(問)外相として靖国神社に参拝されるお考えがあるのかどうか。
(麻生外務大臣)そういう質問は必ず出るだろうと思ってましたが、やっぱり出ましたね。どちらですか。
(問)朝日新聞です。
(麻生外務大臣)やっぱりね。基本的には個人的な信条というものと、国としてのというものは必ずしも一致するということは限らないとことも往々にしてあるというのは解りますので、適切に判断をしたいという総理の考えとほぼ同じことを申し上げなければいけないと思っています。
(問)町村前外相が、今日の最後の離任会見の中で、総理、官房長官、外相が揃って靖国神社に参拝すると容易ならざる事態になる恐れもある、というような趣旨の発言をされましたが、これについてどうお考えになりますか。
(麻生外務大臣)特にコメントはありません。
(問)今日、官邸で行われた組閣本部で、大臣の方から総理に対して、私(麻生大臣)や安倍さんのようなタカ派が入閣するということは大丈夫でしょうか、という風にお聞きになったのに対して、総理がタカ派の福田内閣みたいな方がアジア外交は上手くいくという趣旨のやり取りがあったという風に伝えられているのですけれど、その辺の事実関係はどうでしょうか。
(麻生外務大臣)その種の話を、外に漏らしてはいかんという話が外に漏れる方が問題だと思いますが。だからそれに対してイエスともノーともお答えはできません。
(問)現在の中国、韓国との関係の中で、この靖国参拝という問題が占める重みはどういう風に感じられますか。
(麻生外務大臣)韓国と中国とは少し違うような感じがしない訳でもありませんが、重みがどれ位かと言われるとちょっと計りかねますね、それは。
(問)そう重大な問題ではないということでしょうか。
(麻生外務大臣)そうですね、今までの話でどれくらい問題なのかというと、新聞によっても違いますし、向こうの中でもいろいろご意見が分かれるというところかなとは思いますが。
(問)靖国に替わる新しい追悼施設に対して大臣のこれまでの姿勢を拝見していますと、造っても靖国の問題の解決にはならないのではないかという消極的なスタンスでおられるようですが。
(麻生外務大臣)そうですね。新しい慰霊碑ができたからといって靖国問題が解決するだろうか、とは今でもそう思いますね。亡くなられた方々は靖国で会うという約束で亡くなっておられるわけですから、別の場所に移せるのでしょうかね。なかなか難しい問題だと思いますが。遺族の話も聞いて話を決めないといけないところではないでしょうか。
(問)靖国神社参拝について、大臣の以前のご発言で印象に残っていることがありますが、政調会長時代に、中国と韓国が反発していた時に靖国の問題について、基本的に放っておけば良いと思っていると、そういう風に仰っていたのですが、そのお考えに変わりはないのでしょうか。
(麻生外務大臣)そうですね。あまり日本で取り立ててわんわん騒ぐという方が話をさらにこみいらせていると思いますけれどね。放っておくという意味は日本の国内でこの種の話をえらく煽られる新聞もあれば、そうじゃない新聞もある。いろいろ意見が分かれているところはご存じのとおりだと思いますが、国民の意見も分かれているところで、言ったらわーっと書かれるところがありますけれども、それが全てか、と言われるとそうじゃない意見もありますから。いろいろな考えがあるのではないでしょうか。そう言った意味ではどちら、という話を直ちに結論を出さねばならぬ、という話ではないと思っていますが。
(問)またアジア外交に関してですが、2年前の大臣のご発言で植民地支配の創氏改名について、ある大学祭での講演で創氏改名というのは朝鮮側の要望した面もあったんだという趣旨のご発言をされて、韓国内ではそれを批判する声も起きましたが、来月11月に韓国の釜山でAPECがあり、日韓関係をはじめ東アジア外交が含まれていますが、大臣自身はどういう風な環境を作っていきたいとお考えですか。
(麻生外務大臣)日韓関係というのは基本的にはきちんと、少なくともここは一党独裁でもありませんし、民主主義、そういった形で選挙というものを行って議員を選んでいる、いわゆる代表を選んでいる、そういった少なくとも日本と共通の価値観というものを有している部分が多いところだと思いますし、いろいろな意味で日韓関係というのはきちんと対応していかねばならない関係なんだと思っています。
(問)中国と韓国が、いろいろと体制も違うし、たとえば韓国とは共通の価値観があるとおっしゃってますが、実際これから両国と外交を行っていく上で、日本からのアプローチとして、何か中国に対して、韓国に対して違う点がこれから出てくるのかどうか。それから、韓国は民意がダイレクトに政治に反映しますからその分大統領が、たとえば12月の訪日をする上で世論を意識しなければいけないと、逆にそういう難しい面もあるかと思うのですが、その辺はどのようにこれから外交を行っていくのでしょうか。
(麻生外務大臣)これはなかなか、韓国と中国の場合は世論というものがあるかないかということは難しいところだと思います。今言われたようにアプローチの仕方は少し違うと思います。ただ、中国の場合もやはり3億2000万台の携帯電話の存在は無視できないと思います。これが世論を形成している部分というのは忘れてはいけないところだと思います。これが3Gになったらもっと凄まじいことになりますから。そう言った意味で情報というものをうまくコントロール出来るというのはいわゆる共産主義、社会主義の一党独裁ではよく行われやすかったところですが、なかなか行われにくくなったというのは、ゴルバチョフのペレストロイカというのを見ていればそういった意味ではないようであって、実はそう言った世論というのはきちんと存在していたということだと思います。あの歴史から学ぶべきは。私はそう思っています。そういった意味では、今言われたように、中国と韓国では、確かに、今の現状は違うと思いますけれども、国民の感情という点ではいろいろな意味でこれまでそう言ったいろんな形の対日教育の話というのは、韓国や中国の教科書の話は朝日新聞はよく知っているところでしょう。だから、そういったところを見て、なかなか感情論が醸成されていますから、なかなか時間がかかる話だと思いますね。
(問)日中関係は政冷経熱といわれている中で、日中外相会談もキャンセルされましたが、今の状況をどのような場でどのように打開し、どのように中国に呼びかけるお考えですか。
(麻生外務大臣)今年1月に中国に行ったときに似たような質問を受け、歴史認識について問われたことがあります。正確ではないが、多分こんな具合に答えたと思います。昨年重慶でサッカーの試合が行われているときに、極めてアンフェアな応援を行ったのが中国人、しかしほぼ同じ時期に谷村新司の野外コンサートで、コンサートの最後に谷村新司が歌った「昴」という歌を観客の9割がスタンディング・オーべーションで応えてほとんど日本語で「昴」を歌ったというのも中国人、ということが存在していることを我々は知っている。昨年、中国の海軍の原子力潜水艦が日本の領海を侵犯したのも軍人ならば、戦前帝国陸軍が天皇陛下の意向を無視して中国でいろいろ不届きな行為があったのも軍人、軍人というのは政治家にとって常に扱いにくいというのが似たような話ではないかと。歴史認識というけれども、なかなか歴史認識というのは難しい。南北戦争のことを、ジョージア、アラバマ、ミシシッピ、ミズーリ、いわゆる南部の地域においてはノーザン・インベージョン、北部の侵略と学校では教えている。英国では米国の独立戦争を植民地の反乱といっている。同じ国内、同じアングロサクソンであっても歴史認識はなかなか一致しないということを前提にして、日中の歴史認識を考えていかなければならないのではないかと、正確な一言一句全部は憶えてはいませんが、大体似たようなことを言ったと思いますが。それ以降向こうから反論はなく、第3世代、3G、携帯電話の新しい機種のことですが、その話に戻ってという話になったので、なかなか歴史認識というのは一致しないものだということを知った上で、やはり今中国で日本語を歌ったり話したりする若い人が多い。ジャパン・アニメーション、Jファッション、J-POPの「3 J」がアジアのサブカルチャーを席巻しているというのが、2年か3年前のタイムの中で書かれた社説です。日本はハードだと思っているけれど、実はソフトでアジアの中でこれだけ日本のサブカルチャーが浸透していると、タイムマガジンという月刊誌に出ていたとおりです。現実問題として日中関係は多くの人たちが色んな形で深く交わって相互交流、経済交流はもちろんのこと観光、文化でいろいろ交わり合っているのが現実だと思います。そういった中で政治だけ別というように政経を分離するという考え方を中国はしますかね。私はある意味では、そういったものを考えて国民がそこまでうまく色んな形で行っているという現実に立った上で話をするべきではないかと思っています。
(問)東シナ海で中国が開発を進めているガス田の問題で、日中間で局長級の協議をする枠組みがあるわけですが、前回日本側が共同開発を含む案を出して、今の段階で中国側がそれに応じようとしない、開発を止めようとしない、その中で日本の中では試掘を進めるべきではないかという強い声も出ていますが、大臣としてはどのように対応していくお考えですか。
(麻生外務大臣)これは経産省の話でもあるのだと思いますが、少なくとも日中中間線の日本側水域の話だということがはっきりしているのであれば、それは向こうとして話に応じないという方がおかしいということになりますから、そういった意味ではきちんとした対応をしていかないと、こちら側も同じような形での開発をこちらの方でもすることになると、双方でコストがかかることになる、同じ石油をとるのであればあまり金がかからず両方でうまくやることを考えるのが経済原則だと思いますがね。
