の中での議論が盛り上がった時でありました。それ以降何ら変化がないのは残念なことだし、引き続き事務総長のリーダーシップを期待すると言うことを申し上げました。
 ライス長官にもその話は致しました。幾つかの案を、幾つかというか、過去何度か具体的な案をアメリカ側に提示したり、アメリカ側の反応なり考え方を求めたりしている訳でありますけれども、日本が常任理事国になることは支持するということは毎回おっしゃる訳ではありますが、それだけでは案にはならないので、もう少し幅広いコンセンサスが得られるような案がないものかということで、日米間では議論をし続けている訳であります。今回の会談の中でどう取り上げられたか、ということについては、詳細は申し上げることは差し控えたいと思いますが、話をしたことは事実であります。

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内政

(問)国内のことですが、日本ではまもなく新総裁が決まりますけれども、福田さんが有力視されている中で、昨日の報道では、大臣が留任することになったという報道もありましたけれども、福田さんからそのような話を受けていらっしゃいますか。

(外務大臣)全く受けておりません。あれは多分誤報じゃないか。ずいぶん思い切って書き飛ばすなとびっくりしております。

(問)こういうテロ特措法の延長ですとか、北朝鮮問題をご自身の手で解決に向けて決めていきたいとの思いはありますでしょうか。

(外務大臣)これは日本国にとって、日本国政府全体にとって、国家にとっても重要な問題でありますから、そういう意味で解決に向けて努力をしたいという思いは当然強くあります。
 どういう役割に就いているかということについては、新しい総理総裁がお決めになることで、私が決める訳ではございませんから、今の時点で慎重に、あれからもう約1日経ちましたから、もう少し変わったかも知れないですけれども、少なくとも某新聞社が書いた時点で、福田さんがこのポストは誰と決めているということは全くないと私は思います。

(問)内政問題ですが、安倍政権での人事の反省を踏まえてですね、どういう人事がなされれば好ましいのかについて個人的な意見をお願いします。

(外務大臣)これは、福田元官房長官も言っておられますが、もう国会が既に始まっているという状況でありますから、たぶん全面的に大幅入れ替えということにはなかなかなり辛いということは言えるのではないかと思いますが、何をもって大幅というか小幅というかは分かりませんしね。安倍内閣時代の反省というのか、今、反省と言われたけれども、それは組閣をする人の考え方ではないですかね。やっぱり、今一番はとにかく会開会中であるというところはどうしようもない1つの所与の条件ですからね。その中で、まず考えるということではないですかね。

(問)主要閣僚は替わらないということでしょうか。

(外務大臣)それはよく分かりませんね。そういうと某紙の記事通りということになってしまうではありませんか。結果としてそうなるかは私は知りませんよ。少なくとも昨日の時点では決めていないということは言えるのではないかと思います。

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外務大臣会見記録(平成19年9月22日(土曜日)15時00分~ 於:米国・ニューヨーク)

 9月22日、第62回国連総会の機会に開催される国際会議出席のために米国ニューヨークを訪問した町村大臣が国連本部内にて約5分間ぶら下がり会見を行ったところ、概要以下の通り。

潘基文国連事務総長との会談及びカルザイ・アフガニスタン大統領との会談

(問)潘さんと会談されまたけれども、特に給油活動について大臣からどういうことをおっしゃったのか、また潘さんからどういうことを言われたのでしょうか。

(外務大臣)潘さんからは日本の給油活動を高く評価し、感謝をしているという大変心強い、力強いメッセージがございました。実はここに来る前にアフガニスタンのカルザイ大統領とも会談がございました。カルザイ大統領からも日本の復興支援及び洋上の給油活動、これはカルザイ大統領個人というよりはアフガニスタン国民全体を代表して感謝をしているという言葉がございました。

(問)今、潘さんから感謝という言葉ですけれども、活動の継続に対しての期待感というのは示されましたでしょうか。

(外務大臣)引き続きその活動をよろしくお願いしますという継続への期待もあわせて示されたところであります。

(問)カルザイ大統領から継続に関しては何かありましたでしょうか。

(外務大臣)はい。

(問)この問題に関して大臣の方からはどのようなことを潘事務総長に申し上げたのでしょうか。

(外務大臣)テロとの闘いは国際的に続いている訳でありますし、様々な支援、様々な分野でテロとの闘いが必要であるということであります。その具体例は、一番わかりやすい例はインド洋における給油活動ということであります。全力あげてやってきたいということを私から申し上げました。

(問)大臣から日本の国内情勢についてのご説明というのはされたのでしょうか。

(外務大臣)潘基文さんには、ちょっと時間がなかったのでそこまではしませんでした。カルザイ大統領には、参議院における逆転状況ということがあり難しい面もあるが、彼らを説得する努力をしますというお話は致しました。

(問)新たに採択されたISAFの延長の決議については何か意見交換なさいましたか。

(外務大臣)それぞれの方との話でその決議の中で給油活動、MIOの活動に評価をされたということ、そしてそれの継続への誓いということについて彼らとも私どもはきちんと理解をしているということを申し上げましたし、彼らもそのことはよく分かっているということであります。ISAFの決議という形で国際社会の一員として日本が果たすべき役割というものが非常にはっきりしたのだと思います。

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フジモリ元大統領のペルーへの引渡し

(問)フジモリ元大統領がペルーに引き渡されましたが、日本の外務省としてはどんなお考えをお持ちですか。

(外務大臣)チリへ出て行かれたのはまさにご自分の判断であります。そしてそのチリの裁判所の判断が下されたわけでありますから、確かに日本の国籍はお持ちではありますが、チリにおける司法手続きの決断について国としてコメントする立場にはないと私は思います。

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外務大臣会見記録(平成19年9月21日(金曜日)10時55分~ 於:本省会見室)

閣僚懇談会

(外務大臣)おはようございます。総理は出席されませんから閣僚懇談会という形になりました。案件として5人の大使の発令がありました。田中トルコ大使、加藤ウガンダ大使、山口コスタリカ大使、城田イラン大使、山中シンガポール大使ということでございます。9月末で色々な独立行政法人の理事長等の任期が切れるということで各大臣から発言がありました。我が方からは、国際協力機構理事長、緒方貞子さんが10月1日付で再任、同じく国際交流基金理事長、小倉和夫さんが10月1日付で再任ということでご了解を頂きました。
 官房長官からご報告があり、一昨日病院で総理に会われ、その後、主治医にも会われたそうですが、多分最後になるであろう9月25日の安倍内閣の閣議に出席されるかどうかは、よく医師団と相談して決めるという話がありました。

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安倍総理の病状

(問)安倍総理が9月25日の閣議に出席出来るかどうかは分からないということは、大分、病状が悪いという説明があったということでよろしいでしょうか。

(外務大臣)病状が悪いという説明はありません。医師団の判断だということです。

(問)最近のご様子について何か官房長官の方からありましたか。

(外務大臣)ありません。

(問)安倍総理は入院されて以来、国民に対して何も未だ仰っていないのと、総理辞任の日まで、例えば健康問題等言われている中で何もメッセージを出さずに辞めて行くのは如何なものかという意見もあるのですが、その点はどのようにお考えですか。

(外務大臣)それは正式に辞任される時に、国民に対して何らかのメッセージが当然あるのではないかと思っておりますが、そのことを私自身が確認した訳ではございません。

(問)そのような意見がある中、かなり多くの人はそう感じていると思うのですが、公の場に出て来ない中で、もう少し病状を、なぜ出て来られないのか、見通しはどうなのかという説明がないことについてお聞かせ下さい。

(外務大臣)それは官房長官にお聞き下さい。私は答える立場にございません。

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北朝鮮問題

(問)米国内で、北朝鮮がシリアに核開発の支援をしているのではないかとの報道が相次ぎ、それについて北朝鮮は認めていませんが、ブッシュ大統領は核拡散について懸念を表明しています。六者会合も近々開催されると思いますが、影響等どのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)それが直接次回の六者会合の議題になるかどうか、私も詳細は承知しておりません。バックグラウンドとしては、それが議論に為り得る話かもしれませんが、直接的な議題ではないのだろうと思っております。

(問)米国の副報道官が六者会合は9月27日と発表しました。日本の国内的には25日に組閣という中でどう受け止めていらっしゃるのでしょうか。

(外務大臣)誠に日程的に厳しい訳ですが、新しい総理大臣、新しい内閣の下での初めての協議ですから当然、交渉に行かれる方は出発前に新しい総理、或いは新しい外務大臣に会って、こういう方針で今回は臨みますという話はするべきだと、そういう事前の相談を経た上で出発することになると思います。

(問)日本政府としては、27日で了解するということでよろしいでしょうか。

(外務大臣)日程が最終的に決まったとは未だ聞いておりません。

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国連総会

(問)週明けに新しい総理になって、内閣改造も行われると思うのですが、今回は非常に短い期間でありましたが、外務大臣を振り返ってみて如何だったでしょうか。

(外務大臣)それは25日にお答えするべきではないですか。私は明日からニューヨークに行って未だ仕事がある訳ですから。仕事が全部終わったということではありませんので。

(問)明日から国連の方に行かれると思うのですが、アフガニスタンのハイレベル会合なのですが、日本としてテロ特措法の延長問題もあるのですが、どのようなことを各国に呼び掛け、どのようなことを情報収集として聞いて来るのか、その辺は如何でしょうか。

(外務大臣)会議の目的そのものが、アフガニスタンを支援する国々の集まりというのが基本的な性格な訳です。従って日本は、ODAその他でこれまでも支援して参りました。DDR(元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰)その他の成果も上げて来ました。今後も引き続き教育面の分野その他で支援していこうというメッセージを発し、関係国もそのような方向で様々な協力、努力をしてもらいたい、勿論、私どもはNATOを中心に行っているようなPRT(27ヶ国の軍人・文民による「地方復興チーム」)といった活動に参加していない訳ですが、他方、テロを阻止するための海上阻止活動には参加をしていると、それについて安保理で評価し、今後更にそれを進めてもらいたいという国際的な要請があることを念頭に置いて日本国は今後とも努力していく、そのようなメッセージを出すことになるのだろうと思います。

