(外務大臣)安倍総理とブッシュ大統領の会談のフォローアップをライス国務長官とさせてもらった。日本の新聞にはえらい良かったと書いてあったが本当か、米国も同じ様な感じで思っているのかどうかが一番の気になるところであった。そこが知りたい、会談の内容よりむしろその雰囲気がこういう時一番知りたいのだけど、どういう雰囲気だったのかというのが一番知りたいところだと言った。先方からは、ケミストリー(相性)がものすごく合っていたのが一番の印象だった、かけがえのない同盟という話が出たのでこれを内外に広くアピールもできたし、個人関係もすごくはっきり打ち立てられた気がするとの話があった。我々としては米国の配慮に感謝したいという話をした。
(外務大臣)北朝鮮の核については、初期段階の措置に関する実施をやらせないといけない、ということははっきりしているので、この非核化に向けたプロセスを前進させなければならない。今止まったままになっているので、そういった意味では一日延ばしみたいな形でずっといくのは、そんなにできる話ではない。従ってこれに対する答えについては、よく不思議な対応でよく分からないところは我々にもあるし、米国側から見ても北朝鮮の対応で分からないところがあるが、少なくともそういったところを含めて、我々としてはこの問題にきちんと連携を組んで対応していきたい。拉致問題についていわゆるテロ支援国家指定解除という話があるが、少なくとも我々としてブッシュ大統領の安倍総理に対して言われた、この問題に関しては拉致問題が十分に配慮されなければならないとの言葉を非常に大事にしているので、この言葉に対しては確認させてもらいたいという話に関しては、確認しますと。
(外務大臣)気候変動については、日米首脳会談で共同声明が出された。これは重要な成果だということでライス長官と意見が一致している。G8における日米協力も念頭において継続してフォローアップしていきたい。
(外務大臣)テロとの闘いの最前線にあるパキスタンに対する支援を増加することについて、説明をした。これは、総理からの説明もあったが、我々としては、この点はきっちりしますということである。アフガニスタンとの国境地帯を含むパキスタンの支援をどうやってやるか、というのがより大きな問題、技術的なところはあるが、この問題は日米共通の課題なので、今後も連携していくことで一致している。
(外務大臣)以上のような話があった。いずれにしても明日も、また、エジプトでもまた会うことになるので残りの話はまた後でしようという話をして別れた。
(問)イラクに関する話はあったか。
(外務大臣)なかった。
(問)今回の外相会談は日米首脳会談を受けての会談だったが、一番時間を割いた議論は何だったか。
(外務大臣)北朝鮮だったと思う。北朝鮮の話は色々北朝鮮の軍籍等々双方で意見交換をした。我々が持っている情報の方が多いところがあるが、そういった話もしたし、BDA(バンコ・デルタ・アジア)の話もした。これについては米国側が詳しいことなので、米国側の話を聞いた。一番時間をかけたのは北朝鮮の話だと思う。
(問)初期的措置の実施については具体的にどのように日米の連携を図っていくのか。
(外務大臣)初期的措置の実施については今から、一日延ばしになっているので、バンコ・デルタ・アジアが本当に問題なのかということである。これは米国側としてはやることはない訳である。ご存じのように口座が予定より増えたり、何がなんだか訳がわからない。普通あり得ない話が起きている。向こうが申請したより多かったとか、おかしな話がいっぱいある。そういった話を理由にして答を延ばされるのはやってられない。こんなに両方で待てない、数日の間に答が全く出ないのであれば。追加的措置をやる可能性についても、もう総理との間でも出た話でもある。我々としてもそういった問題に対しては次どうするのかは考えないといけない。これはもう事務的にもやっている話である。
(問)昨日の日米首脳会談後の記者会見において、ブッシュ大統領より金正日北朝鮮総書記が約束を守らないのであれば追加の制裁をという強いメッセージを出したが、これはこのところの米国の対北朝鮮柔軟姿勢に変化が生じてきたと見て良いのか。