(問)台湾のことでお尋ねしますが、以前からよく台湾をご訪問されていらっしゃいましたが、外務大臣になられて台湾をご訪問する考えはございますか。
(麻生外務大臣)今の段階でですか。ありません。
(問)『一つの中国』の問題について、大臣のご見解を、台湾政策の基本的なお考えをお聞かせいただけますか。
(麻生外務大臣)これは日本の国として正式に文書が出ているのではありませんでしたっけ。外務省が長いのだったらご存じだと思いますが、その見解通りです。
(問)3日から日朝政府間協議が行われますが、先程の官邸での会見でも、ずるずると引き延ばしてはいけないとおっしゃっていましたが、任期中に拉致問題を解決する意欲をお聞かせ頂きたいのですが。
(麻生外務大臣)これは相手のある話だからそんな簡単にはいきませんよ。少なくとも、国家元首が国家の犯罪というのを正式に認めたというのは、僕の知っている範囲では過去に他に例を知らないのですが、そういった意味では、拉致されたというのは明らかに日本国国民の安全が著しく傷つけられているという現実は確かですから、それに対してきちんと対応するというのは当然のことであると思います。ただ、相手側が、なんとなく、それに応じない、認めたけれど応じないという状態が続いているということに対して、これは国民感情としてはなかなか難しい。特に日本海側沿岸に住んでおられる方々というのは、少なくとも意識としては明日は我が身という感じがありますけれども、意識が高いです。そういった意味では、それらの感情というものは無視できないところであると思います。対話と圧力、いろいろな表現がありますが、いろいろな意味でなんとなくというような、ずるずる引き延ばすというのはいかがなものかと思います。ただ、在任がいつまでかわかりませんが、その間に解決できるかと言われれば、相手のある話ですから、そんな簡単にできるとは思っているわけではありません。
(問)日朝関係ですが、3日から政府間対話ということで、基本的には国交正常化前の対話と位置づけている部分がありますが、何がクリアされれば国交正常化交渉に入れるか、その辺はいかがですか。
(麻生外務大臣)拉致の問題もあるでしょうし、核の問題もあるでしょうし、六者で協議している最中に日本だけフライング気味に先に出ているというのはいかがなものかという感じはしますから。六者の協議というのは、共同歩調というのは大事なところではないでしょうか。
(問)イラクですが、12月14日に派遣の期限が切れますが、この後延長すべきというお考えか、もしそうであればどのぐらいの期間が望ましいとお考えでしょうか。
(麻生外務大臣)これは憲法に基づいて、選挙の結果を見て、一応、新しい憲法ができて、それに基づいて選挙をするというのは、一応国の形としてはできあがることになったというように判断されるべきなのだと思いますが、そういったような状況になったときに、さあそれで治安とかいろいろなことを考えなくてはいけなくなると思います。やはりイラクという国が復興していく、経済的にも、そして治安も良くなるというのは日本の国益にもなりますから、そういった意味では日本としてイラクの治安の回復とかそういった安全が再興されるというのはすごく大事なところであると思いますから、これは派遣している国々それぞれ皆、検討しなくてはいけないところであると思いますが、解決していく部分もあるでしょうけれども、やはりきちんとした治安が維持できる組織、軍を含めて、警察含めて、組織というのがきちんとできあがらないとうまく国家体制、政治体制、いろいろな表現があるでしょうけど、そういうものができあがらないと、なかなか難しいかと。いろいろあるのだと思いますが、それは度合いによって違いますから。しょっちゅう憲法制定反対、選挙反対と言うのと、終わった後とで、また治安の状況というのは変わってくる部分もあるだろうと思います。期待する部分もありますが。いろいろなものを含めて考えなくてはいけないところなのではないでしょうか。
(問)国連安保理改革ですが、前任の町村氏がやり残して、ベースキャンプは作ったと、後は新しい麻生大臣がどういう登攀ルートをとるかという風に仰っていたのですが、どういう風な登攀ルートを登るかということと、これに向けた大臣ご自身の意欲がどの程度おありになるのか、町村氏は非常に熱心にやっておられたのですが。
(麻生外務大臣)日本の国連分担率は19.5%。米国は22%。中国、ロシアについては正確に覚えていませんが。そういう現状を見ると、なんとなく公平感に欠けるというのは、普通そう考える方が常識的だと思いますが。そういう中にあって、日本は黙って払い続けてきた。常任理事国ではなく、敵国条項も付いたまま払い続けてこれまで来たというのは事実であると思いますが。そういった意味では国連を何らかの形で改革をしなければならないというのは、ずっとこのところほとんどの国が言っている話ですから、いろいろな意味で今回ひとつのとっかかりにはなったのだと思います。この分担金の話が来年たぶん始まるはずですが、いろいろな意味で、国連の常任理事国入りとか、公平な負担とかいったようなものが、考えられてしかるべきであると思います。
(問)吉田茂も首相になる前に外務大臣をやっていますが、そのポストになられたということでご感想は。
(麻生外務大臣)吉田茂は外務大臣にならずに総理大臣と外務大臣を兼務したと記憶していますが、感想ですか。余り予期しなかった質問ですね。吉田茂がどういう感想を持つか、「大丈夫かあ」とそんなものですよ。こんな質問なんかされてね。多分そういう態度で、今その辺で聞いていますよ。
(問)在日米軍再編について、中間報告に対して基地を抱える地元から強い反発が出ていることについてどうお考えか。
(麻生外務大臣)少なくとも内容については日米で話がまとまったわけですから、推進して行くにあたっては、地元の理解を得るように色んな形で努力していくというのは、地元負担を含めて、少なくとも海兵隊員が大幅に減るという一つの進展があったことは確かですから、いろいろな意味でその種の問題を含めて考えていかなければならないと思っています。
(問)普天間について、以前嘉手納に統合する案が望ましいというような発言をされていたと思いますが、今はそう思っていないのですか。
(麻生外務大臣)普天間・嘉手納の話は、あれが一番安く済むと私自身はそう思っていましたが、少なくともなかなか折り合いが付かなかったわけですから、そういった意味で、例の辺野古の沖合に少しという話で決着がついたわけなので、私としてはそこで話がついたのであったら、一刻も早く、SACOをやってもう何年になりますか。7、8年になりますか?いや、9年、9年という時間がかかって何もできていない、9年前に危ないという話をして何も動いていないという状況の方が問題だと思っていますから、色んな形で話し合いが付いたなら、一刻も早く移転をするということを考えることが一番大事なことで、私自身は嘉手納にこだわることはありません。
(問)プーチン大統領が近く来日されますけれども、官邸での会見でも、この問題には長い歴史があって、(大統領が)来日したからといって即座に解決するものではない、というお話がありましたけれども、来年は日ソ共同宣言から50年でして、今後どのようなスタンスで交渉に臨んでいくのかという基本姿勢と意気込みをおしえていただきたい。
(麻生外務大臣)この話は正直言ってものすごくいわく因縁故事来歴、遡って行くといろいろ出てきますので、その辺の話をよくわからないでしゃべると極めて不必要な軋轢を生むことになりますから、なかなか見解を言うのは難しいところです。北方四島、特に人口の多い択捉島東部に住んでいる方々にとって、日本に帰属した方が良いと思っている人はいませんか、その方が生活水準が上がりますよ、と仮に言ったら内政干渉と多分言うでしょうね。良識的には私はそう思います。しかし色んな意味で、そこに住んでいる人達にとっての生活水準とか、色んなことも併せて考えなければいけない。単なる経済面とか生活面という話以外に政治とか外交というまた全然別の次元の話ですから、なかなか簡単にはいかない、住民投票をやって半分いったから良かろうというわけにはいかない話だと思います。そんなことを言い始めたら世界中で独立しようという国が一杯出てきますから。なかなか難しいと思いますね。だから、そういったことを考えると我々のところでも、これは長い間の歴史ではありますけれども、今現在あそこに住んでいる人がいないというところが、沖縄とは大分違う状況なのだと思います。かたわらいわゆるサンフランシスコ条約にさかのぼって色んな話が出てきますからそれをずっと言っていくと我々としては理屈は立つと思っていますが、それだからと言って即解決するかと言うと解決しないから今日まで長引いていると思いますので、これはしつこく言い続けなければいかんところではないのでしょうか。何となく、我々はしつこくない国民性がありますから、しかしこれはきちんと、長い間言い続けていくことは大事なことだと思いますけど。
(麻生外務大臣)外務大臣を拝命した麻生太郎です。総理から渡された紙は1枚。総務の時は6枚、いや3枚だったかな。それに比べれば紙は1枚ですが書いてある内容は6項目。日米関係の強化。イラク復興。テロとの戦い。国連改革。北朝鮮の問題。プーチン大統領訪日を控えて北方領土問題等々を含めて平和条約を締結。またインド、中国、韓国、ASEANとの友好関係促進。WTO新ラウンド交渉を通じた貿易促進。アジア各国との経済連携協定締結等々、関係大臣と緊密な連携を図りつつ積極的に取り組まれたいと書いてありますので、正直言って紙は1枚ですが、仕事の内容は広範囲かつ多岐に渡っていますので、これはかなり難しい話を多く抱えているという認識でいます。いずれにしても日本の国益を外さないようにきちんとした対応をして参りたいと思っています。以上です。
