(外務大臣) 只今、宋旻淳韓国外交通商部長官と会談をさせて頂きました。日本に12月末にお見えになったのが外交通商相になって最初の外国訪問だったと思いますが、あれから今回お会いするのが2回目です。お目にかかったのは3回目ですが、外務大臣としては2回目ということになります。3回目ということもあり、非常に打ち解けた雰囲気で話ができたと思っています。
先方より、未来志向の話がありましたので、私より、未来志向の話として、「21世紀東アジア青少年交流計画」の話をしました。韓国から毎年千人招くことを5年間行います、中・高・大学生の短期の交流を倍増しますという話をしました。それから、政府間対話が大切なので、日本と韓国との間でこの数年途絶えている安全保障対話を5月中旬から下旬に東京で開催するという話をし、また、対米関係について双方で意見をすり合わせておく必要があるということで、両国の北米局長クラスの会合を近々やろうという話もしました。いずれも賛成を頂いております。
それから、政府間の対話とは少し違いますが、日韓の歴史共同研究の話について、日本側委員がほぼ確定しましたので、まずは座長同士の会合を4月に行おうという話をしました。
北朝鮮に関しては、六者会合の話は双方詳しいのですが、とにかく初期段階の措置を着実に実施するということの必要性等につき率直な意見交換をしました。
極めて建設的、友好的な会談であったと思い、感謝しています。
(問)六者会合に関しては、60日の期限についての見通しは。
(外務大臣)我々としては、むしろ何となくどうかね、という感じが正直ないわけではないのですが、韓国側としては、4月14日までに何としても実施したい、六者の閣僚会議についても開催に向けて宋旻淳外交通商部長官がアメリカの国務長官とも話をしているということでした。また、韓国は2月末から3月始めまで、南北間で閣僚級会談をやっておられるようですが、その中で北朝鮮に対して人権の問題を韓国側から持ち出し、その中には日本の拉致の問題も入っているということです。この問題が解決しない限りは、六者会合の他にも影響が出てくるという話を韓国側でしてくれているというのは、我々にとっては大変有り難い話だったと思って感謝しています。
(問)冒頭の宋旻淳外交通商部長官から、歴史問題について辛口の言及がカメラの前でもあったのですが、この続きは如何だったのか。
(外務大臣)歴史問題ということでは、靖国の話や慰安婦の話や昨日の教科書の話等々が出ていました。慰安婦の話については、ご存じの通り3月26日の安倍総理の国会に於ける答弁の中で河野談話の継承の話をしましたし、靖国の話は我々として、この問題に関しては少なくとも一義的には宗教法人靖国神社が合祀する、しないというのを決める話で、政府は一宗教法人に関与できる話ではないという話をしました。教科書の記述の話については、私の方から、この話は我々としては一義的には教科書検定の話であって、政府があれこれ指示できる国定教科書ではないという説明をし、色々率直な意見が交わされました。
(問)盧武鉉大統領の訪日については。
(外務大臣)出ませんでした。恐らく夕食会の時に出て来るのではないかと思います。
(問)韓国では米韓FTAの話が盛り上がっていますけれども、日韓FTAの話はどうでしたか。
(外務大臣)日韓FTAの話はしました。これは、米韓のFTAの話が大変であるという話を先方がしていましたので、基本的には人が足りない、物理的に絶対大変だと思います。米韓のFTAの話を進めようと思うと、とても日韓のFTAまで人が回らないだろうという想像がつきましたので、米韓FTAの話が片づいてから日韓FTAの話をするということでどうかなと思っています。
(問)歴史問題で、冒頭、宋旻淳外交通商部長官から、未来志向の関係構築には歴史問題が障害になっているという趣旨の発言がありましたが、これを今後どうクリアしていくお考えですか。
(外務大臣)歴史問題は、日韓歴史共同研究という学者の会があります。歴史と政治の話というのは、世界中みな同じですが、なかなか合致しない。だから、この種の話は、歴史の話は歴史の話として、逃げるのではなくきちっとやっていく、政治の話は前向きな話をしていく、歴史と政治はある程度整理して考えなくてはいけないという話をしました。
