(外務大臣)閣議では、規制改革・民間開放推進会議の最終答申について発言がありました。今後の規制改革の進め方について総理から。防衛庁の省への昇格に伴い、一連の省庁関連法案の施行等々についての話が久間防衛庁長官からありました。労働力調査の結果、完全失業率は前月比0.1ポイント低下で4.0%。11月の消費者物価数の確定値は0.3%上昇。食品とエネルギーを除いた指数が0.2%の下落。有効求人倍率は1.06倍で前月と同じです。マネーロンダリングの法の改正について、国際的な要請を受けて10万円超の現金送金を行う際の本人確認の話がありました。再チャレンジ支援総合プランのとりまとめについて山本担当大臣から、女性再チャレンジ支援プランの改訂について、高市担当大臣から話がありました。平成19年度少子化社会対策について、子育て社会の構築に向けての話がありました。私からは、フィリピンのルソン島の泥流被害、洪水被害に対する支援の話をしました。ODA白書を出したので、その見解を外務省として述べ、資料を二つ添付しました。これは浅野副大臣が行ったタイとラオス国境のメコン川上流に架かった橋の写真ですが、ラオスが記念切手を発行しました。日本のODAで出来たということで日本の国旗が入っています。こちらはお札ですが、日本が作った橋の写真が裏に入っています。これは円借款ですのでお金は返ってきます。きちんとこういったことが形として出来ているという効果の話をしました。
(問)小泉内閣から引き続き外務大臣をされている麻生大臣から見て、この安倍内閣の3カ月間を振り返ってどう評価されますか。また、最近支持率が低下していますがその要因はどこにあると思われますか。
(外務大臣)閣内にいる方は批評される側であり、する側はそちらであって、される側がする話ではありませんので、最初の質問には答えようがありません。支持率低下の要因についてですが、総理に以前申し上げましたが、岸内閣、その前の吉田内閣の頃には世論調査や支持率調査というものはありませんでした。もしあったら、多分、森内閣より低かったと思います。本人に面と向かってそう申し上げました。逆に松岡洋右の支持率はものすごく高かったと思います。しかし、歴史はどちらを評価しているかというと答は明らかですから、支持率はあまり気にされない方が良いという話はしました。そういう人間なので、支持率を分析するということは全く私の興味の外ですから、答えようがありません。
(問)年明けに外遊を調整されていると思いますが、現段階で調整はどれぐらい進んでいますか。
(外務大臣)「自由と繁栄の弧」と言いましたので、西ヨーロッパとソ連との間の国々、ブルガリア、ルーマニア、スロバキア等、色々挙がってはいますが、先方の都合もありますので、調整をしていかなければいけないと思っています。最初、米国とも思いましたが、「2+2」の防衛庁、外務省、先方との都合がなかなか合わなかったので、1月は無理かなと思っています。
(問)この時期に「自由と繁栄の弧」の国々に行く意義は何でしょうか。
(外務大臣)言葉で言うだけでなく、ちゃんとそれに対応して実行していくというのが大切なのではないでしょうか。
(問)1月の「2+2」が難しいということですが、次はいつ頃を目指してやりたいというお考えでしょうか。
(外務大臣)米軍再編の話やら何やらありますし、この間沖縄との第2回協議会、新知事になってからは初めての会合が行われました。そういったことも含めて早い方が良いと思いますが、現実問題として予算が始まるから2月の最初の連休にしか2月中は時間の取りようがないと思います。カレンダーを見ただけの話なので、先方や防衛庁の都合があると思います。
(問)「自由と繁栄の弧」は大臣がご自分で発表されましたが、この構想について安倍総理はどのようなお考えを示されたのでしょうか。
(外務大臣)感想を聞くのはあなたの仕事であって私の仕事ではありません。基本的には安倍総理と予め「自由と繁栄の弧」についてかくかくしかじかと話を詰めた訳ではありません。従って、感想についてどうですかと聞いたことはありません。もし何かおありでしたら何か出てくるでしょう。基本的にはそんなにずれているはずはありませんから、別に聞いたことはありません。
良いお年をどうぞ。
