(外務大臣)本日の閣議に関して私の方から4点あります。第一に、8月1日実施の外務省の機構改革の為、外務省組織令の改正が決定されています。ポイントは二つ。一つは、経済協力局と国際社会協力部の一部を統合して「国際協力局」を創設します。もう一つは、アジア大洋州局に「南部アジア部」を設置します。いずれも閣議の了解を得ています。ODAの戦略的実施やアジア外交の体制強化等々、喫緊の課題でもありますので、大変異例ではありますが年度途中でやらせてもらいます。機構改革に踏み切ったということです。
次に定員・機構要求ですが、日本の外務省の定員は5500人で、中国より1700人少ない。英国、ドイツに比べても約2000人少なく、米国に比べると15000人くらい少ない状況です。また、日本に大使館を有している国のうち、日本が向こうに大使館がないという国が23ありまして、かなり貧しい所でも日本に大使館を有しているという状態です。アフリカを例に取れば、アフリカに53カ国ありますが、アフリカの中で日本の大使館があるのはその半分もありません。24カ国です。そういった中で、中国は45カ国に大使館を持っていますので、こういった点で大きな遅れを取っているということは事実だと思いますので、定員・機構改革の抜本的強化を図らない限りは、ただただ「中国に中国に」と言っても戦う武器の基本ができていないということだと思いますので、私共としましてはスクラップ・アンド・ビルドの制約の下ではなかなかこういった事はできない。従って、外務省の定員の拡充と在外公館の増強について特段の配慮をお願いしたい旨を申し上げました。
次にODA関連で、平成19年度予算概算要求のシーリングですが、今回のシーリングが厳しい歳出抑制の流れの中にありますのは御存知の通りですが、結果としてODA予算の削減は特記されませんでした。これによって、ODAの増額という国際公約に逆行しない内容が確保できたと考えています。今回のシーリングに基づいて、概算要求はもちろんですが、予算編成の過程において色々折衝してしっかり臨んでいきたいと考えています。
ドミニカ共和国の移住問題についてですが、早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話が今朝閣議決定されました。外務省としても、当時の対応をめぐり移住をされた皆さんに多大なご迷惑をおかけしたことを改めて反省し、お詫びを率直に申し上げたいと存じます。ただ今与党で議員立法が進行中だと思いますが、外務省としては特別一時金給付の法律成立後の実施に遺漏なきを期すると共に、移住者支援を拡大して、移住された方々との信頼回復に向けて参りたいと思っています。
閣議では、私の方から今申し上げた点の他、ミャンマーにおけるポリオの予防接種の件。並びに小泉総理のイスラエル、パレスチナ自治区、ヨルダン訪問及びG8・サンクトペテルブルグ・サミット出席について述べました。
竹中総務大臣から平成19年度定員・機構改革要求について。平成19年度予算の概算にあたっての基本方針について谷垣財務大臣から。同じく平成19年度の予算の概算要求の基本方針について、与謝野内閣府特命担当大臣、竹中総務大臣、総理大臣からありました。また、竹中総務大臣から政策評価の結果の概算要求への反映についての発言、並びに地方自治法第263条に基づく、いわゆる地方6団体から申し出があった地方分権推進に関する意見について、公式な答弁が出されております。沓掛国家公安委員長から平成18年度警察白書について。中川農林水産大臣及び二階経済産業大臣からWTOの関係で17日から19日までの訪問、更に23日、24日、28日、29日に引き続き「G6閣僚会合」を再度開催し、WTOのモダリティーを求めていきたいという話が両大臣からありました。小坂文部科学大臣から閣僚の外国訪問の戦略的実施の関係でウガンダ共和国を訪問され、同じくエジプト、アラブ首長国連邦の政府要人との会談についての報告がありました。猪口内閣府特命担当大臣から米国及び韓国訪問についての話がありました。額賀防衛庁長官のクウェート訪問について。人道復興支援法に基づき撤収をしていますので、私共も側嶋サマーワ事務所長始め派遣をしておりましたので、撤収にあたって金田外務副大臣に行っていただいておりますが、その関連の報告がありました。北側国土交通大臣から梅雨前線に伴う被害と国土交通省の話について報告があった後、閣僚懇談会では長野県の話として3カ月分の雨が3日で降った計算になるという話や大雨が今後拡散する方向にあること。また異常気象としては雨の話ばかり出ますが、5月の連休以降、日照時間最低、平均気温最低ということで、平成5年を更に上回るほど悪いという状況で作付状況はかなり厳しいものが予想されるという話が、農林関係の話題として出ました。以上です。
(問)機構改革の意義を短くお聞かせ下さい。
(外務大臣)機構改革に関しましては、今回、海外経済協力会議というものが内閣にできるのでそれに対応して外務省としてもODAに関して色々各地域で分かれていたり、経済協力局でしていたり、色々な形でODA、技術協力、JICA、無償、色々あったものを一本化するという決定が成されていますので、それに合わせて外務省の機構を改革するというのが一点。もう一点は、アジア大洋州局というのはインド、アジア大陸の方から東はニュージーランドまで、ものすごく幅が広い事をしていますので、今、インド経済、バングラデシュ等々、南西アジアというのは非常な勢いで皆伸びてきている所ではありますので、こういった地域を一つのアジア局でやるにはあまりにも担当が広く成り過ぎているという情況に鑑みて改革させて頂くということであります。
(問)昨日、昭和天皇の靖国神社参拝に関するメモの存在が明らかになりましたが、特にA級戦犯の合祀に関しての言及がその中でなされていますが、改めて大臣の今回のメモの内容についての受けとめをお聞かせください。
(外務大臣)富田元宮内庁長官が亡くなられて2、3年経ちますでしょうか。故人のメモに関して、そのメモについての感想というものを述べる立場にありません。
(問)その中で、特に合祀に関して、それが参拝に行かなくなった理由であるという部分がありまして、大臣は以前天皇参拝が実現できない理由として、まず公私の別という話をされていたと思うのですが、今もその考え方に変わりはないですか。
(外務大臣)はい。私は基本的にそう思っています。従って、その富田元宮内庁長官という亡くなられた方のメモが今何故かなとは思ったりはしますが、その事に関して個人的な発言をすることはありません。
(問)それはメモの信頼性がわからないということですか。
