(外務大臣)スリランカ被災民を対象に、今、御存知のような状況ですので、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の人道救援活動に協力するため国際平和協力法に基づいて、1万人分の救援物資、スリーピング・バッグ、ビニールシート等々を供与することを閣議決定しました。
(外務大臣)スリランカの被災民に対する物資の協力について官房長官から発言がありました。テロ対策特措法に基づく対応処置に関して、1年間延長する改正案について官房副長官からありました。同じくテロ対策特措法に基づく基本計画の変更について久間防衛庁長官と私から話をしました。菅総務大臣からは労働力調査の結果及び家計調査報告について。完全失業率は季節調整値で4.2、前月に比べて0.1ポイントの上昇ということになっています。有効求人倍率について柳沢厚生労働大臣から、0.3%減少、季節調整値では0.1の増加になっていると話がありました。平成18年度児童虐待防止推進月間について厚生労働大臣から。青少年健全育成月間について高市担当大臣から発言がありました。
(問)北朝鮮の安保理制裁決議から2週間ちょっと経ちましたが、各国の取り組み状況をどうご覧になっていますか。
(外務大臣)これについては、今、制裁委員会というのが国連の中に出来ていますが、北朝鮮への供給、販売、移転等々の規制の対象となるもの、所謂大量破壊兵器等々の関連物資のリストアップの検討が順次進行しています。いずれにしても11月14日までには、この国連安保理決議第1718号に基づいて30日以内に自国が何をしたかということを申告しなくてはならないことになろうと思いますので、それに合わせて皆各国で行っていくということで、米国ともその点についてはその内容の調査を進めているという状況です。貨物検査(Inspection of Cargo)に関しましても、その中の一つです。
(問)国際社会の一致した取り組みが必要だということですか。
(外務大臣)そうですね。今、進んでいるのではないでしょうか。特に中国も同様の方向にことが進んでいるように思います。
(問)30日以内に報告するまでに日本として貨物検査の取り決めについて日米で何らかの協力態勢を取るのでしょうか。
(外務大臣)この間、ジョセフ米国務次官が来日して、韓国等と一緒に行動を共にしていますが、日本の外務省の者と内容の細目について色々目下検討中というところだと思います。
(問)その時に30日以内という期限については。
(外務大臣)別にこだわっているわけではありません。そこまで、何をしているかという経過を報告するということだと思います。
(問)9月に中国が北朝鮮の石油を供給を止めていたという報道があったと思うのですが、これについての評価、影響、中国の態度というものはどのようにお考えですか。
(外務大臣)よく分かりません。それが本当かどうかも含めて、確認が取れている訳ではありません。
(問)六者協議についての確認なのですが、北朝鮮が復帰するに当たっては無条件で早期にと仰っていたと思うのですが、残りの5カ国側も無条件で受け入れると、北朝鮮が戻ると言えば受け入れるということでよろしいのでしょうか。
(外務大臣)基本的にはロシア、中国を含めて5カ国とも北朝鮮が核保有国という前提で受け入れるつもりはない。所謂無条件というものの中には一連の話が付いていますから、あの話の通り核保有国としてではなくというのが大前提で、それに関しては5カ国とも足並みは揃っています。
(問)国連の安保理改革ですが、来年の総会に向けてまた常任理事国入りを目指すと思うのですが、今年で非常任理事国が終わりますが、それから外れた時の日本政府の北朝鮮への対応はどう変わってくるのでしょうか。
(外務大臣)非常任理事国15カ国から外れると対応は大違い。今回は安保理議長国でしたので。北朝鮮へのミサイルの制裁決議案の時は勿論安保理のメンバーだった訳ですが、核の時の制裁が6日間でぱっと出来るというのはこれは議長国というのが大きく影響したのだと思います。その意味では安保理のメンバーから外れるというのは、これからの行動は隔靴掻痒というかワンテンポ遅れるというか、間接的なことにならざるを得ませんから、そういった意味では来年以降の対応は今回みたいな対応にはなりにくいと思います。
(問)常任理事国入りに向けて、一昨年からG4案を追求した結果、何か提案については考えているのか。
(外務大臣)今全然別の案を作っています。前回と同じ案でやっても難しいと思いますので、こういった案をどのような案で作るかを米国を含めて色々なところと合意を得るべく、色々なやり方を考えていかなければなりません。新しい案を考える。日本の話ですが、日本だけで案を出すという訳にはいかない訳で、そういったことも含めて各国と協議をしなくてはならず、色々やっています。
