(外務大臣)2月20日から22日まで、ディック・チェイニー米国副大統領を公式実務訪問賓客として接遇することになりました。滞在中、天皇皇后両陛下等々にお目にかかって頂くことになります。
(問)六者会合の再開日程ですが、今日にも発表する見通しでしょうか。
(外務大臣)米国も日本もいずれも皆、8日で振り込んではいますが、議長国の中国が未だに発表しないということは、最後の詰めを北朝鮮としていると想像しています。
(問)昨日、谷内外務事務次官が今度の六者会合で作業部会の設置について言及しましたが、拉致を含む日朝協議というのは作業部会ができなければかなり厳しいという認識でしょうか。
(外務大臣)作業部会の中に日朝の作業部会ができるかというところだと思います。日朝の作業部会を含めて5つと私共は理解していますし、米国もその線で動いているというところまでは承知しています。
(問)その部会ができないと直接協議は厳しいということでしょうか。
(外務大臣)日朝直接協議というのはなかなか難しいでしょう。その5つの部会の中で話す方が具体的ですし、拉致問題のことはロシア等は意味が分からないと思います。
(問)北京で米朝の金融制裁を巡る直接協議が始まりますが、一部で米国側が金融制裁を一部解除するのではないかという見方も出ています。そうなると北朝鮮にとってみれば、ミサイルを撃って核実験をして、成果を得たのは北朝鮮になるのではないかという感じもしますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)それは新聞的だと思います。少なくともあの話は金融の話であり、ミサイルの話は六者会合の話なので、全然別の話です。それを遮二無二一緒にするので、米国と別にやってくれという話で、同時並行的に時期が重なって進んでいるだけであって、それと関連しているという意識は私共にはありません。
(外務大臣)ゴラン高原の国際平和協力業務実施計画の変更について、所謂UNDOFの活動期間延長に伴い、本年9月30日まで延長するという話と、コンゴ民主共和国において実施された大統領選挙について、国際的な選挙監視活動に対する協力として要員の派遣を行った件の国会への報告内容について塩崎官房長官から話がありました。東ティモールへの国際平和協力業務の派遣について官房長官、同じく国家公安委員長から話がありました。消費者物価指数について、総務大臣から速報値で0.1%上昇、生鮮食品を除く指数も一年前に比べて0.1上昇しています。食料とエネルギーを除いた指数は0.3%下落しています。閣僚懇談会では、公共調達の適正化についての発言が財務大臣、国土交通大臣、総務大臣、内閣官房長官からそれぞれありました。
(外務大臣)国連からの要請を受けて、国際平和協力法(PKO法)に基づいて、国連の東ティモール統合ミッション(UNMIT)に対して、文民警察要員2名、また、併せて連絡調整要員3名を東ティモールに派遣することとしました。今回の派遣は、東ティモールとの関係の構築及び地域の平和と安定に資するものと思っていますので、我が国が平和構築外交を展開する上でも有意義なものと考えます。
(問)六者会合再開の日程調整ですが、現段階ではどういう状況でしょうか。
(外務大臣)日にちがきちんと決まった段階ではありません。
(問)今は北朝鮮の返事待ちという状況ですか。
(外務大臣)基本的にはそうです。
(問)六者会合を巡って、米国のジョゼフ国務次官が辞表を出すという動きがありますが、かなり米国が譲歩していくのではないかという見方も出ていますが、大臣はどのような認識でしょうか。
(外務大臣)ヒル米国務次官補、ライス国務長官のラインであるソフト・ランディング派の方が、今の六者会合に関しては今までのところ成功しつつあります。前回できなかったので、ハード・ランディング派はやはりという意見だったと思います。今は、ソフト・ランディング派の方が成功しつつあると思われます。そうすると、なんとなくハード・ランディング派としては、ということになっているのかなとは思います。米国務省の内部の話なのでよく分かりません。
(問)国連安保理の非常任理事国選挙に、日本がモンゴルに代わって立候補するということになりました。今までアジア枠は、基本的には一本化に調整してという動きもあったようですが、今後の働きかけ、動きはどうなるのでしょうか。