(外務大臣)明日から済州島で日韓外相会議をします。それから、14回目の南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議に、初めて日本政府として出席を要請されていますので、オブザーバー出席で4月2日から4日までインドを訪問することになります。
(問)昨日、東シナ海等に関する日中協議が行われましたが、来月の温家宝中国国務院総理の来日に向けて、その進展が図られるような内容はあったのでしょうか。
(外務大臣)希望的な話は皆します。一言一句を捉えてそれが良かったととる方もいらっしゃいますが、ただそれが結果に結びつかないと意味がありません。技術レベルの話をするというのが一つと、もう一つは次回の局長会議を温家宝国務院総理の訪日前にしようとしているのではないでしょうか。その日にちがセットされたとは聞いていませんから、そういった話が全部出来上がって初めて協議ですから。協議の上に結論を出さなければいけないので、結論が出てくるまでは何とも楽観的な見通しを述べる気はありません。
(問)共同開発でかなり煮詰まってきたという感じではないのでしょうか。
(外務大臣)今の段階で煮詰まってきたという感じは私はしません。
(問)大臣としても、温家宝国務院総理の来日を機会にこの話を前進させたいというお気持ちはありますか。
(外務大臣)油田の開発より、EEZの境界線の話に絡んできています。そこのところが問題なのであって、この油田の開発が出来たから儲かるとか儲からないとか、石油が出たとか出ないという話より、これが元でEEZの境界線の話がごちゃごちゃしているのを問題無くするということの方が関心があります。石油自体に今すぐどうのこうのという興味はありません。
(問)六者会合ですが、バンコ・デルタ・アジアの北朝鮮の口座への振り込みはどういう状況になっているのでしょうか。
(外務大臣)これは技術的な話で、米国から誰かを送って、米国の財務省と向こうが詰めているというところなのではないでしょうか。これは技術的な話ですから、六者会合とは直接関係しているわけではありません。金融技術の話だと思います。
(問)まだ振り込みは完了していないのでしょうか。
(外務大臣)まだなっていないと思います。振り込みの話はきちんと技術的な方がやったら、電子で送りますので、一秒で片付きます。ただ、そこのところの技術的な話というのは、英国系の口座が色々していたので、そこのところの話の決着がつかないとなかなか難しい。バンコ・デルタ・アジアというのは、基本的には、預金の凍結解除になっても、米国の銀行との取引は出来ない形になっていますから、金の振り込みをどうやって行うのでしょうか、技術的に。現金を取りに行くのかしら。
(外務大臣)国連からの要請を受けて、国際平和協力法(PKO法)に基づいて、国連ネパール政治ミッション(UNMIN・アンミン)に軍事監視要員として自衛官6名を派遣します。また、東ティモールの大統領選挙に選挙監視団として14名を派遣することにしています。いずれも、ネパール、東ティモールと我が国との二国間関係を考えて、やらせて頂くことにしています。
(外務大臣)先ほどの閣議で、日本・チリ経済連携協定(EPA)への署名が決定されました。これを受けて、本日夕刻、フォックスレイ・チリ外務大臣と私との間で署名を行います。我が国において5番目となります。
(問)北京での六者会合が休会となりましたが、振り返ってみての印象や感想をお聞かせ下さい。
(外務大臣)一言で言うと、甚だ残念だったと思います。BDA(バンコ・デルタ・アジア)の話に北朝鮮がこだわり、それに対応する振り込み等々の技術的な問題、所謂、金を下ろす、下ろさない、下ろせる、下ろせないという技術的な話で止まったために、非核化の話が出来なくなり、他のものに全て影響したというのは、詰めの甘さとして如何なものかと感じます。
