記者会見

外務大臣会見記録(平成17年8月)


INDEX









外務大臣会見記録(平成17年8月26日(金曜日)10時24分~ 於:官邸エントランスホール)

閣議・閣僚懇談会/国連スーダン・ミッション(UNMIS)への文民派遣

(外務大臣)今日の閣議では若干の人事についての話はありましたが、特に外務省関連についてはありませんでした。
 国連スーダン・ミッション(UNMIS)に外務省の工藤裕介(くどう・ゆうすけ)事務官が採用されるということになり、9月に赴任することが決まりました。今までは物資協力をUNMISに対して行っていましたが、人的協力も必要であるということで、これが第一号になります。工藤氏はアラビア語の専門家であり、スーダン勤務も経験があるということで、このUNMIS本部の統合ミッション分析センター(UMAC:Unified Mission Analysis Center)に配属され、UNMISに集まるいろいろな情報を分析して提供するという任務に当たるということです。いわば本部機能を果たすということです。

(問)今回の人材派遣というのは日本政府にとってどのようなメッセージになるのでしょうか。

(外務大臣)当初、自衛隊を大規模に派遣するとか小規模に派遣するとか、派遣しないとかいろいろありました。常にそうですが、こういう協力はお金や物資を出すことも大切ですが、同時に人的協力というのも大切なわけですから、今回の工藤氏の発令というのは私は大変有意義だと思っており、日本政府のこのスーダン問題に対する熱意の表れと理解していただければと思っています。

(問)閣僚懇談会では。

(外務大臣)特にないです。

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六者協議

(問)六者協議ですが、2日から始まるという方向で調整している話がありますが。

(外務大臣)それはガセネタだそうです。

(問)それ以降になるのですか。

(外務大臣)来週のどこかで始めようということで調整が進んでいるということだそうです。

(問)現段階では決まっていないということですか。

(外務大臣)はい。

(問)日時はかなり迫っていますが、今の調整具合を大臣としてどう思われていますか。

(外務大臣)平和利用の話というなかなか難しい問題について、これと言った今のところまだブレイクスルーが見あたらないという難しい問題なのでしょう。ということで、それがある程度見えてこないと再開の日程も目処を立てづらいということは背景としてあるのだろうと思います。

(問)丁度、六者協議が選挙戦と重なるのですが、六者協議ないし日朝交渉が選挙に与える影響を大臣はどうお考えですか。

(外務大臣)直接関係ないと思います。

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衆院選関連

(問)昨日のテレビ番組で、森前総理が自民党が圧勝すれば小泉総理の任期を延長してもいいのではないかという趣旨のことを述べましたが、大臣はどう思われますか。

(外務大臣)どういう趣旨で森さんが述べられたのかわかりませんから。

(問)総理の任期延長に関してはどう思われますか。

(外務大臣)コメント致しません。

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日韓関係

(問)今日韓国が日韓基本条約に関する文書を公開するのですが、これについてコメントをいただければと思います。

(外務大臣)前回もそうでしたが、今回も基本的に韓国政府自身の御判断でなさることですから、それについて日本政府が特段のコメントをする必要はないと私は思います。

(問)日本は30年ルールに従って文書の公開をしてきていますが、それを再検討して文書公開について見直しをする考えはありますか。

(外務大臣)韓国がそういう判断をしたからといって、それに合わせて日本がどうこうするということはありません。

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外務大臣会見記録(平成17年8月15日(月曜日)10時24分~於:本省会見室)