(外務大臣)そうは思いません。基本的にはバンコ・デルタ・アジア(BDA)の話を少なくとも六者会合再開のための条件という話をして、国内問題の話を持ち出して関係ないだろうと言ったが、「どうしても」と言うので、米国はBDAの話に関してはこうしますと言って実施したところ、順番から言うとそちらからなのではないかというところが4月何日になっても出て来ないから、それでは話が違うのではないかということになって態度が変わってきているのであって、米国の態度が変わっている感じは正直言ってありません。
(問)忍耐は無限ではないと何回も繰り返してブッシュ大統領も述べていることについて、ライス国務長官は昨日首脳会談と記者会見を目の当たりにされている訳ですが、大臣が月曜日にライス国務長官とお会いになった際に今後の北朝鮮への対応のタイムフレームがそもそも議題になってもおかしくないのではないでしょうか。
(外務大臣)この話はやっぱり北朝鮮に対する対応の違いは国務省と財務省の違いとか色々とあったことは確かですが、ライス国務長官との間の話で言えば、少なくとも「タイム ハズ カム(時来たれり)」というか、約束の時間を何の為に向こうは繰り延ばしているかという本意はよく分からないが、単なる引き延ばしということであれば、一段と制裁のレベルが上がってくる、米国はその積もりをしているでしょうし、色々な意味で対応がもっと厳しい枠が迫って来ることになるのは確かだと思う。
日本の場合も万景峰号をはじめ色々な話の繰り延べをしましたから、そう言った意味ではしんどいと思う。きちんとその対応をしないと、今の状況で行けば、更に制裁は強まることにならざるを得ないと思う。
(問)「2+2」についてちょうど1年になるが、この1年で日米関係全体で何がどう変わったか。
(外務大臣)米国との間では米軍再編、ミサイル防衛(BMD)の話、抑止力をいうことになると思う。少なくとも「2+2」の中において沖縄の普天間基地移転問題等々、日本側でいけば知事選挙も終わり沖縄の補欠選挙も終わり、こちらの方も色々な形で、防衛大臣が久間大臣に代わり、色々とこの種の話は結構分からないように前に進んでいると思う。
(問)従軍慰安婦の問題について、昨日安倍総理が心情を自らが大統領にお話しになって大統領に気持ちを伝えられた。一方で議会の方でまだ決議案が残っているということですが、外務省としては議会に対しては働きかけを続けていくことになるのか。
(外務大臣)この問題はこの間のブッシュ大統領と安倍総理との電話会談でほとんど大統領との間では終わっている。昨日の議会の人達、下院議長やら院内総務やら出てきた段階でも話し合いで大体話し合いは終わっていると思う。そういった意味では丁寧な対応が必要になる。このネタ全部で「米国議会全部で大騒ぎ」との日本の新聞での取り方を私はしない。
(外務大臣)カザフスタンとの原子力協定の締結交渉を開始をさせて頂くことになります。締結交渉を開始することに合意したのですが、この関連で日本カザフスタン非核化協力協定の下でカザフスタンにおける核関連施設の核セキュリティ確保のために約5億円の協力を行うことを決定しております。
(問)北朝鮮の問題の進展がないまま、今晩日米首脳会談を行われる公算が高くなってきましたが、今回はブッシュ大統領と安倍総理の間でどのようなメッセージをまとめるべきとお考えでしょうか。
(外務大臣)少なくとも、BDAの話をネタにして引き延ばしをされているということで考えると、単なる引き延ばしという判断をするのかしないのかというところでしょうが、アメだけではなくムチがいるという話に多分なってくる確率は極めて高いと思います。
(問)大臣御自身の外遊も明日からになると思いますが、まず日米安全保障協議委員会(「2+2」)、ちょっと間が空きましたが、どの辺に力点を置かれますか。
(外務大臣)「2+2」は今、沖縄の話やら何やら色々、米軍再編の話等々進んでいるのと、それからミサイル防衛の話なんかも、そこそこ今行っているような感じがしますから、そういった点はうまく行きつつあるのではないかと思ってはおりますが、これが現実的に協定ができたからと言ってきちんと実効性をあらしめるためには、常にレビューしておかなければならないところだと思います。そこらのところはむしろ私とライス長官はよく会う機会がありますし、米国に行った後にエジプトで会ったりしますので。久間長官の場合は今回、直接会うのは初めてということになられると思いますので、そちらの話題の方が主になられるかなという感じがします。