(問)ヒル米国務次官補がワシントンで講演をして、BDAの資金問題は2~3日中に解決するのではないかという見通しを示しましたが、如何でしょうか。
(外務大臣)振り込む、振り込まないという技術的な話です。どこに振り込もうとしているのか知りたいです。北朝鮮以外の人のお金も多分あるでしょうし、金の区別をどうするのかという技術的な話を解決するのも一つの大きな条件でしたから。
(問)振り込みがもし出来れば、すぐにでも六者会合は再開される見通しでしょうか。
(外務大臣)極めて高いと思います。
(問)六者会合は2回にわたって、北朝鮮が本来関係のない金融問題で休会したり、意味がないものに終わったわけですが、技術的な問題を離れて、外交上マナーというものは大事だと思うのですが、マナーを無視した行動に対してはどういう対応を今後していくつもりでしょうか。
(外務大臣)良い質問ですね。少なくとも六者会合とは直接関係のない米国の金融、国内法等々の話で、二国間でごちゃごちゃした話が解決しない限り、六者会合には応じないという話ですから。早い話が核の問題を抱えていましたので、米国の財務省も国務省との協議の上でという形になったというのが背景だと思います。しかし、いずれにしても、国際社会のルールの話では全然筋が通らないというのははっきりしていると思います。今後、この種の話に関しては、益々北朝鮮という国に対して、扱う側としてはこの国はあまり信用できない等と、北朝鮮にとってあまり得な話ではない気がします。でも193カ国もあれば色々あるぐらいに思っておかなければいけないのではないでしょうか。
(問)ヒル米国務次官補が数日以内に振り込みが出来るのではないかと言いましたが、数日というところについての情報は得られていますか。
(外務大臣)そこはどうやって確認したかだけの話ですから、数日と言えば数日になるのかもしれませんが、来週ぐらいには交渉が再開出来る可能性はあると思います。ただ、これは技術的な話が全てに引っ掛かっているという前提です。寧辺、IAEA等初期段階の話まで、何れにしても60日以内という期限がありますので、4月の半ばまでには一応の形をつけたいということはあります。
(問)安倍総理就任から半年が経ちました。中国との関係改善など成果もあったと思いますが、外交面での今後の課題、取り組むべきことは何でしょうか。
(外務大臣)北朝鮮の話は勿論、韓国との話、中国とのガス田の話や、ロシアとの関係など幾つかの問題を抱えているような気がします。まだ解決したとは言えませんが、それらに関しては前に比べれば良くなったという感じはします。ロシアに関しても、エネルギーなど色々な話は進んでいます。要人往来も前に比べれば多くなっていると思いますので、そういった意味で良い流れだと思います。ただ、解決したかと言えば、まだ、解決には至っていないと思います。米国との関係等々はそんなに悪くなっているとは思いません。NATOを含めてヨーロッパとの関係はその前より良くなっていますし、アフリカ等への支援等々、「自由と繁栄の弧」で言えばパレスチナにおけるジェリコの近くの農業団地等々の話が具体化してきます。大きなものが見えてこないとということだと思いますが、外交というのはそんなに目に見えるわけではありません。これがという箱が出来るわけではありませんので、成果というのはなかなか言いにくいことだと思います。
(問)今日、外交青書が閣議報告されたと思いますが、大臣がポイントだと思う点を教えて頂けますか。
(外務大臣)紙でも分かり易く皆に配ったと思いますが、北朝鮮等々の話をずらっと書いていますし、色々な意味での成果と言えば「主張する外交」として安倍内閣の下で、いきなり北朝鮮の核の話になっています。明らかに今までの状況とは違い、五者で組んで北朝鮮との話が出来るようになったというのは7月の状況とは大分違います。それはやはり安倍総理の訪中というものもあったでしょうし、色々なものが変わってきたと思います。平成18年のものだけを書くつもりでしたが、そこらのところは19年にかかるところも含めて、大事なところは書きました。
(問)北朝鮮の国連安保理での制裁決議というのはかなりのポイントだとお考えですか。
