(外務大臣)閣議では、拉致問題対策本部を総理大臣を本部長として設置することが決まりました。内容につきましては、北朝鮮に関して、総理大臣と官房長官からそれぞれ発言がありました。総務大臣から労働力調査結果について。完全失業率(季節調整値)は2カ月連続4.1%。1年前に比べて失業者は12万人減。就業者は22万人増。同じく全国消費者物価指数は1年前に比べて、0.3%上昇となっています。厚生労働大臣から、有効求人倍率は1.08倍で、前月から0.01ポイント下がったとの報告がありました。臨時国会が始まりますので閣議は9時から。閣僚懇談会ではクールビズは9月30日で終わりという話がありました。
(問)日韓首脳会談ですが、10月の早い段階で開催する方向で調整されている状況なのでしょうか。
(外務大臣)9月28日に安倍総理と盧武鉉・韓国大統領との電話会談が行われましたが、その時に早いところセットしようじゃないかということで意見の一致があったということまでは確かですが、いつするか等々の詳しい日程などが正式に決まっているわけではありません。
(問)麻生大臣は日本の政権交代の機会を捉え、APECを待たずなるべく早く日中首脳会談開催の可能性を探るべきだとの考えを示されましたが、日中首脳会談の可能性はどの位ありますか。中国側がそれについて前向きの姿勢を示しましたか。
(外務大臣)日中首脳会談はなるべく早い時期に、安倍政権が出来ましたから、なるべく早い段階で日中首脳会談を行った方がいいのではないかということについて、双方で同じ意見になっているということは確かです。それについての条件、内容、こちらの回答内容等々を今の段階で外に言うことはありません。
(問)戴秉国中国外交部副部長と谷内事務次官との会談の中で、中国側は首脳会談についての条件を付けたという報道がありました。安倍首相が靖国神社を参拝しないように明示することを条件にすることで、日中首脳会談を開催するということなのですが、日本側はこの条件を呑むことはできますか。
(外務大臣)谷内次官と戴秉国副部長との会談は何度となく行われていますが、その内容について外に漏らすことは出来ません。お互いに話をしない約束で会っていますから、その内容を漏らすことはありません。
(問)戴秉国中国外交部副部長が安倍総理に会ったことがあるかどうかを教えてください。
(外務大臣)戴秉国副部長と安倍総理が会ったことはありません。私は会いました。
(問)日韓首脳会談に合わせて、日中首脳会談をしようというお考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)早ければいいとは思います。今の段階でそれがいつ頃になるという具体的な話があるわけではありません。ですが、両方とも話が合えば可能性としてはないわけではありません。
(問)会談の条件として靖国問題を前提条件にすることは呑めないと大臣は仰いましたが、その辺の両国の考え方の溝は今どう埋まりつつあると思いますか。
(外務大臣)今の段階で迂闊に言うと危ないからね。出来ると言ったのが出来なくなったと新聞に書かれて追い込まれる形を作られる手口ですから、なかなかそういうものに引っ掛からないように11カ月で訓練されました。今の段階で、少なくとも戴秉国中国外交部副部長と私のした話の回数が進んでいるということは、可能性がゼロだったら再会するという可能性はないわけですから、少しは双方とも条件を出し合っていると理解頂ければいいと思います。ただ、それがどれくらい進んでいるかという内容までは言えるわけではありません。
(問)日中・日韓の首脳会談の関係で、大臣のお考えをお伺いしたいのですが、政権の浮揚効果という観点から見れば、今、日韓だけでもできるだけ早い段階で首脳会談を実現するべきか、または、あくまでも日中・日韓併せて会談を実現した方が、中国との関係改善という意味でも良いのか、どちらが、政権の浮揚効果という観点から良いですか。
(外務大臣)政権浮揚効果というのはあまり考える対象にないのですが、できるところからやられた方が良いと思います。日中しかできなかった、日韓しかできなかった、どちらが先でも後でも、あまり、相手方もそんなに気にすることはないと思います。従って、浮揚効果というか、そういったものができれば、一つの前進にはなると思います。ただ、こちらが言っても、ずっとこの5年間、こちらはオープンで待っているわけですから。それに対応する向こう側が政権交代の時期に合わせて首脳会談をという話になってきているわけですから、その意味では、どちらが早い、一緒というのは、手間暇から言うと、一緒の方が往復する時間が助かるということはあると思いますが、先方側もこっちが先だったからとか後だったからという雰囲気ではありません。
(問)国連事務総長選挙なのですが、3回目の予備投票があったようですが、今のところ、韓国の潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官が優勢という流れになっています。これに対する日本政府の態度といいますか、それをある時点で明らかにするということはあるのでしょうか。
(外務大臣)日韓首脳会談が仮にできたら、そこで言うのも良いだろうし、色々な話ができると思っています。ただ、模擬投票の内容に関しては、どこで言ったか何をしたかというのは一切非公表というルールになっていますので、内容を言うことはありません。ただ日本としては、ビルマのウ・タント事務総長が60年代に出て以来、前回がガーナ、その前がエジプトで、アジアから出たことがありませんので、そういった意味では、アジアからというのが、なんとなく総意だと思います。各国、インド、スリランカ等々、色々と出ていますが、アジアの中から出るのが望ましいというのが基本的な姿勢です。ただ、今の段階としては、模擬投票で圧倒的な票を得たのは潘基文長官だけ。
(問)FNNで行った世論調査で、「安倍内閣であなたが最も期待している閣僚を一人だけ挙げてください」という質問に対し、麻生大臣が全体の25%を取り、ダントツの1位だったのですが、ご感想を頂けないでしょうか。
(外務大臣)51%あったら総裁選挙に勝っただろうなと思いますけど。25%では足りませんね。総裁選挙に出たのは一人だけですから、他の名前が知れていないだけの話なのではないでしょうか。
(問)ロシアに拘束されている漁船の船長なのですが、日本側への身柄の引き渡しの目処というのはいかがな状況でしょうか。
(外務大臣)船と身柄と両方というのが我々の要求。なんとなく分けようとしているように思いますが、我々は船と船長、両方一緒と言っているのですが、日にちまではちょっと今の段階で、今月とか来月とかいうことを言えるほど話が詰まっているわけではありません。罰金が220万円に決まったというところまでです。
(問)横須賀基地で、原子力潜水艦が停泊している側の海水から放射性物質が検出されたということがあったのですが、これに対する大臣の受け止め方と今後の対応をお聞かせください。
(外務大臣)正直言って、極めて微量でもそうしたような話はセンシティブな話です。もし本当に原子力潜水艦からのものだというのであれば、今それが極めて微量ということは、時計を落として出るということも有り得るほどということでもありますから、結局、極めて微量というのはちょっとよくわかりません。誰に聞いても「極めて微量です」と言うので、極めて微量というのは、人体に影響があるのかないのかなど色々な話になりますが、そこのところはちょっと言いようがありません。それが原子力潜水艦から本当に出たということになるのであれば、それは十分注意を今後ともしていかないと。極めて微量でよかったから、次は微量になってそれから少量になったりする可能性というのは否定できませんから。そういった点は非常に注意してやっていかなくてはいけないことです。
