記者会見

外務大臣会見記録(平成17年5月)


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外務大臣会見記録 (平成17年5月31日(火曜日)9時08分~ 於:本省会見室)

閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)別に新しいことではありませんが、一度も閣僚懇談会には報告していなかったことから、イラクにおける邦人行方不明事件について、既に報道されていることではありますが、まとめて報告をしておきました。また、総理から、フィリピンの件はどうなったのかという御下問があったので、とりあえずこれまでの経緯について簡単に報告しておきました。これも、経緯は皆さんご承知のとおりのことです。

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フィリピン元日本兵事案

(問)フィリピンについては、今後、政府としてはどのような調査を継続していくことになるのでしょうか。

(外務大臣)厚生労働大臣が、遺族会の関係でこの辺の経緯はよくご承知のことだということで、大臣の方からも説明がありました。こういう類の話というのは非常にあるようです。今までも何度もあり、別に珍しいことではないということです。そう頻繁にということではありませんが、折に触れてあるということでした。折に触れてあった際には、やはりそれは邦人の問題ということで、その都度、対応しているということですから、また、とりたてた大調査をするというわけではありませんが、通常の調査をしていくということであろうと思います。尾辻大臣が知っているだけでも今まで数十回、この手の情報には接しているということであり、なぜ今回だけこれほど異常にマスコミが取り上げたのかよくわかりません、という率直な感想を漏らしておられました。

(問)それも閣僚懇談会でのお話ですか。

(外務大臣)懇談会の席での話です。なぜマスコミが、というのは余計なことかもしれませんが。別にマスコミ批判をするというつもりはありませんが、長年、遺骨収集などを遺族会を中心にやっているわけですから、現地に何度も行っている尾辻大臣にしてみると、まことに不思議な気がするという意味で言っておられたのだと思います。

(問)そうしますと、今回の情報というのはこれまでのいろいろな話に比べると、とりたてて・・・。

(外務大臣)それについては、私は比較する材料を持っていませんので、私はそこまではわかりません。

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ラブロフ・ロシア外相の訪日

(問)今日、ラブロフ・ロシア外務大臣が来日されますが、領土問題について、択捉島の北の端で国境を確定してという考え方を改めてご提案されることになるのでしょうか。

(外務大臣)交渉の内容にわたる話は差し控えます。

(問)同様の案を98年に提案されて、それに対してはロシア側は明確に拒否をしたと理解をしていますが・・・。

(外務大臣)申し上げません、今日は。今日も、当分の間も、先方と一定の合意ができるまでは申し上げません。今までこの手の話で事前にこういう方針だとか、途中こうだったという話をしたことは一度もないでしょう。

(問)懸案となっているプーチン大統領の来日については、今どのような道筋がついているのでしょうか。

(外務大臣)それは先方が今日何と言ってくるかです。

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外務大臣会見記録 (平成17年5月27日(金曜日)9時15分~ 於:本省会見室)

閣議

(外務大臣)今朝の閣議ですが、私の方から2点、発言をしました。1つは、国家公務員の定員管理について、総務大臣から向こう5年間で10%以上の削減、過去はおよそ5%ということですから、倍以上の削減をしたいというご発言があり、行政改革担当大臣からもその通りであるということでした。私の方からは、定員削減にはもちろん、業務の効率化・合理化で努力をするが、他方、これによって、いわば定員再配置の原資を生むことになるということで、その際には、外務省、外交に関する需要が飛躍的に高まっているので、是非、再配置に当たっては、外務省の体制強化という方向でよろしくご配慮願いたいということをお願いしました。総理からは、締めくくりで、総務大臣に各省協力するようにという話がありました。従って、各省は削減をされるのでしょうが、外務省だけは最終的に増員となる足がかりがこれでできた、というほど世の中は甘くないかもしれませんが、そういうことを可能にしたいと思っています。
 また、イラク復興支援について、15億ドルの無償資金協力というもので、今まで約14億ドル近く供与してきており、いわば最終的な案件になると思われますが、サマワ市内に60メガワットの大型発電所を建設するために約127億円の無償資金協力を行うということを決定しました。順調にいけば、今年の年末頃には着工できるのではないだろうかと思っています。この関係で、防衛庁長官から、日本に対する期待というものが大変大きい今日であるから、こうした決定は大変に歓迎するという発言がありました。自衛隊が来る、日本が来るということで、トヨタの大型工場ができて、5万人も10万人も雇用が増えるのではないかという、漠とした期待が未だにあるそうで、なかなかそうはいかないまでも、ムサンナー県は電力事業がかなり悪いそうなので、地元にとっては大変効果のある大型援助案件になるということが期待されるところです。ムサンナー県の知事が、確か去年の秋、外務省に来られたときも、この発電所の話をしておられたというような記憶があるので、そういう意味でも歓迎されるのではないかと期待しています。また、大きな報道で、フィリピンの元日本兵に関することですが、まだ詳細は一切わかっていませんが、昨日、フィリピンの日本国大使館に対してミンダナオ島で元日本兵と思われる者2名が生存しているのではないか、という情報が提供されたので、本日、我が方大使館員が現地に赴いて、元日本兵と思われる方々と直接面会をして身元確認等を行う予定です。その後のことは、身元確認後のことですし、その他の情報については一切まだ不明です。