閣議・閣僚懇談会/内閣総理大臣談話/靖国神社参拝

(外務大臣)8月15日、今日の閣議ですが、一般案件として内閣総理大臣談話が出されました。今ここで全部は読みませんが、今日の平和と繁栄は、戦争によって心ならずも命を落とされた多くの方々の尊い犠牲の上にあることに思いを致し、二度と日本が戦争への道を歩んではならないとの決意を新たにする、かつて日本は植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。この事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明し、この部分はインドネシアにおけるアジア・アフリカ首脳会議の小泉首相の演説の表現と同じですが、その後は、日本が戦後60間平和の道を歩んできたし、これからも歩んでいくのだという実績と決意を述べています。また、特にということで、一衣帯水の間にある中国や韓国をはじめとするアジア諸国とは、共に手を携えてこの地域の平和を維持し、発展を目指すことが必要だと考えます。過去を直視して、歴史を正しく認識し、アジア諸国との相互理解と信頼に基づいた未来志向の協力関係を構築していきたいということで、特にアジア諸国との関係についても触れています。唯一の被爆国としての体験や戦後60年の歩みを踏まえ、国際社会の責任ある一員としての役割を積極的に果たしていく、ということです。私が評論するつもりはありませんが、戦後50年の当時の村山内閣総理大臣談話は、主として戦争の反省、お詫びというものが中心で書かれていましたが、今回の小泉談話は、もちろんそのことに触れながら、同時に、戦後の平和の歩みというものを強調し、今後もまたそういう平和の歩みを続けていくという強い決意を表したものであるという特色があるのではないかと受け止めています。
 今日、スリランカの外務大臣のご葬儀がありますが、福島大臣政務官を特派大使として葬儀に参加させることを決定しました。

(問)閣議で総理談話に一部修正があったということですが、これはどなたか閣僚から発言ないしは指摘があったということでしょうか。

(外務大臣)「命を落とした多くの方々」という部分は「命を落とされた」ではないかということで、修正がありました。

(問)村山談話との比較をされましたが、戦後50年と60年の10年間の違いが反映されているということでしょうか。それとも小泉総理なりの信念が投影されているのでしょうか。なかなか分析するのは難しいと思いますがどうお考えですか。

(外務大臣)外務大臣が客観的なコメントを述べるのはおかしいのかもしれませんし、どういう思いで書かれたのかというのは談話を出された総理にお聞きいただきたいのですが、強いて特色というか違いを述べるとそういうことではないかと、印象として私は受けとめているということです。

(問)中国、韓国との関係ということに気をつかっているようですが、靖国神社に総理あるいは閣僚の方が続ける意思、あるいは実際に行っている方もいらっしゃいますが、そういった中でこういった諸国との抜本的な関係改善というのは果たしてできるのか。大臣もかなり苦労された経験をされたを思いますが、その辺はいかがでしょうか。

(外務大臣)これはいつも述べているように、靖国問題があるから中国あるいは韓国等の国々との関係全てが上手くいかなくなるという性格のものではないと私はかねてより述べています。一つこういうことがあればあと全てダメだということではないはずです。それだけ中国とも韓国とも幅広い交流がありますし、幅広い外交関係等もあるわけでして、そういう意味で靖国についての考え方の違いというのはお互いにあるということは認めつつ、それを乗り越えてよりよい関係を作っていく努力という事が正に大切なのではないだろうかと私はそう考えます。

(問)バンドン会議での総理大臣の演説の際には、8月15日に談話を出さないかもしれないというところで意見表明があったと思うのですが、今日談話を出すことになった背景を教えていただけますでしょうか。

(外務大臣)今年の始めに戦後60年の節目の年であるということで、やはり何か積極的なアピールをすべきであろうという考えに立ちました。地震・津波で会議ができるかどうかわからない時期もありましたが、アジア・アフリカ首脳会議といういい場面が設定されているわけだから、そこで日本の対外関係の基本姿勢を明確にしておくことは、特にアジア、アフリカの国々の集まりの中で意味があるだろうということで、4月下旬に総理はスピーチをしたわけです。8月15日が近づくにつれて、毎年こういう総理大臣談話が必要かどうかはわかりませんが、戦後50年の総理大臣談話というものがあり、いろいろな意見は当時ありましたが、現実にそれが日本の対外的な姿勢、いろいろなアジア諸国との関係を説明する際の基本的な文書として今日もなお有効に存続しているという実態を見た時に、やはり8月15日に戦後60年という節目の年を迎えて、改めて首相が談話を発表する。そして今回のように勿論過去の反省、お詫びを踏まえつつ、より前向きに平和国家としてやってきた実績を踏まえながら今後もそういう姿勢でやっていくということをメッセージとして国民にあるいは海外の国々の人々に対してこういうことを8月15日という日を選んで言うということは、4月とはまた違った思いがこもりますし、私は非常に時宜を得たものではないかと受けとめています。

