演説

松山外務副大臣演説

アフリカ主導の国際マリ支援ミッション(AFISMA)に関する支援会合に
おける松山副大臣ステートメント

2013年1月29日(火曜日) 於:アフリカ連合(AU)本部 

英語版仏語版

 ハイレマリアム・アフリカ連合議長閣下,ウワタラ・西アフリカ諸国経済共同体議長閣下, ご列席の皆様,

 この会合の共同議長であるハイレマリアムAU議長及びウワタラ西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)議長のイニシアチブ,これまでサヘル地域の問題に取り組んでこられた方々の努力,そして仏及びマリ周辺諸国を始め,今まさにマリ北部の安定のためにマリとともに闘っている方々の決意と覚悟に敬意を表します。

 また,この場をお借りして,今回のアルジェリアにおける人質事件において犠牲になられた方々に対する弔意と,負傷された方々やご遺族の方々に対するお見舞いを表明いたします。日本政府としては,罪のない人々の命と幸福を奪うテロという卑劣な行為を断固として非難いたします。

 今回の事件は,我々に改めてテロの脅威とテロが生み出す計り知れない痛みを痛烈に印象づけました。その観点から,サヘル地域,特にマリ北部におけるテロとの闘いは強化されるべきであり,そのためのアフリカ諸国の自発的努力を国際社会は一致して後押ししていくべきです。

 また,極度の貧困や若者の失業等に対処し,人間の安全保障を確立することで,人々が未来に希望を持てる社会を築き,テロ組織のつけ込む余地をなくすことがテロの根本的解決策として重要であることを改めて主張いたします。

議長,

 我が国は,近年,アフリカ自身が平和と安定のために主体的に取り組んできたことを高く評価しており,AUや西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)等の地域機関の平和安全保障活動に対する支援やPKO訓練センターへの支援等に力を入れてきました。今次マリの一連の課題に対しても,ECOWASをはじめとする地域の国々やAUが主体的に取り組んできたことに敬意を表します。

 我が国はサヘル地域の貧困対策,食料安保を含む経済開発の推進がマリ及びサヘル地域の安定の鍵と考えています。このため,今般,マリ及びその周辺国における難民・国内避難民に対する支援及び西アフリカ諸国の軍・警察能力向上のための訓練を行っているPKO訓練センターへの支援を含む同地域におけるガバナンス・治安部門強化等に関する支援として,約1.2億ドルの追加拠出を行うことを検討しています。なお,これまでサヘル地域における干ばつ対策として,63百万ドルの人道支援・食糧援助も行ってきました。これらの支援が,AFISMAの活動の成果を更に強化するとともに,テロの温床ともなっている貧困の削減につながることを期待します。

議長,

 我が国は,本年6月1日から3日,日本で,アフリカ諸国の首脳や多くの開発パートナーの出席の下,共催者であるAU委員会,国連,UNDP,世銀と共に第5回アフリカ開発会議(TICADV)を開催いたします。TICADVの主要テーマの1つは,開発・成長の土台としての平和と安定であり,この中では,平和と安定に向けたアフリカ自身の努力を後押しするための施策やテロ,麻薬取引等の国境を越えた問題への対処等についても議論を深める予定です。中でも,複雑さをきわめるマリ・サヘル地域の諸問題は,国際社会全体がその解決のために英知を結集しなければならない問題であり,特に重点的に取り扱う予定です。

議長,

 我が国としては,マリ及びサヘル地域全体が,平和と安定を取り戻し,人々が希望を持って未来に向かって歩みを進められることを強く願っており,そのために国際社会と協力して,引き続きアフリカ自身の努力を後押ししていく決意です。

御清聴ありがとうございました。

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