記者会見

外務大臣会見記録(平成17年11月)


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外務大臣会見記録 (平成17年11月29日(火曜日)10時50分~於:本省・会見室)

閣議・閣僚懇談会/麻生大臣の訪米

(外務大臣)まず閣議の方から、労働力調査の結果と家計の調査結果について総務大臣の方から、季節調節して4.5です。同じく有効求人倍率、厚生労働大臣から、季節調整率0.98。有効求職者0.7の減少。これが閣議。
 閣僚懇で、宇都宮大学の学長の話が出て、以上で閣議・閣僚懇は終わりです。私の方から、調整がうまくいけば、この12月2日から4日の日曜日まで、米国を訪問して、ライス国務長官等々と会談を行う予定にしています。外務大臣に就任してから初めての訪米ということになりますので、米国の関係者との間でいろいろこの間行われた首脳会談で確認されています日米同盟に基づいて、政治・経済・安全保障等々幅広い分野の話を更にいろいろ連携して対処していけるような意見の交換をやらせて頂きたいと思っています。その他にもいろいろ調整をしていますけれども、現在事務的に調整中の段階としかいいようがありませんので、その他誰に会う等々についてはこの段階で申し上げるわけにはいかないというところです。以上です。

(問)訪米ですが、大臣の方からライスさんに対して訴えたいことなり、こういうテーマを協議したいというテーマは特にありますか。様々な分野の話があると思いますが。

(外務大臣)今なんとなく、全体的に言えば、米国のいわゆる安全保障の関心が中近東にかなり傾斜していて、いわゆる朝鮮半島、台湾海峡等々その他の所に関する関心は薄まっているように外から見ると見受けられる等々の件に関しては、この地域にとっては非常に大きな問題だと私自身はそう思っていますので、そこらのところは全体の話としては大事なところかなと思っていますけれども。

(問)関連して、国連改革についてはどういった話し合いをしていくおつもりでしょうか。

(外務大臣)いろいろこの国連改革については話をしなくてはいかんところだと思っていますが、その内容等々について、今この段階でこういう案をやるということを言うことはありません。

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政府系金融機関の再編

(問)政府系金融の再編の話ですが、議論の過程を見ていると、まず一機関という数ありきという印象を受けました。そのことに対する受け止めと、所管外の竹中大臣が今回の再編の議論の主導権を握られたという印象を受けるのですが、それに関する受け止めもお聞かせ頂きたいと思います。

(外務大臣)一つに、うまくいけばいいと思いますけどね。ただ、中小企業金融というものと海外の例えば長期の金融等々というものが同じところでやった方が効率が良いだろうかという問題は、よほどうまくやらないと難しいでしょうね。そう思いますけどね。最終決定を誰がされるのですかというところが一番気になるところかな。もうひとつの、竹中さんがやっている、それはいろいろ言い方があるから。新聞としてはそう書きたいところですよね、気持ちとしてはわからないことはないけれど、現場に今最近は中に入っていないので、外の記事だけを見て判断するのもいかがなものかと思うし、第一その外の記事を読みませんから、私の場合は。だから、そんな話を言って、牛耳られるという表現をあなたが使われたいのだったら、牛耳られてる方が悪いね。

(問)かつて90年代後半に都銀や信託なんかが国際金融の信用力低下によってどんどん海外から撤退していったという経緯があると思いますが、今回、海外業務が政府系金融から離れて別の機関になる、あるいはなっていく、あるいは国内向けと一緒にされていくという話なっているが、本当に国際金融保護というのは成り立っていくのかどうか、どうお考えですか。

(外務大臣)これはむしろ金融担当大臣か財務大臣に聞いた方がいい話だと思いますが、海外の大きなプロジェクトに対して、JBIC(国際協力銀行)の存在というのは非常に大きかったと思います。そのJBICの一機関がやる場合、それが出てくるというのは、非常に大きな、相手側から見た信用としては大きかったと思います、これまで。やはり政府の保証というのは大きいので、いろいろな意味で例えば、最近でダメになった例は世界ラグビー選手権の場合はニュージーランド等々に負けたと記憶していますが、その開催にあたっては政府保証というのをニュージーランドも付けていたしその他の国も全部政府保証を付けていたと思いますが、日本だけが政府保証がついていなかった。それが全てとは言いませんが、負けた大きな理由の一つだったと思いますので、政府のそういった形の保証というのは非常に大きな問題だと思います。それがないとなかなか金融やら何やらをしていく時には、向こう側の話でこちら側の都合だけではなかなかいかないのではないでしょうか。金を貸す、借りるというのはそういう問題だと思いますけど。

(問)昨夜の自民党と公明党の幹部が会談しまして、ODAについては政府内に有識者会議を作ってその中で国際協力のあり方を検討していくという方向でまとまったようですが、そういった考え方についてはいかがでしょうか。

(外務大臣)今回の経済財政諮問会議の中では、国際金融の話はありましたが、ODA等々の海外援助の話は論議はされていない、少なくとも私がいた4週間前まではされたことはありません。そういった意味ではこのODAというものに関しては別に論議をする必要があるというのは、僕もそう思います。基本的にこういった資金の場合は10年据え置き、25年の返済、低利というのが多いと思いますが、大体10年据え置き、25年の返済、トータル35年なんていうのが金融と言えるものですかね。経済畑の人もここにいっぱいいるのだろうけど、35年というのは金融と言えるのでしょうかねと私は思います。そういった意味ではこの種の話は全く別に考えなければいけないというのは考え方として決して間違っているとは思いません。ただそれをこれまで考えていませんから、取り急ぎそういったODAの部分と国際金融の部分とはずして、そのODAの部分はどうするかについてはもう一度考えるということなのでしょうが、どういったやり方をされるのかは、これからされる話として、今までされていないからこれからきちんとするという姿勢としては正しいと思います。

(問)政府系金融ですが、小泉総理はかねてから金融機関を一つにするのではなくて、民間への委託、組織の廃止、縮小、削減に向けた統合というのをしっかりやった上でまとめなければ、ただ金融機関をまとめるだけではだめなんだという考えを前からお持ちだったと思うのですが、今の政府系金融は、国際協力銀行を含めて、そういった議論になっているとお考えですか。