(問)今日の閣議、あるいは閣僚懇談会で総理、もしくは閣僚などの靖国神社参拝について意見、もしくは意見交換などはありましたか。

(外務大臣)ありません。

(問)新しい追悼施設という議論もあるということですが、大臣はこれについてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)これは靖国代替ということではなくて、新しい施設という位置づけで、福田前官房長官の下で議論が行われ、そのことを、例えば先般の日韓首脳会談でも小泉総理が基本的な考え方を述べているわけです。国民世論の動向等にも配慮しながらよく検討していきたいということであり、この8月15日に向けていろいろマスコミ等でも靖国特集、戦後特集あるいは終戦に関するいろいろな考え方というものが様々な形で述べられています。そういう議論あるいは国会での議論等を踏まえながら、今後政府としてどのようにこの問題に取り組んでいくのかということを慎重に議論して決めていく必要があるということだろうと思います。従って、今すぐにどうこうということではないかもしれませんが、はやり国民の皆様方が幅広く何のわだかまりもない気持ちでお参りができるというのはどういう施設なのであろうかということについて、更に議論が深められることを私は期待しています。

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外務大臣会見記録(平成17年8月12日(金曜日)10時25分~於:官邸エントランスホール)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)閣議では特に外務省の案件はありませんでした。閣僚懇談会では竹中大臣からGNPの速報値の話、その後若干選挙の話になり、総理からしっかりと郵政民営化をみんなで訴えようということなどが話題になりました。

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靖国参拝

(問)8月15日、終戦の日に大臣は靖国神社に参拝されますか。

(外務大臣)先般の国会の委員会で私は参拝する考えがないと申し上げております。

(問)その理由についてお伺いできますか。

(外務大臣)現在の状況を総合的に判断した結果であります。

(問)総理は靖国神社の参拝について適切に判断すると発言されていますが、総理の靖国参拝についてはどのようにお考えですか。

(外務大臣)日本の最高リーダーがいろいろな内外の状況を総合的に適切に判断をされると言っているのですから、その適切な判断を我々は信頼をする必要があると思います。

(問)総理をはじめ、閣僚の靖国参拝については近隣諸国からの反発があるわけですが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)それぞれの国がそれぞれの考えを持つことを、我々は受け止めなければならないと思います。

(問)A級戦犯が合祀されていることについてのお考えと、国立の追悼施設が必要かどうかについてお考えを改めてお伺いしたいのですが。

(外務大臣)この話を立ち話で、ぶら下がり記者会見で短く申し上げるのは止めておきます。

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国連安保理改革

(問)安保理改革ですが、アナン事務総長が結論を9月の首脳会議前ではなくて、年内に先延ばしする考えを示していますが、これについてはどのようにお考えになりますか。

(外務大臣)アナン事務総長の立場で世界各国の動向、G4の動き、AU等の先般の臨時首脳会議の動き等を判断をして、早急に大多数の国が一定の結論、行為に到達するのが難しいという状況を踏まえての発言なんだろうと思います。ただ同時に何もしない、何の結論も出さないということにはならない。他の重要なテーマ、例えば平和構築委員会とか、人権理事会といったそれぞれのテーマについても、今、大議論が行われており、それらについても年内には一定の結論を得るというようなことで、現在首脳会談の合意文書ができつつあり、まだ最終案ではありませんが、それとの横並びということもアナン事務総長は考えているのではないかと推測いたします。

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衆院選関連

(問)衆議院選ですが、自民党郵政民営化反対派候補の選挙区に次々と対抗の候補が立てられていますが、このような動きを大臣はどのようにみていますか。

(外務大臣)国民に選択肢を明確に提示するという意味だと私は理解しております。

(問)解散総選挙による政治空白で、米軍再編などの外交案件が停滞するのではないかと言われていますが。

(外務大臣)それを言うといかなる事態でも選挙はできないということになります。いつだって懸案事項はあるわけで、選挙の期間それが一定程度先に延びていくということは、いついかなる時でも同じ事です。特に今回の選挙の時が政治空白が大きな問題だという主張は私は不適切だと思います。全ての時に、それぞれの懸案事項があるわけです。

