記者会見

外務大臣会見記録(平成17年9月)


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外務大臣会見記録(平成17年9月30日(金曜日)08時45分~於:院内ぶら下がり)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)今日は特にわが方の案件はありません。

(問)閣議・閣僚懇で総理なり大臣なりから発言はされたのですか。

(外務大臣)私の発言は致しておりません。総理からは、厚生労働大臣から被用者年金、即ち厚生年金と共済年金の一元化の検討会を政府につくるという提案があり、総理からのご指示でその各省連絡会と言ったか、それを作るという話があり、それに対し各省しっかり資料提供などをしてどういう問題点があるかを明らかにし、国会の年金協議会というのでしょうか、その検討の場で積極的に協力をするということにしようとのことでした。

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米軍再編問題

(問)米軍再編についてちょっとお伺いしたいのですが、ワシントンで開かれていた日米の協議で合意には至らなかったようですが、どのような報告を受けられたのですか。

(外務大臣)今日、梅本君たちが帰ってきますから、夕方でしょうか夜でしょうか、話を聞こうと思っています。

(問)まだ合意に至っていないというのは、どの辺が一番課題として残っているのでしょうか。

(外務大臣)それは、普天間の移転先です。

(問)まだ政府、日米の間での隔たりはかなりあるという感じですか。

(外務大臣)かなりという表現が適切かどうかわかりませんが、意見の違いはあります。

(問)中間報告に向けて、今後どのように作業を続けられていくのでしょうか。

(外務大臣)精力的に進めて参ります。

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プーチン大統領訪日

(問)ロシアなんですが、プーチン大統領の来日が近づいてきてですね、プーチン大統領自身から、北方領土について原則論を繰り返されたり、閣僚の北方領土訪問が相次いでいますが、これについてどうお考えになるか、日本としてはどのように対応するか。

(外務大臣)北方領土に対して大変強い関心を示しておられていることは、全く問題はないという冷戦時代の時代認識、情勢認識よりははるかに進んでいるのではないでしょうか。いい首脳会談ができるような環境整備に今努力をしているところです。

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東シナ海等をめぐる日中協議

(問)今日からガス田の協議が始まると思うのですが、日本としてはどういったお考えで取り組むおつもりでしょうか。

(外務大臣)これは従前から、先方から必要な情報提供を求める、それから情報提供がないままに開発を一方的に進める、もしかしたら生産に進んでいるというのであれば、それの中止を求める。併せて、共同開発について対立の海ではなくて協力の海にしようということを原則論では一致しているわけですから、それは具体にどういう形が有り得るのかという中身の議論をしようということです。

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日朝関係

(問)日朝の政府間対話を再開することに合意してから一週間あまりが経ちましたが、再開に向けて今どのように見通しを持たれているのでしょうか。

(外務大臣)今やりとりをしている最中です。

(問)再開の見通し、いつ頃という・・・。

(外務大臣)最中です。

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外務大臣会見記録(平成17年9月27日(火曜日)10時05分~於:本省会見室)

閣議・閣僚懇談会/国際穀物理事会(IGC)次期事務局長選への立候補/経済協力開発機構(OECD)次期事務総長の選出/「愛・地球博」の閉幕

(外務大臣)今朝の閣議ですが、そろそろクールビズが終わるそうで、私も一週間ほど前からネクタイをしていますが、相当な省エネ効果があったという推測があるようです。
 私の方から閣議で、一つは国際穀物理事会次期事務局長選に北原さんという農水省の方で、非常に詳しい方がおられてます。この方が立候補するということで、外務省も全面協力をするということになりました。
 次に、OECDの次期事務総長、これについては7月に竹内佐和子さんを既に私どもは政府として応援をすることを決めて、今までやって参りました。10月3、4日にOECD首席代表者会議において、今、立候補者が6名ほどいるようですが、面接をするということです。10月17日から候補者の絞り込みの協議のプロセスが始まるということのようです。確か12月早々には決まると聞いていますが、各閣僚に御協力をお願い致しました。
 また、愛・地球博が成功裡に終わりました。各国から元首17名、副大統領8名、首相16名を含む195名に上る外国要人が来日されたということです。総理はじめ、関係閣僚、外務省も同様ですが、全面的な協力の下で、これらの要人の接遇にあたり、そうしたこともあり、成功裡に無事閉幕することができ、大変よかったと思っています。以上です。