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テロ特措法

(問)与党の中に、新法について通常国会に出すべきだとの意見もあるようですが、大臣としてはこのまま臨時国会に出すべきとお考えでしょうか。

(外務大臣)改めて新内閣が出来て、そのことについて早急に結論を出すべきものだと思いますが、少なくとも私は安倍内閣の一員としては今、どのような新法があり得るかということについて詰めた検討を行っている訳ですから、私は新法を提出するという方向で、少なくとも、今それでずっと安倍内閣はやって来ましたのからそれが新内閣においても踏襲されるのは適切ではないだろうかと、こう思っております。

(問)新法も審議の時期については臨時国会という考えでよろしいでしょうか。

(外務大臣)当然、今国会中です。

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外務大臣会見記録(平成19年9月20日(木曜日)10時43分~ 於:正面玄関)

アフガニスタンISAF(国際治安支援部隊)の権限延長に関する安保理決議の採択

(外務大臣)外務大臣談話を発表致します。詳しくは貼り出しますが今朝、現地の19日午後にアフガニスタンに展開するISAFの権限延長に関する決議1776が採択されました。この中で、海上阻止活動、日本も行い、支援している訳ですが、そのような国際的努力に対して安保理決議の形で改めて積極的に評価する、そして、その継続の必要性を明確に表明した訳であり、我が国としてはこの決議を歓迎するということであります。そして、引き続き責任ある国際社会の一員としてこうした活動を継続していく必要があるということを改めて判断したという外務大臣談話です。

(問)この決議の採択について二点お伺いしたいのですが、先ず一点目はこの決議に採択に関してロシアがこれは日本の国内事情を反映しているものだという意見を述べ棄権をしたことと、またドイツや中国等も賛成はしたものの、このようなことは好ましくない前例になるとの批判が出ていることに対してどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)批判の詳細は承知しておりませんが、何れにしてもロシアが棄権したということは事実でしょう。賛成、反対、棄権が14対0対1という形で圧倒的に採択されたという事実が重要なのであり、その関連で色々なご発言があるのかもしれませんが、それは全体の決議の意義を減殺するものではないと私は考えています。

(問)国内事情ですが、民主党の鳩山幹事長は前文にそのようなことが盛り込まれても反対の意思は変わらないと仰っておりましたが、国内の特措法の延長に与える影響についてはどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)国際社会の意思が改めてこうやって大きな形で表明されたということを一顧だにしないということを民主党の皆さんが仰っているのであれば、それは国際的な努力や意見等に対して、もう少し敏感になってもらいたいなと思っております。何れにしても、我が党として、或いは政府としては皆さん方の理解を得るような説得努力は引き続き続けていきたいと考えております。

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国連総会へ我が国からの出席者

(問)国連総会の件ですが、22、23日のイラク、アフガニスタン関連の会議には大臣が出席され、環境会議には森元総理が特使として出席されるという話が出ております。もう期日が近づいておりますが、その辺はもう固まっているのでしょうか。

(外務大臣)今、衆議院、参議院の議員運営委員会、国会対策委員会のご了承が得られておりませんから、国会のご了承を得られれば、そのような方向で進めていこうと思っております。

(問)決議も加わった訳ですが、各国のバイ会談等もあると思うのですが、ニューヨークに行かれた際にOEFに関してどのようなことを確認したいとお考えでしょうか。

(外務大臣)どのようにもこのようにもこの決議が採択されたということで、ある意味では十分だと思っておりますが、既に類似の色々な会談、会議等々で確認されている訳ですが、改めて国連の舞台でマルチであれ、バイであれそのような場で再々確認をしていくということは大切なことだと思っております。アポイントが取れるかどうかは未だ分かりませんが、アフガニスタンのカルザイ大統領ともし会えれば、彼らの正しい意見と言いましょうか、最近の受け止め方等も聞いてみたいし、また国連を代表する形で藩基文事務総長とも会い、そうした国際社会の意見というのがどの辺にありやということを改めてこの機会に再確認出来れば良いと思っております。

(問)一部報道で安倍総理がAPECの際に、ブッシュ大統領に決議についての協力を求めたという報道がありますが、この事実関係は如何なのでしょうか。

(外務大臣)私はブッシュ-安倍会談に同席はしておりませんので、どのようなやり取りがあったかは直接的には承知しておりません。私とライス国務長官の間ではこの話は致しました。

(問)与謝野官房長官は国連の決議に関して、働きかけはしなかったが日本の国内政治状況も含めて説明をしたと仰っているのですが、純粋に国際社会の評価というより、日本の国内政治が反映されているとの見方もあると思うのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)現地国連代表部がどのような説明をしたか一言一句については大臣である私も分かりませんが、それは色々な説明をするでしょうから、国内の状況も説明したとしてもそれは不思議ではありません。要するに残念ながら今、私どもは安保理の非常任理事国ではない訳ですから、そうした理事国の皆さん方に状況を説明する、しかし、決めるのは日本が入っていない安保理ですから、彼らがどういう議論をしてどういう決定をしたのかということについて私どもはある意味では直接の当事者ではないという意味で、日本がこう考えているという説明を色々するのは当然のことでしょう。

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北朝鮮問題

(問)六者会合ですが、米国のケーシー副報道官によると、北朝鮮も来週の開催で合意しているとのことですが。

(外務大臣)案内が来ていることは事実ですが、どの国がどうということについては未だ確認出来ておりません。我が国も来週火曜日には新しい総理大臣が誕生する訳ですから、その新総理ともよく相談して六者会合に臨むということが必要なのだろうと思います。諸外国のご都合もあるでしょうが日本の都合もあるということは言う必要があるのだろうと思います。

(問)六者会合で、北朝鮮以外の五ヶ国が北朝鮮の年内の無能力化ということについて真剣に議論している中18日、山崎拓衆議院議員が10月に北朝鮮が核実験を行ったことについて、やらせて良かった、核があるかないか分からない中、あることが分かって良かったという趣旨の発言を講演の中でなさっているのですが、そういう無能力化等に取り組んで行く中でそういう発言が出て来たことについて大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)我が党は自由民主党ですから、色々なお考えの方々がいらっしゃる一々について外務大臣の立場でコメントは致しません。ただ、正確な発言が分からないので、あまりコメントはしたくありません。良かったというのは、もしかしたら間違って捉えられる恐れがあるのではという気は致しますが、正確に山崎さんが何と言われたか私は知りませんので、それ以上のコメントは致しません。

(問)六者会合の日程についてですが、日本の新内閣発足後にすぐ開かれるというのが問題解決にとって一番望ましいというスタンスでよろしいということでしょうか。

(外務大臣)新しい総理大臣、新しい外務大臣と或いは関係者とよく相談した上で改めて六者会合に臨むべきであると、相談する暇もないまま皆さん一斉に始めましょうということになるのかなという気は致しますが。必要な準備期間、相談の期間をきちんととった上で日本も参加するというのが基本的なポジションだと思います。

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自民党総裁選について

(問)最後に、総裁選も終盤に差し掛かって来ましたが、派閥の動きの中でも中々、一つにまとまらない動き等も出ているようですが、今の情勢をどのようにご覧になっていますか。

(外務大臣)外務大臣としてではなくのご質問でしょうから、そのような意味でお答えしますが、元より麻生さんが派閥批判をなさること自体が私にとっては誠に不可解でありまして、再三申し上げておりますが、派閥が右向けと言って全員が右を向く時代ではないのですよ。皆さんがそれぞれ真剣に日本のことを考え、自民党のことを考え、誰が一番総理総裁に望ましいかという観点で考えているのであって間違った印象を麻生さんが国民に振りまいているのは、そういう意味で問題があると私は思っております。抜け落ちるとか何とか言ったって、それはそれぞれの政治家一人ひとりが真剣に考えている結果なのですから、一糸乱れずというような姿になることは元より想定しておりません。

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外務大臣会見記録(平成19年9月18日(火曜日)11時12分~ 於:本省会見室)

閣僚懇談会

(外務大臣)今朝10時から、閣僚懇談会が行われました。案件としては、豪州大使に小島在シンガポール大使、それから、インド大使に堂道在イラン大使が任命されるということで承認を得たところです。
 一部報道で流れているようですが、閣僚懇談会が終わった後、官房長官からは9月25日(火曜日)に臨時閣議を開いて、総辞職ということになるのではないかという見通しを述べられました。これは官房長官の記者会見で触れられたことです。

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北朝鮮問題

(問)六者会合について、当初は明日始まるのではというところが延期になっていますが、その事実関係と背景、そして、今後いつ頃開かれる見通しかをどのように認識してらっしゃるかといった辺りをお願いします。

(外務大臣)議長国である中国から、17日に「19日開催は出来ない」という連絡が事務的にありました。今後のことについては、議長国である中国が調整するということであると理解しています。延期の理由は、何ら連絡はございません。

(問)外相会合が予定されていましたが、これによって、後ろにずれ込むような公算が高まっているのではないでしょうか。

(外務大臣)外相会合の話は、まだ何ら具体の話になっていませんから、延期も何も全て今後の話です。

(問)延期になったことによって、年内に核の無能力化を行うといった話があった訳ですが、影響はどのように分析していらっしゃいますか。

(外務大臣)今までもそうでしたが、なかなか、この六者会合は当初描いた日程通りに物事が進んでいない経験を持っています。だからといって遅れて良いと言っている積もりはありませんが、色々な事情で遅れがちですよね。決して良いことだとは思っておりません。ただ、何しろ特定の国が出て来ないということになると、どうすることも出来ないのが経験です。私どもとしては、出来るだけ早い時期に議論が再開され、出来るだけ早い時期に合意が得られることを期待しているし、その方向に向けて、日本としても可能な限りの努力をしていきたいと思ってはおります。