(外務大臣)モンゴルとしては国連加盟以後、特に昨年は非常任理事国だった日本が提案した北朝鮮への制裁決議1718号等々、色々出たという動きをずっと見ていたでしょうし、そこに投入している人数や根回しの仕事の仕方など、これは色々大変なのでもっと国造りをしてからと考えられたのかなと思わないでもありません。少なくとも日本に譲りたいという話を頂きましたので、その線で日本としてはそれに応えて立候補する準備はしたいと思っています。それに対して色々意見がある国はあると思いますが、そこのところは了解を得るように努力していきます。
(外務大臣)閣議では、規制改革推進法の設置について規制改革担当大臣から話がありました。松岡農林水産大臣から、国際漁業再編対策に基づく日本海の紅ズワイガニの漁業の国際減船の実施についてと、日本産精米の対中輸出についての協議等についての報告がありました。塩崎官房長官から2月5日に新型インフルエンザ対応総合訓練の予定について。臨時閣議では、閣議の開催時間の変更について、1月26日は定例9時から、30日以降は国会の中で開催するという話がありました。都道府県の国民の保護についての計画変更について、これは総理大臣と協議することになっているのですが、新潟県等の4県から国民保護計画の変更について届け出がありましたので、それについて政府として異議はないということになりました。閣僚懇談会では、北見のガス事故について甘利経済産業大臣から話があり、夕張市の再興支援について菅総務大臣から話がありました。
(問)六者会合再開に向けて各国の調整が進んでいますが、改めて大臣から見通しについてお聞かせください。
(外務大臣)相手が相手なので見通しというのはあまり当てになりません。この間の六者会合も、実りがあるという希望的観測記事は全てはずれました。当てになる話が来たとしても当てにならないから、私の答弁も、相手がある話なのであまり当てにならないと思って聞いてもらわないといけません。今の段階で言えることはそんなにありません。1月20日にヒル米国務次官補が来日して佐々江アジア大洋州局長と話をし、その後、北京に行って武大偉・中国外務次官と話をしているところだと思うのですが、六者会合の日程が正式に決まっているわけではないと思います。非核化の話が具体的にならない限りは、この六者会合を開く意味はありません。そういった意味では議長国の中国が更に色々と努力をするということなのだと思います。
(問)前回、六者会合を開く時の前提条件は、核実験をしたことに対する謝罪や核実験をする前の状態に戻らない限りは出来ないということだったと思うのですが、その後、一度開いてしまいました。そうすると日本政府としては、前回六者会合を開く時に掲げていた前提条件や要求を、今回は特にこだわって言い続けないということなのでしょうか。
(外務大臣)北朝鮮に核を持たせない為というのが本来の六者会合の目的でした。それが仮にも核実験をしたということになれば六者会合の大前提が狂っているということになり、その点から言えば日本に限らず全て違っています。ただ、北朝鮮を核保有国として扱うことはしないということに関しては、五者の対応は一致しています。六者会合の中で「核保有国・北朝鮮」という対応をしないということは共通しているのだと思います。
(問)佐々江局長が24日に北京に行って武大偉外務次官に会う見通しになると思います。六者会合の日程について最終調整という見方も出来ますが、どういう意義付けになるのでしょうか。
(外務大臣)本来は、谷内外務事務次官が日露戦略対話の為にロシアへ行き、日中総合政策対話の為に北京へ行くという中で、佐々江局長が北京に行くということになりました。優先順位はこちらでしたが、たまたま日にちが重なりましたから、向こうで日程の調整等々して、時間が合えば話をすることになると思います。ただ、日中だけで決まるかと言えば、色々決めなくてはならないことがあると思います。六者会合をすることになれば5つの部会を立てることになっています。その中には日朝交渉というものも入っていますから、そういったものを詰めていかなければいけないところだと思います。
(問)20日のヒル次官補が来日した時のぶら下がり会見で、「2月5日からの2月第2週に六者会合を開く可能性は選択肢にあるのか」と質問したら、「ルールアウト(除外)しない」と言っているのですが、大臣も現時点でそう思われますか。