(外務大臣)それは大きかったです。全会一致であれを押し切れたというのは去年の7 月からの話で、これは安倍内閣になる前の話ですが、テポドンの話の方が核の話よりは手間がかかりました。テポドンは11日間かかり、核の方は6日間で約半分で済んでいます。それはやはり7月のテポドンの話は、少なくとも議長声明しか未だかつてしたことがないから。最初のノドンの時は無反応、テポドン1の時は確か対記者声明でした。議長声明では駄目、制裁と言って、そこまで上げて、全会一致でということになったあの7月のことは、日本の外交としては大きかったのではないでしょうか。
(問)昨日、北朝鮮の金桂冠外務次官が帰国しましたが、こういった北朝鮮側の対応をどのように受けとめますでしょうか。
(外務大臣)BDA(バンコ・デルタ・アジア)の話にこだわり過ぎた結果でしょうか。あまり建設的ではないと思います。
(問)今回、初期段階の具体的な措置に入れないまま休会になりましたが、再開の見通しは如何でしょうか。
(外務大臣)BDA(バンコ・デルタ・アジア)の金が下りる下りないという話で出て行った訳で、これは技術的な話ですから、それが出来るようになったら出てくるのではないでしょうか。
(問)これで60日以内という合意がずれ込むのではないかという見方も出ていますが、如何でしょうか。
(外務大臣)そうでもないでしょう。向こうの態度次第だけですから。出来なければ他の石油の話やら何やらが前に進みませんから。取り急ぎは2500万ドルの話だけになっていますが、60日以内に出来ないというようなことはないと思います。
(問)折角2月に合意出来たので、その勢いを低下させるべきではないという各国の反応も出ていますが、出来るだけ速やかに再開するのでしょうか。
(外務大臣)勢いと言っても相手のある話ですからそうも行かないでしょうが、5カ国の足並みはそんなに乱れてはいない気がします。大体、想定の範囲内だと思います。
(問)公務員制度改革で再就職一元化の新人材バンクの話が出ていますが、現在出ている案について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)新聞の報道があるそうですが大体こういうのは間違いで、読んだ時間が無駄だったという話が多いです。正式にこういうのが原案だというのがあるのだと思いますが、こういうのは色々形容詞が多くて、具体的な話がないような気がします。国家公務員は自衛隊を入れて30万人いて、毎年1万人ぐらいの退職者が出ているのでしょうか。何人ぐらいの体制で再就職の制度をするのですか。
(問)数十人規模ではないかと言われていますが。
(外務大臣)1万人を。人事やったことないと思いますね。
(問)六者会合と金融制裁は直接関係しないということだと思うのですが、北朝鮮が主張していた金融制裁が全面的に解除されることで、北朝鮮は初期段階の具体的手順をしっかり示すべきだということになってくるのでしょうか。
(外務大臣)金融制裁という単語に関しては、よく混線されるけどこれは、凍結解除であって、財務省の話です。解除になったのは凍結した2500万ドルで、バンコ・デルタ・アジアに対する財務省のその他の金融制裁、取引、為替等々の分については全く変わっていません。為替の取引や決済が出来ない銀行というのはしんどいですから、「金融制裁全面解除」というのは業界用語としては適切ではありません。資産である金を下ろすことに関して、米国は自分達の仕事ではないと言ってマカオ政府に振ったわけですから、マカオ政府が今後どうするかというのはこれからの話です。
(問)口座については解除するという話になっているので、それを受けた段階で北朝鮮は具体的な「初期段階の措置」を示さなければいけないのでしょうか。
(外務大臣)向こうが示さなければいけないわけです。所謂、核の話や何やらがそこから進まない。米国はもう関係ありませんと、国務省は元々関係ないのですが、財務省もそういった形では当初の話は終わっていますから、あとは北朝鮮の法律違反の部分であって、財布は無くしたことになります。