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官房長官との打ち合わせ

(問)閣僚懇談会の後に、官房長官とお会いになられていたようですが、この件についてお話されたのでしょうか。

(外務大臣)違います。

(問)どういった件についてでしょうか。

(外務大臣)話しません。

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総裁選について

(問)総裁選ですが、両候補の主張がよく似ていると言われる中で、北朝鮮政策については若干の違いがあるのではと、よく指摘されます。福田新総理誕生の可能性が高い中で、北朝鮮政策については若干の微修正があるのではと言われていますけれども、このことについては、微修正はあり得べしとお考えなのでしょうか。

(外務大臣)いや、私は福田新総理誕生の可能性が高いという判断をしていませんから、その前提に立ってのご質問にはお答え致しません。街頭演説の話のニュアンスだけで、外交方針がどう変わるかということについてコメントするのも、また不適切であろうと思います。外交というのは継続性というものもありますからね。何れにしても、新内閣が出来て、新体制でしっかりとした議論をして、北朝鮮のみならず色々な対外政策、もちろん国内政策もそうでしょうが、継続すべきは継続し、変えるべきは変えていくということになるのでしょうが、それは全て、新体制が出来てからの話だと思います。当たり前のことを私は言っているつもりです。

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国連総会等への出席について

(問)25日総辞職となると、外務大臣の国連関係の会合への出席は、もう難しいということになりますか。

(外務大臣)今、検討中です。

(問)出来れば出たいという心の表れだと受け止めてよいでしょうか。

(外務大臣)悩ましい日程ですね。

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外務大臣会見記録(平成19年9月14日(金曜日)9時50分~ 於:本省会見室)

閣僚懇談会

(外務大臣)今朝は9時から、総理はご不在ですが、閣僚懇談会を開きました。外交関係ではウズベキスタン及びタジキスタンの平岡大使に信任状等の案件がありました。また、ミャンマーにおけるポリオ予防接種実施に対する緊急無償資金協力をユニセフを通じて約187万ドルの緊急無償資金援助協力を行うということについて、ご了解頂いたところです。
 案件は以上ですが、官房長官から各閣僚の連盟で総理に対して速やかなるご回復を祈るという趣旨のお見舞い状を出そうということを皆で了解しました。
 また、同時に総理はおられなくても、粛々と内閣全体、行政府全体として仕事をしていこうということも申し合わせたところです。外務省でも水曜日の午後、緊急に幹部を集めて、総理大臣が代わることがあっても行政は継続するのだから、しっかりと仕事に励んでもらいたい、ということを私の方から外務省幹部に対してお話しました。

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先住民族に関する国連宣言

(問)国連総会で先住民族の権利に関する国連宣言が賛成多数で採択されましたが、日本政府として、アイヌ民族を先住民族として認めてこなかったという経緯もあり、今後、政策転換も迫られると思いますが、どのように対応されていくのでしょうか。

(外務大臣)この点は、事実関係は現地ニューヨーク時間の12時に、賛成143票、反対4票、棄権11票で採択されました。日本はその宣言に賛成票を投じた上で、集団的権利や自決権、財産権について、日本の解釈を説明した上で賛成しました。幾つかの国が同様の説明をした上で賛成したようです。日本ではアイヌ民族を先住民族であると結論を出しておりません。一つには、先住民族の定義というものが、国際的に議論が収斂していないということもあり、また、関係する省庁も多数に上る訳ですが、それらの省庁から意見も出されている状況ですから、アイヌ民族が先住民族であるという結論を出せる状況にはないということです。

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内政

(問)福田元官房長官を自民党内では総裁選に推す動きが強まっている様ですが、福田氏は総理としての適格性はあると思いますか。相応しいかどうかということです。

(外務大臣)当然、相応しいと思っています。

(問)派閥の会合がこの後ありますけれども。

(外務大臣)政策集団の会合はあります。11時から行います。そこで皆様方のご理解を得られれば、政策集団としては福田候補を、まだ予定者ですが、推薦を皆でしていこうということになろうかと思います。

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外務大臣としての任期についての感想

(問)大臣に就任されて2週間ちょっとでの総理の辞任という形になった訳ですが、これだけ短い期間では、なかなか外務大臣として国民に訴えたかったことも出来なかったのではないでしょうか。

(外務大臣)それはそうですよね。仰る通りですね。

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国連総会等への出席について

(問)今月24日に国連の気候変動問題に関するハイレベル会合、25日に国連総会がありますが、総理が出席するのは日程上厳しいようですが、大臣はこれに出席は検討されているのですか。

(外務大臣)色々な頭の体操はできますが、全く頭の体操だけのレベルで言えば、立候補者が一人という事態だってあり得るかもしれません。そうすれば、首班指名は来週早々にも行われるとか、色々な可能性があるので、今、あまり固定的に日程のことは考えておりません。

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六者会合

(問)六者会合ですが、19日からの開催で調整していると中国の武大偉議長が言ったりしていますが、大臣の方にはどういう感じで日程の調整が来ていますか。

(外務大臣)昨日、中国の賈慶林(カ・ケイリン)中国人民政治協商会議全国委員会主席との会談の場にも、お気付きになったと思いますけれども、武大偉議長がおられました。その場で私が聞くのも無粋ですから聞きませんでしたが、佐々江局長と話があったのだと思います。ただ、まだ現実に中国側が19日云々ということで意思決定をしたり、正式な各国への案内はまだしていないという状態だそうです。

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外務大臣会見記録(平成19年9月12日(水曜日)15時13分~ 於:本省正面玄関)

安倍総理辞任について

(問)安倍総理の辞任表明を受けて、大臣はどのような受け止めでしょうか。

(外務大臣)大変な驚きで、晴天の霹靂という一言に尽きます。

(問)総理が辞任されるという一報はどのような形でお知りになり、その後、本会議場の議長応接室に他の閣僚の方と籠もっていらっしゃいましたが、その時はどの様な様子だったのでしょうか。

(外務大臣)第一報はテレビのテロップです。閣僚が居たのは、別に特段の意図があってではなく、どのような形で招集がかかるか分からないので待っていたというのが実態です。

(問)総理からどのように連絡があったのでしょうか。

(外務大臣)電話を頂きました。

(問)どのような言葉を仰ったのでしょうか。

(外務大臣)先程の記者会見で言われた趣旨と、ほとんど同じことを短めにでした。

(問)政府としてはテロ対策の新法を提出する方向で検討が進んでいたと思いますが、この扱いについては今後どのようにされるのでしょうか。

(外務大臣)これは新しい内閣の下で検討される、また決定されるべき事項でしょうが、与党としては誰が総理になろうと新法でいくという検討が始まっている訳ですから、その方向性が大きく変わるということは、多分ないのではないでしょうか。

(問)総理と電話でお話された時、大臣はお引き留めになったのですか。

(外務大臣)そういう雰囲気ではなかったですね。

(問)安倍総理は北朝鮮問題にかなり熱心に取り組んでこられましたが、安倍総理が退陣されることによって、北朝鮮政策に変更はないのでしょうか。

(外務大臣)それぞれの政策については、また新しい内閣で新しい大臣が決まり、勿論、総理大臣と相談して、色々なことを決めていくことになるのだろうと思います。ただ、外交というものは、通常はそう大きく右から左へと変わらないものですね。

(問)今後の派閥としての対応ですが、総裁選があると思いますが、それは会長としてどうお考えでしょうか。

(外務大臣)全くまだ、そういうところには思いが至っておりません。

(問)先程の会見で、総理は来る国連総会に新しい総理で行って欲しいという趣旨のことを仰っていましたが、それについてどうお考えになられますか。

(外務大臣)可能であれば、そうあって欲しいとは思いますが、新総裁決定のプロセスにどのくらい時間がかかるのか、その兼ね合い、そして新総裁、新総理が決まれば、当然国会での自分の考えを述べるという手順もあるでしょうから、なかなか2週間後の国連総会に総理出席というのは難しいのかなという感じは致しますが、これは総裁選挙がどういう形で、いつ行われるか、そして組閣がどういうスピードで行われるか、その辺との兼ね合いですね。

(問)総理は会見の中で「テロとの闘い」の継続について、局面の打開を図りたいと仰っていましたが、ただ、総理が辞めたところで民主党の対応が変わらなければ局面の打開はなかなか難しいのではないかと思いますが、その辺はどうお考えでしょうか。

(外務大臣)そういう、あなたが仰るような見方もあるでしょう。総理は違う見方をしていたということだろうから、そこは正にものの見方ではないでしょうか。

(問)総理はお電話で、現行のテロ特措法の継続は難しくなったので職を辞すると仰ったのですか。

(外務大臣)記者会見で言われた通りです。

(問)同盟国の米国に対しては、今回のことをもうご説明になったのでしょうか。或いはする予定はあるのでしょうか。また、今回のことについて、日米関係への影響はどのように説明するお考えでしょうか。

(外務大臣)まだ、1時間前に記者会見をされたこの時点で急に連絡云々ということはありませんが、日米関係の大きな絆というものは、揺らぐことがないものがありますから、そこが今回の突然の辞任劇で揺らいだりすることは全くあり得ません。

(問)テロ特措法という一つの外交政策で、総理がお辞めになると決断されたことについては如何ですか。内政の問題がこれまで吹き出ていましたけれども、それに対しては総理は頑張る意志を示してらっしゃいました。今回、テロ特措法が原因で辞められたということについてはどう思われますか。

(外務大臣)私は総理のご説明を100%そうかと理解している訳ではありませんから、総理なりの深いお考えがあってのことだろうけれども、なかなかそれが理由でと仰られてもちょっと分かりづらいところはありますね。