(問)今おっしゃった中で、中国、韓国との政治的な摩擦に関してはなかったと思うのですが、この4年で小泉総理が靖国参拝をされるたびに摩擦が起きてしまうという状況ですが、今後外交担当者としてどのように対応していこうとお考えですか。
(麻生外務大臣)基本的には日中関係というのは、ひとつのその問題以外の、例えば経済関係、若い人のサブカルチャーの文化交流等々を含めて、日中関係というのは、経済は勿論、総じて上手くいっているのではないでしょうか、基本的には。そういった意味の方が非常に大きな要素をしめていると、日中両国の国益を考えた時には、そこの所が一番強調されるべきところかなと思いますので、今の話等々はいろいろ相互に意見が違う事は確かですが、そういったところは今後ともいろいろ話し合っていく以外に方法はありません。
韓国の場合は中国とは少し違うような感じがします。民主主義、自由経済等々、日本との間の価値観が共有している部分が、日中とは少し違う気がします。日中と日韓を同じ扱いに皆されていますが、もともと持っている共通の価値観というものが違うような感じが私はします。
(問)プーチン大統領の訪日をひとつのきっかけにして、北方領土問題にどのように取り組んで、また前進させていくお考えですか。
(麻生外務大臣)北方四島の話というのは、双方60年の長きに渡っていろいろ話が出てきて、サンフランシスコ講和条約にさかのぼる長い話がありますので、来日出来たから即解決するという種類の問題ではないのではないか。二島返還とか南千島などいろいろな話がいわれたことがいっぱいありますが、基本的には私共としては来日が即解決に繋がるというものではないと思っています。
(問)総理が今回の人事でポスト小泉を競わせるというお考えを示していますが、この布陣を見て、麻生大臣にとって一番のライバルはどなただとお考えですか。
(麻生外務大臣)マスコミかな。
(問)小泉総理の総裁任期が残り1年を切っていますが、総裁任期待望論というのも一部ありますが、大臣御自身は総理に続投して欲しいと思いますか。
(麻生外務大臣)今から1年くらいありますので、その間のいろいろな事情というのは何が起きるかわからないと思っていますので、そういう事情になるかもしれないし、ならないかもしれない。いろいろな意味で流動的であることは確かだと思いますが。しかしこれまでの総理本人の性格からいくと、言ったらなかなか曲げない性格ではないか。ですから、その点からいくと、なかなか本人を説得する状況になったとしても、なかなか難しいかなという感じはします。
(問)改革への手腕を発揮するのがなかなか難しいポストだと思うのですが、その点についてお伺いできますか。
(麻生外務大臣)外務大臣は向かないポストだと言いたいわけですか。
(問)なかなか改革競争をするのは難しいのではないかと。
(麻生外務大臣)改革競争ね。改革競争はこの4年間やらさせていただきましたから、少なくとも出来ない出来ないと言われた三位一体も、東京新聞じゃ出来ないことになっていましたが、出来ましたしね。いろいろな意味で出来ないと言ったことは大体この4年の間、政調会長の時に結構出来たと思いますので、改革だけがと言われるのであれば、あなたの希望通りなのかもしれませんが、即改革と言われてもなかなかそんな簡単に右から左に改革できるような。国同士の話ですから、省同士の話とかそういうのと少し訳が違うと思いますので、そんな簡単な問題ではないと思っていますから、今の御質問に対して言わせていただければ、多分そういった改革というもの、改革の内容が国内の改革というのでしたら、それは向いてないです。
(問)来年9月に小泉総理がお辞めになったときに、大臣がポスト小泉を目指す意欲をお持ちということでよろしいのでしょうか。
(麻生外務大臣)そうでしょうね。
(問)WTO関係ですが、12月に閣僚会議があります。日本の中で農業という守りの分野とそれ以外の攻めの分野があると思いますが、外務大臣に調整役を期待されているかと思いますが、どのように今後の山場の交渉に臨むのでしょうか。
(麻生外務大臣)これはむしろ今度農林水産大臣になっておられる中川昭一大臣に聞かれた方がいいと思いますが、少なくとも農業というものだけを見ると、何となく先行きのない農業というイメージになっていますが、現実問題としていろいろな形で新しい試みが成されています。苫小牧の山芋の輸出に始まり、梨の輸出、新しい「あまおう」等々、イチゴ一個300円~400円。銀座の値段じゃありません。中国での値段です。梨一個800円。リンゴ「ふじ」一個1000円だったかな。ああいったのが実際上海などで売られたりしているのを見ると、やはり日本の付加価値の高い製品による農業産品の輸出というのは、絶対額はまだ少ないと思いますが、そういった意味でのなんとなく守りとか縮小ばかりの農業のイメージを大きく変えることに貢献している若い人、また花やら何やらで電照菊なんかをやっているところを見ていると、結構利益としてあげておられる所はいっぱいありますので、そういうのを見ているとなかなかなんとなく農業の先行きは暗いばかりの話でもない部分もある。問題はコメやら何やらだと思いますが、いろいろな意味で今の話というのはマイナスの話ばかりではない時代に成りつつあるという傾向はここ数年顕著かなと思っています。
(問)北朝鮮の拉致事件に関してお尋ねします。政府は今まで北朝鮮の誠意のある対応がなければ厳しい対応で挑むというようなことをコメントされていますが、早期の制裁発動に関して大臣は賛成でしょうか、反対でしょうか。もし賛成であれば、それはどの段階になったら発動するお考えですか。
(麻生外務大臣)それは一概に言えません。日朝の話ですよね。経済制裁をというのは「アメとムチ」の話とか「対話と圧力」とかこれまでもいろいろな表現をして来られていると思いますが、その中からいけば、それは少なくとも隣の国にあって、そして少なくとも日本人を拉致したという犯罪を国家元首が認めるという例は過去になかったと思います。国家の犯罪を国家元首が認めたという例は、私が知っている範囲ではないのですが、そういった事態が起きている。そういう状況を踏まえて、その国と話をしていく時にはきちんとした対話というものと同時に、いろいろな意味で少なくとも核爆弾等々を持とうという意欲を全然隠さないところ、かつそれを移動させるミサイルの技術開発に熱心なところというのが、隣にあるという事態は、日本の国防を考える上では、絶対に無視、看過出来ないところだと思います。そういった意味では、私共としては日本の国民を守るという最低限の国家の義務がありますので、私共としては日朝というものに関しては、なんとなくずるずるずるずるということを望まないのであって、そういった意味では「対話と圧力」という話が出てくるのは当然なのだと思いますが、いつのタイミングでどうすると今私に聞かれても、それに答える資料を持ちません。
(問)日米関係をどうお考えですか。日米関係を踏まえて、12月14日に期限が切れる自衛隊イラク派遣の延長の是非についてのお考えを。
(麻生外務大臣)日米関係については、これは基本的にはマンスフィールド(元駐日米国大使)の言葉を借りるまでもなく、世界で最も大事な2国間関係というのははっきりしていると思っています。幸いにしてブッシュ大統領と小泉総理大臣の人間関係もしっかりしているということはいいことなんだと、この関係は今後共維持されていく。日米安全保障条約を含め、今回の「2+2」の結果を踏まえても、これはきちんと維持されるべき。そして、そうした上で、今、イラクの話が出ていましたが、これは復興は道半ばというのははっきりしているのだと思います。また少なくとも自衛隊員は600人かな、人的貢献をしているわけで、加えてODA、一種の車の両輪みたいなものだと思いますから、その意味ではこの二つをきちんとしていくのは、日本として相応しい貢献というのを今後ともしていくべきだと思っています。いつどうするかという話は、他国がどうするかというのを踏まえて考えなければいけないところだと思います。それは何もそういったことをすることによって、日本の国益にも資するということなんだという点を忘れないようにしとかないかんところかなと。何もしてあげてるだけじゃなくて、そういったところの安定というところは、回り回って日本という国の自由貿易やら、広く日本の国益に資するという観点を忘れずにやらないかんところかなと思っています。
(問)先週発表がありました原子力空母の配備について、地元の横須賀市や神奈川県に結構反発の声がありますが、その辺はどのように受けとめていらっしゃいますか。
(麻生外務大臣)地元の方々のいろいろな感情論というのは無視できないところだとは思いますが、少なくとも、石油というかC重油で動かすようなものから原子力に移っていくのは技術の進歩から考えて、当然防衛力の向上に繋がっていることは確かですから、そういった意味では日本の防衛という観点からいけば、決して流れとしては間違っていないと思いますが、国民感情や地元の横須賀の感情というのは別の話だろうと思いますので、そのところは十分な話し合いが必要だとは思います。
(町村外務大臣)今朝の閣議では、テロ対策特措法の延長法案の成立に伴ってする基本計画の変更について決めました。基本計画を半年間延長する。法律は1年ですが、計画そのものは半年ということになります。
