(外務大臣)おはようございます。今朝は10時から閣議がありました。事務的な案件で東ティモールのことなど幾つかありましたが、特に大きな政策マターという訳ではありません。その他、失業率統計、あるいは雇用統計等の状況が厚生労働大臣からありました。
(問)東ティモールの関係というのは、どういうことですか。
(外務大臣)東ティモールには国連の機関があるのです。マンデートを延長するということで、そこに日本から本部要員を確か2人派遣しているんですね。それを引き続きまた延長するということです。
(問)北朝鮮問題で、米朝の協議が始まりますが、これに対する期待は如何でしょうか。その後、日朝もある訳ですが、米朝にあたって、どういう展開になって欲しいですか。
(外務大臣)核の完全廃絶という大目標がある訳ですから、ある意味では一番重要なプレイヤーである、この二国間の話が可能な限り煮詰り、かつ前進するということを、これは日本のみならず、関係する全ての国々が望んでいることだろうと思っております。まだまだ、私もつぶさに勉強している訳ではありませんけれども、なかなか何をもって無能力化とするかといった定義のこともあるでしょうし、それから、例えば蓄積されているかもしれないプルトニウムの問題など、たぶん、相当難しい問題が両国間にはある訳で、そうした難しい問題の一つ一つをきっちり話し合って、前進してもらうことが大切であろうと思っています。そして、そういう場を通じて、米国側から北朝鮮側に対して全体の交渉が進むようにという意味で、日本との協議が前進するような側面的な働きかけもしてもらえると思っておりますから、そういう意味での米国側の働きかけも期待しているところです。
(問)そういう意味での米国側からのサポートという点で、拉致問題についての米朝間のサポートといった辺りについてのお考えをお聞かせ下さい。
(外務大臣)ですから、サポートというのはそういう意味です。
(問)人事では色々ご苦労されて、副大臣、政務官をご指名になった訳ですが、結果的にまた、荻原健司経済産業大臣政務官の電気料について問題が出て来てしまっていることについては、如何お考えでしょうか。
(外務大臣)荻原政務官がどういう問題を起こしているのか、新聞を斜めに読んだだけですから、詳しく事情を存じ上げません。もし、事務的な間違いがあったとするならば、それは速やかに訂正されるべきだろうと思います。きちんと説明をするということが、今度の閣僚、副大臣、政務官に等しく求められている訳ですから、問題提起をされた方は、しっかりと説明をする必要があると思います。
(問)先程引き継ぎが終わり、また、思いを新たにされたと思うのですが、その辺りを一言頂けますか。
(外務大臣)素晴らしい前任の麻生大臣でしたから独自の境地を開かれたなと思っております。外交は継続ですから、色々な先輩の努力の成果を引き継いで頑張っていかなくてはならないと思っております。麻生さんのチームは、「ドリームチーム」で今度、町村チームは「ミラクルチーム」になるであろう、と岩屋前副大臣が言っておられました。ミラクルチームになれるように一生懸命頑張らなくてはならないと思います。いざ困ったら麻生幹事長はお礼奉公して下さると、このようなことを言っておられましたので大いに頼りにしていこうと思っております。
(問)先日、麻生前大臣の「自由と繁栄の弧」という政策について町村大臣は、未だ引き継ぎを受けていないので今後どうするかというのは聞いてからということでしたが如何ですか。
(外務大臣)今日お話を聞きお考えも良く分かりましたし、一つの新しいコンセプトを外交の中に開いたということは良かったのだと思います。現にこれは一昨日会ったフィンランドの外務大臣も、日本が北欧、或いはバルト三国といった地域に目を向け、関心を持って来れるのは大変嬉しいことである、という話をしておられました。相手国の外務大臣をして、そう言わしめる成果があったのですから、やはり良いことだろうなと思っております。大変重要な考え方として、受け継いでいきたいと思っています。
(問)ヒル米国務次官補が会見で、米朝作業部会の中で日本の拉致問題も取り上げていきたいという話をしていました。そのことが日朝作業部会にも影響を与えると思うのですが、その辺についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)今までも米国或いは中国、その他の国々も拉致問題について適宜、適切に触れて頂いているであろうし、そのような働きかけもして来ている訳ですから、それを六者会合というフレームワークの中でそれぞれの個別問題を扱うメリット、有利な点があるのだろうと思います。個別にやるよりは。そのような意味で拉致問題の解決に、そうした友好国が力を貸してくれるのは大変有難いことで、それが直ちに来週の日朝間の作業部会にたちどころに影響があるとは思いませんが、バックグラウンドとしては非常に良い背景の要素として大切にしていきたいなと思っております。
(問)それに関連してヒル国務次官補は、テロ支援国家指定解除の問題は北朝鮮の無能力化、非核化の前進によると指摘しているのですが、その辺の日米の連携はどのようになっているのでしょうか。つまり拉致問題を考慮はするのでしょうが、北朝鮮が非核化に向けてどれだけ前進するかということにおいて、テロ支援国家という指定を解除するかしないかということを考えるという発言をされているのですが。
(外務大臣)ヒル国務次官補の発言を未だ聞いていないですから、正確には分かりませんのであまりアレコレ言わない方が良いのだろうと思います。ただ、「核兵器なき朝鮮半島を作る」という大目標があってこの六者会合が成り立っているのですから、それがどのような状態になったら米国がどのような行動をとるのか、それは必ずしもつまびらかではありません。しかし、それが何れ来ることは素晴らしいことですよね。同時に米国は日本とも緊密に協議しながら、拉致の問題もしっかりと北朝鮮に向かって取り上げていくということですから、お互いにしっかり了解を取りながら全体として良い方向に進んでいく、それが大切なことだと思います。勿論、テーマによっては早い、遅いということはあると思いますが。
(問)島根県が制定した「竹島の日」の条例、これに関連して政府としても今後、式典に参加していく等、積極的に関与していく考えがあるかということと、島根県は政府に対して北方領土と同じように、それを担当する部署を政府内に作って欲しいという要請を何度も行っていると思うのですが、そうしたことへの対応については、どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)何か竹島でありましたか。
(問)いえ、特に。新大臣としてどのようにお考えかお聞かせ下さい。