(問)参議院選挙の直後ではなく、所信表明を終えられたこの時点で辞任することについては如何ですか。

(外務大臣)さあ、その真意は総理にお聞き頂かないと、私にも分かりません。

(問)総理とお電話でお話になられた時にどのような声の様子でしたでしょうか。元気がなかったとか。

(外務大臣)淡々としたお声でした。

(問)先程、驚かれたと仰いましたけれども、これまで総理と参院選等で話していて、何かしら今から思えば兆候みたいなものというのはありましたか。

(外務大臣)全くありません。シドニーでも大変元気な様子でしたし、私が陪席した日米豪首脳会談では、1時間ほどでしたが、安倍首相は誠に鮮やかな発言ぶりで、むしろ会話をリードするような様子もありましたから、私は大変感銘を受けながら、その3首脳会談に陪席していた訳です。色々な意味で意欲というものを私もその場で感じましたから、今回の辞任とどうも繋がらないですね、私の頭の中ではね。

(問)唐突な感じですか。

(外務大臣)はい。驚きというのは、そういうことです。

(問)大臣ご本人が今後、総裁選に意欲を、ということにもなってくるのでしょうか。

(外務大臣)まだ、1時間前に総理が記者会見をされた後に、とてもそういうことを考える状況にはございません。今、外務大臣という職責にあり、また長年この国会の中で仕事をしてきた人間として、どういう立場であれ、一人の国会議員としてやはり国民の期待に応え、しっかりと責務を果たしていかなければいけないという思いはありますが、今のご質問のような趣旨でどうこうということは、まだ全く考えておりません。

(問)ただ、最大派閥の長ということで、今後、総裁候補に名前が上がってくることも考えられますが、その点は?

(外務大臣)まだ、現時点では今申し上げた通りです。

(問)会長として、森元総理とお話はしたのでしょうか。

(外務大臣)森名誉会長は今、フランスに日本ラグビー協会会長として行っておられるものですから、電話では先程お話をしました。

(問)この件についてはどのように受け止めてらっしゃいましたか。

(外務大臣)それはもう、誠に驚きの一語だということでした。

(問)この臨時国会でテロ新法を提出するかどうかということも含めて、なかなか総裁選びをするにしても時間が限られていると思いますが、大臣が考えられる望ましい総裁選びの手続きはどのようなものですか。

(外務大臣)一般論で言えば、一部の人が話し合って決めるという時代ではないなということですね。

(問)派閥としての対応は早々に決めなければいけないと思うのですが、森名誉会長が帰ってきてからになりますか。

(外務大臣)そこはまだ、あまりにも早過ぎる質問です。

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外務大臣会見記録(平成19年9月11日(火曜日)10時45分~ 於:本省会見室)

閣議

(外務大臣)まず、閣議のご報告を致します。文部科学大臣から、2016年第31回オリンピック競技大会の東京招致について閣議で了解しました。機構定員要求については、総務大臣から、今までの定員の重点分野である治安、徴税、安全、安心が並んでいた訳ですが、総合的な外交力というものも重点分野にするという発言があり、私の方からそれを歓迎する、皆さんのご理解を頂きたいという発言をしておきました。
 それから、APEC首脳会議への安倍総理出席、私(町村大臣)、甘利経産大臣からAPEC絡みの報告がありました。APECでの成果、日米豪3ヵ国の首脳会議、それから米、豪、ロシア、メキシコとの二ヵ国の首脳会議の概要について御報告し、外務大臣としての二国間協議、豪州、NZ、カナダ、中国、韓国、米国、ASEAN数カ国、インドネシア、フィリピン、ヴェトナム等々の国との個別会談を行ったという報告をしました。
 また、ドーハ・ラウンド或いは気候変動に関する非公式会合等々が行われ、大変それが有意義であったと思っております。成果は、総理の記者会見に集約されていると思います。また、大使の交代等々、人事案件が幾つかありました。

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テロ特措法

(外務大臣)今日は、ちょうど奇しくも9月11日です。6年前、2001年9月11日現地時間の9時頃、日本時間の22時頃でした。私もテレビを見ていた記憶がまざまざと蘇りますが、大変な衝撃でした。私もニューヨークで勤務したことがあり、あの世界貿易センタービルにも何度も行ったことがあります。あの大きな、背の高いビルが一瞬にして消え去るというのは、何か別の世界の出来事のような気がしましたが、決して別の世界のことではなく、日本人24人を含む、2973人もの方が亡くなったということで、これは大変な衝撃でした。ご遺族の方々への哀悼の意というものは常に持ち続けていなければなりません。改めて今日、その思いを強く致しました。現地ニューヨークでも、朝、その時間に追悼式が行われ、日本からも数家族の方々がご参加をされるやに聞いていますが、決してそんなに古い話ではない、わずか6年前のことです。テロとの闘いが今でも続いているんだということを改めて痛感し、然るが故に、今国会で象徴的な、典型的な日本としてのテロとの闘いである、海上自衛隊によるインド洋での行動というものの必要性、重要性、これは日本人自らの問題であるという意識を持って、この国会で取り組んでいかなければいけないということを再認識したところです。是非皆様方のご理解も頂きたいと思います。

(問)今のテロとの闘いに関して、最近の世論調査を見ると、テロ特措法の延長にはどうやら反対の方が多くて、NHK等は若干違うような感じでしたが、世間の人々の理解や受け止めをどのように感じていますか。

(外務大臣)今日、どの新聞かは忘れましたが、29%対39%といったことで、反対が多いことは事実でしょうけれども、かなり、改めてこのことが重大な意味を持つということで、理解が深まり始めているプロセスではないかと思っております。逆に言うと、こういうテーマで自衛隊の皆様方が海外に行って活動するということについて、相当の理解はむしろ現に存在するのではないかとさえ、私は今の数字を見て思っております。しかし、まだまだ十分なご理解を頂いている状態にはないと思いますから、折しも9.11ということもあり、今後、国民の皆さんの理解を得る努力を私どもも精力的に行っていきたいと思っています。

(問)テロ特措法に関して、与党内では今の法律に書かれている活動のメニューに絞った形で新法を提出することを検討されているようですが、こうした考え方について大臣はどう思われますか。

(外務大臣)与党内で、政府も含めて様々な可能性を今、追求しているところです。今日の一部の報道を見ると、それに限っているかの如き報道があり、出所は定かではありませんが、まだそこまで絞った訳ではありません。これから、様々な可能性を追求する中で、何が一番現状に即しているか、また、どういう形であれば野党の皆様の、また国民の皆様の理解を得やすいかということについて、最終的な詰めを行っていきたいと考えているところです。

(問)報道ベースですが、国会承認について、おそらくシビリアン・コントロールの観点から扱った方が良いという意見が多いかと思いますが、この点に関してどのようにお考えですか。

(外務大臣)そのことだけについて触れると、あたかもその案に政府が考えを絞っているという誤解を与えますから、あまり深入りは致しません。
 ただ、折角のお尋ねですから、その点だけについて申し上げるなら、法案の審議そのものが、正にその全体の活動を国会として承認するか否かということとイコールな訳です。今、では何故承認というものがあるかというと、色々な活動の幅広い選択肢の中からこれとこれを決めます、これとこれをやりますということで国会の承認を得ると。仮に今報道されているように、もうやる範囲や仕事内容を絞ってしまえば、それは実施計画そのものと変わりがなくなる。そうなれば、事前承認か事後承認かは関係なく、法案の審議、賛否そのものが、もう既に事前承認、事後承認を包括したものとして、十分シビリアン・コントロールの実を上げることが出来るという考え方もあると思います。
 そういう意味で、承認という文言がない案でいったとしても、それは別に何ら問題ないし、逆にもっと、ある意味では実施計画そのものを法案に書くということになれば、それはシビリアン・コントロールがより遥かに高いレベルで担保されることになるのではないかと思います。
 そこまで説明すると、もうそれで決めているのだと間違って報道されてはいけないから、まだそこまで決めた訳ではありません。そういう案を検討すれば、そういう考え方も成り立つということを、今敢えて申し上げただけですから、誤解なきようにお願い致します。

(問)テロ特措法に対する世論が、この後どのように動くかということが非常に重要だと思います。大臣は世論の理解を得るために精力的にやっていきたいということですが、具体的にその啓発に向けて、何かこういうことを行うということはありますか。

(外務大臣)それは、何と言っても国会の審議が一番です。それが我々に与えられた最大の場面でありましょうし、だからこそ国会での真剣な審議というものが必要なのだろうと思います。勿論、これも報道ベースであれこれ言うのは止めた方が良いかも知れませんが、党首会談も一つの方向だろうと思います。それを拒否なさるというのは、もし事実だとすると、誠に不可解なことだと思いますが、党首会談は行われるものと私は思っております。また、党内での議論、与党内での議論、与野党での議論、私はきちんと与野党協議を行うべきだと、これは入閣する前から申し上げていたことですが、年金を始めとして主要政策課題、税制もそうですが、私は与野党協議を行ったらどうかと、これは党で今やることですから、閣僚の立場で党にああせい、こうせいと言うことは多分、越権行為になるからいけないのかも知れませんが、それもまた一つ国民の理解を得る有益な、誠に本来あるべき姿、そして国会での議論、これ以上の国民へのアピールはないと思います。その他、メディアの皆さん方のご協力を頂いて、きちんと実態を報告するなり、これは米国側で検討中でどうなるか分かりませんが、例のシーファー大使のご提案というものもありましたね。これをどういう形で行うのか、今米国で検討している様で、詳しいことはまだ分かりませんが、そんなことも一助になるのかも知れない。色々な方法があるのではないかと思います。
 今日はちょうど9.11ですから、今日の日というもの、そこで何が起きたかということを改めて、皆様方が報道して頂くということも、法案の賛否とは別に、テロとの闘いというものが現実にまだ行われているのだということを国民の皆様方に改めて考えて頂き、理解を頂く一つの良いきっかけになるのではないかと思っています。