(外務大臣)その一つにまとめる金融の中に沖縄も入るでしょ?沖縄も入る、中小企業も入る、国際協力銀行も入る、農林中金も入るのかな、そうすると皆入れる、一本にするというのはそういう事なのだと思いますが。国内の所はいろいろやり方があるかと思いますが、海外の部分が増えているのをどうするかというのは、外から見た目というところがすごく大事なところじゃないかなと思いますので、ただただまとめればいいというものではないということも確か。そこのところで一番大事なのは多分、誰が最終決断をするか、そこのところが一本になるというのはなんとなくそれだけ見ればいいことのように思いますが、各役所から出向してくるんでしょ、多分。そんなに人はいないから。そうするとその出向してきた役所の中で誰が最終決断をするかというのが結構難しい、手間暇かかる話で、スピードが要求される時代になかなかそこの所の対応は難しくなるという面は否めないでしょうね。そんな感じがしますけどね。だからやり方をよほど上手くしなくてはいかんという感じはします。一つというのは、総務省と同じで、4つ一緒にしたけど、なかなかそんな簡単にいかないのだから。新日本製鉄でも今でも八幡と富士と替わりばんことか。みんななかなか一緒になってもそんなすんなりいかないのは、役所に限らず民間でもそうです。そういった意味では一緒になるというのはそんな簡単な話ではないと思いますけど。

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東シナ海におけるガス田開発

(問)春暁のガス田についてなんですが、東シナ海の。中国側の活動の、稼働の現状なんですが、今はどういう風に捉えていらっしゃいますでしょうか。

(外務大臣)これは始まってるんですよ。なかなか。だからそこのところは、これは主に経産省の話なんでしょうけれども、少なくとも向こうでそういうのが始まっているのに対してこちら側の方も許可を出そうとしてるんでしょ。その結果こっちで採掘を開始するに当たっては少なくとも半径500メートルくらいの間にリングを掘るときには、その周りに他の船が入ってくると極めて操業に支障を来す等々に対してはどういう具合にやるかという法律を日本は持っていない。従ってそれを自民党の方で出そうとしているというような準備は進みつつあるのだと思いますけどね。現実問題としてやるなら、いろいろな意味できちんとした法律的な裏付けなり防御するということを作ってやらないと、やれやれと言ったってそう簡単にはいかない話だと、私はそう思いますけどね。

(問)確認ですが、稼働についてはもう前から、稼働しているということについては確認はしているということですか。

(外務大臣)知りません。そこのところは経産省に聞いてもらった方が良い。私はその点については今いつどういったところでスタートしたかを知っているわけではありません。

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外務大臣会見記録(平成17年11月25日(金曜日)14時45分~於:沖縄県那覇市)

米軍再編

(外務大臣)前々から、外務大臣になる前にちょうど中間報告が出されたことでもありましたので、担当するものとしまして、前の総務大臣の頃に沖縄の話というのはいろいろ個別の市町村・知事から伺ったことがありましたけれども、外務大臣という立場にたって沖縄にこれまで20回以上来たことがあるのだと記憶しますけれども、少なくとも北部の方のシュワブの方に行ったことはありませんし、今回そのキャンプ・シュワブの話でもありますので、是非、現地というものを知っておきたいと思っていました。しかし、APECやらASEAN+3などあるものですからなかなか時間が無く、今日ここにセットしてもらって、各市町村長さんに集まって頂き、率直な意見を聞かせて頂く機会を得たことは大変ありがたかったと思っています。

(問)普天間移設問題ですが、知事との会談でも、知事はまだ反対の姿勢を示されましたけれども、今後どのように沖縄の理解を求めますか。その際、2+2で合意した中間報告の見直しはあり得えますか。また、来年3月とされる最終報告の時期について、先延ばしすることはあり得えますか。

(外務大臣)自治体の意見というのは、先程も申し上げましたように、これはその地域というものを考えた時に、今回の場合は米軍の抑止力の維持、そして地元負担の軽減、この二つが一番大きな観点としてスタートしていますので、今回の2+2の結論というのはそれなりのものだと思っています。中間報告ではありますが、私どもとしては、大筋この基本の線でできるだけ地元の方々のご理解を得るように今後も努力をしていかなければいけないと思っています。一日も変わらないかと言われれば、それは10センチも動かせないかと言っているのと同じような話だと思いますので、全く動かせないとかルーズなものだとかそんなことは両方とも言えるわけにはいきませんので、今の3月というのを基本として最終取りまとめをさせて頂ければと思います。

(問)首相は日米首脳会談後の記者会見で「日本の平和と安全の恩恵を受けるために代価を支払わないといけない」と述べましたが、この代価という表現について外務大臣はどのように考えますか。それは沖縄が相当程度、負担すべきものですか。

(外務大臣)日本の場合は日本だけの防衛力で日本の安全を確保できるという立場にはないというのは今の現状だと思って、まず頭に入れておかなければいけないところだと思っています。従って日米安保条約などそういった同盟関係をきちんと堅持していかなければならないところだと思いますので、米軍の抑止力をうまく使って日本の安全を確保することが必要なんだとまず思っています。同時に、米軍再編に伴う「負担」は沖縄だけが負うべきものではないのははっきりしていると思っています。従って今回の中でも、いわゆる軽減という点に関して言えば普天間の返還であったり、嘉手納以南の米軍施設の再整理であったりいろいろありましたし、騒音公害の話でよくF15の訓練の話とか、外来機飛行の話とか、沖縄県から出されていたことについては、今回の中でも色々実行されるということになっていましたので、軽減等々は、その分では進むということになると思います。第一、1万8千のうち、約7千の海兵隊が移転するのは、それなりの軽減になると思いますし、今後とも、沖縄県だけに負わせる意図はありません。

(問)稲嶺知事は、日米安保の重要性を認めており、同時に沖縄の安定が日米関係の安定につながると主張しています。一方で、在日アメリカ軍専用施設の75%が集中する沖縄の現状を踏まえ、目に見えた負担軽減を求めており、今回日米間で合意されたいわゆる中間報告は県も県内のほかの自治体も反対しており、日米安保そのものが不安定になると指摘しています。沖縄県は全国的に見てアメリカ軍基地が集中するという状況はやむを得ないと考えていますか、それとも今後応分の負担にしようと考えていますか。

(外務大臣)まず基本的にこのアジア太平洋地域では、冷戦が終結した後も少なくとも大量破壊兵器やミサイルの拡散競争等、依然として不安定で不確実な地域であるという状況は続いているのは確かです。そういった中で、日本だけこの地域の安定を、自力、国力だけでやれるかとの問題を考えた時に、やはり、日米共同で米国が持っている抑止力というものを大いに利用していくのが日本の国益に沿うという点は稲嶺知事も同じなんだと私も思います。ただ、その点が沖縄にだけ偏っているといった場合に、地政学的に見て、間違いなく沖縄が置かれている地理的条件が、一番日本の最南端ということもあり、尖閣を含め問題地域が近い、存在しているということにより、結果としてかなりの部分の負担をお願いしていることになっています。国土で言えば0.6%、本土で言えば香川県ぐらいのところに日本の基地が集中しているという状況は少なくとも武器というものは変わってきたし技術もずいぶん変わってきたし、色んな意味でどうやったら軽減できるかというのは常に腐心をしていたところです。結果として7000人の減員につながり嘉手納以南の部分については施設の整理が進むことになったわけで、3分の1が移動するというのは、それなりの大きな努力の成果と思います。今後とも努力していくのは当然です。中間報告の段階ですが、政府としては一つ前に進められたと言えると思います。