(問)日露関係においてどのようなところから、取っ掛かりを掴んで行こうとお考えでしょうか。
(外務大臣)向こうも麻生外務大臣の訪露に対する期待表明みたいなものが、報道官のレベルで2回外に出るなんていうのは過去一回も例がありません。そういった意味では、色々な話が出ているのですが、ロシアもなんとなくNATOとの関係もご存知の様ですし、米国とも勿論そんなに上手く行っておりませんし、中国との関係も中々難しいので、日本との関係もクシャクシャになるといよいよ具合の悪いことになるだろうなと向こうの外務報道官のレベルではそう思っています。何らかの形で日露の間で、色々この間、首相が来て交渉を開始して色々な分野で進んでいますが、喉元に引っかかっているモノが一つあります。その問題を解決するために、双方なんとなく納得できる案を考えなくてはならないという話を、これまでそれだけ言ってくる極東の国だと思っていたのですが、なんとなく事情がかなり変わってきているという認識はロシア側にはありますので、そういったところが取っ掛かり、ひとつの糸口になるかなと思います。
(外務大臣)NPT運用検討会議の第一回準備委員会が来週、4月30日からウィーンで開かれます。天野ウィーン代表部大使が議長を務めることになっておりますので、この会議の成功に向けて色々努力を行うところですが、啓蒙が大事だということになって軍縮不拡散教育の分野で若い世代に関心を持ってもらうために漫画の活用等、新しいイニシアチブを打ち出していくという予定にしております。
(問)大臣の談話はもう出ていますが、エリツィン前大統領が亡くなったことについて改めてコメントを頂けないでしょうか。
(外務大臣)ロシア国内では色々な評価があるのだと思います。しかし、ソ連からロシアに、ロシアが新しく新生ロシアとして変わっていく過程においてゴルバチョフ氏とエリツィン氏という二人はやはり必ず出てくる名前なのではないでしょうか。結果としては格差が開いた、民族問題がどう等々色々な話がいっぱいありますけれど、やはりソビエト連邦からロシアに変わっていく過程において功績が大きかったと思います。敬意と哀悼の意を表するというのは当然なのではないかという感じがします。ロシアの中の評価は色々分かれるという話は知っていますけれども、結果として外から我々が見ていると、エリツィン氏の功績は大きかったと感じております。
(問)サミットについてなのですが、首脳会合の方はお約束頂けましたが、今後外務省、財務省、環境省との会合はどのような形で考えていらっしゃいますか。
(外務大臣)今から調整いたします。
(問)サミットに関連してなのですが、来年ロシアの大統領が北海道に来るということは初めてのことになるのですが、領土問題について何らかの進展を見る機会になるのではないかという期待がある一方で、ホスト国としてあまり刺激的な問題を二国間の問題を取り上げるべきではないという考え方もあると思うのですが、サミットにおける領土問題をどのように位置づけていくべきだとお考えでしょうか。
(外務大臣)今、北海道で開くから北方四島というように直接結びつけるような発想はないと思います。この話はもっときちんとした政治レベルでの決着の話になっているのであって、それに至るまでの前の段階で色々話が進展していくのであって、サミットの場で二国間協議が行われるという話ではなくて、二国間で別に協議がされて然るべき問題、そういう大きな問題だと思います。
(問)パスポートについてですが、民法772条の戸籍のない方への発給の問題を、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)この種の話はそんなに多い話とは思いませんけれど、修学旅行等々同情に値することろもあると思いますので、ケースを見て決めて行かなければならないかなと思っております。