(問)もう一つの、アフガニスタンとイラクの報告書が出たという話ですが、これについての大臣の受け止めをお願いします。また、アフガニスタンとイラクは違うのだと思いますが、イラクにおけるテロとの闘いは必ずしも上手くいっていないということは、米国とも話があったかなと思いますけれども、アフガニスタンとイラクのテロとの闘いの正当性について、大臣としては違いがあるとお考えでしょうか。

(外務大臣)難しいことを聞かれたので、全部カバー出来るかどうか分かりませんが、まず、報告書は15日までに出すということで、まだ報告書そのものは出されていないと理解しています。ただ、ペトレイアス多国籍軍司令官が米議会公聴会で報告したというところまでは聞いています。その辺の中身については、私もライス長官との日米外相会談で、エッセンスはライス長官からもお聞きしました。ちょうど大統領、そして国務長官、国防長官が行かれたアンバール県というのは、かつては最も危険な、およそ治安の安定が望み得ない地域でした。それが現実に大統領御一行が行っても平気であったというくらい、奇跡的な治安の回復が見られたということをライス長官も盛んに言っておられましたし、地域別に見ると改善している所もあると聞いています。従って、イラクの治安部隊も引き続き能力を向上させているので、米国は数ヶ月先には駐イラク米軍を削減することになるのではないかといった、ペトレイアス氏個人としての考えを述べられたと承知しています。そういう意味で、最終的にはブッシュ大統領が演説を行った後、15日までに政府の報告書が出されるという運びであろうかと思います。どういう内容になるか、よく注目していきたいと思っています。
 もう1点はアフガニスタンとイラクの違いですか。

(問)対テロ戦争としての正当性に違いがあるのかということです。

(外務大臣)正当性とは、どういう意味でしょうか。どういう趣旨の御質問ですか。

(問)国際社会の理解を得たものであるのか否かということと、現実に成果を挙げているかどうかということです。

(外務大臣)今回の報告書等で一定の評価はあるだろうし、政府の見方とは別に、世の中一般の見方、メディアの見方、色々あるのだろうと思います。アフガニスタンにおいても、民主的な選挙のプロセス、ちょうど私が前の外務大臣の時でしたが、そこは非常に上手くいっていたけれども、そこから先、カルザイ大統領以下の国内統治能力が必ずしも十分ではないのかもしれない。治安が悪化気味といった状況があるのだろうと思います。そうトントン拍子で、一直線に良い方向に動くものでもないのだろうと思いますし、そうしたテロ活動を様々な形で支援する、その国内外の資金協力等、色々な活動がある訳ですから、それらを根っこからいっぺんに、急にどうこうすることもできない部分もあるのだろうと思います。だから現状がどうかというと、それは色々な見方があるのだろうし、良くなっている面も、悪くなっている面もあるのだろうと思います。
 また、法律的な意味での正当性、道義的な意味での正当性、色々あるのかなと思います。何れも広い意味での国連の決議等々がある訳ですから、或いは国連憲章に基づいた自衛の活動であったり、様々な活動なのですから、それはそれで、私は正当性はあるものと思っております。

(問)先日の総理の記者会見での「職を賭して」発言が、与党内で真意を巡って色々波紋を呼んでいますが、今日の閣議を含めて、総理のご真意を確かめられるといった場面がありましたか。大臣はその発言について、どうお考えなのでしょうか。

(外務大臣)昨日の所信表明の後で、昨日夕方のぶら下がりの時にも申し上げましたが、総理から、直接「職を賭して」ということについての言及ではなく、テロとの闘いの重要性、日本の問題でもある、国際的な要請でもある、そうしたものに誠実に応えていかなければいけない、その意味でこの法律を通そうという趣旨のご発言があり、それを受けた形で私も、APEC、或いはAPEC以前の個別の会談等々で国際社会からの要請も非常に強いし、また評価もされているのだ、従ってテロとの闘いの一番重要な方法である、この海上自衛隊の給油活動は引き続き実現しなければいけないと、その思いを総理はああいう形で表現されたのだろうと私は理解しています。

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外務大臣会見記録(平成19年9月10日(月曜日)18時27分~ 於:正面玄関)

日朝関係

(問)日朝作業部会について報告を受けていると思いますが、今後作業部会を出来る限り頻繁に開いていくとのことですが、進め方を含めて大臣の受け止めをお願いします。

(外務大臣)会議の様子は美根大使ご本人が会見等でも言っていますし、シドニーでも申し上げた通りで実質的な進展があった訳ではありませんが、少なくとも前回と比べれば良い雰囲気の中での話し合いが出来たということで、次回以降の協議に繋がっていくと思います。次回はいつになるのか9月下旬頃に六者会合が開かれると思いますので、その後に頻繁かどうかは分かりませんが日朝作業部会が出来るだけ行われれるよう詰めていきたいと思います。

(問)美根大使は現地でのぶら下がりで「北朝鮮側は十分準備して来たようで、誠意ある態度であったと思う。」と言っていましたが、大臣もそう考えますか。

(外務大臣)何をもって「誠意ある」と定義づけるかですが、少なくとも前回との比較においては何時間か議論し、それぞれ夕食会にも顔を出したということですから、それが「誠意ある」かどうか美根大使ご本人の受け止め方で、自分(大臣)は出ていないので、直ちに「誠意ある」態度というか分かりません。真剣に話し合おうということではあったと思いますが、言っている中身が実質的に進展を示すものではないと思います。

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テロ対策特措法関連

(問)テロ特措法の関連ですが、新法についての議論で大島理森国対委員長は現行の法律は期限などもあり種々難しいと言っていましたが、新法の可能性は如何ですか。

(外務大臣)まだ政府部内で議論中ですから、どういう法案の形が良いのか段々イメージがこういうことかなという方向で進んで来ていると思います。今日の時点で、内容を申し上げるまでには至っていません。

(問)小沢民主党代表はOEF(「不朽の自由」作戦)の活動は国連のお墨付きがないということを反対の理由に挙げていますが、OEFの活動そのものを国連のお墨付きをもらえるように働きかけを行う予定はありますか。

(外務大臣)国連のお墨付きなるものを今後何をもってそう言うのかですが、我々は法案を出して、その中に国連の決議を幾つも引いています。各国がそれぞれ自分の出来る範囲内でテロ対策に取り組みましょうという国連の決議が9.11の直後に出されています。それぞれの判断で何が出来るかを考えている訳で、それで十分だと思います。国連の決議の中で、特に部隊の活動に言及している場合もあるでしょう。しかし言及していないものが国連の決議に基づいていないという逆の立論は成り立たないと思います。もし小沢代表の言っていることが正しければ、今のテロ対策特別措置法の第1条の目的が間違っているということになると思います。現実に民主党だってあのテロ特措法に基づく実施計画を承認しています。あの承認は何であったのでしょうか。法律の目的が違うのであれば承認など出来ません。

(問)新法を作る場合のメリット、デメリットもしくはテロ特措法を継続するメリット、デメリットを大臣はどうお考えですか。

(外務大臣)それは答えが出来た時にしっかりとお話ししましょう。余り想定でああでもない、こうでもないという時期ではありません。
 資料を配付しましたが、8月に入って以降2、3週間にこれだけ多くの国及び国際機関から評価され、引き続き活動を継続して欲しいと言われています。今回のAPEC以前からの自分(大臣)が着任してからわずか2週間少しの間の電話会談にしても二国間会談にしてもこれだけ多くの支持があるということを事実として整理しましたので、皆さんの今後の報道の参考にしていただければありがたいと思います。1つのことにこれだけの支持があるというのは、珍しいと思います。日本は、国際社会の一員ということ、総理の発言にもありましたが、国際テロの被害者であるということ、当事者であるということ、人ごとではありません。それに対してこれだけの評価があるという事実を出来るだけ皆様方に報道して頂きたいと思います。もう報道して頂いていますが、更により詳細に報道して頂き、国民の理解を得られるような素材を提供して頂きたい。よろしくお願いします。

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外務大臣会見記録(平成19年9月7日(金曜日)18時50分~ 於:オーストラリア・シドニー)

日米外相会談

(問)日米外相会談、どのような点で一致したかお聞かせ下さい。

(外務大臣)今日は日米会談の他にインドネシア、フィリピン、ベトナム、それぞれ外相会談を行いました。それらも、それぞれ重要な気候変動や、日本の貿易投資に期待するといった話があった有力なASEANの国々ですから、そのことを皆さんも1行でも良いから書いて下さい。
 日米外相会談は、今回外務大臣になって初めてですが、前回外務大臣のときは電話会談も含めて毎月のようにライス長官とは会談を行ったりしておりましたので、久しぶりにということでした。もっとも、実質的には先日、ダウナー豪外相招待の夕食会でも隣り合わせたものですから、随分色々な話をしましたから、今日は正式な会談ということです。
 ちょうどブッシュ大統領と共に、イラクに行って来られたという話から始めましたが、イラクは決して治安状態が良い訳ではないけれども、かつて足を踏み入れること等は考えられもしなかったアンバールという所に大統領以下が行けたというところに、治安が改善している地域もあるのだということで、今後引き続きイラクの治安の回復、復興のために米国としても努力するという話でした。具体的には、来週出されるであろう大統領の報告書という形で、大統領がメッセージを発出するのだろうということです。日本としても当然のことですが、イラクの自衛隊の支援活動、またODA等でイラクの復興に協力していくという話をしました。
 その関連で、中東ということでイランの話も少し出ました。イランが核開発に進まないように日米が引き続き協力してやっていこうという話もしました。
 それからテロとの闘いです。日本の今の国会の状況なども含めて引き続きインド洋での活動が出来る様に最大限の努力をして行くという話をしました。ライス長官からは日本の支援活動に大変感謝する、イラクも、インド洋も同様ですが、支援に感謝するという話があり、引き続きご支援願いたいという話もありました。
 それから北朝鮮の話もしました。昨日、一昨日の日本と北朝鮮の話し合いの様子を含めてお話しておきました。概要は大体、昨日お話した通りです。米国側からも、日朝の関係改善がスムーズに進むことを期待するという発言があった訳です。同時に日米関係を犠牲にして米朝関係を進める考えはない、これは累次そういう発言がある訳ですが、今回もまたそういう発言がありました。何れにしても、先般の米朝作業部会の合意というものを六者で合意できるようにしていこうと、そして最終ゴールに向かって共に協力して行こうということで一致を見ました。
 その他、気候変動の問題、これは安倍総理の提案について昨日の朝食会の場で関係大臣が集まった訳ですが、そのとき私からも「美しい星50」の提案について説明しましたが、ライス長官からも安倍総理のイニシアティブを大変高く評価する、米国と一緒になってこの気候変動の問題に取り組んで行こうと、9月下旬にワシントンで会合もあるし、12月のバリ島の会議に向けて共に努力して行こうという話がありました。
 他にも幾つかありましたが、大体そんなところですかね。

