演説

山根外務副大臣挨拶

第10回「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合
山根外務副大臣 スピーチ

平成24年3月1日

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アティーヤ長官,
各国閣僚の皆様,
御列席の皆様,
 外務副大臣の山根隆治でございます。

 第10回「『気候変動に対する更なる行動』に関する非公式会合」出席のために訪日された皆様を,心から歓迎申し上げます。

 ブラジルと我が国が共同議長を務めているこの会合は,気候変動に関する一連の交渉において,毎年最初に開かれる会合であり,今回で10回目を迎えます。本年は,1992年のリオ地球サミットで気候変動枠組条約が採択されてから20年となる,節目の年でもあります。6月には,ブラジルでリオ+20が開催されます

 この会合において,本年末のCOP18に向けた1年間の交渉スケジュールや課題を共有するため,活発な議論をしていただくことを期待いたします。

 昨年3月11日に発生した東日本大震災から,まもなく1年が経過しようとしております。これまで我が国は,国際社会の御支援も頂きながら,復興に全力で取り組んできました。この1年間に皆様から頂いた暖かい御支援と力強い激励の言葉に対し,日本国政府と日本国民を代表し,改めて感謝申し上げます。我が国としては,未曾有の自然災害に見舞われながらも,これまで繰り返し申し上げてきているとおり,気候変動という人類が直面している極めて深刻な問題に対し,真剣に取り組んでいく姿勢に,全く変わりはありません。

 COP17議長国の重責を果たされてきた南アフリカの努力と,各国の政治的意思の結集により,ダーバンでは歴史的成果を得ることができました。ただ,これで気候変動問題が解決したわけではありません。我々は,ダーバンでの成果を基礎として,さらなる進展を目指さなければなりません。

 「ダーバン・プラットフォーム」については,本年,将来の枠組みに関する議論の土台を作り,新しい作業部会の作業を軌道に乗せなければなりません。また,真の地球益につながるような,公平かつ実効性のある枠組みとはどのようなものか,全ての国に適用される枠組みはどうあるべきか,といった視点から,今こそ,創造性と柔軟性を持って,2020年以降の新たな枠組みについて議論すべきです。

 新たな段階に移るために,ドーハのCOP18では,既存の作業部会で進めてきた作業を確実に終えることも重要です。また,「緑の気候基金」を始めとする途上国支援のための仕組み作りも,引き続き着実に進めるべきです。

 COP18に向けて,ダーバンで得られた政治的意思を維持しつつ作業を進めることが重要です。日本としても,積極的に貢献してまいります。

 気候変動は日々進行している問題であり,将来の枠組みの議論と並行して,実質的な協力を進める必要があります。COP17において,我が国は,「世界低炭素成長ビジョン」を表明し,先進国・途上国が連携して,技術,市場及び資金を総動員し,官民一体となって世界低炭素成長を実現していくことを提案しました。

 このビジョンに基づく具体的な取組として,「東アジア低炭素成長パートナーシップ構想」の推進や,「アフリカ・グリーン成長戦略」の策定などの地域協力を進めています。

 我が国は今後も,世界全体で低炭素成長を実現することを通じて,気候変動問題の真の解決を図るべく,我が国の技術,知見,経験を世界と共有し,貢献していきたいと考えています。

 今回の会合が,本年末のCOP18に向けた議論のキックオフとして有意義なものとなることを祈念して,私からのあいさつとさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

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