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谷内次官の発言に対する韓国政府からの抗議

(問)次官の発言に対して韓国政府が高野大使を呼んで抗議の申し入れがあったようですけれども、これについてはどのような対応になるのでしょうか。

(外務大臣)大使館から報告が来ているはずなのですが、まだ読んでいないので、この後、先方からどのような御要請があったのか、よく検討して、今後の対応を決めていきたいと思ってます。

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東シナ海資源開発他に関する日中協議

(問)週明けから中国とのガス田に関する協議が行われますが、現状の日中関係を踏まえて、この協議にはどのような姿勢で臨まれるのでしょうか。

(外務大臣)これは4月17日の日中外相会談で決まったことでありますし、予定通り淡々粛々と行うことになってます。具体的にどういった内容で議論するのか詳細は私もまだ聞いてませんが、当初の理解ではこのガス田の問題を含めて海洋に関する問題、境界の画定であるとか、海洋調査船の話であるとか、海洋にまつわるいろいろな問題について議論をしようということであると理解してます。また、基本的なスタンスは先方の一方的な開発の中止を求めるということ、それから必要な情報提供を求めること、さらに共同開発という具体的な提案があるのであればそれを示されたい、ということで、その辺を受けて我が方としてどのように対応するのか、政府部内で現在いろいろと検討している最中です。

(問)佐々江局長の今回の訪問ですが、六者協議の首席代表でもあるということで北朝鮮の問題については話合われるのでしょうか。

(外務大臣)それは行ってみないとどういうことになるのかは解りませんが、然るべきタイミングで然るべき人と会えれば北朝鮮の話をすることがあっても不思議はないことだと思います。ただ現在、それを目的とした会合が設定されているという話は今のところ私は聞いてません。

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呉儀中国副首相の総理会談キャンセル

(問)中国の王毅大使が25日午前に外務省に谷内次官を訪れて、呉儀副首相の件で事態の収拾を申し入れたという一部報道があるのですが、事実関係は如何でしょうか。

(外務大臣)私は聞いてません。

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フィリピンの旧日本兵生存

(問)フィリピンの旧日本兵ですが、身元を確認して帰国の意志があるということであれば、帰国に向けて調整することになるのですか。

(外務大臣)それはご本人の希望、考えもあるでしょうから、直接会ってお話をした後の話でして、今の段階で帰国云々という話は、必ずしもはっきりしません。

(問)2人以外に他に数人、保護を求めているという話もあるのですが。

(外務大臣)それはちょっとわかりません。従前からいろいろな情報が寄せられたりはしているのですが、なかなか確認をする術がなかったのです。今回は確認できそうだということなので大使館員が行くわけですが、その他にいらっしゃるのかいらっしゃらないのか、必ずしも定かではありません。この2人しかいない、ということを断定もできないし、いらっしゃるかも知れない、ということを断定することも難しいということではないでしょうか。