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米軍再編問題

(問)米軍再編ですが、ワシントンで事務レベルの協議が行われたようですがどのような結果なのでしょうか。

(外務大臣)まだ協議は続行しているのではないですか。

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町村大臣の外務大臣就任1年

(問)今日で大臣が外務大臣に就任されて1年ですが、難題山積と言われている外交を1年振り返っての感想と、今後の所信をお聞かせ願えますでしょうか。

(外務大臣)そうですね、1年ですね。正確にいつが1年かという意識はしていませんでしたが、言われてみるとだいたい1年なんだなという感じです。取り立てて過去1年を振り返る気持ちにもならず、ひたすら前を向いて仕事をしているということですが、本当に色々なことが次々起きた1年であったなあという気がします。センターに何度も足を運びましたし、人質事件、あるいは津波、地震により役所に泊まったことも何度かあります。そういう意味では本当に色々なことがよく起きた1年であったなと思います。それは毎年毎年そうなのかもしれません。色々な課題が、常に外交というのは継続しているのであり、これで終わりということは外交の性格上ないのであろうと思います。色々な課題が山積しています。例えば安保理常任理事国入り、先般の国連総会がひとつの区切りになったわけです。区切りという意味は政治的な流れからしての区切りでもあろうし、新しい総会が始まるからG4の枠組み決議というのは採択されなかった、廃案になったわけですので、そういう意味でセカンドステージが今始まりつつあるというようなことでしょうか。それに向けて、どう取り組むかというのを今、鋭意議論しているというところです。そういう意味で、色々なことが一つ一つの節目節目となって現れるわけです。日朝交渉も順調に進むかと見えたけれども偽遺骨問題で頓挫をするというようなことで、またこれが再開されようとしている。これについても、改めて取り組む基本姿勢といったようなものを確認しながらやっていかなければならない。六者協議もまた同様というようなことですから、節目節目とは確かにそれぞれの案件によってあるわけですので、一つ一つ、しっかりと取り組んでいかなければいけない。1日たりとも小休止はありませんし、後退することもない。ひたすら前向きに前進をできるように、省をあげて努力をしていかなくてはいけないということを痛感しています。

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在外被爆者訴訟の控訴審判決

(問)昨日の在外被爆者訴訟の控訴審判決についてですが、官房長官は関係省庁で知恵を絞って欲しいと仰っています。この対応と、長崎市長が上告しない方針で国と相談したいと言っていますが、上告するかどうかについてお聞かせ下さい。

(外務大臣)上告するかどうかは主として法務省の判断になってくるのだろうと思います。ご相談があるのかもしれません。在外被爆者の問題については、かねてより、外務省も、特に人数の多い韓国との関係において、日韓外相会談等でも我が方からむしろ積極的に取り上げるような形でやってきております。健康管理手当の支給申請にあたって在外公館の活用を検討するということを既に何度も述べてきています。今、厚生労働省とも連絡をとりながら、実務的にどうやればそれが可能なのか前向きに検討しているところで、一定の方向性は出ていると思っています。更にこの検討を急ぎ、できるだけ早く、判決の趣旨も踏まえて、実現に向けて努力していこうと思っています。

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イラクからの撤退

(問)イラクですが、昨日オーストラリア当局者が来年5月までの撤退の可能性を示唆する発言をしていますが、お耳に入っていますか。また最近、そういった発言の報道が続いていますが、自衛隊の派遣延長に与える影響はあるでしょうか。

(外務大臣)どこの国でもそうだと思いますが、いろいろな可能性を常に考えながら行動するのは当然のことだと思います。そういう意味で、正確にオーストラリアの誰が何と言ったかは知りませんが、いろんな国にいろんな考えの方の人がいることは事実だと思います。しかし、例えば、先般のニューヨークで行われた日英外相会談でも、イギリスのストロー外相は、イギリスとして今撤退という考えは全くない、イラクの民主化プロセスを最大限支援するという基本姿勢に微塵も揺らぎはない。また、イラク人自身の治安維持能力の向上も着々と進んでいる、それの支援を行っている、あるいはイラクの民主化プロセス、最終的には来年の1月、2月には新しい政権ができる、ということをみんなで、国際社会が支えているわけで、その支える姿勢は日本もイギリスも変わりがないということで意見の一致を見たところです。