(問)次の措置に向けては、どういったものを北朝鮮側と合意出来ればいいとお考えでしょうか。
(外務大臣)初期段階の話で、IAEAの監視員が入ってくる等々の話が実質出来て、寧辺の施設の無能力化に向かって60日以内でやり、61日目からは廃棄していくことが次だと思っています。勿論、プルトニウムの貯蔵の話やらが次の話で、ラインアップされているところが揃って、朝鮮半島の非核化というのが進むのだと思います。
(問)北朝鮮からすると、口座が解除されたことで、拉致についても譲れという主張をしてくるようなことも予想されると思うのですが。
(外務大臣)この話は日本と北朝鮮の話ですが、日本だけの力ではなかなか難しいというのがこれまでの経緯です。日本としては、六者会合の中にこの話を入れて進めていくと他の四者の支援を期待できますから、そこが圧力としては大きいということだと思います。六者会合の中での話ということで引き続き継続することになります。
(問)他の四者の理解は引き続き得られているとお考えですか。
(外務大臣)間違いありません。日米の間も間違いありません。
(問)六者会合の初日を受けて、北朝鮮は、寧辺の施設の封印なり無能力化に前向きな姿勢を示しているような状況なのでしょうか。
(外務大臣)それは間違いなく、バンコ・デルタ・アジアの話が一番引っかかっていましたから、その点からいくと、その他の非核化については、ここまではスムーズに来ていると理解しています。
(問)明日から非核化の作業部会が二日間にわたって行われる予定ですが、エルバラダイIAEA事務局長の平壌訪問やBDA(バンコ・デルタ・アジア)の事実上の口座凍結解除を受けて、北朝鮮は非核化に向けた措置を今回表明すべきだとお考えですか。
(外務大臣)向こうがすべきという話であれば、この前の合意に基づいて粛々とIAEAの査察、監視等々を受け入れ、寧辺の施設の停止という一連の話をすべきですが、するかと言えばなかなかそうするかどうか今は分かりません。
(問)それに向けた具体的なものを北朝鮮は示さなければいけないとお考えでしょうか。
(外務大臣)具体的な手順の話ですから、この種の話は技術屋さんによる話です。政治的に決断をした後、それを事務的にどう担保出来るかというのは技術屋さんの話だと思います。
(問)今回、非核化に向けた具体的な手順を引き出すというのが、五カ国の考えですか。
(外務大臣)そこのところを実際にやっていきます。これはしばらく時間がかかります。エンジンを切る切らないというそんな簡単な話ではありませんから、シーリングして無能力化するまで結構時間はかかると思います。
(問)今のところ、日朝二国間の接触の話は出ていますか。
(外務大臣)日朝二国間はその後ありません。昨日の会議でも、議論としては経済・エネルギー協力の話でしたが、日本としてはする気はありませんということと日朝の拉致の問題を言い、当然、北朝鮮は反論し、それに対して他の4カ国は極めて日本側に同調したというのが昨日の会議です。
(問)中国の温家宝総理の訪日の日程ですが、4月11日から15日ということで固まっているのでしょうか。
(外務大臣)まだ決まっていません。
(問)IAEAのエルバラダイ事務局長が今日から平壌に入りますが、北朝鮮の核放棄に向けての第一段階として、事務局長の訪朝をどのように期待されますか。
(外務大臣)第一歩を踏み出したということで、本人も結構はりきっているようですし、良いことではないでしょうか。13日から行って14日に出てくるのだと思いますが、とにかく最初はまず寧辺の核施設の稼働停止と封印というところからスタートするのだと思います。
(問)エルバラダイ事務局長の訪朝も受け、今週末には非核化やエネルギーなどの他の作業部会も北京で開かれる見通しですが如何ですか。
(外務大臣)見通しは見通しで、日にちはまだ確定していません。武大偉・中国外務次官は三つのうちの非核化作業部会を17日にすると言いましたが、それも確定はしていないと思います。ヒル米国務次官補は14日に北京に入るのではないでしょうか。