(外務大臣)それはあります。彼の言葉を借りれば「ルールアウトしない」とは言いました。しかし、内容をよく詰めないといけません。寧辺の話にしてもIAEAの話にしても、査察か監視かと言えば監視の方がしんどいですから、そういったところがどうなるのか、そこのところは詰めなければならないのではないでしょうか。最終的な詰めが出来上がっているとは思いません。
(問)大体その時期を目指していくということでしょうか。
(外務大臣)そうですね。
(問)安倍内閣の支持率が各紙の世論調査で下がり、過去最低になりました。過去4カ月ずっと減り続けている原因が何かあると思うのですが、大臣は今後支持率浮揚の為にどういうことが必要だと思いますか。
(外務大臣)あまり支持率を気にしないので、浮揚する為にどうするかということをあまり考えたことはありませんので何とも言えません。小泉前総理と安倍総理を比較すると小泉前総理の方が歯切れ良く見えるのではないでしょうか。国会における答弁を見ていると、安倍総理の方が遥かに安定しているように聞こえます。しかし、受ける受けないというのは別の話だと思いますので、あまり気にする話ではないと思います。
(外務大臣)閣議では、平成19年度の税制改正の要綱について尾身財務大臣から発言があり、減価償却制度、償却可能限度廃止等々の要綱についての説明がありました。柳沢厚生労働大臣から、新型インフルエンザの対策について、感染拡大防止のための態勢作りに向けた要請等々がありました。
(外務大臣)1月22日から24日まで日露戦略対話のため、また25日から27日まで日中総合政策対話のため、谷内事務次官をモスクワと北京、杭州に派遣します。日露戦略対話は、昨年11月にラヴロフ外務大臣と私との間で立ち上げについて合意をしていますので、日露双方が戦略的関心を有する国際的な問題や二国間問題について、大所高所から話し合うよう指示しています。日中については、戴秉国・中国外交部副部長との間で、これが7回目になると思いますが、中・長期的な観点から忌憚のない意見を話し合うようにと言っています。
(外務大臣)かねてから日本とブラジルの間で話が行われていた、浜松市における高校生のひき逃げ事件に関して、高校生が死亡しているということもあり、浜松市を始め、静岡、被害者の方々から陳情書が上がってきていましたが、今回、被疑者であるヒガキ・ミルトン・ノボルの起訴が決定されました。この件については、国外犯処罰の要請をブラジル政府に何度となく行ってきていましたが、今般、起訴に至りました。これは、ブラジル政府が、国外で犯罪を犯しブラジル国内に戻ったブラジル人を引き渡すということをしないので、それに対し私共としては、明らかに犯罪者なのだから、そちらへ逃げ込んだから不処罰などというそんなふざけた話はないと、以前から申し込んでいたことがこういった形で起訴になりました。これは今後色々な問題の一つの例になりますので、こういったものを今後進めていければと思っています。ブラジル政府は、ただ、自国で処罰をすると言ったきりなので、証拠がこれだけ挙がってるのだからということをずっと言ってきました。それがこのミルトン・ノボルの件については決着をしたということで、今朝一番でご家族の方にはその報告をしました。
(問)ブラジル逃亡犯罪人の起訴についてですが、今回は日本の外務省や在外公館、各方面がかなり働きかけをした結果、起訴ということになったのですが、今後も個別のケースで働きかけをしていくのでしょうか。
(外務大臣)これは今まで一度も例がありませんでしたが、今回一つの例が出来ました。全国でひき逃げ事件や強盗事件が、非常に多いわけではありませんが幾つかあります。そういった事件の犯人が特定され、その本人がブラジルに戻ってそこにいるではないか、証拠がきちんと挙がっている場合ですら、全く対応がなかったのでふざけた話ではないかとずっと言い続けてきましたが、これが初めての例になりました。これが例になって、証拠がきちんと挙がっている他の事件についても一つの突破口になったというのが今回の一番大きな意義だと思います。
(問)中国が弾道ミサイルを使って老朽化した自国の人工衛星を破壊したという情報があるのですが、それについて接しているでしょうか。