(外務大臣)どういう風に取られても結構ですが、天皇陛下や陛下の話を政治に巻き込みたいというような意図が感じられますのでお答えすることはありません。
(外務大臣)北側国土交通大臣の中国訪問について、同じく中馬行革担当大臣の中国訪問、唐家セン中国国務委員との会談の話がありました。与謝野金融・経済財政担当大臣から平成18年度の年次経済財政報告についての説明がありました。
(問)北朝鮮に対する国内的な追加的な制裁措置ですが、今9項目ありますが更に追加的措置が必要かとお考えですか。その場合、どの程度までやられるということをお考えですか。
(外務大臣)北朝鮮の対応というところを見ないと何とも今の段階から・・・。決議が出た後45分後に拒否の声明はしておられますが、現実問題としてどういった形が北朝鮮で取られるかというのは今からですから、それを見た上でないと、まだやる前から更に何とかという話にはならないと思います。
(問)北朝鮮の対応というものを見ていかなければいけないと思うのですが、決議にはミサイルに関連した資金の移動の阻止というものも盛り込まれているわけで、それを受けた形での措置というのは今後しなければいけないのかなと思うのですが。
(外務大臣)ミサイルに関連する技術というのは、色々なものがあって日本では民生品で売っているものも沢山ありますから、そういったようなものをどういう具合に扱っていくかというのは詰めていかなければいけないところだとは思います。その点についての細目はむしろ防衛庁や経済産業省の方が詳しいところだと思います。
(問)改正外為法の適用というのは何かあるのでしょうか。
(外務大臣)先ほどの質問と同じでどの段階でそれがテーブルの上に上がってくるのか、実施に移すのかというのは今からの検討です。これは色々あります。
(問)次の国際舞台で北朝鮮と日本、関係国が一堂に会する場がARF(ASEAN地域フォーラム)になるかと思いますが、その場で北朝鮮に対して日本としてはどのような働きかけをしていきたいと大臣としてお考えでしょうか。
(外務大臣)基本的には非難決議の声明と同様に六者協議の無条件即時復帰です。これが一番。これ以外に今北朝鮮としての方法はないと思います。米国との直接交渉というものを望んでいるのだと思いますが、それをやるためには六者協議に戻らない限りは、ということでしょう。米国の場合は、前の政権の時には直接交渉をやって、少なくともオルブライト国務長官(当時)という人は平壌まで行ったわけですが、結果どうなったかと言うと、きれいに騙された訳でしょ。それが歴史ですから。経験則を踏まえればそれが何を意味するか。だから、六者協議で、皆の所でしかやらないというのが今の政権の言い方。この5年間はそのやり方をしてきていますから、今更直接交渉と言われても、六者協議の場でやる直接交渉というのはありますよ。六者協議に出てきた上で、米国と北朝鮮が脇の方で2者で等、色々な考え方はありますが、六者協議に出ないで米国とだけやりますというのに米国が応じる確率はほとんどないと思います。
(問)白南淳外相と直接会談するお考えはありますか。
(外務大臣)可能性はないです。
(問)サマーワの自衛隊の撤収が完了しましたが、改めて無事完了したということについてと今後どのような支援を継続していくことになるのでしょうか。
(外務大臣)2年半にわたって陸上自衛隊が、延べ人数6000人を超えると思いますが、いずれも犠牲者を出さずに無事撤収完了したというのは誠に喜ばしいことだと、まず基本的にはそう思います。外務省から行っていた人も無事撤収をしています。これ以後、航空自衛隊がバグダッド等々への輸送をやるということになるのだと思います。その他に、治安がどれぐらい落ち着いてくるか、地域によって違うところもありますので、安全の確保というところができるとODAや民間による色々な、PKOはじめ色々な支援が出来るような状況になれば、円借款、無償、色々なものが既に準備されていますが、それが逐次実行に移されていくということになるのだと思います。
(問)イラクへの支援にPKOとおっしゃられましたが、PKOを派遣するお考えが今のところあるということですか。
(外務大臣)治安が落ち着いてきて、どれくらいでPKOが出られるような状況になるかというのを今の段階で予測出来るわけではありません。ただ将来では、そういった方向で考えるべきなのだと思います。
(問)今週、今度は安保理の方でイランの問題が上がってくると思いますが、これについての日本政府の対応というのは。
(外務大臣)イランの話は少なくともG8の内の、G6はこれに最大の関心がある。地理的にも近いので当然だと思います。そのイランの話について、今、ソラナEU上級代表が色々交渉の最中だと思います。その交渉の内容を見守らないと何とも言えないと思いますが、ソラナ案というかEU3+3案など色々な表現がありますが、あの案というものをどういった形でイラン側が、最初から拒否するのか、その内容をもう少しという話になるのか、そこのところの経緯が裏でどうなっているのか。G8のモスクワまではわかっていましたが、その後は北朝鮮の話にこちらは集中しましたので、ソラナ案がその後イランとの間でどういった形で、表に見えない所がありますので、ラリジャニ・イラン最高安全保障最高評議会書記とソラナEU上級代表の交渉の結果がよく見えません。
(外務大臣)今朝日本時間で午前4時45分、現地時間ニューヨークの昨日夕方の15時45分に、日本が北朝鮮のミサイル発射に関する安保理決議が全会一致で採択されました。北朝鮮に対する国際社会からの断固たるメッセージであると北朝鮮には感じてもらわなければならないところです。直ちにミサイル開発の停止とミサイルモラトリアムに復帰することを求めます。
日本がニューヨーク時間5日午後に本件決議案を安保理に提出してから10日間、日本からもいろいろな外務大臣に電話をかけたり、安保理非常任理事国の在京大使と交渉したり、色々協議を続けてきましたが、この10日間、日夜を違わず議論を重ねてきたところではありますが、この努力は、全会一致という一カ国の反対もなく安保理を通過し採択されたことを私共は歓迎し、また14カ国各国のご努力に感謝をするところです。
本日採択されたこの安保理決議は拘束力のある強い決議です。日本は、北朝鮮が本件決議案及びその決議の背後にある国際社会の声を重く受け止めて、自国の義務を履行し、ミサイル発射モラトリアムに改めて復帰し、それに従った行動を取ることを求めます。同時に弾道ミサイルの開発等を直ちに停止し、早期かつ無条件に6者会合に復帰することを強く求めたいと思います。
(問)国連憲章7章の明記がなかったことについて、この決議の見方がいろいろと出ているのですが、その辺については大臣いかがでしょうか?