(外務大臣)そうですか。私が以前、外務大臣でいた時に「竹島の日」の条例が通り、その結果、日韓首脳間の交流が途切れ日韓関係全体が、非常に非友好的な雰囲気に急激に変わっていったきっかけであったので私も良く覚えております。それぞれの自治体がそれぞれの考えで物事を決める。それを韓国は止めろと政府に要求して来て、それは日本の地方自治の建前上、出来ないと言ってお断りをした。それは私はそれぞれの自治体の為さることですから、それはそれで各自治体の行動は尊重したいと思っております。2月22日の「竹島の日」に政府の者が参加をするかについてですが、過去二回は参加をしておりません。今後どうするかはまたよく考えますが、今直ちに過去二回の前例を変えるべき要素があるのかなと、ここはよく考えなくてはならないと思います。
担当部署の設置については着任したばかりですから、そのような考え方があることを今初めて知りましたので、よく考えていきたいと思います。
(問)先程、中国の国防部長と話をされましたが、メインとなった話についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)初めての対面でしたが国防部長からは、「あなたの顔はよくテレビで見ていて知っていますよ」という、そのような皮切りの挨拶がありました。本日午前中、お昼に行われた高村防衛大臣との話合いは非常に有効であったと、様々な決定が行われたと、防衛交流、人の交流、艦船の交流、或いは私が良かったなと思っておりましたのは特に、海、東シナ海ということだろうと思いますが、何かあった時の緊急通報体制を作ろうということについて合意をしたということです。これは、そこで今現にこれから石油、天然ガス等そのようなものの共同開発をどのようにするか、或いは単独開発をどのようにするかということで、今年の秋冬までには答えを出さなくてはならない、ということで両国首脳の間で合意されています。その際に、緊急通報システムというのがワークするというのは、不測の事態を避けるという意味で大変良いのだろうと思い、心から歓迎すると私からも申し上げました。あと私の方からは、防衛交流をするというのはお互い例えば、どのような装備であるのか、どのような訓練を行っているのか、どのような人が行っているのかということをお互いに理解し合うという意味で良い訳ですから、そのような意味で、批判のある急速に膨張する中国の軍事費の透明性が高まる一助になるという意味では大変歓迎すると申し上げました。更に透明性を高める努力、国防白書というものが出されていますが、それを更に充実したものにしてもらいたい、ということも申し上げました。また、弾道ミサイルで衛星を落とすという実験を今年行ったというような事も、やはり日本では大変懸念する声もあるということも率直に申し上げました。
(問)それに対して先方はどのような反応でしたか。
(外務大臣)そのことについて特にコメントはありませんでした。 ただ交流を深めて行くことは大変素晴らしい成果であったということについて歓迎するということは二度、三度、国防部長の方からお話がありました。最後に台湾問題について一言あり、私からは日本の台湾に関する政策は何ら変わりはないということも申し上げておきました。
(外務大臣)本日は臨時閣議がありました。先ず、副大臣の任命を了承しました。もう、発表になっているでしょうか。衆参それぞれですが、小野寺さん、木村さんが外務副大臣になります。また、中山太郎衆議院議員をマレーシア独立50周年の記念式典に、政府特派大使として任命することにしました。それから、オランダ等の大使について決めました。それから、私の方から説明いたしましたが、8月15日に地震災害があったペルーに対して緊急無償資金協力を行うということで総額130万ドルの無償資金協力を行うということを決めました。既に1,600万円の緊急援助物資、これはテント等ですが、そのようなものはもう行っておりますから、合わせて1億6,700万円の支援を実施することを閣議で決めました。
(問)日朝作業部会についてですが、本日も閣議後、総理とお話になられていたようですが、総理から具体的にはどのような指示があったのでしょうか。
(外務大臣)今日、総理と日朝作業部会の具体的な話をした訳ではありません。主として総理と話したのは来週APEC外相会合がありますから、それに行ってどのようなことをするのかという話が中心です。その他、色々な外交案件がありますから、その内の幾つかについてお話しました。
(問)作業部会については未だ、具体的な指示というものは出ていないのでしょうか。
(外務大臣)指示というものはありません。
(問)昨日、総理は会見の中で、北朝鮮の誠意ある対応、誠意ある態度を、というお話をされていたのですが、具体的にはどのようなものを北朝鮮側の誠意ある対応とお考えですか。
(外務大臣)拉致問題は解決済みという彼らの主張のままでは何の話にもならない訳ですから、その点は懸案事項の最大のものでしょうから、それについて彼らもきちんとした話し合いに対応することを求めるということは当然のことだと思います。
(問)一般的にWFPの方からも、北朝鮮の水害支援について話が来ているようですが、水害支援ということと拉致問題についての考え方については如何でしょうか。
(外務大臣)国連の色々な機関が色々な災害に応じて、各国に要請をして来る、今回は諸機関の統一アピールが現地の月曜日、従って日本では昨日火曜日に発出されたということですから、それを受けてどう対応するのか、そのことを先ず考えようということでありまして、未だ具体的にどうこうというところまで話は至っておりません。
(問)昨夜、ライス米国務長官と電話会談されたということですが、その中で北朝鮮問題、特に米朝、日朝作業部会についてはどのような話が出たのでしょうか。
(外務大臣)電話会談ですから、向こうから大臣就任のお祝いの電話ということです。旧知の仲でもありますから、お久しぶりですねと、お久しぶりというのはちょっと表現が不適切かなと思いますが、引き続き共に努力しましょうという趣旨で、個別具体の話を突っ込んでした訳ではありません。日程調整がつけば、来週APEC外相会合にライス長官も出席されるでしょうから日程調整が出来れば個別会談を行いたいなと思っております。そのような話はしました。
(問)水害支援ですが、具体的にどうこうという段階ではないということですが、何らかの支援は行おうということで検討しているのでしょうか。
(外務大臣)やるかやらないかを含めて今、考えているということです。
(問)北朝鮮に対する水害支援とはいえ、拉致問題を解決していない中で北朝鮮の支援に踏み込むことに国民の理解を得られるとお考えでしょうか。
(外務大臣)やるかやらないかは検討中だということを今、申し上げた訳であります。
(外務大臣)この度、外務大臣を拝命致しました町村です。どうぞ宜しくお願い致します。クラブの皆様方とは、かなり頻繁にお顔を合わせることが多くなろうかと思いますが、皆様方から厳しく、かつ建設的なご意見、ご質問等を頂ければ有り難いと思っております。
今も少し秘書官と話をしていたのですが、私が外務大臣に着任して早々に確か、この場だったと思うのですが、ある方からご注意というか、ご指摘というか、「こういうことをやったらどうですか」みたいなご意見があって、それをすぐ私は実行して、なるほど良いご意見を頂いたなと、案件を忘れてしまったのはお粗末なんですが、そのようなことがあったことを記憶しているものですから、どうぞひとつ皆様方から積極的な提言でも、あるいはまたこういう場であれ、個別であれ結構ですが、頂ければ幸いと思っております。