(外務大臣)約11カ月間、330日程、外務大臣をやらせていただいて、今回の組閣の中では、官房副長官の鈴木政二先生以外では私だけが留任ということになったのだと思います。例外のような形になったと思いますし、マスコミ的に言うと安倍晋三と書かなくて唯一閣僚になった人だそうです。本当かどうかは知りませんが、そういう噂もあります。
今の外務省として抱えている問題というのは幾つもあるのですが、少なくとも問題の基本的なところは足腰を強くしていくことだと私自身はそう思っています。昨年12月にやらせていただいた予算編成で、色々な在外公館の機能強化など一部スタートさせていただけることになりましたし、職員の数の話も少なくともただただ減らすというようなことではないという形にはしました。しかし、基本的にこの国の外交というものを考えていった時に、例えば公館数を見てもアフリカの公館は日本にあるけれど、日本の公館がアフリカにはないというような国が20幾つあります。アフリカ53カ国中、日本の公館は24カ国にしかないので、そういう意味から考えても絶対数が不足しています。ロシアを含めて15カ国ある旧ソ連の中で日本の公館は4カ国にしかない等々、いくつも例はありますが、そういったものを含めてきちんとするものをきちんとしていかないとできないという絶対量の不足というものが一つ。もう一つはそれを補う人数というものが明らかに不足しているのは確かだと思います。自民党の方からもこの点についてはきちんと増員をするべしという話を作っていただき、且つ公明党とも政策協定の中でその話を書いて頂く等々のものをやらせて頂きましたので、それを実施に移していくというのが一つだと思っています。
それからこの5年5カ月の間、小泉内閣の下、少なくとも日米関係というものは同盟国であって、その同盟関係を、これは一種の契約ですから、それを生きたものにしていく、契約が形骸化されたものにならないようにしていく努力というのは、常に商売の上の契約と同様、実行されるか否かというのは大きな視点です。従って、アジアの問題にしても何にしてもそうですが、少なくともこの同盟関係がきちんと動くか動かないかというのにおいては、両国の首脳の人間関係やら外務大臣レベルの人間関係というものがきちんと作動したからこそ、北朝鮮のミサイルに対しても、制裁決議を10日間で実際に制裁発動するという対応ができました。このような日米関係として一番基本的な条約が作動しているということを実証したという点においては、この5年5カ月の成果は大きかったということだと思います。
中国との関係、韓国との関係、北朝鮮との関係と色々例を挙げていくと止処もありませんが、少なくとも今、戴秉国中国外交部副部長始め、日本に来て色々話をしています。靖国の問題にこだわって結果として両国の首脳会談が行われないという状況は異常と思いますので、そこらの点を考えて、きちんと作動させていくというものを作り上げておく必要がある。それについては双方で折り合う所は折り合っていかなければしょうがないところだと思いますが、この問題があるから会わないという話は、私共としてとても飲めるところではありません。従って話し合いの場というのは双方が作っていく必要があるだろうと思いますので、双方の国益に繋がっていくと私自身はそう思っています。
あとは総理の方からも色々な話が出ていますが、この11カ月間もやってきましたけれども、色々な形できちんと日本というものの立場というものを明確にしていくということは必要だと思います。また日本自身としてその国力に相応しいものをきちんと対応していく必要があるだろうと思っています。
(問)靖国神社の関係ですが、安倍総理が、自分が参拝したかどうかについて、したかしないか言わないという立場を取っていますが、これについては、外交に配慮しているとも言えますが、態度を曖昧にしているという風な捉え方もあると思うのですが、大臣はどういう風に評価されますか。
(外務大臣)それでいいのではないでしょうか。総理がそのように言っておられますので、その通り素直に捉えるだけです。
(問)言わないということについてどう思うかということです。
(外務大臣)言わないという気持ちについてどう思うかと言われても、言わないと言っておられる気持ちをそのまま素直に捉えたらどうですかと言っているだけです。
(問)改めてですが、外務大臣在任中の大臣の参拝はどのようにされるお考えでしょうか。
(外務大臣)適切に判断すると前回も答えたと思いますので、改めてそれを変える気持ちはありません。
(問)外交的な配慮という風に捉えられる一方、歴史的認識を自分ではっきり示していないという点も総理にはあると思います。総理の態度と、大臣の適切に判断されるというその二つの関係はどうですか。
(外務大臣)歴史的認識については、少なくとも、歴史の認識は同じ国の中でも一致しない。米国の南北戦争というものは、南部の教科書を読んで頂ければ、「北部の侵略」と書いてあるのは知っていると思います。英国の教科書を読めば、同じアングロ・サクソンであっても、米国の独立戦争は「植民地の反乱」と書いてあると思います。少なくとも私の学生時代はそうでした。従って、歴史の評価というのは、同じ人種、同じ国民においても、200年経っても、なかなか歴史認識というのは双方で、同じ国民であっても一致しないというくらい難しいことなのだという、謙虚な気持ちも必要なのではないでしょうか。私自身はそう思います。
(問)一般論ではなく。
(外務大臣)一般論で答えないと、この問題に関して、謙虚な気持ちに考えられたらどうですかというのは、決して間違っていないと思います。
(問)米国の南北戦争と日本の戦争の話というのは全然話の状況が違いますし、日中関係とも全然関係がない。
(外務大臣)アーリントン墓地には、南軍の兵士を祀っているのではありませんか。
(問)その話はいいのですが、大臣としてどのようにお考えになりますかという。
(外務大臣)今言っているように、歴史認識というのは、そんなに簡単には、政治家が一方的に定めるような問題ではないのではないかというのは、ひとつの見識だと、これはずっと言っていると思います。
(問)北方領土問題についてお伺いします。小泉政権では北方領土問題は進展しなかったのですが、政権が替わり、安倍政権の下ではどのような形で北方領土問題を打開しようとお考えでしょうか。