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北朝鮮問題

(問)今日、ブッシュ大統領が、米韓首脳会談の後に、北朝鮮が全ての核兵器を放棄したときに、朝鮮戦争が終結するということを仰ったのですけれども、それが地域の安定にどういう影響を与えるかということにご所見があれば教えてください。

(外務大臣)北朝鮮から核が無くなるということは、この六者協議の共通目標である訳ですし、且つまた、それは日本もそれを望むことですから、核を放棄するということは、全ての国にとって、好ましいことであると言えましょう。従って、その時点で色々な条件があるのかも知れませんが、米朝間の国交正常化というものも、当然視野に入ってくるはずでしょう。恐らく当然だろうと思います。だから、朝鮮戦争の終了という、―確か国連軍もいるのですか、あそこは―国連軍という形でも米軍が韓国に駐留している訳でしょう。それは、駐留の是非はまた別途あるにしても、そういう意味では形式的に続いていたのであろう朝鮮戦争は終わるという意味合いなのかも知れません。ただ、あくまでもそれは形式に過ぎないと私は思いますね。実質的なことが正に大切なのではないでしょうか。

(問)日朝作業部会の成果について、ライス長官は感想を述べられていましたか。

(外務大臣)実質的な進展というのは今回無かった訳ですが、3時間程の前回の会談より比べて、今回は2日間に亘って議論し、それぞれ夕食会までともに持ったということですから、少なくとも雰囲気は、比較の問題で言えば前回よりは今回の方が良かった、中身はまだこれからですけどね、ということを説明し、それについてライス長官は、こういう話し合いが続けられていくことを期待します、ということを言っておられました。少なくとも悪くならなかったのは良かったよね、ということを確か言っていたよね。

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外務大臣会見記録(平成19年9月6日(火曜日)22時50分~ 於:オーストラリア・シドニー)

日朝作業部会

(問)日朝作業部会が2日間終わりましたが、どういう内容だったか、そしてその評価、今後の展望といった辺りを教えて下さい。

(外務大臣)まだこの瞬間は夕食会をやっているらしいので、正確なことは多分もう一両日しないと、或いは場合によっては、私が東京に帰って美根大使から聞かないと分からないかも知れません。今の時点では少々不正確なのかもしれませんが、取り敢えず連絡があったことだけ言えば、これは美根大使も現地で記者会見を行ったようですが、今般の日朝作業部会において日朝双方は、「2005年9月19日の六者会合の共同声明」及び「2007年2月13日の共同声明の実施のための初期段階の措置」へのコミットメントを再確認し、日朝平壌宣言に則り日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決して国交正常化を早期に実現するため、双方が誠実に努力することで一致したと聞いております。双方は、今後このための具体的な行動について協議し、実施していくこととなった。即ち、北朝鮮は今後拉致問題を含め、具体的な行動をとっていくものと理解している訳です。日朝双方は今回の日朝作業部会における協議を通じて、それぞれの立場についての理解を深めた。また日朝双方は今後とも、本件作業部会において、お互いの関心事項について誠意を持って協議していくことを確認し、可能な限り本件作業部会を頻繁に開催していくこととした。我が国としては、今後とも作業部会において、お互いの関心事項について真剣に協議し、早期に諸懸案を解決したいと思っているということです。

(問)今回、焦点の一つとなっていた拉致問題について具体的な進展はなかった訳ですが、この部分についてはどう受け止めていらっしゃいますか。

(外務大臣)進展があったか否かについては、もう少し詳細な報告を受けてみないと、率直に言ってよく分からないのですが、「今後、協議していく」ということで、「解決済み」という言葉は使っていないようです。そういう意味で重要なことは、懸案事項に拉致問題も含まれているのは当然のことですから、それについて今後、真剣に協議して実行していくと言っている訳ですから、今後の協議に委ねる。では今回、何か具体的に拉致問題について前進があったかと言えば、今回の会議ではなかったが、将来に繋がったということは言えるのではないでしょうか。

(問)ということは、今回の協議の内容は、この問題について一定の評価はできるかなということでしょうか。

(外務大臣)まだ、それほどポジティブに言う必要もないし、それほどネガティブに言う必要もないと私は思いますね。

(問)今回、よど号のメンバーの話はどのようなものが出ていますか。

(外務大臣)我が方からは当然、引き渡しを要求した訳ですが、北朝鮮側から前向きな反応はなかったということです。

(問)北朝鮮側としては、「解決済み」という言葉は使っていないけれども、その後の会見の中で、「解決した」という認識は変わっていないということを言っているのでしょうか。

(外務大臣)北朝鮮の人の会見というのは、宋日昊(ソン・イルホ)大使が行った訳ではないですよね。ですから、どれほど正確にこれまでの折衝経過なり、北朝鮮の議論を反映して言っているのか分かりません。その辺をもう少し正確に美根大使なり、現場にいた人達からよく聞いてみないと分かりません。

(問)今回の協議の結果が、北朝鮮の人道支援の検討にどれくらい影響するとお考えですか。

(外務大臣)水害に対する人道支援というか、水害に対する緊急的な対応、まあ、人道支援一般を再開するという考えは私どもにはありません。ただ、こうした極めて緊急な水害に対する期待については、もう少しよく今、政府部内で検討中ですから、帰国後、来週になると思いますが、これは外務省だけの判断ではありませんから、関係方面と相談して態度を決めなければいけないと思っています。今回の議論の結果と直接リンクするものではありません。

(問)この段階で総括的にはどう受け止めてらっしゃいますか。

(外務大臣)ちょっと情報が、先程のご質問にあったような、その後の一部の北朝鮮側の記者会見の発言がどれだけ実態を表しているのか、よく分からないということもあるので、今ここでとても前向きに評価したり、後ろ向きに評価したりするには、ちょっと情報が不正確過ぎますから、今ここで敢えて一言で評価を下すということは、今日は避けたいと思います。もう少し正確な情報を聞いて、その上で判断したいと思っております。

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外務大臣会見記録(平成19年9月6日(木曜日)16時55分~ 於:オーストラリア・シドニー)

APEC閣僚会議

(問)APEC閣僚会議の公式日程が終わりましたが、今回の会議の成果はどういったところにあるとお考えでしょうか。

(外務大臣)年に1回、21の国・地域が集まる訳ですけれども、全体会合それから二国間会合、或いは非公式会合等々色々あり、大変有意義なものだと思っております。私は3年前、サンティアゴの会議に出ましたが、その時にもそう思いましたが、今回もまた、大変意味のある会合であったと思います。
 中身を言うならば、1つはやはり何と言っても気候変動問題ですね。これについて様々な議論が行われましたし、特に今朝、非公式な朝食会という形ではありましたが、かなり率直な議論が行われました。また、これに今まで京都議定書の枠外にいたアメリカ、中国等も外相レベルで一堂に会したということは、大変大きな意味があったのだろうし、これを国連の場、あるいはアメリカの設定した会議なり、バリ島のCOP13会議、あるいは来年のTICADやG8等、一連の会議がずっと続いていく。その一つの区切りとして、今日、外相レベルで集まったということは意味があったのだろうと思います。安倍総理も今年の5月に「美しい星50」という提案をなされ、そのペーパーも今日配りました。早速、フィリピン或いはカナダ等から、この提案を支持するという発言もあり、また二国間会談でも、これについては皆さん賛同するという前向きな反応が多かったと思います。
 2点目は、いよいよ9月、10月、WTOドーハ・ラウンドの最後の詰めが行われるという重要な時期が始まる時に、貿易担当大臣、外務大臣が集まって、これを政治的な意思をもって進めていこうという決意を示したものです。またそのことは、土曜日、日曜日に行われる首脳会議でも特別声明が出されることになると思いますが、そういう意味で政治的な刺激を与えるというか、前に進める意味があったのだろうと思います。また、特別声明という意味では気候変動についても、独立の声明が出されるのかなと私は思っております。
 3点目は、APEC固有の問題になり得るのですが、今後のAPEC地域の経済統合を進めるという報告書も採択されましたし、また私がサンティアゴで申し上げたのですが、それぞれの国で構造改革をやりましょうと。日本でいう構造改革とはちょっと違うと思いますけれどもね。例えば、独禁法等の競争政策、あるいは規制緩和等をやはり進めていこうとか、あるいは企業ガバナンスの問題等について、一定の方向性が纏まってきた。一見地味なようですが、こういうことをしっかりそれぞれの加盟国がやっていくからこそ、このAPECという地域が世界のGDPの5割、6割を貿易等に占める程に発展してきたのです。こういう基礎をAPECが作っていくのだろうと思って、毎年毎年の派手さは少ないですけれども、確実な経済発展を作るものとしては、意味のある会議だと私は考えております。

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地球環境問題

(問)今、幾つかお話を頂いたもののうち、地球環境問題については、米国、中国という枠外の国も一緒にテーブルについたということは意味がありました。ただその一方で、数値目標を書き込む、書き込まないというところで隔たりがあったようですが、ここの認識と、今後どういう風に扱っていくべきかの2点をお願いします。