外務省として、やはり外交の継続性というものがありますから、累次の大臣のこれまでの発言、実績等を踏まえながら、しっかりと外交の推進に当たっていこうと思っております。内容については先程、官邸で言ったことと重複しますので、むしろ皆様方からのご意見なり、ご質問があれば、承りたいと思います。私は体力には自信がある方ですので、一生懸命、全力を挙げて外務大臣の職責を全うしていこうと思っておりますので、よろしくお願い致します。
(問)大臣が直接交渉に当たる訳ではありませんが、早速、近く日朝作業部会が開かれますが、改めて拉致問題への対処方針をお伺いしたいと思います。
(外務大臣)拉致問題は、まさに国家による犯罪であり、これをきちんと解決していくということが、歴代内閣の大方針でありますし、安倍内閣の方針でもあるということは間違いがないと思っております。いま六者会合のプロセスが始まっている訳で、私が大臣在任中にはこの六者会合が始まりかけた初期の段階でした。その後、いろいろと停滞した時期、また進展した時期もあります。今は一応、それなりに前に進んで、プロセスが動いておりますので、是非、この非核化というものに向けて六者会合は進めるべきだろうと思いますし、私共としては日朝平壌宣言に則って、拉致問題を含む諸懸案を解決して、そして不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというのが、変わらざる方針であると思っております。確かに現状では、この拉致問題はなかなか進んでいない状況ですが、まだ正確に日時等が決まっている訳ではありませんが、ワーキング・グループも今月内には行うという日程でやっている訳であり、その中で進展が見られるように努力して参りたいと思っております。特に、ご家族の皆様方の高齢化も進んでおり、そうゆっくりと時間をかけて進めればよいというものではない。家族の皆様方の思いに十分思いを致してしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
(問)北朝鮮の非核化と拉致の関係で。すが、これまで拉致問題に進展がなければ、非核化のプロセスの一環である北朝鮮に対する経済支援には参加しないということでしたが、そのスタンスは今後も拉致問題が進展しない限り、六者会合でエネルギー支援には参加しないという方針は続けていかれるお考えでしょうか。
(外務大臣)進展が見られれば、経済支援やエネルギー支援を含む他の分野で一層積極的な役割を果たすということが可能になるという方針ですし、それぞれの国がまた、それぞれのスタンスというのがある訳です。韓国は韓国のスタンスがあろうし、米国は米国の、中国は中国のスタンスがある。それぞれのスタンスをお互いによく理解しながら、非核化の問題、核の完全な放棄の実現に向けて努力していくということです。いずれにしても、六者会合のプロセスの中で日朝作業部会が近々開かれる予定だと聞いておりますから、そので進展があることを私は期待しております。
(問)「進展」は何を指すのかというところがまだ明確ではないのですが、例えば拉致問題の再調査を北朝鮮が表明した場合、これは進展したと評価できるとお考えでしょうか。
(外務大臣)そこは詰めない方がいい話ではないでしょうか。あまり、これは、これはということをこちらから言うことは、決して日朝間の交渉にとって少なくとも我が方のポジション上、それは明確にしないからこそ外交交渉というものは成り立つものではないのでしょうか。
(問)テロ特措法の問題で伺いたいのですが、先程の官邸での会見では、小沢氏の湾岸戦争の時の発言ないし国際平和協力活動に対して、いわゆる正攻法で問い質していくというお考えを述べられましたけれども、一方で野党の理解を得なければ、テロ特措法はなかなか成立しない。そういう中で柔軟に対処するというのも、お考えとしてあると思いますが、今後、野党へのスタンスはどのような考えで臨まれるのでしょうか。
(外務大臣)テロとの闘いは現在進行形で進んでいる訳です。このテロ特措法に基づく行動だけが唯一絶対のテロとの闘いの手段であるとは私も思いません。しかし、日本が今、具体的に国際的に行動をもって示している一番分かりやすい、かつ国際的にも評価され、効果のある活動としては、今これが日本にとっては、言うならば最大の方法な訳ですから、これは是非引き続き継続する必要があると思っております。そのような前提に立って、野党の皆さん方と議論をし、建設的な答えを出す努力をしていくというのが基本的なスタンスであろうと思っております。「柔軟」の意味が必ずしもはっきり致しませんが、もしそれが法案修正という意味ならば、今、私共はそこまで議論が進んでいる訳ではございません。これから、新しい内閣がまた発足した訳ですから、この内閣の下で様々な議論を積み重ねていく中から、何か建設的な解答、合意が得られることがあるならば、それはそれで大切にしなければいけないと考えております。
(問)安倍総理に打診された時、具体的にどういう点を重点にやってほしいとか、どういうやりとりがあったのかということと、今回の組閣では派閥の長の方が非常に沢山入っていますが、そこらへんの体制をどのように御覧になっているのかを教えて頂けますか。
(外務大臣)安倍総理からは幾つかの課題といいましょうか、取り組むべき重点事項が示された訳です。それは非常に多岐に亘っておりまして、今、手元に資料を持ってきておらず、思いつくままで恐縮ではございますが、テロ特措法のことも当然ありました。また、TICAD、あるいはG8サミットの成功に向けて努力をすることもあります。あるいは拉致問題を含む北朝鮮との外交をしっかり取り組むこと。あるいは、日米同盟の基礎である米軍再編を含む日米関係の強化。あるいは中国、韓国、ロシア等近隣諸国との友好関係の増進、勿論、ロシアの場合は北方領土問題がある訳ですが、これにも取り組むようにと。また、国連との協調も述べられていたところです。「主張する外交」というのが安倍内閣の外交の基本的なスタンスです。この点は私も前回、外務大臣を務めていた折りから心がけていたつもりですが、引き続きそういう点をしっかりとやっていかなければいけないと思っております。
派閥の長は、私、伊吹さん、高村さん、あと、三役の麻生さん、二階さんということですね。派閥の長であるが故に人選を行ったとは私は考えておりません。総理が言っておられる適材適所という観点から人選をされたものと思っております。
(問)1年10ヶ月ぶりの外相再任ということで、内に秘めたる決意は並々ならぬものがあるとお察ししますが、町村外交というカラーをどういった分野で特に打ち出していきたいのかをお伺いできますか。