次はグアテマラに対する緊急無償資金協力です。10月上旬、2日から9日までいわゆるハリケーン「スタン」が襲い、死者、不明者1500人を超えるという大変な状態だそうです。そこで、78万ドルの緊急無償資金協力を行うことを決めました。既に1200万円相当の緊急援助物資の供与をしていますので、総額約1億円の緊急援助を実施するということになります。
今日、米海軍が、横須賀の空母キティホークが2008年にニミッツ級原子力推進空母と交替をする旨を公表したところです。本件については、昨日の夕方、シーファー大使から私に連絡があり、地元には連絡を今朝ほどしたところです。政府としてはこの米海軍のプレゼンスが引き続き我が国周辺に維持されるということは、日本の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与すると考えるもので、この目的のために米国の第7艦隊が果たしている役割を日本政府は評価をしているところです。安全性ということに皆様のご関心があるわけですが、米国の原子力軍艦の寄港については、政府は従来からこの問題について安全は確保されていると一貫して判断をしているわけです。米国原子力軍艦の日本への寄港に関する累次の安全性に関する保証というものがこれまであるのですが、これを引き続き厳格に堅持することを述べており、この点、私共もこの姿勢は評価をしています。通常型の空母を維持できないかという横須賀市の立場を、累次、私共は御要望として聞いてきました。私もその点については地元からこういう要請があるということを強く米国政府にも直接述べてきたりしてきたところです。これに対して米国政府からはあらゆる選択肢を検討したが、今のキティホークは40年以上稼働しているので、2008年まで使うと約47~48年ぐらい使い続けることになるといった艦船の物理的な状態があるものだから、前方展開の任務に就くことは出来ないという結論に至ったということです。また、米国政府からは米国海軍は今後空母を全て原子力空母とする方針であり、通常型の空母はもう作らないし配置しないという方針であるという話を、私共が確認したところ、先方からはそういう説明があったところです。シーファー大使自身もそれについて、米国に戻っていろいろな話を関係者とされたそうですが、そういう米海軍の方針であるということのようです。いずれにしましても地元の理解というものが大切でして、大きな目的というものを是非地元の皆様方にも御理解を頂いた上、御協力を頂けますように、政府としても引き続き地元横須賀市あるいは神奈川県にもよくお願いをしていこう、理解を得るべく最大限の努力をしていこうと考えているところです。以上です。
(問)米国側から新しい空母に変わるということについて、昨日のシーファ大使以前には連絡はなかったのでしょうか。
(町村外務大臣)ありません。
(問)米国との米軍再編協議の中で話題としては出てこなかったのでしょうか。
(町村外務大臣)これは米軍再編協議とは違うジャンルの話です。もとより最終的に、全くそれまで何の話もなく昨日ぽつんと来た訳ではありません。この案件については、案件として当然あったわけです。例えば先ほどお話のあったように、地元からもそういう懸念というか御要望があり、私自身も今年2月の「2+2」の時にラムズフェルド国防長官に、地元からこういう強い要請があるので是非御考慮賜りたいという話をしているわけです。そうしたやり取りあるいは事務的ないろいろなやり取りの中から最終的な米国政府の判断ということで昨日連絡があったということです。
(問)大使から話があった時に大臣はどのようにお答えになったのでしょうか。了承するとか受け入れるとか、そう言ったお話をされたのでしょうか。
(町村外務大臣)政府としてそういう評価をするということは受け入れるということを意味しているわけであります。当然のことです。
(問)原子力空母ですが、艦名は「ジョージ・ブッシュ」となるのでしょうか。
(町村外務大臣)具体的にどういうものが来るかというのは、まだ彼らの運航と言いますか、運用計画というのがあるのでしょうから、それはこの時点ではっきり決まっているとは私は承知していません。いろいろ艦名が具体的にあがっていることは知っていますが、まだそれが確定したとは聞いていません。
(問)以前からこの話があったとして、米軍再編について基本的に合意ができた直後になってこういう通告があったということをどう受けとめられていますか。
(町村外務大臣)時期的な問題ですか?再編成以前からこの空母のあり方というのは米国の中で議論が行われており、日本の再編成あるいは世界全体の再編成と、ある意味では独立編成のような形で、米国ではむしろ原子力型であれ通常型であれとにかく母港でなくなることへの反対というものが大変強いわけです。ここにいつまでも居続けてもらいたいということで、米国内でも既に何年もの議論があるやに私は聞いています。従って、たまたま時期が近接したわけですが、大きな流れなのです。もう一つは、米国側としても来年度の予算編成との関わりというものがあるので、どこかの時期までにこれを決めなければならない。米海軍もきっと予算要求しなければならないわけでしょうから、そのからみもあってこの時期になったのだと理解しています。
(問)地元の理解が大切だと大臣はおっしゃいましたが、地元の反発は相当強いと聞いています。この合意が地元の意見によって見直しあるいはこの合意そのものが覆るという可能性はあるのでしょうか。
(町村外務大臣)御理解をいただくべく、最大限の努力をしていくという姿勢です。
(問)米軍再編に絡んで、沖縄をはじめ各自治体からは懸念や反対の声が出ているのですが、これにどのように対応していくのですか。また、大臣の地元である千歳でも慎重に対応したいという考えを示されていますが、これに対してもどのようにされていくのですか。
(町村外務大臣)千歳が云々という話はまだ一度も出ていません。具体的な飛行場名が出ているようですが、そういう具体名は一度も出たことはありません。いろいろな地元の反応が当然あり得ると思います。例えば衆議院の選挙なかりせば、もう一ヶ月以上早く地元への話なども出来たのだろうと思っていますが、諸般の事情で今日まで来てしまいました。いずれにしても今週土曜日に予定されている「2+2」は中間的な報告ということですので、勿論昨日、今日、明日とそれぞれの地元への説明が防衛庁を中心に始まっているわけですが、今後とも「2+2」の後も、最終報告に向けて地元の御理解を得るべく、外務省としても政府を挙げて最大限の努力をしていくということであります。
(町村外務大臣)急な会見で恐縮でしたが、二点申し上げます。一つは、日朝政府間協議の開催ですが、日朝両政府、11月3日(木曜日)北京において政府間協議を行うということで合意をしましたので発表します。この協議、ご承知のように第4回の六者会合の際にやろうということで合意をされたものであり、その後事務的な往復を重ねていましたが、今日、合意をしたので発表するということです。言うまでもなく、今回の政府間の話し合いというのは、先般の六者協議の合意事項の中にもしっかりと位置づけられているという意味で、これはただ単に二国間にとって重要であるのみならず、関係諸国、アジア全体にとっても重要な話し合いがまた再開されるということであろうと思います。どういうことが議論されるかということですが、これはかねてより申し上げていますが、核の問題ばかりではなく、日朝間に特に関心の高い、あるいは日本に関心が深いミサイルあるいは拉致の問題を取り上げるということは当然のことであろうと思いますし、また、先方から関心の深い過去の清算等、広範な問題について議論される会談になろうかと思っています。特に拉致問題、日本のより多くの国民の方々が関心の強いテーマでもありますし、また、ご家族の長年置かれました苦しい立場というものを考えたときに、一刻も早く解決する必要があるテーマであると認識をしています。尚、今回の協議では、日本側は齋木アジア大洋州局審議官、北朝鮮側は宋日昊(ソン・イルホ)外務省副局長がそれぞれ代表を務めるということになっています。以上が日朝政府間協議の点です。
(町村外務大臣)もう一点は、大変これも皆様のご関心を呼んでいました、日米間の米軍再編協議のことです。私が大臣に昨年9月就任してからも、相当のエネルギーを費やしてこの問題に取り組んで参りました。2月に「2+2」で共通戦略目標というものを掲げまして、今回、これは国会の承認を得られればですが、10月29日(土曜日)ワシントンで「2+2」を開催しまして、共通戦略目標に加えて更に二点、一点は日米それぞれが果たすべき役割、使命、任務といった点についてのまとめ。それから二点目は、まさに米軍再編成の姿ということであり、これで一応、当初予定した三部作が完結をするということになるわけです。今回の取りまとめは、いわば中間的な取りまとめということでして、最終報告は一定の期間を経た後、日米両国政府間で正式な合意をするということでして、今回の取りまとめはそういう意味では最終段階ではありません。普天間の移設先の問題につきまして、いろいろな誤った報道を中心に、たくさんいろいろな報道がなされていました。今回まとまった案は、比較的最近のことではありますが、日本側が提示した案を米国側がそれを受け入れるという形でセットをしました。大浦湾からキャンプ・シュワブ南の沿岸部を活用して建設される案ということです。こういうことで、日本原案を米国側が受け入れましょうということに相成って、セットしました。尚、この中間報告の詳細ですが、まだ表現振り、あるいはその翻訳振り等について、最終的な事務的な詰めが要るところですので、詳細の発表はワシントンで「2+2」の後に発表するということにしています。負担の軽減と抑止力の維持という、大変難しい命題を成立させるための内容ですから、なかなかどういう風にこれが地元で受け入れられるかわかりませんが、地元説明はこれから、既に一部やってはいるわけですが、これから本格的に防衛庁を中心にして、自治体の皆様方を中心にして、適宜、「2+2」前のここ一両日くらいは非公式な形にならざるを得ないわけですが、説明を始めていこうと思っています。尚、十二分な理解を得られるかどうかはやってみないとわかりませんので、あくまでも中間報告で最終報告に至るまでの間、地元の皆様方のご理解を得るような最大限の努力をしていこうという考えです。尚、今日のこの最終合意、米国国防省のローレスさんと私と大野さんとで会って最終的に合意をしました。もちろんそれ以前に審議官級をはじめ、大勢の皆様方が大変ネ努力をして取りまとめたものであることを付言させて頂きます。以上です。