(外務大臣)どうしても、このAPECの性格というのでしょうか。目標を決めて、皆にそれを割り当てて、というのはAPECには馴染まないという考え方がありましょう。他方、目標もなしに、ただ頑張ろうと言っているだけでは具体的な戦略は出て来ないという考えもありますし、また「目標を議論するのであれば国連の場だ」という伝統的な考え方もある訳で、その辺はまだ今後の議論を待つところがあるのだろうと思います。しかし、今回の声明に数字を出すか出さないか、再度調整が行われますが、何れにしても、京都議定書もそうだたように、何らかの目標を作ってやっていくことについて、私は大方の賛同が得られるのだろうと思っています。

(問)その数値目標について、義務的なものではないと言いつつも、途上国側の意見があると思いますが、数値的なものが出ると義務的なものになるといった意見もありますね。

(外務大臣)発展途上国は自分たちの経済成長を犠牲にしてまで、言うならば先進国のつけを途上国が負わされるのかという、ある種の被害者意識が背景にあるかもしれませんね。ですから、これはやはり先進国も途上国も同じ土俵に立ってやっていかないと、この問題は解決しないという事実に注目しないと。私は基本的な立場に違いはないだろうと思います。されど、こういう国際的な問題は得てして駆け引きみたいになりがちですが、そういう駆け引きばかりやっていても仕方がないだろうと私は思います。

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日朝作業部会

(問)日朝作業部会のことをお伺いします。これまでの時点で協議はどのように進んでいるのでしょうか。

(外務大臣)2日目の議論はまだ、この時間では進行中なのだろうと思いますので、まだ具体的な報告がございません。1日目の結果、そして2日目の結果が今日の夜になれば、入ってくると思いますので、それらを見てどういう会談であったか、どういう成果があったと認められるのか、あるいはあまり前進がなかったのか、その辺は冷静に判断したいと思います。

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日韓外相会談

(問)日韓外相会談ですが、北朝鮮問題や六者会合の進め方についてどのような話があったのですか。

(外務大臣)先方の外務大臣も、我が方の佐々江局長も、佐々江局長は依然として六者会合のエキスパ-トですから、まさに当事者が2人いるようなもので、そういう意味で日韓の話し合いというのは非常に重要なものだと思います。
 日韓関係は、大きく言えばちょうど2年前、私が外務大臣だった頃は色々な事情から大変にとげとげしいものがありましたが、今、大分環境が改善されてきた。特に安倍総理が就任してから改善されてきたという状況もありますし、宋(ソン)外務大臣と意見が一致したのは1998年の小渕総理・金大中大統領の日韓パートナーシップ宣言というものがありますね。彼はあれの作成時に大統領府の外交通商秘書官でしたか、私自身もあの時、外務政務次官でいたものですから、多少そうした経緯などを知っており、あのパートナーシップ宣言を日韓関係発展の礎にしたいと宋大臣が言われたので、私も「そうだ。あれは本当に良く出来たものですよね。」と、お互いにそういう意味で共通の出発点に立ち、今後の日韓関係の発展、あるいは地域の発展に、お互いに努力しましょうということで一致を見ました。
 北朝鮮問題も当然話しました。今まさに日本と北朝鮮の間で行われているという作業部会の結果はまた適宜報告しようと思っておりますが、全体として韓国の立場からすれば、10月上旬に南北首脳会談も行われる、米朝会談もそれなりに前進しているという中で、全体としては良い方向に動いているのではないかという印象の捉え方をしているということです。
 私どもの方は、拉致問題が今後どうなるのかという基本的な問題がありますが、全体としては六者会合が核の廃絶という方向に向かって進むという楽観的なことは言えませんが、そういう方向に少しずつでも歯車が回っているという意味では、基本的な認識にそう差はないだろうと私も思います。勿論、それぞれの国がそれぞれの立場で多少の違いがありますよね、ということはお互いに確認しております。
 そういう方向で、まだホストである中国の提案がありませんけれども、日朝ワーキング・グループを経て、それを見た上で、多分今月中の然るべき時期に開こうと中国が提案してくるのだろうなと思っております。

(問)そこに向けて日韓が一層連携していこうということですね。

(外務大臣)そういうことですね。

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日米外相会談延期について

(問)今日午前中に日米外相会談が予定されていたのが、明日になりました。実際の閣僚会議の中でライス長官ともやりとりがあったと伺っているのですが。

(外務大臣)ライス長官がつかつかと歩いて私のところに来て、急に何か事情が発生して今日の午前中はどうしても時間がとれなくなったと、何か大統領の関係とか言っていましたが、「いいですよ。私は明後日の朝までいますから」と申し上げたら、「では、その間で時間を再調整しよう」ということで、明日の夕方になりました。ライス長官とは、たまたま昨日の夕食会で隣りだったのです。右側には家内が座り、左がライス長官という真に幸せな席順をダウナー外相が作ってくれまして、ライスさんとも色々なお話が出来て良かったですね。女房の隣は因みにラブロフ露外相という、なかなか独創的な席順でした。

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外務大臣会見記録(平成19年9月5日 於:オーストラリア・シドニー)

 9月5日、豪州APEC閣僚会議出席の為に当地を来訪した町村大臣が約5分間、ぶら下がり会見を行ったところ概要以下の通り。

APEC閣僚会議

(問)今日、APEC閣僚会議の初日が終了したが、今日の会議を総括して頂けますか。

(外務大臣)非常に多岐に渡ったテーマであったが、一番最初にやったのが何と言ってもWTOドーハ・ラウンドの妥結に向けての各国首脳の政治的リーダーシップを発揮して、特にこれから数週間、6乃至8週間位の議論が非常に重要だということで、最終的な合意にむけて各国それぞれ努力をしようという方向性が確認できた。
 それから域内の貿易について、これは長期的な目標ですが、APEC全体のFree Trade Zone(自由貿易圏)みたいな構想がアメリカから昨年出されているが、これを引き続き検討しようということ等を含めて議論があり、また、APECの事務局機能の強化とか、APECの活性化とか、そういう議論もかなり行われたところでありました。

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日朝作業部会

(問)今日から始まった日本と北朝鮮の作業部会について、ここまでどのような報告を受けていますか。

(外務大臣)午前中、正確な時間は分かりませんが一時間か一時間半くらい議論が行われ、また午後に再開されるということを聞いている。詳細はまだ入って来ておりません。スムーズに議論が始まったということぐらいは聞いている。

(問)今日はどういったテーマについて議論が始まったと聞いていますか。

(外務大臣)今日は、先ず先方の関心事項である過去の清算の中身について議論をする。明日は拉致問題を議論をすると、いうことになるのではないでしょうか。事前の考え通りにそうなるか分かりませんが。

(問)一部、「よど号」関係者の帰国問題について取り上げられるのではないかとの見方がありますが、如何ですか。

(外務大臣)それは分かりません。

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テロ対策特別措置法

(問)テロ対策特別措置法との関係で、新法を提出すべきだという考え方がありますが、大臣のお考えは如何でしょうか。

(外務大臣)そう遠からぬ内に政府の方針を決めないといけないと思っておりますが、主管大臣は官房長官ですが、関係する大臣として私(町村大臣)と高村防衛大臣がいますね。色々な形で話し合っていますけど、一つのアイディアとしては新法ということもあり得ると思います。それに決め打ちをした訳ではありません。現行法の単純延長というのも分かりやすい話ですが、11月1日を過ぎると法案の審議そのものの意味がなくなってしまうという問題点がある訳ですね、勿論、11月1日までに答が出ることが望ましい訳ですけども、万が一、そうならない場合のこと等も考え、新法という形にして、そして、その中でどういう内容にするかといったこと等も検討の課題の一つにはなるだろうなと思います。

(問)明日、ライス長官ともお会いになると思うが、この話もするのでしょうか。

(外務大臣)日米間で話し合いたいことは沢山あるものですから、それも一つのテーマであることには間違いないでしょうね。しかし、北東アジア全般のことから、日米関係、米軍再編、或いは気候変動問題等々、非常にいっぱい時間がかかるし、相手は大変お忙しい方だから、時間の制約を見ながら必要な話はしていきたいと思います。

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外務大臣会見記録(平成19年9月4日(火曜日) 於:オーストラリア・シドニー)

 9月4日、APEC(アジア太平洋経済協力)閣僚会議出席のためにオーストラリア・シドニーを来訪した町村大臣がホテルロビーにて約10分間会見を行ったところ、概要以下の通り。

APEC関係

(問)明日からAPEC閣僚会議が始まるが、どういう風に進めて行きたいか決意をお聞かせ願いたい。

(外務大臣)2004年、サンチャゴAPECに参加したことがあるので、今回で2回目ということである。その時以来の古い外務大臣の方々、オーストラリアのダウナー外相であるとか、或いはライス長官等の馴染みの顔が沢山いる様だから、ある意味ではリラックスして楽しい、しかし、重要な雰囲気の中での会議であるだろうと思うから、出来るだけ積極的に発言をしていきたいと思っている。
 テーマとしては、今、国際的に最も大きな関心を集めている気候変動問題、これは首脳レベルでも当然大きな話題になると思うが、来年のG8北海道洞爺湖サミットにも繋がるように、国際的な大きな枠組みを作る努力の一環として努力をしたいと思っている。
 その他、従前から取り上げられているテーマもあるが、例えばWTOドーハ・ラウンド。これも段々大詰めが近づいてきているが、これに弾みをつける為の政治的な意見集約も行って行きたいと思っているし、或いはアジア・太平洋地域における自由貿易地域協定というか、まだ具体化している訳ではないが、そうした広い議論も従前から行われているし、或いは地域の構造改革、それぞれの国がそれぞれの国で行う構造改革への取り組みというのは、サンチャゴで私が発言をしたこともあるのだが、そうしたものへの取り組みが少しずつ、着実にAPEC諸国の中で取り組まれているということであるから、そうしたことにも発言をしていきたいと思っている。