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ラブロフ・ロシア外相の訪日

(問)来週、ロシアのラブロフ外相が来日しますが、当初の予定よりも一日ずれた来日になるということ、これについてどうお考えですか。

(外務大臣)ちょっとした日程のことですから、その1日、2日を一々どうのこうのと解釈するつもりは全くありません。もともと月・火と言っていたのが、火曜日の一日で会談を済ませようということで、元々の範囲内のことであったと、ごく普通に理解しています。

(問)領土問題ですが、どのような形で接点を求めていくつもりですか。

(外務大臣)内容について今お話しすることはできませんが、また、急に答えが出るという性格のものではもとよりない、大変難しいことだろうと思います。基本精神は1月に私がモスクワを訪問したときに申し上げた、このまま未来永劫平行線で行くということは双方の利益にならない、何処かで架け橋を造る、その土台造りをやはりやらなければいけないだろう、ということです。抽象的ではありますが、そういう精神に基づいて、両国間で率直な話し合いができればと思っていますし、また、その率直な話し合いは今後とも続き、そしてプーチン大統領訪日に繋がっていくということです。またプーチン大統領訪日の時に全てが1から10まできれいさっぱり片が付くという性格のものであるかどうかもわかりません。いずれにしても、双方が真剣な話し合い、努力を行うという姿勢で臨めば、どこかで解決策が見いだせるのではないかと思っています。そういう方向で懸命な努力を行っていかなければならない、と考えています。

(問)今、ロシア側と架け橋を造るという話がありましたが、ロシアは今まで北方領土問題に関して、日本と国際的に見込まれる国境確定は未確定だ、という立場に基づいて日本と交渉してきたはずですが、ラブロフ外相は訪日を前に、25日のロシア上院の質疑で、日本との国境は全て確定済みである、というような認識を示されたようで、これは今までの交渉の経緯からいくと一つの駆け引きの一環のように思えるのですが、こういった態度は大臣の架け橋とは一寸かけ離れていると思うのですが、どういうことなのででしょうか。

(外務大臣)その上院での話というのを私は承知していないのでコメントしません。

(問)確定済みという認識ではないのですか。

(外務大臣)もとより両国間には領土問題が存在するという認識は東京宣言で一致しているわけですから。それ以前は領土問題はないという基本的なポジションでした。それが92年の東京宣言で、確定していない問題があると、先方は公式に認めているわけですから、そのラインと変わっているとは私は考えていません。

(問)閣議後少し残られたようですが、総理とこの話については何か話されましたか。

(外務大臣)総理との話の内容については申し上げません。

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森前総理発言

(問)昨日、森前総理が「中韓はイチャモンもいいところだ」という発言をして、政府が中国・韓国については沈静化を図っている中でまた刺激的な発言をしたのですが、これについては。

(外務大臣)皆様方が刺激的に報道すれば刺激的になりますが、発言そのものがそう刺激的であったかどうか。私もその場で正確に聞いていたわけではありませんが、別に両国を刺激しようという趣旨の発言ではなかったと私は理解しています。刺激的になるかならないかは、報道振り如何です。

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外務大臣会見記録 (平成17年5月24日(火曜日)9時31分~ 於:本省会見室)

閣議

(外務大臣)今朝の閣議ですが、私から、平成16年度の草の根人間安全保障無償資金協力、日本NGO支援無償資金協力及び草の根文化無償協力の実施状況について報告をしました。平成16年度累計で112ヵ国及び1地域において、総計で1405件、156億4千万円の協力を行いました。今まで個別案件を全て閣議で一件ずつ、小さな金額のものを含めて細々と報告をしていたのですが、例えば円借款で何百億円と大きいものを個別の報告はしなかったようなこともありますので、全体のバランス上、手続き簡素化の観点から、今後、閣議で個別の報告はしないが、実施状況についてはきちんと対外公表を行うし、まとめて閣議でも報告するという発言を致しました。その他として閣議では、環境大臣から夏の服装について、軽装、省エネルックと言うのでしょうか、昔風の言葉で言うと。最近は何と言うのでしょうか。ノーネクタイで、ひとつは沖縄の「かりゆし」ウェアというのがあるようです。写真で説明をしてくれました。明日、環境大臣が中央合同庁舎1階で、自ら売り子として立つので皆さんお越しくださいという宣伝がありました。また、資料として、熟年層・中年層・若年層向けの軽装に関する、こういうのが良いというお薦めもありました。閣議もノーネクタイになるそうです。本会議だけはそうではなく、衆参もまた異なり、なかなか難しいところですが、委員会はノーネクタイでかまわないとか、だんだんと沖縄化してくるのはいいことだと私も思っています。