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日朝政府間協議

(問)その後の日朝の政府間協議に向けたやりとりですが、日程や場所についての目途はどうですか。

(外務大臣)やりとりは行われていますが、現時点で詳細を申し上げる段階にはございません。

(問)日本側としては、最初の6者協議が行われる前にやりたいということには変わりはないのですか。

(外務大臣)今、詳細を申し上げる段階ではありません。

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外務大臣会見記録(平成17年9月21日(水曜日)20時39分~於:本省会見室)

外務大臣の再任/日中協議

(外務大臣)第三次小泉内閣で外務大臣の拝命しました町村です。引き続きよろしくお願い致します。内閣総理大臣談話、これは官邸の方で発表があるのだろうと思いますが、その中においても国連の機能強化、テロ防止、イラクにおける人道復興支援、日朝国交正常化等の諸問題に取り組んでいくという総理の方針ですので、この方針に沿ってしっかりと外務大臣としての重要な役割を果たしていきたいと思っています。
 東シナ海に関する日中協議ですが、先般来の抗議も含めて開催を申し入れていたわけですが、来週後半、東京で日中協議を開くということで、中国側と原則合意をしました。メンバーは我が方が多忙な佐々江局長、資源エネルギー庁長官他、経済産業省からです。前回は確か5月30日なのでほぼ4カ月振りということになるわけですが、ガスの採掘が始まったのではないかという話もありますから、かなり重要な協議になるであろうと思っています。

(問)中国側に今回の東シナ海で天然ガスの生産が始まったことについて抗議をされたということですが。

(外務大臣)東京でもしましたし、中国でもしております。中国とは北京です。

(問)昨日、今日ですか。

(外務大臣)正確な日付を私は知りません。中国は今日、東京は昨日だったと思います。

(問)日中協議ですが、日本側としてはどういったことを訴えていきたいと思いますか。

(外務大臣)当然、従前から私共が主張しているいくつかのポイントがあるわけです。この協議がいたずらに長引く中で、先方の開発行為、あるいは生産にいたっているかもしれませんが、それが進むというのは甚だ遺憾なことですから、そうした行為を中断するように、そしてその中できちんとした原則を確立しながら現実的な答、例えば共同生産のあり方といったことようなことも、きちんとした詰めた議論が出来るようにしなければならないと思っています。

(問)今回与党が300議席を超えるという圧倒的な支持を受けての第三次内閣成立ということになったのですが、従来からの継続案件に加えて、小泉政権として外交課題で重点を置いてお考えになることが何か新たにありますでしょうか。

(外務大臣)新たなと言われても、全ての政策に継続が必要であり、外交はずっと継続をしています。従って第三次内閣になったからといって、急に新たに何かが飛び出してくるということはないだろうと思います。いろいろな意味で、新内閣というか、選挙の結果を踏まえて、我々がそう受けとめる以上に、諸外国の方もそれをかなり大きな事実として受けとめていることは間違いないわけです。先般の国連総会でも本当に数多くの首脳あるいは外務大臣等々から驚きと賞賛、またお祝いの言葉を頂きましたが、我々が国内で感じている以上に諸外国からすると、今回の勝利の意味というのは大変大きなインパクトがあったのではないかと受けとめられます。従ってそういうことを踏まえながら、我々が考えるよりそれぞれの国もまた日本との距離をどう取りながら外交を展開したらいいかということをやはり相当考えているのだろうと思っています。推測でありますけれども、北朝鮮もまたそうであろうし、これからの中国、韓国あるいは米国、ASEAN諸国、いろいろな国々が今回の日本の選挙結果というものに注目し、それを踏まえながら日本との関係をよりよいものにするというスタンスをもってくるのだろう、あるいは少しこの辺で今までやってきたやり方を、今まで通りやっていていいのかということは、それぞれの国が考えるのではないのかと思います。そういう意味から、それぞれの国との外交の展開というのもまたいろいろな変化が出てくるのではないかと思います。抽象的な物言いですが、そんな印象を私は持っています。

(問)総理談話でも、例を挙げて言っておられましたが、日朝の政府間交渉が近く再開されます。家族会の期待も高まっていますが、北朝鮮が受け入れたということで拉致問題進展の見通しについてどうお考えですか。