(外務大臣)今朝、国連で核軍縮決議案が169対3、北朝鮮、米国、インドの三カ国のみの反対で、圧倒的多数で可決されました。
(外務大臣)香港の船が尖閣諸島に向かっているという話がありますが、接続水域24海里の所に入ってきています。前から分かっていましたので、海上保安庁の船を出して領海内に入らないようにと対応しています。
(問)その香港の船を領海に入れないように海上保安庁で対処するということですか。
(外務大臣)本来歴史的に見ても日本固有の領土ですから、はっきりしています。
(問)北朝鮮の核実験ですが、今日、政府として正式に核実験だったと確認するのでしょうか。
(外務大臣)どうでしょうか。今日、会議するということは知っていますが、どう決定するかはまだ聞いていません。
(問)正式に確認していないのは日本だけだと思うのですが、正式に確認した段階で政府として新しい措置は取られるのでしょうか。
(外務大臣)その段階で改めて急に出すということはありません。
(問)一部報道で金正日・北朝鮮総書記が六者協議等の復帰の条件として、米国が金融制裁を止めると保証すればという話が出ていますが、事実関係として政府は把握しているのでしょうか。
(外務大臣)それは今回の話ではなく、ずっと前からしている話ではありませんか。
(問)政府としては無条件で六者協議に復帰することを求めていますが、北朝鮮側が金融制裁を止めることを保証すればと言ってきたことについての受けとめは如何でしょうか。
(外務大臣)それは条件ですから、無条件とは意味が違いますからそれは対象にはならないと思います。六者協議と金融制裁とは全然別の話であって、金融制裁というのは国内法に基づく処置ですから、六者協議とは関係ありません。
(問)今後、次の国際会合まで一ヶ月程ありますが、その間に日本としてはどのように北朝鮮に対応していくお考えでしょうか。
(外務大臣)今決められた国連安保理決議1718、それから日本で決めました入国禁止や入船禁止というのはきちんと決めたのだから、これをきちんと履行していきます。
(問)一部では北朝鮮を除く五カ国で、外相レベルあるいは首席代表レベルでの会合というような話も出ていますが。
(外務大臣)あの種の話は最近よく出ますが、もう少し裏を取ってやった方が良いですよ。
20日、麻生大臣は、日韓外相朝食会および盧武鉉大統領表敬終了後、10時55分頃より、ロッテホテルにてぶら下がりを行ったところ、概要以下のとおり。
(外務大臣)外相会談と大統領表敬の話です。潘基文長官とは今朝朝食会をさせて頂き、北朝鮮の問題と日韓関係について意見交換をしました。
長官が国連事務総長に就任されることに関し、日本の支持に感謝され、今後も事務総長として日本と緊密に協力していきたいとの話がありました。
北朝鮮については、昨晩の議論を踏まえて、日韓間の協力、連携をより一層緊密化することで合意しています。
拉致問題を取り上げたところ、国連事務総長として特別の関心を払いたい、できる限りの協力をしたいとの話がありました。
盧武鉉大統領との表敬では、先の総理の訪韓に次いで私が今回訪韓するなど、日韓関係で緊密な意見交換が行われていることは良いことであり、首脳会談で合意されたように、いわゆる相互理解と信頼に基づく未来志向の関係構築に向けて双方で努力したい旨、私から申し上げました。
大統領からも過去を忘れず、未来志向の関係を作っていきたいとの話がありました。
30分が1時間になりましたが、限られた時間で、今回の訪韓で日米韓のみならず、日韓外相会談と大統領表敬を行うことができ、安倍総理訪韓で生まれた機運を生かして日韓間で一層の緊密化に向けてお互いに努力していくことを確認できたことが、今回の訪韓で一番良かったことだと思います。
(問)大統領表敬では、北朝鮮問題でどのような話がありましたか。
(外務大臣)韓国にとっては、拡散の話より北朝鮮が核を持つことが極めて問題で、脅威であるとの、韓国の前からの主張につき今回改めて話がありました。今回の安保理決議1718号で制裁が決まりましたが、できる限りフォローしていかないといけないとの話がありました。
私から金剛山や開城の話などをしています。韓国は地続きですし、同胞ですし、色々な意味で、事情が違いますから、対応が異なるのは当然です。
日本としても、米国としても、圧力をかけるのでなく、韓国の自主性を尊重しなくてはいけないと、昨日、ライス長官と一緒に潘長官にも申し上げていると、大統領に話しました。ここは一番大事なところですので、韓国でできる範囲というのが我々には分らないところがありますから、その意味で、色々検討していきたいとご自身が言っておられました。
