1月25日(金曜日)から30日(水曜日)まで,松山外務副大臣は,アフリカ連合(AU)総会及びアフリカ主導国際マリ支援ミッション(AFISMA:アフィスマ)支援会合への出席等のため,アディスアベバ(エチオピア)を訪問したところ,概要以下のとおり。
【ポイント】
- 松山副大臣は,コートジボワールやマラウイ大統領など合計約30名のアフリカの大統領・首相・外相等と会談・懇談を行ったほか,アフリカ以外ではファビウス仏外相と会談を行った。
これらの会談等において,松山副大臣は,主に,国際社会と連携してテロとの闘いを継続していく決意である旨伝えるとともに,6月に横浜で開催予定の第5回アフリカ開発会議(TICADV)への首脳の参加を要請した。 - アフリカ連合(AU)の総会では,安倍総理からのメッセージを発出。
(注)本メッセージは,AU加盟54ヶ国・地域の首脳等に対し,アルジェリアでのテロ行為による犠牲者の方々への哀悼の意及びテロ行為への断固たる非難を表明するとともに,本年6月1日から3日に横浜で開催するTICADVに向けた我が国の考えや,TICADVへの首脳の出席要請等を内容とするもの。 - アフリカ主導国際マリ支援ミッション(AFISMA)支援会合では,松山副大臣は,マリ問題の解決に向けて人道支援やガバナンス・治安部門強化等に関する約1.2億ドルの支援を検討している旨表明。また,松山副大臣は,TICADVでは,テロ対策を含む平和と安定についても議論したい旨表明。ファビウス仏外相より,日本の大きな貢献は他国による支援の呼び水となったとして謝意が示されるとともに,テロとの闘いに向けて両国が引き続き連携することを確認した。また,トラオレ・マリ暫定大統領とも短時間会談し,我が国の支援を説明したところ,同暫定大統領より謝意が示された。
1.首脳・外相等との会談等
(1)滞在中,松山副大臣は,ウワタラ・コートジボワール大統領,バンダ・マラウイ大統領を含むアフリカの12の国・機関の首脳・外相等及びファビウス・フランス外相との二国間会談の他,多数の首脳・外相等に対してTICADVへの参加を要請する懇談を実施した。
【二国間会談】ウワタラ・コートジボワール大統領,バンダ・マラウイ大統領,トラオレ・マリ暫定大統領,ゼイダーン・リビア首相,ファビウス・フランス外相,ドラミニ=ズマAU委員長,チウメ・マラウイ外相,アダン・ソマリア副首相兼外相,メサヘル・アルジェリア外相付特命大臣(マグレブ・アフリカ担当),テドロス・エチオピア外相,オイヌ・トーゴ外相,ウンベリーナ=ネト・サントメプリンシペ外相,ロシャ・カーボヴェルデ閣外大臣。
【懇談】ヤイ・ベナン大統領,マハマ・ガーナ大統領,ジョナサン・ナイジェリア大統領,コンパオレ・ブルキナファソ大統領,サルヴァ=キール・南スーダン大統領,コロマ・シエラレオネ大統領,ムセベニ・ウガンダ大統領,ムガベ・ジンバブエ大統領,キクウェテ・タンザニア大統領をはじめとする首脳・外相等。
(2)これらの会談や懇談において,松山副大臣からは,テロ行為への断固たる非難を表明するとともに,国際社会と連携してテロとの闘いを継続していく決意である旨伝達。また,6月に横浜で開催予定のTICADVへのアフリカ各国首脳の参加を要請し,TICADVを,各国との貿易・投資促進を含む日・アフリカ関係の更なる強化の契機としたい旨述べた。
(3)会談相手からは,アルジェリアでのテロ事件の犠牲者や家族の方々への哀悼の意及び負傷された方々へのお見舞いとともに,テロ行為への非難が一様に示された。また,日本のアフリカに対する長年の支援に対する謝意とともに,TICADVの成功に向けた協力姿勢やTICADVを契機とした経済関係の強化への期待等が示された。