(外務大臣)財務大臣との大臣折衝が終えましたので内容を報告します。外交力強化の為の定員と機構の増強をお願いしています。定員につきましては、定員枠いっぱいの純増32人を認めていただきました。他省庁からの出向であるアタッシェ19人と合わせて51人の純増です。また、在外公館の現地職員、所謂専門職等々100人の純増を認めていただきました。両者合わせて151人の実質的なマンパワーの増強ということが確保できたと思っています。機構につきましては、6大使館の新設が認められています。地域的にアフリカのマラウイ、ボツワナ、マリ、ヨーロッパのリトアニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、大洋州のミクロネシアの6カ所です。このうち、リトアニア等の3大使館につきましては、当面、規模を一定以下に抑える「コンパクト大使館」にする工夫をしています。また、外交力強化関連の経費の復活が認められた結果、最終的に外務省所管の19年度当初予算総額は6709億円ということになります。今般の結果は、私共としては自民党、公明党の方から10年間で定員2000人増、在外公館150大使館等の後押しを頂いたことに対する第一歩ということであると思います。その意味では完全とは言えませんが、私共としては大きな着実な一歩であると評価しています。来年度以降につきましても、財務省等と査定をする人達と協議を続けて、外交力の強化というものにつきまして、今後とも邁進していきたいと思っています。
(問)ODA予算についてお聞きします。当初で4%節減、その部分、それを上回って、補正では上積みはあるのですが、こうした予算編成の在り方について大臣はどのようにお考えですか。
(外務大臣)色々言い方はあるのだと思いますが、補正で毎回毎回補ってというやり方というものが良いかと言われれば、当初からきちんとされていた方が良いと思います。しかし今回のように、皆、マイナス2%から4%という黒三角が挙がってきている中にあって、外務省だけゼロというわけには行かないでしょうから、マイナス4%で収めるという形にするという「枝振り」としてはわからないでもないと思います。私共としては実質面で補正予算を付けていただいているので、そういったものでODAが4%減った分を埋めていくということになろうと思います。また、埋めた分に加え350億円というものがプラスになっていると思いますが、それは例の青年交流の話が別に350億円と挙がっています。あれは5年間で350億円ですから、5で割ると年間70億。つまり510億円足す70億円というのが実質として、挙げるべき数字だと思います。書き方としては、ああいう書き方になると理解しておいてもらえると、マイナス4%ではあるが350億円乗ったような形に見えます。実質は350億円を5年間で割って70億円が付いたというのが正確な書き方だと思います。
(問)六者会合ですが、北朝鮮の対応が強硬ということもあって目立った成果がないままに終わる可能性があると思われますが、その場合の日本政府の対応というのはどうなるのでしょうか。
(外務大臣)中国の仲介で六者会合が再開することになり、中国はそれなりに北朝鮮との妥協や提案を期待し、また期待できると思ったから中国としては仲介の労を執ったのだと思います。そうしたらそうではなかったという話で、中国にしてみたら、米国、日本、韓国等の皆から話が違うではないかという話になり、中国としてはあまりおもしろくはなく、なんとなく恥をかかされた形になっているとは思います。しかし、これは交渉ですから、向こうとしては降りないと。降りないというのは核をどうしてもという話と金融の話ですから。金融の話と裁1718号とは別の話ですから。金融は別というのは間違っていないと思います。それだけ別に話をするという形になると思ってなかったのではないでしょうか。成果としてはそういう形で、中国としては目論んでおられたであろう流れとは違ったし、また、日、米、韓、いずれも期待しているものとはかなり違っていると思います。今日一日でどうなるかはわかりませんけれども。