(外務大臣)北方四島の問題に関しては、プーチン大統領と森総理の時から、この問題はかなり、先方もこの問題を解決しないと日露関係の進展はしないという認識を、向こう側も持っていたと思います。それに対応して、この話はずっとしこったままになっていますので、これは、役人がずっと積み上げていた話というのは60年間やってもなかなかうまくいかない話ですから、どこかで政治的な判断が必要だというようなことになってきているのではないかと思っています。従って、どこかの時点で、きちんと、外務大臣同士でどうのこうのという話ではないのではないかと、なんとなく、トップ同士の決断にならないと話が付かないのではないかという感じはします。それが、四島そのまま還ってきたら、こちらが勝って向こうが負けたとか、二島だったら向こうが勝ってこちらが負けたとかいう種類の話だと、双方で納得しないというのでは多分駄目なのだと思います。どこかで話を付けるというところは考えなくてはいけないというところなのだと思います。ルイジアナ州とかは、フランスから買ったりアラスカをロシアから買ったりしたという歴史もありますし、領土の話というのは、実に色々なケースがあるのだと思います。ロシアとの話はどこかで話の決着を付けるような努力を、双方で譲り合わないと、永遠にこの話だけで条約がとか、友好関係がとかいうのは、双方にとってあまり利益にならないなという感じがします。双方で折り合うというのは、ある程度信頼関係ができないとなかなか難しいと思いますので、事務的に積み上げていてできる話かなというのが、私自身も今、感じているところです。ただ、それでどういう答えがあるかというと、その答えを持っている訳ではありません。
(問)今回、改めて、拉致担当の大臣として、塩崎官房長官が兼任され、拉致担当の補佐官も付かれるということですが、このことによって、拉致問題あるいは北朝鮮問題に外務省はどのように取り組まれるのか、あるいは官邸との関係に変化があるのかどうか。
(外務大臣)北朝鮮との関係について、どのみち、窓口という、いわゆる配下というか手下というか、そういったものを持っているのは外務省ということになりますので、これは官邸との連絡を更に密にしていく。対話と圧力、今は圧力と対話になっているかも知れませんね。圧力だけで対話はなくてもいいなんて勇ましいことを言っている人も一部にいますが、対話というものが、基本的には継続していないと話の順序が成り立ちませんから。ただ対話だけで一方的に前に進まないというのは、国連決議1695を見てもその後の動きがないというのははっきりしていますので、更に動いていくような圧力が必要だろうと、それは官邸との間の連絡を一層密にしていかねばならないということだと思います。
(問)小泉総理と胡錦濤国家主席があまり会わなかった中で、中国も対日政策を変えてきている。ただ今回の次官協議の中でも依然として中国は靖国の話を出している中で、どう首脳会談をステップとして日中関係の改善に繋げていくか。小泉総理から安倍総理に替わって、中国も対日政策を変えてきている中で、まだ依然として靖国というのが出てくる状況というのは、大臣はどのようにお考えなのでしょうか。
(外務大臣)向こうも、江沢民の訪日以来ずっと引きずっている話ではありますが、色々な意味で、やはりあの訪日は失敗だったと言われている、首脳会談としては失敗の例だとよく出される例のひとつです。この問題というのは、向こうから出してきた話になっています。今の世論調査を見ていると、なぜこれだけ反中感情が大きいのかというような世論調査で、だって向こうが反日だからというのが、世論調査の答えでよく出てくる。NHKでやった調査かどこでやった調査かそうでしたし、NHKの8月15日の番組でも、参拝賛成70何%というのが出てきましたし、色々な意味で、今の世論というものは、私どもの見ているのとは少し違っている部分で動いてきているところもある。そういうものは、中国側もよく調査しているところでもあろうとは思いますので、双方で、この問題だけで引っかかって日中間がうまくいかないというのは、双方の利益にならない、この種の話があるから会わないとか、この種の話があるから会談は開けないというのは、我々としては、双方にとって利に沿わないのではないかとずっと言い続けてきたところなのです。同じように、向こう側の世論の変化というのは、3月の全人代の温家宝首相の話とか、その後の胡錦濤国家主席の話等々の変化というのは、今年3月の全人代の後、はっきりしてきていると思っています。そういうところを基にしたから、たぶん5月の外相会談、その後の話もできましたし、北朝鮮に対しても一緒に行動が取れるというところまできた等々、色々と変化はある。また、中国も国内で色々と抱えている問題を解決するのに日本と組んだ方が良い。水の問題、環境の問題、経済の問題、色々ありますから、お互い手を組んだ方が双方の利益になる。片方の利益だけでは駄目です。双方の利益になるという形になるというように、向こうも思い、こちらも思って初めて、関係というのはより深まっていくのだと思います。中国の一連の、対外投資が去年マイナス0.9%である中、日本からは19%増です。そういった変化というのは、日中関係というものは、中国の経済にとってより大きなものであるということは更にはっきりしてきていると、最近の数字からはそう思います。そういったものをどう評価するかというのはまた別の判断ですから。それを全部捨ててでもという話もひとつ成り立つわけですが、そういったものを見て、どう判断していくかというのは、今、中国が考えるでしょうし、こちら側としては、一応いつでも会いますよと、日中首脳会談すべきだとずっと言い続けてきてきていますから、私どもの方としては。従って、うちはオープンなのだということだけははっきりしていて、こちらが拒否しているのではないというのが、この5年5ヶ月間全く変わっていないし、安倍総理もほぼ考え方は同じというところだと思います。ただ、靖国の話でいけば、行ったか行かないかを明確にしないというのも一つの選択なのであって、それに対してどう判断するかは中国の話なのだと思います。
(問)既に設定されているマルチの会議以外で、留任した麻生外交として最初に訪問したいような国というのはあるのでしょうか。
(外務大臣)今、最初に決まっているのはベトナムのAPEC。その前にどこかに行く予定が今すぐ立っている訳ではありません。
(外務大臣)この度外務大臣を留任することになりましたので、また色々とお目に掛かることもあると思いますので、よろしくお願いいたします。前回331日やらせていただきまして、その間、日本の外交というのはそれなりに存在感など色々なものを示すことができたと思っています。国益というものを考えて、外交というか色々な意味での対外的な人脈というものもそれなりに出来上がってきました。それが北朝鮮のミサイル発射などにおける迅速な対応にも繋がり得たと思っています。少なくとも外交というものは、基本的には国家の危機を極小化、最小化するための手段の一つですから、そういう意味で外務省においてそこの所をきちんと腹におさえて今後ともやっていかなければいけないと思っています。特に冷戦構造の崩壊以降、少なくともソ連という国を見ましてもソ連1カ国が15カ国になっています。また、アフリカも53カ国に増えています。ユーゴスラビアもボスニアになったりしましたので、国連加盟国だけで国の数は192カ国になっています。そういった状況は冷戦構造時代とは大きく変わりました。そんな中にあって日本の場合は、少なくとも旧ソ連内に15の国がありますが、大使館で言うと4カ国。アフリカ53カ国を見ましても、先方は東京に大使館を置いていますが、日本が大使館を置いているのは24カ国で半分以下という状況にあります。色々な意味で外務省として基本的な基盤というものの強化もやっていかなければいけないと思っています。また情報通信機器が発達した割には、海外からの情報に関する技術、色々な意味でのインテリジェンスとしての技術も含めて、そういったものに関しての技術は日本としてはまだまだ遅れているところもあろうと思います。我々を取り巻く北東アジアの状況というのは、朝鮮半島、台湾海峡、いずれも色々不安定な要素を抱えているという状況にもあります。我々としてはそれに如何に対応していくのかというのが、日本に課せられた大きな問題点なのだという自覚だけはきちんと持っておかないと。何となくこれまでと同じような状況ではなくなってきているのではないかという意識を常に持ち続けておかねばならぬと思っています。いずれに致しましても、外務大臣に留任することになりましたので、これまでの基本方針を踏まえて更に努力をしていきたいと思っています。私の方からは以上です。