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北朝鮮問題

(問)明日から、日本と北朝鮮の作業部会が始まるが、これに先立ち佐々江アジア太平洋州局長とヒル次官補が会いましたが、それについてはどういった報告を受けたか、そして明日からの作業部会については、政府としてどういう風に臨むか。

(外務大臣)今日の昼間、佐々江局長とヒル次官補との間で話し合いが持たれたという報告を聞いた。詳しい話は恐縮ながらここでする訳にはいかないが、大体、報道されていることに尽きるのではないかと思う。大変有意義な米朝協議であったということ、かなり突っ込んだ議論も行われたということで、しかし依然として、まだまだ詰めなくてはならない問題も沢山あるということである。その辺を今後どのように進めていくのか、引き続き米朝間で努力をしていく、勿論、それは六者会合のフレームワークの中で行うべきであり、六者会合もそう遠からぬうちに開かれることもあるだろうから、そういう中で両者の合意、或いは両者の努力の方向を六者会合の中でも、しっかり受け止めて行くことが重要なのであろうと思う。盛んにテロの指定を解除する問題が、何か年末にも行われることが決まったかの如き、北朝鮮側のプレス発表について関心があるようだが、今、申し上げたような完全な申告等々のプロセスが本当に全部どう進むかということにかかっているのであって、年末という時期が限られている訳ではない。勿論、早ければ早い程良いのでしょうけど、相当まだまだ一山、ニ山、三山あると思う。そういう山を乗り越えていった結果が、指定解除ということがあっても不思議ではない。今、それが何時何時と見えているという状況ではないということだと思う。しかし、そういう雰囲気を経て日朝間の話合いが行われる。日朝間でもしっかりとした話し合いがあり、当然のことではあるが、私どもは拉致問題の進展に向けて誠意ある対応を求めていくということ、また同時に不幸な過去の問題を日本からもきちんと取り上げる用意があるということ、従前と同じく申し上げる積もりであって、そうしたことがいずれの日にか日朝国交正常化に繋がるということである。そして、また核の問題の解決にも役立っていくということを期待している。着実に一歩でも前進で出来れば良いなと思っているが、楽観的過ぎず、悲観的過ぎず、冷静にしっかりとした話し合いをしてもらいたいと思っている。

(問)米朝協議が進展する中で、所謂、日本が置き去りにされるのではないかとの懸念の声があるが、そういうものは今日の会談を踏まえて払拭されているという認識であるか。

(外務大臣)置き去り論というのは、非常に日本人的というか、何かあるとすぐ日本にとってダメージではないかと、とかく考えがちでそういう悲観論が国民受けするとメディアの皆さんが、些か誤解をしているのではないかと申し上げたいのですが、置き去り論というには、まさに北朝鮮の思うつぼなんですね。それに乗る必要は全く無い訳であって、逆に北朝鮮が、もし日本の今後、色々な問題、拉致問題等が解決して、経済支援がもし、日本から全く出ないということになれば、困るのは北朝鮮であって、日本は全く困らない。そこのところをまるで皆様は誤解をしておられるのではないかと思う。だから私は置き去り論というのは全く理解できないのであります。そして、アメリカもまた米朝関係の改善によって、大切な日米関係が揺らぐということがあってはならないという基本原則は、先日の電話また、今日の会談でヒル次官補から佐々江局長にしっかりとしたそういう話があるから、そういう風に私は冷静に理解をしている。

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二国間会談

(外務大臣)今日、シンガポールのジョージ・ヨー外務大臣、それから豪州の外務大臣と個別の会談をした。詳細はたぶん担当の方からお話があると思うが、どちらも私の古い友人であるから、かなり率直な話が色々出来て良かったと思っている。例えばダウナー外相からごく最近の調査で豪州人が好きな国、1位:ニュージーランド、2位:英国、それはそれぞれ地理的、あるいは家族の繋がりみたいなものがあるからよく解るのだが、第3位が日本であると。本当かと私は聞き直したのだが、ごく最近の調査結果だということで大変に日本という国が豪州の皆さんにとって受け入れられている、あるいは日本人というのは大変礼儀正しいし、犯罪発生率も低いし、色々な意味で最も歓迎すべき、例えば旅行者であっても、歓迎すべき国民なのだと言うことを二度ほど言っていた。私も大変嬉しい思いをしております。ちなみに日本が一番好きな国はどこかなと考えていたのですが、後で分かったら教えて欲しい。
 テーマとしては幾つかあったが、例えば気候変動問題、これはシンガポールも豪州も共に、日本の安倍総理のイニシアティブというものを評価し、今後、一層国際的な話し合いが進むことを期待しているということで、「美しい星50」というのがとても好意的に受け止められているという認識を致しました。それから、いわゆるテロ対策特別措置法の問題ですが、豪州もシンガポールも平和な海、テロリストが横行しない海、身近にあるインド洋というものが今の関係諸国によるMIUの活動によって確保されているというのは非常に大切なことである。従って、その給油活動によって日本が支援をしているということは評価をするということであった。そういう国際的な世論があるのだということを今日は実感をした訳であって、これまでも反対したから今度も反対するという、そんな単純な理由で反対する野党の方もいるが、もっと真摯に国際社会の一員として国際世論というものにしっかり耳を傾けてもらいたいな、ということを期待したいと思う。

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外務大臣会見記録(平成19年9月3日(月曜日)13時50分~ 於:正面玄関)

APEC閣僚会議

(外務大臣)今日からAPEC閣僚会議に出ます。そのことを先ず皆さんにご報告します。今晩出発して土曜の夜に帰って来ると思います。APECでは気候変動・温暖化問題、WTOの問題、構造改革という、かねてよりのことを話題として議論していきたいと思います。
 以前、外務大臣をやっていた時の最初の国際会議がやはり、チリで開かれたAPECでした。今回こういうことでまたAPECに行くことになりました。日本として「主張する外交」の実現をしていきたいと思います。数多くのバイ会談も二国間の会談も予定されておりますので、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
 私は13の国々、或いは国際機関の外務大臣、或いは国連の藩基文(パン・ギムン)事務総長と話をしましたが、非常に数多くの国々からテロ特措法のしっかりとした取り組みについて期待する、或いは日本のこれまでの活動を評価するという話がありました。先日の安倍首相とメルケル独首相との間でもそのような話が出ておりますし、替わられましたが小池前防衛大臣もインド或いはパキスタンでそのような話をされたということですので、そうした国際的な期待というものを、国際的に高い評価を受けているテロ特措法に基づく活動はこれからも必要だ、ということを数多くの外相等との電話会談で実感を持ったということは皆様にご報告をしておきたいと思います。どのような方々とお話をしたかというのは後で、皆様方に資料を配布しますのでそれをご覧頂ければと思います。

(問)米国、韓国、中国と各国の代表と会談されると思いますが、その中でもやはりテロ特措法の延長のことも重要な議題の一つになるということなのでしょうか。

(外務大臣)当然、電話会談でも話題になっておりますし、現地においても当然そのような話が出るだろうと思います。

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閣僚の辞任について

(問)就任早々なのですが、領収書の重複計上で坂本政務官が辞職されましたが、大臣としてのご所見をお願いします。

(外務大臣)大変有能な大臣政務官として活躍してもらえると期待していたのですが、残念な結果になってしまったと思います。しかし、現下の「政治とカネ」の問題について大変厳しい雰囲気にある中で、ご本人が決断さされたということですから、しかも再調査、より詳細な調査をして、更なる問題も分かったということですから辞職ということは重い判断として受け止めています。ある意味では当然の結果、判断をされたのかなと思います。

(問)時を同じくして農林水産大臣がまたも、三代続けて辞職されましたが、その点について受け止めをお願いします。

(外務大臣)発足早々でまたこのようなことになったのは誠に残念な姿だと思います。政策論に入る前の段階のことですから、後任の方も含めて内閣全体でしっかりと、このようなことがないように心を引き締めていかなければならないと思います。

(問)政権に与える影響等はどのようにお考えですか。

(外務大臣)それは、今後の内閣としてどういう活動をするかということにかかっているのだろうと思います。

(問)農林水産大臣と外務政務官の辞任についてですが、安倍総理の任命責任を問う声も出て来ていますが、その点については大臣はどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)日本の今の調査体制で、事前に全てのことを知り得るというのは相当難しいことだと思います。あまり詳しく知っている訳ではありませんが、例えば米国を見るとCIA、FBIという機関を通して相当な調査を行います。従って、最終的な大臣の発令に半年くらいかかるということも珍しい訳ではない。日本は一日、二日で直ぐ発令しなければならない。このような辺りの違いもありますから事前の調査と言っても、それには限度があるのだろうと思います。しかし、結果はこのようなことになったのですから、そのことはそのこととして総理大臣もしっかりと受け止めておられるのだろうと思います。

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北朝鮮問題

(問)先の米朝会談の評価と今後の日朝、そして六者会合全体への期待、その辺についてお願いします。

(外務大臣)米朝会談は、全体としては前向きに評価出来る話合いであったとの報告を受けております。完全な申告と核の無能力化、こうした方向について、どこまで細部に亘って合意しつつあるのか未だ分かりませんが、前向きな話合いが行われたということは六者会合全体にとっても良い方向に進んでいるということが言える訳ですし、また米朝会談の中でも日朝の話合いが前進することを米国側からも期待するという発言をされたと聞いていますから、モンゴルで開かれる日朝作業部会も成果のあがるものになることを期待しております。ただ、過度な楽観はしておりません。

(問)テロ支援国家指定解除を幾分か米国が仄めかしたという話があるようですが。

(外務大臣)詳しくは良く分かりませんが、日米関係を犠牲にして米朝関係を進めることはないということは米国側から言われて来ているところです。

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