(問)応分の負担について努力を続けるということですか。

(外務大臣)当然です。日本という国が日米安保条約によって受けている恩恵がなければ、自力で自主防衛を完璧にやり遂げられるかを考えた時に、なかなか現実問題として難しいというのが、国防上考えられると思いますので、それに代わる応分の負担はあって当然だという感じがします。

(問)普天間基地を早期に返還することは日米間で一致した認識だと思いますが、今回の再編でキャンプシュワブ移設がでたのですが、これは96年の合意から10年近く前進しなかったというのを踏まえた合意だったと思いますが、大臣の考えで、今の案だと何故実現性が高まったと考えますか。

(外務大臣)これだからできるというのは具体的に示すことはできません。ただ、少なくとも今まで9年間、8年間、過去の協定あって以来、全く動かず、あの頃普天間をこのまま置いておいたら事故になるぞというのはアメリカからも出されていて、アーミテージも言い、その前の民主党の政権の時代の話ですが、それから全く動かなかったというのが事実だと思います。この約5年間共和党政権になって今までの間、たいした動きがなかったような気もしますし、こちら側も努力が不足していたのかもしれません。しかし、共和党政権になって事故が起きていますから、どうしてもやらねばならないとアメリカ側がなってきた、こちら側も急いでいるというのがたぶん事を突き動かしていた理由です。また今のままでは何も動かないというのが気分としてはあった、いずれにしても、沖合から陸地に寄ったところもあるでしょうけれども、その部分に関しては、沖合のままの案であれば最低でも9.5年、環境を足すと更に2、3年、合わせて11年というのはとてもじゃないというのが大きな背景であったのではと思います。やはり普天間から1日も早く移転をさせるというが大きな要素として働いていたのが背景だと思います。普天間から動かすのは大きいのではないでしょうか。私は、周りにどんどん家が増え具合が悪くなる、基地として難しくなるというのは、何も沖縄だけの話ではなく、アメリカでもある話だと思いますので、私どもとしては1日も早く移転させるために考えたということです。

(問)今回の米軍再編は沖縄では何十年かに一度の大きな節目の時期と期待されていましたが、中間報告が最終報告になったとすると、この状況はいつまで続くとお考えですか。

(外務大臣)国際情勢を勘案しないと、日本だけでいつまでと言えるものではないと思います。また色んな意味で兵器というものの進歩も大きな要素を占めている感じもします。いずれにしも、いつまでの間にどれくらいになるかと定量的に言えることは、今の私の知識ではとても言えないと思っています。

(問)目途は立たないということでしょうか。

(外務大臣)国際情勢というのはなかなか読み切れないものです。79年にソ連がアフガニスタンに侵攻した際、10年後、ソ連がなくなることを予想した人はいませんから、その意味で、今の状況が劇的によくなるかもしれないし、悪くなるかもしれないし、今の段階で予想ができる訳ではありません。

(問)今日の知事との会談で、知事の主張を聞く側に立つというのは色濃く出ていて、過去の主要閣僚の訪問と若干色合いが違うかなと感じました。それで、今日、市町村長、岸本市長から受けた要望について、今後どのような形で、日米協議、政府内の方針に反映させていくのでしょうか。

(外務大臣)総務大臣の癖が抜けていないでしょうか。歴代の人とは比べようがありませんが、少なくとも今の段階で今回の中間報告は出されていますが、地元への説明が予めなかったとか、色々ご意見が出されているのは事実ですが、私どもはそこを細目知っているわけでは訳ではありませんから、そういう意見を聞かないといけないのであって、その中で問題をきちんと整理し、できるだけ意見は尊重されてしかるべきだと思っています。(

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外務大臣会見記録(平成17年11月22日(火曜日)14時02分~於:本省・会見室)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)今回、今日は、党大会が遅れましたのでその結果全体が押せ押せになっているのだと思いますけれども、このあと、合同部会もありますので、手短に閣議の方から。私の方から小泉総理のAPEC首脳会議の出席についての報告をしています。財務大臣の方から、18年度予算の編成に関する財政制度審議会の分科会の件について。総務大臣の方から、WSIS、いわゆるチュニスのサミットの話とドイツ、ドイチェポストの報告について。閣僚懇、北側大臣の方から、建築確認関係書類の偽造事件ということについての報告がありました。閣議の関連は以上です。

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日露首脳会談

(問)昨日の日露首脳会談なんですけれども、戦略的対話の開始ということで合意されましたが、ロシア側と今後その中でどういったことを話されていくのか、それが領土問題の解決にどのように繋がっていくのか、見解をお聞かせ願いたいのですが。

(外務大臣)基本的には、なんとなく、話し合いで即領土が返ってくるなんていうような話がどんどん出ていますけど、そんなことはないのであって、話し合いですんなり領土が結果的に返ってきた例というのは、そんなに世界中でも沖縄以外にはそんなに知らないのですけれども、ありませんので、これは時間をかけてやっていくしか他に方法はありません。それがまず第一点だったところです。早急に結論を得る、結論が出るという話ではないと思います。ロシアとの間には、昨日の会議に至るまで少なくとも話題になっていた、いわゆるパイプラインというのに関しても、太平洋ルートという話は、フリステンコ産業エネルギー大臣も言っていましたし、プーチン大統領と総理との直接の会談でも話をしていますので、その意味でもきちんとしたものができてくる、いろいろな意味で経済というものに関して、いろいろな角度から両方でいろいろ双方の国益を照らしつつやっていくというようなものができていかないとやっぱり双方の間の信頼醸成というのはなかなかできないところなんだと思いますね。時間がかかると思っていますけれども。いずれにしてもロシアと日本の双方で共通する利害等々を考えながら、これはお互いに、お宅の話は何が問題なのかという点やら何やら考えて話をして行かないかんところだと思いますので、いずれも戦略的対話をやることになりましたので、やらせていただくことになるでしょう。時間をかけてなるべくいろいろ話し合っていかなければいかんと思っています。今すぐこれがいつまでにどうなるという話があるわけではありません。

(問)日露首脳会談に関連して、総理が記者会見で、今ははっきりとは申し上げられないけれどもということで、お互い共同事業をやっていくというようなことについて、外務大臣はじめ様々なレベルでこれから話し合っていくことになるというようなことを仰っているのですけれども。

(外務大臣)仰っている内容の話を裏が取れていないので、あなたが仰っていると言っても本当に言っているのかどうかの裏が私は取れていないので何とも答えようがありませんけれども、少なくとも、日露首脳会談の中においていわゆる共同開発について提案が行われたとか話し合いが行われたという事実はありません。