(外務大臣)この話は既に米国政府から通報を受けていますので、そういった事実があったということは知っています。弾道ミサイルによる人工衛星の破壊という行為は、宇宙の平和利用等々の観点から考えて、安全保障上から問題があるのではないかということで、我々は自分達で得た情報ではないので、本件に関し、こういった情報があるがそれは本当かと、中国に対して事実関係を問い合わせています。内容についてはインテリジェンスに関わる話なので、一つ一つ内容を明らかにすることは差し控えますが、中国側のとりあえずの反応としては、日本の通報に対して留意するということと、宇宙の平和利用というものを一貫して行ってきているという話がありました。私共としては、事前通報もなく、破片も飛びますから、そういった意味では、平和利用というものに関しては如何なものかという話を色々と言ったというのがこれまでの経緯です。
(問)共謀罪、組織犯罪防止法の改正について、総理から法務大臣に今国会中に成立させるようにという指示があったようなのですが、成立についての大臣の見解は如何でしょうか。
(外務大臣)共謀罪については前国会、その前の国会からの経緯があります。条約を結んで批准するにあたっては、この法案が通っていないと批准ができない、他の国はこういうものをずっと通してきているという経緯がありますので、そういう意味では、私共としては是非通してもらいたいと強く思っています。ただ、国会の対策上から言って、国対としては、衆議院で通ったが、今年改選期の参議院で審議の廃案というのは避けたいと、多分法務省も考えるでしょうし、色々と私共もそれはちょっとと思っていますので、技術上の話もあるでしょうし、参議院の選挙で後ろが決まっているということもありますので、その点も十分に考えて対応して頂きたいと思っています。
(問)六者会合の再開に向けて、ベルリンでの米朝協議等の動きがありますが、見通しについて大臣の所見をお聞かせ下さい。
(外務大臣)ベルリンにおける金桂寛北朝鮮外務次官とヒル米国務次官補の会談は、六者会合を前回北京で行った時に、バンコ・デルタ・アジア(BDA)の話が出来ない限り六者会合に入れないと北朝鮮がして、早い話が六者会合を実質出来なかった形で終わりました。我々は出来るものだと思って行ったので、議長国としては非常にしんどかったと思いますが、中国も大変困ったことになったというのを受けているのだと思います。ただし、これは銀行法をきちんとするというのがBDAに関する基本ですから、これは六者会合とは何ら関係がありません。それは基本的には他の五者は一致していますから、このことに関しては六者会合再開の条件とは全く別だというのが我々の立場です。米国としてその問題をどう決着したのかは知りませんが、少なくとも六者会合を再開することに直接リンクしていないというのが一点。それから六者会合を再開するにあたっては、これまで言い続けてきたIAEAの査察、寧辺の閉鎖等、他にもありますが、そういったものが再開の条件ですから、核保有国としてでは全然だめだということは一貫しています。その辺に対する対応がどういう具合になってくるかを見ないと何とも言えないところだと思っています。そこのところで、向こうが折れてくるのかどうかは、私共の方でしっかり見えてはいませんから、いつ頃再開される予定かまではとても見えている段階ではありません。
(問)ヒル国務次官補が、米朝協議を終えて、明日、日本に立ち寄るようですが、カウンターパートである佐々江アジア大洋州局長と会う時間や、大臣がどういう事を局長にご指示なさるのか、なさったのかをお聞かせ下さい。
(外務大臣)ヒル国務次官補が日本に立ち寄るのは確かですが、時間等について、成田空港に乗り換えの為だけに立ち寄るのか、泊まるのか等は分かっていませんので、それ以上は答えようがありません。
(問)基本的に米朝の協議内容について佐々江局長が説明を受けるのでしょうか。
(外務大臣)これまでも結構毎日何回か電話でやり取りをしていますから、知らない訳ではありませんが、その内容がきちんと出てくるのだと思います。
(外務大臣)閣議では、安倍総理から欧州訪問及び東アジアサミット出席について、私からは東欧訪問について、高市科学技術担当大臣からシンガポール訪問について。山本金融担当大臣から英国及び米国訪問について。菅総務大臣からベトナム、インドネシア及びインド訪問について。尾身財務大臣から、英国、米国及びドイツ出張について。伊吹文部科学大臣からソウルにおける日中韓科学技術協力について。松岡農林水産大臣から欧州及び米国訪問の結果について。甘利経済産業大臣から米国、ベルギー及びフィリピン出張について。冬柴国土交通大臣から韓国訪問について、それぞれ報告がありました。