<米軍再編問題>
(問)米軍再編ですが、米国側が日本の案に歩み寄ってきてそれを呑んだ理由は。
(町村外務大臣)日本が、政府としてこの実現にしっかりと責任を持つと。それは辺野古の案も実は同様であったはずですが、諸般の事情から遅れに遅れ今日に至っているといったことの反省を踏まえながら、改めて日本政府としてこの実現に最大の努力をし、責任を持つということを先方に明確にお伝えしたということです。そしてここで取りまとめを行うということが「2+2」そして更に開かれます日米首脳会談の場できちっと取り上げられ、そして日米首脳からは更に最終合意に向けて努力をするようにというご指示をいただくことになろうかと思いますが、そうした日米関係の基礎を成す安全保障の分野で、ここで合意がもし出来ないということになるとそれは取り返しのつかない大変大きな亀裂を日米間に残す恐れがあるという危機感もありましたので、そうした背景の中で今回の合意に至ったものと私は考えます。
(問)現行の辺野古の基本計画は今後どういう形になるのでしょうか。
(町村外務大臣)これは当初から、SACO合意はSACO合意として確実に実施をしていくということを述べていました。ただ今回の再編協議がSACO合意と接点が生まれるかもしれないという話はかねてから国会答弁でも私はしてきました。まさにこの接点の一つがこれであろうかと思っています。いずれ最終合意が出来た段階で改めてSACO合意の一部の変更ということにならざるを得ないわけですから、当然その段階で閣議決定をし直すことになる、あるいは新しい閣議決定をするということになって参ります。そういうきちんとした手順を踏んで参ります。
(問)日本政府として実現に責任を持つということを米国に伝えたということですが、地元との話は付いているのでしょうか。
(町村外務大臣)まだ付いていません。既に内々の話は一定の方々にはしているわけですが、今後、非公式、公式にしっかりとお伝えをし、御理解をいただく努力を最大限にしていかなければならないと思います。特に沖縄につきましては、この普天間以外の案件もあるわけです。沖縄の海兵隊の隊員の数を相当大規模に削減をするということも含めて、沖縄の皆様方への負担軽減の姿をお示ししなければいけないと思っています。相当大規模な削減になろうかと思います。数字は今述べるわけにはいきません。数千人規模とだけ述べておきます。
(問)現行の辺野古沖の計画は、順調にいっても10年以上かかるという見通しだったわけですが、この新しい案になることでどの位短縮されると見込まれますか。
(町村外務大臣)今後、一定の手続きを経た上で実際に着工ということになってくるわけでしょうが、まだ具体的に何年ということを明示的に述べる段階ではないかと思います。ただ今の辺野古沖は相当海の深い部分を埋め立てなければならないという内容ですが、今回の案は一部陸も使うわけですし、かなり浅瀬に近い所ということですから、一刻も早く普天間を返還し、早く実現するということがひとつの大きな命題であったと思いますので、そういう意味で辺野古沖の案よりは大分早く、勿論事前に地元の政治的な調整を行うというところの時間も含めて考えなければなりませんが、それを含めても辺野古沖よりは大分時間的には短縮できるものと考えて、今回の決定にいたったわけです。
(問)米国との間で、最終報告まであと何年後にというある程度の目処はあるのでしょうか。今回取りまとめられて、最終報告を大体いつ頃やろうという話し合いはされたのでしょうか。
(町村外務大臣)勿論しています。最終報告をまとめる時期についても「2+2」の場ではっきり明示をしたいと思っています。
(問)それは年内ということも視野にありますか。
(町村外務大臣)それはちょっと無理でしょう。
(問)今後地元に説明していく段階の中で、地元の意見を採り入れて中間報告と変わった形で最終報告を取りまとめるという可能性はあるのでしょうか。
(町村外務大臣)それはそうでなければ「中間報告イコール最終報告」ということになってしまいますから。いろいろな御意見を聞きながら。実際表現もまだ「検討」など、やや中間的な表現になっているものもありますから。
(問)未確認の情報ですが、滑走路の長さが当初の計画では1500メートルだったのが300メートル伸びて1800メートルになったのではないかという事実関係はありますか。また、それが事実であればそれは日本側の案を受け入れさせるためのものだったのかどうか。
(町村外務大臣)頭の中に記憶が残っていますが、そこまでの詳細は今日は差し控えさせていただきます。
<日朝政府間協議>
(問)9月の六者協議で日朝政府間交渉の再開に合意して、具体的な日程ということでは1ヶ月余り調整するのにかかりましたが、これまでかかった主な理由とはどういったことがあるのでしょうか。
(町村外務大臣)外交上の内々のやりとりの詳細を全てディスクローズすることは不適切だと思います。
(問)日朝協議は現時点で想定されているのは3日から5日までということですか。
(町村外務大臣)何日かけるかは決まっていません。常識的な日数ではないでしょうか。
(問)日本人拉致問題についてはどのように協議で取り上げていくのでしょうか。
(町村外務大臣)前回、横田めぐみさんの遺骨と称されるものが日本側の鑑定によって偽であることが証明されたわけです。先方は違う意見があるようですが。それをきかっけにしてその後の表立った交渉、やりとりが中断していたという経緯があるわけですが、改めてそこは一つのテーマとして話し合いが行われなければならない点だと思います。その他、拉致の問題についていうなら、生存している方々の一刻も早い帰国、その他正確な情報の聴取、あるいは特定失踪者についての先方の更なる調査、あるいは調査結果の開示といったことを求めていかなければならないと思います。
(問)会談の位置づけですが、日朝実務者協議、国交正常化交渉とどう違うのでしょうか。
(町村外務大臣)国交正常化交渉という位置づけは今回していません。その前段階の様々な話し合いという位置づけであろうかと思います。
(問)国交正常化交渉に関し、今回の協議を踏まえてどの段階をクリアしたところで正常化交渉に入るというような線引きは存在するのでしょうか。
(町村外務大臣)それは、向こう側との話し合いで、例えば拉致問題についてどこまで説得力のある回答・説明があるのか、という辺りをはっきり見極めなければならないと思います。それを見極めることなしに国交正常化交渉に入っていくということは有り得ないと思います 。
(問)説得力のある回答・説明とはどの辺まで想定されているのでしょうか。
(町村外務大臣)文字通り説得力のある、それを見て我々も元より、ご家族の方がなるほどと理解しうる内容でなければならない、何よりも生きている方々が帰ってくることが何よりも説得力のある証明になることは言うまでもないことでしょう。
(問)今回の対話は常識的な日数ということですが、今回の対話の達成目標、要するにどこまでやったら今回の対話は終わりだとお考えですか。
(町村外務大臣)いろいろ腹案はありますが、そこは今全部こちらから話す必要はないのではないでしょうか。
(問)日本政府としては何度かこういうことを重ねていくということですか。
(町村外務大臣)もちろん重ねることが目的ではなくて、早い答えを見いだすことが目的ですが、それは彼らの対応如何によって短くもなるし長くもなるかもしれません。当初から長いことを想定しているわけではありません。できるだけ早く。時間という問題は一つの要素であると考えています。特にご家族の皆様方にとっては時間という要素は大変大きな問題であるということは私ども十分認識しています。
(問)去年開かれた日朝の実務者協議は三回とも小泉総理訪朝のフォローアップということでしたが、審議官級で始まったものを局長級にして場所を平壌で形を変えるという方法をとりましたが、今回審議官級で北京という風になった理由については。
(町村外務大臣)そういうことで双方合意をしたとしか言いようがありません。
(問)日朝交渉に関して経済制裁論がまだくすぶっているわけですが、政府間交渉を始めるにあたってこういう意見をどう受け止められるでしょうか。
(町村外務大臣)話し合いをお互いに始める際に、最初からおまえをぶん殴るぞと言って話し合いをする人が世の中あるでしょうかね。対話と圧力という基本方針を持っているわけですから、その方針に何ら変わりはありませんが。話し合いを始める直前に、何もなければ制裁だと言って、さあ話し合いをしましょうというのはどうなのでしょうか。
(問)今回、日程を確定させるにあたって、双方から条件のようなものは出したのでしょうか。