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外務大臣会見記録(平成17年8月10日(水曜日)10時13分~於:官邸3階・エントランス・ホール)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)今朝の閣議で特に外務省のことはありませんでしたが、閣僚懇談会では最後に総理から、暑い中ではありますが健康に気をつけながら一生懸命頑張ってくださいという選挙に向けての激励の言葉がありました。明日、シーリングの閣議をするということだそうです。

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国連安保理改革

(問)AUの首脳会合がまとまらず、それ以降、いろいろな形で日本政府はAUの個別の国に働きかけて現状を把握したいという意向を持っておられましたが、進捗状況はどうなっていますか。

(外務大臣)先般、アデニジ・ナイジェリア外務大臣と電話会談を致しました。回線の繋がり具合があまり良くなく、完全に意思疎通が上手く出来たかどうかは分かりませんが、先方が述べていたと思われることは、9月13日にもう一度AUの臨時首脳会議をするので、そこは聞き取れなかったのですが、それまで待ってもらいたいというようなことであったかもしれませんが、例えばG4決議を採択するのを待ってもらいたいという意味なのかもしれません。先般のエチオピアの会議を見ていると果たしてまとまるのかどうか、なかなか厳しそうな状況もあるとは思います。そういう事もあるので、勿論今言われたような各国の動向をもう一度再確認しながら、同時に今後の現実的な着地点をどうするのかということについて、私共もこれしかないということでやってきたわけではありませんし、いろいろな頭の体操はこれまでもしてきました。外交のことですから、当然、水面下の活動も今までいろいろあります。そのようなことをどう上手く活かすことができるのか。国連の方も事実上夏休み状態です。もう一度頭の整理をしながら、いずれにしても9月14日から国連首脳会議があるわけで、その際に纏められる首脳声明の重要な柱が安保理改革ですから、そこにどういう表現が取りうるかどうかを今考えているところです。また同時にG4としてどう取り組むのかということもあります。先般来、インド、ドイツ、ブラジルのそれぞれの外務大臣とは電話会談をして、今後よく緊密に連絡を取っていこうと話しました。いずれにしても現実的なアプローチでいこうではないかと私の方から話しをし、基本的には賛成を得ていると思っています。今後、それらの国々ともよく相談をしながら、首脳会議における報告書がきちんと我が方の意に添った内容になるように、外交努力を積み重ねていこうと思っています。

(問)確認ですが、AUの首脳会議は9月なのでしょうか。

(外務大臣)9月13日と聞いています。9月14日からが国連首脳会議ですから、その前日まで我が方が何のアクションも取らないということはあり得ません。

(問)今回の日本の解散総選挙が、国連改革などに与える影響などはありますか。

(外務大臣)既にこの首脳会議の成果文書の内容を日本にとってもより意味のあるものにし、内容を充実させるという努力はずっとしてきているわけであり、大分我が方の意向も既に反映されたものになっていますが、より一層いいものに仕上げる努力というのが今月いっぱい行われると思っていますので、この辺はよく米国とも連携をしながら、よりよいものにする努力をしている最中です。そういう意味で、国連全体は休みかもしれませんが、それぞれ担当の人は皆一生懸命働いているわけですから、そういう作業はニューヨーク代表部を通じてしっかりやって参ります。

(問)先般の記者会見においても現実的なアプローチと言っていますが、G4の決議案の採決を目指すという点はやはり現実的アプローチとはならないということでしょうか。

(外務大臣)今AUがこういう状態ですから、これを無理に採決に持ち込んで、ほとんど見通しのないまま採決をし、多分敗北をするというのは現実的なアプローチには入ってこないと私は思います。

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米軍再編問題

(問)米軍再編問題ですが、中間取りまとめが9月以降にずれ込むという話がありますがいかがでしょうか。

(外務大臣)「2+2」で中間報告書をまとめる若干前に、地元の合意とまでは行かないが、地元への必要な情報提供はやはりしてからという思いで今までしてきたわけです。しかし選挙が始まってしまいますと、そういう地元への内々の説明等々が現実に出来ないので、その分何週間かは遅れざるを得ない状況にあるということは率直に認めなければならないと思っています。ただ、そんなに大きくずれ込むのではなくて、事務作業は8月中も粛々と閣僚からの指示を受けて続けます。審議官級の協議も当然行われます。

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外務大臣会見記録(平成17年8月8日(月曜日)17時30分~於:本省会見室)