(外務大臣)まだ全文は訳されていませんけれども、ここに書いてある1から7まで、ずっと日本が最初に提出した1から7までの文章は全部入ったまま。最初の出だしのところだけが、いわゆる各国の国際社会の平和と安全の保障のためにということになりました。前文が変わったということであって拘束力は変わっていないと思っています。また、今、言われたように7章というものに関してこの7章があるがために、全会一致ができないという時に、7章をとって遮二無二とって全会一致ではないようにするか、または7章を外して全会一致を選ぶかという選択を迫られて、我々はより強いメッセージは全会一致の方にあると理解しております。
(問)今後の対応ですが、金融資産の移転について具体的な検討を政府としても始めると思いますが、そのいわゆる金融制裁について今後どういった検討を進める考えですか。
(外務大臣)それはちょっと今からの事務的な話になりますので、今のこの段階で言える話ではありませんが、いわゆる売ったり買ったりするということは出来ないことなどが入ってきますが、今からいろいろ具体的な話、事務方の話を後で担当に聞いてください。
(問)北朝鮮を交渉のテーブルに戻すために、日本政府として具体的にどのような行動を考えているのでしょうか。
(外務大臣)既に出されている行動というものをどう受け止めてくるかという、向こうの対応によってこれから検討させていただきます。
(問)日本外交として今回成功したとお考えでしょうか。
(外務大臣)各国、いろいろと努力して頂いたし、私どもとしては少なくとも日本から提出した決議文というものが全会一致で通るということになったということに関しては各国の協力に感謝したいと思っています。
(外務大臣)閣議では、橋本龍太郎元総理の葬儀に関して、葬儀委員長等々の内容説明がありました。執行につきましても無宗教形式等々の話が、官房長官としてまた内閣総理大臣臨時代理として発言がありました。IT担当の松田大臣から、7月11日から13日にかけて中国を訪問するという話がありました。中川農林水産大臣のモンゴル出張の報告がありました。モンゴル建国800年の話、モンゴルの灌漑と土壌管理の技術的な改善等々の話でモンゴル開発イニシアティブに基づく生産から販売までの支援を対象とすることを話したそうです。
(問)安保理ですが、中露側からの歩み寄りは見られるのでしょうか。
(外務大臣)少なくとも中露が議長声明から、自分達なりの決議案を出されたというのは一つの歩み寄りと評価できることは確かだと思います。
(問)決議案の中身についての歩み寄りについては如何お考えでしょうか。
(外務大臣)今、中露の決議案が出されたから、日本はじめとする国の決議案というのは崩されて中露案に流れているかの如くの報道がありますが、そんな御指摘は全く当たっていません。今、8カ国の共同提案で出した決議案というのを早期に採決というのが日本の姿勢で、米国、日本共、この姿勢は全く変わっていないということです。
(問)日本などが出している8カ国の決議案に対して、中露側というのが日本側に歩み寄ってくるような姿勢があるのですか。
(外務大臣)言ったとおり議長声明を決議案に上げるというところが一つの歩み寄りということだとは思います。これから先は日本的に言えば、政務調査会で決めた基本方針等を出したところ、議運、国対で色々話しているという話です。マスコミの皆さんにはわかると思って説明しているのですが、今はそういう段階です。国対のプロが、この文章はこちらに差し替えて何とかかんとかと、普通の日本語が分かっていてもなかなかついていけないような話ですけれども、今しているのは正にそういったところの技術的な話で、こうだったらこちらの顔が立つとか立たないとかよくするじゃないですか、あれと同じような話は世界中でやるんです。何も国連だけに限った話ではない。この種の大きな決議をまとめようと思ったらそういうことをする。
(問)どこかで落とし所を探るために双方が妥協点を探っているという理解でよろしいですか。
(外務大臣)決議案を何らかの形でまとめるというのは、双方である程度、100点満点は両方は取れないわけですから、双方で譲って満足するべきところでやっていくというのが常識です。
(問)日本側としても中露側に多少何らかの歩み寄りを見せる姿勢をこれから示すということになりますか。
(外務大臣)向こう側が譲れない点、こちら側が譲れない点がありますから、それはさっきも言ったように、議運と国対の話だということであって、日本としては基本的に他の国と比べてこちらは脅威の度合いが全く違います。隣国ですから、うちは。
(問)サミット前に決着を目指すという方針に変わりはないですか。
(外務大臣)ありません。少なくともブッシュ・胡錦濤会談の前までには決着をつけて・・・。
(問)「国会延長」はしないのですか。
(外務大臣)時差がずれますので、後になったり先になったりするのですが、金曜日に決着。ニューヨークは金曜日から再開して始めるのだと思います。
(問)中身について具体的に国連憲章第7章の明記であるとか、あるいは制裁の措置についての考え方について、中露案と日米案というのは隔たりがあると思うのですが、その辺は折り合いをどうつけていくのですか。
(外務大臣)そういうことは所謂英語のプロが、大体こういうのは常に最後は英国が文を作るのですが、母国語ですから当然だと思います。この種の文章は最後に英国が色々文章の妥協案や修正案を考えるのが大体通常です。今回も同じように、ベケット外務大臣とライス国務長官の2人というのが主に、英語を使える国二つですから、そこらのところがやっていく可能性が一番大きいと思います。日本としては、今まで一週間少々経ちましたけれども、その間日本が出した提案を我々が修正とか取り下げるというような発言をしたことは一回もありません。少なくとも現場ではその種の発言は全く行われていません。日本の新聞には修正案が出てますけどもね。