(町村外務大臣)先程申し上げたように、準備段階のいろいろなやりとりの逐一をお話しするのは不適切であると思っています。
(問)六者協議の事前に二国間協議をやる以上、六者協議が始まった場合に、これはもう過去問題に集中するという感じになるのでしょうか。
(町村外務大臣)六者協議の主たる点は、常にそうですが、北朝鮮の核の問題です。ただ、それ以外の関連する話題も、別に除外されているわけではありませんし、現に先般の六者協議の合意文書の中にも、日朝あるいは米朝の国交正常化というのも一つの柱として掲げられていますし、日朝の文書、パラグラフには、諸懸案という形で拉致のことも触れられているわけですから、そういう意味できちんとした位置づけになっていると思っています。
(問)そうしますと3日から話し合われる二国間協議で、必ずしも満足を得られない状況の場合は、六者協議の場でまた改めて二国間協議を申し入れるということも考えられるのですか。
(町村外務大臣)満足を得られない場合とか、二カ国の話がうまくいかないという前提で全てそうやって組み立ててしまうこと自体がいかがなものかと私は思いますが。六者協議という場で今後常に二カ国の問題も話し合えるという道が、先般の合意文書の中で開かれているわけですから、二カ国、三カ国、六カ国、いろいろな組み合わせで話し合いが行われることは、前回実証済みでしょうから、今後もそういうことは十分可能であろうと思っています。
(町村外務大臣)おはようございます。今日の閣議はODA白書、これの報告をしました。ミレニアム開発目標を中心に今回のODA白書が纏められておりますので、是非ご注目を頂きたいと思っています。
(問)若干残られていたようですが、総理とお話になられたのですか。
(町村外務大臣)いえ、違います。
(問)米軍再編を巡る協議ですけれども、昨夜行われた協議では合意には至らなかったようですが、現状どのような状況になっていますか。
(町村外務大臣)最終的な協議をやっております。
(問)米側は歩み寄りを見せているようですけれども。
(町村外務大臣)内容には触れません。今日中に当然決着をしようと思って最後の協議を行います。
(問)今月中に中間報告を取りまとめる場合はリミットは。
(町村外務大臣)基本的な方針はそういうことで、一切変わっておりません。
(問)今月中に中間報告を纏めるとすれば、リミットは今日ということになりますか。
(町村外務大臣)まあそうでしょうね。
(問)審議官協議の見通しはどうみていますか。今日の大詰めの協議の見通しについては。
(町村外務大臣)当然、纏まるものと思っていつも作業をやっております。
(問)日朝対話ですが、日程の調整に向けて今最終的な詰めをされている段階かと思いますが、見通しはどうでしょうか。
(町村外務大臣)まあ、いろいろやっております。
(問)北朝鮮側から来月初めにも北京というような話が。
(町村外務大臣)内容はノーコメントです。
(町村外務大臣)閣議では特に外務省関連はありませんでしたが、第4回日本・太平洋諸島フォーラム(Pacific Islands Forum,PIF)首脳会議、通称「太平洋・島サミット」と呼んでいますが、これを来年5月26日、27日に沖縄県で開くということを決定しました。これは、小泉総理、日本国総理大臣と次の太平洋諸島フォーラムの議長であるマイケル・ソマレ・パプアニューギニア首相が共同議長を務めるということになっています。これは今まで何度か開催していまして、環境問題や開発問題を議論する大変いい場であります。何故この時期に決める必要があるかというと、来週28日、29日にパプアニューギニアでPIFと域外国との対話が行われます。日本も域外国になるわけですが、そこでこのサミットをどうするのかという事が議論になりますので、その1週間ほど前に場所を決める必要があるということで、今回の決定に至ったわけです。なお、この域外国対話には有馬政府代表が日本からは出席する予定になっています。
(問)米軍再編ですが、今月中に中間報告を取りまとめたいということで作業されていると思いますが、現状はどういう状況なのでしょうか。また今後どのようなスケジュールでされていくのでしょうか。
(町村外務大臣)現状は、毎日お聞きになっていますが、そう日々変化があるわけではありません。来週前半に審議官級の協議が行われる予定にはなっています。月内取りまとめという基本方針に則って、今作業しているところです。
(問)日米両方で共同調査されまして、米国側は日本が考えている「沿岸案」は受け入れられないという話もありますが、そういう事実が伝えられていることはあるのでしょうか。
(町村外務大臣)コメントいたしません。
(問)近く、外務大臣、防衛庁長官らが集まって協議される予定はありますか。
(町村外務大臣)それは適宜やってきております。これまでもしてきました。
(問)訪米中の李登輝(りとうき)・前台湾総統が米国で講演しまして、「台湾は独立すべきだ。名称も中華民国から台湾に変えるべきだ」という趣旨の発言をしたようです。それに対して米国のスポークスマンは異議を唱えているようですが、大臣はそれをどう受けとめられますか。
(町村外務大臣)どういう発言であったか詳細は承知していませんが、そういう趣旨の御発言を李登輝氏がされたということは聞いています。日本政府の方針というのは、これまでも一貫していまして、台湾の独立は支持しないということですので、李登輝氏がどういう文脈で言われたのかよくわかりませんが、もし今言われたような事であれば日本政府としてもそれは支持しないとかねてから述べていますし、改めてそれは支持しないという事を述べたいと思います。
(問)鈴木宗男議員がこのところ立て続けに質問主意書を外務省に出しているようですが、どう受けとめていますか。
(町村外務大臣)いつもたくさんの議員から質問主意書が毎回の閣議で案件照会がありますから、鈴木氏ばかりではないと思っています。他にもたくさん他の議員からも外務省に来ていますから、淡々と事実をお答えするまでです。
(問)今日、中国側から、今週末に予定されていた町村大臣の訪中について、受け入れ困難であるとの連絡が入ったとのことですがどのように受け止めておいででしょうか。
(町村外務大臣)事実として淡々と受け止めます。
(問)今後も引き続き訪中に向けて調整をしていきたいとお考えでしょうか。
(町村外務大臣)いずれにしても色々なレベルの話し合いを積み重ねていくということが大切なわけですから、一つの潮時というものがありますからね。
(問)最近、中国は日本との関係について関係改善のちょっと兆しもあったような感じもあるのですが、今回大臣が訪中されて改善に向けて色々と軌道に乗せていこうという時期だったのですが、今回中止ということでそれが後退してしまったかなという感じがするのですがその辺についてはどうですか。
(町村外務大臣)引き続きより良い関係を作るために努力していくのが、日本の外交の基本です。
(問)中国側は靖国神社を参拝した総理は自らの責任を持たなければならないというような強いことも言っていますが、その辺についてはどうお考えでしょうか。
(町村外務大臣)ちょっとどういうそれが意味内容なのか、本当は直接聞いてみないとわからないこともありますね。
(問)ガス田協議、まだ設定されていないみたいですけれども、そういったものへの影響みたいなものはどうなんですか。
(町村外務大臣)それはまだ直接話し合いの連絡なり話し合いがまだ行われていない状態です。
(問)中国だけではなく韓国の方も靖国神社参拝については反発を強めているのですが、今月末に潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官の訪日も予定されていたと思いますが、これについては連絡等リアクションは。
(町村外務大臣)私は来て頂けるものだと思っています。
(問)まだ向こうの方から正式な連絡は。
(町村外務大臣)それはありません。
(町村外務大臣)パキスタンへの支援800万ドルを、国連の諸機関、ユニセフやWFP(世界食糧機関)など、そういうところにパキスタンの地震対策として拠出をするということを決めました。バイで出す1200万ドルを合わせるとこれで2000万ドルということになります。パキスタンの状況は死者が更に増えて4万人近くになってきているということで大変な状況です。昨日谷川副大臣から帰国報告を受けました。副大臣は先方の首相と会ったり、ヘリコプターで最も被害があった地域を視察されたりし、どういう援助が必要かについてもしっかりした意見を持ち帰って来たので、それに沿ってしっかりした支援をやっていこうと思っています。自衛隊の活動も今日からか始まっているようです。私の方から閣議で申し上げたのは以上です。
(問)閣僚懇で昨日の小泉総理の靖国参拝について総理の方から発言はあったのでしょうか。
(町村外務大臣)閣議、閣僚懇ではありません。
(問)その前後では。
(町村外務大臣)後で件名外ということで一言、なぜ行かれたかという話はありました。それから、総理からは三位一体改革のことについての発言もありました。
(問)どのような発言があったか教えて下さい。
(町村外務大臣)昨日の記者会見で大体総理が言われたことです。
(問)昨日の中国、韓国大使との話の中で抗議があったかと思いますが、総理には伝えてあるのでしょうか。
(町村外務大臣)昨日の夜、伝えてあります。
(問)どのような。
(町村外務大臣)書類をもって伝えてあります。
(問)総理の靖国参拝を受けて、中国、韓国が反発をしていまして、大臣の中国訪問、韓国の盧武鉉大統領の訪日などの日程を予定通り行うのは難しいのではないかという見方が出ているのですが。