(問)安倍首相が主張されている「主張する外交」というものをどういう風に具体化されますか。
(外務大臣)「主張する外交」につきましては、少なくとも小泉内閣の時以来、日本としての主張というものはきちんとそれなりにできてきて、11カ月の間に外務大臣の記者会見、いわゆるプレスクラブ等々、色々な所における公式の外務大臣の外交方針の演説というのを11回やったと記憶しています。そういったものを読んでおられるのだと思いますが、そういったものは、私共として、「主張する」というべきところを総花的に言っても意味がありませんので、きちんとしてその時々に時宜を得たものを発言していく、日本としての意見を述べていくということが大事なのだと思っています。
(問)日米同盟の位置づけですが、安倍総理の仰る「日本とアジアのための日米同盟」と、小泉政権での日米同盟の在り方の違いはどういう風に出していかれるのでしょうか。
(外務大臣)日米関係については、これは基本的には、日米というのは同盟関係を結んでいるというのが一番基本的なところです。従って、基本的な価値観、民主主義、市場主義、法治国家、色々な意味での共通の価値観を持っている国として最大の米国。同じようにそういった状況でいけば、アジアでという質問でしたが、アジアにおける最大の民主主義国家はインド。これは世界においても最大ですが、そういった国々を含めましてアジアというものを重視していかねばならないということだと思っています。多分中国のことを聞きたいというのがその質問の前提なのだと思いますが、中国に関して言わせていただけば、今、戴秉国(たい・へいこく)中国外交部副部長が来ていて、昨日も会談をしました。中国と日本というのは、基本的に、今、経済関係を見ると一番良い時期。文化交流、人の往来は戦後最大。いずれもそういったものははっきり申し上げて良い状況にあると思っています。外務大臣の会合も、少なくとも私が外務大臣に就任する前の5月頃以降無かったので、再開するまで約1年空いていたと思いますが、この5月に李肇星(り・ちょうせい)外交部長と話を開始してから、何回か話もし、電話で会談もし、北朝鮮の問題に対する国連制裁決議では中国も入れた全会一致ということができました。色々な意味で、話や波長が合わなかったのは、総理と胡錦濤(こ・きんとう)国家主席というところだったと思いますので、今後、安倍新総理に替わりますので、我が方としても、そういった意味では、安倍新総理と胡錦濤国家主席との会談というものができるように、我々、外務省のレベルとしては努力をしていくということだと思います。
(問)11月のAPECの前の日中首脳会合は実現できますか。
(外務大臣)実現する可能性があるかという質問に関しては、迂闊なことは言えません。
(問)その為の最低条件、日本として譲れない条件、あるいは外交のとるべき環境というのはどういうものだと思いますか。
(外務大臣)これまでの経緯を知っておられると思いますので。我々はいつでも会うと言い続けていて、条件を出しておられるのは先方であって、私どもが条件を出しているわけではありません。
(外務大臣)小泉内閣最後の閣議でした。中川農林水産大臣の豪州訪問の報告がありました。二階経済産業大臣から中国訪問と薄熙来商務部長との会談についての報告がありました。最後に内閣総辞職にあたっての内閣総理大臣談話の案が示されました。
(問)小泉内閣最後の外務大臣をなさって、その経験から安倍内閣の外務大臣に求められる資質というのはどうお考えですか。
(外務大臣)どの内閣の外務大臣になっても求められるものは基本的には同じだと思います。外務大臣というのは国益を考えて国家の危機を最小化する、極小化するものだと思って仕事をしています。そういった意味では国家、国民の安全と繁栄をどうやって確保するかというようなことが常にあるというのが一番大事なのではないでしょうか。ですから、イーデンでしたかチャーチルでしたか、「国家の為に頑張るなら誠意が30%あれば十分だ。あと70%は国家の為に頑張らなくてはいけない」という言葉があったと記憶してますが、日本の場合はそこを基本において、この国は平和というものを一番上手く享受した国ですから、中近東に限らず、平和な状態が続くということが結果として日本の繁栄に繋がっていくという国際状況というのを、如何にして持続させていくか、継続させていくかというのが常に頭にないといけません。日本だけ平和でも他の国が平和でなければいけませんから、今の時代は。そういった意味では色々な平和に貢献していくという努力をしないと。結果として戦うという意志が戦争を抑止するというか、歴史の教訓だと思います。そのあたりをしっかりしておけば、今の状況に限らず、どなたの内閣の外務大臣でもその基本はあまり変わらないと思います。
(問)在勤期間中、最も印象に残る政府の対応を含めた出来事は何でしょうか。
(外務大臣)330日くらいの間で印象的だったことは、外務省の足腰というのは、予算面からいってもかなり弱っていたと思います。在外勤務手当の話やら色々弱っていたと思いますし、報償費事件以来胸を張って歩いていないところがあったと思っていましたから、そういった意味では足腰の予算をきちんとさせるというのが一番気を遣ったところでしょうか。それから日中外相会談は去年の5月くらいから止まっていましたが、上2人が悪いからと下も悪くする必要はありません。そういう意味では日中外相会談の再開。そして事件としては北朝鮮のミサイル発射に伴う国連安保理決議案。あとはバグダッド訪問です。年度内の機構改革というものを行ったのは今までとは少し違ったと思います。機構改革というものは年度中にすることはありませんから。海外経済協力会議等々もあったというところでしょうか。
(問)麻生大臣の祖父である吉田茂氏も外務大臣を経験され、非常に縁のある役職だと思いますが、吉田茂氏は麻生大臣の任期をどのように見てらっしゃるかという想像をひと言お願い致します。
(外務大臣)それは死んだ本人に聞いてみないとわからないですね。
(問)今日の新大臣との引継で、最も次の大臣に受け渡したいことは何でしょうか。
(外務大臣)昨日、公明党との政策協定の中でも出ましたが、外務省の機構、人員の強化というのはどうしてもやらないと。他の役所に合わせて何となく縮小縮小でやってきましたが、国は逆に、ソ連は15カ国に増えて、ユーゴスラビアも増えて、アフリカも53カ国、世界で192カ国に増えました。そういう中にあって、向こう側は日本に大使館を持っているが、アフリカ国内に日本の大使館がない国というのはかなり数があります。旧ソ連の中で日本の大使館があるのは14カ国(ロシアを除く)のうち4カ国。中国は全てにあります。そういったところを見ていくと、そういう基本的なところをやらないと幾ら行こうとしても物理的にできないことがありますので、きちんと対応していくというのが一番。その重要性を理解するのに時間がかかると思います。そこが一番かな。