臨時閣議

(外務大臣)本日午後3時過ぎから閣議が開かれました。途中で島村農林水産大臣の罷免手続きの為に皇居に上奏したので時間がかかりましたが、今、臨時閣議が終わったところです。この後、衆議院の本会議が開かれるであろうと想像しています。閣議では全閣僚が一言ずつ発言をしました。総理はずっと聞いていましたが、冒頭と最後に自らの決意を提起され、解散をするということでした。

(問)閣議の中では今回の解散に対して、賛成、反対とそれぞれ意見があったと思いますが、どのような意見があったのでしょうか。

(外務大臣)それについては、私が言わない方がいいのではないでしょうか。必要があれば、それはまとめて官房長官が言われることだろうと思います。

(問)大臣はどういう意見を述べられたのでしょうか。

(外務大臣)私は、総理の苦渋の選択であろうと、決して好んで解散をするものでもないのでしょうが、否決をされた以上、解散をすると従前から言っておられたわけですから、その決断を尊重したいと述べました。それと同時に今回選挙になれば、その性格というものが一体どういうものであるのかという事を国民に明確にする必要があると述べました。第一に、これは小泉総理を中心とした自民党の改革推進の動きが参議院によってブロックされたわけです。衆議院では5票差で通ったということであり、これは改革を進める「小泉自民党」対、改革を阻止しようとする自民党の一部のグループと労働組合、動きの取れない民主党の結託によって参議院では葬り去られたということの是非が問われる選挙であるという明確な位置づけをすべきであるということを述べました。もう一つは、外務大臣を10カ月余りして、今の民主党に政権を渡すわけにはいかないということです。外交政策、基本線が人により違う。それは自民党でも個人差はあると言うけれど、例えば外交政策、安全保障政策ひとつ取ってもばらつきのある政党に、今、政権を渡すわけにはいかない。その2点を強調する選挙ではないだろうかということを私は発言しました。

(問)この時期に解散総選挙になると政治空白ができるのではないかという指摘がありますが、外交政策の観点からそういった指摘についてはどうお考えになるでしょうか。

(外務大臣)いつでも選挙になるとそういう意見が出ます。外交然り。景気回復が今ようやく緒についたという段階での解散はいかがなものかという話がありました。しかし、この手のことは、いつもいつも素晴らしい景気状態の下で選挙が行われているわけではありません。この時期に政治空白という議論が出るのは当然のことであると思います。それは外交のみならず、いろいろな分野で改革が進行中です。いろいろな分野で政策が進行しているわけです。それらについて、確かに1カ月間、選挙ということでいろいろな決断が出来ない状態が続くことはいいことではありませんが、長い目で見た時に、必要な選挙のプロセスを踏むということも必要な場合もあるのだろうと思います。また総理からは、解散はすることになるが、国政あるいは行政に一時たりとも停滞は許されないということで、衆議院の身分は失うわけだが、大臣としての職責は残るわけだから、その点ではしっかりと職責を果たすようにというご指示もあったところです。

(問)国連改革、六者会合がちょうど解散総選挙の日程と重なり、米軍再編も大詰めを迎えていて、重複するようですが、その辺の重要課題について大臣として空白を生まないようにどう臨まれるおつもりですか。

(外務大臣)どこかに消え去るわけではありませんので、常に連絡は取れる状態です。現実に来週、中米の首脳、外相もお見えになります。そういう時に私は当然外務大臣としての職責を果たすように東京にいるわけであり、必要な折には外務省に来て、幹部等々と議論をしながら方針は決めていきたい。それぞれの問題について勿論新しい情勢は生まれますから、必要な連絡を取り、必要な判断はしますが、それぞれの問題について基本的な方針というものは既にあるわけで、解散によって日本の外交が揺らぐことはないと私は考えています。

(問)総理が郵政民営化に反対した衆議院議員について、今度の選挙では公認しないと述べました。そして更に、全選挙区に候補者を立てるという方針を出され、自民党が事実上「分裂選挙」になると見られますが、これについてどのように受けとめていらっしゃいますか。

(外務大臣)「分裂選挙」という表現が正しいとは私は思いません。それは自民党の一部に自民党の方針に反する人が出てきたということで、その人達を選挙で公認しないということです。「分裂」という表現を間違いだと言うつもりもありませんが、私共は小泉総理・総裁の下で自民党一体で選挙をやっていくという意識です。