(問)大臣は昨日も決議案には国連憲章第7章が入っていなければ何が何でもダメだと言ったと聞いたのですが、そのお考えには変わりはないですか。
(外務大臣)変わりはありません。
(問)金曜日の決着と先程おっしゃいましたが、現地時間は今もう夜に入って、日本時間の今夜からまた現場で始まると思うのですが、その際にはいずれの場合でも採決を目指すということですか。
(外務大臣)そうです。採決を目指す。サミットが始まるまでの採決。イランもありますから、採決の話は。こっちは打たれているのですから。向こうはまだ核があるかないか分からない。こっちは持っていると自分で宣言してミサイルを撃ったという国と、今から核を作るために遠心分離器をどうこうという国では危険度の度数から言ったら、北朝鮮の方がはるかに度数が高いんだから、こちらの方が採決が先なのは当然です。
(外務大臣)コンゴ民主共和国が初めて選挙をすることになりますので、これに監視要員を外務省から派遣するという話をしました。
ゴラン高原の国際平和協力業務の期間を平成19年3月31日まで延長することになったことに伴い、関係政令の改正を行う話をしました。
環境大臣から京都議定書の目標達成計画の一部変更についての報告がありました。同じく二階経済産業大臣から同趣旨の話がありました。官房長官からは、秋篠宮文仁親王の眞子内親王殿下が来る8月3日から16日までのご予定でオーストリアに御旅行になるという話がありました。
(外務大臣)北朝鮮のミサイルに関する安保理の決議案につきましては、既に昨晩遅くまで私につきあった方は御存知と思いますが、ライス米国務長官と色々長いこと電話で話をさせていただいて、安保理決議案の採択を追求する基本的な姿勢を改めて確認した上で、北朝鮮に対する中国の外交的努力を見守る時間を与えることが適当という認識で一致しました。そのため、暫時、安保理決議案の採択を求めないこととしています。引き続き、日米間で密接な連携を本件に関してしていく考えです。
(問)今回のミサイル発射に対する非難なりの対応と、中国の武大偉外交部副部長が訪朝して六者協議を働きかけるという話は、本来別の話という方向でやってきたと思うのですが、そういう対応になったのはどうしてなのでしょうか。
(外務大臣)六者協議の内容を読んでもらうと、一番最後はミサイルに関する話が載っていると思います。従って、日朝平壌宣言に違反しているという話とこのミサイルの話は直接関係してきますので、全然別の話で交渉に行くという感じではありません。六者協議に戻ってくるという話は、ミサイルの件に限りませんが、ミサイルも六者協議の対象に含まれていますから、別段特に違う話ではありません。
(問)中国が日本の制裁決議案から制裁部分を取り除いた議長声明を改めて提示してきましたが、その一方で非難決議化されても反対をしないという意向も表明していますが、その中国の姿勢に対して今後日本はどのような態度で臨みますか。
(外務大臣)この種の話は、武大偉副部長が北朝鮮に昨日から行っているので、その交渉の内容を見ないと何とも言えません。どういう答を引き出してくるのか。基本的には時間を与えてあげる。うちは決議案。米国も英国も決議案。然るべき内容でない限り決議案。議長声明ではありません。従って、決議案というものを引っ込めるというなら、それなりに向こうはきちんとした対応を出しますから。出せなければ決議案という話ですから。これは中国に時間が与えられているという事ですから、交渉する中国と交渉される北朝鮮との間の答の結果を見ないと、仮定の前提ではなかなか答えにくいです。
(問)交渉の結果を見るということですが、長々と伸ばされて国連での決議のタイミングを逸するという可能性もあると思いますが、大臣は昨日、工作される可能性もあるので出来るだけ早くとおっしゃっていました。大体、何日くらいがタイムリミットだとお考えですか。
(外務大臣)G8サミットが15日にありますし、それまでには決着を付けないと開催国としては甚だ困ることになるというのが常識的だと思います。その前に、EU3+3(米国、ロシア、中国)の会合が確かその前の12日にパリで開かれます。その場で米国、中国が皆会うことになりますから、そこで色々考えられると思います。終わりは決まっている話ではあると思いますけれども、私達は一日延ばすだけ緊張感が揺らいでくる。また更には決議案ではないようにしようという色々な根回し、交渉等々が見えない所で進む可能性がありますから、それに対応しておかないと。気が付いてみたら過半数がどうのこうのという話になりかねないというところが私共としては一番気がかりなところですから、時間的には急いだ方がいいというのが日本の基本的な立場です。
(問)先程の大臣の発言で、中国が北朝鮮との説得の関連で、決議案を出さない、引っ込めるというようなことをおっしゃいましたか。
(外務大臣)決議案は出るんです。どのみち決議案は出ます。
(問)中国の説得如何によっても決議案を出すということについては変わらないということですか。
(外務大臣)決議案は出ます。間違いなく。決議案をどういったものにするかという内容に差は出るけれども、決議案を出さないなんてことはありません。決議案は出す。その内容が問題だということです。
(問)中国の説得次第によって、決議案の中身については調整するということですか。
(外務大臣)それは決議案の中で変えられる可能性は十分にある。ただ基本的には、ものすごく難しく英語で書いてありますので、日本語で訳すと更にわからなくなるような言葉になっていますが、簡単に言えば、ミサイルに関する技術を売ってもだめ、買ってもだめというところが一番肝心なところです。あの文章で一番長く書いてあるところは、そこの表現です。
(問)決議案の内容について、制裁の部分を入れたままという方針に変わりはないですか。