(外務大臣)そう楽観的なことをこの段階で申し上げるつもりはありません。これまでの経緯に鑑みたときに、急に明るい展望が開けてくるということを言うのは余りにも軽率なんだろうと思います。他方、いわば水面上の接触を全く断つような関係であったものが、先方からもまた密接な協力をしようということになってきたという変化は、やはり大切に受け止めなければならないと思います。そういう意味で真剣な議論の中から、私どもとしては、ご家族の皆様のお気持ちを考えれば一刻も早い正しい解決が必要とされることはいうまでもないことで、そういう方向に向けて日本としては最大限努力をしていくという決意はあるわけです。見通しがどうかといわれて、直ちに明るいとか暗いとか、中立であるとかを述べるのは、現状では不適切ではないかと思います。

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プーチン露大統領の訪日

(問)11月にはプーチン大統領が5年ぶりに来日しますが、北方領土問題の解決に向けてこれからどのように取り組んでいかれるのですか。

(外務大臣)先般ニューヨークでもロシアのラブロフ外相と会談を持ち、プーチン大統領の訪日が成功するように、既にいろいろな文書の作成等の努力をしてきているわけですが、それをよりよいものに仕上げるための最後の努力をまずやりましょうということがあります。その中で領土問題への触れ方、あるいはそれを含む政治文書とでもいうのでしょうか、それをどんな形で仕上げていくのかということについて、今いろいろなレベルで協議をやっているところですから、これをしっかりしたものに仕上げていく、プーチン大統領の訪日が成功であったと言えるような状態にしていきたいと思っています。長い交渉の経過があるわけですが、何らかの足がかりができるようなそういう成果のある会談を持てるように努力をしたいと、まだ後2ケ月近くありますので、そういう努力を傾注していこうと思っています。

(問)プーチン大統領が訪日される前に、町村大臣がロシアを訪問されるという考えはないのですか。

(外務大臣)今は特にそういう予定はありません。

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外務大臣会見記録(平成17年9月20日(火曜日)17時53分~於:本省会見室)

日朝政府間対話の再開

(外務大臣)急にお集まりいただいて恐縮ですが、今般、日朝間で政府間対話を再開することにつきまして双方で合意しましたので、その旨発表します。政府間対話の日程、場所等の詳細につきましては、然るべきルートを通じて今後調整を行っていくということで、まだ具体的にいつ行うということが確定しているわけではありません。御承知のように今回の6者協議の中で、ほぼ毎日、日朝間の接触、あるいは会談の機会があったわけでして、従来よりも大変前向きな姿勢であるということを確認したわけです。また共同声明の中にも米朝と並んで日朝の国交正常化ということについても明確に記されていたわけで、勿論日朝間で確認をしたことは重要ですが、同時にこうした6者協議という場の中でも確認されたということの意味は大変大きいと思っています。従って、昨年末以降、両政府間の対話が途絶えていたわけですが、改めてこれを再開し、基本的なこの日朝平壌宣言に基づいて、核の問題はもとより、ミサイルの問題、拉致の問題等の日朝間の諸懸案を包括的に解決していこう、そしてその上で不幸な過去の清算を行って国交正常化を図っていくという基本方針が平壌宣言に記されているわけですので、今後そうしたものに進んでいけるように最大限の努力をしていきたいと考えています。従って、日朝国交正常化交渉というのは総理の一回目の訪朝の直後、2002年10月に開かれて以降開かれていませんし、正常化交渉の定義にもよりますが、これは正常化交渉という位置づけではありませんが、いずれそれへの道が開かれる為の必要なステップとしての政府間対話の再開だと位置づけています。以上です。

(問)この合意は北京での接触の際になされたものですか。

(外務大臣)そうです。

(問)もう少し時期的な見通しはどのような感じかお聞かせください。

(外務大臣)まだ分かりません。金桂冠(キム・ケグァン)さんは日朝担当責任者ではないので、そこまで責任を持って言う立場にはないということでなのしょう。政府全体としては、そういう前向きな姿勢で今後日程調整等をやりましょうということが伝わってきました。