(問)北朝鮮問題について多くの時間が割かれたのでしょうか。
(外務大臣)そうです。最大の関心事であり、当然です。
(問)大統領から具体的な話はありましたか。
(外務大臣)昨晩の話で具体的な話をしましたので、特に改めて大統領から提案はありませんでした。
(問)先日の日韓首脳会談では、大統領から歴史認識でたくさん話があったように聞いていますが、今回は如何でしたか。
(外務大臣)総理の時と同じように、過去を忘れず、未来に向けて未来志向という話がありました。
19日、麻生大臣は、日米韓外相ワーキングディナー終了後、21時45分頃より、ロッテホテルにてぶら下がりを行ったところ、概要以下のとおり。
(外務大臣)パン長官とライス長官との会談を、7時30分頃から9時15分頃まで1時間45分行いました。
米国は、今回の会合において、ライス長官と話をした時と同じ様に、改めて北東アジアにおいて、日本および韓国に対して、いわゆる抑止力をすべての手段を含む防衛に関するコミットメントを確認しております。
われわれ三閣僚として、幾つかのことで話をしています。
北朝鮮による核保有また核実験は断じて認められないこと、2番目に北朝鮮が更なる事態の悪化を招く行動をとってはならない、それは2回目の核実験を含みます。3番目に北朝鮮が核兵器の廃棄に向けた具体的な動きというものを示して、直ちに六者協議に復帰すること、当然のこととして核保有国としての復帰を認めている訳でないことは大事なことです。全ての国連加盟国は安保理決議1718に基づく措置を実施する必要があることで一致しています。日米韓の緊密な連携は、北朝鮮問題を外交的に解決するにあたって不可欠。また今日の会合で日米韓で一致している姿勢を明確に示せたことは大変有意義であったと思います。今後とも関係閣僚を含めた様々なレベルでこの三カ国協議を行って問題解決に努力していきたいと思います。
この問題の他にも、日本としては拉致という問題が大きな問題としてあることにつき、米韓両国の理解を得ました。米国にはこの拉致の問題はありませんから。
(問)三カ国では意見の一致を見たということですが、五カ国、六カ国協議との情報がありますが、その見通しは。
(外務大臣)皆さんが作り上げた、明日中国に行くという話は、ありません。
(問)三カ国の合意を中国やロシアに広げていきたいという考えはありますか。どのような形で説得するのですか。
(外務大臣)それぞれの国が努力しているところですが、たとえば唐家セン特使が今日平壌から北京に戻り、ライス長官は北京に行かれますので、北京で、どういう話になったかというものに関し、正直我々は今情報を持っていないので、直接会って、その内容について連絡することになっているので、そういった動きを見ないと、今の段階で何時どうすると言える段階ではありません。
(問)近く五カ国あるいは六カ国外相会談を開くための調整を行っているという話がありますが、如何ですか。
(外務大臣)そのために唐家センは色々動いていると思いますし、われわれとしても早い方がいいと思います。問題は北朝鮮がその場にどういう対応してくるか今の段階でわかっていませんから、五カ国協議と六カ国協議では条件が違います。いずれにせよ、次に五カ国協議を行うには、APECが一番近いかな、という話が出たということです。
(問)唐家センが平壌に行って金正日に会ったという話で、今日の会議の中で、その評価はありましたか。
(外務大臣)中国として色々努力していることを評価するとの話はありました。
(問)日米韓の中で、韓国は今回の決議の共同提案国ですが、制裁に向けた動きの中で温度差は感じましたか。
(外務大臣)韓国は隣国ですし、同胞ですし、地政学的に見ても近くにありますから、利害もものすごく深いところですので、その意味から韓国の方が、我々のように日本海や太平洋を隔てているという国と違いますから、当然違いがあります。
(外務大臣)閣議では、8月8日に行われた人事院勧告に関して塩崎内閣官房長官から発言がありました。公務員給与の改訂に関する取扱について菅総務大臣から発言がありました。閣僚懇談会では北朝鮮による地下核実験の話を私から発言し、関連して塩崎官房長官からも国連安保理決議第1718号に対する我が国の対応についての話がありました。甘利経済産業大臣から中小企業対策の地域資源利用について、松岡農林水産大臣から農産物の輸出について、伊吹文部科学大臣から核物質の検出について、それぞれ話がありました。
(問)米国が北朝鮮の核実験を確認したと発表したのですが受け止めをお聞かせ下さい。
(外務大臣)17日未明、ネグロポンテ米国家情報長官が放射性物質が検出されたと発表しましたが、核実験の実施が、地震波と今回の米国の話で可能性は高まったとは考えています。しかし、CTBT等においては未だ未確認だと思っていますし、先程の文部科学大臣の話でも日本の領域の中で放射性物質が検出されたわけではありませんので、未だ日本としては正確に確認された訳ではないと思っています。