(問)それを踏まえて来週に六者会合が開かれますが、六者会合ではどういうことが確認出来れば良いとお考えでしょうか。
(外務大臣)希望的観測を今言ってもあまり意味がないのですが、向こうがどういう対応をするのか今一つ読めません。三つの作業部会を少なくとも一回はしておかなくてはならないでしょう。日朝国交正常化、米朝国交正常化の他にあと三つ、北東アジアの平和及び安全のメカニズム、経済及びエネルギー協力、朝鮮半島の非核化の話が残っていますから、その三つを最低一回は立ち上げないと揃ったことにはならないと思います。
(問)松岡農林大臣の光熱費の報告について、ルール通りではあるのですが、国会への答弁も含めて国民への説明責任は十分果たされているとお考えでしょうか。
(外務大臣)法律に決められている通りにやっていることをどう取られるかということだと思います。
(外務大臣)日豪EPA交渉が、4月23日、24日の両日にオーストラリアのキャンベラで開かれる予定です。日豪間の戦略的関係を強化するという一環で、同時にこの交渉にあたっては国内農業への影響が色々あるということで前から色々言われているところでした。センシティブという表現が使われていますが、色々な意味で日本にとって、結果として最大限の利益が得られるように努力をしていかなければいけないと思っています。
(問)米、牛肉、乳製品等の5品目についていずれ自由化出来るという方向でしょうか。
(外務大臣)それは今から色々な状況が出てきます。各国皆、なかなか難しい話で、それこそセンシティブな問題が沢山ありますから、今の段階で安易な予測は出来ません。
(問)日朝作業部会は、今回、六者会合の中の一つとして開かれたわけですが、結果は従来通り平行線に終わりました。今後の拉致問題の進展は、六者会合の中の一部として位置づけた場合、どう解決を図っていくのが大事だと思いますか。
(外務大臣)これは一対一でやらずに六者会合の一部としたことが一番肝心なところです。基本として、60日間である4月半ばまでには双方の結論を出さなければいけないことになります。結論が出る段階で日本だけが遅れているとなった場合、他の国としても「日本とのやり取りも早く進めろ。そうしないと私達の結論も出ない。」ということになります。制裁はそのまま続いているわけですから、他の国と連携しながら六者一体で答を出すのだという話にしていけるというのが、この六者会合の一番肝心なところです。向こうとしては、日本だけ分断していこうというのは当然なのであって、孤立、孤立という報道がありますが、それは丸々北朝鮮の術中に陥ることに成りかねないと思っています。
(問)前回の六者会合の合意から来週で30日目を迎えますが、他の3つの作業部会の開催の準備状況は如何でしょうか。
(外務大臣)次回は3月19日に六者会合をしようという話です。
(問)来週、例えばエネルギー等については。
(外務大臣)それはあるでしょう。
(問)一応、来週、三つの作業部会を行う見通しですか。
(外務大臣)それはやるのではないでしょうか。詳しくは聞いていません。
(外務大臣)本年1月に安倍総理がNATOを訪問された時の話ですが、NATOとの高級事務レベル協議を明日から東京に於いて開催します。アフガニスタンに対してのPRT(地方復興支援チーム)の話などが出てくると思います。
(問)日朝作業部会の初会合が明日からハノイで開かれますが、今日の事前会合では何を確認出来ればいいとお思いですか。
(外務大臣)事前協議は大体、明日、明後日の議事の流れ等々が一番で、この議題は協議します、あの議題は協議しませんという段取りの話が一番大きいところだと思います。
(問)拉致と国交正常化の二つの部会に分けて話を進めるのでしょうか。
(外務大臣)我々はその方がいいと思っていますが、その提案に乗ってくるかどうか。分けるとなると両方ともその責任者を出さなければいけませんから、そういった人材の配置になっているかどうかはよくわかりません。
(問)宋日昊代表は拉致は解決済みだというような言い方をしてハノイ入りしているわけですが、そこをどう打開して進展させようとお考えですか。
