平成25年1月27日
ボニ・ヤイAU総会議長,
ヌコサザナ・クラリス・ドラミニ=ズマAU委員会委員長,
ハイレマリアム・エチオピア共和国首相,
AU加盟国元首・代表団長の皆様,
第20回AU総会開催に当たり,心からお祝い申し上げます。また,2013年は,アフリカに多くの国が誕生し,AUの前身であるアフリカ統一機構(OAU)が設立されてから50年に当たる記念すべき年です。この半世紀の間,数々の困難を乗り越え,着実な歩みを進めてきたアフリカ大陸は今,明るい光に満ちた,世界の新たな希望の源となっています。半世紀にわたり,アフリカの平和と繁栄のため,努力を傾注してきたアフリカの先人達の御努力に敬意を表します。
また,この場をおかりして,日本政府を代表して,今回のアルジェリアにおける人質事件において犠牲になられた方々に対する弔意と,負傷された方々やご遺族の方々に対するお見舞いを表明致します。いかなる理由があっても暴力を使うことは決して許されず,日本政府としてテロ行為を断固として非難を致します。
私は,昨年末の政権交代により日本国内閣総理大臣に就任いたしました。2001年,私は日本の総理として初めてサブサハラ・アフリカを公式訪問した森元総理に同行しましたが,今年の6月,第5回アフリカ開発会議(TICADV)を日本で開催するに当たり,その議長を務めることとなりました。この機会に,日本・アフリカ関係に更なるダイナミズムを与えるべく,アフリカ各国首脳の皆様と協力を強めていくとの私の決意を改めて表明いたします。
2013年はまた,国際社会の目をアフリカに向けさせるべく,日本がアフリカ諸国と共にアフリカ開発会議(TICAD)プロセスを開始してから20年に当たる年でもあります。この間,TICADは,オーナーシップとパートナーシップの基本理念の下,アフリカ開発のための国際社会の知恵と努力を結集する場として,国際社会の議論をリードしてきました。20年の時を経た今,アフリカは大きな成長を遂げ,国際社会の注目を一身に集める存在となっています。アフリカの可能性を信じ,20年間共に歩みを進めてきた日本としては,このアフリカの飛躍を大変嬉しく,また,感慨深く思っております。
このまさに「アフリカの年」である今年,6月1日から3日まで,横浜において,TICAD Vを開催します。日本政府としては,TICADVを成功に導くべく全力を挙げる所存ですが,TICADVの成功の鍵を握るのは,他でもないオーナーシップの担い手であるアフリカ自身であり,中でもアフリカの首脳の強力なリーダーシップが重要です。アフリカの更なる飛躍を願う日本政府を代表し,皆様の御協力,特に首脳御自身のTICADVへの御出席と議論への積極的な貢献を心からお願いしたいと思います。6月,皆様を日本にお迎えできることを楽しみにしております。
我が国は,一昨年の未曾有の大震災にも拘わらず,TICADIVにおける様々な公約を誠実に実現してきました。中でも,アフリカ向けODA倍増,アフリカ向け直接投資倍増の公約は,既に達成が確実となっており,TICADIV以降5年間のアフリカの成長を支えてきたと信じています。
TICADVでは,アフリカと手に手を携えつつ,この著しい「成長」の恩恵を広く社会に行き渡らせる等,成長の「質」を向上させるための方向性を国際社会に示したいと考えています。その観点から,「躍動するアフリカと手を携えて~質の高い成長を目指して」を基本メッセージとし,相互に密接に連関する3つのテーマ,即ち「強固で持続可能な経済」,「包摂的で強靱な社会」,「平和と安定」に基づいて議論し,取るべき行動を示していきます。具体的には,民間企業の投資を促進するためのインフラや人づくり等を重点分野とし,アフリカの経済発展を加速します。また,人間の安全保障を一層推進し,女性・若者の役割を重視するとともに,ポストMDGs策定に向けてリーダーシップを発揮します。さらに,成長の土台である平和と安定の確立のため,アフリカ自身の努力を後押ししていきます。中でも,人々が安心して暮らし,経済社会活動に邁進できる社会を築くことは国際社会の責務です。決して許すことのできないテロ活動と闘うための方策についても議論したいと思います。
TICADVの成功に向けて,今回初めて共催者となったAU委員会,及びアフリカ諸国とそして国際社会と共に,準備を進めていきたいと思っております。
今次AU総会のテーマは,「汎アフリカ主義とアフリカのルネサンス」です。人類の起源であり,また我々の未来を切り開くエネルギーと可能性に満ちた大陸であるアフリカが,AUの下ますます団結を強め,新たな時代を切り開くことを期待しています。我が国としては,そのようなアフリカとの絆を更に深めつつ,希望に満ちた未来に向かって共に歩みを進めていくことを,そしてTICAD Vがそのための新たな出発点となることを心から願っています。