(問)次回6者協議の前には再開できるのですか。

(外務大臣)その点についてはまだ分かりません。

(問)レベルについてはどういうレベルを。

(外務大臣)今後調整します。

(問)発表が今日この時点になったのは、金桂冠さんが日朝担当者じゃないためですか。

(外務大臣)いえ、今日一日かけて政府部内の然るべき了解をとったりするための必要な時間がかかった、必要であったということです。

(問)テーマとして、入り口にまず特定の、例えば拉致問題から入るということではなくて、二国間のテーマを包括的にまず…。

(外務大臣)諸懸案ですね。しかし当然そこに拉致が含まれるということは、余りにも当然のことであります。

(問)改めて外務大臣として日朝国交正常化交渉が再開される事についてのご感想は。

(外務大臣)国交正常化交渉という位置づけはまだしていませんが、それへの第一歩ということです。昨年末の例のにせ遺骨事件以降、表だった接触が行われていなかったわけですが、今回中断を挟んでの六者協議の中で日朝間のそれなりの対話が行われ、それなりの理解が進み、北朝鮮側も日本とのこうした諸問題の解決の必要性を理解し始めているというのが現状ではないかと思っています。もちろん平坦な道のりだとは思いませんが、彼らにとって必要なことですし、日本にとっても拉致問題を始めできるだけ早く解決しなければならない重大な問題であると思っていますから、こういう形で対話が再開することは当然の事ながら歓迎すべきことであります。

(問)北京では5日連続で日朝の会談が行われ、最終が18日に40分間行われていますが、この18日の会談で確認したということですか。

(外務大臣)18日というと日曜日ですか。19日が昨日で月曜日、最終会合が19日ですか。

(問)昨日はなかったので、18日に日朝の最終会合が行われたと。

(外務大臣)ではそういうことですね。

(問)確認ですが、これはまだ日朝国交正常化交渉ではないという位置づけですか。

(外務大臣)はい。

(問)小泉総裁の任期は来年秋までだと思いますが、それと交渉開始との関連性についてはどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)そうですね。任期如何に関わらず、できるだけ早く私どもとしてはこの問題をきちんとした形で解決したいという想いで交渉に臨むわけですから、拉致家族の皆様方のお気持ち、また、大半の方もだんだんとお年を召してこられているということを考えると、任期とは関わりなく一刻も早くこうした諸懸案を解決したいという強い想いが私ども外務省にあるのは事実です。任期までにどうこうとか、そこで一定の人為的なデッドラインを引くつもりはありません。一刻も早く解決をすべき性格の問題であるということです。

(問)北朝鮮がこの時期にこういう構えを見せたことについてはどのように見ていますか。

(外務大臣)何を聞きたいのですか。

(問)政府間対話に北朝鮮側は今まで頑なだったのが、こういう構えを見せたことについてはどのように分析しているのでしょうか。

(外務大臣)向こうの意図は向こうに聞いてもらわないとね。こちらがあまり推測でものを言うのは如何かなと思いますが、基本的に六者協議の中でも米朝と並んで日朝の正常化ということが謳われた訳ですから、そうした全体の状況が良い方向に進んでいる中で日朝が良い方向に進む、逆に言うと全体が良い方向に進んでいるときに日朝が全く改善しないということは、ある意味では非常にバランス感覚のない話になる訳でありましょうから、ある意味では少しずつ全体の流れと平仄があった話であろうと私は思っております。

(問)日本側の呼びかけに対して北朝鮮がそれに応じたという理解ですか、それとも逆に北朝鮮側の方から早期再開しようということなのでしょうか。

(外務大臣)ちょっと詳細なやり取りは私は承知していませんけれども、それはお互いの意向が合致しなければこういうことにはならないですよね。

(問)正常化交渉ではなく、拉致に関する実務者協議の再開、ということではないのでしょうか。

(外務大臣)拉致に関する、という限定はつけていませんでしょう。幅広く両国間の諸懸案を取り上げるということですから。

(問)北朝鮮はもう拉致問題は解決済みであるという意向を表明しており、日本は早く返せという立場ですが、これまで通り、遺骨が偽物であった問題も含めて真偽を糾す立場には変わりはないということでしょうか。

(外務大臣)ありません。

(問)確認ですが、北朝鮮に対する経済援助が日朝間の国交正常化後であるという立場には変わりはないのでしょうか。別の言い方をすれば、六者協議で北朝鮮に何らかの援助を行うと事態になっても、日朝国交正常化するまで日本は援助を行わない、という形になっているのでしょうか。