(外務大臣)昨年から話題になっていた生物の多様性に関する条約第10回締結会議(COP10)について、日本に立候補の打診が昨年3月にあったことを受け、昨年10月の参議院予算委員会総括審議においてもこの話があり、2008年5月の選挙に愛知県名古屋市が立候補することになりました。
(問)COP10ですが、大阪も立候補しましたが名古屋を選んだ理由と今後の誘致活動の方針についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)今後の誘致活動は今から色々やっていきます。愛知県と大阪府ですが、会場や一連の準備が全体として愛知県の方がよく出来ていたという話です。愛知万博の時から狙っていたのだと思います。誘致をどうやっていくかについては、選挙をすることになりますので興味を持っている国に、あまり発展途上国というのは生物の多様性に関する事に関心のない国が多いのですが、関心の高い国が幾つかありますのでそういった国に関しては私共の方から積極的に働きかけていきたいと思っています。
(問)一部報道で安倍総理が4月下旬から訪米されるとありますが、これについての事実関係は如何でしょうか。
(外務大臣)安倍総理の訪米については、昨年11月のベトナムAPECで日米首脳会談をハノイで行った時に、ブッシュ米大統領から話があったことは確かです。その日にちをどうするかについて、連休にするかどうかまだ正式には決まっていません。
(問)本日、無料のマンガ雑誌というものが創刊され、駅等でフリーペーパーの形で配られているのですが、今、日本を代表する文化の一つとなったマンガが無料で配られていることについて、マンガ文化に造詣の深い大臣の感想、考えをお聞かせ下さい。
(外務大臣)実物をよく見たことがないので知りませんが、個人が自費出版しているマンガというのは掃いて捨てる程あります。実際、年間何万と出ているのではないでしょうか。そういったものを上手く総合してやるということで、それでいくとテレビと同じで広告収入で儲けるという話ですね。売れるマンガがどれだけ出来るか。全てのマンガ雑誌というのは、マーケットを見に行ったら分かりますが、よく世論調査をし、売れるか売れないか調査をよくしています。広告でやっているのではありませんから、そういったものを選んでやっているのだと思います。内容を見たことがないので知りませんが、良いマンガが出来るなら良いのではないでしょうか。
(問)結構人気の漫画家が描いているようなのですが、普通の青年誌のような体裁でちゃんとしているという印象でした。売っていてもおかしくはありません。
(外務大臣)マンガを商売、生業としているわけではないので、生業の方はそちらで考えてください。
(問)政治資金の事務諸費の件ですが、経常経費について領収書の添付義務付け等、法改正の必要性があるとお考えでしょうか。
(外務大臣)これに関して私は浦島太郎なので内容をよく知りません。新聞を読んだこともないし、内容をよく知らないので迂闊に答弁しきれません。
(問)日銀が今週の政策決定会合で追加利上げを結構するという観測になっていますが、今の経済状況の中で追加利上げすることをどう思われますか。
(外務大臣)所管外なので答えにくいです。意見はありますが、こういう公式な席で答えるような話ではありません。
(問)昨日、谷垣前財務大臣が麻生大臣と話をした時のことを紹介しまして、「安倍氏と組んでいる私と組もうではないか。その代わり、次の総理は私にしてくれ」という話なのですが、大臣はそういう話をした覚えはありますでしょうか。
(外務大臣)だいぶ前の話だから忘れました。その時、答をもらっていないと思うのですが、その答をせずして全然別の所でその話をしたというのが本当なら、マナーとしては如何なものかと思います。こちらに対する返事はもらっていない。本当なら、普通ではちょっと考えられないことです。
(外務大臣)明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしく。
閣議では、交通事故の死者数が6350人で、平成17年を519人下回りました。数は減っていますが、更に交通事故死者数を5500人まで下げたいということです。同じく、国家公安委員長より、昨年の交通事故死者数は51年振りに6000人台前半まで減少したという話がありました。中国訪問について金融担当大臣より発言がありました。閣僚懇談会では特にありませんでした。