(問)爆発の規模が1キロトン未満であると発表されていますが、これは爆発がどういう状況にあると大臣は認識されているのでしょうか。
(外務大臣)ここから先は想像の域です。情報がある訳ではありませんから想像の域ですが、地震波の大きさから逆算して極めて小さい爆発と最初から言われていました。考えられることは3つ。一つ、極めて小さな核爆発に成功した。二つ、TNT火薬でやった。三つ、上手くいかなかった。最初の記者会見でも言ったと思いますが、この3つが考えられます。しかし、その後の北朝鮮を見ていると、成功したのなら成功した、成功した、ともう少しTVに出てくるアナウンサーが話すはずが、全然話さないから何となくおかしいなと思っていますが、CNNや韓国放送を見ていても同じような調子です。成功しているならもっと御祝い騒ぎになっていてもおかしくないと思いますので、それがそうではないとなると圧縮爆発の規模がもっと大きなものがそれほど上手くいかなかったということも考えられます。しかし、放射性物質が検出されたということはそれなりの爆発というものには成功したと考えるべきかなと。ただこれはいずれも出てきた状況証拠に基づいて話しているだけです。そこらのところと、向こうが核実験をしたと言っていますから、こういう話をしているのであって、状況証拠以上のものではありません。ただその可能性は高いと思います。1キロトンというのは正直言って小さいものです。
(問)先程日本政府として確認していないということですが、どこに至れば日本政府として確認できるのでしょうか。
(外務大臣)難しいところですね。CTBTの話くらいまでいかないと。他人の領空侵犯した形ででもやらない限り、なかなか確認が取れませんから、そのあたりはなかなか現実問題としては難しい。ただ日本で今の段階で放射性物質が周辺で検出されていないことだけは確かですから、この段階では日本として確認はできないという状況です。
(問)2回目の核実験の徴候という情報が今朝から出ていますが、それに関連する情報に接していますでしょうか。
(外務大臣)それは入っていますが、その内容について話すことはありません。
(問)前回の核実験は安倍総理の訪中、訪韓の時期だったのですが、今回はライス米国務長官が来日し、麻生大臣もソウルに行かれますが、この関連性との可能性というのは類推されますか。
(外務大臣)なかなか記事としては面白そうですが、類推を今の段階でしている訳ではありません。
(問)ネグロポンテ国家情報長官が発表した件について、大臣は既にその前から聞いていらっしゃったのでしょうか。それから先程の3つの可能性の中では失敗したという可能性を一番強く感じられるのでしょうか。
(外務大臣)これは最初の朝のぶら下がりだったと思いますが、その時に状況証拠としては、今言ったように、3つの例が考えられると、朝の記者会見だったと思いますが、ただその3つの内でどれが一番かと言えばその後の平壌放送、一連の北朝鮮の動きを見ていると、仮にも何らかの形で成功しているのであればもっと大々的にわあわあ言いそうなものだけど、あまりそういう風ではない。ミスファイアしたのか、100行くはずが、5しか行かなかったとか、そういう話なのかなと感じているところであって、状況証拠としては3番目かなという感じはしますが、確率はどれがと言われればそれはプロの話であって、ちょっと何とも言えません。事実、こちらはまだ放射性物質を検出したとは言ってませんから。CTBT放射性核種観測所でもありませんから。そこはないです。情報はいつ頃からあったかというのは、結構前からあったことは事実ですが、どれだけ知っているかというようなことはインテリジェンスに関わる話ですから、それを外に言うことはありません。
(問)今回のネグロポンテ国家情報長官の核実験の確認の発表を受けて、国連決議に基づく制裁措置に対するアプローチというか、迅速に進めるべきであるというお考えなのか、どう対応していくのでしょうか。
(外務大臣)本当に核実験だったと、核を持っている国ほど皆そう思っていたところですから、それが確認出来たというのが現実性を持って感じられるというのであれば、それは自信を持っていけるところだと思います。少なくともイラクの時と逆の形で、イラクの時は大量破壊兵器を持っているのでしょうと、向こうは持っていないと。今回の場合は向こうが持っている、やったと言っていて、こちらが本当かと言っている話ですから、丁度事実は逆になっているのですが、向こうがやったやったと言っている。俺は殺人者だと言っているが、どこにも遺体がないという話と一緒で、一応放射性物質というものが検出されたのであれば、有力な証拠になります。従って安保理決議第1718号の件についても、前に進めるようになって、本当かなと思いながらではなくて、現実問題として行き易くなるという気持ちになるという影響は大きいと思います。