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自民党結党50周年

(問)今日、自民党結党50周年を迎えましたが、ポスト小泉に挙がっているお一人として、今後50年続いていく自民党の課題は。

(外務大臣)今後50年続いていく?自民党はあと10年続くかどうかもわからないというように思っておかないと間違えるので。東京新聞に限りませんが、10年先のことはわからない。1979年アフガニスタンにソ連が侵攻した時に、10年したらロシアになっている、ソ連という国は崩壊しているなんていう予想を立てた記者は東京新聞に限らずいません。もっとすごくなると皆書いたのだから。その意味では10年先のこともあまり当てにならないから、50年先の自民党がどうなっているかなんてあまり期待しない方がいい。

(問)今のに関連して、先に後藤田正晴先生が亡くなられる前に、自民党に対してあまり非情な政治をやってもらいたくないとテレビ番組でおっしゃっていたのですが、先生としてこういう党になってもらいたくない、あるいはこういう党にしたいというお考えはありますでしょうか。

(外務大臣)自由民主党という所は国民政党をやっていて、少なくとも選挙によって選ばれている。しかも約50年間に渡って、約10数ヶ月を除いては政権をずっと維持し続けられた背景は何かと言えば、世論のかなり大多数の意見をちゃんと拾っているからだと思うのです。ですからそういった意味では、なんとなく列島改造が言われた時には地域間格差がすごく激しかったという時代だったのだと思います。従って、均衡ある都市の発展というのを言い、地域、地方の住民にということをいろいろやったのですが、今は町民・村民の数が8割を切る、市民が8割を超えるという状況になってくると、都市生活者に顔を向けるというのは、国民政党をやるのであれば、8割の人がそこに住んでいるのであれば、今までは都市で得た利益を地方に再配分するという形でやってきた分、今度は都市の方。開かずの踏切とか電柱の地下埋設とかいろいろ具体的なところで都市における公共工事も含めて、公共工事は全て悪みたいなイメージが、日経新聞によって作られたわけではないけど、出来上がっているイメージがあるじゃないですか。そういったものを含めてもう一回都市の人についていろいろ考えなきゃいかんというのが、この4年やってきたところであって、結果として空き交番とか待機児童とか、地方に対する公共工事が14兆か7兆5000億とかいろいろな数字というのがそこに出来てきている。即ち都市の顔を見ているという風なんだと思いますよ。ですからその分、今度は地方が逆に疎外感を持つということにならないように配慮するというようなことを、この数10年間を振り返ってみれば、そこのところは大多数の世論というのをすくい上げてくるということをやってきたのが自民党ですから、今後ともいろいろな意味でその分いろいろそれについては既得権益というようなものはどうしても付きますから、そういったものをきちんと整理しないと新しいものには踏み出していけないというのが、この数年間で見られた大きな自民党の変化なんであって、その自民党の変化に世論が大いに押したというのが、今回の都市部における自民党の異様な議席の増ということになったのだと思いますよ。その代わり、北海道全体の小選挙区、確か12で4勝8敗だったか。地方では負けているのです。東北でも量が減ってますからね。そういった意味では、基本的には、冷たい、非情と言うのであれば、地方に住んでいる人達に対しての丁寧な対応等々いうものは必要なものだとは、私自身もそう思います。

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小泉総理の韓国・釜山における記者懇談会

(問)総理が韓国・釜山でのAPECで、同行記者団との懇談で中川政調会長は頑張ってますと。谷垣さん、与謝野さんは私の意図がわからないのか時々調子がはずれたことを言うというようなかなり率直な事をおっしゃっていましたけれども、これについてどう受けとめていらっしゃいますか。

(外務大臣)それは朝日新聞に出ていた記事?

(問)各紙に出ています。

(外務大臣)各紙を全然読んでいないので、例によってわかりません。今の事に関しては、総理がそう思われているのかもしれませんけど、何のネタを基にそういう話になっているのか、その中がちょっと推測の域を出ませんから、実際どういうつもりで言われたかは本人に聞いてみないとわからない。そういうのは総理に直接聞けばいいじゃない。俺なんかに聞くよりは。

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外務大臣会見記録(平成17年11月18日(金曜日)11時02分~於:本省・会見室)

閣議・閣僚懇談会/麻生外務大臣の沖縄訪問

(外務大臣)閣議の話から。少子化男女共同参画担当大臣から審議会における女性委員の割合30.9%、平成17年度末までのできるだけ早い時期に女性委員の割合を30%にするという案は半年を残して達成できていますという報告がありました。私の方からAPECの閣僚会議の出席の報告をし、同じく二階経済産業大臣から同様の趣旨の話がありました。
 閣僚懇談会において、ラグビーのワールドカップ2011年の開催国につきましては、日本はニュージーランドに残念ながら敗退ということになり、2011年のワールドカップの開催はニュージーランドになりましたという話がひとつです。
 私の方から、在日米軍に関して2+2の共同宣言の勧告を基に、今後地元のご協力・ご理解というものを得ていかなくてはなりませんので、外務大臣としてできるだけ早い時期に沖縄を訪問したいと思っていたのですが、11月24日、25日の両日に沖縄を訪問することとし、先方との日程調整もついておりますので、別途資料にて公表させて頂くことになります。以上です。

(問)沖縄訪問の件ですが、沖縄知事と名護市長にもお会いになる予定ですか。

(外務大臣)知事、名護市長ともお会いする方向で調整しているそうです。

(問)どのように理解を求められるお考えですか。

(外務大臣)地元の感情論としてわからないわけではありませんが、少なくとも今回の中間報告を見る範囲において、普天間の返還、米軍1万8200人くらいの人達の3分の1強である7000人がそこからいなくなるというのは大きな話だと思いますし、そういった意味では国全体として米軍の存在感の維持、プレゼンスというものの維持、そしてもう一つは沖縄の地元負担の軽減というものを両方満たしていくというのが今回の本来の話の元ですから、そこのところの御理解をいただけるような形での話ということになるのだろうと思います。

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新型インフルエンザ

(問)新型インフルエンザですが、ヒト─ヒト感染が時間の問題だと言われている中で、外務省としてどのような対応・対策なのでしょうか。

(外務大臣)これは主として厚生労働省の話なのだと思いますが、タミフルでしたか、インフルエンザの抗生物質の名前は。あれはロシュと中外で組んでいるので、それでどれだけの備蓄等々があるのか知りませんが、ヒト─ヒト感染、中国やら何やらで結構出ている所だとは思いますが、主としてこれはこちらとしてみれば、そういったものの上陸というのは避けたいところでしょうが、今から渡り鳥の季節でもありますので、なかなかこのところは、どうと言われても外務省としてこういったものに、情報は中国から昨日出ていますが、BBCを見てもCNNを見ていても出たという感じで報道がなされているように思いますので、こういったものに対しての情報は私どもとしては是非集めてもらいたい、公平に紹介をしてもらいたいなというのが率直なところです。