(問)サミットの開催地の方が週明けにも発表になるということなのですが、改めまして日本政府としては、その開催地にどのようなメッセージを込めたいとお考えなのでしょうか。
(外務大臣)2008年のサミットで日本が何を話題にするか、その年、今年で言えばメルケル独首相は、これを基にしますという話をダボス会議で言ってとのやり方をしています。環境なら環境を言うのか、何を言うのか、そこらのところをきちんと2008年の話題としてやることを考えておかなければならないでしょうし、2008年はそのすぐ後は北京オリンピックです。そういったようなことも考えて、きちんとした日本のメッセージを伝える。そのために、場所によってそのイメージが伝わるとどうして考えるのでしょうか。
(問)場所も一つの要素ということでしょうか。
(外務大臣)はい。
(問)フランスの大統領選挙なのですが、この日曜日に第一回の投票がありまして、最大与党のサルコジ候補と社会党のロワイヤル候補が接戦を繰り広げている訳ですが、いずれにしても非常な親日派で知日派のシラク大統領が交代することで、日仏関係はその交代によって一度仕切り直しということになるのでしょうか。
(外務大臣)そうですね、しかし、シラク大統領以上に日本の相撲の解説をできる政治部の記者なんていますかね。そんな人を今後とも期待しているとすれば、それはちょっと過剰期待なのであって、そこまでは無理なのではないかと思うのが一つと、基本的には大統領が替ったから、直ちに日仏関係がどうとか、こっちの総理大臣が替ったからこうとかそういう種類の話ではないと思います。
(問)大臣は常に日本の漫画は重要な輸出文化だと仰っているのですが、ロワイヤル候補は以前、10数年前から現在に至るまで一貫して日本の漫画について、暴力的な表現が多いとか、女性の描き方が女性蔑視的だと言っているのですけれど、そのようなロワイヤル氏の見方について、大臣はどのように受け取られてらっしゃいますか。
(外務大臣)その発言は確か正式には1990年と聞いておりますが、随分、時代も変わっていますし、最近の少女漫画等々、日本のコミックというものの内容というものがどれだけ幅広くなっているかということを、もう少し読む量を増やされた方が良いですね。
(問)去年の12月の段階でも、女性蔑視の表現が多いという発言をなさっているのですが。
(外務大臣)読むコミックの量を増やさないと。
(問)サルコジ候補の方からも、相撲に関して頭にポマードを塗りたくった太った男達がぶつかり合うのは知的なスポーツではない、京都の庭園を見たけれども陰気くさくて理解できなかった等の具体的な発言もありますが。
(外務大臣)そう言われたからって気になる間は進歩しません。自分の良いと思ったことをやっていれば、どんどん良くなっていく。ついこの間まで生の魚を食べるのはおかしいと言っていたじゃないですか。それが今「SUSHI、SUSHI」とみんな食べているのはおかしいじゃないですか。フランス人からお寿司だ、生の魚を食べるのはおかしいと言われたら何となくおかしいと思ってしまうところが、そもそもの間違いなのです。私はそのように思います。
(問)アメリカのCSISのマイケル・グリーン氏が、六者会合が核施設の停止も含めて、総理の26日からの訪米の前後が焦点になるか、ということですがどうですか。
(外務大臣)それに関しては財務省の話でしょう。財務省も離していますから、従って、あそこにある2500万ドルという北朝鮮の資金と言われているものが、北朝鮮まで如何に送金するというところについて他の銀行も皆乗ってこない訳です。なんとなく、危なそうだから。それをどうやって持って帰るかというと、そこのところが難しいという話だけになっているのだと思うのです。その技術の話なのであって、そこは後はマカオの方でやる、中国国内だから中国の中でやるという話、米としては当たり前のことを話しているのですが。中国側がそのようなものは扱いたくないという話になっているのだと思いますので、そこらの所さえ片付けば、明日にでも片付いていると言っても全然驚きません。
(問)結局、北朝鮮が核施設を停止しないまま行った場合、27日の日米首脳会談で首脳間で北朝鮮への圧力をちょっと強めるべきだということで合意する方向になるのでしょうか。