(問)北朝鮮制裁の決議が決まりましたが、大臣のお受け止めをお願いします。
(外務大臣)そうですね、全会一致、9日からですから6日間、全会一致で第7章を含んだ今回の決議が出たというのは良かったと思います。大きな前進だと思います。
(問)この後は米との協力で、どのように対処していくかということになるのですが、大臣はどのように見ていらっしゃいますか。
(外務大臣)これから後は技術的な話というのが一つ。そちらばっかりに皆さん興味がおありのようですけれども、これは今、核実験の結果がどうなっているか分かりませんけれども、東アジアにおいて明らかに新たな核保有国、しかもミサイルという運搬手段を持っている国が出て来たという事実に対して、日本として安全保障等々この地域の平和と安全に非常に大きな影響を持つ国が出て来たいう現実に対してどう対応するのか、我々外交を担当する者にとっては国家の危機の最小化、極小化をもって職業としているわけですから、その仕事が一番大きなところだと思います。
(問)具体的には臨検ということも検討されているようですが、これについては政府としてはどのような形で協力、あるいはサポートができるのでしょうか。
(外務大臣)それこそ技術的な話ですから、今から色々なところでどういった方法でやるか、今から考えなければいけないところだと思います。臨検と言いますか、船舶検査と言った方が通じるかと思いますが、北朝鮮を往来する船舶の荷物の検査を「要請する」という形になっていますから、そういった形で協力していくというのは当然だと思います。
(問)安保理ですが、大筋で合意というような雰囲気になっていますが。
(外務大臣)現地時間の12日中に一応の成案を得て、各国に仰いで各国に持ち帰りました。現地時間の13日、その結論を得てブルーにします。「色を青に変える」というのは国連用語で「24時間以内に採決する」という意味です。ブルーラインになりますから、それをした上で、その中には、7章は41条で入る確率は高いということだと思います。
(問)大臣としての受け止めはいかがでしょうか。
(外務大臣)遮二無二、拉致の話も、Human Securityということで入れるようなことまで行ければ、一応日本側からの要望としてあった分、この拉致の話はミサイルとは直接関係ないのですが、しかしその分を含めまして一応あそこまでいけば一つの成果だと思います。
(外務大臣)閣議では、北朝鮮による地下核実験の発表に関しまして、内閣官房長官声明について塩崎官房長官からありました。同じく地下核実験につきまして、安倍総理、久間防衛庁長官から発言がありました。私からは、安倍総理の中国、韓国訪問の報告をし、北朝鮮による地下核実験について一連の私共の昨日の動き等々の説明をしました。教育再生会議関係について、塩崎官房長官、安倍総理、伊吹文部科学大臣から設置についての説明がありました。閣僚懇談会において色々意見が出た中で、私からは各国の反応等々の説明をしました。
(問)国連安保理ですが、米国側が国連憲章第7章に基づく制裁決議の草案を示しましたが、これについて日本政府としてどういう対応をされていきますか。
(外務大臣)この前のミサイル発射の時の経緯で、結果的には全会一致するのに11日間かかったと思います。今回はミサイルと違ってことが核の話ですから、状況としては前回の北朝鮮に対する国連安保理決議1695の話の実施が破られた形になっています。形としては国連憲章第7章を含むという話に入りやすい情勢にあると思います。ただ、これに直ちにいけるかどうかについては、今の段階でそういう方向にいくというのに、日本としては良いと思っていますけれども、それができるかどうかについてはなかなか難しいので、まだ始まったばかりで昨日一巡しただけですから、そこまでまだよく合意できません。
(問)米国案に対して日本が補完する形で、更に経済制裁を強化してやるという案を示したとも聞いているのですが、これを敢えて補完する形で何か日本が示すというこの意味合いはどういう意味があるのでしょうか。
(外務大臣)この問題によって影響を受けるのは、地理的には日本、韓国、中国、ロシアの方が、米国やヨーロッパの国々に対してよりも大きいと思いますので、日本の場合はその中にあって日本独自の案というものを直接言わないと、一番影響を受ける日本が一番デレーッとしている感じでは話にならないということなのだと思います。