(問)昨日、戴秉国・中国外交部副部長と会われましたが、今後、新政権での日中首脳会談についての見通しは。
(外務大臣)今の段階では何とも言えません。
(外務大臣)閣議では、昔のザイールであるコンゴ民主共和国で選挙を行うので、150万ドルの緊急無償資金協力を行うと述べました。川崎厚生労働大臣から本年で60回目となる共同募金運動を来る11月1日から行うという発言がありました。IAEAの総会出席について松田科学技術担当大臣から。額賀防衛庁長官から9月16日から19日までのモンゴル出張について報告がありました。閣僚懇談会では、水俣病に関わる懇談会について小池環境大臣から。水俣病が起こった経緯等々行政の失敗に目を向けて、そこから将来に向けて教訓を増やすという一連の話の提言書が出されたという報告がありました。
(外務大臣)チリとのEPA(経済連携協定締結交渉)については、2月の第1回交渉以来してきましたが、大筋交渉が合意に至りました。これを受けて今朝、小泉総理から大筋合意に関するコメントが出たと思いますが、バチェレ・チリ大統領も、今回の大筋合意について満足の意を表明しています。この合意によって物品貿易の市場アクセス交渉に関し、農林水産品と鉱工業品を含む包括的な関税撤廃と引き下げを確認しました。また、サービス貿易や投資を始めとした幅広い分野を含む包括的な経済連携協定となることも確認されました。2月に交渉を開始して7カ月で合意できたのはEPA交渉の中でも最短であり、今後の迅速な対応に対する良い例になると思います。最終確認をするための作業を継続することになりますが、引き続き積極的に取り組んでいきたいと思っています。
(問)安倍新総裁が官邸スタッフの公募を全省庁から始めていますが、これに積極的に協力するお考えはありますか。
(外務大臣)安倍氏の意向の内容が詳しくわからない話ですから。どれぐらい内容を把握して質問しているかわかりませんので、お答えのしようがありません。
(問)安倍氏は日本版NSCに言及しています。外交や安保政策を官邸主導に切り換えようという意図があるかと思いますが。
(外務大臣)そう思ったことはありません。見解の違いです。
(問)昨年10月から外務大臣に就任されて、来週26日に招集があり組閣があれば一応の任期になると思うのですが、今振り返られてこの10カ月間は如何でしたでしょうか。
(外務大臣)記者会見によく耐えられるようになったとか、成長は結構したのではないかと自分なりに勝手に自己採点していますが、自己採点を自分でしてもあまり良いことはありませんから、あなたの採点をまず聞かせてもらってその上でどうでしょう。
(問)次から次へと色々な出来事があったと思います。北朝鮮のミサイル発射の問題が一番大きかったと思うのですが。国連安保理決議の流れですとか。
(外務大臣)体力的にはね。
(問)それなりに色々な出来事があって忙しい外務大臣だったのかなという気がしますが。
(外務大臣)改めて個別の答弁をします。
(外務大臣)7カ国財務大臣中央銀行総裁会議出席について谷垣財務大臣から。気候変動枠組み条約の第12回条約締結国会議について小池環境大臣から。猪口少子化・男女共同参画担当大臣と村田国家公安委員長から、秋の全国交通安全運動の実施について。住生活基本計画(全国計画)、例の住宅の耐震化率を75から90に引き上げるという話について北側国土交通大臣から。閣僚懇談会では、新たな公務員人事の方向性について中馬行政改革担当大臣から。平成18年度都道府県地価調査について北側国土交通大臣から、三大都市圏で上がった話等々が出ています。
(外務大臣)次に私の方から、北朝鮮に対するミサイルの話についての閣議了解について。7月5日の北朝鮮によるテポドン2号を含む弾道ミサイル発射に関して、日本は積極的に外交努力を行い、結果として、国連安全保障理事会決議第1695号が全会一致で採択されたのはご存知の通りですが、この決議は、国連加盟国192カ国に対し、大量破壊兵器の不拡散の観点から一定の措置を求めているものです。日本としては、これまで行ってきた厳格な輸出管理に加え、このたび、北朝鮮のミサイルまたは大量破壊兵器に関連すると認められる者として、15団体1個人を指定し、この決議に従って、北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器に関する資金の移転を防止するための措置を実施することにしています。北朝鮮に関するこの決議文の実施を確保するため、また、北朝鮮関連のミサイルまたは大量破壊兵器の拡散を阻止するためにも、国際的な連携が必要となりますので、この決議に基づく措置を実施することが重要と考えています。このような観点から、関係国ともこれまで積極的な調整を行ってきましたが、今回の決定のために、米国や韓国は既に資金移転防止のために必要な措置を取っています。このたび、日本としては、豪州と歩調を合わせて、今後の措置を決定・発表することとなりましたので、今日中に豪州も同様の発表をすると思います。日本としては、今後とも関係国と連絡を密にしつつ、決議に基づいて積極的に呼びかけると共に、北朝鮮に対して安全保障理事会決議第1695号を誠実に履行し、ミサイル発射モラトリアムを再確認し、六者会合への早期・無条件復帰というものを、昨年9月の共同声明の履行等々の取り組みを強く求めていくということだと思っています。いずれにしても、閣議決定は今日これで終わっています。
(問)金融制裁の発動は今日付でしょうか。
(外務大臣)今日、閣議決定して発令しましたので、今日明日中でしょう。少なくとも今日から国連の総会が始まりますから、それに合わせるというか、向こうは日付がずれていますから。
(問)制裁対象ですが、米国が12団体、1個人と言っていますが、それが全て含まれて日本側で決めた3つを加えるという理解でよろしいですか。
(外務大臣)どこから来たか、情報の内容を話すことはありません。こちらで出すのは15団体と理解頂ければ良いと思います。
(問)個別の制裁企業、団体は日本政府としては明らかにしないのでしょうか。
(外務大臣)閣議決定の中に入っています。
(問)国連総会を前にということだと思うのですが、総裁選の結果如何に関わらず外務大臣としての職責は残ると思うのですが、一般討論演説の方はどういう対応になりますでしょうか。
(外務大臣)政治家はなかなか難しいのではないでしょうか。最終的に決めたわけではありませんが、なかなか難しいと思います。明後日中に出ればいいのかな。そのために日帰り。国連に大臣が出なかった例というのは過去2、3回あったと思います。それぞれ理由があったのだと思いますが。
(問)今日の閣議決定になった理由というのは、関係国とも調整が出来たからということだと思うのですが、小泉政権中に発動という考えなのでしょうか。
(外務大臣)小泉政権中というよりも、国連総会が始まる前ということです。前から決まっている話ですから、開催される前というのが大きな理由です。後は事務的な手続きも揃ったからです。
(問)今日が党員投票の締切となりますが、総裁選を振り返って、地方などに対して御自身の主張がどれくらい浸透されたと考えでしょうか。
(外務大臣)地方ではお陰様で、ブロック大会、街頭遊説など色々させて頂きました。少なくとも地方において、テレビではなく直に話を聞いてもらえる機会を頂いた結果、手応えは前半より後半の方が遙かに良くなってきた。それがしゃべっていながらの実感です。なんとなく地方に対して地域間格差等々、総務大臣も2年してましたし、地方で経営者もやっていたし、石炭という一度終わった産業を転換していったという実体調査に基づいた話というのは、地方で党員の方やらに意外と話を聞いてもらえる。説得力があったのかなと思っています。手応えは前半より後半の方が良かったと思いました。