(外務大臣)そこまで具体的な話、先の所はちょっと読めません。しかし、六者会合とは全然関係のない米の金融、国内法の話で六者会合を延々と引っ張ってきた北朝鮮に対して、うちは財務省関係の話をきちんと片付けた、六者会合の話をしましょうというのに、乗ってこないとなると、それは話が違うではないかという言い方は米はするでしょうね。それは分かりますけれど。言っていることは正論ですから。ですが、それが具体的にどのような話に出てくるかまでは分かりません。
(外務大臣)閣議で2008年の日本ブラジル交流年及び日本人ブラジル移住百周年を記念する500円の硬貨を新しく出す事に決定しました。同じく1,000円の硬貨をユニバーサル技能五輪に合わせて出すという事が閣議で出されて決定をしております。
(問)韓国の連合ニュースが寧辺の核施設の周辺で特別な動きがあって、閉鎖に関連する動きの様だと報じておりますが、日本政府でそのような情報などは把握されていますか。
(外務大臣)その種のものはもっとずっと前からあるのです。だから、今取り立てて特にということではないと思います。アメリカはバンコ・デルタ・アジア(BDA)の話を既に離しましたという状況になっております。ご存知のとおり、この問題は六者とは全然関係のない話で、米朝でやった話であり、きちんとした対応をアメリカはした。それに対して北朝鮮側からの対応はご存知のように技術的な話で、肝心の六者の話が遅れているという話は、他の四者にしてみたら話が違うじゃないかということに段々なってきています。その意味では何らかの形の対応を北朝鮮側として求められるかと思います。
(問)北朝鮮は核施設を停止、封印する動きを既に表しているのでしょうか。
(外務大臣)表していると思わせるようにしたいというように考えておかないと。そんなに単純な話ではありません。ただ、無能力化をするにあたってどの程度の日にちを要するものかというと、これは実にまた技術屋さんの話はちょっと私には難しすぎて、共産党の吉井英勝先生くらい詳しくないととてもついて行けない、私もちょっと詳しく分からないですけど。正直なところどれくらいなのかは分かりません。しかし、向こうとしてはそのような用意があるくらいのとこに来ていてもおかしくはないと思うのです。
(問)次回の六者会合は月内、4月中に開けそうですか。
(外務大臣)技術的な話、銀行の金融技術の話の所だけですから、それが決まったら、パッと開ける、今日決まったら明日からスタートしようという話を開始しましょうという話ができても驚かないし、押したり引いたりしながら、米国と中国と北朝鮮ですかね、その三者の話、マカオは中国国内にありますので、その三者でごちゃごちゃしたまま、ずっと引っ張るという可能性も否定できませんから、その意味では月内に開けるかどうかということは何とも言えませんけれど。ただ、決まったからすぐという可能性もゼロではありませんし。そこまで来てると思います。
(問)日本としての対応は現時点で米中のように様子見として受け取ってもよろしいのでしょうか。
(外務大臣)そうですね、米は自分の話はもう終わったと、中国と北朝鮮の話なのではないかと恐らく米国は思っているかと思いますけれど。ちょっと詳しくそれ以上の内容のものは、米国も国務省より財務省の話に多分なっているのだと思います。そこのところはあまりよく分かりません。
(問)衆議院の方で米軍再編法案が通過いたしましたけど、イラク特措法と同様、民主党は対決姿勢をとっていたようですが、今回の通過の意味と今後の審議の進め方について如何ですか。
(外務大臣)米軍再編の方は少なくとも従来から言ってきていますように、沖縄から海兵隊員8,000人、家族9,000人、合計17,000人の人が沖縄からグアム等々に移られる、それによって嘉手納以南の土地を含めて色々、土地が返還される確率が高くなる。その75%の土地の内の、今言われているだけで5~6%が還ってくる等々は率直に良いことだと思います。その案が形としてでき上がりつつある。私は良いことだと思います。