(問)在留邦人についての対応・対策は。

(外務大臣)タミフルを在留邦人だけといって、その地域がなかなか特定できないというところが難しいところなのではないでしょうか、この話は。中国のこの地域とかどこどこと言われるとまだ対応の仕方があると思うのですが、広く渡り鳥ということになるとなかなかそこの対応は特定しにくいというところが、対応法も難しいという感じがするのですが。しかしこの薬はまだ絶対量が不足しているという話で、この詳しい話は厚生省のほうだと思いますが、それ以上のことはちょっと今どうと言われても答える資料を持っていません。

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国連総会における人権状況に関する決議の採択

(問)国連総会で北朝鮮の人権状況に関する決議が採択されまして、ただその東南アジア諸国が反対に回るなどそういう状況だったのですが、その結果について考え方をお願いします。

(外務大臣)基本的には、これまでずいぶんいろいろと努力していたのだと思いますが、賛成が84、反対22、棄権が60余りあったのでしょうか。そういった状況で、いわゆる北朝鮮のこの種の話に関しては日本においてはすぐ制裁という話になるといろいろ話がありますが、国連等々の公平な第3者機関からいろいろな形で北朝鮮に対して然るべき行動を取るというような話が出るというのは、国連の特別報告者というのを受け入れてこの種の人権状況の改善というものをしなければならないというように北朝鮮に考えてもらうというのは、良い意味で対話と圧力というのは一つの圧力になるのだと思いますので、前進したものだと思っています。これまでいろいろ、今回これで通っていますので、そういった形で少しづつ確実に賛成の輪が広がって、今回、賛成によって国連総会第3委員会で通ったということは、非常に大きな前進だと私どもはそう思って評価しています。

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日露外相会談

(問)おとといの日露外相会談ですが、北方領土の共同開発について大臣の方から提案があったという報道がありますが、事実関係はどうなっているのでしょうか。

(外務大臣)前にもあなたに言ったと思いますが、私は新聞を努めて読まないようにしている主義です。新聞を読むと間違えると思っていますので読まないようにしているので、内容を詳しく読んだわけではないのですが、それなりに優秀な記者が私から聞いた話を元にして作っていると思われますから、どう発言したのか正確な記憶がないので誤解を生んでいると思うものもあるかと思いますので、もう一度言います。基本的には、今回、釜山において北方領土に関するラブロフ・露外務大臣との会談を16日にしたのですが、北方領土に関する共同開発を提案した事実はありません。私共は外務大臣との会談において、領土に関しては日本もロシアも双方の意見に関しては、もしくは立場というものは全く隔たっているということは確かなので、この話については信頼関係というものを構築しないとだめなのではないかという話を一般的な認識として述べたということだと記憶しています。この共同開発とかいう具体的な話をしたというのは全く記憶がないのですが、記者との間で「ではどうするのですか。」という話をした時に、例えば両方とも領有権を主張したままずっといっても話は全然進展しませんから、両方で何か共通のプロジェクトをするというようなことをしたらどうですかと、そこらのところを明確にしないまま、そういったようなことを考えてみたらどうかねという一般的な話はした記憶は確かにあります。そうすると、多分、向こう側の言い分としては何のメリットがあるのかという反論が出てくるのだと思いますが、そういうのであれば基本的には少なくともその地域に住んでいる住民にとって生活水準の向上にもなるだろうし、日露両国にとってその地域の領有権を両方で主張したまま共通で何かをするということは新しいアプローチだとは思います。それによってその地域の人とのプロジェクトを共同でやることによって、日本とロシアとの間に「なんだ、ちゃんとやるな」というお互いに信頼関係が醸成されるというのが一番なのではないかなという話をしていたのだと思います。それが多分、日露外相会談の時に日本から提案したという話と混線するような聞かれ方をしたか、私が間違えるような言い方をしたのかもしれませんが、今、述べたような話であり、共同開発をこちらの方から正式に提案したという事実はありません。

(問)会談の中で、大臣が今おっしゃったようなひとつのプロジェクトを共同でするというアイディアのようなものは提起されなかったのですか。

(外務大臣)しません。これは領土問題を解決するために、従来の話を引き続き交渉をしっかりしてやっていかなくてはいけないという話をして、この種の話をしないという話だと全然進みませんから、いろいろ他にも共同でやらなければいけないということは、今いろいろ進んでいるところでもあります。人材教育やら何やら、ロシアにはこれまで地方自治というものもありませんでしたし、地方税の取り方も。これは何もロシアに限ったことではありません。例えばこの間リビアのカダフィ大佐の子息が来ていましたが、地方自治がないから地方自治法、地方税の取り方を教える等々いろいろな話が総務大臣の時にありました。今、地方自治大学校にベトナムを始め何カ国かを預かってます。そういった地方自治やら何やらというものは、国が発展していくに伴って非常に重要なものだと思いますので、そういったものの重要性に気が付いた、従来そういったものが無かった国からの要請というのは多いのです。外務省に来たのを総務省が受けて、地方自治大学校で預かっている、訓練している、またこちらも人を出して教えているということをしていますので、そういった具体的な話というのは他にもいくつもありますので、日露関係というのも、それは一つの例ですが、仕事の上からもいろいろ領土に限らず、なんとなくソ連の時代とは少し違ってきつつあると感じていますので、そういう面は助長していかなければいけないと思っています。

(問)確認ですが、共同開発は提案していないけれども、共通のプロジェクトをするということについては、大臣は提案なさったということではないのですか。

(外務大臣)共通のプロジェクトみたいものをやるという話をこちらから正式にプロポーズしたことはありません。

(問)今後そのような提案をされる考えというのはありますか。

(外務大臣)どうでしょうね。乗ってこなければ意味がありませんから。まだこの話は役所のレベルで話したこともありませんし、役人にこういう話でどうだという考えを言ったことも、まだ2週間ですからこちらからこういうアイディアはどうという話を正式に欧州局にしたこともありませんから。ただ考え方としては両方とも領有権を主張したままでは何も進まないと思うのです。だから、両方で見合ったままで何もしないのではなくて、何かを一緒にやるというのが大事なのだと思うのです。だからもう少し詰めてみないとわかりませんが、何がいいかという具体的なレベルまでいっている話ではありません。一緒にやったらどうかという話と、その方が両国の信頼関係を醸成するために役に立つのではないかと私自身はそう思っているのです。ただそれが今後向こうと打診してみた上で、プロジェクトとして進められるかどうか、まだそこのところは何とも言えません。