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呉儀・中国副首相の総理との会談のキャンセル

(問)昨日の中国の呉儀副首相の総理との会談のキャンセル問題ですが、これについては依然として、我々一般には緊急の公務の中身というのはわかっていないのですが、外務省としてはどういうことだったのか、その事情をどう把握されているのでしょうか。改めてお伺いします。

(外務大臣)昨日の朝8時45分に、在京中国大使館参事官から中国課長に連絡があり、急遽予定を繰り上げて本日14時半に離陸する、帰国する、理由は国内の緊急公務によるということでした。呉儀副総理訪日にあたり、日本政府・外務省の行った接遇に対して心から感謝するという話でしたが、緊急公務とは何かと質したところ、知らないという返事であったということです。靖国参拝が原因ではない、あくまでも緊急公務だという先方の発言であったそうです。これに対して課長から、これは大使から次官に連絡してもらいたいと述べたところ、先方は了解したということです。その後、1時間くらい経って、今度は公使から佐々江局長に連絡があって同じことを言ってきた、また1時間ほどして10時45分くらいに今度は大使から谷内次官に全く同じ趣旨の連絡が入ったというのが事実関係です。これは私も記憶が定かではなかったので確認をしたのですが、5月7日の日中外相会談の席で、李外交部長から、日中関係重視の姿勢の表れとして、愛知万博出席の呉儀副総理を、愛知だけではなく日本全体への公式訪問としてほしいという先方からの発言があり、私から、これは日中の各種の交流を活発化するという観点から、日中共同作業計画の一環としてこれを歓迎するという発言をした経緯があります。そして先方から、総理に会いたいという希望があったので、総理の日程を昨日午後に組んだわけです。それに対して先ほど申し上げたようなことで、連絡はあったということですが、突然の中止ということについて、お詫びの一言もないというのが実態です。この点については、私は昨日、外務省を退庁する際に、このようなことは国際的なマナーに反するのではないでしょうか、ということを申し上げたわけです。

(問)緊急の公務だという中国側の理由ですが、これについては、これかなと思われるようなものはあるのでしょうか。

(外務大臣)わかりません。わかりません。別に殊更このようなことを問い合わせる気もしません。

(問)新聞報道などを見ていますと、一つの見方として、武部幹事長が訪中されたときに内政干渉だという発言があって、それが理由になったのではないかという見方がありますが、これについてはどうお考えですか。

(外務大臣)とにかく、先方が国内の緊急用務としか言っていないわけですから。

(問)今日の閣僚懇、もしくはその後ちょっと残って総理とお話しされたようですが、その場でこの話は出ましたか。

(外務大臣)閣議、閣僚懇の席ではありません。

(問)小泉総理とはこの件について何かお話しされましたか。

(外務大臣)昨日こういうことで三度にわたって連絡があったということだけは申し上げておきました。総理からは、先方が会いたいと言ったのだからなー、という一言がありました。

(問)総理との会談をキャンセルするというのは結構非礼にあたると思いますが、こうした中国側の対応が今後の日中関係に与える影響を外務大臣としてどうお考えですか。

(外務大臣)先程申し上げたとおり、日中関係重視の姿勢の現れで、愛知だけではなく、日本各地を訪問され、最終的には総理訪問まで先方が希望されたのですから、外交部長の言っておられたことと現実に起きたこととは相当開きがあるなという率直な印象は持たざるを得ません。残念なことだと思っています。普通は人間同士でも、何か突然の用があることは仕方がないとしても、一言、悪かったとか何かそういうことを言わないと、人間社会は普通成り立ちません。何も外交的なマナーというオーバーな言葉を使わなくても、人と人とのつき合い方、信頼すべき人間同士のつき合い方がこういうことかという思いがします。