(問)今回の日中首脳会談を含め、温家宝総理の訪日をどのように評価されますか。また、首脳間の相互交流がこれで進みそうですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)この種の話は、私どもの立場からすれば、残った書類、ペーパーの方がきちんとしたものだと思っているのですけれど、プレス発表の内容は意外によくできているかなと思っております。温家宝総理と安倍総理の会談内容は、3回目ということもあるのだと思いますけれど、また、この種の会談によく陪席するこ とがありますが、温家宝総理の性格にも因るのだと思いますけれど、結構真面目に正面切った対話がきちんとあったかなという感じはします。所謂正面からという感じがしたので、年内訪中の話や胡錦濤主席の来年早期訪日などの話等々見ていれば、首脳の相互訪問は少なくとも動き出しつつある感じがします。また、日本の国連安保理の話に関しても、少なくとも日本が国際社会で一層大きな建設的役割を果たすことを望んでいるとの表現、言ってもいましたし、国会でもそのような話をしていました。そういった意味では今までとは変わってきたという感じはします。この種の会談でこれまでのことを考えると大きく変わったという感じがします。そのような意味では良かったのではないでしょうか。
(問)イラクなのですが、議会で爆発がありまして、先日、国連事務総長がイラクを訪問した際に訪れた所謂グリーンゾーンの中であのような自爆テロが起こるというのは結構、深刻な問題ではないでしょうか。
(外務大臣)バグダット周辺は深刻ですね。イラク国会議事堂の中であのような事が起こるというのは、事態としてはバグダット市内で起きている話とは少し意味が違うと思います。その他の南部とかアルビルとかクルド人の地域といったところは平穏になっているのに比べて中部というか、バグダット周辺にその種の騒ぎが継続して起きているという事態は少なくとも状況としてはしんどいものがあると思います。他の地域がどれだけ良くなったかという話は出ませんから、一概にそこだけとりあげてイラク全体が悪くなっている訳ではないです。少なくともグリーンゾーンの中でそのようなことが起こるというのは中々問題だという感じはします。
(問)六者会合についてですが、明14日で60日の期限を迎えますが、まだ表だった進展は見られないですが、どのように思いますか。
(外務大臣)BDA(バンコ・デルタ・アジア)の話で北朝鮮関連資金の凍結解除が明確になれば、北朝鮮側も行動をとるようだということを一つの報道として承知していますが、それが直ちにどのように結びついて行くかということが今すぐよく見えないというのが正直なところです。明日までに達成されないからと言って、全てをキャンセルという話ではなく、何日間かずれたりし得るということは知った上でどのようにするかという話になってくる、現実的に対応していく流れだと思います。BDAと六者の話は形の上では直接関係しておりませんから。米国と北朝鮮、アメリカ財務省と北朝鮮の話になりますので、国務省の話とは少し違うところもありますけど、一概には言えないですね。
(問)北朝鮮が本日、国営の朝鮮中央通信社を通じて、資金の凍結解除が有効だと確認できた段階で、2月13日に合意した内容を履行するという立場のようでしたけど、北朝鮮はまだそれを確認できていないということでよろしいでしょうか。
(外務大臣)何をもって確認したかでしょうね。現金を手にしたか、手形は信用できないから現金を見せろということか、偽札ではないだろうかとか。色々なことを考えるのではないでしょうか。だから、そうなってくると一枚一枚大丈夫という話になるということでしょうか。普通、日本ですと振り込みがあった時点で確認ということになるのですけど、なかなかそのような具合にシステムとして作動しているのでしょうか。そこはよく分かりません。目の前に現金を積まれて、それがちゃんと2,500万ドルあるか、口座の数はどうかなどといった確認の仕方がよく分かりません。
(問)60日の措置に関して、その実現について楽観なさっているのでしょうか。