(外務大臣)1月9日から15日までルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、スロバキアの中・東欧4カ国を外務大臣として訪問したいと考えております。御存知のようにルーマニアとブルガリアは今年1月1日からEUの正式加盟が実現したところですし、スロバキアは、スロバキア、ハンガリー、ポーランド、チェコのV4(ヴィシェグラード4)の現在の議長国でありますので訪問したいと考えております。昨年、「自由と繁栄の弧」を述べましたが、この方針を具現化していくという意味において、スロバキアがこのV4の中のキーということになり、今、議長国でもありますので訪問し、安倍総理の訪欧と相俟って欧州との関係をきちんとしたいと思っています。ちなみに、日本の外相としてはスロバキアへの訪問は初めてで、ハンガリーへの訪問は河野外務大臣以来12年振り、ルーマニアとブルガリアには安倍外務大臣以来24年振りということになると思います。いずれにしても東西冷戦の対決が終わってかれこれ16年を迎えつつあり、今色々変化しつつあるこういった国々の中において、「自由と繁栄の弧」というものを作っていきたいということです。今からこういった諸国は、終わりのないマラソンを走るわけですが、そういったものの手伝いができればと思っています。
(問)外遊で中・東欧を回られ、「自由と繁栄の弧」というものをアピールする機会になると思いますが、具体的にどういう形でスローガンを実際の行動に移すのでしょうか。
(外務大臣)これは実際詰めていかなければいけないと思います。例えば、今、アフガニスタンで色々言っているが、結論として向こうが一番欲しいのは南の「リングロード」で、最大の関心というわけです。そんなことより別の所の話ではないのですかと我々は思いましたが、「いや、これが絶対だ。」と、誰に聞いても「絶対だ。」というものですから、ではそれでやりましょうとそこに行ったら、危なくて仕方がなくて引き受け手がいませんということになる。随意契約するとまた新聞に言われますから、やりたいところはどうぞ、やりたいところは行ってくださいよと言っても出てこない。やれるところは出て来て下さいと言ったら、向こうがこれならやりますというところが出て来たので、そこがやることになるというのが一つの例です。
例えば、「中央アジア+1(日本)」はかなり定期的になりつつありますが、これもこちらが思っている話と向こうが決める優先順位がかなり違います。こちらじゃないですかと言っても、いやこっちはこうですと言うが、時間をかけて話し合っていくと、やっぱり日本の方がいいということになる。アイディアは向こうもありませんし、こちらも現場を全部分かっているわけではありませんから、そういう詰めを色々していく手間をかけなくてはいけないところです。
「中央アジア+1」と同じようにV4との話もまとめて「V4+1」でやってみるとか、色々そういった話からやっていかなくてはいけないと思っています。従って我々も、これがいい、これがベストだと押し付けるつもりはありません。ただ、日本という国と付き合ったアジアの国を見れば、日本と上手く付き合った国は皆経済的には発展したというのがこの50年間の歴史ではないでしょうか。日本のやり方やシステムと相手国の長い歴史、伝統を上手く調和させていくということが最も大事なのだと私はそう思います。それぞれの国には歴史や伝統がありますから、合う合わないというのは出てくると思いますから、そこの所は丁寧にやっていかなくてはいけないところだと思います。
(問)新聞の報道で、朝鮮半島有事を念頭に、日米が共同作戦計画の検討に入ったとありますが、その事実関係あるいは進捗状況について教えてください。
(外務大臣)その記事を読んでいないので詳しくは知りませんが、今言われたような半島有事について言わせて頂くと、昨年の「2+2」やその前から基本的には相互協力計画というものがずっとありますから、それに沿って色々朝鮮半島が有事ということになった場合に、在留邦人約2万人と観光客をどうするかということは前から考えています。その進捗状況を申し上げることは、事柄の性格上出来ませんが、そういうことを検討しているのは当然の事だと思います。