(外務大臣)全体でいくつかの要素があって、その中でどういうタイムテーブルをつくるかということが6者協議プロパーの問題としてありますが、それとは別に日朝間のタイムテーブルもある意味では今後描いていかなければならないということになるわけです。そこの時系列がどう絡んでくるかということになるのだろうと思いますが、基本的には、6者協議で、例えば日本以外の国々が、経済支援だとかエネルギー支援をするということになったとしても、日本は日本独自の論理というものがあるのですから、日本だけがそうした経済支援に参加しないというオプションは当然有り得るということです。

(問)再開の時期ですが、来月中を目途とかそういった言い方は…。

(外務大臣)時期の目途は今後調整します。

(問)開催地についても。

(外務大臣)先程申し上げたとおりです。

(問)時期は決まっていないということですが、できるだけ早く開催したいというお気持ちですか。

(外務大臣)いたずらに遅らせる理由はないですよね。さっき申し上げたようにご家族のお気持ちを考えたら、一刻も早い方がいいに決まっているじゃありませんか。

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外務大臣会見記録(平成17年9月20日(火曜日)10時28分~於:本省会見室)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)今朝の閣議で外務省関係については、私の方から総理及び私の第60回国連総会出席の報告をしました。内容については皆様御承知の通りですからあまり詳しく述べませんが、総理の首脳会合、アナン事務総長との会談、また新しく採択された「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」への署名がそれぞれ行われました。今回、成果文書というものがまとめられまして、100点満点では本当にないわけですが、ぎりぎりまでの努力で相当の結果が出来上がったものであると私共は評価をしています。
 私は13日から19日まで(ニューヨークに)行っていまして、一般討論演説以外にも、エリアソン国連総会議長の他、米国、英国、フランス、カナダ、イタリア、ロシア、韓国、イラン、イラク、トルコ、ガーナの外務大臣とそれぞれ会談を行ったほか、日・米・韓外相会合、日・EUトロイカ外相協議、日・ASEAN外相会合、日・GCC外相会合及びG4外相会合、それから安保理首脳会合及び開発資金に関する特別会合、経済社会理事会議長国主催の朝食会で発言を行うなど、こうやって振り返ってみると随分いろいろなことをしたと改めて確認しているところです。
 それから閣僚懇談会では、既に報道されていることですが6者会合に関する共同声明が昨日まとまりましたので、その報告とそれに対して発出した外務大臣談話の紹介をしておきました。内容は皆様方御承知の通りですから詳しく述べませんが、まず第一段階ということで、六者が取り組むべき目標というものが明示できたことは良かったのだろうと思います。ただ本当に難しいのは11月初旬から開かれるであろう次回の会合で、より具体的な作業手順を決めていったり、その中身を決めていったりするという本当に難しい作業がこれから第2ステージに始まるわけでありまして、その為のいろいろな準備をしていかなければいけないと思っています。第1ステップとしては大変有意義なものであったと私共も受けとめているところです。

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6者協議

(問)6者協議ですが、早速北朝鮮の外務省が、まず軽水炉の提供がなければ核廃棄に応じないということを言っているようですが、これをどのようにご覧になりますか。

(外務大臣)まさに第2ステージの話をもう始めているようですが、最後までそこのところは議論になり、日米韓それぞれから共同声明にある核兵器及び核計画の放棄、核不拡散条約及びIAEAの復帰、その後の適当な時期に軽水炉問題の議論を行うということを既にその会合の最後の場で参加国の代表が発言しているので、北朝鮮のそのような発言は受け入れられることにはならないということであろうと思います。既にセカンド・ステージの話が始まっているということであろうと思います。

(問)日米韓ですが、ニューヨークで2人の外相と会談をされていますが、内容については詳しく報じられていませんが、どのような話をされたのでしょうか。

(外務大臣)交渉中の過程の話を詳しく話す必要はないと思いますが、ここは、appropriate time、適切な時期に、とはそういう意味ですよね、ということを3大臣で確認をしたということはあります。他にもいろいろな話をしました。

(問)今日の閣僚懇で6者協議の結果について発言はありましたか。

(外務大臣)大野防衛庁長官から、米国防省筋の話ということで、北京に派遣された日本のチームは大変素晴らしい活躍をしたと高く評価しているという話を聞きましたという紹介がありました。それ以外の発言はありませんでした。