(外務大臣)簡単に言えば、2,500万ドルが向こうの手に入った段階で、少なくとも初期段階の話、寧辺の話とIAEAの査察官が入ってくるところまでは、動き出す可能性は高いと思います。その次の段階にどのように進むか、六者の閣僚会議をどうするかという話はその次で、そこまではちょっと読めませんけれど、最初の二つについては行きそうな感じがします。
(問)日中のガス田について首脳会談では比較的広い範囲で共同開発を行うことで合意したのですが、それについて中国側は「春暁」等を含まないという立場を明らかにしましたが、日本側のイメージしている比較的広い海域には含まれないのでしょうか。
(外務大臣)これは今からの話ですね。やおら掘っていますという話をホームページに載せて即、取り消したりしていますから、これが敏感な問題であることを向こうも知っているからだと思います。西側と東側では一緒にやらないとね、収益の面から行くと一緒に共同開発した方が安い、技術力が高い、色々な意味で利幅が大きいということが分かります。そういった意味では、顔の話より利益の方がこの際大きい、というように計算するのが、商売人としては普通です。ただ、商売人と役人では大分違いますから、そういった意味では今一つ、どのように出てくるか読めません。これは協議を続けることになりますので、そこのところをこれから、もう少し詰めます。
(外務大臣)二日に発生したソロモン諸島の地震と津波の状況を考えて、国連児童基金(UNICEF)、赤十字・赤新月社連盟(IFRC)を通じて総額50万ドルの無償資金協力を緊急に行うことを決定しております。その他に、復興開発支援に関して援助需要調査のために、国際協力機構(JICA)より調査団を派遣する予定です。私の方から閣議で発言した項目は以上です。
(問)北朝鮮に対して制裁が延長になったことについてですが、これに政府としてはどのようなメッセージを込めるつもりですか。
(外務大臣)半年間の延長ということになりましたけど、これまでのところ北朝鮮から少なくとも拉致に関しての誠意ある対応は見られませんし、また核の話にしても少なくとも今までのところ、バンコ・デルタ・アジア(BDA)の話等々をネタにして、向こうの対応は全然出てきていません。そういった新しい対応がなければ、このような制裁を今後とも継続するということは、我々としてはきちんとした対応を求めていると理解して頂いて良いのではないでしょうか。
(問)ヒル氏が北朝鮮を訪問するという一部報道がありますが、昨日の佐々江局長とのやりとりではどのような報告を受けていますか。
(外務大臣)かなり内容を知っていますけど、ちょっと今のところ言えませんね。
(問)温家宝首相の訪日に関して、具体的にはどのジャンルでどのような進展があるという期待をされていますか。
(外務大臣)今、各社で憶測記事を含めて色々出ているのは知らない訳ではないですが、今日一日かかってこれを詰めることになっております。表現ぶりがちょっとなかなか難しいところもあろうと思いますので、どこまで詰められるかは分かりません。何れにしても朱鎔基総理以来7年ぶりですから、そういった意味では少なくとも向こう側も、このところのテレビ放送等とも反日色が随分薄らいできたかなという感じの報道が多いようには思いますけれど。それが実際どういう内容になっていくか、これはやってみないと分かりません。
(問)共同文書の内容について今詰めているということですか。
(外務大臣)そうです。共同文書までいくかは分かりません。これも共同プレス発表か共同宣言か、色々な考えがありますけど。
(外務大臣)国家安全保障会議の件について官房長官、総理大臣、また私の方からそれぞれ話をし、外務大臣として韓国と…SAARCの話を私の方からしています。また、予算の執行状況については財務大臣から。閣議の報告は以上です。
(外務大臣)外務省の名探偵コナンのパンフレット。これは、外務省というところを知っておいてもらわなければならないということで、身近な広報の新たな試みとして、原作者の青山剛昌、太田勝等々、有名な漫画家の協力によって作っております。
主に小学生、中学生を対象として配布をしております。これはホームページにもアップロードしておきたいと思っております。皆さんの知識よりここに書いてある内容のほうが詳しいのではないかと思います。