(外務大臣)特に安倍総理になってから、「主張する外交」と言われた訳ですが、前回私が外務大臣になった折りも、明確な自己主張をすることに非常に力を入れたつもりです。もちろん、国際場裡ですから、国際協調ということもなければならない。ただ一方的な自己主張だけして、その自己満足に終わってはいけないのですが、ややもすると曖昧な、非常に高度な外交的表現で、実は意図するところが不明確な場合もあったのですね。今思い出したのですが、例えばEUが天安門事件の時に、中国への武器輸出を禁止するということがあり、それがずっと続いておりました。その後、EUの中でもう時間も経ったことだし、中国も大分変わってきたことだし、もう禁輸を緩和してもよいのではないか、あるいは廃止してもよいのではないかという動きがありました。私は確かフランスの外務大臣であったマルニエ氏に最初に会った時、「日本は今まで慎重に対処されたいと言っていたが、それは禁輸を緩和するな、禁輸を続けてくれ、という意味だ。」と言ったら、マルニエ氏が目を丸くして驚き、「そんなこと日本から聞いたことがない。」と言うんですね。私はその時、「いや、日本は非常に上品な国ですから、巧みなレトリックでそう言っているけれども、反対の意味なんです。」ということを明確に申し上げる。そしてそのメッセージを、これはまずいと思ったものですから、各国大使からEU各国の外務大臣に、それははっきりするようにきちんと申し入れなさいという指示を致しました。米国も日本の言う通りだと、EUも幾つかの国が日本の言う通りだということになりました。
例えばですけれども、そういう形で、はっきり言うことは言う。しかし、言った事が全部実現する訳では勿論ありません。できるだけ己の主張というものをはっきりと言い、相手の言うことに耳を傾けるということを基本的な姿勢としていくことが、大切なのではないかと考えたものですから、それはEUのみならず、中国に対しても米国に対しても随分言いました。2+2の席でも、いかに沖縄というものが、大変長い間、県民が苦しんでいるのかということも随分、ライス氏なり、ラムズフェルド氏なりに申し上げたこともあります。これを基本的な姿勢としてやっていこうと思っておりましたし、今回もまたやろうとしています。
課題は沢山あります。北方領土の問題もありましょう。また、国連改革という問題もありましょう。地球温暖化、あるいはWTOの問題等々本当に山積しておりますので、その中で日本の国益というものを如何に最大限、実現するのか。しかし、相手のあることですから、それぞれの国の主張にも耳を傾けながら、出来るだけ良い答えを出していくということに尽きるのではないかと思っております。
(問)官邸での会見でも、沖縄にとっての在日米軍再編についてのお話があったかと思いますが、普天間飛行場代替地については、日米間で合意した案に対して、地元名護市などが滑走路等の修正を求めて、今なかなか調整が上手くいっていない状況にあるのですが、この普天間飛行場移設について、大臣としてどのような方針を持たれていますか。
(外務大臣)日米間の合意が出来て、途中で選挙があったり等々の事情から、他の事情も勿論ある訳ではありますが、時間が大分経って参りました。いつまでも放っておく訳には参りません。SACOの二の舞にしてはいけないと思っております。従いまして、先程もちょっと時間があったものですから、盟友である高村防衛大臣ともこの話を出来るだけ早く進めていこうね、という話もし、今後また密接な協議を防衛大臣ともやっていこうと思います。これは両省のみならず政府全体で取り組んでいくテーマだろうと思います。できるだけ早く、定められたタイム・スケジュールがある訳ですから、それに則ってやっていきたいと思います。
その際に、地元の皆さん方の理解を得る、知事、あるいは名護市長の理解を得ること、これは当然のことですし、そういう意味で私は今、ただちに柔軟性のことを言うつもりはございません。しかし、地元の皆さん方の声にも十分耳を傾けた上で、この話は理解を得ながら進めていく。しかも、スピーディーに進めていくという、やや相矛盾する調整を何とか実現していきたいと思っております。
(問)先程、曖昧な外交的表現ということに触れられましたが、靖国神社について安倍総理はいわゆる曖昧戦略をとっているのですが、この戦略について適切とお考えでしょうか。
(外務大臣)安倍総理のお気持ちは、私は小泉前総理とある意味では同じなのだろうと思います。戦争によって亡くなられた方々の慰霊をし、恒久平和を願うという思いで、どちらも同じだろうと思います。あとはそれを、それぞれの総理大臣がどのような形で表現するのかということだろうと思いますので、安倍総理が敢えて曖昧戦略、というのもおかしいですが、参拝する、しないということを明言しないというのは、ひとつの適切な知恵だと私は評価しています。ちなみに、私は前外務大臣の時、靖国神社に参拝はしておりませんでした。今後どうするかは、まだゆっくり考えておりませんけれども、私自身は少なくとも外務大臣在任中は参拝するつもりはありません。
(外務大臣)外務大臣を拝命致しました町村です。麻生大臣が2年近く外務大臣として活躍されましたが、引き続き日本の外交の進展のために頑張って参りたいと思っております。特に自由・民主主義という基本的な価値観を共有する国々との協調ということで、特に来年はG8サミットが私の地元、北海道洞爺湖で行われます。また、TICADも開催されるということです。そうした国際舞台を通じて、「主張する外交」、これは安倍外交の基本ですが、「主張する外交」について一層、意を用いて参りたいと考えております。特に日米同盟が我が国の国際関係の基軸であり、そういった意味で沖縄の米軍再編成、また、沖縄のみならず日本全体に行われる米軍再編をはじめとする問題に、しっかり取り組んで日米関係の基礎を固めていく必要があると思っております。また、中国、韓国、ロシア、こうした近隣の国々との協調、また、インド、オーストラリア等々の国々との連携強化、更には北朝鮮の問題がある訳でして、拉致問題をはじめとして、しっかりと取り組んでいかなければいけないと考えております。
また、これは私も自民党でそのメンバーでしたが、外交力の強化ということも大変重要です。在外公館の強化等についても取り組んで参りたいと思います。いずれに致しましても、外交は特に継続ということも大切です。そうしたことで、外務大臣としての職責を全うして参りたいと考えております。
(問)いま、大臣から日米同盟が大切だというお話がありましたが、テロ特措法延長については民主党の小沢代表が反対しておりますけれども、大臣はどういうところに力点を置いて小沢氏を説得し、成立に導こうとお考えになっていますか。
(外務大臣)これは結論を言えば、是非テロ特措法を延長すべきものと私は考えております。9.11の後、国連の全会一致の決議があり、それに基づいて日本も国際的なテロ対策を行う一員として、国際社会の一員の当然の務めとして、これをいま遂行している最中です。国際的な評価も高い日本の自衛隊の活動は、これは日米関係も元よりでありますけれども、まさに国際社会の一員として責任ある行動をとっていくということから、当然これをやらなければならないと思います。特に、小沢代表は例の湾岸戦争の時、一兆円以上のお金を日本は出したけれども、それでは国際的に評価されないということで、国際平和協力活動等を積極的にやろうという主張をされた方ですから、こうした主張と今回のテロ特措法延長反対という、整合性が一体どうとられているのかという辺り、私自身疑問に思っておりますので、必ずや民主党の皆さん方も最終的にはご理解を頂けるものと思っておりますし、その為には全力を挙げて取り組んで参りたいと考えております。