(問)半径2メートルの男と言われる反面、インターネットの世界ではかなり勝手連的なサイトが出来たり、おっかけまで出ているようですが、これは何か特別ネット戦略などをされたのか、自発的なものでしょうか。
(外務大臣)2チャンネル等々というのに常駐している人、アクセスする人というのは最も永田町から遠い人ではないでしょうか。逆に永田町というのはインターネットに最も理解が少ない人が多いところ。比率から言ったら大分変わってきたと思います。5年前と比べたら少なくともインターネットの意味くらいは通じる人が増えてきた。その重要性も増えてきたと思います。そういう中にあって、インターネットに参加している人達と麻生太郎というのは多分結構においが似ているんですよ。なんとなく意味をわかってくれそうな、総務大臣もやったということもあるだろうし、あまりその種の話をはねてしまうのではなく、その人達と話が通じると思われる。時々返事を書くせいもあるのかもしれません。だけど、そういうのが結果としてあの世界でなんとなく人気が上がってきたということなのでしょうか。3年ぐらい前からそんな感じはしていましたが、それが総裁選挙になって、2メートルというのは誰かが書いた本に確か出てくるのでしょう。世の中、マスコミは物事を全て見てくれ9割で決めて、内容は1割しかないとよく売れた本がありましたよね。マスコミの人は一度熟読する値打ちがあるんじゃないかな。あの本の内容何やらを見ていても何となく今の時代というのは、2メートルというのはバーチャルであって、テレビから一方的に押しつけられた情報ではなくて、自分で検索して寄っていく情報ですから、インターネットというのは。そうすると何となく自分の方で距離が縮まっていくという感じになるのではないですかね。それでもバーチャルであることは間違いなく、それでも何となく一方的に放映されるニュースというのとは少し意味が違うという感じかな。
(問)党員票に何らかのプラスの影響があったかと思いますか。
(外務大臣)若い党員には影響があったかもしれません。あの種の事を扱える人達にとっては何らかの形で影響はあった。特に地方の方が、娯楽の絶対量が東京に比べて少ない。従ってインターネットを見る人の率が高いというのはあり得るでしょうね。
(問)党員投票が今日で終わり、明日が議員の投票になるのですが、最終的な議員に対する働きかけはあと数時間になりました。あと残りの明日までどう時間を使われますか。
(外務大臣)自分の手の内を全部話す訳がないではないですか。
(問)ロシアのサハリン2プロジェクトについて、ロシア政府が事業許可の取り消しを決定したのですが、日本政府の受け止めとこの対応についてはどうお考えでしょうか。
(外務大臣)基本的には民間プロジェクトで、三井と確かロイヤル・ダッチ・シェル。ロイヤル・ダッチ・シェルが55%、日本が40何%持っているプロジェクトで、基本的には民間のプロジェクトなのだと思っています。一番北の所から南の所までパイプ・ラインを引いて来て、最後の所から日本まで船で持ってくると記憶しています。そうなった時に環境やら何やらとなったのでしょうが、外務省として相談を開始しますが、これまで投資した金とかプロジェクトが取り消される理由等々は、一方的な話ですからよく分からないというのが正直な所です。
(問)外務省のホームページがアクセスしにくくなっているという情報があるのですが、それについて何か情報を把握されていますか。
(外務大臣)今朝からアクセスしにくくなっている。何回かに一度は閲覧が可能な状態であり、サーバーがダウンした状態ではないと思われる。非常に閲覧しにくい状態であると認められますので、調査します。
(問)一部では、中国が柳条湖に絡む記念日だとか、そういうサイバー・アタックではないかという観測があるので一応お聞きしたのですが。
(外務大臣)迂闊に返事はできません。
(外務大臣)閣議では、竹中総務大臣から大韓民国訪問について、中川農林水産大臣からはブラジル訪問の報告がありました。100歳以上の高齢者は1万5330人で、女性が1万2800人、男性は2400人。女性の最長年齢は113歳で、男性は110歳です。私の方からは小泉総理大臣のアジア欧州会合(ASEM)の報告をしました。沓掛公安委員長から、飲酒運転防止対策について、死亡事故は減っている中で、いろいろと今後取り組みを行うという話がありました。
(問)総理総裁になった場合の広報戦略ですが、小泉総理は毎日2回のぶら下がりをするというスタイルで話をされていましたが、大臣が総理総裁になった場合、どういうスタイルを取られますか。
(外務大臣)記者会見はできればゼロが一番の希望なのですが、そうもいかないでしょうから。総理で毎日していた人は誰かいらっしゃるのですか。ぶら下がりをしていたのは小泉総理が初めてでそれまではなかったのですか。考えていないから分かりません。
(問)自衛隊の海外派遣について、一般法の関係ですが、これに対する大臣のお考えをお願いします。
(外務大臣)自衛隊の恒久法というものについては、今まで色々な形で、最初にカンボジア、モザンビーク、ゴラン高原、東ティモール、インド洋、そしてイラクと、これが自衛隊がこれまでやってきた内容の主たるところだと思います。その度法律をやってきています。この種の話について、それなりの成果なりやってきた実績が上がってきていますから、そういうものを踏まえた上で、その度法律でやるのか。そういったものは緊急事態を要することもありますので、そういう意味では、ある程度そういうようなものを対象にした法律を作っておいた方が、やはり需要に応えられるかなという感じはします。正確に詰めたわけではありません。
(問)総裁選が残り5日間と終盤に入ったわけですが、これまでの手応えをお聞かせください。
(外務大臣)感覚ですから。夜目遠目笠の内より近くに寄った方がいいと、遠くより近くに寄った方がいいというなら、そちらの方がいいと思って感謝しなくてはいけないと思います。TVを通してや記者会見を通してではなく、芝居のように直接の反応がわかるという意味では街頭の方が直接反応がわかるという点においては、何となく手応えは今の方があります。
(問)安倍官房長官が非常に優勢だと言われている中で、谷垣氏との争いというのは大臣はどのようにご覧になっているのでしょうか。
(外務大臣)正直言って谷垣氏との話だけを考えているわけではありませんので、谷垣氏とどうかと言われても。
(問)昨日、地方6団体が3候補の地方分権の考え方についての公開質問状への回答を発表したのですが、麻生大臣と安倍氏の地方に対する考え方の違いが鮮明に出たかと思うのですが。
(外務大臣)どこが違うの。
(問)例えば国と地方の協議の場について。
(外務大臣)あれはすべきです。経済財政諮問会議と同じくらいに地方6団体との会合というのは、総務大臣の時にスタートさせた記憶があります。総務大臣との間での地方6団体との協議というのはあれ以降継続的にするように指示をして、そのまま定着していると思います。政府との会合というのは官房長官が議長になっていると思います。正確な記憶ではないのですがそう思います。あれは諮問会議と同じように総理大臣が議長というか主宰者で、総務大臣が司会みたいな方が、地方との関係をきちんと作るので、その方が良いのではないかと私自身はそう思います。