(問)OECDの調査で、ODAが英国に抜かれて3位になりました。その受け止めと、昨年の閣議決定で今年以降も2~4%削減という流れにあるんですが、これをどのようにお考えですか。
(外務大臣)来年になったら、4位か5位になりますよ。フランスとドイツが伸びていると思いますから。ですから、そういった感じになるという確率は極めて高いというのは、はっきりしているのではないでしょうか。それより、どうするかというのは次の話。予算との関係ですね。こちらもこういった状況になっていることをどのように受け止めるかということかと思いますが、外務省としては、この問題はもう少しきちんと対応しなければ、GDP等によって、いわゆる割り振りがある国連の中にあって、2位にある日本が(ODAについては)3位、4位、5位…と落っこちていくという状況は、国としては如何なものかと基本的にはそのように思っています。
(問)来週、イラクのマーリキー首相が来られますけれど、どのような協議の成果が期待されるでしょうか。
(外務大臣)スンニー派のハーシミー副大統領が来ました際にも、お話しましたけれども、ここでは、エネルギーの話より、まずは治安の安定と国民の融和という二つの問題があります。新聞では治安の問題ばかり書いていますけれども。その中でも、国民融和の方が大きいと思います。今、治安というのはバグダット周辺に集中しています。北部のクルド地域とかそれから南部については、ほとんどこの種の話はありません。いわゆるスンニー派の多いところに集中しています。色々な表現がありますけれど、中部バグダット周辺に集中していると思います。そういった意味ではこういったところを集中的になんとか直していく、宗教と人種が混在しますが、治安を回復するに当たっても、所謂、クルド、スンニー、シーアという、大きく3つに分けられる勢力を融和することを考えないといけないということを、この間、副首相に言ったのです。そこのところをどうしていくかというのが、今、最大の問題というように思います、イラクの問題としては。どのように融和するかというのは、スリランカでも似たような問題を抱えていますし、いろんなところで、それぞれ融和ができないがために治安が悪いということになっていますので、やっぱり一人頭での石油の配分など様々な案が出ておりますので、そういったものが着実に実行されるという信頼が三方にないとなかなか難しい。北部のクルドのところは石油が出ますし、地域によって差がすごくありますので、その辺の詰めをしないと融和といっても、信頼関係がないと難しいのではないですか。というところが我々が外から見た問題点なんだと私はそう思っております。この間、ハーシミー副大統領ともお話をしました。
(問)中国の温家宝首相の来日も来週予定されているのですが、改めてその位置づけと、エネルギー関係者が100人くらい来る、その辺りの中国の狙いや関心を大臣はどのように感じていますか。
(外務大臣)中国の狙いは分かりません。温家宝首相の訪日は国家元首並みの訪日は朱鎔基総理以来ですから、随分長い間の話ではあります。昨年10月の総理の訪中に対する、向こうからの返答というところが基本的な位置づけだと思っています。
エネルギーに関しては、少なくともIEAの資料を読むと、日本と中国の石油の1リットルあたりの燃焼率は1対8程度です。そちらが、こちら並になれば、石油の使用量は8分の1で済むはずでしょうと。それにより省エネにもなる。石油の資源をゴチャゴチャしなくても済む。そして、同時に環境にも良いことになる。そのような点を考えられるべきではないかと、今回のインドでの李肇星外交部長との会談でも話をしました。
エネルギーは大きな問題でもあります。その国の経済成長に欠かせざるものではありますけど、同時にエネルギー、化石燃料が作り出すCO2の話などについては、2国間だけでの話ではありません。環境問題については、おそらくハイリゲンダムのサミットにおいても、また、来年の日本でのサミットにおいても、いずれも大きな問題になるので、インド、中国、アメリカ等と、そういった問題を含めてこの問題は関連してくるところがあるから、エネルギー関係者が多いのだろうと、私はそう思っています。