(外務大臣)経済対策閣僚会議では、「平成19年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」が原案通り通りました。実質経済成長率2.0%、名目経済成長率2.2%になると見込まれているとあります。名目経済成長率が実質経済成長率を上回ったのは大きな変化だと思います。
閣議では、大田経済財政担当大臣から財政運営、経済見通しの報告がありました。菅総務大臣から「平成18年度版消防白書」の話がありました。塩崎官房長官から法令の外国語訳の話があり、同じく長勢法務大臣から法令の外国語訳推進について各省庁に求めました。これは意外と大事なことで、各省の法令というのはほとんど日本語で書かれているもののみで、外務省の文書でも全部が全部外国語訳になっているわけではありません。今、カンボジアでクメール・ルージュの裁判をしていると思いますが、このクメール・ルージュの裁判官には日本人もいます。ここには法務省から何人か法律というものを教えるために人を出しています。刑事訴訟法や刑法といった法律を日本のもので教えるということは大きなことで、そういう法律ができるとその国の法律と日本の法律は同じということになりますので、色々な意味で大きな意義があります。ですが、例えば、ヨーロッパでは商法は英米法。EUでも商法に関係することを学ぼうと思う人は、必ずケンブリッジかオックスフォードに行きます。商法関係者が皆ここに行くということは、即ち英米法が商法の基になるという話で、非常に大きいことだと思いますので、是非という話を私の方からも言いました。伊吹文部科学大臣からH-IIAロケット11号機打ち上げの話があり、これは過去最大のロケットであり、これでH-IIAロケット全ての形態の技術が終わったということになったのだと思います。同じ内容で連続5回の打ち上げ成功という話が科学技術担当大臣からありました。甘利経済産業大臣から中国出張の報告がありました。
閣僚懇談会では教育基本法について伊吹文部科学大臣から、60年ぶりに教育基本法が改正され、子供の教育は家庭に一義的な責任があるなど色々明記してありますが、非常に大事なことだと思っています。北方四島の視察について担当大臣から話がありました。
(問)六者会合が始まり、北朝鮮は核保有国としての立場を強調し、強硬姿勢をとっていますが、北朝鮮の基調発言を聞き、大臣はどう思われましたか。
(外務大臣)想定の範囲内です。最初ですからそういったことを主張するであろうと、各国が予想していたと思います。去年の11月9日から3日間六者会合が行われましたが途中で終わっていますので、今回は第5回六者会合の第2セッションという位置づけになっているのだと思います。前回と違うのは、核を保有させないための六者会合というのが本来の位置づけだったのに、それ以後に核実験を行っているので、前提条件が大きく変わり、状況が変わったものとして臨んでいるということです。核保有国として北朝鮮を認めることはしないということに関しては、他の五者の意見は一致しているということだと思います。
(問)協議が再開されたということは、議長国の中国が何らかの進展も期待しつつ再開したのだと思いますが、その鍵になる今後の動きはどういう点でしょうか。
(外務大臣)議長国として、中国が一番色々な意味で北朝鮮に対して影響力があると言われていますので、その中国が議長の間に核実験まで進んでいますから、そういった意味では、中国としては北朝鮮に対して、国際世論、国連決議1718号、米国、日本、韓国等々の対応というものをきちんと伝えた上で、北朝鮮に譲歩というものをさせていくという立場に、議長国として話をまとめなくてはいけません。どういうものが北朝鮮に対して意味があるかということに関しては、各国の発言内容や考えている内容を今この段階で言う訳にはいきません。
(問)昨日予定されていた金融政策を巡る米朝協議が延期され、本日行われるようですが、これは一つの大きなポイントになりますか。
(外務大臣)北朝鮮側の期待としては、米国の北朝鮮に対する敵視政策を何とかしろとか、金融制裁を止めろとか、国連の制裁決議を解除しろとか、色々な話の裏には米国の操縦があると思いこんでいます。そういった意味では米朝会談というものでということだと思います。米国に今その気があるかと言えば、核放棄が先という話だと思います。これは米国に限らず、その点に関しては他の国もほぼ同様です。