(町村外務大臣)どこから出ているのですか。
(問)韓国の報道官の発言で。
(町村外務大臣)私は確認していません。
(問)現状少なくとも会談は先送りになっていますが。
(町村外務大臣)予定通りしっかり進めていこうと思っています。
(問)中国、韓国から総理の参拝に対して反発が出ていることを受けて、今後政府としてはどのように理解を求めていくお考えですか。
(町村外務大臣)今後、様々なチャンネルがありますので、それらを通じて理解を求める努力はしていきます。
(問)その際言われることは、総理がおっしゃったことですか。
(町村外務大臣)そうです。
(問)大臣御自身は靖国神社に参拝する会に所属しておられますが、外務大臣になってから参拝を控えているのはどうしてですか。
(町村外務大臣)外務大臣としての判断であります。
(問)具体的にはどういう理由での判断なのでしょうか。
(町村外務大臣)総合的な判断であります。
(問)外交上好ましくないという判断でしょうか。
(町村外務大臣)総合的な判断と申し上げました。
(問)大臣はこういう時期だからこそ両国と対話することが大事だと述べていましたが、その考えに変わりはないですか。
(町村外務大臣)勿論です。だから、いろいろな日程等々は予定通りやるべきだと考えているわけです。
(問)中国の王毅大使、韓国の羅鍾一(ラ・ジョンイル)大使がいらっしゃってどのような話があったのかそれぞれお聞かせ下さい。
(町村外務大臣)両大使とも本国政府からの訓令だと思いますが、それぞれ発言のメモを持って、日本国、小泉内閣総理大臣に抗議をするということでお見えになりました。再三に渡って靖国参拝は控えてもらいたいという要請をしていたにも拘わらずこういうことになって、誠に驚きと怒りを禁じ得ないという趣旨の話でした。中国はちょうど有人飛行が早朝、無事に帰ってきたというお祝いをみんなでしているときに国民感情としても誠によろしくないということでした。
(問)大臣からそれに対してどのような返事をされたのでしょうか。
(町村外務大臣)私の方からは、小泉総理が私人として参拝したこと、そして今まで総理がいつも言っておられる三つの考え方、一つは亡くなられた方々への戦没者への追悼、英霊への追悼、二番目はそうした貴重な犠牲の上に立って今日の日本の繁栄がある、そのことへの感謝の気持ち、三番目はいずれにしても二度と戦争を起こしてはならないという不戦の誓い、この三つの思いを込めてお参りをすると、これは従前からもそういう説明であるわけですが、そういう思いで総理は参拝をされたのだということ、そして同時に、近隣諸国、中国韓国と未来志向の良い関係を築いていきたいという気持ちは変わらないし、そのことは8月15日の内閣総理大臣談話でも既に述べているところであるという話を、私からはしておきました。
(問)王毅大使は先ほど記者団に対して今回のことが日中関係を損なうことになるだろうと述べていたんですが、大臣週末には中国を訪問される予定ですけれども、そのあたりの話はあったんでしょうか。
(町村外務大臣)ありません。
(問)大臣は今回のことがご自身の今週末の訪中にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。
(町村外務大臣)国会でもお話ししましたが、靖国参拝ということがあったなかったということにかかわらず、むしろあったときこそ、率直な外相同士の話し合いをしたほうが良いのではないかと思っております。従って、こちらから訪中を変えるという考えはありません。
(問)中国側から週末の訪中について中止にするという連絡は入っているのでしょうか。
(町村外務大臣)ありません。
(問)一方で韓国ですけれども、12月には盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が来日する見通しだと思いますが、その辺の話は羅鍾一大使からあったのでしょうか。
(町村外務大臣)特にありません。
(問)小泉総理は参拝の時期について常に適切に判断するとおっしゃておられるわけですけれども、外交面から見て大臣は如何お考えでしょうか。
(町村外務大臣)それは適切に判断された結果今回行かれたということでしょう。秋季例大祭の最初の日ということでこのタイミングを選ばれたのだと思います。
(問)大臣は何時頃どういう形で総理が靖国参拝するということの連絡を受けられたのですか。
(町村外務大臣)朝、総理大臣秘書官から私の秘書官に連絡がありました。
(問)何時くらいでしょうか。
(町村外務大臣)8時過ぎですか。8時から9時の間。ちょっと正確に良く覚えておりません。
(問)例大祭に総理が参拝するのではないかという見方も出ていたんですけれども、やはりこうした懸念から佐々江局長が中国に出張することになったのでしょうか。
(町村外務大臣)全く関係ありません。例大祭の頃に行くというお話があったことも私は承知しておりません。
(問)今日北京で局長級協議が行われなかったようですけれども、これは参拝がなんらかの影響を及ぼしたとお考えでしょうか。
(町村外務大臣)事務的に中国外交部から日本大使館に連絡があったそうです。
(問)潘基文(パン・ギムン)長官の訪日については何らかの影響がでるとお考えですか。
(町村外務大臣)私どもは歓迎をするつもりでおりますが、あとは韓国政府がどうお考えになるかですね。
(問)それは盧武鉉大統領についても同じでしょうか。
(町村外務大臣)そうです。これはいつも小泉総理が言っておられますけれども、何か一つのことがあると他の関係が全てそれに左右されるというのはおかしいというのが総理がかねてより色々な機会で発言しておられることであります。
(町村外務大臣)閣議では、パキスタンに対する緊急無償資金協力について報告しました。11日に最大2000万ドルまでの無償資金協力ということを閣議で話したわけですが、このうちパキスタン政府とのバイの方で援助物資、資材等を供与するために1200万ドル相当(12億8400万円相当)を緊急無償資金協力をすると。残りの800万ドルについてはまだ決めきったわけではありませんが、主として国際機関を通ずる協力という事で検討を詰めているので、追って決めていきたいと思っています。パキスタンの被害等については、皆様方が報道されている通りですが、だんだんだんだん増えて2万5000人を超えるという状況です。邦人については2人の方が残念な事に亡くなられたわけですが、それ以外の在留邦人は全員無事だということです。短期の旅行者2名の行方は依然としてわかっていないという状況です。その方々の行方がわかるように全力を尽くしています。自衛隊が随時出発をしていまして、大変に迅速な決定と行動を取っていただいていることに、私から感謝をしました。ただ、昨日出発したヘリも3日かかるのです。足が短いものですから、途中で給油をして給油をしてということで、それでいいのかと、もうちょっと大型の輸送機などを用意しなくてもいいのかという議論も今日の閣僚懇談会の場で出たところです。それから、緊急援助隊が日本から行っているわけですが、そのチームの方々への食料がうまく届いていないのではないかというような問題指摘もあって、至急これは調べて対応しなければいけないと思っています。
(問)閣僚懇談会で大型の輸送機を用意出来ないのかという発言があったようですが、これはどなたからあったのでしょうか。
(町村外務大臣)皆がわやわやと発言したので、防衛庁長官であったか、官房長官であったか。皆さんが一斉に感想を述べたりしたものですから、はっきりはちょっとわかりません。
(問)この問題について、総理からは何かあったのでしょうか。
(町村外務大臣)総理からは特に発言はなかったです。
(問)閣議の後、総理とお会いになっていたようですが、どのような話をされたのですか。
(町村外務大臣)昨日、一昨日に行われました日米審議官協議の概要、その他、日米以外の案件についても一つ、二つ触れるところがありました。
(問)米軍再編の問題については総理からは引き続きとりまとめ急ぐようにというような指示はあったのですか。
(町村外務大臣)総理とのやり取りのお話はいたしません。
(問)米軍再編ですが、今月中に中間報告を取りまとめる場合、今後どのようなスケジュールの見通しで協議されていくのか。またどのような場で協議されていくのかについてはどうお考えでしょうか。
(町村外務大臣)月内に取りまとめようということで、精力的に作業をしていきます。その作業はあらゆるレベルで行っていきます。
(問)郵政民営化関連法案が成立する見通しですが、小泉総理の任期が後1年残っていますが、今後の改革の目玉、内閣の最重要課題はどういうところに移っていくとお考えですか。
(町村外務大臣)大変大きな郵政改革という、選挙を挟んでまで、特別な選挙を打つまでしてやったこの改革の本丸ですから、これはこれで大変大きな意義があることだろうと思います。ひとつは、論理的な帰結として、入り口をこれだけ絞るのであるから、出口もということになってきますよね。もとより特殊法人改革、なかんずく政府系金融機関改革は今までやってきている。独立行政法人化したり合併したりしているわけですが、それで出口の方は十分なのかという議論は当然出てくるのだろうと思います。また、もうひとつは、当然幅広くいえば、財政再建の話になってこざるを得ません。ある意味では郵政改革ともちろん関係のある話ですから、それは歳入、歳出両方の話になってきます。歳入の方でいえば当然税制改革ということが、1年と言われましたが、1年で全てが決着するかは別にして、税制改革はかねてよりの課題で、私も税制小委員長として、2年前に取りまとめた経験からいっても、一つのスケジュールがあってそれに基づいて税制改革を着々と続けているわけですから、当然これは三位一体ともからんで税源の移譲、更には移譲の問題だけでなくどうやって税収を安定的に確保していくのかという税制の話が歳入の方では出てくるわけです。他方、歳出の方ではいろいろな話になります。公務員制度というのもその一環であろうと思います。これは歳出の方については、いろいろな角度から、一言で言うと無駄を省くということです。今議論されている中身は全部無駄だとは私は思いませんが、わかりやすい表現を使えば、どうやったら無駄を省いて歳出を削っていくのかという入りと出の両方の話が中心になっていくのだろうと思います。勿論、直接お金の出入りと関係ないテーマで言えば、それは外交その他、いろいろなテーマがあるのは改めて言うまでもないと思います。