(問)日本独自の制裁というものに総理も言及されていますが、日本政府として核実験であるかどうかを正確に把握できていない段階で、日本独自の制裁を発動するというのはどういうタイミングを伴うのでしょうか。
(外務大臣)核実験であったとやった本人はそう言っているわけですが、やったかどうかの確認というのは正直言ってなかなか難しいと思います。地下実験の場合は放射能漏れが少ない。空中爆発と違って圧縮爆発ですから。また、マグニチュード3.9とかいうレベルの反応だと、中国、米国、日本が出したマグニチュードの数字はそれぞれ違いますので何とも言えませんが、そういうのはかなり、戦略核というより戦術核というくらい小さなもので、もっと小さな反応ということになろうと思います。その意味からいくと、今の段階で放射能漏れは更に少ないと思われますので、中に入って査察ができないという前提に立った場合には極めて難しいというのが今の状況です。しかし、先方はやった、中国もロシアの国防省も確かやったという発言をしていますけれども、それ以上の確証が得られているわけでは今の段階ではありません。従って裏付けのないままに日本だけが先行してというようなことは慎んでおいた方がいいのではないか。実は言っているだけでそうではないという場合もありますから。
(問)日本独自の制裁を安倍総理も言及されているわけで、それについて実施するために必要な条件というのはどのようなものですか。
(外務大臣)核実験であったということの確証が欲しいところです。
(問)国連安保理に米国が提出した決議案の中に、北朝鮮に出入りする船舶への臨検というものが入っていますが、日本はこの臨検に対してどのようにお考えですか。
(外務大臣)今、これに対して臨検をするというところまで日本では考えていません。
(外務大臣)先程六者会合の北朝鮮以外の5カ国の外相との電話会談を終えました。その他にも、中国の李肇星外交部長、EUのソラナ上級代表、それとイギリスのベケット外務大臣とカナダのマッケイ外務大臣と個別に電話会談を終えております。
一連の電話会談の中で、北朝鮮の核実験というものが事実だとするならば、核実験は事実と言っているのは北朝鮮ですから、これは北東アジアだけでなく、国際社会に新しい核の脅威が広まったということになりますので、平和と安全に対する重大な脅威以外の何物でもない、不拡散に対する重大な脅威、挑戦になるという点において、意見が一致しています。六者のうち北朝鮮を除く5カ国が今後緊密に連絡を取り合っていくことが確認されています。私の方からは、北朝鮮の核の脅威というものは、これは単に北朝鮮が核実験を行ったというだけではなくて、この核の技術、また核そのもの、そういったものが拡散していく、この地域以外にも拡散していく、ということが一番問題なのであって、これは何もこの地域だけの問題ではない、国際社会全体の問題なんだという理解をしていってもらうことが大事なんだという点について賛同を得ております。
中国の李肇星外交部長との会談では、地域の不安定化が最大の問題とした上で、国連安保理としてはきちんとしたメッセージを伝えることの重要性を指摘して、中国としても今後とも北朝鮮に対して地域の平和と安定のために働きかけを続ける旨述べております。
今後の対応としては、ニューヨーク時間9日の国連安保理がもうそろそろ始まると思いますけれども、日本が今、議長国でもありますから、安保理会合において本件について取り上げられる予定でありますので、国際社会としての対応について今後関係国と色々連携をしていくことになります。いつ結論がでるかということに関しましては、今から色々と見解が分かれるところだと思いますが、ミサイルの時で11日間かかったと思いますので、今日明日中に結論が出るとは思いませんけれども、ミサイルの時より、これは核拡散の話でありますので、ことがより深刻だと思っていますので、これに対して反対する国はなかなかないと思いますので、我々としては、速やかなる国際社会のメッセージというものが北朝鮮に伝わることを期待しています。
(問)国連の安保理で早いメッセージを伝えたいとおっしゃいましたが、制裁については日本としてはどのように考えていますか。
(外務大臣)日本としてできることというのは、この前の時は万景峰号の話が一つの例として出ましたけれども、これは主にどういう対応をとるかというのは、内閣の方でやっておられるので、外務省が直接やっているわけではありません。ただ、今、万景峰号以外にも日本に寄港している船というのがありますし、人の出入りもありますし、色々な意味での個別の案件というのが出てくると思います。
(問)安保理の決議は、当然7章を含む内容になるという風に考えてよろしいのでしょうか。
