ミッチェル英国国際開発相・増資会合議長,
御列席の皆様,
本日は皆様とともにGAVIアライアンス第1次増資会合に出席でき光栄です。
はじめに,3月11日に我が国で発生した東日本大震災に際し,世界中から温かいお見舞いと,支援の申入れがなされたことに対して心から感謝申し上げます。今回の震災を通じ,私自身,一人ひとりの命を守る重要性を再認識いたしました。世界各国から寄せられた支援や激励の背景の1つには,これまでの国際協力の積み重ねによって培われた我が国に対する信頼があると考えています。今回の震災で世界から差し伸べられた温かい連帯と支援に報いる上でも,国際社会と連携する中で復興し,国際社会の平和と安定のために一層積極的な役割を果たし,国際社会で人間の安全保障を確保するために,ODAを始めとする国際貢献に引き続き着実に取り組んでいく所存です。
我が国は,人間の安全保障に直結する地球規模の課題として,保健分野での取組を重視しています。これに関連して,昨年9月のMDGs国連首脳会合の際には,2011年から5年間で50億ドルの支援を含む新国際保健政策を発表しました。同政策の下,特にMDGsの達成に向けた進捗が最も遅れている母子保健に係る効果的な支援モデルとして,保健システムの強化を通じて,産前から産後までの切れ目のない手当を確保することを目指す,’EMBRACE(Ensure Mothers and Babies Regular Access to Care)’を提唱しました。また,今月2~3日にはMDGsフォローアップ会合を開催し,GAVIを含む国際機関,各国政府,NGO,民間企業,学術機関を含む多様な関係者の参加を得て,MDGs達成に向けて,残された5年間で追求すべき真に効果的な手法について真剣な討議を行いました。
1990 年当時,世界で年間1,250 万人の子供が5歳の誕生日を迎える前に死亡していましたが,2008 年には880 万人にまで減少したことは,大きな成果です。その一方で,多くの子供が,生まれて1 ヶ月以内に予防または治療可能な原因で命を落としており,依然として多くの国の乳幼児死亡率は受け入れ難い水準にあります。
このような中,GAVIは予防接種によりこれまでに500万人の子どもたちの命を救うという輝かしい成果をあげ,特に乳幼児死亡率の削減(目標4)の達成において大変重要な役割を果たしています。日本政府として改めて敬意を表します。
この度,日本政府はGAVIアライアンスに対して本年度に約9.3百万ドルの拠出を行うことを表明いたします。また,2012年以降についても,MDGs達成に向けて,昨年9月のコミットメントを踏まえ,相応の拠出を行っていく用意があります。
我が国は,新国際保健政策の下,GAVIを始めとする他の開発パートナーとも連携・協調し,効果的・効率的な支援を行うことを通じて,パートナー国における母子の命や,三大感染症によって失われる命を救うことに貢献して参ります。とりわけ,途上国の現場におけるJICA事業とGAVIの活動の連携を重視していきます。
我が国はこうしたGAVIによる取組に,目覚ましい経済発展を遂げ開発課題に積極的に取り組む国や既にGAVIの恩恵を受けてきた新興国がドナーとして積極的に参加することを期待しています。
GAVIの活動の重要性は今日誰もが認めるところですが,GAVIの資金はこれまで以上に効率的かつ効果的に利用されなければならず,また,より長期的には保健サービスの定着を図るものでなくてはなりません。日本政府は,現在続行中の不正疑惑調査に大きな関心を有しており,GAVI事務局が厳正に調査にとりくみ,調査結果を透明性をもってドナーに提示し,その教訓を資金の一層効率的・効果的利用に活かすことを求めます。
最後に,ドナー,途上国,市民社会,民間セクターのパートナーシップの下,GAVI活動の拡充により予防可能な疾病で失われる命が一人でも多く救われることを切に祈念し,私の挨拶といたします。
御清聴ありがとうございました。