(問)先ほどの話と重なるかもしれませんが、大臣自身も選挙区でこれから戦いをされるということになりますが、何を中心に訴えていきたいと思っていますか。

(外務大臣)さっき述べた2点です。一つは、改革を進めることが良いことか悪いことかという点と、もう一点は、政権選択ということを民主党が言うでしょうが、外交、安全保障について一致した政策がない政党に政権を委ねるわけにはいかないという事は明確に主張していきたいと思います。

(問)参議院本会議での票差について率直な御感想をお聞かせください。

(外務大臣)今さら票差の事を言ってもしようがありませんが、もっと競り合っているのかと私共は思っていましたが、結果は結果としてそれは率直に受けとめなければいけないと思います。

(問)米軍再編についてですが、一応9月中に中間報告を出そうという目標があったと思うのですが、これに変わりはないのでしょうか。それとも少しずれ込むのでしょうか。

(外務大臣)そういう方針で鋭意作業をしている最中です。従って大きな流れが変わるとは思っていません。ただ「2+2」をいつするのかなど、例えば9月半ばに国連の首脳会議が開かれるわけですが、現実問題としてその時期に総理が行けるのかどうかという辺りは、選挙の結果如何にもよりますが、9月11日以降、どういう政治状態が現出しているのか。選挙結果を踏まえて政権の枠組みがどうなるのか、という事態が起きないとも限りません。そうなった時に一連の、所与の国連の首脳会議等に誰がどう参加するのかというようなことは新たな問題として出てくるかもしれません。まして二国間関係の「2+2」でどういう形になってくるのかという辺りは、選挙結果を見ながら考えざるを得ない局面をいうのはあろうかと思いますが、しかし外務省の方針というものはもう既にはっきりしており、それに基づいて作業していますので、そのこと自体の内容は変わるほどではないと、私はそう思っています。

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外務大臣会見記録(平成17年8月5日(金曜日)9時03分~於:本省会見室)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)今朝の閣議では、ハイチ共和国における選挙に対してUNDP(国連開発計画)を通じて、89万ドルの緊急無償資金協力を行うという報告をしました。
 閣僚懇談会におきまして、総理から、本日、参議院の郵政特別委員会で採決が行われる予定であり、多分月曜日に本会議があるであろうから、その成立に向けて閣僚各位も努力をしていただきたいという話がありました。閣議の関係は以上です。
 六者会合の件ですが、昨日夕方まで中国が個別に断続的に五者とそれぞれ二国間協議を行っていたわけですが、夕方になって、米、韓、北朝鮮の三者協議が行われ、更に午後10時頃から30分間、首席代表による会合が開かれたとのことです。改めて合意文書作成に向けて努力をしようということが確認され、その後また日米で話し合いも行ったようですが、本日以降引き続き最大限努力をして、成果を挙げていこうということです。具体的な本日の日程は特に決まっていませんが、それぞれの二国間協議が行われるところから始まるであろうということです。
 既に報道されていますが、朝早いため、私共もまだきちんとした公電を受け取っているわけではありませんが、8月4日にエチオピアで開催されたAU特別首脳会合で、G4とAUの共同決議案の作成については、AU内で合意が得られず、引き続きAU内部で協議をしていくということになったようです。私共の基本線は共同決議案を作成して、国連総会で3分の2以上の(賛成による)枠組み決議の可決を第一段階にするということであったわけですが、こういう結果となりました。今後更に情報をよく収集して今後の対応を考えなければいけないと思います。こういう事態もある意味ではあり得ることであろうかと思っていましたので、今までいろいろな頭の体操も行い、いろいろな水面下の活動もしてきています。いずれにしても国連首脳会合が9月中旬に行われるわけですが、そこにおいて採択をされる成果文書の中にいろいろな幅広い国連改革の一環として、安保理改革というものがしっかりと位置づけされるように、現実的なアプローチというものをかねてから述べてきています。そういったことがどうしたら実現できるか、更に関係国と話し合いをし、また総会議長あるいはアナン国連事務総長とも話をしていこうと思っているところです。