(問)共通のプロジェクトの件ですが、共通のプロジェクトを通じて信頼関係を醸成していくことによって、領土問題を解決に導くといういわゆる経済協力を呼び水とするという考え方なのですか。

(外務大臣)経済協力というものをしていかないと。新聞記者同士でも「なんだあの野郎」と思っていても、一緒に取材したりしているうちに「あら、あの人そんなに顔色悪くないんじゃないの。思ったよりいいんじゃない。」などあるでしょ。つきあいがあまりありませんから、そういった信頼関係が醸成されていくためには何かしなくちゃいけないのです。何か一緒に仕事をするといったようなことが、何か新しいアプローチなのではないかと。何かをしないで、ただただ両方で主張をしていても先に進まないと私自身はそう思っているのです。それは、それでいいのだと向こうは言ってくるのかもしれないし、それは今からの話だと思いますけれど、向こうにとっても、地域住民の生活水準が上がったり、本土に比べてインフラの面やら何やらを含めてあちらの方はいいというわけでもないように思われますから、そういった意味で両方でやっていくというのは、こちらも言ったことはちゃんとやり、向こうもちゃんとやることはやるなと両方で認め合っていくということをしないとなかなか信頼関係というのは作られないと私はそう思っているのです。だから、新しいアプローチとしてそういったことを考えることの一つとして、経済というものは大きいのではないのかな。社会資本の充実でもいいです。別にこれというプロジェクトに関してのアイディアがあるわけでも何でもありませんから、何か一緒にやることが大切なのだと私自身は思っているのです。

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外務大臣会見記録(平成17年11月11日(金曜日)11時02分~於:本省・会見室)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)閣議では、防衛庁長官から日米安全保障協議委員会において承認された事項に関する話の報告があり、同じく私の方からその関連、同じく沖縄担当大臣からも同趣旨の話がありました。二階経済産業大臣の方からWTOの少数国閣僚会議出席の報告がありました。閣僚懇では、会計検査院の報告の活用について総理の方からいわゆる総額、法令違反者の不当事項97億円の他にもいろいろ出ていますので、そういったことに関して、厳に歳出の無駄の排除等々の話がありました。内閣官房長官から、政府インターネットテレビの開設、昨日からインターネットテレビが開設されたという話で報告があり、同じく内閣官房副長官の方からタウンミーティングを引き続きやりますのでそれに対して各閣僚は参加すること。文部科学大臣の方から、「私の旅~日本の歴史と文化を訪ねて~2005」の選考結果の話がありました。これは科学文化庁長官を使って「私の旅100選」というような形で作られた話の内容ですから、詳しくは文部科学省に聞いてください。この内容は、日本の文化という話の中で、いわゆる、旅とか文化とかいうものをいろいろな視点からもう一回見直して我々の持っているようなイメージとは違うものを、外国人の目から見たらこういうものとかいろいろなものがありますので、そういうものをもっとやると観光客やら何やら貢献するのではないかという話が、確かシラク大統領の時だったと思いますがあったのを受けてこの話が小泉内閣総理大臣の方から1年くらい前に話があったのが今回まとまってできたという話の内容です。閣議の方はそれだけです。

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駐日ペルー大使の解任

(問)駐日ペルー大使の召還というのをペルー政府が決めたようですが、その事実関係は確認されましたでしょうか。

(外務大臣)駐日ペルー大使の召還という表現が極めてあやふやな表現なんですが、召還という言葉が使われたとは、どこが使われたのでしょうか。よく出回っている言葉ですが、最近。昨日から。政府の方から召還と言う言葉は使っていないと思うんですね。ですから、少なくとも駐日大使の任務を終了したことを発表したというように私どもは聞いていますので、召還という表現は使用されていない。貴新聞社で使われたかどうか知りませんが。それが事実だと思います。

(問)任務終了についての理由というのはどのように受け止めていらっしゃいますか。

(外務大臣)任務終了の理由の内容については私どもは承知していません。

(問)フジモリ氏の問題が関係しているという風にはお考えじゃないですか。

(外務大臣)直接考えません。

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APEC

(問)APECでのバイの外相会談ですが、日中があるかどうかはまだわかりませんが、日韓は関係打開に向けてどういう姿勢でどういう会談にするかということを期待されて望みますか。

(外務大臣)日韓の関係については、基本的に釜山で開かれることになりますので韓国の潘基文外交通商部長官と電話で話した時にお互い率直に話し合おうという話をしていますので、これは何回も話を重ねていく以外に他に方法はありません。

(問)韓国とは首相も外務大臣も会談をされるが、中国の方は今のところ目処が立っていませんが、この両国の姿勢の違いについてどう受けとめられますか。

(外務大臣)どう受けとめられますかと言われても、中国に訪問して中国の要人と会う日程が前からわかるというのは私の経験でもこれまであまりないのです。一番最後まで会う人が誰かよくわからない、どなたに対してもそういう対応なのか私にだけ対してそうなのかは知りませんが、少なくとも過去行った時は、何時にどこで誰とというのがあらかじめわかる方が少ないと思っていましたから、特に感想はありません。

(問)今回あまり時間は無いようですが、現地で日中外相会談が開かれるということを期待されますでしょうか。

(外務大臣)あまり期待もしないし、別に、できればいいと思う。ただ時間的な問題は極めて限られていると思いますから、そんなに時間はないかなという感じはします。

(問)大臣にとって初めての外遊となりますが、APECに対する抱負などがありましたらお聞かせ下さい。

(外務大臣)APECというところは少なくとも私共から見ていると戦後の日本というもので、経済発展、経済的な繁栄というものが結果的に貧困などがなくなって、経済的に繁栄するということを通じて個人の幸せや平和に繋がっていくという、少なくとも日本という国は昭和30年以降確実にそういう方向で歩んだと思います。それに合わせて、つきあいの深かった国というのはいずれもアジアの国々では経済的発展をしていったというのは、外から見たらそう具合に見えるのだと思いますから、そういう中にあってAPECというのは非常に大きな、ASEANとかそういった国々というのはAPECの中に入ってくるのですが、そういった国々は日本との関係によって経済を発展させいろいろしてきたということを考える時に、やはりこの種の関係というのは日本の、国家としての姿勢というものを考えた時に、APECという国々、これは大平洋を含めての話ですが、私共としては豪州を含めて資源を輸入したり、いろいろな意味で人事の交流を行ったりするという意味では、APECというのはすごく大事なものだと私自身はそう思っています。

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在ペルー日本大使館二等書記官の交通事故死

(問)ペルー大使館の二等書記官の方が交通事故か何かで亡くなったという報道があったようですが、これがフジモリ・ペルー元大統領の問題と関係があるという情報などは。

(外務大臣)総務省から外務省に出向している人の話だと思いますが、運転手と一緒に交通事故で崖から転落と確か聞いていますので、その意味ではそれがテロや暗殺といった意味ではありません。