(問)北朝鮮が昨日と同じような発言で変わらない状況が続いた場合、早めに協議を打ち切る可能性はあるのでしょうか。
(外務大臣)それはゼロではないでしょう。会議の流れですから、何とも言えませんがそれはゼロではありません。こちらは制裁がそのまま続くだけのことです。制裁決議ができて実行に移されていなければ色々あるでしょうが、制裁はそのまま継続していきますから。
(問)本間政府税調会長が官舎に住んでいたという問題と、妻以外の愛人と住んでいたという問題で、政府与党内から辞任を求める声が出ていますが、大臣の受け止めをお聞かせください。
(外務大臣)あまり常識的な話ではありません。官舎に住むのは、大阪にいる人に東京での政府の税調をお願いするのだから、宿舎やら何やらを色々考えるというのは別にどうということはないと思いますが、そこに奥さん以外の女性と一緒にという話は、週刊誌レベルの話で、私は現場を見たことがない話や新聞記者だけの話は信用したことがないので本当かどうかはわかりません。それが噂通りだとするならば常識的な話ではありません。
(外務大臣)閣議では、平成19年度及び平成18年度補正予算編成について官房長官から話がありました。12月19日に経済見通しについての閣議、20日に平成19年度予算の財務省原案及び平成18年度補正予算の概算についての閣議、24日に平成19年度予算概算についての閣議の予定で、今後作業を進めていくという話になっています。甘利経済産業大臣からIEA事務局長選挙の結果についての話があり、同じく私の方からこれについての御礼を述べました。閣僚懇談会では高市少子化・男女共同参画担当大臣から、キャリア教育の推進会議の設置が決まるという話がありました。
(問)おとといの外務委員会で、北方四島の面積を半分にするという考えを大臣は述べていましたが、どういった真意で発言されたのでしょうか。
(外務大臣)新聞を読み返してみましたが、北方四島の面積について前原民主党前代表から問われ、それに対してお答えしました。北方領土について二島返答と言うがその面積を知っているのか、二島と四島の面積の差を知っているのかという質問だったので、択捉島の20%ぐらいまでにしないと丁度半分にならないと答えたのが事実で、読み返してみてもそれしか書いていません。新聞で報じられているように、政府部内で面積割りでやると具体的に検討されている事実は一切ありません。
安倍政権の中で、ロシアというのは隣国であり大事な国である。日露関係の発展が今後両国にもたらす潜在的な可能性というのは極めて大であると認識しています。11月にハノイで行われた日露首脳会談でも、両首脳が引き続き「日露行動計画」を基礎として、幅広い分野で協力を進めていくということで、両国間に「共通の戦略的利益に基づくパートナーシップ」を構築していくということで一致しています。
何れにしても、北方領土問題というのはこれまで長い時間をかけて、色々な合意や文書がありますので、両国双方が共に受け入れられるような解決策というのを見出していく必要がありますので、引き続き真剣な交渉を行っていく考えであるということは一貫して変わらないところです。
何れにしても、交渉事というのは相手のある話ですから、個々の解決策についてコメントすることは一切ありません。
(問)同じ委員会で、大臣の意欲として、プーチン露大統領の在任中にという発言もあり、かなり意欲を示されたと思うのですが、その辺りの道筋はどうお考えですか。
(外務大臣)私はプーチン大統領の会談には2回ぐらいしか出たことはありませんが、これまでのプーチン大統領と日本の総理との会合の中で北方領土問題に触れた時の話だけを読んでみても、明らかにプーチン大統領は解決をして日露関係をきちんとしたものにすべきだという意欲が極めてはっきりしているということだけは私も感じるところです。