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国連安保理改革

(問)国連改革ですが、月内に決議を目指すという方針で変わりはないのですか。

(外務大臣)アフリカの様子をもう一度国毎にしっかり把握した上で、きちんとした分析を関係国、特にG4の間でやってみた上で、あるいはアフリカの一部の国とやってみた上で、投票行動に移るかどうかは慎重に考えてみたいと思っています。何が何でも投票というポジションをとっているわけではありません。現実的アプローチとはそういうことです。

(問)大臣の仰った多数派工作、AUの中でできるだけたくさんの票を集めるという行動は終わりにして、別の方法を考えるということですか。

(外務大臣)いいえ、AUの中でナイジェリア等を中心にどのくらいのまとまりがあるのかという辺りをよく情報収集し、その上で判断しようということです。

(問)その判断の際、G4の外相でまたどこかで一堂に会するというスケジュールも念頭にあるのですか。

(外務大臣)今、まだそれが具体的にあるわけではありません。ドイツの外務大臣も一ヶ月後には選挙ですから、相当忙しいようですし、我が方はどうなるかまだ分かりませんが、電話になるのでしょうか、集まるということはなかなか日程が難しいような気がします。

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六者会合

(問)六者会合の現状ですが、休会になってしまうとか今回の会合で成果文書が得られない懸念というのは現在お持ちですか。

(外務大臣)懸念はありますが、しかし六者の皆様方の昨晩の一致した認識は、具体的な成果を得るべく努力をしようということが昨夜の会合の結論であったと聞いています。

(問)閣議後、総理と残られてお話になったようですが、これは六者会合の件でしょうか。

(外務大臣)六者会合の簡単な報告とAUの簡単な報告、プラス若干の政局についてです。

(問)特に六者会合、AUについて総理の方から何かありましたか。

(外務大臣)アフリカの内部事情がどんな様子なのかというお尋ねはありました。

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政局

(問)もし総理が解散の臨時閣議を招集した場合に、解散招集の署名はされるお考えでしょうか。

(外務大臣)私共は今法案の成立に向けて全力投球しているところです。

(問)現時点で、政務官、副大臣で辞表を出された方はいらっしゃるのでしょうか。

(外務大臣)知りません。

(問)閣僚懇談会での総理の発言に対して、何か閣僚から意見なりコメントは出たのでしょうか。

(外務大臣)勿論、皆で頑張りましょうということです。

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外務大臣会見記録 (平成17年8月2日(火曜日)9時3分~ 於:本省会見室)

閣議

(外務大臣)今日の閣議では私の方から先般の英国及び米国訪問の報告をしました。
 また、中川経済産業大臣、島村農林水産大臣それぞれからWTO(世界貿易機関)の関係、あるいは日タイのEPA(経済連携協定)交渉について、中川大臣はちょうど成田から直行して間に合ったようで、大筋でまとまったという報告がありました。
 六者協議の状況ですが、詳細が入っている場合もありますし、また述べられない部分もありますが、関係6者間で懸命な議論が現在進行中であるということです。特に北朝鮮と米国が2時間以上の協議を数回にわたって行っているということもありますし、中国もホスト国として合意形成に努力をしています。日本も当然ですがいい成果が得られるように努力をしている最中です。御承知の事と思いますが、主要な論点はやはり何と言っても核の廃棄の問題です。日米韓と北朝鮮の主張が異なっている部分もあります。またウラン濃縮計画につきましても、北朝鮮は依然としてその存在を認めていないという問題もあるようです。合意文書作成そのものについては基本的一致があるということですが、今述べた主要論点を巡る対立から、なかなか今後の調整が円滑に進んでいるという状況にはなく、まだ今暫く時間がかかるのではないかと、早くて今週いっぱいかかるかもしれません。もちろん今日中に急転直下まとまるかもしれません。そこはよくわかりませんが、多少時間がかかる。これはひとえに北朝鮮の出方次第ということであろうかと思います。日本の関係で述べるならば、拉致、ミサイルの位置づけがどういうことになるのかといったようなこと、あるいはエネルギー支援について日本としてこれにどのような関わりを持つのかという辺りが日本との関係で特に独自の論点になるのかと思っています。なお、日朝間の協議につきましてはこれまで4回程接触を行いましたが、いずれも短時間の立ち話ということであり、まだきちんとした協議は実施できないでいる状況が続いています。六者協議の方は現地でもいろいろなブリーフが行われていると思いますが、とりあえず私共が現状で理解していることは以上の通りです。
 安保理の関係ではAU(アフリカ連合)の臨時首脳会合が8月4日にあるのかないのかということで確認を急いでいたのですが、現地で昨日の遅い時間、AU本部で常駐代表会合というものが開かれ、最終的には8月4日に臨時首脳会合を行うという決定がされたということです。これをどう評価するのか、また今後この場でどういう議論の展開になるのか、必ずしも予測することは難しいわけですが、オバサンジョ・ナイジェリア大統領の強いイニシアティブによるものであろうと理解していますので、全体としてはいい方向に進むのかもしれないという期待はあります。ただ、どういう展開になるのか、強い反対もあるわけですから、我々としては楽観せずに状況を見守りつつ、またエチオピアの方には然るべき者も派遣をして、しっかりとした働きかけもしていこうと思っているところです。以上です。