(問)9月に再開してすぐに山場を迎えるWTO交渉ですが、日豪EPA等一連のEPA交渉など、国際交渉にはどういった方針で臨まれるか教えて下さい。
(外務大臣)もとより、WTOという仕組みそのものは日本の国益に合致するものということで、日本もその一員として活動している訳でして、日本の国際的な輸出であれ、輸入であれ、投資であれ、そうした問題についてWTOが不可欠のフレームワークであると考えております。いま、大詰めに来ておりますし、特に農業問題等で日本の国益というものも、その中で最大限反映させていく必要があると思っております。従いまして、関係大臣ともよく協議をしながら、この問題を二国間のEPAも含めて、取り組んでいきたいと思います。特に二国間EPAは、それぞれの国の利害といいましょうか、国益といいましょうか、それに合致しないものは二国間で締結する必要がない訳ですから、日本の皆さん方の御懸念がないように、しっかりとやっていきたいと思います。
(問)政治資金収支報告書について伺います。8月中の訂正、もしくはその他、問題等はございませんでしたでしょうか。あと、仮に今後、政治資金に関する問題が発覚した場合ですが、どのような対応をされますでしょうか。
(外務大臣)8月上旬に自民党本部の方から、それぞれしっかり点検するようにという指示もあり、私の方はかなり従前からしっかりと透明性を高める努力はしてきているつもりです。しかし、今回改めて本部の方からそういう指示もありましたので、私自身も事務所のスタッフと一緒になって、書類の点検等も行います。現時点で、私の政治資金収支報告書について問題があるとは思っておりません。しかし、引き続きそういう問題があるかどうか、更に仔細な点検もまた行っていきたいとは思っております。
(問)もし、今後発覚した場合ということの対応なんですが、そこについてはいかがでしょうか。
(外務大臣)その種の仮定の問題には、お答えする意味がないと私は思います。
(外務大臣)トータルで2期、小泉内閣で11ヵ月、安倍内閣で11ヵ月、合計1年10ヵ月の在職だったのですが、その間、41ヶ国、地球を9.5周くらいしたことになりますが、色々な国々を回らせて頂いたのだと思います。
日本の外交は戦後、「国連中心」、「日米基軸」、「近隣友好」、この3つを柱としてやってきたと思います。今回、「自由と繁栄の弧」というのを新しく日本外交の基軸の一つとして立ち上げることが出来、それが海外において高い評価を得られたというのは、この1年10ヵ月の中での成果として言えるところではないかと思っています。
またその他、事件として幾つかありました。北朝鮮のミサイル等々の発射が行われた昨年の7月、その時には国連安保理で日本がリードして中国、ロシアを含めて全会一致したということがあり、その後、10月の核実験等々が言われた時、この交渉はかれこれ一週間くらいかかりました。当時の安倍官房長官と一緒にやらせて頂いて、これは成果として大きかったと思っています。
バグダットの電撃訪問も、外務省の職員をほとんど騙して、また警察を騙して、こっそり訪問が出来たことは、行動として印象に残りました。
今回のイスラエル、パレスチナとヨルダンを含めた四者の共同記者会見というのは、少なくともイスラエルの外務大臣がパレスチナのジュリコに入ったということは、とにかくないことで、それがテレビで報道されたのは、イスラエル側で初めてというような状況下にありましたが、少なくとも、エラカートPLO交渉局長をして、日本が、もしパレスチナで平和が達成出来たらこんなものになるのだということを先に示してくれるということを記者会見で演説したのは、現場にいた人にとってはかなりジンと来るものがあり、印象的で、我々が思っている以上にその評価が高かったということだと思っています。
事件としてはその3つでしょうか。後は何となく外務省の職員が皆、胸を張って歩いていないなと思いましたが、少なくとも外務省の職員として、外交官として堂々と胸を張って歩かないといかんということを凄く気にしていたものですから、そこだけはと思って色々やらせて頂いた中で、自由民主党、公明党等々からもご支援を頂いて外交力強化ということで、大使館の数の増設、外務省の職員の増員、というこの二つの道筋をつけることが出来たということ、そんなところでしょうか。
何れにしても、1年10ヵ月お世話になりました。ありがとうございました。
(問)後任の大臣に対して何かアドバイスはありますか。
(外務大臣)今申し上げたのは、何れも未だ完成しているわけではありませんから、外交力強化にしても、「平和と繁栄の回廊」のジェリコの話にしても、「自由と繁栄の弧」の話にしても何れも途中になっていますので、ここのところは是非、きっちり仕上げて頂ければというのが率直な気持ちです。
(問)逆に外務大臣としてやり残したことはありますか。
(外務大臣)北朝鮮の話はやり残していることの一つだと思います。北朝鮮との会合、日朝会合等々は今後、さらに詰めていかなければならないところだと思いますので、このところはまだ、残念ながらそこに至っていないという感じがします。
(問)就任の際、同じく外務大臣を勤められた吉田茂さんは現在、孫にあたる麻生大臣の就任について、どう思っているでしょうかという質問に対して、天国から、本当にこいつは大丈夫かなと心配して見ているのではないかと仰っていたのですが、吉田茂さんが見ていたら、この1年10ヵ月の仕事をどう評価するとお考えですか。
(外務大臣)どうでしょうか。何て言うでしょう。イスラエル等々、「自由と繁栄の弧」等々は評価してもらってもおかしくないと思います。時代が、あの頃は正に冷戦構造のスタートした時期の外務大臣であったし、こちらは冷戦構造が崩壊した後の外務大臣ということで、とにかく環境が大きく変わっている状況の中ですので。日米関係についてはやはり、少なくとも集団的自衛権の話等はもっときちんとやるべきで、やり切れなかったところは評価しないところではないでしょうか。そんなところだと思います。
(外務大臣)お世話になりました。
麻生外務大臣は、8月21日21時(現地時間)より訪問中のブラジリア(ブラジル)において同行記者団との会見を行ったところ、その概要は次のとおり。