(外務大臣)そうです。決議案の基本を変えるつもりはありません。
(問)変えられる部分というのはどういった部分になりますか。
(外務大臣)向こうの答がわからないと何とも言えません。
(問)決議の採択は延期される方向のようですが、如何ですか。
(外務大臣)基本的には、日本とアメリカと相談をして、中国は北朝鮮に人を送って今北朝鮮を色々と説得をするという話をしていますので、その説得する時間をある程度与えた上で議案を採択する、従って決議案の採択ということに関しては日米全く変わっていません。更にその採択をする日にちについては、中国が北朝鮮を説得する時間を、という話をしていますので。まあ、これは中国が前から言っている話なのですが、その点については時間を与える。但し、それは決議文の採択の話なのであって、議長声明ということに関しては、日米共にそれを呑むことはない、というのが今回日米で一致した見解です。
(問)与える時間というのはどの位を考えていらっしゃいますか。
(外務大臣)そうですね、暫時、としか答えようがないですね、これは。今、中国がどれ位かかるか分かりませんけど。サミットもありますし、その前にはEU3+3もありますし、時間はそんなにないと思います。だからどれ位かと言われると日にちが24時間とか、48時間とか、今日明日中というのは一寸難しいと思います。
(問)大臣は今ライス国務長官と電話会談されたんですか。
(外務大臣)そうです。
(問)他にはどんな国と電話会談をされたんでしょうか。1ヶ国とだけですか。
(外務大臣)ずっとアメリカです。
(問)大臣、これまで引き延ばしはされないという風におっしゃっておられましたけれども、今回することになったことについてはどのように。
(外務大臣)中国に外交的努力を北朝鮮に対して行う時間を与えるということです。
(外務大臣)東ティモールに対する緊急無償資金協力が今日の閣議で通っています。国連児童基金(UNICEF)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国際移住機関(IOM)、国連開発計画(UNDP)等々に緊急無償資金援助をすることを決めています。
(外務大臣)閣議に関しては、主に今の話を私の方からさせて頂きました。中川農林水産大臣の方から、WTOに関する途中経過の報告がありました。官房長官の方から、弾道ミサイルに対する当面の対応という話がありました。
(問)中国の武大偉外交部副部長が非公式に六者協議再開に向けて働きかけをしていると思うのですが、日本としてはどう対応するおつもりですか。
(外務大臣)非公式の六者協議は出来るならした方が良いのではないでしょうか。接点がないというのがあれなのですから、出来ることならされた方がいいと思います。
(問)今日から佐々江アジア大洋州局長が北京に行かれるということですが、米国のヒル国務次官補も北京入りします。当然、佐々江局長はヒル国務次官補と何らかの接触を持つと思うのですが。
(外務大臣)示し合わせてこの時間に合わせて行ったわけではありませんから、どういう日程になっているかは詳しく知りませんが、時間的に可能であるなら当然会う確率は高いと思います。
(問)武大偉外交部副部長はどのような要請をしているのでしょうか。
(外務大臣)武大偉副部長からは基本的には、米朝を含めて、六者会談等々をという話なのだと思いますが、今のような状況で、とにかく話が全然見えて来ませんから、そういった中で会って話をするということが大事なのだと思います。武大偉副部長の方も同じような感じで話し合おうというので、北朝鮮と中国との関係が今どのような関係になっているのかよく見えてこないのですがね。
(問)国連の安保理の協議が始まりましたが、予想通り中国とロシアが制裁について慎重な姿勢を示していますが、今後日本としてどういった働きかけをしていくのでしょうか。
(外務大臣)迅速という言葉をよく使うのですが、早めに出すというのが大事なところだと思いますが、迅速になれば内容が薄まるということとある程度同義語になるので、迅速且つ厳しい対応ということが大事なので、今の関係でいくと、ニューヨーク時間の6日11時30分から専門家会合というものが開催されて、決議案に関する協議というものが行われているのだと思います。内容について詳しいことは言えませんが、ロシア、中国以外の13カ国に関しましては、決議案というものに関して賛成していて、その2カ国は確か議長声明ということを述べているということは知っています。そこのところは今から残りの13カ国で決議をすりあわせ、採択をすることになるのでしょうが、決議を採択することで内容が妙に弱まるというところとの計算が、駆け引きというところの範疇だと思います。
(問)強いメッセージを発していくということは多分一致すると思うのですが、議長声明に落としても強いメッセージが織り込めればそれでもいいということですか。
(外務大臣)いや、決議採択ということと議長声明で重さが違います。
(問)引き続き決議採択を求めるということですか。
(外務大臣)そうです。
(問)北朝鮮がまた更にミサイル発射の準備を進めているという情報も入っているようですが、今どういった状況でしょうか。
(外務大臣)それはちょっと何とも言えません。どこかに「実験」と書いてありましたが、普通、実験は夜中にやりませんから。普通、軍事演習くらいに考えておかないと。というのは、軍事的なことに詳しい人なら皆そのくらいに考えると思っています。もう1回ないという保証はなく、逆に有り得ると思っておくことが正しいと思います。
(問)やはりテポドン2号の可能性があるということですか。つまり、失敗したから。