(4)特にウワタラ・コートジボワール大統領,オイヌ・トーゴ外相及びファビウス・フランス外相との間では,マリ問題に関する意見交換を行った。その他,アフリカ各国との間で,二国間の経済協力関係や国際場裡における協力についても議論した。また,アルジェリアでのテロ事件につき,松山副大臣よりアルジェリアのメサヘル・マグレブ・アフリカ担当大臣に対し,事態の全容についての情報提供の協力等を要請した。
(5)この他,ドラミニ=ズマAU委員長との間で,汎アフリカ大学(PAU:Pan-African University)構想への協力に関する覚書への署名を行い,アフリカにおける高等教育の推進に対する我が国の協力姿勢を印象づけた。
(注)汎アフリカ大学(PAU)構想とは,アフリカにおける高等教育・科学技術の発展のため,アフリカ5地域についてそれぞれ1つの大学を先端研究機関として指定し,研究・教育機関として強化を図る構想。我が国は,東部地域の先端研究機関として指定されたジョモ・ケニヤッタ大学(於:ケニア)への協力を実施してきている。今次覚書は,ジョモ・ケニヤッタ大学への協力について取り決めたもの。
2.AU総会において発出した安倍総理メッセージ
AU総会に参加したアフリカ各国の首脳級代表に対し,安倍総理からのメッセージ(和文,英文,仏文)を発出。メッセージの主要ポイントは以下のとおり。
(1)アルジェリアでのテロ事件で犠牲になられた方々やご家族の方々への弔意と,負傷された方々へお見舞い申し上げるとともに,日本政府としてテロ行為を断固として非難。
(2)TICADVを日・アフリカ関係に更なるダイナミズムを与える会合にしたいとの決意を表明し,同会議の成功に向けて,アフリカの首脳の協力と首脳の参加を要請。
(3)TICAD IVでの公約を誠実に達成してきており,TICADVでは,アフリカの「質の高い成長」の実現に向けて,(ア)「強固で持続可能な成長」に向けた民間投資促進のためのインフラ整備や人づくり,(イ)「包摂的で強靱な社会」に向けた人間の安全保障の一層の推進と,ポストMDGs策定に関するリーダーシップの発揮,(ウ)成長の土台である,テロとの闘いを含む「平和と安定」といった,相互に連関するテーマに基づいて議論したい。
3.AFISMA支援会合
29日に開催されたAFISMA支援会合における松山副大臣によるスピーチ(和文,英文,仏文)のマリ部分に関するポイントは以下のとおり。
(1)サヘル地域,特にマリ北部におけるテロとの闘いを強化すべきであること,また,極度の貧困や若者の失業等に対処し,人間の安全保障を確立することがテロの根本的解決策として重要であることを改めて主張。
(2)サヘル地域の貧困対策,食料安保を含む経済開発の推進が,マリ及びサヘル地域の安定の鍵と考えており,マリ及びその周辺国における難民・国内避難民に対する支援及び西アフリカ諸国の軍・警察能力向上のための訓練を行っているPKO訓練センターへの支援を含む同地域におけるガバナンス・治安部門強化等に関する支援として,約1.2億ドルの追加拠出を行うことを検討している。
(3)本年6月1日から3日,日本で開催するTICADVの主要テーマの1つは,開発・成長の土台としての平和と安定としたい。この中では,平和と安定に向けたアフリカ自身の努力を後押しするための施策や,テロ・麻薬取引等の国境を越えた問題への対処等についても,議論を深めたい。
【参考:主な日程】
- 1月25日(金曜日):
- 日本発
- 26日(土曜日):
- エチオピア着
首脳・外相等との会談等 - 27日(日曜日):
- アフリカ連合(AU)総会開会式
首脳・外相等との会談等
エチオピア首相主催レセプション - 28日(月曜日):
- 首脳・外相等との会談等
- 29日(火曜日):
- アフリカ主導国際マリ支援ミッション支援会合
首脳・外相等との会談等
エチオピア発 - 30日(水曜日):
- 日本着