(外務大臣)今回の訪問で中東については、基本的に自由と繁栄の孤の中ではパレスチナ、イスラエルが核になるかなと思っていますが当たったなという感じでした。これほどキーになるとは思っていませんでしたが、パレスチナ、イスラエルの反応を見て、これはすごかったなという感じでした。ブラジル、メキシコについて、メキシコは外務大臣が14年ぶり、ブラジルは8年ぶりの訪問となりました。中南米という地域は何となく日本から遠い感じがします。ブラジル日系人の移民140万人、それから今、日系ブラジル人の滞在が約31万人、そういった関係等で見ても日本はアジアの一員といった意味でもまたGDPベースで見てもブラジル、メキシコ、韓国、皆7,800億ドル~900億ドルくらいで、ASEAN10カ国と同じくらいなので、大きな国です。その意識がこちらにもないし、その国自身もわかっていない。従ってこの2カ国が組んで、何かを行うのは、非常に大きな力の可能性になると思います。今回このプロジェクトをエタノールに限らず、いろいろな意味でこういったものが一緒に行ったらこういうことになるんじゃないという話が出来たと思います。その意味では両国ともブラジルについては日伯(ブラジル)交流年、移民100周年と重なったのが良かったと思います。意識としてはこのプロジェクトはいろいろエタノールに限らず、いろんなものが出来上がっていくと良い流れが出来上がるきっかけとなり、間違いなくブラジルもそうですね。メキシコも例のEPAで2年間で投資が3倍というのは、他に例がありません。それだけ皆待っていました。そういったことが結果的に出来上がったのだと思います。その意味では貿易量は2年で1.5倍超というのは普通ではありません。双方が求めていたことです。そういった意味で今回は2つとも当たりました。そう実感しています。
(問)明日東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラム(FEALAC)に外務大臣として初めて出席されますが、その意気込みと日本は次期開催国となるとのことですが。
(外務大臣)日本としてはブラジルとは太平洋を挟んで対岸同士で、いろいろな意味で橋がかりますが、日本の場合突出して国として大きいのです。先ほど申し上げたように韓国等の5、6倍ある。そういうGDPの大きさから突出してでかい。そういった日本でぜひブラジルとアジアの交流は、貿易ベースだと3、4%しかありません。常識的にはもう少し大きくなり得ると思います。メキシコでも実証しました。そういった意味ではこういったものが実質的にはもっと大きくなり得ることをきちんと分かり合えることが大事なことだと思います。
(問)気候変動と国連改革はどうですか。
(外務大臣)国連改革については非常任理事国になった回数が多いのはおそらく日本とブラジルでしょう。そういった意味ではブラジルも銀行からいったって、これからエタノールなんて話になってくると下手したらエネルギー輸出国ペトロブラスの話だけではなく、エタノールでも巨大なエネルギー輸出国になり得る可能性を秘めています。そういった意味ではおらの国がアジアをがぶ飲みして引き寄せようとしている国がいくつもあります。そういったところと関係が深くなるというのは非常に大きな意義があると思います。
(問)今回は13日間という長きに渡る外国訪問ですが、ご自身の感想と評価をお願いします。
(外務大臣)最初に言ったように今回の外国訪問の中でパレスチナは自由と繁栄の孤という時に一番核になるのはどこかなと考えた時あの繁栄の孤の中では中近東なかんずくパレスチナ、イスラエルかなという感じがします。今回行ってみて相手の反応を見て、おお!と思ったくらい当たりましたという感じと今日のブラジルのアモリン外務大臣は総務大臣時代にデジタル放送の交渉をした相手ですが、このデジタル放送を去年まとめた時の相手だったのですが、あの頃はお互いに交渉中ですが、今日パレスチナの話をした時はさすがにえっ!と言う感じで、日本ってそんなことしているのという反応もおー!と感じました。その意味で中近東訪問は当たったと思います。もう一つは中南米には日本の外務大臣は8年も14年も来ていないというところです。アジアから始めて米国に行ったりしていると大臣を2年くらい務めないと行けません。どうしても後回しになる傾向というのは否めない事実です。その意味では2年目に入ったおかげでここに来れました。ブラジルの場合は、特にエタノールのほかにもいろいろありますし、ここも二酸化炭素の排出国としては一桁台のところですから、そういった意味ではメキシコにもブラジルにも話が出来たし、やはりEPAの話もあったし、タイミングとして移民100周年記念ということもありますし、良かったなと思います。ブラジルにおける日系人の信用はやはりすごいと思いました。これだけは正直我々は先輩に恵まれたおかげで、日本という国の信用があがっています。日本の国の信用はブラジルに移民として来た人たちのおかげで日本人は信用度を保証されたというイメージが出来上がり、あの人たちの勤勉さや誠実さの積み重ねが結果として信用を上げている。来てこれだけ信用があるのは、100周年だから言うのかもしれないが、正直に印象として大きかった。
(問)今回の訪問について、大臣ご自身が幹事長という声も挙がっているが、いろいろ模索する機会になったのではないですか。最後の卒業旅行という話もありますが。
(外務大臣)特にコメントはありません。
(外務大臣)閣議について、官房長官からカウンターインテリジェンス推進会議の話があり、私からも同じく機能強化に関する話をさせて頂いております。
インドネシアとのEPAについて。総理がインドネシアを訪問される際の共同声明と併せてこの取り決めは署名されることになります。
平成20年度の予算の概算要求に当たっての基本的な方針について、総理から発言があり、併せて、総務大臣から平成20年度の機構及び定員について閣議了解との話がありました。定員の合理化と増員要求について、総合的な外交力強化等、重要な施策に重点的に対応する等々。他にも今日は幾つもありましたので省きます。
(外務大臣)8月12日から24日まで、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治区、メキシコ及びブラジルを訪問します。
ヨルダン、イスラエル及びパレスチナ自治区においては、中東和平プロセスの前進に向け、この一年数ヶ月ずっとやって来ました。この問題に対して、我々としても積極的に関与して、一層の和平努力を働きかけ、我が国の支持を表明したいと考えています。また、パレスチナとイスラエルの共存共栄に向けた取り組みとして、「平和と繁栄の回廊」構想の推進について協議を行いたいと思っています。
メキシコにおいては、カルデロン大統領、エスピノサ外相等々と、ここは自由貿易協定等々で数字も飛躍的に伸びていると思いますが、その他、気候変動問題等の国際場裡での連携をはじめ、戦略的経済パートナーシップや人的交流の強化について協議をさせて頂きたいと思っています。
ブラジルにおいては、アモリン外相等との間で、国際場裡での協力、BRICsの話ですが、来年の日伯交流年の成功、戦略的経済パートナーシップ再活性化に向けて意見交換を行います。また、第3回東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラム(FEALAC)外相会合に出席し、外相会合のテーマである「貿易・投資」を中心に議論を行う予定です。
(外務大臣)カウンターインテリジェンスの話は、本日の閣議で基本方針が口頭了解されています。カウンターインテリジェンスの機能強化は、この日本の国益に基づく外交を展開していくための重要な課題だと思っております。本日、政府としての情報保全体制の強化方針が決定されたことを踏まえ、その一つを担っている外務省としても、外交機密を扱う省庁としての自覚もあろうかと思います。本日付で大臣官房総務課に情報防護対策室を設置し、カウンターインテリジェンス機能の強化を図っていきたいと思っています。