(問)今回の協議で拉致問題についても懸案として示されましたが、今後拉致問題の解決及び中断されている実務者協議の再開の目途についてどうお考えですか。

(外務大臣)まだゆっくりと佐々江さんから話を聞いていないので、今日彼から詳しくその辺の報告を聞いた上で、今提起があった問題についてはやることもあろうかと思います。いずれにしても拉致問題は大きな問題であるということは終始一貫変わっていません。

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外務大臣会見記録(平成17年9月13日(火曜日)11時00分~於:本省会見室)

閣議

(外務大臣)改めて、今回、当選をして参りましたので、よろしくどうぞお願い致します。
 今日の閣議ですが、核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約がまとまったので、ニューヨークでの今度の国連首脳会合において、総理大臣がこれに署名をするということになりました。テロ対策に関して今まで12本の条約が既に動いているところですが、新たにこれが付け加えられることにより、一層のテロ対策の強化に資するであろうことを期待しているところです。
 他には、台風の報告であるとか、あるいは100歳を越える方が約2万5千人、そのうち約1万2千人は、正確な数字は厚労省で確認してもらいたいが、今年になって増えてきているということです。明治38年に生まれた方々が100歳になりますが、明治38年に生まれた人のやや1%近くが100歳を越えるということです。しかも15:85と圧倒的に女性が多く、ひとしきり話題となりました。
 官房長官の方からは、特別国会で郵政民営化関連法案を所要の調整を経た上で再提出するから、その調整を大至急やるようにという話がありました。
 なお、私の出張については、今日の夕方、成田を出発し、帰ってくるのは19日の夕方です。その間、国連特別総会、通常総会、いろいろな会議、あるいはバイの会談等で積極的な外交を展開していこうと思っています。以上です。

(問)閣議後に残られていたようですが、具体的にどのような話をされたのですか。

(外務大臣)選挙期間中、総理とはゆっくり外交の話もできなかったものですから、諸懸案について一通りの話をしました。特に国連総会について、今般の特別総会の意義・目的、どういう会合が開かれるか、あるいは安保理改革の今の状況等について報告をしておきました。

(問)選挙後初めての閣議となったわけですが、閣議の雰囲気と選挙について振り返っての言及はどうでしたか。

(外務大臣)そうですね、閣議が終わった瞬間に、「総理おめでとうございます」と何人かの人が言ったくらいで特にそれについての議論はありませんでした。控え室で待っていて、総理が入ってきたときに拍手がおきましたが、そのくらいで特に話題とか議論とかそういうことはありませんでした。

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テロ特措法

(問)テロ特措法の取り扱いについては特に言及はなかったのでしょうか。

(外務大臣)どういう話をいちいちしたかについて触れることは差し控えたいと思います。

(問)関連して、特別国会の会期が下旬から40日くらいという方向で調整が進んでいるようですが、テロ特措法は法案処理しなくてはいけない案件であると思いますが、現状ではどう考えているのかということと、いつ頃までに政府としての方針を決定しなければという風にお考えですか。

(外務大臣)昨日、総理がぶら下がりにおいても、早急に政府部内で調整を進めるという答えをしておられたと記憶していますが、その通りです。

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六者協議

(問)今日から六者協議が始まりますが、現時点での見通しを教えて下さい。

(外務大臣)日本を含めた5カ国のポジションというのは、前回の会議の終わりの段階でかなりはっきりしてきています。後は北朝鮮がその宿題をどのように持ち帰り、検討し、答えを持ってくるかということだと思います。北朝鮮がどのような対応をしてくるのかまだ正確な情報に接していませんので、どういう会議になるかという見通しを今の段階で示すことは大変難しいと思いますが、できるだけ建設的な前向きな議論が行われることを期待しています。

(問)日朝会談の実現の見通しについてはどうですか。

(外務大臣)先般の会議の最終局面で、我が方からのポジションを改めて申し述べ、中断後の再開される会議で然るべき日朝関係の担当者もメンバーの中に加えてきたらどうかという意見まで言ってあるわけですから、それに対して彼らがどう受け止めたか、そこはまだわかりません。