(外務大臣)3回目の分が失敗というのが正確な分析なのか、そこのところの見方は軍事のプロじゃないと何とも言えませんが、そういった面を見ますと、昨日の7回の内の3回目の部分がテポドン。発射した地域から逆算してテポドンということになるのだと思いますが、その部分が失敗をしたという前提に立つと、もう1回やり得るという可能性は高いと思っていた方が、軍関係の常識から言ったらそういうことになるのだと思います。あり得ると思います。
(問)平壌で宋日昊(ソン・イルホ)外務省副局長が今回のミサイル発射について、平壌宣言違反ではないと断言できると話しているのですが。
(外務大臣)全然見解が違うと思います。
(問)今日夕方の臨時閣議で「骨太の方針2006」が決定されますが、その中に今後5年間14兆円の歳出削減ということや、公共事業費の予算が盛り込まれています。9月に政権が変わりますが、この「骨太の方針2006」に則って次の政権も財政規律に忠実にすべきだとお考えになりますか。
(外務大臣)次の政権に聞いてください。基本的には全然違うことを考えられることになるかもしれませんから何とも言えません。常識的には、政党が継続していれば、前の政権で約束していたのが続くのが常識ではあります。社長が替わったから次の社長が全然違うことを考えるということも有り得るでしょうが、閣議で決まっていますから、一応。
(外務大臣)本日、午後9時10分からライス国務長官と2回目の電話会談を行っております。今朝午前10時40分くらいからライス国務長官と電話で話をした時に、今後の打ち合わせをもう一回詰めなければいけない、という話を受けて先方から電話の要請がありましたものですから、この2回目の電話を行ったということです。私の方からは、中国、ロシア、フランス、韓国の外務大臣とそれぞれ電話で会談を行った内容を報告しています。ライス長官の方も中国、ロシアとの会談を行っておられますので、その内容について双方で裏のすりあわせができあがるということでは、非常に有意義であったと思っております。
また、国連の安保理を開いてもらうという話ですけれどもこれは15ヵ国が一挙に集まるというのは結構大変な作業なのですが、少なくとも今回は、今から1時間後くらいになるでしょうか、NY時間で本日の午前10時ということになりますが、国連の安保理が開かれることになりました。そのような場でこの問題が討議されることになったので、日本としては、ぜひその場において、この北朝鮮の話というのは、基本的には所謂大量破壊兵器というものが拡散することを意味しておりますから、そういう問題は日本一国の問題ではないのであって、ぜひ関係諸国、少なくとも世界中大きな問題として取り上げるべきであるということ等々、色々とこの安保理で話し合ってもらう方がより効果があるのであって、日本一国がアメリカとだけ、とか、また、どどことだけ、という話でやるべき話ではないのではないかと。また、ロシアも自分の国の沿岸部に着弾しているという実態は深刻な話になっているということであると思っています。また安保理の場において各国色々な話をレビューすることになると思いますけれども、レビューというか色々と自分たちで意見を述べ合うことになると思います。少なくともヨーロッパの国々にとってはイランというのが非常に身近なところにあるわけですけれども、この北朝鮮の話というのはG8のモスクワでも色々話題にしたところではありますけれども、現実としてはこのイランよりは北朝鮮のミサイルの話の方が現実問題になったということなんだと思っていますので、各国とも事態の深刻さというのはそれなりに感じているというのが今回の電話会談で私どもが感じたところです。今申し上げたところが今の状況なのであって、今後、さらにどのような対応をしていくかは、もう少し相手の状況を見て、特に国連安保理の中の決議とか討論の内容を見てさらに検討していかなければならないと思っています。
(問)先週のG8外相会議でも、日米英が連携して国際社会で北朝鮮の問題を扱ったわけですけれども、今回、安保理の舞台で日本としてはどういった安保理からのメッセージが出ることを期待しますか。
(外務大臣)「少なくとも大量破壊兵器の拡散という問題は、これは世界にとって何もイランとか北朝鮮に限った話ではないのであって、こういった問題が世界の問題としてまず議論をしてもらうのはすごく大事だと思っています。しかもこの技術が非合法に輸出されていく事態というのはこれは由々しき問題なのであって、是非こういった、世界にとって明日は我が身という話になり得る可能性のある話は、安保理という場で議論されるに最も相応しい問題の一つではないかと思います。
(問)少なくとも日米共同で決議案を提出する方向になるのでしょうか。
(外務大臣)これはちょっと議論をしてみないと何ともその内容がどういった形で出てくるかは、まあ大体G8というのはいろいろ議論が分かれるところ、またP5の中でも意見の分かれる問題ではあろうと思います。少なくとも日本とアメリカとの関係というのは、緊密に連絡を取りあってこれまでもやってきましたし、さっきの電話でもさらに緊密に連絡を取り合っていこうという話がありましたので、それに応えてどもの方としてもきちんと連絡を密にする、齟齬をきたさないようにする、そういった努力が必要なんだと思います。一番近いのが日本、韓国の方がもっと近いのかも知れませんが、そういった国々にとっては深刻の度合いが、やっぱり距離的な問題というのが確かにあります。我々はイランと言われると何となく遠いような気がしますけれども、やっぱりヨーロッパの国々にとっては非常に身近な、どうしてもそういった意識というのは人間の感情としてあるんだと思いますけれども、今の時代というのはこれがどんどん拡散されていくということが最も危険の可能性が多いと思っていますので、対応を冷静に且つきちんと詰めていかないと。何となく自分の話ではないやと思っていたら自分のところに荷が降りかかってくるということになり得るということが一番危惧するところだと思います。