(問)朝鮮半島で有事が起きた場合、北朝鮮から日本に難民が10万から15万来ると日本政府が予測しているという報道があるのですが、大臣は情報をお持ちですか。
(外務大臣)在留邦人をこちらに連れ戻すという手段は、米軍や全ての民間の船、ボート、何でも使って逃がすことを考えなければいけないというのは当然なのでしょうが、同時に難民が入ってくることも当然予想されます。しかもそれが武装難民の可能性も極めて高いと思っておかなくてはいけないので、それをどうしていくべきかということについては、事態対処専門委員会等々で色々検討しているのだろうと思います。その内容について今詳しく述べる立場にありません。
(問)久間防衛庁長官が、普天間移設問題に関して辺野古崎に建設されるV字滑走路について、1本でも予算的な話からもいいではないかという趣旨の発言をしましたが、これについて特に政府内で検討はしていないのでしょうか。
(外務大臣)政府内で特に検討していたり、外務省と摺り合わせた上で検討しているということはありません。外務省としては「2+2」で決めてありますので、その方向に沿ってやりたいというのが基本です。地元では頭越しに決まった等々、新聞によれば、色々ご意見があるということですが、地元が納得される案、浅瀬であればよろしいのですか、こちらは応じる態度はありますということを多分久間長官は言っているのでしょう。「応じる態度があるなら応じてください。その代わり忘れてはいけないのは、10年前に似たような事を言って出来なかったのですから、どれにするのですか」と。こちらは「V字案」が一番良いと思って言っている訳ですが、地元の皆さんは沖合が良いと言っている。10年前も沖合だったのですから、今回は沖合でよろしいのですかと確認しているのだと思います。久間長官の話を理解するにはよっぽど優秀でないと、あの禅問答に付いていくにはかなりの能力が要求されます。だからその辺が理解出来ないと難しいと思います。ただ、長い付き合いから言ったら、「当たり前やないか、出来もせんこと言うても向こうは反対しとるやないか。向こうが言うとるっちゃから、それでええならええばい。要は出来りゃあ、ええんちゃう」と、彼の発想なら多分そうなのではないかと想像はつきます。想像はつきますが、この件について直接話したことはありませんから何とも言えません。要は出来る為にはどうすれば良いのかという案を言っている、向こうの方から聞いているのだと私にはそう見えました。
(問)米国側のこれについての反応は。
(外務大臣)決まった話をまたひっくり返すのですか、という話になるでしょう。
(問)米国のABC放送が北朝鮮が新たな核実験をする可能性があると報道していますが、大臣は情報をお持ちでしょうか。
(外務大臣)去年ぐらいからあった話だと思いますが、それが今、具体的に更に大きな進展があったという話は聞いていません。
(問)切迫した状況でしょうか。
(外務大臣)そうとは言えないのではないでしょうか。
(問)北方領土問題についてお聞きします。ロシア外務次官が昨年の11月公明党の太田代表との会談で、北方領土問題の面積折半方式について言及したと伺っています。これは大臣の昨年12月の衆院外務委員会での答弁とも少し呼応するようなものなのかと受けとめており、改めて大臣の受けとめと今後の双方受け入れ可能な解決策の中に、この方式が選択肢の一つとして入っていくのかも含めて対処方針についてお伺いします。
(外務大臣)前原誠二議員の質問で、北方四島に関して二島返還だ、四島返還だという色々な意見があるが、二島ずつなら面積比でいくと全く意味が違うがその面積比がどれくらいか知っているのかと、面積を正当に割ると三島プラス択捉島の24%ぐらいで丁度半分になるのではないですか、それが正確な数字ですという話をしました。後は皆さんが作った捏造記事ですから。
「麻生大臣が提案」と言われたが、あれは単に質問に答弁しただけであって、「知っているか。」というから「知ってます。」と答えたら、いきなり「提案」となった。それが波及しているのかもしれませんが、私の色々な考え方として、色々な国と国境問題を抱えていたソ連もしくはロシアが、それらの問題を解決したこれまでの経緯等々を考えなければいけないと思います。双方で納得出来る案というのは、この国とはこうやって納得したのではありませんか、という色々な例をよく調べた上でないと話はなかなか出来ないということだと思います。何れもこれは事務的な話ではなく、政治決着以外方法はないと思います。