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英・豪のイラク撤退報道

(問)一部報道でイラクに治安部隊を派遣している英・豪から、部隊の撤収の可能性について日本に非公式に伝えられてきたという報道がありますが。

(外務大臣)そういう事実はありません。もちろん現地でオペレーションを一緒にやっているわけですから、平素からいろんな情報交換、連絡、協議、相談等々をやっているのは当然ですが、特に今言われたようなことについてのみ総理に相談があったとか、打診があったとかいう事実はありません。いつも申し上げていますが、現地の民主化プロセスの進展状況、現地の治安状況、人道復興支援活動の状況等々を見ながら、あるいは国際社会の動き、こういったことを総合的に日本として自主的に判断するという基本的ポジションは終始一貫しているので、イラクについてどうするかということを判断するには、少なくとも現時点ではいかにも時期尚早であろうと思います。

(問)テロ特措法の問題とイラクの基本計画延長の問題はそれぞれの局面で別個に判断するのか、それとも何らかの関連性を持って相対的に考えるのでしょうか。

(外務大臣)外交ですから全く無関係ということではありませんが、事柄の性質上、それぞれについてまず判断をするということから始まるのだろうと思います。

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外務大臣会見記録 (平成17年9月6日(火曜日)9時34分~ 於:官邸エントランスホール)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)今日の閣議では緊急無償資金協力の話をしました。これは既に発表済みのものですが、米国に20万ドルの資金協力と30万ドルの物資供与、あとはプラスアルファ必要ならば更にもっとしていくということです。
 パレスチナ支援(イスラエルによるガザ地区等撤退に伴う緊急無償資金協力)ということで5000万ドル、アフガニスタンの選挙支援(「下院・県議会選挙実施計画」のための緊急無償資金協力)で500万ドル、インドネシアのポリオについて180万ドルの無償資金協力をそれぞれ行いますいうことを閣議でお決めいただきました。
 あと若干の人事についての話はありましたが、それは事務的な話題だと思います。

(問)米国のハリケーンの被害ですが、米国政府から緊急援助隊の要請等は。

(外務大臣)具体的には来ていないのですが、今、在京の米国大使館あるいは在米の日本大使館を通じて米国政府との間でいろいろなやり取りをしています。緊急援助隊の話は私からライス長官にしましたが、先方から具体的に「ではこれこれで」という話はまだ来ていません。

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衆院選関連

(問)閣議の中で選挙については、総理などからお話はあったのでしょうか。

(外務大臣)選挙というか、台風で水害が起きそうだとか、大分避難が出ているという関連で、今日は応援に行けなくなったなど、そのような話が少し出たくらいです。
 それから、NTTが民営化されて長距離の1通話400円が80円にまで下がったとか、それまで国鉄時代は3年に一度値上がりになっていたのがJRになってから実質的に1度も上がっていない、これぞ民営化の成果だと演説によく使っているという発言が某大臣からありました。

(問)衆議院選挙が間近に迫りましたが、与党優勢とも伝えられていますが、どのように受けとめられていらっしゃいますか。

(外務大臣)この1週間でどうなるかはわかりませんから。前回の選挙で私は総務局長をしていましたが、大体投票1週間前は似たような表現です。でも結果はあの程度ですから、この1週間でどうなるかはわかりません。

(問)随分、声が枯れていらっしゃるようですが、御自身の選挙区での見通しはいかがでしょうか。

(外務大臣)これもよくわかりません。それこそ2年前の地元紙の報道振りと今回の報道振りは全く同じなのです。ほとんど同じ表現が使われています。しかし前回の結果は大分違いましたから。わかりません、新聞報道と実態、結果は。
 それからどこかの夕刊で、取材もしないで「町村は全く地元に張り付いている」と書いてありました。私は貴重な5日間、5.5日間を提供して公明党を含めて40 人近い応援に出ているという実態を、取材しないで最近記事を書く社が多いなと。先般もどこかでそういう事件があったでしょ。私に取材もしないで書いている昨日の某夕刊。昨日、私はたまたま関西空港でその夕刊を見ていたら、そういう記事があって、誠に事実無根の記事を書く新聞があるということに唖然と致しました。どこの社か、よく調べてください。

(問)選挙戦の終盤は地元の方にずっといらっしゃるのでしょうか。

(外務大臣)今日はこれから一日東京、千葉です。

(問)明日からは。

(外務大臣)北海道内がけっこうあります。旭川方面や空知(ソラチ)方面。

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六者協議

(問)六者協議ですが、韓国の連合ニュースが13日から再開というような報道をしたのですが。

(外務大臣)まだ確定はしていません。12日、13日、14日、どこかその辺りだろうと思いますが、まだ確定はしていません。

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