(問)昨夜、中国の孔泉報道局長が最近の相次ぐ靖国参拝に不快感を示したようですが、これが副首相帰国と関係しているという見方が一部では出ているようですが。

(外務大臣)それは彼らが否定していますよね。

(問)大臣はどうお考えですか。

(外務大臣)先方が否定しているものを私がそうではないでしょうと言うこともありません。それ以上推測することは差し控えます。

(問)今回の件で日中関係がしばらく停滞することが予想されるのですが、どう局面を打開されるのですか。

(外務大臣)このようないちいち細かいことで、国と国との関係がどうこうするとは私は思いませんが。

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外務大臣会見記録(平成17年5月20日(金曜日)8時45分~ 於:院内・大臣室前)

(外務大臣)今日は閣議ではとくにありません。

六者協議(米朝協議、南北対話)

(問)アメリカと北朝鮮がですね、久しぶりに直接対話を行うとアメリカ政府が発表したんですけれども、これについて日本政府としてはどのように連絡を受けていましたでしょうか。

(外務大臣)必要な連絡は当然受けておりまして、これは交渉ではない、必要な確認を直接やった、と聞いております。それは良いことだと思います。

(問)今後の六者協議に前向きな兆しは出てくるとお考えでしょうか。

(外務大臣)そこまで楽観をしていいかどうかわかりませんが、必要なステップであるとすれば、それは歓迎します。

(問)一方、南北の次官級の協議では核問題については盛り込まれないという状況になりましたが、これについてはどのようにお考えですか。

(外務大臣)これはまさに六者協議の場で話をする事柄そのものだと思います。

(問)韓国の対話優先という姿勢がですね、六者協議に悪い影響が出るのではにかという指摘もあるのですが、その点についてはどうでしょうか。

(外務大臣)六者協議は対話、平和的手段による解決ですから、対話そのものを否定することはありません。ただ、南北だけで本当に話がつくのかどうかです。しかし、そうした努力を韓国がされることは当然のことであろうと思います。

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外務大臣会見記録 (平成17年5月17日(火曜日)午前9時26分~ 於:本省会見室)

閣議

(外務大臣)今日の閣議では、(外務省関連は)特にありません。GDP統計が発表されということで、1-3月期の前期比が年率換算でプラス5.3%、かなり高い伸び率です。これで16年度の成長率がプラス1.9%、政府見通しが2.1%ということでほぼ達成できた、よかったという話がありました。

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イラク邦人行方不明事件

(問)イラクに関しての進展状況はその後いかがでしょうか。

(外務大臣)特に報告を受けていません。

(問)一昨日、襲撃現場とされるビデオが公開されましたが、その現場の議論については、例えば分析作業なんかはどのような形で行われているのでしょうか。

(外務大臣)アラビア語に強い人が何度も見たり、今まで得た様々な情報との突き合わせをしたりしています。既に発表しているとおり、あの中に齋藤氏と思しき方は映っていなかったということですので、依然として、行方不明という状態は変わっていないという判断のままです。

(問)犯人グループとの接触をされようとしていると思いますが、その進行状況はいかがでしょうか。

(外務大臣)いろいろな努力はしているわけですが、現実にどういう状態になっているのかは、コメントは差し控えさせて頂きます。

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安保理改革

(問)安保理改革ですが、ニューヨークの方で枠組み決議案の草案が示されたようですが、今後の修正協議、決議案の提出、採決の見通しについてどのように考えていますか。

(外務大臣)現地時刻の月曜日、フレンズ会合とよく言っているようですが、同じ考えと思われる国々に、正確な数は承知していませんが、20~30くらいでしょうか、集まってもらい、まず説明をしたということのようです。まず、それらの国々の賛同を得ながら、更に共同提案国をできるだけ幅広く募るという形で今後作業が進んでいきます。また併せて、共同提案国になれないまでも、賛成をしてくれる国の数をできるだけ増やしていく努力というものを今後やっていくということになるだろうと思います。その過程でいろいろな意見が出るかもしれません。その際には、今出したばかりですから、これを修正する云々ということを言うつもりはありませんが、基本的な姿勢としては、できるだけフレキシブルに対応するというものです。そして賛同してくれる国の数を増やすということが大切ですので、柔軟な姿勢でできるだけ賛同者を増やしていく努力をしていきたいと考えます。その集まり具合を見て、具体的にいつこれを出すのか、今月中ということはちょっとあり得ないと思いますので、早ければ来月提出するということになるのではないだろうかと思っています。その後のことまではまだ明確なプログラムはありませんが、いずれにしても、9月のサミットの前には、当然のことですが、この枠組み決議が採決されないようではとても全体の改革はおぼつかないということになるのだろうと思います。