ブレジネフ書記長の時以来、このプーチン大統領に辿り着くまで、エリツィン大統領の時に一回可能性はあったと記憶していますが、このプーチン大統領のように国内においてかなり強いリーダーシップがあり、政治基盤がしっかりしているという人の時でないと、この種の問題は解決しにくいと思っています。従って、プーチン大統領在任中にやれる方がより現実的ではないかと思います。最後は政治決断にならざるを得ないと思っていますから、プーチン大統領の判断、決断というのは大きい。その後、ロシアの政治情勢がどうなっていくか分からないし、弱々しいものになるかもしれないし、今、プーチン政権がしっかりしている間にやった方がいいのではないかと、これまでの流れを読むとそういう感じがします。
(外務大臣)私の方からASEAN閣僚会議の報告をしました。
(問)18日から再開される六者会合ですが、作業部会を作る形で話を進めていくのでしょうか。
(外務大臣)これから具体的なところをどうやって詰めるかということになれば、うちの方は局長をそこにずっと貼り付ける訳にはいきませんから、担当者をやらなければいけないと思います。ただ、うちは幾つ部会があっても担当者を出せると思いますが、北朝鮮側にはそういったことをできるだけの人がいるのでしょうか。そこのところはよく分かりません。過去の経緯を見ると、3つに分けても担当者は一人ということがありましたので、そこのところはよく分かりません。
(問)拉致問題を含めた日朝の課題というのは、日朝国交正常化交渉の作業部会のようなもので議論していく形ですか。
(外務大臣)現実的にその部会ができるということになれば、そうでしょうね。
(問)六者会合で求めなければいけない具体的な成果ですが、IAEAの査察の受入というのはなかなか難しいのではないかという見方もあるのですが、政府としては最低条件として譲れないということに変わりはないですか。
(外務大臣)一つの現実問題として、核施設を放棄した、もしくは止めたという話の保証を取れる方法がIAEA以外にあるのでしょうか。それがないと、こちらとしても「止めました」という話をすんなり信用する訳にはいかないと思います。
(問)派閥の話ですが、麻生大臣が今所属している河野グループを解散する形で、新しい派閥を年内に立ち上げるという報道もありますが、そういう方向で今準備しているのでしょうか。
(外務大臣)国会が終わらないとその種の話にはなかなか行かないと思います。
(問)新しい派閥を立ち上げる意味は。
(外務大臣)皆の希望でもありますし、全然別にという話でしたから、引き継ぐ部分もあるでしょうし、新しく入られる方もあるでしょうし、従来のああいう会では入りにくいという方もいるでしょうし、皆で集まりやすい方法を考えるということだと思います。
(1)日中関係の改善が順調に進んでいるということを双方で歓迎し、私の方から中国首脳の来春の訪日要請をしました。先方からは謝意が表明され、引き続き日程を調整することとなりました。外務大臣の相互訪問についても併せて引き続き調整していくこととなりました。
(2)経済関係閣僚会議の立ち上げに関しては、前向きに議論していくということで一致しました。
(3)歴史共同研究の第一回会合については、メンバー等が決まっていないところはありますが、12月26日、27日にかけて開催するということで一致しました。
(4)東シナ海の資源開発問題については、専門家協議を立ち上げるということになっていますので、これは法的な話とか技術的な話とか危機管理の話とか、専門家だけでも大きく分けて三種類ありますが、専門家協議を立ち上げるということで話をしました。
(5)国連改革に関しては、日本から常任理事国入りについての中国側の大局的な判断を要請し、中国側から今後とも協議していきたいという話が出ました。
(6)酸性雨及び黄砂のモニタリングの話については、結構深刻な話であり、先週若林環境大臣からこの問題についての協議がなされていると思いますが、日本側からこの問題について取り組んでいくという話をしました。
(7)日中文化・スポーツ協力について、人事交流を含めて今年は日本に中国から高校生が850人、日本から中国へ200人、合計1050人の高校生の交流が行われていますが、これを継続するということで話をしました。日中文化・スポーツ交流年の実行委員長を、経団連の御手洗会長に引き受けていただいていますので、中国側に対応を要請したところです。
(8)また、中国側から台湾についての話があり、これに対して日本の立場は従来どおり変わりないという話をしました。