(問)安倍氏の参院選候補者の見直し発言が波紋を広げています。そんな中で昨日中川政調会長が、候補者の選定も含めて総裁の下に結束しなければいけないと安倍氏を擁護する発言をされています。総裁中心の見直しがいいのかそれとも難しいのか、麻生大臣の考えを改めてお聞かせ下さい。
(外務大臣)総裁選と違って、参議院に限らず公認候補を衆議院、参議院で選ぶにあたっては、党で一方的に決めるということにはなっていません。そして県連もしくは支部との間の関係というのはかなり密接に協議をして、その局長、幹事長というようなところは、県連幹事長、支部長というのをかなり打ち合わせをした上で決めていると思うので、それを変えるとなるとそれは然るべき手続きを踏まないといけないということだと思います。世論調査やら何やら色々なもので判断されていくのだと思いますし、まだ一年弱ありますのでその間に健康を害するとかどうしてもとか、まだまだ時間があるから全く変更がないとは思いません。然るべき了解を取った上でやらないと、党本部と県連がもめている時は統制はなかなか難しい。これまでの私の経験則からいくとそうですから、今回の参議院選に遮二無二勝とうと思うのであればきちんとその辺の詰めを、支部と党本部の間でしておかないとなかなか難しいと思います。選挙に勝つ勢いでやろうと思えば、そこのところの詰めはきちんとしなくてはいけないと思います。
(問)北朝鮮に対する金融制裁ですが、近々決定となるのでしょうか。
(外務大臣)19日だという報道が流れていますが、基本的には国連安保理決議1695号に書かれてある通りのことを今実施に移しているだけのことであって、国連決議1695をそのまま遵守して法的に実行するということです。それが19日に間に合うのか。総裁選が20日だからその前にという推測かもしれませんが、19日に決めて動いているわけではないと思います。
(外務大臣)閣議では、竹中総務大臣のフランス共和国及び英国訪問について、並びに平成19年度機構・定員等の要求について話がありました。同じく中馬行政改革担当大臣から同様の趣旨で機構・定員等の要求の話がありました。私からは平成19 年度の機構・定員等の要求について、外務省としても業務の効率化を図ってまいりますが、現在の外務省の定員・機構では全く不十分でありますので、重点分野として発言しました。小坂文部科学大臣からH-IIAロケット10号機の打ち上げについて。これで4機連続成功で、成功率は9割となり、世界最高水準になろうと思います。同じく松田科学技術担当大臣からも同様の趣旨の発言がありました。北側国土交通大臣からは、韓国訪問をし、日中韓観光大臣会合の報告がありました。安倍官房長官からは海外出張不在中の臨時代理等の話がありました。閣僚懇談会では、京都において世界28カ国の科学技術関係大臣会合等に参加された報告がありました。
(問)郵政造反組の復党についてですが、大臣はかねがねそれでいいのではないかということをおっしゃっていますが、その時期については10月の衆院補選が始まるまでにということは可能でしょうか。
(外務大臣)何回も言ったと思いますが、造反された方で無所属の方もいらっしゃるし、野党を結成された方もいらっしゃる。またその支部によって、条件も状況も違いますからそれは各支部においてよく話し合いをした上で話をして頂かないとと答えています。それが10月22日までに決着が着くところもあるでしょうし、着かないところもあると思います。支部によって色々あると思います。
(問)道路特定財源の一般財源化という問題ですが、これは年末の予算編成に向けて大きな争点となると思いますが、これについてはどうお考えですか。
(外務大臣)これについては百花繚乱ありますな。これは安倍氏は地方税にするか国税のままにするとか、これまでもいっぱいありますので、これは一つの話題にはなると思います。道路に対してお金を使うということで車に乗っている方々が自動車重量税、揮発油税だと色々な税金をいただいて、或いは使っているものですから、道路に使う目的に何らかの形で使っています。一般というのは道路以外に使う目的、福祉目的など。難しいだろうね。そんな簡単にはいかないと思います。払う方も納得しないと思います。
(問)なかなか一般財源化というのは。
(外務大臣)一般財源化というのは難しいと思います。
(問)それについて、環境税はどうかという議論も党内で挙がっているようですが。
(外務大臣)どんな車に乗っているのかは分かりませんが、今の車というのはハイブリット・カーという電気ですものね。ディーゼル等と比べると昔とは環境に対する影響力というのは格段に下がっていると思います。それを言うのは簡単にはいかないのではないかなと思います。理屈の上からは。
(問)谷垣氏と安倍氏との昨日の討論会で、日中国交回復の時に中国が国民を説得するために戦争指導者と一般国民を分けて考えて、賠償を放棄したという経緯があるということに対して、安倍氏はそういう文書は残っていないという発言をしたと思います。まずその安倍氏の発言に対するお考えとそれに対しての大臣のお考えをお聞かせ下さい。
(外務大臣)元々これは重慶における蒋介石の発言が最初だと記憶しています。1972年に周恩来が言ったことは蒋介石の言葉を使ったのだと思います。元々はもっと前に蒋介石が使った言葉だと記憶します。双方とも文書が残っていないというのが正しいと思います。ですから国民にその話をしたというのは蒋介石も周恩来も同じだと記憶しています。
(問)昨日、安倍官房長官が来年の参議院選挙の候補者の差し替えもあり得るという話をされたのですが、それについて大臣はどのようにお考えですか。
(外務大臣)これまで公認されている人を差し替えるというのはなかなか大変ですよ。公認されていない県もまだいくつもありますから。その他色々な理由があるからだと思いますが。公認を既にされている青票の方とか、情でなくても結構ですが。病気になったりよほど何かあるならともかく、既に公認が出ている人を1年で差し替えるというのは、なかなか難しいのではないですか。幹事長、幹事長代理に権限がおありだからそこのところはよく分かっておられると思います。そんな簡単な話だとは思いません。
(外務大臣)閣議では各大臣から話がありました。外務省としては懸案だった日本とフィリピンの間のEPA(経済協力協定・Economic Partnership Agreement)のサインが多分フィンランドで明日アロヨ大統領と小泉総理との間で行われることになりますという報告をしました。
(問)昨日まで日韓次官級協議が開かれ、日本側が呼びかけていた事前通報制度は引き続き協議するということになりましたが、今後この制度の実現に向けて日本政府としてはどのように韓国に働きかけていくお考えでしょうか。
(外務大臣)今まで通り「平和の海」ということできていますので、谷内外務次官と向こうの次官との間の協議というのは、極めて建設的、紳士的に事が進んでいますので、引き続きその方向で努力していきたいと思います。
(問)協議の中でその実現に向けた手応えというのは。
(外務大臣)感じています。