(問)中国を訪問されるやに聞いていますが、中国側との調整、日程、ねらい等は。
(町村外務大臣)まだ必ずしも先方との間で日程が確定しているわけではありませんが、来週末にかけて行くという話をこちらから持ち出して、大体できつつある。極めて限られたビジネスライクな訪問になると思われますが、李肇星外交部長と会って、今年の春以降、正月以降ですかね、こちらから持ち出してきた共同作業計画というのがあるのですが、それを1年くらいかけて少し我が方ものんびりやりすぎていたかなという反省も込めていえば、この辺で方向づけをはっきりさせておきたいと思っていますので、その話を中心にしていこうかと思います。
(町村外務大臣)閣議ではパキスタン・インド大地震についての報告をしました。2万1千人近い方々が亡くなられた。日本人JICAの職員・ご家族が命を落とされたというこで、ご冥福をお祈りしながら、最大限の支援を行っていこうということです。
既に国際緊急援助隊、救助チーム・医療チームがそれぞれ現地に到着或いは活動を開始しています。また、2500万円相当の緊急援助物資も今日現地に到着をいたします。谷川外務副大臣も現地に到着をして援助のニーズ等の把握に努めるということになっております。また、政府としては2千万ドルの無償支援の実施を決定したところであります。また更に現地のニーズ、例えばヘリコプターが必要である等いろいろな話があるようですから、消防庁或いは防衛庁とも事務的にどのような形で輸送したらよいか等その辺の中身について調整中であり、できる限りの支援を行っていこうと思っております。
(問)消防庁等との協議でできるだけ早いうちに結論を出してということでしょうか。
(町村外務大臣)そういうことです。
(問)現在米側と中間報告の取り纏めを受けて調整をされているところだと思いますが、今後協議を進めていくにあたって今週或いは今後どのような取り纏めに向けた動きをされるのでしょうか。
(町村外務大臣)今週精力的に政府部内そして先方とも議論をし、煮詰めていこうと思っております。
(問)大野防衛庁長官や細田官房長官とお会いになる予定はありますか。
(町村外務大臣)今までも随時会っておりますし、今週も随時会うことになると思いますが。
(問)今のところ日本側と米側の意見の隔たりがあるようですが、これを埋めるために、ある意味で米側の案も検討されるという考えはあるのでしょうか。
(町村外務大臣)今までもそれぞれの案を持ち合ってそれぞれ検討しているわけです。
(問)そろそろ10月の中旬に差し掛かりましたが、何か連絡といいますか、進展の方はありましたでしょうか。
(町村外務大臣)特にありません。
(問)軽水炉の事業なんですが、一部報道でも軽水炉事業の廃止の方向で、来月の委員会でも廃止の方向でという報道もありますが、今後KEDOの枠組みとかどのように日米韓で詰めていくのか、どのようなお考えなのかお聞かせください。
(町村外務大臣)具体的な決定は理事会を開いてということになると思いますが、これはどう考えてもKEDOを継続して引き続きやっていくという選択肢が大きくあると思っている人はいないのではないでしょうか。
(問)独で大連立政権が成立し、初めての女性首相が誕生する見込みとりましたが、このことについてどのように受け止められるか。また、今後の日独関係についてのお考えをお聞かせください。
(町村外務大臣)女性首相であるかどうかについては特にコメントする話ではないと思いますが、選挙以来だいぶ時間が経っていますね、3週間ですか。いつまでも首相不在という状態が続くことはあまり好ましいこととは一般的に言えないと思いますが、それだけドイツ政界関係者は大変苦渋の選択をせざる得ない選挙結果になってしまったわけでしょうから、大連立の方向ということで、早く安定した政権ができて、例えばG4の一員でもあるということで大変関心を持っていますが、現状、彼らの仕上がりを見守るしかない状態だと思っておりますが、早く安定した政権ができて欲しいと期待をしております。
(町村外務大臣)閣議では、外務省案件は特にありませんでした。
(問)閣議が終わったあと若干残られてたようですけれど、総理とお話になられたのでしょうか。
(町村外務大臣)はい、まあごく短時間話をしました。
(問)どのような話を。
(町村外務大臣)それは言う必要がないと思います。
(町村外務大臣)それから、主として韓国との関係で、在外にいる被爆者、特に韓国が多いわけですが、その方々の健康手当等の支給申請を、これまでは国内に限っていたのですけれど海外でも良いのではないか、という話がありました。これは例えば日韓首脳会談でも問題提起をされていたことです。たまたま先月末、福岡高裁の判決がありました。かねてより検討してきたことですから、主管である尾辻大臣が今頃、きちんとしたお話をしておられていると思います。外務省も在外公館の窓口で申請を受け付けるようにするということで方向が一致しましたので、いつとは言えませんが出来るだけ早くそれをできるように準備体制を整えていこうと思っております。
(問)年内の実施ということは。
(町村外務大臣)できるだけ早く、としか今は言いようがありません。
(問)今年は戦後60年であることを意識してのことでしょうか。それとも戦後60年の節目にこういう決断をした意義をどのようにお考えでしょうか。
(町村外務大臣)日韓の間で幾つか、北関大捷碑のこととかですね、或いはサハリンに残されてしまった韓国の方々のこととか、幾つかの懸案事項が日韓の間で特に幾つかだされていたものですから、その一環として例えば遺骨の返還なんて問題もあります。いずれも真剣に我が国政府が取り組んでいるテーマのひとつであったわけですから、今回方向が明示できるようになったということで、良かったな、と思ってます。
(問)閣僚懇で今日そういう話が出たのでしょうか。
(町村外務大臣)いやいや、そうではありません。
(問)これは所管大臣である尾辻さんとの間で合意されたということでしょうか。
(町村外務大臣)そういうことですね。はい。
(問)鈴木宗男議員に対する外務省の対応をまとめて、幹部に説明したと言われてますが、鈴木宗男議員がこれに対して真意を問い合わせる通知書を36時間以内に回答するようにということで内容証明付きの郵便で送付したそうですが、今後の対応は。
(町村外務大臣)さあ、聞いておりません。
(問)外務省当局者としての対応というのは。
(町村外務大臣)ちょっと中身を見てみます。
(問)鈴木宗男議員に対する外務省の対応を幹部に説明したということについては。
(町村外務大臣)なんかやっていることは聞いてます。
(町村外務大臣)閣議では、テロ対策の特別措置法の閣議決定を行いまして、私の方からもその必要性、重要性というのを改めて主張してきました。
外務省関係、定員のことは一般としてありますが、以上です。
(問)週末にインドネシアのバリでテロ事件が起きましたけども、政府としてはこの事件をどのように受け止めて、今後インドネシア政府に対してどのような支援を行っていくお考えでしょうか。
(町村外務大臣)インドネシアのバリについては、既に何年か前にも同じような事件が起きているということで、インドネシア政府は既に大変な取り組みを今までもやってきているのですが、現実にあの国はイスラムの人が非常に多いということもあり、どこまで効果的な対策が取れるかというのは、大変悩みながらやっておられます。しかし、ユドヨノ大統領も大変熱心に取り組んでおられますから、日本としてもそうしたテロ対策の取り組みにいろいろな技術的な支援というものができる部分があります。通関ですとか、あるいは海賊対策といったようなこと。海賊イコールテロリストというわけでは必ずしもありませんが。そのようなことで、可能な限りの支援をしていこうということで引き続き努力をしていこうと思っています。
(問)テロの援助を決めて今後また焦点になってくるのが、イラクの復興支援だと思うのですが、イラクの復興支援ではどのように今後取り組まれていくのでしょうか。
(町村外務大臣)これは今、政治プロセスが着々と進行している最中ですから、国民投票、憲法制定の投票、それから12月の選挙、そして1月あるいは2月に成立するであろう新政権の樹立に向けて、これは国際社会が一致してその民主的な国造りを支援していくと、この重要性はあるわけです。他方、治安情勢というのは予断を許さない状況という状態です。従って、日本としては、国際社会が一致してそうした民主的国造り、治安対策に協力をしているわけですから、日本も引き続きそれに協力していこうという基本姿勢は変わりがありません。
(問)12月で自衛隊派遣期限を迎えますが、これについてはどのようにされるお考えでしょうか。
(町村外務大臣)その頃になったら具体的な方針を決めたいと思っています。