(外務大臣)我々としては7章というものを思っていますけれども、15カ国のメンバーで、ミサイルのときと同様全会一致というのを考えていますので、7章の中身になってくるとこれは、現実問題としてそれを履行する義務を負いますので、そのことについて当然意見が出てくると思います。7章というものを当然日本としては念頭においてやっていくことになります。ただそれがその通りになるかどうかは、今からの安保理の協議の中で決まるということになります。
(問)その点で、現状で中国とロシアの感触はいかがでしょうか。
(外務大臣)その点、核について新たな脅威が発生しているということに関しては、ミサイルの時よりはるかに深刻な対応が感じられます。
(外務大臣)本日の平壌放送が正午少し前ぐらいに核実験の発表をしております。この発表の内容が、正確に、果たして核実験なのか、地震等々別のものなのか、通常爆弾ということもありますから、色々なことが考えられますので、その確認というものがまだなされていません。少なくとも核実験をしたと言っている国は、当事国の北朝鮮と中国とそれから先ほどロシアの国防省だったと思いますが、発表しているだけであって、その他の国でそれが正確に核実験であるということは確認はされていません。それがまず第一段階です。
日本としては、ただちに対策室を立ち上げて、いろいろ今協議をしております。先ほど、その協議の途中でしたが、シーファー駐日アメリカ大使を呼んで、双方で話をして、少なくとも日米安全保障条約に基づいたきちんとした関係をこの際確認をしておく、また安保理で一緒に、北朝鮮に対するいろんなことを共同でやっていく等々の話をしています。
また、アメリカ、韓国、日本との間の外務大臣による電話会談を、12時40分ぐらいから1時少し過ぎまでやりました。そこにおいても、少なくともこの問題に関しては、この地域に限らず、アジア、世界平和に与える脅威等々が極めて大きいのであって、三国としてもこれを黙って見過ごすわけにいかず断固とした処置をとるということで、アメリカは先ほど短い声明を発表したはずです。今、アメリカは午前4時ぐらいだと思いますので、9日の朝、ブッシュ・安倍電話会談を多分やられると思いますけれども、その電話が終わった後、再度、向こうは朝になりますので、その段階できちんとした対応を我々としても改めてやっていきます。当然、9日は安全保障理事会が開かれる当日でもありますので、この安保理において、各国から、いろいろな働きかけが行われるものと思われます。
(問)日本政府としての、核実験が行われたという確認の見通しというものはいかがでしょう。
(外務大臣)核の実験としては極めて小さな核実験。よく言われていますが、正確な話はできませんけれども、広島型のサイズの何分の一か。核実験だとするならば、その量が少ないものですから。少ないとなるとその分だけ放射性のものが外に出てくる確率が少なくなります。確認はさらに難しくなる、ということですので、その確認が何時とれるかということについては、現段階では。これは科学的なものでもありますので、政治的な話と科学的な話と混線すると、間違えるから。そういった意味ではきちんとしたものをやっていくのに、少々時間がかかると思います。
(問)ロシア、中国などとの電話外相会談については如何でしょうか。
(外務大臣)まだ正確には決まっていません。今晩あり得る。可能性はあります。
(問)日本政府として地震波の異常な揺れというのは確認されているのでしょうか。
(外務大臣)地震波の異常な揺れというものは、地震ではない形の波動があったと言われています。しかしそれは、核実験とは限らないということです。
(外務大臣)閣議ではテロ特措法の一年延長についての話がありました。
(問)訪米中の谷内次官がクラウチ米大統領次席補佐官と会談をして、北朝鮮の核実験が今週末に行われる可能性も十分あるという認識で一致したようですが、状況としてそういった緊迫している状況なのでしょうか。
(外務大臣)どうしてクラウチ米大統領次席補佐官がその話を持ち出したかの内容については、私共が知っているところではありません。インテリジェンスに関わる話ですから、内容は逐一言ったわけではないでしょうが、可能性があるという話です。これはロケットと違って見えませんから、この話は何とも言えません。
(問)特に日本政府としてかなり緊迫した状況になっていると把握しているのでないのですか。
(外務大臣)違います。
(問)それに伴って安保理の方も大詰めになっていますが、今夜中に議長声明なりプレスステートメントなりを出すのでしょうか。
(外務大臣)日本時間の今夜、現地時間の午前、ということは現地時間の今日中に、プレスステートメントに関して本国でのOKを取り付けるように要請していますから可能性はあります。半日、一日ぐらいは延びるかもしれませんが。
(問)プレスステートメントの発表になるということですか。