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総理の靖国参拝問題

(問)昨日、総理が予算委員会で靖国参拝について、他国が干渉すべきことではないという趣旨の発言をされていますが、大臣としてはいかがお考えでしょうか。

(外務大臣)昨日の発言は、すべてこれまでの適切に判断をして行動するという発言の範囲内だと私は理解をしています。

(問)特に中国との関係で、今後の影響というものは想定されているのでしょうか。

(外務大臣)すべて適切にという範囲内の範疇に入っていると私は理解しています。

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六者協議

(問)一部で北朝鮮が米国側に米朝二ヵ国協議を働きかけているという報道がありましたが。

(外務大臣)承知していません。二ヵ国協議というような具体の話ではなく、今まで二ヵ国、二ヵ国と言っていることは、何も急に今に始まったことではないわけです。ただ特定のレベルでこの人とという報道もあったようですが、そういう話は特に聞いていません。それに対して、米国は一貫して、二ヵ国のプロセスがうまくいかなかったという経験に鑑み六カ国というプロセスを始めたわけなので、もちろん六カ国が始まればその中でいろいろな協議はあるでしょう。日朝だってその中でやったりしているわけですから、それは米国も否定しないが、六ヵ国をやめて二ヵ国とか、六ヵ国の前提としての二ヵ国ということは、米国は認めないという基本姿勢は変わっていないと思っています。

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外務大臣会見記録(平成17年5月13日(金曜日)9時38分~ 於:院内・大臣室前)

閣議(総理のロシア訪問)

(外務大臣)閣議では、総理のロシア訪問の報告を総理に代わって私から行いました。それ以外、外務省関係はありません。

(問)閣議のあと残られて…。

(外務大臣)連休中の外交案件、ニューヨークへ行ったり、あるいはASEMの会合に出たり、そうした連休中の外交案件についての報告をして参りました。

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イラクでの邦人行方不明事件

(問)イラクでの事件ですが、現状いかがでしょうか。

(外務大臣)特に新しい情報はありません。

(問)大臣としては、昨日、向こうのテレビに出るとかですね、新たな取り組みを検討するというような話をされていましたが、この点についてはいかがでしょうか。

(外務大臣)今日の午後、アルジャジーラを通じて呼びかけをしようかと思っています。

(問)なかなか進展のない状況ですが、この状況をどのように捉えていますか。

(外務大臣)とにかく全力を挙げて情報を確認する、あるいはその所在を探知できる方法をいろいろなルートを通じて努力している最中です。なかなかはっきりしないことが多いのですが、少しずつはっきりしてきていることもあります。

(問)今日、閣議では特にこの点については。

(外務大臣)特に話をしていません。

(問)犯人グループからの接触や新たな情報が限定される中で、事態の打開にはまだ一定の時間がかかるとの感触はお持ちでしょうか。

(外務大臣)それはなんとも、予測をするのは難しいです。

(問)一部報道で、イラク政府が聖職者協会を仲介して呼びかけを犯人グループにという話もありますが。

(外務大臣)特にどこの団体とは申し上げませんが、いろいろなルートを通じて接触なり、あるいは実情の把握に努めているのは事実です。

(問)アルジャジーラではどういったことを訴えかけていきたいと思っていますか。

(外務大臣)当然のことですが、もしそういったグループが怪我をしている可能性のある日本人を取り押さえているのならば、早期の治療が必要だし、早期の解放を求めるということと併せて、日本がイラク復興のためにこれだけ努力をしているということも広く国民に訴えかける、理解を求める、そのようなことも言及しようかと思っています。

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北朝鮮の核開発疑惑

(問)北朝鮮ですが、新たな燃料棒の取り出しなどの動きがあるわけですが、現時点では北朝鮮のこの核の製造というのはどの程度まで進んでいると認識されているのでしょうか。