(問)8月15日は終戦記念日ですが、大臣は12日から外遊ということでいらっしゃらないのですが、靖国神社への参拝について、帰国後に参拝される予定はあるのでしょうか。
(外務大臣)これに対する答えは、昨年、靖国についての文を新聞に出したものと、自分でも文章を出しましたが、あれに全て書いてあると思っておりますので、それ以上でも以下でもありません。
(問)安倍総理が靖国神社に参拝するかどうか、また、したかどうかについて明言しないという態度をとっているのですが、こうした総理の姿勢についてはどのように思いますか。
(外務大臣)他人の考え方や行動について、言いようがありません。考え方やご見識の一つだと思います。
(問)今月末、南北首脳会談が行われますが、日朝作業部会はその前なのか後なのかということに何か影響があり得るのでしょうか。
(外務大臣)特にないと思います。基本的には日にちが決まっているということはありません。8月中に行うということだけが決まっており、それにより影響がどう出るかということに直接関係してくるとは思いません。
5作業部会の一つである日朝作業部会については、先日、各作業部会は8月中に開催するということで合意しておりますので、そのような意味では8月31日までに開催すべく調整している段階です。8月中に行うということが決定している訳ではないというのが正確な回答です。
(問)例えば、南北の首脳会談の議論を見た上で作業部会を開くことが望ましいとお考えなのか、南北首脳会談の位置づけはあまり関係ないとお考えですか。
(外務大臣)韓国側も拉致問題を抱えているということは事実です。そのような意味では、韓国にとっても結構深刻な話であると理解しております。従って、日本と北朝鮮との間で色々話を進めて、上手く進むことにより六者会合も上手く行き、好循環を産めれば最高だと思いますが、相手のある話であり、そんなに簡単にいく話ではないと思っています。南北首脳会談が行われることによって、日朝作業部会に悪影響を与えるという感じはありません。
(外務大臣)閣議は、私の方から海外報告をし、海外出張に行かれた方々の報告がそれぞれありました。
(外務大臣)昨日、ドイツのハンブルクにある国際海洋法裁判所において、日本が提訴したロシアによる漁船拿捕事案に対する判決が出ています。夜中でしたが、新聞には一部出ていたと思います。
判決では、第88豊進丸については、合理的な保証金の額として1000万ルーブル(約4600万円)を認定。確かロシア側は倍以上の2200万ルーブルを要求していたと思いますが、1000万ルーブルとしてロシアに対し、その支払いにより船体を早期に釈放すること、及び乗組員の無条件の帰国を認めることを命じています。この事案の補償金額の算定上、船体の価格を考慮すべきではないと明確に判示しており、日本の主張が認められたものと考えております。
第53富丸については、ロシアの国内手続きが既に完了し、船体没収が確定していたので、日本側の請求の目的は失われたとして、早期釈放の決定は下せないと判示しています。その一方で、判決は一般論として船体の不当に性急な没収は、国際海洋法条約に定める早期釈放制度の趣旨に矛盾するということを指摘しており、この点は日本として評価しています。今回の判決を受けて、ロシア側が速やかに履行し、保証金が支払われる場合は、第88豊進丸の船体及び乗組員の釈放が速やかに実現するよう日本として求めるものです。また、今回の判決をきっかけにして、ロシアが外国漁船の拿捕、釈放に関する国内制度及びその運用を改善し、これが日本の漁船の長期抑留の再発防止につながることを期待しています。古い人は御存知でしょうけれども、この種の話で日本が訴えたことはこれまでありません。初めてのケースです。
(問)六者の経済エネルギー支援の作業部会は、95万トンの重油提供についての議論になると思います。その次の段階の措置に対応したものになる訳ですが、北朝鮮からはまだ次の段階の措置の具体的な言及がありません。エネルギー支援の議論を進ませることで北朝鮮を促すべきなのでしょうか。北朝鮮が次の段階の措置を具体的に言及しない中で、95万トンの話を進めても意味はないのではないかと思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)7日、8日にエネルギー作業部会が開かれ、そこで議論されることになると思いますので、今の段階でコメントは差し控えたいと思います。その95万トンはどのような形でというのは、正直なところ、食糧品を含めてなかなか見えてこないですから、次の段階に関するコメントは致しかねます。
(問)改めて日本としては、拉致を含む日朝関係に進展がなければ支援に応じることが出来ないということでしょうか。
(外務大臣)この95万トンに関して日本から何がしかのものを出すというのは、拉致等々の問題に進展がない限りはありません。
(問)近く中東を訪問されると思いますが、現地ではパレスチナ内部の紛争があり、更にイスラエルの政局も不安定という現状の中、現地に行かれて今回、どのような成果を期待されているのでしょうか。
(外務大臣)「平和と繁栄の回廊」構想について、3月に日本でシモン・ぺレス・イスラエル副首相を介して話をまとめて、フィージビリティ・スタディが開始されるという約束をして3ヶ月後の6月末に、第1回の事務レベル会合を向こうで行い、その関連で現地に行くことにしています。パレスチナの中にはガザ地区と西岸地区という所があり、その西岸地区の中では、パレスチナがきちんと管理している所とイスラエルがかなり関与している部分が、物凄く入り交じっています。ジェリコというオアシスみたいな所がありますが、そのジェリコにおいて基本的に我々としては行いたいと思っているのですが、我々はこういった状況になっているから、この事務レベル会合を延期しようかという話を向こうに申し込んだら、「いや、是非やってもらいたい」というので、向こうに人を出しました。外務省として、JICAの職員等々で、第1回の会合を6月末に開きましたが、「これまで何回となくヨルダン、イスラエル、パレスチナの三者で会合をしたことはあるけれども、三者が金儲けのために席を同じくしたのは、歴史上始まって以来で、非常に意義深い。日本のお陰でこういう話が出来るようになった。」と言われて、話は今、非常に具体的に進んでいこうとしています。