(外務大臣)はい。核実験をすればまた別の話です。
(問)今週末、日中、日韓首脳会談が開かれ、安倍総理大臣の初めての外遊となりますが、首脳会談の成果などを外務大臣としてどう期待されますでしょうか。
(外務大臣)長い間止まっていた日中首脳会談が早々にも実行に移されることは良いことだと思います。こういうのは会わないと話になりませんから。良い人だ良い人だと言われても会ってみたらろくでもなかったということは、普通の生活の中でもよくありますがそれと同じ事ですから、会ってみるということが大事なことだと思います。
(問)北朝鮮の問題についても、中国、韓国と話をされますか。
(外務大臣)それは当然です。
(問)ドノバン臨時代理大使との会談の内容は。
(外務大臣)基本的には、日本と米国との連携を、こういう状況になったときは極めて緊密にしておかないと、タイミングがずれたり迅速さが欠けると、間違ったメッセージが向こうに伝わるので。とにかく、国連の場でも、バイの関係でも、きちんとした関係を詰めておかないと、なんとなく対応が遅れる、それが間違ったメッセージになるということを最も避けねばならないということで一致しました。
(問)国連での議長声明案の成立の見通しについてはどうなのでしょうか。
(外務大臣)極めて早いと思います。
(外務大臣)今、北朝鮮のスポークスマンの方から、核実験を行うだろうという声明が、ステートメントが出されています。内容を読んでみたら、よく、極端な話がぼんぼん書いてありますので、いつものことであろうという感じがしないではありませんが。しかし同時に、こういったものが出た後、あまり間を置かずに、現実になってきたという過去の例がありますから、少なくとも、こういったようなことが起こり得る可能性を否定するというのは甘すぎると、私自身はそう思っています。こういったようなことは、日本はもちろんですが、北東アジアに関して、非常に重大な影響を与えるというのははっきりしています。従って、こういったものは、いわゆる、平和に対する脅威ということで、断じて許すことはできないということだと思っています。もう少し、内容の詳しいことを調べた上でやらなければいけません。
(問)現状としてはどの程度切迫した状況にあると分析していますか。
(外務大臣)これまでの例からいくと、こういったものを言っておいて、その後に現実問題として実施してきたという過去の例があります。今回の場合は、ミサイルと違って、外から見えない。いわゆる、地下核実験ですから、なかなか見えない。ただ、やられた場合は確実に反応が出ますからわかりますが、やるまで、どの段階でやるというのは、ミサイルと違って、何時の時点でということがなかなか分析できないというのが現状だと思います。
(問)ステートメント以外には情報というのは何かあるのですか。
(外務大臣)ありません。
(問)米国とか他国との連携というのはいかがなのでしょうか。
(外務大臣)当然です。国連含めて、当然です。
(問)万が一、実験が行われた場合というのは、どのような対処を考えているのですか。
(外務大臣)当然のことで、激しいことになりますよ。ミサイルよりもっと話は深刻じゃないでしょうか。
(問)閣議が終わってから暫く総理大臣とお話なさっていたようですが、内容はどのようなことでしょうか。
(外務大臣)その種の質問にしゃべったことは一回もないと思います。あまり期待しないでください。外交全般にわたってです。
(問)中国、韓国との首脳会談の日程調整が大詰めを迎えていますが、進捗状況は如何でしょうか。
(外務大臣)韓国とは日程調整だけになったと思いますが、中国に関してはまだ何とも言えません。今の段階で確定的なことを言える段階ではありません。
(問)今日、ロシアに拘束されていた坂下船長が解放されるということですが、受け止めをお願いします。
(外務大臣)受け渡しの船は行ってますので、もうそろそろ受け渡しは完了すると思っているのですが、所謂船体の返還についてはまだ話をしている最中なので、人が帰って来たという点に対しては評価できるところなのだと思います。基本的には船の引き渡しについて引き続きやっていかなければいけないと思います。
(問)国連事務総長選で、潘基文・韓国外交通商部長官が当選確実ということですが、受けとめをお願いします。
(外務大臣)アジアから出すということをずっと言い続けてきてましたので、アジアから予定通り潘基文外交通商部長官がなるということなのでよかったと思います。他の所から隠し球が出てくる可能性については、昨日、常任理事国5カ国が全部出しましたから、はっきり分かるようなことになっています。そういうようなことになったということだと思います。良かったと思います。
(問)日本の支持表明は。
(外務大臣)正式には総理からです。