(外務大臣)正確な情報が、これまたはっきりしないわけです。まだ確実に核兵器を製造した、あるいは核実験をやるという情報には接していませんが、もちろん十分な注意をし、十分な監視態勢を敷きながら、要するに北朝鮮を六者会合の場に復帰させ、それを通じて、核のない朝鮮半島の実現という目標に向かって外交的な努力を引き続きやっていかなければいけないと考えます。

(問)当面6月までに行う外交努力について具体的に決まっているものというのはあるのでしょうか。

(外務大臣)表でやる作業、水面下でやる作業、いろいろあります。例えば、日米韓局長レベルの会合とか、あるいは今、谷内次官が中国で先方の外交部副部長と話をしていますが、当然、北朝鮮の問題も議論になりますし、中国が大変大きな役割をこれまで果たしてきているし、これからも果たしてもらわなければならない。そういう意味で、中国に一層の活動を促すというようなこと、これは日中外相会談でもやったわけですが、そのような努力、更に、外交的なより一層の圧力を高めるための五者会合というのをやってはどうかという案もあります。まだ完全に一致を見ているわけではありません。そうした活動等々、いろいろ検討したりしているところです。

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外務大臣会見記録 (平成17年5月10日(火曜日)9時35分~ 於:院内・参議院議員食堂)

閣議(米国、フランス出張報告)、閣僚懇談会(イラクでの邦人拘束事件)
アッバース・パレスチナ暫定自治政府大統領の来日

(外務大臣)今日の閣議ですが、総理は今日ロシアからの帰国途中ですのでおられませんでした。官房長官が総理代理ということで主催されました。私からは、先般のフランスと米国に出張した報告をしました。多くの大臣が海外に行かれたそれぞれの話もありました。
 閣僚懇談会では簡単に今回の邦人拘束事件における内容を報告しました。中身は今日5時半に外務省対策本部が発表した中身そのものであり、その後5時半から4時間経っていますが、特に私の方から追加して述べることはありません。いずれにしても斎藤氏の安否確認を急ぐと共に、もし同氏の拘束あるいは重傷であるということが事実であるならば、一刻も早い無事の解放に向けて全力を挙げて取り組むということに尽きると思います。今はとにかく正確な情報の把握に努めるということが大事であろうと思っています。
 それから、これは閣議の話ではありませんが、かねてからアッバース・パレスチナ暫定自治政府大統領の来日のことを検討し、調整していましたが、5月15日から17日に日本政府の招待により来日することが決まりました。これは私が1月に大統領にお目にかかった時に是非ご招待したいということを申し上げ、先方から今回お見えになるということになったわけです。詳しい日程はこの15日から17日の間で今後決まってくるということで、現状ではまだ必ずしも煮詰まったものではありません。なお、シャロン首相についても5月か6月か、なかなか5月は難しいとも聞いていますが、お招きしようと。両首脳を招くことによって、日本が今後中東和平の問題に積極的に取り組み、きちんとした解決策を作る際の貢献をしたいという趣旨であり、是非これを実現し、成功させたいと考えているところです。

(問)閣僚懇談会では、大臣の報告に対してその他の閣僚の方からは。

(外務大臣)村田国家公安委員長から、警察の方としても内外の、「内」というのはおかしいが、情報収集に努めているということです。特に御家族の関係について、関係する県警ともよく連絡を取って対応しているという話がありました。それから防衛庁長官からも発言がありました。今朝の未明の段階では、現地にいる自衛官に何一つ異常はないという話がありました。

(問)現時点での政府と反抗グループとの接触はいかがなものでしょう。

(外務大臣)申し上げられません。

(問)ホームページによると生き残ったのは日本人だけとありますが。

(外務大臣)確認中です。

(問)仮にそうだとすると、何か意図的なものは感じますか。

(外務大臣)確認中です。

(問)現地の対応はいかがでしょうか。対策本部をこれから立ち上げるおつもりでしょうか。

(外務大臣)その前にとにかく正しい情報を把握することに努めています。

(問)反抗グループから日本政府への要求のようなものはあるのでしょうか。

(外務大臣)現状ではそういう情報には接していません。

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