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イラクの自衛隊派遣

(問)イラクの自衛隊の撤収についてですが、総理の任期中に完了するという報道が朝日新聞で出ていますが、その辺りの政府方針というのは。

(外務大臣)まだ決まっていないと思います。

(問)撤収時期については。

(外務大臣)撤収時期については、日本の国益に沿って考えるという、所謂イラクの話については私共としてこれまでも4つ述べてきたと思いますが、国際強調の中で日本の果たす役割、今の復興支援の状況がどうなっているか、他国はどうしているかなどいろいろなことを考えなきゃいけないことは確かです。しかし日本の国益というものを考えなければいけませんから、そういう意味で日本の国益に沿って検討していくということであります。選挙が12月15日にあるのでそれによって政府ができますが、日本のように開票率0%当選確立なんていう国ではないでしょう。選挙が終わって開票結果が出て議会が開かれて政府が組閣されるまでには結構時間がかかるでしょう。それは覚悟しておかなければならないところだとは思いますが、それに基づいて新しい政府が新しい組織を作って、その組織でイラクの治安、復興というものをしていくことになるのだと思います。治安というものは国の基本ですから、その治安が出来上がるまでの間はいろいろな形で今暫く支援をしていかなくてはならないという状況にはなる可能性はあると思います。それがいつまでに出来上がるのかというのはよくわかりませんが、9月までに出来るかできないかというのはなんとも言えません。だから決められているとは言い難いと思います。

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外務大臣会見記録(平成17年11月8日(火曜日)11時02分~於:本省・会見室)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)閣議では犯罪白書について法務大臣から発言があり、閣僚懇談会においては安倍官房長官から三位一体改革の取りまとめについての話が関係閣僚に対して要請がありました。

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米軍再編

(問)昨日、稲嶺沖縄県知事と面談されましたが、今後のキャンプ・シュワブの沿岸案を含めた再編協議の中間報告の詳細の説明につきまして沖縄県を訪れる予定はありますか。

(外務大臣)今日、額賀防衛庁長官が行かれるのだと伺っていますが、今すぐに私がということではないと思っています。

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六者協議・日朝関係

(問)明日から六者協議が始まりますが、前回の共同声明が採択されたものの翌日には米朝でNPT(核不拡散条約)の復帰と軽水炉の順番の受けとめで違いが見られたのですが、今回はどのように協議を進めていかれるのでしょうか。

(外務大臣)これはいろいろ公式的に今までに言ってきた流れと外務省の流れが急に変わっているということはありません。拉致の話にしても、核・ミサイルの話にしてもこれは日本にとっては両方とも大きな問題ですから、私共としては国交正常化をしなくてはならないと思います。隣国なんだから正常化した方がいいとは思いますが、それには前提条件があるのであって、そういったものをきちんとやっていかないとならないということは、日朝会議の方でも私共強く申し上げたところですし、向こうもこの拉致の問題は解決済みというのではなくて、少なくとも日本がその問題を提起している、提起し続けているという実態を向こうの方は確実に把握をしておりますから、その問題についてはそれを含めて引き続き検討していくということになっているのだと思います。

(問)作業部会や専門家による会議を設置して議論するという話があるのですが、その辺は如何でしょうか。

(外務大臣)平壌に戻ってからの話がいまいちよくまだ見えてきていませんから。こちらの方は現場で決められても、平壌に戻って返事をということなので、平壌に戻った結果どういったことをするかというのは今後の決め方の段階で、まだ具体的にこの部会はいつからやる、この部会は誰とやるという具体案が決まったわけではありません。3つの部会というものを我々言っているだけであって、提案というのは向こうがいろいろ言うから、それに合わせて、ではこういう具合にしたらどうでしょうという提案をうちの方からしたという事です。

(問)先週の政府間対話で3つの協議会を設置するという案を日本から提案し、その中のひとつが国交正常化交渉ですが、これは大使級でやるという認識でよろしいのでしょうか。

(外務大臣)現地でやる場合は大使が一番上ですから。

(問)家族会の方々がその大使級の国交正常化交渉というものが盛り込まれたことによって交渉の後退ではないかという反応を示されていますけれども、それについては対処は。

(外務大臣)これは安倍元官房副長官の時にも同じようなお話をして、向こうにきちんと説明をさせて頂いたと記憶しますけれども。少なくとも正常化交渉というものはやらねばならない。ただし、それにあたっては前提条件として、私共の方には拉致、核・ミサイル等々の話があるので、同時並行的にやっていくにしても、正常化が最終的に交渉はしても、それを成立するためには2つの問題、いわゆる拉致と核・ミサイルの話が決着しない限りは正常化ということにはならないわけですから、その意味ではそこのところもきちんと昨日家族会でも説明をしたと思います。

(問)横田めぐみさんに関してですが、夫とされるキム・チョルジュン氏が韓国で拉致された方ではないかという一部報道が韓国メディアでも伝えられていますけれども、こうした情報について外務省として接してますか。

(外務大臣)確認はきちんとしたものは取れていませんからそれ以上は言えません。それが確認取れていないから。韓国はそう言う。その確認は韓国も多分北朝鮮との間で取れていないのだと思います。ですからその意味では、その人ではないかという韓国側の情報に基づいて、憶測情報に基づいてこちらがどうのこうのということはありません。

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フジモリ・ペルー元大統領の動向

(問)ペルーのフジモリ元大統領なんですが、チリ政府から公式の報告はあったのですか。あった場合は領事面会のお考えというのは日本政府としてはあるのでしょうか。

(外務大臣)日本政府としては、この方は日本国籍もお持ちですから、そういった意味では、どのような状況になっているかというのは照会したいと思っています。

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外務大臣会見記録(平成17年11月4日(金曜日)10時22分~於:本省・会見室)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)閣議では、平成17年度の原子力総合防災訓練を11月9日、10日に柏崎刈羽の原子力発電所で特別処置法に基づく総合防災訓練を実施するということで、総理も出席される予定だという話が、二階経済産業大臣からありました。閣議、閣僚懇談会でしたのはそれだけです。

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日経平均株価

(問)日経平均株価が約4年半振りに1万4000円台になり、これは小泉政権発足時を上回ったわけですが、大臣は小泉政権で経済政策の一翼を担っておられるということもあり、受け止めをお聞かせ下さい。