(外務大臣)閣議では、中馬担当大臣から公共サービス改革基本方針を定めるということで、公共サービス改革法の理念の実現のためにということでその主な内容について話があり、防災担当大臣からは9月1日の総合防災訓練についての結果報告が出ました。あとは出張される大臣方の話がありました。閣僚懇談会では、タウンミーティングについて、平成13年6月から開始したのですが先週末の八戸と横浜をもって合計174回、延べ6万8千人の方々に御参加を頂いたことになり、双方向の話をしたという形と全国各地で開かれたところがよかったのではないかというような感じがしています。
(外務大臣)今、ロシアとの関係が色々ありますので、御存知の通り外務省として地方の国際交流、国際協力の取組ということをやっていますが、そういった中にあってロシアとの関係においては、北方領土問題、漁業問題等々に加え、近年では環境問題、エネルギー、経済・人的交流等々色々な分野での接点が広がってきていますので、政府としては北海道、道内の市町村等々とこれまで以上に連絡を密にし、連携を強化する必要が高まっていると考えています。特に、8月16日に発生したロシア警備艇による銃撃・拿捕事件ということで、人命が失われるという事態が二度と起こらないよう万全の対応をしていくということだと思っていますので、地元関係者との連携を一層緊密に行っていきたいと思っています。そういう状況を踏まえて、北海道、道内の市町村その他関係団体と外務省との連携を良くするため、9月11日付をもって、欧州局ロシア課の下に「北海道連携推進室」を設置することにします。また、今回の銃撃・拿捕事件を受け、再発防止策の一環として、日露間の漁業協力の既存の枠組みを引き続き堅持していくということでは、金田副大臣とラヴロフ・ロシア外相との会合、また私とラヴロフ外相との電話等々で、これらのところをきちんとしていこうではないかということで、互恵的な形を維持していくことは決まっていますが、取締当局間の一層の協力、連携に努めていくことが重要だと考えています。この関連で申し上げれば、ロシア側は水産物の密漁・密輸出の取締を強化する姿勢を見せております。例えば今年に入ってからのロシア国境警備局の発表によれば、半年少々経っていますが、ロシア船を含む船舶に対して警告射撃を行い、拿捕した事例は12件、うち8隻はロシア船籍、3隻が他国、1隻が日本ということになっています。
(問)「北海道連携推進室」の人員の増員も考えていますか。
(外務大臣)取り急ぎロシア課6名が対応します。追々詰めていきますが、急いでやらなければいけないことですので。
(問)北朝鮮の金正日総書記が近く中国に入るのではないかという情報もあって、韓国の一部報道では北朝鮮の特別列車が中朝国境付近に停まっているという情報もあるのですが、政府はこれについて動向をどう見守っているのですか。
(外務大臣)中国政府と外務省アジア大洋州局の間の確認ではそのような事実はありません。
(問)もし仮に入られるという事実があれば、中国側にはどういった役割、会談を期待されるのでしょうか。
(外務大臣)他国が他国と会って何の話をするかということを私に聞かれてもわかりません。中国政府は公式に否定していますから。
(外務大臣)二階経済産業大臣から平成18年度の中小企業に対する特定補助金交付の方針についてと米国及びマレーシア出張の内容について報告がありました。竹中総務大臣から7月の労働力調査について。完全失業率が前月に比べて0.1ポイント低下して4.1%になりました。川崎厚生労働大臣から7月の有効求人倍率(季節調整値)が1.09倍とこれもまた0.01ポイント前月比より上がっています。同じく川崎厚生労働大臣から中華人民共和国訪問について。マレーシア及び韓国訪問について松田科学技術担当大臣から。これはASEAN+6の初めての科学技術閣僚会議というのが開催されることになったという話です。私から小泉総理のカザフスタン及びウズベキスタン訪問についての報告をしました。北側国土交通大臣のスロベニアとスロバキア訪問について。これはいずれも過去に閣僚が行ったことのない地域での戦略的外交の一環で行っていただきました。閣僚懇談会では、9月2日にタウンミーティングが青森と横浜で行われると全部で174回になり終わりの予定です。
(問)イランの核問題についてですが、提出期限を迎えました。今月中にも米国が制裁の決議をするという話をしていますが、日本としての立場をお聞かせ下さい。
(外務大臣)これは国連安保理決議1696の話からいくと、少なくともIAEA事務局長が報告書を出し、その報告書は現段階では非公開ということになっていますので、きちっとしたことを言える状況にはありません。ただし全体として言えることは、イランの回答というものは、昨日もアラグチ・イラン外務次官が持ってきたものと同じものですが、とても満足できる所謂IAEAの要求を満たしているというものではないということだけははっきりしていると思っています。今日、アラグチ・イラン外務次官と西田外務審議官との会談が行われていると思いますが、こういったような今の状況で何とも言える話ではありませんが、これがこのまま何もできないということになってくると、この安保理決議1696の中に国連憲章第7章第41条下の適当な措置を採択する意図を表明するということは、あの時の決議文に書いてありますので、色々な方向が今から考えられるのだと思います。いずれにしても今の時点で予断をすることは差し控えたいと思います。こちらも安保理の理事国としての立場がありますので、協議のプロセスに積極的に参加をしていくつもりです。ソラナ事務局長と向こうの担当であるラリジャニ・イラン最高安全保障委員会の事務局長が来週確か面会することになっていると思います。
(問)IAEAの報告書が出たことを受けて、米国のボルトン大使がEUや日本、その他の国々ができる制裁がある、安保理の行動を必要としない、金融面で多くの措置を考慮することは可能だという発言をされているようですが、その制裁の論議について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)だから予断を持って話すことはしないと言いました。それはできることは色々あります。確かにね。しかしそれをどうするかということに関しては、少なくとも合意ができるところできないところは色々国によって立場は違うと思います。
(問)今日9月1日に安倍官房長官が正式に総裁選出馬表明をして、政見を発表されると思いますが、3人で総裁選に臨まれる前の率直なお気持ちをお聞かせください。
(外務大臣)出る出るという新聞の予想と違って、安福対決なんてありませんと言ったにも関わらず安福と書いていた新聞もありましたが、安福の対決はありませんでした。今回も3人3人と言われていても本当に3人かなと、あまりあてにならない話だと思っていましたが、きちんと出されました。3人揃った、とそう私は思っています。ただ9月8日に20人揃った名簿をお出しにならないと実際にできませんから、揃えてきちんと出されるというところまではまだ確定とは言い難いと思います。ただそれぐらいきちんと詰めなくてはいけないという話です。そして政策発表が出るということは、それによって初めて政策の内容を見て色々な話ができるのであって、そういうものが出る前から、うちはこの人で行こうと政策発表を見ないで言うのは如何なものかと申し上げてきてました。何となく派閥単位で決めていくというのも如何なものですかと申し上げてきてました。9月1日に出されるということが決まりましたので、残り3週間の間にそれぞれの政策を比較して色々な話がされるように、全員がスタート台に揃ったということでいいことだと思います。