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国連安保理改革

(問)今述べられたAUの臨時首脳会合ですが、この会合でどういう結果が出ることを期待しますか。それからこれまで何度もAUの判断というものを待ってきたと思うのですが、残り時間も少なくなってきましたが、どのタイミングまでAUの対応というものを見守るのかお聞かせください。

(外務大臣)何と言ってもAUは53カ国という最大のメンバーを有しています。また、世界の中で地域単位というかブロック単位で安保理改革という一つのテーマで一定の方向を出そうという努力をしているのはAUだけです。アジアにおいてもヨーロッパにおいてもそういう試みはなされていません。そういう意味で私共としては、AUのそうした一体性を保ちながら重大なテーマについて意志決定をしようという努力を高く評価していますし、その結果は尊重すべきものと考えているわけです。従って、これまでも7月の上旬にAUの首脳会議が開かれるので、それを過ぎてから決議案を出そうと考えたのも、ひとえにAUのそうした自主的な活動を尊重したいというG4側の意図の表れ、特に日本側の意志の表れであると御理解を頂いてもいいのだろうと思っています。何のための今度の臨時首脳会議かと言えば、ニューヨークにおいてコナレAU委員長が、それは先週月曜日のロンドンにおけるAUとG4の合意された事項の確認の場であると明確に言っておられましたので、そういう位置づけの下に開かれる臨時首脳会合であろうと思っています。どういう結論になるのか期待はいろいろありますが、その確認がとれるのかどうなのか、どういう形でこれが展開するのか、決して予断を許さない部分もありますので、私共としては先ほども述べたように関心を持ちつつ見守りたいし、また必要な働きかけも引き続きしていきたい。その一環として小泉総理もオバサンジョ大統領と電話会談をして申し入れたという経緯があるのは御承知の通りです。

(問)8月4日の首脳会議が開かれる見通しが立ったことによって、採決の見通しはどうなるのでしょうか。

(外務大臣)それは4日の会議の持たれ方、そこでの議論、そこでの意見集約がどんな形で行われるのかにかかっており、4日に開かれたから自動的にすぐ採決という話でもないと思っています。ひとえにその場の議論が、さっき申し上げた会議の目的に沿ったものになるのかどうか、そして実際にどれだけのまとまり具合になってくるのかという辺りを見極める必要があり、そこを見極めないで採決、採決といって単純に進んでいく性格のものではないと思っています。

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六者協議

(問)六者協議ですが、今日で協議が2週間目に入ったのですが、当初の状況から予想外に時間がかかっているのか、大体想定できた範囲内なのか率直なところを聞かせて下さい。

(外務大臣)想定していたとおりであると言うと、難航を予測していたように聞こえてもよくないのですが、さっき申し上げたとおり、これはひとえに北朝鮮の出方次第です。彼らがどこまで物事をまとめようとする考えで臨んでいるのかということによって、期間というのはいくらでも変わってくるわけで、そういう意味では、ある程度予想された範囲の中で動いているのかなという思いはしていますが、別に長引くことをもとより想定しているわけではありません。まず、再開第1回目の会合の成果が出ることを強く期待しているわけです。今週は当然のことながら山場であると思っています。

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