(外務大臣)株価平均が1万4000円台に戻ったというのは、正直言って1989年12月28日の3万9980円から比べて見れば、1万4000円というのはそんなにすごいなという数字ではありません。それから、1万4000円台でスタートした小泉内閣の構造改革に合わせて、各社皆何をしたかと言えば、基本的には借金を返済するということによって、各社の財務体質が過剰債務から、いわゆるチャラ、貸借対照表上、債務超過の部分が消えた。その消えた大きな部分は多分土地というものの資産価格が去年ぐらいから上がって、物件が動き始めたから。金というのは動かないとどうにもなりませんから、動き始めたというのが大きな背景だと思います。そういった意味ではそれに合わせてなんとなく消費者物価というものの前年度比マイナス、いわゆるデフレーションというものが下げ止まった等々が大きな流れなのだと思いますので、企業によるそういった借入金の返済等々を下支えしたのが、持っている資産価格の増加というのが大きな背景だと思います。

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皇室典範

(問)三笠宮様がエッセイで、私見ですが、女性天皇の容認について疑問を投げかけられていますが、大臣のご見解は。

(外務大臣)皇室典範の話に関しては、特に今この段階で私見を申し上げる立場にないと思いますけれども、なんとなくこういうものはあわてて決めるような話ではないと、基本的にはそう思っています。

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日朝協議

(問)昨日の日朝協議の中で北朝鮮側から新たな提案が日本側にあったのですか。

(外務大臣)双方お互いに意見を従来通り述べ合ったというのが、昨日のところだと思いますので、特に目新しく提言があったとは聞いていません。

(問)昨日の一日目の日朝協議では北朝鮮側に拉致問題を真剣に話し合おうという姿勢は見られたのでしょうか。

(外務大臣)向こうは元々拉致問題は解決済みという対応ですから、それが急に拉致問題を真剣に前向きに検討しようという雰囲気になったとは聞いていません。

(問)昨日大阪から北朝鮮に渡っていた女性が2年余り振りに帰国されましたが、その御感想と、日朝協議の初日というタイミングで帰ってきたということで何か北朝鮮の意図というのはお考えになりますでしょうか。

(外務大臣)意図的にそういう事が出来る可能性がある国だとは思いますが、それを意図的にやったものかどうかは確証がありませんので、なんとも答えようがありません。その方が拉致されていたのか自分から行っておられたのかはちょっとそこのところも正確な話を知りませんので、何ともコメントしようがないです。

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ライス・米国務長官との電話会談

(問)昨夜ライス・米国務長官と電話会談をされましたが、初訪米はいつ頃をお考えですか。

(外務大臣)今考えていません。要請はありましたが、今はまだ確たる日程をどうしようと決めているわけではありません。11月15日、16日のAPECの時にはどのみち会うことになるでしょうから、その前に行くということはありません。

(問)ライス米国務長官とはAPECの場で外相会談という形で日程を調整するということは考えていらっしゃいますか。

(外務大臣)APECの時に会おうという話を向こうからされましたので、外相会談、バイでやるということになるのでしょうね。向こうで会うというのは一対一で会うということになるのだと思いますけどね。

(問)大臣としてもその方向で日程の調整をするということですか。

(外務大臣)日程調整をそういった形に、どのみちバイの会談というのはいろいろなものが、その場で作られることもありますし、予約してやっていくこともありますから、基本的に一対一の会談になりうる可能性は高いと思います。

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鈴木宗男衆議院議員の外務省に対する質問主意書

(問)衆議院議員鈴木宗男氏の外務省に対する質問主意書が続いていて、今日は17件もの政府答弁書が閣議決定されたと聞いているのですが、こうした鈴木氏の姿勢に対しては大臣はどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

(外務大臣)正直どういうお気持ちがおありでやっておられるのか真意の程はよくわかりませんが、当選されてからずっと続いているのだと思いますが、いろいろな事をずっと御質問しておられるのだと思いますが、どうかと言われても国会議員として一人会派みたいな形になっておられますので、なんとなくこういった形で議会活動というように考えておられるのだと思います。

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北朝鮮によるタイ人拉致問題

(問)タイでも北朝鮮による拉致問題が出て来ているようですが、タイ政府から日本政府、外務省に協力要請をする意向を示しているようですが、もう要請は来ているのでしょうか。

(外務大臣)私はちょっと正直その内容を詳しく知りませんけれども、結構前から話があったのですよね。それはK20、20ドル札が出たでしょ、あれは確かバンコクで最初に大量に出たのだと思いますが、あの当時から向こうからその種の話があったことはいろいろ間接的には聞かされていましたのが、なんとなく正式にという感じなのだとは思います。お互いにこの種の話は主権が侵されているという話ですから、そういった意味に関しては両国で共同でいろいろ対応を考えるというのは一つの考え方だと思います。

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日中外相会談

(問)APECの場では日中の外相会談は予定されているのでしょうか。

(外務大臣)わかりません。

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外務大臣会見記録 (平成17年11月1日(火曜日)09時33分~於:本省・会見室)

閣議

(問)閣議では。

(外務大臣)ありません。

(問)閣議後残られて総理と話されたようですが。

(外務大臣)内容を話すことはありません。

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北方領土問題

(問)昨日の会見で北方領土問題についてサンフランシスコ講和条約からの様々な歴史があるとおっしゃっていましたが、そのサンフランシスコ講和条約で日本は千島列島の全ての権利を放棄すると書かれているのですが、これについて大臣は現在どのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)その話を始めるととても記者会見では無理ですね。長い話になりますから、別に1時間位。公文書がありますからそれを一回読んでおかないとだめですよ。

(問)当時の吉田全権が千島南部の2島として国後、択捉と発言しているのですが、大臣は現在、千島列島の範囲というのをどのようにお考えですか。

(外務大臣)日本としてはずっと主張してきているところは一貫していると思います。そういったところは。

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米軍再編問題

(問)再編協議について、昨夜、地元の理解に全力を尽くすと述べられましたが、沖縄県知事も名護市長も容認できない、相容れないと述べていますが、最終報告までの間に、今のキャンプ・シュワブ沿岸部という計画を見直す考えはありますか。

(外務大臣)10センチ動かしても見直すというのだったら、それはいろいろ考え方はあるでしょうけど、基本というものを動かすということはないと思います。

(問)細かい修正は出てくると。

(外務大臣)それはあるでしょう、いろいろ。

(問)地元の意向に配慮すると。

(外務大臣)それはいろいろな意見を円満にいくのが一番望ましいわけですから、なかなか沖縄という地理的なものというのは簡単に動くわけではありませんから、あそこに基地があるというのはいろいろな意味で重要というのははっきりしていますから、そういった意味ではその地理的な島の位置が動くわけではありませんから、そういった意味では、大筋で動くということはないと思いますよ。ただ、もともとはキャンプ・シュワブの射爆場の中とかいろいろ元々の話はありましたから、あそこは。それを沖合いなど、結果的にはああいった形で日本政府側の方に一応米国側が妥協した形であの形になってきてますから。いろいろな経緯というのがありますので、少しは動く可能性はある。全く1センチも動かないという話とは思いませんけど。基本としては大筋合意というのでサインをした合意の筋が大筋で変わることはないと思いますけど。

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