(外務大臣)本日、午前10時45分から、米国側の意見で日米外相電話会談を行っています。この会談において、日本の方から、シーファー大使をはじめとして米国側との間で緊密な情報交換が行われていることに感謝をし、今般の北朝鮮による弾道ミサイル等の発射は極めて憂慮すべきもので、北朝鮮に厳重に抗議した旨を述べています。更に、私の方から、万景峰号の入港禁止など、日本が本件に対して現在検討中である制裁処置について説明しました。これに対して、ライス国務長官から、北朝鮮の今回の挑発的な行為については、全く遺憾であり、関係国が一致して強いメッセージを出すことが重要である旨を述べておられます。私とライス長官としては、国連安保理における対応も含めて、今後の対応につき緊密に協議していくことで一致したというのが、新しい話です。
(問)この後、2回目の安保理会議が開かれますが、どういった事を話し合うのでしょうか。
(外務大臣)基本的には、今の米国との話や、外務省の立場としては、今、ヨーロッパは夜中ですから、フランス、イギリス等々とこの問題について、明日ニューヨーク時間の午前10時から安保理が開かれることになっています。それまでに日本としてこの北朝鮮の問題というものを取り上げるようにという話や、実際に色々な制裁理由、措置についての意見ということが話し合われると思います。
(問)北朝鮮への抗議はもう済ませられたということですが、何時頃ですか。
(外務大臣)既に終わりました。
(問)それに対する反応というのは北朝鮮側からは。
(外務大臣)ありません。
(問)万景峰号は今、新潟の沖に停泊していますが、これに対する対応というのは。
(外務大臣)入港は出来ませんが、どこかの高校が乗っているとのことで、これは別なのではないか等々の意見が今言われているところです。
(外務大臣)本日未明より複数回にわたり、北朝鮮からテポドンを含む弾道ミサイル、又は何らかの飛翔体が発射されております。政府としての当面の対応ぶりにつきましては、官房長官が先程声明で発表されたとおりです。外務省としては本日午前5時に緊急対策本部を立ち上げ、関係省庁と共に対応に遺漏無きを期すべく体制を整えたところです。北朝鮮による飛翔体の発射は、国際社会において厳しく糾弾されるべきものであり、日朝平壌宣言に違反するということになります。北朝鮮に対しては、既に北京ルートで厳重なる抗議を申し入れるよう自分より指示を行っております。また、国際社会全体としての対応が極めて重要だと思いますので、六者会合参加国をはじめとする関係各国との連携を進めていく考えです。既に日米同盟に基づく米国との緊密な協力、連携の一環として、ライス国務長官とも早急に協議を行う予定です。また、安保理常任理事国の各国外相との協議を行います。さらに国連安保理における対応ぶりについては、既に安保理会合の招集を要請をしたというのが現状です。
(問)今、大臣がお話になられた中で、テポドンと思われる弾道ミサイルとありましたけれども、テポドンと確認されたのでしょうか。
(外務大臣)されております。
(問)それは、テポドンIIですか。
(外務大臣)と思われます。
(問)3発目に発射されたものがテポドンIIですか。
(外務大臣)と思われます。
(問)ミサイルは何発発射されたのですか。
(外務大臣)6発です。
(問)今後の対応ですが、今、安保理の招集について要請したということですが、基本的にその安保理と六者の枠組みの二つの国際社会の連立という形になるんでしょうか。
(外務大臣)六者の連携ということになります。
(問)同時に安保理についても。
(外務大臣)安保理についてもあげていくということになります。安保理の開催を要請したということです。
(問)今回の発射の直前に何らかの兆候はありましたでしょうか。
(外務大臣)特にこれといった兆候というのは、ずっと一連のものが続いていましたから、それから類推するしか他に方法はありませんが、色々な準備段階から、かなり早い段階から、一週間くらいになりましたかね。
(問)特定船舶入港禁止等の経済制裁措置は今日中に発動するのでしょうか。
(外務大臣)その可能性は高いと思います。
(問)次のミサイルの心配はありますか。警戒態勢をどう取られますか。
(外務大臣)今の警戒態勢はそのまま現状続けるということになるでしょう。むしろそれは防衛庁の方、と思いますが。
(問)今、分析中だと思うのですが、この時期に北朝鮮がミサイル発射に踏み切ったということを日本政府としてどのように受け止めていますか。どのように分析していますか。
(外務大臣)どうでしょうね。この前のG8の外相会合以来この話はずっとしてきているところですが、G8の中で日本、米国等々はイランのミサイルの話が当時の主題でしたが、ヨーロッパの国が多いので当然ではありますが、日本としては地理的にも北朝鮮の方がよほど深刻、こちらの方が確率は極めて高いということを現状を言い続けてきていましたし、事実、声明の中にもそれが織り込まれる形になっていますので、そういった意味ではこの兆候はあったと言えば、いつか発射する可能性というのはあの当時からずっと続いてはいたと思っています。ただ現実問題として5発とか6発という感じであの段階で撃つということを予想していたわけではありません。
(問)米国の独立記念日にこういう挑発行為をするということに対する北朝鮮の狙いをどう思いますか。
(外務大臣)今日は確か誰かの記念日でしたよね。7月5日は何かの日だと思いましたけれども、ちょっとそこのところは、それに合わせているかどうかというと想像の域を出ませんけど。
(問)韓国の調査船が竹島の海域の領域に入った時間帯とも重なるのですが。
(外務大臣)連携しているかどうかということですか。ちょっとそこのところは想像の域でしかありませんので、何とも言えません。
(問)残りの4発のミサイルについて、どのようなミサイルだと聞かれていますか。