(9)北朝鮮の六者会合については、協議の再開に向けて中国が色々努力をしていることに対して感謝をすると同時に、日本側としてはアメリカも北朝鮮も、なんとか話をしようかなというところまで来つつある感じがしますので、日程の調整を進めていくこととなりました。一部に日程が決まったという報道がありますが、日程が正式に決まったわけではありません。
(10)拉致問題については、日本にとり解決することが重要であるので、この問題については六者会合の他に日朝間で色々会談をしていく必要があると思い、中国側の協力を要請し、理解が得られました。
(問)六者会合に関してですが、具体的な日程は決まりましたか。
(外務大臣)日程はまだ詰まっていません。
(問)年内でしょうか。
(外務大臣)年内に再開したいと思っています。ただし、マスコミの関心は会合が開かれるということにあるようですが、私どもは会合の中身のほうに興味があります。
(問)再開された場合、日本としてはどのような成果を求めていくのでしょうか。
(外務大臣)日本としては、核の話で言えば、例えば先方が核を保有していないと言ったとしても、それを鵜呑みにするのは愚かであり、本当に先方の発言内容が正確であるのか確認するにはIAEAの査察受け入れが必要であるということをずっと言い続けてきましたが、そういったところが一つの方向であろうと思っています。
(問)北朝鮮側にはどういった対応を望みますか。
(外務大臣)核の放棄です。
(問)日豪EPAについてですが、報告書は了承したのでしょうか。
(外務大臣)最終報告書が出されたということについて、この線で総理の方に諮るというところで合意です。
(問)交渉開始の方針が固まったわけではないのですか。
(外務大臣)最終的には総理の決裁です。
(問)農業分野等で色々懸念があると思うのですが、その辺は払拭できそうですか。
(外務大臣)その懸念について農林水産部会等々の御理解を得たところまでは来たと思いますが、これが交渉のスタートで、それから先の交渉がどうまとまるかはまた別の話です。
(問)そろそろASEANに向けて出発となりますが、どのような成果を期待していますか。
(外務大臣)日豪EPAもあるでしょうし色々あろうとは思いますが、相手がある話ですから迂闊には言えません。
(外務大臣)スーダンに対して総額3000万ドルの緊急無償資金協力を行うこととしました。
(問)六者会合ですが、北京での事前協議も終わり、昨日、ヒル国務次官補と佐々江大洋州局長も成田空港で協議しましたが、北朝鮮との隔たりを埋める糸口はあるのでしょうか。
(外務大臣)北朝鮮の対応次第でしょうが、北朝鮮に対しては、日本、米国、韓国、中国等々がAPECで話した内容の説明をヒル次官補から行い、先方はそれを持ち帰って検討するというのが現状です。従ってそれに対してどう返事をしてくるかは向こう次第です。
(問)日本等は、具体的な成果が北朝鮮の回答には必要だという立場だと思いますが、北朝鮮にボールがあってそれを返された時、それが具体的な成果と言えない場合は、制裁措置等を更に強めることはあるのでしょうか。
(外務大臣)米国の場合を見ていると、総じて制裁強化の流れが国務省の中には多いと思います。ヒル次官補辺りは逆に交渉を重視している。ライス米国務長官もそう見えますが、長官、次官の他にも強硬派はかなり多いという感じはします。
(問)米国の金融政策のハードルが下がるということはないのでしょうか。
(外務大臣)北朝鮮が交渉に応じてこない限り、上がることはあっても下がることは常識的に考えられないと思います。
(問)北朝鮮の回答について期限は付けているのでしょうか。
(外務大臣)期限は別につけていません。ただ、早くしないとどんどん強硬派の意見が強まってくるということにはなるかも知れません。
(問)年内の六者会合開催の見通しは如何でしょうか。
(外務大臣)以前から言っているようにその可能性を否定はしませんし、あるともないとも言えません。ただ、問題は協議の開催より中身であり、開催は別にしなくても、中身が決着すればそれでいいので、私共としては中身を最も重視している立場にあります。
(問)年内開催の見通しは消えていないということですか。
(外務大臣)消えてはいないでしょう。北朝鮮が持ち帰ってどう反応してくるかだと思います。