従って、ガザ地区の話は詳しい訳ではありません。西岸地区の中で、色々なプロジェクトがきっと他にもあると思います。農業団地をどう作るかという、かなり長期的な時間を要する話です。イスラエルのキブツ(集団農場)の成功というものが、イスラエルの建国時に非常に大きな効果をあげたと言われていますので、この農業というものは、気候風土がほぼ似ている所ですから、そういった所をヨルダン川の東岸からヨルダン経由で外に物を出せるようにということです。そこでヨルダン側が非常に大きな影響を持つのです。きちんと平和裡に農産物を作る。そこに仕事があるから所得が生まれ、売ることによって外貨を稼ぎ、色々な意味でその国の基本をなす農業というものが、最初は小規模なものからスタートすることになると思いますが、確実に規模を拡大していって、その国に農業所得が入ってくる。今は他の国に住んでいるパレスチナ人からの義捐金によって賄われている部分も大きいので、その点からいくと、このプロジェクトが成功するのは信じられない、多くの人から、これが成功できたら奇跡に近いと言われています。今までとは全然違うアプローチを日本が行う訳ですから、色々な関心を買っているのは知っていますが、その意味ではこれからまた状況を見て、直ちに危険がないとは言いませんけれども、そういった状況で自分たちの利益になると三者が思えば、プロジェクトが上手く行く可能性が出てくるのだと思って、我々としても頑張らなければいけないところだと思います。
(問)長勢法務大臣の地元事務所が、外国人研修生の受け入れ団体からビザの発給に関する紹介を受けたとして、謝礼金を受け取ったという報道があり、中国人数人がビザ発給を受けられなかったようですが、外務省に対して長勢大臣サイドから何かあったのでしょうか。
(外務大臣)ないと思います。少なくとも、長勢大臣が来たことはありません。
ASEAN関連外相会議等でフィリピン・マニラ滞在中の麻生外務大臣は、2日夜、会見を行ったところ概要以下のとおり。
(問)まず、ARF(ASEAN地域フォーラム)の成果からお聞かせ下さい。
(外務大臣)ARFにおいては、私の方からは、基本的に、北朝鮮、アフガニスタン、東ティモールの話を発言しました。
(問)北朝鮮関連で、今日は北朝鮮の外相と接触は無かった様ですが、接触を持とうというお考えは無かったのでしょうか。
(外務大臣)先方は英語出来ませんし、私も韓国語、朝鮮語出来ないし、なかなか難しいですね、あちらは。そういったタイミングはありませんでしたね、今日の場の中では。
(問)もっと積極的に、接触を持って色々話し合うという考え方もあったと思うのですが、如何ですか。
(外務大臣)どうでしょうかね。私共8月に日朝の作業部会をするということが決まっていますので、そこの部分からまずきちっとスタートしていかないと、この種の話はなかなか難しいのではないでしょうか。
(問)今日、北朝鮮の外相から日本に対する文句の羅列が出たということですが、それに対する受けとめ方は如何ですか。
(外務大臣)初めてこういった会議に出て来て、一方的に言うことはよくある話ですから。その一つ一つに反論するのは、記者との問答をやっている訳ではありませんので。私どもとしては、「この種の話は、事実が全然間違ったことに立脚して話をしているので、この種の反論に関しては、これまで国連等の場できちんと反論してあるので、ここで改めて言うことはないと思う。従って、8月、作業部会等々がスタートするから、その場できちんと話し合えば宜しいのではないのですか。」という話をして、他の外務大臣は全員、ものすごく納得して、「ああいう反論が最も外交的な反論の仕方」と言って、「お前役人やってたか。」と言うから、「それは俺に対する誉め言葉か、それか誉めてないのか、どっちだ。」と言ったら、ゲラゲラ笑っていたけど、そのような反応でしたね。
(問)国内の話ですが、選挙が終わって大臣がこちらにいらっしゃっている間に赤城大臣がお辞めになって、また、弊社の調査では内閣の支持率が今日の最新の発表で22%、不支持が65%という数字が出ました。そういう中で、明日、日本に帰られるわけですが、また日本の政治にお戻りになりますが、改めて安倍総理の支持、今後の党の運営についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)基本的には私の言った話は、今の状況の中で内閣を「辞める」「辞めない」というのは最終的に本人が決める話ですから。「安倍総理辞めろ」というのと、「続投」というのはあなたの会社の資料だけを基にする訳にはいきません。他のを見ていると「そのまま続投」、「辞めろ」というのをまた色々やってましたが、続投も40%ぐらいあるという資料も出てましたでしょう。私はそんなにあるのかなと思ってましたが、40%もあれば十分なのではないですか、という感じはしますから。本人が続投と決められた以上、閣内にいる人間として、支持して支えていくというのが私の立場ですから、当然だと思っていますね。
(問)総理を支えるという意味で、麻生大臣を次期幹事長にという声もありますが如何ですか。
(外務大臣)誘導尋問。「帰ったら何をされるのですか。」と聞かれても、僕は今、外務大臣をしていますので、外務大臣の仕事は、在任期間がいつまであるのか分かりませんが、あるのだったら、これから次に外交日程も控えていますから、その日程にきちんと対応するのが私の立場ですから、それをきちんとします。
それから、今の話の中で「色々意見が出る。」と。それは意見が出なければ自由民主党ではないのですよ。全体主義でもなければ、開かれた国民政党ですから、色々な意見が出るのは当然のことと思います。出なかったらそれこそ問題で、出た色々な意見を踏まえて、「ではどうするか。」という話で、きちっとまとめていくということが、総裁として、また党の執行部をやっておられる方々の立場なのだと思うのですね。色々な意見が出ますから、出ないとおかしいのですって。常に3割は反対があるのが普通と思って、民主主義というのは運営されていくべき、と僕は思っていますがね。
(問)今回、北朝鮮の非核化の次の段階の措置が今一番の焦点となっていると思うのですが、今月の作業部会に場を移すことになっていますが、今日の朴外相の発言を踏まえて、今後どう作業部会を進展させていくのか、どういう風にお考えか。
(外務大臣)皆の全体会議についての話と、作業部会という全然別の席での話の内容というのは、えらく変わってくるものなので、そういった意味では、今回の話をみて、「では」ということにはなりませんし、「えらく普通の話をしたから、今回はくみしやすい」とかは全然この種の話には関係ありません。
従って今回の発言を受けてどうするというのは、きちんと拉致、核、ミサイルと、決まっているので、そういったものにきちんと我々としてはやっていく。日朝国交正常化、過去の清算、拉致、色々なものを抱えているので、それを話し合っていくというのが一番の基本ですから、それ以上でもなければ以下でもない。
しかし、この問題が解決すれば、向こう側の経済等々色々な問題を抱えているのは確かですから。我々もそれに対して、こちらの問題を解決してもらえれば、我々として色々と支援していくことは可能ですよ、ということをずっと同じことを言ってきている。それをもう一回、どこで行うかは決まっていないが、その場所が決まったら、やっていくということだと思う。少なくとも、日朝作業部会に関しては向こうも準備して出てくる、こちらも従来通り準備して出て行かなくては駄目、ということは指示してありますけど。向こうもそれに答えるだけ準備していなくて、また、すぐに席を立って帰ってしまうのでは作業が進まないということになります。