(外務大臣)距離や方向等を見ていますと、方向としてはむしろロシア領に近い方に発射されていると思われますので、通常の方向に、狙った方向にミサイルが飛んでいったと思われますけれども、このテポドンにつきましては、狙っている角度が違いますので、そういう意味ではテポドンと思われるものにつきましては、飛行距離を確保できなかったのかなという感じがします。
(問)先ほど入港禁止法案が出ましたが、改正外為法による送金や貿易の禁止等も今日発動されるのでしょうか。
(外務大臣)可能性はあります。
(外務大臣)閣議では、小泉総理大臣のカナダ及び米国訪問について、また外務大臣のG8外相会合出席とウクライナ訪問について私の方から申し上げました。二階経済産業大臣から6月27日からスイスのジュネーブであったWTOについて合意に至らなかった話がありました。竹中総務大臣からブラジル政府によるデジタルテレビの日本方式採用の件と情報通信に関する話がありました。国勢調査について。65 歳以上の人口は2680万人で総人口の21%。25歳から29歳の女性で結婚していない人は59.9%。30歳から34歳の男性で結婚していない人は47.7%。閣僚懇談会では予算執行の調査について、財務大臣から執行状況についての話があり、随意契約見直し計画等々の公表がありました。猪口少子化・男女共同参画大臣から東アジア男女共同参画担当大臣会合の話がありました。国土交通大臣から、国土形成計画法についての閣議決定の話がありました。
(問)中国を訪問している民主党の小沢代表ですが、今日の午後にも胡錦濤国家主席と会談する予定で、続々と中国の要人と面会していますが、本来あるべき日中の首脳会談が実現していない中で、中国の小沢代表に対する厚遇ぶりが際だっているのですが、こちらのねじれ現象をどう見ていらっしゃるのでしょうか。
(外務大臣)あまりそんなに気にはなりません。色々な方に会われた方がよろしいのではないでしょうか。
(問)小沢代表は民放番組などでの発言で、日米中は正三角形であり、そのうち米中はあるけれどもそこから日本は抜けていると、日本外交はなっていないところだと思うのですが、その辺についてはどうお考えですか。
(外務大臣)日米中を正三角形と考えたことはありません。基本的には普遍的な価値観を共有しているのは日米ということになろうと思いますので、二等辺三角形はあり得るかもしれませんが正三角形という感じはありません。
(問)サッカー日本代表の中田英寿選手が現役引退を表明しましたが、それについて感想を聞かせてください。
(外務大臣)外務大臣としての感想ですか。珍しい質問ですね。引き際として自分なりに限界を悟るというのは、こちらも長いことそういうことをしていましたから分からない訳ではありません。自分の引退をどこで決めるかということを大体人に相談する方が多いのですが、やる時は人に相談した方がいいと思いますが、辞める時は人に相談しない方がいい。基本的にいつもそう思っていますから、中田英寿という人は自分で自分の限界を悟って、よく知りませんがこの方の場合は多分前から決めていたのだというような感じがします。一時代を作り上げた日本を代表するサッカー選手だと思いますが、辞め方として私自身から見ると納得しやすい辞め方かなという感じはします。詳しく読んでいないので内容は知りません。
(問)ウクライナ訪問について、今回が初訪問だったわけですが、その成果とウクライナとの関係強化の意味合いや位置づけについてのお考えをお聞かせください。
(外務大臣)ウクライナという所は歴史に見てもキエフ公国から始まっている国ですから、ある意味ではロシアより古いと言えば古い形になる国なので、CIS(独立国家共同体)、ソ連が15の国に別れた国の中では大国、人口的に見ても4600万人くらいあります。あまり日本では知られていない所ではありますが、私が知っているのはシコルスキー社という世界で一番有名なヘリコプターはここから出ましたし、ソ連の宇宙計画のあれもウクライナだと思います。ゴーゴリという文学者も確かウクライナです。色々な意味でウクライナという国はあまりこれまで馴染みのない国ではあったと思いますが、昔の衛星国家として最も大きな国だったと思います。そういった国の大統領が昨年訪日をされており、一緒に日本と共同で色々なことをという話が去年大統領と総理との間でありましたので、それに合わせて双方で色々な技術協力、意見交換、人的交流等々をやっていこうという第一回目の会合ということだったと思います。両方とも手探りでスタートしたところだとは思いますが、第一回会合を開けたということは良い第一歩だったと思っています。
(問)橋本元総理が亡くなりましたが、橋本改革と小泉改革の違いというのはどうお考えですか。そして橋本改革の中でも最も評価される点は何でしょうか。
(外務大臣)小泉改革の方が結果論ですが大きく前に進んだという評価になるのではないでしょうか。色々その時々にやるに当たって、運、不運もあります。何となく不況の波と重なったという不幸な面も橋本元総理の場合にはあったと思いますが、少なくとも12省1庁というのができ上がったというのは一つの評価なのではないでしょうか。従って、比較と言うと時間差もありますので何とも言えませんが、選挙の結果がついて回って何となくそちらの評価が良かったということにもなるし、選挙の結果が悪ければ評価が良くなかったという感じに成り得ると思いますが、そういった所が一番大きな差が出ているかなと思います。橋本元総理がされた改革の中で一番良かったところは、色々批判はあるところでしょうが、少なくとも省庁というものを見た場合は、国土庁と建設省、運輸省を合併してみたり、また自治省、総務庁等をそれぞれ合併して総務省にしたり、色々な形での成果はあったと言えるし、財務省と金融庁を分けたというところは色々意見があるところだとは思いますが、目に見えるという意味ではそういった役所の再編というのは結構大きなものではないでしょうか。