(外務大臣)そこが今日の予備交渉の一番大きなところになるかもしれません。
(問)慰安婦の方に償い金を出すアジア女性基金ですが、大臣の今日これまでのこの基金に対する評価とコメントを頂けますか。
(外務大臣)最初に原文兵衛氏から始まったのだと記憶しますが、あれからこれまで結構長い時間、事業に取り組んでこられたのだと思います。当時の雰囲気からして、最初、原氏は随分苦労されたのだと思います。その後、引き継がれた方々も色々苦労されてきたのだろうと御努力に感謝をしております。
(外務大臣)世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)に1億8600万ドル(約206億円)を拠出することを決定しました。感染症対策支援を重視している日本としては大変大事なことだと思っています。
(外務大臣)ジョン・ハワード・オーストラリア首相が3月11日から14日まで来日します。安倍総理との首脳会談を行い、私も一年ぶりにお会いすることになります。
(外務大臣)「国際協力に関する有識者会議」第1回会合を3月5日に開催することになりました。専門的な知見・経験を有する国内各界の代表を委員としてお迎えします。
(問)来週、日朝作業部会の初会合がハノイで行われますが、政府としてどのような対応、方針で臨まれるのでしょうか。
(外務大臣)北朝鮮の主張でいくと拉致問題は全て解決済み、でもこちらの方は全然意見が違うということがスタートとなるのでしょう。日朝平壌宣言に沿ってこちらとしては対応していきますので、北朝鮮としては「それは解決しているじゃないか」ということで最初からすんなりとはなかなか行かないだろうとは思っています。
(問)昨日、大臣は「拉致は解決済みだという態度は問題外だ。」という挨拶をされましたが、拉致問題が進展したと判断できるのは最低限どの程度のことなのでしょうか。
(外務大臣)これは色々意見が分かれるし、それこそマスコミの対応等を見ていくとどうなってくるかというと、誠意が端から無いというのでは全然話にもなりません。中での調査も全然認めないわけですから、そういったところで向こうの誠意や対応というのは、少なくとも捜索に協力するというのが最低限のステップだとは思います。
(問)昨日、大臣は挨拶の中で、60日以内の措置の中で作業部会は何回か行う必要があるのではないかと仰っていましたが、とりあえず来週の初会合は何回か行う中での初会合ということなのでしょうか。
(外務大臣)この前にもう一回くらいマスコミに分からないようにやっておかなければいけないのですが、つけ回しが多かったものですから出来なかった、というのは嘘で、実際なかなか難しかったのだと思います。結果的には3月7日になりました。正式な第一回が3月7日になって、30日以内が3月15日頃までですから、それまでにもう一度くらい出来るかというと物理的には難しいと思います。少なくとも30日以内に立ち上がった形になりますので、それから後の日程というのはそれ以降。それから60日以内にある程度の進展を作らないと他の4つの作業部会とのバランスもありますので、そこそこ進めないといけないということにならざるを得ないと思います。
(問)そういった面で、他の部会で5万トンのエネルギー支援が行われた際の拉致問題の進展というのはどの程度見合うのでしょうか。
(外務大臣)5万トンとはこの話は直接関係ないです。5万トンのことより残りの95 万トンの方に関係してくるところだと思います。日本としてこれが全く進展しないという段階で、5万トンの話を含めて95万トンの話等に関して乗るつもりはありません。
(問)7、8日の作業部会は、協議の行方次第で延長は有り得ますか。
(外務大臣)それは充分有り得るでしょう。
(問)今回の作業部会は、日朝国交正常化交渉を過去13回していると思うのですが、その一環とお考えですか。
(外務大臣)六者協議というのは北朝鮮に核を持たせないために作ったものですが、一応核実験を行ったという状況では前提が全く変わっていると思っていますので、今回の日朝作業部会は全然別のものだと思ってかかるつもりをしています。